(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】自動車用流体路
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20220510BHJP
F16L 53/30 20180101ALI20220510BHJP
H05B 3/40 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
F01N3/08 B
F16L53/30
H05B3/40 A
(21)【出願番号】P 2019504122
(86)(22)【出願日】2017-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2017064557
(87)【国際公開番号】W WO2018019469
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2019-03-15
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-17
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518073158
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ(フルダブリュック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘッケル,アンドレ
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】西中村 健一
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-14387(JP,A)
【文献】実開昭53-36714(JP,U)
【文献】特開2005-325691(JP,A)
【文献】特開2000-27627(JP,A)
【文献】特開昭63-13994(JP,A)
【文献】実開昭51-133011(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
H05B 3/40
F16L53/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SCR触媒コンバータシステム用の少なくとも1つの流体媒体を案内するための自動車用流体路であって、
少なくとも1つの流体搬送用の導管(1)と、
前記導管(1)に接続される少なくとも1つの流体搬送用のコネクタ(2)とを備え、
前記導管(1)は、
前記導管(1)の長さLの少なくとも一部にわたって延びる、流体搬送用の外側路(3)と、
前記外側路(3)内に収容され、前記外側路(3)に沿って前記導管(1)の長さLの少なくとも一部にわたって延びる流体搬送用の内側路(4)とを備え、
前記外側路(3)は、少なくとも1つの加熱手段により包囲されており、
前記少なくとも1つの加熱手段は、電熱線(8)と面状加熱手段のうち、少なくとも1つの形態であり、
前記コネクタ(2)は、
前記内側路(4)と流体連通している第1の接続分岐(5)と、
前記外側路(3)と流体連通している第2の接続分岐(6)とを備え、
前記外側路(3)は、
前記外側路(3)が、前記コネクタ(2)の第一端で終端し、接合により接続されるように、
前記コネクタに接合され、
前記内側路(4)は、
前記コネクタ(2)を通って延び、
前記第一端とは反対側の、前記コネクタ(2)に形成された前記第1の接続分岐(5)
がある第二端で前記内側路(4)が終端
し、接合により前記第1の接続分岐(5)に接続されていることを特徴とする自動車用流体路。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記導管(1)は、前記コネクタ(2)に直接接続されている
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項3】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記外側路(3)と前記内側路(4)のうち少なくとも1つは、スピン溶接接続とレーザ溶接接続のうち少なくとも1つによって、前記コネクタ(2)に接続されている
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項4】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記外側路(3)は、前記内側路(4)と略平行に配置される
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項5】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記外側路(3)と前記内側路(4)とが、互いに対して略同軸に配置される
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項6】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記導管(1)は、前記導管(1)の長さLの一部にわたって、単一の流体ダクト(11)として単に形成されており、
前記導管(1)は、前記導管(1)の長さLの別の一部にわたって、前記外側路(3)及び前記内側路(4)の形態である
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項7】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記流体媒体は、前記外側路(3)及び前記内側路(4)を同じ方向に流れる又は流れることができる
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項8】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記導管(1)は、その長さLの少なくとも一部が加熱されるように形成される
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項9】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記導管(1)は、保護導管(7)により包囲される
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項10】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記流体媒体を計量供給するための計量装置が、前記コネクタ(2)の前記接続分岐(5、6)それぞれに設けられている
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項11】
請求項1に記載の自動車用流体路であって、
前記導管(1)は、前記コネクタ(2)との接続端とは反対側の端において第二のコネクタ(2‘)と接続されている
ことを特徴とする自動車用流体路。
【請求項12】
請求項1に記載の自動車用流体路を製造するための方法であって、
コネクタ(2)が、内側路(4)に接合され、
次に、前記コネクタ(2)と前記内側路(4)とから成るユニットが、外側路(3)に接続され、
前記内側路(4)が、前記外側路(3)内に導入又は挿入され、
次に、前記外側路(3)が、前記コネクタ(2)の第一端で終端し、接合により接続され
る
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの流体媒体を案内するための、特にSCR触媒コンバータシステム用の尿素溶液を案内するための自動車用流体路であって、少なくとも1つの流体搬送用の導管と、この導管に接続される少なくとも1つの流体搬送用のコネクタとが備えることを特徴とする自動車用流体路に関する。本発明の文脈では、コネクタは少なくとも2つの接続分岐を有し、流体媒体、特に尿素溶液は、これらの接続分岐によって案内されていく又は送り出される。流体媒体は、少なくとも1つの接続分岐を介してユニットに適切に案内される。ただし、このユニットは、計量装置であることが好ましい。この計量装置により流体媒体が計量された態様で供給することが可能になる。推奨される実施形態によれば、この計量装置により、流体媒体又は尿素溶液をSCR触媒コンバータシステムに計量された態様で供給することが可能になる。一般に、自動車には、特にディーゼルエンジンを含む車両には、排気ガスを処理するための、SCR触媒コンバータを含むSCR触媒コンバータシステムが設けられている(SCR:選択式還元触媒)。自動車の排気ガス中の一酸化窒素を効果的に還元するために、SCR触媒コンバータの上流で、排気ガスに尿素溶液が計量された態様で加えられる。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べた種類の自動車用流体路については、実務において種々の実施形態が知られており、特に、SCR触媒コンバータシステム用の尿素溶液の案内に関連したものが同様に知られている。この事例において、導管に接続されるコネクタは、尿素溶液用の2つの接続分岐を有することができ、いずれの場合もこの尿素溶液をSCR触媒コンバータシステムに計量された態様で供給するために、これらの接続分岐を介して尿素溶液が計量装置に供給される。この事例において、導管は、導管壁により包囲される内側ダクトを1つだけ備える。流体媒体又は尿素溶液は、導管の内側ダクトを出てコネクタの2つの接続分岐に入る。このようなSCR触媒コンバータシステムを備える自動車のエンジンが停止されると、該SCR触媒コンバータシステムは、特に導管及びコネクタは空になるか、又は、該導管及びコネクタから尿素溶液が除去される。その後、尿素溶液が該SCR触媒コンバータシステムに再充填されると、特にコネクタの領域内で及び接続分岐の領域内で、渦又は泡又はその両方が、液流中に発生する。この渦又は泡又はその両方は、尿素溶液の均一な流れを妨害し、これにより、SCR触媒コンバータシステム全体に悪影響を及ぼすことがある。
【0003】
本発明の技術的な問題は、これらの欠点を回避可能な、冒頭で述べた種類の自動車用流体路を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的な問題を解決するために、本発明は、SCR触媒コンバータシステム用の少なくとも1つの流体媒体を案内するための自動車用流体路であって、少なくとも1つの流体搬送用の導管と、前記導管に接続される少なくとも1つの流体搬送用のコネクタとを備え、前記導管は、前記導管の長さLの少なくとも一部にわたって延びる、流体搬送用の外側路と、前記外側路内に収容され、前記外側路に沿って前記導管の長さLの少なくとも一部にわたって延びる流体搬送用の内側路とを備え、前記外側路は、少なくとも1つの加熱手段により包囲されており、前記少なくとも1つの加熱手段は、電熱線と面状加熱手段のうち、少なくとも1つの形態であり、前記コネクタは、前記外側路と流体連通している第1の接続分岐と、前記内側路と流体連通している第2の接続分岐とを備えることを特徴とする自動車用流体路を提供する。
【0005】
本発明の、特に推奨される実施形態によれば、導管、又は、外側路と内側路のいずれか又は両方が、プラスチック材料製であるか、又は、実質的にプラスチック材料製である。導管に接続されるコネクタは、適切にプラスチック材料製であるか、又は、実質的にプラスチック材料製である。
【0006】
本発明の文脈では、前記導管はコネクタに直接接続されている。本発明の好ましい実施形態は、外側路又は内側路又はその両方が、コネクタに接合されることを特徴とする。これに関連して、本発明の非常に好ましい実施形態は、外側路又は内側路又はその両方が、スピン溶接接続又はレーザ溶接接続又はその両方によって、コネクタに接続されることを特徴とする。
【0007】
本発明は、本発明による導管を流体搬送用外側路と流体搬送用内側路とに分割することにより、コネクタ内の、特に2つの接続分岐の領域内の、非均一な流れ状態を最小にできる又は事実上回避できるという知見に基づいている。これは、主に、本発明による自動車用流体路に流体媒体又は尿素溶液を充填する工程にも適用される。この事例では、実務において知られている自動車用流体路とは対照的に、特にコネクタの領域内で、特に導管と接続分岐との間の移行領域内で、流体媒体の流れが極めて均一であることを観察することができる。これに関連して、外側路と内側路とコネクタとがプラスチック材料製又はほぼプラスチック材料製であり、且つ、外側路と内側路とがコネクタに接合される又は好ましくはスピン溶接接続又はレーザ溶接接続によってコネクタに接続される実施形態も、特に重要である。この種の接続は、コネクタの領域内の又は接続分岐の領域内の流れの均質化に、驚くほど貢献する。
【0008】
本発明の文脈では、導管の外側路は、導管の内側路と平行に又は略平行に配置される。本発明による自動車用流体路の、特に好ましい実施形態によれば、外側路と内側路とは、互いに対して同軸に又は略同軸に配置される。本発明の文脈では、外側路及び内側路の断面は、互いに対して同心円状に又は同心円状に配置される。外側路及び内側路の、この同軸配置又は同心円状配置は、導管が加熱される際に流体媒体又は尿素溶液を外側路と内側路の両方において非常に均一な態様で加熱できるという点で有利であり、好適である。更に、この実施形態は、2つの接続分岐での流れ状態を均一にすることに寄与するものである。
【0009】
本発明によれば、前記導管は、その長さLの少なくとも一部にわたって延びる外側路と、外側路内に収容され且つ前記長さLの少なくとも一部にわたって延びる内側路とを備える。この事例において、本発明の文脈では、導管は、2つの接続分岐を有するコネクタに接続されているその領域内では、外側路及び内側路として形成される。本発明のある実施形態では、導管はその長さLの少なくとも50%にわたって外側路及び内側路として形成されており、好ましくは長さLの少なくとも60%、好ましくは長さLの少なくとも70%にわたって、外側路及び内側路として形成される。本発明の文脈では、導管は、その長さLの一部にわたって、単一の流体ダクトとして単に形成される。従って、導管の長さLの前記一部において、導管は、導管壁により囲まれるただ1つの内側ダクト又は流体ダクトを備える。更に、本発明の文脈では、該単一の流体ダクトを備える、導管の前記一部が、導管の部分であって外側路及び内側路を含む部分に、直接繋がる。従って、この事例において、内側路は、いわば、導管の流体ダクト又は内側ダクト内に突出する。既に指摘したように、好ましい実施形態によれば、2つの流路、又は、外側路と内側路が、導管の部分であって外側路及び内側路を含む部分において、互いと同軸に又は略同軸に配置される。
【0010】
本発明の文脈では、流体媒体、特に尿素溶液は、外側路及び内側路を同じ方向に流れるものであり、適切には、少なくとも2つの接続分岐を有するコネクタの方向に流れる。この点において、本発明による自動車用流体路は、流体媒体が2つの平行な導管を又は同軸の導管を逆方向に流れるような実務においてそれ自体知られている自動車用流体路と相違する。実務において知られているこのような導管では、外側路を通して案内される流体媒体を使用して、内側路を通して案内される流体媒体の温度を制御し、又は、その逆も同様に行われる。本発明の文脈では、外側路又は内側路又はその両方を流れる流体媒体によって目標温度への単なる温度制御することは、行わないことが好ましい。従って、本発明の文脈では、流体媒体は外側路と内側路の両方を流れるが、温度制御媒体は存在しない。本発明による自動車用流体路を又は補助自動車用流体路の導管を、温度制御する又は加熱する好ましい実施形態を以下に記載する。
【0011】
本発明の、推奨される実施形態によれば、前記導管はその長さLの少なくとも一部にわたって加熱されるものであり、好ましくはその長さL全体にわたって、又は、実質的にその長さL全体にわたって、加熱されるものである。特にこの導管を流れる流体媒体がSCR触媒コンバータシステム用の尿素溶液又は尿素水溶液であるときに、本発明による自動車用流体路が加熱されるのが好ましく、又は、導管が加熱されるものである。このような尿素溶液又は尿素水溶液は、-11℃を下回る温度では尿素が凍結し部分的に晶出するという点で不利である。結果として、尿素溶液をより機能的に確実に供給することは、妨害されるか又は完全に阻止される。その結果、問題になっている自動車の排気ガス中の一酸化窒素を効果的に減少させることが、低減又は阻止される。この欠点を回避するには、尿素溶液を搬送する導管を加熱することが適切である。
【0012】
本発明による自動車用流体路の、特に推奨される実施形態によれば、外側路は、少なくとも1つの加熱手段を備えるものであり、好ましくは少なくとも1つの電熱線を備える。この外側路は、この加熱手段により又は少なくとも1つの電熱線により包囲されることが適切である。少なくとも1つの電熱線が、外側路の周りで螺旋又は渦巻の形状に巻回されることが賢明である。外側路はこの少なくとも1つの電熱線によって電気的に加熱されることが適切であり、このため電熱線は電源に接続される。本発明の別の変形例によれば、電気的に加熱される少なくとも1つの面状発熱手段を介して、導管を加熱すること可能であり、特に電気的に加熱される加熱箔、又は、電気的に加熱される加熱テープ、又は、プリント加熱構造体により、導管を加熱する可能である。次に、面状発熱手段は、適切には、導管の外側路の周りで巻回される。この点において、本発明のように導管が外側路と内側路とに分割されている場合は外側路が少なくとも1つの加熱手段によって又は少なくとも1つの電熱線又は面状発熱手段によって充分な程度まで加熱されるという知見に、本発明は基づいている。結果として、内側路を通して搬送される尿素溶液が凍結しないように、この尿素溶液の温度も充分な程度まで制御することができる。
【0013】
本発明の、十分に試行された実施形態では、外側路及び内側路に接続されるコネクタも加熱されるものであり、好ましくは電気的に加熱される。この事例において、少なくとも1つの加熱手段又は電気的に加熱可能な加熱手段がコネクタの周りも巻回することが適切である。一方、コネクタがそれ自身の加熱手段を含まないことも可能である。
【0014】
本発明による自動車用流体路の好ましい実施形態は、前記導管が保護導管により包囲されることを特徴としている。この事例において、導管と保護導管とが、互いと同軸に又は略同軸に配置されることが適切である。例として、本発明の一実施形態は、導管を包囲する保護導管が波型形状導管として形成されることを特徴としている。本発明の、十分に試行された実施形態によれば、保護導管が外側路を包囲し、外側路が内側路を包囲する。そして、保護導管と外側路と内側路とは、互いと同軸に又は略同軸に配置されることが好ましい。本発明の文脈では、保護導管と外側路と内側路とは、断面において互いと同軸に配向される。
【0015】
本発明の特に推奨される実施形態は、コネクタは、少なくとも2つの流体ダクトを備え、好ましくは少なくとも2つの平行な又は略平行な流体ダクトを備え、これらの流体ダクトそれぞれがコネクタの接続分岐に接続されていることを特徴としている。本発明の文脈では、2つの流体ダクトは、いわば導管の外側路及び内側路の拡張部を形成し、外側路及び内側路の線状拡張部として形成されるのが適切である。コネクタの流体ダクトは、好ましくは、外側流体ダクト及び内側流体ダクトとしても形成され、外側流体ダクトは内側流体ダクトを包囲する。2つの流体ダクト(外側流体ダクト及び内側流体ダクト)は、互いと同軸に配置されることが推奨される。本発明の推奨される実施形態によれば、流体ダクト(内側流体ダクト及び外側流体ダクト)は、コネクタの接続分岐に直接接続される。ある変形では、コネクタの、1つの又は少なくとも1つの接続分岐が、導管の長手方向軸に対して及びコネクタの長手方向軸に対して、交差方向に配向され、好ましくは垂直に配向される。コネクタの、1つの又は少なくとも1つの接続分岐が、導管の線状拡張部として又はコネクタの流体ダクトの線状拡張部として形成されることが推奨される。この線状拡張部は、コネクタの内側流体ダクトに接続される接続分岐であることが適切である。コネクタの外側流体ダクトには、導管の長手方向軸に対して及びコネクタの長手方向軸に対して交差方向に又は垂直に配置される接続分岐が接続されることが好ましい。
【0016】
本発明の文脈では、流体媒体を計量された態様で供給するための計量装置が、コネクタの各接続分岐に又はコネクタの接続分岐両方に接続されている。本発明の、特に好ましい実施形態によれば、尿素溶液を計量された態様で供給するために、SCR触媒コンバータシステム用の計量装置が、コネクタの接続分岐それぞれに設けられている。この事例では、少なくとも1つの計量装置が、関連の自動車のエンジン室内に配置されるのが適切である。
【0017】
本発明は、自動車用流体路を製造する方法であって、コネクタが内側路に接合され、次に、コネクタと内側路とから成るユニットが外側路に接続され、内側路が外側路内に導入又は挿入され、次に、外側路がコネクタに接合される方法を提供することにも関する。本発明の文脈では、内側路又は外側路又はその両方が、プラスチック材料製であるか又は実質的にプラスチック材料製である。更に、本発明の文脈では、内側路又は外側路又はその両方が、押出によって製造される。本発明の好ましい実施形態によれば、コネクタと内側路とから成るユニットに外側路が接続している上流で、第2のコネクタがこの外側路に接続される。また、当該第2のコネクタが外側路に接合されるのが好ましい。次に、第1のコネクタと内側路とから成るユニットと、第2のコネクタと外側路とから成るユニットの、これら2つのユニットは相互接続しており、これにより、内側路は外側路内に導入又は挿入され、次に、外側路が第1のコネクタに接合される。本発明の推奨される実施形態によれば、第1のコネクタ又は第2のコネクタ又はその両方が、クイックコネクタとして形成される。好ましくは、第1のコネクタ又は第2のコネクタ又はその両方が、射出成形によって製造される。上で既に詳述したように、本発明による方法の、特に好ましい実施形態は、内側路が、コネクタ又は第1のコネクタに、スピン溶接法又はレーザ溶接法により接続されるか、又は、外側路が、コネクタ又は第1のコネクタに、スピン溶接法により又はレーザ溶接法により接続されるか、又はその両方を特徴としている。コネクタは、レーザ透過材を含むことが特に好ましい。また、外側路及び第2のコネクタは、スピン溶接法又はレーザ溶接法によって接続されることが好ましい。
【0018】
本発明は、本発明による自動車用流体路において、この自動車用流体路を流れる流体媒体又は尿素溶液の均一な流れは、流体媒体中に乱れた渦又は泡が一切無い状態で常に維持することが可能であるという知見に基づいている。このことは、特に、SCR触媒コンバータシステムの、本発明による自動車用流体路を充填する際にも当てはまる。本発明による自動車用流体路では、とりわけ、導管とコネクタとの間の接続領域内の流れにおける不均衡を最小にする又は実際に回避することができる。従って、本発明による解決策では、流れ不均衡に起因するSCR触媒コンバータシステムへの悪影響を大きく排除することができる。それにもかかわらず、本発明による自動車用流体路と、外側路及び内側路に接続されるコネクタとを、単純なやり方で問題無く加熱又は電気的に加熱することも可能である。外側路と内側路の両方を流れる流体媒体を効果的に加熱することができ、又は、その温度を効果的に制御することができる。なお、本発明による自動車用流体路は、比較的少ない労力及び相対的に低いコストで製造可能である。強調すべき点としては、本発明による自動車用流体路の上述の利点は、構成要素間の接合が好ましいものであり、特にスピン溶接又はレーザ溶接によるものであることも含むことに優位性がある。
【0019】
以下で、ただ1つの実施形態を示す図面を基に、本発明をより詳細に記載することにする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による自動車用流体路の概略側方断面図である。
【
図2】
図1の主題事項を通る断面A‐Aを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図は、少なくとも1つの流体媒体を案内するための本発明による自動車用流体路であって、好ましくはSCR触媒コンバータシステム用の尿素溶液を案内するための自動車用流体路を示す。本実施形態では、本発明による自動車用流体路は、流体搬送用の導管1と、前記導管1に接続される流体搬送用のコネクタ2とを備える。好ましくは且つ本実施形態では、さらに、コネクタ2’又は第2のコネクタ2’が導管1の他端に接続される。
【0022】
導管1は、その長さLの一部L1にわたって延びる流体搬送用の外側路3と、外側路3内に収容されて外側路3に沿ってその長さLの一部L1にわたって延びる流体搬送用の内側路4とを備える。適切には且つ本実施形態では、外側路3は内側路4と平行に配置されており、外側路3と内側路4とは、互いに対して同軸に配置されることが好ましい。好ましい実施形態においては且つ本実施形態では、導管1は、その長さLの第2の部分L2にわたって、単に単一の流体ダクト11の形態を有する。この場合においては、導管1の導管壁は、更なる分割をされていない状態の流体ダクト11を包囲するだけである。
【0023】
この実施形態では、流体媒体―好ましくは尿素溶液―は、外側路3及び内側路4を同じ方向に流れる。
図1では、この流れの方向を、外側路3と内側路4の両方に矢印で示している。従って、流体媒体又は尿素溶液はコネクタ2に向かって流れる。
【0024】
好ましい実施形態においては且つ本実施形態では、導管1は、流体搬送用のコネクタ2に直接接続されており、好ましくは且つ本実施形態では、このコネクタ2に接合されている。この場合、推奨によれば、そしてこの実施形態では、外側路3と内側路の両方ともコネクタ2に接合されている。外側路3と内側路4は、スピン溶接接続又はレーザ溶接接続によって、コネクタ2に接続されることが好ましい。
【0025】
非常に好ましい実施形態においては且つ本実施形態では、導管1は加熱されるように形成される。この事例において、推奨によれば、そしてこの実施形態では、外側路3が、電気的に加熱可能な電熱線8により囲まれる。従って、外側路3にのみ加熱手段又は電熱線8が提供されるのであるが、本発明の文脈では、前記導管を加熱する結果として、内側路4内の流体媒体の温度も充分に制御することができる。適切には、そしてこの実施形態では、導管1は流体搬送用保護導管7により包囲され、この流体搬送用保護導管7は、推奨によれば、そしてこの実施形態では、流体搬送用波形導管として形成される。
【0026】
図1において、特に、コネクタ2が2つの平行な流体ダクト9、10を備え、これらの流体ダクトが、好ましくは且つ本実施形態では外側路3及び内側路4の線状拡張部を形成することを見ることができる。この事例において、内側流体ダクト9は内側路4の線状拡張部に相当し、外側流体ダクト10は外側路3の線状拡張部に相当する。ここでは、外側流体ダクト10はコネクタ2の内側流体ダクト9を包囲している。好ましくは且つ本実施形態では、コネクタ2の2つの流体ダクト9、10は互いと同軸に配置される。2つの流体ダクト9、10はそれぞれ、好ましくは且つ本実施形態では、コネクタ2の接続分岐5、6に接続される。本実施形態のこの事例において、1つの接続分岐6が、導管1の長手方向軸に対して又はコネクタ2の長手方向軸に対して、交差方向に又は垂直に配置される。この接続分岐6は、適切には且つこの実施形態では、外側流体ダクト10に接続される。更なる接続分岐5が、内側路4及び内側流体ダクト9の線状拡張部を形成する。
【0027】
好ましい実施形態によれば、コネクタ2の2つの接続分岐5、6はそれぞれ、流体媒体を計量された態様で供給するための計量装置(図には示さず)に接続される。この事例において、この計量装置には、SCR触媒コンバータシステム用の計量装置が適切である。計量装置は、SCR触媒コンバータシステムの又は関連の自動車の、種々の地点にて配置されることが好ましい。