(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】動物用食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23K 40/00 20160101AFI20220510BHJP
【FI】
A23K40/00
(21)【出願番号】P 2018562115
(86)(22)【出願日】2017-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2017062503
(87)【国際公開番号】W WO2017202889
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2019-10-28
(31)【優先権主張番号】102016109669.5
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518412818
【氏名又は名称】ティアナールング・ドイエアエル・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ドイエアエル,ハンス-ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】キューブラー,ゲッツ
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-507940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0320085(US,A1)
【文献】特表2006-511209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0242228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用食品を製造するための方法であって、下記の工程:
a)素材を準備する;
b)素材の一部を被覆されていない成形品または被覆されている成形品に形成する;
c)被覆されていない成形品または被覆されている成形品を、個別化賦形のために成形品を変形させるために水浴内で調理または煮沸する;
を含む方法。
【請求項2】
工程c)からの被覆されていない成形品の変形した成形品を被覆する工程をさらに含む、請求項1に記載の動物用食品を製造するための方法。
【請求項3】
素材がゼラチンを含有する場合の請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
調理または煮沸の後の成形品の表面に構造を導入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
構造が刻印または押印することにより導入される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
調理または煮沸の後に、少なくとも矯味矯臭剤および着色剤を含有するコーティングを施すことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
コーティングされた成形品を乾燥させることを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
コーティングされた成形品を乾燥期間中、乾燥温度で加熱することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
乾燥期間中に乾燥温度を変化させることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
乾燥を乾燥トンネル内で行なうことを特徴とする、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
乾燥トンネル内で少なくともセクションに区切って煙を添加することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
素材から断片を切り取るかまたは剥ぎ取ることにより成形品を形成することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程c)において処理する形状が外被または薄皮の中に存在する素材ではないことを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程c)において処理する形状がソーセージではないことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程c)において、多数の成形品が水浴内に存在することを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
多数の成形品が調理または煮沸に際してそれらが互いに接触する状態である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程b)における形成がスライス状成形品の形成であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物用食品の製造方法に関する。さらなる側面において、本発明によれば動物用食品が提供される。本発明の方法および本発明の動物用食品は、当該製品の個別化を特徴とする。
【背景技術】
【0002】
多種多様な動物用食品および対応する製造方法が当技術分野で知られている。一般に、たとえば素材を準備し、それはパン生地またはケーキ生地のように調製することができ、種々の成分を含むことができる。特にイヌまたはネコ用のスナックまたは咀嚼スナックを製造する際には殊に、こうして調製した素材を、たとえば押出機に導通して希望する形状に押し出す。その際、この種の動物用食品の断面形状は自由に選択できる。たとえばビスケットまたは同様な単位の形状の他の動物用食品が提供される。
【0003】
しかし、これらの工業的に製造できる動物用食品すべてに、こうして製造された動物用食品が同一に見え、したがって天然の食物、特に食肉の印象をもたないという欠点が伴なう。しかし、イヌおよびネコは本来は肉食動物であるので、少なくとも視覚的には食肉片の形態に感じられる動物用食品を製造できることが望ましい。
【0004】
EP 1 094 791 B1には、ケカビ目(Mucorales)真菌を使用する食品の製造方法が開示されている。
EP 0 505 412 B1には、低カロリー食肉製品およびそれらを製造するための方法が記載されている。
【0005】
US 4,904,495には、イヌ用の咀嚼スナックが記載されている。
US 2003/0207006 A1には、多数の製品を製造するための方法およびシステムが記載されている。
【0006】
EP 1 223 817 B1には、封入された動物用食品を製造するための方法が記載されており、一方でUS 2009/0311390 A1にはイヌ用のおやつ、ならびにそれらを製造するための方法およびシステムが記載されている。しかし、これらの文書はいずれも、個別化された動物用食品の製造については記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】EP 1 094 791 B1
【文献】EP 0 505 412 B1
【文献】US 4,904,495
【文献】US 2003/0207006 A1
【文献】EP 1 223 817 B1
【文献】US 2009/0311390 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明は、工業的に製造される動物用食品が個別の形状をもつ動物用食品を製造するための方法を提示するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の工程を含む動物用食品の製造方法によって上記の目的を達成する:
a)好ましくはゼラチンを含有する素材を準備する;
b)素材の一部を成形品に形成する;
c)成形品を水浴内で調理または煮沸する;
すなわち、本方法は動物用食品を製造するための方法であって、本方法は下記の工程を含む:
a)好ましくはゼラチンを含有する素材を準備する;
b)素材の一部を場合により被覆されていない成形品に形成する;
c)場合により被覆されていない成形品を、個別化賦形のために成形品を変形させるために水浴内で調理または煮沸する;
d)工程c)からの変形した成形品を場合により被覆する。
本発明の態様には以下も包含される。
態様1
動物用食品を製造するための方法であって、下記の工程:
e)好ましくはゼラチンを含有する素材を準備する;
f)素材の一部を場合により被覆されていない成形品に形成する;
g)場合により被覆されていない成形品を、個別化賦形のために成形品を変形させるために水浴内で調理または煮沸する;
h)工程c)からの変形した成形品を場合により被覆する;
を含む方法。
態様2
調理または煮沸の後の成形品の表面に構造を導入すること、特に刻印または押印することを特徴とする、態様1に記載の方法。
態様3
調理または煮沸の後に、少なくとも矯味矯臭剤および着色剤を含有するコーティングを施すことを特徴とする、態様1または2に記載の方法。
態様4
コーティングされた成形品を乾燥させ、その際、それを好ましくは乾燥期間中、乾燥温度で加熱することを特徴とする、態様2または3に記載の方法。
態様5
乾燥期間中に乾燥温度を変化させることを特徴とする、態様4に記載の方法。
態様6
乾燥を乾燥トンネル内で行なうことを特徴とする、態様4または5に記載の方法。
態様7
乾燥トンネル内で少なくともセクションに区切って煙を添加することを特徴とする、態様6に記載の方法。
態様8
素材から断片を切り取るかまたは剥ぎ取ることにより成形品を形成することを特徴とする、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様9
工程c)において処理する形状が外被または薄皮の中に存在する素材ではないこと、特にソーセージではないことを特徴とする、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様10
工程c)において、多数の成形品が特に調理または煮沸に際してそれらが互いに接触する状態で水浴内に存在することを特徴とする、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様11
工程b)における形成がスライス状成形品の形成であることを特徴とする、前記態様のいずれかに記載の方法。
態様12
前記態様のいずれかに記載の方法により製造された、または製造できる、動物用食品。
態様13
素材がゼラチンを含有することを特徴とする、態様12に記載の動物用食品。
態様14
乾燥した保存可能なパッキングされた製品、特に咀嚼スナック、たとえば長時間咀嚼のためのものであることを特徴とする、態様12または13に記載の動物用食品。
態様15
動物用食品または素材が最大10重量%、たとえば最大5重量%の食肉含量を有することを特徴とする、態様12~14のいずれかに記載の動物用食品または態様1~11のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1態様に従った方法のコースの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
動物用食品の調理または煮沸が長い間の従来技術であった。一般に、素材は種々の成分から調製され、それらを一緒に攪拌し、場合により調理しなければならない。それに続いて、たとえば押出機により動物用食品を賦形または成形する。
【0012】
非常に多くの用途において、動物用食品はパッキングされた後に、すなわちパッケージ内にある状態でさらに料理され、それはたとえば加熱された水浴内で、または蒸気を用いて行なうことができる。その際の目的は、パッキングされた動物用食品を、それが殺菌されて、場合により存在する微生物が死滅するように加熱することである。
【0013】
たとえばソーセージなどの動物用食品を含めたこの種の食品は、加熱、たとえば調理または煮沸の前に、外被または薄皮に押し込まれ、次いでこの外被または薄皮の中にある状態で処理される。ただし、これによって一般に食品そのもののテキスチャーは変化しない。
【0014】
これに対し、本発明による方法の場合は素材を準備する。それはもちろん生の状態で調製することができ、その際、場合により料理される。しかし、素材をどのようにして入手するかは本発明の機能にとって重要ではない。本発明によれば、素材からなる成形品をパッキングする前に水浴内で調理または煮沸する。その目的は殺菌ではない;殺菌は場合によりさらに後続工程で行なうことができる。その目的のためには、先行技術から既知である調理および加熱の方法をこの場合も使用できる。ただし、本発明方法の工程c)の方法に従って成形品を水浴内で調理または煮沸する場合、この調理または煮沸は成形品をパッキングする前に行なわれる。その目的は、工程b)で製造した、すべてが少なくともほぼ同一に見える(ただし、好ましくは完全に同一である)成形品の外形を、個別の成形品が個別の形状をもつように工程c)で変化させることである。
【0015】
素材を準備した後、素材の一部を個々の成形品に形成する。これは種々の方法で達成できる。たとえば、素材を押出機またはそれに類する装置に装填し、成形品を押し出すことができる。その代わりに、素材ユニット、たとえばローフから、個々の単位、たとえばスライスを切り取ることができる。成形品を形成するためには他の方法ももちろん使用できる。特に工業的に製造できる個々の成形品は、それらの個々の成形品の製造様式が同一であるため、同一に見えるであろう。たとえば素材の個々の成分の不均一な混合、およびそれに応じた素材の柔軟性の相違によって、もしかしたらわずかな偏差が生じる可能性はある。
【0016】
成形品を形成した後、それらを高温の水浴内で調理または煮沸する。その際、調理は、その温度が沸騰温度より低い温度、たとえば80℃、85℃、90℃または95℃にある水浴内で食品または動物用食品を調製することであると解釈される。水浴の温度は、有利には少なくとも70℃、好ましくは少なくとも80℃、より好ましくは少なくとも90℃であるが、沸騰温度より低い。
【0017】
用いる温度は、好ましくは、一態様において素材の一部である可能性があるゼラチンを完全に溶解するのに十分なほど高い。ゼラチンは液化し、素材に含有されるタンパク質が凝固する。グルテンのネットワークが形成され、それによりゼラチンとの結合が生じる。この状態では容易に成形できるので、本発明によれば、工程c)による水浴内での調理または煮沸により成形品の変形が行なわれる。煮沸は温度が水の沸騰温度以上である水浴内での動物用食品の調製を表わす。
【0018】
使用する水浴に追加の添加物を混入することができ、それはたとえば矯味矯臭剤、着色剤または他の添加剤であってもよい。特に素材がゼラチンを含有する場合、素材は水浴の温度上昇の結果として塑性変形性になる。特にゼラチンを素材の成分として用いる場合、さらに水の一部が素材に取り込まれ、したがって成形品がこうしてそれの外形を変化させる。これはほとんど影響を及ぼすことができない多数の要因、たとえば水浴中における成形品の位置、素材混合物の均一性、および場合により既に成形自体によりもたらされた外形および形状の相違に依存するので、こうしてそれぞれ個々の形状がそれの幾何学的構造において個別化される。こうして工程c)に従って処理された成形品は全く異なる形状で水浴を出ることが分かった。
【0019】
成形品を水浴内で調理または煮沸した後、それらを水浴から取り出して、たとえば場合により加熱した空気流により乾燥させることができる。
調理または煮沸の後に、成形品の表面、特に上面に好ましくは構造を導入し、特に刻印または押印する。これは好ましくはコーティングを施す前に行なわれる。この構造により、たとえばバーベキューグリッドの押型を模倣することができる。対応するスタンプまたは対応する刻印素子をその構造が成形品の表面に残るように、水浴から取り出した成形品に押し付けることができる。好ましくは動物用食品のこの位置をその後、より濃く着色し、それによって視覚的にもその動物用食品をバーベキュー加工された食肉片に近似させる。もちろん他の構造も可能である;たとえば装飾要素、たとえば会社のロゴマークまたは名称を動物用食品に施し、続いて着色コーティングによって色彩的にも強調することができる。
【0020】
有利には、成形品の調理または煮沸の後、ただし好ましくはパッキングの前に、少なくとも矯味矯臭剤および着色剤を含有するコーティングを施す。これは、一方では動物用食品の視覚的印象を天然物に近づけ、他方では1種類以上の矯味矯臭剤の使用によって動物による受入れを増大させる効果をもつ。成形品を水浴内での調理または煮沸の後にまず乾燥させる予定であれば、これは有利にはコーティングを施す前に行なわれる。
【0021】
コーティングは種々の方法で施すことができる。たとえば、吹付けによりコーティングを施すこと、水浴から取り出した成形品をたとえばコンベヤーベルトもしくはコンベヤーグリッド上での対応するコーティング操作に導通すること、または成形品をコーティング剤に投入もしくは浸漬することができる。
【0022】
コーティングの成分は一方では製造される動物用食品の色および風味に影響を及ぼし、それらを決定することができる。他方で、コーティングはたとえば細菌に対する保護被膜としても作用し、その結果、動物用食品の貯蔵性を改善することができる。
【0023】
コーティングされた成形品を乾燥させると有利であることが証明され、その際、好ましくは乾燥時間中、乾燥温度で加熱する。その際の時間および温度は共に、動物用食品のその後の用途によって決まる。したがって、動物用食品をたとえば咀嚼スナックとしてデザインすることができる。これらの動物用食品は以前から市販されており、最終的にその動物用食品を食べることができるようになるまで動物がその製品を噛み続けなければならないようにデザインされている。動物用食品中の特定の添加物により、この方法で歯磨き機能をもたらすことができる。比較的高い乾燥温度および/または比較的長い乾燥時間を選択すれば、動物用食品をよりクリスピーにすることができ、たとえばリーフパイの代替品として使用できる。
【0024】
好ましくは乾燥温度を乾燥時間中に変更する。乾燥は有利には乾燥トンネル内で行なわれ、調理または煮沸され、コーティングされた、乾燥させるべき成形品を、それに通す。この方法で、乾燥トンネルの異なるセグメントまたはセクションを異なる温度で加熱することにより、乾燥時間の経過中に特に容易に乾燥温度を変更することができる。対応するアレンジメントによって、たとえば乾燥トンネルの個々のセクションを通過する乾燥させるべき動物用食品の移動速度を変更し、こうしてたとえば個々のトンネルセグメント内での個々の製品の滞留時間を互いに調和させ、こうして乾燥時間を適合させることも、もちろん可能である。
【0025】
特に好ましい一態様において、乾燥トンネル内の少なくともセクションに区切って煙を添加する。これは動物用食品にスモーキーな風味を与え、それによって模倣すべき天然物の模倣をよりリアルにし、同時に動物による受入れを高める。
【0026】
他の乾燥方法、たとえば熱風乾燥またはマイクロ波乾燥も、もちろん使用できる。
興味深いことに、本発明の製造方法によれば、製造された動物用食品を有利には本方法の最後にそれがパッキングされたそれのパッケージから最終消費者が取り出して、それをたとえばさらに乾燥させることができる。これは単に製品をパッケージから取り出した後に放置しておき、使わないことにより行なうことができる。これにより後乾燥が行なわれ、それによって製品は特にそれの噛み応えが変化し、硬くなる。この方法で、たとえば動物がある期間噛むことができるある柔軟性をもつ咀嚼製品から、クラッカー様またはビスケット様の製品を生じさせることができ、それをたとえばそれぞれの動物が長時間噛む必要のない褒美として使うことができる。
【0027】
成形品の形成は有利には素材から細片を切り取るかまたは剥ぎ取ることにより達成できる。他の態様ももちろん可能である。特に剥ぎ取る場合、剥取りは完全に再現性があるように行なわれるのではなく、ほとんどまたは全くモニターまたは制御できない多種多様なパラメーターにも依存するので、成形品の外側輪郭および形状を既にこの工程で容易に個別化できる。
【0028】
本発明方法のさらなる態様において、工程c)で処理するための成形品は、特に、外被または薄皮の中には存在せず、特に、外被または薄皮の中に存在するソーセージまたはソーセージ様の製品ではない。
【0029】
本方法のさらなる態様において、工程c)で多数の成形品を同時に、特に調理または煮沸に際してそれらが互いに接触するように、水浴内で調理または煮沸する。
最後に一態様は、工程b)で成形品をスライス状に形成する本発明方法に関する。
【0030】
本発明によれば、素材において食肉の割合は低くてもよい;たとえば、素材において、またその後の動物用食品においても、食肉含量は最大で10重量%、たとえば最大で8重量%、たとえば最大で5重量%、たとえば最大で4重量%である。食肉含量は場合により代用肉含量で置き換えることができる。
【0031】
素材および動物用食品中の脂肪含量も同様に低く、たとえば最大で10重量%、たとえば最大で8重量%、たとえば最大で5重量%、たとえば最大で4重量%である。
本発明はさらに、本明細書に記載するタイプの方法により製造できる、または製造された動物用食品によって、前記の目的を達成する。有利にはこの動物用食品の素材はゼラチンを含む。
【0032】
一態様において、その際、動物用食品は乾燥した保存可能なパッケージされた製品である。保存可能な製品とは、それを周囲温度、たとえば室温で、長期間にわたって保存できることを意味する。本発明の製品は乾燥しており、すなわち成形された後、製品はパッキング前に乾燥を施されている。一態様において、動物用食品は長期間咀嚼できる咀嚼スナックである。他の態様において、動物用食品は乾燥した動物用食品、たとえばビスケットまたは他のイヌ用おやつまたは動物用おやつである。
【0033】
前記のように、その際、動物用食品は最大で10重量%、たとえば最大で8重量%、たとえば最大で5重量%、たとえば最大で4重量%の食肉含量を示すことができる。
本発明の動物用食品は一般に個別にパッキングされている。
【0034】
一態様において、本発明の方法に従ってパッキングするための、または本発明の動物用食品のパッケージとしてのパッケージは、食べられないパッケージである。一態様において、その際、パッケージは気密パッケージである。
【0035】
本発明の方法において、成形品を水浴内で調理または煮沸する。その際、それぞれの成形品はそれの密度が周囲の水より大きいので、最初は下へ沈む。しかし、調理または煮沸の経過中に成形品の密度が低下し、その結果、それは水浴中で上昇する。したがって、成形品が水の表面に浮かぶとすぐにそれを取り出すことができる。それより早いいずれかの時点での取出しも、もちろん可能である。
【0036】
この操作で、一般に成形品は水浴から水を吸収する。
特に吸収した水によって、ただし他の作用によっても引き起こされる個別の造形は、水浴が沸騰して気泡が発生した場合に増強される可能性がある。これらによって水浴に乱流が生じ、それは水浴中に存在する成形品相互の機械的衝撃、および成形品と水浴の壁との間の衝撃を引き起こし、それらによって成形品の形状および外側輪郭が影響を受ける。
【0037】
コーティングは、有利には予め調製した種々の添加物および成分の混合物を用いて適用される。特に好ましい一態様において、この混合物の一部は素材中にもあり、したがってそれには特に矯味矯臭剤も含まれ、それによって動物による受入れが高まる。
【0038】
本明細書に記載するゼラチンの代わりに、もちろん異なる製品、たとえば植物製品も使用できる。これらの製品の特色は、調理または煮沸に際してそれらが素材のテキスチャーの変化に寄与することである。テキスチャーの変化は、一般に素材をより塑性または強靭にするものである。生地の形で存在することができる素材は、通常はある硬さをもち、したがって成形品の形成のためにたとえば一部を切り取ると、いわゆる“後処理”を行なうことが可能である。これは、その都度、整った切断端が生じるわけではなく、したがってそれぞれの成形品のほつれや小さな突起部が存在する可能性があることを意味する。
【0039】
本明細書に記載する方法により、咀嚼スナックまたはチップの形の製品を製造することができる。どのような種類の製品を製造するかについての区別は、好ましくは乾燥時間および乾燥温度によってなされる。
【実施例】
【0040】
添付の図面によって本発明の実施例をより詳細に説明する。
図1は、本発明の第1態様に従った方法のコースの模式図を示す。
本方法の第1工程において、それから動物用食品を製造すべき素材の準備1を行なう。この素材は多様な方法で調製できる。それは好ましくは種々の成分から生の状態で、たとえば生地の形で調製され、こうして本方法に供給される。その代わりに、それを予め調製しておくこともでき、場合によりパックから取り出しさえすればよい。
【0041】
それに続いて、少なくとも一部の素材の成形2を行なって成形品を形成する。その際、好ましくはゼラチンを含有する調製済み素材から一部を切り取るか、または他の方法で形成できる。特に簡単で迅速に実施できる本方法の1態様においては、こうして製造した成形品を調理または煮沸3の工程に供給する。これは水浴内で行なわれ、その際、成形品の外形がそれぞれの成形品について個々に異なる変化をする。調理または煮沸3は特に、完成品のパッキング(
図1に示されていない)の前に行なわれる。したがって、成形品は水浴と直接接触する。
【0042】
本方法のより複雑な態様において、成形2の工程から形成された成形品に、まず刻印4を施し、その際、成形品の表面に構造が導入される。このように構造を備えた成形品は、次いでコーティング5へ移動し、そこでコーティングを施される。本方法の最後に乾燥6が行なわれる。
【0043】
関連符号リスト
1 準備
2 成形
3 調理または煮沸
4 刻印
5 コーティング
6 乾燥