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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ペロブスカイト触媒およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/89 20060101AFI20220510BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20220510BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220510BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20220510BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20220510BHJP
   C01B 3/02 20060101ALN20220510BHJP
   C01B 32/40 20170101ALN20220510BHJP
   C01B 5/00 20060101ALN20220510BHJP
   B01D 53/96 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
B01J23/89 A ZAB
B01J35/04 301Z
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/10 A
F01N3/28 301A
B01D53/94 243
C01B3/02 B
C01B32/40
C01B5/00 Z
B01D53/96 500
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019516110
(86)(22)【出願日】2017-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 US2017061436
(87)【国際公開番号】W WO2018089964
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/421,568
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021506
【氏名又は名称】リサーチ トライアングル インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】シンエ チェン
(72)【発明者】
【氏名】マーティ ライル
(72)【発明者】
【氏名】ケリー イー アマト
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-118050(JP,A)
【文献】特開昭62-053737(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01118383(EP,A1)
【文献】特開平04-371229(JP,A)
【文献】Catalysis Today,2014年12月24日,vol.258,p.535-542,doi:10.1016/j.cattod.2014.11.028
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
F01N 3/10
F01N 3/28
CA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PdまたはPtと、
式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含む、三元触媒。
【請求項2】
Al担体、チタニア担体、ジルコニア担体、セリア担体、シリカ担体、アルミナ-シリカ担体、ゼオライト担体、またはカーボン担体の上にある、請求項に記載の触媒。
【請求項3】
モノリスハニカムブロックの形態に形成される、請求項1または2に記載の触媒。
【請求項4】
セラミックモノリスハニカムブロックの上に被覆される、請求項1~3のいずれかに記載の触媒。
【請求項5】
前記セラミックモノリスハニカムブロックがコーディエライト化合物である、請求項に記載の触媒。
【請求項6】
内燃機関からのNOの還元、または内燃機関からの一酸化炭素もしくは炭化水素の酸化を触媒するために使用される、請求項1~のいずれかに記載の触媒。
【請求項7】
前記内燃機関が自動車エンジンである、請求項に記載の触媒。
【請求項8】
前記内燃機関が理論空燃比条件下で運転される、請求項に記載の触媒。
【請求項9】
前記内燃機関が、ディーゼル燃料、エタノール/ガソリンハイブリッド燃料、ガソリンまたは天然ガスを燃料とする、請求項に記載の触媒。
【請求項10】
前記エタノール/ガソリンハイブリッド燃料が、85%エタノール/15%ガソリン(E85)である、請求項に記載の触媒。
【請求項11】
内燃機関からの排出物を低減するための方法であって、
前記内燃機関からの排気流を三元触媒と接触させることを含み、
前記三元触媒は、PdまたはPtと、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含有する、方法。
【請求項12】
前記三元触媒がAl担体の上にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記内燃機関が、理論空燃比条件下で運転される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記内燃機関が、ディーゼル燃料、エタノール/ガソリンハイブリッド燃料、ガソリンまたは天然ガスを燃料とする、請求項11~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
内燃機関からの排出物を低減するための排気システムであって、
PdまたはPtと、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含有する三元触媒と;
固体担体とを備える、排気システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年11月14日に出願された、Zhengらによる「ペロブスカイト触媒およびその使用」と題された第62/421,568号(代理人ドケット番号:121-68-PROV)の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、白金族金属およびペロブスカイトを含む、ペロブスカイト触媒材料およびペロブスカイト触媒を提供する。これらの触媒は、三元触媒などの自動車用酸素貯蔵材料として使用され得る。これらは、水または二酸化炭素の還元や、熱化学エネルギー貯蔵にも有用である。
【背景技術】
【0003】
2.1.序論
ペロブスカイト材料はABO3-δの一般的化学組成を有する。ここで、AおよびBは複数の原子価状態を有し得るカチオンであり、八面体環境および十二面体環境において安定である。ペロブスカイト構造は、ゴールドシュミットの許容因子(t)が0.7<t<1の範囲内にあるときに得られ、一方、tは式
【数1】
によって計算される。ここで、r、rおよびrは、An+、Bm+およびO2-のイオン半径である2,3。ペロブスカイトは、以下の反応式(1)で気相酸素と反応することによって、酸素不定比性(oxygen non-stoichiometry)δが大幅に揺れることがある。δは、温度および気相酸素分圧と共に変化し得、適切に選択されたカチオンでA部位および/またはB部位をドープすることによって調整され得る。ペロブスカイト内の著しい酸素移動度のため、ペロブスカイトは、水および/またはCOの還元、熱化学エネルギー貯蔵、ならびに化学ループ燃焼を含む多種多様な用途において、望ましい候補となっている4-9
【数2】
【0004】
酸素貯蔵材料(oxygen storage material;OSM)は、自動車排出ガス規制用の最新の三元触媒(three-way catalyst;TWC)における必須要素である。最新のTWCである、安定化されたγ-Alの上に堆積された担持バイメタルPd-Rh触媒は、CO、炭化水素HC、およびNOの、無害化合物CO、HO、およびNへの変換を可能にする10。TWCモードは、3つの汚染物質全てが最適な変換率に達する狭い理論空燃比(λ=1)内において、運転される11。λ値の繊細な制御はCeによって化学的に支援され、Ceは、Ce4+/Ce3+酸化還元対の機能により、高い酸素貯蔵能(oxygen storage capacity;OSC)を有することでよく知られている。Ceは、式(2)および式(3)に示される酸化還元化学によって、触媒性能を向上させるために、γ-Al担体に商業的に組み込まれる。
2CeO+CO→Ce+CO(わずかに燃料リッチ、λ<1)(2)
Ce+1/2O→2CeO(わずかに燃料リーン,λ>1)(3)
【0005】
近年、セリウムを含む希土類のファミリーは、急激に価格が上昇し、また入手し難くなった。そのため、市場が混乱し、OSC中のそれらの濃度を低減する方法の探求が開始された12。その一方で、自動車人口の急激な増加と、全汚染物質の96%もの変換を必要とするより厳格な自動車排出ガス規制に伴い、理論空燃比の運転ウィンドウを広げてTWCの性能を向上することに非常に興味が引かれている13。さらに、活性金属(白金族金属(platinum group metal;PGM))および(Ce-ZrO型のOSMを組み込んだ)担体材料を含むTWCは、燃料カットオフ、即ち、燃費を向上させるが触媒を高温(約1000℃を超える)リーン酸化条件にさらすエンジンモード下で、失活する可能性がある13,14。ペロブスカイトは優れた酸化還元特性だけでなく、高い化学的/構造的安定性も有する15。低コスト、高い存在量および入手可能性、優れた酸化還元特性、ならびに良好な熱安定性を有する遷移金属を選択することによるペロブスカイト型OSMの予備開発は、合理的な研究戦略であろう。さらなる研究努力は、傑出したOSCを有する新規ペロブスカイト構造にPGM族金属を組み込むことによる、先進的なTWCの開発を必要とするであろう。ペロブスカイト構造に貴金属を組み込み、焼結、担体との反応、および揮発に対して金属を安定化させることによる、触媒活性および安定性の向上が以前に報告された16-20
【0006】
ペロブスカイト中の酸素移動度は、利用可能な酸素空孔の量と共に増加する。カチオンによるA部位およびB部位のドーピングは、構造欠陥(アニオン空孔またはカチオン空孔)を導入することによって、酸素移動度に影響を与える21。以前のXRD分析により、ドーパントの種類、位置およびドーピングの程度を変えることによって、La-Mnペロブスカイト構造を改変するために、Ca、SrおよびAlのドーピングが使用可能であることが確認された。A部位がアルカリ金属イオンのような、より低価数のカチオンで部分的に置換されると、電気的中性を維持するために、B部位のカチオンの酸化状態が増加するか、またはいくつかの酸素空孔が生成される22。例えば、La3+が部分的にSr2+に置換されると、不安定なBイオンの量および酸素空孔を増加させることによって、電荷補償が達成され、それによってバルクから表面への酸素の拡散が促進される23。B部位のカチオンの性質は、形態、構造対称性、電荷補償機構および酸化還元特性を改変する。空気-Hサイクル酸化還元反応では、A部位にLa、およびB部位にCoもしくはMnを有するペロブスカイトが最も活性が高いことが見出された9,24。イオン価(Co3+/Co2+またはMn4+/Mn2+)濃度および酸素移動度を改変するために、Sr2+およびCe4+カチオンでAカチオンを部分的に置換することによって、活性をさらに増大させるための努力もなされた。Klimkowiczらは、La0.5Sr0.5Co0.5Fe0.53-δペロブスカイトが最先端のCe-ZrO(CZO)系よりも高い可逆的OSCを示すことを報告した。Ranらは、NiドープLaMnO3-δペロブスカイトが非常に大きな動的OSCと高い酸素放出速度を示し、Mn4+/Mn3+酸化還元対が低温での酸化還元反応に寄与しているという結果を示した13。これらのLa含有組成物は高い酸化還元エネルギー貯蔵能を有するが、より低い温度(<1000℃)での用途、例えば、TWCモードの場合、費用効率が良好でなく、TWCモードでは、地球に豊富に存在するカチオンを有するより費用効果の高い組成物が好まれる。
【0007】
さらに、B部位にPGM金属(Pd、Rh、またはPt)をドーピングすることも触媒活性を高め、「自己再生」効果をもたらすであろう25。PGM含有ペロブスカイト固溶体において、PGMは金属状態に還元され、還元後には表面上に小粒子として分散され、再酸化後には固溶体に戻ることがTanakaらによって最初に報告され、他の研究者によって支持された。これは、PGM含有ペロブスカイトは、自動車の燃料リッチな排気条件下で自身を再生可能であることを示唆し、それ故に「インテリジェント触媒(Intelligent Catalyst)」と命名された17,18,20,26。それ以来、過渡的な空燃比振動条件下および様々な温度下でのHC、CO、およびNO変換に関して、PdドープされたLa0.7Sr0.3CoO、LaAlOおよびLaFeOならびにRhドープされたCaTiOなどのPGMドープペロブスカイトにおいて、優れた触媒活性および安定性が見出された27-29
【0008】
米国特許第4,321,250号(Hart、Phillips Petroleum)は、Bカチオン部位の約1%~最大約20%がロジウムイオンによって占められ、残りのB部位がコバルト(Co)によって占められたペロブスカイト型触媒を含むロジウム(Rh)を開示する。式La0.8Sr0.2Co0.95Rh0.05を有する触媒A、およびアルミナ担体と組み合わせた触媒Aが開示されている。
【0009】
米国特許第6,680,036号(Fisherら、Johnson Matthey)は、混合酸化物MnZrを使用する酸素貯蔵成分を含有する三元触媒を開示している。パラジウムを担持した触媒およびCeZr触媒との比較データが開示されている。
【0010】
米国特許出願公開第2004/0024071号(Meier)は、第VIII族金属(鉄、コバルト、ルテニウム、ニッケル)を有するペロブスカイト、および合成ガスを炭化水素に変換するための触媒としてのそれらの使用を開示している。具体的には、LaFe0.5Ti0.5、LaFe0.50.5、LaFe0.5Cr0.5、LaFe0.5Mn0.5およびLaFe0.5Zr0.5が開示されている。
【0011】
米国特許第7,718,562号(Gandhiら、Ford Global Technologies)は、ペロブスカイト系の第一触媒および貴金属を含む第二触媒を有する、二成分触媒を開示している。具体的には、La0.5Ba0.5Co0.9Pt0.1、La0.5Ba0.5Co0.9Rh0.1、La0.5Ba0.5Fe0.3Pt0.1が開示されている。
【0012】
3.開示の概要
【発明の概要】
【0013】
本開示は、実施形態1において、白金族金属と、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含む、触媒が提供される。
【0014】
実施形態2において、前記白金族金属がPd、Pt、Rh、Ruまたはそれらの組み合わせである、実施形態1に記載の触媒。
【0015】
実施形態3において、前記白金族金属が、PdとRhとの組み合わせである、実施形態2に記載の触媒。
【0016】
実施形態4において、Al担体、チタニア担体、ジルコニア担体、セリア担体、シリカ担体、アルミナ-シリカ担体、ゼオライト担体、またはカーボン担体の上にある、実施形態1~3のいずれかに記載の触媒。
【0017】
実施形態5において、モノリスハニカムブロックの形態に形成される、実施形態1~4のいずれかに記載の触媒。
【0018】
実施形態6において、セラミックモノリスハニカムブロックの上に被覆される、実施形態1~4のいずれかに記載の触媒。
【0019】
実施形態7において、前記セラミックモノリスハニカムブロックがコーディエライト化合物である、実施形態6に記載の触媒。
【0020】
実施形態8において、三元触媒である、実施形態1~7のいずれかに記載の触媒。
【0021】
実施形態9において、内燃機関からのNOの還元、ならびに内燃機関からの一酸化炭素および炭化水素の酸化を触媒するために使用される、実施形態1~8のいずれかに記載の触媒。
【0022】
実施形態10において、前記内燃機関が自動車エンジンである、実施形態9に記載の触媒。
【0023】
実施形態11において、前記内燃機関が理論空燃比条件下または希薄空燃比条件下で運転される、実施形態9に記載の触媒。
【0024】
実施形態12において、前記内燃機関が、ディーゼル燃料、エタノール/ガソリンハイブリッド燃料、ガソリンまたは天然ガスを燃料とする、実施形態9に記載の触媒。
【0025】
実施形態13において、前記エタノール/ガソリンハイブリッド燃料が、85%エタノール/15%ガソリン(E85)である、実施形態12に記載の触媒。
【0026】
実施形態14において、内燃機関からの排出物を低減するための方法であって、前記内燃機関からの排気流を触媒と接触させることを含み、前記触媒は、白金族金属と、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含有する、方法が提供される。
【0027】
実施形態15において、前記白金族金属が、Pd、Pt、Rh、Ruまたはそれらの混合物である、実施形態14に記載の方法。
【0028】
実施形態16において、前記触媒がAl担体の上にある、実施形態14または15に記載の方法。
【0029】
実施形態17において、前記内燃機関が、理論空燃比条件下で運転される、実施形態14~16のいずれかに記載の方法。
【0030】
実施形態18において、前記内燃機関が、ディーゼル燃料、エタノール/ガソリンハイブリッド燃料、ガソリンまたは天然ガスを燃料とする、実施形態14~17のいずれかに記載の方法。
【0031】
実施形態19において、内燃機関からの排出物を低減するための排気システムであって、白金族金属と、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含有する触媒と;固体担体とを備える、排気システムが提供される。
【0032】
実施形態20において、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有する、ペロブスカイト触媒。
【0033】
実施形態21において、前記xが、0.2≦x≦0.8によって定義される数である、実施形態20に記載の触媒。
【0034】
実施形態22において、約1.0nm超約10mm未満の直径を有する粒子の形態である、実施形態19~21のいずれかに記載の触媒。
【0035】
実施形態23において、前記粒子が、約1.0μm超約50μm未満の直径を有する、実施形態22に記載の触媒。
【0036】
実施形態24において、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイト触媒の製造方法であって、
(a)Ca、CoおよびZrの塩の溶解して均一な溶液を形成すること;
(b)前記溶液を乾燥すること;および
(c)焼成および焼結によりペロブスカイト触媒を形成することを含む、製造方法が提供される。
【0037】
実施形態25において、前記焼成が約300℃~約500℃で行われ、且つ、前記焼結が約800℃~約1400℃で行われる、実施形態24に記載の方法。
【0038】
実施形態26において、熱化学的水分解により水素を製造する方法であって、
(a)酸素を放出して、酸素欠乏ペロブスカイト触媒を生成するために、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイト触媒を加熱すること;および
(b)水素を放出して、ペロブスカイト触媒を再生するために、前記酸素欠乏ぺロブスカイト触媒の粒子を水と接触させることを含む、方法が提供される。
【0039】
実施形態27において、前記水素が流動床反応器内で生成される、実施形態26に記載の方法。
【0040】
実施形態28において、前記流動床反応器が循環流動床反応器、バブリング流動床反応器、輸送反応器または化学ループ反応器である、実施形態27に記載の方法。
【0041】
実施形態29において、前記水素が固定床反応器内で生成される、実施形態26に記載の方法。
【0042】
実施形態30において、前記ペロブスカイト触媒が、約400℃~約1000℃の温度に加熱される、実施形態26~29のいずれかに記載の方法。
【0043】
実施形態31において、二酸化炭素を、一酸化炭素および水に還元するために、次の反応器で生成される水素を使用することを更に含む、実施形態26~30のいずれかに記載の方法。
【0044】
実施形態32において、二酸化炭素または一酸化炭素を、炭化水素および水に還元するために、次の反応器で生成される水素を使用することを更に含む、実施形態26~30のいずれかに記載の方法。
【0045】
実施形態33において、二酸化炭素または一酸化炭素を、アルカンもしくはアルケンと水に還元するために、次の反応器で生成される水素を使用することを更に含む、実施形態26~30のいずれかに記載の方法。
【0046】
実施形態34において、一酸化炭素およびアルケンの混合物から、アルデヒドを生成するために、次の反応器で生成される水素を使用することを更に含む、実施形態26~30のいずれかに記載の方法。
【0047】
実施形態35において、原油、重質石油またはバイオマスオイルフィードストックの品質を向上させるために、次の反応器で生成される水素を、水素化処理または水素化プロセシングのために使用することを更に含む、実施形態26~30のいずれかに記載の方法。
【0048】
実施形態36において、前記二酸化炭素が、化学ループ燃焼燃料反応器(chemical looping combustion fuel reactor)内で生成される、実施形態31に記載の方法。
【0049】
実施形態37において、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法であって、
(a)酸素を放出し、酸素欠乏ペロブスカイト触媒を生成するために、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイト触媒を加熱すること;および
(b)酸素を除去し、一酸化炭素を放出し、および前記ペロブスカイト触媒を再生するために、前記酸素欠乏ペロブスカイト触媒を二酸化炭素と接触させることを含む、方法が提供される。
【0050】
実施形態38において、水素を製造するために、水を熱触媒的に分解するためのシステムであって、
(a)酸素欠乏ペロブスカイト触媒を生成し、且つ酸素を放出するために、式CaCo1-xZr3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイト触媒を加熱するための酸素発生反応器;
(b)前記酸素欠乏ペロブスカイト触媒を水蒸気と反応させ、且つ、前記ペロブスカイト触媒を再生し、水素を生成するための水素発生反応器;および
(c)再生されたペロブスカイト触媒を、前記酸素発生反応器に戻すように構成された装置を備える、システムが提供される。
【0051】
実施形態39において、前記酸素発生反応器が流動床反応器である、実施形態38に記載のシステム。
【0052】
実施形態40において、前記水素発生反応器が流動床反応器である、実施形態38または39に記載のシステム。
【0053】
実施形態41において、前記水素発生反応流動床がライザ反応器である、実施形態38に記載のシステム。
【0054】
実施形態42において、前記酸素発生反応器または前記水素発生反応器のいずれかが、固定床反応器である、実施形態38に記載の方法。
【0055】
実施形態43において、前記水素が、燃焼プロセスからの排気ガス中の二酸化炭素を還元するために使用される、実施形態38~42のいずれかに記載のシステム。
【0056】
実施形態44において、前記水素が、熱エネルギー貯蔵のために使用される、実施形態38~43のいずれかに記載のシステム。
【0057】
実施形態45において、エネルギー損失を最小限に抑えながら、水分解反応のためのエネルギーを提供する、化学製造システムおよび化学製造設備に統合されている、実施形態38~44のいずれかに記載のシステム。
【0058】
実施形態46において、白金族金属と、式(La1-yCa1-xMn3-δ、La1-x(Co1-yRu3-δ、(La1-ySr1-xCo3-δ、Sr1-x(Co1-yFe3-δ、(Sr1-yCa1-xFe3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、yは、0.02≦y≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含む、触媒が提供される。
【0059】
実施形態47において、前記yが、0.15≦y≦0.85によって定義される数である、実施形態46に記載の触媒。
【0060】
実施形態48において、前記xが、0.3≦x≦0.7によって定義される数である、実施形態46または47に記載の触媒。
【0061】
実施形態49において、前記白金族金属が、Pd、Pt、Rh、Ru、またはそれらの混合物である、実施形態46~48のいずれかに記載の触媒。
【0062】
実施形態50において、前記白金族金属が、PdとRhとの混合物である、実施形態49に記載の触媒。
【0063】
実施形態51において、Al担体、チタニア担体、ジルコニア担体、セリア担体、シリカ担体、アルミナ-シリカ担体、ゼオライト担体、またはカーボン担体の上にある、実施形態46~50のいずれかに記載の触媒。
【0064】
実施形態52において、モノリスハニカムブロックの形態に形成される、実施形態46~51のいずれかに記載の触媒。
【0065】
実施形態53において、セラミックモノリスハニカムブロックの上に被覆される、実施形態46~52のいずれかに記載の触媒。
【0066】
実施形態54において、前記セラミックモノリスハニカムブロックがコーディエライト化合物である、実施形態53に記載の触媒。
【0067】
実施形態55において、三元触媒である、実施形態46~54のいずれかに記載の触媒。
【0068】
実施形態56において、内燃機関からのNOの還元、または内燃機関からの一酸化炭素もしくは炭化水素の酸化を触媒するために使用される、実施形態46~54のいずれかに記載の触媒。
【0069】
実施形態57において、前記内燃機関が自動車エンジンである、実施形態56に記載の触媒。
【0070】
実施形態58において、内燃機関からの排出物を低減するための方法であって、前記内燃機関からの排気流を触媒と接触させることを含み、前記触媒は、白金族金属と、式(La1-yCa1-xMn3-δ、La1-x(Co1-yRu3-δ、(La1-ySr1-xCo3-δ、Sr1-x(Co1-yFe3-δ、(Sr1-yCa1-xFe3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、yは、0.02≦y≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含有する、方法が提供される。
【0071】
実施形態3において、内燃機関からの排出物を低減するための排気システムであって、白金族金属と、式(La1-yCa1-xMn3-δ、La1-x(Co1-yRu3-δ、(La1-ySr1-xCo3-δ、Sr1-x(Co1-yFe3-δ、(Sr1-yCa1-xFe3-δ(前記式中、xは、0.02≦x≦0.98によって定義される数であり、yは、0.02≦y≦0.98によって定義される数であり、δは、0.0≦δ≦1.0によって定義される数である)を有するペロブスカイトとを含有する触媒と;固体担体とを備える、排気システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】異なるA部位イオンおよびB部位イオンを有する最先端のペロブスカイト試料のX線回折(XRD)パターン(図1A)。Pdドーピングあり及びPdドーピングなしでの、RTIの新規CaCoZr1-x3-δペロブスカイト試料のX線回折(XRD)パターン(図1B)。
図2】市販のCZOおよびCeOと比較した、合成されたままのペロブスカイト試料の試料温度の関数としての酸素不定比性(δ)。熱的酸素放出の開始温度が500℃であると仮定して(完全な試料ガス抜き後)、結果は温度プログラム熱重量(TG)データを用いて計算している。
図3】CO-TPR/MS測定中に記録された、オンストリーム反応時間(time on stream;TOS)に対するMSシグナル(分圧で)により表されるCO生成量およびCO取り込み量、ならびに試験試料の温度(図3A図3B)。
図4】H‐TPR測定(温度傾斜率5℃/分)中における、オンストリーム反応時間および試験試料の温度の関数としてのH消費量。
図5】500℃、600℃、700℃、および800℃における等温CO還元-空気酸化サイクル試験中のMS分圧シグナルで表される、CeOおよびCZOと比較した、PE-1~PE-6ペロブスカイトのオンストリーム反応時間(TOS)に対するCO生成量およびO取り込み量(図5A図5B)。
図6】500℃、600℃、700℃、および800℃における等温CO還元-空気酸化サイクル試験中のMS分圧シグナルで表される、PE-6~PE-9ペロブスカイト試料(CaCoZr1-x3-δ、x=0.3、0.5、0.7、または0.9)のオンストリーム反応時間(TOS)に対するCO生成量およびO取り込み量。
図7】CaCo0.5Zr0.53-δペロブスカイト試料の酸素取り込みの速度論的計算のためのプロットであって、350℃から475℃まで変化する温度における反応メカニズムの決定のための、時間変化に対する反応分率αのプロット(図7A)、換算時間(reduced time)t/t0.5に対する反応分率αのプロット(図7B)、およびlnt(tは分単位)の関数としてのln[-ln(1-α)]プロット(図7C)。
図8】CaCo0.5Zr0.53-δペロブスカイトの反応活性化エネルギーの計算のための、逆温度の関数としての自然対数スケールでの温度依存性反応速度定数k。k値は、反応データを様々な速度論モデルにフィッティングさせることによって得られ、一次速度論モデルが選択された。
図9】化学量数(SN)1.16、1.07および0.95の模擬排気フィードでの、CaCo0.5Zr0.4Pd0.13-δペロブスカイト(パネル1a/2a)、CaCo0.55Zr0.4Pd0.053-δペロブスカイト(パネル1b/2b)、およびCaCo0.5Zr0.53-δペロブスカイト(パネル1c/2c)についての触媒酸化試験中の(1)CO変換率および(2)C変換率。
【発明を実施するための形態】
【0073】
5.本開示の詳細な説明
5.1.定義
以下の用語は当業者によってよく理解されていると考えられるが、以下の定義は本明細書に開示された主題の説明を容易にするために記載されている。
【0074】
本明細書で使用される「酸素貯蔵材料」(OSM)という用語は、可逆的に気相酸素を吸収し、且つ当該酸素を放出する能力の両方を有する安定な材料を意味する。自動車の排気ガスなどの一実施形態では、OSMは、NOから酸素を吸収するか、または炭化水素または一酸化炭素を酸化するために酸素を放出することができる。本明細書に記載のペロブスカイト触媒はOSMである。このペロブスカイト触媒は、Ce-ZrO(CZO)混合酸化物などの従来のOSMと組み合わせることができる。
【0075】
用語「ペロブスカイト」は、立方晶の形態を有する、式ABO3-δまたはA3-δの金属酸化物を意味する。カチオンAおよびカチオンBは、複数の原子価状態をとり得る金属であり、八面体環境および十二面体環境の両方において安定である。
【0076】
用語「白金族金属」または(PGM)は、周期律表からの第VIII族金属を意味する。好ましいPGMは、Pd、Pt、Rh、Ru、またはそれらの組み合わせである。
【0077】
用語「三元触媒」または(TWC)は、COの酸化、未燃炭化水素(HC)の酸化、またはNOのNへの還元を、通常はより速い速度で、またはより低い温度で進行させることを可能にする物質を意味する。3つの化学反応は同時に起こるか、または米国特許第7,718,562号に開示されているTWCシステムのような段階的触媒システムで起こり得り、米国特許第7,718,562号では、第1の触媒がNOを還元し、第2の触媒がCOおよびHCを酸化する。段階的触媒システムでは、本明細書に開示されるペロブスカイトは、第一段階の触媒、第二段階の触媒、および両方の段階の触媒のいずれかの成分として存在し得る。
【0078】
本明細書全体を通して、用語「約」および/または「およそ」は、数値および/または数値範囲と併せて使用され得る。用語「約」は、列挙された値に近い値を意味すると解される。例えば、「約40[単位]」は、40の±25%以内(例えば、30~50)、±20%以内、±15%以内、±10%以内、±9%以内、±8%以内、±7%以内、±6%以内、±5%以内、±4%以内、±3%以内、±2%以内、±1%以内、±1%未満以内、またはその中もしくはその下にある任意の他の値もしくは値の範囲を意味し得る。さらに、「約[値]より小さい」または「約[値]より大きい」というフレーズは、本明細書で与えられる用語「約」の定義を考慮して、理解されるべきである。「約」および「およそ」という用語は互換的に使用され得る。
【0079】
本明細書を通して、数値範囲は特定の量に対して与えられている。これらの範囲は、その中のすべての部分範囲を含むことを理解されたい。したがって、「50から80まで」の範囲は、その中のすべての可能な範囲(例えば、51~79、52~78、53~77、54~76、55~75、60~70など)を含む。さらに、所与の範囲内のすべての値は、当該所定の範囲によって包含される範囲の終点であり得る(例えば、50~80の範囲は、55~80、50~75などの終点を有する範囲を含む。)。
【0080】
本明細書で用いられる場合、明細書および特許請求の範囲で用いられる動詞「含む(comprise)」、およびその活用形は、非限定的な意味で使用され、当該単語の後に続く項目は含まれるが、具体的に言及されない項目は除外されないことを意味する。
【0081】
本明細書を通して、用語「含んでいる(comprising)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、述べられた要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を含むことを意味するが、いかなる他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数またはステップの群を除外することを意味しないと、理解されるであろう。本開示は、請求項に記載のステップ、要素、および/または試薬を適切に「含む(comprise)」、請求項に記載のステップ、要素、および/または試薬から適切に「なる(consist of)」、または請求項に記載のステップ、要素、および/または試薬から適切に「本質的になる(consist essentially of)」ことができる。
【0082】
特許請求の範囲は、いかなる任意選択の要素も除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。かくして、この記述は、請求項要素の列挙、または「否定的な」限定の使用に関連して、「単独で(solely)」、「のみ(only)」などの排他的用語を使用するための先行詞として役立つことを意図している。
【0083】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者の一人によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料を本開示の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法、装置、および材料が記載される。本明細書中において引用される全ての参考文献は、参照によりその全体を援用する。
【0084】
以下の実施例は本開示をさらに説明するものであり、範囲を限定することを意図するものではない。特に、本開示は記載された特定の実施形態に限定されず、それらはそれ自体もちろん変化し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【実施例
【0085】
本研究は、自動車用途のための三元触媒(TWC)構造における、市販のCZOの潜在的代用品としての高度ペロブスカイトの系統的スクリーニングに焦点をあてている。材料合成に使用されるいくつかのペロブスカイト組成物は、他の用途における重大な材料性能を報告している最新の文献に基づいて選択された30-34。CaCoZr1-x3-δペロブスカイトが初めて合成され、現在の最先端のペロブスカイト材料および市販のCZOと比較して、優れた酸化還元特性および酸素移動度を示すことが本明細書において報告される。市販のCZOおよびCeOと比較した、合成されたままの材料のCO貯蔵能および酸素貯蔵能を調べるために、CO温度プログラム酸化測定およびH温度プログラム酸化測定、ならびに動的CO-空気酸化還元サイクル試験を行った。温度依存性酸素空孔数と材料の酸化還元特性との間の相関関係を調べるために、酸素不定比性測定が適用された。蛍光X線、X線回折、およびBET表面積測定を用いて、試験材料をキャラクタライズした。最高性能のペロブスカイト材料の酸素取り込みの速度論的データが含まれる。本研究は、現在の最先端のペロブスカイト材料の酸素貯蔵能/酸素放出能の包括的な比較、ならびに自動車および他の潜在的用途における高性能ペロブスカイト材料の開発のための予備結果を提供することを目的としている。
【0086】
2.実験方法
【0087】
2.1.ペロブスカイト材料の合成
【0088】
ペチーニ(Pechini)法を用いて、CaCoZr1-x3-δ(x=0、0.3、0.5、0.7および0.9)およびPdドープCaCo0.6-yZr0.4Pd3-δ(y=0.05、0.1および0.2)の目標組成を有するペロブスカイトを合成した35。硝酸カルシウム四水和物(Sigma-Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)、硝酸コバルト(II)六水和物(STREM Chemical、ニューベリーポート、マサチューセッツ州)、オキシ硝酸ジルコニウム(IV)水和物(Sigma-Aldrich)および硝酸パラジウム(II)二水和物(Alfa Aesar、テュークスベリー、マサチューセッツ州)を、金属前駆体として使用した。化学量論量の金属硝酸塩を最初にエチレングリコール(Acros Organics、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)に溶解し、続いて、投入モル比n(金属):n(クエン酸):n(エチレングリコール)=2:3:9で、クエン酸(Fisher Chemical、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)を添加した。150℃で溶液を形成してから、均一なゲルが形成されるまで連続的に攪拌しながら250℃までゆっくりと加熱し、次いで室温に冷却した。次に焼成を400℃で4時間行い、続いて一定の乾燥空気流(5mL/分)を用いて、高温オーブン中にて1200℃で4時間焼結した。市販のCe-ZrO(CZO、Ce:Zr=1:4(モル比))およびCeOは、それぞれMEL Chemical(フレミントン、ニュージャージー州)およびAlfa Aesarから入手した。La0.6Sr0.4CoO3-δ、Sr0.76Ca0.24FeO3-δ、LaCo0.6Ru0.43-δ、SrCo0.85Fe0.153-δ、およびLa0.5Ca0.5MnO3-δを含む他のペロブスカイトは、文献に従って合成した30-34
【0089】
2.2.酸素不定比性試験
【0090】
合成されたままのペロブスカイト試料の温度依存性酸素不定比性(δ)を、TA Q500ユニットを使用して、温度プログラム熱重量分析(TGA)によって試験した。約20mgの試料を最初に白金皿に載せ、流速60mL/分のヘリウム中にて、500℃で2時間脱気した。次いで、脱気試料の重量減少を、同じ流速のヘリウム中にて、500℃から900℃まで5℃/分の傾斜率で温度を上昇させながら測定した。酸素不定比性は、500℃が熱的酸素放出の開始温度であると仮定して、試料の重量減少と相関していた。市販のCe-ZrO(CZO、Ce:Zr=1:4(モル比)、MEL Chemical社製)およびCeO(Alfa Aesar社製)の仮想の酸素不定比性も、試験を行ったペロブスカイトと比較して、計算した。浮力効果を考慮に入れるために、空の白金皿を用いたバックグラウンド測定を同じ反応プログラムで行った。
【0091】
2.3.CO-温度プログラム還元測定
【0092】
合成されたままのペロブスカイト試料および市販の試料のCO-温度プログラム還元(CO-TPR)測定は、内蔵TCD検出器を備えたMicromeritics社製AutoChem II 2920反応器を用い、該反応器の下流をベンチトップ四重極質量分析計(TA Discovery Mass Spectrometer)に接続して行った。TCDシグナルはCO取り込み量の定量化に使用され、一方、MSシグナルは生成ガスの同定および半定量化可能な分析に使用された。薄い石英ウールに挟まれた約0.5gの試料を、まず上限温度1000℃の熱炉に収容されたU字型石英反応器に入れた。流速50mL/分のHe中にて500℃で1時間脱気した後、TCDおよびMSの応答を0.1秒ごとに記録しながら、試料を流速30ml/分の20% CO/He中にて、周囲温度(25℃)から900℃まで5℃/分で加熱した。全シグナル(減少したCO量および増加したCO量)に対するTCD較正は、COおよびCOの線形検量線の両方を使用することによって行い、基準ガスとして20% CO/Heを使用した。ベースラインを作成するために、空の反応器および同じ反応条件を用いたバックグラウンド試験を行った。
【0093】
2.4.H-温度プログラム還元測定
【0094】
合成されたままのペロブスカイト試料および市販の試料のH-温度プログラム還元(H-TPR)測定を、上記と同じAutoChem反応器システムを使用して行った。最初に約0.5gの試料を流速50mL/分のHe中にて500℃で1時間脱気してから、該試料を流速30ml/分の10% H/Ar中にて、周囲温度(25℃)から900℃まで5℃/分で加熱した。TPR中に発生した水は、プロパノール-液体N混合冷却剤を使用することによって、反応器のすぐ下流でトラップした。TCD較正は、Ar中にてH濃度を0%から10%まで変化させ、基準ガスとして10% H/Arを用いて行った。ベースラインを作成するために、空の反応器および同じ反応条件を用いたバックグラウンド試験を行った。
【0095】
2.5.CO貯蔵能および酸素貯蔵能の動的測定
【0096】
試験試料中の酸素移動度を、上記と同じAutoChem反応器システムを使用した動的等温CO-空気酸化還元サイクル試験を用いて、さらに調べた。サイクル試験の前に、最初に、試料をHe(50mL/分)中にて500℃で2時間脱気した。各サイクルは、CO還元-空気酸化の順番に従って、500℃、600℃、700℃、および800℃でそれぞれ実施され、各反応温度でサイクルを3回繰り返した。還元中、20% CO/Heを30mL/分の一定流速で試料中に流した。酸化中、空気(水分を除去した)を30mL/分の一定流速で試料中に流した。還元期間および酸化期間は、ともに0.5分(30秒)に保たれた。還元段階と酸化段階の間に、流速50mL/分のHeを用いて系の残留ガスをパージした。還元サイクル中のCO生成、および酸化サイクル中のO取り込みは、TCDシグナルおよびMSシグナルによって、厳密にモニターされた。空の反応器を用いたバックグラウンド試験を、同じサイクル条件で行った。
【0097】
2.6.反応速度論試験のための等温熱重量実験
【0098】
最良の性能を有するペロブスカイトの反応速度論は、TA Q500ユニットを用いた等温熱重量(TG)実験によって試験された。約20mgの各試験試料をHe(50mL/分)中にて500℃で1時間脱気した後、20% CO/He(30mL/分)中にて同じ温度で1時間予備還元した。次いで、上記の前処理した試料を浅い白金皿に入れ、流速60mL/分のHe中にて、目標温度(350℃、375℃、400℃、425℃、450℃、475℃、または500℃)に加熱した。全プロセスを通して試料の重量シグナルを0.1秒ごとに記録する一方で、目標温度に到達して安定したベースラインが得られた後、フローを5% O/Heに切り替えて試料を徐々に酸化した。浮力効果を考慮するために、空の白金皿を用いたバックグラウンド測定を各反応温度で行った。速度論モデルは、Hancock[29]およびMotohashi[30]の以前の研究から採用し、主要な計算式は対応する本文に付随して記載されている。
【0099】
2.7.触媒のキャラクタリゼーション
【0100】
2.7.1.蛍光X線(XRF)分析
【0101】
試験材料の元素組成試験のための蛍光X線分析(XRF)は、Thermo Scientific社製ARL PERFORMX波長分散型蛍光X線(WDXRF)装置を用いて行った。極薄の30μmBe窓を有する5GN型Rhターゲット入射ビームを使用して、軽元素応答を最大化した。上記装置は、広い元素範囲を達成するために、2つの検出器と7つのアナライザー結晶とを備えていた。試料データは、元素濃度を決定するために高度な基本パラメータアルゴリズムを使用する標準ソフトウェアパッケージであるUniQuantを使用して処理された。79の元素について分析が行われ、装置の計算された不確実性の10倍を超える元素が報告されている。
【0102】
2.7.2.X線回折(XRD)分析
【0103】
位相の同定は、Thermo INEL Equinox 100ベンチトップ型X線回折計を用いた、試験材料のX線回折(XRD)分析によって行われた。XRDパターンは、40kVおよび0.9mAの機器出力設定、全スキャン期間1200秒で、単色化されたCuKα線を用いて、2θが20~70の範囲にわたって収集された。ベンダーのY標準生成ピーク精度を使用して、ICDD PDF基準値との比較による装置の検証のためにスキャンを行った、当該Y標準生成ピーク精度はSOPに記載の2θの許容値0.05°内に十分に収まっていた。全ての測定は、Jadeソフトウェアを用いて処理された。
【0104】
2.7.3.BET表面積分析
【0105】
試験材料のBET表面積は、ASAP 2020 Plus Chemisorptionユニットを使用して測定した。各試料(約0.2g)を、最初に真空(<500μmHg)中にて、350℃で4時間脱気した。脱気試料の多点BET表面積は、液体窒素温度(77K)で、0.05~0.30の分圧(P/P)下で測定された。
【0106】
3.結果と考察
【0107】
3.1.試験試料の構造解析
【0108】
合成されたままのペロブスカイト試料の実際の組成を、<10%の誤差限界内の複製結果を伴うXRFによって分析した。試験材料の目標(理論)組成および実際の組成を表1に示す。すべてのペロブスカイトについて2つの値の差は、許容範囲内にある。市販のCe-ZrO(CZO)およびCeOの分析情報は、それらの製造業者によって提供されている。表1はまた、理論的材料組成に基づいて計算されたペロブスカイトの許容因子(t)を列挙する。t値は、A部位イオンについてはCa2+、La3+、およびSr2+のイオン半径に基づいて、B部位イオンについてはCo3+、Fe3+、Mn3+、Ru3+、Zr4+、およびPd2+のイオン半径に基づいて計算された。PE-1~PE-9試料のt値は、0.8~0.92の範囲内であり、安定した斜方晶系ペロブスカイト構造を示唆する
【0109】
【表1】
【0110】
注釈:
再現性のある結果と10%未満の許容限度を伴って、XRFによって測定された材料の実際の組成;
標的組成に基づいて計算されたペロブスカイト材料試料の理論上の許容因子(0.75~1の範囲で);
液体N温度(77K)、0.05~0.30の範囲内の相対圧力(P/P)で測定された多点比BET表面積
MEL Chemicalから入手され、材料組成の情報が提供されている、市販のCZO試料。;
Alfa Aesarから入手され、材料組成の情報が提供されている、市販のCeO試料。
【0111】
試験材料のより詳細な材料構造情報は、XRD分析から得ることができる。図1A~1Bは、全てのフレッシュな試料の高度に分離したXRDパターンをプロットしたものである。図1Aは、異なるA部位イオンおよびB部位イオンを有する、合成されたままのペロブスカイト試料PE-1~PE-5のXRDパターンを示す。La0.6Sr0.4CoO3-δ(PE-1)のXRDパターンは、データベース(PDF#01-070-7597)および以前の報告と一致しており30、菱面体晶格子構造の特徴である。Sr0.76Ca0.24FeO3-δ(PE-2)のすべての回折ピークは、ペロブスカイト型構造(PDF#01-082-2445)に帰属することができる31。LaCo0.6Ru0.43-δ試料(PE-3)の回折パターンは、酸化ルテニウムに起因するピークがない単一のペロブスカイト構造(PDF#01-082-9769)に対応するプロファイルを示す32。SrCo0.85Fe0.153-δ試料(PE-4)のXRDパターンも、一切の不純物相のない、以前に報告されたペロブスカイト構造(PDF#04-014-2297)とよく一致する33。La0.5Ca0.5MnO3-δ(PE-5)は、以前に報告されたLa0.67Ca0.33MnOペロブスカイト(PDF#04-014-6391)とよく一致する明確なピークを示した。
【0112】
Pdドープ有りまたは無しでの、PE6-12の新規ペロブスカイト試料のXRDパターンを図1Bに示す。2θが22.1、31.0、31.5、32.0、45.2、50.2、50.9、51.6、55.2、55.9、56.5、56.7、64.7、65.8および66.9での反射は、斜方晶系Lakargiite CaZrOペロブスカイトマトリックスの主相に帰属され(JCPDS 01-080-6213);2θが30.3、35.1、50.5、60.0および63.0での反射は、立方晶系Tazheranite ZrO構造に帰属され(JCPDS 04-002-8314);2θが19.5、32.5、34.2、41.6、42.3、46.4および47.8での反射は、CaCo相に帰属され(JCPDS 04-010-0812);2θが40.2および46.7での反射は、Pd相に帰属された(JCPDS 01-089-4897)。
【0113】
より低いx値(B部位でより高いZr/Co比)を有するCaCoZr1-x試料については、ZrO相の量の増加が検出された一方で、より高いペロブスカイト主相結晶性が観察された。x>0.7のとき、顕著な量のCaCo相が検出された。これは、ZrによるCoの部分置換がCaCoOの構造結晶性を高めることを示唆する。x値が約0.5のとき、CaCo0.5Zr0.5は最適な結晶性および最小限の不純物を有する。注目すべきことに、x<0.7のとき、いかなる単一形態の酸化コバルトの側相も同定されず、Coがペロブスカイト単位格子の内側にあることが示唆された。
【0114】
CaCo0.6-yZr0.4Pd試料については、特徴的なピークがCaCo0.5Zr0.5で観察されたものと一致したので、主相はCaCoZr1-xペロブスカイトのままであった。Pdを特徴付けるピークが観察され、Pd担持の増加と共にPd相の量が増加した。PdOに対応するピークは示されなかった。これは、ドープされたPdの中には、ペロブスカイトバルク結晶構造に組み込まれているもの(バルクPd2+)もあれば、結晶表面に残っているもの(表面Pd)もあることを示唆している。バルクPd2+の存在は、以下の本文において、H-TPRの結果によって、さらに証明されるであろう。
【0115】
3.2.合成されたままのペロブスカイトの温度依存性酸素不定比性
【0116】
合成されたままのペロブスカイト試料ならびに市販のCeOおよびCZO試料の温度依存性酸素不定比性(δ)が、図2において、500℃~900℃の温度範囲で比較されている。一般に、δ値は温度が上昇するにつれて増加する。δ増加率の顕著な差が、ペロブスカイト試料とCe含有非ペロブスカイト試料との間で観察される。ペロブスカイト試料と比較して、CeOおよびCZOは、温度によるδ値の変動がごくわずかであった。ペロブスカイト試料の中で、PE-1~PE-5は、温度プログラムプロセス全体を通して、安定したδ増加率を示し、PE-1(La0.6Sr0.4CoO3-δ)が最良の材料であった。PE-1~PE-5と比較して、CaCoZr1-x3-δ型ペロブスカイトの酸素放出は、より熱的に活性化されるプロセスであり、δ値は780℃で指数関数的に増加することが観察された。具体的には、x>0.3で温度が800~900℃に達したときに、顕著な量の酸素空孔がCaCoZr1-x3-δにおいて生じた。
【0117】
3.3.市販のセリア系酸素貯蔵材料(OSM)と比較した合成されたままのペロブスカイトの還元性
【0118】
合成されたままのペロブスカイト試料および市販のセリア系酸素貯蔵材料(OSM)試料のCO-TPR/MSプロファイルを図3に示す。フレッシュな試料の酸化前処理は行わなかった。材料合成中に酸化的な焼成環境にさらされているからである、すなわち、ペロブスカイト試料は空気中で1200℃、市販のCeOおよびCZO試料は空気中で約550℃に既にさらされているからである。全ての測定の前に、完全な試料の脱気前処理が適用された。図3A図3Bは、それぞれCO-TPR生成物ストリーム中の(図3A)CO(質量44)および(図3B)CO(質量28)の質量分率の分圧(Torr)で、半定量的MSシグナルをプロットしたものである。同じ温度条件で空の反応管を通して同じ反応ガス(10% CO/He)を流すことによって得られる、COおよびCOのベースラインもプロットされている。ベースラインに対して正のCOピークおよび負のCOピークは、還元温度が周囲温度から900℃まで上昇するにつれて、COによる試料の還元を示す。より高い程度の試料の還元は、より高い強度のCOシグナル、およびより高い絶対値のCO強度によって表される。
【0119】
図3A~3Bにおいて、CO-TPR測定中に記録されたCOおよびCOの高度に分離したMSシグナルは、分析手法の有効性を示唆している。試験試料の開始還元温度は約150℃~250℃であり、温度が900℃にまで上昇するにつれて還元は続く。各試料について、異なる温度範囲での顕著なTPRピークは、様々な種類の固体還元を表す。ペロブスカイトについては、すべてのAカチオン(Ca2+、La3+およびSr2+)は記載の条件では還元不可能であるため、還元は主にBカチオン(Com+、Fen+、Mnp+、およびRuq+)で起こった。より具体的には、還元は表面酸素によって安定化されたB部位イオンで起こった。例外はCaCoZr1-x3-δペロブスカイト試料(PE-6~PE-9)であり、Zr4+の組み込みは上述のように単に構造調整の理由による一方で、B部位Zr4+イオンは記載された条件下で非還元性であった。
【0120】
一般に、CO消費の体積量(VCO、mL/g試料)は、CaCoZr1-x3-δ(x=0.9、0.7、および0.5)>LaCo0.6Ru0.43-δ>CaCo0.3Zr0.73-δ>La0.6Sr0.4CoO3-δ>La0.5Ca0.5MnO3-δ>CeO>CZO>SrCo0.85Fe0.153-δ>Sr0.76Ca0.24FeO3-δの傾向に従う。全ての合成されたままのペロブスカイト試料の還元性は、市販のCeOおよびCZO試料よりも高い。試験を行ったペロブスカイトのうち、CaCoZr1-x3-δがCO-TPRにおいて良好な還元性を示す。具体的には、CaCo0.9Zr0.13-δは、現在の最先端のLa0.6Sr0.4CoO3-δよりも著しく高い還元性を示す。
【0121】
図4は、CaCoZr1-xおよびCaCo0.6-yZr0.4PdのH-TPRプロファイルを示す。CaCoZr1-x(CaZrOを除く)のTPRプロファイルは、2つの連続した還元ピークを示し、そのうちの一つは280~500℃の範囲にあり、他方は450~680℃の範囲にある。以前の研究と一致して、2つのピークはそれぞれ、Co3+からCo2+への還元、およびCo2+からCoへの還元に帰属することができる36,37。還元性部位の量は、Co含有量の増加と共に増加した。CaZrOは全く還元を示さず、還元がCo部位のみで起こったことがさらに証明された。一方、両方のピークの還元温度は、Zr含有量が増加するにつれてより低い値にシフトする。この結果は、ZrによるB部位の置換が、還元温度を下げることによって、Co種の還元を促進したことを示している。
【0122】
フレッシュなPdドープ試料であるCaCo0.6-yZr0.4Pd3-δのH-TPRプロファイルは、高温のCo還元ピーク(Co3+からCo2+へ)のより低温(80~100℃低い)への明確なシフトを示す。PdドーピングによるCo2+からCoへの還元ピークのより低い温度への顕著なシフトも観察された。さらに、シフトは、Pd含有量が増加するにつれてより顕著になった。最大量のPd担持では、3つの重なり合うピークがCaCo0.4Zr0.4Pd0.2で見られる。より高温(Tmax=390℃および420℃)側の連続した2つの還元ピークは、説明したように、Co還元に帰属することができ、一方、低温(Tmax=320℃)のピークは、Pdの酸化物形態(Pd2+)のPdへの還元に対応する36。ピーク面積は、Pd含有量の減少と共に減少する。以前の報告と一致して、このことはPdがCoの還元を促進して触媒の還元性を向上させたことを示唆しており、これは、表面Pd粒子上での水素解離と、それに引き続く解離した水素原子のCo種への連続的なスピルオーバーに起因し得る38
【0123】
Pdドープペロブスカイトおよび非ドープペロブスカイトの両方は、CeOおよびCeO-ZrO(CZO)試料よりも高い還元性を示した。CeOの場合、主要な還元が500℃から始まってはるかに高い温度で起こり、Tmaxが約800℃であり、Ce4+からCe3+への還元に帰属される39。CZO構造へのZr4+の取り込みは、Ce種の還元性を高め、還元ピークはより低い温度(Tmax=520℃)にシフトした。混合セリア-ジルコニアにおいて、ジルコニウムのより小さなイオン半径は、それらの形成に伴う歪みを排除することによって、Ce3+イオンの存在を支持することが十分に確立されており、一方、増強された酸素欠陥は改善された還元性/OSCを説明する。
【0124】
3.4.試験材料の動的CO貯蔵能および動的酸素貯蔵能
【0125】
試験材料のCO貯蔵能および酸素貯蔵能は、COおよびOをそれぞれ還元剤および酸化剤として使用した動的等温酸化還元サイクル試験によって測定された。測定中、一定流量の20% CO/Heおよび空気を順番に脱気した試料中に短期間(30秒間)パージし、且つ残留ガスをパージアウトするために、還元段階と酸化段階の間にHeをパージした(15分間)。各試料の性能は、4つの酸化還元温度(500、600、700、および800℃)で等温的に試験し、一方、各温度で繰り返し測定を3回続けて行った。下流のガス生成物組成をTCDおよびMSによって厳密にモニターした。図5A-5Bおよび図6は、すべての試験材料について、測定中のCO生成物(実線ピーク***)および未反応O(点線ピーク***)のMS応答(質量分率分圧(mass fraction partial pressure))を示している。具体的には、図5A~5Bは、異なる種類のペロブスカイト(PE-1~PE-6)および市販のOSM(CeOおよびCZO)の間の材料性能の比較であり、一方、図6は、様々なx値を有するCaCoZr1-x3-δペロブスカイト(PE-6~PE-9)のOSCを示す。還元中、全ての試験材料について、試験温度で相当なCO形成(CO変換)が検出された。一般に、酸化還元特性は、500℃から800℃への温度の上昇と共に増加する。加えて、等温プロセスは、還元段階におけるCO変換およびその後の酸化段階におけるO貯蔵について、比較的安定した応答を示し、安定した材料性能が示唆された。
【0126】
図6では、材料の酸化還元特性は、500℃から800℃への温度の上昇とともに、およびx値の増大(より高いCo含有量)とともに向上した。より低い温度(500℃と600℃)では、再現性のある酸化還元挙動がすべての試験材料で明らかになり、安定したOSC性能が示された。酸化還元温度が上昇するにつれて(800℃)、CaCoZr1-x3-δ(x>0.5の場合)は還元中に著しいCO消費を示したが、酸化中にはサイクルと共に連続的に減少するO消費を示した。これは、高温の還元性雰囲気では、Coが不安定である(CoO相が主相から分解により放出された)ためと思われた41。ペロブスカイト中により多量のZrが存在すると(x≦0.5)、酸素貯蔵は高温でも繰り返し可能であった。これは、安定化されたCaCoZr1-x3-δペロブスカイト構造が、B部位のCoを一定量のZr(x≦0.5)で部分的に置換することによって達成され得るという、以前に述べられた仮説と一致する。x=0.5のとき、最適なペロブスカイト組成であるCaCo0.5Zr0.53-δは、最適な酸素貯蔵能および安定性を示した。
【0127】
3.5.CaCo0.5Zr0.53-δの酸素取り込みの反応速度論的試験
【0128】
還元CaCo0.5Zr0.53-δペロブスカイトの酸素取り込み速度論をさらに試験した。図7A~7Cは、350~475℃、5% O/He下での等温TGデータに基づく速度論的計算のために使用したプロットを示す。各温度での測定前に、試料を500℃で完全に脱気し、同じ温度において10% CO/Heで予備還元した。データは、HancockとSharp42によってまとめられた固体速度論的研究方法論、およびMotohashiら43による最近の関連議論に基づいて分析される。反応した固体の時間依存性分率(α)およびそのバリエーション(ln[-ln(1-α)])は、オンストリーム時間(t)、換算時間t/t0.5、または対数スケールの時間(lnt)の関数としてプロットされる。反応分率(α)は、式(4)を用いて計算され、式(4)中において、m、m、およびmfinalは、それぞれ、試料の酸化中の、TG測定開始時における試料の重量、TG測定のオンストリーム時間t(分)における試料の重量、およびTG測定終了時における試料の重量である。α値には0~1のスケールが許され、α=0およびα=1はそれぞれ固体反応の開始状態および平衡状態を示す。
【0129】
【数3】
【0130】
一般に、試料の酸化速度は、350℃から475℃まで温度が上昇するにつれて加速し(図7A)、各曲線についてt/t0.5値が増加するにつれてより小さい傾きを示すことによって、オンストリ-ム時間の増加とともに減少する(図7B)。反応機構は、傾きmを有する線形速度評価方程式が得られるときに、lnt(tは分単位)の関数としてln[-ln(1-α)]をプロットすることによって、調べることができる(図7C)。全ての線形曲線のm値は0.6~1.3の範囲内に入る(350℃、375℃、400℃、425℃、450℃および475℃で、それぞれ、m=1.29、1.23、1.31、1.09、0.88、0.61)。
【0131】
350℃≦T≦475℃のデータ点は、速度方程式(5)にうまく従い、試験を行った酸化反応条件における両試料の一次速度論を示す。アレニウスの式に従って、酸素取り込み時の対数スケールでの反応速度定数(k)を、図8として示すように、逆温度(1000/T)に対してプロットした。酸素取り込みプロセスの反応活性化エネルギー値(Ea、eV単位で)は、CaCo0.5Zr0.53-δペロブスカイトについて0.159eVであると計算された。
【0132】
-ln(1-α)=kt (5)
【0133】
3.6.PdドープCaCoZr1-x3-δの触媒CO酸化活性および触媒HC酸化活性
【0134】
PdドープCaCo0.6-yZr0.4Pd3-δ(y=0、0.05および0.1)ペロブスカイト試料を用いた模擬排気フィードでの、CO酸化およびHC酸化に対する触媒活性を調べた。CをHCのモデル化合物として使用した。図9は、対応するドーパントPdの含有量5.0%、2.5%および0%(重量%)を有する、フレッシュな(a)CaCo0.5Zr0.4Pd0.13-δ、(b)CaCo0.55Zr0.4Pd0.053-δおよび(c)CaCo0.5Zr0.53-δの触媒酸化活性を示す。酸化活性は、150~550℃の反応温度(25℃ごと)に対するCOおよびCの変換率としてプロファイルされた。変換プロファイルは、それぞれ燃料がわずかにリッチな条件、ストイキ、および燃料希薄条件をシミュレートした、0.95、1.07および1.16の3つの異なる化学量数(SN)で収集された。見て分かるように、全てのペロブスカイト型OSMは、CO酸化およびHC(C)酸化に対して優れた活性を示す。全てのPdドープOSMにおいて、COおよびHCの完全な変換が350℃よりも低い温度で観察された。CO酸化のT50は240℃と低い一方で、C酸化のT50は250℃と低かった。すべてのPdドープCaCoZr1-x3-δ三元触媒(TWC)のHC酸化活性は、最先端の三元触媒(TWC)より高くはないにしても、それに匹敵した。これらの有望なデータは、提案されたペロブスカイト三元触媒(TWC)の優れた潜在能力を明確に裏付けている。
【0135】
一般に、PdドープCaCoZr1-x3-δ試料は、3つの条件全てにおいて、特により高いSN(燃料希薄)条件において、Pdを含まない試料よりも高い触媒酸化活性を示した。Pdの存在によって、CO分子およびC分子の表面化学吸着、ならびに解離/活性化が促進されることは明らかである。酸化活性は、CaCo0.5Zr0.4Pd0.13-δとCaCo0.55Zr0.4Pd0.053-δとで同程度であり、試験条件における後者の試料での物質移動限界が示唆された。同じPd含有試料では、より高い変換率がよりリッチな条件(SN=0.95)で示され、還元条件において「表面へのPdの偏析」によって生成された、よりアクセスしやすい活性部位のためである可能性が最も高い27,29,36。Pdを含まないCaCoZr1-x3-δもCO変換およびC変換を示し、フィード中に存在するOがより少ない時に(希薄条件で)、大幅に高まった変換を示した。Pdが存在しない場合、表面化学吸着が律速段階となり、大気からのCOおよびCは、新たに生成された表面酸素または格子から移動した表面酸素によって、直接酸化された可能性が高かった。また、燃料リッチな場合に(SN=0.95)、すべての試料が400℃よりも高い温度で、CO変換の減少とH生成量の増加を示したことも興味深く、熱力学的には高温において好まれる(吸熱反応)水蒸気改質反応(過剰なCが酸化反応からのHO生成物と反応して、HおよびCOを生成する。)の発生が示唆される。これは、ストイキでエンジンモードを運転することによって、回避することができたであろう。
【0136】
4.結論
【0137】
本開示では、CaCoZr1-x3-δ(x=0、0.3、0.5、0.7および0.9)ペロブスカイトが初めて合成され、最先端のペロブスカイトおよびセリア系酸素貯蔵材料(OSM)と比較して、改善された酸化還元特性および酸素貯蔵能(OSC)を示すことが報告された。PdドープCaCo0.6-yZr0.4Pd(y=0.05、0.1および0.2)試料は、模擬排気条件下でCおよびCOの酸化に対して有望な触媒活性を示し、自動車の排出物規制用三元触媒における潜在的用途が示唆された。
【0138】
試験されたペロブスカイトは、斜方晶系のLakargiite CaZrO構造のそれらの主相を保持している。B部位でのZrによるCoの部分的置換はペロブスカイト構造の結晶性を高めるが、Zr含有量の増加とともにZrO相の不純物が増加した。Pd含有試料については、PdはバルクPd2+および表面Pdの両方の形態として存在し、表面Pdの量はPd含有量の増加とともに増加した。xが0.5付近にあったとき、ペロブスカイトは最適な結晶性および最小の不純物を示す。
【0139】
酸化還元特性およびOSC特性は、主にB部位のCoおよびPdに起因していた。Zrによる部分置換は還元温度を下げることによってCo種の還元を促進したが、還元性部位の量はCo含有量の増加とともに増加した。PdドーパントもCoの還元を促進し、触媒の還元性を向上させた。Pdドーピングの有無にかかわらず、CaCo0.5Zr0.5の組成を有するペロブスカイト型OSMは、最適化された還元性および構造安定性を与える。さらなる速度論的試験は、CaCo0.5Zr0.53-δについて、0.159eVの活性化エネルギー(Ea)を持つ一次反応機構を示した。
【0140】
フレッシュなCaCo0.5Zr0.4Pd0.13-δ、CaCo0.55Zr0.4Pd0.053-δおよびCaCo0.5Zr0.53-δの試料はすべて、燃料リーン条件下から燃料リッチ条件下(SN=1.16、1.07および0.95)で、触媒酸化によるCおよびCOの著しい変換を示し、CおよびCO変換の最も低いT50は<250℃であった。Pdドープペロブスカイトは、3つの条件すべてにおいて、特により高いSN(希薄)条件下において、Pdを含まないペロブスカイトよりも高い酸化活性を示した。同じPd含有試料について、より高い変換がよりリッチな条件(SN=0.95)において示され、これは、「表面へのPdの偏析」という報告された現象に起因し得る。
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【0141】
上記の説明は、例示的な実施形態および実施例を表すものにすぎないことを理解されたい。読み手の便宜のために、上記の説明は、すべての可能な実施形態のうちの限られた数の代表的な例、本開示の原理を教示する例に焦点を合わせてきた。上記の説明は、すべての可能な変形、または記載されたそれらの変形の組み合わせさえも、網羅的に列挙することを試みていない。代替実施形態が本開示の特定の部分について提示されていない可能性があること、またはさらなる記載されていない代替実施形態がある部分について利用可能であり得ることは、それらの代替実施形態の放棄と見なされるべきではない。当業者は、これらの記載されていない実施形態の多くが、本開示の原理の適用における違いよりも、むしろ技術および材料における違いを含むことを理解するであろう。したがって、本開示は、以下の特許請求の範囲およびその均等物に記載されている範囲未満に限定されることを、意図するものではない。
【0142】
参照による援用
【0143】
本明細書で引用された全ての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、および特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により援用される。しかしながら、本明細書中に引用されたいかなる参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報、および特許出願についての言及も、それらが有効な先行技術を構成すること、またはそれらが技術常識の一部を形成することの承認またはいかなる形態の示唆として、世界のいかなる国においても、みなされるべきではない。本開示をその詳細な説明と併せて記載してきたが、前述の記載は例示を目的としたものであり、範囲を限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、および改変は、以下に記載の特許請求の範囲の範囲内にある。本明細書で引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により援用されることが示されているかのように、参照により本明細書に援用される。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9