(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】複数のヒーターを備えるエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20220510BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
A24F47/00
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2018563003
(86)(22)【出願日】2017-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2017062722
(87)【国際公開番号】W WO2017207418
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-22
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】マンカ ローラン
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0059787(US,A1)
【文献】特表2014-501106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0366898(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0199663(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を含有する貯蔵部を備える消耗品カートリッジと共に用いる電気加熱式エアロゾル発生装置であって、前記貯蔵部が、前記カートリッジを貫通して延びる開放端通路を包囲する流体透過可能な内面を有するものであり、前記装置は、
前記カートリッジの少なくとも一部を受け入れる空洞を有するハウジングと、
前記空洞内に配置されるヒーター組立品であって、
前記ハウジングと連結して前記空洞に挿入されるカートリッジの開放端通路内まで延びるように配置される細長支持部材、および、
前記細長支持部材の長さ方向に沿って離間して固定される複数の電気ヒーターであって、前記空洞内に受け入れられるカートリッジのエアロゾル形成基体を加熱する少なくとも1つの発熱体をそれぞれ有する前記複数の電気ヒーターを備える、前記ヒーター組立品と、
前記ヒーター組立品と接続した電源と、
前記電源および前記ヒーター組立品と接続した電気回路であって、前記複数の電気ヒーターの1つまたは複数の電気的パラメータを測定し、測定した電気的パラメータに基づいて、前記カートリッジ内のエアロゾル形成基体の概算残量または前記カートリッジ内のエアロゾル形成基体の概算分布を計算するように構成される前記電気回路とを備える、電気的に加熱されるエアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記電気回路は、前記複数の電気ヒーターのそれぞれについての前記1つまたは複数の電気的パラメータを別個に測定して、前記複数の電気ヒーターのうちの2つ以上についての測定した電気的パラメータの相違に基づいて、概算残量、または概算分布、または概算残量および概算分布を計算するように構成される、請求項1記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項3】
電源と接続したユーザー用インジケータをさらに備えるものであって、前記電気回路が、前記概算残量または前記概算分布に応じて前記ユーザー用インジケータを作動するように構成される、請求項1または請求項2に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記電気回路は、前記概算残量または前記概算分布に応じて、前記複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数への電力供給を別個に制御するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記電気回路は、前記概算残量または前記概算分布に応じて、前記複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数への電力供給を減少させるように構成される、請求項4記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項6】
装置を通る気流経路の一部を形成する気流通路を画定する中空シャフト部によって、前記細長支持部材が形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記複数の電気ヒーターは、前記中空シャフト部の長軸方向軸に対して横断するように、前記気流通路を横切って延びる、請求項6記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数は、その長軸方向軸を、少なくとも1つの他の電気ヒーターの長軸方向軸に対して、前記中空シャフト部の長軸方向軸を中心に回転させるようにして前記気流通路を横切って延びる、請求項7記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記中空シャフト部は、複数の開口部を備えるものであって、前記複数の開口部において前記複数の電気ヒーターが保持され、前記複数の電気ヒーターは、前記複数の開口部を介して、前記空洞内に受け入れられるカートリッジの貯蔵部と流体連通となる、請求項6から8のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記細長支持部材は、貫通面をその遠位端に有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記複数の電気ヒーターは、毛細管芯をそれぞれ備え、前記少なくとも1つの発熱体が、前記毛細管芯の周囲に配置されるコイルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含有する貯蔵部を備える消耗品カートリッジとを備えるものであって、前記貯蔵部は、前記カートリッジを貫通して延びる開放端通路を包囲する流体透過可能な内面を有し、前記カートリッジの少なくとも一部が、前記細長支持部材が前記カートリッジの気流通路内まで延びるように、前記空洞内に受け入れられる、電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記貯蔵部は、別個に保存される第一のエアロゾル形成基体と第二のエアロゾル形成基体とを含有する、請求項12記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記複数の電気ヒーターが、前記第一のエアロゾル形成基体を加熱して第一のエアロゾルを形成する第一の電気ヒーターと、前記第二のエアロゾル形成基体を加熱して第二のエアロゾルを形成する第二の電気ヒーターとを備える、請求項13記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記電気回路は、前記第一のエアロゾル形成基体および前記第二のエアロゾル形成基体を独立に加熱可能であるように、前記第一の電気ヒーターおよび前記第二の電気ヒーターへの前記電源からの電力供給を別個に制御するように構成される、請求項14記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項16】
システムを通る気流経路の一部を形成する気流通路を画定する中空シャフト部によって、前記細長支持部材を形成するものであって、前記貯蔵部は圧縮可能であり、前記カートリッジを貫通して延びる開放端通路の直径は、前記中空シャフト部の外径よりも小さい、請求項12から15のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項17】
前記エアロゾル形成基体はエアロゾル形成液体である、請求項12から16のいずれか一項に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項18】
前記貯蔵部は、前記貯蔵部から前記ヒーター組立品までエアロゾル形成液体を移動させる、前記内面の一部または前記内面の全てを形成する毛細管芯を備える、請求項17記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項19】
電気加熱式エアロゾル発生システムのためのキットであって、前記キットは請求項1から11のいずれかに記載の電気加熱式エアロゾル発生装置と、複数の消耗品カートリッジであって、各カートリッジが前記カートリッジを貫通して延びる開放端通路を包囲する流体透過可能な内面を有する貯蔵部を備える複数の消耗品カートリッジと、を備え、前記貯蔵部は、別個に保存される第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を含有する、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品カートリッジと共に用いるエアロゾル発生装置に関する。特に、本発明は、内部通路を有してエアロゾル形成基体を含有する消耗品カートリッジと共に用いる、電気加熱式エアロゾル発生装置に関する。この開示はまた、エアロゾル発生装置と共に用いる消耗品カートリッジ、電気加熱式エアロゾル発生装置と消耗品カートリッジとを備えた電気加熱式エアロゾル発生システム、および、電気加熱式エアロゾル発生装置と複数の消耗品カートリッジとを備えた電気加熱式エアロゾル発生システム用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち式で、エアロゾル発生物品すなわちカートリッジ内のエアロゾル形成基体が加熱されることによって作動する、電気的に加熱される喫煙システムが、当該技術分野において公知である。例えば、WO2009/132793には、シェルおよび交換可能なマウスピースを含む、電気加熱式の喫煙システムの記載がある。シェルは電源および電気回路を含む。マウスピースは液体貯蔵部と、第一の端および第二の端を持つ毛細管芯とを含む。芯の第一の端は、その内部の液体と接触するために、液体貯蔵部内に延びる。マウスピースはまた、毛細管芯の第二の端を加熱するための発熱体と、空気出口と、毛細管芯の第二の端と空気出口との間のエアロゾル形成チャンバーとを含む。発熱体は一般に、芯の周りに巻かれたワイヤーのコイルである。シェルおよびマウスピースが噛み合う時、発熱体は回路を経由して電源と電気的接続状態になり、また空気の流れ経路は、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成チャンバーを経由して空気出口へ流れる経路として画定される。使用時に、液体は芯内での毛細管作用によって、液体貯蔵部から発熱体に向かって移動される。液体は毛細管芯の第二の端で発熱体によって気化される。生成した過飽和蒸気が、空気の流れに混合されて、少なくとも一つの空気吸込み口からエアロゾル形成チャンバーへと空気の流れに乗って運ばれる。エアロゾル形成チャンバー内で、蒸気は凝結してエアロゾルを形成し、これが空気出口に向かって運ばれ、ユーザーの口内に入る。
【0003】
使用中、貯蔵部内のエアロゾル形成基体の量が激減していく。このことが、貯蔵部内に残っているエアロゾル形成基体の量が、適量のエアロゾルを発生させるのに不十分となるような状況を最終的にもたらしうる。このことはまた、発生したエアロゾルの特性に不利に影響を及ぼす可能性がある。一部の公知のシステムでは、十分な量のエアロゾル形成基体が貯蔵部内に残っていたとしても、このエアロゾル量の減少または望ましい状態でなくなることが発生することがあり、消耗につながるものである。このことは、エアロゾル形成基体の分布が特に重力に対して敏感であるような一部のシステムで、特別な問題となりうる。こうしたシステムにおいては、例えばシステムが長時間特定の向きで保持されている、または単に貯蔵部内のエアロゾル形成基体が枯渇に近いという場合に、エアロゾル形成基体が、ヒーターにより適度な熱を与えることができないような貯蔵部のある領域に定在していることがある。また、既存のシステムにおいては、貯蔵部内のエアロゾル形成基体の残量を判断すること、または概算することが難しいものでありうる。
【0004】
装置と共に用いるカードリッジ内のエアロゾル形成基体を、既存のシステムによるものよりもより効果的かつより完全に消費できるようにしたエアロゾル発生装置を提供することが望まれるものである。こうした装置と、該装置用の消耗品カートリッジとを備えたエアロゾル発生システムを提供することもまた望まれるものである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によれば、エアロゾル形成基体を含有する貯蔵部を備える消耗品カートリッジと共に用いる電気加熱式エアロゾル発生装置であって、貯蔵部が、該カートリッジを貫通して延びる開放端通路を包囲する流体透過可能な内面を有するものであり、該装置は、カートリッジの少なくとも一部を受け入れる空洞を有するハウジングと、空洞内に配置されるヒーター組立品であって、ハウジングと連結して空洞内に挿入されるカートリッジの開放端通路内まで延びるように配置される細長支持部材、および、細長支持部材の長さ方向に沿って離間して固定される複数の電気ヒーターであって、空洞内に受け入れられるカートリッジのエアロゾル形成基体を加熱する少なくとも1つの発熱体をそれぞれ有する複数の電気ヒーターを備える、ヒーター組立品とを備えるものである。この装置はまた、ヒーター組立品と接続した電源と、該電源およびヒーター組立品と接続した電気回路であって、複数の電気ヒーターについての1つまたは複数の電気的パラメータを測定し、測定した電気的パラメータに基づいて、カートリッジ内のエアロゾル形成基体の概算残量またはカートリッジ内のエアロゾル形成基体の概算分布を計算するように構成される該電気回路とを備えるものである。
【0006】
有利なことに、細長支持部材の長さ方向に沿って離間した複数の電気ヒーターを有することで、電気ヒーターを1つのみ設けた場合または複数の電気ヒーターを設けているが装置の長さ方向に沿って離間させてはいない場合の装置と比べて、カートリッジ内でエアロゾル形成基体をより均一に加熱できるものでありうる。またこれにより、この装置が、単一のヒーターのみを有する装置では加熱されることのないカートリッジの部分を加熱して、各カートリッジ内のより多くのエアロゾル形成基体を気化させることができ、無駄を低減できるようになる。さらに、複数の異なるエアロゾル形成基体を別個に保存するカートリッジと共に用いる場合には、複数の電気ヒーターは、異なるエアロゾル形成基体を別個に加熱して、特定の所望の特性をもつエアロゾルを生成できるようになりうる。
【0007】
また、電気ヒーターを装置の一部として設けることで、該装置と共に用いるカートリッジは、電気ヒーターを含んでいるカートリッジよりも簡略化でき、廉価でより頑健にすることができる。従って、より高価な装置を必要とする場合でも、カートリッジのコストが低減されることで、製造者および消費者の両者にとって著しいコスト節約につながりうる。
【0008】
ハウジングは本体およびマウスピース部を備えうる。空洞は本体内にあるものとすることができ、またマウスピース部は出口を有することができ、装置によって生成されたエアロゾルは、その出口を通してユーザーの口へと引き込むことが可能である。ヒーター組立品は本体またはマウスピース部に連結されうる。あるいは、マウスピース部は装置と共に用いるカートリッジの一部として提供されてもよい。本明細書で使用される場合、「マウスピース部」という用語は、システムによって生成されたエアロゾルを直接吸い込むためにユーザーの口に入れられるように構成されて、該エアロゾルがマウスピースを通してユーザーの口に送達されるものである、装置またはカートリッジの部分を意味する。
【0009】
装置は、ヒーター組立品および電源と接続した電気回路を含む。電気回路はマイクロプロセッサを備え、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向けICチップ(ASIC)または制御能力を有するその他の電子回路としうる。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーター組立品への電流供給を調節するように構成できる。電流は装置の起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、断続的に供給(例えば、吸煙するごとに供給)されてもよい。電気回路は有利なことにDC/ACインバータを備えることができ、これはクラスDまたはクラスEの電力増幅器を備えうる。
【0010】
装置は、ハウジング内に電源を備える。該電源は、例えば、リチウム鉄リン酸電池等の電池、または、コンデンサなどの他の形状の電荷蓄積装置であってよい。電源は再充電を必要としてもよく、1回以上の喫煙の体験のために十分なエネルギーを蓄積できる容量を持ってもよい。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源が所定の回数の吸煙、または不連続的な起動を可能にする十分な容量を持ってもよい。
【0011】
電源は、ヒーター組立品と接続し、装置は、電源およびヒーター組立品と接続した電気回路を含む。この電気回路は、複数の電気ヒーターについての1つまたは複数の電気的パラメータを測定し、測定した電気的パラメータに基づいて、カートリッジ内のエアロゾル形成基体の概算残量またはカートリッジ内のエアロゾル形成基体の概算分布を計算するように構成されるものである。
【0012】
有利なことに、この構成によれば、電気ヒーターは、加熱と感知という2つの機能を有する。これにより、装置は、カートリッジ内に残っているエアロゾル形成基体の状態についての概算を、任意の時点で判断できるようになりうる。このことから、装置は、電気回路ごとに違った作動をして所望のエアロゾル特性を維持できる、または、カートリッジの交換または装置向きの変更等の適切な行動をユーザーにとらせるように、エアロゾル形成基体の現状をユーザーに通知して、エアロゾルの特性への悪影響を回避することができる。
【0013】
この電気回路は、測定した電気的パラメータに基づいて、カートリッジ内のエアロゾル形成基体の概算残量およびカートリッジ内のエアロゾル形成基体の概算分布を計算するように構成されるものである。
【0014】
本明細書で使用される場合、「電気的パラメータ」という語は、例えば抵抗率、導電率、インピーダンス、静電容量、電流、電圧および抵抗である、測定によって定量化可能な電気的な性質、値または属性を説明するために用いる。
【0015】
電気回路は、複数の電気ヒーターのそれぞれについての1つまたは複数の電気的パラメータを別個に測定して、複数の電気ヒーターのうちの2つ以上についての測定した電気的パラメータの相違に基づいて、概算残量、または概算分布、または概算残量および概算分布を計算するように構成されることが好ましい。
【0016】
装置は電源と接続したユーザー用インジケータをさらに備えるものであって、電気回路が、概算残量または概算分布に応じてユーザー用インジケータを作動するように構成されることが好ましい。ユーザー用インジケータは任意の適切な構成を有することができ、例えばユーザー用インジケータは、例えばディスプレイ、音声出力、触覚出力、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。これにより、装置は、カートリッジ内の液体エアロゾル形成基体の概算残量または概算分布またはその両方に関してユーザーに対して情報を伝えることができるようになりうる。
【0017】
一部の実施形態においては、概算残量が閾値より下回る場合に、電気回路が、ユーザー用インジケータを作動してユーザーに報知し、ユーザーに対してカートリッジの交換を促すように構成することができる。制御回路はまた、概算分布が、特定の角度での装置の保持が長すぎることを示している場合に、ユーザーに対して、エアロゾル形成基体を貯蔵部内で再分布させるために少なくとも一時的に装置の向きを変える旨を促すことができるように、ユーザー用インジケータを作動させることもできる。
【0018】
制御回路は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、デスクトップコンピュータまたは同様のデバイス等である独立のデバイスとの通信回線を経由して、概算残量または概算分布についてユーザーに通知するように構成できる。
【0019】
電気回路は、概算残量または概算分布に応じて、複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数への電力供給を別個に制御するようにさらに構成できる。
【0020】
有利なことに、これにより、装置は、最も効果的な方法でエアロゾルを発生さるために最良の状態であるのはどの電気ヒーターであるかを判断し、それに応じて電力供給を変えることができるようになる。このことは、カートリッジ内でのエアロゾル形成基体の分布が変化することで引き起こされる、エアロゾル特性における変化を最小限にすることに役立ちうる。またそれにより、電気ヒーターのエネルギーの引き込みを、最も効果的な方法で選択可能になることで、装置の全体的なエネルギー消費を低減させることができる。電気回路は、概算残量または概算分布に応じて、複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数への電力供給を増加させるように構成できる。
【0021】
電気回路は、概算残量または概算分布に応じて、複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数への電力供給を減少させるように構成できる。
【0022】
有利なことに、これにより、概算残量または概算分布が、例えば特定の電気ヒーターがエアロゾルの発生に適した配置でないことを示している場合に、電気ヒーターのうちの1つまたは複数についてのエネルギー消費を選択的に減少させることができるようになる。また、例えば液体エアロゾル形成基体を用いており、電気的パラメータが、電気ヒーターのうちの1つまたは複数が乾燥、または部分的に乾燥していることを示している場合に、過熱に起因する電気ヒーターの損傷の危険性を低減させることもできる。
【0023】
電気回路は、概算残量または概算分布に応じて、複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数への電力供給を減少または増加させるように構成できる。電気回路は、概算残量または概算分布に応じて、複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数への電力供給は減少させる一方で、複数の電気ヒーターの異なる1つまたは複数への電力供給を同時に増加させるように構成できる。
【0024】
上記した実施形態のいずれにおいても、装置を通る気流経路の一部を形成する気流通路を画定する中空シャフト部によって、細長支持部材を形成することができる。
【0025】
この構成によれば、細長支持部材は、電気ヒーターに対して支持を提供するのみならず気流チャネルを提供する。これにより、コンパクトである装置が可能となりえ、費用対効果が高く大容量の製造が促進される。さらに、中空シャフト部内の気流通路を有することで、装置からの熱損失を最小化することができ、かつ保持に快適な温度に装置のハウジングを簡単に維持できる。さらにまた、中空シャフト部を通る気流内の気化したエアロゾル形成基体は、気流通路内で冷却しはじめ、エアロゾルを形成することができるものであって、装置の全長を短くすることができるようになる。
【0026】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数は、中空シャフト部の長軸方向軸に対して横断するように、気流通路を横切って延びうる。こうした実施形態においては、1つまたは複数の電気ヒーターは、気流通路に架けわたされうる。有利なことに、これにより、使用の際に装置を通る引き込みの経路内に電気ヒーターが直接配置される。これにより、気化したエアロゾル形成基体が、装置を通る気流中により容易に引き込まれて、エアロゾルを形成することができるようになりうる。また、電気ヒーターが、装置を通る気流によって冷却されて、過熱の危険性を低減できるようになりうる。気流通路を横切って延びることにより、電気ヒーターは、例えば気流中に乱流を発生させて、気化したエアロゾル形成基体を中空シャフト部を通る気流と混合させることに役立ちうる。これにより、気流通路を横切って延びる電気ヒーターがない例と比較して、より均一なエアロゾルをもたらすことができる。
【0027】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数が気流通路を横切って延びる場合、電気ヒーターのうちの1つまたは複数についての長軸方向軸は、中空シャフト部の長軸方向軸に対して垂直でありうる。気流通路を横切って延びる電気ヒーターのうちの1つまたは複数は、その長軸方向軸が中空シャフト部の長軸方向軸に対して傾斜するように配置されてもよい。
【0028】
複数の電気ヒーターは、中空シャフト部の長軸方向軸に対して横断するように、気流通路を横切って延びうる。こうした実施形態においては、複数の電気ヒーターは気流通路に架けわたされうる。
【0029】
複数の電気ヒーターが、中空シャフト部の長軸方向軸に対して横断するように、気流通路を横切って延びる場合、複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数は、その長軸方向軸を、少なくとも1つの他の電気ヒーターの長軸方向軸に対して、中空シャフト部の長軸方向軸を中心に回転させるようにして気流通路を横切って延びうる。すなわち、電気ヒーターの長軸方向軸が中空シャフト部の長軸方向軸に対して垂直に延びる平面上に突出するときに、複数の電気ヒーターのうちの1つまたは複数についての長軸方向軸が、少なくとも1つの他の電気ヒーターの長軸方向軸に対してある角度をもって気流通路を横切って延びる。この構成によれば、こうした電気ヒーターは、中空シャフト部の長軸方向軸を中心に電気ヒーターを整列させたような構成と比べて、装置を通る気流をより容易に妨害することができる。これはまた、電気ヒーターのうちの少なくとも1つが、中空シャフト部の円周の周囲において、残りの電気ヒーターのうちの1つまたは複数からずらした位置で、カートリッジの貯蔵部と流体連通することができることも意味している。これにより、中空シャフト部の長軸方向軸を中心に電気ヒーターを整列させたような構成と比べて、装置は、カートリッジ内に保存したエアロゾル形成基体をより均一に消費し、無駄を低減することができるようになりうる。さらに、使用中に電気ヒーターの1つから液体エアロゾル形成基体が漏出するような事象では、電気ヒーターのうちの1つまたは複数が異なる角度で延びることによって、液体をより容易に妨害して隣接する電気ヒーターの1つに吸収させることができ、これによって装置からの液体の漏出を低減することができる。
【0030】
中空シャフト部は、複数の開口部を備えるものであって、該複数の開口部において複数の電気ヒーターが保持され、該複数の電気ヒーターは、複数の開口部を介して、空洞内に受け入れられるカートリッジの貯蔵部と流体連通となることが好ましい。開口部は、例えば、打ち抜き、削孔、ミリング、浸食、電食、切断、またはレーザー切断によって中空シャフト部が形成された後で、中空シャフト部内に形成することができる。開口部は、例えば、開口部と共に中空シャフト部を鋳造することもしくは成型することによって、または電着などの蒸着プロセスによって、中空シャフト部を形成する時点で、中空シャフト部と一体成形されてもよい。
【0031】
細長支持部材は、ハウジングに取り付けられる近位端および該近位端より下流の遠位端を有する。上述の実施形態のいずれにおいても、細長支持部材は、その遠位端に貫通面を有するのが好ましい。したがって、細長支持部材は、細長貫通部材として2役を務める。これにより、細長支持部材は、カートリッジを装置に挿入しながら、該カートリッジの端部にあるシールに簡便に貫通できるようになりうる。シールへの貫通を促すため、貫通面が位置する細長支持部材の遠位端の断面積は、貫通面の直近の細長支持部材の領域の断面積より小さいものとするのが好ましい。特に好ましい実施形態では、細長支持部材の断面積は、細長支持部材の遠位端のテーパ状の先端に向けて狭くなる。細長支持部材の断面積は、細長支持部材の遠位端におけるある点に向けて狭くなってもよい。
【0032】
上記した実施形態のいずれにおいても、複数の電気ヒーターが、毛細管芯をそれぞれ備えることが好ましい。これにより、気化のために電気ヒーターに沿って液体エアロゾル形成基体が移動しやすくなり得る。こうした実施形態においては、少なくとも1つの発熱体が、毛細管芯の周囲に配置されるコイルであることが好ましい。
【0033】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数は、毛細管本体と、毛細管本体の外部表面上に配置された発熱体と、電気ヒーターを細長支持部材と電気的に接続するための、毛細管本体の周囲で発熱体を覆って固定される、離間させた1対の電気接点とを備えることができる。毛細管本体の周囲で発熱体を覆って電気接点を固定することにより、該電気接点は、発熱体を毛細管本体の外部表面上に固定するのみならず、電気的接続を提供することができる。これにより、ヒーター要素の端部が、例えば溶接により、手作業で電気接点に結合される既存のシステムよりも、必要な製造手順を減らすことができるので有利である。またそれにより、電気ヒーターが自動化組み立てラインで製造することも可能になりうるので、こうした装置をより速く再現性良く製造可能になる。こうした実施形態においては、電気接点のうちの少なくとも1つは、その電気接点の内部表面と毛細管本体の外部表面との間が摩擦嵌めとなるように寸法設定されうる。こうした摩擦嵌めを設けることにより、追加の締結手段または締結手順を必要とせずに電気接点を毛細管本体上に固定することができうる。各電気接点は、電気接点の内部表面と毛細管本体の外部表面との間が摩擦嵌めとなるように寸法設定されていることが好ましい。発熱体は、例えば毛細管本体の全長に沿って、毛細管本体の周囲に巻回する電気抵抗性ワイヤーのコイルを備えうる。
【0034】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数が、毛細管本体と、毛細管本体の外部表面上に配置された発熱体と、毛細管本体の周囲で発熱体を覆って固定される、離間させた1対の電気接点とを備える場合、毛細管本体は、圧縮可能であることが好ましく、電気接点は、電気接点と毛細管本体との間が締り嵌めとなるように毛細管本体の円周の周囲に延在することが好ましい。このことは、発熱体が、はんだ付けまたは溶接などの接着剤または追加の固定手段の必要なく、電気接点によって毛細管本体に確実に取り付けられることに役立ちうる。またそれにより、電気接点と発熱体との間に信頼できる電気的接続を確実とすることに役立ちうる。電気接点は、毛細管本体の円周の50%より多く周囲に延在していることが好ましい。これにより、電気接点が毛細管本体の円周の50%未満で周囲に延在している例と比べて、電気接点の毛細管本体へのより確実な固定がもたらされうる。またそれにより、電気接点と発熱体との間に信頼できる電気的接続を確実とすることに役立ちうる。
【0035】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数が、毛細管本体と、毛細管本体の外部表面上に配置された発熱体と、毛細管本体の周囲で発熱体を覆って固定される、離間させた1対の電気接点とを備える場合、電気接点の一方または両方が、実質的に毛細管本体の全円周の周囲に延在しうる。電気接点のうちの少なくとも一方が、毛細管本体を取り囲んでもよい。こうした実施形態では、電気接点は、環形状とすることができる。両方の電気接点が、毛細管本体を取り囲むのが好ましい。これにより、電気接点が毛細管本体の全円周未満で周囲に延在している例と比べて、電気接点の毛細管本体へのより確実な固定がもたらされうる。またそれは、毛細管本体の外部表面上の発熱体の特定の配置に関係なく、また電気接点と発熱体との間の接触を確実にするために発熱体の配置を制限することなく、電気接点と発熱体との間に信頼できる電気的接続を確実とすることに役立ちうる。両方の電気接点が、毛細管本体を取り囲んで、電気接点と毛細管本体との間が締り嵌めとなるように寸法設定されてもよい。
【0036】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数が、毛細管本体と、発熱体と、毛細管本体の周囲で発熱体を覆って固定される、離間させた1対の電気接点とを備える場合、電気接点を剛直なものとしてよい。これにより、電気接点が柔軟であるものよりも、より頑健な組立品をもたらすことができる。電気接点はそれぞれ、金属環などの剛直な材料の環を含んでもよい。これにより、電気接点に機械的強度が高く発熱体への信頼できる電気的接続をもたらすことができる。またそれにより、電気接点を装置内の保持クリップにスナップ嵌めすることにより、電気ヒーターをヒーター組立品に接続可能にすることができる。電気接点が、毛細管本体の円周周囲に延在する場合、各電気接点の対向する両端は、接合部が非直線である、または斜線に沿って延在するように、協働的に形状設定することができる。この文脈では、「斜線」という用語は、接合部が毛細管本体の長軸方向軸に対して平行でない線に沿って延びることを意味する。非直線であるまたは斜線に沿って延びる接合部を有することにより、毛細管本体の長軸方向における各電気接点の対向する両端の間での相対的運動を防止するまたは最小化することができる。
【0037】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数が、毛細管本体と、発熱体と、毛細管本体の周囲で発熱体を覆って固定される、離間させた1対の電気接点とを備える場合、毛細管本体を任意の好適な形状としてよい。毛細管本体は、細長くてもよい。1対の電気接点は、毛細管本体の長さ方向において離間させることができる。例えば、1対の電気接点は、毛細管本体の第一の端部にあるまたはそれに隣接する第一の電気接点と、毛細管本体の長さに沿う中間点など任意の他の位置にある第二の電気接点とを含んでもよい。1対の電気接点は、毛細管本体の第一の端部にあるまたはそれに隣接する第一の電気接点と、毛細管本体の第二の端部にあるまたはそれに隣接する第二の電気接点とを含んでもよい。
【0038】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数が毛細管本体を備える場合、該電気ヒーターは、毛細管本体の長さの少なくとも一部に沿って延びる剛直支持部材をさらに含むことができる。この剛直支持部材により、電気ヒーターの強度および剛性が増し、製造中に取り扱い易い剛直な組立品を確実にする。剛直支持部材は、単一の一体的な構成要素で形成されてもよく、または共に連結した複数の構成要素で形成されてもよい。剛直支持部材は、毛細管本体の中心を通って延びうる。支持部材は、毛細管本体によって包囲されてもよい。支持部材は、毛細管本体によって取り囲まれていてもよい。剛直支持部材の存在により、毛細管本体の全体的な径方向の圧縮性を減らすことができ、これが電気接点と発熱体との間の締り嵌めを確実にすることに役立ちうる。支持部材は、毛細管本体の外部表面上に配置されてもよい。一部の実施例では、剛直支持部材が、中央部および複数の横リブを備える。この断面形状により、毛細管本体内で空間を広く占有することなく、またこれによって毛細管本体の吸上性能を著しく低減させることのない、好適な剛性を有する支持部材となりうる。複数の横リブは、径方向に延びる複数のリブを含みうる。
【0039】
本発明にかかるエアロゾル発生装置においては、細長支持部材は、装置と共に使用するためのカートリッジの端部にある壊れやすいシールを突破する細長貫通組立品でありうる。該細長貫通組立品は、メインハウジングと連結し、かつ、カートリッジが空洞内に挿入されたときに開放端通路の第一の端部を横切る第一の壊れやすいシールを突破する第一の貫通面をその遠位端に有する第一の中空シャフト部と、封止体と連結し、かつ、封止体がメインハウジングと係合するときに、開放端通路の第二の端部を横切る第二の壊れやすいシールを突破する第二の貫通面をその遠位端に有する第二の中空シャフト部とを備えうる。
【0040】
有利なことに、2部よりなる貫通組立品を有することで、カートリッジのどちらの端部のシールもユーザーにとってより破り易くすることが可能になりうる。理論に拘束されなくとも、内向きにシールが破られることで、該シールが中空シャフト部から脱落することを防止し、また第一および第二の貫通面がシール上に与える応力が大きいほど、より容易にシールを破れるようになると考えられている。さらに、一方の中空シャフト部を封止体と連結させることにより、封止体がメインハウジングを覆って配置されるまで、カートリッジの下流端にあるシールの破損を防止することが可能になりうる。これにより、カートリッジ挿入中の液体漏出の危険性を低減できる。
【0041】
シールへの貫通を促すため、第一および第二の貫通面が位置する第一および第二の中空シャフト部の遠位端の断面積は、貫通面の直近の中空シャフト部の領域の断面積よりも小さいものとするのが好ましい。第一および第二の中空シャフト部の断面積は、そのそれぞれの遠位端のテーパ状の先端に向けて狭くなることが好ましい。第一および第二の中空シャフト部の断面積は、そのそれぞれの遠位端におけるある点に向けて狭くなっていてもよい。
【0042】
第一および第二の中空シャフト部は、封止体がメインハウジングと係合するときに、同一の長軸方向軸に沿って延びるように配置されることが好ましい。他の例においては、第一および第二の中空シャフト部は、互いにずらされているか、または異なる軸に沿って延びるか、またはその両方であってもよい。
【0043】
第一および第二の中空シャフト部が同一の長軸方向軸に沿って延びている場合、第一および第二の中空シャフト部は、封止体がメインハウジングと係合するときに細長貫通組立品が空洞の全長に沿って延びるように、接合部において合う大きさになされていることが好ましい。他の例においては、第一および第二の中空シャフト部は、間隙によって分離されていてもよい。こうした例においては、装置を通る気流経路が、カートリッジ内の開放端通路のみならず、第一および第二の中空シャフト部を通って延びる気流通路を備えることができる。
【0044】
第一および第二の中空シャフト部が、細長貫通組立品が空洞の全長に沿って延びるように、接合部において合う大きさになされている場合、第一および第二の中空シャフト部の遠位端は、接合部周囲で封止が形成されるような協働的な形状であることが好ましい。この構成によれば、気流は、カートリッジの貯蔵部に通過するのではなく、実質的に細長貫通組立品を通る内部気流通路の範囲内に留まることができ、それによって、一貫したエアロゾルの送達が促進されるものである。
【0045】
第一および第二の中空シャフト部の遠位端は、任意の好適な、協働的な貫通形状を有しうる。第一および第二の中空シャフト部のうちの一方の中空シャフト部の遠位端が、内向きにテーパ状である外側面を有し、第一および第二の中空シャフト部のうちの他方の中空シャフト部の遠位端が、外向きにテーパ状である内側面を有するものであって、該内側面および該外側面は、封止体がメインハウジングと係合するときに、内向きにテーパ状である外側面が、外向きにテーパ状である内側面内に嵌合して封止を形成するような形状になされることが好ましい。これにより、第一および第二の中空シャフト部が容易に結合可能となりうる。例えば、第一の中空シャフト部の遠位端が、内向きにテーパ状である外側面を有してもよく、また第二の中空シャフト部の遠位端が、外向きにテーパ状である内側面を有してもよいものであって、該内側面および該外側面は、封止体がメインハウジングと係合するときに、内向きにテーパ状である外側面が、外向きにテーパ状である内側面内に嵌合して封止を形成するような形状になされる。
【0046】
本発明にかかるエアロゾル発生装置においては、細長支持部材が、導電性の中空シャフト部を備えることができる。該中空シャフト部は、複数の開口部を備えることができるものであって、隣接する開口部間において、中空シャフト部の1つまたは複数の狭領域によって複数の電気ヒーターのうちの少なくとも1つが形成されうる。
【0047】
有利には、1つまたは複数の一体型の電気ヒーターによるヒーター組立品を有することで、必要な製造手順を減らすことができ、またヒーター組立品を自動化組立ラインで製造できるようになりうる。これにより、この発明にかかるエアロゾル発生装置が、より速く、簡単に、高い再現性および一貫性を備えて製造できるようになりうる。こうした装置は、ヒーター組立品が複雑かつ潜在的に脆弱な接続を備えているような装置よりも、簡略化でき、廉価でより頑健にすることができる。
【0048】
開口部は、例えば、打ち抜き、削孔、ミリング、浸食、電食、切断、またはレーザー切断によって中空シャフト部が形成された後で、中空シャフト部内に形成することができる。開口部は、例えば、開口部と共に中空シャフト部を鋳造することもしくは成型することによって、または電着などの蒸着プロセスにおいて開口部を備えた中空シャフト部を形成することによって、中空シャフト部を形成する時点で、中空シャフト部と一体成形されてもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「導電性」は1×10-4Ωm以下の比抵抗を持つ材料から形成されていることを意味する。本明細書で使用される場合、「絶縁性」は1×104Ωm以上の比抵抗を持つ材料から形成されていることを意味する。
【0050】
少なくとも1つの電気ヒーターは、中空シャフト部上に任意の適切な方法で配置できる。一部の実施形態においては、少なくとも1つの電気ヒーターは、中空シャフト部を取り囲むものである。これにより、少なくとも1つの電気ヒーターが中空シャフト部を取り囲んでいないような装置と比べて、カートリッジ内のエアロゾル形成基体をより均一に加熱できるようになりうる。少なくとも1つの電気ヒーターは、連続的に中空シャフト部を取り囲むものであってよい。少なくとも1つの電気ヒーターは、複数の電気ヒーターが中空シャフト部の円周方向において離間しているような形態で、断続的に中空シャフト部を取り囲むものであってもよい。他の実施形態においては、少なくとも1つの電気ヒーターは、中空シャフト部の円周の一部のみの周囲に延在してもよい。
【0051】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、消耗品カートリッジ等のエアロゾル発生物品と相互作用してエアロゾルを発生する装置を意味する。
【0052】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は従来型の葉巻たばこまたは紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生装置の全長は、およそ30mm~およそ150mmであってもよい。エアロゾル発生装置の外径は、およそ5mm~およそ30mmであってもよい。
【0053】
ヒーター組立品は装置のハウジングに固定されていてもよく、または、該ハウジングと一体的であってもよい。他の実施形態においては、ヒーター組立品は、装置のハウジングに対して取り外し可能に固定されて、例えば保守もしくは清掃のためにヒーター組立品を装置から取り外すことができたり、ヒーター組立品の交換ができたりするようにしてよい。ヒーター組立品は、1つまたは複数の電気的接続手段および機械的接続手段によって装置のハウジングと取り外し可能に結合されうる。
【0054】
細長支持部材は、金属などの導電性基板で形成されてもよい。細長支持部材は、高分子基板などの電気絶縁性基板で形成されてもよく、電気ヒーターを形成するために、電気ヒーターを電源に接続するために、またはその両方のために基板に取り付けられる1つ以上の電気伝導体をさらに含んでもよい。例えば、細長支持部材は、電気絶縁性基板を含んでもよく、そこには、電気伝導体が、例えば、積層箔として基板と共に成膜、印刷、または積層することによって塗布されている。そして、該積層箔は、形状設定されてまたは折り畳まれて、細長支持部材を形成してもよい。
【0055】
ヒーター組立品は、複数の電気ヒーターを備える。例えば、ヒーター組立品は、細長支持部材の長さ方向に沿って離間して固定される電気ヒーターを、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上備えることができる。複数の電気ヒーターはそれぞれ、2つ以上の発熱体、例えば2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、またはそれ以上の発熱体を備えることができる。発熱体(単一または複数)は、ハウジングの空洞に挿入したカートリッジのエアロゾル形成基体を最も効果的に加熱するように適切に配設されうる。
【0056】
発熱体(単一または複数)は、電気抵抗性ワイヤーのコイルとしうる。発熱体は、その後に芯の周りを包むことのできる、シート状ブランクのスタンピングまたはエッチングによって形成されうる。好ましくは、発熱体は電気抵抗性ワイヤーのコイルである。コイルのピッチは0.5~1.5mmであることが好ましく、およそ1.5mmであることが最も好ましい。コイルのピッチは、コイルの隣接した巻きの間隔を意味する。コイルの巻き数は6回未満であることが有利であり、5回未満であることが好ましい。電気抵抗性ワイヤーの直径は0.10~0.15mmであることが有利であり、およそ0.125mmであることが好ましい。電気抵抗性ワイヤーは、904または301ステンレス鋼で製造されることが好ましい。適切なその他の金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な他の合金の例としては、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロミウム含有、アルミニウム-チタン-ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有および鉄含有の合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金および鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300, Denver Colorado)の登録商標である。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に断熱材料に包埋、封入、または断熱材料で被覆されてもよく、もしくはその逆であってもよい。発熱体は、二層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を含んでもよい。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I.du Pont de Nemours and Company(1007 Market Street,Wilmington, Delaware 19898,United States of America)の登録商標である。発熱体はまた、リボンの形態で提供される金属箔(例えば、アルミ箔)を含みうる。
【0057】
発熱体は抵抗加熱により作動しうる。言い換えれば、発熱体の材料および寸法は、特定の電流が発熱体を通過する時に、発熱体の温度が望ましい温度に上昇するように選択されうる。発熱体を通過する電流は、電池からの伝導によって適用されてもよく、あるいは発熱体の周りに変動する磁場を適用することにより発熱体内で誘導されてもよい。
【0058】
少なくとも一つの発熱体は、エアロゾル発生装置および取り外し可能なエアロゾル発生物品から成るエアロゾル発生システムの一部を装置が形成する場合、物品と装置の間に電気接点が形成されないように、誘導発熱体を備えてもよい。装置は、インダクタコイルと、高周波振動電流をインダクタコイルに提供するように構成される電源とを備えうる。物品は、エアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられたサセプタ素子を備えうる。本明細書で使用される場合、高周波振動電流とは、500kHz~10MHzの周波数を有する、振動電流を意味する。
【0059】
電気ヒーターのうちの1つまたは複数は、毛細管本体を備えることができ、該毛細管本体の外部表面上に、例えばコイルである発熱体が配置される。毛細管本体は、液体エアロゾル形成基体をその長さ方向に沿って運ぶことのできる適切な任意の材料または材料の組み合わせを含みうる。毛細管本体は多孔性材料より形成できるが、そうである必要はない。毛細管本体は繊維質または海綿状の構造を有する材料より形成してもよい。毛細管本体は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管本体は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。毛細管本体は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管本体の構造は複数の小さい穴またはチューブを形成し、これを通してエアロゾル形成液体は毛細管作用によって移動されることができる。好ましい特定の材料は、エアロゾル形成基体の物理的特性に依存することになる。適切な毛細管材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、セラミック、ガラス繊維、シリカガラス繊維、炭素繊維、オーステナイト系316ステンレス鋼ならびにマルテンサイト系440および420ステンレス鋼などの医療グレードのステンレス鋼合金の金属繊維など)でできた繊維性材料を含む。毛細管本体は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管作用を有することができる。液体は、毛細管本体を通って液体が移動できるような粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を有する。毛細管本体は耐熱性材料で形成されうる。有利なことに、毛細管本体は複数の繊維撚糸を含みうる。複数の繊維撚糸は概して、毛細管本体の長さ方向に沿って整列されうる。
【0060】
ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0061】
また、エアロゾル形成基体を含有する貯蔵部を備える消耗品カートリッジと共に用いる電気加熱式エアロゾル発生装置を記述するものであり、貯蔵部が、該カートリッジを貫通して延びる開放端通路を包囲する流体透過可能な内面を有するものであり、該装置は、カートリッジの少なくとも一部を受け入れる空洞を有するハウジングと、空洞内に配置されるヒーター組立品であって、ハウジングと連結して空洞内に挿入されたカートリッジの開放端通路内まで延びるように配置される細長支持部材、および、細長支持部材の長さ方向に沿って離間して固定される複数の電気ヒーターであって、空洞内に受け入れられるカートリッジのエアロゾル形成基体を加熱する少なくとも1つの発熱体をそれぞれ有する複数の電気ヒーターを備える、ヒーター組立品とを備えるものである。
【0062】
本発明の第二の態様によれば、上記に記載した実施形態のいずれかにかかる第一の態様の電気加熱式エアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含有する貯蔵部を備える消耗品カートリッジとを備える電気加熱式エアロゾル発生システムを提供するものであって、該貯蔵部は、該カートリッジを貫通して延びる開放端通路を包囲する流体透過可能な内面を有し、カートリッジの少なくとも一部が、細長支持部材がカートリッジの気流通路内まで延びるように、空洞内に受け入れられるものである。
【0063】
貯蔵部は、別個に保存される第一のエアロゾル形成基体と第二のエアロゾル形成基体とを含有しうる。こうした実施形態においては、複数の電気ヒーターが、第一のエアロゾル形成基体を加熱して第一のエアロゾルを形成する第一の電気ヒーターと、第二のエアロゾル形成基体を加熱して第二のエアロゾルを形成する第二の電気ヒーターとを含むことが好ましい。これにより、第一のエアロゾル形成基体と第二のエアロゾル形成基体とを独立に加熱することが可能になりうる。貯蔵部は、単一のエアロゾル形成基体を含有しうる。貯蔵部は、別個に保存される2以上のエアロゾル形成基体を含有してもよい。例えば、貯蔵部は、別個に保存される3つのエアロゾル形成基体、別個に保存される4つのエアロゾル形成基体、別個に保存される5つのエアロゾル形成基体または別個に保存される6つ以上のエアロゾル形成基体を含有できる。貯蔵部が、別個に保存される2以上のエアロゾル形成基体を含有する場合、複数の電気ヒーターが、エアロゾル形成基体毎に少なくとも1つの電気ヒーターを含んで、電気ヒーターのそれぞれが、その対応するエアロゾル形成基体を独立に加熱するように構成されていることが好ましい。
【0064】
装置は、ヒーター組立品と接続した電源と、該電源およびヒーター組立品と接続した電気回路とを備える。電気回路は、第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を独立に加熱可能であるように、第一の電気ヒーターおよび第二の電気ヒーターへの電源からの電力供給を別個に制御するように構成することができる。これにより、カートリッジを消費しながら、第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成気体の加熱を違った管理にすることが可能になりうる。
【0065】
この発明によるエアロゾル発生システムにおいては、システムを通る気流経路の一部を形成する気流通路を画定する中空シャフト部によって、細長支持部材を形成することが好ましい。こうした実施形態においては、貯蔵部は圧縮可能であることが好ましく、またカートリッジを貫通して延びる開放端通路の直径は、中空シャフト部の外径よりも小さいものである。この構成によれば、カートリッジが装置に挿入されたときに、貯蔵部が中空シャフト部によって圧縮されて、カートリッジと中空シャフト部との間の締り嵌めが確実となる。これにより、電気ヒーターと貯蔵部内のエアロゾル形成基体との間の接触を容易にさせ、一貫したエアロゾル特性を可能にさせうる。またそれにより、カートリッジと中空シャフト部の外側との間の気流を制限または除去することもできるため、それによって一貫したエアロゾルの送達が促進される。
【0066】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成液体であることが好ましい。
【0067】
「エアロゾル形成基体」という用語は本明細書で使用される場合、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関連する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体の加熱によって放出することができる。エアロゾル形成基体は、好都合なことに、カートリッジ等のエアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0068】
貯蔵部は、貯蔵部からヒーター組立品までエアロゾル形成液体を移動させる、内面の一部または内面の全てを形成する毛細管芯を備えることが好ましい。
【0069】
このシステムは、消耗品カートリッジを備える。消耗品カートリッジは、エアロゾル発生装置に取り外し可能に結合できる。本明細書で使用される「取り外し可能に結合される」という用語は、装置またはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、カートリッジおよび装置が互いに結合および分離できることを意味するように使用される。カートリッジは、エアロゾル形成基体が消費された時にエアロゾル発生装置から取り外されてもよい。カートリッジは、使い捨て式であってもよい。カートリッジは、再利用可能であってもよい。カートリッジは、エアロゾル形成基体を再充填可能であってもよい。カートリッジは、エアロゾル発生装置において交換可能であってもよい。
【0070】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成チャンバーを備える場合があり、そこでエアロゾルが過飽和蒸気から形成されて、その後ユーザーの口内に運ばれる。空気吸込み口、空気出口およびチャンバーは、エアロゾルを空気出口に運び、ユーザーの口の中へと入れるように、空気吸込み口からエアロゾル形成チャンバーを経由して空気出口への気流の経路を画定するように配置されることが好ましい。エアロゾル形成チャンバーは、カートリッジおよびエアロゾル発生装置の一方または両方によって画定してもよい。
【0071】
本発明の第三の態様によれば、上記した実施形態のいずれかに従って、第一の態様の電気加熱式エアロゾル発生装置または第二の態様の電気的に作動されるエアロゾル発生システムと共に用いる消耗品カートリッジを提供するものであって、該カートリッジは、カートリッジを貫通して延びる開放端通路を包囲する流体透過可能な内面を有する貯蔵部を備え、該貯蔵部は、別個に保存される第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を含有する。
【0072】
この第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体は、異なるものであってよい。
【0073】
カートリッジは、第一のエアロゾル形成基体を含む第一の封止区画と、第二のエアロゾル形成基体を含む第二の封止区画とを備えることができる。第一の区画および第二の区画は、カートリッジの上流端から下流端の方へ直列で配置されることが好ましい。すなわち、第二の区画は、第一の区画の下流にあることが好ましい。第一の区画と第二の区画のそれぞれは各末端に壊れやすいバリアを含むことが好ましい。壊れやすいバリアは、ユーザーによってカートリッジがエアロゾル発生装置内に挿入されるときに、該バリアを細長支持部材が貫通できるように構成される。それぞれの壊れやすいバリアは、金属膜で製造されることが好ましく、またアルミニウム膜で製造されることがより好ましい。カートリッジの第一の区画と第二の区画とは互いに隣接することが好ましい。別の方法として、第一の区画と第二の区画は間隙を介しうる。第一の区画と第二の区画の容積は同一または異なる容積としうる。一つの好ましい実施形態で、第二の区画の容積は第一の区画の容積よりも大きい。
【0074】
本明細書で使用される場合、「流体透過可能な面」は、液体または気体がそれを通って透過することを許容する面を指す。内面は、それに形成される複数の開口部を有して、流体が該開口部を通って透過することを許容しうる。
【0075】
カートリッジの中に開放端通路を設けることによってシステムをコンパクトにすることができる。これによって対称的かつバランスのとれたシステム内でカートリッジを使用できるようにもなりえ、これはシステムが手持ち式システムである場合に有利である。内部通路は装置からの熱損失を最小化し、かつ保持するのが快適な温度に装置およびカートリッジのハウジングを簡単に維持できるようにもする。
【0076】
カートリッジの上流端および下流端は、壊れやすいシールで蓋をすることができる。カートリッジは、開放端通路の上流端および下流端の一方または両方に、封止環をさらに含むことができる。
【0077】
貯蔵部は、内部通路を包囲する円筒形空間を形成することが好ましい。カートリッジは概して円筒形状を有してもよく、円形、六角形、八角形、十角形などの任意の望ましい断面を有してもよい。
【0078】
この発明にかかるカートリッジにおいては、貯蔵部は、液体エアロゾル形成基体が吸収されるような管状多孔性要素を備えることができる。
【0079】
貯蔵部は、液体エアロゾル形成基体を含有する毛細管芯および毛細管材料を含む。毛細管芯は、開放端通路を包囲する内面を画定することができる。
【0080】
毛細管材料は、液体を材料の一端から他端へ能動的に送達する材料である。毛細管材料は、貯蔵部内で、液体エアロゾル形成基体を開放端通路まで送達するように有利に方向付けられうる。毛細管材料は繊維質の構造を有しうる。毛細管材料は海綿体状の構造を有しうる。毛細管材料は一束の毛細管を含みうる。毛細管材料は複数の繊維を含みうる。毛細管材料は複数の糸を含みうる。毛細管材料は微細チューブを含みうる。毛細管材料は、繊維と糸と微細チューブとの組み合わせを含んでもよい。繊維、糸および微細チューブは、概して、液体を電気ヒーターに運ぶように整列されうる。毛細管材料は海綿体様の材料を含んでもよい。毛細管材料は発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成してもよく、それを通して液体を毛細管作用によって移動させることができる。
【0081】
毛細管材料は、適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は、ALTUGLAS(登録商標)医療用樹脂ポリメチルメタクリレート(PMMA)、Chevron Phillips K-Resin(登録商標)スチレンブタジエンコポリマー(SBC)、アルケマ特殊性能ポリマーPebax(登録商標)、Rilsan(登録商標)、およびRilsan(登録商標)Clear、DOW(Health+(商標))低密度ポリエチレン(LDPE)、DOW(商標)LDPE91003、DOW(商標)LDPE91020(MFI2.0;density 923)、ExxonMobil(商標)ポリプロピレン(PP)PP1013H1、PP1014H1およびPP9074MED、Trinseo CALIBRE(商標)ポリカーボネート(PC)2060-SERIES等の医療グレードのポリマーを含む、高分子化合物より製造できる。毛細管材料は、例えばアルミニウムまたはステンレス鋼の医療グレードの合金である、金属合金より製造してもよい。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管作用および空隙率を有してもよい。液体エアロゾル形成基体は、液体が毛細管作用によって毛細管材料を通って移動されることを可能にする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および原子圧を含むがこれに限定されない物理的特性を有する。毛細管材料はエアロゾル形成基体を気化器に運ぶように構成されうる。
【0082】
開放端通路は、この発明にかかる装置内で細長支持部材と協働する誘導手段および整列手段を形成して、カートリッジが正しい向きおよび位置で装置内に入ることを促すことが好ましい。
【0083】
エアロゾル形成基体はエアロゾル形成液体でもよい。こうした実施形態では、貯蔵部は、エアロゾル形成液体を保存する液体貯蔵部であることが好ましい。
【0084】
液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0085】
液体エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にする、およびシステムの操作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)であってもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0086】
エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体はグリセリンであってもよい。エアロゾル形成体はプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールの両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、約2%~約10%の間のニコチン濃度をもっていてもよい。
【0087】
上記では、液体エアロゾル形成基体を参照したが、当業者には、その他の形態のエアロゾル形成基体をその他の実施形態で使用しうることが明らかであろう。例えば、エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体としうる。エアロゾル形成基体は、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0088】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうち1つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうち1つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供してもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0089】
「均質化したたばこ」は本明細書で使用される場合、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量基準で5%より多くてもよい。別の方法では、均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントの間であってもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎のうちの一方または両方を粉砕またはその他の方法で細分することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えば、たばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうち1つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、1つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、1つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶剤およびその組み合わせを含むが限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0090】
随意に、固体のエアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとってもよい。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内部および外部の表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0091】
固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に配置されてもよい。固体のエアロゾル形成基体は、担体の全表面上に堆積させてもよく、または別の方法として、使用中に均一でない風味送達を提供するためにあるパターンで堆積させてもよい。
【0092】
本発明の第四の態様によれば、電気加熱式エアロゾル発生システムのためのキットが提供されるものであって、該キットは、上述の実施形態のいずれかにかかる第一の態様の電気加熱式エアロゾル発生装置と、上述の実施形態のいずれかにかかる第三の態様の複数の消耗品カートリッジとを備える。
【0093】
「上流」および「下流」という用語は本明細書で使用される場合、本発明によるカートリッジ、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の相対位置を、その使用中のカートリッジ、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムを通過して引き込まれる空気の方向に関連付けて説明するのに使用される。「遠位」および「近位」という語は、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムの構成要素の相対位置を、ある構成要素の近位端が、装置と連結された「固定」端にあり、遠位端が、近位端とは反対側の「自由」端にあるような、装置とのそれらの連結に関連付けて説明するのに使用される。ある構成要素が、該構成要素の下流端で装置と連結する場合、下流端を「近位」とみなすことができるものであり、その逆もまた同様である。
【0094】
本明細書で使用される場合、「長軸方向」および「長さ方向」という語は、カートリッジ、装置または装置の構成要素についての両端間、例えばその下流または近位端と、反対側の上流または遠位端との間等における方向を指す。「横断(横)」という用語は、長軸方向に対して垂直な方向を記述するために使用される。
【0095】
カートリッジおよびエアロゾル発生装置の上流端および下流端は、ユーザーがエアロゾル発生装置の口側の端で引き込むときの気流に関連して定義される。空気は、その上流端でカートリッジまたは装置内に引き込まれて、カートリッジまたは装置を通って下流に流れ、その下流端においてカートリッジまたは装置から排出される。
【0096】
本明細書で使用される場合、「空気吸込み口」という用語は、それを通してエアロゾル発生システムの中へと空気を引き込むことができる1つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0097】
「空気出口」という用語は本明細書で使用される場合、それを通して空気がエアロゾル発生システムから引き出されうる1つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0098】
一つ以上の態様に関して説明した特徴は、本発明の他の態様に等しく適用されてもよい。特に、第一の態様のエアロゾル発生装置に関連して説明した特徴は、第二の態様のエアロゾル発生システム、第三の態様のカートリッジ、および第四の態様のキットにも等しく適用されてよく、その逆も同様である。
【0099】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【
図1】
図1は、第一の実施形態によるエアロゾル発生システムの縦断面を示す。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生システムと共に使用する消耗品カートリッジの縦断面を示す。
【
図3】
図3Aは、
図1のエアロゾル発生システムのためのヒーター組立品の第一の実施形態の縦断面を示す。
図3Bは、
図3Aのヒーター組立品の遠位端面図を示す。
図3Cは、
図3Aのヒーター組立品の側面図を示す。
【
図4】
図4Aは、
図1のエアロゾル発生システムのヒーター組立品のための電気ヒーターの第一の実施形態の側面図を示す。
図4Bは、
図4Aの電気ヒーターの端面図を示す。
図4Cは、明確にするために電気ヒーターの他の構成要素を除いた状態の、
図4Aの電気ヒーターの電気接点の側面図を示す。
【
図5】
図5Aおよび5Bは、
図1のエアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置内に、消耗品カートリッジを挿入する方法を示す。
図5Cは、
図5Aおよび5Bのシステムのカートリッジおよびヒーター組立品の縦断面を示すものであり、該システムを傾斜位置で保持している。
【
図6】
図6Aは、
図1のエアロゾル発生システムのためのヒーター組立品の第二の実施形態の縦断面を示す。
図6Bは、
図6Aの6B-6B線に沿って切断した、
図6Aのヒーター組立品の横断面図を示す。
図6Cは、
図6Aのヒーター組立品の側面図を示す。
【
図7】
図7Aは、
図1のエアロゾル発生システムのためのヒーター組立品の第三の実施形態の側面図を示す。
図7Bは、
図7Aのヒーター組立品の遠位端面図を示す。
【
図8】
図8は、
図1のエアロゾル発生システムのためのヒーター組立品の第四の実施形態の側面図を示す。
【
図9】
図9Aは、
図1のエアロゾル発生システムのヒーター組立品のための電気ヒーターの第二の実施形態の側面図を示す。
図9Bは、
図9Aの電気ヒーターの端面図を示す。
【
図10】
図10Aから
図10Cは、第二の実施形態にかかるエアロゾル発生システムの縦断面を示すものであって、エアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置への消耗品カートリッジの挿入方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図1は、エアロゾル発生装置100と、消耗品カートリッジ200の形態であるエアロゾル発生物品とを備えた、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システム10の概略図である。
【0102】
装置100は、電池104および制御電子回路106を含むメインハウジング102を備える。ハウジング102はまた、その中にカートリッジ200を受け入れる空洞108を画定する。装置100は、出口112を含むマウスピース部110をさらに含む。マウスピース部110は、この例ではねじ式装着でメインハウジング102に連結されているが、ヒンジによる連結またはスナップ嵌め等、任意の好適な種類の連結を使用できる。装置100は、ハウジング102と連結する細長貫通部材302の形態である細長支持部材と、該貫通部材302で支持する複数の電気ヒーター400とを備えたヒーター組立品300をさらに含む。細長貫通部材302は、装置100の空洞108内の中央に位置し、空洞108の長軸方向軸に沿って延びる。貫通部材302は、気流通路306を画定する中空シャフト部304を備える。空気吸込み口114は、ヒーター組立品300の上流のメインハウジング102内に設けられ、気流通路306を介して出口112と流体連通する。
【0103】
図2に最良に示すように、カートリッジ200は、液体エアロゾル形成基体を含有する管状の毛細管材料206で包囲した管状の毛細管芯204を含む貯蔵部202を備える。カートリッジ200は、内部通路208が貫通して延びる中空円筒形状を有する。毛細管芯204は、毛細管芯204の内部表面が内部通路208を少なくとも一部画定するようにして、内部通路208を包囲する。カートリッジ200の上流端および下流端は、壊れやすいシール210、212で蓋をされる。カートリッジ200は、内部通路208の上流端および下流端のそれぞれに封止環214、216をさらに含む。
【0104】
図3A、3Bおよび3Cに最良に示すように、ヒーター組立品300の細長貫通部材302の中空シャフト部304は、その下流端に貫通面308を有する。この例においては、貫通面308は、中空シャフト部304の下流端が、鋭利な先端で形成されている。中空シャフト部304は、その中に複数の電気ヒーター400を保持する複数の開口部310を有する。開口部310は対で設けられ、各対においては、その両端で1つの電気ヒーター400を支持する。各対の2つの開口部は、電気ヒーター400のそれぞれが気流通路306を横切って延びるように、中空シャフト部304の円周周囲において離間されている。この例においては、複数の開口部310は、3つの電気ヒーター400を支持する3対の開口部312、314、316を備える。3対の開口部312、314、316は、3つの電気ヒーター400の長軸方向軸が平行かつ回転整列されるように、中空シャフト部304の長さ方向に沿って離間させて、中空シャフト部304の円周周囲に整列させる。ヒーター組立品の他の配置も想定される、ということが理解されよう。例えば、
図6Aから
図6C、
図7A、
図7Bおよび
図8に関連して、ヒーター組立品の代替的な3つの配置について以下に論じている。
【0105】
中空シャフト部304は少なくとも部分的に、装置100と電気的に接続する複数の電気的に分離したセクション318に分割される。中空シャフト部304の開口部310は、電気的に分離したセクション318のうちのひとつ内にそれぞれ形成される。この方法では、複数の開口部310が保持する電気ヒーター400は、装置100と電気的に接続している。電気的に分離したセクション318は、絶縁ギャップ320によって相互に電気的に分離されている。それにより、電気ヒーター400は相互に電気的に分離されて、ヒーター毎に別個の電気配線を必要とすることなく、作動、制御および監視が可能となるものでありうる。この例においては、ギャップ320は空気による間隙である。すなわち、ギャップ320は絶縁材料を含んでいない。他の例においては、ギャップ320のうちの1つまたは複数を、電気的に絶縁な材料で満たすか、または電気的に絶縁な材料で一部満たしてもよい。
【0106】
図4Aから
図4Cにおいて最良に示すように、各電気ヒーター400は、毛細管本体402と、毛細管本体402の外部表面上に配置された発熱体404と、毛細管本体402の周囲で発熱体404を覆って固定される、離間させた1対の電気接点406とを備える。毛細管本体402、すなわち毛細管芯は、それを通ってエアロゾル形成液体が毛細管作用によって移動可能となる複数の繊維408を備える。この例においては、複数の繊維408は概して、毛細管本体402の長さ方向に沿って整列する。他の例においては、複数の繊維は、特定のパターンで織られるか、または編まれていてもよい。このことは、機械的強度または毛細管作用等である毛細管芯の物理的特性を、特定のパターンの繊維を使用することによって変化させることを可能にする。また、平行な繊維を備えたものよりもより効果的に、毛細管芯の形状および寸法を維持できるようにもなりうる。毛細管本体は、例えば隣接する繊維間に間隙が存在することに起因して、圧縮可能である。この例においては、毛細管本体402の端部は、丸みをもたせるか、またはドーム状にする。このことは、毛細管本体402とカートリッジ200内のエアロゾル形成液体との間における表面積を増大させることに役立ちうる。他の例においては、毛細管本体402の端部を平坦または平面状にしてもよい。
【0107】
各電気ヒーター400の発熱体404は、毛細管本体402の周囲に巻回してその全長に沿って延びる、電気抵抗性ワイヤーのコイルより形成される。該ワイヤーは適切な任意の断面形状を有しうる。この例においては、ワイヤーは、円形断面形状を有する。他の例においては、ワイヤーは、楕円状、三角形状、正方形状、長方形状または平坦状の断面形状を有してもよい。これにより、毛細管本体402の繊維408と発熱体404との間の熱伝達を増大させることができる。
【0108】
各電気ヒーター400の電気接点406は、毛細管本体402の一端にある第一の金属環412と、毛細管本体402の他端にある第二の金属環414とを備える。第一の金属環および第二の金属環412、414は、毛細管本体402の全円周の周囲で発熱体404を覆って延在する。該環412、414のそれぞれの内径は、毛細管本体402の外径より小さい。その結果、環412、414とその下の毛細管本体402との間は締り嵌めとなる。これにより、環412、414を、毛細管本体402に圧入させ、その間に発熱体404を保持しながら毛細管本体402に対して固定させることが確実となる。このことは、電気接点406および発熱体404間において、信頼できる電気的接続を確実とすることに役立つ。電気接点406は、毛細管本体402の全円周の周囲に延びるため、電気的接続を確実にするための組み立ての間に、電気接点の回転位置を加熱コイル404の位置と合わせることに慎重になる必要がない。
【0109】
電気接点406の第一および第二の環412、414は、剛直であり、屈曲させた金属のシートより形成される。この屈曲させたシートの対向する両端を、接合部416において共に連結させる。この例においては、該対向する両端は、接合部416が斜線に沿って延びるような協働的な形状であるようにする。このことは、電気接点406のそれぞれが、その対向する両端間での電気ヒーター400の長さ方向における相対的な動きに耐えることによってその形状を維持することに役立つ。他の例においては、対向する両端を、接合部が波状、正弦状、放物線状、U状、V状、曲線状またはジグザグ形状等の非直線形状を有するような、協働的な形状であるようにしてもよい。ここでもまた、このことが、上記で述べた理由に関して、電気接点406それぞれがその形状を維持することに役立つ。
【0110】
図4Aから
図4Cに示す例においては、毛細管本体402は、円形断面を有し、電気接点406は、円環の形態とする。しかしながら、他の例においては、毛細管本体402および電気接点406は、任意の好適な断面形状を有してよい。例えば、毛細管本体および電気接点は、楕円状、三角形状、正方形状、長方形状または菱形状の断面形状を有することができる。
【0111】
電気接点406と貫通部材302内の開口部310とは、摩擦嵌めをもたらすように、協働的な大きさとする。これにより、中空シャフト部304と電気ヒーター400との間で堅固な嵌合が確実となる。また、これにより、装置100内において各電気ヒーターの発熱体と電池104との間の良好な電気的接続を維持することができるようになりうる。この例においては、開口部310は、電気ヒーター400の電気接点の形状と一致する円形である。他の例においては、電気接点の断面形状は別の形状であってもよく、開口部の形状は、それに従って決定する。電気ヒーターが、外向きに延在するタブを有する場合の例においては、
図9Aおよび
図9Bに関連して以下に述べる電気ヒーターの実施形態のように、開口部310は、該タブをその内部に受け入れることができるポートを形成する対応するノッチ(図示せず)を有することができる。あるいは、または追加的に、貫通部材302は、タブを配置および保持することができる1つまたは複数のクリップを含んでもよい。
【0112】
ここで、
図5Aおよび
図5Bを参照しながら、システム10の装置100へのカートリッジ200の挿入について説明することとする。
【0113】
装置100にカートリッジ200を挿入することによってシステム10を組み立てるために、第一のステップとして、
図5Aに示すように、装置100のメインハウジング102からマウスピース部110を取り外し、装置100の空洞108内に物品200を挿入する。空洞108内にカートリッジ200を挿入しながら、貫通部材302の遠位端にある貫通面308が、カートリッジ200の上流端にある壊れやすいシールを破る。該カートリッジ200が空洞108内にさらに挿入され、貫通部材302がカートリッジの内部通路208内へとさらに延びると、貫通面308はカートリッジ200の下流端にある壊れやすいシールと係合して突破し、壊れやすいシールに穴を開ける。
【0114】
そして、
図5Bに示すように、カートリッジ200は空洞108内に完全に挿入され、マウスピース部110はメインハウジング102上に戻されてそれに係合して、カートリッジ200を空洞108内に封入する。カートリッジ200が空洞108内に完全に挿入されるとき、カートリッジ200の上流端および下流端それぞれの壊れやすいシールの穴の直径は、中空シャフト部304の外径にほぼ等しい。カートリッジ200の上流端および下流端の封止環は、中空シャフト部304の周囲を密閉する。壊れやすいシールと協働して、これは、液体エアロゾル形成基体がカートリッジ200およびシステム10から漏出することを低減するまたは防止する。カートリッジ200は、マウスピース部110がメインハウジング102上に戻される前に、ユーザーによって空洞108内に完全に押し込まれてもよい。別の方法として、カートリッジ200を空洞108内に一部挿入しておいて、完全に挿入されるまでマウスピース部110を使用してカートリッジ200を空洞108内に押し込むようにしてもよい。これは、ユーザーにとってより便利でありうる。
【0115】
図5Bに示す通り、カートリッジ200がエアロゾル発生装置100の空洞108内に完全に挿入されるとき、気流経路(
図5Bの矢印で示す)はエアロゾル発生システム10を通って形成される。気流経路は、カートリッジ200の内部通路208およびヒーター組立品300内の気流通路306を経由して、空気吸込み口114から出口112に延びている。
図5Bに示すように、カートリッジ200が完全に挿入されると、電気ヒーター400は、内部通路208の内面においてカートリッジ200の貯蔵部202と流体連通となる。
【0116】
使用中、液体エアロゾル形成基体は、各電気ヒーター400の貯蔵部202から毛細管本体402に、毛細管作用を介して、また貫通部材302内の複数の開口部を通って、移動する。この例では、細長貫通部材302の中空シャフト部304の外径は、カートリッジ200の内部通路208の内径より大きく、それにより、カートリッジ200の貯蔵部202は中空シャフト部304によって圧縮される。これにより、電気ヒーター400の端部と貯蔵部202との間では直接の接触が確実になり、液体エアロゾル形成基体の電気ヒーター400への移動に役立つ。電池が、貫通部材302および電気接点406を経由して、電気エネルギーを各電気ヒーター400の発熱体に供給する。発熱体は熱せられて、電気ヒーター400の毛細管本体内の液体基体が気化して、過飽和蒸気が生成する。同時に、気化した液体は、毛細管作用により液体貯蔵部202の毛細管芯ならびに各電気ヒーター400の毛細管本体に沿って移動するさらなる液体で置換される。(これは、「ポンプ作用」と呼ばれることもある。)空気は、ユーザーがマウスピース部110で引き込むとき、空気吸込み口114を通って引き込まれ、中空シャフト部304の気流通路を通り、電気ヒーター400を通過して、マウスピース部110内に入り、出口112から排出される。気化したエアロゾル形成基体は、中空シャフト部304の気流通路を通る気流中に混入し、マウスピース部110内で凝結することで、出口112の方に運ばれてユーザーの口内に運ばれるものである吸引可能なエアロゾルが形成される。
【0117】
装置は、装置100上のユーザー操作スイッチ(図示せず)で操作できる。別の方法として、または追加的に、装置は、ユーザーの吸煙を検出するセンサーを含んでもよい。該センサーが吸煙を検出すると、制御電気回路が、電池から電気ヒーター400への電気エネルギーの供給を制御する。センサーは、1つ以上の別々の構成要素を含んでもよい。実施例によっては、吸煙検出機能は、ヒーターおよび芯組立品の発熱体によって実行される。例えば、発熱体の1つ以上の電気的パラメータを制御電子回路を用いて測定して、吸煙を示す測定された電気的パラメータにおける特定の変化を検出することによってなされる。
【0118】
システム使用中、カートリッジ内の液体エアロゾル形成基体の分布は変化しうる。例えば、貯蔵部内の液体エアロゾル形成基体が使用中に減少する場合や、システムが、十分な時間の間ある角度で保持されていた場合にである。この液体エアロゾル形成基体の分布の変化は、各電気ヒーターの毛細管本体中の液量における相違と、その結果としての各電気ヒーターの発熱体の温度における相違とを招きうる。このことは、
図5Cに関して以下で述べている。
【0119】
図5Cは、システムを傾斜位置で保持していたある期間後の、エアロゾル発生システムのカートリッジ200およびヒーター組立品300の縦断面を示している。図示するように、カートリッジ200内に残っている液体203は、貯蔵部202内で、ヒーター組立品300に対してある角度で定在している。電気ヒーターはカートリッジ200の長さ方向に沿って離間させているため、電気ヒーターの毛細管本体が吸い上げる液体エアロゾル形成基体の量は、均一でない。特に、ヒーター組立品300の上流端にある第一の電気ヒーター401の毛細管本体402が、液体エアロゾル形成基体で飽和している一方で、ヒーター組立品300の長さ方向に沿って中間にある第二の電気ヒーター403は、その一部のみが液体エアロゾル形成基体で湿っており、ヒーター組立品300の下流端にある第三の電気ヒーター405は乾燥している。結果として、電気ヒーター401、403、405は異なる温度で動作する。例えば発熱体の抵抗率、導電率、インピーダンス、静電容量、電流、電圧および抵抗などである各電気ヒーターの電気的パラメータは、温度の関数として変化しえ、液体エアロゾル形成基体の分布または液体エアロゾル形成基体の残量は、各電気ヒーターの電気的パラメータを測定することで制御回路によって概算することができる。制御電子回路は、使用中に各電気ヒーターの1つまたは複数の電気的パラメータを別個に測定し、電気ヒーターからの測定した電気的パラメータにおける相違に基づいて、カートリッジ内の液体エアロゾル形成基体の概算残量または概算分布を計算するように構成されている。そのため、電気ヒーターは、ヒーターとセンサーの両方として機能する。
【0120】
装置は、制御回路と接続する、ディスプレイまたは音声出力もしくは触覚出力等のユーザー用インジケータ(図示せず)を含み、それを用いてカートリッジ200内の液体エアロゾル形成基体の概算残量に関してユーザーに情報を送達することができる。概算残量が閾値より下回る場合に、電気回路が、ユーザー用インジケータを作動してユーザーに報知し、ユーザーに対して取替えが必要なカートリッジの交換を促すように構成することもできる。制御回路はまた、電気ヒーターからの測定した電気的パラメータにおける相違に基づいて、カートリッジ内の液体エアロゾル形成基体の分布を概算して、その概算分布が、特定の角度でのシステムの保持が長すぎることを示している場合に、ユーザー用インジケータを作動して、液体エアロゾル形成基体が貯蔵部中で再分布させるために少なくとも一時的に装置100の向きを変えるべきである旨をユーザーに報知するように構成することもできる。この際、または他の例において、制御回路は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、デスクトップコンピュータまたは同様のデバイス等である独立のデバイスとの通信回線を経由して、概算残量または概算分布についてユーザーに報知するように構成してもよい。
【0121】
電気ヒーター400における電気的パラメータにおける相違を検知し、カートリッジ200内の液体エアロゾル形成基体の概算残量または概算分布を計算することに加えて、制御回路106はまた、概算残量または概算分布に応じて、電気ヒーター400のそれぞれに対する電力供給を制御するように構成される。特に、測定した電気的パラメータが、電気ヒーター400のうちの1つまたは複数が一部乾燥していることを示している場合に、制御電子回路106は、その電気ヒーターへの電気的エネルギーの供給を減少させるように構成される。これにより、システム10は、最も効果的な方法でエアロゾルを発生するのに最良の状態であるのはどの電気ヒーター400であるかを判断することができる。これにより、湿潤度および温度における電気ヒーター間での差異が引き起こす、システム10で発生するエアロゾルの特性への不利な変化を、最小化できるようになる。これはまた、システム10のエネルギー消費を低減して、過熱に起因する電気ヒーターの損傷の危険性を低減することができる。特に、電気的パラメータが、電気ヒーター400のうちの1つまたは複数が乾燥していることを示している場合に、制御電子回路106は、その電気ヒーターへの電気的エネルギーの供給をゼロまで減少させるように構成される。
【0122】
図6A、6Bおよび6Cは、本発明の第二の実施形態にかかるヒーター組立品600を示す。ヒーター組立品600は、第一の実施形態のヒーター組立品300と類似の構造を有し、同一の特徴が存在する場合には、同様の参照符号を使用している。第一の実施形態のヒーター組立品のように、中空シャフト部604が、3対の開口部612、614、616を備えるものであって、そこでは3つの電気ヒーター401、403、405が、それらの長軸方向軸が横断方向で平行となるように保持されている。しかしながら、第一の実施形態のヒーター組立品300におけるものとは異なり、第二の実施形態にかかるヒーター組立品600では、中空シャフト部604の中央の第二の対の開口部614は、中空シャフト部604の円周周囲において、第一および第三の対の開口部612、616に対して90度だけずれている。その結果、中央の電気ヒーター403の長軸方向軸は、第一および第二の電気ヒーター401、405に対して、中空シャフト部604の長軸方向軸を中心に90度だけ回転している。これにより、第一の実施形態のヒーター組立品300と比べて、カートリッジ内の液体エアロゾル形成基体を、より効率的に使用できるようになりうる。
【0123】
図7Aおよび7Bは、本発明の第三の実施形態にかかるヒーター組立品700を示す。ヒーター組立品700は、ヒーター組立品300および600の第一および第二の実施形態と類似の構造を有し、同一の特徴が存在する場合には、同様の参照符号を使用している。第二の実施形態のヒーター組立品600のように、中空シャフト部704が、3対の開口部712、714、716を備えるものであって、そこでは3つの電気ヒーター401、403、405が、それらの長軸方向軸が横断方向で平行となるように保持されている。しかしながら、第二の実施形態のヒーター組立品600におけるものとは異なり、第三の実施形態にかかるヒーター組立品700では、開口部の対712、714、716はそれぞれ、電気ヒーター401、403、405の長軸方向軸を横断方向において平行とするが互いに対しては中空シャフト部704の長軸方向軸を中心に回転させるように、中空シャフト部704の円周周囲においてそれぞれずらしている。この例においては、各電気ヒーター401、403、405の長軸方向軸は、その隣接する電気ヒーターから90度未満の均等な量だけ回転している。結果として、電気ヒーター401、403、405は、中空シャフト部704に沿って、スパイラル状またはへリックス状のパターンで配置される。他の例においては、電気ヒーターは、均等でない量だけ中空シャフト部704の長軸方向軸を中心に回転していてもよい。
【0124】
図8は、本発明の第四の実施形態にかかるヒーター組立品800を示す。第一、第二および第三の実施形態のヒーター組立品300、600および700のように、第四の実施形態のヒーター組立品800は、気流通路806を画定し、かつ、その下流における鋭利な先端で形成される貫通面808を有する、導電性の中空シャフト部804を備える細長貫通部材802の形態で、細長支持部材を備える。ここでもまた、中空シャフト部804は少なくとも部分的に、その長さ方向に沿って離間させ、かつ、絶縁ギャップ820によって互いに分離される複数の電気的に分離したセクション818に分割した複数の開口部810を備える。第一、第二および第三の実施形態のヒーター組立品とは異なり、第四の実施形態のヒーター組立品800の開口部810は、別個の電気ヒーターを支持するようには配置されていない。代わりに、開口部810は、中空シャフト部の長さ方向に沿って離間させた複数の開口部810の群内に配置されて、電気ヒーター850を画定する開口部810の群それぞれは、隣接する開口部810間に位置した中空シャフト部804の狭領域で形成された1つまたは複数の発熱体852を備える。この方式においては、電気ヒーター850は、中空シャフト部804自体によって画定される。開口部810の群とそれによる電気ヒーター850とは、電気的に分離したセクション818のうちのひとつ内にそれぞれ形成される。この方式においては、電気ヒーター850は、絶縁ギャップ820によって相互に電気的に分離されている。開口部810は、使用の際に、液体エアロゾル形成基体が、開口部810を通って毛細管作用によって電気ヒーター850内に吸い上げられるような大きさになされていることが好ましい。
図8に示す例においては、開口部810の郡は、中空シャフト部804の円周周囲において互いにずらされる。他の例においては、開口部810の郡の2つ以上を、中空シャフト部804の円周周囲に整列させてもよい。
【0125】
図9Aおよび9Bは、第二の実施形態にかかる電気ヒーター900を示す。電気ヒーター900は、第一の実施形態である電気ヒーター400と類似の構造を有し、同一の特徴が存在する場合には、同様の参照符号を使用している。第一の実施形態の電気ヒーター400のように、電気ヒーター900は、毛細管本体902と、毛細管本体902の周囲に巻回する電気抵抗性ワイヤーのコイルより形成された発熱体904と、毛細管本体902の周囲で発熱体904を覆って固定される、離間させた1対の電気接点906とを備える。ここでもまた、電気接点906は、毛細管本体904の第一および第二の端部において、第一の金属環および第二の金属環912および914を備える。しかしながら、電気ヒーター900においては、電気接点906は、電気ヒーター900の両側において外向きに延在するタブ918をさらに備える。タブ918は、電気ヒーター900を、この発明にかかるエアロゾル発生システム内に位置決めし、保持することができる平面を提供する。例えば、タブ918は、エアロゾル発生システム内の1つ以上のポート内に受け入れられて、電気接点906をシステムのハウジングに簡単にかつ正しい位置に固定させることができうる。タブ918の平面形状はまた、外向きに延在するタブを有さない電気接点を備えるものよりも、より広い導電性の表面積が存在していることによって電気接点の電源への電気的接続を容易にすることもできる。さらに、電気ヒーター900は、毛細管本体902の中心を通って延びる剛直支持部材920をさらに含む。剛直支持部材920は、中央部922から形成される固体の断面および中央部922から放射状に延びる複数の横リブ924を備える単一の一体的な構成要素である。この断面形状は、剛直支持部材920に所与の断面積に対して比較的高い横方向の剛性を与えている。これにより、剛直支持部材920に占有される毛細管本体902内の空間は、毛細管本体902の吸上性能または毛細管作用が、剛直支持部材920の存在にほとんど影響を受けることがないように最小化されうる。剛直支持部材920は、実質的に毛細管本体902の全長に沿って延びており、毛細管本体902より強く硬い。そのため、剛直支持部材920により、電気ヒーター900の強度および剛性が増し、頑健さおよび取り扱い易さがさらに改善される。電気ヒーター900の曲げ強度および剛性が増すことに加えて、剛直支持部材920は、毛細管本体902の中心の密度も増す。これにより、毛細管本体902の径方向の圧縮性を減らすことができ、これが電気接点906と発熱体904との間の締り嵌めを確実にすることに役立ちうる。剛直支持部材920は、電気絶縁性材料で形成されている。これにより、発熱体904と剛直支持部材920との間に意図しない接触が起きたときに、発熱体904の電気的性能への剛直支持部材920の影響が低減される。この例においては、毛細管本体902の端部を平坦または平面状にする。他の例においては、毛細管本体902の端部は、丸みをもたせるか、またはドーム状にしてもよい。
【0126】
図10Aから
図10Cは、本発明の第二の実施形態にかかるエアロゾル発生システム1000を示しており、該システム1000は、エアロゾル発生装置1100と、消耗品カートリッジ200の形態でエアロゾル発生物品とを備える。消耗品カートリッジ200は、第一の実施形態のエアロゾル発生システム10に関して上述したものと同一である。エアロゾル発生システム1000およびエアロゾル発生装置1100は、第一の実施形態のエアロゾル発生システム10およびエアロゾル発生装置100とそれぞれ類似した構造を有しており、同一の特徴が存在する場合、同様な参照番号が使用されている。装置100のように、装置1100は、その内部でカートリッジ200を受け入れるものである空洞1108を画定するメインハウジング1102と、空洞1108の長軸方向軸に沿って延びる細長支持部材を備えるヒーター組立品1300と、細長支持部材によって支持され、かつ、その長さ方向に沿って離間させた複数の電気ヒーター400とを備える。電気ヒーター400は、第一の実施形態のエアロゾル発生システム10に関して上述したものと同一である。しかしながら、細長支持部材は、ハウジング1102と連結する第一の細長貫通部材1302と、マウスピース部1110と連結する第二の細長貫通部材1322とを備える、2部よりなる支持部材である。第一および第二の貫通部材1302、1322は、気流通路1306、1326を画定する中空シャフト部1304、1324をそれぞれ備える。第一の貫通部材1302は、その下流端に鋭利な先端より形成された第一の貫通面1308を有する。第二の貫通部材1322は、その上流端に鋭利な先端より形成された第二の貫通面1328を有する。ヒーター組立品1300の上流のメインハウジング1102内の空気吸込み口1114は、気流通路1306、1326を介して出口1112と流体連通となる。
【0127】
第一および第二の中空シャフト部1304、1324は、同一の長軸方向軸に沿って延び、第一および第二の中空シャフト部1304、1324の遠位端は、マウスピース部1110がハウジング1102と係合したときに第一および第二の中空シャフト部1304、1324間の接合部1330において封止が形成されるように、協働的な形状となるようにする。第一の中空シャフト部1304の遠位端は、内向きにテーパ状である外側面1309を有し、第二の中空シャフト部1324の遠位端は、外向きにテーパ状である内側面1329を有するものであって、該外側面および該内側面1309および1329は、第一の中空シャフト部1304の外側面1309が、第二の中空シャフト部1324の内側面1329内に嵌合して封止を形成するような形状になされる。それによって第一および第二の中空シャフト部1304、1324は係合して、第一の実施形態のエアロゾル発生システム10におけるものと酷似した、単一の中空シャフト部を形成する。
【0128】
第一の実施形態のエアロゾル発生システム10のように、各中空シャフト部1304、1324は、その内部に複数の電気ヒーター400を保持する複数の開口部1310を有する。開口部1310は対で設けられ、各対においては、その両端で1つの電気ヒーター400を支持する。
図10Aから
図10Cに示す例においては、ヒーター組立品1300は、その長さ方向に沿って離間させた4つの電気ヒーター400を備える。電気ヒーターのうちの2つは、第一の中空シャフト部1304の開口部1310の対で支持されて、電気ヒーターのうちの残りは、第二の中空シャフト部1324において開口部の対で支持されている。各対の2つの開口部は、電気ヒーター400のそれぞれが気流通路1306、1326を横切って延びるように、中空シャフト部1304、1324の円周周囲において離間させる。
【0129】
第一および第二の中空シャフト部1304、1324はいずれも導電性であり、少なくとも部分的に複数の電気的に分離されたセクションに分割されて、それぞれが1つまたは複数の電気ヒーター400と連携し、また絶縁ギャップで分離されている。第一および第二の中空シャフト部1304、1324が係合すると、第二の中空シャフト部1324の電気的に分離されたセクションは、第一の中空シャフト部1304および接合部1330を介して、または、マウスピース部1110とメインハウジング1102との間の電気的接続(図示せず)を介して装置内の電池と電気的に接続するマウスピース接続1311を介して、装置1100内の電池と電気的に接続することができる。この例においては、複数の開口部1310は、電気ヒーター400の長軸方向軸が平行かつ回転整列されるように、中空シャフト部1304、1324の円周周囲で整列する。ヒーター組立品の他の配置も想定される、ということが理解されよう。例えば、ヒーター組立品は、係合した第一の中空シャフト部と第二の中空シャフト部とによって形成される中空シャフト部が、
図3Aから
図3C、
図6Aから
図6C、
図7A、
図7Bおよび
図8に関して上述したヒーター組立品のうちのひとつに相当するように、配置することができる。
【0130】
カートリッジ200を装置1100に挿入し、それによりシステム1000を組み立てるため、第一のステップでは、
図10Aに示すように、装置1100のメインハウジング1102からマウスピース部1110を取り外し、物品200を装置100の空洞1108に挿入する。カートリッジ200を空洞1108に挿入しながら、第一の貫通部材1302の遠位端の貫通面1308が、カートリッジ200の上流端において壊れやすいシールを破る。その後マウスピース部1110が、
図10Bに示すように、第二の貫通部材1322がカートリッジ200の内部通路と一直線になるようにして、ハウジング1102の端部を覆って配置される。マウスピース部1110がハウジング1102とさらに係合すると、第二の貫通部材1322の遠位端にある貫通面1328がカートリッジ200の下流端にある壊れやすいシールを突破して、壊れやすいシールに穴を開ける。そして、
図10Cに示すように、マウスピース部1110はハウジング1102と完全に係合し、カートリッジ200が空洞1108内に完全に挿入されて封入される。
【0131】
カートリッジ200が空洞1108内に完全に挿入されたとき、カートリッジ200の上流端および下流端にある壊れやすいシール内で第一および第二の貫通部材1302、1322が開ける穴の直径は、それぞれ中空シャフト部1304、1324の外径にほぼ等しい。カートリッジ200の上流端および下流端の封止環は、中空シャフト部1304、1334の周囲を密閉する。壊れやすいシールと協働して、これは、液体エアロゾル形成基体がカートリッジ200およびシステム1000から漏出することを低減するまたは防止する。
図10Cにも示す通り、カートリッジ200がエアロゾル発生装置100の空洞1108内に完全に挿入されるとき、気流経路(
図10Cの矢印で示す)は、カートリッジ200内の内部通路208と、ヒーター組立品1300内の気流通路1306、1326とを経由して、エアロゾル発生システム1000を通って形成される。
図10Cにさらに示すように、カートリッジ200が完全に挿入されると、電気ヒーター400は、カートリッジ200の内部通路208の内面において毛細管芯204を経由してカートリッジ200の貯蔵部202と流体連通となる。
【0132】
第二の実施形態のエアロゾル発生システム1000の用途は、第一の実施形態のエアロゾル発生システム10に関して上述したものと同一である。
【0133】
上記の特定の実施形態および実施例は本発明を図示するが、本発明を限定するものではない。当然のことながら、本発明の他の実施形態がなされてもよく、また本明細書で記述した具体的な実施形態および実施例は網羅的なものでない。