(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】1,4-ブタンジオールを製造するための方法および触媒
(51)【国際特許分類】
C07C 29/141 20060101AFI20220510BHJP
C07C 31/20 20060101ALI20220510BHJP
C07C 29/17 20060101ALI20220510BHJP
B01J 25/02 20060101ALI20220510BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20220510BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
C07C29/141
C07C31/20 B
C07C29/17
B01J25/02 Z
B01J35/10 301A
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2019517288
(86)(22)【出願日】2017-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2017074528
(87)【国際公開番号】W WO2018060269
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-08-24
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】モニカ ベアヴァイラー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ゲットリンガー
(72)【発明者】
【氏名】マイケ ロース
(72)【発明者】
【氏名】マティアス シュヴァルツ
(72)【発明者】
【氏名】ルネ ポス
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-517135(JP,A)
【文献】特表2016-513173(JP,A)
【文献】特開2001-054735(JP,A)
【文献】特開昭50-044995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 29/00
C07C 31/00
B01J 25/00
B01J 35/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-ブチン-1,4-ジオールまたは4-ヒドロキシブタナールを水素化することによる1,4-ブタンジオールの製造方法であって、2-ブチン-1,4-ジオールまたは4-ヒドロキシブタナールを含む水溶液を、水素および活性化ニッケル触媒と接触させ、前記活性化ニッケル触媒は、巨視的な孔が100~5000μmの範囲の大きさを有する多孔質フォーム構造を有し且つ
0.2~0.6kg/Lのかさ密度を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
4-ヒドロキシブタナールの水素化を、10~110barの範囲の水素圧力で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素化を、50~200℃の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ブチン-1,4-ジオールの水素化を、50~350barの範囲の水素圧力で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水素化を、50~150℃の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水素化を連続的に行い、ここで、前記触媒は断熱的に操作される反応器内の固定床として存在し、反応器入口での温度が80~100℃の範囲であり、且つ反応器出口での温度が110~150℃の範囲であることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記水素化を撹拌槽反応器内で、バッチ式で行い、ここで、前記触媒を撹拌機のシャフト近くの保持装置内に配置して、触媒床を通る反応混合物の流れが撹拌機によって生成されることを特徴とする、請求項4および5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
反応開始時の撹拌槽内の温度を90~105℃の範囲に保持して、ブチン-1,4-ジオールが水素と少なくとも部分的に反応してブテン-1,4-ジオールがもたらされ、次いで130~135℃に高め、水素化が完了するまで保持して、1,4-ブタンジオールがもたらされることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記活性化ニッケル触媒が、15質量%以下のアルミニウム含有率を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記活性化ニッケル触媒が、巨視的な孔が200~2500μmの範囲の大きさを有する多孔質フォーム構造を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記活性化ニッケル触媒が、0~10質量%の、モリブデン、鉄およびクロムからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
巨視的な孔が100~5000μmの範囲の大きさを有する多孔質フォーム構造を有し、且つ
0.2~0.6kg/Lのかさ密度を有する、活性化ニッケル触媒。
【請求項13】
前記触媒が、最大70mmの平均粒径を有することを特徴とする、請求項12に記載の活性化ニッケル触媒。
【請求項14】
前記触媒が、50mm以下の辺長を有する立方体粒子のばら材料として存在することを特徴とする、請求項12または13に記載の活性化ニッケル触媒。
【請求項15】
前記触媒が、15質量%以下のアルミニウム含有率を有することを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項に記載の活性化ニッケル触媒。
【請求項16】
前記触媒が、巨視的な孔が200~2500μmの範囲の大きさを有する多孔質フォーム構造を有することを特徴とする、請求項12から15までのいずれか1項に記載の活性化ニッケル触媒。
【請求項17】
前記触媒が、0.05~10質量%の、モリブデン、鉄およびクロムからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする、請求項12から16までのいずれか1項に記載の活性化ニッケル触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1,4-ブタンジオール(BDO)を製造するための方法およびこの方法において使用するための触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
1,4-ブタンジオール自体は、特にテキスタイル産業、皮革産業、食品産業および医薬品産業において使用される。中間生成物としては、主に熱可塑性ポリエステルの製造のために使用される。さらに、BDOは、いくつかの重要な化学的な中間生成物および溶剤、例えばテトラヒドロフラン(THF)、γ-ブチロラクトンまたはピロリジンの製造における合成前駆体である。
【0003】
BDOを製造するために最も頻繁に使用される産業上の方法は、修飾ニッケル触媒により触媒される2-ブチン-1,4-ジオール(BYD)の連続水素化に基づく。この方法の1段階の変法は、典型的には、80~160℃で、圧力約300barで、固定床反応器内で行われる。BYDの2段階水素化も知られており、ここでは、主に2-ブテン-1,4-ジオール(BED)を製造する第1の段階は、より低い圧力である約40barで行われる。第2の段階において、BEDが300barでBDOへと変換される。さらに、主たる原料としてのアセチレンに基づくBDOを製造するための他の方法が公知である。例えば、アリルアルコールを、合成ガス(CO+H2)を用いたヒドロホルミル化によって4-ヒドロキシブタナール(4-HBA)へと変換でき、さらにBDOへと水素化でき、両方の段階を同時に行うこともできる。BDOに関するさらなる情報は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、「Butanediols, Butenediol and Butynediol」の章、2000年6月15日付オンライン出版、DOI: 10.1002/14356007.a04_455に記載されている。
【0004】
水素化のために頻繁に使用される「ラネー型」のニッケル触媒は一般に、通常はアルミニウム(Al)およびニッケル(Ni)を含む少なくとも二元系の金属合金を形成し、引き続きアルミニウムを浸出させることによって製造される。そのような方法の説明は、例えば米国特許第1628190号明細書(US1628190A)、米国特許第1915473号明細書(US1915473A)、米国特許第2139602号明細書(US2139602)、米国特許第2977327号明細書(US2977327)の刊行物内に開示されている。
【0005】
米国特許第2967893号明細書(US2967893A)は、BYDをBDOへと水素化するための、助触媒としての銅で修飾された粉末状ニッケル触媒のスラリーの使用を開示している。
【0006】
触媒前駆体の活性化を、例えば欧州特許出願公開第0340970号明細書(EP0340970A2)および独国特許出願公開第2004611号明細書(DE2004611A1)内に記載されるとおり、別々に、またはin-situで、BDOを製造するための水素化反応器内で行うことができる。
【0007】
独国特許出願公開第2004611号明細書は、BYDの水溶液を水素化することによってBDOを製造するための連続法を開示している。開口部を有する顆粒状のニッケル・アルミニウム触媒の固定床が使用され、それは、主として約35~60質量%のニッケルと、約40~65質量%のアルミニウムとからなるニッケル・アルミニウム合金から約5~30%のアルミニウムを除去することによって活性化されている。固定床を形成する触媒粒子は、約2cm~1.4mm、好ましくは約1cm~2mmの範囲の粒径を有する。
【0008】
欧州特許出願公開第0807464号明細書(EP0807464A1)は、40~98質量%のNi、1~50質量%のAl、0.05~15質量%のFe、および任意に0.05~10質量%の、Cr、Mo、W、Co、MnおよびTiからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む、修飾ラネーNi触媒上でのヒドロキシアルデヒドおよび環式ヒドロキシエーテルの触媒水素化方法を開示する。反応が懸濁床反応器内で行われる場合、この触媒は粉末型であってよい。欧州特許出願公開第0807464号明細書内に開示される触媒は、反応が例えば独国特許出願公開第2004611号明細書内のように固定床反応器内で行われる場合、顆粒型であってもよい。
【0009】
欧州特許第1833778号明細書(EP1833778B1)は、4-ヒドロキシブチルアルデヒド(HBA)を1,4-ブタンジオール(BDO)へと、および/または2-メチル-3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド(HMPA)を2-メチル-1,3-プロパンジオールへと水素化する方法を開示しており、ここでは、HBAおよび/またはHMPAの水溶液が断熱式の水素化領域内で、モリブデンで活性化されたニッケル触媒である水素化触媒の固定床と接触することにより、水素と接触される。
【0010】
産業用途におけるBDOを製造するために現在知られている方法の欠点は、それらの方法においてラネー型の水素化触媒として使用されるニッケルについての極めて高い需要である。上述のとおり、典型的には連続法において顆粒型のニッケル触媒が使用され、それは、活性化されていない前駆体として反応器内に導入され、且つアルミニウムの浸出によってin-situで活性化される。それらの触媒は典型的には、1.5kg/Lを上回るかさ密度を有するので、それらの触媒の慣例的な活性の場合に必要とされるように5~50m3の反応器を触媒で満たすと、十分な生成物の収率を達成するために、8~100トンのニッケルが使用される。地殻中の約0.01%の質量分率で、ニッケルはより希少な金属の1つである。経済的に存立できる量での可用性は限定的である。さらに、例えば、電子および材料の分野における産業用途のためのニッケルについての世界的な需要は増え続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第1628190号明細書
【文献】米国特許第1915473号明細書
【文献】米国特許第2139602号明細書
【文献】米国特許第2977327号明細書
【文献】米国特許第2967893号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0340970号明細書
【文献】独国特許出願公開第2004611号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0807464号明細書
【文献】欧州特許第1833778号明細書
【非特許文献】
【0012】
【文献】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、「Butanediols, Butenediol and Butynediol」の章、2000年6月15日付オンライン出版、DOI: 10.1002/14356007.a04_455
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の課題は、1,4-ブタンジオールの触媒的製造のための、経済的であり且つ特にニッケルの需要に関して最大限、省資源の方法を提供することであった。さらなる課題は、BDOをもたらすための適切な化学反応を、産業的に適切な工程条件下で適切な収率および選択率で実施できる触媒を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題は、2-ブチン-1,4-ジオールまたは4-ヒドロキシブタナールを水素化することによる1,4-ブタンジオールの製造方法であって、2-ブチン-1,4-ジオールまたは4-ヒドロキシブタナールを含む水溶液を、水素および活性化ニッケル触媒と接触させ、前記活性化ニッケル触媒は、巨視的な孔が100~5000μmの範囲の大きさを有する多孔質フォーム構造を有し且つ0.8kg/L以下のかさ密度を有する、前記方法によって解決される。
【0015】
本発明による方法は、水の存在下で実施される。好ましくは、1~70質量%のBYDまたは4-HBAの水溶液を反応物として使用する。反応器の構想および手順に依存して、活性化ニッケル触媒と接触された反応物の溶液は、60質量%までのBDOである目標生成物を含み得る。これは特に、本発明による方法が行われる水素化反応器がループ型反応器である場合に該当する。
【0016】
本発明による方法を、好ましくは10~350barの範囲の水素圧力で行う。ここで、4-HBAの水素化を、好ましくは10~110bar、特に好ましくは40~100barで行う。BYDのBDOへの水素化を、好ましくは50~350bar、特に好ましくは75~320bar、および特に好ましくは100~300barの範囲の水素圧力で行う。
【0017】
本発明による方法を、温度50℃~250℃で行うことができる。4-HBAのBDOへの水素化を、好ましくは50~200℃、特に好ましくは50~150℃、特に好ましくは50~100℃の温度範囲で行う。BYDのBDOへの水素化を、好ましくは50~150℃の温度範囲、特に好ましくは70~140℃、および特に好ましくは80~135℃の温度範囲で行う。BYDまたは4-HBAを水素化するための本発明による方法を、バッチ式または連続的に行うことができる。撹拌槽反応器内でのバッチ式の操作(集合操作)の場合、使用された触媒を反応混合物中で、ばらけた形で撹拌できる。反応完了後、触媒を、例えばろ過、上澄みの反応溶液を引抜く/ポンプ除去すること、または当業者に公知の他の方式によって、反応混合物から分離できる。
【0018】
好ましくは、使用される触媒のための保持装置が使用される。本発明による方法を撹拌槽反応器内で、バッチ式で行う場合、触媒は好ましくは撹拌機のシャフトに近い保持装置内に配置されて、保持装置内に挿入された触媒床を通る反応混合物の流れが撹拌機によって生成される。この実施態様は、ばらけた、つまり固定されていない触媒の使用に比して、追加的な工程段階において生成物混合物を触媒から引き続き分離する必要がないという利点を有する。
【0019】
本発明による方法は好ましくは、固定床反応器内、例えばトリクル床反応器または液体充填反応器内、気泡塔内、または当該技術分野において公知の他の反応器のタイプ内で連続的に行われる。全てのそれらの反応器のタイプは、反応物(供給物)が反応器に導入され、反応後に反応混合物が取り出される、「単流」方式で操作され得る。選択的に、反応器からの生成物混合物の一部を反応ゾーン中に返送することができる(循環流)。そのような循環レジーム(リサイクル方式)においては、供給物対循環流の質量比は、0.025対0.25、好ましくは0.05対0.15、特に好ましくは0.05対0.1である。
【0020】
BYDのBDOへの変換を、1段階または2段階で行うことができる。BYDのBDOへの水素化の1段階の反応レジームは、好ましくは連続的に行われ、ここで、触媒は断熱的に操作される反応器内の固定床として存在する。その際、反応器入口での温度は好ましくは80~100℃の範囲であり、反応器出口での温度は110~150℃である。この場合、BDOへの水素化反応が進む反応領域内の温度は、110~135℃の範囲である。
【0021】
バッチ式で操作される撹拌槽内のBYDのBDOへの本発明による水素化の実施態様の場合、好ましくは2段階の温度レジームが選択される。このために、反応開始時の撹拌槽内の温度を90~105℃の範囲に保持して、ブチン-1,4-ジオールが水素と少なくとも部分的に反応してブテン-1,4-ジオールをもたらす。BYDのブテン-1,4-ジオールへの最大限完全な変換のための理想的なホールド・アップ時間を、この期間の間に取り込まれた水素量を検出することによって測定できる。使用されたBYDの量と等価の化学量論組成の水素が取り込まれた後、第1の反応段階が終了する。その際、撹拌槽内の温度は130~135℃に高められ、水素化が完了して1,4-ブタンジオールがもたらされるまで保持される。
【0022】
本発明による方法の最適な反応レジームのために、水素化をpH4.0~9.0で行う。
【0023】
活性化ニッケル触媒も、ラネー型の触媒または基本的に「ラネーニッケル触媒」として本質的に当業者に公知である。それらは、通常はアルミニウム(Al)およびニッケル(Ni)を含む少なくとも二元系の金属合金を形成し、引き続きアルミニウムを浸出させることによって製造される。
【0024】
本発明による方法において使用される活性化ニッケル触媒は、かさ密度0.8kg/L以下、好ましくは0.1~0.7kg/L、特に好ましくは0.2~0.6kg/Lを有する。
【0025】
かさ密度dSch(場合により固体の充填密度とも称される)は、顆粒状の固体と、粒子間の空洞を満たす空気との混合物の、質量対体積の比である。当業者によって慣例的に使用されるこのパラメータは、メスシリンダーを用いて、規定された床体積(VF)の固体の質量(MF)を測定することによって測定できる:
dSch=MF/VF
【0026】
規定された量の滴状の湿った(drop-wet)触媒を、水で満たされた1Lの標準的なメスシリンダーにゆっくりと添加することにより、かさ密度を測定できる。触媒の沈殿が完了した後、触媒床の体積を目盛りから読み取る。かさ密度dSchは、式
dSch=MF/VF
[式中、MFは、使用された触媒の乾燥質量での量であり、且つVFは水面下で観察された床の体積である]
に従って計算される。活性化された触媒の乾燥質量を、水と触媒で充填された規定された容積の容器を、水のみで充填された同容積の容器と比較して秤量することにより測定できる。乾燥触媒の質量は、前記2つの重量の差に、乾燥触媒の密度、および乾燥触媒と水との間の密度の差との比から導出される密度係数kを乗じることにより得られる。密度係数は、ラネー型触媒の技術文献および/または製造元および販売元の取扱説明書から直接的に得られ、且つ典型的には約1.2である。当業者は、使用されるメスシリンダーの目盛りを読み取ることによって、触媒床の体積を直接的に知ることができる。この方法はラネー型触媒の粒径に関わらない、つまり、それらが顆粒状またはフォーム材料の床であるか、または水面下の粉末触媒であるかに関わらない。
【0027】
本発明による方法において使用される活性化ニッケル触媒は、65~98質量%、好ましくは70~95質量%、特に好ましくは80~90質量%のニッケル、および0~15質量%、好ましくは0~13質量%、特に好ましくは4~13質量%、特に好ましくは7~13質量%のアルミニウムを含む。さらには、本発明による方法の好ましい実施態様において、活性化ニッケル触媒は、10質量%まで、好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.1~2質量%のモリブデン(Mo)、および/または0~10質量%、好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは1.5~3.5質量%の鉄およびクロムからなる群から選択される1つ以上の元素を有して使用される。
【0028】
本発明による方法において使用される活性化ニッケル触媒は、好ましくは最大70mmの平均粒径を有する。原理的に、最適な粒径を制御可能であり、且つ使用される反応器内で支配的な条件に合わせられる。前記活性化ニッケル触媒は好ましくは、50mmまでの粒径、特に好ましくは30mmまでの粒径、および特に好ましくは10mm以下の粒径を有するばら材料として使用される。5μm~125mmの範囲の大きさを有する粒子についての平均粒径は、DIN 66165に準拠してふるい分析によって測定できる。選択的に、顕微鏡を用いて平均粒径を光学的に測定でき、その場合は少なくとも100の個々の値の数平均を測定すべきである。
【0029】
本発明による方法において使用される活性化ニッケル触媒は、1~200m2/g、好ましくは10~120m2/g、特に好ましくは70~100m2/gのBET表面積を有する。比表面積(単にBET表面積とも称する)を、DIN 9277について、J.Am.Chem.Soc. 1938、Vol.60、309~319ページ内に記載されるようにBrunauer-Emmett-Teller法に従って窒素吸着により測定する。
【0030】
本発明による方法において使用される活性化ニッケル触媒は、好ましくは巨視的なフォーム構造を有する。多くの空洞を含む多孔質の金属フォーム構造は、例えば液化された金属上のガスの作用および引き続く冷却によって形成され得る。そのような構造に到達するためのさらなる選択肢は、金属の施与のために有機フォーム構造をテンプレートとして使用し、引き続きその有機テンプレートを灰化して除去することである。
【0031】
本発明による方法において使用される活性化ニッケル触媒は好ましくは、巨視的な孔が200~2500μm、特に好ましくは400~1200μmの大きさを有する多孔質フォーム構造を有する。巨視的な孔の大きさを、例えば「The Guide 2000 of Technical Foams」、第4巻、第4部、33~41ページに記載される方法を使用して測定できる。巨視的な孔の大きさを、選択された孔の孔直径の光学的な測定により測定できる。この測定を、少なくとも100の異なる孔について繰り返し、次いで孔直径の平均値をそこから分析結果として計算する。
【0032】
本発明はさらに、巨視的な孔が100~5000μmの範囲の大きさを有する多孔質フォーム構造を有し、且つかさ密度0.8kg/L以下を有する、活性化ニッケル触媒を提供する。特に、この活性化ニッケル触媒を、2-ブチン-1,4-ジオールまたは4-ヒドロキシブタナールを水素化することによる1,4-ブタンジオールの製造方法であって、2-ブチン-1,4-ジオールまたは4-ヒドロキシブタナールを含む水溶液を、水素および活性化ニッケル触媒と接触させる、前記方法において使用できる。
【0033】
本発明による方法において使用される触媒に関する上記全ての定義、および分析方法に関する説明は、以下に記載される本発明による活性化ニッケル触媒に相応して該当する。
【0034】
本発明による活性化ニッケル触媒は、かさ密度0.8kg/L以下、好ましくは0.1~0.7kg/L、特に好ましくは0.2~0.6kg/Lを有する。本発明による活性化ニッケル触媒は、65~98質量%、好ましくは70~95質量%、特に好ましくは80~90質量%のニッケル、および0~15質量%、好ましくは0~13質量%、特に好ましくは4~13質量%、特に好ましくは7~13質量%のアルミニウムを含む。さらには、本発明による活性化ニッケル触媒の好ましい実施態様は、10質量%まで、好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.1~2質量%のモリブデン(Mo)、および/または0~10質量%、好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは1.5~3.5質量%の鉄およびクロムからなる群から選択される1つ以上の元素を含む。
【0035】
本発明による活性化ニッケル触媒は、好ましくは最大70mmの平均粒径を有する。原理的に、最適な粒径を制御可能であり、且つ使用される反応器内で支配的な条件に合わせられる。本発明による活性化ニッケル触媒は好ましくは、50mmまでの粒径、特に好ましくは30mmまでの粒径、および特に好ましくは10mm以下の粒径を有するばら材料として使用される。
【0036】
本発明による活性化ニッケル触媒は、1~200m2/g、好ましくは10~120m2/g、特に好ましくは70~100m2/gのBET表面積を有する。
【0037】
本発明による活性化ニッケル触媒は好ましくは、巨視的な孔が200~2500μm、特に好ましくは400~1200μmの大きさを有する巨視的なフォーム構造を有する。
【0038】
本発明による活性化ニッケル触媒を製造するために、ニッケル金属フォームを付着促進剤と共に噴霧し、アルミニウム粉末で被覆し、そのように得られた材料を熱処理に供する。次いで、熱処理後に得られたNi/Al材料の還元、分離および/または成形を行う。本発明による活性化ニッケル触媒は、そこに含有されるアルミニウムの少なくとも一部を浸出させることによってそこから得られる。
【0039】
本発明による触媒を製造するために使用されるべきニッケル金属フォームは、好ましくは500mmまでの辺長および5mm以下の厚さを有するシート形態で使用される。アルミニウム粉末のニッケルフォームへの付着を改善するために、これを最初に付着促進剤で処理する。金属と有機材料との間の付着性を改善する任意の付着促進剤を用いることができる。例えばポリエチレンイミン溶液が適している。
【0040】
アルミニウム粉末をニッケル金属フォームに施与した後、その材料を500~1000℃、好ましくは600~800℃の温度範囲の熱処理に供し、その際、まず上述の被覆工程からの湿分と有機残留物を除去し、引き続きアルミニウムを少なくとも部分的に液化し、ニッケルフォーム構造中で合金化する。熱処理を酸素不含の不活性ガス雰囲気中で行い、妨害する酸化物層の形成を防ぐ。
【0041】
そのように得られた材料のアルミニウムで修飾されたニッケル金属フォームを、次いで任意に粉砕し、分離し、および/または適切な成形に供する。アルミニウムで修飾されたニッケル金属フォームの粉砕および分離を、例えばレーザー切断またはレーザービーム切断によって行うことができる。得られる材料片(粒子)は、好ましくは、最大辺長50mm以下を有する立方体状または平行六面体状の形状を有し、且つ全体としてバルク材料を形成する。
【0042】
次の段階において、アルミニウムで修飾されたニッケルフォームを活性化することにより、本発明による触媒が得られる。このために、アルミニウムの少なくとも一部を前記材料から化学的に浸出させる。このために、塩基性水溶液、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムからなる群から選択されるアルカリ金属水酸化物溶液、特に好ましくは水酸化ナトリウム水溶液が使用される。触媒製造において用いられるアルカリ金属水酸化物水溶液の濃度は一般に、0.1~60質量%であってよい。アルミニウムの浸出は好ましくは、5~50質量%、特に好ましくは5~35質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、20℃~100℃、好ましくは40℃~85℃、特に好ましくは50℃~80℃の温度で実施される。ここで使用される浸出時間、つまり水酸化ナトリウム溶液と、アルミニウムで修飾されたニッケル金属フォームとの反応時間は、上述の他の反応条件の他に、最終製品中で設定されるべきアルミニウムの含有率に依存し、2~240分であってよい。
【0043】
結果として生じる本発明による活性化ニッケル触媒において、元々使用されたニッケルフォームの巨視的なフォーム構造は保持されている。アルミニウムの少なくとも部分的な浸出が表面近傍領域で生じ、そこで、高度に多孔質で触媒活性なニッケル構造が生成される。本発明による触媒のBET表面領域は好ましくは使用されたニッケル金属フォームのものよりも大きい。
【0044】
本発明による活性化ニッケル触媒の活性、選択率および/または耐用寿命を改善するために、様々なドーパントおよび/または助触媒を添加できる。これは、触媒製造中に使用されたニッケル金属フォーム内でドーパント金属を合金化することによって、および/または本発明による活性化ニッケル触媒の湿式化学的な後処理によって、行うことができる。例えば、ドーパント金属を、適した前駆体の好ましい水溶液からの析出または還元分解によって施与できる。好ましくは、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、銅(Cu)、銀(Ag)および金(Au)からなる群から選択される1つ以上のドーパント元素を施与する。Fe、Co、Crおよび/またはMoが特に好ましい。
【0045】
以下で、いくつかの例および図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
【実施例】
【0046】
例1:
ロール状の、厚さ1.9mm、幅300mmおよび平均孔径580μmを有する市販のニッケルフォームを、市販の付着促進剤溶液で噴霧し、アルミニウム粉末で被覆して、700℃での熱処理に供した。冷却後、そのように得られた材料を、レーザーで辺長4mm×4mmおよび厚さ1.9mmを有する正方形の片へと切断した。
【0047】
生じるばら材料を、触媒活性化のために固定床内に配置し、引き続き、5MのNaOH溶液(水酸化ナトリウム水溶液)をポンプで通すことにより湿式化学的に処理した。そのばら材料の部分Aを、この湿式化学的な後処理に70℃で5分間供した。ばら材料の部分Bを60℃で、水酸化ナトリウム水溶液で15分間、後処理した。両方の部分を引き続き、固定床にポンプで通した後の洗浄液のpHが10未満に達するまで水で洗浄した。
【0048】
そのように得られた2つの触媒活性なばら材料の部分の組成をICP-OESによって分析した。結果を以下の表にまとめる:
【表1】
【0049】
上記の表に記されたかさ密度は、規定された量の液状の湿った触媒を、水で満たされた1Lの標準的なメスシリンダーにゆっくりと添加することにより測定された。触媒の沈殿が完了した後、触媒床の体積を目盛りから読み取る。かさ密度dSchは、式
dSch=MF/VF
[式中、MFは、使用された触媒の乾燥質量での量であり、且つVFは水面下で観察された床の体積である]
に従って計算される。活性化された触媒の乾燥質量を、水と触媒で充填された規定された容積の容器を、水のみで充填された同容積の容器と比較して秤量することにより測定する。乾燥触媒の質量は、前記2つの重量の差に、乾燥触媒の密度、および乾燥触媒と水との間の密度の差との比から導出される密度係数kを乗じることにより得られる。密度係数は、ラネー型触媒の技術文献および/または製造元および販売元の取扱説明書から直接的に得られ、且つ典型的には約1.2である。当業者は、使用されるメスシリンダーの目盛りを読み取ることによって、触媒床の体積を直接的に知ることができる。この方法はラネー型触媒の粒径に関わらない、つまり、それらが顆粒状またはフォーム材料の床であるか、または水面下の粉末触媒であるかに関わらない。
【0050】
触媒Aを、総容積500mlを有する撹拌槽反応器内に導入し、ブチン-1,4-ジオール(BYD)の1,4-ブタンジオール(BDO)への水素化における触媒有効性を調査した。300mLの水を反応器内にまず充填し、5mLの触媒Aを、撹拌シャフト近くの水面下に位置するバスケット内に導入した。反応器を閉じ、雰囲気を交換し、反応器を80barの圧力まで水素で満たした後、50%の水溶液中の86.6gのBYDを、撹拌しながら反応器内にポンプ輸送し、反応器を100℃に加熱した。100分の反応時間後、反応器内の温度を135℃に高め、さらに260分間保持した。室温に冷却した後、反応混合物の試料を取り出し、且つガスクロマトグラフィーによって分析した。反応混合物の成分の測定された濃度から、ブチンジオールの変換率、BDOをもたらす収率、およびBDOについての選択率、さらに触媒体積に対する空時収率STY
BDO,Vを決定した。結果を以下の表にまとめる:
【表2】
【0051】
述べられた量は、以下のように計算される:
・ BYD変換率は、使用されたBYDのモル量に対する、消費されたBYDのモル量として定義される:
【数1】
[式中、
n
0(BYD)=使用されたBYDのモル量、且つ
n(BYD)=反応の最後でのBYDのモル量]。
【0052】
・ BDOの収率は、使用されたBYDのモル量に対する、得られたBDOのモル量として定義される:
【数2】
【0053】
・ BDOについての選択率は、形成された所望の生成物BDOの量の、変換された反応物BYDの量に対する比率として定義される:
【数3】
【0054】
・ 触媒体積に基づく空時収率は、触媒の体積[リットル]に対する生産高として定義され、ここで、生産高は、反応時間t[時間]に対する、反応の1回の実行あたりに生成される所望のBDO生成物の質量[kg]を意味すると理解される:
【数4】
【0055】
例2:
触媒を例1に記載されたとおりに製造し、ここで、湿式化学的な後処理を、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、60℃で60分間行った。ICP-OESによる分析は、得られる触媒活性なバルク材料(触媒C)の組成が89質量%のニッケルと11質量%のアルミニウムであることを示した。該材料は、かさ密度dSch=0.3kg/Lを有した。かさ密度は、例1に記載された手順により測定された。
【0056】
触媒Cは、撹拌槽反応器内でのブチン-1,4-ジオール(BYD)の1,4-ブタンジオール(BDO)への水素化におけるその触媒有効性についても調査された。実験の設定、手順および評価を、例1に記載したとおりに行った。
【0057】
【0058】
触媒Cのかさ密度および触媒体積に基づく空時収率から、触媒質量に基づく空時収率STYBDO,mを、以下のように計算できた:
STYBDO,m=STYBDO,V/dSch
STYBDO,m=4.55kg/(kg触媒*h)であった。
【0059】
例3:
触媒を例1に記載されたとおりに製造し、ここで、湿式化学的な後処理を、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、80℃で90分間行った。水酸化ナトリウム水溶液での湿式化学的処理の完了後、モリブデンを触媒上に、モリブデン酸塩水溶液から析出させた。ICP-OESによる分析は、得られる触媒活性なバルク材料(触媒D)の組成が91質量%のニッケル、8.7質量%のアルミニウム、および0.3質量%のモリブデンであることを示した。該材料は、かさ密度dSch=0.32kg/Lを有した。かさ密度は、例1に記載された手順により測定された。
【0060】
触媒Dは、温度60℃および水素圧力100barでの4-ヒドロキシブタナール(HBA)のBDOへの水素化のためにパイロットの固定床反応器内で使用され、且つ非常に良好なBDO収率およびBDOについての選択率と共に、ほぼ定量的なHBA変換を示した。
【0061】
比較例:
顆粒型の活性化ニッケル触媒を、先行技術、例えば独国特許出願公開第2004611号明細書から公知のように製造し、BDOの製造のための慣例的な工場で使用した。このために、ニッケルおよびアルミニウムを溶融し、42質量%のニッケルと58質量%のアルミニウムからなる合金を製造し、機械粉砕に供し、ふるいにかけて粒径1.8~4mmを有する顆粒部分が得られた。この合金のペレット部分を、ゆるい充填の固定床内で、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を60℃で60分間、ポンプで通し、引き続き生じる洗浄溶液のpHが10未満に達するまで水で洗浄することによって触媒的に活性化した。得られる触媒は、かさ密度dSch=1.7kg/Lを有した。かさ密度は、例1に記載された手順により測定された。アルミニウム含有率は、約37質量%のアルミニウムであった。
【0062】
先行技術によるこの触媒は、撹拌槽反応器内でのブチン-1,4-ジオール(BYD)の1,4-ブタンジオール(BDO)への水素化におけるその触媒有効性についても調査された。実験の設定、手順および評価を、例1に記載したとおりに行った。結果を以下の表にまとめる:
【表4】
【0063】
先行技術による触媒のかさ密度および触媒体積に基づく空時収率から、触媒質量に基づく空時収率STYBDO,mを計算できた。それは0.75kg/(kg触媒*h)であった。
【0064】
触媒A(例1から)と触媒C(例2から)についての撹拌槽実験において得られた結果を、先行技術(比較例)による触媒を使用して得られた特徴と比較すると、一定の変換率で、BDO収率とBDOについての選択率において、触媒Aはわずかな改善、触媒Cは著しい改善を示している。
【0065】
また、従来技術(比較例)による顆粒型の触媒および本発明の触媒Cを使用して達成される触媒の質量に基づく空時収率を比較する。先行技術に比して、本発明の触媒Cについての値は、6倍の増加が明らかに認められる。
【0066】
工業的な固定床反応器のために結果として節約できるニッケルの量は、20m3の触媒床を含む典型的なBDO反応器の例として以下のように計算される。終日の連続操作方式において、そのような工場は平均で1年あたり少なくとも8000の操作時間の間、生産のために操作される。先行技術(比較例)による顆粒型のニッケル触媒についての、触媒体積に基づく空時収率1.29kg/(L触媒*h)=1.29t/(m3
触媒*h)で、生産されるBDOの年間の量は、そこから1.29×20×8000t=206400tのBDOとなる。ニッケル含有率60~65質量%でかさ密度1.7kg/L=1.7t/m3を有する先行技術による触媒を使用すると、少なくとも20×1.7×0.6t=20.4tのニッケルがそのために必要とされる。触媒体積に基づく空時収率1.37kg/(L触媒*h)=1.37t/(m3
触媒*h)を有する例2の触媒C上で同量のBDOを生産するためには、206400/(1.37*8000)m3=18.83m3の触媒が必要とされる。これは触媒1.17m3または5.85%の触媒体積の節約に相応する。0.3kg/L=0.3t/m3の本発明の触媒Cのかさ密度で必要とされる触媒Cの量は、18.83×0.3t=5.649tの触媒Cである。これは、89質量%のニッケル含有率で、先行技術による顆粒型の触媒を使用する少なくとも20.4tのニッケルの必要量に比して、5tのニッケル必要量に相応する。
【0067】
従って、必要とされるニッケル量を、本発明による方法によって、現在通常の量の1/4に低減でき、その手段により、1,4-ブタンジオールを製造するための極めて効率的な方法が提供される。