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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】呼吸治療のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20220510BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61M16/00 366
A61M16/06 A
A61M16/06 C
A61M16/00 305A
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2018530102
(86)(22)【出願日】2016-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 AU2016051210
(87)【国際公開番号】W WO2017096428
(87)【国際公開日】2017-06-15
【審査請求日】2019-12-03
(31)【優先権主張番号】62/265,700
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ホリー,リアム
(72)【発明者】
【氏名】マルーフ,ゴードン・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ディオン・チャールズ・チュウ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォダルチク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チュァンガン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-531540(JP,A)
【文献】特開2015-85202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースと接続される呼吸治療装置の1つ以上のコントローラにおける制御の方法であって、
前記患者インターフェースへ提供すべき空気の供給における所定の圧力および所定の流量を前記1つ以上のコントローラによって特定するステップであって、前記患者インターフェースは、通気孔を備えたマスク部を有する、ステップと、
前記1つ以上のコントローラが、患者の複数の呼吸周期の各々において、前記所定の流量を最大流量未満に制限するステップであって、前記最大流量は、前記通気孔を通過する空気の流量から前記患者の呼気の流量のピーク値を引いた値である、ステップと、
前記患者インターフェースへ提供されている前記空気の圧力および流量を圧力センサおよび流量センサによって決定するステップと、
第1の流れ生成器および第2の流れ生成器の設定の決定を前記1つ以上のコントローラによって制御するステップであって、各流れ生成器は、前記所定の圧力および前記所定の流量にそれぞれ対応するように前記患者インターフェースにおける前記空気の前記圧力および前記流量の同時制御ができるように、前記空気の流れを前記患者インターフェースへ提供するように構成される、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の流れ生成器および前記第2の流れ生成器の前記設定の決定を制御するステップは、前記第1の流れ生成器および前記第2の流れ生成器のうち少なくとも1つの出力の設定を調節するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者インターフェースは、前記空気の流れを前記患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部を有し、前記マスク部は、前記空気の圧力を前記患者へ付加する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスク部は鼻マスクである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記マスク部は1つ以上の鼻枕を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
連続的な口からの漏洩を検出するステップと、
前記連続的な口からの漏洩が検出されたときに前記所定の圧力を検出するステップと
をさらに含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の流れ生成器は、前記空気の流れを前記患者インターフェースの前記突起部を通じて提供するように構成され、前記第2の流れ生成器は、前記空気の圧力を前記患者インターフェースの前記マスク部へ提供するように構成される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の圧力および前記所定の流量のうち少なくとも1つは、前記患者の呼吸周期に対応する期間にわたって変動するように決定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の流量は、少なくともいくつかの所定の期間にわたって一定であり、前記所定の圧力は、前記所定の期間において一定である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記圧力および前記流量の前記同時制御は、前記通気孔のサイズの制御調節を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記通気孔は、能動型近位弁を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記呼吸治療装置は、気道陽圧治療および死腔治療のためのものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記気道陽圧治療は換気治療である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記所定の圧力および前記所定の流量が、有効性が等しくなる曲線に従うものとなるように前記1つ以上のコントローラによって前記所定の圧力および前記所定の流量を決定するステップをさらに含む請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラ内において目標換気量を解剖学的死腔情報および死腔治療による低減値に基づいて計算するステップをさらに含む請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
患者の気道へ空気の流れを送るシステムであって、
第1の流れ生成器および第2の流れ生成器であって、患者インターフェースを介して空気を患者へ提供するようにそれぞれ構成され、前記患者インターフェースは、通気孔を備えたマスク部を有する、第1の流れ生成器および第2の流れ生成器と、
1つ以上のコントローラであって、
前記患者インターフェースを介して前記患者へ提供されている前記空気の圧力および流量を圧力センサおよび流量センサによって決定するステップと、
前記患者インターフェースにおける前記空気の前記圧力および前記流量を所定の圧力および所定の流量にそれぞれ対応するように同時に制御するように、前記第1の流れ生成器および前記第2の流れ生成器を制御するステップと
を行うように構成された1つ以上のコントローラと
を有し、
前記1つ以上のコントローラはさらに、前記患者の複数の呼吸周期の各々において、前記所定の流量を最大流量未満に制限し、前記1つ以上のコントローラは、前記通気孔を通過する空気の流量から前記患者の呼気の流量のピーク値を引くことにより前記最大流量を求める、
システム。
【請求項17】
前記患者インターフェースをさらに含み、前記患者インターフェースは、前記空気の流れを前記患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部を有し、前記マスク部は、前記空気の圧力を前記患者へ付加する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記マスク部は鼻マスクである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記マスク部は1つ以上の鼻枕を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の流れ生成器は、前記空気の流れを前記突起部を通じて導き、前記第2の流れ生成器は、前記空気の圧力を前記マスク部へ付加する、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の流れ生成器の出力は、前記流量センサによって測定され、前記第2の流れ生成器の出力は、前記圧力センサによって測定される、請求項19または20に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上のコントローラは、前記所定の圧力および前記所定の流量のうち少なくとも1つを少なくともいくつかの期間にわたって一定値に維持するように、さらに構成される、請求項16~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラは、前記所定の圧力および前記所定の流量のうち少なくとも1つを前記患者の呼吸周期に対応する期間にわたって変動させるようにさらに構成される、請求項16~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記通気孔は調節可能な通気孔であり、前記1つ以上のコントローラは、前記圧力および前記流量を制御するように前記調節可能な通気孔のサイズを制御するように、さらに構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項25】
前記調節可能な通気孔は、能動型近位弁を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記空気の前記圧力および前記流量の同時制御により、前記患者へ気道陽圧治療および死腔治療が提供される、請求項16~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記気道陽圧治療は換気治療である、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つ以上のコントローラは、前記所定の圧力および前記所定の流量が、有効性が等しくなる曲線に従うものとなるように前記所定の圧力および前記所定の流量を決定するように構成される、請求項16~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記1つ以上のコントローラは、前記第1の流れ生成器および前記第2の流れ生成器を制御するように構成された1つのコントローラを含む、請求項16~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記1つ以上のコントローラは、前記第1の流れ生成器を制御するように構成された第1のコントローラと、前記第2の流れ生成器を制御するように構成された第2のコントローラとを含む、請求項16~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1のコントローラは、前記第2の流れ生成器によって提供されている前記空気の前記流量を得るように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記第2のコントローラは、前記第1の流れ生成器によって提供されている前記空気の圧力を得るように構成される、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、解剖学的死腔情報および死腔治療による低減値に基づいて目標換気量を計算するように構成される、請求項16~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、前記空気の前記所定の流量の段階的変化を制御することにより心拍出量推定値を生成するステップと、前記段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定するステップとを行うように構成される、請求項16~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記1つ以上のコントローラの前記コントローラは、睡眠の検出に応答して前記空気の前記所定の流量の段階的変化の制御を開始するように構成される、請求項34に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/265,700号(出願日:2015年12月10日)の利益を主張する。本明細書中、同文献全体を参考により援用する。
【0002】
2 連邦支援の研究または開発に関する陳述
適用無し
【0003】
3 配列表
適用無し
【0004】
4 背景技術
4.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患の検出、診断、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。詳細には、本技術は、医療デバイスまたは装置およびその使用に関連し、患者の呼吸器系へ治療ガスを方向付けるためのデバイスを含み得る。
【背景技術】
【0005】
4.2 関連技術の説明
4.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0006】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2011。
【0007】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。
【0008】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は睡眠呼吸障害(SDB)の一つで、睡眠時の上部気道の閉鎖または閉塞が特徴である。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。この条件で罹患患者は典型的には30から120秒の間呼吸が停止し、場合によっては一晩で200から300回呼吸停止が起こる。昼間に過剰な眠気を生じることがたびたびあり、これは心臓血管疾患と脳損傷を起こすことがある。この症候群は、特に太りすぎの中年男性に共通する障害であるが、罹患者は、この問題に気付いていないことがある。米国特許4,944,310(Sullivan)を参照。
【0009】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は患者の呼吸調整器の障害であり、この場合、呼吸の漸増と漸減が交互に律動的に生じ、動脈血の脱酸素化と再酸素化が繰り返し生じる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許6,532,959(Berthon-Jones)を参照。
【0010】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の既知の原因がない場合、重症の肥満と覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせと定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0011】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0012】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0013】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、深刻な呼吸不全を引き起こし得る。呼吸不全の症候には、労作時呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性肺感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質不良および食欲不振が含まれる。
【0014】
一方、健常人はシステムと装置を利用して呼吸器疾患の発症を防止することができる。
【0015】
4.2.2 療法
経鼻持続陽圧呼吸(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用メカニズムとしては、軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続的気道陽圧療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を予防する。
【0016】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助(圧力補助)を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能(たとえば機械的呼吸機能)の一部または全体を行うことにより、完全呼吸中の患者および/または身体中の適切な酸素レベルの維持することを補助する。換気補助が、患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。
【0017】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。
【0018】
高流量療法(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れをシールされていないかまたは開口したインターフェースを通じて気道入口へピーク吸気流以上の流量で提供することである。HFTは、OSA、CSR、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔治療(DST)と呼ばれる場合がある。
【0019】
別の形態の流れ治療として、酸素補充治療がある。酸素補充治療においては、シールされていないインターフェースを通じて高パーセントの酸素を含む空気が気道入口へ供給される。
【0020】
4.2.3 システムズ
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed)がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMedStellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0021】
ResMedElisee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。
【0022】
治療システムは、気道陽圧(PAP)デバイス/人工呼吸器、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0023】
4.2.4 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば空気の流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースをユーザへ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、またはユーザの気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば約10cmH2Oの陽圧)ガス送達を促進する。HFTなどの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0024】
4.2.5 呼吸装置(PAPデバイス/人工呼吸器)
呼吸装置の例を挙げると、ResMedのS9AutoSet(登録商標)PAPデバイスおよびResMedのStellar(登録商標)150人工呼吸器がある。呼吸装置は典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ、典型的には上述したもののような患者インターフェースを介して、空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。呼吸装置の出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0025】
4.2.6 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。その結果、医療加湿器は、好適には枕元に置かれるよう小型でり、なおかつ好適には患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。
【発明の概要】
【0026】
5 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0027】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0028】
本技術の別の態様は、呼吸障害の診断、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0029】
本技術の別の態様は、患者の解剖学的死腔からの呼気ガス(CO2)をフラッシングするための患者の呼吸腔への空気流れの制御された生成を含む、死腔治療の提供に関する。
【0030】
本技術の別の態様は、患者の呼吸器系における加圧空気の制御された生成を含む圧力治療(例えば、患者呼吸を機械的にする圧力補助治療)の提供に関する。
【0031】
本技術の別の態様は、このような圧力治療およびこのような死腔治療を同時に提供する方法に関する。
【0032】
本技術の別の態様は、このような圧力治療およびこのような死腔治療を同時にまたは交互に提供するように構成された装置に関する。
【0033】
本技術のいくつかのバージョンは、呼吸治療のために患者の気道への空気供給を制御する方法を含み得る。本方法は、患者インターフェースを介して患者へ提供すべき空気の所定の圧力および所定の流量を1つ以上のコントローラコントローラによって特定することを含み得る。本方法は、患者インターフェースを介して患者へ提供されている空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定することを含み得る。本方法は、第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を1つ以上のコントローラによって制御することを含み得る。各流れ生成器は、所定の圧力および所定の流量にそれぞれ対応するように患者インターフェースにおける空気の圧力および流量を同時に制御するように、空気の流れを患者インターフェースへ提供するように構成される。
【0034】
いくつかの方法バージョンにおいて、第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を制御することは、第1の流れ生成器および第2の流れ生成器のうち少なくとも1つの出力を調節することを含み得る。患者インターフェースは、空気の流れを患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部と、空気の圧力を患者へ付加するように構成されたマスク部とを含み得る。マスク部は、鼻マスクであり得る。マスク部は、鼻枕を含み得る。本方法は、連続的な口からの漏洩を検出することと、連続的な口からの漏洩が検出されたときに所定の圧力を検出することとを含み得る。第1の流れ生成器は、空気の流れを患者インターフェースの突起部を通じて提供し得、第2の流れ生成器は、空気の圧力を患者インターフェースのマスク部へ適用し得る。所定の圧力および所定の流量のうち少なくとも1つまたは双方は、患者の呼吸周期に対応する期間にわたって変動し得る。所定の流量は、少なくともいくつかの所定の期間にわたって一定であり得、かつ/または、所定の圧力は、所定の期間にわたって一定であり得る。患者インターフェースのマスク部は、通気孔をさらに含み得る。
【0035】
いくつかのバージョンにおいて、方法は、所定の流量を最大流量未満になるように制限することを含み得る。最大流量は、患者のピーク呼気流量から通気孔流量を減算した値であり得る。圧力および流量を同時に制御することは、通気孔の調節を制御することをさらに含み得る。通気孔は、能動型近位弁を含み得る。圧力および流量を同時に制御することは、患者へ気道陽圧治療および死腔治療を提供するように行われ得る。気道陽圧治療は、換気治療であり得る。本方法は、所定の圧力および所定の流量を所定の圧力および所定の流量を有効性が等しくなる曲線へ制限するように1つ以上のコントローラによって決定することを含み得る。本方法は、1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラ内において目標換気を解剖学的死腔情報および死腔治療低減値に基づいて計算することを含み得る。本方法は、空気の所定の流量の段階的変化を制御することおよび段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定することにより、1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラ内において心拍出量推定値を生成することを含み得る。本方法は、睡眠の検出に応答して空気の所定の流量の段階的変化を制御することを1つ以上のコントローラのコントローラによって開始することを含み得る。
【0036】
本技術のいくつかのバージョンは、患者の気道へ空気流れを送達するシステムを含み得る。本システムは、患者インターフェースを介して空気を患者へ提供するようにそれぞれ構成された第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を含み得る。本システムは、1つ以上のコントローラを含み得る。1つ以上のコントローラは、患者インターフェースを介して患者へ提供されている空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定するように構成され得る。1つ以上のコントローラは、患者インターフェースにおける空気の圧力および流量を所定の圧力および所定の流量にそれぞれ対応するように同時に制御するように、第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を制御するように構成され得る。
【0037】
いくつかのバージョンにおいて、本システムは、患者インターフェースを含み得る。患者インターフェースは、空気の流れを患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部と、空気の圧力を患者へ付加するように構成されたマスク部とを含み得る。マスク部は、鼻マスクであり得る。マスク部は、鼻枕であり得る。第1の流れ生成器は、空気の流れを突起部を通じて導き得、第2の流れ生成器は、空気の圧力をマスク部へ適用し得る。複数のセンサは、流量センサおよび圧力センサを含み得る。第1の流れ生成器の出力は流量センサによって測定され得、第2の流れ生成器の出力は圧力センサによって測定され得る。1つ以上のコントローラは、所定の圧力および所定の流量のうち少なくとも1つを少なくともいくつかの期間にわたって一定値に維持するように構成され得る。1つ以上のコントローラは、所定の圧力および所定の流量のうち少なくとも1つを患者の呼吸周期に対応する期間にわたって変動させるようにさらに構成され得る。患者インターフェースのマスク部は、通気孔を含み得る。1つ以上のコントローラは、所定の流量を最大流量未満になるように制限するように、構成され得る。1つ以上のコントローラは、通気孔流量から患者のピーク呼気流量を減算することにより最大流量を決定するように、構成され得る。通気孔は、調節可能な通気孔であり得、1つ以上のコントローラは、圧力および流量を制御するように調節可能な通気孔を制御するように、構成され得る。調節可能な通気孔は、能動型近位弁を含み得る。空気の圧力および流量の同時制御により、気道陽圧治療および死腔治療が患者へ提供され得る。気道陽圧治療は、換気治療であり得る。
【0038】
いくつかのバージョンにおいて、1つ以上のコントローラは、所定の圧力および所定の流量を有効性が等しくなる曲線へ制限するように所定の圧力および所定の流量を決定するように、構成され得る。1つ以上のコントローラは、第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を制御するように構成された1つのコントローラを含み得る。1つ以上のコントローラは、第1の流れ生成器を制御するように構成された第1のコントローラと、第2の流れ生成器を制御するように構成された第2のコントローラとを含み得る。第1のコントローラは、第2の流れ生成器によって提供される空気の流量を得るように構成され得る。第2のコントローラは、第1の流れ生成器によって提供される空気の圧力を得るように構成され得る。いくつかの場合において、1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、解剖学的死腔情報および死腔治療低減値に基づいて目標換気を計算するように構成され得る。1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、空気の所定の流量の段階的変化を制御することにより心拍出量推定値を生成することと、段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定することとを行うように構成され得る。1つ以上のコントローラのコントローラは、睡眠の検出に応答して空気の所定の流量の段階的変化の制御を開始するように構成され得る。
【0039】
本技術のいくつかのバージョンは、患者の気道へ空気流れを送達するシステムを含み得る。本システムは、空気回路および患者インターフェースを介して空気を患者へ提供するように構成された流れ生成器を含み得る。本システムは、調節可能な通気孔を含み得る。本システムは、1つ以上のコントローラを含み得る。1つ以上のコントローラは、患者インターフェースを介して患者へ提供されている空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定するように構成され得る。1つ以上のコントローラは、患者インターフェースにおける空気の圧力および流量を所定の圧力および所定の流量にそれぞれ対応するように同時に制御するように流れ生成器および調節可能な通気孔を制御するように、構成され得る。
【0040】
いくつかのバージョンにおいて、システムは、患者インターフェースを含み得る。患者インターフェースは、空気の流れを患者の鼻孔中に導くように構成された突起部と、空気の圧力を患者へ付加するように構成されたマスク部とを含み得る。調節可能な通気孔は、患者インターフェースのマスク部の一部であり得る。複数のセンサは、空気の測定された圧力を決定する圧力センサを含み得る。複数のセンサは、患者インターフェースの突起部を通じて空気の測定された流量を決定する流量センサを含み得る。いくつかの場合において、圧力センサおよび流量センサのうち少なくとも1つは、流れ生成器の出力に配置され得る。いくつかの場合において、圧力センサおよび流量センサのうち少なくとも1つは、患者インターフェースに配置され得る。1つ以上のコントローラは、所定の圧力および所定の流量のうち少なくとも1つまたは双方を一定値に一定期間にわたって維持するように構成され得る。1つ以上のコントローラは、所定の圧力を患者の呼吸周期に応じて変動させるように、さらに構成され得る。空気の圧力および流量の同時制御により、気道陽圧治療および死腔治療が患者へ提供され得る。気道陽圧治療は、換気治療であり得る。1つ以上のコントローラは、所定の圧力および所定の流量を有効性が等しくなる曲線に制限するように所定の圧力および所定の流量を決定するように、構成され得る。
【0041】
いくつかのバージョンにおいて、システムは、空気回路中の可変抵抗をさらに含み得、1つ以上のコントローラは、可変抵抗の抵抗を調節することにより、空気の圧力および流量のうち1つ以上を制御するように構成され得る。いくつかの場合において、1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、解剖学的死腔情報および死腔治療低減値に基づいて目標換気を計算するように構成され得る。1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、空気の所定の流量の段階的変化を制御することにより心拍出量推定値を生成することと、段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定することとを行うように構成され得る。1つ以上のコントローラのコントローラは、睡眠の検出に応答して空気の所定の流量の段階的変化の制御を開始するように構成され得る。
【0042】
本技術のいくつかのバージョンは、呼吸治療のための患者の気道への空気供給を制御する方法を含み得る。本方法は、空気回路および患者インターフェースを介して患者へ提供されるべき空気の所定の圧力および所定の流量を1つ以上のコントローラによって特定することを含み得る。本方法は、患者インターフェースを介して患者へ提供されている空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定することを含み得る。本方法は、患者インターフェースにおける空気の圧力および流量を所定の圧力および所定の流量にそれぞれ対応するように同時に制御するように、空気を患者インターフェースへ提供するように構成された流れ生成器と、調節可能な通気孔とを1つ以上のコントローラによって制御することを含み得る。患者インターフェースは、空気の流れを患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部と、空気の圧力を患者へ付加するように構成されたマスク部とを含み得る。流れ生成器は、患者インターフェースの突起部を通じて空気の流れを提供することにより、空気の圧力を患者インターフェースのマスク部へ付加し得る。本方法は、所定の圧力および所定の流量のうち少なくとも1つを1つ以上のコントローラにより一定値に一定期間にわたって維持することを含み得る。本方法は、所定の圧力を患者の呼吸周期に従って1つ以上のコントローラによって変動させることを含み得る。空気の圧力および流量の同時制御は、気道陽圧治療の制御と、死腔治療とを含み得る。気道陽圧治療は、換気治療であり得る。
【0043】
いくつかのバージョンにおいて、本方法は、所定の圧力および所定の流量を有効性が等しくなる曲線に制限するように所定の圧力および所定の流量を1つ以上のコントローラによって決定することを含み得る。調節可能な通気孔を制御することは、患者インターフェースにおける空気の圧力を所定の圧力に対応するように維持するように、調節可能な通気孔の吹出し特性を患者の呼吸周期と同調させるように1つ以上のコントローラによって調節することを含み得る。本方法は、空気の圧力および流量のうち1つ以上を制御するように空気回路中の可変抵抗の抵抗を1つ以上のコントローラによって調節することを含み得る。本方法は、解剖学的死腔情報および死腔治療低減値に基づいて1つ以上のコントローラ内において目標換気を計算することを含み得る。本方法は、空気の所定の流量の段階的変化を制御することおよび段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定することにより1つ以上のコントローラ内において心拍出量推定値を生成することを含み得る。本方法は、睡眠の検出に応答して空気の所定の流量の段階的変化を1つ以上のコントローラによって制御することを含み得る。
【0044】
本技術のさらに別の態様において、患者の気道への空気供給は、呼吸治療に関連して制御され得る。呼吸治療は、患者インターフェースを介して患者へ提供されるべき空気の所定の圧力および所定の流量を1つ以上のコントローラによって特定することと、患者インターフェースを介して患者へ提供されている空気の圧力および流量を1つ以上のセンサによって決定することと、空気の圧力および流量を所定の圧力および所定の流量にそれぞれ対応するように同時に制御するように第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を1つ以上のコントローラによって制御することとをを含み得る。第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を制御することは、第1の流れ生成器の出力および第2の流れ生成器のうち少なくとも1つを調節することを含み得る。加えて、患者インターフェースは、空気の流れを患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部と、空気の圧力を患者へ付加するように構成されたマスク部とを含み得る。第1の流れ生成器は、空気の流れを患者インターフェースの突起部を通じて導き得、第2の流れ生成器は、空気からの圧力を患者インターフェースのマスク部へ付加し得る。
【0045】
さらに別の態様において、所定の圧力および所定の流量のうち少なくとも1つは、患者の呼吸周期に対応する期間にわたって変動し得る。所定の流量は、少なくともいくつかの所定の期間にわたって一定でもあり得、所定の圧力は、所定の期間にわたって一定であり得る。
【0046】
別の態様において、患者インターフェースは通気孔を含み得、圧力および流量を同時に制御することは、通気孔の調節を制御することを含み得る。通気孔は、調節可能な近位弁を含み得る。
【0047】
さらに別の態様において、圧力および流量を同時に制御することは、患者に圧力治療および死腔治療を提供するように行われ得る。
【0048】
別の態様において、患者の気道へ空気流れを送達するシステムは、空気を患者呼吸インターフェースへ提供する第1の流れ生成器および第2の流れ生成器と、1つ以上のコントローラとを含み得る。これら1つ以上のコントローラは、空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定することと、患者インターフェースにおける空気の圧力および流量を同時に制御するように第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を制御することとを行うように構成される。患者インターフェースは、空気の流れを患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部と、空気の圧力を患者へ付加するように構成されたマスク部とを含み得る。加えて、第1の流れ生成器は、空気の流れを突起部を通じて導き得、第2の流れ生成器は、空気圧力をマスク部へ付加し得る。複数のセンサは、流れセンサおよび圧力センサを含み得、第1の流れ生成器の出力は流れセンサによって測定され得、第1の流れ生成器の出力は圧力センサによって測定され得る。コントローラは、圧力および流量のうち少なくとも1つを少なくともいくつかの期間にわたって一定に維持するように構成され得る。コントローラは、圧力および流量のうち少なくとも1つが一定期間にわたって変動し得るようにも構成され得る。患者インターフェースは調節可能な通気孔を含み得、1つ以上のコントローラは、調節可能な通気孔を制御するようにさらに構成され得る。
【0049】
さらに別の態様において、患者の気道へ空気流れを送達するシステムは、患者インターフェースを介して空気を患者へ提供する流れ生成器と、調節可能な通気孔と、1つ以上のコントローラとを含み得る。1つ以上のコントローラは、空気の圧力および流量を1つ以上のセンサによって決定することと、空気の圧力および流量を患者の呼吸周期にわたって同時に制御しかつ変動させるように流れ生成器および調節可能な通気孔のうち少なくとも1つを制御することとを行うように、構成され得る。患者インターフェースは、空気の流れを患者の鼻孔中に導くように構成された突起部と、空気の圧力を患者へ付加するように構成されたマスク部とを含み得る。調節可能な通気孔は、患者インターフェースのマスク部の一部であり得る。本システムは、患者インターフェースにおける空気の圧力のマスク部に対応する空気の測定された圧力を決定する圧力センサと、患者インターフェースの突起部を通じて空気の測定された流量を決定する流れセンサとをも含み得る。圧力センサおよび流れセンサのうち少なくとも1つは、流れ生成器の出力または患者インターフェースに配置され得る。加えて、コントローラは、検出された呼吸周期に従って圧力を変動させるように、構成され得る。流れ生成器は、第1の流れ生成器および第2の流れ生成器も含み得る。
【0050】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0051】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【0053】
図1A】[6.1 治療システム] 図1Aは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、併用療法(CT)デバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。CTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。
図1B図1Bは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、CTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。CTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図1C図1Cは、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクの形をとり、陽圧の空気供給をCTデバイス4000から受容する。CTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図2】[6.2 治療法]<6.2.1 呼吸器系> 図2は、鼻および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
図3図3は、本技術の1つの形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
図4A】[6.3 併用療法(CT)デバイス] 図4Aは、本技術の一形態によるCTデバイスの例示的コンポーネントを示す。
図4B図4Bは、本技術の一形態によるCTデバイスの圧力制御又は流量制御いずれかの空気圧回路の概略図である。上流と下流の方向が示されている。
図4C図4Cは、本技術の一態様によるCTデバイスの電気部品の概略図である。
図5】[6.4 加湿器]図5は、呼吸装置との併用に適した加湿器の等角図である。
図6】[6.5 患者インターフェース] 図6は、従来の鼻カニューレを示す。
図7図7は、図6の鼻カニューレをマスクと併用する様子を示す。
図8図8は、カプラー拡張を含む鼻カニューレを示す。
図9A図9Aは、本技術のカプラー拡張の図8の線A-Aに沿った多様な断面図プロファイルである。
図9B図9Bは、本技術のカプラー拡張の図8の線A-Aに沿った多様な断面図プロファイルである。
図9C図9Cは、本技術のカプラー拡張の図8の線A-Aに沿った多様な断面図プロファイルである。
図9D図9Dは、本技術のカプラー拡張の図8の線A-Aに沿った多様な断面図プロファイルである。
図10A図10Aは、カプラー拡張をマスクと併用する鼻カニューレを示す。
図10B図10Bは、カプラー拡張をマスクと併用する鼻カニューレを示し、シート部を示す。
図11図11は、カプラー拡張を含む鼻カニューレがシートリッジを有する様子を示す別の図であり、カプラー拡張を線A-Aに沿って示す断面図も示す。
図12図12は、マスクと併用する図11のカプラー拡張を含む鼻カニューレの別の図である。
図13図13は、カプラー拡張をマスクと併用する別のバージョンの鼻カニューレを示す。
図14A図14Aは、本技術の鼻カニューレのための別の例示的カプラー拡張の平面図および正面図である。
図14B図14Bは、鼻カニューレのための別のカプラー拡張の正面図である。
図14C図14Cは、鼻カニューレのための別のカプラー拡張の正面図である。
図15A図15Aは、本技術の鼻インターフェースを鼻突起と共に示す。
図15B図15Bは、別の鼻インターフェースを鼻突起と共に示す。
図16図16は、図15Aの鼻インターフェースが患者によって用いられている様子を示す。
図17A図17Aは、さらなる例示的鼻インターフェースの正面図および断面図である。
図17B図17Bは、さらなる例示的鼻インターフェースの正面図および断面図である。
図18図18は、枕通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示す。
図19A図19Aは、枕通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示し、それぞれ吸気流および呼気流を示す。
図19B図19Bは、枕通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示し、それぞれ吸気流および呼気流を示す。
図20A図20Aは、通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示し、それぞれ呼気動作および吸気動作を示す。
図20B図20Bは、通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示し、それぞれ呼気動作および吸気動作を示す。
図20C図20Cは、通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示し、それぞれ呼気動作および吸気動作を示す。
図20D図20Dは、通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示し、それぞれ呼気動作および吸気動作を示す。
図20E図20Eは、通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示し、それぞれ呼気動作および吸気動作を示す。
図20F図20Fは、通気孔を含むさらなる鼻インターフェースを示し、それぞれ呼気動作および吸気動作を示す。
図21図21は、さらなる例示的鼻突起を含む鼻枕を示す。
図22図22は、図21の例示的鼻突起の弁膜を示す。
図23A図23Aは、図21の例示的鼻突起の弁膜の呼気動作および吸気動作を示す。
図23B図23Bは、図21の例示的鼻突起の弁膜の呼気動作および吸気動作を示す。
図24図24は、供給導管との連結のためのインターフェースポートを備えたマスクフレームの外部側面図である。
図25A図25Aは、本技術のいくつかのバージョンのプレナムチャンバまたはマスクフレームの患者側を示す。
図25B図25Bは、本技術の別のバージョンのプレナムチャンバまたはマスクフレームの患者側を示す。
図26】[6.6 併用療法システム] 図26は、本技術のいくつかのバージョンによる併用治療システムの例示的概略図である。
図27図27は、本技術のいくつかのバージョンによる、併用治療システム中の空気流れを示す電気回路モデルを示す。
図28図28は、本技術のいくつかのバージョンによる、併用治療システムの別の例示的模式図である。
図29図29は、本技術のいくつかのバージョンによる、併用療法の例示的制御方法図である。
図30図30は、本技術の一具現例における、インターフェース圧力と、通気孔流れとの間の関係を示すグラフである。
図31図31は、本技術の一具現例における、インターフェース圧力と、通気孔流れとの間の関係を示すグラフである。
図32図32は、本技術による併用治療の付加的なまたは補足的な性質を示すグラフである。
図33図33は、本技術の別の具現例による併用治療システムにおける空気流れを示す電気回路モデルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
7 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0055】
7.1 治療法
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための制御方法を含む。本方法は、圧力治療を提供するように患者1000の気道の入口への陽圧を制御することと、解剖学的および/または装置の死腔のフラッシングが可能になるように死腔治療を提供するように患者への空気流量を制御することとを含む。
【0056】
7.2 治療システム
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置を含む。装置は、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路(air circuit)4170を介して患者1000へ供給するCTデバイス4000を含み得る。
【0057】
7.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気孔3400、結合解除構造3500、空気回路4170への接続のための接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0058】
別の非侵襲的な患者インターフェースとして、患者1000の鼻および口腔双方をシールする口腔鼻インターフェース(フルフェイスマスク)がある。
【0059】
7.4 併用治療(CT)デバイス
本技術の一態様による例示的CTデバイス4000は、機械コンポーネントおよび空気圧式コンポーネント4100、電気部品4200を含み得、1つ以上の治療アルゴリズム4300を実行するようにプログラムされ得る。CTデバイスは、好適には外部ハウジング4010を備える。外部ハウジング4010は好適には、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。好適にはCTデバイス4000は、CTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。一形態において、1つまたは複数の空気圧ブロック(単数または複数)4020(例えば、2つの空気圧ブロック4020)が、シャーシ4016によって支持されるかまたはその一部として形成される。CTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0060】
CTデバイス4000は、デバイスへ連結された患者インターフェースの種類に応じて1つ以上の空気圧経路を有し得る。CTデバイス4000の空気圧経路は、入口空気フィルタ4112と、入口マフラー4122と、空気を陽圧で供給することが可能な圧力デバイス4140(例えば、送風機4142)と、所望のまたは目標流量で空気を供給することができる(例えば、送風機または酸素供給ライン)流れデバイス4141と、1つ以上の空気圧ブロック4020と、出口マフラー4124とを含み得る。1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサまたは圧力変換器4274および流量センサまたは流れ変換器4272)が、空気圧経路(単数または複数)内に設けられ得る。各空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置された空気圧経路の一部を含み得、圧力デバイス4140または流れデバイス4141を収容し得る。
【0061】
CTデバイス4000は、電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力デバイス4140、流れデバイス4141、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、単一のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、CTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0062】
CTデバイス4000は、本明細書全体に記載の圧力および/または流れ治療のいずれかの制御を提供するように構成され得る。
【0063】
7.4.1 CTデバイス機械および空気圧式コンポーネント4100
7.4.1.1 空気フィルタ(単数または複数)4110
本技術の一形態によるCTデバイスは、それぞれの空気圧経路において、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0064】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力デバイス4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。図4Bを参照されたい。
【0065】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。図4Bを参照されたい。
【0066】
7.4.1.2 マフラー(単数または複数)4120
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力デバイス4140の上方に配置される。図4Bを参照されたい。
【0067】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力デバイス4140と患者インターフェース3000との間に配置される。図4Bを参照されたい。
【0068】
7.4.1.3 圧力デバイス4140および流れデバイス4141
本技術の一形態において、CTデバイス4000は、2つの流れ生成器を含み得る(例えば、圧力デバイス4140および流れデバイス4141(図4Cを参照))。圧力デバイス4140は、陽圧の空気供給を患者インターフェース3000の第1の部分へ提供し得、流れデバイス4141は、空気流れを患者インターフェース3000の第2の部分へ提供し得る。各流れ生成器は、制御可能な送風機4142を含み得る。例えば、送風機4142は、ボリュート内に収容された1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。送風機は、好適には空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmH2O~約20cmH2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmH2Oまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載の送風機を含み得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638,014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0069】
圧力デバイス4140および流れデバイス4141は、治療デバイスコントローラ4240の制御下において動作し得る。交互に、圧力デバイス4140および流れデバイス4141は、別個のコントローラの制御下において動作し得る。
【0070】
他の形態において、圧力デバイス4140または流れデバイス4141は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0071】
7.4.1.4 変換器(単数または複数)4270
変換器は、CTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはCTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサの形態をとり得る(例えば、データCTデバイスを送るかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサ)。
【0072】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力デバイス4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、特性(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を測定するように、構築および配置され得る。
【0073】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000の近隣に配置され得る。
【0074】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
【0075】
7.4.1.4.1 流れ変換器4272
本技術による流量変換器4272は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。
【0076】
使用時において、流量変換器4272からの流量を示す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
【0077】
7.4.1.4.2 圧力変換器4274
本技術による圧力変換器4274は、空気圧回路と流体連通して配置され得る。適切な圧力変換器の一実施例として、HONEYWELLASDXシリーズからのセンサがある。別の適切な圧力変換器として、GENERALELECTRICからのNPAシリーズからのセンサがある。
【0078】
使用中において、圧力変換器4274からの信号は、中央コントローラ4230によって受信され得る。
【0079】
7.4.1.4.3 モータ速度変換器4276
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、好適には治療デバイスコントローラ4240へ提供される。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
【0080】
7.4.1.5 アンチスピルバック弁4160
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0081】
7.4.1.6 空気回路4170
本技術の一態様による空気回路4170は導管またはチューブであり、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、空気圧ブロック4020および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置される。
【0082】
詳細には、空気回路は、空気圧式ブロックの出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための、および/または複数の患者インターフェースのための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0083】
7.4.1.7 酸素送達4180
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ、たとえば鼻突起またはカニューレのプロングを介して送達され得る。
【0084】
7.4.2 CTデバイス電気部品4200
7.4.2.1 電源4210
電源4210は、CTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に配置され得る。
【0085】
本技術の一形態において、電源4210は、CTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がCTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。
【0086】
7.4.2.2 入力デバイス4220
本技術の一形態において、CTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0087】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0088】
7.4.2.3 中央コントローラ4230
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、CTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。
【0089】
適切なプロセッサは、ARMHoldingsからのARMCortex-Mプロセッサに基づいたプロセッサであるx86INTELプロセッサを含み得る(例えば、STマイクロ電子からのSTM32シリーズのマイクロコントローラ)。本技術の特定の代替形態において、32ビットRISCCPU(例えば、STMICRO電子SからのSTR9シリーズマクロコントローラ)または16ビットRISCCPU(例えば、TEXASINSTRUMENTSによって製造されたマイクロコントローラのMSP430ファミリーからのプロセッサ)も適切であり得る。
【0090】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0091】
一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子コンポーネントを含む。
【0092】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、および1つ以上の入力デバイス4220から入力信号(単数または複数)を受信するように、構成され得る。
【0093】
中央コントローラ4230は、出力信号(単数または複数)を出力デバイス4290、治療デバイスコントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器コントローラ5250のうち1つ以上へ提供するように、構成され得る。
【0094】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法(例えば、1つ以上のアルゴリズム)を具現するように、構成される。いくつかの場合において、中央コントローラ4230は、CTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、例えば本明細書中に記載の方法のいずれかを呼吸治療送達の直接制御無く行う目的などのために、CTデバイス4000の流れ生成コンポーネントと別個に実装され得る。例えば、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載のセンサのいずれかなどからの保存データの分析による人工呼吸器または他の呼吸関連発症についての制御設定の決定の目的のために、本明細書中に記載の方法のいずれかを行い得る。
【0095】
7.4.2.4 時計4232
好適にはCTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含む。
【0096】
7.4.2.5 治療デバイスコントローラ4240
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は圧力制御モジュール4330であり、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズムの一部を形成する。治療デバイスコントローラ4240は、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズムの一部を形成する流量制御モジュールであり得る。いくつかの実施例において、これは、圧力制御および流れ制御モジュール双方であり得る。
【0097】
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は、1つ以上の専用モータ制御集積回路であり得る。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
【0098】
7.4.2.6 保護回路4250
本技術によるCTデバイス4000は、好適には1つ以上の保護回路4250を含む。
【0099】
本技術による1つ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含み得る。
【0100】
7.4.2.7 メモリ4260
本技術の一形態によれば、CTデバイス4000は、好適にはメモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0101】
好適には、メモリ4260は、PCBA4202上に配置される。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。
【0102】
追加的にまたは代替的に、CTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。
【0103】
本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータで読出可能な記録媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム)が記録される。
【0104】
7.4.2.8 データ通信システム4280
本技術の好適な一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、好適には遠隔外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能である。好適には、遠隔外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能である。好適には、ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能である。
【0105】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0106】
一形態において、遠隔外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネットまたは光ファイバーを介して)有線通信を用得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用い得る。
【0107】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)またはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0108】
一形態において、遠隔外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、遠隔外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。
【0109】
好適にはローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールである。
【0110】
7.4.2.9 任意選択のディスプレイ、警報を含む出力デバイス
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
【0111】
7.4.2.9.1 ディスプレイドライバ4292
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
【0112】
7.4.2.9.2 ディスプレイ4294
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために各8個のセグメントを活性化させるべきかを示す8個の論理信号へ変換する。
【0113】
7.5 加湿器
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば図5に示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0114】
7.6 併用治療の適用
上記したように、患者インターフェース3000およびCTデバイス4000により、多様な気道陽圧(PAP)治療(例えば、CPAP双レベルPAP治療または換気)または本明細書中記載の他の任意の圧力治療の適用が可能になる。加えて、開示のシステムを用いれば、流れ治療(例えば、高流量療法(「HFT」)のような死腔治療)が可能になり得る。HFTにおいては、空気が高流量(例えば、約10~約35リットル/分の範囲)で鼻通路へ送達され得る。これらの治療の組み合わせは、圧力治療(例えば、CPAP)および死腔治療(例えば、HFT)の組み合わせの患者への提供を通じて、開示の技術を用いて患者へ提供され得る。流れ治療および圧力治療の組み合わせは、一般的装置(例えば、CTデバイス4000)によってまたは別個の装置によって供給され得る。加えて、患者の治療に変更が生じた場合、患者上の患者インターフェースの構成への変更は無いかまたは最小限であり得る。
【0115】
例えば、上記したCTデバイス4000は、各鼻孔枕のマスクまたはチャンバへ送達される圧力を制御するように、記フルフェイスマスク8008(例えば、図7を参照)への送達導管(空気回路4170)を介してまたは患者インターフェース16002(図15Aを参照)のベース部分16016への送達導管(空気回路4170)を介して連結され得る。このようにして、インターフェース圧力の測定が所定の目標圧力を満たすように、圧力治療をCTデバイス4000のコントローラ4230の圧力制御ループによって制御することができる。インターフェース圧力の測定は、例えば圧力センサによって決定され得る。このような目標圧力は、経時的に(例えば、検出された患者の呼吸(例えば、バイレベル治療または圧力補助)または予測される患者呼吸(タイミング付きのバックアップ呼吸)と同調して)変更され得る。マスクまたは鼻孔枕をシールすることにより、患者の呼吸器系への入口において圧力を制御することが可能になる。
【0116】
患者インターフェース3000への制御された圧力の送達に加えて、制御された空気流れを患者インターフェース3000を介して患者へ提供してもよい。例えば、酸素補充は、図6および図7の鼻カニューレの1つ以上のプロング7004aおよび7004bあるいは図15または図17の鼻突起16100のうち1つ以上により供給され得る。さらなる例示として、HFTは、(例えば、HFTを提供するように構成された流れ生成器によって)例えば図6図7または図8の鼻カニューレの1つ以上のプロング9004aおよび9004bあるいは図15または図17の患者インターフェースの鼻突起16100へ供給され得る。このような場合、さらなる流れ生成器または酸素流源を突起導管17170によって鼻突起へ連結してもよいし、あるいは1つ以上のルーメン9012によってプロング9004へ連結してもよい。任意選択的に、プロングまたは鼻突起へのガス流れをコントローラの流れ制御ループによって制御してもよい。例えば、空気の流量測定を所定の目標流量を満たすように制御するように、流れを流れ生成器のコントローラの流れ制御ループまたは補助的ガス源によって制御してよい。流量の測定は、例えば流量センサによって決定され得る。カニューレのプロングおよび/または鼻突起により、例えば高流量での空気供給を患者の鼻通路内において行うことが可能になる。
【0117】
別の具現例において、制御された空気流れは、例えばPCT公開第WO2013/163685に記載のような口腔インターフェースを介して口腔へ送達され得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。口腔インターフェースは、フルフェイスマスク(例えば、マスク8008)内に配置してもよいし、あるいは鼻マスク(例えば、マスク3000)の下側に配置してもよい。
【0118】
図26は、例示的CTデバイス4000のブロック図である。CTデバイス4000により、制御された圧力および空気の流量が患者インターフェース3000を介して患者へ提供され得る。図4Cに関連して上記したように、圧力デバイス4140は、治療デバイスコントローラ4240によって制御され得る。圧力デバイス4140からの加圧空気は、接続ポート3600において患者インターフェース3000へ接続する1つ以上の空気圧経路(例えば、空気回路4170)を介して患者インターフェース3000へ送られ得る。圧力センサ4274は、空気回路4170と関連付けられた空気の圧力を測定するように構成され得る。流量センサ(図示せず)は、空気の流量を空気回路4170を通じて測定するように、構成され得る。圧力デバイス4140に加えて、流れデバイス4141は、空気流れを1つ以上の空気圧経路(例えば、突起導管17170)を介して患者インターフェース3000へ提供し得る。突起導管17170は、1つ以上の第2ポート19100において患者インターフェース3000へ接続し得る。流量センサ4272は、空気の流量を突起導管17170を通じて測定するように構成され得る。上記したように、流れデバイス4141は、治療デバイスコントローラ4240によって制御してもよい。患者インターフェース3000は、患者インターフェース3000から雰囲気への空気流出を可能にする通気孔3400も含み得る。
【0119】
患者インターフェース3000において患者へ提供される空気流量は、調節可能なであり得る通気孔3400の特性および患者インターフェース3000における圧力によって異なる。例えば、通気孔3400から流出する空気流量は、患者インターフェース3000における圧力に対応し得る。この対応は、本質的に二次式的なものであるため、通気孔3400から出て行く流量の2乗は、患者インターフェース3000中の圧力にほぼ対応し得る。そのため、流量センサ4272において測定された流量は、患者の気道中への空気流れおよび通気孔3400を通じた空気流れ双方に対応する。加えて、流量は、他のコンポーネントの構成(例えば、突起導管17170の構成)によっても異なり得る。そのため、患者に所望の流量を提供するには、治療デバイスコントローラ4240は、システムの多様なコンポーネントのパラメータに基づく患者への流量を計算し得る。例えば、治療デバイスコントローラ4240は、通気孔3400からの流量を計算するように、圧力センサ4274からのデータへアクセスし得る。次に、治療デバイスコントローラ4240は、患者へ提供されている有効な空気流量を決定するように、流量センサ4272において測定された流量を通気孔3400からの流量の計算により補償し得る。加えて、患者インターフェース3000への空気の圧力および流量双方を制御することにより、CTデバイス4000は、通気孔3400からの死腔フラッシング流量を制御し得る。
【0120】
圧力デバイス4140および流れデバイス4141の出力の制御において、治療デバイスコントローラ4240は、空気の圧力と、患者インターフェース3000を介して患者へ提供されている流量とを同時に制御し得る。このようにして、開示のシステムにより、呼吸治療の組み合わせが患者へ提供され得る。例えば、治療デバイスコントローラ4240は、突起導管17170を介した一定流量においてHFTを提供しつつ患者インターフェース3000における一定圧力も提供することにより患者へCPAP治療を提供することにより、圧力デバイス4140および流れデバイス4141を制御し得る。治療デバイスコントローラ4240は、測定された圧力および測定された流量がそれぞれいくつかの所定の閾範囲内に留まる場合に空気の圧力および流量が一定であるとみなされるように、構成され得る。
【0121】
加えて、治療デバイスコントローラ4240は、圧力および/または空気の流量を所定の治療に従って変動させ得る。例えば、圧力デバイス4140および流れデバイス4141は、双レベル圧力治療またはCPAP治療に呼気圧力解放を提供するように、制御され得る。その場合、患者インターフェース3000における空気の圧力が患者の吸気に対応する第1の期間において増加し、患者の呼気に対応する第2の期間において低減する。これらの期間において、流量が患者の吸気および呼気に対応していくつかの所定の量だけ変動するように、空気の流量を制御してもよい。別の実施例において、患者インターフェース3000における圧力を変動させつつ、空気の流量が一定に保持され得る。
【0122】
交互に、流量を変動させつつ、圧力が一定に保持され得る(例えば、CPAP)。圧力デバイス4140および流れデバイス4141はまた、いくつかの所定の変化する圧力および流量を必要とする治療に従って空気の圧力および流量双方を一定期間にわたって連続的に変動させるように、同時に制御され得る。
【0123】
別の実施例において、自動用量設定CPAP治療(例えば、APAP)をHFTと共に提供するように、圧力デバイス4140および流れデバイス4141を同時に制御してもよい。例えば、1つ以上の睡眠疾患による睡眠障害呼吸事象が検出されたときに、治療圧力が増加され得る。HFTの流量は、このような検出に基づいて相対的に一定に維持してもよいし、あるいは同様に調節してもよい。そのため、通常の場合にOSAに起因して妥協をきたす死腔治療を、患者の上気道を開口させる圧力治療(例えば、APAP)を通じてより有効にすることができる。
【0124】
さらに別の実施例において、圧力デバイス4140および流れデバイス4141は、例えば圧力補助治療を提供するように圧力を制御することにより、患者がいくつかの目標換気量に到達するような様態で制御され得る。例えば、開示のCTシステムの圧力デバイス4140は、適応型サーボ換気(ASV)治療を本明細書中に記載の高流量治療と組み合わせて具現し得る。よって、圧力を患者の呼吸周期とまたはタイミングを付けてマシン生成された呼吸と同期して変動させて、目標換気を実行することができる。同様に、流量を一定に留まるように制御してもよいし、あるいは、患者の検出された呼吸周期の関数としてまたは目標換気の関数として変化するように制御してもよい。
【0125】
圧力治療と流れ治療を組み合わせることにより、開示のシステムは、より有効な全体的治療が患者へ提供し得る。例えば、患者の上気道が閉鎖した場合、HFT治療の有効性が低下する。患者の気道は、多様な圧力治療(例えば、PAP治療圧力(例えば、APAPまたはCPAP))の使用を通じて開口させられ得る。そのため、HFT治療を圧力治療と併用することにより、HFT治療をより有効にすることができる。
【0126】
圧力補助または換気治療を用いると、機械的圧力補助の提供により、患者が呼吸するにの必要な努力が低減し、肺へ繋がる気道が圧力補助によって開口するため、肺胞死腔の回復の増大が可能になり得る。流れ治療(例えば、HFT)を用いると、患者の気道の二酸化炭素を豊富に含む領域を空気でフラッシングすることにより、呼吸努力も低減し、解剖学的死腔の回復が増大する。圧力治療および流れ治療の組み合わせを用いると、患者における充分な呼気終末陽圧(PEEP)の達成も支援され得る。このようにして、流れ治療および圧力治療の組み合わせにより、解剖学的および肺胞死腔の除去および患者の肺へ提供されている一回換気量の増加を通じて、微細な換気または肺胞換気が不十分な患者において患者の肺中のガス交換量を増大させることが可能になり得る。加えて、同時にHFTを行うことにより、圧力補助治療をより低レベルの圧力補助において適用することも可能になるため、圧力補助治療の受容性が向上する。例えば、圧力補助を過度なレベルで行った場合、肺の損傷の原因になり得る。別の実施例として、気管支炎の肺に空気を強制的に送る圧力補助を用いた場合、気管支の流路における流量が高くなるため、不快感およびさらにはさらなる炎症の原因となり得る。別の実施例として、圧力補助治療を行った場合、圧力補助レベルと共に量が増加する周期的音響ノイズパターンの発生に繋がる。
【0127】
そのため、本明細書中に記載のように1つ以上の圧力治療を1つ以上の流れ治療と組み合わせることは、付加的または相補的なものであり得る。例えば、図32に示すグラフ32000は、炭酸過剰性患者(PCO2が高い患者)に対する併用治療の降下の可能性を示す。横軸は、併用治療のフラッシング流量を示し、縦軸は、圧力治療がバイレベル治療である併用治療の圧力補助を示す。点32010は、圧力補助はゼロであるがフラッシング流量が高い(例えば、100リットル/分)治療を示す。このような場合、当該治療は、本質的に死腔治療としてみなされ得る。点32020は、圧力補助は高い(例えば、20cmH2O)がフラッシング流量はゼロである治療を示す。このような場合、当該治療は、本質的に圧力補助治療としてみなされ得る。点32010および32020が示す治療形態は、いくつかの測定(例えば、PCO2の15%の低減)によって等しく有効である。しかし、どちらも「極端な」形態である(すなわち、フラッシング流量が高くかつ圧力補助がゼロであるかまたは圧力補助が高くかつフラッシング流量がゼロである)。曲線32030に沿った点全ては、点32010および32020によって示される極端な治療と同様に有効であるが、これらの極端な治療よりも圧力補助およびフラッシング流量双方においてより緩やかである併用治療を示し得る。本技術を用いれば、緩やかな圧力補助およびフラッシング流量を用いた併用治療を示す曲線32030上の任意の点(例えば、点32040)を(併用治療の有効性を変化させること無く)患者の選好および特性に応じて患者のために選択することが可能になる。曲線32030は、有効性が等しくなる曲線と呼ばれ得る。本質的には、個別治療のうちのいずれか1つと同様に有効な治療をより低レベルで提供できる設定に応じて、併用治療は、相乗的効果を持ち得、これにより、各個別治療をより高レベルにした場合に関連し得る否定的な結果が予期せぬように低減される。
【0128】
そのため、いくつかのバージョンにおいて、このような併用治療を生成する装置のコントローラ(単数または複数)は、治療の相乗的制御を調整するように、このような曲線(例えば、このような曲線を示すメモリ中のデータ値またはプログラムされた関数)と共に構成され得る。例えば、コントローラによって或る状態が検出されると、各制御パラメータの設定(例えば、目標圧力および目標流量)が曲線に制限されるようにこの設定を自動的に変更することにより、併用治療の変更がなされ得る。さらなる例示として、1つの治療についての制御パラメータの設定の変更が(自動的または手動的に)なされると、第1の制御パラメータの変更を補足するような曲線に従って、他方の治療の制御パラメータがコントローラによって設定または推奨され得る。そのため、コントローラ(単数または複数)は、目標圧力および/または目標流量を(所定の有効性が等しくなる曲線に制限されるように)変化させるように構成され得る。
【0129】
本開示の技術によれば、圧力治療および流れ治療の組み合わせは、複数の異なる様態をとり得る。例えば、一定圧力(例えば、CPAP)が、変動し得る流量または一定の流量と併用され得る。別の実施例において、圧力治療は、患者の検出された呼吸事象(例えば、閉塞性無呼吸、呼吸低下)に従って調節された半固定された圧力を提供し得る。詳細には、圧力治療(例えば、APAP)は、患者の気道の開口を保持するために必要な最低圧力へ圧力コントローラによって自動設定されたAutoSet(登録商標)圧力に従って提供され得る。さらに別の実施例において、変動し得る圧力治療(例えば、呼気圧力解放(EPR)または双レベル圧力あるいはサーボ換気双レベル(圧力補助)モード(例えば、ASV、ASVAutoまたはiVAPS)が、固定流量または変動し得る流量と組み合わせて用いられ得る。変動し得る圧力および変動し得る流量は、患者の呼吸特性に基づいて変動し得、これにより、呼吸プロセスが促進される。
【0130】
CTデバイス4000と患者との間の空気流れの制御は、図27に示すように電気回路2700としてモデル化され得る。図示の気道陽圧(PAP)デバイスは、上記した圧力デバイス4140であり得、死腔治療(DST)デバイスは、流れデバイス4141であり得る。PAPデバイスおよびDSTデバイスは、単一のハウジング(例えば、CTデバイス4000のハウジング4010)中に設けてもよいし、あるいは別個のユニットとして存在させてもよい。
【0131】
図27に示すように、空気はPAPデバイスの出力から流量Q1において流れ、空気はDSTデバイスの出力から流量Q2において流れる。抵抗R1は、PAPデバイスの出力から患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200への空気圧経路中に存在し得る空気抵抗を示す。例えば、R1は、空気回路4170に沿った空気の抵抗を含み得る。抵抗R2は、DSTデバイスの出力からプロングまたは突起の終端への空気圧経路中に存在し得る空気抵抗を示す。例えば、R2は、突起導管17170に沿った空気流れの抵抗を含み得る。抵抗Rnoseは、患者の鼻内のプロングまたは突起の終端から鼻孔を通じて患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200へ流れる空気の抵抗を示す。流量がQ2によって示される流れは、解剖学的かつ機械的な死腔(すなわち、患者インターフェースに起因する死腔)双方のフラッシング流れであるため、Q2をフラッシング流量と呼ぶ。
【0132】
PAPデバイスの出力における空気の圧力は、Pdと示される。患者の鼻のプロングまたは突起内の終端における空気の圧力をPnoseとして示す。圧力Pmは、患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200内の空気圧力を示す。空気は、固定された通気孔または調節可能な通気孔(例えば、通気孔3400)を通じて患者インターフェース3000から流出し得る。通気孔を通過する流量は、Qventとして示される。通気孔流量Qventは、インターフェース圧力Pmに対応し得る。そのため、Qventは、記号Qvent(Pm)を通じてPmの関数として示され得る。患者への空気の流量(呼吸流量)はQrによって示され、患者の気道を通過する空気の抵抗は、Rairwayによって示される。患者の肺を出入りする空気は、患者の呼吸周期において交番圧力源として機能する。そのため、Plungは交番圧力源として示され、Clungは、患者インターフェースへ提供される空気流れに対する患者の肺からの弾性応答を示す。
【0133】
モデル2700のトポロジーから、PAPならびにDST流量Q1およびQ2の合計は、呼吸流量Qrおよび通気孔流量Qventの合計に等しいことが分かる:
【数1】
【0134】
多数の呼吸周期にわたる平均呼吸流量Qrはゼロであるため、通気孔流量Qventの平均またはDCコンポーネント(「バイアス流量」と呼ばれ得る)は、Q1およびQ2の平均またはDCコンポーネントの合計である。
【0135】
モデル2700のPAPデバイスおよびDSTデバイスは、システム中の空気の圧力および流量双方を管理するように制御され得る。これは、PAPおよび/またはDSTデバイスの流れ生成器の変化を制御することと、任意選択的に通気孔の開口径の機械的変化を制御することとにより、達成され得る。一般的に、インターフェース圧力Pmおよび死腔フラッシング流量Q2は、PAPデバイスおよびDSTデバイスの各制御により、独立的に制御され得る。詳細には、PAPデバイスは、任意の所与の流量Q1においてその固有の出力圧力Pdを既知の圧力低下について抵抗R1を通じて補償するように設定することにより、所与のインターフェース圧力Pmを維持し得る。しかし、この制御を維持するためには、デバイス圧力Pdがインターフェース圧力Pmよりも大きくなるようにPAPデバイスからの陽の流量Q1を維持することが有益である。Q1を正に保持するために、患者の呼吸周期全体において、以下が当てはまるようにフラッシング流量Q2を制御するとよい:
【数2】
【0136】
呼気時において、呼吸流量Qrは負であるため、ピーク呼気流量Qe(peak)Qventから引いた値よりも小さくなるようにQ2を制御することにより、呼吸周期全体においてQ1を正に保持することができる。換言すれば、最大フラッシング流量Q2(max)は、Qvent(Pm)-Qe(peak)である。圧力Pmが低くなると、通気孔流量Qventも一般的に低くなるため、圧力Pmが低くなると、フラッシング流量Q2の上限も低くなる。フラッシング流量がQ2(max)を下回る限り、PAPデバイスからの陽の流れQ1は、Q2とQvent+Qrとの間の差を構成する。従って、Q1は、呼吸周期と同期しつつQvent-Q2の定常値周辺において変化し、吸気時において上昇し、呼気時において低下する。
【0137】
このようにして、通気孔圧力/流れ特性の制御を通じて、死腔の所望のフラッシング(例えば、患者の解剖学的死腔からの二酸化炭素のフラッシング)が達成され得る。例えば、所与のインターフェース圧力Pmについて、より高い通気孔流量Qvent(Pm)が可能なように通気孔を調節すると、死腔フラッシング流量Q2がより高くなる。
【0138】
通気孔流量Qventは、患者インターフェース圧力Pmとの二次式関係を以下のように近似化し得る:
【数3】
【0139】
用語「A」および「B」は、通気孔の1つ以上のパラメータに基づき得る値である。これらのパラメータは、通気孔3400として機能する能動型近位弁(active proximal valve, APV)の開口径が変化するように制御されるように、QventとPmとの間の関係を変化させるように調節され得る。例示的なAPVについて、PCT公開第WO2010/141983中に開示がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0140】
例えば、いくつかの場合において、治療を変更するには、患者インターフェースと関連付けられた吹き出し特性を変更することが必要になり得る。そのため、いくつかの場合において(例えば、圧力治療において鼻孔枕およびCTデバイスを用いる場合)、後で流れ治療(例えば、酸素補充の流れまたは高流量療法)を鼻突起を用いて開始することが望ましい場合があり得る。この治療変更は、一般的な装置の場合はプロセッサ活性化であってもよいし、あるいは複数の供給デバイスなどの場合は手動で開始してもよく、患者インターフェースの吹出し特性の調節が必要になり得る。例えば、患者の鼻孔へのガス流れの増加を補償するように、手動通気孔がより頻繁に開口させられ得る。あるいは、調節可能な通気孔の場合、鼻突起へのさらなる流れが活性化されると、プロセッサは、通気孔の開口を制御するかまたは通気孔をより頻繁に開口させ得る。図7図10図12および図13の図示などに示すようにマスクをカニューレ上に付加されたときに、同様の通気孔制御を開始してもよい。このような追加治療が終了した場合、例えば通気孔サイズを手動で閉鎖または低減するかまたは自動/電気機械式通気孔(例えば、能動型近位弁)の通気孔サイズをコントローラによって閉鎖または低減するように制御することにより、吹出し特性が再度変更され得る。
【0141】
治療デバイスコントローラ4240は、例えば圧力治療を(呼吸周期に対して)概して一定に制御するための所望のまたは目標インターフェース圧力Pmを送達するための圧力デバイス4140のデバイス圧力Pdを、(流れデバイス4141によって送達されるフラッシング流量Q2を知る必要無く)制御し得る。このような場合、治療デバイスコントローラ4240は、従来の漏洩推測および補償の方法を用い得る。このようなアプローチ下において、治療デバイスコントローラ4240は、フラッシング流れを大きく一定の負の漏洩流として有効に取扱い得る。この漏洩流は、患者流れの推定時および/または呼吸に起因する望ましくない圧力変化に対抗するために圧力を調節するときなどに推定および補償され得る。同様に、双レベル圧力治療を送達するために、治療デバイスコントローラ4240は、(フラッシング流量Q2を知る必要無く)マスク圧力Pmを患者の呼吸周期と同期させるよう、圧力デバイス4140のデバイス圧力Pdを制御し得る。このようなアプローチ下において、治療デバイスコントローラ4240は、呼吸流量Qrを推定するための従来の漏洩推定および補償方法を用い得、フラッシング流れを大きく一定の負の漏洩流として有効に取り扱う。次に、治療デバイスコントローラは、従来のトリガおよびサイクリング処理を呼吸流量Qrへ適用して、所望のインターフェース圧力Pmを吸気から呼気へ切り換えて戻すタイミングを決定し得る。
【0142】
しかし、治療デバイスコントローラ4240は、トリガ目的およびサイクリング目的のためのインターフェース圧力Pmの制御および呼吸流量Qrの推定双方またはいずれかについてフラッシング流量Q2を明示的に考慮すると有利であり得る。
【0143】
同様に、フラッシング流量がこの上限を超えないようにするためにインターフェース圧力Pmおよびよって最大フラッシング流量Q2(max)(すなわち、Qvent(Pm)Qe(Peak))を計算するために、治療デバイスコントローラ4240が圧力センサ4274からの感知されたデバイス圧力Pdを用いると有利であり得る。
【0144】
圧力デバイス4140および流れデバイス4141が図26のように一般的な治療デバイスコントローラ4240の制御下にある具現例において、コントローラ4240は、全てのシステム変数(例えば、デバイス圧力Pdおよびフラッシング流量Q2)(例えば、変数について感知された値)を認識しているため、圧力デバイス4140、所望のインターフェース圧力Pmおよびフラッシング流量Q2を上記記載に従って送達するように、流れデバイス4141および任意選択的に調節可能な通気孔3400を制御することができる。
【0145】
しかし、圧力デバイス4140および流れデバイス4141が別個のコントローラの制御下にある具現例において、圧力デバイスコントローラは、流量変換器4272との直接通信によってまたは流れデバイスコントローラとの通信を通じて、フラッシング流量Q2を入手し得る。同様に、流れデバイスコントローラは、流量変換器4274との直接通信によってまたは圧力デバイスコントローラとの通信を通じて、デバイス圧力Pdを入手し得る。
【0146】
7.6.1 単一の流れ生成器の例
いくつかの具現例において、鼻突起またはプロングのうち1つ以上を通過するガスのフラッシング流量および患者インターフェース3000内の空気圧力双方を供給するために、単一の流れ生成器が用いられ得る。1つのこのような具現例において、図28に示すように、空気回路4170は用いられず、接続ポート3600はブロックされ、突起導管17170は単一の送風機4142の出力へ接続され得る。PAPデバイスまたは抵抗R1無しに回路モデル2700によってモデル化され得るこのような具現例において、流量Q1はゼロに等しいため、任意の所与の吹き出し特性Qvent(Pm)について、通気孔流量Qventは、図30に示すように、フラッシング流量Q2周囲の呼吸周期と同期して変化し、ピーク呼気においてQ2+Qeまで上昇し、ピーク吸気においてQ2-Qiまで降下する。インターフェース圧力Pmはまた、Qvent(Pm0)がフラッシング流量Q2に等しくなるように吹出し特性に沿って定常圧力Pm0の周囲において変化し、吸気時にトラフ圧力Pmiへ低下し、呼気時にピーク圧力Pmeへ上昇する。このようなインターフェース圧力の変化は、望ましい場合があり、吹出し特性を患者の呼吸周期と同期して調節することにより最小化され得る。例えば、図31に示すように、所与のフラッシング流量Q2における一定のインターフェース圧力Pm0を維持するために、吹出し特性のパラメータは、呼気時に吹出し特性が曲線VC-Eをたどるように患者の呼吸周期と同期して連続的に調節され得、これにより、Qvent(Pm0)がQ2+Qeまで上昇し、吸気時に曲線VC-Iに追随し、Qvent(Pm0)をQ2-Qiまで低下させ得る。
【0147】
吹出し特性に対する同様の連続的な調節は、呼吸周期全体においてDSTデバイス無しの具現例において一定のインターフェース圧力Pmを維持するようにも行われ得、これによりQ2はゼロに等しくなる。このような具現例において、任意の所与のPAPデバイス圧力Pd、抵抗R1、吹き出し特性Qvent(Pm)および呼吸流量Qrについて、インターフェース圧力Pmは、等式を満足する。
【数4】
【0148】
吹出し特性またはデバイス圧力Pdに対する連続的調節を呼吸周期と同期して行うと、Qrは呼吸周期にわたって変動するため、Pmをその定常値(すなわち、Qrがゼロであるときのその値)において維持することができる。
【0149】
そのため、このような単一の流れ生成器の具現例において、呼吸周期全体において所定の圧力および所定のフラッシング流量が患者インターフェース3000において維持されるように通気孔3400の1つ以上のパラメータを変更することにより、インターフェース圧力Pmおよびフラッシング流量Q2が同時にかつ独立的に制御され得る。さらに、この構成により、PmおよびQ2双方を時間および患者の呼吸について任意のパターンに制御することができる。例えば、Pmの双レベル圧力波形においては、吸気圧力は呼気圧力よりも高く、Q2は、患者の呼吸の態様に基づいて変化するようにも制御される。他の例を挙げると、CPAP、APAP、APAPの圧力治療モードのPm、流れ治療モードのQ2(例えば、固定された流量、患者の吸気または呼気状態に応じて変化する流量)と組み合わされたEPR、ASV、STおよびiVAPS、または他の換気パラメータ(例えば、換気平均に対する相対的な過換気または換気低下)。
【0150】
別の単一の流れ生成器具現例において、別個のDSTデバイスは存在せず、PAPデバイスの出力は、空気回路4170および突起導管17170双方へ接続される。このような具現例は、図33に示す電気回路モデル2700aによってモデル化され得る。インターフェース圧力Pmおよびフラッシング流量Q2を呼吸周期全体においてその各目標値へ独立的制御するには、上記したように通気孔特性を呼吸周期と同期させて調節すればよい。代替的にまたは追加的に、インターフェース圧力Pmおよびフラッシング流量Q2を呼吸周期全体においてその各目標値へ独立的制御するには、デバイス圧力Pdを呼吸周期と同期させて調節すればよい。代替的にまたは追加的に、例えば可変抵抗(例えば、比例弁)を空気回路4170内に付加することにより、空気回路4170の抵抗を変化させることができる。インターフェース圧力Pmおよびフラッシング流量Q2を呼吸周期全体においてその各目標値へ独立的制御するには、空気回路4170における可変抵抗の抵抗を呼吸周期と同期して調節すればよい。
【0151】
7.6.2 鼻インターフェースの例
このような異なる治療ならびに異なる構成の鼻インターフェースが上記した圧力制御方法のうちいずれかと共に制御される場合、呼気された二酸化炭素を押し流すように、多様な流路戦略を具現することができる。これらは、図の流れ矢印(F)を参照して検討され得る。図15Aの実施例において、吸気流(すなわち、周期的な供給活性化)または連続的な流れが、患者が吸気時に吸気し得る鼻突起16100双方を介して患者鼻腔へ供給され得る。鼻突起の遠位端(DE)は、図16に示すようなもののように、さらなる供給導管と連結され得る。呼気ガスは、患者鼻腔から鼻孔枕の通路中へ呼気され得、任意選択のベース通気孔16220および/または枕通気孔(単数または複数)18220のうち任意の1つ以上を通じて出て行く。吸気および呼気双方におけるこのような通気孔を介した連続的な呼気流れの制御により、鼻腔からの呼気ガスの押し流しが支援され得る。
【0152】
図15Bの実施例において、吸気流(すなわち、周期的な供給活性化)または連続的な流れが、患者が吸気時に吸気し得る鼻突起16100の1つを介して患者鼻腔へ供給される。本実施例において、図15Bに図示していないが、図面の左側の鼻突起の遠位端(DE)は、さらなる供給導管およびガス源へ連結され得る。この流れ供給の鼻突起を図15Bの左側に図示するが、あるいは右側に設けてもよい。次に、呼気ガスは、他方の鼻突起16100(例えば、図面の右側に示すもの)を介して患者鼻腔から呼気され得る。この場合、1つの鼻突起の遠位端は、さらなる導管を省略し得、鼻孔枕16010の近位において枕通気孔として機能し得る。吸気および呼気双方においてこのような通気孔を介した連続的な呼気流れの制御を行うと、鼻腔からの呼気ガスの押し流しが支援され得る。
【0153】
図17Aおよび図17Bの実施例において、2つの鼻突起の存在により、各鼻孔中の鼻突起を介して吹き出しおよび供給が可能になる。よって、吸気流(すなわち、周期的な供給活性化)または連続的な流れは、患者が吸気時に吸気し得る各鼻孔枕の鼻突起16100-2の1つを介して患者鼻腔へ供給される。本実施例において、図17Bに図示していないが、各鼻孔枕の1つの鼻突起の遠位端DEは、さらなる供給導管およびガス源へ連結され得る。次に、呼気ガスは、各鼻孔の他方の鼻突起16100-1を介して患者鼻腔から呼気され得る。この場合、各鼻孔の1つの鼻突起の遠位端は、さらなる導管を省略し得、鼻孔枕16010の近位において枕通気孔18220として機能し得る。吸気および呼気双方において連続的な呼気流れをこのような通気孔を介して制御することにより、鼻腔からの呼気ガス(例えば、二酸化炭素)の押し流しの向上が支援され得る。
【0154】
いくつかの場合において、押し流し流路は、各鼻孔枕中の単一鼻突起を用いて具現され得る。このような実施例は、図18に関連して考えられ得る。本実施例において、ガス供給鼻突起は省略される。次に、各鼻孔枕中の単一鼻突起16100は、例えば枕通気孔としての吹き出しにより、鼻突起通気孔として機能し得る。よって、吸気流(すなわち、周期的な供給活性化)または連続的な流れは、吸気時に患者によって吸気され得るように、各鼻孔枕を介して患者鼻腔へ供給される。本実施例において、単一鼻突起16100の遠位端は、さらなる導管を省略し得、鼻孔枕16010の近位において枕通気孔18220として機能し得る。吸気および呼気双方におけるこのような通気孔を介した連続的な呼気流れの制御により、鼻腔からの呼気ガスの押し流しが支援され得る。
【0155】
いくつかの場合において、押し流し流路は、鼻突起無しに具現され得る。このような実施例は、図19Aおよび図19B鼻枕に関連して考えられ得る。本実施例において、各鼻孔枕は、呼気時に呼気ガスを吹き出すための枕通気孔を持ち得る(図19Bを参照)。枕通気孔は、吸気時および呼気時に開口し得るか、あるいは呼気時に開口のみを行い得る。吸気流(すなわち、周期的な供給活性化)または連続的な流れは、吸気時に患者によって吸気される(図19Aを参照)ように、各鼻孔枕16010を介して患者鼻腔へ供給される。吸気および呼気双方におけるこのような通気孔を介した連続的な呼気流れの制御により、鼻腔からの呼気ガスの押し流しが支援され得る。しかし、ここに鼻突起が存在しない場合、死腔がわずかに増加する。
【0156】
図20Aおよび図20Bの実施例において、各鼻孔枕のネックまたはベースにある通気孔が、任意選択の通気弁21410によって活性化され得る。これらの鼻孔枕は、上記した鼻突起のうちいずれかを任意選択的に含む。このバージョンにおいて、通気弁の活性化は、患者の鼻孔枕における周期的な吹き出しが可能になるように患者の呼気サイクルと関連付けられた圧力を上昇させることにより、行われ得る。よって、図20Aに示すように、呼気時において、呼気ガスにより通気弁を開口させて、呼気空気が雰囲気へ排出される。このとき、空気回路4170から鼻孔枕への流路がブロックされ得る。図20Bに示すように、吸気時において、流れ生成器またはCTデバイスからの供給ガスにより、通気弁が閉鎖され得る。このとき、空気回路4170から鼻孔枕への流路が開口し得る。
【0157】
図20Cおよび図20Dの別の実施例において、このような弁21410は、枕通気孔18220のうちいくつかだけが一度に閉鎖されるように、構成され得る。この配置構成において、弁21410は、1つの枕通気孔が閉鎖されている間に他方の枕通気孔が開口するように、構成され得る。ここで図20Cを参照して、図面左側への枕通気孔は開口する一方、右側への枕通気孔は閉鎖するため、患者からの呼気流れは、開口している枕通気孔を通じて退出する。図20Dに示すように吸気時において、流れ生成器またはCTデバイスは、供給ガスの流れを送達させ、この供給ガスは、左側への枕通気孔が開口した状態のまま患者へ送達され、これにより、ガスが連続的に押し流され、死腔の低減効果が得られる。別の配置構成を図20Eおよび図20Fに示す。図中、左側への枕通気孔は閉鎖しており、右側への枕通気孔は開口している。一形態において、弁21410は、例えば図20Cおよび図20Dに示す第1の配置構成から例えば図20Eおよび図20Fに示す第2の配置構成へ切り換えることが可能なように、配置され得る。例えば、弁が電磁気動作する場合、これらの弁は、コントローラによって所望の動作へ設定され得る。例えば、これらの弁は、所定の時間サイクルまたは事前設定された時間サイクルで交互に設けられ得る。任意選択的に、これらの弁は、手動で動作させ、所望の時間に手動で切り換えてもよい。
【0158】
上記したように第1の配置構成から第2の配置構成へ切り換えることおよびよって左側の鼻通路と右側の鼻通路との間を交互することの1つの利点として、患者の快適レベルを向上させ得る点がある。例えば、図20C図20Dに示すような患者インターフェースを使用している患者は、患者の右側(図中では左側の)鼻通路の乾燥に起因する不快感を経験し得る。このような不快感は、患者インターフェースの構成を図20E図20Fに示す構成に変更することにより、軽減され得る。
【0159】
任意選択的に、このような弁は、鼻突起が供給および呼気導管双方として機能し得るように、(例えば、図21に示す)鼻突起中へ伸長させられ得る。このような場合、鼻突起は、導管を分割する弁膜22500を含み得る。弁膜22550は可撓性であり得、鼻突起16100に沿って近位端またはその近隣から鼻突起の通気孔部分22510へ延び得る。通気孔部分は、枕通気孔18220の近位に設けてもよいし、あるいは枕通気孔18220として機能してもよい。鼻突起の弁膜22550は、図22図23Aおよび図23Bに示すように鼻突起の導管上において動的に移動できる(図22の矢印Mを参照)ように、吸気および呼気流れに応答し得る。次に、弁膜は、鼻突起を膜のいずれかの側上の吸気導管および呼気導管として動的に再構成し得る。例えば、図23Aに示すように、患者呼気に応答して、弁膜22550が鼻突起の近位端上において移動すると、通気孔部分22510へ続く突起の呼気導管部分ECPが拡張する。この移動により、供給ガス源または流れ生成器へ続く鼻突起の吸気導管部分ICPが低減する。同様に、図23Bに示すように、患者吸気に応答して、弁膜22550が鼻突起の近位端上において戻ると、通気孔部分22510へ続く突起の呼気導管部分ECPが低減する。この動きにより、供給ガス源または流れ生成器へ繋がる鼻突起の吸気導管部分ICPが拡張される。
【0160】
鼻インターフェース(例えば、鼻マスク3000または枕インターフェース16002)が口腔鼻インターフェースよりも有利な点として、併用治療を受けている時に患者がより話しやすい点および食べやすい点がある。加えて、患者が例えば睡眠時に自身の口を偶発的に開けた場合、開口した口腔が漏洩の原因となり得るアパチャとして機能する。口腔の開口が偶発的なものであるかあるいは発話または食事のために意図的なものであるかに関わらず、このような発生を検出するように併用治療を制御すると有用である。口からの漏洩は、連続的なものであるかまたは「弁状のもの」であり得、口腔圧力が呼気時に上昇する際に間欠的に発生する。どちらの種類の口からの漏洩も、例えばPCT特許公開第WO2012/012835号に記載の方法を用いた呼吸流量Qrの推定および分析により、検出され得る。本明細書中、同文献全体を相互参照のため援用する。連続的な口からの漏洩がコントローラによって検出された場合、口腔が開口している間、目標インターフェース圧力Pmがコントローラによって例えばゼロへ低減され得、これにより、口腔から空気が大量に出て行く際に往々にして感じられる不快感が低減され、患者が食事または発話をより快適に行うことが可能になる。しかし、コントローラは、検出された口からの漏洩事象のうちいずれか全体において、死腔治療の制御送達を任意選択的に継続してもよい。
【0161】
さらなる具現例において、特別に設計された口腔用器具を治療時(例えば、睡眠時)に患者に装着してもらうことにより、口腔内からの意図的な空気流れを可能にし、制御することができる。このような口腔流れは、鼻腔内へのフラッシング流れのための周囲への代替的または補足的経路として機能し得る。この口腔用器具の効果は、鼻と周囲との間の(すなわち、モデル2700の右奥の気道経路と平行の)さらなる抵抗素子により、図27の電気回路モデル2700においてモデル化され得る。この素子の存在と、その内部の口腔流量Qmouthとにより、任意の所与のインターフェース圧力Pmについて、フラッシング流量Q2の上限Q2(max)にQmouthが有効に付加される。
【0162】
7.6.3 口腔鼻インターフェースの例
別の形態において、口腔鼻(フルフェイス)マスクは、ユーザの鼻孔へガス流れを送達するように構成された1つ以上の流れ方向付け器を含み得る。これらの流れ方向付け器は、補助的ガス源(例えば、酸素源またはHFTに適した流れ生成器)へ接続され得、補助的ガス源からのガス流れを受容し得る。例えば、患者インターフェースは、図24に示すような1つ以上の第2ポート19100を含み得る。第2ポート19100は、例えば供給導管を介して補助的ガス源へ接続可能である。
【0163】
流れ方向付け器の一例として、1つ以上の管19200があり得る。これら1つ以上の管19200は、1つ以上の第2ポート19100へ連結され、図25Aに示すようにガス流れを方向付けるように患者の鼻孔の外側に配置される。これら1つ以上の管19200は、分離可能なコンポーネントであり得、図25Aに示すように患者インターフェース(例えば、マスク)のフレームと係合させることができ、管19200はプレナムチャンバ3200内に係合される。いくつかの形態において、1つ以上の管19200は、患者インターフェースの別の部分(例えば、プレナムチャンバ3200)と一体形成され得る。1つ以上の管19200は、ガス流れ方向を調節できるように、患者インターフェースの残りに相対して移動可能に構成され得(例えば、図25Aに示すようにマスクへ旋回可能に連結され得)る。
【0164】
流れ方向付け器は、調節後に流れ方向付け器が(例えばプレナムチャンバ3200との摩擦係合により)所定位置に留まることができるようにするための位置決めフィーチャをさらに含み得る。図25Aに示す配置構成は、相互に流体接続されかつ第2ポート19100へ接続された2本のこのような管を図示しているが、任意の数のポートおよび管ならびにその間の接続の任意の組み合わせが鼻突起の上記記載と同様に用いられ得ることが理解される。別の実施例において、各管19200は、中空の球面継手(図示せず)によってプレナムチャンバ3200へ独立的に接続され得る。この中空の球面継手(図示せず)により、管が患者インターフェースの残り部分に相対して移動できつつガスが内部を流れることが可能になる。これにより、このような接続により、ガスが第2ポート19100と管19200との間を流れることが可能になり得る。
【0165】
いくつかの場合において、流れ方向付け器は、第2ポート19100へ連結された流れ方向付け面19300の形態をとり得る。例えば、図25Bに示す各流れ方向付け面は、曲線状表面を含み得る。この曲線状表面は、補助的ガス源からのガス流れをコアンダ効果を用いて方向付けるような形状にされ、これにより、流れが曲線状表面に「張り付く」かまたは適合し、そのプロファイルに追随する。いくつかの形態において、流れ方向付け面19300は、例えばプレナムチャンバ3200へ回転可能に連結されることにより、移動可能に構成され得る。
【0166】
別の態様によれば、流れ方向付け器または鼻突起は、流れ素子(例えば、ハニカムグリッド(図示せず))を含み得る。この流れ素子が流れの乱流を低減することにより、流れ方向付け器は、(この流れ素子が無い場合よりも)より多くの層流を生成する。このような配置構成は、流れ方向付け器と共に用いられると特に有利であり得る。なぜならば、層流はオリフィスから出て行くため、乱流に比べてより集中するからである。そのため、流れ素子を用いると、より高比率のガス流れの患者鼻孔への送達が支援され得る。一方、流れ素子を用いない場合、ガス流れのうちより多くがマスク内部に移動するにつれて失われ、通気孔を通じて押し流される。
【0167】
7.6.4 例示的な流れ/圧力の制御方法
図29は、開示のシステム方法の態様によるフロー図2900を示す。フロー図2900の各ブロックは、単一のデバイス(例えば、CTデバイス4000)の1つ以上のコントローラによってまたは複数のデバイスのコントローラによって行われ得る。多様なブロックを同時に行ってもよいし、あるいは図示以外の異なる順序で行ってもよい。加えて、動作またはブロックは、フロー図に追加またはフロー図から除去してもよく、その場合でも、開示の技術の態様に従い得る。
【0168】
ブロック2902において、コントローラは、患者インターフェースへ提供されるべき空気の所定の圧力および所定の流量を特定し得る。上記したように、所定の圧力および/または所定の流量は、所与の期間にわたって一定であってもよいしあるいは変動してもよく、所望の治療または患者へ提供すべき治療の組み合わせに基づいて選択され得る。例えば、所定の空気の圧力を患者の吸気および呼気に基づいて調節すべき場合、双レベル圧力治療が選択され得、選択されたHFT形態に従って所定の流量が一定レベルに維持され得る。ブロック2904において、コントローラは、圧力センサおよび流量センサによってそれぞれ測定された現在の圧力および現在の流量の測定を受信し得る。コントローラは、測定された圧力および流量と、所定の圧力および所定の流量とをそれぞれ比較し得る(ブロック2906)。この比較は、測定された圧力および流量が所定の圧力および所定の流量について受容可能な範囲以内にあるか否かを決定することを含み得る。測定された圧力および流量が所定の圧力および流量に対応する場合、コントローラは、ブロック2904に戻り得る。
【0169】
測定された圧力または流量が所定の圧力または流量に対応しない場合、コントローラは、1つ以上の流れ生成器の出力を調節しかつ/または調節可能な通気孔の1つ以上のパラメータを上記した様態で調節し得る(ブロック2908)。例えば、システムは、2つの流れ生成器(上記した圧力デバイス4140および流れデバイス4141)を含み得る。測定された圧力が所定の圧力に対応しない場合、コントローラは、測定された圧力が所定の圧力に対応するように、流れ生成器の一方または双方の出力を調節し得る。流れ生成器の一方または双方の出力の調節は、測定された流量が所定の流量に継続的に対応するように、行われ得る。このようにして、圧力および流量は同時に制御される。選択された治療セッションが終了するかまたはデバイスの使用が終了まで、コントローラはブロック2904に戻り得る(ブロック2910)。
【0170】
7.6.5 併用治療の用量設定
併用治療の最適なパラメータ(例えば、圧力および流量)(詳細には、2つの治療間のバランス(すなわち、併用治療における曲線32030上の位置))は、患者によって異なる。治療パラメータを患者に合わせて選択するプロセスは、用量設定として知られる。一般的に、パラメータは、患者の状態および呼吸パラメータ(毎分換気量、呼吸数、呼気気流形状、肺力学、死腔、および呼気されたCO2)に基づいて選択または変更され得る。例えば、重篤なNMD患者の場合、呼吸動作の支援のために圧力補助を重点的に用いることが必要である一方、肺気腫患者の場合、死腔治療から比例的により多くの効益を受け得る。肺気量が大きい患者が圧力補助を少し受けている場合、死腔が大きくなり得るため、死腔治療からより多くの効益を比例的に受け得る。逆に、呼吸数が高いことから呼吸努力が大きいことが分かっている場合、圧力補助からより多くの効益が受けられ得る。
【0171】
1つの圧力補助治療形態として公知であるiVAPSは、圧力補助の変更による肺胞換気のサーボ制御に基づく。iVAPsにおいては、目標換気レベルは、解剖学的死腔の換気を毎分換気量から減算することによって計算された肺胞換気となる。所与の患者における解剖学的死腔の量は、サーボコントローラへ提供され得るかまたは患者の身長から推定され得る設定値である。死腔治療と組み合わされる、この形態の圧力補助治療を制御するコントローラは、(DSTを考慮に入れた肺胞換気の目標換気設定値をコントローラが計算できるように)例えば入力されたかまたは計算された解剖学的死腔情報に適用される低減値を具現することにより、死腔治療を受けない患者に期待されるよりも低い値の解剖学的死腔を適用し得る。死腔換気値を低くすると、肺胞換気が毎分換気量に近くなる。そのため、このような計算された換気目標をコントローラが用いた場合、制御による圧力補助レベルは概してより低くなる。
【0172】
7.6.6 心拍出量の推定
フィック技術においては、死腔操縦に対する呼気されたCO2の応答(典型的には、死腔の段階的変化)の推定により、心拍出量が推定される。死腔治療におけるフラッシング流量は、死腔の操作のために有効に用いることができ、換気測定値(例えば、毎分換気量または一回換気量)は、特に睡眠時におけるCO2応答のプロキシとして用いることができる。そのため、フラッシング流量の段階的変化に起因する換気変化(例えば、毎分換気量または一回換気量)を測定することにより、フィック技術を併用治療において具現することができる。例えば、フラッシング流量の段階的変化を制御することと、フィック技術に従った段階的変化に相対する換気測定(例えば、毎分換気量または一回換気量)の変化を決定することにより、心拍出量推定値を計算または生成するようにコントローラを具現することができる。このようなプロセスは、例えば睡眠セッション時(例えば、コントローラによって睡眠が検出されたとき)に、コントローラにより自動的にまたは(定期的に)開始され得る。コントローラは、公知の方法(例えば、国際特許出願第PCT/AU2010/000894(WO/2011/006199)、タイトル:「Detection of Sleep Condition」に記載のような自動的方法のいずれか)により、睡眠を検出し得る。本明細書中、同文献の開示内容全体を参考のため援用する。
【0173】
7.7 任意選択の治療のためのさらなる患者インターフェース
患者によっては、複数の治療を受ける必要がある。例えば、患者によっては、補助的ガス治療を受ける必要がある。例えば、鼻カニューレの使用により、カニューレのプロングから酸素を患者鼻孔へ供給することにより、酸素補充治療が患者へ送達され得る。鼻CPAPの場合と異なり、このような治療の場合、睡眠障害呼吸事象(例えば、閉塞性無呼吸または閉塞性呼吸低下)の治療のために、空気を治療圧力(単数または複数)にて供給することは多くない。酸素補充治療については、図6の図示を参照して検討されたい。従来の鼻カニューレ7002は、患者鼻孔へ酸素を供給することができる鼻プロング7004Aおよび7004Bを含む。このような鼻プロングは、鼻孔の内側皮膚面または外側皮膚面とのシールを形成しないことが多い。鼻プロングへのガスは、典型的には1つ以上のガス供給ルーメン7006aおよび7006bから供給される。ガス供給ルーメン7006aおよび7006bは、鼻カニューレ7002と連結される。このような管は、酸素源に繋がり得る。あるいは、いくつかの場合において、このような鼻カニューレ7002は、高流量療法を鼻孔へ提供し得る。このような高流量療法(HFT)は、米国特許出願公開第2011-0253136号(国際出願PCT/AU09/00671として2009年5月28日に出願)に記載のものであり得る。本明細書中、同文献の開示内容全体を参考のため援用する。このような場合、鼻カニューレからのルーメンは、高流量療法のための空気流れを生成する流れ生成器に繋がる。
【0174】
このような補助的ガス治療の送達を従来の鼻カニューレを用いて行っている間、さらなる治療(例えば、患者インターフェースが患者の呼吸器系との圧力シールを形成することが必要な加圧ガス治療または気道陽圧(PAP)治療)を定期的に提供することが望ましい場合がある。例えば、従来の鼻カニューレを用いた酸素治療時において、患者が睡眠をとる場合または従来の圧力補助治療を受ける場合に患者に従来のCPAP治療を提供することが望ましい場合がある。これらのさらなる治療の場合、マスク(例えば、調節可能な通気孔を任意選択的に含み得る鼻マスクまたは口腔鼻(口および鼻)マスク)が必要になり得る。このような実施例については、図7を参照して考えられ得る。マスク8008が従来の鼻カニューレを介して患者へ適用されると、患者との良好なシールを妨げるよう、鼻カニューレのコンポーネントのうち1つ以上が、マスクのシール形成構造(例えば、クッション8010)と干渉し得る。例えば、図7に示すように、ルーメン7006aおよび7006bは、マスクのクッション8010と干渉し得る。その結果、実質的なカニューレに起因する漏洩(CIL)がルーメンまたはその近隣に発生し得、所望の治療圧力レベルがマスク中において達成できなくなり得る。圧力および流れ制御を同時に行うことを可能にするために、本明細書中に記載の装置および治療は、このような問題に対処するように具現され得る。
【0175】
7.7.1 改変された鼻カニューレの実施形態
本技術のいくつかの具現例において、改変された鼻カニューレは、治療ニーズの変化と共に用いることが可能なように、具現され得る。例えば、図8に示すように、鼻カニューレ9002は、1組の突起(例えば、1つ以上のプロング9004aおよび9004b)を含む。各突起またはプロングは、ユーザの鼻孔中へ延び得る。突起は、ユーザの鼻孔中へガス流れを送達させる導管として機能する。鼻カニューレ9002は典型的には、1つ以上のカプラー拡張9020aおよび9020bも含む。カプラー拡張は、供給ラインからのガス流れを導く導管(例えば、ルーメン9012aおよび9012b)として機能し得る。カプラー拡張は、カニューレ9002のベース部分9022および/または鼻カニューレの供給ライン(単数または複数)へ取り外し可能に連結可能であり得る。あるいは、カプラー拡張は、いずれかまたは双方と一体化され得る。
【0176】
典型的には、各カプラー拡張(単数または複数)は、シート部9024aおよび9024bと共に構成され得る。シート部は、別の患者インターフェースとの接触面を含み得る。例えば、シート部は、マスクの典型的なシール形成構造(例えば、典型的な顔接触クッション)との間でシールが可能になるような接触面として機能することができる。そのため、シート部の接触面は、マスクのクッションとシールを形成し得る。カプラー拡張は典型的には、患者との間にシールを形成するために皮膚/顔接触のための接触面も含む。シート部は、カニューレに起因する漏洩CILを最小化または排除するように適合された表面を含み得る。いくつかのこのような場合において、シート部は、シール斜角9090を含む表面を含み得る。シール斜角9090により、マスクのクッションと顔接触面との間のシールが促進され得る。このようにして、従来の鼻カニューレ構造の場合に通常発生する隙間が充填され得る。
【0177】
シート部のシール斜角は、シール形成を促進する多様な断面プロファイルと共に形成され得る。例えば、図9Aに示すように、カプラー拡張のシート部9024は、概して三角形の断面プロファイルを持ち得る。カプラー拡張のシート部9024は、三角形(例えば二等辺三角形)であり得、ベースの反対側上のマスク密閉面を備える。そのため、ベースの反対側は、同じ長さであってもよいし、あるいは異なる長さであってもよい。ベース9026は典型的には、患者密閉面として構成され得る。他の断面プロファイルも具現され得る。例えば、図9B図9Cおよび図9Dは、レンズマメの断面プロファイルを示す。そのため、図示のように、このプロファイルは、中央においてより大きくなり得、上面および下面は、外形の対向する端部に向かって同様の形状により徐々に収束し得る。
【0178】
いくつかの場合において、カプラー拡張(単数または複数)は、鼻カニューレのプロングとルーメンとの間に空気を導く導管として機能し得る。例えば、図9A図9B図9Cおよび図9Dに示すように、シート部は、1つ以上の導管流路10030を含み得る。これらの導管流路は、例えばガスを異なるプロングへ提供することおよび/または異なるガスを提供することを可能にするために、鼻カニューレに対して異なるガス流れ方向にガスを方向付けるために用いられ得る。例えば、1つの導管流路は、鼻カニューレの1つのプロングおよび別の導管流路(ただし、存在する場合)に繋がり得、その鼻カニューレの1つのプロングおよび別の導管流路は、鼻カニューレの他方のプロングに繋がり得る。図9Aおよび図9Cに示すように、単一の導管流路が設けられる。単一の導管流路は円形であり、管状ルーメンに連結され得る。しかし、他の形状(例えば、矩形)であってもよい。この導管流路は、鼻カニューレへ連結されると、双方のプロングまたは1つのプロングへ繋がり得る。図9Bおよび図9Dに示すように、二重の導管流路が設けられる。二重の導管流路の各導管は、円形、楕円形または他の類似のプロファイルを持ち得、管状ルーメンに連結し得る。図9bに示す各二重の導管流路は矩形であり、カプラー拡張内に中央配置されたリブ分割構造10032によって分割され得る。各導管が双方のプロングに繋がる場合もあれば、あるいは、鼻カニューレへ連結されている場合、各導管が異なるプロングへ繋がる場合もある。例えばさらなるリブ分割器を設けることにより、さらなる導管流路を設けてもよい。
【0179】
図10Aおよび図10Bに示すように、鼻カニューレがプレナムチャンバ内に含まれるようにマスクが鼻カニューレ上に配置された場合、マスクは、患者の顔接触領域上だけでなく、鼻カニューレのシート部上にも配置される。図10Bにさらに示すように、シート部のプロファイルにより、隙間を低減するようにマスクのシール形成構造間をシールすることが可能になる。そのため、シート部は典型的には、典型的なマスククッションを受容するように適合された長さLおよび幅W(例えば、図8または図14Aを参照)を有する。この長さは、典型的なクッション幅よりも長くなり得る。この長さは、マスクの横方向変位時にシールが得られるように、選択され得る。測定値が0.5~3.0インチであれば、適切な長さ範囲であり得る。例えば、長さがおよそ2インチであれば、適切であり得る。幅は、隙間を無くすようなシール斜角を徐々に付けるように、導管流路の高さおよびマスククッション材料の典型的な可撓性に応じて異なり得る。
【0180】
カプラー拡張は、例えば可撓性材料などを用いて成型によって形成され得る。例えば、カプラー拡張は、シリコーンによって形成され得る。任意選択的に、外側部分または端部分を例えば中実断面することにより、外側部分または端部分が中央部分よりも高剛性にされ得る。断面端部をより高剛性にすることにより、変形制限を支援して断面端部の形状を維持することができ、使用時におけるマスククッションと顔接触領域との間の隙間発生を回避することができる。カプラー拡張のいくつかのバージョンにおいて、例えばコンプライアンス向上のために、さらなる材料が適用され得る。例えば、皮膚接触面は、快適性向上のために発泡層または軟質材料を含み得る。
【0181】
図10Aの改変された鼻カニューレのバージョンは、単一の供給ラインをカニューレの各側に含む(例えば、左側および右側の供給ライン)が、さらなる供給ラインを実装してもよい。例えば、図11および図12に示すように、2つのルーメンが付加されるか、または各カプラー拡張から突出する。いくつかのこのような場合において、各ルーメンは、カプラー拡張の異なる導管流路と連結され得る。このような配置構成において、ルーメンは、患者への取付を確実にするために、耳の上方および/または可能に設けられ得る。
【0182】
任意選択的に、本明細書中に記載のカニューレのうちいずれかのシート部は、マスク取付構造(例えば、シートリッジ)を含み得る。リッジは、シート部に対するマスクの相対位置を指示または制御するための位置決めフィーチャとして機能し得る。このようなシートリッジ12040のフィーチャを図11および図12に示す。シートリッジは、シート部の表面(例えば、シート部の外面積または縁部上のものから(球欠平面に対して垂直の方向において))立ち上がり得る。
【0183】
図13は、本技術の別のバージョンのカプラー拡張を示す。このバージョンにおいて、シート部の幅は、シート部を長さに沿って中央方向に拡張させる拡張領域EAを含む。シート部の接触面をこのように変化させることにより、シート部とマスククッションとの間のシールおよび/またはカプラー拡張と患者の顔接触領域との間のシールの快適性の向上が支援され得る。
【0184】
本技術のいくつかのバージョンにおいて、カプラー拡張15020は、従来の鼻カニューレのためのアドオンコンポーネントとして形成され得る。このようなアドオンカプラー拡張は、図14A図14Cを参照して検討され得る。アドオンカプラー拡張15020は、供給ラインのための1つ以上の溝部(単数または複数)15052を含み得る(例えば、カニューレのルーメン)。よって、シート部およびシール斜角を備えるカプラー拡張は、マスクが従来のカニューレのルーメン上に付加されたときの隙間を低減するように、鼻カニューレのルーメンへ容易に付加されるかまたはその下側に設けられ得る。カプラー拡張15020は、上記したカプラー拡張のフィーチャのいずれかも含み得る。例えば、図14A図14Bおよび図14Cに示すように、カプラー拡張15020は、多様な断面外形(例えば、三角プロファイルおよびレンズマメプロファイル)を持ち得る。図14Cのバージョンにおいて、例えば従来のカニューレがカニューレの片側または両側から延びる2つのルーメンを含む場合において、2つの溝部15052が、2つのルーメンの挿入のために設けられる。図中、2つのプロングを備える鼻カニューレを含む図示しているが、本技術の鼻カニューレが1つ以上(例えば、2つの)の鼻プロングと共に実装され得ることが理解されるべきである。
【0185】
7.7.2 改変された鼻枕の実施形態
本技術のいくつかのバージョンにおいて、一般的な患者インターフェースは、多様な治療の適用を可能にする単一構造を提供し得る。よって、上記実施形態と異なり、治療変更のためにさらなる患者インターフェースを使用し、周期的に適用することは不要であり得る。さらに、このような患者インターフェースのフィーチャは、死腔を最小限にするように設計され得る。
【0186】
多様な治療(例えば、酸素治療およびPAP治療)の周期的適用のために実装することが可能な1つのこのような患者インターフェースの例は、図15Aおよび図15Bを参照して検討され得る。患者インターフェース16002は、鼻インターフェースとして機能し得る。よって、患者インターフェース16002は、1組の鼻孔枕(例えば、1つ以上の鼻孔枕(単数または複数)16010)を含み得る。各鼻孔枕は可撓性であり得、装着されると患者の鼻孔とのシールを形成するように構成され得る。鼻孔枕は、外側円錐表面16012を持ち得る。外側円錐表面16012は、鼻穴の内部および/または外部の患者の鼻孔の皮膚周辺において係合し得る。任意選択的に、鼻孔枕は、外側円錐部分と入れ子型関係を持つ内側円錐部分16014も持ち得る(図17Bに最良に示す)。内側円錐部分16014と、外側円錐表面16012との間に隙間が存在し得る。各鼻孔枕は、ネック16015部分によって共通ベース部分16016へ連結し得る。外側円錐部分の中央領域(および/または内側円錐部分)、ネックおよびベース部分を通じた通路は、空気回路4170を介したCTデバイス4000の流れ生成器へかつ/またはCTデバイス4000の流れ生成器からの流路として機能し得る。空気回路4170は、フランジ16018において患者インターフェースのベース部分16016へ連結され得る(図17Bに最良に示す)。任意選択のベース拡張16020-1および16020-2は、患者インターフェースを安定化/位置決め構造(例えば、ストラップまたは他のヘッドギア)へ接続させるためのコネクタ16022-1および16022-2を含み得る。
【0187】
鼻孔枕の一方または双方は、1つ以上の鼻突起も含み得る。各鼻突起16100は、鼻突起を通じてガス流れを導く導管であり得る。鼻突起は典型的には、鼻枕から突出する。図15Aおよび図15Bに示すように、鼻突起は、鼻孔枕のシールを超えて(例えば、外側円錐部分の縁部を超えて)延びるように構成され得、これにより、使用時に近位端PEにおいて鼻孔枕よりも遠位において患者の鼻腔内に突出し得るかまたは患者の鼻腔内に延び得る。鼻突起16100は、鼻孔枕の流路内から延び得る(例えば、円錐部分から延び得る)。鼻突起は、鼻孔枕の内壁または患者インターフェースの他の内部通路へ任意選択的に付着し得る。いくつかの場合において、鼻突起は、鼻孔枕の内壁または患者インターフェースの他の内部通路と一体化され得るかまたは鼻孔枕の内壁または患者インターフェースの他の内部通路と共に形成され得る。それでも、鼻突起の流路は、鼻孔枕の流路と別個である。典型的には、鼻突起によって鼻腔内へ延びる拡張の長さは、約5mm~15mmの範囲内であり得る。
【0188】
任意選択的に、図15Aおよび図15Bのバージョンに示すように、各鼻突起は、鼻孔枕の通路およびベース部分の通路を通じて延び得る。鼻突起の遠位端DEにおいて、鼻突起は、ガス供給へのさらなる導管(例えば、流れ生成器または補助的ガス源(例えば、酸素源))へ取り外し可能に連結され得る(かまたは一体化され得る)。交互に、鼻突起の遠位端DEにおいて、鼻突起は、(例えば通気孔として機能するために)雰囲気に対して開口し得る。いくつかの場合において、鼻突起の遠位端DEは、取り外し可能なキャップを持ち得る。この取り外し可能なキャップは、遠位端を閉鎖させることにより、鼻突起を通じた流れを回避する。例えば、図16に示すように、突起導管17170-1および17170-2は、鼻突起それぞれに任意選択的にへ連結され得る。任意選択的に、突起導管17170は、空気回路4170に沿って空気回路4170の外部に延びる。しかし、これらの突起導管は、図17Bに示すように例えばベース部分16016からフランジ16018を通じて延びる場合に、空気回路4170に沿って延びかつ空気回路4170の内部の設けられ得る。
【0189】
患者インターフェース16002のいくつかのバージョンにおいて、1つ以上の通気孔が、患者インターフェースの表面に形成され得るかまたは患者インターフェースの表面から形成され得る。他のバージョンにおいて、1つ以上の通気孔を含む別のコンポーネント(例えば、アダプタまたは空気回路4170)が、患者インターフェースと流体接続され得る。通気孔は、装置からの呼気を通気するための流路として機能し得る。任意選択的に、このようなベース通気孔16220は、ベース部分中のチャンバから通気するように、図15Aに示すようにベース部分16016上に形成され得る。いくつかの場合において、1つ以上の通気孔が、鼻孔枕上(例えば、ネック16015上)に形成され得る。いくつかの場合において、1つ以上の通気孔が、例えば患者インターフェースの鼻孔枕部分内のチャンバから通気するように、外側円錐表面16012の一部の上に形成され得る。いくつかの場合において、このような通気孔は、既知のインピーダンスの固定開口部であり得る。いくつかのこのような場合において、通気孔は、公知の漏洩を提供し得る。任意選択的に、このような通気孔は、例えば通気孔の開口径を増加または逓減させるような手動操作により、調節可能であり得る。例えば、通気孔は、フル開口位置、部分的開口位置および部分的閉鎖位置などから調節することができる。いくつかの場合において、通気孔は、電気機械式通気孔であり得、通気孔のサイズを多様な開口位置と閉鎖位置との間で増減できるように流れ生成器によって制御され得る。例示的な通気孔および送達の制御については、国際特許出願第PCT/US2012/055148号(出願日:2012年9月13日)およびPCT特許出願第PCT/AU2014/000263号(出願日:2014年3月14日)が参照され得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0190】
例示目的のため、図17Aおよび図17Bの患者インターフェース16002において、鼻インターフェースは、各鼻孔枕から延びる複数の鼻突起16100を含む。少なくとも1つのこのような鼻突起は、例えば鼻孔枕の外側円錐表面の下部において枕通気孔18220として機能し得る。本実施例において、鼻突起16100-1はそれぞれ、導管を形成する。患者の鼻腔から鼻孔枕を通じて雰囲気へ繋がる。このような鼻腔内に延びる鼻突起により、呼気(二酸化炭素)を患者の気道から除去するための短い経路を通じて、患者の死腔を低減させることができる。いくつかのこのような実施例において、さらなる鼻突起16100-2は、補助的ガス源(例えば、酸素源)と連結してもよいし、あるいは本明細書中により詳細に述べる制御された空気流れと連結してもよい。任意選択的に、各鼻孔枕のこのような鼻突起は、逸脱する突起(図17A中、矢印DBにおいて示す)と共に形成され得る。下部と比較して近位端においてさらに分離するようなこのような逸脱により、使用時の鼻腔内における拡張の保持が支援され得る。よって、鼻腔の対向する側部上において鼻腔内において緩やかに曲がることができる。
【0191】
7.8 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0192】
7.8.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気とは、大気および他の呼吸可能なガスを指し得る。例えば、患者へ供給される空気は大気または酸素であり得、本技術の他の形態において、空気は、酸素が補給された大気を含み得る。
【0193】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0194】
7.8.2 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0195】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0196】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸領域は、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0197】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0198】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0199】
7.8.3 PAPデバイスの態様
APAP:自動の気道陽圧。SDB発症の兆候の存在または不在に応じた、下限と上限との間で連続的に調節可能な気道陽圧。
【0200】
コントローラ:入力に基づいて出力を調節するデバイスまたはデバイスの一部。例えば、1つの形態のコントローラは、デバイスへの入力を構成する制御下の変数(すなわち、制御変数)を有する。デバイスの出力は、制御変数の現在の値およびこの変数の設定点の関数である。サーボ人工呼吸器は、換気治療を提供するコントローラを含み得る。このような換気治療は、換気を入力として有し、目標換気を設定点として有し、圧力補助レベルを出力として有する。他の形態の入力は、以下のうち1つ以上であり得る:酸素飽和(SaO2)、二酸化炭素(PCO2)の部分的圧力、移動、フォトプレチィスモグラフィからの信号、及びピーク流れ。コントローラの設定点は、以下のうち1つ以上であり得る:固定点、変数点、または学習された点。例えば、人工呼吸器中の設定点は、患者の測定された換気の長期平均であり得る。別の人工呼吸器は、経時的に変化する換気設定点を持ち得る。圧力コントローラは、空気を特定の圧力にて送達させるように送風機またはポンプを制御するように、構成され得る。流れコントローラは、空気を特定の流量にて送達させるように送風機または他のガス源を制御するように構成され得る。
【0201】
治療:本文脈における治療は、以下のうち1つ以上であり得る:陽圧治療、酸素治療、二酸化炭素治療、死腔治療、および薬剤投与。
【0202】
7.8.4 人工呼吸器の用語
適応サーボ人工呼吸器:一定の目標換気を持つのではなく変更が可能な人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0203】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(トリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0204】
周期(サイクル):人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸周期の吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0205】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す換気治療の数であり、吸気時の最大値と、呼気時の最小値との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0206】
サーボ人工呼吸器:患者換気を測定するデバイスを施した換気治療を提供する人工呼吸器であり、患者換気を有しかつ目標換気を有し、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0207】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0208】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸周期の呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0209】
換気:患者の呼吸器系によって交換されるガスの容積測定(例えば、一回換気量)。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。換気治療は、呼吸動作のうち一部を行うように、患者呼吸のために一定量のガスを提供し得る。
【0210】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0211】
7.9 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許局および特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0212】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0213】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的具現が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0214】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0215】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0216】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0217】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または資料の開示および記載のために参照により援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0218】
さらに、本開示の解釈において、全ての用語は、文脈に沿って広範かつ合理的に解釈されるべきである。詳細には、「comprises(含む)」および「comprising(含む)」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0219】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0220】
本明細書中の技術について、特定の実施形態を参照して述べてきたであろうが、これらの実施形態は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の」および「第2の」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0221】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態において、において多数の変更例が可能であり、また、他の配置が考案され得ることが理解されるべきである。
なお、特願2018-530102の出願当初の特許請求の範囲は以下の通りである。
[請求項1]
呼吸治療のための患者の気道への空気供給を制御する方法であって、
患者インターフェースを介して患者へ提供すべき前記空気の所定の圧力および所定の流量を1つ以上のコントローラコントローラによって特定するステップと、
前記患者インターフェースを介して前記患者へ提供されている前記空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定するステップと、
第1の流れ生成器および第2の流れ生成器を前記1つ以上のコントローラによって制御するステップであって、各流れ生成器は、前記所定の圧力および前記所定の流量にそれぞれ対応するように前記患者インターフェースにおける前記空気の前記圧力および前記流量を同時に制御するように、前記空気の流れを前記患者インターフェースへ提供するように構成される、ステップと
を含む方法。
[請求項2]
前記第1の流れ生成器および前記第2の流れ生成器を制御するステップは、前記第1の流れ生成器および前記第2の流れ生成器のうち少なくとも1つの出力を調節するステップを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記患者インターフェースは、前記空気の流れを前記患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部と、前記空気の圧力を前記患者へ付加するように構成されたマスク部とを含む、請求項1または2に記載の方法。
[請求項4]
前記マスク部は鼻マスクである、請求項3に記載の方法。
[請求項5]
前記マスク部は鼻枕である、請求項3に記載の方法。
[請求項6]
連続的な口からの漏洩を検出するステップと、
前記連続的な口からの漏洩が検出されたときに前記所定の圧力を検出するステップと
をさらに含む請求項4または5に記載の方法。
[請求項7]
前記第1の流れ生成器は、前記空気の流れを前記患者インターフェースの前記突起部を通じて提供し、前記第2の流れ生成器は、前記空気の圧力を前記患者インターフェースの前記マスク部へ提供する、請求項3に記載の方法。
[請求項8]
前記所定の圧力および前記所定の流量のうち少なくとも1つは、前記患者の呼吸周期に対応する期間にわたって変動する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
[請求項9]
前記所定の流量は、少なくともいくつかの所定の期間にわたって一定であり、前記所定の圧力は、前記所定の期間において一定である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
[請求項10]
前記患者インターフェースの前記マスク部は、通気孔をさらに含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
[請求項11]
前記所定の流量を最大流量未満に制限するステップをさらに含む請求項10に記載の方法。
[請求項12]
前記最大流量は、前記患者のピーク呼気流量から通気孔流量を減算した値である、請求項11に記載の方法。
[請求項13]
前記圧力および前記流量を同時に制御することは、前記通気孔の調節を制御することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
[請求項14]
前記通気孔は、能動型近位弁を含む、請求項13に記載の方法。
[請求項15]
前記圧力および前記流量を同時に制御することは、前記患者に気道陽圧治療および死腔治療を提供するように行われる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
[請求項16]
前記気道陽圧治療は換気治療である、請求項15に記載の方法。
[請求項17]
前記所定の圧力および前記所定の流量を前記所定の圧力および前記所定の流量を有効性が等しくなる曲線へ制限するように前記1つ以上のコントローラによって決定するステップをさらに含む請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
[請求項18]
前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラ内において目標換気を解剖学的死腔情報および死腔治療低減値に基づいて計算するステップをさらに含む請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
[請求項19]
前記空気の前記所定の流量の段階的変化を制御することおよび前記段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定することにより、前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラ内において心拍出量推定値を生成するステップをさらに含む請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
[請求項20]
睡眠の検出に応答して前記空気の前記所定の流量の段階的変化を制御することを前記1つ以上のコントローラの前記コントローラによって開始するステップをさらに含む請求項19に記載の方法。
[請求項21]
患者の気道へ空気流れを送達するシステムであって、
第1の流れ生成器および第2の流れ生成器であって、患者インターフェースを介して空気を患者へ提供するようにそれぞれ構成される、第1の流れ生成器および第2の流れ生成器と、
1つ以上のコントローラであって、
前記患者インターフェースを介して前記患者へ提供されている前記空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定するステップと、
前記患者インターフェースにおける前記空気の前記圧力および前記流量を所定の圧力および所定の流量にそれぞれ対応するように同時に制御するように、前記第1の流れ生成器および前記第2の流れ生成器を制御するステップと
を行うように構成された1つ以上のコントローラと
を有するシステム。
[請求項22]
前記患者インターフェースをさらに含み、前記患者インターフェースは、前記空気の流れを前記患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部と、前記空気の圧力を前記患者へ付加するように構成されたマスク部とを含む、請求項21に記載のシステム。
[請求項23]
前記マスク部は鼻マスクである、請求項22に記載のシステム。
[請求項24]
前記マスク部は鼻枕である、請求項22に記載のシステム。
[請求項25]
前記第1の流れ生成器は、前記空気の流れを前記突起部を通じて導き、前記第2の流れ生成器は、前記空気の圧力を前記マスク部へ付加する、請求項22に記載のシステム。
[請求項26]
前記複数のセンサは、流量センサおよび圧力センサを含み、前記第1の流れ生成器の出力は、前記流量センサによって測定され、前記第2の流れ生成器の出力は、前記圧力センサによって測定される、請求項21~25のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項27]
前記1つ以上のコントローラは、前記所定の圧力および前記所定の流量のうち少なくとも1つを少なくともいくつかの期間にわたって一定値に維持するように、さらに構成される、請求項21~26のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項28]
前記コントローラは、前記所定の圧力および前記所定の流量のうち少なくとも1つを前記患者の呼吸周期に対応する期間にわたって変動させるようにさらに構成される、請求項21~27のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項29]
前記患者インターフェースの前記マスク部は、通気孔を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項30]
前記1つ以上のコントローラは、前記所定の流量を最大流量未満になるようにさらに構成される、請求項29に記載のシステム。
[請求項31]
前記1つ以上のコントローラは、通気孔流量から前記患者のピーク呼気流量を減算することにより前記最大流量を決定するように構成される、請求項30に記載のシステム。
[請求項32]
前記通気孔は調節可能な通気孔であり、前記1つ以上のコントローラは、前記圧力および前記流量を制御するように前記調節可能な通気孔を制御するように、さらに構成される、請求項29~31のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項33]
前記調節可能な通気孔は、能動型近位弁を含む、請求項32に記載のシステム。
[請求項34]
前記空気の前記圧力および前記流量の同時制御により、前記患者へ気道陽圧治療および死腔治療が提供される、請求項21~33のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項35]
前記気道陽圧治療は換気治療である、請求項34に記載のシステム。
[請求項36]
前記1つ以上のコントローラは、前記所定の圧力および前記所定の流量を有効性が等しくなる曲線へ制限するように前記所定の圧力および前記所定の流量を決定するように、構成される、請求項21~35のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項37]
前記1つ以上のコントローラは、前記第1の流れ生成器および前記第2の流れ生成器を制御するように構成された1つのコントローラを含む、請求項21~36のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項38]
前記1つ以上のコントローラは、前記第1の流れ生成器を制御するように構成された第1のコントローラと、前記第2の流れ生成器を制御するように構成された第2のコントローラとを含む、請求項21~36のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項39]
前記第1のコントローラは、前記第2の流れ生成器によって提供されている前記空気の前記流量を得るように構成される、請求項38に記載のシステム。
[請求項40]
前記第2のコントローラは、前記第1の流れ生成器によって提供されている前記空気の圧力を得るように構成される、請求項38に記載のシステム。
[請求項41]
前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、解剖学的死腔情報および死腔治療低減値に基づいて目標換気を計算するように構成される、請求項21~40のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項42]
前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、前記空気の前記所定の流量の段階的変化を制御することにより心拍出量推定値を生成するステップと、前記段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定するステップとを行うように構成される、請求項21~41のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項43]
前記1つ以上のコントローラの前記コントローラは、睡眠の検出に応答して前記空気の前記所定の流量の段階的変化の制御を開始するように構成される、請求項42に記載のシステム。
[請求項44]
患者の気道へ空気流れを送達するシステムであって、
空気回路および患者インターフェースを介して空気を患者へ提供するように構成された流れ生成器と、
調節可能な通気孔と、
1つ以上のコントローラであって、
前記患者インターフェースを介して前記患者へ提供されている前記空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定するステップと、
前記患者インターフェースにおける前記空気の前記圧力および前記流量を所定の圧力および所定の流量にそれぞれ対応するように同時に制御するように、前記流れ生成器および前記調節可能な通気孔を制御するステップと
を行うように構成された1つ以上のコントローラと
を有するシステム。
[請求項45]
前記患者インターフェースをさらに含み、前記患者インターフェースは、前記空気の流れを患者の鼻孔中へ導くように構成された突起部と、前記空気の圧力を前記患者へ付加するように構成されたマスク部とを含む、請求項44に記載のシステム。
[請求項46]
前記調節可能な通気孔は、前記患者インターフェースの前記マスク部の一部である、請求項45に記載のシステム。
[請求項47]
前記複数のセンサは、
前記空気の測定された圧力を決定する圧力センサと、
前記患者インターフェースの前記突起部を通じて前記空気の測定された流量を決定する流量センサと
を含む、請求項45または46に記載のシステム。
[請求項48]
前記圧力センサおよび前記流量センサのうち少なくとも1つは、前記流れ生成器の出力に配置される、請求項47に記載のシステム。
[請求項49]
前記圧力センサおよび前記流量センサのうち少なくとも1つは、前記患者インターフェースにおいて配置される、請求項47に記載のシステム。
[請求項50]
前記1つ以上のコントローラは、前記所定の圧力および前記所定の流量のうち少なくとも1つを一定期間にわたって一定値に維持するように、さらに構成される、請求項44~49のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項51]
前記1つ以上のコントローラは、前記所定の圧力を前記患者の呼吸周期に従って変動させるようにさらに構成される、請求項44~49のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項52]
前記空気の前記圧力および前記流量の同時制御により、前記患者へ気道陽圧治療および死腔治療が提供される、請求項44~51のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項53]
前記気道陽圧治療は換気治療である、請求項52に記載のシステム。
[請求項54]
前記1つ以上のコントローラは、前記所定の圧力および前記所定の流量を有効性が等しくなる曲線へ制限するように前記所定の圧力および前記所定の流量を決定するように、構成される、請求項44~53のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項55]
前記空気回路中の可変抵抗をさらに含み、
前記1つ以上のコントローラは、前記可変抵抗の抵抗を調節することにより前記空気の圧力および流量のうち1つ以上を制御するものである、請求項44~54のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項56]
前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、解剖学的死腔情報および死腔治療低減値に基づいて目標換気を計算するように、構成される、請求項44~55のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項57]
前記1つ以上のコントローラのうち1つのコントローラは、前記空気の前記所定の流量の段階的変化を制御することにより心拍出量推定値を生成することと、前記段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定することとを行うように構成される、請求項44~56のいずれか一項に記載のシステム。
[請求項58]
前記1つ以上のコントローラの前記コントローラは、睡眠の検出に応答して前記空気の前記所定の流量の段階的変化の制御を開始するように構成される、請求項57に記載のシステム。
[請求項59]
呼吸治療のための患者の気道への空気供給を制御する方法であって、
空気回路および患者インターフェースを介して患者へ提供されるべき前記空気の所定の圧力および所定の流量を1つ以上のコントローラによって特定するステップと、
前記患者インターフェースを介して前記患者へ提供されている前記空気の圧力および流量を複数のセンサによって決定するステップと、
前記患者インターフェースにおける前記空気の前記圧力および前記流量が前記所定の圧力および前記所定の流量にそれぞれ対応するように同時に制御するように前記空気を前記患者インターフェースへ提供するように構成された流れ生成器と、調節可能な通気孔とを前記1つ以上のコントローラによって制御するステップと
を含む方法。
[請求項60]
前記患者インターフェースは、前記空気の流れを前記患者の鼻孔内へ導くように構成された突起部と、前記空気の圧力を前記患者へ付加するように構成されたマスク部とを含む、請求項59に記載の方法。
[請求項61]
前記流れ生成器により、前記患者インターフェースの前記突起部を通じて前記空気の流れが提供され、これにより、前記空気の圧力が前記患者インターフェースの前記マスク部へ付加される、請求項60に記載の方法。
[請求項62]
前記所定の圧力および前記所定の流量のうち少なくとも1つを前記1つ以上のコントローラにより一定期間にわたって一定値に維持するステップをさらに含む請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
[請求項63]
前記所定の圧力を前記患者の呼吸周期に従って前記1つ以上のコントローラにより変動させるステップをさらに含む請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
[請求項64]
前記空気の前記圧力および前記流量の前記同時制御は、気道陽圧治療および死腔治療の制御を含む、請求項59~63のいずれか一項に記載の方法。
[請求項65]
前記気道陽圧治療は換気治療である、請求項64に記載の方法。
[請求項66]
前記所定の圧力および前記所定の流量を有効性が等しくなる曲線に制限するように前記所定の圧力および前記所定の流量を前記1つ以上のコントローラによって決定するステップをさらに含む請求項59~65のいずれか一項に記載の方法。
[請求項67]
前記調節可能な通気孔を制御するステップは、前記患者インターフェースにおける前記空気の圧力が前記所定の圧力に対応して維持されるように前記調節可能な通気孔の吹出し特性を前記患者の呼吸周期と同期するように前記1つ以上のコントローラによって調節するステップを含む、請求項59~66のいずれか一項に記載の方法。
[請求項68]
前記空気の前記圧力および前記流量のうち1つ以上を制御するように前記空気回路中の可変抵抗の抵抗を前記1つ以上のコントローラによって調節するステップをさらに含む請求項59~66のいずれか一項に記載の方法。
[請求項69]
前記1つ以上のコントローラ内において解剖学的死腔情報および死腔治療低減値に基づいて目標換気を計算するステップをさらに含む請求項59~68のいずれか一項に記載の方法。
[請求項70]
前記空気の前記所定の流量の段階的変化を制御することと、前記段階的変化に相対する換気測定値の変化を決定することとにより、前記1つ以上のコントローラ内において心拍出量推定値を生成することをさらに含む、請求項59~69のいずれか一項に記載の方法。
[請求項71]
睡眠の検出に応答して前記空気の前記所定の流量の段階的変化を前記1つ以上のコントローラによって制御するステップをさらに含む請求項70に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図21
図22
図23A
図23B
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33