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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】野縁接続金物
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/06 20060101AFI20220510BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20220510BHJP
   E04C 5/18 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
E04B9/06 A
E04B1/58 509N
E04C5/18 103
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017236435
(22)【出願日】2017-12-08
(65)【公開番号】P2019105030
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】393016837
【氏名又は名称】株式会社桐井製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】荒井 智一
(72)【発明者】
【氏名】相原 正史
(72)【発明者】
【氏名】高田 輪太郎
(72)【発明者】
【氏名】桐島 徹
(72)【発明者】
【氏名】金尾 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 圭介
(72)【発明者】
【氏名】藤 教生
(72)【発明者】
【氏名】中村 芳明
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-130914(JP,U)
【文献】実開昭58-183813(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00 - 9/36
E04B 1/58
E04C 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1野縁と、前記第1野縁から前記第1野縁と交差する方向に延在する第2野縁と、前記第1野縁及び前記第2野縁を互いに接続する野縁接続金物と、を備える野縁接続構造であって、
前記野縁接続金物は、
前記第1野縁及び前記第2野縁のそれぞれに上から嵌合する複数の嵌合部を有する第1部材と、
前記第1部材に取り付けられる第2部材と、
を備え、
前記嵌合部は、前記第1野縁及び前記第2野縁のそれぞれに対して複数設けられており、
前記第1部材は孔部を有し、前記第2部材は前記孔部に通される挿入折り曲げ部を有し、
前記第2部材は、前記挿入折り曲げ部が前記孔部に挿入されて折り曲げられた状態で前記第1部材に取り付けられ、
前記第1野縁は、第1方向に延びる通し野縁であり、前記第2野縁は、前記第1方向に交差する第2方向に延びており、
前記挿入折り曲げ部は、前記第1方向に延びる通し野縁である前記第1野縁との交差部分において2本に分断されている前記第2野縁の側面と前記孔部の縁との間に挿入されると共に、前記孔部の外側に折り曲げられる、
野縁接続構造。
【請求項2】
前記挿入折り曲げ部は、前記第2野縁に対して左右一対に設けられる、
請求項1に記載の野縁接続構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井を構成する複数の野縁を接続する野縁接続金物に関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭60-130914号公報には、天井を構成する複数の棒状のチャンネル部材を連結する天井下地材連結金具が記載されている。各チャンネル部材の端部には天井下地材が取り付けられ、天井下地材連結金具は複数の天井下地材を連結する。天井下地材連結金具は複数の保持部を備え、各保持部は各天井下地材に沿って縦横に突出している。天井下地材連結金具には、下方から天井下地材連結金具を覆う被板が取り付けられる。被板は、平板状の基板と、基板から上方に突出する複数の係止片とを備える。また、天井下地材連結金具は、その上面部にL字状の複数の孔部を有する。
【0003】
この天井下地材連結金具を用いた工法では、各チャンネル部材の端部に天井下地材を取り付けて、各天井下地材が各保持部に挿入及び係合されることによって複数のチャンネル部材が連結される。そして、天井下地材連結金具の各々のL字状の孔部に被板の係止片を下から挿通し、挿通した各係止片を天井下地材連結金具の上部で折り曲げることにより、被板が天井下地材連結金具に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭60-130914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した工法では、各チャンネル部材の端部に天井下地材を取り付け、その後、各天井下地材を天井下地材連結金具に取り付けて、更に被板を天井下地材連結金具に取り付ける作業が必要である。よって、作業が煩雑であり各部材の取り付けに時間がかかるため、作業性がよくないという問題がある。また、特に近年、地震等に対する天井の耐久性を高めることが強く求められており、地震等が生じても各部材の固定状態を維持できることが求められている。
【0006】
本発明は、作業性を向上させることができると共に、耐久性を高めることができる野縁接続金物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る野縁接続金物は、第1野縁と、第1野縁から第1野縁と交差する方向に延在する第2野縁と、を接続する野縁接続金物であって、第1野縁及び第2野縁のそれぞれに上から嵌合する複数の嵌合部を有する第1部材と、第1部材に取り付けられる第2部材と、を備え、嵌合部は、第1野縁及び第2野縁のそれぞれに対して複数設けられており、第1部材は孔部を有し、第2部材は孔部に通される挿入折り曲げ部を有し、第2部材は、挿入折り曲げ部が孔部に挿入されて折り曲げられた状態で第1部材に取り付けられ、第1野縁は、第1方向に延びる通し野縁であり、第2野縁は、第1方向に交差する第2方向に延びており、挿入折り曲げ部は、第2野縁の側面と孔部の縁との間に挿入されると共に、孔部の外側に折り曲げられる
【0008】
この野縁接続金物は、第1野縁及び第2野縁のそれぞれに上から嵌合する複数の嵌合部を備える第1部材と、第1部材に取り付けられる第2部材とを備え、第1部材は第2部材の挿入折り曲げ部を通す孔部を有する。第2部材は、挿入折り曲げ部が孔部に挿入されて折り曲げられた状態で第1部材に取り付けられる。よって、第1部材の複数の嵌合部のそれぞれを第1野縁及び第2野縁に嵌合し、第2部材の挿入折り曲げ部を第1部材の孔部に挿入して折り曲げた状態で取り付けを行うことができるので、第1野縁及び第2野縁に対する第1部材及び第2部材の取り付けを容易に行うことができる。従って、野縁接続金物を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。また、第1部材は複数の嵌合部を備え、嵌合部は第1野縁及び第2野縁のそれぞれに対して複数設けられている。従って、第1野縁に複数の嵌合部が嵌合すると共に、第2野縁に複数の嵌合部が嵌合するため、第1野縁と第2野縁の交差角度を保持することができる。すなわち、地震等が生じても第1部材と第2野縁の回転を抑制することができ、各部材の固定状態を維持することができるので、天井の耐久性を高めることができる。
【0009】
また、挿入折り曲げ部は、第2野縁に対して左右一対に設けられてもよい。この場合、野縁の左右両側に挿入折り曲げ部が設けられ、野縁は両側から挿入折り曲げ部に挟まれた状態となる。従って、一対の挿入折り曲げ部によって野縁をより強固に保持することができるので、天井の耐久性をより高めることができる。
【0010】
また、野縁の側面と孔部の縁との間に各挿入折り曲げ部が挟み込まれる。従って、各挿入折り曲げ部を上記側面と孔部の縁との間に下から挿入して折り曲げることにより、第2部材の取り付けを容易に行うことができる。また、野縁のそれぞれの側面と孔部の縁との間に各挿入折り曲げ部が挟み込まれることにより、野縁の左右両側に位置する各挿入折り曲げ部を強固に保持することができる。従って、野縁に対する保持力を更に高めることができるので、天井の耐久性を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業性を向上させることができると共に、耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る野縁接続金物、第1野縁及び第2野縁を示す斜視図である。
図2図1の野縁接続金物の第1部材及び第2部材を示す斜視図である。
図3図2の第1部材を示す平面図である。
図4図2の第1部材の嵌合部が第1野縁又は第2野縁に嵌合している状態を示す図である。
図5図2の第1部材のリブ部を拡大した断面図である。
図6図2の第2部材を示す平面図である。
図7】第1野縁及び第2野縁に第1部材が嵌合した状態を示す斜視図である。
図8図7の第1部材の孔部に下から第2部材の挿入折り曲げ部が挿入された状態を示す斜視図である。
図9】(a)は、図8の挿入折り曲げ部が第1部材の孔部に挿入された状態を示す断面図である。(b)は、(a)の挿入折り曲げ部が第1部材の上方で第1部材に沿って折り曲げられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る野縁接続金物の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る野縁接続金物1を示す斜視図である。図1に示されるように、野縁接続金物1は、例えば、複数の天井面材2を備えた天井構造に設けられており、この天井構造は、第1野縁3と、第1野縁3に交差する第2野縁4とを備えている。第1野縁3と第2野縁4は、例えば、同一平面内に配置されており、第1野縁3の高さは第2野縁4の高さと同一である。
【0015】
以下では、第1野縁3が延びる方向を第1方向D1、第2野縁4が延びる方向を第2方向D2として説明する。例えば、第1野縁3及び第2野縁4は、共に天井面材2にビス止めされており、各天井面材2は正方形状とされている。一例として、天井面材2は、ポリエステル製の不織布基材を備えた天井材であってもよく、この場合、従来の天井材よりも軽量化することが可能である。
【0016】
野縁接続金物1は、第1野縁3と第2野縁4の交差部分に配置される。野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4の火打ちとしての機能を有しており、第1野縁3及び第2野縁4の交差部分を補強する。従って、前述のような軽量化された天井面材2を用いても、野縁接続金物1により、天井構造の面剛性を高める効果が得られる。
【0017】
野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4の交差部分において、第1野縁3と第2野縁4とを接続する。例えば、第1野縁3は、第1方向D1に延びる通し野縁であり、第2野縁4は、当該交差部分において2本に分断されている。この場合、各第2野縁4の第2方向D2の端部が第1野縁3の側面3aに対向する。野縁接続金物1は、2本の第2野縁4のうち一方の第2野縁4の端部と、第1野縁3と、2本の第2野縁4のうち他方の第2野縁4の端部とを接続する。
【0018】
第1野縁3を、その長手方向に直交する面で切断したときの断面は、上方に開口した形状とされている。すなわち、第1野縁3は、一対の側面3aと、一対の側面3a同士を接続する底面3bとを有し、一対の側面3a及び底面3bによって上方に開口するコの字状とされている。また、第1野縁3は、その上端で第1野縁3の幅方向の内側且つ下側に折り返された折り返し部3cを備える。折り返し部3cは第1野縁3の幅方向に一対に設けられる。第2野縁4の形状は、例えば、第1野縁3の形状と同様とされており、第2野縁4は、第1野縁3と同様の側面4a、底面4b及び折り返し部4cを備える。
【0019】
図1及び図2に示されるように、野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4の上側に位置する第1部材10と、第1野縁3及び第2野縁4の下側に位置する第2部材20とを備える。第1部材10は、平板部11と、平板部11を貫通する複数の孔部12と、平板部11から折り曲げられた複数の嵌合部13と、平板部11の各端辺11aから下方に折り曲げられた折り曲げ部14と、平板部11から盛り上がるリブ部15とを有する。
【0020】
平板部11は、第1方向D1及び第2方向D2に延びる平面を形成し、天井面材2に沿って延在する。平板部11は八角形状とされており、平板部11の4つの端辺11aは第1方向D1及び第2方向D2の双方に傾斜している。平板部11の他の4つの端辺11bは、第1野縁3及び第2野縁4それぞれの幅方向に延在する。端辺11aは第1野縁3と第2野縁4の間を跨ぐ辺であり、端辺11bは一対の側面3a,4aの間に入り込む。端辺11aは端辺11bよりも長く延びており、端辺11aと端辺11bとの成す角度は例えば135°である。
【0021】
図2及び図3に示されるように、平板部11の中心11dを通り且つ2つの端辺11bを通る2本の仮想直線Lのそれぞれには、2つの孔部12が設けられている。例えば、当該2つの孔部12は中心11dに対して互いに対称となる位置に配置される。孔部12は、第2部材20の後述する挿入折り曲げ部23を通すため、及び軽量化のために設けられる。平板部11には合計4つの孔部12が形成されている。例えば、各孔部12は長方形状とされている。孔部12の一対の短辺を成す縁12aは第1方向D1又は第2方向D2に延在し、孔部12の一対の長辺を成す縁12bは第1野縁3及び第2野縁4それぞれの幅方向に延在する。
【0022】
中心11d側の各縁12b、及び各端辺11bからは、下方に嵌合部13が延在する。平板部11には合計8つの嵌合部13が設けられている。8つの嵌合部13のうち4つは各縁12bから下方に延在しており、他の4つは各端辺11bから下方に延在している。また、8つの嵌合部13のうち、4つが第1野縁3に嵌合し、2つが一方の第2野縁4に嵌合し、残り2つが他方の第2野縁4に嵌合する。
【0023】
図4に示されるように、嵌合部13は、第1野縁3の一対の折り返し部3cの間、及び第2野縁4の一対の折り返し部4cの間に嵌合する形状とされている。具体的には、各嵌合部13は、平板部11から下方に延びる一対の直線部13aと、各直線部13aの下端から拡張する拡張部13bと、各拡張部13bから下方に半円状に湾曲する湾曲部13cとを備える。嵌合部13は、各拡張部13b及び湾曲部13cが一対の折り返し部3c,4cの下方に入り込むことにより、第1野縁3又は第2野縁4に上から嵌合する。
【0024】
図1及び図2に示されるように、平板部11には折り曲げ部14が設けられてもよい。折り曲げ部14は、平板部11の端辺11aから下方に延在し、第1部材10の剛性を高めるために設けられる。第1野縁3及び第2野縁4に第1部材10が取り付けられた状態では、折り曲げ部14は、第1野縁3の側面3aと第2野縁4の側面4aとの間において斜めに延在する。
【0025】
図1図2及び図5に示されるように、平板部11には、各端辺11aに沿うように複数のリブ部15が設けられてもよい。平面視において、各リブ部15は端辺11aに沿って長く延びる長円状とされている。各リブ部15は、平板部11において湾曲して盛り上がっており、第1部材10の剛性を高めるために設けられる。なお、前述した折り曲げ部14及びリブ部15は、いずれも補剛のために設けられるが、折り曲げ部14及びリブ部15の一方を省略することも可能である。また、第1部材10は、リブ部15を省略して、突出する部位を有しない平板部11を備えていてもよい。この場合、第1部材10の形状を更に簡易にすることができる。
【0026】
図2及び図6に示されるように、第2部材20は、第1野縁3及び第2野縁4に沿って平面状に延在する平板部21と、平板部21から上方に突出する複数の突出部22と、平板部21から上方に突出すると共に第1部材10の上方で折り曲げられる挿入折り曲げ部23と、を備える。平板部21は多角形状とされている。平板部21は、八角形状の中央部21aと、中央部21aから平板部21の外方に十字状に延びる4つの野縁受け部21bとを含む。各野縁受け部21bは矩形状とされている。
【0027】
4つの野縁受け部21bのうち、2つの野縁受け部21bからは一対の突出部22が突出しており、他の2つの野縁受け部21bからは一対の挿入折り曲げ部23が突出している。突出部22が突出する野縁受け部21bは、平板部21の中心21cに対して互いに対称となる位置に一対に配置されている。また、挿入折り曲げ部23が突出する野縁受け部21bも中心21cに対して互いに対称となる位置に一対に配置されている。突出部22は野縁受け部21bの一対の短辺のそれぞれから突出しており、挿入折り曲げ部23も野縁受け部21bの一対の短辺のそれぞれから突出している。
【0028】
一対の突出部22及び野縁受け部21bは、第1野縁3を下から囲む部位であり、一対の挿入折り曲げ部23及び野縁受け部21bは、各第2野縁4を下から囲む部位である。各挿入折り曲げ部23は各突出部22よりも長く突出している。挿入折り曲げ部23は、野縁受け部21bから突出する基端部23aと、基端部23aから更に突出すると共に孔部12に下から挿通される先端部23bとを有する。各先端部23bは、孔部12に下から挿通されると共に平板部11の上面11eに沿って孔部12の外側に折り曲げられる。
【0029】
平板部21に対する基端部23aの突出高さは、例えば、平板部21に対する突出部22の突出高さと同一である。また、基端部23aと先端部23bとの間には、例えば、折り曲げ線が設けられていてもよく、この場合、先端部23bを容易に折り曲げることが可能となる。
【0030】
次に、第1部材10及び第2部材20を備えた野縁接続金物1を用いて第1野縁3及び第2野縁4を接続する野縁接続方法について説明する。本実施形態において、野縁接続金物1は、2本の第2野縁4と、2本の第2野縁4の間を通る1本の第1野縁3と、を接続する。
【0031】
まず、図7に示されるように、鉛直方向上方から第1部材10を第1野縁3及び第2野縁4に嵌合する。このとき、8つの嵌合部13のうち同一直線上に位置する4つの嵌合部13を第1野縁3に嵌合する。そして、当該4つの嵌合部13から見て一方側に位置する2つの嵌合部13を一方の第2野縁4に嵌合すると共に、残り2つの嵌合部13を他方の第2野縁4に嵌合する。このとき、各嵌合部13の拡張部13bと湾曲部13cが第1野縁3及び第2野縁4のそれぞれの折り返し部3c,4cの下方に入り込むことにより、第1野縁3及び第2野縁4のそれぞれに各嵌合部13が嵌合する。
【0032】
次に、第1野縁3及び第2野縁4の下方に第2部材20を配置する。具体的には、図8及び図9(a)に示されるように、第1野縁3を各突出部22の間に嵌め込むと共に、各第2野縁4を各挿入折り曲げ部23の間に嵌め込む。このとき、各挿入折り曲げ部23を第2野縁4の各側面4aと孔部12の縁12aとの間に下から挿入し、各挿入折り曲げ部23の先端部23bを第1部材10の上方に突出させる。
【0033】
その後、図1及び図9(b)に示されるように、各先端部23bを各縁12aの外側に折り曲げることによって、各挿入折り曲げ部23を平板部11の上面11eに沿って孔部12の外側に折り曲げる。このように、各挿入折り曲げ部23を第1部材10の上方で第1部材10に沿って折り曲げることにより、第1部材10に第2部材20を固定させることができ、野縁接続金物1の取り付け作業が完了する。この野縁接続金物1の取り付け作業は、工具等を使わずに手だけで行うことが可能である。
【0034】
次に、本実施形態に係る野縁接続金物1から得られる作用効果についてより詳細に説明する。野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4のそれぞれに上から嵌合する複数の嵌合部13を備える第1部材10と、第1部材10に取り付けられる第2部材20とを備え、第1部材10は第2部材20の挿入折り曲げ部23を通す孔部12を有する。第2部材20は、挿入折り曲げ部23が孔部12に挿入されて折り曲げられた状態で第1部材10に取り付けられる。よって、第1部材10の複数の嵌合部13のそれぞれを第1野縁3及び第2野縁4に嵌合し、第2部材20の挿入折り曲げ部23を第1部材10の孔部12に挿入して折り曲げた状態で取り付けを行うことができる。従って、第1野縁3及び第2野縁4に対する第1部材10及び第2部材20の取り付けを容易に行うことができる。
【0035】
また、本実施形態において、野縁接続金物1は、第1野縁3及び第2野縁4を上下から挟み込む第1部材10及び第2部材20を備え、第1部材10は第2部材20の挿入折り曲げ部23を通す孔部12を有する。従って、第1部材10と第2部材20とによって第1野縁3及び第2野縁4を挟み込むことにより、第1野縁3及び第2野縁4の落下を防止することができる。また、第2部材20は、挿入折り曲げ部23が下から孔部12に挿入されて挿入折り曲げ部23が第1部材10の上方で第1部材10に沿って折り曲げられることにより、第1部材10に取り付けられる。よって、第1野縁3及び第2野縁4に対する第1部材10及び第2部材20の取り付けを容易に行うことができるので、野縁接続金物1を取り付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0036】
また、第1部材10は複数の嵌合部13を備え、嵌合部13は第1野縁3及び第2野縁4のそれぞれに対して複数設けられている。従って、第1野縁3に複数の嵌合部13が嵌合すると共に、第2野縁4に複数の嵌合部13が嵌合するため、第1野縁3と第2野縁4の交差角度を保持することができる。すなわち、地震等が生じても第1野縁3と第2野縁4の回転を抑制することができ、各部材の固定状態を維持することができるので、天井の耐久性を高めることができる。また、8つの嵌合部13のうち4つの嵌合部13は、孔部12の縁12bから延びている。従って、挿入折り曲げ部23が挿入される孔部12の縁12bを、嵌合部13を形成する場所として有効利用することができる。よって、第1部材10の形状の複雑化を抑制することができる。
【0037】
また、挿入折り曲げ部23は、第2野縁4に対して左右一対に設けられている。よって、第2野縁4の左右両側に挿入折り曲げ部23が設けられ、第2野縁4は両側から挿入折り曲げ部23に挟まれた状態となる。従って、一対の挿入折り曲げ部23によって第2野縁4をより強固に保持することができるので、天井の耐久性をより高めることができる。なお、挿入折り曲げ部23は、第1野縁3に対して左右一対に設けられてもよい。
【0038】
また、各挿入折り曲げ部23は、第2野縁4の側面4aと孔部12の縁12aとの間に挿入されると共に、孔部12の外側に折り曲げられる。すなわち、第2野縁4の側面4aと孔部12の縁12aとの間に各挿入折り曲げ部23が挟み込まれる。従って、各挿入折り曲げ部23を側面4aと孔部12の縁12aとの間に下から挿入して折り曲げることにより、第2部材20の取り付けを容易に行うことができる。
【0039】
また、第2野縁4の側面4aと孔部12の縁12aとの間に各挿入折り曲げ部23が挟み込まれることにより、第2野縁4の左右両側に位置する挿入折り曲げ部23を強固に保持することができる。従って、第2野縁4に対する保持力を更に高めることができるので、天井の耐久性を更に高めることができる。なお、各挿入折り曲げ部23は、第1野縁3の側面3aと孔部12の縁12aとの間に挿入されてもよい。
【0040】
以上、本発明に係る野縁接続金物の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本発明に係る野縁接続金物は、各請求項の要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、前述の実施形態では、八角形状の平板部11と、長方形状の孔部12と、直線部13a、拡張部13b及び湾曲部13cを有する嵌合部13を備えた第1部材10について説明した。しかしながら、第1部材の平板部、孔部及び嵌合部の形状、大きさ、数及び配置態様については適宜変更可能である。
【0042】
また、前述の実施形態では、図2に示されるように、平板部21、突出部22及び挿入折り曲げ部23を備え、挿入折り曲げ部23が下から孔部12に挿入されて挿入折り曲げ部23が第1部材10の上方で第1部材10に沿って折り曲げられることにより、第1部材10に取り付けられる第2部材20について説明した。しかしながら、第2部材の平板部、突出部及び挿入折り曲げ部の形状、大きさ、数及び配置態様については適宜変更可能である。また、第2部材は、第1野縁3、第2野縁4及び第1部材10の上方に設けられてもよい。例えば、第2部材では突出部を省略してもよいし、全ての突出部に代えて挿入折り曲げ部のみが平板部から突出する第2部材であってもよい。
【0043】
更に、第2部材は、第1部材10の孔部12に上から挿入される挿入折り曲げ部を備えていてもよい。挿入折り曲げ部は、孔部12に上から挿入されて第1部材10の下方で折り曲げられる部分であってもよいし、孔部12に上から挿入されて第1野縁3又は第2野縁4の側面若しくは下面に沿って折り曲げられる部位であってもよい。このように、挿入折り曲げ部が挿入される方向、及び折り曲げられる方向は適宜変更可能である。
【0044】
また、前述の実施形態では、第1野縁3が第1方向D1に延在すると共に、第2野縁4が第1野縁3の両側から第2方向D2に延びる天井構造について例示した。しかしながら、本発明に係る野縁接続金物は他の様々な天井構造にも適用可能である。野縁の形状、大きさ、数及び配置態様は、前述した実施形態とは異なっていてもよい。例えば、交差部分において、第1野縁が2本に分断されていてもよいし、2本の第1野縁の間に第2野縁が通っていてもよい。更に、天井面材の形状、大きさ、数、材料及び配置態様についても、前述の実施形態に限定されず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…野縁接続金物、2…天井面材、3…第1野縁、3a,4a…側面、3b,4b…底面、3c,4c…折り返し部、4…第2野縁、10…第1部材、11…平板部、11a,11b…端辺、11d…中心、11e…上面、12…孔部、12a,12b…縁、13…嵌合部、13a…直線部、13b…拡張部、13c…湾曲部、14…折り曲げ部、15…リブ部、20…第2部材、21…平板部、21a…中央部、21b…野縁受け部、21c…中心、22…突出部、23…挿入折り曲げ部、23a…基端部、23b…先端部、D1…第1方向、D2…第2方向、L…仮想直線。
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