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▶ サティーナ メディカル ウーゲー(ハフツングスベシュレンクト)の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
A61H23/02 330
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018561034
(86)(22)【出願日】2016-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2016002196
(87)【国際公開番号】W WO2017198283
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2019-12-04
(31)【優先権主張番号】62/336,952
(32)【優先日】2016-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】29/572,567
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518406781
【氏名又は名称】サティーナ メディカル ウーゲー(ハフツングスベシュレンクト)
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ラザリデス ジム
(72)【発明者】
【氏名】フォティフ ズィシィ
(72)【発明者】
【氏名】ペッチ ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】フィンケン ハイナー
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-007827(JP,U)
【文献】特開平03-060668(JP,A)
【文献】米国特許第05545125(US,A)
【文献】中国実用新案第204655463(CN,U)
【文献】実開平06-070731(JP,U)
【文献】特表2015-522392(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010022603(DE,A1)
【文献】特開2014-226509(JP,A)
【文献】特表2005-512604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0157532(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの呼吸数を減少させる刺激装置であって、
前記刺激装置はベルトを備え、
前記ベルトは、前記ユーザの胸郭の下の腹部に当てられて、前記ユーザの横隔膜を刺激する少なくとも2つの振動モジュールと、少なくとも2つの前記振動モジュールが備える振動モータを操作するコントロールパネルと、を含み、
少なくとも2つの前記振動モジュールのそれぞれが、
ケースを有するポッド、前記ケースの内部を画定する前記ケース、前記ケース内に配置された弾性振動パッドと、弾性モータ容器内に配置されたフライホイールを有する前記振動モータと、を備え、
前記ケースは、前記ケースの背面側に配設された貫通孔と、前記貫通孔に重なり覆う前記振動パッドと、前記ケース内から前記ケース外へと前記貫通孔を通って突出する前記振動パッドの部分と、を備え、
前記コントロールパネルは、0.6V~1.3Vで前記振動モータを操作し、
前記振動モータと前記弾性モータ容器とは前記ケース内に配置され、前記振動モータが前記弾性モータ容器を介して前記振動パッドに搭載されていることにより、前記振動モータの操作によって発生した振動が前記貫通孔から突出する前記部分に伝達される、
刺激装置。
【請求項2】
少なくとも2つの前記振動モジュールのそれぞれは、前記モータ容器を介して前記振動パッドから離して配置される前記振動モータを備える、
請求項1記載の刺激装置。
【請求項3】
少なくとも2つの前記振動モジュールのそれぞれは、スナップ式の接続を介して前記振動パッドに搭載される前記モータ容器を備える、
請求項1又は請求項2記載の刺激装置。
【請求項4】
少なくとも2つの前記振動モジュールのそれぞれは、前記振動モータを保持して支持するために、前記振動モータと補完的となるような方法で少なくとも部分的に設計されている前記モータ容器を備える、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の刺激装置。
【請求項5】
前記ベルトは、少なくとも1つのベルト締め付けアタッチメントを有するストラップを備える、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の刺激装置。
【請求項6】
少なくとも2つの前記振動モジュールのそれぞれは、本体ケース及び背面ケースと、前記背面ケースに配設された前記貫通孔とを備える前記ケースを備え、前記振動パッドは前記背面ケース内に配置され、前記本体ケースにはフロントパネルが配置されている、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の刺激装置。
【請求項7】
前記ベルトは、少なくとも1つのベルト締め付けアタッチメントを有するストラップを備え、
少なくとも2つの前記振動モジュールのそれぞれは、ストラップと前記ストラップを介して組み合わされ、前記背面ケース又は前記本体ケースの他方と組み合わされるための少なくとも1つのアタッチメント手段を備える前記本体ケース及び/又は前記背面ケースを備える、
請求項6記載の刺激装置。
【請求項8】
前記コントロールパネルは、前記振動モータを0.4G~0.95Gの強度及び28~43Hzの範囲の周波数で操作する、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の刺激装置。
【請求項9】
前記コントロールパネルは、前記振動モータを0.4G~0.62Gの強度、及び、30Hz~37Hzの周波数で操作する、
請求項8記載の刺激装置。
【請求項10】
少なくとも2つの前記振動モジュールのそれぞれの前記振動パッドは弾性であり、シリコン、ゴム、TPE、TPU又はPVCのうちの少なくとも1つで作られている、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の刺激装置。
【請求項11】
少なくとも2つの前記振動モジュールの前記フライホイールの少なくとも1つは、直径10~12mmで厚さ3.5mm~8mmの寸法である、
請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の刺激装置。
【請求項12】
前記フライホイールの少なくとも1つは、7~8グラムの重さを有し、及び/又は、前記モータの端部から1~5mm離れている、
請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の刺激装置。
【請求項13】
前記フライホイールの少なくとも1つは、直径12mm、厚さ8mm、重さ7~8gであり、
前記コントロールパネルは、0.8V~1.2Vで前記振動モータを操作する、
請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の刺激装置。
【請求項14】
生体機能に関する情報を表示するためのディスプレイを更に備え、前記情報の表示はインターフェイスを介して統合され、及び/又は、前記インターフェイスは外部装置との情報交換を支援する、
請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は刺激装置、特に、横隔膜を刺激するための刺激装置、そのような装置の使用、そして、呼吸低下及び呼吸抑制を治療する方法に関する。とりわけ、本発明は、特に生体力学的筋肉刺激により肺機能を高めるために、横隔膜を刺激するための装置に関する。ベルトは少なくとも2つの振動モジュールを含み、それらは横隔膜を刺激するためにユーザの腹部に外側から適用される。
【背景技術】
【0002】
いろいろな疾患において生体力学的筋肉刺激を用いることが患者の状態の改善につながることが知られている。生体力学的筋肉刺激の主な応用は、医療分野、スポーツ及び美容にある。特に医療分野において、特定の疾患、特に、慢性の痛み、ある種の末梢の麻痺(periphery paralysis)、動脈及び末梢の循環障害、筋肉代謝障害、筋萎縮、筋ジストロフィー及びいろいろな形態の関節炎のために生体力学的刺激を用いることにより、身体可動性の急速かつ持続的な改善を達成できることが見い出されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、タイプIIaの筋繊維の維持を特に促進する心筋の刺激のための装置を開示する。ここでは、当該蔵置は電気刺激パルスを発生し、送出するためのパルス発生部を備える。パルス発生部は制御部によって制御できる。当該装置の不都合な点は、それがもっぱら心筋に作用し、そのため、その使用は限定される。当該装置のハードウェアはもっぱら特定の応用に限定される。
【0004】
更に、特許文献2は、リハビリ、再生に用いる生体力学的筋肉刺激のための複合装置を記載する。水平な踏板が振動部に固定され、そこで、踏板は好ましくは4~5mmの振幅で水平に振れる。ユーザは、ハンドル、ストラップ又はロープを用いて、望ましい体の緊張を達成する。開示された装置の不都合な点は、振動又は発振は体全体に影響し、特定の筋肉又は筋肉のグループに局所的に適用することができないことにある。更に、当該装置はとても大きく、移動中に用いることはできない。筋肉の刺激は、ユーザにより行われる自主的な取り組みによりもっぱら達成され、それはいつもできるものではない。当該装置を高齢者が用いることは困難又は不可能かもしれない。
【0005】
特許文献3は、生体力学的刺激のための装置を開示し、マッサージ療法士はそれを用いて患者の体の特定の領域に直接振動を導入することができる。当該装置は、振動運動を生成するための機械的駆動部を有する振動生成器を備える。当該装置はとても大きく、重く、移動中に用いることはできない。加えて、それは、訓練を受けた専門家による操作を必要とする。
【0006】
慢性肺疾患及び呼吸抑制に関する状況は、先進国、発展途上国とも驚くようなものである。例えば、米国だけでも、慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、1100万人以上が当該疾患と診断され、死亡原因の第3位である。喘息のような疾患は米国において500万人の子供を含む1700万人以上を侵している。肺の抑制の例には、睡眠時無呼吸、オピオイドの使用、肺炎、間質性肺疾患、睡眠時無呼吸、鬱血性心不全、そして、心配又はPTSD(posttraumatic stress disorder:心的外傷後ストレス障害)のような心因性の要因が含まれる。全てのこれらの疾患は、副作用を伴ういろいろな効力を提供するいろいろな薬剤介入を有する。
【0007】
COPD、睡眠時無呼吸及びいろいろな原因の呼吸抑制のような病気を外部刺激によって緩和して呼吸抑制を治療する試みがなされてきたが、これらの試みはユーザにとって理想的なものでも、成功するものでも、便利なものでもなかった。
【0008】
例えば、特許文献4は、腹式呼吸及び脇腹呼吸の機械的刺激のために、磁場効果と機械的振動とを交互に組み合せた呼吸刺激装置を開示する。当該装置は、4つの電気的に駆動されるモータと、関連する機械的な偏心器とを有するベルトで構成される。モータは膨らんだプラスチックケースに直接入れられ、当該ケースは全ての方向に振動を発生し、それゆえ、全体が振動する。このため、振動を制御することができず、いずれの方向でも振動の減衰はない。先行技術に記載された装置の不都合な点は、筋肉刺激は相当の痛みと関連付けられており、ユーザは特定の体位を維持しなくてはならない。加えて、痛みを誘発することができ、皮膚に直接触れることが必要な電気刺激が加えられる。データは有効性を示しておらず、複雑なモータ‐磁石構造のために実用的であるか疑わしい。
【0009】
特許文献5は、管状の柔軟構造で容器に統合された、集積センサと少なくとも2つの振動発生器とを備える呼吸刺激ベルトを開示する。ベルトにおいて、振動発生器を容器に挿入することにより、振動発生器は全ての方向に振動を発生し、制御することができない。振動は6~12Hzの周波数を有する。もしも効力があっても、それが観測される前に必要とされる周波数、強度又は時間を示すものはない。
【0010】
特許文献6は、フライホイールが磁化され、又は、磁化要素がフライホイールに組み込まれてモータ及び磁化要素によって生成される磁場が増強される呼吸刺激ベルトを開示する。フライホイールは磁気ディスク、磁気部品又は棒磁石によって磁化され、磁気力学的な振動は、磁気波を介してそれらの効果を引き起こす。更に、磁気力学的振動部は、筋肉に刺激電流を引き起こす誘導変換素子(inductive transformation element)と組み合わされることができる。
【0011】
特許文献7は、サイクロイド振動を用いるための電気機械的振動器とデジタル制御手段とを備えたデジタル制御された振動治療装置を開示する。デジタル制御手段は、線形時間累積度数制御(linear time integrated frequency control)及び小振幅振動を用いているが、その詳細は明らかではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】独国特許出願公告第102004009452号明細書
【文献】独国特許出願公告第10241340号明細書
【文献】独国実用新案第20116277号明細書
【文献】独国実用新案第29812986号明細書
【文献】独国実用新案第202010018159号明細書
【文献】独国特許出願公開第102010022603号明細書
【文献】国際公開第01/19316号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一般に、人が年をとると、彼らの呼吸筋(特に、横隔膜筋)は弱り、肺は硬く、非弾性的になり、心肺能力は機動性と同様に減り、日々の活動を困難にし、また、睡眠の質を低下する。75歳では肺活量は若い人よりも50%少ない。言い換えると、人が年をとると、肺は効率的に機能しなくなり、脳、心臓及び他の臓器が最適に機能するのに不可欠である、吸い込まれる必須酸素の量が減少する。また、人が年をとると、正しい呼吸パターンが浅くて早い胸呼吸法へと劣化し、それはエネルギーを多く使い、体内のストレスを活性化し、また、人に空気又は酸素を少なく吸い込ませるという負の効果を有する。このことは、不安、睡眠不足、機動性の欠如及び抑うつのような多くの年をとった人々に見られ、広く経験される効果をもたらす。ストレスの側面は、多くのストレスや不安に苦しみ、または、睡眠問題を有するその上の年齢層にも向けられるであろう。
【0014】
本発明は、特に、横隔膜を刺激する改善された刺激装置、そのような装置の使用方法、呼吸低下及び呼吸抑制を治療する改善された方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る刺激装置は、少なくとも2つの振動モジュールを含むベルトであって、少なくとも2つの振動モジュールのそれぞれが、ケースを有するポッド(pod)、ケース内に配置された振動パッド及び容器内に配置されたフライホイールを有する振動モータを有するベルトと、少なくとも2つの振動モジュールの振動モータを操作するコントロールパネルとを備え、振動モータは少なくとも1つの弾性モータ容器を介して振動パッドに搭載されるものである。
【0016】
本発明は、更に、呼吸低下及び呼吸抑制を治療するためのそのような装置の使用方法、及び、ユーザの腹部にベルトを締め、当該ベルトを操作することにより呼吸低下及び呼吸抑制を治療する方法を含み、そこでは、少なくとも2つの振動モジュールがユーザの腹部に外側から当てられて、横隔膜を刺激し、肺の機能を増強する。
【0017】
刺激装置の弾性モータ容器はベルト及びモータの容器に対して振動モータの弾性支持を提供し、生成された振動はユーザに主に向けられ、ユーザに影響を及ぼすエネルギーは、技術水準から知られる装置と比べてもより効率的に用いられる。弾性的な搭載/懸架により方向付けられた振動を用いて、振動パッドは振動し、衝撃は大きな自由度を有し、横隔膜により良い効果を与える。本発明に係る装置及び方法は、横隔膜を刺激することにより肺の機能を増強する。
【0018】
本発明は、薬剤介入を回避し、呼吸能力を増強し最適化することに比較的早い結果をもたらすことにより、肺疾患及び呼吸抑制のいろいろな原因による呼吸低下及び浅い呼吸に関連する症状を緩和する。このことは、血中酸素濃度の増加、心拍数及び呼吸数の減少、生活の質の改善につながる。本発明は、簡単に使用でき、従来技術を用いるときの困難を克服し、マイナスの副作用は見られない。本発明に係る装置は従来技術よりも有効であって、すなわち、2分以内に横隔膜は活性化され、試験を受けた全員において効果が観察された。
【0019】
本発明に係る装置及び方法は、横隔膜を刺激して肺の機能及び副交感神経系を増強してリラクゼーション効果を高め、心拍数及び呼吸数を減らし、睡眠の質、更に、痛みを改善することができる。例えば、装置のプログラムは、モータの回転数を減らして寝入るために用いられても良い。しかしながら、このことはユーザに対するプラスの効果を更に増加する。装置は、少なくとも2つの取り外し可能に組み込まれた振動モジュールを有するベルトを含み、振動モジュールはユーザと接触してユーザの横隔膜を働かせるように提供される。
【0020】
概して、本発明に係る装置は、ポッド及び振動パッドを介して振動モジュールと人体とが接触することにより人体に生体力学的な振動を加える。本発明に係るベルトは、それぞれ振動モータを収容する少なくとも2つの振動モジュールで構成される。振動モジュールはストラップに組み込まれて、ユーザの腹部に接触して横隔膜を刺激するベルトを形成する。モータは電子回路により制御される。電子回路はコントロールパネルにより制御され、それは任意に再充電可能な電池により電力供給されても良い。コントロールパネルは、モータが動作する電圧と時間とを制御する。
【0021】
ベルトは、昼又は夜の間、いつでもユーザにより着用されても良い。本発明に係るベルトは、横隔膜が刺激されることをユーザが望む時間だけ着用されても良いし、長時間着用されても良く、振動モータは長時間において断続的に駆動される。本発明に係るベルトは、ユーザによりどのような姿勢でも、例えば、座って、立って、仰向け姿勢で用いられても良い。ベルトは、オフィスで働き、コンピュータの前に座っている間、又は、肉体労働に従事しているときに着用され、用いられても良い。自然に機能し収縮する横隔膜の能力が増加し、朝又は夜に振動を使用した後、数時間働き続けるように、振動は横隔膜を「訓練」する。最小使用時間は、10分、及び、30~60分までである。その上、繰り返して使用することにより、横隔膜は振動を徐々に早く認識し、ベルトを使用する度に早く働き始める。
【0022】
本発明の実施の形態において、ベルトは等距離又は異なる間隔で配置された3つの振動モジュールを備え、それは、胃の深い呼吸運動のための横隔膜の最適な刺激効果、すなわち、モータを有するポッド及び振動パッドが息を吸い込むときの「膨張」の間に最適に振動し続けることを可能にする。
【0023】
本発明の実施の形態において、装置の振動モータのそれぞれは、モータ容器を介して振動パッドから離して配置される。このことは、容器又はケース内のモータに取り付けられるフライホイールの自由な動きを確実にする。
【0024】
本発明の実施の形態において、装置内で、モータ容器はスナップ式の接続を介して振動パッドに搭載される。このことは、モータとモータ容器との確実な結合を提供する。代わりに、適切なアタッチメント手段、及び/又は、例えば、接着材又は機械的な結合のような追加のアタッチメント手段が用いられても良い。
【0025】
本発明の実施の形態において、装置内で、モータ容器のそれぞれは、振動モータを保持して支持するために、振動モータと補完的となるような方法で少なくとも部分的に設計される。このことは、装置の容易な組み立てと、モータ容器内でのモータの確実な支持とを提供する。
【0026】
本発明の実施の形態において、装置のベルトは、少なくとも1つのベルト締め付けアタッチメントを有するストラップを備える。ベルトは柔軟なものであっても良い。このことは、ユーザ、特に、ユーザの腹部に対するベルトの容易な調整を提供する。ベルト締め付けアタッチメントは、どのような適切な締め付け手段であっても良い。
【0027】
本発明の実施の形態において、ケースは本体ケースと背面ケースとを備え、振動パッドは背面ケース内に配置され、及び/又は、本体ケースにはフロントパネルが備わっている。これにより、振動はより効率的にユーザに向けられる。特に、弾性振動パッド及び弾性モータ容器により、ケースに影響を与える振動は弱められ、振動パッドはケースに対して弾性的に支持される。
【0028】
本発明の実施の形態において、装置の本体ケース、及び/又は、背面ケースはストラップとストラップを介して組み合わされ、背面ケース又は本体ケースの他方と組み合わされるための少なくとも1つのアタッチメント手段を備える。このことは、ケースとストラップとの間の適切で安全な接続を提供し、振動パッドが適切な位置に留まることを確実にする。
【0029】
本発明の実施の形態において、コントロールパネルは振動モータを約0.3G~1.0Gの強度及び電圧0.6~1.3Vを補完する16~45Hzの範囲の周波数で操作する。好ましくは、コントロールパネルは振動モータを30Hz(0.8V)の周波数のときの約0.4Gの強度から37Hz(1.0V)の周波数のときの約0.62Gの強度で操作する。正確な最適周波数及び最適強度も個人次第、すなわち、体重、年齢及び全般的な感受性次第である。これらの操作条件により、最適な効果が達成され、最適な効果が呼吸パターンの深く、ゆっくりとしたリズミカルな横隔膜呼吸への明らかな変化として定量化され、最適な効果が20%以上の呼吸数の削減として定量化される。
【0030】
本発明の実施の形態において、ベルトは柔軟であって、及び/又は、着用者の体格に合わせて調整可能である。このため、ベルトの長さは複数のユーザに容易に合わせることができ、1つのベルトは異なるユーザに合わせることができる。
【0031】
本発明の実施の形態において、少なくとも1つのフライホイールは、直径約12mmで厚さ8mmの寸法を示す。このことは効率的な振動を提供する。
【0032】
本発明の実施の形態において、少なくとも1つのフライホイールは、7~8グラムの重さを有し、及び/又は、モータの端部から1~5mm離れている。このことは、装置の効率と振動衝撃の効果とをより一層改善しても良い。この重さ及び配置はいくつかのテスト結果に基づく(下で対比して欲しい)。
【0033】
本発明の実施の形態において、装置は更に生体機能を表示し観測するためのディスプレイを備え、生体機能の表示はインターフェイスを介して統合され、及び/又は、インターフェイスは外部装置との情報交換を支援する。このことは、装置の機能性を改善することができる。
【0034】
更なる実施の形態において、本発明は、ユーザの腹部にベルト装置を当てることにより呼吸抑制を治療する方法を提供し、ベルト装置は、a)ベルト締め付けアタッチメントを有するストラップ、b)ストラップに組み合わされた少なくとも2つの振動モータ、c)当該モータは直径12mm、厚さ8mm、7~8グラムのフライホイールを有し、d)少なくとも2つの振動モータを操作するコントロールパネル、を備え、振動モータは0.3~1.0Gの強度と、16~45Hzの範囲の周波数を有する。実施の形態において、少なくとも2つの振動モジュールはユーザの腹部に外側から適用されて、横隔膜を刺激し、肺の機能を増強する。
【0035】
実施の形態において、本発明に係る装置はベルトを含み、ベルトはユーザの体格の変化に対応するように、サイズが調整可能である。ベルトは少なくとも2つの取り外し可能な振動モジュールを含み、各モジュールはコントロールパネル装置により制御される振動モータを含む。本発明に係るベルトは、ユーザの胸郭の下の腹部に接触するように設けられて、横隔膜を刺激する。
【0036】
本発明に係る振動モータはいろいろな電圧、強度及び周波数において有効であっても良い。強度のおおよその有効範囲は、約0.3G~約1.0G、電圧は約0.6V~1.3Vである。周波数のおおよその有効範囲は、約16Hz~約45Hzである。
【0037】
本発明の実施の形態において、装置は腹式呼吸及び脇腹呼吸を深くするために用いることができる。腹式呼吸は、横隔膜呼吸とも呼ばれ、通常の容易な呼吸形態である。横隔膜は主たる呼吸筋であって、胸と腹腔との間に位置する。腹式呼吸は横隔膜の収縮によって生じ、それにより胸腹腔の陰圧が大きくなる。この陰圧に続いて、肺が拡張し、空気が吸い込まれる。この呼吸技術における呼気は横隔膜の弛緩により生じ、それにより、肺自体の弾性特性により肺が収縮し、空気を押し出す。意識して、腹筋を収縮させることにより呼気は支援されることができる。
【0038】
装置は横隔膜の活動を増強するために用いられても良い。機械的な振動のおかげで、横隔膜の筋肉は刺激され、その結果、肺のより良い拡張に寄与することができる。本発明に係る装置を用いることの更なる利点は、副交感神経系の活性化であって、それは結果として心拍数及び呼吸数を減らし、筋肉の緊張を緩めることを増進し、緊張、下部胴体の痛み、腹部の収縮を和らげ、睡眠の質を改善する。更に、本発明に係る装置を用いることは、不眠症のような睡眠障害の解決に役立つ。本発明に係る装置の他の利点は、人工呼吸器を使用することから個人を切り離すことを支援することである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】少なくとも2つの振動モジュールと、関連するコントロールパネルとを有し、直線状に開いた状態の調整可能なベルトの正面図を示す。
図2】振動モジュールのポッド部品の展開図を示す。
図3】少なくとも2つの振動モジュールと、関連するコントロールパネルとを有するベルトのユーザと接触する側の図を示す。
図4】振動モータを示す。
図5】コントロールパネルの正面斜視図を示す。
図6】コントロールパネルの背面斜視図を示す。
図7】コントロールパネルの展開図を示す。
図8図8(a)は振動モジュールの背面斜視図を示し、図8(b)は図8(a)の振動モジュールの側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示はいろいろな形で実施の形態の影響を受けるかもしれないが、図面が示し、この中で詳細に説明される実施の形態は以下のように理解される。すなわち、本説明は、本開示の原理の例示と考えられるべきであり、網羅的であること、又は、本開示を以下の明細書で説明され、図面に示された構成要素の構造及び配置の詳細に限定することが意図されたものではない。
【0041】
概して、本発明に係る装置は、振動モータを有する各ポッドの振動パッドの接触を介して人体に機械的な振動を加えるものである。本発明は、それぞれ振動モータを収容する少なくとも2つの振動モジュールで構成される。振動モジュールはストラップと組み合わされて、ユーザの腹部と接触して横隔膜を刺激するベルトを形成する。モータは電子回路により制御される。電子回路はコントロールパネルにより制御され、それは任意に再充電可能な電池により電力供給されても良い。コントロールパネルは、モータが動作する電圧と時間とを制御する。ベルトは、昼又は夜の間、いつでもユーザにより着用されても良い。本発明に係るベルトは、横隔膜が刺激されることをユーザが望む時間だけ着用されても良いし、長時間着用されても良く、振動モータは長時間において断続的に駆動される。本発明に係るベルトは、ユーザによりどのような姿勢でも、例えば、座って、立って、仰向け姿勢で用いられても良い。ベルトは、オフィスで働き、コンピュータの前に座っている間、又は、肉体労働に従事しているときに着用されても良い。
【0042】
図1は、3つの振動モジュールを有し、開いた状態の本発明に係る、長さが調整可能なベルト10の正面図を示す。特に、ベルト10は、第1振動モジュール5、第2振動モジュール7及び第3振動モジュール9を備える。各振動モジュールは、振動モータを含む、ケース6及びポッド4を備える。ベルト10は、更に、振動モジュール5、7、9の間のストラップ1を示す。更に、コントロールパネル15が何らかの適切な方法、例えば、締め具8を介してストラップ1に搭載される。振動モジュール5、7、9は、ベルト10のストラップ1に等間隔で搭載される。人間に装着されたときに、この配置は、胃の深呼吸動作のための横隔膜の最適な刺激効果、すなわち、ベルト10、すなわち、モータを有する振動モジュール5、7、9(ポッド4)の振動パッドが息を吸い込む間の「拡張」期に最適に振動し続けることを可能にする。
【0043】
ベルト10のストラップ1は、ライクラ(登録商標)、スパンデックスを含む何らかの材料、ネオプレン、ゴム入り生地、綿、ナイロンウェビング(nylon webbing)、ストレッチバンド(StretchBands)、シリコン、エチレンプロピレンジエンモノマー(M‐クラス)ゴム、ウレタン、クロロピレン、ハイパロン(登録商標)、天然ゴム、皮革、布、プラスチックなどを含むいろいろな適切な材料で構成されても良い。実施の形態において、ストラップ1は伸縮自在であって、ライクラ、スパンデックスを含む何らかの材料、ネオプレン、ゴム入り生地、ナイロンウェビング、ストレッチバンド、シリコン、エチレンプロピレンジエンモノマー(M‐クラス)ゴム、ウレタン、クロロピレン、ハイパロン又は天然ゴムを含むような材料でできている。しかしながら、他の実施の形態において、ストラップ1はネオプレン、ゴム入り生地及びナイロンウェビングの組み合わせでできている。ストラップ1は、各ユーザの体格に適したいろいろな長さ及び幅を有していても良い。ストラップ1は、ユーザの腹部に最も近い内側ストラップと、ユーザから離れた外側ストラップで構成されても良い。内側ストラップと外側ストラップとの間には、コントロールパネルからモータにつながる配線経路がある。あるいは、配線経路はストラップに統合されても良い。
【0044】
ベルト10は、ユーザの周囲を包囲するためのベルト締め付けアタッチメント2、3を更に備える。ベルト締め付けアタッチメント2、3は、着脱容易なクリップ、ありふれたバックル、アジャスターバックル、ベルトバックルなどのいろいろな既製品のバックルから選択されても良い。他の実施の形態において、ベルト取り付けアタッチメント2、3はスナップ(snap)、クリップ、ファスナー、ボタン、留め金(clasp)、クリップ、結び目、ひも、ベルクロ(登録商標)、ピン、フック、又は、当該記述分野で知られた、他のいかなる締め付け手段を備えていても良い。
【0045】
振動モジュール5、7、9のそれぞれは、振動モータを含む取り外し可能なポッド4を有する。ポッド4は、有利には、ポッド又は振動モータの修理、交換のために取り外し可能である。実施の形態において、モータは、場所にぴったりと収まるプラスチック容器に位置し、取り外し可能なポッド4の外側ケースは全体ケース6にねじ込まれる。ポッドは更にケース6に接着されることもできる。ポッド4は、プラスチック、金属、シリコン、合成繊維などの材料の射出成形で作られても良い。ポッドの大きさは異なっても良い。小さなポッドは小さなベルトに使われても良く、大きなポッドは大きなベルトに使われても良い。実施の形態では、ポッドは、収容するモータの大きさに依存して、約6~8cmの幅、約8~9cmの長さ、約2.5~3.5cmの深さであっても良い。
【0046】
図2に関して、ポッド4の展開図は、ポッドを覆うフロントパネル21を示す。フロントパネル21はABSプラスチックで作られても良く、射出成形で作られても良い。フロントパネル21は、いかなる金属又は他の適切な材料で作られても良い。フロントパネル21はどのような色でも良く、また、ロゴ又はデザインで刻み込まれ又はエンボス加工されても良い。ケース6は、ストラップをその位置に固定し配線を案内する小区画構造特徴(structural cabinet feature)を形成する。ベルトは、ケース6をベルトに固定するために、ケース6と組み合わせるためのスリット23を有する。ケース6もABSプラスチックの射出成形により作られても良い。ケース6も、金属又は他のどのような適切な材料で作られても良い。ポッド4も、モータ容器22を有する背面ケース26も備える。モータ容器22は振動モータ20を受けて収容し、振動パッド24に搭載される。モータ容器22はモータを本体ケース6から分離する。実施の形態において、モータ容器22は射出成形によりABSプラスチックで作られても良く、他のどのような適切な材料で作られても良い。実施の形態において、モータ容器22のそれぞれは弾性材料、例えば、シリコンで作られる。モータ容器22は、ポッド4が搭載され、組み立てられたときに、モータ20を受けて保持するように、モータ20(図4、8(a)、8(b)を対比して欲しい)の外面と少なくとも部分的に補完的に設計される。振動パッド24は振動をモータからユーザの体に伝えるために用いられる。振動パッド24は、スポンジのような振動を弱める機能(damping feature)を組み込んでおり、振動モータを本体ケース6から分離する。振動パッドは、シリコン、すなわち、TPE/TPU、PVC、又は、他のどのような適切な材料で作られても良い。背面ケース26は、ストラップ1のスリット23を介してストラップをその位置に固定し配線を案内する小区画構造を形成する。この目的のために、背面ケース26は、背面ケース26に対して垂直に延在してストラップ1のスリット23と組み合わされる2つの延長部分を備える。ケース6は、前述の延長部分とその相手側として組み合わされるためにやはりケース6に対して垂直に延在して振動モジュール5、7、9又はポッド4をストラップ1上のその位置にしっかりと保持するピン又は他の適切な手段を備える。背面ケース26はABSプラスチックの射出成形により作られても良く、金属又は他のどのような適切な材料で作られても良い。
【0047】
図3は、ケース6の後側とポッド4のユーザ接触側とを示し、振動パッド12、14、16(図2の24)により接触がなされる。振動パッド12、14、16(24)は、弾性モータ容器22内でモータ20を弾性支持又は搭載することにより、プラスチックケースよりももっと集中した効率的な方法で振動効果を伝えるような長所を提供する。ケース6及び背面ケース26に対してモータ20を弾性的に支持することは、生成した振動のほとんどをユーザに向けることを可能にし、刺激装置の効率を増加させる。シリコン振動パッドは更にプラスチックケース構造よりも静かで、ユーザにとってより心地良い。
【0048】
本発明で用いられる振動モータは、既製品であって、プレシジョンマイクロドライブ(Precision Microdrives)モデル320‐100、ユニヴァイブ(Uni-Vibe)20mm振動モータ‐25mmタイプと同等であっても良い。図4に概ね示されるように、いろいろなモータが用いられても良い。振動モータは、一般に、モータケース、座金、NdFeBネオジム永久磁石、モータシャフト、モータエンドキャップ(motor end cap)、レース軸受、偏心質量カウンタウェイト(counter weight)(フライホイール28)を含んでも良い。本発明では、大きい又は小さいモータが用いられても良いが、重要なことは、どのような種類のモータを用いても、効果が見られるような周波数、強度又は電圧の範囲が達成されることである。大きなモータを用いると、ユーザが不快、痛み又は擦り剥けを経験するかもしれないと指摘されている。しかしながら、本発明では、同様のモータがいろいろな大きさ又は重さのフライホイールを用いて試験されたときに、性能の変化が指摘された。好ましい実施の形態では、フライホイールはモータの端部から1~5mm離されるべきである。
【0049】
フライホイールのサイズ/大きさ及び重さの小さな変化に関連して驚くような結果が見られ、それは有効な方法で横隔膜を刺激することについて顕著な効果を有する。更に、周波数‐強度の最適な範囲が決定され、その外側では横隔膜を刺激することの有効性が著しく減少する。そのため、周波数‐強度の関係は横隔膜の活性化を生じるためにとても重要である。横隔膜の活性化は呼吸パターンの変化として、すなわち、浅い呼吸に対するゆっくりした深い腹式呼吸として測ることができる。このことは、ゆっくりした呼吸(数/分)と更に心拍数とにより定量化することができる。フライホイールは直径12mm、厚さ8mm、7~8gであった。モータは、プレシジョンマイクロドライブ、モデル320‐100である。

表:
横隔膜上の効果は下のように定量化される:
+++は深い腹式(横隔膜)呼吸の強い活性化であり、1分当たりの呼吸により測定されたときに、呼吸数はより深く、よりゆっくりであった(以前の普通の呼吸の20%よりも大きな減少)
+は横隔膜呼吸へのほんのわずかな効果であり、すなわち、呼吸数の10%以下の減少
-は横隔膜活性化又は呼吸数への効果なし
【表1】
プレシジョンマイクロドライブ、モデル2(320‐105スタンダード)。これは上のものとまったく同じモータと、異なるフライホイール(直径18mm、厚さ6mm、しかし、半円だけ、すなわち、完全ではない)とを有する。
【表2】
モデル3、同じモータ、わずかに異なるフライホイール(直径10mm、厚さ3.5mm)
【表3】
肺機能への効果は、20Hzで0.3G~45Hzで1.00Gの範囲内で著しかった。0.8V(0.4Gで30Hz)~1.0V(0.62Gで37Hz)の範囲で最適な効果が観察された。最適な効果は、深く、ゆっくりでリズミカルな横隔膜呼吸への呼吸パターンの明らかな変化として定量化され、20%以上の呼吸数の減少として定量化される。強度は、閉ループ制御(加速度計)及び正確なモータ速度測定装置を用いて測定された。フリースケール社のMMA7361、3軸加速度計が用いられ、いくつかの外部部品を用いてプリント基板(PCB)上に搭載された。振動モータ及び加速度計は一緒に搭載された。これらは次に質量100gで搭載された。この目標質量は、測定される振動強度に直接影響を与え、測定を標準化するのに役立つ。このことは、英国のプレシジョンマイクロドライブ社が説明する通りに行われた。
【0050】
本発明に係る装置は、単一のコントロールパネルプリント板ユニット(PCBA)を備え、それは多くのタクトスイッチ及びLEDを含む。コントロールパネルは、モータに供給される電圧を変化させることによりモータの速度を制御するために用いられても良い。コントロールパネルは、更に、モータが動作する時間を制御し、また、異なるモータ速度についての時間を制御するあらかじめプログラムされた機能を有していても良い。図1は、更に、簡易保管のために締め具8を介してストラップ1に取り外し可能に組み合されたコントロールパネル15を示す。コントロールパネル15は携帯装置であって、電池のような、送電網から独立した電源を用いて送電網から独立して動作することができる。一般に、コントロールパネル15は、当該技術分野で知られた、何らかの適切なプラスチック又は金属で作られていても良い。コントロールパネル15は、当該技術分野で知られた、何らかの手段により、ストラップ1に固定的に、又は、取り外し可能に固定されても良い。
【0051】
図5は、フロントコントロールパネルケース40を有するコントロールパネル15の正面斜視図を示す。更に示されるように、配線ポート41はコントロールパネル15の回路基板をモータに接続する。電源制御パッド42は、コントロールパネル15をオン、オフする。プログラム1制御パッド43は、電圧及び時間のあらかじめプログラムされたスケジュールを選択するためのもので、それによって振動モータは動作する。そのようなプログラムの例は下に提供される。プログラム2制御パッド44は、電圧及び時間のあらかじめプログラムされた代わりのスケジュールを選択するためのもので、それによって振動モータは動作する。そのようなプログラムの例は下に提供される。タイミング制御パッド45は、振動モータが動作する時間の階段状の増加を提供しても良い。タイミングボタンは、それが選択される度に、秒、分、時間などのいかなる増分でも増加又は減少するようにプログラムされても良い。タイミング強度表示器46は、時間の増分の増加又は減少を示す発光機能である。速度制御パッド47は、それが選択される度に電圧を増加するように選択される。電圧の増分は増加又は減少であっても良く、その強度は速度強度表示器48に発光により示される。いろいろな制御機能が本発明のコントロールパネルに組み込まれても良い。プログラムが選択されたLEDの表示、速度、タイミング、及び、他の何らかのユーザにとって有用な情報が提供されても良い。各モータに固有であっても良い、例えば、他のモータとは独立した各モータの電源をオンオフするための追加の制御ボタンが追加されても良い。他のモータとは独立した各モータの動作の速度、電圧、強度、周波数及び時間の独立制御のための他の制御及び選択ボタンが追加されても良い。いろいろな制御がコントロールパネルに組み込まれて、利便性、及び/又は、最大の健康効果に関してユーザ体験を増強しても良いことは、当業者が認識するであろう。本発明に係るボタンは当該技術分野で知られたどのような適切な材料で作られても良く、シリコン及びゴムを含んでも良い。
【0052】
図6は、背面コントロールパネルケース50を提供するコントロールパネル15の背面斜視図と、コントロールパネル15の再充電可能な電池を再充電するための充電ポート51の図とを示す。図6はマイクロUSBポートとしての充電ポート51を示すが、当該技術分野で用いられるどのような適切な充電器及びポートが用いられても良い。図6は、更に4つのねじ52、53、54、55を示し、それによってコントロールパネルはフロントパネルから背面パネル56まで固定される。
【0053】
図7は、コントロールパッド42、43、44、45、47(完全には示されていない)を受けるための貫通孔61、62、63、64、65を有するフロントコントロールパネルケース40を有するコントロールパネル15の展開図である。制御パッド42、43、44、45、47は電子回路基板70と組み合わさって電子回路基板70を操作する。回路基板70は、多数のプログラムでプログラムされて、振動モータが動作する電圧、強度、振幅及び時間を制御する。そのようなプログラムの例は下にある。回路基板70の背面は、描写されていないが、配線ポート41から振動モータの正負の入力までをたどる電子回路のための配線接続を備える。くぎ81、82はフロントコントロールパネルケース40を背面コントロールパネルケース50に搭載するために用いられる。図7は、背面コントロールパネルケース50によりコントロールパネル15内に入れられて包まれる再充電可能な電池85を更に描写する。再充電可能な電池85は業界で使われているもののいずれでも良く、リチウム硫黄、ナトリウムイオン、薄膜リチウム、亜鉛臭素、亜鉛セリウム、バナジウムレドックス、ナトリウム硫黄、溶融塩、銀亜鉛、量子電池、又は、他のいずれかの適切な再充電可能な電池を含んでも良く、しかしながら、これらには限定されない。
【0054】
コントロールパネルは電圧及び時間のいろいろなバリエーションでプログラムされて、ユーザの健康ニーズに応じていろいろな多様な選択肢をユーザに提供しても良い。プログラムは、どのような時間長の回転モータで開始しても良いが、最良の結果は少なくとも10分の使用によって見られた。モータは、一日中又は一晩中それを着用するユーザのために脈動し、又は、変動する期間の横隔膜への断続的な刺激を提供する。コントロールパネル上で選択可能なプログラムの例は次の通りである。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】

【表11】
【0055】
本発明の有効性及び健康上の利点を示す臨床結果が得られた。1つの試みでは68人のCOPD級の患者が検査された。これらの患者は、本発明に係る装置を1日3回、20分、10日間用いた。結果は次の通りである。

1. 62人の患者がその呼吸数を1分当たり18呼吸から14呼吸へと減らした。
2. 62人の患者がその血液p02を平均92%から平均97%へと改善した。
3. 58人の患者がその呼吸をより気持ち良いと説明した。

18人の患者が本発明に係る装置で2週間治療を受けた。それらの患者のうち、14人は息切れなしに歩けるようになり、11人は2週間の治療経過の後、薬物療法の必要性が減少した。
【0056】
睡眠時無呼吸に苦しむ3人の患者の小規模な研究は、患者が呼吸を止めたときに、本発明に係る装置の(ほんの数秒間の)作動が患者に直ちに呼吸を開始させることを示すことができた。睡眠時無呼吸の患者はその後いかなる混乱もなしに睡眠を続けることができた。
【0057】
本発明に係る装置で治療された年老いた患者において、脚部領域、腹部領域及び胸部での筋肉の緊張が緩まることと、よりリラックスしたゆっくりの呼吸リズムとが明らかに観察された。このことは、患者により心地良く感じることを可能にし、また、身体の動きを可能にする。
【0058】
本発明の他の応用には、肺がん、肺手術、嚢胞性繊維症、注意欠陥多動症候群(ADHS:attention deficit hyperkinetic syndrome)、心臓インターベンション、梗塞、肺炎、筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)で苦しむ患者が含まれても良い。肥満体の人々は、細気管支を削減し、肺容量を制限し、呼吸数を増加して、より少ない酸素の摂取につながる、肺の周りのより大きな脂肪組織のために、限られた肺容量を有しているかもしれないので、本発明から更に利益を得るかもしれない。更に、本発明に係る装置で治療された不眠症の人々は、著しく長く、より質の良い睡眠を報告し、次の日に元気を回復したように感じたと報告する。
【0059】
更に他の研究では、10人のCOPDの患者が本発明に係る装置で15分間治療された。ベルトを1回使用した後で、10人全ての患者の肺容量は次のチャートで示されるように著しく増加した。
【表12】
【0060】
本発明に係るベルトを使用した他の患者は、ヘビースモーカーであることを自己申告し、ベルトを使用する前に絶え間ない咳とゼイゼイと息を切らすこととを有していた。その患者は、15分間ベルトを1回使用した後に、咳とゼイゼイと息を切らすこととが3日間停止したことを報告した。
【0061】
本発明に係る装置は、特定の生体機能の観測にも用いられてもよい。生体機能の表示は適切なインターフェイスを介して統合されることができる。実施の形態に係る装置は情報の交換を支援する少なくとも1つのインターフェイスを有する。情報は物理的単位(例えば、電圧、電流強度)又は論理的変数(データ)の形態で存在することができ、一方で交換はアナログ又はデジタルであることができる。インターフェイスには、データインターフェイス(一般的なデータ伝達のためのインターフェイス)、一般的なインターフェイス、マシンインターフェイス(物理的システム間のインターフェイス)、ハードウェアインターフェイス(コンピュータ技術の物理的システム間のインターフェイス)、ネットワークインターフェイス(ネットワーク構成要素間のインターフェイス)、ソフトウェアインターフェイス(プログラム間のインターフェイス)及び/又はユーザインターフェイス(人とマシンとの間のインターフェイス)が含まれる。好ましいインターフェイスには、無線又は赤外線インターフェイス、又は、有線インターフェイス(例えば、USB)が含まれる。インターフェイスを用いることにより、安全で早い接続が達成でき、情報が交換される。更に、生体機能を観測し、装置の安全で効率的な操作の確認を可能とするために、装置はほかの装置と接続されても良い。更に、情報(例えば、データ)は記録媒体に保存され、又は、ネットワーク系の伝達又は長距離データ伝達を介してコンピュータ系のシステム、送信機から受信機へと伝達されることが好ましいかもしれない。伝達媒体は好ましくは電話ネットワーク、無線又は光であって、それらにより早くて安全な情報の移動が可能である。有利には、装置自体は、使用期間及び選択された回転速度のようなデータを記録できるメモリを有している。装置は、データを外部の記録媒体に移動させても良い。データは有利には応用方法の分析のために利用されることができ、それにより応用方法の最適化が可能となる。
【0062】
図8(a)は、本体ケース6及び背面ケース26がないときの振動パッド12(14、16)の背面斜視図を示す。図8(b)は、図8(a)の振動パッド12の側断面図を示す。振動パッドはスポンジのような減衰機能を組み込んで、振動モータを本体ケース6から分離する。振動パッド12はモータ20を収容するように設計され、槽(trough)のように設計された、曲線的な端部を有する矩形の外周を有している。振動パッド12/24の両側には、平坦な横延長部が、振動パッド12/24をストラップ1、ケース6及び背面ケース26(図2を対比して欲しい)に搭載するために提供される。この目的のために、延長部は、振動モジュール5、7、9が組み立てられたときに、しっかりと組み合わすための背面ケース26の延長部と本体ケース6の搭載手段とに補完的に設計された2つのスリット91と(図8(a)に部分的に示される)孔とを備える。
【0063】
振動パッド12/24の槽の内面には、2つのつまみ87が、スリット91の1つとおおよそ平行に延在する両側に設けられる。つまみ87は、モータ容器22と振動パッド12/24とをしっかりと組み合わすために設けられる。この組み合わせのために、モータ容器22はその両側の低い端側面に、つまみ87を通したときのスナップ式の接続のための、つまみ87と補完的なスリットを備える。更に、いくつかの実施の形態において、この接続を改善するために搭載領域上に、例えば、シリコン接着剤のような適切な接着剤も加えられても良い。モータ容器22は更にモータ20を受けて保持するためにモータ20と補完的な「u」字のような形状に設計されても良い。モータ20がモータ容器22を介して振動パッド12/24に搭載されたときに、フライホイール28がケース6及び背面ケース26の内部でケース6及び背面ケース26と接触することなしに自由に動けるように(図8(b)を対比してほしい)、モータ20は振動パッド12/24の内面と離れている。更に、モータ20は、配線(図示せず)を介してコントロールパネル15と電気的に接続するために、モータ20の端部からフライホイール28にまで延在する2つの接続部95を備える。振動パッド12は、弾性モータ容器22内部でのモータ20の弾性支持及び搭載により、プラスチックケースよりももっと集中した効率的な方法で振動効果を伝達するような、有益な特徴を提供する。ケース6及び背面ケース26に対してモータ20及びフライホイール28を弾性的に支持することは生成された振動のほとんどをユーザに向けることを可能にし、それにより刺激装置の有効性を増加させる。
【0064】
本開示の好ましい実施の形態が特定の特徴との関連で図示され、説明されたけれども、振動治療及び呼吸療法の当業者にとって、本発明及びその変形例が、いろいろな原因により呼吸抑制に苦しむ個人のいろいろな治療に用いるために適応できることは明らかであろう。本開示のいろいろな特徴が図示された実施の形態との関連で特に示され、説明された。しかしながら、特定の実施の形態は単に示すだけであって、本発明は特許請求の範囲の用語の範囲内で最も完全にその解釈が与えられることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8