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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】分電盤判定システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220510BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H02J13/00 301J
H02J13/00 301A
H02B1/40 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018004462
(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公開番号】P2019126149
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】大橋 均
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛和
(72)【発明者】
【氏名】須佐 太
(72)【発明者】
【氏名】澤 尚祈
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-130652(JP,A)
【文献】特開2010-165321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0293176(US,A1)
【文献】特開2017-099049(JP,A)
【文献】特開2017-070069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤の品番毎の分岐ブレーカ取付位置と変流器の取付位置及び向きのデータを含む分電盤データとが蓄積された分電盤データ記憶部、蓄積されている前記分電盤データとチェック対象の分電盤の画像とを比較して分電盤を判定する判定部、及び判定結果を表示する画像を生成する画像生成部を備えた分電盤チェック装置と、
チェック対象の分電盤の画像を取得するカメラ、及び撮影した画像を表示するディスプレイ、更に前記分電盤チェック装置に撮影した画像を送信する通信機能を備えた通信端末とを有し、
前記分電盤チェック装置は、前記判定部が前記通信端末から送信された前記カメラの撮影画像から、変流器の位置及び向きの情報を抽出して前記分電盤データ記憶部に登録されている情報と比較判定すると共に、前記画像生成部により生成された判定画像が前記通信端末に返信されて、前記通信端末が表示している画像上に前記判定画像がポップアップ表示されることを特徴とする分電盤判定システム。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記判定画像を分電盤全体が表示されている画像上において、判定した部位の近傍、或いは判定した部位を示す形で表示させることを特徴とする請求項1記載の分電盤判定システム。
【請求項3】
前記分電盤データ記憶部には、分電盤が分岐電路の使用電力を演算する計測ユニットを備えた品番である場合は、その位置及び前記計測ユニットが具備している分岐電路の電圧設定部の情報が蓄積されており、
前記判定部は、チェック対象の分電盤が前記計測ユニットを備えた品番である場合は、送信された画像から前記計測ユニットの前記電圧設定部による100V/200Vの設定内容、及び個々の分岐ブレーカの接続確認表示窓の情報を読み取り、当該電圧設定部により設定された電圧と対応する分岐ブレーカの接続が一致しているか判定し、
前記画像生成部が、前記判定部の判定結果に従い判定画像を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の分電盤判定システム。
【請求項4】
前記分電盤データ記憶部には、分電盤が一次送り端子台を備えた品番である場合は、前記一次送り端子台の位置情報が蓄積されており、
前記判定部は、チェック対象の分電盤が一次送り端子台を備えた品番である場合は、その取付位置を判定し、
前記画像生成部が、前記一次送り端子台の判定結果に従い判定画像を生成することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の分電盤判定システム。
【請求項5】
前記分電盤チェック装置がクラウド上に配置されたサーバであり、前記通信端末がスマートフォンであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の分電盤判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤内に設置された変流器の向き、更には分岐電路の電圧を判定する分電盤判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭内で使用される電力を管理するために、個々の分岐電路に電流センサを配置して分岐電流を計測し、この電流値を基に個々の分岐電路(に接続された電気機器)の消費電力を計測して専用の表示装置に表示させる電力管理システムがある。
このようなシステムで使用される分電盤では、電流センサとして変流器が使用される場合があるが、変流器の取付は作業者により電線に取り付けられるため、接続間違いが発生し易かった。
そのため、この接続間違いを判定する装置として、例えば特許文献1に開示された電力計測システムがある。特許文献1では、同一の分岐連路に変流器が間違って2つ取り付けられた場合それを検知する機能を備えている。
【0003】
一方で、現実空間の物体に対してコンピュータによる情報を付加するAR(Augmented Reality:拡張現実)と呼ばれる技術がある。この技術は、実際に撮影している画像上に、コンピュータにより作成された撮影対象に関する情報を重ねて表示させることができるため、撮影対象に間しての情報が把握し易くなるため、撮影対象を認識する手法として注目されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-106937号公報
【文献】特開2016-142887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記変流器の接続間違いを判定する電力計測システムは、変流器の二重組み付けを検出できた。しかしながら、個々の変流器の向きや取り付け部位は相変わらず目視に頼っていた。
また、家庭用の分電盤は単相3線式であり、100V,200Vの分岐電路が混在しており、これら電圧の判定も目視で実施していた。そのため、分岐電路が多い近年の分電盤は判定のための作業者の負担が増加し、接続間違いが発生し易かった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、簡易な操作で変流器の判定を実施でき、更には分岐電路の電圧判定も可能な分電盤判定システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明に係る分電盤判定システムは、分電盤の品番毎の分岐ブレーカ取付位置と変流器の取付位置及び向きのデータを含む分電盤データとが蓄積された分電盤データ記憶部、蓄積されている分電盤データとチェック対象の分電盤の画像とを比較して分電盤を判定する判定部、及び判定結果を表示する画像を生成する画像生成部を備えた分電盤チェック装置と、チェック対象の分電盤の画像を取得するカメラ、及び撮影した画像を表示するディスプレイ、更に分電盤チェック装置に撮影した画像を送信する通信機能を備えた通信端末とを有し、分電盤チェック装置は、判定部が通信端末から送信されたカメラの撮影画像から、変流器の位置及び向きの情報を抽出して分電盤データ記憶部に登録されている情報と比較判定すると共に、画像生成部により生成された判定画像が通信端末に返信されて、通信端末が表示している画像上に判定画像がポップアップ表示されることを特徴とする。
この構成によれば、分電盤を撮影するだけで変流器の組み付け状態を判定でき、個々の変流器をそれぞれ判定する必要が無く、作業者の負担を軽減できる。また、判定結果は、撮影している分電盤の画像上に表示されるため、判定結果を把握し易い。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、画像生成部は、判定画像を分電盤全体が表示されている画像上において、判定した部位の近傍、或いは判定した部位を示す形で表示させることを特徴とする。
この構成によれば、判定結果は画像上のチェックした部位の近傍で、或いはチェックした部位を示す形で表示されるため、間違いが検出された際に場所を把握し易い。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、分電盤データ記憶部には、分電盤が分岐電路の使用電力を演算する計測ユニットを備えた品番である場合は、その位置及び計測ユニットが具備している分岐電路の電圧設定部の情報が蓄積されており、判定部は、チェック対象の分電盤が計測ユニットを備えた品番である場合は、送信された画像から計測ユニットの電圧設定部による100V/200Vの設定内容、及び個々の分岐ブレーカの接続確認表示窓の情報を読み取り、当該電圧設定部により設定された電圧と対応する分岐ブレーカの接続が一致しているか判定し、画像生成部が、判定部の判定結果に従い判定画像を生成することを特徴とする。
この構成によれば、計測ユニットの100V/200Vの設定内容に従い個々の分岐ブレーカが接続されているか判定でき、接続間違いがあったらそれを容易に認識できる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、分電盤データ記憶部には、分電盤が一次送り端子台を備えた品番である場合は、一次送り端子台の位置情報が蓄積されており、判定部は、チェック対象の分電盤が一次送り端子台を備えた品番である場合は、その取付位置を判定し、画像生成部が、一次送り端子台の判定結果に従い判定画像を生成することを特徴とする。
この構成によれば、一次送り端子台がある場合はその位置等を判定でき、組み付けミスを防ぐことができる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、分電盤チェック装置がクラウド上に配置されたサーバであり、通信端末がスマートフォンであることを特徴とする。
この構成によれば、分電盤データ記憶部や判定部をクラウド上に配置されたサーバに設けることで、複数の通信端末に対して1つの分電盤チェック装置で対応できる。更に、スマートフォンを使用することで通信端末を新たに用意する必要が無く、システムを安価に構成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分電盤を撮影するだけで変流器の組み付け状態を判定でき、個々の変流器をそれぞれ判定する必要が無く、作業者の負担を軽減できる。また、判定結果は、撮影している分電盤の画像上に表示されるため、接続間違いが通知された場合に間違いを把握し易い。
更に、分岐電路の使用電力を演算する計測ユニットを備えている場合は、分岐電路の電圧判定も可能であり、接続間違いを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る分電盤判定システムの一例を示す説明図である。
図2】チェック対象の分電盤の一例を示す説明図であり、組み付けた機器を露出させた状態の正面図である。
図3】A部拡大図で、分岐ブレーカの接続確認表示窓を示す設明図である。
図4】分岐ブレーカの斜視図である。
図5】計測ユニットの説明図である。
図6】変流器の斜視図であり、向きを判定するための表示例を示している。
図7】判定の流れを示すフロー図である。
図8】判定の流れの続きを示すフロー図である。
図9】判定結果の表示説明図であり、変流器の判定結果の表示を示し、向きの間違いを指摘する表示を行っている状態を示している。
図10】判定結果の表示説明図であり、計測ユニットの設定電圧と分岐ブレーカの電圧仕様とが一致しているかチェック結果の表示を示している。
図11】判定結果の表示説明図であり、分岐ブレーカの電圧仕様が間違っている場合の表示を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る分電盤判定システムの一例を示す説明図であり、1はチェック対象の分電盤、2は無線通信機能を備えた通信端末としてのスマートフォン、3はインターネット等の通信網で構成されるクラウドC上に配置された分電盤チェック装置としてのサーバを示している。
分電盤1には、主幹ブレーカ11、分岐ブレーカ12、一次送り端子台13、後述する計測ユニット14等が組み付けられ、15は分電盤1の単相3線式電路から成る主幹電路Dに流れる電流を計測する変流器(CT)を示している。尚、主幹電路Dは、主幹ブレーカ11の二次側にも存在するが省略してある。
【0015】
図2は実際の分電盤1の一例を示す正面図であり、主幹ブレーカ11、多数の分岐ブレーカ12、計測ユニット14を組み付けて未配線の状態の正面説明図である。また、図3はA部拡大図を示し、図4は分岐ブレーカ12の斜視図を示している。
図3,4に示すように、分岐ブレーカ12の上面(分電盤1に組み付けた状態では前面となる)には、負荷側端子12bに接続された分岐電路の接続状態を表示する接続確認表示窓12aが設けられ、この接続確認表示窓が分電盤1の前方から確認できるよう配置されている。
【0016】
接続確認表示窓12aは、2つの電圧相、1つの中性相の3端子それぞれの状態を表示しており、例えば図3において左から第1電圧相L1、第2電圧相L2、中性相Nの順に配置されている。そして、負荷側端子12bに電線が挿入されたら例えば白色が赤色に変化し、この色の変化は分電盤前方から確認することができるよう構成されている。
図3では、何れの分岐ブレーカ12も中央が白色でハッチングされている左右が赤色の状態、即ち第1電圧相l1と中性相Nに電線が接続された状態を示し、100V接続された状態を示している。
【0017】
図5は計測ユニット14の正面図である。計測ユニット14は、主幹電路Dの電流情報と分岐電路の電流情報とを入手して、電力を演算して外部に演算結果を出力する機能を備えている。単相3線式電路の分岐電路は100V/200Vがあるため、200V仕様の分岐ブレーカ12に対しては、計測したその分岐電路の電流値に対して200V電圧で演算され、電力が算出される。そのため、200V仕様の分岐ブレーカ12(200V仕様の分岐電路)を特定するための電圧設定部14aを有している。
この電圧設定部14aは、DIPスイッチ14bで構成され、100V/200Vの何れかが選択される。電圧設定部14aに関連付けられている分岐ブレーカ12は、この設定に従い主幹電路Dに接続されなければならない。
【0018】
具体的に、図5に示すように電圧設定部14aには8個のDIPスイッチ14bが組み付けられており、図1に示すエリアGの8個の分岐ブレーカ12がこの電圧設定部14aの個々のDIPスイッチ14bに対応している。
尚、個々の分岐ブレーカ12に配置された図示しない電流センサの計測データは、その分岐ブレーカ12の位置情報と共に計測ユニット14に伝送されるよう構成されている(詳述せず)。そのため、計測ユニット14は受信した位置情報により電圧設定部14aで設定された分岐電路と分岐ブレーカ12の位置関係を把握可能となっている。
【0019】
こうして、変流器15で計測した主幹電路Dの電流情報と合わせて、計測ユニット14において、全体の使用電力に加えて個々の分岐電路における使用電力の算出が成される。
【0020】
図6は変流器15の外観図を示している。図6に示すように、取付時に分電盤1の正面を向く変流器15の側面には、サーバ3に向きを認識させるためのマーク15aが付されている。尚、撮影画像から向きを認識できれば良いため、マークでは無く記号や文字でも良い。
【0021】
サーバ3は、分電盤の品番毎の寸法、計測ユニット14の位置と分電盤1の品番の関係、分電盤1の品番毎のブレーカ(主幹ブレーカ11及び分岐ブレーカ12)の取付位置、一次送り端子台13の有無及び取付位置、変流器15の取付位置及び向き、計測ユニット14の電圧設定部14aの設定と分岐ブレーカ12の電圧仕様(100V/200Vの何れであるか)との関係等のデータを蓄積した分電盤データ記憶部3a、送信された画像から分電盤1の品番、変流器15の位置及び向き、分岐ブレーカ12の100V/200V仕様の状態等を解析して判定する判定部3bを備えている。
また、メッセージ生成部3c、画像生成部3dを有し、判定結果に即したメッセージがメッセージ生成部3cで生成され、生成されたメッセージを載せたポップアップ画像を画像生成部3dが生成する。
【0022】
撮影に使用されるスマートフォン2は、所定のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する。)がインストールされ、チェックしたい分電盤1を正面から全体をスマートフォン2の図示しないカメラで撮影したら、そのアプリを使用することで撮影した画像がサーバ3に送信される。
【0023】
尚、一次送り端子台13は、太陽光発電設備等の自家発電設備を備えている場合に使用される端子台であり、主幹ブレーカ11の一次側に配置される。
【0024】
以下、分電盤1の撮影から判定結果がスマートフォン2に表示されるまでの流れを説明する。図7,8は動作の流れを示すフロー図であり、この図7,8を参照して説明する。スマートフォン2により分電盤1を撮影(S1)すると、撮影した画像がサーバ3に送信され、サーバ3の判定部3bにより以下のような判定処理が行われる。
スマートフォン2から送信された分電盤1の画像から、まず分電盤1内の主幹ブレーカ11、分岐ブレーカ12が認識され(S2)、認識した主幹ブレーカ11や分岐ブレーカ12の大きさ等から分電盤1の外形寸法が算出(S3)される。そして、算出した寸法から分電盤1の品番が判定される(S4)。
【0025】
品番が判定されたら、その品番に基づいて登録されている分岐ブレーカ12の取付位置、計測ユニット14の有無、一次送り端子台13の有無、変流器15の位置、一次送り端子台13がある場合はその取付位置、変流器15の位置及び方向のデータが分電盤データ記憶部から読み取られ(S5)、画像から読み取ったデータと対比される。
【0026】
具体的に、スマートフォン2から送信された画像から、まず変流器15の取付位置が読み取られ(S6)て登録されているデータと比較し、個々の変流器15の取付位置及び取り付け方向が判定(S7)される。
判定結果は、メッセージ生成部3cによりメッセージ化され、更に画像生成部3dによりそのメッセージが表示された判定画像がポップアップ画像として生成され、スマートフォン2に返信される。このメッセージ画像を受信したスマートフォン2では、アプリにより分電盤1を撮影して表示しているディスプレイ2aにポップアップ表示される(S8)。
【0027】
図9はこのときのスマートフォン画面の表示説明図であり、1つの変流器15の向きが間違っていると判定した場合の表示を示している。この表示は、チェック対象の変流器15の近くで、且つ問題の変流器15を指し示す形でポップアップ表示される。この表示は、例えば公知のAR(拡張現実)の技術を適用して実施される。尚、チェックした結果、何れの変流器15も間違っていなければ、その旨がポップアップ表示される。
【0028】
次に計測ユニット14を備えた品番であれば(S9でYes)、計測ユニット14を認識してその中のDIPスイッチ14bの設定状態が100V/200Vの何れであるか読み取られる(S10)。
上述したように、計測ユニット14の電圧設定部14aに設けられているDIPスイッチ14bの設定に合わせて、関連付けられている個々の分岐ブレーカ12(図1に示すエリアGの分岐ブレーカ12)は、100V/200Vの何れかの仕様で主幹電路Dに接続されていなければならない。サーバ3により、これが判定される。
具体的に、読み取ったDIPスイッチ14bによる設定値と、実際の分岐ブレーカ12から読み取った接続確認表示窓12aの状態(S11)を比較して判断され(S12)、判断結果がスマートフォン2が撮影している分電盤1の画像上にポップアップ表示される(S13)。
【0029】
図10はこの電圧設定の結果を表示した説明図であり、上述した変流器15の判定結果の表示と同様に表示される。ここでは、電圧設定部14aでは200V設定されているが、対応する分岐ブレーカ12は100V接続されており、接続変更(設定変更)を求める表示が成された状態を示している。そして、この表示は図10に示すように、分電盤1を表示した画像の中の計測ユニット14近くで、且つ計測ユニット14を指し示す形で表示される。
【0030】
次に、200V設定不可エリアの分岐ブレーカ12の電圧がチェックされる(S14)。エリアG以外の分岐ブレーカ12は全て100V仕様で使用されているはずであり、それが判定される。
図11は、こうして判定した結果の表示説明図であり、スマートフォン2に表示される(S15)。図11では、200V設定の分岐ブレーカ12がエリアG外に存在しているため、その分岐ブレーカ12をエリアG内への移動を促すメッセージが表示されている。そして、この表示は図11に示すように、判定した分岐ブレーカ12の近くで、且つ分岐ブレーカ12を指し示す形で表示される。
【0031】
最後に、一次送り端子台13がある場合(S16でYes)は、一次送り端子台13がチェック(S16でYes)される。尚、一次送り端子台13の無い品番であれば、チェックせず終了となる。
撮影画像から一次送り端子台13の位置が読み取られ(S17)、判定結果がスマートフォン2に表示される(S18)。
【0032】
このように、分電盤1を撮影するだけで変流器15の組み付け状態を判定でき、個々の変流器15をそれぞれチェックする必要が無く、作業者の負担を軽減できる。また、判定結果は、スマートフォン2の撮影している分電盤の画像上に表示されるため、判定結果を把握し易い。
更に、判定結果は画像上のチェックした部位の近傍で、且つチェックした部位を示す形で表示されるため、間違いが検出された際に場所を把握し易い。
また、計測ユニット14の100V/200Vの設定内容に従い個々の分岐ブレーカ12が接続されているか判定でき、接続間違いがあったらそれを容易に認識できる。
加えて、一次送り端子台13がある場合は、その位置等を判定するため、作業者が確認すること無く組み付けミスを防止できる。
更に、分電盤データ記憶部3aや判定部3bをクラウドC上に配置されたサーバ3に設けることで、複数のスマートフォン2に対して1つの分電盤チェック装置で対応できるし、スマートフォン2を使用することで通信端末を新たに用意する必要が無く、システムを安価に構成できる。
【0033】
尚、上記実施形態では、変流器15を主幹電路Dの一次側にのみ設けた構成であるが、分岐電路の電流情報も変流器15により計測する形態の分電盤であれば、分電盤1に多数の変流器15が存在するが、上記システムにより個々の変流器の位置及び方向を読み取って場所及び方向を判定することが可能である。
また、判定結果の表示をチェックした部位の近くで、且つチェックした部位を指し示す形で行っているが、この表示はチェックした部位の近くで表示するだけでも良いし、矢印等でチェックした部位を示せば、メッセージの表示位置はチェックした部位から離れた場所でも良い。また上記実施形態では、変流器15、分岐ブレーカ12の電圧、一次送り端子台13の順にチェックしているが、この順番は任意である。
更に、クラウドC上に配置したサーバ3に分電盤データ記憶部3a及び判定部3bを設けているが、これらの機能をスマートフォン2に組み込んで通信端末と分電盤チェック装置とを一体としても良い。
また、サーバ3の機能をパーソナルコンピュータやタブレット端末等に具備させて、スマートフォン2等のカメラ付通信端末とこれらの機器とを通信させて分電盤1をチェックすることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・分電盤、2・・スマートフォン(通信端末)、2a・・ディスプレイ、3・・サーバ(分電盤チェック装置)、3a・・分電盤データ記憶部、3b・・判定部、3c・・メッセージ生成部、3d・・画像生成部、11・・主幹ブレーカ、12・・分岐ブレーカ、12a・・接続確認表示窓、13・・一次送り端子台、14・・計測ユニット、14a・・電圧設定部、15・・変流器、15a・・マーク、C・・クラウド、D・・主幹電路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11