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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】閉塞装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/02 20060101AFI20220510BHJP
   F16K 3/02 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
F16K51/02 B
F16K3/02 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019520425
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2017074354
(87)【国際公開番号】W WO2018077553
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-09-01
(31)【優先権主張番号】A491/2016
(32)【優先日】2016-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ネッツァー
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-017634(JP,A)
【文献】特開2015-209977(JP,A)
【文献】特表2015-534023(JP,A)
【文献】特開2000-356186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0012894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00-3/36
F16K 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ壁部(3)における開口部(2)のための閉塞装置(1)であって、
少なくとも1つの閉塞部材(4)と、少なくとも1つの閉塞部材支持機構(5)と、少なくとも1つのヨーク(6)と、を備え、前記閉塞部材(4)が前記閉塞部材支持機構(5)を介して前記ヨーク(6)に対して堅固に連結され、
前記ヨーク(6)は、前記閉塞装置(1)の少なくとも1つのシリンダ-ピストン駆動ユニット(7)により、変位可能に前記閉塞装置(1)のハウジング(9)に搭載され、
前記ヨーク(6)が、少なくとも1つのシリンダ-ピストン駆動ユニット(7)のシリンダキャビティ(10)を有していることを特徴とする閉塞装置。
【請求項2】
請求項1に記載の閉塞装置(1)において、
前記ヨーク(6)が、前記閉塞装置(1)の2つの前記シリンダ-ピストン駆動ユニット(7)により、前記閉塞部材支持機構(5)の縦方向(8)に対して平行な方向に変位可能に前記閉塞装置(1)のハウジング(9)に搭載されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の閉塞装置(1)において、
前記ヨーク(6)が、前記閉塞装置(1)の案内要素(12)を案内するための少なくとも1つの案内要素レセプタクル(11)を有していることを特徴とする閉塞装置。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の閉塞装置(1)において、
前記ヨーク(6)が、前記閉塞装置(1)の2つの前記シリンダ-ピストン駆動ユニット(7)の2つの前記シリンダキャビティ(10)を有していることを特徴とする閉塞装置。
【請求項5】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の閉塞装置(1)において、
前記ヨーク(6)が、前記閉塞装置(1)の正確に2つの前記シリンダ-ピストン駆動ユニット(7)の2つの前記シリンダキャビティ(10)を有していることを特徴とする閉塞装置。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の閉塞装置(1)において、
前記ヨーク(6)が、前記閉塞装置(1)の案内要素(12)を案内するための2つの案内要素レセプタクル(11)を有していることを特徴とする閉塞装置。
【請求項7】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の閉塞装置(1)において、
前記ヨーク(6)が、前記閉塞装置(1)の案内要素(12)を案内するための正確に2つの案内要素レセプタクル(11)を有していることを特徴とする閉塞装置。
【請求項8】
請求項4または5に記載の閉塞装置(1)において、
前記シリンダキャビティ(10)が相互に軸線を基準に対称性をもって配置されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項9】
請求項6または7に記載の閉塞装置(1)において、
前記案内要素レセプタクル(11)が相互に対称性をもって配置されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか1項に記載の閉塞装置(1)において、
前記ヨーク(6)が一体品として形成されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項11】
請求項10に記載の閉塞装置(1)において、
前記ヨーク(6)が、鋳造品、射出成形品、またはブロックからの鍛造品として設計されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか1項に記載の閉塞装置(1)において、
前記少なくとも1つのシリンダキャビティ(10)を取り囲む、前記ヨーク(6)の少なくとも1つのシリンダキャビティ壁部(13)および前記閉塞部材支持機構(5)を前記ヨーク(6)に固定するための少なくとも1つの支持機構レセプタクル(14)が、前記ヨーク(6)において相互に固定された空間位置に配置されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項13】
請求項3、6、7、9、10または11に記載の閉塞装置(1)において、
前記少なくとも1つの案内要素レセプタクル(11)および支持機構レセプタクル(14)が、前記ヨーク(6)において相互に固定された空間位置に配置されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか1項に記載の閉塞装置(1)において、
前記シリンダキャビティ(10)が、キャビティ縦軸線(15)を有し、当該キャビティ縦軸線(15)が、前記閉塞部材支持機構(5)の縦方向(8)に対して平行に配置されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項15】
請求項3、6、7、9または13に記載の閉塞装置(1)において、
前記案内要素レセプタクル(11)が、案内要素レセプタクル縦軸線(16)を有し、当該案内要素レセプタクル縦軸線(16)が、前記閉塞部材支持機構(5)の縦方向(8)に対して平行に配置されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか1項に記載の閉塞装置(1)において、
前記閉塞部材(4)が、前記開口部(2)に対して直線的にまたは相互に反対である方向(17)(18)に変位可能に、前記閉塞装置(1)の前記ハウジング(9)に搭載されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項17】
請求項3、6、7、9、10、11または13に記載の閉塞装置(1)において、
前記少なくとも1つの案内要素(12)が、少なくとも部分的に、レールもしくはロッドとして設計されていることを特徴とする閉塞装置。
【請求項18】
請求項3、6、7、9、10、11または13に記載の閉塞装置(1)において、
前記少なくとも1つの案内要素(12)が、前記閉塞部材支持機構(5)の縦方向(8)に対して平行に延在していることを特徴とする閉塞装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバ壁部における開口部のための閉塞装置であって、少なくとも1つの閉塞部材と、少なくとも1つの閉塞部材支持機構と、少なくとも1つのヨークと、を備え、前記閉塞部材が前記閉塞部材支持機構を介して前記ヨークに対して堅固に連結され、前記ヨークは、前記閉塞装置の少なくとも1つのシリンダ-ピストン駆動ユニットにより、前記閉塞部材支持機構の縦方向に対して平行な方向に変位可能に前記閉塞装置のハウジングに搭載されている閉塞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記タイプの閉塞装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開公報WO2015/139818A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、一方では可能な限り安価に製造することができ、他方では閉塞部材が高精度で案内されうる一般的な閉塞装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、前記ヨークが、少なくとも1つのシリンダ-ピストン駆動ユニットのシリンダキャビティおよび/または前記閉塞装置の案内要素を案内するための少なくとも1つの案内要素レセプタクルを有している閉塞装置を提供する。
【0006】
換言すると、本発明の基本概念は、シリンダ-ピストン駆動ユニットのシリンダキャビティおよび/または案内要素レセプタクルがヨークと一体化されることにある。案内要素が案内要素レセプタクルに対して変位可能に搭載されている。本発明によれば、費用対効果の高い設計のため、閉塞装置に必要とされる個々の部品が削減される。さらに、非常にコンパクトな搭載スペースを必要とする小型のユニットが作製されうる。ヨークとの一体化により、シリンダ-ピストン駆動ユニットのシリンダキャビティおよび/または案内要素レセプタクルのヨークへの直接的な連結が実現される。当該直接的な連結のため、非常に小さい公差のみが考慮されれば足り、閉塞部材が高精度に案内されうる。
【0007】
本発明において、少なくとも1つのシリンダキャビティを取り囲む、ヨークの少なくとも1つのシリンダキャビティ壁部と、閉塞部材支持機構をヨークに固定するためのヨークの支持機構レセプタクルとが、ヨークにおいて相互に固定された空間位置に配置されていてもよい。さらに、少なくとも1つの案内要素レセプタクルと支持機構レセプタクルとが、ヨークにおいて相互に固定された空間位置に配置されていてもよい。
【0008】
本発明に係る閉塞装置は、閉塞部材支持機構を1つだけ有していてもよく、本発明に係る閉塞装置は、2つ以上の閉塞部材支持機構を有していてもよい。
【0009】
特に好ましくは、ヨークは一体品として形成されている。これを実現するため、例えば、ヨークは鋳造品または射出成形品、あるいはブロックからの鍛造品または機械加工等による加工品として設計される。ヨークに配置された、シリンダ-ピストン駆動ユニットのシリンダキャビティは少なくとも部分的に筒状である。シリンダキャビティは、両側が しているヨークの貫通路であってもよい。例えば、シリンダキャビティが止まり穴のように形成されている場合、シリンダキャビティは一端部がヨーク自体によって閉じられていてもよい。シリンダキャビティの開口端部を閉塞するため、固定リングなどによって保持されている別個のシリンダ閉塞部材が用いられてもよい。
【0010】
案内要素レセプタクルは、両側で開口しているヨークの貫通路である。これにより、案内要素レセプタクルにより案内され、または、案内要素レセプタクルに対して変位可能に通りつけられている案内要素が、その両端部において閉塞装置のハウジングに固定される。しかしながら、原則的に、案内要素が一端部でのみ固定されている場合、案内要素レセプタクルがヨークの一方側で閉じられている一種の止まり穴として設計されていてもよい。案内要素レセプタクルは、その断面において案内要素の輪郭に適合している。案内要素レセプタクルの筒状に設計されうる。いずれにせよ、案内要素はハウジングに固定されていることが好ましい。案内要素は、それ自体が高硬度であり、少なくとも部分的にロッドまたはレールなどの細長い構成要素であることが好ましい。
【0011】
閉塞部材支持機構、ひいては閉塞部材とヨークとの連結部材もまた、細長く形成されていることが好ましい。好ましい実施形態では、閉塞部材がチャンバ壁部の開口部を少なくとも部分的に、好ましくは完全に開放する開位置から、閉塞部材がチャンバ壁部の開口部を閉塞する閉位置から前後に動かされた場合、ヨーク、さらには閉塞部材支持機構および閉塞部材も閉塞部材支持機構の縦方向に対して平行な方向に移動する。ここで明らかなように、縦方向とは長手方向であり、閉塞部材支持機構の長手延在方向を意味する。また、閉塞部材支持機構は、少なくとも部分的にロッドまたはレールとして形成されることが好ましい。閉塞部材キャリア本体および/または案内要素は湾曲せずに直線状であることが好ましい。
【0012】
ヨークは、両側で閉塞部材支持機構を越えて縦方向に突出していることが好ましい。言い換えると、閉塞部材支持機構の縦方向に対して横断するヨークの延在態様は、横方向における閉塞部材支持機構の幅よりも大きいことが好ましい。
【0013】
原理的には、ヨークが、単一のシリンダキャビティおよび/または単一の案内要素レセプタクルを有していてもよい。好ましい実施形態では、ヨークが、シリンダ-ピストン駆動ユニットの複数のシリンダキャビティおよび/または複数の案内要素レセプタクルを有している。特に好ましい変形例は、ヨークが、閉塞装置の2つのシリンダ-ピストン駆動ユニットの2つのシリンダキャビティおよび/または閉塞装置のそれぞれの案内要素を案内するための2つの案内要素レセプタクルを有している。シリンダキャビティが相互に軸線を基準として対称性を有するように配置され、付加的にまたは代替的に、案内要素レセプタクルが相互に軸線を基準として対称性を有するように配置されていてもよい。当該対称性により、閉塞部材が特に高精度で案内されうる。シリンダキャビティおよび案内要素レセプタクルの対称性の基準軸線は、共通の平面内にあり、好ましくは互いに平行に配置されている。シリンダキャビティは、シリンダ-ピストン駆動ユニットのピストンが圧力によって変位可能に配置されているところのシリンダ-ピストン駆動ユニットのキャビティである。ピストンは、対応するピストンロッドを介して閉塞装置のハウジングに固定されて配置されうる。シリンダキャビティはヨークに対して変位可能に取り付けられている。
【0014】
特に好ましくは、一のシリンダキャビティまたは各シリンダキャビティがキャビティ縦軸線を有し、当該キャビティ縦軸線が、閉塞部材支持機構の縦方向に対して平行に配置されている。案内要素レセプタクルまたは各案内要素レセプタクルが案内要素レセプタクル縦軸線を有し、当該案内要素レセプタクル縦軸線が、閉塞部材支持機構の縦方向と平行に配置されていてもよい。これらが組み合わせられることにより、案内要素レセプタクル縦軸線とキャビティ縦軸線とが互いに平行に配置される。
【0015】
本明細書で使用される「縦軸線」という用語は、これは縦方向の軸線であり、縦方向は長手方向を意味し、したがってそれぞれの構成要素のサイズが最大となる方向を意味する。
【0016】
原則として、本発明に係る閉塞装置は、いわゆるL型バルブとして設計されうる。これは、閉塞部材がその開位置および閉位置の間で2つの相互に傾斜した、好ましくは直交する方向に動かされることを意味する。しかしながら、本発明は、閉塞部材が開口部に対して直線的にかつ2つの互いに反対方向に変位可能に、閉塞装置のハウジングに取り付けられていてもよい。言い換えると、好ましい変形例では、閉塞部材はもっぱら直線的に前後に動かされ、その際、運動方向は常に単一の直線と平行である。
【0017】
本発明に係る閉塞装置の閉塞部材は、原則として様々な形態で設計されてもよい。例えば、閉塞部材が、壁部の比較的小さな開口部を開閉するためのいわゆるニードルクロージャーであってもよい。しかし、閉塞装置の好ましい変形例によれば、チャンバ部壁の平坦な開口部を閉塞するのに適している。したがって、閉塞部材は平坦状に形成されてもよい。閉塞部材は、平坦なプレートもしくは湾曲したプレートまたは対応する形状の閉塞ディスクであってもよい。閉塞部材は、閉位置においてバルブシートに対して封止されてもよい。閉塞部材は、閉位置で開口部を覆う一方で密封していなくてもよい。そのような密封されていない実施形態では、平坦状の閉塞部材は閉塞プレートとも呼ばれる。
【0018】
本発明に係る閉塞装置はバルブとも呼ばれる。特に、本発明に係る閉塞装置は、開口部が閉塞装置によって開閉されるプロセスチャンバにおいて調節される、周囲の圧力よりも低い圧力における運転状態において使用されうる。したがって、本発明に係る閉塞装置は、負圧または真空プロセスにおいて特に好ましく使用される。0.001mbarまたは0.1Pa以下の圧力で運転される場合に「真空」とう用語が使用される。本発明に係る閉塞装置がそのような条件下での使用のために設計されている場合、真空バルブとも呼ばれうる。
【0019】
本発明の好ましい実施例のさらなる特徴および詳細は、概略図に基づいて例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】チャンバ壁部に取り付けられた状態の本発明の実施形態の斜視図。
図2】チャンバ壁部に取り付けられた状態の本発明の実施形態の正面図。
図3図2の切断線A-Aに沿った断面図。
図4図2の切断線X-Xに沿った断面図。
図5】閉塞装置の部品の分解図。
図6】閉塞部材が開位置にある状態の閉塞装置の説明図。
図7図6に示す切断線B-Bに沿った断面図。
図8図6に示す切断線C-Cに沿った断面図。
図9図6に示す切断線D-Dに沿った断面図。
図10】閉塞部材が閉位置にある状態の閉塞装置の説明図。
図11図10の切断線E-Eに沿った断面図。
図12図10の切断線F-Fに沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、チャンバ壁部3に固定され、その閉塞要素4により開口部2を閉塞する本発明に係る閉塞装置1の例示的な実施形態の斜視図が示されている。図2には平面図が示され、図3には図2の切断線A-Aに沿った断面図が示され、図4には図2の切断線X-Xに沿った断面図が示されている。
【0022】
図1図4に示されている閉位置において、閉塞部材4は、チャンバ壁部3の開口部2を完全に覆っている。本実施形態では、閉塞部材4は閉塞プレートであり、閉位置では開口部2を完全に覆っているものの、開口部2を囲むチャンバ壁部3に対して封止されていない。もちろん、閉塞部材4が対応するシールによって開口部2を囲むバルブシートに対して閉位置でシールされてもよい。
【0023】
閉塞部材4を図1図4に示されている閉位置から、それが開口部2を完全にまたは部分的に開放する最大開位置に動かすために、閉塞部材4は本実施形態では開方向18に直線的に動かされる。この動きの間、少なくとも部分的にロッドとして設計されている閉塞部材支持機構5がハウジング9の内部に引き込まれ、それに応じて閉塞部材4を開方向18に連動させる。開口部2を再び閉塞するために、閉塞部材4は、図1図3の閉位置に再び到達するまで、閉方向17、すなわち開方向18と反対の方向に動かされる。本実施形態の閉塞装置1は、開口部2に対して閉塞部材4が、閉塞装置1のハウジング9に対して直線的にかつ2つの相互に反対の方向17および18のそれぞれに変位可能であるように搭載されているタイプの閉塞装置である。
【0024】
閉塞装置1のハウジング9はねじ穴28を有している。図4に示されているように、ハウジング9ひいては閉塞装置1全体が、ねじ21によってチャンバ壁部3にねじ止めされうる。その結果、シールダクト22に配置されたシール(図示略)がチャンバ壁部3に対して押し付けられ、ハウジング9がチャンバ壁部3に対して封止される。図3図8図9図11および図12に明確に示されているハウジング9のセンタリングピン29が、チャンバ壁部3の対応するセンタリング穴30に係合し、これによってハウジング9はチャンバ壁部3に取り付けられると自動的に正しく位置決めされる。
【0025】
図3からわかるように、少なくとも部分的にロッド形状に設計された閉塞部材支持機構5がどのように閉塞部材4をヨーク6に連結している。本実施形態では、閉塞部材4は、この目的のために閉塞部材支持機構5に堅固にねじ止めされている。閉塞部材支持機構5をヨーク6に連結するために、ヨーク6は、搭載時に閉塞部材支持機構5の下端部が挿入される支持機構レセプタクル14を有する。本実施形態では、ヨーク6は、ヨーク6にねじ止めされ、かつ、閉塞部材支持機構5のくぼみ23に結合するねじ21によって支持機構固定部20によって閉塞部材支持機構5に対して固定される。支持機構固定部20は、これにより支持機構レセプタクル14、ひいてはヨーク6に対して固定されている。
【0026】
図5に示されている分解図において、本発明に係る閉塞装置1の、本発明にしたがって設計された一実施形態のヨーク6の構造が明確に示されている。ヨーク6は、2つのシリンダキャビティ10と、2つの案内要素レセプタクル11と、を有している。図7および図11を参照してより詳細に説明されるように、各シリンダキャビティ10はシリンダ-ピストン駆動ユニット7の一部である。ヨーク6のシリンダキャビティ10に加えて配置された案内要素レセプタクル11は、貫通孔として設計されているので、ここを通って、ロッド状の案内要素12が案内されうる。図8および図11に示されている断面図には、ロッド状の案内要素12がねじ21によってハウジング9に固定されていることが明示されている。ヨーク6は、案内要素12の案内要素レセプタクル10に沿って直線的に変位可能に案内される。案内要素12のヨーク6に沿った遊びがない正確な案内は、図8および11に特に明確に示されているように、案内要素レセプタクル11に挿入される案内スリーブ31が設けられている。
【0027】
図5に戻り、本実施形態および他の好ましい実施形態において、ヨーク6は一体品として形成されていることに留意されたい。すでに説明したように、例えば、鋳造品、射出成形品、またはブロックからの鍛造品またはその他の方法で加工されたものであってもよい。
【0028】
ヨーク6にシリンダキャビティ10と案内要素レセプタクル11とを一体化することによって、これらの構成要素は相互に固定された幾何学的位置にあり、本発明に係る閉塞装置1の部品数の低減およびコスト低下をもたらす。その一方、閉塞部材支持機構5、ひいては閉塞部材4の高精度の案内が方向17および18への移動に際して自動的に達成されるという利点がある。この効果は、本実施形態では、支持機構レセプタクル14がヨーク6において直接的に実現されるように改善される。これもまた図5に明らかに示されている。
【0029】
本実施形態では、閉塞部材支持機構5をハウジング9に対して封止する、縦方向8に延在するベローズシール19が設けられている。このベローズシール19は、図3図5図6図8図9図10図11および図12に明確に示されている。
【0030】
図6図8図9および図10図12では、本実施形態の閉塞装置1がチャンバ壁部3から取り外された状態で示されている。図6図8および図9には、閉塞部材4が完全に開口部2を開放し、閉塞部材支持機構5が開方向18、さらにはその縦方向8に平行な方向についてハウジング9の内部に引き込まれている、開位置における閉塞部材4が示されている。図10図11および図12には、閉塞部材4が閉方向17、ひいては縦方向8に平行な方向に延在し、これにより開口部2を完全に覆う閉位置における閉塞部材4が示されている。
【0031】
図7には、図6の切断線B-Bに沿った断面図、したがってここではそれぞれがシリンダキャビティ壁部13により囲まれている2つのシリンダキャビティ10と、案内要素12が案内される2つの案内要素レセプタクル11と、を有する、一体品として設計されたヨーク6の水平断面図が示されている。図7には、ヨーク6の支持機構レセプタクル14において、支持機構固定部20によって閉塞部材支持機構5が固定されている様子が示されている。シリンダキャビティ10の内部に配置され、それぞれのシリンダ-ピストン駆動ユニット7のピストン26の断面図がそれぞれのシリンダキャビティ10において確認できる。図7において、ここでは2つのシリンダキャビティ10および2つの案内要素レセプタクル11が軸線を基準とする対称性を有するように配置されていることが確認できる。
【0032】
気圧式または液圧式に構成され、閉方向17および開方向18について、閉塞部材支持機構5および閉塞部材4と共にヨーク6の移動を可能にするシリンダ-ピストン駆動ユニット7は、図8および図11の断面図に特に明確に示されている。当該断面図において、本実施形態ではヨーク6に一体化されたシリンダキャビティ10は、円柱形状の貫通孔または貫通路として形成されている。各シリンダキャビティ10の上端部および下端部を閉塞するため、本実施形態ではシリンダ閉塞部材27が設けられており、シリンダ閉塞部材27はそれぞれの固定リング24によって所定の位置に固定されている。ピストンロッド25は、下部のシリンダ閉塞部材27によって案内される。ピストンロッド25は、一端部において、ねじ21によってハウジング9に固定されている。ピストンロッド25は、他端部において、シリンダキャビティ10の内部に配置されたピストン26を担持する。ピストンロッド25がハウジング9に取り付けられることによって、ピストン26は、本実施形態ではハウジング9に固定して取り付けられる。ピストン26とシリンダ閉塞部材27との間に残るシリンダキャビティ10の動作キャビティの差圧が、それ自体既知の方法で、液体または気体の圧力媒体、例えば、油または空気により生じる。圧力媒体の流入ラインおよび流出ラインならびにバルブは図示されていないが、それ自体公知の先行技術と同様に実施されうる。ハウジング9に対してピストンが堅固に固定されているため、適切な加圧によってヨーク6、ひいては閉塞部材4が閉方向17および開方向18、ひいては縦方向8に平行な方向に移動する。
【0033】
図示された例示的な実施形態では、シリンダキャビティ10のキャビティ縦軸線15は、閉塞部材支持機構5の縦方向8と平行に整列している。同じことが案内要素レセプタクル11の案内要素レセプタクル縦軸線16にも当てはまる。したがって、本実施形態では、閉方向17、開方向18、縦方向8、キャビティ縦軸線15、さらには案内要素レセプタクル縦軸線16はすべて互いに平行である。
【符号の説明】
【0034】
1‥閉塞装置、2‥開口部、3‥チャンバ壁部、4‥閉塞部材、5‥閉塞部材支持機構、6‥ヨーク、7‥シリンダ-ピストン駆動ユニット、8‥縦方向、9‥ハウジング、10‥シリンダキャビティ、11‥案内要素レセプタクル、12‥案内要素、13‥シリンダキャビティ壁部、14‥支持機構レセプタクル、15‥キャビティ縦軸線、16‥案内要素レセプタクル縦軸線、17‥閉方向、18‥開方向、19‥ベローズシール、20‥支持機構固定部、21‥ネジ、22‥シールダクト、23‥くぼみ、24‥固定リング、25‥ピストンロッド、26‥ピストン、27‥シリンダ閉塞部材、28‥ネジ穴、29‥センタリングピン、30‥センタリング穴、31‥案内スリーブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12