IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ストーブリ エレクトリカル コネクターズ アーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-コンタクト要素 図1
  • 特許-コンタクト要素 図2
  • 特許-コンタクト要素 図3
  • 特許-コンタクト要素 図4
  • 特許-コンタクト要素 図5
  • 特許-コンタクト要素 図6
  • 特許-コンタクト要素 図7
  • 特許-コンタクト要素 図8
  • 特許-コンタクト要素 図9
  • 特許-コンタクト要素 図10
  • 特許-コンタクト要素 図11
  • 特許-コンタクト要素 図12
  • 特許-コンタクト要素 図13
  • 特許-コンタクト要素 図14
  • 特許-コンタクト要素 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】コンタクト要素
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20220510BHJP
   H01R 43/16 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R43/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018562059
(86)(22)【出願日】2017-05-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2017062067
(87)【国際公開番号】W WO2017202709
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2019-12-18
(31)【優先権主張番号】16171340.9
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16171346.6
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16171341.7
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517369346
【氏名又は名称】ストーブリ エレクトリカル コネクターズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トム カフナー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アレキサンダー ストレーレル
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ヒルティ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ウィルツ
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-517243(JP,A)
【文献】特開2017-063016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのコンタクト片(K1,K2)の間に電気コンタクトを形成するためのコンタクト要素(1)であって、
長手方向(L)に延びるキャリアストリップ(2)と、
複数のコンタクト部材(5,5a,5b)とを有し、各コンタクト部材(5,5a,5b)は、前記2つのコンタクト片(K1,K2)のうちの1つとコンタクトを形成するための少なくとも1つの第1のコンタクトセクション(6)と、前記2つのコンタクト片(K2,K1)のうちの他方とコンタクトを形成するための少なくとも1つの第2のコンタクトセクション(7)と、さらに、前記コンタクト部材(5,5a,5b)を前記キャリアストリップ(2)における固定スポット(3)に固定するための少なくとも1つの固定セクション(8)とを有し、
各コンタクト部材(5,5a,5b)は、該コンタクト部材(5,5a,5b)を前記キャリアストリップ(2)に固定するための少なくとも1つの塑性変形可能な接続要素(50)を有する、前記コンタクト要素(1)において、
前記少なくとも1つの接続要素(50)は、前記コンタクト部材(5,5a,5b)の一体的な構成部分であり、
前記少なくとも1つの接続要素(50)は、前記少なくとも1つの固定セクション(8)から突出しかつ前記キャリアストリップにおける固定開口(53)を通って案内される軸(51)を有し、該軸(51)は、該軸(51)が前記キャリアストリップ(2)と機械的に固定された接続を形成するように、形成プロセスにおいて塑性変形させられ、
前記少なくとも1つの接続要素(50)は、前記固定セクション(8)によって前記コンタクト部材(5,5a,5b)と1つの部品として形成されており、特に、前記少なくとも1つの接続要素(50)は、前記固定セクション(8)から形成され、
前記少なくとも1つの接続要素(50)は、スタンピングプロセス又は打抜きプロセスによって前記固定セクション(8)から押し出され、
前記固定セクション(8)は、前記接続要素(50)と反対側に凹所(52)を有し、該凹所(52)の容積は、実質的に、押し出された前記接続要素(50)の体積に相当し、
前記接続要素(50)は、前記固定セクション(8)から見て、軸の軸線(S)に沿って延びており、該軸の軸線(S)に対して交差する第1の横方向軸線(Q1)における寸法は、前記軸の軸線(S)に対して交差しかつ前記第1の横方向軸線(Q1)に対して横交差する第2の横方向軸線(Q2)における寸法よりも大きく、前記軸(51)は、その横断面の様々な部分領域において選択的に変形させられることを特徴とする、前記コンタクト要素(1)。
【請求項2】
前記機械的に固定された接続は、圧力ばめ接続及び/又はインターロッキング接続及び/又は凝集接続であることを特徴とする、請求項1記載のコンタクト要素(1)。
【請求項3】
前記軸(51)は、前記コンタクト部材が配置されている前記キャリアストリップの側から、実質的に完全に前記固定開口(53)を貫通して延びており、前記軸(51)は、前記コンタクト部材と反対側に配置された前記キャリアストリップの側において塑性変形させられ、
及び/又は、
機械的接続のために、前記軸(51)は、形成プロセスにより前記固定開口(53)の壁部(55)に対して押し付けられ、又は、
機械的接続のために、前記接続要素は、その軸(51)によって、塑性変形の前、前記キャリアストリップ(2)を超えて突出し、形成プロセスによって前記軸(51)の突出した端部に頭部セクション(54)が形成され、軸の軸線(S)に対して横方向での前記頭部セクションの寸法は、前記固定開口(53)の横断面よりも大きく、又は、
機械的接続のために、前記軸(51)は、形成プロセスにより前記固定開口(53)の前記壁部(55)に対して押し付けられ、機械的接続のために、前記接続要素は、その軸(51)によって、塑性変形の前、前記キャリアストリップ(2)を超えて突出し、形成プロセスにより前記軸(51)の突出した端部に頭部セクション(54)が形成され、前記軸の軸線(S)に対して横方向での前記頭部セクションの寸法は、前記固定開口(53)の横断面よりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2記載のコンタクト要素(1)。
【請求項4】
前記固定セクション(8)から突出した前記軸(51)は、変形させられていない状態において、少なくとも前記キャリアストリップ(2)の厚さに相当する、及び/又は、最大でも前記固定セクション(8)の厚さ、特に該厚さの半分に相当する長さ(X)を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項記載のコンタクト要素(1)。
【請求項5】
各コンタクト部材(5,5a,5b)に対して、ちょうど2つの前記接続要素(50)又は3つ以上の前記接続要素(50)が設けられていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項記載のコンタクト要素(1)。
【請求項6】
前記軸(51)は、前記第2の横方向軸線(Q2)に関して互いに反対側に配置された少なくとも2つの部分領域又はちょうど2つの部分領域において変形させられることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項記載のコンタクト要素(1)。
【請求項7】
前記変形は、円形又は多角形であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項記載のコンタクト要素(1)。
【請求項8】
前記第1の横方向軸線(Q1)は、前記キャリアストリップの前記長手方向に対して所定の角度(δ)で角度方向に傾斜させられた形式で向けられているか、又は、前記第1の横方向軸線(Q1)は、前記長手方向軸線に対して直角であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項記載のコンタクト要素(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの接続要素(50)は円形の横断面又は長い孔を補足する横断面又はn角形の横断面又は多角形の横断面を有し、及び/又は、前記少なくとも1つの接続要素は、完全な横断面又は中空の横断面を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項記載のコンタクト要素(1)。
【請求項10】
請求項1~までのいずれか1項記載のコンタクト要素(1)を製造する方法であって、
a)キャリアストリップ(2)を提供する工程と、
b)コンタクト部材(5,5a,5b)を提供する工程と、
c)前記コンタクト部材(5,5a,5b)を前記キャリアストリップ(2)に接続する工程と、
d)少なくとも1つの接続要素(50)の軸(51)を塑性変形させる工程とを含み、
前記コンタクト部材(5,5a,5b)を提供する工程は、前記接続要素(50)を前記コンタクト部材(5,5a,5b)から形成するか、又は、前記接続要素(50)を前記コンタクト部材(5,5a,5b)に固定することを含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項記載のコンタクト要素(1)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の、2つのコンタクト片の間に電気コンタクトを形成するためのコンタクト要素に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術は、コンタクトラメラと呼ぶこともできるコンタクト要素を開示している。例えば、欧州特許第0716474号明細書(特許文献1)には、長手方向に沿って延びる一体的なコンタクトストリップを有するコンタクト要素が記載されており、このコンタクト要素によって、2つの対向するコンタクト面を電気的に接続することができる。前記コンタクトストリップを単純な形式で据え付けることができるように、コンタクトストリップの長さを僅かに変形させることができる。
【0003】
据付け中のコンタクトストリップの変形は極めて有利であるが、欧州特許第0716474号明細書に記載のコンタクトラメラは、幾つかの欠点を示している。
【0004】
第1に、伝導される電流に関するスケーラビリティは、極めて制限されている。電流の増大は、一般的に、コンタクト要素の横断面の増大によっても伴われる。この種のスケーリングは容易に可能ではない。なぜならば、さもなければ有利な特性が失われるからである。例えば、コンタクト要素は、増大の際により剛性になる。
【0005】
欧州特許第2115820号明細書(特許文献2)は、電気コンタクトを形成するコンタクト部材がキャリアストリップに固定された、コンタクト要素を開示している。キャリアストリップへのコンタクト部材の固定は、比較的努力を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第0716474号明細書
【文献】欧州特許第2115820号明細書
【発明の概要】
【0007】
この先行技術から進んで、発明の目的は、先行技術の欠点を克服するコンタクト要素を提供することである。特定の目的は、コンタクト要素をより効率的な形式で製造することができるようにすることである。さらに、好適な目的は、寸法決めに関する自由度が増大されるべきであるということである。
【0008】
この目的は、請求項1記載のコンタクト要素によって達成される。したがって、2つのコンタクト片の間に電気コンタクトを形成するためのコンタクト要素は、長手方向に延びるキャリアストリップと、複数のコンタクト部材とを有し、各コンタクト部材は、2つのコンタクト片のうちの一方とコンタクトを形成するための少なくとも1つの第1のコンタクトセクションと、2つのコンタクト片のうちの他方とコンタクトを形成するための少なくとも1つの第2のコンタクトセクションと、さらに、固定スポットにおいてコンタクト部材をキャリアストリップに固定するための少なくとも1つの固定セクションとを有する。各コンタクト部材は、コンタクト部材をキャリアストリップに固定するための少なくとも1つの塑性変形可能な接続要素を有する。
【0009】
塑性変形可能な接続要素の配置は、コンタクト部材をキャリアストリップに単純な形式で接続することができるという利点を提供する。その結果、コンタクト要素を単純な形式で製造することができる。さらに、キャリアストリップとコンタクト部材との別個の構成は、コンタクト部材をキャリアストリップから独立して寸法決めすることができるという利点を提供する。特に、コンタクト部材は、高い材料含有率で形成することができ、これは、より高い電流を伝導することができるという利点を有する。
【0010】
第1の実施の形態において、少なくとも1つの接続要素は、コンタクト部材又は固定セクションの一体的な構成部分である。さらに、少なくとも1つの接続要素は、固定セクションから突出した軸を有し、この軸は、軸がキャリアストリップと機械的に固定された接続を形成するように形成プロセスにおいて塑性変形させられる。
【0011】
“一体的な構成部分”という表現は、コンタクト部材及び接続要素もしくは軸が1つの部品として形成されていることを意味すると理解されることが意図されている。すなわち、接続要素及びコンタクト部材は、一部品構造を形成している。言い換えれば、接続要素は、コンタクト部材と一体に形成されている。
【0012】
コンタクト部材の一部品設計は、単一の要素、すなわちコンタクト部材が組立て中にキャリアストリップに接続されなければならないという利点を提供する。すなわち、付加的な固定要素の提供及び取扱いが省略される。
【0013】
加えて、コンタクト部材自体は、形成法によって単純な形式でかつ大量に効率的に製造することができる。
【0014】
少なくとも1つの接続要素は、好ましくは、固定セクションによって1つの部品としてコンタクト部材と1つの部品として形成されている。
【0015】
特に、少なくとも1つの接続要素は、固定セクションから形成されている。
【0016】
少なくとも1つの接続要素は、特に好ましくは、スタンピングプロセス又はプレス接合プロセスによって固定セクションから押し出される。すなわち、接続要素は、固定セクションに既に存在する材料によって形成することができる。
【0017】
接続要素が押し出された後、固定セクションは、好ましくは、接続要素と反対側の凹所を有し、凹所の容積は、実質的に、押し出された接続要素の体積に相当する。したがって、固定セクションは、接続要素を形成するために接続要素の領域において塑性変形させられる。固定セクションは、好ましくは、接続要素の領域において増大した材料含有率を備えて形成されておらず、その結果、前記凹所は、塑性変形によって形成される。
【0018】
請求項5に記載された第2の実施の形態において、少なくとも1つの塑性変形可能な接続要素は、塑性変形の前及びキャリアストリップへの接続の前に、コンタクト部材に固定して配置されている。さらに、少なくとも1つの接続要素は、固定セクションから突出した軸を有し、この軸は、軸がキャリアストリップと機械的に固定された接続を形成するように形成プロセスにおいて塑性変形させられる。
【0019】
第2の実施の形態によれば、少なくとも1つのプラスチック接続要素は、形成プロセスの前、すなわち軸の塑性変形の前に、固定セクションに固定して配置されている。すなわち、接続要素は、キャリアストリップへの接続の前及びリベット留めの前に固定セクションによってコンタクト部材に固定して接続された別個の要素であることができる。すなわち、接続要素及びコンタクト部材は、キャリアストリップにおける組立てのために一部品構造を形成しており、これは、第1の実施の形態に関して上述した利点を有する。
【0020】
第2の実施の形態によれば、少なくとも1つの接続要素は、好ましくは、固定セクションにおける開口を通って軸によって突出しており、固定セクションに定置に固定されており、固定は、インターロッキング形式及び/又は圧力ばめ形式及び/又は凝集形式で形成される。
【0021】
“機械的に固定”という表現は、コンタクト部材が固定して接続されている、すなわち、組成変形された軸によってキャリアストリップに実質的に分離不能な形式で接続されていることを意味すると全ての実施の形態に関して理解されることが意図されている。機械的に固定された接続は、好ましくは、圧力ばめ接続及び/又はインターロッキング接続及び/又は凝集接続である。
【0022】
全ての実施の形態において、接続要素又は軸は、実質的に、コンタクト部材と反対側に配置されたキャリアストリップの側において変形させられ、軸は、実質的に完全に固定開口を貫通して延びている。変形させられていない状態において、軸は、キャリアストリップの前記反対側から突出しており、次いで、キャリアストリップに向かって変形させられる。
【0023】
好ましくは、軸は、全ての実施の形態において機械的接続のために形成プロセスによって固定開口の壁部に対して押し付けられる。したがって、軸は、形成プロセスの間に塑性変形させられ、その結果、その直径はより大きくなる。すなわち、軸は、軸の軸線に対して横方向のケーシング表面によって、固定開口の壁部に対して押し付けられる。前記圧力ばめ接続は、このように提供することができる。
【0024】
これに対する代替例として、機械的接続のために、接続要素は、その軸によって、塑性変形の前に、キャリアストリップを超えて突出しており、頭部セクションは、形成プロセスによって軸の突出した端部に形成され、軸の軸線に対して横方向の前記頭部セクションの寸法は、固定開口の横断面よりも大きい。前記インターロッキング接続は、このように提供することができる。
【0025】
別の代替例において、機械的接続のために、軸は、形成プロセスによって固定開口の壁部に対して押し付けられ、頭部セクションは、形成プロセスによって軸の突出した端部に形成され、軸の軸線に対して横方向の前記頭部セクションの寸法は、固定開口の横断面よりも大きい。前記圧力ばめ接続及びインターロッキング接続は、このように提供することができる。
【0026】
言い換えれば、接続要素は、キャリアストリップに面したコンタクト部材の下側から延びており、キャリアストリップにおける固定開口を通って突出しており、コンタクト部材の支持部と反対側のキャリアストリップの側において塑性変形させられている。
【0027】
本明細書に記載された全ての実施の形態において、軸は、好ましくは、突出した部分に関して横断面全体にわたって変形させられる。すなわち、軸は、工具によってその横断面にわたって完全に塑性的に圧縮させられる。これに対する代替例として、軸は、その横断面の複数の異なる部分領域において選択的に変形させることもできる。すなわち、特に比較的大きな横断面の場合、軸の部分領域のみを塑性変形させることもできる。例えば、工具は、軸の横断面全体が変形加工させられないように、軸端部における複数の異なるスポットに係合することができる。
【0028】
塑性変形を補助するために、接続要素をさらに溶接又ははんだ付けすることもできる。
【0029】
好ましくは、本明細書に記載された全ての実施の形態において、固定セクションから突出した軸は、変形させられていない状態において、少なくともキャリアストリップの厚さに相当する、及び/又は、最大でも固定セクションの厚さ、特に厚さの半分に相当する長さを有する。
【0030】
キャリアストリップの厚さは、軸の延びの方向におけるキャリアストリップの寸法である。
【0031】
好ましくは、本明細書に記載された全ての実施の形態において、各コンタクト部材に対してちょうど2つの接続要素又は3つ以上の接続要素が設けられている。代替例として、1つの接続要素を設けることもできる。
【0032】
ちょうど2つの接続要素又は3つ以上の接続要素は、好ましくは、互いに対して所定の距離だけ離隔させられており、この距離は、特に、接続要素が変形された状態において接触しないように形成されている。すなわち、接続要素は、互いから独立して、主に互いに不都合な影響を与えることなく変形させることができる。
【0033】
好ましくは、接続要素は、固定セクションから見て、本明細書に記載された全ての実施の形態において軸の軸線に沿って延びており、軸の軸線に対して横方向の第1の横方向軸線における寸法は、軸の軸線及び第1の横方向軸線に対して横方向である第2の横方向軸線における寸法よりも大きい。代替例として、寸法は同じであることができる。接続要素は、非円形もしくは非円形形式で成形されている。この設計の利点は、接続要素の横断面を最適化することができる、特にできるだけ大きくなるように選択することができるということである。
【0034】
特に好適な発展形において、接続要素は、固定セクションから見て軸の軸線に沿って延びており、軸の軸線に対して横方向に位置する第1の横方向軸線における寸法は、軸の軸線に対して横方向かつ第1の横方向軸線に対して横方向に位置する第2の横方向軸線における寸法よりも大きく、軸は、その横断面の複数の異なる部分領域において選択的に変形させられる。これに関して、選択的な変形は、変形をよりうまく制御することができ、特に、機械的に好都合な方向において操作することができるという利点を提供する。
【0035】
好ましくは、軸は、第2の横方向軸線に関して互いに反対側に位置した、少なくとも2つの部分領域又はちょうど2つの部分領域において変形させられる。
【0036】
変形は、特に好ましくは、円形又は多角形である。
【0037】
第1の横方向軸線は、好ましくは、キャリアストリップの長手方向に対して所定の角度で傾斜させられた形式で延びている。しかしながら、第1の横方向軸線は、長手方向軸線に対して直角であることもできる。
【0038】
好ましくは、本明細書に記載された全ての実施の形態における少なくとも1つの接続要素は、円形の横断面又は楕円形の横断面又は多角形の横断面又はn角形の横断面を有する。少なくとも1つの接続要素は、特に好ましくは、細長い孔を補完する横断面を有する。すなわち、横断面は、実質的に矩形であり、2つの反対側の縁部は、丸み付けられた形式で形成されている。
【0039】
固定開口の形状は、好ましくは、接続要素の形状に相当する。接続要素と固定開口との間に最大で0.1mmの範囲の小さな程度のバックラッシが存在することができる。
【0040】
好ましくは、接続要素は、好ましくは、本明細書に記載された全ての実施の形態において完全な横断面を有する。すなわち、軸は、完全な横断面を有する。しかしながら、軸は、中空の設計であってもよい。
【0041】
接続要素は、リベットと呼ぶこともできる。
【0042】
1つの発展形において、長手方向に延びるキャリアストリップは、長手方向で互いに対して離隔させられた、固定突起の形式の、複数の固定スポットを有し、キャリアストリップは、力がキャリアストリップに加えられたときに互いに対する固定突起の相対移動が長手方向で可能であるように、形成されている。各コンタクト部材は、2つのコンタクト片のうちの一方とコンタクトを形成するための第1のコンタクトセクションと、2つのコンタクト片のうちの他方とコンタクトを形成するための第2のコンタクトセクションと、さらに、コンタクト部材を固定突起に固定するための固定セクションとを有する。
【0043】
好ましくは、ちょうど1つの単一のコンタクト部材が、各固定突起に対して設けられている。固定突起の数はコンタクト部材の数に相当する。
【0044】
コンタクト部材は、キャリアストリップとは別個に形成されており、固定セクションによってキャリアストリップに固定して接続されている。コンタクト部材は、好ましくは、少なくとも1つの接続要素によってキャリアストリップに接続されている。
【0045】
キャリアストリップの材料は、好ましくは、コンタクト部材の材料と異なる。キャリアストリップの材料は、好ましくは、良好な弾性変形特性を有し、コンタクト部材の材料は、好ましくは、良好な導電性を示す。
【0046】
キャリアストリップの材料は、好ましくは、金属、特に鋼、特に好ましくはばね鋼又はステンレスばね鋼から構成される。コンタクト部材の材料は、好ましくは、銅又は銅の合金から構成される。コンタクト部材には、好ましくは、電気コンタクトを改良するコーティングが設けられている。例えば、銀コーティングによる。
【0047】
キャリアストリップは、好ましくは、特にスタンピングプロセス又はレーザ切断によって成形された薄板金ストリップによって製造されている。しかしながら、薄板金ストリップは、他の方法で製造することもできる。
【0048】
コンタクト部材の第2のコンタクトセクションは、好ましくは、キャリアストリップ、場合によっては接続要素が、コンタクト位置においてコンタクト片と接続されないようにキャリアストリップに対して配置されている。例えば、第2のコンタクトセクションは、キャリアストリップに配置された接続セクションの下側からずれている又は曲げられていることができる。したがって、第2のコンタクトセクションは、固定セクションに対して突出した部分の一部であることができる。
【0049】
固定セクションの領域におけるコンタクト部材の横断面は、好ましくは、第1のコンタクトセクションの領域におけるコンタクト部材の横断面よりも大きい。したがって、第1のコンタクトセクションの横断面は、固定セクションに対してテーパした形式で設計されている。代替例として又は加えて、固定セクションの領域におけるコンタクト部材の横断面は、第2のコンタクトセクションの領域におけるコンタクト部材の横断面よりも大きい。代替例として、固定セクションの領域におけるコンタクト部材の横断面は、第2のコンタクトセクションの領域における横断面と実質的に等しいことができる。
【0050】
したがって、コンタクト部材は、セクションにおいてサイズが減じられた形式で形成することができる。
【0051】
その結果、固定突起における固定セクションの有効な取付けは、材料の最適な利用によって達成することができる。
【0052】
コンタクト部材は、特に好ましくは、固定セクションから第1のコンタクトセクションに向かってテーパしている。
【0053】
上で説明したように、コンタクト部材は、固定セクションによってキャリアストリップの固定スポットもしくは固定突起に固定されている。この場合、固定セクションは、第1及び第2の実施の形態に従って様々に形成することができる。
【0054】
上の説明と一致する第1の実施の形態によるコンタクト要素を製造する方法は、
a)キャリアストリップを提供する工程と、
b)コンタクト部材を提供する工程と、
c)コンタクト部材をキャリアストリップに接続する工程と、
d)少なくとも1つの固定要素の軸を塑性変形させる工程とを含み、
コンタクト部材を提供する工程は、コンタクト部材から固定要素を形成することを含むことを特徴とする。
【0055】
上の説明と一致する第2の実施の形態によるコンタクト要素を製造する方法は、
a)キャリアストリップを提供する工程と、
b)コンタクト部材を提供する工程と、
c)コンタクト部材をキャリアストリップに接続する工程と、
d)少なくとも1つの固定要素の軸を塑性変形させる工程とを含み、
コンタクト部材を提供する工程は、コンタクト部材に固定要素を定置に固定することを含むことを特徴とする。
【0056】
別の実施の形態は従属請求項に記載されている。
【0057】
以下に、単に説明のために機能しかつ制限的に解釈されるべきではない図面に基づき発明の好適な実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明によるコンタクト要素の側面図である。
図2図1に示されたコンタクト要素を上から見た斜視図である。
図3図1に示されたコンタクト要素を下から見た斜視図である。
図4図1に示されたコンタクト要素の平面図である。
図5】コンタクト部材がまだ固定されていない、図1に示されたコンタクト要素の断面図である。
図6】コンタクト部材が固定された、図1に示されたコンタクト要素の断面図である。
図7】本発明の別の実施の形態によるコンタクト要素を上から見た斜視図である。
図8図7に示されたコンタクト要素を下から見た斜視図である。
図9】本発明の別の実施の形態によるコンタクト要素を上から見た斜視図である。
図10図9に示されたコンタクト要素を下から見た斜視図である。
図11】本発明の別の実施の形態によるコンタクト要素を上から見た斜視図である。
図12図11に示されたコンタクト要素を下から見た斜視図である。
図13】本発明の別の実施の形態によるコンタクト要素を上から見た部分断面側面図である。
図14図13に示されたコンタクト要素を下から見た斜視図である。
図15図13及び図14に示されたコンタクト要素を下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図面は、本発明によるコンタクト要素1の様々な実施の形態を示している。この場合、コンタクト要素1は、第1のコンタクト片と第2のコンタクト片との間に電気コンタクトを形成する。このために、コンタクト要素1は、一方のコンタクト片のコンタクト面及び他方のコンタクト片のコンタクト面とコンタクトを形成する。後続の記載においてより詳細に説明される弾性特性により、コンタクト要素は、コンタクト位置においてコンタクト片の2つのコンタクト面に対して常に押し付けられている。
【0060】
全ての実施の形態によれば、2つのコンタクト片の間に電気コンタクトを形成するためのコンタクト要素1は、長手方向Lに延びるキャリアストリップ2と、キャリアストリップ2に接続された複数のコンタクト部材5,5a,5bとを有する。キャリアストリップ2は、電気コンタクトを形成するためではなく、コンタクト部材5を支持するために働き、電気コンタクトを形成するためにコンタクト部材5が設けられている。図1において、長手方向Lは、図面の紙面に対して直角に延びている。コンタクト要素の据付け位置に応じて、長手方向Lは、湾曲させられていることができる又は直線に沿って延びていることができる。例えば、コンタクト要素1がソケット/プラグ組合せ内へ据え付けられたとき、長手方向Lは、中心軸線を中心とする円周形式で形成される。実質的に平坦な2つのコンタクト片がコンタクト接続されたとき、長手方向Lは、直線に沿って延びることができる。
【0061】
以下でさらに説明するように、キャリアストリップ2は、その長手方向Lにおいて可撓性又は剛性の設計であることができる。図1図6は、長手方向Lにおいて可撓性の設計であるキャリアストリップ2を示しているのに対し、図7図12は、長手方向Lにおいて実質的に剛性のキャリアストリップ2を示している。キャリアストリップ2の形状にかかわらず、コンタクト部材5,5a,5bは、固定スポット3によってキャリアストリップ2に接続されている。
【0062】
各コンタクト部材5は、2つのコンタクト片のうちの一方とコンタクトを形成するための第1のコンタクトセクション6と、2つのコンタクト片のうちの他方とコンタクトを形成するための第2のコンタクトセクション7と、さらに、コンタクト部材5をキャリアストリップ2の固定スポット3に固定するための固定セクション8とを有する。
【0063】
各コンタクト部材は、コンタクト部材5,5a,5bをキャリアストリップ2に固定するための少なくとも1つの接続要素50を有する。接続要素50は固定セクション8に設けられている。
【0064】
図示された全ての実施の形態において、少なくとも1つの接続要素50は、コンタクト部材5,5a,5bの一体的な構成部分である。すなわち、少なくとも1つの接続要素50は、コンタクト部材5,5a,5bと1つの部品として形成されている。したがって、コンタクト部材5及び接続要素50は、一部品構造を形成している。少なくとも1つの接続要素50は、固定セクション8から突出した軸51を有し、この軸51は、コンタクト部材5a,5bとキャリアストリップ2との間に機械的に固定された接続が提供されるように形成プロセスにおいて塑性変形させられる。
【0065】
図5において、コンタクト部材5bは、キャリアストリップ2から所定の距離に示されている。接続要素50は、ここではまだ成形されていない。コンタクト部材5bは、キャリアストリップ2に向かって移動させられ、次いで、接続要素50が、固定開口53を貫通して突出する。
【0066】
図1図4及び図6、さらに図7図12は、成形された状態における接続要素を示している。図示された実施の形態において、軸51は、頭部セクション54が形成されるように成形されており、頭部セクション54はキャリアストリップ2に対して押し付けられている。図5及び図6に示されているように、軸51は、キャリアストリップ2に配置されたリベット開口53を通って延びている。しかしながら、加えて、軸51の外径も変形させられ、その過程で、固定開口の壁部55に対して押し付けられる。同じことが、図7図12の実施の形態にも当てはまる。
【0067】
図示されていない代替例において、軸51のみが成形され、次いで、軸51の直径のサイズが、軸51が固定開口53の内部において壁部55に対して押し付けられるように増大させられることも考えられる。軸51は、ここでは圧力ばめ形式で固定開口53の内部に保持される。
【0068】
ここでは、接続要素50は、頭部セクション54が形成され、この頭部セクションによってキャリアストリップ2がコンタクト部材5,5a,5bに締め付けられるように、キャリアストリップの下側25の領域において塑性変形させられる。接続要素50は、固定開口53を通って、キャリアストリップ2を貫通して突出している。固定開口50、特に軸51及び固定開口53は、実質的に同じ横断面を有する。ここで、固定開口53は、細長い孔の形状であり、軸51は、前記細長い孔に対して相補的であるように又は前記細長い孔に合致するように設計されている。
【0069】
前述のように、図示された全ての実施の形態において、少なくとも1つの接続要素50は、固定セクション8によって、コンタクト部材5,5a,5bに1つの部品として形成されている。図示された実施の形態において、少なくとも1つの接続要素50は、固定セクション8から形成されている。この場合、少なくとも1つの接続要素50は、スタンピングプロセス又は打抜きプロセスによって固定セクション8から押し出される。スタンピング工具又は打抜き工具によって、固定セクション8は、上側22から塑性変形させられ、接続要素は、コンタクト要素5,5a,5bの下側26において押し出される。
【0070】
この押出し作業は、接続要素50と反対側に凹所52を生じる。凹所52の容積は、実質的に、押し出された接続要素50の体積に相当する。
【0071】
図1図6に示された実施の形態において、2つの接続要素50は、各コンタクト部材5,5a,5bに対して設けられている。図7図8図11及び図12に示された実施の形態において、2つの接続要素50は同様に各コンタクト部材5に対して設けられており、それぞれ1つの接続要素50が、それぞれの固定セクション8に配置されている。図9及び図10に示された実施の形態において、1つの接続要素50が設けられている。
【0072】
キャリアストリップ2は、接続要素50を収容するための固定開口53を有する。固定開口53の数及び固定開口53の位置は、接続要素50の数及び接続要素50の位置に合致させられている。キャリアストリップにおける固定開口53は、例えば、打抜きプロセスによって形成される。塑性変形の前に、接続要素50は、その軸51によって、キャリアストリップ2を超えて突出している。塑性変形の後、軸51は、固定開口53を通って延びており、頭部セクション54はキャリアストリップ2を超えて突出している。
【0073】
軸は、好ましくは、突出した部分に関して横断面全体にわたって変形させられる。代替例として、軸51は、その横断面の複数の異なる部分領域において選択的に変形させることができる。この場合、軸51の横断面全体が変形させられるのではなく、軸51の部分的な横断面のみが変形させられる。
【0074】
接続要素50は、ここでは互いに対して所定の距離に配置されており、この距離は、特に、変形させられた状態において接続要素50が接触しないように形成されている。
【0075】
接続要素50は、固定セクション8から見て、中心軸線Sに沿って延びている。
【0076】
図1図6の実施の形態によれば、接続要素50は以下のように形成される。ここでは、中心軸線Sに対して横方向に位置する第1の横方向軸線Q1における接続要素50の寸法は、中心軸線S及び第1の横方向軸線Q1に対して横方向に位置する第2の横方向軸線Q2における寸法よりも大きい。第1の横方向軸線Q1は、キャリアストリップ2の長手方向に対して所定の角度δで傾斜させられた形式で向けられている。しかしながら、横方向軸線Q1は、長手方向軸線に対して直角に延びていることもできる。
【0077】
図1図6の実施の形態、さらに図7及び図8の実施の形態によれば、接続要素50は、ここでは細長い孔の形状である固定開口53の形状に合致する横断面を有する。
【0078】
図9及び図10の実施の形態によれば、接続要素50は、実質的に矩形の横断面を有し、矩形は、比較的長い縁部において狭まった部分を有する。横断面は、十字形と呼ぶこともできる。横断面は、原則的に、変形のための十分な材料が存在すれば、所望のものであることができる。
【0079】
図11及び図12の実施の形態によれば、接続要素50は、実質的に円形の横断面を有する。
【0080】
接続要素50の横断面は、実施の形態に従って交換することができる。しかしながら、接続要素50は、楕円形の横断面、n角形の横断面又は多角形の横断面を有することもできる。
【0081】
少なくとも1つの接続要素50による固定は、機械的な固定に加えて、溶接又ははんだ付けされた接続によって補助することができる。したがって、接続要素50は、キャリアストリップ2に溶接又ははんだ付けすることができる。
【0082】
接続要素の第2の実施の形態において、少なくとも1つの接続要素は、リベット留めの前及びキャリアストリップへの接続の前に、コンタクト部材に固定して配置されている。第2の構成は、本明細書に示された全ての実施の形態において使用することができる。すなわち、コンタクト部材5,5a,5bは、キャリアストリップ2への接続の前に接続要素50に接続することができる。第2の実施の形態によれば、少なくとも1つの接続要素は、好ましくは、固定セクションにおける開口を通って軸によって突出しており、固定セクションに定置に固定されており、固定は、インターロッキング形式及び/又は圧力ばめ形式及び/又は凝集形式で形成される。
【0083】
コンタクト部材5が固定されている典型的なキャリアストリップ2は、図1図6の実施の形態に示されている。ここでは、キャリアストリップ2は、力Fがキャリアストリップ2に加えられたときに前記キャリアストリップが長手方向Lで圧縮又は伸長させられるように設計されている。したがって、キャリアストリップ2は、その長さを変化させることができるように設計されている。キャリアストリップ2の長さの変化は、好ましくは、弾性領域において行われる。力Fは、図2における二重矢印によって示されている。しかしながら、キャリアストリップは、その他の形式で設計することもできる。例えば、剛性の形式である。
【0084】
図示された実施の形態では、キャリアストリップ2は、固定突起3の形式の複数の固定スポットを有する。この場合、固定突起3は、長手方向Lで見ると、互いに対して離隔させられている。図示された実施の形態では、2列の固定突起3が設けられている。一方の列は、長手方向Lに相前後して配置された第1の固定突起3aを含み、他方は、同様に長手方向Lに相前後して配置された第2の固定突起3bを含む。したがって、2つの列は長手方向Lに延びており、これらの列は、長手方向に対して横方向に延びる横方向で互いに所定の距離だけ離れている。固定突起3の間の距離は、両方の列において同じである。しかしながら、第1の固定突起3aは、第2の固定突起3bに対して長手方向Lで所定のオフセットだけずれた形式で配置されている。
【0085】
図面は、長手方向Lに関する固定突起3の対称的配置を示している。非対称の配置も同様に考えられる。
【0086】
同様に長手方向Lに延びる中心線Mは、第1の固定突起3aの列と、第2の固定突起3bの列との間の中央に位置している。第1の固定突起3a及び第2の固定突起3bは、横方向に関して見ると、中心線Mに対して所定の横方向距離だけ離れている。
【0087】
コンタクト部材5は、固定突起3においてキャリアストリップ2に固定されている。力Fがここでキャリアストリップ2に加えられると、固定突起3の間の距離が変化し、したがって、コンタクト部材5の間の距離の変化も生じる。
【0088】
図示された実施の形態において、長手方向Lで互いにすぐ続くそれぞれ2つの固定突起3は、ウェブ4によって互いに接続されている。ここでは、ウェブ4は、長手方向Lに対して所定の角度で傾斜させられた形式で延びている。図示された実施の形態において、第1のウェブ4aは、第1の固定突起3aから第2の固定突起3bまで延びている。ウェブ4は、それぞれ、それぞれの固定突起3a,3bの内縁21に形成されている。この場合、内縁21は、それぞれ他方の固定突起3b,3aに面した固定突起3a,3bの縁部である。第2のウェブ4bは、別の第1の固定突起3aまで延びている。この場合、ウェブ4bは、第1のウェブ4aが形成されている第2の固定突起3bの同じ内縁21から延びている。第2のウェブ4bは、同様に、長手方向Lに対して所定の角度で傾斜させられている。
【0089】
言い換えれば、ウェブ4a,4bは、第1の列における固定突起3aから第2の列における固定突起3bへ、またその逆に、交互に延びている。その長さに関して容易に変形させることができるキャリアストリップ2の蛇行した構造は、固定突起3a,3b及びウェブ4a,4bのこのような配置により達成される。
【0090】
次いで、ウェブ4及び固定突起3のこの配置は、長手方向Lに沿って何回も繰り返され、これにより、多数の固定突起3及びウェブ4を有する実際のキャリアストリップ2を提供することができる。
【0091】
上述のように、キャリアストリップは、その他の形式で設計することもできる。代替例として、キャリアストリップ2は、力Fがキャリアストリップ2に加えられたときに長手方向Lで実質的に変形させられないように設計することができる。この変形態様において、キャリアストリップ2は、その長さを変更することができないように設計されている。この種のキャリアストリップ2は、平坦なストリップから形成することができ、前記ストリップの厚さは、前記ストリップの幅よりも、数倍小さい。
【0092】
図1図6に示された実施の形態において、第1のコンタクト部材5aは、その固定セクション8によって、それぞれ第1の固定突起3aに接続されている。第2のコンタクト部材5bは、それぞれその固定セクション8によって第2の固定突起3bに接続されている。第1の固定突起3aに接続された第1のコンタクト部材5aは、その第1のコンタクトセクション6によって、第2の固定突起3bに接続された第2のコンタクト部材5bへと向けられている。したがって、第1のコンタクトセクション6は第2のコンタクト部材5bに向かって突出している。同様に、第2の固定突起3bに接続された第2のコンタクト部材5bは、その第1のコンタクトセクション6によって、第1の固定突起3aに接続された第1のコンタクト部材5aへと向けられている。この場合、コンタクト部材5a,5bは、それぞれの第1のコンタクトセクション6が固定突起3a,3bから、長手方向Lに2つの固定セクション3a,3bの間の中央に延びる中心線Mを超えて延びるように、配置されている。すなわち、それぞれのコンタクト部材の第1のコンタクトセクション6は、中心線Mに関して少なくとも部分的に他方の側に配置されている。
【0093】
図1は、加えて、中心線Mの一方の側に配置された固定突起3aの面24が、中心線Mの他方の側に配置された固定突起3bの面24に対して所定の角度で傾斜させられた形式で配置されるように、ウェブ4が、固定突起3a,3bの間に位置する中心線Mを中心に一回又は複数回曲げられているように設計されていることを示している。曲げスポットは、それぞれ、参照符号23で示されており、第1の固定突起3aと第2の固定突起3bとの間の角度は、βによって示されている。
【0094】
図1図6は、加えて、それぞれ1つの第2のコンタクト部材5bが、2つの隣接する第1のコンタクト部材5aの間に配置された中間スペースZ1,Z2内へ延びていることを示している。第1のコンタクト部材5aは、互いに隣接して配置された2つの第2のコンタクト部材5bの間において、中間スペースZ2内へ延びている。したがって、交互構造が形成されている。
【0095】
図1図6に示された実施の形態において、コンタクト部材5,5a,5bの第1のコンタクトセクション6は、キャリアストリップ2から突出した自由端部9を形成している。したがって、自由端部9は、キャリアストリップ2に対して当接するのではなく、固定セクション8から、キャリアストリップ2から離れるように延びている。
【0096】
撓まされた状態において、自由端部9は、キャリアストリップ2における凹所35を通って、キャリアストリップ2を貫通して突出していることができる。凹所35は、好ましくは、2つのウェブ4の間の中間領域によって提供されている。
【0097】
固定セクション8は、キャリアストリップ2に対して平坦に当接している。
【0098】
コンタクト部材5,5a,5bの固定形式に応じて、第2のコンタクトセクション7は、同様に、自由端部であるか又はキャリアストリップ2の下側25に当接している。これは、コンタクト部材5,5a,5bの固定に関する以下の記載においてさらに説明される。
【0099】
図1図6に示された実施の形態において、コンタクト部材5,5a,5bの第2のコンタクトセクション7は、コンタクト位置においてキャリアストリップ2がコンタクト片に接続されないように、キャリアストリップ2に関して配置されている。第2のコンタクトセクション7は、一種の突出部分29として設計されており、キャリアストリップ2の下側から離隔させられている。
【0100】
図1図6に示された実施の形態において、コンタクト部材5は、第1のコンタクトセクション6に丸み付き部分11を備えて設計されている。丸み付き部分11は、特に、第1のコンタクトセクション6におけるコンタクト部材の上側22に関する。なぜならば、コンタクトは、それぞれのコンタクト面において上側22によっても形成されるからである。設計に応じて、コンタクト部材5,5a,5bの下側26を丸み付けることもできる。丸み付き部分11は、一定の又は変化する丸み付き部分半径で、丸み付き部分軸線R11を中心に延びている。丸み付き部分軸線R11は、好ましくは、長手方向Lに対して平行に延びている。
【0101】
図1図6の実施の形態において、コンタクト部材5,5a,5bの第2のコンタクトセクション7も、丸み付き部分12を備える丸み付き形式で設計されている。丸み付き部分12は、一定の又は変化する丸み付き部分半径で、丸み付き部分軸線R12を中心に延びている。丸み付き部分軸線R12は、好ましくは、長手方向Lに対して平行に延びている。
【0102】
図1図6の実施の形態において、第2のコンタクトセクション7は、固定セクション8の領域に配置されている。すなわち、第2のコンタクトセクション7及び固定セクション8は、物理的に互いの近くに配置されている。
【0103】
図1図6の実施の形態において、第1のコンタクトセクション6の丸み付き部分11の丸み付き部分半径R11は、第2のコンタクトセクション7の丸み付き部分12の丸み付き部分半径R12と異なることができる。丸み付き部分半径R11,R12は同じであることもできる。
【0104】
図1図6の実施の形態において、固定セクション8の領域におけるコンタクト部材5,5a,5bの横断面は、第1のコンタクトセクション6の領域におけるよりも大きい。したがって、第1のコンタクトセクション6は、固定セクション8に対してテーパした形式で設計されている。横断面の変化は、異なるジオメトリを有することができる。
【0105】
図1図6の実施の形態において、固定セクション8の領域に見られるコンタクト部材5,5a,5bの横断面は、第2のコンタクトセクション7の領域におけるコンタクト部材5,5a,5bの横断面よりも大きい。したがって、第2のコンタクトセクション7は、固定セクション8に対してテーパした形式で設計されている。横断面の変化は、異なるジオメトリを有することができる。しかしながら、第2のコンタクトセクション7におけるテーパの程度は、好ましくは、第1のコンタクトセクション6におけるより小さい。
【0106】
図示された実施の形態において、第2のコンタクトセクション7は、選択的な凹所28を有する。選択的な凹所28は、第2のコンタクトセクション7の中央を断面でかつ長手方向Lに対して横方向に見ると、第2のコンタクトセクション7内へ延びている。コンタクト面の規定された分割は、凹所28によって達成することができ、その結果、コンタクト抵抗は、より正確に規定可能である。
【0107】
コンタクト部材5は、さらに、固定突起3の外縁13の領域において突出部分29を有する。次いで、突出部分29は、第2のコンタクトセクション7に隣接する。突出部分29により、固定セクション8は、コンタクトセクション7から後方へずれた形式で配置されており、これにより、固定突起3及び頭部セクション54は、同様に、コンタクトプロセスに不都合な影響を与えないように、コンタクトセクション7からずれている。
【0108】
コンタクト部材5は、図7及び図8の実施の形態において弓形である。この場合、第1のコンタクトセクション6は、弓形曲げ部60の領域に配置されており、第2のコンタクトセクション7は、弓形の各自由端部61に配置されている。固定セクション8はそれぞれ、2つの第2のコンタクトセクション7の各領域に配置されている。上述のように、接続要素50は、それぞれ各固定セクション8に配置されている。
【0109】
図7及び図8の実施の形態において、キャリアストリップ2は、主ウェブ62のそれぞれの側から突出した固定ウェブ63を有する。固定ウェブ63は、端部において、固定開口53を有する固定突起3を形成している。加えて、固定ウェブ63は、ばね要素、特にねじりばね要素として作用する。
【0110】
コンタクト部材5は、図9及び図10の実施の形態において矩形部分の形状である。第1のコンタクトセクション6は、実質的に、比較的長い側縁部のうちの1つによって形成されており、コンタクトセクション6は、僅かに反った設計である。図示された実施の形態において、それぞれ2つの第2のコンタクトセクション7が、各コンタクト部材5に対して設けられている。接続要素50を備える固定セクション8は、実質的にコンタクト部材5の中央に配置されており、上述のように配置されている。
【0111】
図9及び図10の実施の形態において、キャリアストリップ2は、2つの平行な主ウェブ62から突出しかつ2つの主ウェブ62を接続した固定ウェブ63を有する。固定ウェブ63は、中央において、固定開口53を有する固定突起3を形成している。加えて、固定ウェブ63は、ばね要素、特にねじりばね要素として作用する。
【0112】
コンタクト部材5は、図11及び図12の実施の形態において三角形である。この場合、第1のコンタクトセクション6は、三角形先端部64の領域に配置されており、第2のコンタクトセクション7は、他の先端部65のそれぞれに配置されている。それぞれの固定セクション8は、2つの第2のコンタクトセクション7の各領域に配置されている。上述のように、接続要素50は、それぞれ各固定セクション8に配置されている。
【0113】
キャリアストリップは、図7及び図8に一致する実施の形態に従って設計されている。
【0114】
図13図15は、別の実施の形態を示している。同じ部材には同じ参照符号が付されている。この別の実施の形態は、実質的に接続要素50の変形によって、図1図6に関して説明された実施の形態と異なる。
【0115】
接続要素50は、固定セクション8から見て、軸の軸線Sに沿って延びている。ここでは、軸の軸線Sに対して横方向に位置する第1の横方向軸線Q1における寸法は、軸の軸線Sに対して横方向にかつ第1の横方向軸線Q1に対して横方向に位置する第2の横方向軸線Q2における寸法よりも大きい。軸51は、その横断面の複数の異なる部分領域70において選択的に変形させられる。図示された実施の形態において、軸51は、第2の横方向軸線Q2に関して互いに反対側に配置されたちょうど2つの部分領域70において変形させられる。
【0116】
図示された実施の形態において、変形は多角形であり、軸51の外側の領域において、軸51の形状によりはまり合う。変形により、変形させられる2つの部分領域70の間の領域71において、丸み付き部分72が提供される。2つの部分領域の間の領域71において、変形によって生じることができる選択的な凹所が存在することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 コンタクト要素
2 キャリアストリップ
3,3a,3b 固定突起
4 ウェブ
5,5a,5b コンタクト部材
6 第1のコンタクトセクション
7 第2のコンタクトセクション
8 固定セクション
9 自由端部
11 丸み付き部分
12 丸み付き部分
13 外縁
21 内縁
22 上側
23 曲げスポット
24 表面
25 下側
26 下側
28 凹所
29 突出部分
35 凹所
50 接続要素
51 軸
52 凹所
53 固定開口
54 頭部セクション
55 壁部
60 弓形曲げ部
61 自由端部
62 主ウェブ
63 固定ウェブ
64 三角形先端部
65 先端部
70 部分領域
71 領域
72 丸み付き部分
S 軸の軸線
Q1 第1の横方向軸線
Q2 第2の横方向軸線
C 横方向距離
L 長手方向
M 中心線
P,P’ 矢印
Z1 中間スペース
Z2 中間スペース
F 力
X 長さ
R11 丸み付き部分軸線
R12 丸み付き部分軸線
δ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15