(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】高強度7xxxシリーズアルミニウム合金およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
C22F 1/053 20060101AFI20220510BHJP
C22C 21/10 20060101ALI20220510BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
C22F1/053
C22C21/10
C22F1/00 602
C22F1/00 613
C22F1/00 623
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 631Z
C22F1/00 673
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 684A
C22F1/00 691A
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 692A
C22F1/00 694A
C22F1/00 694B
(21)【出願番号】P 2019520567
(86)(22)【出願日】2017-09-27
(86)【国際出願番号】 US2017053737
(87)【国際公開番号】W WO2018080708
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2019-04-16
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-24
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100088801
【氏名又は名称】山本 宗雄
(72)【発明者】
【氏名】ミラン・フェルバーバウム
(72)【発明者】
【氏名】サゾル・クマール・ダス
(72)【発明者】
【氏名】デュエイン・イー・ベンジンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ラジーブ・ジー・カマット
(72)【発明者】
【氏名】テューダー・ピロティーラ
(72)【発明者】
【氏名】ラジャセカル・タラ
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】本多 仁
【審判官】井上 猛
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-252573(JP,A)
【文献】特開2016-160515(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0011438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C21/00-21/18
C22F 1/04- 1/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金製品の製造方法であって、
アルミニウム合金を連続鋳造してスラブを形成することであって、前記アルミニウム合金が、
0.06~0.30重量%のSi、
0.10~0.33重量%のFe、
1.0~1.5重量%のCu、0.01~
0.12重量%のMn、
2.0~3.0重量%のMg、0.02~0.2重量%のCr、
4.0~10.0重量%のZn、0.015~
0.10重量%のTi、0.001~
0.20重量%のZr、最大で0.15重量%の不純物、および各不純物は0.05重量%以下を含み、残りがAlであることと、
前記スラブを連続的に鋳造する連続鋳造機から出るときに、前記スラブを冷却することと、
前記スラブを加熱することと、
前記スラブを最終ゲージより前に冷間圧延することなく、前記スラブを前記最終ゲージに熱間圧延することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記アルミニウム合金が、0.07~0.13重量%のSi、0.16~0.22重量%のFe、1.3~
1.5重量%のCu、0.01~0.08重量%のMn、2.3~2.65重量%のMg、0.02~0.2重量%のCr、5.0~10.0重量%のZn、0.015~0.04重量%のTi、0.001~0.15重量%のZr、最大で0.15重量%の不純物、および各不純物は0.05重量%以下を含み、残りがAlである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷却ステップが、前記スラブを水で焼き入れすることを含む、請求項1
に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却ステップが、前記スラブを空冷することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記連続的に鋳造されたスラブが、前記スラブの前記熱間圧延ステップの前に巻き取られる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スラブを前記最終ゲージに熱間圧延する前に、前記スラブを中間コイルに巻き取ることと、
前記スラブを前記最終ゲージに熱間圧延する前に、前記中間コイルを予熱することと、
前記スラブを前記最終ゲージに熱間圧延する前に、前記中間コイルを均質化することと、をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記最終ゲージの前記アルミニウム合金製品を溶体化することと、
前記最終ゲージの前記アルミニウム合金製品を焼き入れすることと、
前記最終ゲージの前記アルミニウム合金製品を時効させることと、をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記スラブに、前記連続鋳造の後にかつ前記熱間圧延の前に、8.0mmを超える長さを有する割れがない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
アルミニウム合金
製品の製造方法であって、
アルミニウム合金を
連続鋳造してスラブを形成することであって、前記アルミニウム合金が、
0.06~0.30重量%のSi、
0.10~0.33重量%のFe、
1.0~1.5重量%のCu、0.01~
0.12重量%のMn、
2.0~3.0重量%のMg、0.02~0.2重量%のCr、
4.0~10.0重量%のZn、0.015~
0.10重量%のTi、0.001~
0.20重量%のZr、最大で0.15重量%の不純物、および各不純物は0.05重量%以下を含み、残りがAlであることと、
前記スラブを連続的に鋳造する連続鋳造機から出るときに、前記スラブを冷却することと、
前記スラブを加熱することと、
前記スラブを最終ゲージおよび最終調質度に熱間圧延することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記アルミニウム合金が、0.07~0.13重量%のSi、0.16~0.22重量%のFe、1.3~
1.5重量%のCu、0.01~0.08重量%のMn、2.3~2.65重量%のMg、0.02~0.2重量%のCr、5.0~10.0重量%のZn、0.015~0.04重量%のTi、0.001~0.15重量%のZr、最大で0.15重量%の不純物、および各不純物は0.05重量%以下を含み、残りがAlである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記スラブに、前記連続鋳造の
後にかつ前記熱間圧延の前に、8.0mmを超える長さを有する割れがない、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
冷間圧延ステップが実施されない、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月27日に出願され、「HIGH STRENGTH 7xxx SERIES ALUMINUM ALLOY AND METHODS OF MAKING THE SAME」と題される米国仮特許出願第62/413,764号、2017年7月6日に出願され、「SYSTEMS AND METHODS FOR MAKING ALUMINUM ALLOY PLATES」と題される同第62/529,028号、2016年10月27日に出願され、「DECOUPLED CONTINUOUS CASTING AND ROLLING LINE」と題される同第62/413,591号、および2017年5月14日に出願され、「DECOUPLED CONTINUOUS CASTING AND ROLLING LINE」と題される同第62/505,944号の利益を主張し、これら全ての内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
さらに、本出願は、2017年9月27日に出願され、「METAL CASTING AND ROLLING LINE」と題される、Milan Felberbaumらによる米国仮特許出願第15/717,361号に関連し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、材料科学、材料化学、金属製造、アルミニウム合金、およびアルミニウム製造の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
アルミニウム(Al)合金は、自動車用途、輸送用途、工業用途、または電子機器関連用途などの複数の用途において、鋼鉄および他の金属を代替することが多くなってきている。いくつかの用途では、かかる合金は、高強度、高成形性、耐食性、および/または軽量を呈する必要があり得る。しかしながら、従来の方法および組成は、確立された方法によって製造される場合、異なる用途に要求される必要な要件、仕様、および/または性能を達成することができないので、上述の特性を有する合金を製造することは困難である。例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、および亜鉛(Zn)を含む、高い溶質含有量を有するアルミニウム合金は、鋳造されるときに割れを生じ得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の網羅された実施形態は、この概要ではなく、特許請求の範囲によって定義される。この概要は、本発明の様々な態様の高レベルの概説であり、以下の詳細な説明の項でさらに説明される概念のいくつかを紹介している。この概要は、特許請求された主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、明細書全体、任意のまたは全ての図面、および各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本明細書において、合金を作製および処理する方法と共に、高強度および高成形性を呈し、鋳造中および/または鋳造後に割れを呈さないアルミニウム合金が提供される。これらの合金は、ほんの数例を挙げると、自動車、輸送機関、航空宇宙、工業、および電子機器の用途に使用され得る。
【0007】
いくつかの例では、アルミニウム合金製品を製造する方法は、アルミニウム合金を連続的に鋳造してスラブを形成することであって、アルミニウム合金が、約0.03~1.2重量%のSi、0.06~1.5重量%のFe、0.04~6.0重量%のCu、0.005~0.9重量%のMn、0.7~8.7重量%のMg、0~0.3重量%のCr、1.7~18.3重量%のZn、0.005~0.6重量%のTi、0.001~0.4重量%のZr、および最大で0.15重量%までの不純物を含み、残りがAlである、形成することと、最終ゲージより前にスラブを冷間圧延することなく、スラブを最終ゲージに熱間圧延することと、を含む。いくつかの場合には、アルミニウム合金は、約0.06~0.35重量%のSi、0.12~0.45重量%のFe、1.0~3.0重量%のCu、0.01~0.25重量%のMn、1.5~5.0重量%のMg、0.01~0.25重量%のCr、3.5~15.5重量%のZn、0.01~0.15重量%のTi、0.001~0.18重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの例では、アルミニウム合金は、約0.07~0.13重量%のSi、0.16~0.22重量%のFe、1.3~2.0重量%のCu、0.01~0.08重量%のMn、2.3~2.65重量%のMg、0.02~0.2重量%のCr、5.0~10.0重量%のZn、0.015~0.04重量%のTi、0.001~0.15重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの場合には、方法は、スラブを連続的に鋳造する連続鋳造機から出るときに、スラブを冷却することをさらに含む。冷却ステップは、スラブを水で焼き入れすることまたはスラブを空冷することを含み得る。任意選択で、連続的に鋳造されたスラブは、スラブを熱間圧延ステップの前に巻き取られる。いくつかの例では、方法は、スラブを最終ゲージに熱間圧延する前に、スラブを中間コイルに巻き取ることと、スラブを最終ゲージに熱間圧延する前に、中間コイルを予熱することと、スラブを最終ゲージに熱間圧延する前に、中間コイルを均質化することと、をさらに含み得る。任意選択で、方法は、最終ゲージのアルミニウム合金製品を溶体化することと、最終ゲージのアルミニウム合金製品を焼き入れすることと、最終ゲージのアルミニウム合金製品を時効させることと、をさらに含む。いくつかの場合には、冷間圧延ステップは実施されない。いくつかの例では、スラブは、連続的な鋳造の後にかつ熱間圧延の前に、約8.0mmを超える長さを有する割れがない。
【0008】
いくつかの例では、アルミニウム合金製品を製造する方法は、アルミニウム合金を連続的に鋳造してスラブを形成することであって、アルミニウム合金が、約0.03~1.2重量%のSi、0.06~1.5重量%のFe、0.04~6.0重量%のCu、0.005~0.9重量%のMn、0.7~8.7重量%のMg、0~0.3重量%のCr、1.7~18.3重量%のZn、0.005~0.6重量%Ti、0.001~0.4重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである、形成することと、スラブを最終ゲージおよび最終調質度に熱間圧延することと、を含む。いくつかの場合には、アルミニウム合金は、約0.06~0.35重量%のSi、0.12~0.45重量%のFe、1.0~3.0重量%のCu、0.01~0.25重量%のMn、1.5~5.0重量%のMg、0.01%~0.25重量%のCr、3.5~15.5重量%のZn、0.01~0.15重量%のTi、0.001~0.18重量%のZr、および最大で0.15重量%の不純物を含み、残りがAlである。いくつかの例では、アルミニウム合金は、約0.07~0.13重量%のSi、0.16~0.22重量%のFe、1.3~2.0重量%のCu、0.01~0.08重量%のMn、2.3~2.65重量%のMg、0.02~0.2重量%のCr、5.0~10.0重量%のZn、0.015~0.04重量%のTi、0.001~0.15重量%のZr、および最大で0.15重量%までの不純物を含み、残りがAlである。いくつかの場合には、鋳造されたスラブは、鋳造中および/または鋳造後に割れを呈さない。いくつかの場合には、スラブは、連続的鋳造ステップの後にかつ熱間圧延ステップの前に、約8.0mmを超える長さを有する割れがない。任意選択で、冷間圧延ステップは実施されない。
【0009】
本明細書において、本明細書に記載の方法に従って調製されたアルミニウム合金製品もまた提供される。アルミニウム合金製品は、アルミニウム合金シート、アルミニウム合金プレート、またはアルミニウム合金シェートであり得る。アルミニウム合金製品は、T6調質度にあるときに、少なくとも560MPaの長い横断引張降伏強度を含み得る。任意選択で、アルミニウム合金製品は、T6調質度にあるときに、約80°~約120°の曲げ角度を含み得る。任意選択で、アルミニウム合金製品は、T4調質度にあるときに、かつ塗料焼き付けの後に、約500MPa~約650MPaの降伏強度を含み得る。アルミニウム合金製品は、任意選択で、自動車車体部品、動力車両部品、輸送機関本体部品、航空宇宙機体部品、または電子機器ハウジングであり得る。
【0010】
本発明の他の目的および利点は、本発明の実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書に記載の異なる合金についての3つの異なる処理経路を示すプロセスフロー図である。右の処理経路は冷間圧延ステップを含まないが、中央および左の比較処理経路は冷間圧延ステップを含む。
【
図2】例示経路(鋳造後に水焼き入れされ、ゲージに熱間圧延され、「HRTG-WQ」と呼ばれる、
図1の右の経路を参照)、および比較処理経路(熱間圧延され、水焼き入れされ、冷間圧延され、「HR-WQ-CR」と呼ばれる経路、および熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、「HR-CC-CR」と呼ばれる経路)によって処理された例示合金(連続的に鋳造され、連続鋳造機を出るときに水焼き入れされ、「A-WQ」と呼ばれる)の降伏強度(ヒストグラム)および曲げ角度(三角形)を示すグラフである。測定は、圧延方向に対して長い横方向の方向で行われた。
【
図3】本明細書に記載の合金を様々な時効技術の後に試験した引張特性を示すグラフである。合金は、T6調質度条件への時効(「T6」と呼ばれる)の後に、かつ追加の塗料焼き付けシミュレーション熱処理(「T6+PB」と呼ばれる)の後に試験された。各組の左のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の降伏強度(「YS」)を表す。各組の右のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の極限引張強度(「UTS」)を表す。伸びは円で表される。各々の上の菱形は、異なる作製方法に従って作製された合金の全伸び(「TE」)を表し、各々の下の円は、異なる作製方法に従って作製された合金の均一伸び(「UE」)を表す。「HOMO-HR-CR」は、均質化され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「HTR-HR-CR」は、予熱され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「WQ-HOMO-HR-CR」は、鋳造出口で水焼き入れされ、均質化され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「HOMO-HRTG」は、均質化され、最終ゲージに熱間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。
【
図4】
図1に記載の経路によって処理された合金の曲げ角度を示すグラフである。合金試料は、T6調質度条件への時効(「T6」と呼ばれる)の後に、かつ追加の塗料焼き付けシミュレーション熱処理(「T6+PB」と呼ばれる)の後に試験された。「HOMO-HR-CR」は、均質化され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「HTR-HR-CR」は、予熱され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「WQ-HOMO-HR-CR」は、鋳造出口で水焼き入れされ、均質化され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「HOMO-HRTG」は、均質化され、最終ゲージに熱間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。
【
図5】
図1の左の経路によって処理された合金の結晶粒構造のデジタル画像である。鋳放しされた合金(連続的に鋳造され、連続鋳造機を出るときに空冷され、本明細書では「A-AC」と呼ばれる)は、均質化され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そしてT6調質度特性を達成するように時効された(「HOMO-HR-CR」)。
【
図6】
図1の中央の経路によって処理された合金の結晶粒構造のデジタル画像である。連続的に鋳造された合金(A-AC)は、予熱され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そしてT6調質度特性を達成するように時効された(「HTR-HR-CR」)。
【
図7】
図1の左の経路によって処理された合金の結晶粒構造のデジタル画像である。連続的に鋳造された合金(A-WQ)は、鋳造出口で水焼き入れされ、均質化され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そしてT6調質度特性を達成するように時効された(「WQ-HOMO-HR-CR」)。
【
図8】
図1の右の経路によって処理された例示合金の結晶粒構造のデジタル画像である。連続的に鋳造された合金(A-AC)は、予熱され、最終ゲージに熱間圧延され、溶体化され、T6調質度特性を達成するように時効された(ゲージに熱間圧延された、「HRTG」)。
【
図9】本明細書に開示されている2つの合金(A-ACおよびA-WQ)の引張特性を、2つの比較合金(BおよびC)の引張特性と比較して示すグラフである。各組の左のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の降伏強度(「YS」)を表す。各組の右のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の極限引張強度(「UTS」)を表す。各々の上の菱形は、異なる作製方法に従って作製された合金の全伸び(「TE」)を表し、各々の下の円は、異なる作製方法に従って作製された合金の均一伸び(「UE」)を表す。
【
図10】本明細書に開示されている2つの合金(A-ACおよびA-WQ)の曲げ角度を、2つの比較合金(BおよびC)の曲げ角度と比較して示すグラフである。「HOMO-HR-CR」は、均質化され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「HTR-HR-CR」は、予熱され、熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「HOMO-HRTG」は、均質化され、最終ゲージに熱間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。「HOMO_HR_CR」は、均質化され、熱間圧延され、冷間圧延され、溶体化され、そして時効された合金を指す。
【
図11】例示経路(HRTG-WQ、
図1の右の経路を参照)および比較処理経路(熱間圧延され、水焼き入れされ、冷間圧延される「HR-WQ-CR」、および熱間圧延され、巻き取られ、冷却され、冷間圧延される「HR-CC-CR」)で処理された例示合金(CC-WQ)の引張特性のグラフである。各組の左のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の降伏強度(「YS」)を表す。各組の右のヒストグラムバーは、異なる作製方法に従って作製された合金の極限引張強度(「UTS」)を表す。各々の上の菱形は、異なる作製方法に従って作製された合金の全伸び(「TE」)を表し、各々の下の円は、異なる作製方法に従って作製された合金の均一伸び(「UE」)を表す。
【
図12】本明細書に記載されている例示合金および比較合金の結晶粒構造のデジタル画像である。上列(「CC」)は、連続的な鋳造(As-cast)の後と、均質化(Homogenized)の後と、熱間圧延(Reroll)の後と、最終ゲージへの圧延(Final-gauge)の後と、を含む、処理経路の4つのステップの完了後の例示合金(A-AC)の結晶粒構造を示す。下列(「DC」)は、処理経路の同じ点からの比較直接チル鋳造合金(C)の結晶粒構造を示す。
【
図13】本明細書に記載されている例示および比較合金の粒子含有量のデジタル画像を示す。上列(「CC」)は、連続的な鋳造の後(As-cast)と、均質化の後(Homogenized)と、熱間圧延の後(Reroll)と、最終ゲージへの圧延の後(Final-gauge)と、を含む、処理経路の4つのステップの完了後の例示合金(A-AC)の粒子含有量を示す。下列(「DC」)は、処理経路の同じ点からの比較直接チル鋳造合金(C)の粒子含有量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、高強度および高成形性を呈する7xxxシリーズアルミニウム合金が説明される。いくつかの場合には、7xxxシリーズアルミニウム合金は、溶質の含有量の多さに起因して、従来の鋳造プロセスを使用して鋳造することは困難であり得る。本明細書に記載の方法は、目視検査によって判定されるように、鋳造中および/または鋳造後に割れのない(例えば、直接チル鋳造インゴットよりも本明細書に記載の方法に従って調製されたスラブにおいて平方メートル当たりの割れが少ない)、薄いスラブ(例えば、約5mm~約50mmの厚さを有するアルミニウム合金本体)中の本明細書に記載の7xxx合金の鋳造を可能にし得る。いくつかの例では、7xxxシリーズアルミニウム合金は、本明細書に記載のような方法に従って連続的に鋳造され得る。いくつかのさらなる例では、鋳造機から出るときに水焼き入れステップを含めることによって、溶質は、マトリックスから析出するのではなく、マトリックス中で凍結することができる。いくつかの場合には、溶質の凍結は、下流処理における析出物の粗大化を防ぐことができる。
【0013】
定義および説明
この文書で使用される「発明」、「その発明」、「この発明」および「本発明」という用語は、本特許出願および以下の特許請求の範囲の主題の全てを広く参照することが意図されている。これらの用語を含む言明は、本明細書に記載された主題を限定するものではなく、または以下の特許請求の範囲の意味もしくは範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0014】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」または「その(the)」の意味は、文脈上他に明確に指示されない限り、単数および複数の言及を含む。
【0015】
本明細書で使用される場合、「金属」の意味は、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、純粋な金属、合金および金属固溶体を含む。
【0016】
本明細書では、AA番号によって識別される合金、および「シリーズ」または「7xxx」などの他の関連する記号表示が参照される。アルミニウムおよびその合金の命名および特定に最も一般的に使用される番号記号表示システムの理解に関しては、両方ともThe Aluminum Associationによって出版されている、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」を参照されたい。
【0017】
本出願では、合金の調質または状態について言及する。最も一般的に使用される合金調質度の説明の理解に関しては、「American National Standards(ANSI)H35 on Alloy and Temper Designation Systems」を参照されたい。F条件または調質度は、製造されたままのアルミニウム合金を指す。O状態または調質は、アニーリング後のアルミニウム合金を指す。T1条件または調質度とは、熱間加工から冷却し、自然時効させた(例えば、室温で)アルミニウム合金を指す。T2条件または調質度とは、熱間加工から冷却し、冷間加工し、自然時効させたアルミニウム合金を指す。T3条件または調質度とは、溶体化熱処理(すなわち、溶体化)、冷間加工、および自然時効の後のアルミニウム合金を指す。T4条件または調質度とは、溶体化熱処理およびそれに続く自然時効の後のアルミニウム合金を指す。T5条件または調質度とは、熱間加工から冷却し、人工時効させたアルミニウム合金を指す。T6条件または調質度とは、溶体化熱処理およびそれに続く人工時効(AA)の後のアルミニウム合金を指す。T7条件または調質度とは、溶体化熱処理およびその後の人工過時効の後のアルミニウム合金を指す。T8x条件または調質度は、溶体化熱処理、それに続く冷間加工、およびその後の人工過時効の後のアルミニウム合金を指す。T9条件または調質度は、溶体化熱処理、それに続く人工時効、およびその後の冷間加工の後のアルミニウム合金を指す。W条件または調質度とは、溶体化熱処理後に室温で時効させたアルミニウム合金を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、プレートは、一般に、約15mmを超える厚さを有する。例えば、プレートは、15mmを超えるか、20mmを超えるか、25mmを超えるか、30mmを超えるか、35mmを超えるか、40mmを超えるか、45mmを超えるか、50mmを超えるか、または100mmを超える厚さを有するアルミニウム製品を指してもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、シェート(シートプレートとも称される)は、概して、約4mm~約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、または15mmの厚さを有し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、シートは、概して、約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製品を指す。例えば、シートは、4mm未満、3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満、または0.1mmの厚さを有し得る。
【0021】
本明細書で開示されるすべての範囲は、その中に含まれる任意およびすべての部分範囲を包含すると理解される。例えば、「1~10」と記載された範囲は、最小値1と最大値10との間の(およびそれらを含む)任意およびすべての部分範囲、すなわち、1の最小値またはそれ以上、例えば、1~6.1で始まり、10の最大値またはそれ以下、例えば、5.5~10で終わるすべての部分範囲を含むと考慮されるべきである。
【0022】
以下の例では、アルミニウム合金は、それらの元素組成に関して、全体の重量百分率(重量%)で記載されている。各合金において、残りはアルミニウムであり、不純物の合計に関する最大重量%は0.15重量%である。
【0023】
合金の組成
本明細書に記載の合金は、アルミニウム含有7xxxシリーズ合金である。合金は、予想外に高強度および高成形性を呈する。いくつかの場合には、合金の元素組成によって合金の特性が達成され得る。合金は、表1に提供されるように、以下の元素組成を有し得る。
【表1】
【0024】
いくつかの例では、合金は、表2に提供されるような元素組成を有し得る。
【表2】
【0025】
いくつかの例では、合金は、表3に提供されるような元素組成を有し得る。
【表3】
【0026】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約0.03重量%~約1.20重量%(例えば、約0.06重量%~約0.35重量%または約0.07重量%~約0.13重量%)の量のケイ素(Si)を含む。例えば、合金は、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.10重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.20重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.30重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.40重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.50重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、0.57重量%、0.58重量%、0.59重量%、0.60重量%、0.61重量%、0.62重量%、0.63重量%、0.64重量%、0.65重量%、0.66重量%、0.67重量%、0.68重量%、0.69重量%、0.70重量%、0.71重量%、0.72重量%、0.73重量%、0.74重量%、0.75重量%、0.76重量%、0.77重量%、0.78重量%、0.79重量%、0.80重量%、0.81重量%、0.82重量%、0.83重量%、0.84重量%、0.85重量%、0.86重量%、0.87重量%、0.88重量%、0.89重量%、0.90重量%、0.91重量%、0.92重量%、0.93重量%、0.94重量%、0.95重量%、0.96重量%、0.97重量%、0.98重量%、0.99重量%、1.00重量%、1.01重量%、1.02重量%、1.03重量%、1.04重量%、1.05重量%、1.06重量%、1.07重量%、1.08重量%、1.09重量%、1.10重量%、1.11重量%、1.12重量%、1.13重量%、1.14重量%、1.15重量%、1.16重量%、1.17重量%、1.18重量%、1.19重量%、または1.20重量%のSiを含み得る。
【0027】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金はまた、合金の全重量に基づいて、約0.06重量%~約1.50重量%(例えば、約0.12重量%~約0.45重量%または約0.16重量%~約0.22重量%)の量の鉄(Fe)を含む。例えば、合金は、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.10重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.20重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.30重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.40重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.50重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、0.57重量%、0.58重量%、0.59重量%、0.60重量%、0.61重量%、0.62重量%、0.63重量%、0.64重量%、0.65重量%、0.66重量%、0.67重量%、0.68重量%、0.69重量%、0.70重量%、0.71重量%、0.72重量%、0.73重量%、0.74重量%、0.75重量%、0.76重量%、0.77重量%、0.78重量%、0.79重量%、0.80重量%、0.81重量%、0.82重量%、0.83重量%、0.84重量%、0.85重量%、0.86重量%、0.87重量%、0.88重量%、0.89重量%、0.90重量%、0.91重量%、0.92重量%、0.93重量%、0.94重量%、0.95重量%、0.96重量%、0.97重量%、0.98重量%、0.99重量%、1.00重量%、1.01重量%、1.02重量%、1.03重量%、1.04重量%、1.05重量%、1.06重量%、1.07重量%、1.08重量%、1.09重量%、1.10重量%、1.11重量%、1.12重量%、1.13重量%、1.14重量%、1.15重量%、1.16重量%、1.17重量%、1.18重量%、1.19重量%、1.20重量%、1.21重量%、1.22重量%、1.23重量%、1.24重量%、1.25重量%、1.26重量%、1.27重量%、1.28重量%、1.29重量%、1.30重量%、1.31重量%、1.32重量%、1.33重量%、1.34重量%、1.35重量%、1.36重量%、1.37重量%、1.38重量%、1.39重量%、1.40重量%、1.41重量%、1.42重量%、1.43重量%、1.44重量%、1.45重量%、1.46重量%、1.47重量%、1.48重量%、1.49重量%、または1.50重量%のFeを含み得る。
【0028】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約0.04重量%~約6.0重量%(例えば、約1.0重量%~約3.0重量%または約1.3重量%~約2.0重量%)の量の銅(Cu)を含む。例えば、合金は、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、5.1重量%、5.2重量%、5.3重量%、5.4重量%、5.5重量%、5.6重量%、5.7重量%、5.8重量%、5.9重量%、または6.0重量%のCuを含み得る。
【0029】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約0.005重量%~約0.9重量%(例えば、約0.01重量%~約0.25重量%または約0.01重量%~約0.08重量%)の量のマンガン(Mn)を含み得る。例えば、合金は、0.005重量%、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、0.009重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.2重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.3重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.4重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.5重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、0.57重量%、0.58重量%、0.59重量%、0.6重量%、0.61重量%、0.62重量%、0.63重量%、0.64重量%、0.65重量%、0.66重量%、0.67重量%、0.68重量%、0.69重量%、0.7重量%、0.71重量%、0.72重量%、0.73重量%、0.74重量%、0.75重量%、0.76重量%、0.77重量%、0.78重量%、0.79重量%、0.8重量%、0.81重量%、0.82重量%、0.83重量%、0.84重量%、0.85重量%、0.86重量%、0.87重量%、0.88重量%、0.89重量%、または0.9重量%のMnを含み得る。
【0030】
マグネシウム(Mg)は、合金のための固溶体強化元素として機能するように、本明細書に記載の合金に含まれ得る。本明細書に記載の合金は、0.7重量%~8.7重量%(例えば、約1.5重量%~約5.0重量%または約2.3重量%~約2.65重量%)の量のMgを含み得る。いくつかの例では、合金は、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、5.1重量%、5.2重量%、5.3重量%、5.4重量%、5.5重量%、5.6重量%、5.7重量%、5.8重量%、5.9重量%、6.0重量%、6.1重量%、6.2重量%、6.3重量%、6.4重量%、6.5重量%、6.6重量%、6.7重量%、6.8重量%、6.9重量%、7.0重量%、7.1重量%、7.2重量%、7.3重量%、7.4重量%、7.5重量%、7.6重量%、7.7重量%、7.8重量%、7.9重量%、8.0重量%、8.1重量%、8.2重量%、8.3重量%、8.4重量%、8.5重量%、8.6重量%、または8.7重量%のMgを含み得る。
【0031】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、最大で約0.3重量%(例えば、約0.01重量%~約0.25重量%または約0.02重量%~約0.2重量%)の量のクロム(Cr)を含む。例えば、合金は、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.2重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、または0.3重量%のCrを含み得る。特定の態様では、Crは、合金中に存在しない(すなわち、0重量%)。
【0032】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約1.7重量%~約18.3重量%(例えば、約3.5重量%~約15.5重量%または約5.0重量%~約10.0重量%)の量の亜鉛(Zn)を含む。例えば、合金は、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、5.1重量%、5.2重量%、5.3重量%、5.4重量%、5.5重量%、5.6重量%、5.7重量%、5.8重量%、5.9重量%、6.0重量%、6.1重量%、6.2重量%、6.3重量%、6.4重量%、6.5重量%、6.6重量%、6.7重量%、6.8重量%、6.9重量%、7.0重量%、7.1重量%、7.2重量%、7.3重量%、7.4重量%、7.5重量%、7.6重量%、7.7重量%、7.8重量%、7.9重量%、8.0重量%、8.1重量%、8.2重量%、8.3重量%、8.4重量%、8.5重量%、8.6重量%、8.7重量%、8.8重量%、8.9重量%、9.0重量%、9.1重量%、9.2重量%、9.3重量%、9.4重量%、9.5重量%、9.6重量%、9.7重量%、9.8重量%、9.9重量%、10.0重量%、10.1重量%、10.2重量%、10.3重量%、10.4重量%、10.5重量%、10.6重量%、10.7重量%、10.8重量%、10.9重量%、11.0重量%、11.1重量%、11.2重量%、11.3重量%、11.4重量%、11.5重量%、11.6重量%、11.7重量%、11.8重量%、11.9重量%、12.0重量%、12.1重量%、12.2重量%、12.3重量%、12.4重量%、12.5重量%、12.6重量%、12.7重量%、12.8重量%、12.9重量%、13.0重量%、13.1重量%、13.2重量%、13.3重量%、13.4重量%、13.5重量%、13.6重量%、13.7重量%、13.8重量%、13.9重量%、14.0重量%、14.1重量%、14.2重量%、14.3重量%、14.4重量%、14.5重量%、14.6重量%、14.7重量%、14.8重量%、14.9重量%、15.0重量%、15.1重量%、15.2重量%、15.3重量%、15.4重量%、15.5重量%、15.6重量%、15.7重量%、15.8重量%、15.9重量%、16.0重量%、16.1重量%、16.2重量%、16.3重量%、16.4重量%、16.5重量%、16.6重量%、16.7重量%、16.8重量%、16.9重量%、17.0重量%、17.1重量%、17.2重量%、17.3重量%、17.4重量%、17.5重量%、17.6重量%、17.7重量%、17.8重量%、17.9重量%、18.0重量%、18.1重量%、18.2重量%、または18.3重量%のZnを含み得る。
【0033】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、約0.005重量%~約0.60%(例えば、約0.01重量%~約0.15重量%または約0.015重量%~約0.04重量%)の量のチタン(Ti)を含む。例えば、合金は、0.005重量%、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、0.009重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.2重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.3重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、0.4重量%、0.41重量%、0.42重量%、0.43重量%、0.44重量%、0.45重量%、0.46重量%、0.47重量%、0.48重量%、0.49重量%、0.5重量%、0.51重量%、0.52重量%、0.53重量%、0.54重量%、0.55重量%、0.56重量%、0.57重量%、0.58重量%、0.59重量%、または0.6重量%のTiを含み得る。
【0034】
いくつかの例では、本明細書に記載の合金は、合金の全重量に基づいて、最大で約0.4%(例えば、約0.001重量%~約0.4%、約0.001重量%~約0.18重量%、または約0.001重量%~約0.15重量%)の量のジルコニウム(Zr)を含む。例えば、合金は、0.001重量%、0.002重量%、0.003重量%、0.004重量%、0.005重量%、0.006重量%、0.007重量%、0.008重量%、0.009重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.17重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.2重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.3重量%、0.31重量%、0.32重量%、0.33重量%、0.34重量%、0.35重量%、0.36重量%、0.37重量%、0.38重量%、0.39重量%、または0.4重量%のZrを含み得る。特定の態様では、Zrは、合金中に存在しない(すなわち、0重量%)。
【0035】
任意選択で、本明細書に記載の合金組成は、不純物と呼ばれることもある他の微量元素を、各々、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、または0.01重量%以下の量でさらに含み得る。これらの不純物としては、V、Ni、Sn、Ga、Ca、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、V、Ni、Sn、Ga、またはCaは、0.05重量%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.02重量%以下、または0.01重量%以下の量で、合金中に存在してもよい。いくつかの例では、全不純物の合計は、0.15重量%を超えない(例えば、0.10重量%)。合金の残りの割合はアルミニウムである。
【0036】
任意選択で、本明細書に記載のアルミニウム合金は、以下のアルミニウム合金の記号表示のうちの1つによる7xxxアルミニウム合金であり得る:AA7011、AA7019、AA7020、AA7021、AA7039、AA7072、AA7075、AA7085、AA7108、AA7108A、AA7015、AA7017、AA7018、AA7019A、AA7024、AA7025、AA7028、AA7030、AA7031、AA7033、AA7035、AA7035A、AA7046、AA7046A、AA7003、AA7004、AA7005、AA7009、AA7010、AA7011、AA7012、AA7014、AA7016、AA7116、AA7122、AA7023、AA7026、AA7029、AA7129、AA7229、AA7032、AA7033、AA7034、AA7036、AA7136、AA7037、AA7040、AA7140、AA7041、AA7049、AA7049A、AA7149、AA7249、AA7349、AA7449、AA7050、AA7050A、AA7150、AA7250、AA7055、AA7155、AA7255、AA7056、AA7060、AA7064、AA7065、AA7068、AA7168、AA7175、AA7475、AA7076、AA7178、AA7278、AA7278A、AA7081、AA7181、AA7185、AA7090、AA7093、AA7095、およびAA7099。
【0037】
作製方法
アルミニウムシートを製造する方法もまた本明細書に記載されている。アルミニウム合金は、鋳造され得、次いでさらなる処理ステップが実施され得る。いくつかの例では、処理ステップは、任意選択で焼き入れステップ、予熱および/または均質化ステップ、熱間圧延ステップ、溶体化ステップ、人工時効ステップ、任意選択で塗装ステップ、および任意選択で塗料焼き付けステップを含む。
【0038】
いくつかの例では、方法は、スラブを鋳造することと、スラブを熱間圧延して、シート、シェート、またはプレートの形態の熱間圧延されたアルミニウム合金を製造することと、アルミニウムのシート、シェート、またはプレートを溶体化することと、アルミニウムのシート、シェート、またはプレートを時効させることと、を含む。いくつかの例では、熱間圧延ステップは、スラブを最終ゲージおよび/または最終調質度に熱間圧延することを含む。いくつかの例では、冷間圧延ステップは排除される(すなわち除外される)。いくつかの例では、スラブは、連続鋳造機から出るときに熱的に焼き入れされる。いくつかのさらなる例では、スラブは、連続鋳造機から出るときに巻き取られる。いくつかの場合には、巻き取られたスラブは、空気中で冷却される。いくつかの場合には、方法は、巻き取られたスラブを予熱することをさらに含む。いくつかの場合には、方法は、時効されたアルミニウムのシート、シェート、またはプレートを塗装することをさらに含む。いくつかのさらなる場合には、方法は、塗装されたアルミニウムのシート、シェート、またはプレートを焼き付けることをさらに含む。方法のステップを以下にさらに説明する。
【0039】
鋳造
本明細書に記載の合金は、連続鋳造(CC)プロセスを使用してスラブに鋳造され得る。連続鋳造装置は、任意の適切な連続鋳造装置であり得る。CCプロセスは、ブロック鋳造機、ツインロール鋳造機、またはツインベルト鋳造機の使用を含み得るが、それらに限定されない。驚くべきことに、「BELT-COOLING AND GUIDING MEANS FOR CONTINUOUS BELT CASTING OF METAL STRIP」と題された米国特許第6,755,236号に開示されているベルト鋳造装置などのツインベルト鋳造装置を使用して、望ましい結果が達成されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。いくつかの例では、銅などの高い熱伝導率を有する金属から作製されたベルトを有するベルト鋳造装置を使用することによって、特に望ましい結果が達成され得る。ベルト鋳造装置は、最大で1メートルケルビンあたり400ワット(W/m・K)の熱伝導率を有する金属から作製されたベルトを含み得る。例えば、ベルトの導電率は、鋳造温度で、50W/m・K、100W/m・K、150W/m・K、250W/m・K、300W/m・K、325W/m・K、350W/m・K、375W/m・K、または400W/m・Kであり得るが、炭素鋼または低炭素鋼を含む他の値の熱伝導率を有する金属が使用されてもよい。CCは、最大で約12メートル/分(m/分)の速度で実施され得る。例えば、CCは、12m/分以下、11m/分以下、10m/分以下、9m/分以下、8m/分以下、7m/分以下、6m/分以下、5m/分以下、4m/分以下、3m/分以下、2m/分以下、または1m/分以下の速度で実施され得る。
【0040】
得られるスラブは、約5mm~約50mm(例えば、約10mmから約45mm、約15mm~約40mm、または約20mm~約35mm)、例えば、約10mmの厚さを有し得る。例えば、得られるスラブは、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、または50mmの厚さであり得る。
【0041】
焼き入れ
得られるスラブは、連続鋳造機から出るときに、任意選択で熱的に焼き入れされ得る。いくつかの例では、焼き入れは水で実施される。任意選択で、水焼き入れステップは、最大で約200℃/秒(例えば、10℃/秒~190℃/秒、25℃/秒~175℃/秒、50℃/秒~150℃/秒、75℃/秒~125℃/秒、または10℃/秒~50℃/秒)の速度で実施され得る。水温は、約20℃~約75℃(例えば、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、または約75℃)であり得る。任意選択で、得られるスラブは、連続鋳造機から出るときに巻き取られ得る。得られる中間コイルは、空気中で冷却され得る。空冷ステップは、約1℃/秒~約300℃/日の速度で実施され得る。
【0042】
いくつかの例では、スラブを、連続鋳造機から出るときに水焼き入れすることにより、T4調質度条件のアルミニウム合金スラブが得られる。任意選択の水焼き入れの後、T4調質度にあるスラブは、次いで任意選択で中間コイルに巻き取られ、最大で24時間の時間期間保管され得る。意外なことに、スラブを連続鋳造機から出るときの水焼き入れすることは、スラブに割れが生じないように、目視検査によって判定されるようなスラブの割れをもたらさない。例えば、直接チル鋳造インゴットと比較すると、本明細書に記載の方法に従って製造されたスラブの割れ傾向は著しく減少する。いくつかの例では、約8.0mm未満の長さを有する平方メートル当たり、約8個以下の割れ(例えば、平方メートル当たり、約7個以下の割れ、約6個以下の割れ、約5個以下の割れ、約4個以下の割れ、約3個以下の割れ、約2個以下の割れ、または約1個の割れ)は存在しない。
【0043】
巻き取り
任意選択で、スラブは、連続鋳造機から出るときに中間コイルに巻き取られ得る。いくつかの例では、スラブは、連続鋳造機から出るときに中間コイルに巻き取られ、その結果F調質度が生じる。いくつかのさらなる例では、コイルは、空気中で冷却される。いくつかのさらなる例では、空冷されたコイルは、一定の時間期間保管される。いくつかの例では、中間コイルは、約100℃~約350℃(例えば、約200℃または約300℃)の温度に維持される。いくつかのさらなる例では、中間コイルは、F調質度をもたらす自然時効を防ぐために、低温保管場所に維持される。
【0044】
予熱および/または均質化
保管時には、中間コイルは、予熱ステップで任意選択で再加熱され得る。いくつかの例では、再加熱ステップは、熱間圧延ステップのために中間コイルを予熱することを含み得る。いくつかのさらなる例では、再加熱ステップは、最大で約150℃/時間(例えば、約10℃/時間または約50℃/時間)の速度で、中間コイルを予熱することを含み得る。中間コイルは、約350℃~約580℃(例えば、約375℃~約570℃、約400℃~約550℃、約425℃から約500℃、または約500℃~約580℃)の温度に加熱され得る。中間コイルは、約1分~約120分、好ましくは約60分ソーキングすることができる。
【0045】
任意選択で、コイルの保管および/もしくは予熱の後の中間コイル、または鋳造機を出るときのスラブは、均質化され得る。均質化ステップは、約300℃~約500℃(例えば、約320℃~約480℃または約350℃~約450℃)の温度に達するように、スラブまたは中間コイルを加熱することを含み得る。いくつかの場合には、加熱速度は、約150℃/時間以下、125℃/時間以下、100℃/時間以下、75℃/時間以下、50℃/時間以下、40℃/時間以下、30℃/時間以下、25℃/時間以下、20℃/時間以下、または15℃/時間以下であり得る。他の場合には、加熱速度は、約10℃/分~約100℃/分(例えば、約10℃/分~約90℃/分、約10℃/分~約70℃/分、約10℃/分~約60℃/分、約20℃/分~約90℃/分、約30℃/分~約80℃/分、約40℃/分~約70℃/分、または約50℃/分~約60℃/分)であり得る。
【0046】
次いで、コイルまたはスラブは、一定期間ソーキングさせられる(すなわち、指示された温度に保持させられる)。1つの非限定的な例によれば、コイルまたはスラブは、最大で約36時間(例えば、包括的に、約30分~約36時間)ソーキングさせられる。例えば、コイルまたはスラブは、一定の温度で、10秒、15秒、30秒、45秒、1分、2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、またはそれら間のいずれかでソーキングされ得る。
【0047】
熱間圧延
予熱および/または均質化ステップに続いて、熱間圧延ステップが実施され得る。熱間圧延ステップは、熱間逆転ミル操作および/または熱間タンデムミル操作を含むことができる。熱間圧延ステップは、約250℃~約500℃(例えば、約300℃~約400℃または約350℃~約500℃)の範囲の温度で実施することができる。例えば、熱間圧延ステップは、約250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、320℃、330℃、340℃、350℃、360℃、370℃、380℃、390℃、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃、460℃、470℃、480℃、490℃、または500℃の温度で実施され得る。
【0048】
熱間圧延ステップでは、金属製品は、10mmゲージ以下(例えば、約2mm~約8mm)の厚さに熱間圧延され得る。例えば、金属製品は、約10mm以下のゲージ、9mm以下のゲージ、8mm以下のゲージ、7mm以下のゲージ、6mm以下のゲージ、5mm以下のゲージ、4mm以下のゲージ、3mm以下のゲージ、または2mm以下のゲージに熱間圧延され得る。いくつかの場合には、熱間圧延ステップから生じる厚さの減少率は、約35%~約80%(例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%。75%、または80%)であり得る。任意選択で、熱間圧延された金属製品は、熱間圧延ステップの終わりに(例えば、タンデムミルから出るときに)焼き入れされる。任意選択で、熱間圧延ステップの終わりに、熱間圧延された金属製品は巻き取られる。
【0049】
溶体化
次いで、熱間圧延された金属製品は、溶体化ステップを施され得る。溶体化ステップは、約420℃~約490℃(例えば、約440℃~約480℃または約460℃~約470℃)の範囲の温度で実施され得る。溶体化ステップは、約0分~約1時間(例えば、約1分間または約30分間)実施され得る。任意選択で、溶体化ステップの終わりに(例えば、炉から出るときに)、シートは熱焼き入れステップを施される。熱焼き入れステップは、空気および/または水を使用して実施され得る。水温は、約20℃~約75℃(例えば、約25℃または約55℃)であり得る。
【0050】
任意選択で、熱間圧延された金属は、最終ゲージおよび/または最終調質度で提供される。いくつかの非限定的な例では、熱間圧延ステップは、さらなる下流処理が必要とされないように、所望の機械的特性を有する最終製品を提供され得る。例えば、最終製品は、冷間圧延、溶体化、溶体化後の焼き入れ、自然時効、および/または人工時効を伴わずに、熱間圧延されて最終ゲージおよび調質度で供給され得る。「HRTGT」とも呼ばれる最終ゲージおよび調質度への熱間圧延は、大幅に低減したコストで最適化された機械的特性を有する金属製品を提供し得る。
【0051】
任意選択で、時効、塗装、または焼き付けなどのさらなる処理ステップが実施され得る。これらのステップは以下にさらに説明される。任意選択で、冷間圧延ステップは実施されない(すなわち、本明細書に記載のプロセスから除外または排除される)。いくつかの例では、冷間圧延ステップは、アルミニウム合金のシート、シェート、またはプレートの成形性を同時に低下させながら、アルミニウム合金の強度および硬度を増加させ得る。冷間圧延ステップを排除することは、アルミニウム合金のシート、シェート、またはプレートの延性を維持し得る。意外にも、冷間圧延ステップを排除することは、本明細書に提供される以下の実施例において詳細に記載されるように、本明細書に記載のアルミニウム合金の強度に悪影響を及ぼさない。
【0052】
時効
任意選択で、熱間圧延された金属は、人工時効ステップを施される。人工時効ステップは、合金の高強度特性を発達させ、合金における他の望ましい特性を最適化する。最終製品の機械的特性は、所望の用途に応じて様々な時効条件によって制御され得る。いくつかの場合には、本明細書に記載の金属製品は、Tx調質度(例えば、T1調質度、T4調質度、T5調質度、T6調質度、T7調質度、もしくはT8調質度)、W調質度、O調質度、またはF調質度で顧客に納品され得る。いくつかの例では、人工時効ステップが実施され得る。人工時効ステップは、約100℃~約140 ℃の温度(例えば、約120 ℃または約125 ℃)で実施され得る。時効ステップは、約12時間~約36時間(例えば、約18時間または約24時間)の時間期間にわたって実施され得る。いくつかの例では、人工時効ステップは、T6調質度を得るために、125℃で24時間実施され得る。いくつかのさらなる例では、合金は、自然時効ステップを施される。自然時効ステップは、T4調質度をもたらし得る。
【0053】
塗装および/または塗料焼き付け
任意選択で、金属製品は、塗装ステップを施される。任意選択で、塗装ステップは、亜鉛リン酸塩処理(Zn-リン酸塩処理)および電気塗装(E-塗装)を含み得る。Zn-リン酸塩処理およびE-塗装は、当業者に既知であるように、アルミニウム産業で一般的に使用されている標準に従って実施される。任意選択で、塗装ステップの後に塗料焼き付けステップを続けることができる。塗料焼き付けステップは、約150℃~約230℃の温度(例えば、約180℃または約210℃)で実施され得る。塗料焼き付けステップは、約10分~約60分(例えば、約30分間または約45分間)の時間期間にわたって実施され得る。
【0054】
特性
本明細書に記載されるような得られる金属製品は、Tx調質度条件(ここで、Tx調質度はT1、T4、T5、T6、T7、もしくはT8調質度を含み得る)、W調質度、O調質度、またはF調質度を含む、様々な調質度条件下での高強度および高成形性を含む、所望の特性の組み合わせを有する。いくつかの例では、得られる金属製品は、およそ400~650MPa(例えば、450MPa~625MPa、475MPa~600MPa、または500MPa~575MPa)の降伏強度を有する。例えば、降伏強度は、およそ400MPa、410MPa、420MPa、430MPa、440MPa、450MPa、460MPa、470MPa、480MPa、490MPa、500MPa、510MPa、520MPa、530MPa、540MPa、550MPa、560MPa、570MPa、580MPa、590MPa、600MPa、610MPa、620MPa、630MPa、640MPa、または650MPaであり得る。任意選択で、およそ400~650MPaの降伏強度を有する金属製品は、T6調質度にあり得る。いくつかの例では、得られる金属製品は、およそ560および650MPaからの最大降伏強度を有する。例えば、金属製品の最大降伏強度は、およそ560MPa、570MPa、580MPa、590MPa、600MPa、610MPa、620MPa、630MPa、640MPa、または650MPaであり得る。任意選択で、およそ560~650MPaの最大降伏強度を有する金属製品は、T6調質度にあり得る。任意選択で、金属製品は、金属製品をT4調質度での塗料焼き付けの後に(すなわち、人工時効なしに)、およそ500MPa~およそ650MPaの降伏強度を有し得る。
【0055】
いくつかの例では、得られる金属製品は、およそ500~650MPa(例えば、550MPa~625MPaまたは575MPa~600MPa)の極限引張強度を有する。例えば、極限引張強度は、およそ500MPa、510MPa、520MPa、530MPa、540MPa、550MPa、560MPa、570MPa、580MPa、590MPa、600MPa、610MPa、620MPa、630MPa、640MPa、または650MPaであり得る。任意選択で、およそ500~650MPaの極限引張強度を有する金属製品は、T6調質度にある。
【0056】
いくつかの例では、得られる金属製品は、およそ100°~160°(例えば、およそ110°~155°またはおよそ120°から150°)の曲げ角度を有する。例えば、得られる金属製品の曲げ角度は、およそ100°、101°、102°、103°、104°、105°、106°、107°、108°、109°、110°、111°、112°、113°、114°、115°、116°、117°、118°、119°、120°、121°、122°、123°、124°、125°、126°、127°、128° 、129°、130°、131°、132°、133°、134°、135°、136°、137°、138°、139°、140°、141°、142°、143°、144°、145 °、146°、147°、148°、149°、150°、151°、152°、153°、154°、155°、156°、157°、158°、159°、または160°であり得る。任意選択で、およそ100°~160°の曲げ角度を有する金属製品は、T6調質度にあり得る。
【0057】
使用法
本明細書に記載の合金および方法は、自動車、航空機、および鉄道用途を含む自動車用途および/もしくは輸送機関用途、または他の任意の所望の用途に使用され得る。いくつかの例では、合金および方法は、バンパー、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラー補強材(例えば、Aピラー、Bピラー、およびCピラー)、インナーパネル、アウターパネル、サイドパネル、インナーフード、アウターフード、トランクリッドパネルなどの自動車構造部品を調製するために使用され得る。本明細書に記載のアルミニウム合金および方法はまた、航空機または鉄道車両用途において、例えば、アウターパネルおよびインナーパネルを調製するために使用され得る。
【0058】
本明細書に記載の合金および方法はまた、電子機器用途にも使用され得る。例えば、本明細書に記載の合金および方法はまた、携帯電話およびタブレットコンピュータを含む、電子機器用のハウジングを調製するためにも使用され得る。いくつかの例では、合金は、携帯電話(例えば、スマートフォン)、およびタブレットボトムシャーシの外部ケーシング用のハウジングを調製するために使用され得る。
【0059】
いくつかの場合には、本明細書に記載の合金および方法は工業用途に使用され得る。例えば、本明細書に記載の合金および方法は、一般流通市場向けの製品を調製するために使用され得る。
【0060】
開示された主題の様々な例について詳細に言及がなされており、その1つ以上の例が上記で説明されている。各例は、主題の説明として提供されたものであり、それを限定するものではない。実際に、当業者には、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、本主題に様々な修正および変更を加えることができることが明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴は、別の実施形態と共に使用されてさらに別の実施形態を生み出すことができる。
【0061】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するのに役立つが、同時にそのいかなる限定も構成しない。それどころか、本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨から逸脱することなくそれら自体を当業者に示唆し得る様々な実施形態、変更および均等物に頼ることができることを明確に理解されたい。
【実施例】
【0062】
実施例1
強度、伸び、および成形性の試験のために3つの合金が調製された。これらの合金の化学組成は、表4に提供される。全ての値は、全体の重量百分率(重量%)として表される。各合金において、残りはAlである。
【表4】
【0063】
本明細書に記載の方法に従って、合金Aは、ツインベルト鋳造機を使用して連続的に鋳造された。以後、A-ACおよびA-WQと呼ばれる2つの合金Aの試料は、鋳造機から出ると様々な冷却技術を施された。合金A-ACは、鋳造機から出るときに空冷された。合金A-WQは、鋳造機から出るときに水焼き入れされた。
【0064】
合金BおよびCは、当業者に既知であるように、アルミニウム産業で一般的に使用されている標準に従って直接チル(DC)鋳造された。例示合金A-ACおよびA-WQに対する比較合金として、合金BおよびCが使用された。
【0065】
図1は、比較および例示処理経路を説明するプロセスフロー図である。第1の経路(均質化され、熱間圧延され、冷間圧延される、
図1の左の経路である、HOMO-HR-CR)は、伝統的なゆっくりした予熱および均質化と、その後の熱間圧延(HR)と、コイル冷却/水焼き入れと、冷間圧延(CR)と、溶体化(SHT)と、T6調質度特性を得るための時効と、を含んだ。第2の経路(予熱され、熱間圧延され、冷間圧延される、
図1の中央の経路である、HTR-HR-CR)は、約450℃~約480℃の温度(ピーク金属温度、PMT)への予熱と、その後の熱間圧延と、コイル冷却/水焼き入れと、冷間圧延と、溶体化(SHT)と、T6調質度特性を得るための時効と、を含んだ。例示の第3の経路(
図1の右の経路である、ゲージに熱間圧延される、HRTG)は、スラブの予熱および均質化ならびに最終ゲージへの熱間圧延と、その後のコイル冷却/水焼き入れと、溶体化(SHT)と、任意選択の焼き入れと、T6調質度特性を得るための時効と、を含んだ。各経路は、強度の低下を評価するために、T6時効後の塗料焼き付けシミュレーションを含んだ。
【0066】
機械的特性は、引張試験用のASTM B557 2”GL規格に基づいて判定された。成形性は、試料に予歪を与えずに、3点曲げ試験についてのVerband der Autoboilindustrie(VDA)規格の下で判定された。
図2は、圧延方向に対して長い横方向の配向(L)で試験した合金A-WQの降伏強度(YS)(三角形)、および曲げ角度(ヒストグラム)を示すグラフである。ツインベルト連続鋳造機から出るときの水焼き入れは、溶質原子を析出させるのではなく、マトリックス内の適所に凍結させ、これにより、下流処理における析出物のさらなる粗大化が防止された。水焼き入れされたスラブの最終ゲージへの直接熱間圧延は、高強度の優れた組み合わせを生み出した(約560MPa)およびより低いVDAの曲げ角度(約110°)。曲げ角度が小さいほど成形性が高いことを示す。
【0067】
合金A-ACおよびA-WQの機械的特性が、
図3に示される。降伏強度(YS)(各組の左のヒストグラム)および極限引張強度(UTS)(各組の右のヒストグラム)は、ヒストグラムで表され、均一伸び(UE)は、三角形で表され、全伸び(TE)は円で表される。合金は、時効後(T6)ならびに時効後および塗料焼き付け後(T6+PB)に試験された。合金A-ACは、処理経路HOMO-HR-CR、HTR-HR-CR、およびHRTGに従って処理され、合金A-WQは、処理経路HOMO-HR-CR(示されているWQ_HOMO_HR_CR)に従って処理された。冷間圧延ステップ(HRTG)を伴わない第3の処理経路は、138°の曲げ角度で572MPaの最大YSを提供した(
図4参照)。第1の経路(HOMO-HR-CR)を介して合金を処理すると、同様の曲げ角度を有する20MPaだけ低いYSが提供された。第2の経路を介して(均質化せずに)合金を処理すると、最低の強度が得られた。合金A-WQ(鋳造機を出るときの水焼き入れ)は、第2の経路を介して処理された合金A-ACと比較して、YSの6MPaの増加を提供した。各処理経路は、それらの強度にかかわらず、同様のVDA曲げ角度をもたらした(
図4参照)。塗料焼き付けシミュレーション(180℃、30分間)後の処理経路にかかわらず、各試料について観察されたYSのおよそ20MPaの減少があった。
【0068】
図5~
図8は、
図3および4に記載の例示合金の結晶粒構造を示す。第1の処理経路(HOMO-HR-CR、
図5参照)および第2の処理経路(HTR-HR-CR、
図6参照)を施された合金A-ACの結晶粒構造は、再結晶構造を示す。鋳造機から出るときの水焼き入れ(合金CC-WQ、
図7参照)および冷間圧延なしの処理(HRTG、
図8参照)は、画像に見られる長く伸びた粒子によって示される、未再結晶粒構造をもたらした。HRTG試料の長く伸びた粒子は、なぜそれが最高の強度を示したのかを説明したが、曲げ角度は、伝統的なHR(hot roll)およびCR(cold roll)の慣例と比較して同様であった。
【0069】
例示合金A-ACおよびA-WQの強度および成形性は、同じ組成の直接チル鋳造合金(合金B)およびAA7075アルミニウム合金(合金C)と比較された。結果は、
図9および
図10に示される。図は、合金A-ACおよびA-WQの特性が、より伝統的な経路(具体的には、冷間圧延ステップを含む処理経路)によって処理された同様の合金よりも優れていることを示している。連続鋳造によって製造された合金は、合金Bおよび合金Cの両方、すなわちDC鋳造アルミニウム合金と比較して、同様の曲げ角度で、50~60MPaだけ高い強度を提供した。
【0070】
合金A-WQは、さらに様々な処理経路を施された。強度と成形性の結果は、
図11に示される。合金がHOMO-HR-CRの処理経路に従って製造されたとき、および熱間圧延後に水焼き入れし、続いて最終ゲージに冷間圧延(示されているHR-WQ-CR)されたときに、最終ゲージへの熱間圧延(HRTG)は、同様の成形性結果で優れたYSおよびUTSを示し続けた。
【0071】
7xxxシリーズアルミニウム合金を連続的に鋳造することによって提供された強度および成形性の向上は、粒径の違い(
図12参照)ならびに粒径および形態の違い(
図13参照)に起因すると考えられる。DC鋳造合金(
図12および13にDCで示される)と比較した場合、鋳造後(As-cast)と、均質化(Homogenized)と、熱間圧延および巻き取り(Reroll)と、最終ゲージへの圧延(Final-gauge)と、を含む全処理を通して、より小さい粒度および粒子が、連続的に鋳造された合金(
図12および
図13にCCとして示される)で観察された。
【0072】
実施例2
強度と伸びの試験のために、8つのアルミニウム合金、合金D~Kが調製された。これらの合金の化学組成は、表5に提供される。全ての値は、全体の重量百分率(重量%)として表される。各合金において、残りはAlである。
【表5】
【0073】
合金D~Gは同じ化学組成を有するが、表6に示すように、異なる方法に従って処理された。合金H~Kは、同じ化学組成を有するが、表6に示すように、異なる方法に従って処理された。合金Lは、AA7075合金である。表6において、「HR」は熱間圧延を指し、「HRTG」はゲージへの熱間圧延を指し、「SHT」は溶体化熱処理を指す。
【表6】
【0074】
具体的には、本明細書に記載の方法に従って、ツインベルト鋳造機を用いて合金D~Kを連続的に鋳造した。連続鋳造スラブは、表6に記載の条件下で予熱および均質化され、2mmの最終ゲージに熱間圧延され(50%の減少を表す)、焼き入れされ、表6に記載の条件下で再加熱され、表6に記載の条件下で溶体化(SHT)された。さらに、本明細書に記載の方法に従って製造した合金の機械的特性を、従来の方法によって製造された合金の機械的特性と比較するために、比較合金(合金L)が調製および試験された。具体的には、合金Lは、インゴットを直接チル(DC)鋳造すること、インゴットを均質化すること、インゴットを中間ゲージのアルミニウム合金物品に熱間圧延すること、中間ゲージのアルミニウム合金物品を2mmの最終ゲージのアルミニウム合金物品に冷間圧延すること、および最終ゲージのアルミニウム合金物品を溶体化することと、によって調製された。
【0075】
合金D~Lは、T6調質度を得るために、125℃で24時間時効され得た。T6調質度にある合金の機械的特性は、以下の表7に示される。具体的には、表7は、合金D~Lの各々の降伏強度(「YS」)、極限引張強度(「UTS」)、全伸び、および均一伸びを示す。
【表7】
【0076】
T6調質度にある合金D~Lはさらに、180℃で30分間、塗料焼き付けされた(表8で「PB」と呼ばれる)。表8は、合金D~Lの各々の降伏強度(「YS」)、極限引張強度(「UTS」)、全伸び、および均一伸びを示す。さらに、表8は、T6調質度の塗料焼き付けを伴う合金と塗料焼き付けを伴わない合金との間の降伏強度の差(「YS PB ΔT6」)を示す。
【表8】
【0077】
合金は、直接塗料焼き付け後(すなわち、T6調質度を得るために時効処理を実施せずに)、180℃で30分間、T4調質度でも試験された。表9は、合金D~Lの各々の降伏強度(「YS」)、極限引張強度(「UTS」)、全伸び、および均一伸びを示す。
【表9】
【0078】
上の表7、表8、および表9に示されるように、合金D~Kは、塗料焼き付けの有無にかかわらず、T4およびT6調質度において優れた強度を呈した。さらに、合金D~Kは、塗料焼き付けステップが用いられた後に、強度の増加または最小の/無視できる強度の減少のいずれかを示した。合金L(比較合金)は、表8の、YS PB ΔT6に示されるように、塗料焼き付けステップ後に強度の大幅な低下を呈した。データは、DC鋳造および従来の方法で処理されたAA7075合金が、塗料焼き付け後に過時効を受けたことを実証する。驚くべきことに、本明細書に記載の例示的な方法によって製造された合金D~Kは、いかなる悪影響も受けずに熱処理を受ける能力(例えば、過時効がなく、また強度の低下がない)を呈した。
【0079】
本発明の様々な実施形態は、本発明の様々な目的を達成するために記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることが認識されるべきである。以下の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することのない、これらの多くの改変およびその適合は、当業者には容易に明らかであろう。