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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】食器洗い機用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/30 20060101AFI20220510BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20220510BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20220510BHJP
   C11D 1/12 20060101ALI20220510BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
C11D3/30
C11D1/02
C11D1/66
C11D1/12
C11D3/37
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018070903
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2019182905
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】河野 三美
(72)【発明者】
【氏名】森山 洋匡
【審査官】山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-183242(JP,A)
【文献】特開2000-328098(JP,A)
【文献】特開2016-060862(JP,A)
【文献】特開平09-031494(JP,A)
【文献】特表2000-506516(JP,A)
【文献】特表2003-503321(JP,A)
【文献】特表2008-516012(JP,A)
【文献】特開2017-119743(JP,A)
【文献】特開2007-224298(JP,A)
【文献】特開2015-218226(JP,A)
【文献】特表2001-521574(JP,A)
【文献】特開2005-154716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分、及び(B)成分を含み、
前記(A)成分が界面活性剤であり、
前記(B)成分が下記式(b-1)で表される化合物であり、
前記(A)成分が、炭素数8~18のアルキル基又は炭素数8~18のアルケニル基を有する非石鹸系アニオン界面活性剤(a1)を含み、
前記(a1)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.1~500である、食器洗い機用洗浄剤組成物。
-N((CHNH ・・・(b-1)
(式(b-1)中、Rは炭素数8~18の直鎖のアルキル基、炭素数8~18の分岐鎖のアルキル基、炭素数8~18の直鎖のアルケニル基、又は炭素数8~18の分岐鎖のアルケニル基であり;nは2~6の整数である。)
【請求項2】
前記(a1)成分の含有量が、(A)成分の総質量に対し、40質量%以上である、請求項に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(A)成分が、ノニオン界面活性剤(a2)を含む、請求項1又は2に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(a1)成分が、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらにキレート剤(C)を含み、
前記キレート剤の分子量が800以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
【請求項6】
さらにアクリル酸系水溶性高分子(D)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
【請求項7】
さらにキレート剤(C)、及びアクリル酸系水溶性高分子(D)を含み、
前記(A)成分の含有量が洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%であり、
前記(B)成分の含有量が洗浄剤組成物の総質量に対して0.0001~5質量%であり、
前記(C)成分の含有量が洗浄剤組成物の総質量に対して3~25質量%であり、
前記(D)成分の含有量が洗浄剤組成物の総質量に対して0.5~20質量%である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗い機用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホテル、レストラン、給食センター等の厨房だけではなく、一般家庭においても、食器、調理器具等(洗浄対象物)を洗浄するための食器洗い機が普及してきている。食器洗い機による洗浄には、一般に、専用の洗浄剤(食器洗い機用洗浄剤)が用いられる。
洗浄対象物は食器洗い機で洗浄されると、食器洗い機庫内で乾燥される。
【0003】
例えば、特許文献1は、アミン化合物、アルカリ化合物、及び水を含む洗浄剤組成物について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-183242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の液体洗浄剤では、乾燥した後の洗浄対象物に水滴跡が残りやすい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水滴の跡残りが良好な食器洗い機用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、以下の態様を含む。
[1] (A)成分、及び(B)成分を含み、
前記(A)成分が界面活性剤であり、
前記(B)成分が下記式(b-1)で表される化合物であり、
前記(A)成分が、非石鹸系アニオン界面活性剤(a1)を含み、
前記(a1)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.1~500である、食器洗い機用洗浄剤組成物。
-N((CHNH ・・・(b-1)
(式(b-1)中、Rは炭素数8~18の直鎖のアルキル基、炭素数8~18の分岐鎖のアルキル基、炭素数8~18の直鎖のアルケニル基、又は炭素数8~18の分岐鎖のアルケニル基であり;nは2~6の整数である。)
[2] さらにキレート剤(C)を含み、
前記キレート剤の分子量が800以下である、[1]に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
[3] 前記(a1)成分の含有量が、(A)成分の総質量に対し、40質量%以上である、[1]又は[2]に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
[4] 前記(A)成分が、ノニオン界面活性剤(a2)を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
[5] さらにアクリル酸系水溶性高分子(D)を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の食器洗い機用洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、水滴跡残りの抑制効果に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪食器洗い機用洗浄剤組成物≫
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、(A)成分、及び(B)成分を含む。
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、液体であってもよいし、粉体であってもよい。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、非石鹸系アニオン界面活性剤(a1)(以下、「(a1)成分」ともいう)を含む界面活性剤である。
(A)成分としては、(a1)成分の他、ノニオン界面活性剤(a2)(以下、「(a2)成分」ともいう)と、四級アンモニウム塩型界面活性剤、両性界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤、及びアミン型界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤(a3)(以下、「(a3)成分」ともいう)とを含んでいてもよい。
【0011】
(a1)成分は、非石鹸系アニオン界面活性剤である。「非石鹸系アニオン界面活性剤」とは、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸塩(いわゆる石鹸)を除くアニオン界面活性剤を意味する。
(a1)成分は、大別するとスルホン酸塩タイプ、硫酸エステル塩タイプ、カルボン酸塩タイプ、リン酸エステルタイプが挙げられる。
スルホン酸塩タイプとしては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸等が挙げられる。
硫酸エステル塩タイプとしては、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
カルボン酸塩タイプとしては、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、アミノ酸系アニオン界面活性剤等が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤は、炭素数8~18のアルキル基又は炭素数8~18のアルケニル基を有することが好ましく、炭素数8~18のアルキル基が好ましい。当該アルキル基又は当該アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
なかでも、水滴跡残りの抑制効果が良好なことからスルホン酸塩タイプが好ましく、中でもアルカンスルホン酸塩及びジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
アニオン界面活性剤を構成する塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩等が挙げられる。
アルカンスルホン酸塩の具体例としては、テトラデカンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデカンスルホン酸ナトリウム、及びオクタデカンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数14以上、17以下の2級アルカンスルホン酸ナトリウムの混合物が好ましい。
市販品としては、クラリアントジャパン社製 HOSTAPUR SAS30、バイエル社製MERSOLATE H-95、花王株式会社製ラムテルPS等が挙げられる。
【0012】
(a2)成分は、ノニオン界面活性剤である。(a2)成分としては、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルポリグリコシド型ノニオン界面活性剤、脂肪族アルカノールアミド型ノニオン界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、アルキルモノグリセリルエーテル型ノニオン界面活性剤、脂肪酸モノグリセライド型ノニオン界面活性剤、蔗糖脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
【0013】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤としては、下記式(a2-1)で表される化合物(以下、「化合物(a2-1)」ともいう)が好ましい。
21-X-[(EO)/(PO)]-R22 ・・・(a2-1)
【0014】
式(a2-1)中、R21は炭素数6~22の炭化水素基であり、Xは2価の連結基であり、R22は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、sはEOの平均繰り返し数を表し、1~20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、1~20の数である。
【0015】
式(a2-1)中、R21の炭化水素基の炭素数は、6~22であり、8~22が好ましく、10~18がより好ましい。R21の炭化水素基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、不飽和結合を有していても有していなくてもよい。
-X-としては、-O-、-COO-、-CONH-等が挙げられる。
22におけるアルキル基の炭素数は、1~6であり、1~3が好ましい。
22におけるアルケニル基の炭素数は、2~6であり、2~3が好ましい。
【0016】
-X-が-O-、-COO-又は-CONH-である化合物(a2-1)は、第1級もしくは第2級の高級アルコール(R21-OH)、高級脂肪酸(R21-COOH)又は高級脂肪酸アミド(R21-CONH)を原料として得られる。これら原料におけるR21は、式(a2-1)中のR21と同じである。
【0017】
sは、1~20の数であり、3~10が好ましい。
tは、1~10の数であり、2~8が好ましい。
【0018】
tが1以上の場合、すなわち、化合物(a2-1)がEO及びPOを有する場合、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加方法は特に限定されず、例えば、ランダム付加方法でもよく、ブロック付加方法でもよい。ブロック付加方法としては、例えば、エチレンオキシドを付加した後、プロピレンオキシドを付加する方法、プロピレンオキシドを付加した後、エチレンオキシドを付加する方法、エチレンオキシドを付加した後、プロピレンオキシドを付加し、さらにエチレンオキシドを付加する方法などが挙げられる。
【0019】
化合物(a2-1)としては、特に、-X-が-O-である化合物(アルコール型ノニオン界面活性剤)、又は、-X-が-COO-であり、R22が炭素数1~6のアルキル基もしくは炭素数2~6のアルケニル基である化合物(脂肪酸アルキル(アルケニル)エステル)が好ましい。
【0020】
-X-が-O-である場合、R21の炭素数は10~22が好ましく、10~20がより好ましく、10~18がさらに好ましい。-X-が-O-である場合、R22は水素原子が好ましい。
【0021】
-X-が-COO-である場合、R21の炭素数は9~21が好ましく、11~21がより好ましい。-X-が-COO-である場合、R22は炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
具体的にはライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のNNAEP、三洋化成社製のサンノニックシリーズ、ナローアクティシリーズ、第一工業製薬社製のノイゲンシリーズ、BASF社製のPlurafac、Lutensolシリーズ、ADEKA社製のプルロニックシリーズ、花王社製のエマルゲンシリーズ等が挙げられる。
【0022】
アルキルポリグリコシド型ノニオン界面活性剤としては、下記式(a2-2)で表されるノニオン界面活性剤が好ましい。
25(OR26 ・・・(a2-2)
式(a2-2)中、R25は、直鎖又は分岐鎖の炭素数8以上18以下、好ましくは12以上14以下のアルキル基、アルケニル基又はアルキルフェニル基、好ましくはアルキル基を示し、R26は炭素数2以上4以下のアルキレン基を示し、Gyは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基を示す。xは平均付加モル数を示し、0以上5以下の数である。yはその平均値が1以上5以下となる数を示す。
式(a2-2)中、R25は、保存安定性の観点から、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
式(a2-2)中、xは、保存安定性の観点から、好ましくは0以上、2以下であり、より好ましくは0である。yは、保存安定性の観点から、好ましくは1.1以上、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下である。尚、yはプロトンNMR法による測定値である。
式(a2-2)中、Gは、それらの入手容易性及びコストの点から、グルコース及びフルクトースから選ばれる1種以上の単糖類に由来する残基が挙げられる。また、Gは、マルトース及びスクロースから選ばれる1種以上の多糖類に由来する残基が挙げられる。Gは、グルコースの単糖類に由来する残基が好ましい。
【0023】
脂肪族アルカノールアミド型ノニオン界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドからなる群より選ばれ、かつ、HLBが9.5以上12未満のノニオン界面活性剤が好ましい。
本発明において「脂肪酸アルカノールアミド」とは、たとえば、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸クロリド又は油脂等と、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)と、の反応によって生成するもの、すなわち、脂肪酸モノアルカノールアミド、及び/又は、脂肪酸ジアルカノールアミドを包含する。
「ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド」とは、前記脂肪酸アルカノールアミドにオキシエチレン基が導入されたものをいう。
本発明において「HLB」は、有機概念図におけるIOB×10で示される。
有機概念図におけるIOBとは、該有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、即ち「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。
該有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は“Pharmaceutical Bulletin”,1954,vol.2,2,pp.163-173;「化学の領域」,1957,vol.11,10,pp.719-725;「フレグランスジャーナル」,1981,vol.50,pp.79-82などで説明されている。即ち、全ての有機化合物の根源をメタン(CH)とし、他の化合物は全てメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環などにそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値及び無機性値を求める。そして、これらの値を、有機性値をX軸、無機性値をY軸とした図上にプロットしていくものである。この有機概念図は、「有機概念図-基礎と応用-」(甲田善生著、三共出版、1984)等にも示されている。
【0024】
(a3)成分は、四級アンモニウム塩型界面活性剤、両性界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤、及びアミン型界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤である。
【0025】
[四級アンモニウム塩型界面活性剤]
四級アンモニウム塩型界面活性剤としては、例えばテトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等のテトラ短鎖(炭素数1~4のアルキル)アンモニウム塩;オクチルトリメチルアンモニウム塩、デシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、オクチルジメチルエチルアンモニウム塩、デシルジメチルエチルアンモニウム塩、ドデシルジメチルエチルアンモニウム塩、テトラデシルジメチルエチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、セチルジメチルエチルアンモニウム塩、ステアリルジメチルエチルアンモニウム塩、オクチルジエチルメチルアンモニウム塩、デシルジエチルメチルアンモニウム塩、ドデシルジエチルメチルアンモニウム塩、テトラデシルジエチルメチルアンモニウム塩、セチルジエチルメチルアンモニウム塩、ステアリルジエチルメチルアンモニウム塩等の長鎖(炭素数8~18のアルキル)トリ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩;ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム塩、ジテトラデシルジメチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジオクチルメチルエチルアンモニウム塩、ジデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジドデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジテトラデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジセチルメチルエチルアンモニウム塩、ジステアリルメチルエチルアンモニウム塩等のジ長鎖(炭素数8~18のアルキル)ジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩;ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム等の長鎖(炭素数8~18のアルキル)ジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)ヒドロキシアルキル(炭素数1又は2)アンモニウム塩;[3(トリメトキシシリル)]プロピル(ジメチル)オクタデシルアンモニウム塩等のトリアルコキシシリルアルキル基(炭素数4~10)を有するジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)長鎖(炭素数8~18のアルキル)アンモニウム塩;アミンナイトレート;ベンジルトリメチルアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩が挙げられる。これらの中でも長鎖(炭素数8~18のアルキル)トリ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩、ジ長鎖(炭素数8~18のアルキル)ジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩等が好ましく、長鎖(炭素数8~18のアルキル)トリ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩、ジ長鎖(炭素数8~12のアルキル)ジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩がより好ましい。
【0026】
塩としては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン化物;水酸化物;炭素数1~5のスルホン酸エステル、硫酸エステル、硝酸エステル等が挙げられる。
【0027】
[両性界面活性剤]
両性界面活性剤としては、下記式(a3-2)で表される化合物が好ましい。
12-(A)-N(-R13)(-R14)-R15-R16 ・・・(a3-2)
式(a3-2)中、R12は炭素数8~18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり;R13及びR14はそれぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり;Aは-C=O(-NH-X)-であり;Xは炭素数1~4のアルキレン基であり;pは0又は1の数であり;R15は炭素数1~2のアルキレン基であり;R16は-CO 又は-SO である。
例えば、オクタン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、デカン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オクタン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、デカン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ステアリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、オレイン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、オクチルヒドロキシスルホベタイン、デシルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルヒドロキシスルホベタイン、オレイルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0028】
[アミンオキシド型界面活性剤]
アミンオキシド型界面活性剤としては、下記式(a3-3)で表される化合物が好ましい。
【0029】
【化1】
【0030】
式(a3-3)中、R17は、炭素数8~18の直鎖のアルキル基、炭素数8~18の分岐鎖のアルキル基、炭素数8~18の直鎖のアルケニル基、又は炭素数8~18の分岐鎖のアルケニル基であり;R19、及びR20は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり;R18は炭素数1~4のアルキレン基であり;Bは-CONH-、-NHCO-、-COO-、-OCO-又は-O-であり;rは0又は1の数であり;Zは対イオンである。
例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、n-ドデシルジメチルアミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド;ラウリルジエチルアミンオキシド等のアルキルジエチルアミンオキシド;ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等のアルカノイルアミドアルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0031】
[アミン型界面活性剤]
アミン型界面活性剤は、界面活性剤として機能する第1級アミン、第2級アミン、又は第3級アミン(ただし、(B)成分に該当するものを除く)である。アミン型界面活性剤としては、下記式(a3-4)で表されるアミン化合物が好ましい。
N ・・・(a3-4)
式(a3-4)中、R、R、及びRはN上の置換基であり、Rは水素、炭素数1~4のアルキル基、炭素数8~21のアルキル基又はアルケニル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基であり;Rは水素、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~4のアミノアルキル基であり;Rは炭素数8~21のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、又はR-X-(CH-で表される基であり;Rは炭素数8~21の直鎖のアルキル基又はアルケニル基、炭素数8~21の分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり;Xは-O-、-C(O)NR-、又は-NH-であり;Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基であり;mは1~5の整数である。
式(a3-4)の化合物には、炭素数8~21のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ以上、好ましくは1~2含むことが好ましい。
【0032】
なかでも、下記式(a3-5)で表される化合物が好ましい。
【0033】
【化2】
【0034】
式(a3-5)中、Rは炭素数13~21の直鎖のアルキル基、炭素数13~21の分岐鎖のアルキル基、炭素数13~21の直鎖のアルケニル基、又は炭素数13~21の分岐鎖のアルケニル基であり;Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基であり;Rは、炭素数1~4のアルキレン基であり;R10及びR11は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。
【0035】
式(a3-5)中、Rは、炭素数13~21の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。Rにおけるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ13~21であり、抑泡効果がより高まることから、好ましくは15~21であり、より好ましくは15~19である。
におけるヒドロキシアルキル基中のヒドロキシ基の数は、1つでも2つ以上でもよい。なかでも、Rとしては、水素原子、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
におけるアルキレン基の炭素数は、1~4であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは2又は3であり、特に好ましくは3である。R10及びR11におけるアルキル基の炭素数は、それぞれ1~4であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。なかでも、R10及びR11は、それぞれ炭素数1~4のアルキル基が好ましく、互いに同一であることが好ましい。
式(a3-5)で表される化合物の具体例としては、抑泡効果がより得られやすいことから、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドが好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドがさらに好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドが特に好ましい。
【0036】
式(a3-5)で表される化合物以外のアミン型界面活性剤としては、例えば、ヤシアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、オレイルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミン、ヤシアルキルジメチルアミン、牛脂アルキルジメチルアミン、ドデシルジメチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ベヘニルジメチルアミン、ジオレイルメチルアミン、ジデシルメチルアミン、N-ヤシアルキルー1,3-ジアミノプロパン、N-牛脂アルキル-1,3-ジアミノプロパン、N-硬化牛脂アルキル-1,3-ジアミノプロパン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン等が挙げられる。
【0037】
(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量は、食器洗い機用洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.3~3質量%がさらに好ましい。
(A)成分の含有量が上記範囲内であると、水滴跡残りの抑制効果を向上しやすくなるとともに、洗浄力、泡立ちの抑制を向上しやすい。
【0038】
(a1)成分の含有量は、食器洗い機用洗浄剤組成物の総質量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。
(a1)成分の含有量が上記範囲内であると、水滴跡残りの抑制効果を向上しやすくなる。
【0039】
(a1)成分の含有量は、(A)成分の総質量に対し、40質量%以上が好ましく、60~100質量%がより好ましい。
(a1)成分の含有量が上記範囲内であると、より水滴跡残りの抑制効果を向上しやすくなる。
【0040】
(a2)成分の含有量は、(A)成分の総質量に対して、0~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
(a2)成分の含有量が上記範囲内であると、水滴跡残りの抑制効果を向上しやすくなる。
【0041】
<(B)成分>
(B)成分は下記式(b-1)で表される化合物である。
-N((CHNH ・・・(b-1)
式(b-1)中、Rは炭素数8~18の直鎖のアルキル基、炭素数8~18の分岐鎖のアルキル基、炭素数8~18の直鎖のアルケニル基、又は炭素数8~18の分岐鎖のアルケニル基であり;nは2~6の整数である。
【0042】
(B)成分としは、例えば、N-(3-アミノプロピル)-N-デシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノエチル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシルプロパン-1,3-ジアミン等が挙げられる。水滴跡残り抑制効果の面からN-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンが好ましい。
【0043】
(B)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の含有量は、食器洗い機用洗浄剤組成物の総質量に対して、0.0001~5質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましく、0.01~0.5質量%がさらに好ましく、0.01~0.1質量%が特に好ましい。
(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、組成物からの臭気の発生を抑制しやすい。
(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、水滴跡残りの抑制効果が向上しやすい。
【0044】
(a1)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「a1/B比」ともいう)は、0.1~500であり、5~100が好ましい。
a1/B比が上記範囲内であると、水滴跡残りの抑制効果が向上しやすい。
【0045】
(A)成分と(B)成分との合計含有量(以下、「A+B」ともいう)は、食器洗い機用洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1~10.1質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
A+Bが上記範囲内であると、水滴跡残りの抑制効果が高まる。
【0046】
<任意成分>
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物には、本発明の目的に反しない限り、食器を洗浄するための洗浄剤に通常含まれる如何なる成分も含むことができる。例えば、分子量800以下のキレート剤(以下、「(C)成分」ともいう)、アクリル酸系水溶性高分子(以下、「(D)成分」ともいう)、酸性増粘多糖類、溶剤、ハイドロトロープ剤、分散剤、増粘剤、粘度調整剤、酵素、香料、着色剤、防腐剤、除菌剤、漂白剤、漂白活性化剤、消泡剤(シリコーン化合物等)などの成分を配合することができる。
【0047】
(C)成分は分子量800以下のキレート剤である。
(C)成分としては、特に限定されず、これまで食器洗い機用洗浄剤に用いられる一般 (C)成分としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、β-アラニン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸、セリン二酢酸、アスパラギン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、トリポリリン酸、又はこれらの塩などが挙げられる。(C)成分を構成する塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
なかでも、(C)成分は、除菌力が高まりやすいことから、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、β-アラニン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸、セリン二酢酸、アスパラギン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上のキレート剤を用いるのが好ましい。
さらにクエン酸、L-グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸又はこれらの塩が好ましく、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸又はその塩が特に好ましい。
【0048】
(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物が(C)成分を含む場合、(C)成分の含有量は、食器洗い機用洗浄剤組成物の総質量に対して、酸型として3~25質量%好ましく、8~18質量%がより好ましく、12~18質量%がさらに好ましい。
(C)成分の含有量が上記範囲内であると、水滴跡残りの抑制効果を向上しやすい。
【0049】
(D)成分は、アクリル酸系水溶性高分子である。
(D)成分は、(メタ)アクリル酸又はその誘導体から誘導される構成単位を含む。(D)成分は、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。
ホモポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、ポリクロトン酸又はその塩、ポリイタコン酸又はその塩等が挙げられる。
コポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体又はその塩、アクリル酸/クロトン酸共重合体又はその塩が挙げられる。
この中でも特にアクリル酸/マレイン酸共重合体が好ましく、共重合比(モル比)は75/25~50/50が好ましい。アクリル酸/マレイン酸共重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1万~10万であることが好ましく、3万~8万であることがより好ましい。また、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。なかでも、ナトリウム塩が好ましい。
【0050】
(D)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物が(D)成分を含む場合、(D)成分の含有量は、食器洗い機用洗浄剤組成物の総質量に対して、0.5~20質量%が好ましく、1~12質量%がより好ましく、1~5質量%がさらに好ましい。
(D)成分の含有量が上記範囲内であると、水滴跡残りの抑制効果を向上しやすい。
【0051】
酸性増粘多糖類とはグルコースの酸化物であるグルクロン酸、ガラクトースの酸化物であるガラクツロン酸、マンノースの酸化物であるマンヌロン酸などの単糖類酸化物が結合した多糖類が挙げられる。酸性増粘多糖類を含有することで組成物の粘度を高めやすくなる。
酸性増粘多糖類としては、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、大豆多糖類、アルギン酸、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、ヒアルロン酸等が挙げられる。
なかでも、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナンが好ましく、キサンタンガム、ジェランガムがより好ましい。
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物が酸性増粘多糖類を含む場合、酸性増粘多糖類の含有量は、食器洗い機用洗浄剤組成物の総質量に対して、0.05~1.5質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましく、0.2~1質量%がさらに好ましい。
【0052】
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、食器洗い機に対する腐食性の点から、5以上が好ましい。また、低泡性の点から、11以下が好ましい。より好ましくは6~10である。
本発明において、食器洗い機用洗浄剤組成物のpHは、食器洗い機用洗浄剤組成物を25℃に調整し、pHメーター等により測定される値を示す。
【0053】
≪食器洗い機用洗浄剤組成物の製造方法≫
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、特に限定されず、従来公知の製造方法を用いることができる。
液体状の食器洗い機用洗浄剤組成物の製造方法としては、(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて任意成分とを混合することにより調製される。
【0054】
≪食器洗い機用洗浄剤組成物の使用方法≫
本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、食器洗い機の機種や、食器等の汚れの程度に応じて使用すればよい。
食器洗い機用洗浄剤組成物を用いて食器洗い機により洗浄対象物を洗浄する方法としては、洗浄とすすぎの各工程をいずれも有する方法が挙げられる。
洗浄方法としては、たとえば、常温(好ましくは5~30℃程度)の水道水を食器洗い機庫内に導入して調製される洗浄液を、所定の洗浄温度(洗浄時に循環する洗浄液の温度)まで昇温しながら洗浄対象物を洗浄する工程(以下「洗浄工程」という。)と、洗浄後の洗浄対象物を、常温の水道水ですすぐ工程(以下「すすぎ(1)工程」という。)と、常温の水道水を、好ましくは70~75℃まで2~3℃/分で昇温しながら、前記すすぎ(1)工程後の洗浄対象物をさらにすすぐ工程(以下「すすぎ(2)工程」という。)を有する方法が挙げられる。洗浄工程での洗浄時間は、10~40分間が好ましい。
一般的な標準コースの場合、洗浄工程における洗浄温度が55~65℃程度、昇温速度が2~3℃/分程度である。低温コースは、例えば、洗浄温度が35~45℃程度、昇温速度が1℃/分程度である。本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物は、低温洗浄においても油汚れに対する洗浄力に優れ、例えば、洗浄温度が35℃であっても、優れた洗浄力を発揮する。
いずれのコースにおいても、洗浄剤の1回の使用量は、液体状の洗浄剤の場合、水道水約3リットルに対して2~9gとすることが好ましい。
具体的には、本発明の食器洗い機用洗浄剤組成物を水に加えて、(A)成分を2~200質量ppm、(B)成分を0.02~20質量ppm含む洗浄液を調製し、50~60℃に昇温して洗浄対象物を洗浄することが好ましい。
【実施例
【0055】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0056】
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
表中の空欄はその成分が配合されていないことを示す。
「バランス」は、各例の組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。(C)成分の含有量は無水の酸型としての含有量である。
以下に、表中に示した成分について説明する。
【0057】
<(A)成分>
・a1-1:第2級アルカンスルホン酸ナトリウム(炭素数14~17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム、クラリアントジャパン社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」)。
・a1-2:ポリオキシエチレン(平均3モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名:「サンノールLMT-1430」)。
・a1-3:ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「リパール870P」)。
【0058】
・a2-1:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、式(a2-1)中、R21が炭素数12~13のアルキル基、Xが-O-、sが3、tが3、R22が水素原子の化合物、ライオン社製、商品名「NNAEP-3030」)。
・a2-2:2級アルコールエトキシレート、式(a2-1)中、R21が炭素数12~14のアルキル基、Xが-O-、sが3.3、tが0、R22が水素原子の化合物、日本触媒社製、商品名「ソフタノール33」。
・a2-3:アルキルポリグリコシド、式(a2-2)中、R25が炭素数6の直鎖アルキル基、xが0、Gがグルコースに由来する残基、yが1.3である化合物、アクゾノーベル社製、商品名「AG-6206」。
・a2-4:ポリオキシエチレン(平均40モル)硬化ヒマシ油、商品名「HC40」、日本エマルジョン社製。
【0059】
・a3-1:n-ドデシルジメチルアミンオキシド、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「カデナックスDM12D-W(C)」。
・a3-2:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、第一工業製薬社製、商品名「アミーゲンS」。
・a3-3:塩化ジデシルジメチルアンモニウムロンザ社製、商品名「Bardac2280G」。
・a3-4:C18ジメチルアミノプロピルアミド、東邦化学株式会社製、商品名「カチナールMPAS」)式(a3-5)中、Rが炭素数15の直鎖のアルキル基である分子(C16)と、R=炭素数17の直鎖状のアルキル基である分子(C18)と、の質量比でC16:C18=3:7の混合物。Rが水素原子であり、Rがプロピレン基((CH)であり、R10がメチル基であり、R11がメチル基である化合物。
【0060】
<(B)成分>
・b-1:(N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン)(ロンザ社製、商品名「Lonzabac12.100」、式(b-1)中、Rが炭素数12のアルキル基であり、nが3である化合物。
【0061】
<(C)成分>
・c-1:クエン酸、扶桑化学工業社製、商品名「精製クエン酸(無水)」。
・c-2:メチルグリシン二酢酸、BASF社製、商品名「Torilon M」。
・c-3:L-グルタミン酸二酢酸塩、アクゾノーベル社製、商品名「GL-47-・S」。
【0062】
<(D)成分>
・d-1:カルボキシビニルポリマー、住友精化社製、商品名「アクペックHV-505E。
・d-2:アクリル酸/マレイン酸共重合物ソーダ塩、日本触媒社製、商品名「アクアリックTL-400」。
【0063】
<その他の任意成分>
・キサンタンガム:商品名「KELZAN T」、三晶社製。
・クメンスルホン酸ナトリウム:商品名「テイカトックスN5040」、テイカ社製。
・アミラーゼ:商品名「ターマミルウルトラ300L」、ノボザイムズ社製。
・プロテアーゼ:商品名「サビナーゼウルトラ16XL」、ノボザイムズ社製。
・pH調整剤:硫酸(関東化学社製)、水酸化ナトリウム:48%水酸化ナトリウム(旭硝子社製社製)、粒状水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製)、水酸化カリウム:48%水酸化カリウム(旭硝子社製)、粒状水酸化カリウム(和光純薬工業社製)。
【0064】
<食器洗い機用洗浄剤組成物の調製>
表1~5の組成に従い、溶媒としての水に、(A)成分、(B)成分、及び任意成分を溶解することにより、各例の食器洗い機用洗浄剤組成物0.8kgをそれぞれ調製した。
具体的には、1Lビーカー(直径12cm)内に、キサンタンガムと水を組成物全体の50質量%となるように投入した。HEIDON FBL1200スリーワンモーター(新東科学株式会社製)の撹拌機に直径7.5cm、幅1.5cm、角度45度の4枚羽パドルを装備し、その後、内容物が飛び散らないように回転数400~900rpmで撹拌した。次いで(A)成分と(B)成分と(C)成分を混合した後、クメンスルホン酸ナトリウムとpH調整剤(水酸化ナトリウム又は硫酸)を添加し、混合液を得た。各例の食器洗い機用洗浄剤組成物のpHは、表に示すpH値となるように、pH調整剤によりpH7.0に調整した。pH7.0に調整後、酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ)を添加し、組成物全体が100質量%となるように残りの水を加え、前記撹拌機の回転数650rpmで1分間撹拌することにより食器洗い機用洗浄剤組成物を得た。
組成物全体が100質量%となるように残りの水を加え、前記撹拌機の回転数650rpmで1分間撹拌することにより食器洗い機用洗浄剤組成物を得た。
組成物のpH(25℃)は、25℃に調整した食器洗い機用洗浄剤組成物を、ガラス電極式pHメーター(HM-30G、東亜ディーケーケー社製)を用いて測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
【0065】
<食器洗い機用洗浄剤の評価>
各実施例及び比較例の組成物について、以下に示す評価方法によって各評価を行い、その結果を表に併記した。
食器洗い機として、自動食器洗い乾燥機(パナソニック株式会社製、機種NP-40SX2)を用いた。各評価において、洗浄処理は、該自動食器洗い乾燥機に設定されている標準コース(節電モード又は通常モード)で運転することにより行った。節電モードとは、通常モードと比較して、洗浄工程での水温が15℃低く設定されている。該標準コース(節電モード)の内容を以下に示す。
・標準コース(節電モード):
該自動食器洗い乾燥機に組成物2~9g(水道水3Lに対し)を投入した後、約5℃の水道水を庫内に導入して調製される洗浄液を40℃まで2~3℃/minで昇温しながら20分間洗浄を行い、該洗浄液を排水する。次いで、新たな水道水を導入し、すすぎ(2分間/回)と排水との繰返し3回を行う。排水後、新たな水道水を導入し、70℃まで2~3℃/minで昇温しながらすすぎ1回(最終すすぎ)20分間を行い、排水後、温風を循環させながら食器等を乾燥する。
・標準コース(通常モード)は、上記標準コース(節電モード)において、洗浄液を55℃まで2~3℃/minで昇温しながら20分間洗浄を行う他の操作は、上記標準コース(節電モード)と同様である。
【0066】
<水切れ性の評価>
生クリームが1g入ったガラス製のグラス(直径約6cm、高さ10cm)5個を食器洗い機に設置し、食器洗い機用洗浄剤組成物投入後、5℃の水を用いて前記自動食器洗い乾燥機標準コースで運転を行った。乾燥後の水滴跡(白色斑点)のなさを以下の官能評価基準に従って評価し、グラス5個の合計値を算出した。評点D以上を合格とした。なお、1~100mmの白色斑点を1個の水滴跡として数えた。水滴跡が複数重なっている場合には、1個の水滴跡として数えた。
(評価基準)
A:水滴跡の個数が0~5個。
B:水滴跡の個数が6~10個。
C:水滴跡の個数が11~15個。
D:水滴跡の個数が16~25個。
E:水滴跡の個数が26~35個。
F:水滴跡の個数が36~45個。
G:水滴跡の個数が46個以上。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
本発明を適用した実施例1~26は、水滴跡残り抑制効果に優れていた。
a1/B比が0.1未満の比較例1は、水滴跡残り抑制効果に劣っていた。
a1/B比が500超の比較例2は、水滴跡残り抑制効果に劣っていた。