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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】外洋養殖システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/60 20170101AFI20220510BHJP
【FI】
A01K61/60 321
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019520730
(86)(22)【出願日】2017-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 IL2017051145
(87)【国際公開番号】W WO2018073820
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】248383
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】514284811
【氏名又は名称】シー・コントロール・ホールディングス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEA CONTROL HOLDINGS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロシュ,シャイ
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-106966(JP,U)
【文献】特開昭47-021897(JP,A)
【文献】国際公開第2016/128981(WO,A1)
【文献】特表2015-515863(JP,A)
【文献】特開2001-321011(JP,A)
【文献】特開平06-169671(JP,A)
【文献】特開平07-099860(JP,A)
【文献】特開昭62-048328(JP,A)
【文献】特開昭52-117795(JP,A)
【文献】特表2010-537882(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0963763(KR,B1)
【文献】米国特許第03716994(US,A)
【文献】米国特許第05628280(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0160999(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖を支えるための保管およびメンテナンス設備を有し、複数の鉛直方向支柱を含む半潜水型プラットフォームと、
前記半潜水型プラットフォームの対応する鉛直方向支柱を収容するように構成された形状を有する複数の鉛直方向空洞を含む、養殖槽の剛性組立品と、
前記剛性組立品を前記半潜水型プラットフォームに機械的に接続するように、かつ、両者の間の相対位置を制御して、
前記剛性組立品が前記複数の鉛直方向空洞において前記対応する鉛直方向支柱を取り囲む上昇位置、および
前記剛性組立品が前記対応する鉛直方向支柱の下方に位置する降下位置、
の少なくとも2つの動作位置を設けるように構成された機械的位置制御機構と、
前記機械的位置制御機構を制御して、特定の状態が発生すると前記剛性組立品を前記上昇位置から前記降下位置に移動させるように、かつ、特定の状態が発生すると前記剛性組立品を前記降下位置から前記上昇位置に移動させるように構成された制御ユニットと
前記剛性組立品を前記降下位置から前記上昇位置に上昇させると、前記剛性組立品の前記複数の鉛直方向空洞の上部開口部を前記半潜水型プラットフォームの前記対応する鉛直方向支柱の底部に向けて案内するように構成された案内構造物を備える、外洋養殖システム。
【請求項2】
前記機械的位置制御機構は、前記剛性組立品を前記半潜水型プラットフォーム上の少なくとも1つのモータユニットに接続する複数のチェーンを含み、前記少なくとも1つのモータユニットは、前記複数のチェーンを送り出しおよび巻き取るように構成され、前記少なくとも1つのモータユニットは、前記制御ユニットによって制御される、請求項1に記載の外洋養殖システム。
【請求項3】
前記複数のチェーンは、前記少なくとも1つのモータユニットで前記複数のチェーンを引っ張ることによって前記剛性組立品を前記降下位置から前記上昇位置に上昇させると、前記剛性組立品の前記複数の鉛直方向空洞の上部開口部を前記半潜水型プラットフォームの前記対応する鉛直方向支柱の底部に対して位置決めするように選択された対応する複数の取付位置において、前記剛性組立品に接続されている、請求項に記載の外洋養殖システム。
【請求項4】
前記複数のチェーンは、前記半潜水型プラットフォームの前記対応する鉛直方向支柱の少なくとも下側部分に沿って案内される、請求項またはに記載の外洋養殖システム。
【請求項5】
前記剛性組立品は、前記養殖槽を画成する複数の槽グリッドを収容するように構成された複数のレールを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の外洋養殖システム。
【請求項6】
前記複数のレールのうちの少なくとも一部は、前記養殖槽を解体することなく対応する槽グリッドの取り替えを可能にするように構成されたダブルレールである、請求項に記載の外洋養殖システム。
【請求項7】
前記養殖槽の少なくとも一部は、仕切り位置決め装置によって前記養殖槽に接続され前記制御ユニットによって制御される鉛直方向可動仕切りを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の外洋養殖システム。
【請求項8】
前記剛性組立品は、前記制御ユニットによって制御される浮力機構を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の外洋養殖システム。
【請求項9】
外洋養殖方法であって、
養殖槽の剛性組立品を、養殖を支えるための保管およびメンテナンス設備を有し複数の鉛直方向支柱を含む半潜水型プラットフォームに機械的に接続することを備え、
前記剛性組立品は、前記半潜水型プラットフォームの対応する鉛直方向支柱を収容するように形成された複数の鉛直方向空洞を含むように構成されており、前記方法はさらに、 前記剛性組立品と前記半潜水型プラットフォームとの間に、
前記剛性組立品が前記複数の鉛直方向空洞において前記対応する鉛直方向支柱を取り囲む上昇位置、および
前記剛性組立品が前記対応する鉛直方向支柱の下方に位置する降下位置、
の少なくとも2つの動作位置を含む制御可能な相対位置を設けるように、前記機械的な接続を構成することと、
前記剛性組立品と前記半潜水型プラットフォームとの間の前記相対位置を制御して、特定の状態が発生すると前記剛性組立品を前記上昇位置から前記降下位置まで移動させ、特定の条件が発生すると前記剛性組立品を前記降下位置から前記上昇位置まで移動させることと
前記剛性組立品を前記降下位置から前記上昇位置に上昇させると、前記剛性組立品の前記複数の鉛直方向空洞の上部開口部を前記半潜水型プラットフォームの前記対応する鉛直方向支柱の底部に向けて案内することを備える、外洋養殖方法。
【請求項10】
前記剛性組立品を前記半潜水型プラットフォーム上の少なくとも1つのモータユニットに接続する複数のチェーンを含むように前記機械的な接続を構成することと、制御可能に前記複数のチェーンを送り出しおよび巻き取るように前記少なくとも1つのモータユニットを構成することとをさらに備える、請求項に記載の外洋養殖方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのモータユニットで前記複数のチェーンを引っ張ることによって前記剛性組立品を前記降下位置から前記上昇位置に上昇させると、前記剛性組立品の前記複数の鉛直方向空洞の上部開口部を前記半潜水型プラットフォームの前記対応する鉛直方向支柱の底部に対して位置決めするように選択された対応する複数の取付位置において、前記複数のチェーンを前記剛性組立品に接続することをさらに備える、請求項1に記載の外洋養殖方法。
【請求項12】
前記複数のチェーンを、前記半潜水型プラットフォームの前記対応する鉛直方向支柱の少なくとも下側部分に沿って案内することをさらに備える、請求項1または1に記載の外洋養殖方法。
【請求項13】
前記養殖槽を画成する複数の槽グリッドを収容するように構成された複数のレールを有するように前記剛性組立品を構成することをさらに備える、請求項~1のいずれか1項に記載の外洋養殖方法。
【請求項14】
前記槽を解体することなく、対応する槽グリッドの取り替えを可能にするダブルレールとして前記複数のレールのうちの少なくとも一部を構成することをさらに備える、請求項1に記載の外洋養殖方法。
【請求項15】
槽の体積を制御するために前記養殖槽の少なくとも一部における鉛直方向可動仕切りを構成することをさらに備える、請求項~1のいずれか1項に記載の外洋養殖方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、養殖分野に関し、特に、外洋養殖に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
外洋養殖は拡大しているが、より伝統的な沿岸養殖と比較すると、より荒い海の状態に対応しなくてはならない。
【0003】
ここにその全体が引用により援用される英国特許第2,501,879号明細書では、外洋養殖システムが開示されている。このシステムは、網で覆われた剛性養殖槽が海面状態に従って移動可動に接続され制御可能に位置決めされている、取り付けられた枠組みを用いて養殖を支えるために、保管およびメンテナンス設備を有する半潜水型プラットフォームを利用している。これらの槽は、養殖物を保護するために枠組みに対して上方または下方に移動可能であり、メンテナンスおよび給餌はすべて、プラットフォームに乗った乗組員によって行われる。
【発明の概要】
【0004】
以下は、発明の最初の理解を提供する簡潔な概要である。この概要は、必ずしも重要な要素を特定するものでもなければ発明の範囲を特定するものでもなく、以下の説明の導入への役割を果たすに過ぎない。
【0005】
本発明のある態様は、外洋養殖システムを提供する。この外洋養殖システムは、養殖を支えるための保管およびメンテナンス設備を有し、複数の鉛直方向支柱を含む半潜水型プラットフォームと、半潜水型プラットフォームの対応する鉛直方向支柱を収容するように構成された形状を有する複数の鉛直方向空洞を含む、養殖槽の剛性組立品と、剛性組立品を半潜水型プラットフォームに機械的に接続するように、かつ、両者の間の相対位置を制御して、(i)剛性組立品が鉛直方向空洞において対応する鉛直方向支柱を取り囲み剛性組立品の水平方向の移動を制限する上昇位置、および、(ii)剛性組立品が対応する鉛直方向支柱の下方に位置する降下位置、の少なくとも2つの動作位置を設けるように構成された機械的位置制御機構と、機械的位置制御機構を制御して、特定の海の状態が発生すると、または必要に応じて、剛性組立品を上昇位置から降下位置に移動させるように、かつ、特定の状態が発生すると、剛性組立品を降下位置から上昇位置に移動させるように構成された制御ユニットとを備える。
【0006】
本発明のこれらの、追加的な、および/または他の局面および/または利点は、以下の詳細な説明において示される、つまり、詳細な説明から推定可能である、および/または、本発明の実施によって理解できる。
【0007】
発明の実施形態のより良い理解のために、および、これらがどのように実施されるかを示すために、以下で、あくまでも例示として添付の図面を参照する。図中、同一の参照番号は、全図面を通して対応する要素または部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムのハイレベル概略図である。
図1B】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムのハイレベル概略図である。
図1C】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムのハイレベル概略図である。
図1D】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムのハイレベル概略図である。
図1E】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムのハイレベル概略図である。
図1F】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムのハイレベル概略図である。
図1G】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムのハイレベル概略図である。
図2A】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムのハイレベル概略ブロック図である。
図2B】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムの位置および考えられる移動を示すハイレベル概略図である。
図2C】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムの位置および考えられる移動を示すハイレベル概略図である。
図3A】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3B】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3C】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3D】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3E】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3F】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3G】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3H】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3I】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3J】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3K】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3L】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3M】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3N】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図3O】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおける機械的位置制御機構を示すハイレベル概略図である。
図4A】発明の一部の実施形態に係る、剛性槽組立品における槽構成を示すハイレベル概略図である。
図4B】発明の一部の実施形態に係る、剛性槽組立品における槽構成を示すハイレベル概略図である。
図4C】発明の一部の実施形態に係る、剛性槽組立品における槽構成を示すハイレベル概略図である。
図4D】発明の一部の実施形態に係る、剛性槽組立品における槽構成を示すハイレベル概略図である。
図5】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システムにおいて魚介類を扱うために使用される可動槽床のハイレベル概略図である。
図6】発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖方法を示すハイレベルフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の様々な側面について以下で説明する。説明を目的として、本発明の十分な理解を提供するために、具体的な構成および詳細について説明する。しかしながら、当業者には、ここで提示される具体的な詳細がなくても本発明は実施可能であることが明らかである。さらに、本発明が不明瞭になるのを避けるために、周知の特徴を省略または簡略化してもよい。図面を具体的に参照すると、示される事項は例であり本発明を例示的に説明することのみを目的としており、最も有効と信じられている、発明の原則および概念的な側面を容易に理解するためであると思われるものを提供するために示されていることが強調される。この点について、発明の基礎的な理解に必要となる以上に発明の構造的な詳細を詳しく示そうとはしておらず、図面と共になされる説明によって、発明の様々な形態が実際に具現化され得る態様が当業者に明らかになる。
【0010】
発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、その適用について、以下の説明または図面で示される構成要素の構造および配置の詳細に本発明が限定されるわけではないことを理解されたい。発明は、様々な方法で実践または実行可能である他の実施形態、および開示された実施形態の組合せに適用可能である。また、本明細書で用いられる表現および用語は、説明のためのものであって、限定的なものとしてみなされるべきではないことを理解されたい。
【0011】
特に指示がない限り、以下の説明から明らかになるように、明細書の説明において、「処理(processing)」、「計算(computing)」、「算出(calculating)」、「決定(determining)」、「向上(enhancing)」などの用語を用いる説明は、コンピュータまたはコンピューティングシステム、コンピューティングシステムのレジスタおよび/またはメモリ内の物理的な、たとえば、電子的な量として表示されるデータを処理する、もしくはこれらをコンピューティングシステムのメモリ、レジスタ、またはその他のこのような情報記憶、送信もしくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表示される他のデータに変換する同様の電子コンピューティングデバイスの動作および/またはプロセスを表すと理解される。開示されるモジュールまたはユニットはいずれも、少なくとも部分的にコンピュータプロセッサによって実現可能である。
【0012】
図1A図1Gは、発明の一部の実施形態に係る外洋養殖システム100のハイレベル概略図である。図1Aおよび図1Bは斜視図であり、図1Cおよび図1Dは側面図であり、図1Eはシステム100の支柱および槽の上面図であり、図1Fおよび図1Gはこれらの概略図であり、図1Fは海水面よりも低い水平断面の上面図であり、図1Gは斜視図である。図1A図1Gの要素は、任意の動作可能な組合せが可能であり、特定の図に示されているが他の図では示されていない特定の要素の図示は、説明を目的としたものに過ぎず、限定的なものではない。図2Aは、発明の一部の実施形態に係る外洋養殖システム100のハイレベル概略ブロック図であり、図2Bおよび図2Cは、発明の一部の実施形態に係る外洋養殖システム100の位置および可能な移動を示すハイレベル概略図である。
【0013】
外洋養殖システム100は、海岸からかなり離れて動作するように、かつ、外洋での養殖の連続動作を可能にするように構成されている。外洋養殖システム100は、海水面90よりも部分的に下方に位置する鉛直方向支柱115によって浮かぶ半潜水型プラットフォーム110を備える(鉛直方向支柱115は、防水ポンツーンとして構成されてもよい)。半潜水型プラットフォーム100は、養殖を支えるための保管およびメンテナンス設備を有する操作デッキ111と、複数の鉛直方向支柱115とを備える。操作デッキ111は、海水面90の上方の高い位置に(116)に安定して設けられており、荒海の状態下で波の動きの影響を受けない、またはほとんど受けない。外洋養殖システム100は、海において長い操業期間に耐えるように構成されている。
【0014】
外洋養殖システム100はさらに、養殖槽120A、120Bなどの剛性組立品120を備える(図4A図4Dを参照)。剛性組立品120は、浮力機構127の少なくとも一部を備えてもよい、または、これから独立していてもよい。剛性組立品120は、半潜水型プラットフォーム110の対応する鉛直方向支柱115を収容するように構成された形状を有する複数の鉛直方向空洞121を有する(たとえば、図1A図1F図3Aを参照)。なお、鉛直方向支柱115は、海水面90と交差して剛性槽組立品120を収容する半潜水型プラットフォーム110の任意の構成要素として理解される。
【0015】
養殖槽120A、120Bなどの剛性組立品120の寸法および形状は制限されるものではなく、特に、剛性組立品120は、半潜水型プラットフォーム110の領域を越えて延在して多数の槽を支持可能であり、数十メートルの深さに達することもある。槽自体は幅よりも高さの方が大きくてもよい、高さよりも幅の方が大きくてもよい、または、同じような高さおよび幅を有していてもよい。槽は、魚介類、貝類、観賞植物類などのさまざまな種類の養殖に適応可能である。槽は、ネット(図示せず)で覆われて槽内の養殖された生物を維持し得る。図1Eに示すように、剛性槽組立品120は、プラットフォーム100の側面を越えて延在可能であり、必要とされる槽の体積に従って水平方向および鉛直方向に延在可能である。剛性槽組立品120は、プラットフォーム110の任意の海水面交差構造物を含み得る。ここでは、これらの構造物は、一般に非制限的な態様で鉛直方向支柱であるとして関連がある。
【0016】
浮力機構127(たとえば、浮き、または、膨張可能なチューブ、コンテナ、もしくは、制御ユニット160の制御の下で浮力を変更可能な他の要素などの浮力機構)は、様々な位置で剛性槽組立品120に接続可能であり、とりわけ剛性槽組立品120の上昇および降下中に剛性槽組立品120に浮力を提供し、剛性槽組立品120の浮力を制御する。
【0017】
外洋養殖システム100は、機械的位置制御機構130(図1B図1Dを参照)を備える。機械的位置制御機構130は、機械的に剛性組立品120を半潜水型プラットフォーム110に接続して剛性組立品120の水平方向の移動を制限するように、かつ、これらの間の相対位置を制御して少なくとも2つの動作位置を設けるように構成されている。これらの動作位置とは、剛性組立品120が鉛直方向空洞121において対応する鉛直方向支柱115を取り囲む上昇位置101(図1A図1C)、および、剛性組立品120が対応する鉛直方向支柱115よりも下方に位置する降下位置102(図1B図1D)である。機械的位置制御機構130は、剛性組立品120を上昇または降下させて海水面に対して槽の必要とされる位置を維持するように構成されている。機械的位置制御機構130は、上昇位置101および降下位置102の各々内の剛性組立品120の深さの調節101A、102Aを可能にして槽の深さの微調整が可能になるように構成され得る。なお、操作デッキ111と海水面90との間の高さ116が剛性組立品120の上昇位置101および降下位置102で維持され、この高さ116によって、操作デッキ111が安定して位置し荒海の状態下で波の動きの影響を受けない、またはほぼ受けないようにしている。
【0018】
特定の実施形態では、槽120の部分は、図1Fに模式的に示されるように、支持体120Aによって強化され得る。鉛直方向空洞121は、それらの外周上の1つまたは2つの地点で開口し得る、または、槽120によって完全に取り囲まれ得る。鉛直方向空洞121は、鉛直方向支柱115の断面よりもやや大きくなるように設計可能であり、機械的位置制御機構130は、鉛直方向空洞121の体積内で鉛直方向支柱115を維持するように、かつ、槽を上昇または降下させる間、および/または、外洋養殖システム100が通常通り動作している間に鉛直方向空洞121における槽120の内側側面120Bが鉛直方向支柱115に接触するのを防ぐように構成可能である。以下で詳細に説明するように、案内要素132、147Aは、鉛直方向空洞121の鉛直方向支柱115と内側側面120Bとのどちらか一方または双方に設定されて、衝撃からどちらか一方または双方を保護可能、および/または、それらの相対移動を案内可能である。
【0019】
特定の実施形態では、槽120は、少なくとも部分的に可撓性を有し得、可撓性ネット120Dなどで構成可能であり、図1Gに概略図、側面図、および上面図で模式的に示すように、ならびに、図2Cに概略図として模式的に示すように、1つ以上の剛性槽部120C、120Eによって支えることができる。機械的位置制御機構130は、剛性槽部120C、120Eのうちの少なくとも1つに接続されて槽120を上昇および降下可能である。
【0020】
外洋養殖システム100はさらに、機械的位置制御機構130を制御して、特定の荒海の状態または操作上の要求仕様が発生すると剛性組立品120を上昇位置101から降下位置102に移動させるように、かつ、特定の状態が発生すると剛性組立品120を降下位置102から上昇位置101に移動させるように構成された制御ユニット160を備える(図2A図2C)。制御ユニット160は、機械的位置制御機構130を制御するように、かつ、海の状態または他の操作上の要求仕様に従って海水面に対する剛性組立品120の深さを決定するように配置可能である。制御ユニット160は、気象センサを含み得、気象センサからの測定値に基づいて、測定された、および予想される海の状態に対して剛性組立品120の最適な深さを自動的に決定するように配置されている。
【0021】
たとえば、穏やかな海の状態での通常の動作を上昇位置101で実施可能である一方で、嵐(たとえば、荒海、高い波、強い海流など)の間、剛性組立品120は位置102に降下可能である。この降下位置では、剛性組立品120は依然として半潜水型プラットフォーム110に接続されているものの、海においてより深い位置で維持され、荒海または強い海流の状態が発生すると、たとえば強い海流に応じて水平方向の移動102Bを行って、剛性組立品120上におよびこれによって加えられる強い力によるプラットフォーム110への損傷を避ける。槽の降下によって、槽内の魚介類への損傷を低減または防止し、かつ、鉛直方向支柱115と槽組立品120との間の機械的な力の印可を防止する。機械的位置制御機構130は、移動102Bの水平方向の自由をある程度認める一方で、半潜水型プラットフォーム110に接続された剛性組立品120を維持するだけの強度を有するように構成されている。海が穏やかな期間は、槽組立品120は、成長した生物の要求に応じて上昇位置101に位置し得る。開示された機構および制御パターンによって、養殖されている魚介類または他の生物を保護するが、これは比較的小さな介入努力しか必要としない。つまり、槽組立品120は(上昇位置101において)水平方向に移動される必要はなく、槽の保護または移動のために付加的な容器および人員を必要としない。さらに、海が変化しても海岸からの介入は必要ではないため、制御ユニット160の反応時間は比較的短く、最も信頼性のあるデータを提供する位置で(かつ、海岸ではない場所で)海の状態が測定される。
【0022】
剛性槽組立品120の浮力制御装置を有する浮き127は、たとえば浮きユニット137として、機械的位置制御機構130の一部であり得、剛性槽組立品120の上昇および降下を支えるために制御ユニット160によって制御可能である。剛性槽組立品120は、浮き127が半潜水型プラットフォーム110の浮力から独立して、および/または、これと関連して制御可能な浮力機構を提供する状態で、自ら半潜水可能である。特定の実施形態では、半潜水型プラットフォーム110および槽120は、機械的位置制御機構130によって関連付けられた独立した半潜水型サブシステムであり得、鉛直方向支柱115および浮き127は、それぞれ独立した(可能であれば、それらの浮力を制御する1つ以上の制御ユニットを有する)浮力機構を提供している。
【0023】
外洋養殖システム100はさらに、鉛直方向支柱115が鉛直方向空洞121に係合している間に降下位置102から上昇位置101に移動するときに、剛性組立品120を案内するように構成された案内構造物165を備え得る。案内構造物165は、機械的位置制御機構130と少なくとも部分的に一体化可能である、すなわち、機械的位置制御機構130は、剛性組立品120を降下位置102から上昇位置101に上昇させると鉛直方向空洞121を鉛直方向支柱115のすぐ下方に少なくともほぼ適切に位置決めするように構成可能である(図2Bおよび図2Cの概略図を参照)。案内構造物165はさらに、槽の上昇および降下中におよび/または外洋養殖システム100の動作中に、鉛直方向支柱115および/または鉛直方向空洞121ならびに槽120を保護するように構成可能である。
【0024】
機械的位置制御機構130は、制御ユニット160の制御の下で、チェーン140を解除および回収するように構成された、プラットフォーム110上の少なくとも1つのモータ135に、剛性組立品120を接続する複数のチェーン140を含み得る。1つ(または複数)のモータユニット135は、電気によるものでもよい、水圧によるものでもよい、または、必要とされる力に適用可能ないかなる種類のものでもよい。1つ(または複数)のモータユニット135は、半潜水型プラットフォーム110に搭載された1つ(または複数)のクレーンによって置き換え可能である、および/または、補助可能である。
【0025】
図3A図3Oは、本発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システム100における機械的位置制御機構130を示すハイレベル概略図である。機械的位置制御機構130は、剛性組立品120を、制御ユニット160によって制御可能に、チェーン140を解除および回収するように構成されたプラットフォーム110上の(たとえば、鉛直方向支柱115上の)少なくとも1つのモータユニット135(まさしく模式的に示される1つ(または複数)のモータ、1つ(または複数)のプーリなどを含む)に接続する複数のチェーン140を含み得る(図2B図2Cを参照)。様々な構成の案内要素132、139(以下の非制限的な例を参照)は、鉛直方向支柱115および鉛直方向空洞121の相対運動を案内するために、かつ、様々な海の状態および動作上の要求において外洋養殖システム100の動作中にこれらが損傷するのを防止するために使用可能である。図3A図3Gの要素は、いかなる動作可能な組合せも可能であり、図1A図1G図2A図2C図4A図4D、および図5に示す開示されたシステム構成のいずれかの文脈内で動作可能である。特定の図面には示されているが他の図面では示されていない特定の要素の図示は、説明の目的でなされたに過ぎず、制限的なものではない。
【0026】
チェーン140は、1つ以上のガイド131、139によって鉛直方向支柱115に沿って案内可能である(図3B)。チェーン140は、対応する複数の取付位置146Aにおいて剛性組立品120に接続可能であり、付加的な接続構造146によって安定化および支持が可能である(図3C)。取付位置146Aは、チェーン140を1つ(または複数)のモータユニット135で引っ張ることによって剛性組立品120を降下位置102から上昇位置101まで上昇させると、剛性組立品120の鉛直方向空洞121の上部開口部を半潜水型プラットフォーム110の対応する鉛直方向支柱115の底部に対して位置決めするように選択可能である。
【0027】
チェーン140は、たとえば、上部案内要素131および底部案内要素139(図3B)によって半潜水型プラットフォーム110の対応する鉛直方向支柱115の少なくとも下側部分に沿って案内されて、チェーンの移動およびチェーンによって伝達された力の方向を制御可能である。チェーン140は、鉛直方向支柱115に沿って平行に案内可能であり、接続および/または、案内部材144A、144B(図3D図3E)によって安定化され得、および/または、チェーン140は、鉛直方向支柱115に沿って一緒に案内され得、その後、剛性組立品120に接続する前に複数のチェーン140A(図3F)に分割可能である。
【0028】
外洋養殖システム100はさらに、案内構造物165を備え得る(図2Aにおいて模式的に示され、図3A図3Oにおいて様々な部材、たとえば、部材144A、144B、146などを用いて実現される)。案内構造物165は、剛性組立品120を降下位置102から上昇位置101に上昇させると、剛性組立品120の鉛直方向空洞121の上部開口部を半潜水型プラットフォーム110の対応する鉛直方向支柱115の底部に向けて案内するように構成され得る(図3Kの概略的な説明および図3A図3Oの様々な実施形態を参照)。案内構造物165は、チェーン140を1つ(または複数)のモータユニット135によって上方に引っ張ると、鉛直方向空洞121の上部開口部を対応する鉛直方向支柱115の底部よりも下方の適切な位置内に至らせる態様で、幾何学的におよび印可された力に対して配置された複数の部材を含み得る(図3Kの概略説明図および図3A図3Oの様々な実施形態を参照)。たとえば、案内構造物165は、チェーン140A、チェーン140Aを剛性槽組立品120に接続する接続構造物146、鉛直方向支柱115上の上部案内要素131および底部案内要素139ならびに縁部案内要素144、さらに、鉛直方向支柱115上におよび空洞121(図示せず)の内側側面上にあることもある案内要素132の構成を含み得る。案内要素132は、機械的な衝撃を吸収するように、かつ、鉛直方向の移動101Aにおいて鉛直方向支柱115に沿って剛性槽組立品120を上方および下方に案内するように構成されている(図3Bおよび図3Cも参照)。案内構造物165は、槽120が上昇および降下している間に横方向に作用する力を均衡させて、支柱115に対する槽120の横方向の移動を抑制または防止し、鉛直方向空洞121内のやや中央に鉛直方向支柱115を維持し、鉛直方向支柱115および鉛直方向空洞121における槽120の内側側面120Bの相互に与える影響を防止するために構成され得る。
【0029】
図3Eは、本発明の一部の実施形態に係る、機械的位置制御機構130を示す概略図である。図3Eは、側面図で降下位置102および上昇位置101において支柱115のうちの1つに位置する機械的位置制御機構130、ならびに、機械的位置制御機構130の案内要素の詳細を示す概略図である。機械的位置制御機構130は、(たとえば、案内要素139、144、144Aによって)鉛直方向支柱115に沿って、たとえば、支柱115の縁部に沿って案内される平行なチェーン140を含み得る。案内要素139、144および/または144Aは、チェーン140を安定化し機械的位置制御機構130の動作中にそれらの平行な構成を維持するように構成され得る。特に支柱115の断面図で詳細に示す1つ(または複数)の案内要素144Aは、以下でより詳細に説明するように、チェーン140の相対位置を維持し、剛性槽組立品120の水平方向の移動を最小限にし、および/または、槽組立品120と鉛直方向支柱115との間の相対的な動きを最小限にするように構成可能である。平行なチェーン140は、確実に剛性槽組立品120を降下位置102で安定させるように、かつ、空洞121が支柱115を取り囲んでいる状態で、剛性槽組立品120の降下位置102から上昇位置101への上昇を簡単にするように選択された剛性槽組立品120に沿って、異なる高さにおいて接続構造物146を介して剛性槽組立品120に接続可能である。
【0030】
図3Fは、本発明の一部の実施形態に係る、機械的位置制御機構130における複数のチェーン140の利用を説明する概略図である。一部の実施形態では、チェーン140は、槽120上に固定された複数のチェーン140Aに分割可能であり、槽120の上昇および降下が可能であり、鉛直方向空洞121における鉛直方向支柱115の相対位置を維持可能である。ガイド139、142は、システム100の動作中にチェーン140Aの経路の案内および制御を行うように構成可能である。
【0031】
図3G図3Jは、本発明の一部の実施形態に係る、機械的位置制御機構130の様々な要素を説明する概略図である。1つ以上のチェーン組立品を、鉛直方向支柱115の角に位置決め可能である。図3G図3Jは、鉛直方向支柱115のそれぞれの外側縁部に沿って位置することも可能なチェーン組立品などを例として示す図である。ガイド139、147Aは、以下で説明するように、鉛直方向支柱115に沿ってチェーン140を案内するように、および/または、鉛直方向支柱115から離れた経路に沿って1つ以上のチェーン140Bを導いて槽120の力印可パターンを改善するように構成可能である。ガイド139は固定された上部板ガイドでもよく、ガイド147Aは、1つ(または複数)の支持体147Bに沿って案内される可動中央板でもよい。付加的なガイド147Dを、槽120を上昇および降下させると1つ(または複数)のチェーン140Bの正確な動きを確実にするために使用可能であり、支持体147B(たとえば、Iビームガイド)を、機械的位置制御機構130を機械的に安定させるために、かつ、可能であれば鉛直方向支柱115に沿ったガイド147Aの移動を可能にするために提供可能である。1つ(または複数)のショックアブソーバ147Eを異なる場所に設けて(チェーン140Bの部材147Cとの、可能であれば同様に接続構造物146との接続に近い例として示される)、機械的位置制御機構130に対する衝撃を減衰させることが可能である。縁部案内要素144は、可動支持体147Aの下方に位置決め可能であり、支持体147Aに対するストッパとして機能し得る(図3Jを参照)。可動支持体147Aは、様々な手段で1つ(または複数)の支持体147Bによって案内可能である。1つ(または複数)のロッドおよび/または1つ(または複数)のケーブルおよび/または他の張力印可部材が1つ以上のチェーン140に取って代わることが可能である。
【0032】
図3Kは、本発明の一部の実施形態に係る、モータユニット135による、および、槽120によるチェーン140への力の印可のハイレベル概略図の例を示す図である。機械的位置制御機構130は、チェーン140の相対位置を維持し、かつ、鉛直方向支柱115に沿って案内されると槽120の水平方向の移動を最小限にしつつ、下部槽120を上昇および降下させるように構成されている。特に、機械的位置制御機構130は、上昇位置101と降下位置102との間の制御および移行を行うように構成されている。図2A図2Cに模式的に示すように、上昇位置101では、槽120は鉛直方向支柱115に沿って移動され(移動101A)、降下位置102では、槽120は、鉛直方向支柱115に自由に接続されており、これらに衝撃を与えることなく鉛直方向支柱115の下方で水平方向に移動し得る(移動102B)。移行自体の間は、機械的位置制御機構130は、槽120を支柱115に係合するような(102→101)正確な態様で力を印可して、この移行を行うために必要な大きな力を印可しつつこれらを損傷することなく、空隙121内に支柱115を嵌合するように構成されている。機械的位置制御機構130はさらに、槽120および支柱115への損傷を避けつつ反対方向の移行(101→102)を行うように構成されている。例示的な計算では、図3KにおいてFと印を付けられた力は600~1200トンに達し、可動支持体147Aにかかる鉛直力の鉛直成分は、300~700トンに達し得る。そのため、機械的位置制御機構130は、そのような大きな力の確実で正確な印可を可能にするように構成され得る。槽120の支柱115に対する衝撃を防ぐために、正確な角度を維持可能であることが強調される。
【0033】
図3Lは、本発明の一部の実施形態に係る、可動ガイド147Aの位置を制御するための位置決め機構134の概略図である。図示された位置決め機構134は、たとえば、上述の図3Kにおいて模式的に示された力の計算から、リアルタイム測定、シミュレーションなどから導き出されるように、槽120と鉛直方向支柱115との間の接触を防ぐために好適な高さで可動ガイド147Aを位置決めするように構成され得る。たとえば、位置決め機構134は、可動ガイド147Aを槽120の上方の一定の高さに位置決めするように、すなわち、槽120が上昇されると可動ガイド147Aを上昇させ、槽120が降下されると可動ガイド147Aを降下させるように構成され得る。位置決め機構134は、鉛直方向支柱115に沿って可動ガイド147Aの高さを制御するために、(たとえば、モータユニット135から独立した)モータユニット136と、(非例示的な例として)閉鎖チェーンループ141とを備え得る。
【0034】
図3M図3Oは、本発明の一部の実施形態に係る、機械的位置制御機構130の要素の概略図である。一部の実施形態では、機械的位置制御機構130は、ケーブル140(たとえば、マルチワイヤケーブル)を用いるように構成され得、可能であれば、チェーン140に換えてまたはこれらに加えて、シーブシステムを有する。たとえば1つ(または複数)の持ち上げ補償機149Bを介してケーブル140を槽120に固定するために、対応するウインチを使用して、Fに対する各ケーブルにおける力を低減可能である。槽120は、ガイド147B、および可能であればグリッパおよび/またはブレーキ149Aを移動制限器として使用して、支柱115に沿って案内可能である。自在継手などの継ぎ手149によって支柱115および槽120に接続可能なショックアブソーバ149D(たとえば、図示しないチェーン駆動装置および/またはプーリシステムによって接続され移動可能な油圧ショックアブソーバ)を有するシャフト(1つ(または複数)の径方向および/または軸方向ベアリング)を含み得る稼動組立品149Cによって、ガイド147Bを槽120と対応付けることができる。たとえば、図3Nは、側面図およびA-Aと記された表面からの上面図において本発明の特定の実施形態に係る可動組立品149Cの構成を示す概略図である。図3Oは、ガイド147Bに沿ってガイドおよびローラー147Fによって移動される可動組立品149Cの代替的な構成を示す概略図である。
【0035】
図4A図4Dは、本発明の一部の実施形態に係る、剛性槽組立品120における槽構成を示すハイレベル概略図である。剛性槽組立品120は、槽グリッド126によって隔てられた複数の槽120A、120B、120C、120Dなどを含むが、これらは非制限的な態様で概略的に示されており、剛性であり得る、または、少なくとも部分的に可撓性であり得る。剛性槽組立品120は、剛性槽組立品120のバックボーンを提供する接続部材124、および養殖槽120A、120Bなどを画成する複数の槽グリッド126を収容するように構成された複数のレール124A、124Bを有する枠組み122を含み得る。槽グリッド126は、それぞれの槽における養殖において動物を維持するように構成された剛性または可撓性ネット125によって覆われ得る。対応する枠組み124は、場合によっては槽グリッド126を対応するレール124A、124Bなどに導入することによって槽の体積を調整可能なモジュール態様で、槽グリッド126を収容するように構成された支持レール124A、124Bなどを支持するように構成され得る(図4C)。レール124A、124Bのうちの少なくとも一部は、前の槽グリッド126を除去する前に追加の槽グリッド126を導入することによって、槽120A、120B、120C、120Dなどを解体することなく、対応する槽グリッド126を交換できるように構成された二重レール124A、124Bでもよい(図4D)。なお、図4Cでは、空のレール124Aは、(図示する)前の槽グリッド126を占有されたレール124B内に維持しつつ、必要であれば、追加の槽グリッド126(図示せず)の収容に備えている。枠組み122、124は、上昇位置101と降下位置102との間で全体に機械的に剛性槽組立品120を上昇および降下させると、および、外洋養殖システム100の通常の沖合での動作中に、剛性槽組立品120とレール124A、124Bとを槽グリッド126で機械的に支持するように構成され得る。なお、剛性槽組立品120は、モジュラー形状または非モジュラー形状のいずれでも構成可能である。なお、レール124A、124Bは、槽組立品120の特定の実施形態において使用可能である一方で、他の実施形態は、槽グリッド126の一部もしくは全ての恒久的な組立品、または、少なくとも一部の槽グリッド126の組立品を、上述の態様とは異なる態様で含み得る。
【0036】
図5は、本発明の一部の実施形態に係る、外洋養殖システム100において魚介類を扱うために使用される可動槽床150のハイレベル概略図である。剛性槽組立品120は、槽120のうちの少なくとも一部において体積の変更および適合が可能になるように構成され得る。槽120の体積および深さは、特定の養殖の使用にしたがって、すなわち、槽で成長した動物の種類、それらの成長段階および必要とされる状態(海の状態、濃度状態など)に従って適合可能である。また、剛性槽組立品120は、異なる成長段階を支えるために、必要であれば槽の修理を可能にするために、かつ、制御された安全な態様で魚介類を収穫するために、養殖している魚介類または他の種類の動物の槽(120A)から槽(120B)への移動(159)を可能にするように構成され得る。養殖槽120Aの少なくとも一部は、制御ユニット160によって制御可能な、仕切り位置決め装置152によって槽120A(たとえば、支持部材を有するローラー)に接続された鉛直方向可動仕切り150を含み得る。鉛直方向可動仕切り150は、平行であり得る、または傾斜し得、その底部に回転ドア機構を有し得る。鉛直方向可動仕切り150は、指定された開口部(たとえば、着脱可能な槽グリッド126または槽グリッド部分)を通じて魚介類を槽から槽へ移動させることができる。仕切り150は、可能であれば機械的位置制御機構130と関連して1つ(または複数)のモータとチェーンとによって移動され得る。仕切り150の移動は、魚介類を保護して状態の変化を漸進的なものにするために、剛性槽組立品120の移動(たとえば、上昇位置101から降下位置102へ)と調整可能である。たとえば、荒海の予報が出ると、魚介類を1つ(または複数)の仕切り150によって槽内で降下させてもよく、この予報が現実であった場合、1つ(または複数)の仕切り150が一時的に上昇させられる一方で剛性槽組立品120は降下されて、魚介類の収容に多くの時間を割り当てることができる。最終的に、(たとえば、降下位置102において)最大深さが必要な場合、1つ(または複数)の仕切り150を降下位置102にまで降下可能である。1つ(または複数)の仕切り150はさらに、各槽内の魚介類の種類または大きさを制御するために使用可能である。
【0037】
魚介類は、たとえば、吸上げ、汲上げなどの様々な方法を用いて、クレーンを用いて、ねじポンプを用いて取出されてもよい。外洋養殖システム100はさらに、大きさによって魚介類を仕分け、魚介類が成長するに従ってそれらの大きさに応じて槽120A、120Bの間で移動させるように配置された仕分けシステム(図示せず)を備えてもよい。メンテナンス設備111は、たとえば、槽および魚介類を監視するためのコンピュータ化されたセンターを含んでもよく(視覚的に、化学工程により、および/または酸素、温度、塩分センサなどの環境センサを使用して)、魚介類の生物量を測定し、給餌プロセスを管理および制御し、病気の兆候を検出し、乗組員が養殖を継続的に監督できるようにする。沖合外洋養殖システム100はさらに、槽が水中にある状態で、乗組員が、部品の解体および取替えなどのメンテナンスを24時間行うことができるようにする設備111を含み得る。半潜水型プラットフォーム110はさらに、備品および魚介類の搬送を可能にする船係留施設と、ヘリコプター着陸地とを含み得る。
【0038】
図6は、本発明の一部の実施形態に係る外洋養殖方法200を説明するハイレベルフローチャートである。方法200はシステム100によって実現され得、システムは、方法200を作用させるように構成され得る。列挙された段階の一部は任意であり、これらの段階の順番は、動作を考慮して変更可能である。
【0039】
方法200は、養殖槽の剛性組立品を、複数の鉛直方向支柱を含む半潜水型プラットフォームに機械的に接続すること(段階202)を含み、半潜水型プラットフォームは、養殖を支えるために保管およびメンテナンス設備を有するように構成される(段階204)。剛性組立品は、半潜水型プラットフォームの対応する鉛直方向支柱を収容するように形成された複数の鉛直方向空洞を含むように構成される(段階210)。
【0040】
方法200はさらに、剛性組立品と半潜水型プラットフォームとの間に少なくとも2つの動作位置を含む制御可能な相対位置を設けるように、機械的な接続を構成すること(段階220)を備える。これらの動作位置は、当該位置における鉛直方向位置調節を可能にしつつ(段階235)剛性組立品の水平方向移動を制限するために(段階232)、剛性組立品に鉛直方向空洞において対応する鉛直方向支柱を取り囲ませるように構成された(段階230)上昇位置、および、剛性組立品を対応する鉛直方向支柱の下方に位置させるように構成されて(段階240)、降下位置における剛性組立品の水平方向および鉛直方向の移動をある程度可能にする(段階245)降下位置である。
【0041】
方法200はさらに、剛性組立品と半潜水型プラットフォームとの間の相対位置を制御して(段階250)、特定の荒海の状態が発生すると、もしくは必要に応じて他のときにおいて、剛性組立品を上昇位置から降下位置に移動させ、特定の状態が発生すると、剛性組立品を降下位置から上昇位置に移動させることと(段階260)、穏やかな海などの特定の状態が発生すると、剛性組立品を降下位置から上昇位置に移動させること(段階270)とを備える。
【0042】
方法200はさらに、剛性組立品を降下位置から上昇位置に上昇させると、剛性組立品の鉛直方向空洞の上部開口部を半潜水型プラットフォームの対応する鉛直方向支柱の底部に向けて案内すること(段階280)を備え得る。
【0043】
方法200はさらに、剛性組立品をプラットフォーム上の少なくとも1つのモータユニットに接続する複数のチェーンを含むように、機械接続を構成すること(段階290)と、制御可能にチェーンの解除および回収を行うように、少なくとも1つのモータユニットを構成すること(段階295)とを備え得る。
【0044】
方法200はさらに、少なくとも1つのモータユニットでチェーンを引っ張ることによって剛性組立品を降下位置から上昇位置に上昇させると、剛性組立品の鉛直方向空洞の上部開口部を半潜水型プラットフォームの対応する鉛直方向支柱の底部に対して位置決めするように選択された対応する複数の取付位置において、チェーンを剛性組立品に接続すること(段階300)を備え得る。
【0045】
方法200はさらに、チェーンを、半潜水型プラットフォームの対応する鉛直方向支柱の少なくとも下側部分に沿って案内すること(段階305)を備え得る。
【0046】
特定の実施形態では、方法200はさらに、養殖槽を画成する複数の槽グリッドを収容するように構成された複数のレールを有するように、剛性組立品を構成すること(段階310)を備え得る。方法200はさらに、槽を解体することなく対応する槽グリッドの取り替えを可能にするダブルレールとして、レールの少なくとも一部を構成すること(段階315)を備え得る。レールの使用は任意の特徴であり、方法200は、段階310および315がなくても実施可能である。方法200はさらに、槽の体積を制御するために、魚介類を槽から槽へ移動させるために、および/または、魚介類を槽から取り出すために、養殖槽の少なくとも一部において鉛直方向可動仕切りを構成および使用すること(段階320)を備え得る。
【0047】
上述の説明で、実施形態は、発明の一例または一実施態様である。「一実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」または「一部の実施形態」という様々な記載は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。発明の様々な特徴について1つの実施形態の文脈で説明されてもよいが、これらの特徴は、別々にまたは任意の好適な組合せで提供されてもよい。逆に、発明は、理解を容易にするために別々の実施形態の文脈で説明されてもよいが、本発明を1つの実施形態において実現してもよい。発明の特定の実施形態は、上記に開示した異なる実施形態の特徴を含んでもよく、特定の実施形態は、開示した他の実施形態の要素を組み込んでもよい。特定の実施形態の文脈で発明の要素が開示されていても、それらの使用を特定の実施形態のみに限定するとみなすべきではない。さらに、発明は、さまざまな形で行う、または実施することができること、および、発明は、上記の説明に要約されたもの以外の特定の実施形態で実施可能であることを理解されたい。
【0048】
発明は、上記の図または対応する説明に限定されない。たとえば、フローは、図示された各ボックスもしくは状態、または、図示および説明が行われたものと全く同じ順で進む必要はない。明細書中で用いられる技術用語および科学用語の意味は、特に規定がない限り、発明の属する分野の当業者により一般的に理解されるとおりである。限定的な数の実施形態について発明を説明したが、これらは、発明の範囲に対する限定事項としてではなく、好ましい実施形態の一部の例示として解釈されるべきである。他の可能な変形、変更、および適用もまた、本発明の範囲内である。したがって、本発明の範囲は、説明が行われたものによって限定されるべきではなく、添付の請求項の範囲とそれらの法律上の均等物によって制限されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3N-1】
図3O
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図6-1】
図6-2】
図6-3】