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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】システム隔離及び光学部品ベイ封止
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/70 20140101AFI20220510BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20220510BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20220510BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/08 F
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018532432
(86)(22)【出願日】2017-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 US2017015116
(87)【国際公開番号】W WO2017132369
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】62/289,205
(32)【優先日】2016-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593141632
【氏名又は名称】エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】コスモフスキ、マーク
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-284788(JP,A)
【文献】特開平6-63782(JP,A)
【文献】特開2006-150419(JP,A)
【文献】特開平8-206870(JP,A)
【文献】特表2009-512230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムフレームと、
前記システムフレームにより支持され、前記システムフレームに対して移動可能なプロセスフレームであって、レーザ源、ワークピース位置決めシステム及びビーム伝搬システムを支持するように構成されるプロセスフレームと、
前記プロセスフレームに連結される光学部品壁と、
前記システムフレームに連結され、前記光学部品壁の上側周縁領域及び横側周縁領域にわたってこれらの近傍で延びるプロセスシュラウドであって、前記プロセスシュラウド、前記光学部品壁及び前記プロセスフレームは、ワークピースのレーザ加工のための第1の空間を取り囲み、前記プロセスフレームは前記プロセスシュラウドに対して移動可能であるプロセスシュラウドと、
前記プロセスシュラウドに連結される光学部品シュラウドであって、前記光学部品シュラウド、前記光学部品壁及び前記プロセスフレームは、前記レーザ源を収容するための第2の空間を取り囲み、前記プロセスフレームは前記光学部品シュラウドに対して移動可能である光学部品シュラウドと
を備える、レーザ加工システム。
【請求項2】
前記プロセスシュラウドと前記光学部品壁との間に配置された柔軟封止材をさらに備える、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項3】
前記光学部品シュラウドと、前記プロセスフレーム及び前記システムフレームからなる群から選択される少なくとも1つとの間に配置される柔軟封止材をさらに備える、請求項1レーザ加工システム。
【請求項4】
前記プロセスフレームを支持するプロセスベースと、
前記システムフレーム上に前記プロセスベースを支持するマウントと
をさらに備える、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項5】
前記プロセスベースは、グラナイトからなるブロックを含む、請求項4のレーザ加工システム。
【請求項6】
前記マウントはエラストマー材料を含む、請求項4のレーザ加工システム。
【請求項7】
前記光学部品壁は、内部に規定されたビームポートを含み、前記ビームポートは、前記レーザ源により生成可能なレーザエネルギーを伝搬するように構成される、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項8】
前記レーザ源をさらに備え、前記レーザ源は、前記プロセスフレームに設置される、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項9】
前記レーザ源をさらに備え、前記レーザ源は、前記第2の空間内に配置される、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項10】
前記ワークピース位置決めシステムをさらに備え、前記ワークピース位置決めシステムは、前記プロセスフレームに設置され、前記第1の空間内に配置される、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項11】
前記ビーム伝搬システムをさらに備え、前記ビーム伝搬システムは、前記第1の空間内に配置される、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項12】
前記プロセスフレーム上に設置され、前記第1の空間内に配置されたガントリをさらに備える、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項13】
前記ビーム伝搬システムをさらに備え、前記ビーム伝搬システムは、前記ガントリに設置される、請求項12のレーザ加工システム。
【請求項14】
前記第2の空間内に配置されたポンプをさらに備え、前記ポンプは、前記第2の空間を加圧するように構成される、請求項1のレーザ加工システム。
【請求項15】
レーザ加工システムであって、
システムフレームと、
前記システムフレームにより支持され、前記システムフレームに対して移動可能なプロセスフレームと、
前記プロセスフレームに連結される光学部品壁と、
前記システムフレームに連結され、前記光学部品壁の近傍で延びるプロセスシュラウドと、
前記プロセスシュラウドに連結される光学部品シュラウドと、
前記システムフレームにより支持され、前記光学部品シュラウド、前記光学部品壁及び前記プロセスフレームにより規定される空間にレーザ源を収容するように構成された光学部品ベイと、
前記システムフレームにより支持され、前記光学部品ベイと光学的に接続され、前記プロセスシュラウド、前記光学部品壁及び前記プロセスフレームにより規定される空間内にビーム伝搬システム及びワークピース位置決めシステムを収容するように構成されたプロセスベイと
を備え、
前記プロセスフレームは前記光学部品シュラウドに対して移動可能であり、
前記プロセスフレームは前記プロセスシュラウドに対して移動可能であり、
前記光学部品シュラウド及び前記プロセスシュラウドのそれぞれは、前記レーザ加工システムの外面の一部を規定する
レーザ加工システム。
【請求項16】
前記レーザ源をさらに備え、前記レーザ源は、レーザエネルギーを生成するように構成され、前記光学部品ベイ内に配置される、請求項15のレーザ加工システム。
【請求項17】
前記ワークピース位置決めシステムをさらに備え、前記ワークピース位置決めシステムは、ワークピースを移動するように構成され、前記プロセスベイ内に配置される、請求項15のレーザ加工システム。
【請求項18】
前記ビーム伝搬システムをさらに備え、前記ビーム伝搬システムは、前記レーザ源により生成可能なレーザエネルギーを案内するように構成され、前記プロセスベイ内に配置される、請求項15のレーザ加工システム。
【請求項19】
前記プロセスベイ内に配置されるガントリをさらに備える、請求項15のレーザ加工システム。
【請求項20】
前記ビーム伝搬システムをさらに備え、前記ビーム伝搬システムは、前記ガントリに設置される、請求項19のレーザ加工システム。
【請求項21】
自由空間ビーム伝搬システムをさらに備え、前記プロセスベイは、前記光学部品ベイと光学的に接続される、請求項15のレーザ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2016年1月30日に提出された米国仮特許出願第62/289,205号の利益を主張するものであり、当該出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【背景】
【0002】
I.技術分野
本明細書において開示される実施形態は、概して、レーザ加工システムに関し、特に振動隔離及び環境封止のための構成に関するものである。
【0003】
II.関連技術の説明
通常、レーザ加工システムは、レーザ源、レーザ源により生成されたレーザエネルギーを調整(例えば、拡大、コリメート、フィルタ、偏極、集束、減衰、反射など)するためのレーザ光学部品、調整されたレーザエネルギーをワークピースに導くためのビーム伝搬システム、及びレーザ加工システム内でワークピースを移動ないしは位置決めするためのワークピース位置決めシステムなどの構成要素を含んでいる。ワークピース位置決めシステムは、典型的には、レーザ加工システム内でワークピースを移動させる1以上の運動ステージ(例えば、直動ステージ、回転ステージなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を含んでいる。ビーム伝搬システムは、スキャンレンズ、ビーム位置決めシステム(例えば、1以上のガルボ駆動ミラー、1以上のファーストステアリングミラーなど)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。レーザ加工システムは、ワークピースの上でビーム伝搬システムの1以上の構成要素(例えば、スキャンレンズ、1以上のガルボ駆動ミラー、1以上のファーストステアリングミラーなど)を支持するためのガントリを含んでいる場合がある。ガントリが含まれる場合、ビーム伝搬システムは、ガントリに対してスキャンレンズ、1以上のガルボ駆動ミラー、1以上のファーストステアリングミラーなどを移動させるための1以上の運動ステージ(例えば、直動ステージ、回転ステージなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)をさらに含み得る。
【0004】
上述した構成要素のいずれかが、レーザエネルギーをワークピース上又はワークピース内の特定の位置に(又は特定の位置のある範囲内に)正確かつ確実に照射することができるレーザ加工システムの能力に影響を与える限りにおいて、本明細書においては、そのような構成要素を総称して「プロセスコンポーネント」と呼ぶ。正確かつ確実なレーザ加工を実現するために、一般的には、外部振動(すなわち、レーザ加工システムを取り囲む環境に存在する振動)からプロセスコンポーネントを少なくとも部分的に隔離することが望ましい。外部振動の例としては、レーザ加工システムを支持する床又はレーザ加工システムの外面に接触する他の構造により伝達される振動が挙げられる。プロセスコンポーネントを隔離する1つの従来の方法においては、プロセスコンポーネントを共通フレーム(本明細書において「プロセスフレーム」とも呼ばれる)に連結し、典型的には、グラナイト、輝緑岩などの比較的重いブロックとして提供される振動隔離ベース(本明細書において「プロセスベース」とも呼ばれる)上にプロセスフレームを設置している。プロセスベースは、典型的には、システムフレーム内に設置されており、エラストマー材料からなる1組のマウント上に置かれる。この振動隔離スキームを用いても、(例えば、ワークピース位置決めシステム内のあるいはビーム伝搬システム内などの)1以上のステージがシステムフレームに対して加速、減速、又は移動する際に、プロセスコンポーネントは低周波数(例えば、3Hzから12Hz)で振動し得る。
【0005】
レーザ源及びレーザ光学部品の一部又はすべては、典型的には、(例えば、光学部品シュラウド及びプロセスフレームの相対位置を固定したまま、又は少なくとも実質的に固定したままにできるように)プロセスフレームに固定的に連結されたキャビネット型のシュラウド(すなわち「光学部品シュラウド」)内に収容される。また、光学部品シュラウドに囲まれた空間は、粒子状物質(例えば、ワークピースのレーザ加工中に生成される蒸気、デブリなど)がレーザ源及びレーザ光学部品の光学面に堆積するのを防止するために加圧されている。同様に、ビーム伝搬システム及びワークピース位置決めシステムは、(例えば、プロセスシュラウド及びプロセスフレームの相対位置を固定したまま、又は少なくとも実質的に固定したままにできるように)プロセスフレームに固定的に連結されたキャビネット型のシュラウド(すなわち「プロセスシュラウド」)内に収容される。このように、光学部品シュラウド及びプロセスシュラウドをプロセスフレームに固定的に連結すると、光学部品シュラウド及びプロセスシュラウドは互いに移動しない(又は実質的に移動しない)。ワークピースのレーザ加工中に生成される粒子状物質がレーザ加工システムを取り巻く外部環境に拡散することを防止又は最小限にするためにプロセスシュラウドは封止され得る。これらの粒子状物質は、人間の健康に対して潜在的な危険なものである。
【0006】
プロセスベース又はプロセスシュラウドが外部環境に曝されたままであると、(例えば、プロセスベース、光学部品シュラウド又はプロセスシュラウドが何らかの外力により衝撃を受けたり押されたりした場合に)プロセスコンポーネント間の位置合わせがずれてしまうことが考えられる。そのような外力による潜在的な悪影響を緩和するために、光学部品シュラウド及びプロセスシュラウドの双方を取り囲む(例えば、板金から形成される)システムシュラウドが設けられることが多い。このシステムシュラウドは、(例えば、システムシュラウド及びシステムフレームの相対位置を固定したまま、又は少なくとも実質的に固定したままにできるように)システムフレームに固定的に連結されている。しかしながら、プロセスベースはシステムフレームに対して移動可能であるため、システムシュラウドが外力により衝撃を受けた場合には、システムシュラウドは、光学部品シュラウド及びプロセスシュラウドに対して移動することができる。同様に、1以上の運動ステージがシステムフレームに対して加速、減速、あるいは移動などした際に、光学部品シュラウド及びプロセスシュラウドは、システムシュラウドに対して移動することができる。プロセスシュラウドと同様に、ワークピースのレーザ加工中に生成された粒子状物質がレーザ加工システムを取り巻く外部環境に拡散することを防止又は最小限にするためにシステムシュラウドは封止され得る。上述したような従来のシステムシュラウドは有用であるが、レーザ加工システムにおいて比較的高価な構成要素でもある。
【概要】
【0007】
本発明の一実施形態は、システムフレームと、上記システムフレームにより支持され、上記システムフレームに対して移動可能なプロセスフレームであって、レーザ源、ワークピース位置決めシステム及びビーム伝搬システムを支持するように構成されるプロセスフレームと、上記プロセスフレームに連結される光学部品壁と、上記システムフレームに連結され、上記光学部品壁の上側周縁領域及び横側周縁領域にわたってこれらの近傍で延びるプロセスシュラウドであって、上記プロセスシュラウド、上記光学部品壁及び上記プロセスフレームは、ワークピースのレーザ加工のための第1の空間を取り囲み、上記プロセスフレームは上記プロセスシュラウドに対して移動可能であるプロセスシュラウドと、上記プロセスシュラウドに連結される光学部品シュラウドであって、上記光学部品シュラウド、上記光学部品壁及び上記プロセスフレームは、上記レーザ源を収容するための第2の空間を取り囲み、上記プロセスフレームは上記光学部品シュラウドに対して移動可能である光学部品シュラウドとを備える、レーザ加工システムとして特徴付けることができる。
【0008】
本発明の他の実施形態は、レーザ加工システムであって、システムフレームと、上記システムフレームにより支持され、光学部品シュラウドにより部分的に規定される光学部品ベイであって、レーザ源を収容するように構成された光学部品ベイと、上記システムフレームにより支持され、プロセスシュラウドにより部分的に規定されるプロセスベイであって、上記光学部品ベイと光学的に接続され、ビーム伝搬システム及びワークピース位置決めシステムを収容するように構成されたプロセスベイとを備え、上記光学部品シュラウド及び上記プロセスシュラウドのそれぞれは、上記レーザ加工システムの外面を部分的に規定する、レーザ加工システムとして特徴付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態におけるレーザ加工システムを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示される光学部品壁の光学部品面を模式的に示す平面図である。
図3A図3A及び図3Bは、それぞれ図2に示されるIIIA-IIIA'線及びIIIB-IIIB'線断面図であり、図1に示されるプロセスシュラウドと光学部品壁との間に設けられる柔軟封止材の例示的な配置を模式的に示している。
図3B図3A及び図3Bは、それぞれ図2に示されるIIIA-IIIA'線及びIIIB-IIIB'線断面図であり、図1に示されるプロセスシュラウドと光学部品壁との間に設けられる柔軟封止材の例示的な配置を模式的に示している。
【詳細な説明】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ実施形態の例を説明する。明示的に述べている場合を除き、図面においては、構成要素、特徴、要素などのサイズや位置などやそれらの間の距離は、必ずしも縮尺通りではなく、また理解しやすいように誇張されている。
【0011】
本明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図しているものではない。本明細書で使用される場合には、内容が明確にそうではないことを示している場合を除き、単数形は複数形を含むことを意図している。「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されている場合には、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことを理解すべきである。特に示している場合を除き、値の範囲が記載されているときは、その範囲は、その範囲の上限と下限の間にあるサブレンジだけではなく、その上限及び下限を含むものである。特に示している場合を除き、「第1」や「第2」などの用語は、要素を互いに区別するために使用されているだけである。例えば、あるノードを「第1のノード」と呼ぶことができ、同様に別のノードを「第2のノード」と呼ぶことができ、あるいはこれと逆にすることもできる。本明細書において使用されるセクション見出しは、整理のためだけのものであり、述べられた主題を限定するものと解釈すべきではない。
【0012】
特に示されている場合を除き、「約」や「その前後」などの用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の数量及び特性が、正確ではなく、また正確である必要がなく、必要に応じて、あるいは許容誤差、換算係数、端数計算、測定誤差など、及び当業者に知られている他のファクタを反映して、概数であってもよく、さらに/あるいは大きくても小さくてもよいことを意味している。
【0013】
本明細書において、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、及び「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるような、ある要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を述べる際に説明を容易にするために使用され得るものである。空間的に相対的な用語は、図において示されている方位に加えて異なる方位を含むことを意図するものであることは理解すべきである。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」にあるとして説明される要素は、図中の対象物が反転した場合には、他の要素又は特徴の「上方」を向くことになる。このように、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の方位の双方を含み得るものである。対象物が他の方位を向く場合(例えば90度回転される場合や他の方位にある場合)には、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子はこれに応じて解釈され得る。
【0014】
図面を通して同様の数字は同様の要素を意味している。このため、同一又は類似の数字は、対応する図面で言及又は説明されていない場合であっても、他の図面を参照して述べられることがある。また、参照番号の付されていない要素であっても、他の図面を参照して述べられることがある。
【0015】
本開示の精神及び教示を逸脱することなく、多くの異なる形態、実施形態及び組み合わせが考えられ、本開示を本明細書で述べた実施形態の例に限定して解釈すべきではないことは理解できよう。むしろ、これらの例及び実施形態は、本開示が完全かつすべてを含むものであって、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。
【0016】
図1を参照すると、ワークピース(図示せず)は、チャック又は取付具102により固定、維持、保持あるいは支持され得るが、このワークピースを加工するように構成されたレーザ加工システム100は、(例えば、1以上のレーザパルスとして、レーザエネルギーからなる連続ビームとして、あるいはこれらを組み合わせたものとして表される)レーザエネルギーを生成するためのレーザ源104、レーザ源104により生成されたレーザエネルギーを調整(例えば、拡大、コリメート、フィルタ、偏極、集束、減衰、反射など)するためのレーザ光学部品(必要に応じて、また図示しない)、(必要に応じて調整された)レーザエネルギーをワークピースに導くためのビーム伝搬システム106、及びレーザ加工システム100内で取付具102を移動ないしは位置決めするためのワークピース位置決めシステム108などの構成要素を含み得る。
【0017】
ワークピース位置決めシステム108は、レーザ加工システム100内で取付具102を移動させるための1以上の運動ステージ(例えば、直動ステージ、回転ステージなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を含み得る。例えば、ワークピース位置決めシステム108は、X軸に沿って、Y軸に沿って、Z軸に沿って、X軸周りに、Y軸周りに、Z軸周りになど、あるいはこれらを任意に組み合わせて取付具102を移動するための1以上の運動ステージを含み得る。
【0018】
ビーム伝搬システム106は、スキャンレンズ、ビーム位置決めシステム(例えば、1以上のガルボ駆動ミラー、1以上のファーストステアリングミラーなど)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。図示された実施形態においては、加工システム100は、取付具102の上方でビーム伝搬システム106の1以上のコンポーネント(例えば、スキャンレンズ、1以上のガルボ駆動ミラー、1以上のファーストステアリングミラーなど)を支持するためのガントリ110を含んでいる。図示はしないが、ビーム伝搬システム106は、ガントリ110に対してスキャンレンズ、1以上のガルボ駆動ミラー、1以上のファーストステアリングミラーなどを(例えば、X軸に沿って、Y軸に沿って、Z軸に沿って、X軸周りに、Y軸周りに、Z軸周りになど、あるいはこれらを任意に組み合わせて)移動する1以上の運動ステージ(例えば、直動ステージ、回転ステージなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)をさらに含んでいてもよい。
【0019】
上述した構成要素のいずれかが、レーザエネルギーをワークピース上又はワークピース内の特定の位置に(又は特定の位置の近傍に)正確かつ確実に照射することができるレーザ加工システム100の能力に影響を与える限りにおいて、本明細書においては、そのような構成要素を総称して「プロセスコンポーネント」と呼ぶ。正確かつ確実なレーザ加工を実現するために、プロセスコンポーネントは外部振動から少なくとも部分的に隔離され、プロセスコンポーネントは、共通のフレーム(本明細書において「プロセスフレーム」とも呼ばれる)112に連結される。そして、プロセスフレーム112は、振動隔離ベース(本明細書において「プロセスベース」とも呼ばれる)114(例えば、グラナイト、輝緑岩など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものからなる比較的重いブロック)上に設置される。プロセスベース114は、システムフレーム116上又はシステムフレーム116内に設置されており、(例えば、エラストマー材料からなる)1組のマウント118上に置かれている。システムフレーム116は、必要に応じて、工業用キャスター117のような1以上の支持部により(例えば床上に)支持されていてもよい。この振動隔離方式を用いても、(例えば、ワークピース位置決めシステム108内のあるいはビーム伝搬システム106内などの)1以上の運動ステージがシステムフレーム116に対して加速、減速、又は移動する際に、プロセスコンポーネントは依然として低周波数(例えば、3Hzから12Hz)で振動し得る。この振動により、プロセスフレーム112及びプロセスベース114が(システムフレーム116に対して)約4から8mmの振幅で移動し得る。
【0020】
レーザ加工システム100は、プロセスフレーム112に連結された光学部品壁120をさらに含んでいる。例えば、光学部品壁120は、ワークピースのレーザ加工中に光学部品壁及びプロセスフレーム112の相対位置を固定したまま、又は少なくとも実質的に固定したままにできるようにプロセスフレーム112に固定的に連結されている。図示された実施形態においては、光学部品壁120は、レーザ源104のようなコンポーネントとガントリ110のようなコンポーネントとの間に延びている。光学部品壁120は、連続した壁であってもよいが、当該分野において知られているように、レーザ源104により生成され(必要に応じてレーザ光学部品により調整され)るレーザエネルギーが(例えば、1以上のレンズ、ミラーなどを含む自由空間ビーム伝搬システムを介して、あるいは、1以上の光ファイバ、入力/出力結合光学部品、ファイバ端接続部など、又はこれに類するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含む光ファイバビーム伝搬システムのような非自由空間ビーム伝搬システムを介して)ビーム伝搬システム106に伝搬することを可能にするための貫通開口又はポート(例えばビームポート122)を含んでいてもよい。
【0021】
レーザ加工システム100は、図1に符号124で示されるキャビネット型のシュラウド(すなわち「プロセスシュラウド」)を含んでいてもよく、このシュラウドは、システムフレーム116に連結されており、(光学部品壁120からは離間しているが)光学部品壁120に近接しておりプロセスベイ126を規定している。一実施形態においては、プロセスシュラウド124は、ワークピースのレーザ加工中にプロセスシュラウド124及びシステムフレーム116の相対位置を固定したまま、又は少なくとも実質的に固定したままにできるようにシステムフレーム116に固定的に連結されている。しかしながら、プロセスフレーム112は、システムフレーム116に対して移動可能であり、プロセスシュラウド124と光学部品壁120の光学部品面120bとの間に隙間が存在するため、プロセスシュラウド124及びプロセスフレーム116の相対位置はワークピースのレーザ加工中に変化し得る。従来のレーザ加工システムとは異なり、プロセスシュラウド124は、レーザ加工システム100の外面の一部を規定している。したがって、一実施形態においては、プロセスシュラウド124は、ワークピースのレーザ加工中に生成される粒子状物質がプロセスシュラウド124とシステムフレーム116との間でプロセスベイ126から出ていくことを防止(あるいは少なくとも実質的に防止)するようにシステムフレーム116にしっかりと連結される(あるいは1以上のシールを備えるか、好適に構成される)。
【0022】
プロセスシュラウド124は、光学部品壁120aの上部の上に延び、光学部品壁120のレーザ源104に対向する面(以下、光学部品壁120の「光学部品面」120bという)の上側及び横側周縁領域の近傍で下方に延びている。例えば、光学部品壁120の光学部品面120bの上方周縁領域は200aで示され、光学部品壁120の光学部品面120b横側周縁領域は200bで示されている図2を参照されたい。さらに、プロセスシュラウド124は、光学部品壁120から離間しており、これにより、プロセスシュラウド124と光学部品壁120の光学部品面120bとの間に隙間が規定される。このように、図1を参照すると、レーザ源104と光学部品壁120との間にプロセスシュラウド124の一部が介在している。チャック又は取付具102(及びこれに保持される任意のワークピース)、ビーム伝搬システム106及びワークピース位置決めシステム108は、このようにプロセスベイ126の内部に収容されていてもよい。
【0023】
一実施形態においては、光学部品壁120とプロセスシュラウド124との間の隙間の中に発泡材のような柔軟封止材が配置されている。例えば、図3A及び図3Bを参照すると、柔軟封止材300は、光学部品壁120の光学部品面120bの上側周縁領域200aとプロセスシュラウド124との間の空間を満たすように設けられていてもよく(例えば図3A参照)、また、柔軟封止材300は、光学部品壁120の光学部品面120bの横側周縁領域200bとプロセスシュラウド124との間の空間を満たすように設けられていてもよい(例えば図3B参照)。柔軟封止材300は、光学部品壁120の光学部品面120bに付着していてもよい。柔軟封止材300は、ワークピースのレーザ加工中に生成される粒子状物質が光学部品壁120とプロセスシュラウド124との間でプロセスベイ126から出ていくことを防止する(又は少なくともその可能性を低減する)ように構成される。柔軟封止材300の厚さは、上述したようにプロセスシュラウド124がシステムフレーム116に連結された際に圧縮されるように選択される。例えば、柔軟封止材300は、圧縮されていない状態で13mm(又はその前後、例えば12.7mm)の厚さを有していてもよい。プロセスシュラウド124がシステムフレーム116に連結された際に、柔軟封止材は、約4mmから5mm圧縮されて、システムフレーム116及びプロセスシュラウド124に対してプロセスフレーム112(及びプロセスベース114)の約±4mmまでの移動を可能にしてもよい。すなわち、上述したように柔軟封止材300が圧縮された際に、プロセスフレーム112(及びプロセスベース114)は、システムフレーム116又はプロセスシュラウド124に対して4mm(又はその前後)の距離だけ移動することができる。
【0024】
図1を再び参照すると、レーザ加工システム100は、キャビネット型のシュラウド(すなわち「光学部品シュラウド」)128を含んでいてもよく、このシュラウド128は、プロセスシュラウド124に連結される。例えば、光学部品シュラウド128は、ワークピースのレーザ加工中に光学部品シュラウド128及びプロセスシュラウド124の相対位置を固定したまま、又は少なくとも実質的に固定したままにできるようにプロセスシュラウド124に固定的に連結されている。光学部品シュラウド128は、(プロセスフレーム112、プロセスベース114及びシステムフレーム116から離間しているが)プロセスフレーム112、プロセスベース114及びシステムフレーム116に近接しており、光学部品シュラウド128とプロセスフレーム112、プロセスベース114及びシステムフレーム116のような様々な構造との間に隙間を規定し、これにより光学部品ベイ130を規定している。レーザ源104及びレーザ光学部品の一部又はすべてが、光学部品ベイ130に収容されていてもよい。必要に応じて、光学部品シュラウド128は、(例えば、1以上のネジ、リベット、ボルト、クランプなどを用いて)プロセスフレーム116に固定的に連結される。従来のレーザ加工システムと異なり、光学部品シュラウド128は、レーザ加工システム100の外面の一部を規定している。
【0025】
また、レーザ加工システム100は、光学部品ベイ130内に配置され、(例えば、ワークピースのレーザ加工中に生成される蒸気、デブリなどの粒子状物質がレーザ源104及びレーザ光学部品の光学面に堆積することを防止するように)光学部品ベイ130を加圧するポンプ(例えば、加圧パージガス源などを備え、レーザ加工システムの外部の環境と流体的に接続されるポンプ132)を含んでいてもよい。一実施形態においては、光学部品シュラウド128は、ガスが光学部品ベイ130からレーザ加工装置100の外部の環境に出ていくことを防止(あるいは少なくとも実質的に防止)するようにプロセスシュラウド124にしっかりと連結される(あるいは1以上のシールを備えるか、好適に構成される)。この場合には、プロセスシュラウド124の一部は、光学部品シュラウド128と上述した柔軟封止材300(すなわち、上述したように、柔軟封止材300は、プロセスシュラウド124と光学部品壁120との間に位置している)との間に位置している。
【0026】
図示はしないが、発泡材のような柔軟封止材が、光学部品シュラウド128とプロセスフレーム112、プロセスベース114及びシステムフレーム116のような1以上の(又はすべての)構造との間の隙間に位置していてもよい。例えば、柔軟封止材が、光学部品シュラウド128と、プロセスフレーム112、プロセスベース114及びシステムフレーム116のような1以上の(又はすべての)構造との間の空間を満たすように設けられてもよい。柔軟封止材は、光学部品シュラウド128、プロセスフレーム112、プロセスベース114、システムフレーム116、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに付着していてもよい。柔軟封止材は、光学部品ベイ130にポンプで送られたガスがレーザ加工システム100を取り巻く外部環境に入ることを防止する(又は少なくともその可能性を低減する)ように構成される。柔軟封止材の厚さは、上述したように光学部品シュラウド128がプロセスシュラウド124に連結された際に圧縮されるように選択される。例えば、柔軟封止材は、圧縮されていない状態で13mm(又はその前後、例えば12.7mm)の厚さを有していてもよい。光学部品シュラウド128がプロセスシュラウド124に連結された際に(そして、プロセスシュラウド124がシステムフレーム116に連結された際に)、光学部品シュラウド128に付着した柔軟封止材は、約4mmから5mmだけ圧縮されて、システムフレーム116及び光学部品シュラウド128に対してプロセスフレーム112の約±4mmまでの移動を可能にしてもよい。すなわち、上述したように柔軟封止材が圧縮された際に、プロセスフレーム112は、システムフレーム116又は光学部品シュラウド128に対して4mm(又はその前後)の距離だけ移動することができる。
【0027】
必要に応じて、プロセスシュラウド124及び光学部品シュラウド128の少なくとも一方は、光学部品壁120の横側周縁領域200bの近傍でその下部に配置されたフランジ128aのような少なくとも1つのフランジを備えている。一実施形態においては、そのような2つのフランジ128aが1組含められ、これらのフランジ128aは、光学部品壁120の横側周縁領域200bの両側に配置される。それぞれのフランジ128aは、プロセスフレーム112、プロセスベース114及びシステムフレーム116の少なくとも1つに向かって延びている。フランジ128aがプロセスシュラウド124から延びている場合には、フランジ128aと光学部品シュラウド128との間に発泡材のような柔軟封止材(図示せず)を配置してもよい。同様に、フランジ128aが光学部品シュラウド128から延びている場合には、フランジ128aとプロセスシュラウド124との間に発泡材のような柔軟封止材(図示せず)を配置してもよい。この柔軟封止材は、ワークピースのレーザ加工に生成される粒子状物質がプロセスベイ126から出ていくことを防止(あるいは少なくとも実質的に防止)するように構成される。
【0028】
上記は、本発明の実施形態及び例を説明したものであって、これに限定するものとして解釈されるものではない。いくつかの特定の実施形態及び例が図面を参照して述べられたが、当業者は、本発明の新規な教示や利点から大きく逸脱することなく、開示された実施形態及び例と他の実施形態に対して多くの改良が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、そのような改良はすべて、特許請求の範囲において規定される本発明の範囲に含まれることを意図している。例えば、当業者は、そのような組み合わせが互いに排他的になる場合を除いて、いずれかの文や段落、例又は実施形態の主題を他の文や段落、例又は実施形態の一部又は全部の主題と組み合わせることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とこれに含まれるべき請求項の均等物とによって決定されるべきである。
図1
図2
図3A-3B】