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特許7069051温度依存電池予備加熱を備える電池式エアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】温度依存電池予備加熱を備える電池式エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20220510BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F47/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018565051
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2017064663
(87)【国際公開番号】W WO2018001746
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-15
(31)【優先権主張番号】16176953.4
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】タバッソ アラン
(72)【発明者】
【氏名】デュック ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ロベール ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ベッサン ミシェル
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02528711(GB,A)
【文献】特開2006-196256(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159913(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24F 40/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に作動するエアロゾル発生要素と、
前記エアロゾル発生要素に電力を供給するように構成される、第一の電気化学的エネルギー貯蔵装置(EESD)と、
前記第一のEESDの温度を検知するように位置付けられる少なくとも一つの温度センサー、および前記第一のEESDを加熱するように構成される電気ヒーターを備える、EESD温度制御システムであって、前記少なくとも一つの温度センサーからの出力に依存して、前記電気ヒーターを動作させる、EESD温度制御システムと、
前記エアロゾル発生要素、前記第一のEESDおよび前記EESD温度制御システムを含む手持ち式のエアロゾル発生装置と、を備え、
前記EESD温度制御システムが、前記第一のEESDから前記エアロゾル発生要素への電力の供給を制御するように構成される電力コントローラに接続され、またはその一部を形成し、前記電力コントローラが、前記少なくとも一つの温度センサーからの出力に依存して、前記第一のEESDから前記エアロゾル発生要素への電力の前記供給を防ぐように構成されることを特徴とするエアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記第一のEESDが、電気端子を有し、前記EESD温度制御システムが、前記電気ヒーターが、前記第一のEESDにより動力を得ることができるように、前記第一のEESDの端子に接続される、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
エアロゾル発生装置と、
付属品と、を備え、前記付属品が、補助的なEESDを備え、前記エアロゾル発生装置と前記付属品が、電気的に接続されてもよく、前記システムが、前記エアロゾル発生装置と前記付属品が電気的に接続された時に、前記補助的なEESDが前記電気ヒーターに電力を供給することを可能にするように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記EESD温度制御システムが、前記付属品内に少なくとも部分的に収容される、請求項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記付属品が、交流源、および前記第一のEESDを誘導加熱するように構成される誘導コイルを備える、請求項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記付属品が携帯用加熱装置である、請求項またはに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記付属品が、携帯用充電器であり、前記システムが、前記補助的なEESDからの前記第一のEESDの充電を可能にするように構成される、請求項またはに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記携帯用充電器および前記エアロゾル発生装置を受けるように構成され、加熱装置のEESDを備える、加熱装置をさらに備え、前記エアロゾル発生装置または携帯用充電器と前記加熱装置は、電気的に接続されてもよく、前記システムが、前記エアロゾル発生装置または携帯用充電器と前記加熱装置が電気的に接続された時に、前記加熱装置のEESDが前記電気ヒーターに電力を供給することを可能にするように構成される、請求項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記付属品が、前記補助的なEESDの温度を検知するように位置付けられる少なくとも一つの補助的な温度センサーと、前記補助的なEESDを加熱するように構成される第二の電気ヒーターと、を備える補助的なEESD温度制御システムを備え、前記補助的なEESD温度制御システムが、前記少なくとも一つの補助的な温度センサーからの出力に依存して、前記第二の電気ヒーターを作動させる、請求項のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
請求項またはに依存する場合に、前記補助的なEESD温度制御システムが、前記補助的なEESDから前記エアロゾル発生装置への電力の供給を制御するように構成される電力コントローラに接続され、またはその一部を形成し、前記電力コントローラが、前記少なくとも一つの補助的な温度センサーからの出力に依存して、前記補助的なEESDから前記エアロゾル発生装置への電力の供給を防ぐように構成される、請求項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記補助的なEESDが、電気端子を有し、前記補助的なEESD温度制御システムが、前記第二の電気ヒーターが前記補助的なEESDによって動力を得ることができるように、前記補助的なEESD端子に接続される、請求項または10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記第一のEESDを囲む断熱材をさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記断熱材が赤外線反射層を備える、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記少なくとも一つの温度センサーが、前記第一のEESDと前記断熱材との間に位置付けられる第一の温度センサーと、前記断熱材の外側に位置付けられる第二の温度センサーと、を備え、前記電気ヒーターが、前記第一の温度センサーからの出力および前記第二の温度センサーからの出力に依存して作動する、請求項12または13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
請求項に記載のエアロゾル発生装置と、
携帯用充電器と、を備え、前記携帯用充電器が、充電EESDを備え、前記エアロゾル発生装置と前記携帯用充電器が、電気的に接続されて、それにより、前記第一のEESDが前記充電EESDから充電されることが可能とされ、前記携帯用充電器が、前記充電EESDの温度を検知するように位置付けられる少なくとも一つの充電器温度センサーを備える充電EESD温度制御システム、および前記充電EESDを加熱するように構成される第二の電気ヒーターを備え、前記充電EESD温度制御システムが、前記少なくとも一つの充電器温度センサーからの出力に依存して、前記第二の電気ヒーターを動作させる、エアロゾル発生システム。
【請求項16】
電気的に作動するエアロゾル発生装置の動作を制御する方法であって、前記電気的に作動するエアロゾル発生装置が、電気的に作動するエアロゾル発生要素と、前記エアロゾル発生要素に電力を供給するように構成される第一のEESDと、前記第一のEESDの温度を検知するように位置付けられる少なくとも一つの温度センサー、および前記第一のEESDを加熱するように構成される電気ヒーターを備える、EESD温度制御システムと、を備え、
前記少なくとも一つの温度センサーの出力を監視することと、前記少なくとも一つの温度センサーの前記出力が第一の閾値より低い場合に、前記電気ヒーターを作動させることと、前記少なくとも一つの温度センサーの前記出力が、第二の閾値と等しくなる、またはそれを超えるまで、前記第一のEESDから前記電気的に作動するエアロゾル発生要素への電力の供給を防ぐことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池式のエアロゾル発生システムに関連し、詳細には、様々に異なる環境下で動作することが必要とされうる、手持ち式の電池式のエアロゾル発生システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
電気加熱式の喫煙装置または電子たばこなどの手持ち式のエアロゾル発生装置のための電池は、小型であることが必要とされるが、同時に、数分間(一回の喫煙セッションのために一般的にはおよそ7分間)にわたり、相当量の電力を送達ことが可能でなければならない。電池は、充電可能であり、もう一回の完全な喫煙体験が許容されるのに十分に、数分程度で、好ましくは6分未満で、再充電できることがまた望ましい。
【0003】
手持ち式のエアロゾル発生装置のための電池は、小型の装置の全体サイズを保持するために小さいので、一般的に、頻繁に再充電される必要がある。電気加熱式の喫煙システムの場合には、電池は、単に一回の喫煙セッションのための十分な容量を有しうるので、各喫煙セッションの後に再充電する必要がある。この理由のために、装置の中には携帯用充電器を備えるものもある。携帯用充電器自体は、電池式である。携帯用充電器で用いられる電池はまた、比較的小型で高い容量を有する必要がある。
【0004】
リチウムイオン電池は、エアロゾル発生装置と携帯用充電器の両方に関する要求に対応することができる。しかし、リチウムイオン電池の性能は、著しく温度の影響を受ける。異なる電池は、別様に実行するが一般的に、10℃未満の温度で、リチウムイオン電池のほかリチウムコンデンサなどの電池の性能は、著しく減少する。特に、利用できる放電容量が、この温度以下において急激に低下する。このことは、エアロゾル発生装置が日常的に寒冷気候または寒冷環境での動作が必要とされるので、重要な問題である。さらに、エアロゾル発生装置は、スキー場での屋外などの寒冷環境における一時、および暖かい屋内環境における次の時において、一貫性の動作が必要とされうる。一回の使用と次の使用との間の周囲温度において、40℃程度の差が存在しうる。事実上、製造の観点から、エアロゾル発生装置および携帯用充電器は、60℃程度の範囲にわたって一貫的に動作する必要がある。
【0005】
装置およびシステムのサイズまたは使用の容易さを損なうことなく、極めて低い周囲温度において均一な容認できる性能レベルを提供する、エアロゾル発生装置、システムおよび方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
第一の態様では、エアロゾル発生システムが提供されているが、これは、
電気的に作動するエアロゾル発生要素と、
エアロゾル発生要素に電力を供給するように構成される、第一の電気化学的エネルギー貯蔵装置(EESD)と、
第一のEESDの温度を検知するように位置付けられる少なくとも一つの温度センサー、および第一のEESDを加熱するように構成される電気ヒーターを備える、EESD温度制御システムであって、少なくとも一つの温度センサーからの出力に依存して、電気ヒーターを動作させるEESD温度制御システムと、を備える。
【0007】
システムは、手持ち式のエアロゾル発生装置を備えてもよく、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生要素、第一のEESDおよびEESD温度制御システムを備えてもよい。
【0008】
第一のEESDは、電池であってもよく、または超コンデンサまたはリチウムコンデンサ(LIC)であってもよい。第一のEESDはリチウムイオン電池を含みうる。一つの実施形態において、第一のEESDは、リン酸鉄リチウム電池を備えるが、その他のタイプの電池が用いられてもよい。
【0009】
第一のEESDは、有利には、手持ち式の装置に適合するようにサイズ設定され、有利には、100cm3以下の容積を有する。一つの実施形態において、第一のEESDは円筒形である。第一のEESDは、5mm~100mmの長さを有しうる。一つの実施形態において、第一のEESDは、37mmの長さおよび10mmの直径を有する。
【0010】
電気ヒーターはまた、有利には、小容量である。電気ヒーターは、電気ヒーターの所要電力を最小にするために、第一のEESDを効率的に加熱するように構成される。電気ヒーターは、第一のEESDと直接的に接触して位置付けられてもよく、伝導によって第一のEESDを加熱しうる。電気ヒーターは、第一のEESDに巻き付けられる、加熱箔または加熱コイルを備えうる。電気ヒーターは、電流がそれを通り抜けた時にジュール加熱によって熱を生成する、電気抵抗ヒーターを含みうる。電気ヒーターは、高温で安定する可撓性の基体を備えうる。例えば、電気ヒーターは、ポリイミド基体を備えうる。電気ヒーターは、基体上に一つ以上の抵抗加熱トラックを備えうる。抵抗加熱トラックは、銅から形成されうる。ヒーターは、0.05mm~0.3mmの厚さを有してもよく、第一のEESDを完全に覆うための長さおよび幅を有してもよい。
【0011】
EESD温度制御システムは、電力コントローラに接続され、またはそれの一部を形成し、それにより、第一のEESDからエアロゾル発生要素への電力供給を制御するように構成されうる。電力コントローラは、少なくとも一つの温度センサーからの出力に依存して、第一のEESDからエアロゾル発生要素への電力供給を防ぐように構成されうる。このようにして、装置は、EESDが満足のいく性能を提供することが可能である温度にある時でない限り、動作を防ぎうる。
【0012】
EESD温度制御システムはマイクロコントローラを備えうる。マイクロコントローラは、低温マイクロコントローラであってもよい。マイクロコントローラは、異なる範囲の動作温度で利用できる。マイクロコントローラは、0℃未満の温度で動作するように構成される、工業グレードまたは軍用グレードのマイクロコントローラであることが好ましい。マイクロコントローラはプログラム可能マイクロプロセッサとしうる。電力コントローラは、マイクロコントローラを含みうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。EESD温度制御システムおよび電力コントローラは、単一なマイクロコントローラを使用して実施されうる。EESD温度制御システムは、電気ヒーターの電気抵抗を監視するように構成されてもよく、電気抵抗に基づいて、電気ヒーターに供給される電力を制御しうる。
【0013】
EESD温度制御システムは、電気ヒーターに供給される電力を制御するためのPID調節器を含みうる。コントローラは、ヒーターへの電力を電力のパルスとして供給するように構成されうる。コントローラは、電力のパルスの負荷サイクルを変化させることにより、電気ヒーターへの電力供給を変化させるよう構成されうる。
【0014】
第一のEESDは、電気端子を有してもよく、EESD温度制御システムは、EESD端子に接続されてもよく、その結果、電気ヒーターは、第一のEESDによって動力を得ることができる。低温であっても、第一のEESDは、十分な電力を送達して、電気ヒーターを動作させることが可能でありうる。別の方法として、または追加的に、電気ヒーターは、装置内の補助的なEESDまたは装置の外部にあるEESDによって、動力を得てもよい。
【0015】
エアロゾル発生装置は、手持ち式の喫煙システムであってもよい。
【0016】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するように構成されうる。エアロゾル形成基体は、装置内に受けられうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱または燃焼によって放出されてもよい。加熱または燃焼に代わるものとして、一部の場合では、化学反応によって、または振動などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出されてもよい。エアロゾル形成基体は、担体または支持体に吸着、被覆、含浸またはその他の方法で装填される場合がある。
【0017】
エアロゾル発生装置は、第一のEESDを囲む断熱材をさらに備えうる。適切な断熱材の例には、ガラス綿毛およびセラミック紙などの繊維ベースの織物、パーライト、バーミキュライト、アルミナおよびシリカベースのセラミックなどのセラミック粉末ベースの材料、ゴム、膨化または押し出し成形ポリスチレン、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、フェノール発泡体およびポリイミド発泡体などのポリマー、ならびにエアロゲルが含まれる。断熱材の厚さは、材料が第一のEESD上の被覆または分離層として加えられるかどうかに依存する。一般的に、断熱材が厚いことは、熱分離に優れている。断熱材は、少なくとも1mmの厚さであることが好ましい。
【0018】
断熱材は、赤外線反射層を含みうる。赤外線反射層は、アルミ箔またはアルミニウムで覆われたポリマー薄膜であってもよい。フィルムの厚さは約0.02mmであってもよい。赤外線反射層は、断熱材またはEESD上の被覆として提供されうる。被覆は、アルミニウム、銀および金などの金属、アルミニウム酸化物、二酸化チタン、亜鉛酸化物および二酸化セリウムなどの金属酸化物、またはフッ素、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、タリウム、銅および鉄などのドーパントと混合される金属酸化物を含みうる。
【0019】
断熱材は、位相変化材料の温度が閾値未満に低下した時に、第一のEESDに潜熱を放出するように構成される、位相変化材料を含みうる。
【0020】
一つの実施形態において、電気ヒーターは、少なくとも一つの温度センサーからの出力が、第一のEESDが10℃未満の温度を有することを示す場合に作動しうる。しかし、いくつかの閾値温度は、第一のEESDの特性およびエアロゾル発生装置の所要電力に応じて選択されうる。さらに、閾値温度は、一つ以上のその他の測定されたパラメーターに依存して変化しうる。
【0021】
少なくとも一つの温度センサーは、第一のEESDと断熱材との間に位置付けられる第一の温度センサーと、断熱材の外側に位置付けられる第二の温度センサーと、を備えうる。別の言い方をすると、断熱材は、第一の温度センサーと第二の温度センサーとの間に位置付けられうる。電気ヒーターは、第一の温度センサーからの出力および第二の温度センサーからの出力に依存して、作動しうる。
【0022】
電気ヒーターは、第一の温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時と第二の温度センサーからの出力が第二の閾値より低い時の両方の場合に作動しうる。第一の閾値は、第二の閾値と等しくてもよく、または第二の閾値と異なっていてもよい。別の方法として、電気ヒーターは、第一の温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時に作動してもよいが、第二の温度センサーからの出力の変化に依存して停止してもよい。別の方法として、電気ヒーターは、第一の温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時に作動してもよいが、第一の閾値の値は、第二の温度センサーの出力に基づいて定められてもよい。例えば、電気ヒーターは、第一の温度センサーからの出力が10℃未満の温度を示す時に常に作動してもよいが、第二の温度センサーの出力は、電気ヒーターが第一の温度センサーからの出力が10℃よりも高い閾値未満の温度を示す時に作動するように定められてもよい。周囲温度が10℃よりも高い場合、EESDは、第一の温度センサーの出力が10℃になるまで加熱されうる。周囲温度が10℃よりも低い、すなわち、-5℃である場合、EESDは、第一の温度センサーの出力が高温、すなわち、25℃を示すまで加熱されてもよく、それにより、第一のEESDが環境への熱損失を続けるにもかかわらず十分な機能を保つことを確実にする。別の方法として、電気ヒーターに供給される電力の量、したがって加熱レートは、第二の温度センサーからの出力に依存しうる。
【0023】
断熱材の内部の温度センサーに加えて、断熱材の外部に温度センサーを有することの利点は、EESD温度制御システムが、第二の温度センサーの出力に基づいて周囲温度の変化により迅速に反応でき、そのため第一のEESDを過熱させるリスクが低減されることである。
【0024】
少なくとも一つの温度センサーは、抵抗温度検出器(RTD)、サーミスター、シリコンベースの集積回路(IC)温度センサー、およびサーモカップルのうち一つ以上を備えうる。
【0025】
エアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを生成するように構成される、電気ヒーターを備えうる。エアロゾル発生要素は一つ以上の発熱体を備えうる。一つ以上の発熱体は、一つ以上の抵抗発熱体を備えうる。一つ以上の発熱体は、一つ以上の誘導発熱体を備えうる。一つ以上の発熱体は、一つ以上の抵抗発熱体および一つ以上の誘導発熱体を備えうる。一つ以上の電気発熱体は、約250℃~約450℃の通常動作における温度範囲を有してもよい。
【0026】
一つ以上の電気発熱体は電気抵抗性の材料を含みうる。適切な電気抵抗性の材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とでできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。一つ以上の電気発熱体は、赤外線発熱体、光子供給源、または誘導発熱体を備えてもよい。
【0027】
一つ以上の電気発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、一つ以上の電気発熱体は、加熱用ブレードの形態を取ってもよい。一つ以上の電気発熱体は、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態をとってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体の中心を貫通する一つ以上の加熱用の針またはロッドが使用されてもよい。一つ以上の電気発熱体は、ディスク型の(端部の)発熱体、またはディスク型の発熱体と加熱用の針またはロッドを組み合わせたものであってもよい。一つ以上の電気発熱体は、エアロゾル形成基体を囲むように、または部分的に囲むように配置された柔軟な材料シートを備えてもよい。その他の可能性としては、電熱線またはフィラメント、例えばNi-Cr、白金、タングステン、もしくは合金製のワイヤー、または加熱プレートが挙げられる。随意的に、一つ以上の発熱体は、剛直な担体材料内またはその上に配置されてもよい。
【0028】
一つ以上の発熱体は、熱を吸収および貯蔵して、その後、時間をかけて熱を放出する能力を持つ材料を含む、ヒートシンク、または蓄熱体を含みうる。ヒートシンクは、適切な金属またはセラミック材料など、任意の適切な材料で形成されてもよい。材料は高い熱容量(顕熱保存材料)を有するか、または熱を吸収し、その後で可逆的なプロセス(高温相変化など)を経て放出する能力を有する材料であることが好ましい。適切な蓄熱材料としては、シリカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、鉱物、金属または合金(アルミニウム、銀または鉛)、およびセルロース系材料(紙など)が挙げられる。可逆的な相変化によって熱を放出する他の材料には例えば、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタリン、ろう、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物または合金が挙げられる。
【0029】
一つ以上の発熱体は、エアロゾル発生装置および取り外し可能なエアロゾル発生物品から成るエアロゾル発生システムの一部を装置が形成する場合、物品と装置の間に電気接点が形成されないように、誘導発熱体を備えてもよい。装置は、インダクタコイルと、高周波振動電流をインダクタコイルに提供するように構成される電源とを備えうる。物品は、エアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられたサセプタ素子を備えうる。本明細書で使用される高周波振動電流という用語は、500kHz~10MHzの周波数を有する、振動する電流を意味する。
【0030】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は従来型の葉巻たばこまたは紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生装置の全長は、およそ30mm~およそ150mmの間であってもよい。エアロゾル発生装置の外径は、およそ5mm~およそ30mmの間であってもよい。
【0031】
エアロゾル発生装置は、ハウジングを備えうる。ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料には例えば、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0032】
ハウジングはマウスピースを備えてもよい。マウスピースは少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口とを含みうる。マウスピースは二つ以上の空気吸込み口を含みうる。空気吸込み口の一つ以上は、エアロゾルがユーザーに送達される前にその温度を低減することができ、エアロゾルがユーザーに送達される前にその濃度を減少させうる。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、ハウジングのくぼみ内に受けられるエアロゾル発生物品からエアロゾル発生装置によって発生されたエアロゾルを直接吸い込むためにユーザーの口に入れられるエアロゾル発生装置の一部分を意味する。
【0033】
エアロゾル発生装置は、システムを起動するためのユーザーインターフェース、例えば装置の加熱を開始するボタン、または装置またはエアロゾル形成基体の状態を示すディスプレイを含みうる。
【0034】
装置は、一つ以上のインジケーターを備えうる。少なくとも一つのインジケーターは、少なくとも一つの温度センサーの出力が動作閾値を超えた時点、または動作閾値を下回る時点を表示するように構成されうる。一つ以上のインジケーターは、視覚的インジケーターであってもよく、発光ダイオード(LED)を含みうる。
【0035】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品内に提供されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品である。エアロゾル発生物品は、不燃性のエアロゾル発生物品であってもよく、または可燃性のエアロゾル発生物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、ユーザーが直接吸入可能なエアロゾルを生成してもよい。エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを生成する喫煙物品としてもよい。エアロゾル発生物品は、紙巻たばこなどの従来の喫煙物品と似ていてもよい。
【0036】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒形の形状としうる。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品はまた、長さと実質的に直交する長さと円周を有しうる。エアロゾル形成基体は実質的に円筒形の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、この長さと実質的に直交する円周とを有しうる。
【0037】
エアロゾル発生物品の全長は、およそ30mm~およそ100mmとしうる。一つの実施形態で、エアロゾル発生物品の全長はおよそ45mmである。エアロゾル発生物品の外径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。一つの実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ7.2mmの外径を有しうる。
【0038】
エアロゾル形成基体は、約7mm~約15mmの長さを有しうる。一つの実施形態において、エアロゾル形成基体は、およそ10mmの長さを有しうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、およそ12mmの長さを有しうる。
【0039】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。さらに、エアロゾル形成基体の外径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。一つの実施形態において、エアロゾル形成基体は、およそ7.2mmの外径を有しうる。
【0040】
エアロゾル発生物品は、フィルタープラグを備えうる。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置しうる。フィルタープラグは、酢酸セルロースフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルタープラグの長さは、およそ7mmであるが、およそ5mm~およそ10mmであってもよい。
【0041】
エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えうる。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグの間の分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18mmであってもよいが、およそ5mm~およそ25mmの範囲であってもよい。
【0042】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度で安定したエアロゾルの形成を促進するエアロゾル形成体をさらに備えてもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0043】
エアロゾル発生システムは、
エアロゾル発生装置と、
付属品と、を備えてもよく、付属品は、補助的なEESDを含み、エアロゾル発生装置と付属品は、電気的に接続されうる。システムは、エアロゾル発生装置と付属品が電気的に接続された時に、補助的なEESDが電気ヒーターに電力を供給することを可能にするように構成されうる。
【0044】
EESD温度制御システムは、付属品内に少なくとも部分的に収容されうる。例えば、EESD温度センサーが、付属品内に位置付けられてもよく、またはいくつかもしくはすべての電気ヒーターが、付属品内に位置付けられてもよい。
【0045】
付属品は、交流源、および第一のEESDを誘導加熱するように構成される誘導コイルを備えうる。エアロゾル発生装置は、サセプタを備えうる。サセプタは、第一のEESDの一部を形成してもよく、もしくはその一部分であってもよく、または第一のEESDの周りに位置付けられてもよく、もしくはその近位に位置付けられてもよい。誘導コイルおよびサセプタは一緒に、電気ヒーターを形成しうる。
【0046】
付属品は、携帯用充電器であってもよく、補助的なEESDは、充電EESDであってもよい。システムは、充電EESDからのエアロゾル発生装置内の第一のEESDの充電を可能にするように構成されうる。
【0047】
付属品は、補助的なEESDの温度を検知するように位置付けられる少なくとも一つの補助的な温度センサーと、補助的なEESDを加熱するように構成される第二の電気ヒーターと、を備える補助的なEESD温度制御システムを備えてもよく、補助的なEESD温度制御システムは、少なくとも一つの補助的な温度センサーからの出力に依存して第二の電気ヒーターを作動させる。
【0048】
付属品は、エアロゾル発生装置内の温度センサーからの信号に基づいて、エアロゾル発生装置内の第一のEESDを加熱するように構成される、ヒーターを備えうる。
【0049】
付属品が携帯用充電器である時、補助的なEESD温度制御システムは、補助的なEESDからエアロゾル発生装置への電力の供給を制御するように構成される充電電力コントローラに接続されてもよく、またはそれの一部を形成してもよい。充電電力コントローラは、少なくとも一つの充電器温度センサーからの出力に依存して、補助的なEESDからエアロゾル発生装置への電力の供給を防ぐように構成されうる。
【0050】
補助的なEESDは、電気端子を有してもよく、補助的なEESD温度制御システムは、第二の電気ヒーターが補助的なEESDによって動力を得ることができるように、補助的なEESD端子に接続されてもよい。
【0051】
補助的なEESDは、リチウムイオン電池としうる。一つの実施形態において、補助的なEESDは、コバルト酸リチウム電池である。携帯用充電器の場合には、補助的なEESDは、第一のEESDよりも大きい容量を有することが好ましい。有利には、補助的なEESDは、第一のEESDの容量よりも少なくとも5倍大きい容量を有する。このことは、補助的なEESDが第一のEESDの数回の再充電を提供するために使用されうることを意味する。さらに、補助的なEESDの大きい容量は、第一のEESDのための電気ヒーターに動力を供給するのに有利である。
【0052】
エアロゾル発生システムは、補助的なEESDを囲む第二の断熱材をさらに備えうる。第二の断熱材は、赤外線反射層を含みうる。
【0053】
少なくとも一つの補助的な温度センサーは、補助的なEESDと第二の断熱材との間に位置付けられる第一の補助的な温度センサーと、第二の断熱材の外側に位置付けられる第二の補助的な温度センサーと、を備えうる。第二の電気ヒーターは、第一の補助的な温度センサーからの出力および第二の補助的な温度センサーからの出力に依存して作動しうる。
【0054】
補助的な電気ヒーターは、第一の補助的な温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時と第二の補助的な温度センサーからの出力が第二の閾値より低い時の両方の場合において作動しうる。第一の閾値は、第二の閾値と等しくてもよく、または第二の閾値と異なっていてもよい。第一の閾値は、第二の補助的な温度センサーからの出力に依存しうる。別の方法として、補助的な電気ヒーターは、第一の補助的な温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時に作動してもよいが、第二の補助的な温度センサーからの出力の変化に依存して停止してもよい。別の方法として、補助的な電気ヒーターは、第一の補助的な温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時に作動してもよいが、補助的な電気ヒーターに供給される電力は、第二の補助的な温度センサーからの出力に依存しうる。
【0055】
少なくとも一つの温度センサーは、抵抗温度検出器(RTD)、サーミスター、シリコンベースの集積回路(IC)温度センサー、およびサーモカップルのうち一つ以上を備えうる。
【0056】
補助的なEESD温度制御システムはマイクロコントローラを備えうる。マイクロコントローラは、低温マイクロコントローラであってもよい。マイクロコントローラはプログラム可能マイクロプロセッサとしうる。充電電力コントローラは、マイクロコントローラを含みうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。補助的なEESD温度制御システムおよび充電電力コントローラは、単一なマイクロコントローラを使用して実施されうる。
【0057】
補助的なEESD温度制御システムは、補助的な電気ヒーターまたは電気ヒーターに供給される電力を制御するためのPID調節器を含みうる。コントローラは、ヒーターへの電力を電力のパルスとして供給するように構成されうる。コントローラは、電力のパルスの負荷サイクルを変化させることにより、電力供給を変化させるよう構成されうる。
【0058】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置が付属品に接続された時に補助的なEESDからの電力が電気ヒーターに送達されることを可能にするように切り替えられる、スイッチを備えうる。
【0059】
データは、エアロゾル発生装置と付属品との間で通信しうるほか、付属品からコンピュータによる読取りが可能なコンピュータインターフェースへ、またはコンピュータまたはインターネットにデータを転送可能なその他の電子装置へと通信しうる。データ接続はインターフェース規格に基づき動作することが好ましい。インターフェース規格は、二つ以上のシステムまたは装置の部品間での情報交換を許容するために必要な、コード変換、ライン割り当て、またはプロトコル準拠などの一つ以上の機能的特性、または電気的、機械的、または光学的な特性などの物理的特性を描写した規格である。通信リンクのための適切なインターフェース規格の例としては、Recommended Standard 232(RS-232)系統の規格、USB、Bluetooth、FireWire(Apple, Incのブランド名で、自社のIEEE 1394インターフェース用)、IrDA(Infrared Data Association-赤外線による短距離データ交換のための通信規格)、Zigbee(無線パーソナルエリアネットワーク用のIEEE 802.15.4規格に基づくアプリケーション)およびその他のWi-Fi規格が含まれるが、これに限定されない。
【0060】
付属品は、ユーザーへの表示のためのインジケーターをさらに備えうる。インジケーターは、光または一連の光などの視覚的指標、音または一連の音、および触覚的インジケーターのうち少なくとも一つを含むことが好ましい。触覚的インジケーターは振動または一連の振動としうる。インジケーターは、電気ヒーターが作動した時点を表示しうる。視覚的インジケーターは電子ディスプレイとしうる。携帯用充電器の場合には、電子ディスプレイは、第一のEESDを完全に充電するために必要な時間の推定を提供しうる。
【0061】
付属品または携帯用充電器は、ユーザーに対して情報を表示するディスプレイ、またはさらなるディスプレイ(例えばデジタルディスプレイ)を含みうる。例えば、ディスプレイは、喫煙物品の消費、エネルギー使用量またはその他の情報を表示しうる。ディスプレイはさらに、第一のEESDが喫煙物品を消費するために使用されるのに十分に充電された時点をさらに表示しうる。ディスプレイは、補助的なEESDまたは第一のEESDが使用前に加熱された時を表示しうる。
【0062】
携帯用充電器は、ハウジングをさらに備えることが好ましい。ハウジングは、エアロゾル発生装置が充電される時にその中に受けられる装置くぼみでありうる。携帯用充電器は、二つの幅の狭い側壁によって間隙を介する二つの幅の広い壁と、上部および下部の壁とを含む、実質的に直方体としうる。携帯用充電器は、点火式の紙巻たばこのパックと同様のサイズおよび形状を有してもよい。
【0063】
付属品は、エアロゾル発生装置を受けるように構成される加熱装置であって、加熱装置のEESDを含む加熱装置であってもよい。エアロゾル発生装置と加熱装置は、電気的に接続されうる。システムは、エアロゾル発生装置と加熱装置が電気的に接続された時に、加熱装置のEESDが電気ヒーターに電力を供給することを可能にするように構成されうる。
【0064】
付属品が携帯用充電器である場合において、システムは、携帯用充電器およびエアロゾル発生装置を受けるように構成される加熱装置であって、加熱装置のEESDを備える加熱装置でありうる、第二の付属品を備えてもよく、エアロゾル発生装置または携帯用充電器と加熱装置は、電気的に接続されてもよく、システムは、エアロゾル発生装置または携帯用充電器と加熱装置が電気的に接続された時に、加熱装置のEESDが電気ヒーターに電力を供給することを可能にするように構成される。
【0065】
本発明の第三の態様では、
本発明の第一の態様に従うエアロゾル発生装置と、
携帯用充電器と、を備え、携帯用充電器が、充電電気化学的エネルギー貯蔵装置(EESD)を備え、エアロゾル発生装置と携帯用充電器が、電気的に接続されて、それにより、第一のEESDが充電EESDから充電されることを可能にすることができ、携帯用充電器が、充電EESDの温度を検知するように位置付けられる少なくとも一つの充電器温度センサーを備える充電EESD温度制御システム、および充電EESDを加熱するように構成される第二の電気ヒーターを備え、充電EESD温度制御システムが、少なくとも一つの充電器温度センサーからの出力に依存して、第二の電気ヒーターを動作させる、エアロゾル発生システムが提供される。
【0066】
本発明の第四の態様では、電気的に作動するエアロゾル発生装置の動作を制御する方法であって、電気的に作動するエアロゾル発生装置が、電気的に作動するエアロゾル発生要素と、エアロゾル発生要素に電力を供給するように構成される第一の電気化学的エネルギー貯蔵装置(EESD)と、第一のEESDの温度を検知するように位置付けられる少なくとも一つの温度センサー、および第一のEESDを加熱するように構成される電気ヒーターを備える、EESD温度制御システムと、を備え、
少なくとも一つの温度センサーの出力を監視して、少なくとも一つの温度センサーの出力が第一の閾値より低い場合に、電気ヒーターを作動させることと、
少なくとも一つの温度センサーの出力が第二の閾値と等しくなる、またはそれを超えるまで、第一のEESDから電気的に作動するエアロゾル発生要素への電力の供給を防ぐことと、を含む、方法が提供される。
【0067】
方法は、第一の温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時と第二の温度センサーからの出力が第二の閾値より低い時の両方の場合にのみ、電気ヒーターを作動させることを含みうる。第一の閾値は、第二の閾値と等しくてもよく、または第二の閾値と異なっていてもよい。第一の閾値は、第二の温度センサーの出力に依存しうる。別の方法として、方法は、第一の温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時にのみ電気ヒーターを作動させることと、第二の温度センサーからの出力の変化に依存して電気ヒーターを停止させることと、を含みうる。別の方法として、方法は、第一の温度センサーからの出力が第一の閾値より低い時に電気ヒーターを作動させることと、第二の温度センサーからの出力に依存して電気ヒーターに供給される電力を調節することと、を含みうる。
【0068】
本発明の第五の態様では、
エアロゾル発生装置と、
使用時にエアロゾル発生装置を受けるように構成され、また検知した温度に基づいて、エアロゾル発生装置内のEESDを加熱するように構成されるヒーターを備える、付属品と、を備える、エアロゾル発生システムが提供される。付属品は温度センサーを備えてもよい。別の方法として、付属品は、エアロゾル発生装置に電気的に接続されてもよく、エアロゾル発生装置から検知した温度を示すデータを受信するように構成されうる。
【0069】
本発明の一つの態様に関連して説明した特徴は、本発明のその他の態様にも適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
図1図1は、本発明の一実施形態に従うエアロゾル発生装置および携帯用充電器の概略図である。
図2a図2aは、電池ヒーターおよび絶縁アセンブリを有する電池の概略断面図である。
図2b図2bは、図2aのヒーターおよび絶縁アセンブリの分解図である。
図3図3は、本発明に従うEESD温度制御システムの制御要素の概略図である。
図4図4は、本発明に従うEESD温度制御システムで用いられる制御プロセスの実施例を示す流れ図である。
図5図5は、携帯用充電器を使用して誘導ヒーターを使用するEESD温度制御システムの一実施形態の概略図である。
図6図6は、専用の電池加温付属品を使用して誘導ヒーターを使用するEESD温度制御システムの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、携帯用充電器100およびエアロゾル発生装置102を示す。この実施例におけるエアロゾル発生装置102は、エアロゾル形成基体を含む喫煙物品104を受けるように適合された電気加熱式エアロゾル発生装置である。エアロゾル発生装置は、作動時にエアロゾル形成基体を加熱するためのヒーター134を含む。ユーザーは、喫煙物品104のマウスピース部分を吸入して、エアロゾルをユーザーの口の中に吸い込む。エアロゾル発生装置102は、エアロゾル発生装置の電源を再充電するために、携帯用充電器100のくぼみ112に受けられるように構成される。
【0072】
携帯用充電器100は、エアロゾル発生装置が電気接点110と接続された時に充電電池106からエアロゾル発生装置の第一の電池に電力を供給するように構成されている、充電電池106、充電制御電子回路108、および電気接点110を備える。電気接点110は、くぼみ112の底部に隣接して提供されている。くぼみは、エアロゾル発生装置102を受けるように構成されている。携帯用充電器100の構成要素は、ハウジング116内に格納される。
【0073】
エアロゾル発生装置102は、第一の電池126、制御電子回路128および電気接点130を備える。上述の通り、エアロゾル発生装置102の第一の電池126は、電気接点130が携帯用充電器100の電気接点110と接触している時に、充電電池106から電力供給を受けるように構成されている。エアロゾル発生装置102はさらに、喫煙物品104を受けるように構成されたくぼみ132を含む。例えば、ブレードヒーターの形態のヒーター134は、くぼみ132の底部に提供される。使用時、ユーザーがエアロゾル発生装置102を起動すると、電力が第一の電池126から制御電子回路128を経由してヒーター134に供給される。ヒーターは、エアロゾル発生物品104のエアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な標準使用温度に加熱される。エアロゾル発生装置102の構成要素は、ハウジング136内に格納される。このタイプのエアロゾル発生装置は、例えばEP2110033により完全に記述されている。
【0074】
エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0075】
エアロゾル形成基体は固体の基体であってもよい。固体基体は、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこおよび膨化たばこのうち一つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。
【0076】
この例では、エアロゾル発生装置102は電気加熱式の喫煙装置である。このようなエアロゾル発生装置102は小さい(従来的な紙巻たばこのサイズ)が、数分間(一回の喫煙セッションのために一般的にはおよそ7分間)、高電力を送達しなければならない。次に第二の電池を、再充電のために携帯用充電器100に戻す必要がありうる。再充電は、少なくとももう一回の完全な喫煙体験が許容されるのに十分なレベルで、数分程度で、好ましくは6分未満で、完了することが望ましい。
【0077】
携帯用充電器の充電電池106は、それ自体の再充電が必要になる前に、第二の電池126を数回再充電するのに十分な電荷を保持するように構成されている。これによって、電気コンセントからの再充電が必要となる前に、数回の喫煙セッションが可能なポータブルシステムがユーザーに提供される。
【0078】
充電電池は、頻繁に取り替えられる必要がないことがまた望ましい。第二の電池は、一般的なユーザーのための約8000回の充電/放電サイクルと同等である、少なくとも一年の実用寿命を有することが好ましい。
【0079】
小さなサイズ、十分な容量で安全だが、素早く充電および放電することに加えて許容可能な寿命を持つという第二の電池126の競合要件を満足するために、この例のように、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池ケミストリーを使用しうる。この例の第一の電池126は円筒形であり、直径10mm、長さ37mmである。この電池は、サイクル当たり900Jを越える8000サイクルの充電/放電に耐えることができる。平均充電レートは最大12Cである。1Cの充電レートは、ゼロ充電からフル充電まで1時間で電池が完全充電されることを意味し、また2Cの充電レートは、ゼロ充電からフル充電まで半時間で電池が完全充電されることを意味する。電池容量は125mAh程度である。最大充電電流は、980mA~1.5Aの範囲でありうる。放電は、最大4Aの1ミリ秒のパルスを使用して実施される。一般的な使用温度では、放電レートは約13Cである。代替品として、チタン酸リチウム電池を第二の電池のために使用しうる。
【0080】
携帯用充電器100の充電電池106は、プリズムタイプのコバルト酸リチウム(LiCoO2)である。充電電池は、約2900mAhの容量を持ち、第一の電池の容量の10倍を超える。第一の電池は、充電電池から2C~16Cの間のレートで充電されうる。充電電池が1Cのレートで放電されると、10Cを超える充電レートで第一の電池に供給される。充電電池の充電は、0~1.5Cのレートで、通常は電池寿命を最大化するために約0.5Cのレートで、幹線給電から実施されうる。
【0081】
コバルト酸リチウム電池は、リン酸鉄リチウムよりも高い電池の電圧を提供し、単一のコバルト酸リチウム電池からのリン酸鉄リチウム電池の充電を可能にする。
【0082】
第一の電池126と充電電池106はどちらも、関係付けられる電池ヒーターアセンブリを有する。電気ヒーター140は、第一の電池126を囲み、低温マイクロコントローラ142によって制御される。充電電池ヒーター144は、充電電池106を囲み、第二の低温マイクロコントローラ146によって制御される。
【0083】
図2aは、図1に示した第一の電池126を囲む電池ヒーターアセンブリの概略断面図である。図2bは、図2aの電池ヒーターアセンブリにおけるヒーターおよび絶縁層の分解図である。電池ヒーターアセンブリは、電池126に巻き付けられた箔である、第一の電池ヒーター140を備える。図2bに示すように、電気的接続141、143は、箔ヒーター140に電流を供給する。ヒーター140への電力供給は、以下でより詳細に説明される。箔ヒーター140を囲むことにより、箔または被覆として提供されうる赤外線反射層が存在する。絶縁層160は、反射層の周りに提供される。ヒーター140、反射層150および絶縁層160は、共積層構造として提供されうる。反射層は、電池からの放射性の熱損失を低減する。絶縁層は、電池からの伝導性の熱損失を低減する。
【0084】
追加的に、電池ヒーターアセンブリは、二つの温度センサーを含む。第一の温度センサー200は、電池126と電池ヒーター140との間に提供される。第二の温度センサー210は、絶縁層160の外側に提供される。二つの温度センサーからの出力は、マイクロコントローラ142によって電池ヒーター140に供給される電力の制御に用いられる。
【0085】
この実施例では、絶縁層160は、ガラス綿毛から形成され、3mmの厚さを有する。反射層150は、0.02mmの厚さを有するアルミ箔である。箔ヒーター140は、抵抗性銅層がその上に積層される、ポリイミドの基体を備える。温度センサー200、210は、サーミスターである。
【0086】
図2aおよび図2bは、第一の電池126のための電池ヒーターアセンブリを示す。同様の電池ヒーターアセンブリが、充電電池106のために提供される。
【0087】
図3は、図1に示したようなシステムにおけるEESD温度制御システムの制御要素である。エアロゾル発生装置102は、図2aを参照しながら説明されたが図3には明示されない電池ヒーターアセンブリによって囲まれる、第一の電池126を備える。マイクロコントローラ142は、-40℃より低い温度で動作する工業グレードマイクロコントローラである。マイクロコントローラ142は、接続T1およびT2を通じて第一の温度センサー200に接続され、接続T3およびT4を通じて第二の温度センサーに接続される。電力は、接続H1およびH2を通じて、第一の電池126からヒーターアセンブリに供給される。マイクロコントローラ142は、制御スイッチ147によって、接続H2を通じるヒーターアセンブリへの電流の供給を制御する。温度センサー200および210の出力に基づいて、マイクロコントローラは、スイッチ147を閉開する。ヒーターアセンブリに供給される電力の量は、したがって第一の電池126の温度は、スイッチ147の動作の負荷サイクルを変えることによって制御される。温度センサー200および210からのフィードバックを用いて、電池の温度は、所望の温度に、またはそれより高く維持されうる。この実施例では、所望の温度は、10℃であり、制御プロセスは、図6を参照しながら以下でより詳細に説明される。
【0088】
EESD温度制御システムはまた、同様の様式で動作する携帯用充電器100のために提供される。図2aおよび図2bを参照しながら説明したように、充電電池106は同様の電池ヒーターアセンブリを備える。マイクロコントローラ146はまた、-40℃より低い温度で動作する工業グレードマイクロコントローラである。マイクロコントローラ146は、接続T1およびT2を通じて第一の温度センサー200に接続され、接続T3およびT4を通じて第二の温度センサーに接続される。電力は、接続H1およびH2を通じて、充電電池106からヒーターアセンブリに供給される。マイクロコントローラ146は、制御スイッチ149によって、接続H2を通じるヒーターアセンブリへの電流の供給を制御する。温度センサーの出力に基づいて、マイクロコントローラは、スイッチ149を閉開する。ヒーターアセンブリに供給される電力の量は、したがって充電電池106の温度は、スイッチ149の動作の負荷サイクルを変えることによって制御される。温度センサー200および210からのフィードバックを用いて、充電電池の温度は、所望の温度に、またはそれより高く維持されうる。
【0089】
エアロゾル発生装置が携帯用充電器に接続された時に、携帯用充電器から第一の電池に関する電池ヒーターに電力を供給することが可能である。第二のスイッチ170は、第一の電池に関する電池ヒーターへの充電電池の選択的な接続を可能にするように提供される。マイクロコントローラ142は、スイッチ147とスイッチ170の両方を制御することによって、接続H2を通じるヒーターアセンブリへの電流の供給を制御する。エアロゾル発生装置が携帯用充電器に接続されている場合、マイクロコントローラ142は、第一の電池ヒーターから第一の電池126を切断してもよいが、第一の電池ヒーターへの充電電池の接続を可能にしうる。充電電池は、第一の電池よりも高温であってもよく、そのためより多くの電力を送達することが可能でありうる。充電電池はまた、一般的に、第一の電池よりも大きい容量を有する。
【0090】
図4は、二つの温度センサーを使用する基本的な制御方法を示す。最初の工程において、T1として言及される第一の温度センサーからの出力、およびT2として言及される第二の温度センサー210からの出力が、マイクロコントローラにより読み取られる。工程310において、T1の値は、第一の閾値Taと比較され、この場合、10℃である。T1がTa以上である場合、次に、プロセスは別のサイクルのために工程300に戻る。T1がTa未満である場合、次に、プロセスは工程320に進む。工程320において、T2の値は、第一の閾値Tbと比較され、この場合、12℃である。T2がTb以上である場合、次に、プロセスは別のサイクルのために工程300に戻る。T2がTb未満である場合、次に、プロセスは工程330に進み、ここにおいて、電池ヒーターは、電池ヒーターに電流パルスを供給することによって作動される。プロセスは、次に、工程300に戻ることにより繰り返される。周囲温度を検知する第二の温度センサーを有することの利点は、熱的オーバーシュートをより容易に回避できることである。装置の通常の動作は、いくらかの熱を生成する。周囲温度が閾値レベルを超える場合、その際、電池の能動的な加熱は、電池温度が初期段階で第一の閾値より低かったとしても必要でなくてもよい。例えば、ちょうど使用前に、装置を寒冷環境から温暖な屋内環境に持っていく場合、電池温度は、最適な温度未満でありうるが、電池の受動的な加熱は十分でありうる。電池の能動的な加熱は、エネルギーの浪費と熱的オーバーシュートの可能性の両方をもたらしうる。
【0091】
図5は、エアロゾル発生装置および携帯用充電器のためのEESD温度制御システムの代替の構成を示す。図4の実施形態は、充電器内に保持されたコイルを使用してエアロゾル発生装置内の第一の電池を加熱するために、誘導加熱を用いる。
【0092】
エアロゾル発生装置402は、概略的に示され、第一の電池404およびエアロゾル発生要素406を備える。携帯用充電器400は、充電電池408を備える。エアロゾル発生装置402は、携帯用充電器のくぼみ410に保持される。携帯用充電器のコイル412は、くぼみ412の一部分を囲み、その結果、それは、エアロゾル発生装置402がくぼみ410に保持された時に第一の電池404の一部分を囲む。エアロゾル発生装置は、第一の電池に組み込まれる、または第一の電池に近接する、サセプタ素子(図示せず)を有する。コイル412は、充電電池408によって動力を得る高周波AC源418に接続される。携帯用充電器はまた、くぼみ410に隣接するサーミスター416を備え、それはエアロゾル発生装置の第一の電池またはハウジングの温度を検知する。マイクロコントローラ414は、サーミスター416、充電電池408および高周波AC源418に接続される。サーミスター416の出力に基づいて、マイクロコントローラ414は、コイル412への高周波交流の供給を可能にする。温度センサーによって検知された温度が10℃より低下すると、AC源は、マイクロコントローラによりスイッチンオンされる。高周波交流がコイルに供給されると、サセプタの誘導加熱が引き起こされ、そのため第一の電池が加熱する。サーミスター416からのフィードバックを用いて、電池の温度は、所望の温度に、またはそれより高く維持されうる。
【0093】
携帯用充電器は、温度センサーにより検知される温度を連続的に監視し、コイルを動作させて、温度が10℃に低下することを常に防ぐ。同様のプロセスが、充電電池に関して実行されうる。別の方法として、充電電池は、低温で動作するように構成されてもよく、電池加熱システムは、ユーザー入力に従ってのみ作動される。
【0094】
誘導加熱の代替例として、コイル412は、くぼみ410を加熱する抵抗性ヒーターとして作用するように構成されてもよく、そのため第一の電池404は、くぼみ内にある時に加熱される。DC電流が、コイル412または別の形態の抵抗性ヒーターに加えられてもよく、それにより、ジュール加熱によってくぼみを加熱する。
【0095】
図6は、専用の加温付属品が携帯用充電器に個々に提供された、さらなる代替の構成を示す。加温付属品500は、携帯用充電器とエアロゾル発生装置の両方を一緒に受け、エアロゾル発生装置内の電池を誘導的に加熱するように動作する、ポーチである。
【0096】
図6におけるエアロゾル発生装置402は、図5に示したエアロゾル発生装置と同様であり、第一の電池404およびエアロゾル発生要素406を備える。エアロゾル発生装置は、第一の電池に組み込まれる、または第一の電池に近接する、サセプタ素子(図示せず)を有する。携帯用充電器440は、充電電池448を備える。エアロゾル発生装置402は、携帯用充電器のくぼみ410に保持される。携帯用充電器はまた、くぼみ410に隣接する温度センサー446を備え、それはエアロゾル発生装置の第一の電池またはハウジングの温度を検知する。マイクロコントローラ444は、温度センサー416および充電電池448に接続され、加温付属品500とともにインターフェース450に接続される。
【0097】
加温付属品500は、補助的なEESD502、マイクロコントローラ504、高周波AC源506およびコイル508を備える。コイルは、エアロゾル発生装置が加温付属品に受けられた時に第一の電池に隣接する位置にあるように、加温付属品内に位置付けられる。示される実施例では、コイル508は平面コイルである。マイクロコントローラ504は、補助的なEESD502および高周波AC源506に接続される。マイクロコントローラ504はまた、インターフェース450に接続され、携帯用充電器の温度センサー446からの出力に基づいて、インターフェース450を通じて信号を受信する。インターフェースは、加温付属品と携帯用充電器との間のデータ交換を許容し、それは、例えば、マイクロUSB接続でありうる。インターフェース450の代替として、加温付属品は、ブルートゥースなどの無線接続を通じて、携帯用充電器と情報を交換してもよい。温度センサー446によって検知された温度が閾値温度(例えば、10℃)より低下すると、マイクロコントローラは、AC源をスイッチンオンする。高周波交流がコイルに供給されると、サセプタの誘導加熱が引き起こされ、そのため第一の電池が加熱する。温度センサー446からのフィードバックを用いて、電池の温度は、所望の温度に、またはそれより高く維持されうる。
【0098】
同様の構成が、携帯用充電器の充電電池を加熱するために提供されてもよい。
【0099】
加温付属品は、補助的なEESD502だけでなく携帯用充電器およびエアロゾル発生装置からの熱損失を低減する、断熱材を備えうる。
【0100】
この場合もやはり、誘導加熱の代替として、加温付属品は、付属品、ならびに付属品内に受けられたいくつかの充電器およびエアロゾル発生装置の内部を加熱するように構成される、抵抗性ヒーターを備えてもよい。抵抗性ヒーターは、図6を参照しながら説明した様式において、温度センサー446からのフィードバックに基づいて制御されうる。
【0101】
本発明に従うシステムは、電池温度の調節がないシステムと比較して、改善され、かつより一貫したユーザー体験をもたらす。電池加温は、エアロゾル発生または電池充電に利用可能なエネルギーを低減しうるが、周囲条件にかかわらずユーザーに満足を与えるエアロゾルの送達を提供することの利点は、より重大である。
【0102】
本発明の実施形態は、一つの特定のタイプのエアロゾル発生装置を参照しながら説明してきたが、本発明が任意のタイプの電池式の携帯用エアロゾル発生装置に適用可能であることは明らかであろう。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6