(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】アルブミンベースのナノ医薬品を使用するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/64 20170101AFI20220510BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20220510BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220510BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220510BHJP
A61K 38/38 20060101ALI20220510BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220510BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220510BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220510BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220510BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20220510BHJP
C07K 14/765 20060101ALI20220510BHJP
A61K 31/715 20060101ALN20220510BHJP
A61K 38/00 20060101ALN20220510BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20220510BHJP
A61K 47/54 20170101ALN20220510BHJP
C07K 14/00 20060101ALN20220510BHJP
C12Q 1/68 20180101ALN20220510BHJP
C12N 15/115 20100101ALN20220510BHJP
【FI】
A61K47/64
A61K31/7125
A61K31/7088
A61K39/395 Y
A61K39/395 L
A61K38/38
A61P35/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
C12N15/11 Z
C07K14/765
A61K31/715
A61K38/00
A61K45/00
A61K47/54
C07K14/00
C12Q1/68
C12N15/115 Z
(21)【出願番号】P 2019518170
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(86)【国際出願番号】 US2017037736
(87)【国際公開番号】W WO2017218813
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-15
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518448231
【氏名又は名称】ユニヴァーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】コペチェック ジンドリック ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジユアン
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0015732(US,A1)
【文献】Biomaterials,2013年,Vol.34,pp.7939-7949
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 31/33-33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD20ポジティブ細胞の集団においてアポトーシスの誘導から利益を受ける疾患の治療に使用するための第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートであって、前記治療が、
(i)標的化部分及びモルフォリノを含む前記第1のコンジュゲートと、
CD20ポジティブ細胞の集団を接触させること
であって、前記標的化部分が抗CD20抗体又は抗CD20Fab’フラグメントであり、ならびに
(ii)アルブミン及び1つ以上のモルフォリノを含む前記第2のコンジュゲートと、前記
CD20ポジティブ細胞の集団を接触させること、を含み、
前記第1のコンジュゲートの前記モルフォリノが、5’ GAG TAA GCC AAG GAG AAT CAA TAT A 3’(配列番号25)又は5’ TAT ATT GAT TCT CCT TGG CTT ACT C 3’(配列番号26)であり、
前記第2のコンジュゲートの前記1つ以上のモルフォリノが、5’ GAG TAA GCC AAG GAG AAT CAA TAT A 3’(配列番号25)又は5’ TAT ATT GAT TCT CCT TGG CTT ACT C 3’(配列番号26)であり、
前記工程(i)及び(ii)を繰り返してもよく、
前記
CD20ポジティブ細胞
の集団の、前記第1のコンジュゲート及び前記第2のコンジュゲートとの前記接触が、
一以上の前記
CD20ポジティブ細胞のアポトーシスを誘導する、前記第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート。
【請求項2】
CD20ポジティブ細胞の集団においてアポトーシスの誘導から利益を受ける疾患の治療に使用するための第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートであって、
前記治療が、
標的化部分及びモルフォリノを含む前記第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のモルフォリノを含む前記第2のコンジュゲートを含む組成物と、
CD20ポジティブ細胞の集団を接触させることを含み、
前記標的化部分が抗CD20抗体又は抗CD20Fab’フラグメントであり、
前記第1のコンジュゲートの前記モルフォリノが、5’ GAG TAA GCC AAG GAG AAT CAA TAT A 3’(配列番号25)又は5’ TAT ATT GAT TCT CCT TGG CTT ACT C 3’(配列番号26)であり、
前記第2のコンジュゲートの前記1つ以上のモルフォリノが、5’ GAG TAA GCC AAG GAG AAT CAA TAT A 3’(配列番号25)又は5’ TAT ATT GAT TCT CCT TGG CTT ACT C 3’(配列番号26)であり、
前記
CD20ポジティブ細胞の前記組成物との前記接触が、前記
CD20ポジティブ細胞のアポトーシスを誘導する、前記第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート。
【請求項3】
前記
治療が、(iii)前記
CD20ポジティブ細胞のアポトーシスを確認することをさらに含む、請求項1又は2に記載の
治療に使用するための第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート。
【請求項4】
前記
CD20ポジティブ細胞が、B細胞である、請求項1又は2に記載の
治療に使用するための第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート。
【請求項5】
前記
CD20ポジティブ細胞が、対象由来であり、好ましくは、前記対象が非ホジキンリンパ腫又は関節リウマチを有する、請求項1又は2に記載の
治療に使用するための第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート。
【請求項6】
前記抗CD20抗体が1F5、リツキシマブ、トシツモマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、オクレリズマブ、オカラツズマブ、オビヌツズマブ、PRO131921、BCD-020、IBI-301、ウブリツキシマブ、又はBLX-301である、請求項1又は2に記載の
治療に使用するための第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート。
【請求項7】
前記アルブミンが、ヒト血清アルブミンである、請求項1又は2に記載の
治療に使用するための第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート。
【請求項8】
(
i)標的化部分及びモルフォリノを含む第1のコンジュゲートであって、前記標的化部分が抗CD20抗体又は抗CD20Fab’フラグメントである前記第1のコンジュゲート、及び
(
ii)アルブミン及び1つ以上のモルフォリノを含む第2のコンジュゲート
を含むキットであって、
前記第1のコンジュゲートの前記モルフォリノが、5’ GAG TAA GCC AAG GAG AAT CAA TAT A 3’(配列番号25)又は5’ TAT ATT GAT TCT CCT TGG CTT ACT C 3’(配列番号26)であり、
前記第2のコンジュゲートの前記1つ以上のモルフォリノが、5’ GAG TAA GCC AAG GAG AAT CAA TAT A 3’(配列番号25)又は5’ TAT ATT GAT TCT CCT TGG CTT ACT C 3’(配列番号26)であり、
前記第1のコンジュゲートの前記モルフォリノ及び前記第2のコンジュゲートの前記1つ以上のモルフォリノが相補的である、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する記述
本発明は、Institute of General Medical Sciences of the National Institutes of Health(国立衛生研究所の総合医学科学研究所)により授与された助成金RO1 GM95606の下、政府支援で行われた。政府は、本発明に特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
薬物不含高分子治療薬プラットフォームは、いくつかの疾患及び障害の処置に対して大きな可能性を有する。例えば、本明細書に記載のCD20の架橋、続く、アポトーシスの誘導は、B細胞悪性腫瘍、炎症性障害、及びB細胞病変を伴う自己免疫疾患を含む、いくつかの疾患及び障害を処置するために使用することができる。
【0003】
米国では2015年に、男女双方で、非ホジキンリンパ腫(NHL)の推定71,850人の新規患者及び19,790人の死亡者がいた。NHLの異種集団の大部分(85~90%)は、Bリンパ球に由来し、残りは、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞から発生する。B細胞リンパ腫(B細胞NHL)は、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、及びマントル細胞リンパ腫を含む。これらの悪性腫瘍は一般に、低悪性度または中悪性度のいずれかに分類され、同時に、これらは、患者が受ける得る治療の種類を表す。現在の標準のB細胞NHL処置は、化学療法と組み合わせたリツキシマブ(最も一般に使用される抗CD20mAb)である。しかし、これらの治療法が奏効しないか、またはこれらの治療法に対し耐性を生じる多数の患者が存在する。例えば、再発性/難治性の低悪性度または濾胞性NHLの処置の全奏効率は通常、40~50%(5つの異なる臨床試験において、完全奏効、6、3、17、3、及び14%;全奏効、48、46、47、39、及び43%)の範囲であった。非応答性及び/または耐性は、免疫エフェクター細胞(例えば、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞)が、ライゲーションしたmAbに超架橋することができないこと、及びCD20抗原のFc受容体(FcR)介在性エンドサイトーシスまたは「トロゴサイトーシス」に起因している。これらの臨床的障壁は、新しく改良された治療方策に対するニーズを生み出している。
【0004】
CD20は、95%を超えるB細胞リンパ腫で高度に発現される35~37kDaの内在性膜タンパク質である。遊離CD20抗原は、血清中に存在せず、CD20の既知の天然リガンドは存在しない。抗体に結合する時、CD20は、非常に低い細胞内内在化率を有し、それは多くの場合、内在化しない受容体と考えられている。研究は、CD20が、ストア作動性カルシウムチャネル及び細胞周期制御因子として機能することを示唆する。それは、Bリンパ球の最も信頼できるバイオマーカーの1つであり、それにより、B細胞NHLの処置のための理想的な標的を提供する。CD20は、正常B細胞上にも発現されるが、幹細胞または前駆細胞及び成熟または活性化形質細胞上には発現されない。従って、「B細胞枯渇」治療アプローチは、安全と考えられ;正常なB細胞数は、処置後に回復させることができる。抗CD20mAbの治療有効性は、3つの細胞事象:抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、及びCD20介在性アポトーシス、に起因する。これらの機序の全ては、機能する免疫エフェクター細胞を必要とする。対照的に、薬物不含高分子治療薬は、エフェクター細胞の助けなしに、B細胞リンパ腫の直接的且つ特異的なアポトーシスを誘発する。これは、免疫エフェクター細胞の機能を再現する合成エフェクターのデザインにより達成される。
【0005】
アポトーシスを誘導するのに有効な、且つB細胞悪性腫瘍、炎症性障害、及びB細胞病変を伴う自己免疫疾患を処置するための組成物及び方法は依然として乏しい。これらのニーズ及び他のニーズは、本発明により満たされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
アポトーシスを誘導する方法が開示され、方法は、標的化部分及び第1のオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびにアルブミン及び1つ以上の第2のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートとの接触は、細胞のアポトーシスを誘導する。一部の態様では、オリゴマー化部分は、オリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチドとすることができる。
【0007】
アポトーシスを誘導する方法も開示され、方法は、標的化部分及びモルフォリノオリゴヌクレオチド(モルフォリノ;MORF)を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびにアルブミン及び1つ以上のモルフォリノを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートとの接触は、細胞のアポトーシスを誘導する。
【0008】
アポトーシスを誘導する方法も開示され、方法は、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートとの接触は、細胞のアポトーシスを誘導する。
【0009】
アポトーシスを誘導する方法も開示され、方法は、標的化部分及び第1のオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上の第2のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートを含む組成物と、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の組成物との接触は、細胞のアポトーシスを誘導する。一部の態様では、オリゴマー化部分は、オリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチドとすることができる。
【0010】
アポトーシスを誘導する方法も開示され、方法は、標的化部分及びモルフォリノを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のモルフォリノを含むコンジュゲートを含む第2のコンジュゲートを含む組成物と、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の組成物との接触は、細胞のアポトーシスを誘導する。
【0011】
アポトーシスを誘導する方法も開示され、方法は、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含むコンジュゲートを含む第2のコンジュゲートを含む組成物と、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の組成物との接触は、細胞のアポトーシスを誘導する。
【0012】
標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートを含むキットが開示される。
【0013】
標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートを含むキットが開示される。オリゴヌクレオチドは、モルフォリノとすることができる。それにより、標的化部分及びモルフォリノを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のモルフォリノを含む第2のコンジュゲートを含むキットが開示される。
【0014】
標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートを含むキットが開示される。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの態様を例示し、本明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ナノコンジュゲートHSA-(MORF2)
xの合成の概略図を示す。
【
図2】Fab’-MORF1及びHSA-(MORF2)
10のin vitroハイブリダイゼーションを示す。2つのコンジュゲートを、異なる比率で混合した時(pH7.4;PBS)、260nmでの光学密度(OD)は、減少した。最大の減色効果(最小のUV吸光度)は、1:1のMORF1:MORF2の比で観察された。
【
図3】Raji B細胞におけるアポトーシス誘導を示す。アポトーシス細胞の百分率を、アネキシンV/PI結合により分析し、フローサイトメトリーにより定量した。インキュベーション時間は、24時間であった。未処置:培地中の細胞;Fab’/ヤギ抗マウス(GAM):Fab’(1μM)、続いて、(1時間後に)ヤギ抗マウス(GAM)二次Ab(0.5μM);Fab’
1F5-MORF1/P-(MORF2)
14:Fab’
1F5-MORF1(1μM)及び(1時間後に)P-(MORF2)
14(1μMのMORF2当量);Fab’
IF5-MORF1/P-(MORF2)
11:Fab’
1F5-MORF1(1μM)及び(1時間後に)P-(MORF2)
11(1μM MORF2当量);Fab’
IF5-MORF1/HSA-(MORF2)
10:Fab’
IF5MORF1(1μM)及び(1時間後に)HSA-(MORF2)
10(1μM、MORF2当量);Fab’
RTX-MORF1/HSA-(MORF2)
1:Fab’
RTX-MORF1及び(1時間後に)HSA-(MORF2)
10(1μM、MORF2当量);1F5/GAM:1F5 mAb(1μM)、続いて、(1時間後に)ヤギ抗マウス二次Ab(0.5μM);凍結乾燥1F5/GAM:凍結乾燥1F5を使用した。(Fab’
1F5:1F5抗体のフラグメント;Fab’
RTX:リツキシマブ抗体のフラグメント)
【
図4】SCIDマウスの全身性リンパ腫に対する治療有効性を示す。0日目に、400万のRaji B細胞を、尾静脈から注射した;マウスの後肢麻痺の発生または生存を、100日目まで監視した。1、3、及び5日目の3回投与処置。PBS:PBSが注射されたマウス(n=4);Fab’
RTX-MORF1/HSA-(MORF2)
14.7:Fab’
RTX-MORF1及び5時間後のHSA-(MORF2)
14.7の逐次的処置、3回投与(n=5;MORF1:MORF2=1:1);Fab’
1F5-MORF1/HSA-(MORF2)
10:Fab’
1F5-MORF1及び5時間後のHSA-(MORF2)
10の逐次的処置、3回投与(n=5;MORF1:MORF2=1:1);オビヌツズマブ:1日目の単回投与。麻痺のないマウスの生存率を、カプラン-マイヤープロットで提示される。各群の長期生存者数を示す。
【
図5】HSA-(MORF2)x(Fab1F5-MORF1との同時処置)の置換の程度がRaji B細胞のアポトーシス誘導に及ぼす影響を示す。アポトーシス細胞の百分率を、アネキシンV/PI結合により分析し、フローサイトメトリーにより定量した。インキュベーション時間は、24時間であった。培地中の未処置の細胞;1F5/GAM、1F5 mAb(0.5μM)、続いて、(1時間後)ヤギ抗マウス二次Ab(0.25μM);P:Fab’
1F5-MORF1/HSA-(MORF2)x、Fab’
1F5-MORF1(1μM)及び置換の程度が異なるHSA-(MORF2)x(HSA-(MORF2)
6.3またはHSA-(MORF2)
10またはHSA-(MORF2)
14.7;1μM、MORF2当量)の予備混合物;C:Fab’
1F5-MORF1/HSA-(MORF2)x、逐次的な、Fab’
1F5-MORF1(1μM)、続いて、(1時間後に)置換の程度が異なるHSA-(MORF2)x(HSA-(MORF2)
6.3またはHSA-(MORF2)
10またはHSA-(MORF2)
14.7、1μM、MORF2当量)。アポトーシス細胞の百分率を、フローサイトメトリーにより定量した。別途指示のない限り、逐次的な各処置を、予備混合された処置と比較することにより、統計を実施した(
***P<0.0001、
**P<0.005、
*P<0.05、n.s.:有意差なし)。全てのデータを、平均値±SD(n=3)として提示する。
【
図6】HSA-(MORF2)x(Fab’
RTX-MORF1と同時処置)の置換の程度が、Raji B細胞のアポトーシス誘導に及ぼす影響を示す。アポトーシス細胞の百分率を、アネキシンV/PI結合により分析し、フローサイトメトリーにより定量した。インキュベーション時間は、24時間であった。未処置、培地中の細胞;RTX/GAM、RTX mAb(0.5μM)、続いて、(1時間後)ヤギ抗マウス二次Ab(0.25μM);P:Fab’
RTX-MORF1/HSA-(MORF2)x、Fab’
RTX-MORF1(1μM)及び置換の程度の異なるHSA-(MORF2)x(HSA-(MORF2)
6.3またはHSA-(MORF2)
10またはHSA-(MORF2)
14.7;1μM、MORF2当量)の予混合物。C:Fab’
RTX-MORF1/HSA-(MORF2)x、逐次的な、Fab’
RTX-MORF1(1μM)、続いて、(1時間後に)置換の程度が異なるHSA-(MORF2)x(HSA-(MORF2)
6.3またはHSA-(MORF2)
10またはHSA-(MORF2)
14.7、1μM、MORF2当量)。アポトーシス細胞の百分率を、フローサイトメトリーにより定量した。別途指示のない限り、逐次的な各処置を、予備混合された処置と比較することにより、統計を実施した(
***P<0.0001、
**P<0.005、
*P<0.05、n.s.:有意差なし)。全てのデータを、平均値±SD(n=3)として提示する。
【
図7】
図7A、7B、及び7Cは、Raji細胞表面上のCy5-のFab’
RTX-MORF1及びFITC-HSA-MORF2の間の共局在化の可視化を示す。
図Aは、Cy5-Fab’
RTX-MORF1及びFITC-HSA-MORF2で処置されたRaji細胞の代表的な共焦点画像。Rajiリンパ腫B細胞を、2つのコンジュゲートの予備混合物と共にインキュベートし、または逐次的にCy5-Fab’-MORF1、次に、FITC-HSA-MORF2に曝露した。逐次的処置では、ブロッキング目的のために、過剰(100倍)のRTX抗体(Ab)を、Cy5-Fab’
RTX-MORF1の前に添加し、または過剰(100倍)のMORF2を、FITC-HSA-MORF2前に添加した。(Cy5-Fab’
RTX-MORF1なしに)FITC-HSA-MORF2のみで処置された細胞は、対照として機能した。Cy5;FITC。スケールバー、20μm。
図7B及び
図7Cは、Raji細胞表面上のCy5-Fab’
RTX-MORF1及びFITC-HSA-MORF2の分布パターンのZスタック共焦点画像。
図Bでは、Raji細胞を、2つのコンジュゲートの予備混合物と共にインキュベートした。
図7Cでは、Raji細胞を、逐次的に2つのコンジュゲートと共に処置した。グラチクルサイズ、10μm。
【0016】
本発明のさらなる利点は、部分的には、続く説明に記載されるか、部分的には、説明から明らかとなるか、または本発明の実施により習得することができる。上述の一般的な説明及び次の詳細な説明はともに、例示的なものであり、且つ特許請求の範囲に記載の本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、本発明の次の詳細な説明及びそれに含まれる実施例を参照することにより、より容易に理解することができる。
【0018】
本化合物、組成物、物品、システム、デバイス、及び/または方法が開示及び記載される前に、それらが、別途明記のない限り、具体的な合成方法、または、別途明記のない限り、特定の試薬、に限定されず、そのようなものであるから、当然変動し得ることを理解すべきである。本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、且つ限定するものではないことも理解すべきである。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法及び材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法及び材料をここに記載する。
【0019】
本明細書で言及された全ての刊行物は、刊行物が引用されることに関連した方法及び/または材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日より前の開示についてのみ提示される。本明細書には、本発明が先行発明により、このような刊行物に先立つ権利が与えられないことを容認するものと解釈されるべきものはない。
【0020】
A.定義
明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の指示対象を含む。
【0021】
本明細書では、範囲は、「約」1つの特定値から、及び/または「約」別の特定値まで、として表現することができる。このような範囲が表現される時、さらなる態様は、1つの特定値から、及び/またはもう1つの特定値まで、を含む。同様に、値が、先行する「約」を使用して近似値として表される場合、その特定値がさらなる態様を形成すると理解されるであろう。さらに、各範囲の端点は、他の端点に関連しても、他の端点と無関係でも、重要であることが理解されるであろう。本明細書に開示の多数の値があり、各値もまた、その値自体に加えて、「約」その特定値として、本明細書に開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。2つの特定単位間の各単位もまた開示されることも理解される。例えば、10及び15が開示される場合、11、12、13、及び14も開示される。
【0022】
本明細書及び最後の特許請求の範囲における、組成物中の特定の要素または構成成分の重量部への言及は、重量部が表す組成物または物品中の、要素または構成成分と他の任意の要素または構成成分との間の重量関係を示す。従って、2重量部の構成成分X及び5重量部の構成成分Yを含有する化合物では、X及びYは、2:5の重量比で存在し、さらなる構成成分が化合物中に含有されるかどうかに関わらず、このような比で存在する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「任意の」または「任意に」という用語は、続いて記載される事象または状況が起こり得るか、または起こり得ないこと、ならびにその記載が該事象または状況が起こる場合及びそれが起こらない場合を含むこと、を意味する。例えば、一態様では、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートは、検出可能な標識を任意に含むことができる。一態様では、開示される方法は、開示される組成物及び/またはコンジュゲートの投与を繰り返すことを任意に含むことができる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アナログ」という用語は、親化合物(例えば、本明細書に開示の化合物)の構造に由来する構造を有する化合物を指し、その構造は、本明細書に開示されるものと十分に類似しており、その類似性に基づいて、特許請求される化合物と同じもしくは類似の活性及び有用性を示すこと、または前駆体として、特許請求される化合物と同じもしくは類似の活性及び有用性を誘導することが、当業者により予想されるであろう。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ホモログ(homolog)」または「ホモログ(homologue)」は、特定の既知の配列と相同性を有するポリペプチドまたは核酸を指す。記載されたまたは既知の配列と、少なくとも40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、またはそれ以上のパーセント相同性を有する本明細書に開示の核酸及びポリペプチドの多様体が、具体的に開示される。2つ以上のタンパク質または2つ以上の核酸の相同性をどのように決定するかを、当業者らは容易に理解する。例えば、相同性は、相同性が最高レベルになるように、2つ以上の配列をアラインした後に、計算することができる。本明細書に開示される遺伝子及びタンパク質の任意の多様体、改変体、または誘導体を定義する1つの手段は、具体的な既知の配列との相同性に関して、多様体、改変体、及び誘導体を定義することによると理解されている。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アプタマー」は、好ましくは、具体的な手段で、標的分子と相互作用する分子を指す。通常、アプタマーは、ステムループまたはGカルテットなどの規定の二次構造及び三次構造に折りたたまれる長さが15~50塩基の範囲の小さい核酸である。アプタマーは、小分子及び大分子を結合することができる。アプタマーは、10-12M未満の標的分子のKdで、非常に強く結合することができる。アプタマーは、非常に高い特異度で、標的分子に結合することができる。アプタマーは、当該技術分野で既知であり、様々な異なる標的分子を結合するためのアプタマーの作製及び使用方法の代表例は、次の非限定的な米国特許のリスト:5,476,766、5,503,978、5,631,146、5,731,424、5,780,228、5,792,613、5,795,721、5,846,713、5,858,660、5,861,254、5,864,026、5,869,641、5,958,691、6,001,988、6,011,020、6,013,443、6,020,130、6,028,186、6,030,776、及び6,051,698、に見出すことができる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「標的化部分」は、例えば、B細胞などの細胞または細胞の集団の表面上の認識分子に特異的である可能性がある。開示される組成物及び方法の一態様では、標的化部分は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、全長抗体、キメラ抗体、Fab’、Fab、F(ab)2、F(ab’)2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、一本鎖Fv(scFv)、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、ハイブリッドフラグメント、ファージディスプレイ抗体、リボソームディスプレイ抗体、オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチドリガンド、ホルモン、成長因子、サイトカイン、糖類、または多糖、及びアプタマーを含むことができるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、投与の標的、例えば、動物、を指す。「対象」という用語は、家庭動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、及び実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエなど)も含む。従って、本明細書に開示の方法の対象は、脊椎動物、例えば、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類、とすることができる。あるいは、本明細書に開示の方法の対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット、または齧歯動物とすることができる。この用語は、特定の年齢または性別を表すものではない。従って、男女関わらず、成人対象及び新生児対象、ならびに胎児が網羅されるものとする。一態様では、対象は、ヒト患者とすることができる。
【0029】
患者は、1つ以上の疾患または障害、例えば、B細胞悪性腫瘍、炎症性障害、及びB細胞が関与する自己免疫疾患など、に罹患している対象を指す。一態様では、疾患及び障害は、非ホジキンリンパ腫、関節リウマチ、慢性リンパ性白血病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病、Evans症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型糖尿病、シェーグレン症候群、Devic病、またはGraves病眼症を含むが、これらに限定されない。一態様では、対象は、次のうちの1つ以上を有することができる:非ホジキンリンパ腫、臓器移植、関節リウマチ、慢性リンパ性白血病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病、Evans症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型真性糖尿病、シェーグレン症候群、Devic病、またはGraves病眼症。一態様では、患者は、JCウイルスを有する。一態様では、患者は、臓器移植を受けている。開示される方法の一態様では、患者は、投与ステップの前に、上述の疾患または障害のうちの1つ以上の処置の必要があると診断されている。開示される方法の一態様では、患者は、例えば、悪性B細胞などの悪性細胞のアポトーシスを誘導する必要があると診断されている。
【0030】
本明細書で使用される場合、「非ホジキンリンパ腫」または「NHL」は、リンパ組織の癌を指す。異質な状態として、NHLは、リンパ節及び全身の系の肥大を引き起こす可能性がある。
【0031】
本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、疾患、病的状態、または障害(例えば、B細胞悪性腫瘍、炎症性障害、及びB細胞が関与する自己免疫疾患など)を治癒させ、改善し、安定化させ、または予防する意向の患者の医学的管理を指す。この用語は、積極的処置、つまり、疾患、病的状態、または障害の改善に具体的に向けられた処置を含み、原因処置、つまり、関連疾患、病的状態、または障害の原因の除去に直接向けられた処置も含む。加えて、この用語は、緩和療法、つまり、疾患、病的状態、または障害の治癒よりも症状の軽減のためにデザインされた処置;予防的処置、つまり、関連する疾患、病的状態、または障害の発症を最小限に抑えるか、または部分的もしくは完全に抑制することに関連する処置;及び支持的処置、つまり、関連疾患、病的状態、または障害の改善に向けられた別の具体的な治療を補完するために用いられる処置を含む。種々の態様では、この用語は、哺乳動物(例えば、ヒト)を含む対象の任意の処置を網羅し、(i)疾患に罹患しやすい可能性があるが、まだ疾患を有すると診断されていない対象において、疾患が生じることを予防すること;(ii)疾患を抑制すること、すなわち、その発症を阻止すること;または(iii)疾患を軽減すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすこと、を含む。
【0032】
本明細書で使用される場合、「予防する」または「予防すること」という用語は、特に、事前の作用により、何かが起こるのを妨げ、回避し、未然に防ぎ、予め妨げ、停止させ、または妨害することを指す。低減させる、抑制する、または予防するが、本明細書で使用される場合、特に別途指示のない限り、他の2つの単語の使用もまた、明示的に開示されると理解されている。一態様では、悪性細胞成長を防止することが意図される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「診断される」という用語は、熟練者、例えば、内科医、による診察を受けており、且つ本明細書に開示の化合物、組成物、または方法により診断または処置することができる状態を有することが判明していることを意味する。例えば、「NHLと診断される」は、熟練者、例えば、内科医、による診察を受けており、且つB細胞などの細胞の集団において、悪性細胞成長を予防もしくは抑制し、及び/またはアポトーシスを誘導することができる化合物または組成物により診断することができるか、または処置することができる状態を有することが判明していることを意味する。さらなる例として、「アポトーシスを誘導する必要があると診断される」は、熟練者、例えば、内科医、による診察を受けており、且つ悪性細胞成長、または細胞の集団のアポトーシスを誘導することが対象に有益である他の疾患を特徴とする状態を有することが判明していることを指す。このような診断は、本明細書で考察されるような、障害、例えば、NHLなどに関するものとすることができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「1つ以上のオリゴヌクレオチド」は、「1つ以上のモルフォリノ」を指すことができる。例えば、一態様では、アルブミンを含む開示されるコンジュゲートは、1つ以上のグラフトされたオリゴヌクレオチドを含むことができるか、または1つ以上のグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、「1つ以上のオリゴヌクレオチド」または「1つ以上のモルフォリノ」は、1つのモルフォリノ、または2つのモルフォリノ、または3つのモルフォリノ、または4つのモルフォリノ、または5つのモルフォリノ、または6つのモルフォリノ、または7つのモルフォリノ、または8つのモルフォリノ、または9つのモルフォリノ、または10のモルフォリノを含むことができる。例えば、一態様では、アルブミンを含む開示されるコンジュゲートは、1つのモルフォリノを含むことができる。一態様では、アルブミンを含む開示されるコンジュゲートは、3つのモルフォリノを含むことができる。一態様では、アルブミンを含む開示されるコンジュゲートは、10のモルフォリノを含むことができる。一態様では、アルブミンを含む開示されるコンジュゲートは、10を超えるグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、1つ以上のモルフォリノは、1つ以上のグラフトされたMORF2モルフォリノを含むことができる。例えば、開示されるアルブミン-MORF2コンジュゲートは、1つのグラフトされたモルフォリノ、または3つのグラフトされたモルフォリノ、または10のグラフトされたモルフォリノ、または10のグラフトされたモルフォリノ、または10を超えるグラフトされたモルフォリノを含むことができる。例えば、開示されるアルブミン-MORF2コンジュゲートは、1つのグラフトされたMORF2、または3つのグラフトされたMORF2、または10のグラフトされたMORF2、または15のグラフトされたMORF2、または15を超えるグラフトされたMORF2を含むことができる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「障害の処置の必要があると同定される」などの語句は、障害の処置の必要性に基づく対象の選択を指す。例えば、対象は、当業者による早期の診断に基づいて、障害(例えば、NHLまたは悪性細胞成長に関連する一部の他の障害または細胞の集団のアポトーシスを必要とする障害)の処置の必要があると同定し、その後、障害に対する処置を受けることができる。一態様では、同定は、診断を行う者とは異なる者により実施することができると考えられる。さらなる態様では、投与は、診断を実施した者が実施することができるとも考えられる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「投与すること」及び「投与」という用語は、開示される組成物、コンジュゲート、または医薬調製物を対象に提供する任意の方法を指す。このような方法は、当業者らに周知であり、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、眼内投与、耳内投与、脳内投与、直腸内投与、舌下投与、口腔投与、ならびに静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、及び皮下投与などの注射用を含む非経口投与を含むが、これらに限定されない。投与は、連続的または断続的であり得る。種々の態様では、調製物は、治療的に投与することができ;つまり、既存の疾患または状態を処置するために投与することができる。さらに種々の態様では、調製物は、予防的に投与することができ;つまり、疾患または状態の予防のために投与することができる。一態様では、当業者は、対象を処置するか、またはアポトーシスを誘導するために、開示される組成物または開示されるコンジュゲートに対する有効な用量、有効なスケジュール、または有効な投与経路を決定することができる。一態様では、当業者は、開示されるコンジュゲートまたは開示される組成物の有効性を改善するために、投与ステップの一態様を変更または修正することもできる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「1つ以上の投与ステップを変更すること」は、1つ以上の開示される組成物または開示されるコンジュゲートの投与を変更または修正することを含むことができる。一態様では、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを投与することは、例えば、投与経路を変えること、または組成物の用量を変えること、または投与のタイミングを変えること、または投与の頻度を変えること、またはそれらの組み合わせにより、変更することができる。一態様では、共重合体担体及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを投与することは、例えば、投与経路を変えること、または組成物の用量を変えること、または投与のタイミングを変えること、または投与の頻度を変えること、またはそれらの組み合わせにより、変更することができる。一態様では、1つ以上の投与ステップを変更することは、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートの投与を変更すること、ならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートの投与を変更することを含むことができる。
【0038】
本明細書で使用される「接触させる」という用語は、直接的(すなわち、標的自体と相互作用することにより)または間接的(すなわち、標的の活性が依存する別の分子、補因子、因子、もしくはタンパク質と相互作用することにより)のいずれかで、開示される組成物、化合物、またはコンジュゲートが、目的の標的(例えば、受容体、転写因子、細胞、細胞の集団など)の活性に影響を及ぼし得るように、開示される組成物、化合物、またはコンジュゲートを、目的の標的(例えば、細胞もしくは細胞の集団、受容体、抗原、または他の生物学的エンティティ)と一緒にすることを指す。一態様では、開示される組成物またはコンジュゲートは、例えば、B細胞などの細胞または細胞の集団と接触させることができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「決定すること」という用語は、発現及び/または活性レベルまたは有病率及び/または発病率における活性もしくは事象または数量もしくは量または変化を測定または確認することを指すことができる。例えば、決定することは、アポトーシス誘導の数量または量を測定または確認することを指すことができる。決定することは、カスパーゼ活性または発現の数量または量を測定または確認することを指すこともできる。本明細書で使用されるような発現及び/または活性レベルまたは罹患率及び/または発病率における活性もしくは事象または数量もしくは量または変化を測定するために使用される方法及び技術は、当業者が一部の定量化可能な値を測定または確認するために必要とするステップを指すことができる。当該分野は、発現及び/または活性レベルまたは有病率及び/または発病率における活性もしくは事象または数量もしくは量または変化を測定する手段に精通している。
【0040】
本明細書で使用される場合、「有効量」及び「有効な量」という用語は、所望の結果を達成するか、または望ましくない状態に影響を与えるのに十分である量を指す。例えば、「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するか、または望ましくない症状に影響を与えるのに十分であるが、一般に有害な副作用を引き起こすのに不十分な量を指す。例えば、一態様では、開示される組成物またはコンジュゲートの有効量は、所望の細胞または細胞の集団においてアポトーシスを誘導するのに有効な量である。任意の特定の患者に対する具体的な治療上有効な用量レベルは、処置される障害及び障害の重症度;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食事;用いられる具体的な化合物の投与時期;投与経路;排泄率;処置の期間;用いられる具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに医療技術分野で周知の類似の要因を含む様々な要因に依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルで、開示される組成物またはコンジュゲートの投与を開始すること、及び所望の効果が達成されるまで徐々に投薬量を増加させることは、十分に当該技術分野の技量の範囲内である。必要に応じて、有効な1日用量は、投与のために複数回用量に分割することができる。従って、単回投与組成物は、1日用量を構成する、このような量またはその約数を含有することができる。禁忌の場合には、投薬量は、個々の医師が調整することができる。投薬量は変動することができ、1日または数日間、1日1回以上の用量で投与することができる。一態様では、調製物は、「予防的有効量」で投与することができ、つまり、疾患または状態の予防に有効な量である。
【0041】
「薬学的に許容される」という用語は、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではなく、すなわち、許容できないレベルの望ましくない生物学的効果を引き起こすことのない、または有害な仕方で相互作用することのない、材料を表す。本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、滅菌水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液、ならびに使用直前に滅菌注射用溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を指す。好適な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロース及びそれらの好適な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、ならびにエチルオレアートなどの注射用有機エステルが挙げられる。これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントも含有することができる。微生物の作用の防止は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの種々の抗菌剤及び抗真菌剤を含むことにより確保することができる。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが望ましい可能性もある。モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅らせる薬剤を含むことにより、注射用医薬形態の持続的吸収をもたらすことができる。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)、及びポリ(無水物)などの生分解性ポリマー中に、薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。薬物対ポリマーの比及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。デポー注射製剤は、体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を封入することによっても調製される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過により、または使用直前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより滅菌することができる。好適な不活性担体は、ラクトースなどの糖を含むことができる。
【0042】
「オリゴマー化部分(oligomerization moiety)」という用語は、第1のオリゴマー化部分の、1つ以上の第2のオリゴマー化部分へのオリゴマー化を促進または可能にする部分を指す。例えば、「オリゴマー化部分」は、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチドまたはオリゴ糖とすることができる。
【0043】
B.組成物
開示されるコンジュゲートは、アポトーシスを誘導する開示される方法及び本明細書に開示の処置方法に使用することができる。
【0044】
i)標的化部分及びオリゴマー化部分を含むコンジュゲート
標的化部分及びオリゴマー化部分を含むコンジュゲートが本明細書に開示される。例えば、オリゴマー化部分は、オリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチドとすることができる。
【0045】
一態様では、開示されるコンジュゲートは、検出可能な標識をさらに含むことができる。検出可能な標識は、当業者に既知であり、ローダミン、FITC、Cy3、Cy3.5、Cy5、Texas Red、Alexa Fluor488、Alexa Fluor610、Alexa Fluor647、及びAlexa Fluor750を含むが、これらに限定されない。
【0046】
(a)標的化部分
限定されないが、オリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチドなどのオリゴマー化部分に結合、連結、または付着することができる標的化部分が開示される。
【0047】
開示されるコンジュゲートの一態様では、標的化部分は、内在化しない細胞表面分子(non-internalizing cell surface molecule)または徐々に内在化する細胞表面分子(slowly internalizing cell surface molecule)に特異的であり得る。内在化しない細胞表面分子または徐々に内在化する細胞表面分子の例は、当業者に既知である。一態様では、内在化しない細胞表面分子または徐々に内在化する細胞表面分子は、細胞または細胞の集団上にあり得る。一態様では、細胞または細胞の集団は、B細胞とすることができる。一態様では、B細胞は、正常B細胞とすることができる。一態様では、B細胞は、悪性B細胞とすることができる。
【0048】
開示されるコンジュゲートの一態様では、内在化しない細胞表面分子は、受容体とすることができる。一態様では、徐々に内在化する細胞表面分子は、受容体とすることができる。例えば、内在化しない細胞表面分子または徐々に内在化する細胞表面分子は、CD20受容体、C型タンパク質チロシンホスファターゼ受容体(PTPRC)、細胞表面デス受容体、前立腺幹細胞抗原(PSCA)受容体、及び腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーに属する受容体を含むが、これらに限定されない。腫瘍壊死因子(TNFR)スーパーファミリーは、デス受容体5(DR5)、FAS受容体(CD95)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18(TNFRSF18)、及びアポトーシスのTNF様弱インデューサー(TWEAKまたはTNFSF12)を含む。一態様では、受容体は、CD20受容体とすることができる。一態様では、受容体は、C型タンパク質チロシンホスファターゼ受容体(PTPRC)とすることができる。一態様では、受容体は、細胞表面デス受容体とすることができる。一態様では、受容体は、デス受容体4(DR4)とすることができる。一態様では、受容体は、前立腺幹細胞抗原(PSCA)受容体とすることができる。一態様では、受容体は、デス受容体5(DR5)である。一態様では、受容体は、FAS受容体(CD95)とすることができる。一態様では、受容体は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18(TNFRSF18)とすることができる。一態様では、受容体は、アポトーシス受容体のTNF様弱インデューサー(TWEAKまたはTNFSF12)とすることができる。
【0049】
開示されるコンジュゲートの一態様では、標的化部分は、多糖、ペプチドリガンド、アプタマー、Fab’フラグメント、または単鎖可変フラグメントとすることができる。一態様では、標的化部分は、多糖とすることができる。一態様では、標的化部分は、ペプチドリガンドとすることができる。一態様では、標的化部分は、アプタマーとすることができる。一態様では、標的化部分は、一本鎖可変フラグメントとすることができる。一態様では、標的化部分は、Fab’フラグメントとすることができる。一態様では、Fab’フラグメントは、ヒト化することができる。一態様では、Fab’フラグメントは、抗CD20受容体抗体に由来することができる。抗CD20受容体抗体の例は、当該技術分野で既知であり、1F5、リツキシマブ、トシツモマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、オクレリズマブ、オカラツズマブ、オビヌツズマブ、PRO131921、BCD-020、IBI-301、ウブリツキシマブ(ublituximab)、及びBLX-301を含むが、これらに限定されない。一態様では、抗CD20受容体抗体は、1F5とすることができる。
【0050】
(b)オリゴマー化部分
オリゴマー化部分は、複合体を形成するために、少なくとも1つの他のオリゴマー化部分に結合するか、またはこれと相互作用することができる任意の化合物(例えば、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、またはオリゴ糖)とすることができる。
【0051】
標的化部分またはアルブミンに結合、連結、または付着することができるオリゴマー化部分が開示される。
【0052】
(i)オリゴヌクレオチド
オリゴヌクレオチドは、当該技術分野で周知である。開示されるコンジュゲートの一態様では、オリゴヌクレオチドは、生体適合性であり得る。一態様では、オリゴヌクレオチドは、非分解性であり得る。一態様では、オリゴヌクレオチドは、水溶性であり得る。一態様では、オリゴヌクレオチドは、電荷中性であり得る。一態様では、オリゴヌクレオチドは、生体適合性及び非分解性であり得る。一態様では、オリゴヌクレオチドは、水溶性及び電荷中性であり得る。一態様では、オリゴヌクレオチドは、次の:生体適合性、非分解性、水溶性、及び電荷中性のうちの1つ以上とすることができる。例えば、一態様では、オリゴヌクレオチドは、生体適合性、非分解性、水溶性、及び電荷中性とすることができる。
【0053】
開示されるコンジュゲートの一態様では、オリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸とすることができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルとすることができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートとすることができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸とすることができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、2’-O-メチルホスホジエステルとすることができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、ロックオリゴヌクレオチドとすることができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、モルフォリノとすることができる。
【0054】
(a)モルフォリノ
本明細書に開示の組成物及び方法は、化学的に修飾された骨格を有する、生体適合性合成オリゴヌクレオチドアナログを利用することができる。以下に示す概略図は、いくつかのアナログを示し、これらのアナログの特性を天然のDNAと比較する。
【0055】
好ましくは、アナログは、生体適合性且つ非分解性であり得、開示される組成物及び方法は、ホスホロジアミダートモルフォリノオリゴヌクレオチド(モルフォリノまたはMORFとしても知られる)を利用することができる。本明細書で使用される場合、「MORF」という用語は、モルフォリノを指す。例えば、「MORF1」は、第1のモルフォリノを指すことができ、「MORF2」は、第2のモルフォリノを指すことができる。一部の態様では、MORF1及びMORF2は、オリゴマー化する可能性がある。モルフォリノは、化学的に修飾された非荷電骨格を有し、4つの異なるサブユニットが集合し、これらのそれぞれは、6員モルフォリン環に連結される4つの核酸塩基(A、T、G、及びC)のうちの1つを含有する。サブユニットは、モルフォリノオリゴヌクレオチドを生成するために、非イオン性ホスホルアミダート連結により結合される。モルフォリノは、強い結合親和性(すなわち、低nMからpMレベルまでのKd)、高い配列特異性、及び十分に実証された安全性プロファイルも有する。さらに、モルフォリノの免疫原性は、高度に配列依存性であり、従って、対処することができる。モルフォリノの合成、構造、及び結合特性は、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,521,063号、及び同第5,506,337号に詳細に記載されており、これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
長さがより長い開示されるモルフォリノは、より高い特異性及びより強い結合親和性を提供するが、このようなモルフォリノは、不十分な水溶性も有する。当該技術分野では、14bp~15bpのモルフォリノは、理想的な標的化効果を維持するのに必要な最小長と考えられている。25bpのモルフォリノは、強い結合親和性及び良好な水溶性(約5~30mM)を確保することができる。例えば、開示される組成物及び方法において25bpのモルフォリノを使用することは、第1及び第2のモルフォリノ(例えば、MORF1及びMORF2)のハイブリダイゼーションに対する立体障害の影響を回避することができる。より長い配列は、ハイブリダイゼーションに関し、より良い「立体的柔軟性」を提供することができる。従って、本明細書に開示の組成物及び方法では、モルフォリノは、10bp~40bpを含むことができる。一態様では、例えば、モルフォリノは、長さが10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40bpであり得る。
【0057】
開示されるモルフォリノのA/T/C/Gの含量は、3つの要因:(1)G+C含量(G及びCの#または%)、(2)G含量(Gの#または%)、及び(3)C含量(Cの#または%)に基づいて決定することができる。
【0058】
G+C含量に関しては、開示されるモルフォリノは、約35%~約65%のG+C含量を含むことができる。この範囲は、最適な結合効力及び特異性を提供することができる。G含量に関しては、開示されるモルフォリノは、約36%未満のG含量を含むことができる。このレベルのG含量は、良好な水溶性を提供することができるが、4つ以上のGの繰り返しは、避けるべきである。C含量に関しては、開示されるモルフォリノは、7つ未満のC含量を含むことができる。このレベルのC含量は、モルフォリノの腎臓蓄積を増強するという好ましくない効果を回避することができることを確実にできる。さらに、アルブミンを有する1つ以上のモルフォリノのコンジュゲーションは、モルフォリノの薬物動態プロファイルを変更することができ、腎臓蓄積を(モルフォリノ及びFab’フラグメントのコンジュゲーションと比較して)低減させることができる。表1は、様々なレベルのC含量を含むモルフォリノの腎臓蓄積を示す。25Cを有するモルフォリノは、注射のちょうど3時間後に、正常マウスの腎臓において最も高いパーセント蓄積を示した(Liu et al.、2004)。
表1
【0059】
開示される組成物及び方法では、Fab’フラグメントにコンジュゲートされるモルフォリノは、より多くのA及びより少ないCを含むことができるが、アルブミン担体にコンジュゲートされる1つ以上のモルフォリノは、より多くのC及びより少ないAを含むことができる。従って、一態様では、25bpのモルフォリノは、3C、6G、12A、4Tを含むことができる(G+C=36%、G=24%)。相補的25bpのモルフォリノは、6つのC、3つのG、4つのA、12のTを含むことができる(G+C=36%、G=12%)。
【0060】
各モルフォリノの核酸塩基組成を決定した後、公にアクセス可能なオンライン配列「スクランブラ」を使用して、ヒトmRNAを用いる最小の標的外結合を確保することができる。さらに、公にアクセス可能なオンライン配列解析ソフトウエアを使用して、最小の自己相補性を確保することができる。本明細書に開示の実験では、自己相補性を回避するために配列解析を実施する時、「自己二量化に必要な最小の塩基対」及び「ヘアピンに必要な最小塩基対」を、「2」及び「2」(10bp及び12bpの場合);「3」及び「3」(15bp、18bp、20bp、23bp、及び25bpの場合);「4」及び「4」(28bp、30bp、32bp、及び35bpの場合);ならびに「5」及び「4」(38bp及び40bpの場合)に設定した。表2は、開示される組成物及び方法に使用される例示的モルフォリノのリストを提供する。
表2-例示的モルフォリノのリスト
【0061】
一態様では、一対の開示されるモルフォリノ間のハイブリダイゼーションは、塩基対形成(すなわち、特異的水素結合パターン)により達成することができる。ハイブリダイゼーションは、塩基スタッキング(すなわち、π相互作用)により維持することができる。
【0062】
一態様では、開示される組成物及び方法に利用されるモルフォリノは、完全に相補的(100%)であり得るか、または完全に相補的以外であり得る。従って、一態様では、Fab’-MORF1コンジュゲートのモルフォリノ及びアルブミン-MORF2コンジュゲートの1つ以上のモルフォリノのパーセント相補性は、80~85%、85~90%、90~95%、または95~100%相補的であり得る。一態様では、Fab’-MORF1コンジュゲートのモルフォリノ及びアルブミン-MORF2コンジュゲートの1つ以上のモルフォリノは、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的であり得る。一態様では、Fab’-MORF1コンジュゲートのモルフォリノ及びアルブミン-MORF2コンジュゲートの1つ以上のモルフォリノは、少なくとも93%相補的であり得る。
【0063】
一態様では、Fab’-MORF1コンジュゲートのモルフォリノ及びアルブミン-MORF2コンジュゲートの1つ以上のモルフォリノは、15nM以下の平衡解離定数Kdを有することができる。一態様では、Fab’-MORF1コンジュゲートのモルフォリノ及びアルブミン-MORF2コンジュゲートの1つ以上のモルフォリノは、10-7M未満の結合定数(Kd)を有することができる。一態様では、Fab’-MORF1コンジュゲートのモルフォリノ及びアルブミン-MORF2コンジュゲートの1つ以上のモルフォリノは、10-9M未満の結合定数(Kd)を有することができる。
【0064】
一態様では、開示されるモルフォリノは、例えば、ヒトゲノムなどのゲノムの任意のmRNA標的に結合しない。一態様では、開示されるモルフォリノは、自己相補的ではない。一態様では、モルフォリノは、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)修飾することができる。
【0065】
開示されるコンジュゲートの一態様では、モルフォリノは、25bpの長さであり得、3つのシチジン、6つのグアノシン、12のアデノシン、及び4つのチミジンを含むことができる。例えば、一態様では、3つのシチジン、6つのグアノシン、12のアデノシン、及び4つのチミジンを含むモルフォリノは、5’ GAGTAAGCCAAGGAGAATCAATATA 3’(配列番号25)とすることができる。一態様では、開示されるコンジュゲートのモルフォリノは、約35%~約65%のGC含量を含むことができる。一態様では、モルフォリノは、36%未満のG含量を含むことができる。一態様では、モルフォリノは、7つ以下のCを含むことができる。
【0066】
開示されるコンジュゲートの一態様では、標的化部分は、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることができる。コンジュゲーションの種類及びコンジュゲートするための方法は、当該技術分野に既知である。一態様では、開示されるコンジュゲートの標的化部分は、例えば、共有結合を介してオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることができる。一態様では、標的化部分は、チオール基を介してオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることができる。チオール基は、当該技術分野で既知である。開示されるコンジュゲートの一態様では、標的化部分は、チオエーテル結合、チオール-マレイミド結合、チオール-ビニルスルホン結合、チオール-ハロゲン結合、チオール-ペンタフルオロフェニルエステル結合、チオール-エン結合、またはチオール-イン結合を介してオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることができる。
【0067】
標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートが本明細書に開示され、標的化部分は、Fab’フラグメントであり、Fab’フラグメントは、CD20受容体に特異的であり、オリゴヌクレオチドは、モルフォリノであり、Fab’フラグメントは、チオエーテル結合を介してモルフォリノにコンジュゲートされる。
【0068】
(ii)オリゴペプチド
オリゴペプチドは、当該技術分野で既知である。開示されるコンジュゲートの一態様では、オリゴペプチドは、生体適合性であり得る。一態様では、オリゴペプチドは、非分解性であり得る。一態様では、オリゴペプチドは、水溶性であり得る。
【0069】
(a)コイルドコイル形成ペプチド
開示されるコンジュゲートの一態様では、1つ以上のコイルドコイル形成ペプチドは、(例えば、それぞれ第1または第2のコンジュゲート中で)標的化部分またはアルブミンに結合させることができる。
【0070】
コイルドコイルは、天然タンパク質の基本的な折りたたみパターンの1つである。それは、わずかに左巻きのαヘリックスを形成するために、一緒に巻かれている2つ以上の右巻きのαヘリックスからなる。コイルドコイルモチーフの一次構造は、[a、b、c、d、e、f、g]xとして示される繰り返しのヘプタドの配列を特徴とし、式中、a及びdは通常、疎水性アミノ酸残基であるが、他のものは、極性アミノ酸残基である。2つのヘリックスは、a及びdの間の疎水性界面を介して会合し、b、c、及びfを外側に向ける。残基eとgの間のヘリックス間静電相互作用は、コイルドコイルの安定性に寄与する。それらの詳細な構造に応じて、αヘリックスは、平行または逆平行のアラインメントで、ホモ二量体、ヘテロ二量体として会合するか、またはより高次の(例えば、四量体)凝集体を形成し得る。疎水性アミノ酸の例は、Val、Ile、Leu、Met、Tyr、Phe、及びTrpである。
【0071】
2つ以上のコイルドコイル形成ペプチドは、互いにヘリックスを形成することにより相互作用することができる。コイルドコイル形成ペプチドは、コイルドコイル構造を形成する任意のアミノ酸配列とすることができる。本明細書に例示されるコイルドコイルドメインは、様々なタンパク質からクローニングされたものであるが、得られるコイルドコイルドメインが、コイルドコイル構造と当業者により認識される限り、種々の変異及び誘導体化が本発明に包含され、コイルドコイルドメイン含有キメラは、多量体を形成する可能性があり、容易に可溶性であり、天然のリガンドまたは受容体に関して同様のまたはより高い効力を提供することができることが理解される。
【0072】
コイルドコイル形成ペプチドは、それらの天然に存在するペプチドまたはキメラコイルドコイル形成ペプチドとすることができる。キメラコイルドコイル形成ペプチドは、天然に存在するコイルドコイル形成ペプチドフラグメントの組み合わせとすることができる。
【0073】
本明細書に開示される方法及び組成物に使用されるペプチドの例を表3に示す。
表3:オリゴペプチド(
*ペプチドは、D-アミノ酸残基からなる)
【0074】
ii)アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含むコンジュゲート
アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含むコンジュゲートは、本明細書に開示される。
【0075】
一態様では、開示されるコンジュゲートは、検出可能な標識を含む。検出可能な標識は、当該技術分野で既知であり、ローダミン、FITC、Cy3、Cy3.5、Cy5、Texas Red、Alexa Fluor488、Alexa Fluor610、Alexa Fluor647、及びAlexa Fluor750を含むが、これらに限定されない。
【0076】
(a)アルブミン
アルブミンを含むコンジュゲートが開示される。一部の態様では、アルブミンは、天然または合成のものとすることができる。一部の態様では、アルブミンは、野生型アルブミン、アルブミン多様体、またはアルブミンの誘導体とすることができる。アルブミンは、その教示に関して本明細書をもって参照により本明細書に組み込まれる欧州公開第EP2556087号に開示されるアルブミンのいずれかとすることができる。
【0077】
一部の態様では、アルブミンは、ヒト血清アルブミン(HSA)とすることができる。HSAは、不活性であり、生分解性であり、容易に入手可能であり、腫瘍及び炎症組織により有意に取り込まれるので、多数の薬物送達システムにおいて担体として使用されている。アルブミンを含むコンジュゲートは、アルブミンとの化学的コンジュゲーション、直接遺伝子融合、ナノ粒子封入、及び非共有結合性の会合により調製することができる。HSAは、(グリコシル化されていない)可溶性タンパク質(分子量66,500)であり;それは、血清タンパク質の約半分(35~50g/Lのヒト血清)を構成している。それは、前駆体タンパク質(609アミノ酸残基)として肝細胞により合成することができ;最初の24の残基は、翻訳後に切断され、HSAは、循環中に分泌される。HSAは、17のジスルフィド架橋及び34位に1つの遊離システインを有する585のアミノ酸残基からなる。これは、67%のαヘリックスを有し、βシートを有さない熱成形分子であり、ハート型の分子であり;それは、長い柔軟なループを介して接続された3つのドメインに折りたたむ。HSAは、4~9の範囲のpHで安定であり、40%のエタノールに可溶性であり、変性に対して耐性を示す(10時間まで60℃で安定した)。HSAは、21日の血清半減期を有する。FcRn受容体は、循環中の高レベルのHSAを維持するのに重要な役割を果たす。FcRnは、エンドソームから細胞表面へ、FcRn-HSAコンジュゲートを循環させることにより、HSAの分解を防止する。酸性から中性へのpH変化は、HSAリガンドの放出を引き起こす。
【0078】
(b)オリゴマー化部分
オリゴマー化部分は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含むコンジュゲートに関して、本明細書に開示されるもののいずれかとすることができる。従って、オリゴマー化部分は、複合体を形成するために、少なくとも1つの他のオリゴマー化部分と結合または相互作用することができる任意の化合物(例えば、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、またはオリゴ糖)とすることができる。
【0079】
例えば、一態様では、オリゴヌクレオチドは、モルフォリノとすることができる。従って、1つ以上のグラフトされたモルフォリノを含むアルブミンが開示される。一態様では、1つ以上のモルフォリノは、1つのモルフォリノ、または2つのモルフォリノ、または3つのモルフォリノ、または4つのモルフォリノ、または5つのモルフォリノ、または6つのモルフォリノ、または7つのモルフォリノ、または8つのモルフォリノ、または9つのモルフォリノ、または10のモルフォリノを含むことができる。例えば、一態様では、開示されるアルブミンは、1つのモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミンは、3つのモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミンは、10のモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミンは、15のモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミンは、10を超えるグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミンは、15を超えるグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、1つ以上のモルフォリノは、1つ以上のグラフトされたMORF2モルフォリノを含むことができる。例えば、開示されるアルブミン-MORF2コンジュゲートは、1つのグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミン-MORF2コンジュゲートは、3つのグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミン-MORF2コンジュゲートは、10のグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミン-MORF2コンジュゲートは、15のグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、開示されるアルブミン-MORF2コンジュゲートは、15を超えるグラフトされたモルフォリノを含むことができる。一態様では、1つ以上のオリゴヌクレオチドは、同じオリゴヌクレオチドを含むことができるか、または異なるオリゴヌクレオチドを含むことができる。一態様では、1つ以上のモルフォリノは、同じモルフォリノを含むことができるか、または異なるモルフォリノを含むことができる。一態様では、1つ以上のモルフォリノまたはグラフトされたモルフォリノは、同じ配列を有することができる。一態様では、1つ以上のモルフォリノは、異なる配列を有することができる。例えば、複数のモルフォリノが存在することができる一態様では、1つ以上のモルフォリノが異なる配列を含むか、または1つ以上のモルフォリノが同じ配列もしくはそれらの組み合わせを含む。
【0080】
iii)キット
標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲート、ならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートを含むキットが本明細書に開示される。一態様では、開示されるキットは、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートを投与するための使用説明書を含むことができる。
【0081】
標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートを含むキットが本明細書に開示される。一態様では、開示されるキットは、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートを投与するための使用説明書を含むことができる。
【0082】
標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートを含むキットが、本明細書に開示される。一態様では、開示されるキットは、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートを投与するための使用説明書を含むことができる。
【0083】
標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲート、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲート、ならびに第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートを投与するための使用説明書を含むキットが本明細書に開示される。
【0084】
標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲート、アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲート、ならびに第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートを投与するための使用説明書を含むキットが本明細書に開示される。
【0085】
標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲート、アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲート、ならびに第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートを投与するための使用説明書を含むキットが本明細書に開示される。
【0086】
一態様では、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート、合剤化(co-formulated)される。一態様では、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートは、同梱される。
【0087】
本明細書に開示の標的化部分、本明細書に開示のオリゴマー化部分、本明細書に開示のアルブミン、及び/または本明細書に開示の標的化部分、オリゴマー化部分、もしくはアルブミンを含むコンジュゲート、を含むキットが開示される。
【0088】
iv)医薬組成物
本明細書に開示される1つ以上のコンジュゲートを含む開示される組成物を含む医薬組成物が、本明細書に開示される。例えば、一態様では、開示される医薬組成物は、(i)標的化部分及びオリゴマー化部分を含むコンジュゲート、ならびに(ii)薬学的に許容される担体、を含む。一態様では、開示される医薬組成物は、(i)アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含むコンジュゲート、ならびに(ii)薬学的に許容される担体、を含む。一態様では、開示される医薬組成物は、(i)標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲート、(ii)アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲート、ならびに(iii)薬学的に許容される担体、を含む。(i)標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲート、ならびに(ii)薬学的に許容される担体、を含む医薬組成物も開示される。一態様では、開示される医薬組成物は、(i)アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲート、ならびに(ii)薬学的に許容される担体、を含む。一態様では、開示される医薬組成物は、(i)標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲート、(ii)アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲート、ならびに(iii)薬学的に許容される担体、を含む。一部の態様では、キットは、個々のコンジュゲートまたは1つ以上のコンジュゲートの混合物を含むことができる。
【0089】
(i)標的化部分及びオリゴペプチドを含むコンジュゲート、ならびに(ii)薬学的に許容される担体、を含む医薬組成物も開示される。一態様では、開示される医薬組成物は、(i)アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含むコンジュゲート、ならびに(ii)薬学的に許容される担体、を含む。一態様では、開示される医薬組成物は、(i)標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲート、(ii)アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲート、ならびに(iii)薬学的に許容される担体、を含む。一部の態様では、キットは、個々のコンジュゲートまたは1つ以上のコンジュゲートの混合物を含むことができる。
【0090】
一態様では、開示される医薬組成物は、B細胞悪性腫瘍、炎症性障害、またはB細胞病変を伴う自己免疫疾患の処置を必要とする対象に投与することができる。例えば、一態様では、開示される医薬組成物は、NHLの処置を必要とする対象に投与することができる。一態様では、開示される医薬組成物は、次のうちの1つ以上の処置を必要とする対象に投与することができる:関節リウマチ、慢性リンパ性白血病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病、Evans症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型糖尿病、シェーグレン症候群、Devic病、またはGraves病眼症。一態様では、対象は、次のうちの1つ以上を有することができる:非ホジキンリンパ腫、臓器移植、関節リウマチ、慢性リンパ性白血病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病、Evans症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型真性糖尿病、シェーグレン症候群、Devic病、またはGraves病眼症。一態様では、開示される医薬組成物は、移植臓器を受けた後に、処置を必要とする対象に投与することができる。一態様では、開示される医薬組成物は、処置を必要とする対象に投与することができ、対象は、JCウイルスを有する。
【0091】
用いられる薬学的担体は、例えば、固体、液体、または気体とすることができる。固体担体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、アガー、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油、及び水である。気体担体の例としては、二酸化炭素及び窒素が挙げられる。
【0092】
経口剤形用の組成物を調製する際、都合のよい任意の薬学的媒体を用いることができる。例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香料、保存料、着色料などを使用して、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液などの経口液体調製物を形成することができるが、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用して、散剤、カプセル剤、及び錠剤などの経口固形調製物を形成することができる。錠剤及びカプセル剤は、固体の医薬担体が用いられる、好ましい経口投薬単位である。任意に、錠剤は、標準的な水性または非水性技術によりコーティングすることができる。本明細書に開示の組成物またはコンジュゲートを含有する錠剤は、任意に、1つ以上の補助成分またはアジュバントと共に、圧縮または成形することにより調製することができる。圧縮錠剤は、任意に、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤、または分散剤と混合された、粉末または顆粒などの流動性のある形態の組成物の開示されるコンジュゲートを、好適な機械で圧縮することにより調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することにより作製することができる。
【0093】
開示される組成物は、開示される化合物から調製することができることが理解される。開示される組成物は、開示される使用方法に用いることができることも理解される。
【0094】
C.方法
i)アポトーシスを誘導する方法
標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること;アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートとの接触が、細胞のアポトーシスを誘導する、アポトーシスを誘導する方法が本明細書に開示される。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができ、第1及び第2のコンジュゲートは、細胞の集団に接触させる前に、予備混合される。
【0095】
標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること;アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートとの接触が、細胞のアポトーシスを誘導する、アポトーシスを誘導する方法が本明細書に開示される。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができ、第1及び第2のコンジュゲートは、細胞の集団に接触させる前に、予備混合される。
【0096】
標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること;アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートとの接触が、細胞のアポトーシスを誘導する、アポトーシスを誘導する方法が本明細書に開示される。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができ、第1及び第2のコンジュゲートは、細胞の集団に接触させる前に、予備混合される。
【0097】
一態様では、当業者は、アポトーシスを誘導するために、開示される組成物または開示されるコンジュゲートに対する有効な用量、有効なスケジュール、または有効な投与経路を決定することができる。
【0098】
一態様では、アポトーシスを誘導する開示される方法は、細胞のアポトーシスを確認することを含むことができる。アポトーシスを確認する方法は、当該技術分野で既知であり、これらに限定されないが、カスパーゼ-3活性を測定すること、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム結合を測定すること、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識を測定することが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、アポトーシスを確認することは、カスパーゼ-3活性を測定すること、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム結合を測定すること、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識を測定すること、のうちの1つを含むことができる。一態様では、アポトーシスを確認することは、カスパーゼ-3活性を測定すること、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム結合を測定すること、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識を測定すること、のうちの2つを含むことができる。一態様では、アポトーシスを確認することは、カスパーゼ-3活性を測定すること、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム結合を測定すること、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識を測定すること、のうちの全てを含むことができる。
【0099】
アポトーシスを誘導する開示される方法の一態様では、細胞の集団は、B細胞とすることができる。一態様では、B細胞は、正常B細胞とすることができる。一態様では、細胞は、悪性B細胞とすることができる。一態様では、細胞の集団は、対象に存在し得る。一態様では、B細胞は、対象に存在し得る。一態様では、対象は、非ホジキンリンパ腫を有し得る。一態様では、対象は、臓器移植を受けている可能性がある。一態様では、対象は、JCウイルスを有し得る。一態様では、対象は、関節リウマチ、慢性リンパ性白血病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病、Evans症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型糖尿病、シェーグレン症候群、Devic病、またはGraves病眼症を有することができる。一態様では、対象は、次のうちの1つ以上を有することができる:非ホジキンリンパ腫、臓器移植、関節リウマチ、慢性リンパ性白血病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病、Evans症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型真性糖尿病、シェーグレン症候群、Devic病、またはGraves病眼症。
【0100】
アポトーシスを誘導する開示される方法の一態様では、標的化部分は、内在化しない細胞表面分子または徐々に内在化する細胞表面分子に特異的であり得る。内在化しない細胞表面分子または徐々に内在化する細胞表面分子の例は、当該技術分野で既知である。一態様では、内在化しない細胞表面分子または徐々に内在化する細胞表面分子は、細胞または細胞の集団上にあり得る。一態様では、細胞または細胞の集団は、B細胞とすることができる。一態様では、B細胞は、正常B細胞とすることができる。一態様では、B細胞は、悪性B細胞とすることができる。
【0101】
アポトーシスを誘導する開示される方法の一態様では、内在化しない細胞表面分子は、受容体とすることができる。一態様では、徐々に内在化する細胞表面分子は、受容体とすることができる。例えば、内在化しない細胞表面分子または徐々に内在化する細胞表面分子は、CD20受容体、C型タンパク質チロシンホスファターゼ受容体(PTPRC)、細胞表面デス受容体、前立腺幹細胞抗原(PSCA)受容体、及び腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーに属する受容体を含むが、これらに限定されない。腫瘍壊死因子(TNFR)スーパーファミリーは、デス受容体5(DR5)、FAS受容体(CD95)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18(TNFRSF18)、及びアポトーシスのTNF様弱インデューサー(TWEAKまたはTNFSF12)を含む。一態様では、受容体は、CD20受容体とすることができる。一態様では、受容体は、C型タンパク質チロシンホスファターゼ受容体(PTPRC)とすることができる。一態様では、受容体は、細胞表面デス受容体とすることができる。一態様では、受容体は、デス受容体4(DR4)とすることができる。一態様では、受容体は、前立腺幹細胞抗原(PSCA)受容体とすることができる。一態様では、受容体は、デス受容体5(DR5)である。一態様では、受容体は、FAS受容体(CD95)とすることができる。一態様では、受容体は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18(TNFRSF18)とすることができる。一態様では、受容体は、アポトーシス受容体のTNF様弱インデューサー(TWEAKまたはTNFSF12)とすることができる。
【0102】
開示される方法の一態様では、標的化部分は、多糖、ペプチドリガンド、アプタマー、Fab’フラグメント、または単鎖可変フラグメントとすることができる。一態様では、標的化部分は、多糖とすることができる。一態様では、標的化部分は、ペプチドリガンドとすることができる。一態様では、標的化部分は、アプタマーとすることができる。一態様では、標的化部分は、一本鎖可変フラグメントとすることができる。一態様では、標的化部分は、Fab’フラグメントとすることができる。一態様では、Fab’フラグメントは、ヒト化することができる。一態様では、Fab’フラグメントは、抗CD20受容体抗体に由来することができる。抗CD20受容体抗体の例は、当該技術分野で既知であり、1F5、リツキシマブ、トシツモマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、オクレリズマブ、オカラツズマブ、オビヌツズマブ、PRO131921、BCD-020、IBI-301、ウブリツキシマブ、及びBLX-301を含むが、これらに限定されない。一態様では、抗CD20受容体抗体は、1F5とすることができる。
【0103】
アポトーシスを誘導する開示される方法の一態様では、アルブミンは、天然または合成のものとすることができる。一部の態様では、アルブミンは、野生型アルブミン、アルブミン多様体、またはアルブミンの誘導体とすることができる。アルブミンは、本明細書をもって参照により本明細書に組み込まれる欧州公開第EP2556087号に開示されるアルブミンのいずれかとすることができる。一部の態様では、アルブミンは、HSAまたはその多様体もしくは誘導体とすることができる。
【0104】
本明細書に開示のコンジュゲートのいずれかは、アポトーシスを誘導する方法において使用することができる。例えば、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること;アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートとの接触が、細胞のアポトーシスを誘導する、アポトーシスを誘導する方法が本明細書に開示される。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができる。標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む開示されるコンジュゲートならびにアルブミン及び本明細書に開示の1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを使用することができる。
標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること;アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートとの接触が、細胞のアポトーシスを誘導する、アポトーシスを誘導する方法もまた本明細書に開示される。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を繰り返し接触させることを含むことができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができる。標的化部分及びオリゴペプチドを含む開示されるコンジュゲートならびにアルブミン及び本明細書に開示の1つ以上のオリゴペプチドを含むコンジュゲートを使用することができる。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができ、第1及び第2のコンジュゲートは、細胞の集団に接触させる前に、予備混合される。
【0105】
ii)アポトーシスを誘導する方法
標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含むコンジュゲートを含む第2のコンジュゲートを含む組成物と、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の組成物との接触が、細胞のアポトーシスを誘導する、アポトーシスを誘導する方法が本明細書に開示される。一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができ、第1及び第2のコンジュゲートは、細胞の集団に接触させる前に、予備混合される。
【0106】
標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを含む第2のコンジュゲートを含む組成物と、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の組成物との接触が、細胞のアポトーシスを誘導する、アポトーシスを誘導する方法が本明細書に開示される。標的化部分及びオリゴヌクレオチド及び/またはアルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む開示されるコンジュゲートのいずれかは、開示される方法に使用することができる。
【0107】
標的化部分及びオリゴペプチド化部分を含む第1のコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含むコンジュゲートを含む第2のコンジュゲートを含む組成物と、細胞の集団を接触させることを含み、細胞の組成物との接触が、細胞のアポトーシスを誘導する、アポトーシスを誘導する方法が本明細書に開示される。標的化部分及びオリゴペプチド及び/またはアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む開示されるコンジュゲートのいずれかは、開示される方法に使用することができる。
【0108】
アポトーシスを誘導する開示される方法の一態様では、方法は、細胞の組成物との接触を繰り返すことを含むことができる。開示される方法は、細胞のアポトーシスを確認することを含むことができる。アポトーシスを確認する方法は、当該技術分野で既知であり、これらに限定されないが、カスパーゼ-3活性を測定すること、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム結合を測定すること、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識を測定することが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、アポトーシスを確認することは、カスパーゼ-3活性を測定すること、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム結合を測定すること、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識を測定すること、のうちの1つを含むことができる。一態様では、アポトーシスを確認することは、カスパーゼ-3活性を測定すること、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム結合を測定すること、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識を測定すること、のうちの2つを含むことができる。一態様では、アポトーシスを確認することは、カスパーゼ-3活性を測定すること、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム結合を測定すること、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識を測定すること、のうちの全てを含むことができる。一態様では、当業者は、アポトーシスを誘導するために、開示される組成物または開示されるコンジュゲートに対する有効な用量、有効なスケジュール、または有効な投与経路を決定することができる。
【0109】
アポトーシスを誘導する開示される方法の一態様では、細胞の集団は、B細胞とすることができる。一態様では、B細胞は、正常B細胞とすることができる。一態様では、細胞は、悪性B細胞とすることができる。一態様では、細胞の集団は、対象に存在し得る。一態様では、B細胞は、対象に存在し得る。一態様では、対象は、非ホジキンリンパ腫を有し得る。一態様では、対象は、臓器移植を受けている可能性がある。一態様では、対象は、JCウイルスを有し得る。一態様では、対象は、関節リウマチ、慢性リンパ性白血病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病、Evans症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型糖尿病、シェーグレン症候群、Devic病、またはGraves病眼症を有することができる。一態様では、対象は、次のうちの1つ以上を有することができる:非ホジキンリンパ腫、臓器移植、関節リウマチ、慢性リンパ性白血病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病、Evans症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型真性糖尿病、シェーグレン症候群、Devic病、またはGraves病眼症。
【0110】
一態様では、開示される方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、ならびに、アルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートと、細胞の集団を接触させること、を含むことができ、第1及び第2のコンジュゲートは、細胞の集団に接触させる前に、予備混合される。
【0111】
iii)処置方法
それを必要とする対象の処置方法が本明細書に開示され、方法は、標的化部分及びオリゴマー化部分を含む第1のコンジュゲートを含む第1の組成物を対象に投与すること、ならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴマー化部分を含む第2のコンジュゲートを含む第2の組成物を対象に投与することを含み、第1の組成物及び第2の組成物の投与は、対象において細胞の標的の集団のアポトーシスを誘導する。
【0112】
それを必要とする対象の処置方法が本明細書に開示され、方法は、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートを含む第1の組成物を対象に投与すること、ならびにコポリマー担体及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む第2のコンジュゲートを含む第2の組成物を対象に投与することを含み、第1の組成物及び第2の組成物の投与は、対象において細胞の標的集団のアポトーシスを誘導する。標的化部分及びオリゴヌクレオチド及び/またはアルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む開示されるコンジュゲートのいずれかは、開示される方法に使用することができる。
【0113】
それを必要とする対象の処置方法が本明細書に開示され、方法は、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートを含む第1の組成物を対象に投与すること、ならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む第2のコンジュゲートを含む第2の組成物を対象に投与することを含み、第1の組成物及び第2の組成物の投与は、対象において細胞の標的集団のアポトーシスを誘導する。標的化部分及びオリゴペプチド及び/またはアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む開示されるコンジュゲートのいずれかは、開示される方法に使用することができる。
【0114】
一態様では、投与は、静脈内投与を含む。一態様では、開示される方法は、第1の組成物の投与を繰り返すことを含むことができる。一態様では、開示される方法は、第2の組成物の投与を繰り返すことを含むことができる。一態様では、開示される方法は、第1の組成物の投与を繰り返すこと及び第2の組成物の投与を繰り返すことを含むことができる。一態様では、開示される方法は、細胞の標的集団のアポトーシスを確認することを含むことができる。一態様では、当業者は、それを必要とする対象を処置するために、開示される組成物または開示されるコンジュゲートに対する有効な用量、有効なスケジュール、または有効な投与経路を決定することができる。
【0115】
開示される処置方法の一態様では、アポトーシスの誘導は、当該技術分野で既知であり、さらに本明細書に開示される方法により検出することができる。一態様では、アポトーシスを受けているか、または処置方法により標的とされている細胞は、本明細書に開示される細胞とすることができる。一態様では、対象は、本明細書に開示の対象とすることができる。
【0116】
一態様では、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートは、逐次的に投与することができる。例えば、第1のコンジュゲートの投与及び第2のコンジュゲートの投与の間に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間の遅延時間が存在し得る。一部の態様では、第1のコンジュゲートの投与及び第2のコンジュゲートの投与の間に、1、2、3、4、5、6、または7日の遅延時間が存在し得る。一態様では、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートは、同時に投与することができる。同時投与は、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートを別々の組成物として同時に投与すること、または第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートを1つの単一の組成物として予備混合することを含むことができる。
【0117】
D.合成
i)標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートの合成
標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを合成するプロセスが本明細書に開示され、プロセスは、標的化部分を得ること、オリゴヌクレオチドを修飾すること、及び標的化部分をオリゴヌクレオチドとコンジュゲートすることを含む。一態様では、標的化部分は、チオエーテル結合を介してオリゴヌクレオチドにコンジュゲートさせることができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、SMCC修飾することができる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、3’-マレイミド基を含有することができる。一態様では、コンジュゲートを合成する開示されるプロセスは、検出可能な標識を導入することを含むことができる。コンジュゲートを合成する開示されるプロセスの一態様では、標的化部分は、開示される標的化部分とすることができる。例えば、標的化部分は、CD20に特異的なFab’フラグメントとすることができる。コンジュゲートを合成する開示されるプロセスの一態様では、オリゴヌクレオチドは、開示されるオリゴヌクレオチドとすることができる。例えば、開示されるオリゴヌクレオチドは、10bp~40bpを含むモルフォリノとすることができる。
【0118】
ii)標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートの合成
標的化部分及びオリゴペプチドを含むコンジュゲートを合成するプロセスが本明細書に開示され、プロセスは、標的化部分を得ること、オリゴペプチドを修飾すること、及び標的化部分をオリゴペプチドとコンジュゲートすることを含む。一部の態様では、標的化部分は、Fab’フラグメントとすることができる。
【0119】
Fab’フラグメントは、F(ab’)2への酵素消化及びFab’への還元及びクロマトグラフィーカラムでの精製により、全抗体から調製することができる。あるいは、Fab’フラグメントは、関連プラスミドを細菌に挿入することによる遺伝子操作により合成することができる。オリゴペプチドは、好ましくは、固相ペプチド合成により合成することができる。オリゴペプチドのアミノ末端に、システインで始まる短いスペーサー(例えば、CYGG)を導入することができる。Fab’の修飾オリゴペプチドとのインキュベーションは、構成成分がチオエーテル結合を介して結合するFab’-オリゴペプチドコンジュゲートをもたらす。
【0120】
iii)アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートの合成
アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを合成するプロセスが、本明細書に開示され、プロセスは、アルブミンを得ること、1つ以上のオリゴヌクレオチドを修飾すること、及びアルブミンを1つ以上のオリゴヌクレオチドとコンジュゲートすることを含む。一態様では、コンジュゲートを合成する開示されるプロセスは、検出可能な標識を導入することを含むことができる。コンジュゲートを合成する開示されるプロセスの一態様では、1つ以上のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の開示されるオリゴヌクレオチドとすることができる。例えば、1つ以上の開示されるオリゴヌクレオチドは、それぞれ10bp~40bpを含むモルフォリノとすることができる。
【0121】
iv)アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含むコンジュゲートの合成
アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含むコンジュゲートを合成するプロセスが本明細書に開示され、プロセスは、アルブミンを得ること、1つ以上のオリゴペプチドを修飾すること、及びアルブミンを1つ以上のオリゴペプチドとコンジュゲートすることを含む。一態様では、コンジュゲートを合成する開示されるプロセスは、検出可能な標識を導入することを含むことができる。コンジュゲートを合成する開示されるプロセスの一態様では、1つ以上のオリゴペプチドは、1つ以上の開示されるオリゴペプチドとすることができる。例えば、1つ以上の開示されるオリゴヌクレオチドは、コイルドコイル形成ペプチドとすることができる。
【0122】
v)標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートならびにアルブミン担体及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを含む組成物の合成
標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを合成するプロセスが本明細書に開示され、プロセスは、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む第1のコンジュゲートを、アルブミンを含む第2のコンジュゲートと、1つ以上のオリゴヌクレオチドで接触させることを含む。一態様では、第1のコンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、第2のコンジュゲートの1つ以上のオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションする。一態様では、開示されるプロセスは、第1のコンジュゲートを生成することを含むことができる。一態様では、開示されるプロセスは、第2のコンジュゲートを生成することを含むことができる。一態様では、開示されるプロセスは、第1のコンジュゲートを生成すること及び第2のコンジュゲートを生成することを含むことができる。一態様では、第1のコンジュゲートは、標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含む開示される任意のコンジュゲートとすることができる。一態様では、第2のコンジュゲートは、アルブミン及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む開示される任意のコンジュゲートとすることができる。例えば、開示されるプロセスの一態様では、標的化部分は、CD20に特異的なFab’フラグメントとすることができ、アルブミンは、天然アルブミン、合成アルブミン、またはアルブミン誘導体とすることができ、オリゴヌクレオチドのそれぞれは、10bp~40bpを含むモルフォリノとすることができ、第1のコンジュゲートのモルフォリノは、第2のコンジュゲートの1つ以上のモルフォリノと相補的である。
【0123】
vi)標的化部分及びオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートならびにアルブミン担体及び1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを含む組成物の合成
標的化部分及びオリゴペプチドを含むコンジュゲートならびにアルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含むコンジュゲートを合成するプロセスが本明細書に開示され、プロセスは、標的化部分及びオリゴペプチドを含む第1のコンジュゲートを、アルブミンを含む第2のコンジュゲートと、1つ以上のオリゴペプチドで接触させることを含む。一態様では、第1のコンジュゲートのオリゴペプチドは、第2のコンジュゲートの1つ以上のオリゴペプチドとハイブリダイゼーションする。一態様では、開示されるプロセスは、第1のコンジュゲートを生成することを含むことができる。一態様では、開示されるプロセスは、第2のコンジュゲートを生成することを含むことができる。一態様では、開示されるプロセスは、第1のコンジュゲートを生成すること及び第2のコンジュゲートを生成することを含むことができる。一態様では、第1のコンジュゲートは、標的化部分及びオリゴペプチドを含む開示される任意のコンジュゲートとすることができる。一態様では、第2のコンジュゲートは、アルブミン及び1つ以上のオリゴペプチドを含む開示される任意のコンジュゲートとすることができる。例えば、開示されるプロセスの一態様では、標的化部分は、CD20に特異的なFab’フラグメントとすることができ、アルブミンは、天然アルブミン、合成アルブミン、またはアルブミン誘導体とすることができ、オリゴペプチドのそれぞれは、コイルドコイル形成ペプチドとすることができ、第1のコンジュゲートのコイルドコイル形成ペプチドは、第2のコンジュゲートの1つ以上のコイルドコイル形成ペプチドに相補的である。
【0124】
開示される方法は、追加のステップ、操作、及び/または構成要素をさらに含むことができると考えられる。1つ以上の任意のステップ、操作、及び/または構成要素は、任意に省略することができると考えられる。開示される方法は、開示される化合物を提供するために使用することができることが理解される。開示される方法の生成物は、開示される使用方法に用いることができることも理解される。
【0125】
E.実施例
次の実施例は、本明細書で特許請求される化合物、組成物、物品、デバイス、及び/または方法がどのように作製され、評価されるかの説明を、当業者らに提示するために記載され、単に本発明の例示とするものであり、発明者らが自らの発明とみなすものの範囲を制限するものではない。しかし、当業者らは、本開示に照らして、開示される具体的な実施形態において多くの変更を行うことができ、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく同様または類似した結果をさらに得ることを理解すべきである。数(例えば、量、温度など)に関して精度を確保するための取り組みがなされているが、いくらかの誤差及び偏差が考慮されるべきである。
【0126】
(1)ナノコンジュゲートの骨格としてのHSA
HSAは、不活性であり、生分解性であり、容易に入手可能であり、腫瘍及び炎症組織により有意に取り込まれるので、多数の薬物送達システムにおいて担体として使用されている。アルブミン含有薬物送達系は、化学的コンジュゲーション、直接遺伝子融合、ナノ粒子封入、及びアルブミンとの非共有結合により調製することができる。FDAが承認したアルブミン製品は、抗糖尿病性融合製品Levemir(登録商標)及びVictoza(登録商標)、パクリタキセルAbraxane(登録商標)のナノ粒子製剤、ならびに診断用製品Nanocoll(登録商標)及びAlbures(登録商標)を含む。他の実験的用途は、HSAのシステイン-34の-SH基を標的とした。HSAは、変性することなく化学的に修飾することができる強力なタンパク質である。
【0127】
いくつかの研究により、Abraxane(登録商標)の作用機序が実証されている。それは、静脈内注入後に急速に溶解して、アルブミンとサイズが類似したパクリタキセル複合体または水溶性ポリマー-薬物コンジュゲートをもたらす。固形腫瘍では、コンジュゲートは、EPR(増強された透過性及び保持力)効果のために浸出し、複合体のさらなる取り込みは、gp60トランスサイトーシス経路及びその後のSPARC(分泌されたタンパク質、酸性、及びシステインに富む)への結合により媒介される。
【0128】
アルブミンは、開示されるナノコンジュゲートに、以下のようないくつかの利点を提供する:i)有効性を改善して必要な用量の数を減少させることができる生体適合性ナノコンジュゲートの血管内半減期が長い;ii)アルブミンは、入手が容易な天然ポリマーである;iii)それは、GMP環境において、アルブミンベースのコンジュゲートの計測可能な合成を有する;iv)処置プロトコールは、効率的なプレターゲティング方策の開発に適した二構成成分系である;及びv)それは、低分子量の細胞傷害性薬物が欠如している。
【0129】
2つの相補的モルフォリノオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションまたはB細胞表面での相補的コイルドコイル形成ペプチドの会合は、CD20受容体の架橋を媒介し、アポトーシスを開始する。1つのオリゴヌクレオチド(MORF1)またはコイルドコイル形成ペプチド(CCE)は、CD20受容体により認識される抗体フラグメント(ナノコンジュゲート1;Fab’-モチーフ1)に結合し;相補的オリゴヌクレオチド(MORF2)またはオリゴペプチド(CCK)は、複数コピー中でヒト血清アルブミンに結合する(ナノコンジュゲート2;HSAモチーフ2)。従って、高分子治療薬における新しいパラダイムは、例えば、2つのナノコンジュゲート、a)Fab’-MORF1+HSA-(MORF2)x;b)Fab’-CCE+HSA-(CCK)xからなる。コンジュゲートの好ましい投与は、逐次的である。第1のコンジュゲート(例えば、Fab’-MORF1)を、静脈内投与する。5時間の時間差の後(これは、SCIDマウスに最適である)、第2のナノコンジュゲートを(静脈内にも)投与することができる。あるいは、ナノコンジュゲートを投与前に予備混合し、1回用量で適用することができる。
【0130】
しかし、提案された2つのステップアプローチ、すなわち、Fab’-MORF1(またはFab’-CCE)、続く、HSA-(MORF2)x(またはHSA-(CCK)y)の逐次的投与は、プレターゲティング[1~4]の機会を提供する。癌の放射免疫療法では、プレターゲティング方策を一般に使用する。目的は、治療モダリティ(例えば、放射性核種)を標的化官能基(例えば、抗体)から分離すること[5]により、望ましい薬物動態学目標を達成することである。長年にわたり、プレターゲティングの概念は、治療送達の拡大[6]及び異なる腫瘍リガンドの全般的な標的化[7]のような方策に拡大及び適用されていている。これらのアプローチは、治療効力を改善すること及び有害な副反応を低減すること[8]を目指す。同様に、薬物不含高分子治療薬の場合、Fab’コンジュゲートは、プレターゲティング薬として使用することができ、次に、多価アルブミンコンジュゲートは、治療的に活性な用量として送達される。プレターゲティング効率を最適化し、個々の患者における最大の腫瘍対組織の蓄積を達成するために、Fab’コンジュゲートの薬物動態及び生体内分布に基づいて、2つの投与間の時間差を調整することができる。本発明者らは近年、マウスにおいてこの概念を証明している。
【0131】
(a)ナノコンジュゲートの合成及び特性決定
(i)1F5抗体由来のFAB’を使用するナノコンジュゲート1A-(FAB’-MORF1)
1F5 Ab由来のFab’フラグメントを使用して、ナノコンジュゲート1Aを調製する:最初に、200nmolのMORF1-NH2(3’-一級アミンを含有する)(GeneTools、オレゴン州フィロマス)を、170μLのDMSO中の0.67mg(2μmol)のスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)(Soltec Ventures、マサチューセッツ州ビバリー)と反応させて、MORF1-mal(3’-マレイミドを含有する)を生成した。反応を、RT(室温)で24時間実施した。生成物を、1.5mLのアセトン中に沈殿させることにより単離し、脱イオン水-アセトン中で2回溶解沈殿させることにより精製し、真空下で乾燥させた。次に、200nmolのMORF1-malを10mMのPBS(pH6.5)200μLに溶解させ、次に、溶液を、2mLのPBS(pH6.5)中で新たに還元したFab’-SH 200nmol(約10mg)と混合した。反応を、4℃で24時間実施した。最後に、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、Fab’1F5-MORF1コンジュゲートを精製して、遊離したコンジュゲートされていないFab’1F5及びMORF1を除去した。PBS(pH7.2)で溶出するSephacryl S-100HR16/60カラム(GE Healthcare)を備えたAKTA FPLCシステム(GE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用した。任意に、Fab’1F5-MORF1は、イメージング研究のために、5~10モル過剰のRhodamine Red(商標)-Xスクシンイミジルエステル(R6010)(Molecular Probes(登録商標)、Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)で標識した。PD-10脱塩カラム(GE Healthcare)を使用して、生成物を精製した。Fab’1F5-MORF1コンジュゲートのFab’1F5当量濃度を決定するために、ビシンコニン酸(BCA)タンパク質アッセイ(Thermo Scientific Pierce、イリノイ州ロックフォード)を使用した。得られた値を、紫外可視分光法(278,000M-1cm-1のモル吸光係数を使用する)から得られたMORF1当量濃度と比較した。このような比較により、1:1化学量論のカップリング反応が確認された。
【0132】
(ii)リツキシマブ由来のFAB’を使用するナノコンジュゲート1B-(FAB’-MORF1)
ナノコンジュゲート1Bを、1Aと同様に調製した。21mgのリツキシマブ溶液に、2.1mgのペプシンを添加した。混合物を、37℃で85分間インキュベートした。F(ab’)2を、Sephacryl 100 60/100カラム(S-100)で分離した後、12mgのF(ab’)2を単離した。MORF1と反応させる直前に、TCEPを用いて、F(ab’)2をFab’に還元した。
【0133】
上記のように、新たに調製されたFab’RTX-SHの3’-マレイミドMORF1との反応により、Fab’RTX-MORF1コンジュゲートを合成した。簡単に言うと、MORF1-mal(162nmol;1.4mg)を、pH6.5のPBS中のFab’RTX-SH(80nmol;4mg)と4℃で20時間反応させた。生成物を、PBSを用いる限外濾過(30kDa)により5回精製した(あるいは、それは、S-100カラムを使用して精製することができる)。標準検量線を使用するBCAアッセイにより、Fab’RTX濃度を決定した。Fab’RTX/MORF1の比は、約1/1である。
【0134】
(iii)1F5抗体由来のFAB’を使用するナノコンジュゲート1C-(FAB’-CCE)
既知の技術を使用して、ナノコンジュゲート1C(Fab’-CCE)コンジュゲートを調製した。1F5のFab’フラグメントを、上記のように調製した。マレイミド-チオール化学を使用するFab’のCCEとのコンジュゲーションにより、Fab’-(CCE)1を得た。使用直前に、F(ab’)2を、5mMのEDTAを含有するPBS(pH7.4)中の10mMのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)を用いて、Fab’に、37℃、暗所で1時間還元した。CCE(Fab’に対して1.5倍過剰)を添加し、カップリング反応を、4℃の暗所で一晩進行させた。次に、PD10カラムを使用して、粗生成物を2回精製した。このカップリング反応は、1:1の化学量論に従う。従って、得られたコンジュゲートを、Fab’-(CCE)1と呼んだ。
【0135】
消化及びコンジュゲーションを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、SDS-PAGE、及びRP-HPLCにより確認した。1F5 Ab、F(ab’)2、Fab’フラグメント、及びFab’-(CCE)lは、それぞれSECカラムに注入され、異なる特性溶出時間を示した。SDS-PAGEは、1F5抗体の良好な消化及びFab’フラグメントのCCEとのコンジュゲーションを実証した。
【0136】
1F5 Ab由来またはリツキシマブ由来のFab’フラグメントを、例として使用した。これは、適用範囲をこれらのAbのみに限定するものではなく;このようオファツムマブ、オビヌツズマブ、及びトシツムマブ(tositumumab)などの多数のAbを使用することができる。
【0137】
(iv)複数コピーのMORF2-HSA-(MORF2)Xでグラフトされたナノコンジュゲート2A-HSA
ナノコンジュゲート2A(HSA-(MORF2)x)を、2ステップで合成した(
図1)。最初に、ヘテロ二官能性架橋剤SM-(PEG)
XのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(スクシンイミジル-[(N-マレイミドプロピオンアミド)-ジエチレングリコール]エステル)との反応により、HSAアミノ基の画分を、マレイミド基に変換した。第2のステップでは、新たに調製したMORF2-SHを、チオエーテル結合を介してHSAに付着させた。例えば、5mgのHSA([NH
2]:778nmol/mgのHSA、1当量)を、400μLのPBS(pH7.5)に溶解させ、150μLのDMSO中の18.3mgのSM-(PEG)
X(43μmol、11当量)と混合した。混合物を、室温で6時間及び4℃で一晩、撹拌した。過剰のSM-(PEG)
Xを、限外濾過により除去した(修正エルマンアッセイにより決定された30,000cu群は、318nmol/mgのHSAであった(41%の変換))。5.7mgのMORF2-SS-Rを、100μLのPBS(pH7.0)に溶解させ、900μLのTCEP溶液(10mM、PBS中pH7.0)に添加し、次に、室温で2.5時間インキュベートした。完成後、過剰のTCEPを限外濾過(3,000カットオフ)で4回除去して、MORF2-SHを得、最終容量は、500μLであった。
【0138】
HSA-mal(2mg;670nmolのmal群、330μLのPBS中、1当量)を、MORF2-SH溶液(670nmol、1当量)と混合させ、室温で2.5時間インキュベートした。完成後、遊離MORF2-SHを、限外濾過(3,000Daカットオフ)で4回除去して、HSA-(MORF2)
xを得、最終容量は、850μLであった。FPLC分析は、遊離HSAがないことを示した。HSA-MORF2(5μL)を、1mLのHCl(0.1M)に溶解させ、264nmでのODは、0.351であった(ε=252,000)。[MORF2]は、278uMであった。HSA-(MORF2)xのHSA濃度を、HSA標準検量線を用いるBCAアッセイで決定した、[HSA]:27.6uM。コンジュゲートの組成は、HSA-(MORF2)
10であった(
図1の合成を参照のこと)。
【0139】
(v)複数コピーのCCK-HSA-(CCK)Xでグラフトされたナノコンジュゲート2B-HSA
ナノコンジュゲート2B(HSA-(CCK)x)は、ナノコンジュゲート2Aと同様に合成することができる。SM-(PEG)2で修飾されたHSAは、HSA上のマレイミド基のCCKペプチドのSH基との反応により、チオエーテル結合を介して、CCKペプチド(CYGG K VSALKEK VSALKEE VSANKEK VSALKEK VSALKE)と反応させることができる。
【0140】
(vi)紫外可視分光法によるハイブリダイゼーションMORF1/MORF2の検出
Varian Cary 400 BioUV-可視分光光度計(Agilent Technologies、カリフォルニア州サンタクララ)を使用して、MORF1-MORF2ハイブリダイゼーションへの減色効果の分析を実施した。最初に、MORF1及びMORF2(またはFab’-MORF1及びHSA-MORF2)を、1mLのPBS、pH=7.4に、2.5μM(MORF当量)の濃度で溶解させ、次に、室温で異なる比で混合した。各溶液混合物中のMORFオリゴ(MORF1+MORF2)の最終濃度は、一定(2.5μM)に保たれた。例えば、2.5μMのMORF1溶液0.75mLを、2.5μMのMORF2溶液0.25mLと混合することにより、75%のMORF1(または25%のMORF2)を含有する混合物を作成した。測定のために、試料を1cm石英キュベットに入れた。(塩基が寄与する)260nmでの光学密度(OD)を記録した。全ての測定を、3連で実施した。Fab’-MORF1及びHSA-(MORF2)
10のin vitroハイブリダイゼーションを、UV-Visで分析した(
図2)。
【0141】
(b)アポトーシスアッセイ
Fab’-MORF1及びHSA-MORF2との同時処置による、ヒトバーキットB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)Raji細胞のin vitroアポトーシス誘導を、2つのアッセイ:アネキシンV/ヨウ化プロピジウム(PI)結合アッセイ、及びカスパーゼ-3活性化アッセイにより評価した。全ての実験では、ヤギ抗マウス(GAM)二次抗体(2°Ab)(KPL、メリーランド州ゲーサーズバーグ)と超架橋した1F5 mAbを、陽性対照として使用した(モル比1F5:GAM=2:1)。未処置細胞(培地中)を、陰性対照として使用した。
【0142】
Fab’RTX-MORF1(またはFab’1F5-MORF1)及びHSA-(MORF2)xとの同時処置による、ヒトバーキットB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)Raji細胞のin vitroアポトーシス誘導を、2つのアッセイ:アネキシンV/ヨウ化プロピジウム(PI)結合アッセイ、及びTUNEL(末端デオキシヌクレオチド媒介dUTPニック端標識)アッセイにより評価した。2つの細胞曝露プロトコールを使用した。逐次的曝露:最初に、細胞を、Fab’RTX-MORF1(またはFab’1F5の-MORF1)コンジュゲートと共にインキュベートした。1時間後、MORF1で装飾した細胞を、HSA-(MORF2)xに24時間曝露した。予備混合された曝露:ナノコンジュゲートFab’RTX-MORF1(またはFab’1F5-MORF1)及びHSA-(MORF2)xを、37℃で混合し、1時間後、Raji細胞を、予め形成された自己集合多価コンジュゲートに24時間曝露した。全ての実験では、リツキシマブ(RTX)またはヤギ抗ヒト(GAH)(Life technologiesTM、メリーランド州)またはヤギ抗マウス(GAM)二次抗体(2°Ab)(KPL、メリーランド州ゲーサーズバーグ)と超架橋された1F5 mAbを、陽性対照として使用した(モル比 RTX:GAH=2:1、1F5:GAM=2:1)。未処置細胞(培地中)を、陰性対照として使用した。各アッセイの手順を、以下に記載する。
【0143】
(i)アネキシンV/PIアッセイ
図3の結果は、HPMAコポリマーコンジュゲート(P-コンジュゲート)と比較した場合、HSAコンジュゲートの高い活性を明らかに示している。HSAコンジュゲート双方の組み合わせ、a)Fab’
1F5-MORF1/HSA-(MORF2)
10(1F5抗体由来のFab’);b)Fab’
rtx-MORF1/HSA-(MORF2)
10(リツキシマブ抗体由来のFab’)は、HPMAコポリマーベースの組み合わせ、Fab’
1F5-MORF1/P-(MORF2)
14及びFab’
1F5-MORF1/P-(MORF2)
11.4(Pは、HPMAコポリマー骨格である)よりも高いアポトーシスレベルを有していた。
【0144】
製造者(Oncogene Research Products、マサチューセッツ州ボストン)により提供されるRAPID(商標)プロトコールに従って、アネキシンV-FITC及びPI染色を実施した。逐次的処置の場合、2×105のRaji細胞を、1μMのFab’
RTX-MORF1(またはFab’1F5-MORF1)を含む0.4mLの新鮮な成長培地に懸濁した。細胞を、37℃の5%CO2を有する加湿雰囲気中で、1時間インキュベートし、次に、PBS+1%ウシ血清アルブミン(BSA)で2回洗浄し、続いて、1μM(MORF2当量)のHSA-(MORF2)xを含有する培地0.4mL中に再懸濁させた。細胞懸濁液を、24時間インキュベートした。予備混合された処置の場合、最初に、1μMのFab’1F5-MORF1(またはFab’RTX-MORF1)を、培地中1μM(MORF2-当量)のHSA-(MORF2)Xと1時間37℃で混合させ、次に、2×105のRaji細胞を、予備混合溶液0.4mL中で懸濁させた。細胞懸濁液を、24時間インキュベートした。陽性対照の場合、細胞を、最初に1時間、培地中1μMの1F5またはRTX mAbと共にインキュベートし、次に、PBS+1%のBSAで2回洗浄し、0.5μMのGAMまたはGAHを含有する新しい成長培地0.4mLに再懸濁させた。細胞を、37℃でさらに24時間インキュベートした。染色前に、細胞を、PBSで2回洗浄した。全ての実験を、3連で実施した。
【0145】
アポトーシス誘導におけるHSA-(MORF2)xの異なる置換度を評価するために、HSA-(MORF2)xコンジュゲートの3つの置換体を、様々な量のMORF2-SHを有する異なるHSA-mal前駆体(mal対HSAの比は、それぞれ20または30である)から合成して、HSA-(MORF2)6.3、HSA-(MORF2)10、及びHSA-(MORF2)14.7を生成した。
【0146】
以前の薬物不含高分子治療系は、2つのハイブリッドコンジュゲートから構成されていた:(1)MORF1に連結された抗CD20のFab’(Fab’
1F5-MORF1、Fab’フラグメントを1F5マウスmAbから得た)、及び、(2)複数コピーのMORF2でグラフトされたHPMA共重合体(P-(MORF2)x)。Fab’
1F5-MORF1/P-(MORF2)xは、良好に機能した。HPMAコポリマー骨格の動的且つ柔軟な性質は、CD20架橋に対する立体配座応答を可能にした。アルブミンは、分子量が66.5kDaである最も豊富な血漿タンパク質である。ヒト血清アルブミンは、薬物標的化のための、且つペプチドまたはタンパク質ベースの薬物の薬物動態プロファイルを改善するための多機能タンパク質担体として増加させる役割を果たしている。ポリマー骨格の柔軟性とは異なり、HSAは、タンパク質折りたたみに起因して、ほぼ3次元形状を有する。CD20架橋及びアポトーシス誘導を、MORF1/MORF2ハイブリダイゼーションにより媒介した。HSA-(MORF2)x及びFab’-MORF1の間のMORF1-MORF2ハイブリダイゼーション効率は、HSAの固有構造により影響を受け得る。重要なことに、Raji細胞をHSAベースの系及びHPMAコポリマーベースの系と共にインキュベートすることにより、達成されたアポトーシスレベルを比較した時、HSAベースの系のアポトーシスレベル(アネキシンV/PIアッセイを使用して決定される)は、かなり高かった(
図3に示す)。
【0147】
アポトーシス誘導におけるHSA-(MORF2)xの有効性を評価するために、Raji細胞のFab’
1F5-MORF1及びHSA-(MORF2)xでの同時処置が最初に該当した。アネキシンV/PIアッセイにより決定されるアポトーシス誘導の結果を
図5に示す。Raji細胞を、ナノコンジュゲートFab’1F5-MORF1及びHSA-(MORF2)xで、予備混合物としてまたは逐次的に同時処置した後に得られたアポトーシス研究により、HSAが、モルフォリノオリゴヌクレオチドのための有効なタンパク質担体として役立つことが示された。MORF2の複数の置換基でグラフトするためにHSAを使用している、得られたHSA-(MORF2)xは、P-MORF2の機能に類似するいくつかの生物学的認識挙動を有する。HSA-(MORF2)xは、同時に起こるCD20架橋を有する細胞表面でMORF1-MORF2ハイブリダイゼーションを介してFab’
1F5-MORF1をライゲーションし、アポトーシスを誘発することができる。置換度反応性傾向は、逐次的処置レジメン及び予備混合処置レジメンの双方で観察された。HSA-(MORF2)xの置換度の影響を、明らかに実証した。HSA-(MORF2)xの置換度の増加は、より高いレベルのアポトーシスをもたらした。全てのコンジュゲートは、陽性対照-1F5/GAMよりも有効であった。
【0148】
(c)ヒトNHLのマウスモデルにおけるin vivo有効性の評価
ハイブリダイゼーション媒介薬物不含高分子治療薬のin vivo治療有効性を、全身に播種されたRaji B細胞を有するSCID(C.B-17)マウスにおいて評価した。この動物モデルは、100%に近い腫瘍の生着率を有し、処置後の後肢麻痺のない生存期間は、抗癌有効性を正確に反映している。
【0149】
約7週齢の雌C.B-17SCIDマウス(Charles River Laboratories、マサチューセッツ州ウィルミントン)に、尾静脈から200μLの生理食塩水中の4×106のRaji-luc細胞を静脈内注射した(0日目)。この動物モデルは、後肢麻痺及びそれに続く動物の死亡をもたらす、脊髄を含む種々の器官におけるリンパ腫細胞の播種、浸潤、及び成長を表す。後肢麻痺の発症は、実験的なエンドポイントであった;加えて、体重減少が20%を超えた時、マウスを死亡させた。麻痺/病気の徴候のない動物は、100日まで飼育し、長期間の生存者とみなした。4群の動物を評価した:PBS:リン酸緩衝生理食塩水を用いる、1、3、及び5日目の3回投与処置(対照;n=4);Fab’RTX-MORF1/HSA-(MORF2)14.7:Fab’RTX-MORF1(58μg/20gマウス;マウス1匹当たり1nmolのFab’当量)及び5時間後のHSA-(MORF2)14.7を用いた逐次的処置、1、3、及び5日目の3投与(12.8μg/20gマウス;マウス1匹当たり1nmolのMORF2;MORF1:MORF2=1:1)(n=5);Fab’1F5-MORF1/HSA-(MORF2)10:Fab’1F5-MORF1及び5時間後のHSA-(MORF2)10を用いた逐次的処置、1、3、及び5日目の3投与(マウス1匹当たり1nMのFab’当量;MORF1:MORF2=1:1)(n=5);オビヌツズマブ:1日目のオビヌツズマブ(75μg/20gマウス)の単回投与。麻痺のないマウスの生存率を、カプラン-マイヤープロットで提示される。各群の長期生存者数を示す。
【0150】
生物発光イメージング
in vivoイメージングを、所定の時間間隔で実施した。マウスを、精密噴霧器からの酸素中2%(v/v)のイソフルランガス(IsoFlo(登録商標)、Abbott Laboratories)で麻酔し、3mgのホタルD-ルシフェリン(Biosynth)を腹腔内注射した。ルシフェリンの注射の15分後、(最大ルシフェラーゼシグナル強度を有する所定の時間間隔)に、マウスを腹臥位でスキャンした。Xenogen IVIS(登録商標)Spectrum(Perkin Elmer)を、露光時間1分、ビニング中、及びfストップ値1で使用した。画像を取得し、Living Image(登録商標)(Perkin Elmer)ソフトウエア環境下で解析した。マウス全体を含むように輪郭を描くことにより、目的の領域(ROI)を選択した。ルシフェラーゼ発光単位を、平均放射輝度(光子/秒/cm2/sr)で定量した。ex vivo分析のために、死亡させる12分前に、マウスに3mgのルシフェリンを注射した。画像化のために、種々の臓器及び組織(心臓、肝臓、脾臓、腎臓、肺、腸、胃、筋肉、脳、脊髄、大腿骨、脛骨、ならびに腸間膜及び鼠径リンパ節)を採取した。取得パラメータは、次の通りであった:露光時間1分、ビニング小、及びf/stop 1。
【0151】
(d)共焦点
紫外可視分光法によるハイブリダイゼーション及び動的光散乱による流体力学的有効径の以前の分析は、Fab-MORF1及びP-MORF2コンジュゲートが、溶液中で混合される時、MORF1-MORF2生物学的認識を介して自己集合したことを示した。Cy5-Fab’
RTX-MORF1及びFITC-HSA-MORF2が、細胞表面上のCD20抗原で、特異的に集合することを実証することが必要である。従って、本発明者らは、CD20発現ヒトNHL Raji B細胞株を使用してin vitroで共焦点顕微鏡試験を行った(
図7)。Raji細胞を、蛍光標識されたコンジュゲート(Cy5-Fab’
RTX-MORF1及びFITC-HSA-MORF2)の双方の予備混合物に曝露すると、B細胞の表面でのCy5及びFITCシグナルのウェル共局在化がもたらされた。逐次的処置では、Raji細胞を、最初に1時間、Cy5-Fab-MORF1に曝露し、次に、FITC-HSA-MORF2で処置した場合、蛍光画像もまた2つのシグナルの共局在化を示した。細胞を蛍光標識コンジュゲートの前に、過剰量のリツキシマブで予めブロックした場合、これら2つのシグナルのいずれも、見出すことができない。細胞表面上に装飾されたCy5-Fab’
RTX-MORF1コンジュゲートを、前もって、FITCシグナルが存在しない正常なMORF2モチーフとハイブリダイゼーションさせた時に、ブロッキング効果も実施した。FITC-HSA-MORF2のみに曝露された細胞は、いかなる蛍光シグナルも示さなかった。これらの顕微鏡の結果は、Fab’
RTX-MORF1及びHSA-MORF2コンジュゲートが、有効なMORF1-MORF2ハイブリダイゼーションを介して、細胞表面上で集合することができることができることを確認した。
参考文献
1. T.-W.Chu,R.Zhang,J.Yang,M.P.Chao,P.Shami,J.Kopecek,A two-step pretargeted nanotherapy for CD20 crosslinking may achieve superior anti-lymphoma efficacy to rituximab.Theranostics 5,834-846(2015).
2. K.Wu,J.Liu,R.N.Johnson,J.Yang,J.Kopecek,Drug-free macromolecular therapeutics:Induction of apoptosis by coiled-coil mediated crosslinking of antigens on cell Surface.Angew.Chem.Int.Ed.49,1451-1455(2010).
3. T.-W.Chu,J.Yang,R.Zhang,M.Sima,J.Kopecek,Cell surface self-assembly of hybrid nanoconjugates via oligonucleotide hybridization induces apoptosis.ACS Nano 8,719-730(2014).
4. T.-W.Chu,K.M.Kosak,P.J.Shami,J.Kopecek,Drug-free macromolecular therapeutics induce apoptosis of patient chronic lymphocytic leukemia cells.Drug Delivery Translational Res.4,389-394(2014).
5. G.Liu,G.Mardirossian,J.He,S.Zhang,X.Liu,M.Rusckowski,D.J.Hnatowich,Successful radiotherapy of tumor in pretargeted mice by 188Re-radiolabeled phosphorodiamidate morpholino oligomer,a synthetic DNA analogue.Clin.Cancer Res.12,4958-4964(2006).
6. J.J.Mulvey,C.H.Villa,M.R.McDevitt,F.E.Escorcia,E.Casey,D.A.Scheinberg,Self-assembly of carbon nanotubes and antibodies on tumours for targeted,amplified delivery.Nat.Nanotechnol.8,763-771(2013).
7. J.Gunn,S.I.Park,O.Veiseh,O.W.Press,M.Zhang,A pretargeted nanoparticle system for tumor cell labeling.Mol.Biosyst.7,742-748(2011).
8. T.-W.Chu,J.Kopecek,Drug-free macromolecular therapeutics-a new paradigm in polymeric nanomedicines.Biomaterials Sci.3,908-922(2015).
9. R.L.Siegel,K.D.Miller,A.Jemal,Cancer statistics,2015.CA Cancer J.Clin.65,5-29(2015).
10. K.R.Shankland,J.O.Armitage,B.W.Hancock,Non-Hodgkin lymphoma.Lancet 380,848-857(2012).
11. J.O.Armitage,D.D.Weisenburger,New approach to classifying non-Hodgkin’s lymphomas: clinical features of the major histologic subtypes.Non-Hodgkin’s lymphoma classification project,J.Clin.Oncol.,16,2780-2795(1998).
12. A.D.Zelenetz,L.I.Gordon,W.G.Wierda,J.S.Abramson,R.H.Advan,C.B.Andreadis,N.Bartlett,J.C.Byrd,M.S.Czuczman,L.E.Fayad,R.I Fisher,M.J.Glenn,N.L.Harris,R.T.Hoppe,S.M.Horwitz,C.R.Kelsey,Y.H.Kim,S.Krivacic,A.S.LaCasce,A.Nademanee,P.Porcu,O.Press,R.Rabinovitch,N.Reddy,E.Reid,A.A.Saad,L.Sokol,L.J.Swinnen,C.Tsien,J.M.Vose,J.Yahalom,N.Zafar,M.Dwyer,H.Sundar,Non-Hodgkin’s lymphomas,version 4.2014.J.Natl.Compr.Cancer Netw.12,1282-1303(2014).
13. D.G.Maloney,A.J.Grillo-Lopez,C.A.White,D.Bodkin,R.J.Schilder,J.A.Neidhart,N.Janakiraman,K.A.Foon,T.M.Liles,B.K.Dallaire,K.Wey,I.Royston,T.Davis,R,Levy,IDEC-C2B8(Rituximab)anti-CD20 monoclonal antibody therapy in patients with relapsed low-grade non-Hodgkin’s lymphoma.Blood 90,2188-2195(1997).
14. D.G.Maloney,Anti-CD20 antibody therapy for B-cell lymphomas,N.Engl.J.Med.366,2008-2016(2012).
15. A.Molina,A decade of rituximab:improving survival outcomes in non-Hodgkin’s lymphoma,Annu Rev.Med.59,237-250(2008).
16. G.Cartron,L.Dacheux,G.Salles,P.Solal-Celigny,P.Bardos,P.Colombat,H.Watier,Therapeutic activity of humanized anti-CD20 monoclonal antibody and polymorphism in IgG Fc receptor FcyRIIIa gene.Blood 99,754-758(2002).
17. M.R.Smith,Rituximab(monoclonal anti-CD20 antibody):mechanisms of action and resistance.Oncogene 22,7359(2003).
18. I.Dransfield,Inhibitory FcyRIIb and CD20 internalization.Blood 123,606-607(2014).
19. T.Pham,P.Mero,J.W.Booth,Dynamics of macrophage trogocytosis of rituximab-coated B cells.PloS One 6,el4498(2011).
20. P.Stashenko,L.M.Nadler,R.Hardy,S.F.Schlossman,Characterization of a human B lymphocyte-specific antigen.J.Immunol.125,1678-1685(1980).
21. K.C.Anderson,M.P.Bates,B.L.Slaughenhoupt,G.S.Pinkus,S.F.Schlossman,L.M.Nader Expression of human B cell-associated antigens on leukemias and lymphomas:a model of human B cell differentiation.Blood 63,1424-1433(1984).
22. O.W.Press,A.G.Farr,K.I.Borroz,S.K.Anderson,P.J.Martin,Endocytosis and degradation of monoclonal antibodies targeting human B-cell malignancies.Cancer Res.49,4906-4912(1989).
23. R.B.Michel,M.J.Mattes,Intracellular accumulation of the anti-CD20 antibody 1F5 in B-lymphoma cells.Clin.Cancer Res.8,2701-2713(2002).
24. J.K.Bubien,L.J.Zhou,P.D.Bell,R.A.Frizzell,T.F.Tedder,Transfection of the CD20 cell surface molecule into ectopic cell types generates a Ca2+ conductance found constitutively in B lymphocytes.J.Cell Biol.121,1121-1132(1993).
25. T.F.Tedder,P.Engel,CD20:a regulator of cell-cycle progression of B lymphocytes,Immunol.Today 15,450-454(1994).
26. E.Janas,R.Priest,R.Malhotra,Functional role of lipid rafts in CD20 activity?Biochem.Soc.Symp.,2005,165-175.
27. B.D.Cheson,J.P.Leonard,Monoclonal antibody therapy for B-cell non-Hodgkin’s lymphoma.N.Engl.J.Med.359,613-626(2008).
28. P.Boross,J.H.W.Leusen,Mechanisms of action of CD20 antibodies.Am.J.Cancer Res.2012,2,676-690(2012).
29. M.Okroj,A.Osterborg,A.M.Blom,Effector mechanisms of anti-CD20 monoclonal antibodies in B cell malignancies.Cancer Treat.Rev.39,632-639(2013).
30. D.Shan,J.A.Ledbetter,O.W.Press,Apoptosis of malignant human B cells by ligation of CD20 with monoclonal antibodies.Blood 91,1644-1652(1998).
31. J.M.Hartley,T.-W.Chu,E.M.Peterson,R.Zhang,J.Yang,J.Harris,J.Kopecek,Super-resolution imaging and quatitative analysis of membrane protein/lipid raft clustering mediated by cell surface self-assembly of hybrid nanoconjugates.ChemBioChem 16,1725-1729(2015).
32. R Zhang,J Yang,T-W Chu,J M Hartley,J Kopecek,Multimodality imaging of coiled-coil mediated self-assembly in a“drug-free”therapeutic system.Adv.Healthc.Mater.4,1054-1065(2015).
33. J.Kopecek,J.Yang,T.-W.Chu T-Compositions and methods for inducing apoptosis.US Patent Application,PCT/US2014/023784,filed:March 11,2014.
34. M.Bern,K.M.Knutsen Sand,J.Nilsen,I.Sandlie,J.T.Andersen,The role of albumin receptors in regulation of albumin homeostasis:Implications for drug delivery.J.Controlled Release 211,144-152(2015).
35. F.Kratz,Albumin as a drug carrier:Design of prodrugs,drug conjugates and nanoparticles.J.Controlled Release 132,171-183(2008).
36. J.T.Andersen,B.Dalhus,D.Viuff,B.T.Ravn,K.S.Gunnarsen,A.Plumridge,K.Bunting,F.Antunes,R.Williamson,S.Athwall,E.Allan,L.Evans,M Bjoras,S.Kjaerulff,D.Sleep.I.Sandlie,J.Cameron,Extending serum half-life of albumin by engineering neonatal Fc receptor(FcRn)binding.J.Biol.Chem.289,13493-13502(2014).
37. A.Sethi,M.Sher,M.R.Akram,S.Karim,S.Khiljee,A.Sajjad,N.H.Shah,G.Murtaza,Albumin as a drug delivery and diagnostic tool and its market approved products.Acta Pol.Pharmaceutics-Drug Res.70,597-600(2013).
38. B.Elsadek,F.Katz,Impact of albumin on drug delivery-New applications on the horizon.J.Controlled Release 157,4-28(2012).
39. N.Desai,V.Trieu,B.Damascelli,P.Soon-Shiong,SPARC expression correlates with tumor response to albumin-bound paclitaxel in head and neck cancer patients.Transl.Oncol.2,59-64(2009).
40. G.Liu,J.He,S.Dou,S.Gupta,J.L.Vanderheyden,M.Rusckowski,D.J.Hnatowich,Pretargeting in tumored mice with radiolabeled morpholino oligomer showing low kidney uptake.Eur.J.Nucl.Med.Mol.Imaging 31,417-424(2004).
41. A.M.Ghetie,J.Richardson,T.Tucker,D.Jones,J.W.Uhr,E.S.Vitetta,Disseminated or localized growth of a human B-cell tumor(Daudi) in SCID mice.Int.J.Cancer 45,481-485(1990).
42. A.M.Ghetie,K.Tucker,J.Richardson,J.W.Uhr,E.S.Vitetta,The Antitumor activity of an anti-CD22 immunotoxin in SCID mice with disseminated Daudi lymphoma is enhanced by either an anti-CD 19 antibody or an anti-CD 19 immunotoxin.Blood 80,2315-2320(1992).
43. G.L.Griffiths,M.J.Mattes,R.Stein,S.V.Govindan,I.D.Horak,H.J.Hansen,D.M.Goldenberg,Cure of SCID mice bearing human B-lymphoma xenografts by an anti-CD74 antibody-anthracycline drug conjugate.Clin.Cancer Res.9,6567-6571(2003).
【配列表】