(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220510BHJP
A63F 5/04 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 320
A63F5/04 650
(21)【出願番号】P 2017245924
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-029359(JP,A)
【文献】特開2003-325776(JP,A)
【文献】特開2017-217115(JP,A)
【文献】特開2001-025546(JP,A)
【文献】CR鬼武者vsCR TMR[キコーナチャンネル関東版]木曜・戸塚店『トツカーにゃ』,YouTube[video][online],2015年01月30日,<URL:https://www.youtube.com/watch?v=GJfcHRmdhlA>,特に、1:17:45~1:17:50、1:34:20~1:34:25参照[検索日:2021年09月10日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
表示領域において画像を表示させる表示手段と、
前記表示領域の近傍に設けられた発光手段と、
前記表示領域上を移動する
第1移動部材と
、
前記表示領域上を移動する第2移動部材と、
前記表示領域上を移動する第3移動部材と、を備え、
前記
第1移動部材は、前記表示領域上を第1速度と、当該第1速度よりも遅い第2速度とで移動可能であり、
前記第2移動部材は、前記第1移動部材が前記表示領域上を前記第1速度で移動したときに前記表示領域上を移動し、
前記第3移動部材は、前記第1移動部材が前記表示領域上を前記第2速度で移動したときに前記表示領域上を移動し、
前記表示手段は、
前記
第1移動部材が前記表示領域上を移動するときに、当該
第1移動部材の周囲に装飾画像を表示させることが可能であり、
前記
第1移動部材が前記第1速度で前記表示領域上を移動するときに、当該
第1移動部材の周囲に第1態様で前記装飾画像を表示させ、
前記
第1移動部材が前記第2速度で前記表示領域上を移動するときに、当該
第1移動部材の周囲に第2態様で前記装飾画像を表示させ、
前記発光手段は、前記
第1移動部材が前記第1速度で前記表示領域上を移動するときと、前記
第1移動部材が前記第2速度で前記表示領域上を移動するときと、で異なる態様で発光する、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、所定の賭数を設定し、スタート操作が行われたことに基づいて、複数種類の識別情報の可変表示が行われるスロットマシンや、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行われるパチンコ遊技機などがある。
【0003】
このような遊技機として、複数の態様に変化可能であってその一部が画像表示装置の表示領域上を移動する演出用模型を備え、当該演出用模型がいずれの態様に変化したかに応じて画像表示装置の表示領域に画像を表示させるものがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の遊技機の場合、演出用模型のような移動部材が表示領域上を移動するときに、たとえば、移動部材の移動速度と表示領域に表示される画像との関係において、演出における遊技の興趣を効果的に向上させることができていなかった。
【0006】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、表示領域上における移動部材の移動に応じて遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
表示領域において画像を表示させる表示手段と、
前記表示領域の近傍に設けられた発光手段と、
前記表示領域上を移動する
第1移動部材と
、
前記表示領域上を移動する第2移動部材と、
前記表示領域上を移動する第3移動部材と、を備え、
前記
第1移動部材は、前記表示領域上を第1速度と、当該第1速度よりも遅い第2速度とで移動可能であり、
前記第2移動部材は、前記第1移動部材が前記表示領域上を前記第1速度で移動したときに前記表示領域上を移動し、
前記第3移動部材は、前記第1移動部材が前記表示領域上を前記第2速度で移動したときに前記表示領域上を移動し、
前記表示手段は、
前記
第1移動部材が前記表示領域上を移動するときに、当該
第1移動部材の周囲に装飾画像を表示させることが可能であり、
前記
第1移動部材が前記第1速度で前記表示領域上を移動するときに、当該
第1移動部材の周囲に第1態様で前記装飾画像を表示させ、
前記
第1移動部材が前記第2速度で前記表示領域上を移動するときに、当該
第1移動部材の周囲に第2態様で前記装飾画像を表示させ、
前記発光手段は、前記
第1移動部材が前記第1速度で前記表示領域上を移動するときと、前記
第1移動部材が前記第2速度で前記表示領域上を移動するときと、で異なる態様で発光する。
なお、遊技機は、以下の構成であってもよい。
(1) 遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシンやパチンコ遊技機で例示される遊技機1)であって、
表示領域(たとえば、液晶表示器51の表示領域)における表示の制御を行う表示制御手段(たとえば、サブ制御部91が液晶表示器51の表示の制御を行う処理)と、
前記表示領域上を移動する移動部材(たとえば、役物200a)とを備え、
前記移動部材は、前記表示領域上を第1速度と、当該第1速度よりも遅い第2速度とで移動可能であり(たとえば、役物200aは、液晶表示器51の表示領域上を第1速度(
図2(b)~(d))と第2速度(
図2(e)~(g))とで移動可能である)、
前記表示制御手段は、前記移動部材が前記表示領域上を移動するときに、当該移動部材の移動速度が前記第1速度および前記第2速度のいずれであるかに応じて異なる制御を行う(たとえば、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、
図2(b)~(d)に示すように、役物200aの移動速度が第1速度であるときには、液晶表示器51には役物200aの周囲が爆発しているような画像(爆発画像)が表示される一方で、
図2(e)~(g)に示すように、役物200aの移動速度が第2速度であるときには、液晶表示器51には役物200aの周囲にモヤがかかったような画像(モヤ画像)が表示される)。
【0008】
(2) 上記(1)の遊技機において、
前記表示制御手段は、前記移動部材の移動速度が前記第1速度および前記第2速度のいずれであるかに応じて異なる態様の画像(たとえば、爆発画像、モヤ画像)を前記表示領域に表示させる(たとえば、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、
図2(b)~(d)に示すように、役物200aの移動速度が第1速度であるときには、液晶表示器51には爆発画像が表示される一方で、
図2(e)~(g)に示すように、役物200aの移動速度が第2速度であるときには、液晶表示器51にはモヤ画像が表示される)。
【0009】
(3) 上記(1)または(2)の遊技機において、
前記表示制御手段は、移動速度が前記第1速度で前記移動部材が移動するときに、当該移動部材の移動方向に応じた態様の画像(たとえば、移動方向とは逆方向(
図2の例では表示領域の上方向)に光が延びる爆発画像、吹き飛ばされるキャラクタ画像)を前記表示領域に表示させる(たとえば、
図2(b)~(d)に示すように、第1速度で役物200aが移動するときに、役物200aの移動方向とは逆方向に光が延びる爆発画像と吹き飛ばされるキャラクタ画像とが液晶表示器51の表示領域に表示される)。
【0010】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかの遊技機において、
音の出力の制御を行う音出力制御手段(たとえば、サブ制御部91がスピーカ53の音の出力の制御を行う処理)をさらに備え、
前記音出力制御手段は、前記移動部材が前記表示領域上を移動するときに、当該移動部材の移動速度が前記第1速度および前記第2速度のいずれであるかに応じて異なる制御を行う(たとえば、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、
図2(b)~(d)に示すように、役物200aの移動速度が第1速度であるときには、スピーカ53からは音「ヒュー」や「ドーン」が出力される一方で、
図2(e)~(g)に示すように、役物200aの移動速度が第2速度であるときには、スピーカ53からは音「ゴトゴト」が出力される)。
【0011】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかの遊技機において、
発光体(たとえば、LED52)の点灯の制御を行う点灯等制御手段(たとえば、サブ制御部91がLED52の点灯の制御を行う処理)をさらに備え、
前記点灯等制御手段は、前記移動部材が前記表示領域上を移動するときに、当該移動部材の移動速度が前記第1速度および前記第2速度のいずれであるかに応じて異なる制御を行う(たとえば、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、
図2(b)~(d)に示すように、役物200aの移動速度が第1速度であるときには、LED52は点滅する一方で、
図2(e)~(g)に示すように、役物200aの移動速度が第2速度であるときには、LED52は点灯する)。
【0012】
(6) 上記(1)~(5)のいずれかの遊技機において、
前記移動部材は複数あり(たとえば、役物200a、役物200b、役物200c)、
前記表示制御手段は、移動している複数の前記移動部材のうちの特定移動部材(たとえば、役物200a)の移動速度が前記第1速度および前記第2速度のいずれであるかに応じて異なる制御を行う(たとえば、
図2(d)に示すように、役物200aの移動速度が第1速度である場合には役物200bが移動することにより確定表示を行う一方で、
図2(e)に示すように、役物200aの移動速度が第2速度である場合には役物200cが移動することによりチャンス表示を行う)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(A)は、本実施形態に係る遊技機の主な内部構成の一例を示す図であり、
図1(B)は、遊技機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る遊技機1を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【0015】
[遊技機1の主な内部構成]
図1(A)は、本実施形態に係る遊技機1の主な内部構成の一例を示す図である。遊技機1は、たとえば、スロットマシンやパチンコ遊技機である。
図1に示すように、遊技機1は、遊技の進行を制御するメイン制御部41と、演出を制御するサブ制御部91とを備える。
【0016】
メイン制御部41には、操作部7が接続されている。遊技機1は、遊技者による操作部7の操作により、遊技を行うことが可能となる。遊技機1がスロットマシンである場合には、操作部7は、賭数を設定可能な賭数設定ボタン、リールを回転開始するためのスタートスイッチ、リールを停止させるためのストップスイッチなどである。また、遊技機1がパチンコ遊技機の場合には、遊技玉を発射するための打球操作ハンドルである。
【0017】
サブ制御部91は、演出を行うための各種の制御を行うとともに、サブ制御部91に接続された液晶表示器51、LED52、役物200などの遊技部品の制御を行う。なお、
図1は、あくまで一例であり、遊技機1の内部にはその他の構成も設けられている。
【0018】
メイン制御部41は、遊技の進行に応じて、各種コマンドを出力する。サブ制御部91は、メイン制御部41から出力されたコマンドの制御情報に基づいて演出の制御を行う。演出は、たとえば、液晶表示器51、LED52、スピーカ53、役物200などを用いて行われる。
【0019】
図1(B)は、遊技機の正面図である。
図1(B)においては、遊技機1において役物200(役物200a~200c)が動作している様子が示されている。役物200は、液晶表示器51の表示領域上を移動する部材の一例である。役物200は、液晶表示器51の前面側に設置されており、液晶表示器51の表示領域の一部を遮蔽するように移動する。
【0020】
役物200は、後述する役物200を用いた示唆演出が実行されると、初期位置から液晶表示器51の表示領域上へ移動する。当該演出が実行されていない場合は、初期位置に位置する。
【0021】
役物200aは、表示領域上を画面の上下に移動可能である。役物200aの初期位置は、液晶表示器51の上方にある。役物200aが初期位置に位置するとき、役物200aの前面側にある板に隠れて、遊技者は、役物200aを視認することができない。示唆演出時における役物200の具体的な動作については、
図2を用いて後述する。
【0022】
役物200aは、液晶表示器51の表示領域上を第1速度と、第1速度よりも遅い第2速度とで移動可能である。役物200aを用いた示唆演出が実行されると、役物200aは、第1速度または第2速度で、初期位置から液晶表示器51の表示領域上へ移動する(上から下へ移動する)。示唆演出が終了すると、役物200aは初期位置に戻る。
【0023】
役物200aが移動する場合には、同時に、役物200bおよび役物200cのいずれかが移動可能となる。これにより、複数の役物を用いた示唆演出が実行される。
【0024】
役物200bの初期位置は、液晶表示器51の下方にある。役物200bが初期位置に
位置するとき、役物200bの前面側にある板に隠れて、遊技者は、役物200bを視認することができない。演出が開始されると、役物200cは、初期位置から液晶表示器51の表示領域上へ移動する。役物200bには、特典付与が確定したことを示唆する文字「確定」が書かれている。
【0025】
役物200cの初期位置は、液晶表示器51の下方にある。役物200bが初期位置に位置するとき、役物200cの前面側にある板に隠れて、遊技者は、役物200cを視認することができない。演出が開始されると、役物200cは、初期位置から液晶表示器51の表示領域上へ移動する。役物200cには、特典付与の期待度が高いことを示唆する文字「CHANCE」が書かれている。
【0026】
ここで、「特典」とは、有利状態へ移行する権利を指す。有利状態は、たとえば、スロットマシンにおいては、小役の当選確率が向上するボーナス、あるいは、遊技者にとって有利な操作手順を報知してナビが行われるATなどである。また、パチンコ遊技機においては、遊技者にとって有利なラウンド遊技を所定回数実行可能となる大当り遊技状態である。
【0027】
[示唆演出]
メイン制御部41により特典付与が決定されると、サブ制御部91は、特典付与を示唆する示唆演出が実行可能となる。示唆演出は、遊技の結果を示唆する演出の一例である。遊技の結果を示唆する演出とは、遊技を行った結果がどのようになるかを示唆する演出である。遊技の結果を示唆する演出は、たとえば、スロットマシンにおいては、小役が当選したこと、あるいは小役が当選しなかったことを示唆する演出である。示唆演出は、たとえば、スロットマシンにおいては、AT当選を示唆するために複数ゲームに亘って実行される連続演出である。パチンコ遊技機においては、大当り遊技状態への移行を示唆するリーチ演出である。示唆演出は、特典付与が決定されなかったときにおいても実行されることがある。
【0028】
示唆演出は、たとえば、液晶表示器51を用いて実行される。また、示唆演出において、LED52の点灯や点滅、スピーカ53からの演出音の出力、および役物200の移動を伴った演出が実行されることがある。
【0029】
本実施の形態においては、特典付与の期待度(以下、単に「期待度」とも称する)に応じて異なる示唆演出が実行される。具体的には、液晶表示器51のみを用いた演出よりも、液晶表示器51および役物200aを用いた示唆演出の方が期待度が高くなる。また、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を第1速度で移動した場合は、第2速度で移動した場合よりも期待度が高くなる。
【0030】
また、役物200aを用いた示唆演出が実行されるときには、同時に、役物200bおよび役物200bのいずれかを用いた示唆演出が実行されることがある。役物200を用いた示唆演出のうち、役物200aのみを用いた示唆演出よりも、役物200aおよび役物200cを用いた示唆演出の方が期待度が高い。また、役物200aおよび役物200bを用いた示唆演出は、特典付与の確定を示唆する演出であり、最も期待度が高い。
【0031】
本実施の形態においては、メイン制御部41は、示唆演出を実行する際に役物200を用いた演出を実行するか否かを抽選により決定する。たとえば、メイン制御部41が特典付与を決定した場合は、示唆演出が実行されやすいように抽選により決定し、メイン制御部41が特典付与を決定しなかった場合は、示唆演出が実行されにくいように抽選により決定してもよい。
【0032】
役物200を用いた示唆演出が実行される場合には、同時に、LED52およびスピーカ53を用いた演出も実行される。役物200aが液晶表示器51の表示領域上を第1速度で移動するときと第2速度とで移動するときとでは、液晶表示器51には異なる態様の画像が表示され、スピーカ53からは異なる態様の音が出力され、LED52は異なる態様で点灯または点滅する。具体的には、
図2を用いて以下に説明する。
【0033】
[示唆演出の一例]
図2は、示唆演出の一例を示す図である。
図2(a)は、示唆演出が実行される前の状態を示した図であり、
図2(b)~(d)は、役物200aが第1速度で移動するときの示唆演出の実行例を示した図であり、
図2(e)~(g)は、役物200aが第2速度で移動するときの示唆演出の実行例を示した図である。
【0034】
図2(a)に示すように、示唆演出が実行されていない状態においては、液晶表示器51には、示唆演出が実行されていない状態における背景画像が表示される。たとえば、
図2(a)では、背景画像として太陽の画像が表示されている。
【0035】
このとき、役物200a~cは初期位置に位置している。役物200aは、液晶表示器51の上方の初期位置に位置しているが、役物200aの前面側にある板に隠れて遊技者からは視認することができない。また、役物200b,cは、液晶表示器51の下方の初期位置に位置しているが、役物200b,cの前面側にある板に隠れて遊技者からは視認することができない。LED52は、全て消灯している。スピーカ53からは、音が出力されていない。
【0036】
ここで、メイン制御部41は、特典付与を決定したとともに、役物200を用いた示唆演出の実行を決定したとする。図示しないが、これにより、まず、液晶表示器51のみを用いた示唆演出が実行される。たとえば、スロットマシンにおける連続演出や、パチンコ遊技機におけるリーチ演出である。当該示唆演出の実行中において、役物200が移動する演出が開始されることで、より期待度が高くなったことが示唆される。
【0037】
役物200を用いた示唆演出として、メイン制御部41は、第1速度で役物200aを移動させるとともに役物200bを移動させる演出の実行を決定したとする。
図2(b)に示すように、役物200aは、液晶表示器51の上方の初期位置から下方向に移動を開始する。これにより、役物200aは遊技者に視認可能になる。
【0038】
役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、役物200aの移動速度が第1速度であるときには、液晶表示器51には、役物200aの周囲が爆発しているような画像(爆発画像)が表示される。さらに、役物200aに乗っているように見えるキャラクタ画像が表示される。スピーカ53からは、勢いよく役物200aが落下するような音「ヒュー」が出力されている。LED52は点滅している。
【0039】
時間が経過すると、
図2(c)に示すように、役物200aはさらに下方に移動する。爆発画像は、役物200aの移動方向とは逆方向に光が延びているように表示される。さらに、キャラクタ画像は、爆発によって、移動方向とは逆方向に吹き飛ばされているように表示される。スピーカ53からは音「ヒュー」が出力されている。LED52は点滅している。
【0040】
本実施の形態においては、
図2(d)に示すように、さらに、役物200bが動作する。役物200bは、液晶表示器51の下方の初期位置から液晶表示器51の表示領域上へ移動する。これにより、役物200bは遊技者に視認可能になる。また、「確定」が表示された確定表示を行うことで、特典付与が確定したことが示唆される。
【0041】
役物200bが移動している場合においても、役物200aの移動速度が第1速度である場合には液晶表示器51に爆発画像が表示される。スピーカ53からは音「ドーン」が出力されている。LED52は点滅している。
【0042】
次に、
図2(a)の状態から、役物200を用いた示唆演出として、メイン制御部41が、第2速度で役物200aを移動させるとともに役物200cを移動させる示唆演出の実行を決定したとする。
【0043】
図2(e)に示すように、役物200aは、液晶表示器51の上方の初期位置から下方向に移動を開始する。これにより、役物200aは遊技者に視認可能になる。
【0044】
役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、役物200aの移動速度が第2速度であるときには、液晶表示器51には、役物200aの周囲にモヤがかかったような画像(モヤ画像)が表示される。さらに、役物200aに乗っているように見えるキャラクタ画像が表示される。スピーカ53からは、ゆっくりと役物200aが降下するような音「ゴトゴト」が出力されている。LED52は点灯している。
【0045】
時間が経過すると、
図2(f)に示すように、役物200aはさらに下方に移動する。第1速度で役物200aが移動するときには、
図2(c)のように役物200aの移動方向に応じた画像が表示されていたが、第2速度で役物200aが移動するときにはこのような画像は表示されない。
【0046】
本実施の形態においては、
図2(g)に示すように、さらに、役物200cが動作する。役物200cは、液晶表示器51の下方の初期位置から液晶表示器51の表示領域上へ移動する。これにより、役物200cは遊技者に視認可能になる。また、「CAHNCE」が表示されたチャンス表示を行うことで、さらに期待度が高くなったことが示唆される。
【0047】
役物200cが移動している場合においても、役物200aの移動速度が第2速度である場合には液晶表示器51にモヤ画像が表示される。スピーカ53からは音「ゴトゴト」が出力されている。LED52は点灯している。
【0048】
以上説明したように、示唆演出実行時において、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を第1速度で移動するときと第2速度とで移動するときとでは、液晶表示器51には異なる態様の画像が表示され、スピーカ53からは異なる態様の音が出力され、LED52は異なる態様で点灯または点滅する。また、役物200aが第1速度または第2速度で移動するときは、同時に役物200b,cも移動可能となる。
【0049】
なお、上記例に限らず、役物200aの移動速度に応じて、液晶表示器51に異なる態様の画像が表示され、スピーカ53から異なる態様の音が出力され、LED52が異なる態様で点灯または点滅するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0050】
[主な効果]
本実施の形態においては、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、
図2(b)~(d)に示すように、役物200aの移動速度が第1速度であるときには、液晶表示器51には爆発画像が表示される一方で、
図2(e)~(g)に示すように、役物200aの移動速度が第2速度であるときには、液晶表示器51にはモヤ画像が表示される。このように、役物200aの動きに応じて、液晶表示器51の表示領域には適切な表示が行われるため、演出における遊技の興趣を向上させることができる。
【0051】
また、
図2(b)~(d)に示すように、第1速度で役物200aが移動するときに、役物200aの移動方向とは逆方向に光が延びる爆発画像と吹き飛ばされるキャラクタ画像とが、液晶表示器51の表示領域に表示される。このように、第2速度よりも速い第1速度で役物200aが移動するときには、液晶表示器51の表示領域には移動方向に応じた表示が行われるため、遊技者に移動速度をより速く感じさせることができる。
【0052】
また、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、
図2(b)~(d)に示すように、役物200aの移動速度が第1速度であるときには、スピーカ53からは音「ヒュー」や「ドーン」が出力される一方で、
図2(e)~(g)に示すように、役物200aの移動速度が第2速度であるときには、スピーカ53からは音「ゴトゴト」が出力される。このように、役物200aの動きに応じて、スピーカ53からは適切な音が出力されるため、演出効果をさらに高めることができる。
【0053】
また、役物200aが液晶表示器51の表示領域上を移動するときに、
図2(b)~(d)に示すように、役物200aの移動速度が第1速度であるときには、LED52は点滅する一方で、
図2(e)~(g)に示すように、役物200aの移動速度が第2速度であるときには、LED52は点灯する。このように、役物200aの動きに応じて、LED52は適切に点灯または点滅を行うため、演出効果をさらに高めることができる。
【0054】
また、
図2(d)に示すように、役物200bが移動することにより確定表示を行うとともに、役物200aの移動速度が第1速度である場合には液晶表示器51に爆発画像が表示される一方で、
図2(e)に示すように、役物200cが移動することによりチャンス表示を行うとともに、役物200aの移動速度が第2速度である場合には液晶表示器51にモヤ画像が表示される。このように、役物200a~cが移動可能であるとともに、役物200aの動きに応じて、液晶表示器51の表示領域には適切な表示が行われるため、演出における遊技の興趣を向上させることができる。
【0055】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0056】
[遊技機について]
上述した遊技機1は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンであってもよい。上述した遊技機1は、各々が識別可能な複数種類の識別情報の変動表示の結果に応じて、遊技者にとって有利な大当り遊技状態に制御可能なパチンコ遊技機であってもよい。
【0057】
[役物について]
本実施の形態においては、
図2に示したように、役物200aは、表示領域上を画面の上下に移動可能であり、役物200aが第1速度で移動するときと第2速度とで移動するときとで、液晶表示器51には異なる態様の画像が表示されるようにした。しかし、これに限らず、役物200aは、左右に移動可能なものであってもよい。
【0058】
たとえば、示唆演出を開始すると、役物200aは、液晶表示器51の表示領域の左端の初期位置から中央位置まで第1速度で移動する。さらに、役物200aは、液晶表示器51の表示領域の中央位置から右端まで第2速度で移動する。そして、役物200aが第
1速度で移動するときと第2速度とで移動するときとで、液晶表示器51には異なる態様の画像が表示されるようにしてもよい。なお、この場合において、役物200aを液晶表示器51の表示領域の左端の初期位置から右端まで第1速度で移動させて、その後、右端から左端の初期位置まで役物200aの位置を戻す際に第2速度で移動させ、第1速度と第2速度とで異なる態様の画像が表示されるようにしてもよい。
【0059】
また、役物200aは、上下方向や左右方向に移動するものに限らず、扉のような役物であって、扉が開閉するようなものであってもよい。この場合、扉を開閉する速度が第1速度と第2速度とで異なる態様の画像が表示されるようにする。また、役物200aの形状を変化させるものであってもよい。この場合、形状を変化させる速度が第1速度と第2速度とで異なる態様の画像が表示されるようにする。
【0060】
[示唆演出について]
本実施の形態においては、
図2に示すように、役物200を用いた示唆演出が実行される場合には、同時に、LED52およびスピーカ53を用いた演出も実行されるようにした。ただし、これに限らず、液晶表示器51およびLED52を用いた示唆演出を実行するようにしてもよく、液晶表示器51およびスピーカ53を用いた示唆演出を実行するようにしてもよく、どのような組合せで示唆演出を行ってもよい。
【0061】
本実施の形態においては、複数の役物を用いた示唆演出が実行されるか否かは、抽選により決定するようにしたが、これに限らず、特定の条件が成立したことを契機として、複数の役物を用いた示唆演出を実行するようにしてもよい。たとえば、スロットマシンおいては、チェリーなどのレア役に当選したことを契機として、複数の役物を用いた示唆演出を実行するようにしてもよく、パチンコ遊技機においては、大当り遊技状態への移行が決定されたことを契機として、複数の役物を用いた示唆演出を実行するようにしてもよい。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 遊技機、7 操作部、41 メイン制御部、91 サブ制御部、51 液晶表示器、52 LED、53 スピーカ、200 役物。