(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】トリペプチド含有組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/18 20160101AFI20220510BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20220510BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220510BHJP
C07K 5/083 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
A23L33/18
A61K38/06
A61P3/10
A61P43/00 111
C07K5/083
(21)【出願番号】P 2018120069
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】正箱 尚久
(72)【発明者】
【氏名】大日向 耕作
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】石角 篤
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/217535(WO,A1)
【文献】特開2017-043618(JP,A)
【文献】特開2017-214334(JP,A)
【文献】特開2016-164136(JP,A)
【文献】国際公開第2012/102308(WO,A1)
【文献】特表2014-506579(JP,A)
【文献】特開2011-182742(JP,A)
【文献】国際公開第2013/133031(WO,A1)
【文献】特表2008-525430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0193463(US,A1)
【文献】特開2016-175862(JP,A)
【文献】特開2016-222601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Leu-Arg-Alaからなるトリペプチドを含有する組成物であって、
DPP-4阻害用、糖代謝改善用、血糖値上昇抑制用、又は抗糖尿病用である、組成物。
【請求項2】
経口組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
食品組成物又は医薬品組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のトリペプチド(Leu-Arg-Ala)を含有する組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
インクレチンであるglucagon-like peptide 1(GLP-1)及びglucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)は、グルコース恒常性の維持にかかわるホルモンである。また、DPP-4(Dipeptidyl Peptidase-4、EC3.4.14.5)は、インクレチンの分解を行う酵素である。DPP-4を阻害することにより、インクレチンの分解が抑制されるため、GLP-1およびGIPの血中における濃度が上昇し、インスリン分泌が促される。このため、DPP-4を阻害することは、血糖値コントロールを改善(特に血糖値上昇を抑制)し、糖尿病(特に2型糖尿病)の予防又は治療に有効である。既に、2型糖尿病治療薬として、DPP-4阻害剤(例えばシタグリプチン)が上市されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/217535号
【文献】特開2017-043618号公報
【文献】特開2016-003225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DPP-4を阻害する新規な手段の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、Leu-Arg-AlaからなるトリペプチドがDPP-4阻害活性を有することを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0006】
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
Leu-Arg-Alaからなるトリペプチドを含有する組成物であって、
DPP-4阻害用、糖代謝改善用、血糖値上昇抑制用、又は抗糖尿病用である、組成物。
項2.
経口組成物である、項1に記載の組成物。
項3.
食品組成物又は医薬品組成物である、項1又は2に記載の組成物。
項4.
成人一日あたり、10~300μgのLeu-Arg-Alaからなるトリペプチドが摂取されるように用いられることを特徴とする、項1~3のいずれかに記載の組成物。
項A-1.
Leu-Arg-Alaからなるトリペプチド、又は当該トリペプチド及び薬学的もしくは食品衛生学的に許容される担体を含む組成物を、対象に投与する工程を含む、DPP-4阻害、糖代謝改善用、血糖値上昇抑制、又は糖尿病予防若しくは治療方法。
項B-1.
DPP-4阻害、糖代謝改善用、血糖値上昇抑制、又は糖尿病予防若しくは治療における使用のための、Leu-Arg-Alaからなるトリペプチド、又は当該トリペプチド及び薬学的もしくは食品衛生学的に許容される担体を含む組成物。
項C-1.
DPP-4阻害、糖代謝改善用、血糖値上昇抑制、又は糖尿病予防若しくは治療における医薬又は食品の製造における、Leu-Arg-Alaからなるトリペプチドの使用。
【発明の効果】
【0007】
効率よくDPP-4活性を阻害することができ、これにより糖代謝改善効果、血糖値上昇抑制効果、抗糖尿病効果(好ましくは糖尿病予防若しくは治療効果)等を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】キットを用いてLRAペプチドのDPP-4阻害活性を調べた結果を示す。蛍光強度が低いほどDPP-4阻害活性が強いことを表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本発明は、特定のトリペプチドを含有する組成物、特定のトリペプチドを対象に投与する方法、及び特定のトリペプチドの使用等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本発明は本明細書に開示される全てを包含する。
【0010】
本発明に包含される組成物は、特定のトリペプチド(Leu-Arg-Ala)を含有する。本明細書において、当該組成物を「本発明の組成物」と表記することがある。また、本明細書において、アミノ酸配列:Leu-Arg-Alaからなるトリペプチドを「LRAペプチド」と表記することがある。
【0011】
LRAペプチドは、公知のペプチド合成法を用いて化学合成により調製することができる。ペプチド合成法としては、例えば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DDC法、活性エステル法、カルボイミダゾール法、酸化還元法などのペプチド合成法を挙げることができる。これらのペプチド合成法は、固相合成法又は液相合成法のいずれによっても行うことができる。
【0012】
上記したペプチド合成法では、アミノ基、カルボキシ基、及び/又は側鎖官能基(例えば、アルギニン(Arg)のグアニジノ基など)を保護基により保護しておくことが好ましい。保護基としては、特に限定されず公知の保護基を用いることができ、例えば、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、tert-ブトキシカルボニル基(Boc)、フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、ベンジル基(Bz)、p-トルエンスルホニル基(p-Ts)などが挙げられる。
【0013】
また、上記したペプチド合成法によりLRAペプチドを合成した後、必要に応じて、公知の方法により精製したものをLRAペプチドとして用いることができる。
【0014】
LRAペプチドは、DPP-4阻害作用を有することから、これを含有する本発明の組成物は、DPP-4阻害用組成物として、ひいては糖代謝改善用組成物、血糖値上昇抑制用組成物、抗糖尿病用(特に糖尿病予防若しくは治療用)組成物等として用いることができる。下に詳述するが、本発明の組成物は、例えば薬理学的又は食品衛生学的に許容される担体等を含有することができる。また、本発明の組成物の摂取形態としては、例えば経口組成物として好ましく用いることができる。また、本発明の組成物は、例えば医薬組成物又は食品組成物として好ましく用いることができる。
【0015】
なお、本明細書において、食品組成物は、通常の生鮮若しくは加工食品組成物のみならず、食塩代替物や甘味料、飲料等への添加物などの食品添加用組成物、業務用や家庭用の食材プレミックス品などの食品用材料組成物など、広く飲食品として摂取される組成物を包含する。特に、食品組成物として用いる場合には、商品表示に血糖に対する作用や効果などを明示した食品組成物として好ましく使用することができる。具体的には、例えば糖代謝改善、血糖値上昇抑制、糖尿病予防等の作用や効果が商品表示に明示している食品組成物、血糖が高めの人、血糖が気になる人などを対象者とする旨を商品表示に明示している食品組成物などが挙げられる。
【0016】
なお、本明細書において、医薬組成物は、医薬品及び医薬部外品を包含する。本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、本発明の組成物は、LRAペプチドに加え、必要に応じて他の成分を含むことができる。当該他の成分としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬学的に許容される基剤、担体、及び/又は添加剤(例えば、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)等が挙げられる。当該他の成分の配合量は目的に応じて適宜設定することができる。
【0017】
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、その投与形態は特に限定的ではなく、例えば、経口投与、経血管投与(特に静脈内注射)などが挙げられる。中でも、経口投与が好ましい。
【0018】
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、その剤型は特に限定的ではなく、例えば、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠などの錠剤;トローチ剤;散剤;懸濁剤;乳剤;エリキシル剤;リモナーデ剤;シロップ剤;ローション剤;顆粒剤;硬カプセル剤や軟カプセル剤などのカプセル剤;クリーム剤;軟膏剤;坐剤;パップ剤、テープ剤、マイクロニードル、イオントフォレシスやエレクトロポレーションなどの経皮/粘膜投与剤;エアゾール剤等が挙げられる。これらの形態は、LRAペプチドと、必要に応じて上記した他の成分とを組み合わせて常法により調製することができる。
【0019】
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、当該医薬組成物におけるLRAペプチドの配合量は、LRAペプチドの有する上記作用が発揮される量であれば特に限定的ではなく、適宜設定することができる。
【0020】
また、本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、投与量、投与間隔、投与対象などは特に限定的ではなく、適宜設定することができる。例えば、投与量は、投与対象の年齢、性別、体重、対象の健康状態、その他の条件に応じて適宜設定することができる。また、例えば、投与間隔については、1日1回又は複数回(好ましくは2~3回)としてもよいし、数日~数週間に1回又は複数回としてもよい。また、投与対象はヒト、及びペット又は家畜などの非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、リャマ、ラット、マウス等)であってもよい。
【0021】
特に投与対象がヒトである場合、LRAペプチド投与(摂取)量は、例えば、成人一日あたり、10~300μg程度が好ましく、15~200μg程度がより好ましく、20~100μg程度がさらに好ましく、30~80μg程度がよりさらに好ましく、35~70μg程度がなお好ましく、40~60μg程度が特に好ましい。
【0022】
また、投与(摂取)期間は、特に制限はされないが、3~12週間又はそれ以上(3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週間又はこれら以上)であることが好ましく、9~12週又はそれ以上であることがより好ましい。特に、一日あたりのLRAペプチド投与量が、30~80μg程度である場合には5~12週間又はそれ以上であることが好ましく、10μg以上30μg未満又は80μgより多く300μg以下である場合には9~12週間又はそれ以上であることが好ましい。
【0023】
投与対象が非ヒト哺乳動物の場合の投与形態、剤型、投与量、投与間隔などは、ヒトを投与対象とする場合を参考として適宜設定することができる。
【0024】
本発明の組成物を食品組成物として用いる場合、本発明の組成物は、LRAペプチドに加え、必要に応じて他の成分を含むことができる。当該他の成分としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料等が例示できる。
【0025】
本発明の組成物を食品組成物として用いる場合、その摂取形態は経口摂取である。この場合、本発明の組成物の形態は特に制限されず、一般食品や保健機能食品、特別用途食品に使用することができる。例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、病者用食品、嚥下困難者用食品、健康補助食品、栄養補助食品、病院食、介護食、加工食品、飲料、などが挙げられる。これらは常法により調製することができる。また、食品組成物の剤形形態としては、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、サプリメント、チュアブル錠、飲料、粉末飲料、顆粒、フィルムなどの形態のほか、飲食品として使用する場合、例えば、茶系飲料、スポーツ飲料、美容飲料、果汁飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、水や湯、炭酸水等で希釈する濃縮タイプの飲料等の飲料、水や湯等に溶解または懸濁させて飲用する粉末や顆粒、タブレット等の乾燥固形物、タブレット菓子、ゼリー類、スナック類、焼き菓子、揚げ菓子、ケーキ類、チョコレート、ガム、飴、グミなどの菓子類、スープ類、めん類、米飯類、シリアル等などの食品形態にすることもできる。このうち通常の生活においては、サプリメントタイプ、チュアブル錠、ワンショットドリンクタイプなどの形態が好ましく、運動効果を高める目的で摂取する場合には、スポーツ飲料などの飲料の形態も好ましい。特に、保健機能食品、健康補助食品や栄養補助食品などとする場合には、継続的に摂取し易くするようにするため、例えば、顆粒、カプセル、タブレットや錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(飲料パウダー、ドリンク剤等)、ゼリー剤などの形態とすることが好ましい。
【0026】
また、本発明の組成物を食品添加用組成物や食品用材料組成物として用いる場合には、その形態としては特に制限されず、例えば、液状、粉末状、フレーク状、顆粒状、ペースト状のものが挙げられる。より具体的には、調味料(甘味料、食塩代替組成物、醤油、酢、味噌、ソース、ケチャップ、ドレッシング、スパイス、ハーブ等、フレーク(ふりかけ、炊飯添加剤など)、焼き肉のたれ、ルーペースト(カレールーペースト等)、食材プレミックス品等が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物を食品組成物として用いる場合、当該食品組成物におけるLRAペプチドの配合量は、LRAペプチドの有する上記作用が発揮される量であれば特に限定的ではなく、適宜設定することができる。
【0028】
また、本発明の組成物を食品組成物として用いる場合、摂取量、摂取間隔、摂取対象などは特に限定的ではなく、適宜設定することができる。例えば、摂取量は、摂取対象の年齢、性別、体重、対象の健康状態、その他の条件に応じて適宜設定することができる。例えば、摂取間隔については、上記した量を摂取する場合、1日1回又は複数回(好ましくは2~3回)としてもよいし、数日~数週間に1回又は複数回としてもよい。また、摂取対象はヒト、及びペット又は家畜などの非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、リャマ、ラット、マウス等)であってもよい。
【0029】
特に投与対象がヒトである場合、LRAペプチド摂取量は、例えば、成人一日あたり、10~300μg程度が好ましく、15~200μg程度がより好ましく、20~100μg程度がさらに好ましく、30~80μg程度がよりさらに好ましく、35~70μg程度がなお好ましく、40~60μg程度が特に好ましい。
【0030】
また、摂取期間は、特に制限はされないが、3~12週間又はそれ以上(3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週間又はこれら以上)であることが好ましく、9~12週又はそれ以上であることがより好ましい。特に、一日あたりのLRAペプチド摂取量が、30~80μg程度である場合には5~12週間又はそれ以上であることが好ましく、10μg以上30μg未満又は80μgより多く300μg以下である場合には9~12週間又はそれ以上であることが好ましい。
【0031】
摂取対象となるヒトは、特に制限はされないが、糖代謝改善、血糖値上昇抑制、又は糖尿病予防等の希望若しくは必要性を有するヒトが好ましい。
【0032】
摂取対象が非ヒト哺乳動物の場合の形態、摂取量、摂取間隔などは、ヒトが摂取対象である場合を参考として適宜設定することができる。
【0033】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本発明は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
【0034】
また、上述した本発明の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本発明に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本発明には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例】
【0035】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0036】
製造例1:Fmoc法によるトリペプチドの合成
Fmoc法によりLeu-Arg-Alaからなるトリペプチドを固相合成した。得られた当該LRAペプチドをHPLCにより精製した後、プロテインシーケンサーにより配列を解析した結果、Leu-Arg-Alaからなるトリペプチドであることが確認された。
【0037】
製造例2:Boc法によるトリペプチドの合成
Boc法によるLeu-Arg-Alaからなるトリペプチドの合成を株式会社ペプチド研究所に依頼した。なお、納品された当該LRAペプチドは、RP-HPLC、質量分析及びアミノ酸分析により、Leu-Arg-Alaからなるトリペプチドであることが確認されたものであった。
【0038】
実施例1:DPP-4阻害活性の測定
DPP-4阻害活性測定キット:DPP4 Activity Fluorometric Assay Kit(BioVision)を用いて、LRAペプチドのDPP-4阻害活性を測定した。なお、当該キットは、DPP-4の酵素活性を蛍光法により測定するキットであり、より詳細には、AMC(7-Amino-4-Methyl Coumarin)を結合した標識基質(H-Gly-Pro-AMC:DPP4 substrate)がDPP-4により切断されて生じた蛍光強度を測定することにより、DPP-4活性を調べることができるキットである。このことから分かるように、DPP-4活性が阻害された場合、蛍光強度は低下する。
【0039】
上記製造例1で合成したLRAペプチド又はsitagliptin (DPP-4阻害剤:キット付属のポジティブコントロール)を、キット付属のDPP4 assay bufferで希釈し、96 wellプレートに25μlずつ分注して、更に50μlのenzyme mixを加え37℃で10分間インキュベートした。そして、各ウェルに25μlのreaction mix (23μlのDPP4 assay bufferと2μlのDPP4 substrate)を加え、プレートリーダーで蛍光強度を測定した (37℃/励起波長360nm、蛍光波長460nm)
なお、上記希釈操作において、LRAペプチドは、上記reaction mix25μlを加えてウェル内サンプル容量が100μlとなったときに5000μMとなるように希釈した。また、sitagliptinは、同reaction mix25μlを加えてウェル内サンプル容量が100μlとなったときに0.3μMとなるように希釈した。
【0040】
また、同様の操作を、LRAペプチド0μM(すなわちDPP4 assay bufferのみ)、及びアミノ酸配列:Tyr-Tyrからなるジペプチド(YYペプチド)(LRAペプチドと同様にして合成)5000μM、となるよう調製したサンプルに対して行い、蛍光強度を測定した。
【0041】