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▶ サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】注射デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20220510BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61M5/32 502
A61M5/20
A61M5/32 510K
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018527143
(86)(22)【出願日】2016-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2016078247
(87)【国際公開番号】W WO2017089259
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-11-01
(31)【優先権主張番号】15196675.1
(32)【優先日】2015-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ヴェントラント
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ハルムス
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ダスバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・トーベン・イークリード
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-528939(JP,A)
【文献】国際公開第2012/137803(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0129591(US,A1)
【文献】特開2003-199751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0221916(US,A1)
【文献】特表2004-531316(JP,A)
【文献】国際公開第2015/001819(WO,A1)
【文献】特表2005-520602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射デバイスであって:
針をその一端に有するシリンジを保持する本体と;
本体に取外し可能に取り付けられ、外側キャップ、および前記シリンジと摩擦係合して前記針を覆うように構成されたニードルシールドを有する、キャップと;
該キャップの少なくとも一部を本体から離れるように付勢するように構成された付勢部材と;
ロックがキャップおよび本体を共に保持するロック状態と、キャップと本体が離れることができるロック解除状態との間で可動なロックとを含み、
ここで、外側キャップは、ロックをロック解除状態へ動かすように本体に対して回転可能である、前記注射デバイス。
【請求項2】
付勢部材は、ロックがロック状態のとき、キャップ全体を本体から離れるように付勢するように構成される、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
付勢部材は、つる巻きばねである、請求項1または2に記載の注射デバイス。
【請求項4】
ロックは、ラッチまたはバヨネット連結を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項5】
キャップは、ロックをロック状態からロック解除状態へ動かすように本体に対して可動である、請求項1~4のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項6】
キャップは、ロックをロック状態から中間状態へ動かすように、本体に対して第1の方向で可動であり、キャップは、ロックを中間状態からロック解除状態へ動かすように、第1の方向とは異なる第2の方向で本体に対して可動である、請求項1~5のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項7】
ロックは、本体およびキャップの一方にあるトラックと、本体およびキャップの他方にあるピンとを含み、トラックは非線形的に延び、ピンはトラックに受け入れられるように構成される、請求項5または6に記載の注射デバイス。
【請求項8】
トラック内のピンの動きに抵抗するように構成された、トラック内の突起を含む、請求項6に記載の注射デバイス。
【請求項9】
ニードルスリーブをさらに含み、ここで、該ニードルスリーブは、シリンジが本体内で保持されているときに針を遮蔽する伸長位置と、前記針がニードルスリーブの端部を超えて軸方向に延びる後退位置との間で本体に対して可動であり、ニードルスリーブは、ロックがロック解除状態のときに伸長位置へ動き、キャップが本体から取り外される、請求項1~8のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項10】
ニードルスリーブは付勢部材によって伸長位置へ付勢される、請求項9に記載の注射デバイス。
【請求項11】
ロックは、キャップが本体に取り付けられるとき、ニードルスリーブが本体内へ付勢されるように構成される、請求項9または10に記載の注射デバイス。
【請求項12】
ニードルスリーブは、該ニードルスリーブが後退位置から伸長位置へ動かされたとき、ニードルスリーブがキャップに力を及ぼして、キャップの前記少なくとも一部を本体から離れるように付勢するように構成される、請求項9~11のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項13】
本体に受け入れられ、一端から延びる針を有するシリンジを含み、ここで、キャップが本体に取り付けられたとき、ニードルシールドはシリンジと摩擦係合している、請求項1~12のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項14】
ニードルシリンジを含み、ここで、該ニードルシリンジは薬剤を収容する、請求項1~13のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項15】
自動注射器である、請求項1~14のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項16】
外側キャップ、およびシリンジと摩擦係合するニードルシールドを含むキャップを、注射デバイスの本体の端部から取り外す方法であって:
外側キャップを本体の長手方向軸を中心にして回転させる工程であって、キャップは、外側キャップの回転前、ロックによって付勢部材の力に対抗して定位置に保持されている、工程と;
キャップを本体の端部から取り外す工程であって、キャップは、付勢部材の力によって本体から離れるように付勢されている、工程と;
ニードルスリーブを本体の前記端部から延ばす工程とを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤を患者の注射部位に投薬する、自動注射器などの注射デバイスが、当該技術分野において知られている。かかる注射デバイスは、一般的に、本体およびキャップを含む。ニードルシリンジは本体に位置する。キャップは、本体に取外し可能に取り付けられて、ニードルシリンジの針を遮蔽する。薬剤を投薬するには、最初にキャップを本体から取り外して針を露出させる。次に、針を注射部位で患者の身体に挿入して、薬剤を投薬する。
【0003】
注射デバイスの輸送中および保管中、キャップが本体から不用意に取り外されないことを確実にするのに十分な力で、キャップが本体上に保持されていることが重要である。これにより、針が滅菌された状態で保たれ、また尖った針が怪我を引き起こすことが防止される。しかしながら、キャップおよび本体を共に保持するために必要とされる力により、特に患者が高齢者または虚弱である場合に、患者が注射前にキャップを本体から意図的に取り外すのが困難になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、改善された注射デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、一端に針を有するシリンジを保持する本体と、本体に取外し可能に取り付けられ、前記針を覆うニードルシールドを有するキャップと、キャップの少なくとも一部を本体から離れる方向で付勢するように構成された付勢部材と、ロックがキャップおよび本体を共に保持するロック状態と、キャップと本体が離れることができるロック解除状態との間で可動なロックとが提供される。付勢部材は、キャップを本体から取り外すのを容易にし、ロックは、キャップを本体から取り外したときに患者が制御することを可能にする。
【0006】
一実施形態では、付勢部材は、ロックがロック状態のとき、キャップ全体を本体から離れるように付勢するように構成される。したがって、ロックがロック状態からロック解除状態へ動かされると、キャップは本体から完全に取り外される。
【0007】
ロックは、ばね、好ましくはつる巻きばねを含むことができる。ばねは、急なばね特性曲線を有してもよい。これは、ロックがロック状態からロック解除状態へ動かされたとき、キャップを本体から離れるように付勢し、延ばされたとき、より小さい付勢力がばねによって及ぼされるように、ばねの付勢力がキャップと本体との間の摩擦力を克服するのに十分であることを確実にする助けとなる。
【0008】
代替実施形態では、付勢部材は液圧式アクチュエータまたは空気圧式アクチュエータを含む。
【0009】
一実施形態では、ロックはラッチまたはバヨネット連結を含む。キャップは、ロックをロック状態からロック解除状態へ動かすように、本体に対して可動であってもよい。したがって、ロックをロック解除状態へ動かすために、キャップを本体に対して捩らなければならないので、キャップが本体から不用意に取り外される可能性が低減される。かかる一実施形態では、ロックをロック状態からロック解除状態へ動かすように、キャップは本体に対して回転可能である。
【0010】
一実施形態では、キャップは、ロックをロック状態から中間状態へ動かすように、本体に対して第1の方向で可動であり、またキャップは、ロックを中間状態からロック解除状態へ動かすように、第1の方向とは異なる第2の方向で本体に対して可動である。したがって、キャップは、ロックをロック状態からロック解除状態へ動かすために、2つの異なる方向で本体に対して動かさなければならず、したがって、キャップが本体から不用意に取り外される可能性が低減される。
【0011】
一実施形態では、ロックは、本体およびキャップの一方にあるトラックと、本体およびキャップの他方にあるピンとを含み、ピンはトラックに受け入れられるように構成される。トラックは非線形的に延びてもよい。トラックはほぼU字形であってもよい。
【0012】
一実施形態では、注射デバイスは、トラック内のピンの動きに抵抗するように構成された、トラック内の突起を含む。したがって、トラック内のピンの不用意な動きが防止され、それによってキャップが意図せずに本体から取り外される可能性が低減される。かかる一実施形態では、注射デバイスは、突起に連結されたボタンをさらに含む。ボタンは、ユーザによって押し下げられて突起を本体に押し込んで、トラック内のピンの動きを容易にするように配置することができる。
【0013】
注射デバイスはニードルスリーブをさらに含むことができ、ニードルスリーブは、シリンジが本体内で保持されているときに前記針を遮蔽する伸長位置と、前記針がニードルスリーブの端部を超えて軸方向に延びる後退位置との間で本体に対して可動であり、ニードルスリーブは、ロックがロック解除状態のときに伸長位置へ動き、キャップが本体から取り外される。ニードルスリーブは、キャップが本体から取り外されているとき、患者を不用意に傷付けるのを防ぐ。一実施形態では、ニードルスリーブは付勢部材によって伸長位置へ付勢される。したがって、キャップを本体から離れるように付勢するのと、ニードルスリーブを伸長位置へ付勢するのに同じ付勢部材が使用されるので、注射デバイスのコスト、重量、および複雑さが低減される。
【0014】
一実施形態では、ニードルスリーブは、ニードルスリーブが後退位置から伸長位置へ動かされたとき、ニードルスリーブがキャップに力を及ぼして、キャップの前記少なくとも一部を本体から離れるように付勢するように構成される。
【0015】
ロックは、キャップが本体に取り付けられるとき、ニードルスリーブが本体内へ付勢されるように構成することができる。したがって、キャップが本体に取り付けられ、ロックがロック状態にあるときに、ニードルスリーブが伸長位置にある構成と比べて、注射デバイスの長さを低減することができる。一実施形態では、ロックは、キャップが本体に取り付けられ、ロックがロック状態にあるとき、ニードルスリーブが後退位置で保持されるように構成される。
【0016】
一実施形態では、本体は第1の止め具を含み、ニードルスリーブは、ニードルスリーブが伸長位置にあるときに、ニードルスリーブと本体との間の軸方向運動の範囲を制限するように第1の止め具と係合するように構成される第2の止め具を含む。したがって、ニードルスリーブが後退位置から伸長位置へ動いたとき、ニードルスリーブが本体から分離されるのを防ぐ。
【0017】
一実施形態では、キャップはフランジを含み、付勢部材は、キャップを本体に取り付けたとき、フランジと本体の一部分との間に配設される。
【0018】
一実施形態では、キャップおよび本体は、キャップと本体が離れるのに抵抗する摩擦力がそれらの間にあるようにして係合し、付勢部材の付勢力は摩擦力よりも大きいので、ロックをロック解除状態へ動かすと、キャップと本体が離れる。代替実施形態では、キャップおよび本体は、キャップと本体が離れるのに抵抗する摩擦力がそれらの間にあるようにして係合し、付勢部材の付勢力は摩擦力よりも小さい。
【0019】
注射デバイスは、針を一端に有し、本体に受け入れられる、シリンジを含むことができる。ニードルシールドは、シリンジと摩擦係合していてもよい。シリンジは薬剤を含むことができる。
【0020】
一実施形態では、注射デバイスは自動注射器である。
【0021】
本発明によれば、キャップを回転させる前はロックによって付勢部材の力に対抗して定位置に保持されているキャップを、本体の長手方向軸を中心にして回転させる工程と、付勢部材の力によって本体から離れるように付勢されているキャップを、本体の端部から取り外す工程と、ニードルシールドを本体の前記端部から延ばす工程とを含む、注射デバイスの本体の端部からキャップを取り外す方法も提供される。注射デバイスは、本明細書に上述した注射デバイスの機能の1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0022】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載する実施形態から明白となり、それらを参照して解明されるであろう。
【0023】
以下、本発明の実施形態について、単なる例として、添付図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】キャップが注射デバイスの本体に取り付けられている、注射デバイスを示す概略側面図である。
図1B】キャップが本体から取り外されている、図1Aの注射デバイスを示す概略側面図である。
図2】キャップが注射デバイスの本体に取り付けられている、本発明の第1の実施形態による注射デバイスを示す概略断面図である。
図3】キャップが本体から分離されている、図2の注射デバイスを示す概略断面図である。
図4】キャップが注射デバイスの本体に取り付けられている、本発明の第2の実施形態による注射デバイスを示す概略断面図である。
図5】キャップが本体から分離されている、図4の注射デバイスを示す概略断面図である。
図6】キャップが本体から分離されている、図4の注射デバイスを示す概略側面図である。
図7A】ロックがロック状態にある、図4の注射デバイスのロックの一部を示す概略拡大図である。
図7B】ロックが中間状態にある、図4の注射デバイスのロックの一部を示す概略拡大図である。
図7C】ロックがロック解除状態にある、図4の注射デバイスのロックの一部を示す概略拡大図である。
図8A】ロックがロック状態にある、本発明の第3の実施形態による注射デバイスのロックの一部を示す概略拡大図である。
図8B】ロックがロック解除状態にある、図8Aのロックの一部を示す概略拡大図である。
図9A】ロックがロック状態にある、本発明の第4の実施形態による注射デバイスのロックの一部を示す概略拡大図である。
図9B】ロックがロック解除状態にある、図9Aのロックの一部を示す概略拡大図である。
図10A】ロックがロック状態にある、本発明の第5の実施形態による注射デバイスのロックの一部を示す概略拡大図である。
図10B】ロックが第1の中間状態にある、図10Aのロックの一部を示す概略拡大図である。
図10C】ロックが第2の中間状態にある、図10Aのロックの一部を示す概略拡大図である。
図10D】ロックがロック解除状態にある、図10Aのロックの一部を示す概略拡大図である。
図11A】ロックがロック状態にある、本発明の第6の実施形態による注射デバイスのロックの一部を示す概略拡大図である。
図11B】ロックがロック解除状態にある、図11Aのロックの一部を示す概略拡大図である。
図12】キャップが注射デバイスの本体に取り付けられている、本発明の第7の実施形態による注射デバイスの一部を示す概略斜視図である。
図13】キャップが本体に取り付けられている、図12の注射デバイスを示す概略断面図である。
図14】キャップが本体から分離されている、図12の注射デバイスを示す概略断面図である。
図15】キャップが本体および引き込み可能なニードルスリーブから分離されている、図12の注射デバイスを示す概略断面図である。
図16】キャップが本体から取り外され、引き込み可能なニードルスリーブが伸長位置にある、図12の注射デバイスを示す概略断面図である。
図17】キャップが本体から取り外され、引き込み可能なニードルスリーブが後退位置にある、図12の注射デバイスを示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に記載するような薬物送達デバイスは、薬剤を患者に注射するように構成することができる。たとえば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内であり得る。かかるデバイスは、患者、または看護師もしくは医師などの介護者が操作することができ、様々なタイプの安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器を含むことができる。デバイスは、封止されたアンプルを使用前に穿孔することを必要とする、カートリッジ式システムを含むことができる。これらの様々なデバイスを用いて送達される薬剤の量は、約0.5ml~約2mlの範囲とすることができる。さらに別のデバイスは、ある期間(たとえば、約5分、15分、30分、60分、もしくは120分)にわたって患者の皮膚に付着させて、「大」量の薬剤(一般的に、約2ml~約10ml)を送達するように構成された、大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを含むことができる。
【0026】
特定の薬剤との組み合わせで、本発明に記載するデバイスはまた、必要とされる仕様内で動作するようにカスタマイズしてもよい。たとえば、デバイスは、特定の期間(たとえば、自動注射器の場合は約3~約20秒、LVDの場合は約10分~約60分)内で薬剤を注射するようにカスタマイズしてもよい。他の仕様としては、低レベルもしくは最低限のレベルの不快感、または人的要因、貯蔵寿命、期間満了、生体適合性、環境的考慮点などに関連する特定の条件を挙げることができる。かかるばらつきは、たとえば、約3cP~約50cPの粘度範囲の薬物など、様々な要因によって生じる可能性がある。結果的に、薬物送達デバイスは、サイズ約25~約31ゲージの範囲の中空針を含む場合が多くなる。共通のサイズは27および29ゲージである。
【0027】
本明細書に記載する送達デバイスは、1つまたはそれ以上の自動化機能も含むことができる。たとえば、針の挿入、薬剤注射、および針の引き込みのうち1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動ステップのためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって供給することができる。エネルギー源としては、たとえば、機械エネルギー、空気圧エネルギー、化学エネルギー、または電気エネルギーを挙げることができる。たとえば、機械エネルギー源としては、ばね、てこ、エラストマー、またはエネルギーを格納もしくは解放する他の機械的機構を挙げることができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を単一のデバイスに組み込むことができる。デバイスとしてはさらに、ギア、バルブ、またはエネルギーをデバイスの1つもしくはそれ以上の構成要素の動きに変換する他の機構を挙げることができる。
【0028】
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動化機能はそれぞれ、起動機構を介して起動される。かかる起動機構としては、ボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素のうち1つもしくはそれ以上を挙げることができる。自動化機能の起動は、1ステップまたは多重ステップの工程であってもよい。すなわち、ユーザは、自動化機能をもたらすために、1つまたはそれ以上の起動構成要素を起動させることが必要なことがある。たとえば、1ステップ工程では、ユーザは、薬剤を注射するために、ニードルスリーブをそれらの本体に対して押し下げてもよい。他のデバイスは、自動化機能の多重ステップ起動を必要とすることがある。たとえば、ユーザは、注射をもたらすために、ボタンを押し下げ、ニードルシールドを後退させることが必要とされることがある。
【0029】
それに加えて、1つの自動化機能の起動によって、1つまたはそれ以上の後に続く自動化機能を起動させ、それによって起動シーケンスを形成してもよい。たとえば、第1の自動化機能の起動によって、針の挿入、薬剤注射、および針の引き込みのうち少なくとも2つを起動してもよい。一部のデバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動化機能をもたらすのに、特定のステップシーケンスを必要とすることがある。他のデバイスは、独立したステップのシーケンスで動作してもよい。
【0030】
一部の送達デバイスは、安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。たとえば、送達デバイスは、(自動注射器で一般的に見られるような)薬剤を自動的に注射するように構成された機械エネルギー源と、(ペン型注射器で一般的に見られるような)用量設定機構とを含むことができる。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態によれば、例示の薬物送達デバイス10が図1Aおよび図1Bに示されている。デバイス10は、上述したように、薬剤を患者の体内に注射するように構成される。デバイス10は、一般的に、注射される薬剤を収容するリザーバ(たとえば、シリンジ)と、送達工程の1つまたはそれ以上のステップを容易にするために必要とされる構成要素とを収容する、ハウジング11を含む。デバイス10はまた、ハウジング11に分離可能に装着することができるキャップアセンブリ12を含むことができる。一般的に、ユーザは、デバイス10が操作される前に、キャップ12をハウジング11から取り外さなければならない。
【0032】
図示されるように、ハウジング11は、ほぼ円筒状であり、長手方向軸A-Aに沿ってほぼ一定の直径を有する。ハウジング11は遠位領域Dおよび近位領域Pを有する。「遠位」という用語は、注射部位に比較的近い場所を指し、「近位」という用語は、注射部位から比較的離れた場所を指す。
【0033】
デバイス10はまた、スリーブ19がハウジング11に対して動くことができるように、ハウジング11に連結されたニードルスリーブ19を含むことができる。たとえば、スリーブ19は、長手方向軸A-Aに平行な長手方向で動くことができる。具体的には、スリーブ19が近位方向に動くことによって、針17がハウジング11の遠位領域Dから延びることができる。
【0034】
針17の挿入はいくつかの機構を介して行うことができる。たとえば、針17は、ハウジング11に対して固定的に位置してもよく、最初は、延びたニードルスリーブ19内に位置してもよい。スリーブ19の遠位端を患者の身体に接して置き、ハウジング11を遠位方向に動かすことによるスリーブ19の近位運動により、針17の遠位端が現れる。かかる相対的な動きによって、針17の遠位端が患者の体内へ延びることができる。かかる挿入は、患者がハウジング11をスリーブ19に対して手で動かすことによって、針17が手動で挿入されるので、「手動」挿入と呼ばれる。
【0035】
別の挿入形態は、「自動化された」ものであり、針17がハウジング11に対して動く。かかる挿入は、スリーブ19の動きによって、またはたとえばボタン13などの別の起動形態によって、トリガすることができる。図1Aおよび図1Bに示されるように、ボタン13はハウジング11の近位端に位置する。しかしながら、他の実施形態では、ボタン13はハウジング11の側面に位置することができる。
【0036】
他の手動または自動機構は、薬物注射もしくは針の引き込み、または両方を含むことができる。注射は、針17を通してシリンジ18から薬剤を押し出すために、栓またはピストン14が、シリンジ18内の近位位置からシリンジ18内のより遠位の位置へ動かされる工程である。いくつかの実施形態では、デバイス10が起動される前は、駆動ばね(図示せず)は圧縮下にある。駆動ばねの近位端は、ハウジング11の近位領域P内で固定することができ、駆動ばねの遠位端は、圧縮力をピストン14の近位面に加えるように構成することができる。起動に続いて、駆動ばねに蓄えられたエネルギーの少なくとも一部を、ピストン14の近位面に加えることができる。この圧縮力はピストン14に作用して、ピストンを遠位方向に動かす。かかる遠位方向の動きは、シリンジ18内の液体薬剤を圧縮して針17から押し出すように作用する。
【0037】
注射に続いて、針17をスリーブ19またはハウジング11内に引き込むことができる。引き込みは、ユーザがデバイス10を患者の身体から取り除く際に、スリーブ19が遠位方向に動いたときに起こり得る。これは、針17がハウジング11に対して固定的に位置したままのときに起こり得る。スリーブ19の遠位端が針17の遠位端を超えて動き、針17が覆われると、スリーブ19をロックすることができる。かかるロックは、ハウジング11に対するスリーブ19の近位方向の動きをロックすることを含み得る。
【0038】
針引き込みの別の形態は、針17をハウジング11に対して動かした場合に起こり得る。かかる動きは、ハウジング11内のシリンジ18をハウジング11に対して近位方向に動かした場合に起こり得る。この近位方向の動きは、遠位領域Dに位置する引き込みばね(図示せず)を使用することによって達成できる。圧縮された引き込みばねを起動すると、シリンジ18を近位方向に動かすために十分な力をシリンジ18に供給することができる。十分な引き込みに続いて、針17とハウジング11との間の任意の相対的な動きを、ロッキング機構を用いてロックすることができる。それに加えて、ボタン13、またはデバイス10の他の構成要素を必要に応じてロックすることができる。
【0039】
次に図2および図3を参照すると、本発明の第1の実施形態による注射デバイス20が示されている。注射デバイス20は自動注射器20の形態であり、図1Aおよび図1Bに関連して上述した自動注射器10と類似の機能を有しており、同様の機能は同じ参照番号を有している。相違点は、上述した自動注射器10のキャップ12が省略され、代替のキャップ21と置き換えられている点である。
【0040】
本発明の第1の実施形態における自動注射器20のキャップ21は、ニードルシールド22および外側キャップ23を含む。外側キャップ23は管状部分24を含み、一端にフランジ25を有している。ニードルシールド22は、外側キャップ23の管状部分24内に受け入れられ、そこに固定される。
【0041】
キャップ21は、(図2に示されるように)外側キャップ23の管状部分24が本体11の開いた遠位端11Aに受け入れられ、フランジ25が開いた遠位端11Aに当接するように、本体11に取外し可能に取付け可能である。キャップ21がこの位置にあるとき、ニードルシールド22は、針17が遮蔽されて、針17が汚染されるかまたは患者を傷付けるのを防ぐようにして、針17を受け入れる。
【0042】
キャップ21は、付勢部材26およびロック27をさらに含む。付勢部材26はつる巻きばね26の形態である。ばね26は、ばね26が自動注射器20の中心軸A-Aの周りに延びるように、管状部分24の外側に位置する。
【0043】
本体11は、本体11の周囲壁から自動注射器20の中心軸A-Aに向かって径方向で延びる、環状の内側肩部11Bを含む。ばね26は、針17がニードルシールド22に受け入れられると、本体11の内側肩部11Bと外側キャップ23のフランジ25との間で圧縮される。したがって、ばね26は、(図2に示される矢印「F」の方向で)キャップ21が本体11に取り付けられるとき、外側キャップ23を本体11から離れる方向で付勢する。
【0044】
ロック27はラッチの形態である。ロック27は、第1および第2のロッキング部材28、29を含む。第1のロッキング部材28は外側キャップ23のフランジ25から延びる。第1のロッキング部材28は、キャップ21が本体11上に受け入れられると、自動注射器20の近位端Pに向かって延びるように配置され、凹部28Aを含む。第2のロッキング部材29は、本体11の周囲壁の外側から径方向に延び、本体11の開いた周囲端部11Aに配設される。
【0045】
外側キャップ23は、自動注射器20の中心軸A-Aを中心にして本体11に対して回転されて、ロック27をロック状態とロック解除所帯との間で動かすように構成される。ロック27がロック状態のとき、第1および第2のロッキング部材28、29は、(図2に示されるように)第2のロッキング部材29の一部が第1のロッキング部材28の凹部28Aに受け入れられて、キャップ21が本体11に対して軸方向で動くのを防ぐように係合する。ロック27をロック解除状態へ動かすには、外側キャップ23を本体11に対して捩って第1および第2のロッキング部材28、29を係合解除させて、第2のロッキング部材29が第1のロッキング部材28の凹部28Aに受け入れられていないようにする。第1および第2のロッキング部材28、29が係合解除されると、キャップ21を本体11から軸方向に離れるように動かすことができる。
【0046】
キャップ21は、最初は本体11に取り付けられているので、針17はニードルシールド22に完全に受け入れられており、ロック27は(図2に示されるように)ロック状態にあって、ばね26の力に対抗して本体11上の定位置でキャップ21を保持する。そのため、針17はニードルシールド22に覆われて、針17が滅菌状態で保たれ、針17が患者を傷付けるのを防いでいる。
【0047】
薬剤を注射するには、最初にキャップ21を本体11から取り外して針17を露出させる。本体11からのキャップ21の取外しは、患者が外側キャップ23のフランジ25に力を及ぼして、自動注射器20の中心軸A-Aを中心にして外側キャップ23を本体11に対して捩り、それによってロック27をロック状態からロック解除状態へ動かすことによって達成される。これにより、第1および第2のロッキング部材28、29が係合解除して、外側キャップ23が本体11に対して軸方向で動くことができるようになる。したがって、ロック27は、ばね26の付勢力に対抗して本体11上の定位置でキャップ21を保持しなくなるので、ばね26の付勢力によって外側キャップ23が本体11から離れるように(図2に示される矢印「F」の方向に)動く。
【0048】
したがって、外側キャップ23に対して軸方向で固定されたニードルシールド22も、(図3に示されるように)針17がニードルシールド22に受け入れられなくなり、キャップ21が本体11から分離されるまで、本体11から離れるように動かされる。
【0049】
キャップ21が本体11から取り外されるので、本体11の開いた遠位端11Aが患者の注射部位に接して押し上げられる。次に、投薬ボタン(図示せず)が押し下げられて、投薬機構(図示せず)が針17を注射部位に向かって動かし、薬剤を注射部位に投薬する。代替実施形態(図示せず)では、注射デバイス20は、本体11の開いた遠位端11Aが患者の注射部位に接して押し上げられると、針17が注射部位に向かって自動で動くように、ならびに/または薬剤が自動的に投薬されるように構成される。
【0050】
したがって、付勢部材26およびロック27によって、患者がキャップ21を本体11から取り外すのがより簡単になる。これは、患者が、外側キャップ23を捩ってロック27をロック状態からロック解除状態へ動かすために十分な力を、外側キャップ23に対して及ぼすだけで良いためである。次に、付勢部材26の付勢力がキャップ21と本体11と針17との間の摩擦を克服して、ニードルシールド22を針17から分離する。ロック27をロック解除状態へ動かすために必要とする力は、キャップ21と本体11と針17との間の摩擦を克服するのに必要な力よりも大幅に少なくてもよい。さらに、キャップ21を本体11から取り外すために必要とされる捩じる動きによって、キャップ21が不用意に取り外される可能性が低くなる。
【0051】
次に図4図7Cを参照すると、本発明の第2の実施形態による注射デバイス30が示されている。注射デバイス30は、自動注射器30の形態であり、図2および図3に示される本発明の第1の実施形態に関連して上述した自動注射器20と類似の機能を有しており、同様の機能は同じ参照番号を有している。相違点は、第1の実施形態のキャップ21のロック27が省略され、代替のロックと置き換えられている点である。
【0052】
ロックは、複数のバヨネット連結31の形態である。バヨネット連結31は、自動注射器30の中心軸A-Aを中心にして離間されている。バヨネット連結31はそれぞれロッキング部材32およびトラック33を含む。ロッキング部材32は、外側キャップ23のフランジ25から延びる。ロッキング部材32は、ニードルシールド22の近位端に向かって軸方向に延びる。各ロッキング部材32の端部は、自動注射器30の中心軸A-Aに向かって径方向内向きに延びるピン32Aを含む。
【0053】
各トラック33は、本体11の周囲面に形成され、非線形である。より具体的には、各トラック33はほぼU字形である。トラック33は、キャップ21が本体11に取り付けられたとき、対応するロッキング部材32のピン32Aをそれぞれ受け入れるように構成される。
【0054】
各トラック33は、第1、第2、および第3のトラック部分33A、33B、33Cを有する。第1のトラック部分33Aは、本体11の開いた遠位端11Aから自動注射器30の近位端Pに向かって軸方向に延びる。第2のトラック部分33Bは、第1のトラック部分33Aの端部から円周方向に延びる。第3のトラック部分33Cは、第2のトラック部分33Bの第1のトラック部分33Aとは反対側の端部から軸方向に延びる。第3のトラック部分33Cは、本体11の開いた遠位端11Aに向かって延びるが、開いた遠位端11Aの前で終端する。
【0055】
外側キャップ23は、本体11に対して動かされて、ロックをロック状態とロック解除状態との間で動かすように構成される。より具体的には、外側キャップ23は本体11に対して動かされて、各バヨネット連結31をロック状態(図7Aに示される)とロック解除状態(図7Cに示される)との間で動かす。
【0056】
各バヨネット連結31がロック状態のとき、各ロッキング部材32のピン32Aは、(図7Aに示されるように)対応する第3のトラック部分33Cに受け入れられ、それによって付勢部材26の付勢力が、各ピン32Aを、本体11の開いた遠位端11Aに最も近い第3のトラック部分33Cの端部に対して付勢する。そのため、キャップ21が本体11から離れるように軸方向に動くことが防止される。
【0057】
各バヨネット連結31をロック解除状態へ動かすように、外側キャップ23は、本体11に向かって軸方向で付勢されて、各ロッキング部材32のピン32Aを、本体11の開いた遠位端11Aから離れるように軸方向で動かす。これにより、ロックが、より具体的には各バヨネット連結31が、(図7Bに示されるような)中間状態へ動いて、各ピン32Aが対応する第3のトラック部分33Cに沿って動き、対応する第2のトラック部分33Bの端部に入る。中間状態では、ピン32Aは対応する第2のトラック部分33Bの壁と係合し、それによってロックは、外側キャップ23が本体11に対して軸方向で動くのを防ぐ。
【0058】
ロックが中間状態にある状態で、次に外側キャップ23を本体11に対して捩って、各ロッキング部材32のピン32Aを本体11に対して円周方向で動かす。これにより、ロックが中間状態からロック解除状態へ動き、各ピン32Aがそれぞれの第2のトラック部分33Bに沿って動き、本体11の開いた遠位端11Aの遠位にある、対応する第1のトラック部分33Aの端部に入る。ロックがロック解除状態のとき、外側キャップ23は、付勢部材26の付勢力によってキャップ21が本体21から離れるように動くように、本体11に対して軸方向で動くことができる。
【0059】
キャップ21は、最初は本体11に取り付けられているので、針17は、(図4に示されるように)ニードルシールド22に完全に受け入れられており、ロックはロック状態にあって、付勢部材26の力に対抗して本体11上の定位置でキャップ21を保持する。そのため、針17はニードルシールド22に覆われて、針17が滅菌状態で保たれ、針17が患者を傷付けるのを防いでいる。
【0060】
薬剤を注射するには、最初にキャップ21を本体11から取り外して針17を露出させる。本体11からのキャップ21の取外しは、患者が外側キャップ23に力を及ぼして、付勢部材26の付勢力に対抗して外側キャップ23を本体11に向かって軸方向に(図4の矢印「F」の反対方向に)押しやり、それによってロックを、より具体的には各バヨネット連結31を(図7Bに示されるような)中間状態へ動かすことによって達成される。次に、患者は、外側キャップ23を本体11に対して捩って、ロックを中間状態から(図7Cに示されるような)ロック解除状態へ動かす。ロック解除状態では、ロックの各バヨネット連結31は、付勢部材26の付勢力に対抗してキャップ21を本体11上の定位置で保持しなくなるので、付勢力によって外側キャップ23が本体11から離れるように(図4に示される矢印「F」の方向に)動く。
【0061】
したがって、外側キャップ23に対して軸方向で固定されたニードルシールド22は、ロックが中間状態からロック解除状態へ動かされると、(図5に示されるように)針17がニードルシールド22に受け入れられなくなり、キャップ21が本体11から分離されるまで、本体11から離れるように動かされる。
【0062】
キャップ21が本体11から取り外されるので、本体11の開いた遠位端11Aが患者の注射部位に接して押し上げられる。次に、投薬ボタン(図示せず)が押し下げられて、投薬機構(図示せず)が針17を注射部位に向かって動かし、薬剤を注射部位に投薬する。代替実施形態(図示せず)では、注射デバイス30は、本体11の開いた遠位端11Aが患者の注射部位に接して押し上げられると、針17が注射部位に向かって自動で動くように、ならびに/または薬剤が自動的に投薬されるように構成される。
【0063】
したがって、付勢部材26およびロックによって、患者がキャップ21を本体11から取り外すのがより簡単になる。これは、患者が、ロックを中間状態へ動かし、次に外側キャップ23を本体11に対して捩ってロックを中間状態からロック解除状態へ動かすために、外側キャップ23を少量だけ本体11に向かって動かすだけで良いためである。付勢部材26の付勢力は、キャップ21を本体11から分離するために、キャップ21と本体11と針17との間の摩擦を克服するのに十分である。さらに、ロックをロック状態からロック解除状態へ動かすために、キャップ21を2つの異なる方向に動かさなくてはならず、すなわち、最初に本体11に向かって軸方向に動かし、次に本体11に対して回転させなければならないので、キャップ21が本体11から不用意に取り外される可能性は低い。たとえば、外側キャップ23が本体11に向かって不用意に押されてロックを中間状態へ動かした場合、付勢部材26は外側キャップ23を付勢して本体11から離れるように戻すので、ロックがロック状態に戻る。
【0064】
上述した第2の実施形態では、ロッキング部材32は外側キャップ23から延び、トラック33は本体11に形成されるが、代替実施形態(図示せず)では、ロッキング部材は本体から延び、トラックは外側キャップに形成される。
【0065】
上述した第2の実施形態では、ロックは複数のバヨネット連結31を含むが、代替実施形態(図示せず)では、ロックは単一のバヨネット連結を含む。
【0066】
上述した第1および第2の実施形態では、ロックは本体11および外側キャップ23の外側にあるが、代替実施形態(図示せず)では、ロックは本体および外側キャップの内側にある。
【0067】
上述した第1および第2の実施形態では、付勢部材26は外側キャップ23に対抗して付勢されて、キャップ21を本体11から離れるように付勢する。しかしながら、代替実施形態(図示せず)では、付勢部材はその代わりに、キャップの別の部分に対抗して付勢されるように配置される。1つのかかる代替実施形態では、付勢部材は、キャップが本体に取り付けられるとき、ニードルシールドと本体との間で圧縮され、それによって付勢部材がニードルシールドに対抗して付勢されて、キャップを本体から離れるように軸方向で付勢する。
【0068】
上述した第1および第2の実施形態では、付勢部材26の付勢力は、ロック27をロック状態からロック解除状態へ動かしたとき、キャップ21が本体11から完全に分離されるのに十分に大きい力である。代替実施形態(図示せず)では、付勢部材26によって外側キャップ23に及ぼされる付勢力は、キャップ21を本体11上で保持する摩擦力よりも小さい。したがって、ロック27をロック状態からロック解除状態へ動かしたとき、外側キャップ23は本体11から離れるように軸方向に動かない。しかしながら、外側キャップ23に作用する付勢部材26の力によって、患者がキャップ21を本体11から取り外すのに及ぼさなければならない力が低減される。
【0069】
次に図8Aおよび図8Bを参照すると、本発明の第3の実施形態による注射デバイスの一部が示されている。注射デバイスは自動注射器の形態であり、図4図7Cに関連して上述した自動注射器30と類似の機能を有しており、同様の機能は同じ参照番号を有している。相違点は、ロックのバヨネット連結31が省略され、代替のバヨネット連結41と置き換えられている点である。
【0070】
バヨネット連結41は、自動注射器の中心軸を中心にして離間されている。各バヨネット連結41は、図4図7Cに示される自動注射器30のバヨネット連結31と同様に、自動注射器の中心軸に向かって径方向内向きに延びるピン42Aを有するロッキング部材(図示せず)を含む。
【0071】
バヨネット連結41はそれぞれトラック43を含む。各トラック43は、本体11の周囲面に形成され、非線形である。より具体的には、各トラック43はほぼL字形である。トラック43は、キャップが本体11に取り付けられたとき、対応するロッキング部材のピン42Aをそれぞれ受け入れるように構成される。
【0072】
各トラック43は、第1および第2のトラック部分43A、43Bを有する。第1のトラック部分43Aは、本体11の開いた遠位端から自動注射器の近位端に向かって軸方向に延びる。第2のトラック部分33Bは、第1のトラック部分43Aの端部から円周方向に延びる。トラック43は、第2のトラック部分43B内へ突出し、第1のトラック部分43Aの遠位にある第2のトラック部分の端部に向かって配設される、突起44をさらに含む。
【0073】
外側キャップは、本体11に対して動かされて、各バヨネット連結41をロック状態(図8Aに示される)とロック解除状態(図8Bに示される)との間で動かすように構成される。
【0074】
各バヨネット連結41がロック状態のとき、各ロッキング部材のピン42Aは、(図8Aに示されるように)対応する第2のトラック部分43Bに受け入れられ、それによって付勢部材の付勢力が、各ピン42Aを第2のトラック部分43Bの縁部に対して付勢する。そのため、キャップが本体11から離れるように軸方向に動くことが防止される。さらに、バヨネット連結41がロック状態のとき、各ロッキング部材のピン42Aはそれぞれの突起44に当接し、それによってピン42Aが第2のトラック部分43B内で動くことが防止される。そのため、突起44は、キャップと本体11との間の回転方向の動きに抵抗して、キャップが本体11から不用意に取り外されるのを防ぐ。
【0075】
各バヨネット連結41をロック解除状態へ動かすには、外側キャップを本体11に対して捩って、各ロッキング部材のピン42Aが対応する突起44を越えるように付勢し、それによって各ピン42Aが本体11に対して円周方向で動かされる。これにより、ロックがロック状態からロック解除状態へ動き、各ピン42Aがそれぞれの第2のトラック部分43Bに沿って動き、本体11の開いた遠位端の遠位にある、対応する第1のトラック部分43Aの端部に入る。ロックがロック解除状態のとき、外側キャップは、付勢部材の付勢力によってキャップが本体11から離れるように動くように、本体11に対して軸方向で動くことができる。
【0076】
そのため、患者は、外側キャップを本体11に対して捩って、ロックをロック状態(図8Aに示される)からロック解除状態(図8Bに示される)へ動かすことができ、針がニードルシールドに受け入れられなくなり、キャップが本体11から分離されるまで、ばねの付勢力によって外側キャップが本体11から離れるように動く。
【0077】
次に図9Aおよび図9Bを参照すると、本発明の第4の実施形態による注射デバイスの一部が示されている。注射デバイスは自動注射器の形態であり、図4図7Cに関連して上述した自動注射器30と類似の機能を有しており、同様の機能は同じ参照番号を有している。相違点は、ロックのバヨネット連結31が省略され、代替のバヨネット連結51と置き換えられている点である。
【0078】
バヨネット連結51は、自動注射器の中心軸を中心にして離間されている。各バヨネット連結51は、図4図7Cに示される自動注射器30のバヨネット連結31と同様に、自動注射器の中心軸に向かって径方向内向きに延びるピン52Aを有するロッキング部材(図示せず)を含む。
【0079】
バヨネット連結51はそれぞれトラック53を含む。各トラック53は、本体11の周囲面に形成され、非線形であって、ほぼL字形の部分を有する。トラック53は、キャップが本体11に取り付けられたとき、対応するロッキング部材のピン52Aをそれぞれ受け入れるように構成される。
【0080】
各トラック53は、第1および第2のトラック部分53A、53Bを有する。第1のトラック部分53Aは、本体11の開いた遠位端から自動注射器の近位端に向かって延びる。第1のトラック部分53Aは、自動注射器の中心軸に対してある角度で延びる部分を含む。第2のトラック部分53Bは、第1のトラック部分53Aの端部から円周方向に延びる。トラック53は、第2のトラック部分53B内へ突出し、第1のトラック部分53Aの遠位にある第2のトラック部分の端部に向かって配設される、突起54をさらに含む。
【0081】
外側キャップは、本体11に対して動かされて、各バヨネット連結51をロック状態(図9Aに示される)とロック解除状態(図9Bに示される)との間で動かすように構成される。
【0082】
各バヨネット連結51がロック状態のとき、各ロッキング部材のピン52Aは、(図9Aに示されるように)対応する第2のトラック部分53Bに受け入れられ、それによって付勢部材の付勢力が、各ピン52Aを第2のトラック部分53Bの縁部に対して付勢する。そのため、キャップが本体11から離れるように軸方向に動くことが防止される。さらに、バヨネット連結51がロック状態のとき、各ロッキング部材のピン52Aはそれぞれの突起54に当接し、それによってピン52Aが第2のトラック部分53B内で動くことが防止される。そのため、突起54は、キャップと本体11との間の回転方向の動きに抵抗して、キャップが本体11から不用意に取り外されるのを防ぐ。
【0083】
各バヨネット連結51をロック解除状態へ動かすには、外側キャップを本体11に対して捩って、各ロッキング部材のピン52Aが対応する突起54を越えるように付勢し、それによって各ピン52Aが本体11に対して円周方向で動かされる。これにより、ロックがロック状態からロック解除状態へ動き、各ピン52Aがそれぞれの第2のトラック部分53Bに沿って動き、本体11の開いた遠位端の遠位にある、対応する第1のトラック部分53Aの端部に入る。
【0084】
ロックがロック解除状態のとき、外側キャップは、付勢部材の付勢力によってキャップが本体11から離れるように動くように、本体11に対して軸方向で動くことができる。しかしながら、第1のトラック部分53Aは自動注射器の中心軸に対してある角度で延びるので、ピン52Aが第1のトラック部分53Aに沿って本体11に対して軸方向で動くにつれて、キャップは本体11に対して回転するはずである。キャップは、本体11から離れるように動くにつれて本体11に対して回転するはずなので、バヨネット連結がロック状態からロック解除状態へ動かされると、キャップは、ばねの力の下で、より遅い速度で本体11から離れるように軸方向で動き、それによって本体11からのキャップのより制御された取外しが達成される。
【0085】
そのため、患者は、外側キャップを本体11に対して捩って、ロックをロック状態からロック解除状態へ動かすことができ、針がニードルシールドに受け入れられなくなり、キャップが本体11から分離されるまで、ばねの付勢力によって外側キャップが本体11から離れるように動く。
【0086】
次に図10A図10Dを参照すると、本発明の第5の実施形態による注射デバイスの一部が示されている。注射デバイスは自動注射器の形態であり、図4図7Cに関連して上述した自動注射器30と類似の機能を有しており、同様の機能は同じ参照番号を有している。相違点は、ロックのバヨネット連結31が省略され、代替のバヨネット連結61と置き換えられている点である。
【0087】
バヨネット連結61は、自動注射器の中心軸を中心にして離間されている。各バヨネット連結61は、図4図7Cに示される自動注射器30のバヨネット連結31と同様に、自動注射器の中心軸に向かって径方向内向きに延びるピン62Aを有するロッキング部材(図示せず)を含む。
【0088】
バヨネット連結61はそれぞれトラック63を含む。各トラック63は、本体11の周囲面に形成される。トラック63は、キャップが本体11に取り付けられたとき、対応するロッキング部材のピン62Aをそれぞれ受け入れるように構成される。
【0089】
各トラック63は非線形であり、第1、第2、第3、および第4のトラック部分63A、63B、63C、および63Dを有する。第1のトラック部分63Aは、本体11の開いた遠位端から自動注射器の近位端に向かって延びる。第2のトラック部分63Bは、第1のトラック部分63Aの端部から円周方向に延びる。第3のトラック部分63Cは、第1のトラック部分63Aの遠位にある第2のトラック部分63Bの端部から離れて軸方向に延び、自動注射器の近位端に向かって延びる。第4のトラック部分63Dは、第2のトラック部分63Bの遠位にある第3のトラック部分63Cの端部から円周方向に延びる。
【0090】
トラック63は、第4のトラック部分63D内へ突出し、第3のトラック部分63Cの遠位にある第4のトラック部分の端部に向かって配設される、突起64をさらに含む。
【0091】
外側キャップは、本体11に対して動かされて、各バヨネット連結61をロック状態(図10Aに示される)とロック解除状態(図10Dに示される)との間で、第1および第2の中間状態を介して(図10Bおよび10Cに示される)動かすように構成される。
【0092】
各バヨネット連結61がロック状態のとき、各ロッキング部材のピン62Aは、(図10Aに示されるように)対応する第4のトラック部分63Dに受け入れられ、それによって付勢部材の付勢力が、各ピン62Aを第4のトラック部分63Dの縁部に対して付勢する。そのため、キャップが本体11から離れるように軸方向に動くことが防止される。さらに、バヨネット連結61がロック状態のとき、ピン62Aは突起64に当接し、それによってピン62Aが第4のトラック部分63D内で動くことが防止される。そのため、突起64は、キャップと本体11との間の回転方向の動きに抵抗して、キャップが本体11から不用意に取り外されるのを防ぐ。
【0093】
各バヨネット連結61をロック解除状態へ動かすには、外側キャップを本体11に対して捩って、各ロッキング部材のピン62Aが対応する突起64を越えるように付勢し、それによって各ピン62Aが本体11に対して円周方向で動かされる。これにより、ロックがロック状態から第1の中間状態へ動き、各ピン62Aがそれぞれの第4のトラック部分63Dに沿って動き、(図10Bに示されるように)本体11の開いた遠位端の遠位にある、対応する第3のトラック部分63Cの端部に入る。
【0094】
ロックが第1の中間状態のとき、外側キャップは、付勢部材の付勢力によってキャップが本体11から離れるように軸方向に動くように、本体11に対して軸方向で動くことができる。これにより、ピン62Aが、第2のトラック部分63Bに近接する、第3のトラック部分63Cの端部に配設されるまで、各ピン62Aが対応する第3のトラック部分63C内で軸方向に動き、ロックが(図10Cに示されるような)第2の中間状態になる。ロックを第1の中間状態から第2の中間状態へ動かしたときの、本体11に対するキャップの軸方向運動の範囲は、第3のトラック部分63Cの長さに限定される。
【0095】
ロックが第2の中間状態のとき、ユーザは外側キャップを捩って、外側キャップを本体11に対して回転させることができる。これにより、ピン62Aが、第1のトラック部分63Aに近接する、第2のトラック部分63Bの端部に配設されるまで、各ピン62Aが対応する第2のトラック部分63B内で円周方向に動き、ロックが(図10Dに示されるような)ロック解除状態になる。
【0096】
ロックがロック解除状態のとき、外側キャップは、付勢部材の付勢力によってキャップが本体11から離れるように動いて、キャップを本体11から分離するように、本体11に対して軸方向で動くことができる。そのため、患者は、外側キャップを本体11に対して捩って、ロックをロック状態からロック解除状態へ動かすことができ、針がニードルシールドに受け入れられなくなり、キャップが本体11から分離されるまで、ばねの付勢力によって外側キャップが本体11から離れるように動く。
【0097】
キャップを本体11に対して段階的に回転させ、キャップを本体11から分離しなければならないので、すなわち第1の時間にロックをロック状態から第1の中間状態へ動かし、第2の時間にロックを第2の中間状態からロック解除状態へ動かすので、キャップが本体11から不用意に取り外されるのが防止される。さらに、キャップを本体11から段階的に取り外すことで、ロックがロック状態から離れるように動かされるとすぐに、キャップが本体11から完全に分離されるのを防止し、それによって本体11からのキャップのより制御された取外しが可能になる。
【0098】
次に図11Aおよび図11Bを参照すると、本発明の第6の実施形態による注射デバイスの一部が示されている。注射デバイスは自動注射器の形態であり、図8Aおよび図8Bに関連して上述した自動注射器と類似の機能を有しており、同様の機能は同じ参照番号を有している。相違点は、ロックのバヨネット連結41が省略され、代替のバヨネット連結71と置き換えられている点である。
【0099】
バヨネット連結71は、図8Aおよび図8Bに示される自動注射器のバヨネット連結41と同様に、自動注射器の中心軸に向かって径方向内向きに延びるピン72Aを有するロッキング部材(図示せず)を含む。バヨネット連結71は、本体11の周囲面に形成され、ほぼL字形であるトラック73を含む。トラック73は、キャップが本体11に取り付けられたとき、ロッキング部材のピン72Aを受け入れるように構成される。
【0100】
トラック73は、第1および第2のトラック部分73A、73Bを有する非線形である。第1のトラック部分73Aは、本体11の開いた遠位端から自動注射器の近位端に向かって軸方向に延びる。第2のトラック部分73Bは、第1のトラック部分73Aの端部から円周方向に延びる。
【0101】
トラック73は、第2のトラック部分73B内へ突出し、第1のトラック部分73Aの遠位にある第2のトラック部分の端部に向かって配設される、突起74をさらに含む。突起74は、突起74が本体11内へ動かされて第2のトラック部分73Bの表面と同一面になるように、本体11内へ弾性的に付勢されるように構成された、ボタン75に連結される。
【0102】
外側キャップは、本体11に対して動かされて、バヨネット連結71をロック状態(図11Aに示される)とロック解除状態(図11Bに示される)との間で動かすように構成される。
【0103】
バヨネット連結71がロック状態のとき、ロッキング部材のピン72Aは、(図11Aに示されるように)第2のトラック部分73Bに受け入れられ、それによって付勢部材の付勢力が、ピン72Aを第2のトラック部分73Bの縁部に対して付勢する。そのため、キャップが本体11から離れるように軸方向に動くことが防止される。さらに、バヨネット連結71がロック状態のとき、ロックのピン72Aは突起74に当接し、それによってピン72Aが第2のトラック部分73B内で動くことが防止される。そのため、突起74は、キャップと本体11との間の回転方向の動きに抵抗して、キャップが本体11から不用意に取り外されるのを防ぐ。
【0104】
バヨネット連結71をロック解除状態へ動かすように、ユーザは、ボタン75を本体11に押し込み、それによって突起74が本体11内へ動かされて第2のトラック部分73Bの表面と同一面になる。したがって、突起74は、キャップと本体11との間の回転方向の動きに抵抗しなくなるので、外側キャップを本体11に対して捩って、ピン72Aが本体11に対して円周方向で動かされるように、ロッキング部材のピン72Aを突起74の上で付勢することができる。これにより、ロックがロック状態からロック解除状態へ動き、ピン72Aがそれぞれの第2のトラック部分73Bに沿って動き、本体11の開いた遠位端の遠位にある第1のトラック部分73Aの端部に入る。ロックがロック解除状態のとき、外側キャップは、付勢部材の付勢力によってキャップが本体11から離れるように動いて、ピン72Aが第1のトラック部分73A内で軸方向に動くように、本体11に対して軸方向で動くことができる。
【0105】
そのため、患者は、外側キャップを本体11に対して捩って、ロックをロック状態(図11Aに示される)からロック解除状態(図11Bに示される)へ動かすことができ、針がニードルシールドに受け入れられなくなり、キャップが本体11から分離されるまで、ばねの付勢力によって外側キャップが本体11から離れるように動く。
【0106】
代替実施形態(図示せず)では、注射デバイスは、自動注射器の中心軸を中心にして離間された複数のバヨネット連結71を含む。各バヨネット連結71は、対応するトラック73に受け入れられるピン72Aを含む。各トラック73は、それぞれのボタン75が作動すると動かされる、対応する突起74を含む。
【0107】
図8A図11Bに関連して上述したバヨネット連結41、51、61、71は、ユーザが、バヨネット連結41、51、61、71をロック状態からロック解除状態へ動かすために、ばねの力に対抗して、エンドキャップを本体11に向かって軸方向に動かすことを必要としないという、技術的利点を提供する。
【0108】
次に図12図17を参照すると、本発明の第7の実施形態による注射デバイス80が示されている。注射デバイス80は自動注射器80の形態であり、図1Aおよび図1Bに関連して上述した自動注射器10と類似の機能を有しており、同様の機能は同じ参照番号を有している。相違点は、上述した自動注射器10のキャップ12が省略され、代替のキャップ81と置き換えられている点である。
【0109】
本発明の第7の実施形態における自動注射器80のキャップ81は、ニードルシールド82および外側キャップ83を含む。外側キャップ83は、同心で位置合わせされ、外側キャップ83の端壁から延びる、内側および外側の管状部分84、85を含む。ニードルシールド82は、外側キャップ83の内側管状部分84内に受け入れられ、それに固定される。
【0110】
キャップ81は、外側キャップ83の外側管状部分85の一部が本体11の開いた遠位端11Aに受け入れられて、それと摩擦係合するように、本体11に取外し可能に取付け可能である。外側管状部分85の端部は、(図13に示されるように)キャップ81が本体11に取り付けられたとき、引き込み可能なスリーブ19に当接する。キャップ81がこの位置にあるとき、ニードルシールド82は、針17が遮蔽されて、針17が汚染されるかまたは患者を傷付けるのを防ぐようにして、針17を受け入れる。
【0111】
引き込み可能なスリーブ19は、後退位置(図13および図17に示される)と伸長位置(図14図16に示される)との間で、本体11に対して摺動可能である。伸長位置では、引き込み可能なスリーブ19の端部19Aは、針17を越えて軸方向に延びて針17を遮蔽して、患者が針17によって傷付けられるのを防ぐ。引き込み可能なスリーブ19を後退位置へ動かすと、引き込み可能なスリーブ19は本体11内へ軸方向に摺動して、針17が、(図17に示されるように)引き込み可能なスリーブ19の端部19Aにあるアパーチャ19Bを通って軸方向に延びる。
【0112】
自動注射器80は、付勢部材86およびロック87をさらに含む。付勢部材86はつる巻きばね86の形態である。ばね86は、ばね86が自動注射器80の中心軸A-Aの周りに延びるように、引き込み可能なスリーブ19の内部に位置する。
【0113】
本体11は、本体11の周囲壁から自動注射器80の中心軸A-Aに向かって径方向で延びる、内側肩部11Bを含む。ばね86は、(図13および図17に示されるように)引き込み可能なスリーブ19が後退位置にあるとき、本体11の内側肩部11Bと引き込み可能なスリーブ19の端部19Aとの間で圧縮される。したがって、ばね86は、引き込み可能なスリーブ19の端部19Aを本体11から離れるように軸方向に(図13に示される矢印「F」の方向に)付勢し、それによって引き込み可能なスリーブ19が伸長位置へ付勢される。
【0114】
キャップ81が本体11に取り付けられるとき、外側管状部分85の端部が(図13に示されるように)引き込み可能なスリーブ19の端部19Aに当接するので、引き込み可能なスリーブ19の軸方向運動により、引き込み可能なスリーブ19の端部19Aによって外側キャップ83に力が及ぼされて、外側キャップ83およびニードルシールド82の対応する軸方向運動が生じる。したがって、ばね86はまた、キャップ81を本体11から離れるように軸方向に付勢する。同様に、キャップ81が本体11に取り付けられるとき、外側管状部分85が引き込み可能なスリーブ19の端部19Aに当接して、ばね86の力に対抗して引き込み可能なスリーブ19に力を及ぼして、引き込み可能なスリーブ19が後退位置で保持される。
【0115】
自動注射器80は、引き込み可能なスリーブ19の本体11に対する軸方向運動の範囲を制限するように構成された、第1および第2の止め具90、91を含む。本体11は、本体11の周囲壁から径方向内向きに突出して第1の止め具90をそれぞれ形成する、一対の突出部90を含む。引き込み可能なスリーブ19は、一対の突出部90を摺動可能に受け入れるように構成された、一対のスロット92を含む。自動注射器80の遠位端Dから離れた各スロット92の縁部91は、対応する第2の止め具91を形成する。第1の止め具90は、引き込み可能なスリーブ19を後退位置から伸長位置へ動かすと、それぞれ対応する第2の止め具91に当接して、引き込み可能なスリーブ19が本体11の外に延びることができる量を制限する。
【0116】
ロックは複数のラッチ87を含む。各ラッチ87は、ピン88および対応するトラック89を含む。ピン88は、本体11の周囲壁から径方向外向きに突出する。トラック89は、外側キャップ83の外側管状部分85にあるL字形の凹部である。各トラック89は、第1のトラック部分89Aおよび第2のトラック部分89Bを有する。第1のトラック部分89Aは、外側キャップ83の外側管状部分85の端部から軸方向に延びる。第2のトラック部分89Bはそれぞれ、対応する第1のトラック部分89Aの端部から円周方向に延びる。
【0117】
外側キャップ83は、自動注射器80の中心軸A-Aを中心にして本体11に対して回転されて、ロックをロック状態とロック解除状態との間で動かすように構成される。ロックがロック状態のとき、各ピン88は、(図12に示されるように)対応するトラック89の第2のトラック部分89Bに受け入れられて、第2のトラック部分89Bの壁と係合し、それによって本体11に対する外側キャップ83の軸方向運動が防止される。ロックをロック解除状態へ動かすには、外側キャップ83を本体11に対して捩って、各ピン88が外側キャップ83に対して円周方向に動かされて、対応する第1のトラック部分89Aに入る。ロックがロック解除状態のとき、ピン88は、外側キャップ83の端部に向かってそれぞれの第1のトラック部分89Aに対して軸方向に自由に動くので、外側キャップ83は本体11に対して軸方向に動くことができる。したがって、付勢部材86の付勢力は、ロックをロック状態からロック解除状態へ動かしたとき、キャップ81を本体11から離れるように軸方向に動かすことができる。
【0118】
キャップ81は、最初は本体11に取り付けられているので、針17はニードルシールド82に完全に受け入れられており、ロックは(図13に示されるように)ロック状態にあって、ばね86の付勢力に対抗して本体11上の定位置でキャップ81を保持する。そのため、針17はニードルシールド82に覆われて、針17が滅菌状態で保たれ、針17が患者を傷付けるのを防いでいる。さらに、外側キャップ83の外側管状部分85の端部は、引き込み可能なスリーブ19が後退位置で保持されるように、引き込み可能なスリーブ19の端部19Aに当接する。したがって、ロックがロック状態のとき、キャップ81は本体11上の定位置に保持され、引き込み可能なスリーブ19は後退位置で保持される。
【0119】
薬剤を注射するには、最初にキャップ81が本体11から取り外される。本体11からのキャップ81の取外しは、患者が外側キャップ83に力を及ぼして、自動注射器80の中心軸A-Aを中心にして外側キャップ83を本体11に対して捩り、それによってロックを、より具体的にはロックの各ラッチ87を、ロック状態からロック解除状態へ動かすことによって達成される。これにより、各ピン88が対応する第1のトラック部分89Aに入って、外側キャップ83が本体11に対して軸方向で動くことができるようになる。したがって、ロックは、ばね86の付勢力に対抗して、引き込み可能なスリーブ19およびキャップ81を本体11に対して定位置に保持しなくなるので、ばね86の付勢力によって、引き込み可能なスリーブ19の端部19Aが本体11から離れるように(図13の矢印「F」の方向に)動いて、引き込み可能なスリーブ19が後退位置から(図14に示される)伸長位置へ動く。引き込み可能なスリーブ19の端部19Aは、外側キャップ83の外側管状部分85に対抗して付勢されるので、引き込み可能なスリーブ19が伸長位置へ動くにつれて、外側キャップ83が本体11から離れるように軸方向に動かされる。したがって、外側キャップ83に固定されたニードルシールド82も、キャップ81が本体11から分離されるまで、本体11から離れるように動かされ、(図14に示されるように)針17がニードルシールド82から部分的に取り外される。
【0120】
外側キャップ83が本体11から分離され、(図14に示されるように)針17がニードルシールド82から部分的に取り外されて、外側キャップ83は単に引き込み可能なスリーブ19の端部19Aを緩く覆う。したがって、患者は、キャップ81が引き込み可能なスリーブ19から完全に分離されて、(図16に示されるように)引き込み可能なスリーブ19の端部19Aが露出するまで、(図15に示されるように)引き込み可能なスリーブ19から離れるように外側キャップ83を簡単に引っ張ることができる。
【0121】
キャップ81が本体11および引き込み可能なスリーブ19から取り外されて、引き込み可能なスリーブ19の端部19Aは患者の注射部位に押し付けられて、引き込み可能なスリーブ19が摺動して本体11に入る。したがって、引き込み可能なスリーブ19は、(図16に示されるような)伸長位置から(図17に示されるような)後退位置へ摺動されて、針17が引き込み可能なスリーブ19のアパーチャ19Bを通って延び、患者の注射部位へ動いて薬剤を投薬する。そのため、付勢部材86は、外側キャップ83が本体11から取り外されると、引き込み可能なスリーブ19を伸長位置へ自動的に動かして、患者を不用意に傷付けるのを防ぐように構成される。さらに、引き込み可能なスリーブ19は、キャップ81を本体11から離れるように付勢するのに使用されるのと同じ付勢部材86によって、伸長位置へ付勢されるので、第2の付勢部材がこの目的に使用された場合と比べて、自動注射器80の重量、コスト、および複雑さが低減される。
【0122】
ばね86は、急なばね特性曲線を有するので、ばね86が圧縮されたとき、ばね86は、部分的に延ばされたときよりも大きい付勢力を引き込み可能なスリーブ19に及ぼす。したがって、(図13に示されるように)キャップ81が本体11に取り付けられ、ロックがロック状態のとき、比較的大きい付勢力が引き込み可能なスリーブ19に及ぼされる。これは、ばね86の付勢力が、キャップ81と本体11と針17との間の摩擦力を克服して、キャップ81を本体11から離れるように動かすために十分であることを確実にする助けとなる。さらに、ばね86の急なばね特性曲線の結果、(図17に示されるように)キャップ81が本体11から取り外され、引き込み可能なスリーブ19が伸長位置にあるとき、比較的小さい付勢力が引き込み可能なスリーブ19に及ぼされるので、引き込み可能なスリーブ19を伸長位置から本体11内へ軸方向で小さい距離動かして、針17を露出させるために必要とされる力は比較的少ない。これにより、引き込み可能なスリーブ19を伸長位置から離れるように動かして、注射の間、針17を露出させるために、引き込み可能なスリーブ19の端部19Aを患者の注射部位に押し付けるのに用いられる力が低減され、それによって患者の快適さが改善される。
【0123】
上述の実施形態では、付勢部材26、86はつる巻きばね26、86の形態であるが、他のタイプの付勢部材が本発明の範囲内にあるものとすることが認識されるであろう。たとえば、付勢部材は、あるいは、ねじりばね、圧縮ばね、または時計ばねなど、異なるタイプのばねを含むことができる。別の実施形態では、付勢部材は、キャップが本体に取り付けられたときに圧縮されてばねとして作用する、弾性材料を含む。さらに別の実施形態では、付勢部材は空気圧式アクチュエータを含む。空気圧式アクチュエータは、キャップを本体から離れるように軸方向に付勢するために、本体とキャップまたは引き込み可能なスリーブとの間のチャンバ内の空気圧を増加させるように構成することができる。空気圧式アクチュエータは、チャンバに流体連結される圧縮空気源を含むことができる。さらに別の実施形態では、付勢部材は、キャップまたは引き込み可能なスリーブを本体から離れるように軸方向に付勢するように構成された、液圧式アクチュエータを含む。液圧式アクチュエータは、キャップを本体から離れるように付勢するように配置される、液圧作動式のピストンを含むことができる。
【0124】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0125】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0126】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1カ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約-4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0127】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0128】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体もしくはGLP-1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0129】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0130】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP-1、GLP-1類似体およびGLP-1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン-4(Exendin-4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC-2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド(Exenatide)-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0131】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0132】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0133】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0134】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG-F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0135】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0136】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペプチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0137】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0138】
例示的な抗体は、アンチPCSK-9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL-6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL-4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0139】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0140】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1~C6-アルキル基、場合により置換されたC2~C6-アルケニル基、場合により置換されたC6~C10-アリル基、または場合により置換されたC6~C10-ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0141】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0142】
本明細書に記載する物質、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)は、本発明の全範囲および精神から逸脱することなく行うことができ、本発明は、かかる修正ならびにそれらのあらゆる均等物を包含することを、当業者であれば理解するであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17