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特許7069152遺伝子組換えにより内在性FOXP3遺伝子の発現が安定化されたCD4 T細胞を使用した自己免疫疾患の治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】遺伝子組換えにより内在性FOXP3遺伝子の発現が安定化されたCD4 T細胞を使用した自己免疫疾患の治療方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20220510BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220510BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20220510BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20220510BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20220510BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N15/12
C12N15/86 Z
C12N5/10
A61K35/28
A61P1/04
A61P3/10
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P37/06
A61P25/00
A61P5/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2019522995
(86)(22)【出願日】2016-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2016059729
(87)【国際公開番号】W WO2018080541
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2019-10-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 アメリカン ソサイアティ オブ ジーン アンド セル セラピー 第19回アニュアルミーティング開催日 平成28(2016)年5月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】515045617
【氏名又は名称】シアトル チルドレンズ ホスピタル (ディービーエイ シアトル チルドレンズ リサーチ インスティテュート)
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】シャーレンバーグ,アンドリュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ローリングス,デイヴィッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トーガーソン,トロイ
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/123578(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/115179(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/09
C12N 15/12
C12N 15/86
C12N 5/10
A61K 35/28
A61P 1/04
A61P 3/10
A61P 19/02
A61P 29/00
A61P 37/02
A61P 37/06
A61P 25/00
A61P 5/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビトロまたはエクスビボにおいて遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、(a)異種プロモーターおよびFOXP3遺伝子配列を含む第1の核酸ならびに(b)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする第2の核酸を細胞に導入することを含み、前記FOXP3遺伝子配列は、前記ヌクレアーゼの存在下で細胞ゲノムのFOXP3遺伝子を編集するために十分であり、前記ヌクレアーゼは、異種プロモーターの挿入を促進するために、(i)前記細胞ゲノムのFOXP3遺伝子の第1のコーディングエクソン内またはそれより上流、かつ(ii)FOXP3遺伝子の胸腺特異的脱メチル化領域(TSDR)の下流の標的遺伝子座を切断でき、前記細胞ゲノムは前記異種プロモーターがFOXP3遺伝子に作動可能に連結するように編集され、前記遺伝子組換え細胞が作製されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記標的遺伝子座が、細胞ゲノムにおけるFOXP3遺伝子の第1のコーディングエクソンの上流110塩基対以内に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的遺伝子座が、FOXP3遺伝子の第1のコーディングエクソン内に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ヌクレアーゼが、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の核酸が、さらに異種転写エンハンサーおよび/または遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記異種プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記構成的プロモーターが、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記異種プロモーターが、誘導型プロモーターである、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞が、T細胞、前駆・幹細胞、造血幹細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞または制御性T細胞である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞がCD4+T細胞であり、前記異種プロモーターが構成的プロモーターである、請求項1~およびのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
インビトロまたはエクスビボにおいて遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードする核酸を細胞に導入することを含み、前記ヌクレアーゼは、(i)細胞ゲノムのFOXP3遺伝子の第1のコーディングエクソン内またはそれより上流、かつ(ii)FOXP3遺伝子の胸腺特異的脱メチル化領域(TSDR)の下流へ異種プロモーターを挿入することにより、FOXP3の安定発現のために細胞が編集されるように標的遺伝子座を切断できるCas9であることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記細胞がCD4+T細胞である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記遺伝子組換え細胞が、制御性T細胞の表現型を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の方法により作製され、(i)細胞ゲノムのFOXP3遺伝子の第1のコーディングエクソン内またはそれより上流、かつ(ii)FOXP3遺伝子の胸腺特異的脱メチル化領域(TSDR)の下流に、異種プロモーターがFOXP3遺伝子に作動可能に連結されている遺伝子組換え細胞。
【請求項15】
細胞ゲノムのFOXP3遺伝子に作動可能に連結された異種プロモーターを含む細胞であって、前記異種プロモーターが(i)FOXP3遺伝子の第1のコーディングエクソン内またはそれより上流、かつ(ii)FOXP3遺伝子の胸腺特異的脱メチル化領域(TSDR)の下流に存在する、細胞。
【請求項16】
前記異種プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項15に記載の細胞。
【請求項17】
前記細胞が、T細胞、前駆・幹細胞、造血幹細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞または制御性T細胞である、請求項15または16に記載の細胞。
【請求項18】
前記細胞がCD4+T細胞であり、前記異種プロモーターが構成的プロモーターである、請求項1517のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項19】
制御性T細胞の表現型を有する、請求項1518のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項20】
(a)異種プロモーターおよびFOXP3遺伝子配列を含む第1の異種核酸ならびに(b)異種ヌクレアーゼまたは異種ヌクレアーゼをコードする第2の異種核酸を含む細胞であって、前記FOXP3遺伝子配列は、前記異種ヌクレアーゼの存在下でFOXP3ゲノム遺伝子座を編集するために十分であり、前記異種ヌクレアーゼは、異種プロモーターの挿入を促進するために、(i)細胞ゲノムのFOXP3遺伝子の第1のコーディングエクソン内またはそれより上流、かつ(ii)FOXP3遺伝子の胸腺特異的脱メチル化領域(TSDR)の下流の標的遺伝子座を切断できることを特徴とする細胞。
【請求項21】
前記異種ヌクレアーゼが、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである、請求項20に記載の細胞。
【請求項22】
前記細胞が、T細胞、前駆・幹細胞、造血幹細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞または制御性T細胞である、請求項20または21に記載の細胞。
【請求項23】
前記細胞がCD4+T細胞であり、前記異種プロモーターが構成的プロモーターである、請求項2022のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項24】
請求項1423のいずれか1項に記載の細胞および医薬賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項25】
対象における自己免疫疾患の治療、抑制または緩和に使用するための、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチ、糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群、クローン病、多発性硬化症、特発性エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、強皮症、溶血性貧血、血管炎、1型糖尿病、グレーヴス病、グッドパスチャー症候群、筋疾患、重症複合免疫不全、ディ・ジョージ症候群、高IgE症候群、分類不能型免疫不全、慢性肉芽腫症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、高IgM症候群、白血球接着不全症、NF-κB必須モジュレーター(NEMO)変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無γグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖症または毛細血管拡張性運動失調症である、請求項25に記載の使用するための医薬組成物。
【請求項27】
前記自己免疫疾患が、IPEX症候群である、請求項26に記載の使用するための医薬組成物。
【請求項28】
前記自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデスである、請求項26に記載の使用するための医薬組成物。
【請求項29】
前記自己免疫疾患が、糖尿病である、請求項26に記載の使用するための医薬組成物。
【請求項30】
前記自己免疫疾患が、炎症性腸疾患である、請求項26に記載の使用するための医薬組成物。
【請求項31】
前記自己免疫疾患が、多発性硬化症である、請求項26に記載の使用するための医薬組成物。
【請求項32】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチである、請求項26に記載の使用するための医薬組成物。
【請求項33】
前記自己免疫疾患が、クローン病である、請求項26に記載の使用するための医薬組成物。
【請求項34】
対象における臓器移植の副作用の治療、抑制または緩和に使用するための、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記臓器移植の副作用が、移植片対宿主病(GvHD)である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記細胞が前記対象から採取された細胞である、請求項2435のいずれか1項に記載の使用するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自己免疫疾患を治療する方法および移植臓器に対する免疫寛容を誘導する方法について述べる。これらの方法は、重症自己免疫疾患および臓器移植のための細胞療法にも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
末梢における免疫自己寛容は、免疫応答に対する様々な細胞によるネガティブ制御によって達成することができるが、このような機能を有する細胞の中でも、最も特徴的な細胞集団として制御性T細胞(Treg)が挙げられる。Tregは、エフェクターT細胞(Teff)の活性化を抑制し、抗炎症活性を発揮することによって、自己寛容と同種抗原に対する免疫寛容を媒介している。たとえば、CD4+CD25+Foxp3+Tregは、自己免疫疾患および臓器移植に関して最も詳しく研究および評価されているT細胞のうちの1種である。
【0003】
Tregは「サプレッサーT細胞」としても知られている。特に、CD4+CD25+制御性T細胞は、インビトロおよびインビボにおいて制御機能を発揮し、インビトロにおいてCD4+TeffおよびCD8+Teffの増殖を抑制することが報告されている。CD4+CD25+制御性T細胞は、自己免疫、アレルギー、炎症、胎児に対する母体の免疫寛容の維持、感染症およびがんにおいても重要な役割を果していることが示されている。さらに、Tregは免疫応答を抑制することが知られている。がんでは、Tregの過剰な細胞活性によって、免疫系によるがん細胞の破壊が阻害されることがある。また、自己免疫疾患では、制御性T細胞の活性が欠如していることから、自己免疫細胞が生体自身の組織を攻撃してしまう。
【0004】
Treg細胞には、胸腺で発生する内在性(n)Tregと、末梢で発生する誘導性Treg(iTreg)とが含まれる。nTregは胸腺で発生し、フォークヘッド/ウィングドヘリックス転写因子(FOXP3)を発現することができ、この転写因子によってnTregの分化が制御される。一方、iTregは、末梢のメモリーCD4+TeffおよびナイーブCD4+Teffが、IL-4、IL-10、TGF-βおよびIL-2の存在下で自己抗原または異種抗原によって刺激されることにより発生する。
【0005】
FOXP3は、免疫系の応答に関与するタンパク質であり、11個のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子によってコードされる。改訂された命名法によれば、第1のコーディングエクソンはエクソン2と呼ばれる。FOXP3は、制御性T細胞の発生および機能において、制御性経路のマスター制御因子として機能することが明らかになっている。動物研究では、FOXP3を発現するTregが、自己寛容などの免疫寛容の移入において重要であることが示されている。さらに、FOXP3陽性細胞を誘導または投与すると、糖尿病モデル、多発性硬化症モデル、喘息モデル、炎症性腸疾患モデル、甲状腺炎モデルまたは腎臓病モデルにおいて自己免疫疾患の重症度が低下することが示されている。
【0006】
疾患の治療のためにTregを使用すること、または臓器移植を行った場合に免疫系を抑制するためにTregを使用することが過去に提案されている。しかし、自己免疫疾患の治療法においてtTregまたはpTregを使用する際の最も重要な障壁の1つは、FOXP3発現がエピジェネティックな制御を受けることである。tTregでは、FOXP3遺伝子の「胸腺特異的脱メチル化領域」として知られている上流領域が完全に脱メチル化されており、これによって、FOXP3が安定に発現すると考えられている。通常、完全な脱メチル化はpTregでは観察されない。FOXP3は、炎症状態のpTregにおいてエピジェネティックにサイレンシングされていると考えられ、恐らくはtTregにおいてもエピジェネティックにサイレンシングされており(しかし、tTregは完全に安定であると考えている研究者もいる)、この結果、pTregが炎症促進性CD4+T細胞に変化する場合があると考えられている。炎症性の表現型に戻ってしまうpTregを点滴に使用すると、自己免疫疾患の症状を悪化させる可能性があるため、pTregの安定性の欠如は重大な問題である。したがって、TregにおいてFOXP3を誘導できる安全な方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
制御性T細胞は、抗原特異的免疫寛容を誘導できる可能性があることから、制御性T細胞による自己免疫疾患の治療に興味を持っている研究グループは多い。制御性T細胞(「Treg」)には様々な形態があり、現在の命名法によれば、T細胞の発生過程において胸腺で生じる制御性T細胞(胸腺由来制御性T細胞または「tTreg」と呼ばれる)と、末梢で誘導される制御性T細胞(末梢由来制御性T細胞または「pTreg」と呼ばれる)とに分類される。
【0008】
制御性T細胞の生態の重要な一面として、転写因子であるFOXP3の発現がある。FOXP3は、制御性T細胞系の分化の誘導に必要であると考えられている。この概念は、FOXP3を欠損したヒトでは新生児期に重症自己免疫疾患が発症するという観察に基づくものである。しかし、自己免疫疾患の治療法においてtTregまたはpTregを使用する際の最も重要な障壁は、FOXP3発現がエピジェネティックな制御を受けることである。tTregでは、FOXP3遺伝子の「胸腺特異的脱メチル化領域」として知られている上流領域が、完全に脱メチル化されており、これによって、FOXP3が安定に発現すると考えられている。通常、完全な脱メチル化はpTregでは観察されない。FOXP3は、炎症状態のpTregにおいてエピジェネティックにサイレンシングされていると考えられ、恐らくはtTregにおいてもエピジェネティックにサイレンシングされていると考えられる。この結果、pTregが炎症促進性CD4 T細胞に変化する場合があると考えられる。炎症性の表現型に戻ってしまうpTregを点滴に使用すると、自己免疫疾患の症状を悪化させる可能性があるため、pTregの安定性の欠如は重大な問題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
バルクCD4 T細胞集団においてFOXP3の発現を増強するための、本明細書において提案された方法は、炎症性T細胞集団が持つTCRレパトアを制限することができることから、内在性制御性T細胞集団を単離する他の方法よりも優れている。自己免疫疾患の患者または臓器移植片の拒絶反応を起こした患者の炎症性T細胞集団の内在性TCRレパトアには、臓器中の炎症を起こした組織または外来組織を認識し、正確に結合する特異性を備えたTCRが見られる。このようなT細胞は、自己炎症反応または臓器拒絶を媒介すると考えられている。バルクCD4 T細胞集団の一部を制御性の表現型に変換することによって、炎症促進性集団中のTCR特異性を、治療効果のある細胞集団において利用することができる。この点において、本発明の方法は、胸腺由来制御性T細胞(炎症性T細胞と重複することのない異なるTCRレパトアを有すると考えられている)を利用した他の治療法よりも優れている。さらに、自己免疫疾患の患者または臓器拒絶を起こした患者では、恐らく、生体内のtTreg集団は、炎症の回避に必要な免疫寛容の誘導に失敗していると考えられる。
【0010】
したがって、本明細書に記載の本発明の態様のいくつかは、内在性FOXP3遺伝子を安定に発現するように遺伝子組換えされたCD4 T細胞を使用して、自己免疫疾患を治療または緩和する方法に関する。本明細書に記載のアプローチのいくつかは遺伝子組換え技術を利用しており、たとえば、遺伝子組換えによりCD4 T細胞におけるFOXP3の発現を安定化させることによって、抑制機能に関与するエピジェネティックな修飾に感受性を示さなくなった抑制性T細胞の増殖集団を作製することを可能としている。このようにして得られた細胞は、治療に適用可能な特性が改善している。
【0011】
第1の態様において、FOXP3を発現させるための核酸を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を提供すること;ヌクレアーゼを提供すること;および前記1つ以上の制御因子を編集し、かつ任意でFOXP3遺伝子またはその一部を編集することにより、前記第1のヌクレオチド配列の遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性の第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記1つ以上の制御因子に存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記FOXP3遺伝子またはその一部に存在する。いくつかの実施形態において、前記FOXP3遺伝子またはその一部は、内在性の第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、異種プロモーター、異種転写エンハンサー領域、またはこれらの両方を挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、弱い異種プロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種転写エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、誘導型エフェクターを挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記誘導型エフェクターは、ステロイドまたは薬物によって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターを挿入することにより、第1のコーディングエクソンが生じ、該異種プロモーターは、前記コード鎖上の該第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に存在し、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の内在性の第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に前記異種プロモーターを挿入し、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。
【0012】
第2の態様において、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法で作製された、FOXP3を発現させるための核酸を提供する。前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を提供すること;ヌクレアーゼを提供すること;および前記1つ以上の制御因子を編集し、かつ任意でFOXP3遺伝子またはその一部を編集することにより、前記第1のヌクレオチド配列の遺伝子編集を行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性の第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記1つ以上の制御因子に存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記FOXP3遺伝子またはその一部に存在する。いくつかの実施形態において、前記FOXP3遺伝子またはその一部は、内在性の第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、異種プロモーター、異種転写エンハンサー領域、またはこれらの両方を挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、弱い異種プロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種転写エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、誘導型エフェクターを挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記誘導型エフェクターは、ステロイドまたは薬物によって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターを挿入することにより、第1のコーディングエクソンが生じ、該異種プロモーターは、前記コード鎖上の該第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に存在し、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の内在性の第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に前記異種プロモーターを挿入し、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。
【0013】
第3の態様において、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部に作動可能に連結された異種制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を提供する。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に存在する。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。
【0014】
第4の態様において、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0015】
第5の態様において、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製された、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞を提供する。遺伝子組換え細胞を作製する前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0016】
第6の態様において、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターが挿入されている。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0017】
第7の態様において、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む組成物を提供する。前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製することができる。遺伝子組換え細胞を作製する前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターが挿入されている。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0018】
第8の態様において、対象における自己免疫疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本発明の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。また、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む組成物を提供する。前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製することができる。さらに、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターが挿入されている。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、糖尿病、炎症性腸疾患、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群、クローン病、多発性硬化症、特発性エリテマトーデスまたは全身性エリテマトーデスである。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の治療を受けるべき対象として特定または選択された対象である。
【0019】
第9の態様において、対象における臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本発明の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。また、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む組成物を提供する。前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製することができる。さらに、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターが挿入されている。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0020】
第10の態様において、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本発明の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。また、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む組成物を提供する。前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製することができる。さらに、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターが挿入されている。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0021】
第11の態様において、対象における自己免疫疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、自己免疫疾患の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して、治療、抑制または緩和を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、糖尿病、炎症性腸疾患、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群、クローン病、多発性硬化症、特発性エリテマトーデスまたは全身性エリテマトーデスである。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の治療を受けるべき対象として特定または選択された対象である。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0022】
第12の態様において、対象における臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、臓器移植の副作用の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して、治療、抑制または緩和を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0023】
第13の態様において、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、臓器移植の副作用の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して、治療、抑制または緩和を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】FOXP3はTreg系を促進する。図に示すように、ナイーブT細胞は、IL-12、IL-18、IFNγ、IL-6、TGF-β、IL-4およびIL-2を発現し、これらのサイトカインによって、TH1、TH17、TH2およびiTregが制御される。また、Tregは、様々な自己免疫疾患(IPEX、T1D、SLE、RA、EAEなど)において重要な役割を果たしている。ヒトTreg細胞の数またはその機能を増強するための様々なアプローチは、現在臨床試験段階にあり、たとえば、低用量のIL-2と増殖培養した自己由来Tregの養子移入とを組み合わせた治療法が臨床試験中である。IL-2療法は、その多面的活性と、炎症を増強しうる潜在的な「オフターゲット」効果を有することから、その有効性は限定的である。また、養子移入Treg療法も、増殖培養したTregはインビボでの安定性と生存能力に問題があり、治療に有用な抗原特異性が欠如していることから、恐らく限定的にしか利用できない。
【0025】
図2】T細胞編集ツールを示す。図に示すように、ヌクレアーゼおよび修復テンプレートを効率的に共送達できる既存の方法を利用して、本発明の様々な実施形態による方法を実施することができる。図に示すように、T細胞を活性化して増殖させる。CD3/CD28ビーズでT細胞を刺激した後、ビーズを除去する。次に、mRNAエレクトロポレーションによりTALENを送達する。遺伝子編集テンプレートはアデノ随伴ウイルスにより送達する。
【0026】
図3】遺伝子編集によるFOXP3発現の増強を示す。本発明の実施形態で述べるように、遺伝子編集によりFOXP3を発現させることで、エピジェネティックな制御をバイパスすることができる。FOXP3のコード領域の上流にプロモーターを安定かつ部位特異的に組み込んだ設計によって、従来の制御を無効化することができた。Foxp3の発現は、通常、第1のコーディングエクソン(エクソン2)の上流のイントロン領域(イントロン1)によるエピジェネティックな制御によって制御される。休止状態のナイーブT細胞では、FOXP3遺伝子座はエピジェネティックに「閉じた状態」である(FOXP3-)。胸腺に由来する内在性TregのFOXP3遺伝子座は「開いた状態」(FOXP3+)である。誘導性Treg(iTreg)のFOXP3遺伝子座は部分的に開いた状態である(FOXP3+;不安定)。
【0027】
図4】相同組換え修復ターゲティングによる安定なFOXP3+細胞の作製を示す。図に示すように、FOXP3遺伝子のエピジェネティックな制御部位は、FOXP3遺伝子の上流に位置する。安定なFOXP3+T細胞を作製するため、T細胞を提供し、まずCD3/CD28で活性化する。遺伝子編集テンプレートはアデノ随伴ウイルスにより送達し、ヌクレアーゼをコードするmRNAをT細胞に導入して遺伝子編集T細胞を作製する。
【0028】
図5】遺伝子編集テンプレートの設計は、非常に柔軟に行うことができる。図に示すように、5種の構築物、すなわち、GOXP3[GFP-ex2]、FOXP3[MND-GFP-ex2]、FOXP3[MND-EGFRt.t2A-ex2]、FOXP3[MND-IL10.t2A.GFP-ex2]およびFOXP3[del-intron1.GFP]を構築した。
【0029】
図6】遺伝子編集によるFOXP3遺伝子の効率的な標的化および導入外来遺伝子の高発現誘導を示す。図に示すように、MNDプロモーターの制御下で、内在性FOXP3遺伝子のN末端に融合したGFPを発現するように遺伝子組換えした細胞は、TALENヌクレアーゼを導入しなかったT細胞よりも、GFP-FOXP3融合タンパク質の発現量が多かった。
【0030】
図7】遺伝子編集細胞では、シームレスな相同組換えにより標的部位への組み込みが行われたことが示されている。図に示したプライマーセット(すなわち、図の赤色の矢印で示す位置に対応するプライマー)を使用してPCRを実施し、得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動で分析した。標的化された組み込みが正確に起こった場合、標的テンプレートの外側の1種のプライマー(プライマー1またはプライマー2)と内側の1種のプライマー(プライマー3またはプライマー4)とを使用したPCRを実施することによって、正確な大きさのバンドが示される。左側のゲル片は、mock遺伝子編集細胞において標的が組み込まれていないことを示し、右側のゲル片は、遺伝子編集細胞において正確な大きさのバンドが見られることを示す。
【0031】
図8】GFP/FOXP3融合遺伝子からは、Foxp3が一貫して高レベルに発現される。図に示すように、MNDプロモーターの制御下のGFP/FOXP3融合遺伝子は、mock遺伝子編集細胞と比べてFOXP3の発現を誘導した。FOXP3の発現についてmock遺伝子編集細胞と遺伝子編集細胞を比較したフローサイトメトリー解析を示す。FOXP3の発現をY軸に示し、前方散乱光をX軸に示す。
【0032】
図9】GFP/FOXP3融合遺伝子からは、Foxp3が一貫して高レベルに発現される。図に示すように、MNDプロモーターの制御下のGFP/FOXP3融合遺伝子は、mock遺伝子編集細胞と比べてFOXP3の発現を誘導した。FOXP3の発現およびGFPの発現についてmock遺伝子編集細胞と遺伝子編集細胞を比較したフローサイトメトリー解析を示す。各プロットにおいてFOXP3の発現をY軸に示し、GFPをX軸に示す。
【0033】
図10】Treg細胞の表面マーカーの表現型とサイトカインの表現型を示す模式図を示す。
【0034】
図11】遺伝子編集細胞の表面表現型を示す。図に示すように、フローサイトメトリーを使用して、FOXP3を安定に発現した遺伝子組換えT細胞におけるCD25、CD127、CTLA4およびLAG3の発現を分析した。内在性制御性T細胞と同様に、遺伝子組換え細胞は、CD25を高発現し、CD127を低発現し、CTLA4およびLag3を高発現する。
【0035】
図12】遺伝子編集細胞のサイトカイン発現プロファイルを示す。図に示すように、mock遺伝子編集T細胞と比較して、遺伝子組換え細胞は、Tregと同様に、IL-2、IL-4およびIFN-γの低発現を示す細胞内サイトカイン発現プロファイルを示す。
【0036】
図13】遺伝子編集細胞のサイトカイン発現プロファイルを示す。棒グラフに示すように、FOXP3を安定に発現する遺伝子組換えT細胞は、mock遺伝子編集細胞と比べて、IL-10の発現量が高かった。
【0037】
図14】IL-2/STAT5シグナル伝達の感受性を示す。内在性Tregは、CD25を高発現していることから、IL-2に対して非常に高い感受性を有する。mock遺伝子編集細胞および遺伝子編集細胞を、インビトロにおいて様々な濃度のIL-2に暴露することによって、IL-2のシグナル伝達に対する感受性を比較した。IL-2に対する応答は、STAT5のリン酸化の程度によって測定した。図に示すように、遺伝子編集細胞は、mock遺伝子編集細胞よりも大幅に低いIL-2濃度でstat5がリン酸化され、IL-2のシグナル伝達が起こったことが示された。各グラフのプロファイルは、上パネルから下パネルの順に、0.1ng/ml IL-2、1ng/ml IL-2、10ng/ml IL-2、100ng/ml IL-2、および刺激なしである。
【0038】
図15】IL-2/STAT5シグナル伝達の感受性(FOXP3+サブセット)を示す。内在性Tregは、CD25を高発現していることから、IL-2に対して非常に高い感受性を有する。mock遺伝子編集細胞および遺伝子編集細胞を、インビトロにおいて様々な濃度のIL-2に暴露することによって、IL-2のシグナル伝達に対する感受性を比較した。IL-2に対する応答は、STAT5のリン酸化の程度によって測定した。図に示すように、遺伝子編集細胞は、mock遺伝子編集細胞よりも大幅に低いIL-2濃度でstat5がリン酸化され、IL-2のシグナル伝達が起こったことが示された。各グラフのプロファイルは、上パネルから下パネルの順に、0.1ng/ml IL-2、1ng/ml IL-2、10ng/ml IL-2、100ng/ml IL-2、および刺激なしである。
【0039】
図16】制御性T細胞の抑制活性を測定するためのアッセイの概要を示す。CFSEで標識した応答細胞を、遺伝子編集Tregまたはmock遺伝子編集細胞と混合し、ビーズで刺激する。96時間後のCFSEの希釈度からアッセイの結果を読み取る。
【0040】
図17】遺伝子編集T細胞がTeffの増殖を抑制することができることを示す。mock遺伝子編集細胞と共にインキュベートした応答細胞は、細胞増殖によりCFSE標識を実質的に希釈することができたが、遺伝子組換えGFP+細胞と共にインキュベートした応答細胞は、その大部分が細胞分裂しなかった(標識色素は高濃度のまま変化しなかった)。
【0041】
図18】遺伝子編集細胞の機能活性を示し、IPEX症候群を有する対象から得たT細胞を遺伝子編集して使用すると、Teffの増殖が抑制されないことを示す。図17と同じアッセイを使用し、正常患者コントロール細胞またはIPEX症候群患者由来細胞を、mock遺伝子編集するか、または遺伝子編集して内在性FOXP3遺伝子の発現を増強した。遺伝子編集した健常者コントロール細胞を応答細胞と共にインキュベートしたところ、mock遺伝子編集細胞と比べて応答細胞によるCFSEの希釈が抑制されたが、遺伝子編集したIPEX症候群患者由来細胞を応答細胞と共にインキュベートすると、mock遺伝子編集細胞と比べて細胞増殖の抑制は認められなかった。
【0042】
図19】FOXP3遺伝子編集による抗原特異的Treg表現型細胞の作製を示す。図に示すように、本発明の編集技術は、様々な自己免疫疾患において発生する病原性T細胞クローンにも適用することができる。インフルエンザ抗原に特異的なテトラマーを使用して単離したT細胞クローンを遺伝子編集したところ、FOXP3を安定に発現するT細胞を得ることに成功した。
【0043】
図20】遺伝子編集T細胞の表現型を示す。図に示すように、FOXP3を安定に発現するT細胞は、CTLA4およびLAG3を発現していた。
【0044】
図21】GFP-FOXP3発現遺伝子編集T細胞の表現型および機能を示す。図に示すように、FOXP3を安定に発現するT細胞は、表現型の変化(CD25+、CD45RO+、CCR7およびCD38/CTLA-4/LAP)を示した。また、このFOXP3安定発現T細胞は、Tregと同様の細胞内サイトカイン発現プロファイル(IL-2、IFN-γおよびIL-4)を示す。さらに、10ng~100ngのIL-2を投与したところ、pSTAT5シグナル伝達はIL-2に感受性を示した。
【0045】
図22】インビボGvHD実験を示す。インビボGvHD実験を実施するためのスケジュールを図に示す。まず、マウスに放射線を照射し、骨髄細胞を破壊する。次に、FOXP3を安定に発現する遺伝子組換えTregをマウスに輸注し、次いでTeff細胞を輸注する。輸注の1~50日後に、マウスの体重をモニタリングし、末梢血および様々な臓器におけるT細胞の割合(%)を調べる。
【0046】
図23】インビボGvHD実験を示す。エフェクター細胞(ET)(赤色の丸印)、エフェクター細胞とmock遺伝子編集T細胞(青色の正方形)、またはエフェクター細胞とFOXP3安定発現遺伝子編集Treg(緑色の三角形)を投与したマウスの生存率(%)を図に示す。foxp3安定発現遺伝子編集Tregは、顕著な生存率の延長を示し、エフェクター細胞によって引き起こされた異種GvHDを緩和する能力を有することが示された。
【0047】
図24】遺伝子編集T細胞の胸腺特異的脱メチル化領域(TSDR)におけるCpGメチル化を示す。FOXP3遺伝子が、どのようにして第1のコーディングエクソン(エクソン2)の上流の制御領域のメチル化によって制御されるのかを示す概略図である。
【0048】
図25】メチル化についてのクローンの分析を示す。黒色の各ドットは、T細胞クローンのTSDR全体にわたってメチル化CpGジヌクレオチドが見られたPCR断片クローンを示す。図から分かるように、CD25陰性細胞は、TSDRが高度にメチル化しており、FOXP3遺伝子座が閉じられており、不活性であり、発現されていないことが示されているが、CD25高発現細胞(内在性Treg)では、TSDRがほぼ完全に均一に脱メチル化されていることが示されている。
【0049】
図26】遺伝子編集T細胞におけるTSDRのメチル化を示す。TSDRが完全にメチル化されると、FOXP3が高発現されることが知られているが、遺伝子編集T細胞では、TSDRが完全にメチル化されたことが示され、このことから、TSDRの下流にプロモーターを組み込むことによって、FOXP3遺伝子座における通常のエピジェネティックな制御を効果的にバイパスできることが示された。
【0050】
【発明を実施するための形態】
【0051】
内在性FOXP3遺伝子を安定に発現するように遺伝子組換えされたCD4 T細胞を使用して、自己免疫疾患を治療または緩和する方法のいくつかについて本明細書で述べる。これらの方法は、移植片対宿主病(GVHD)の副作用を緩和するために使用することもできる。
【0052】
用語の定義
本明細書において「核酸」または「核酸分子」は、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを指し、たとえば、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により得られた断片、ならびにライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、エキソヌクレアーゼ作用および合成のいずれかにより得られた断片などが挙げられる。核酸分子は、天然のヌクレオチドモノマー(DNA、RNAなど)、または天然のヌクレオチドの類似体(たとえば、天然のヌクレオチドのエナンチオマー)からなるモノマー、またはこれらの組み合わせから構成されていてもよい。修飾ヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジン塩基部分もしくはプリン塩基部分に修飾を有していてもよい。糖部分の修飾としては、たとえば、ハロゲン、アルキル基、アミンおよびアジド基による1つ以上のヒドロキシル基の置換が挙げられ、糖部分はエーテル化またはエステル化されていてもよい。さらに、糖部分全体が、立体構造的に類似の構造や電子的に類似の構造と置換されていてもよく、このような構造として、たとえば、アザ糖および炭素環式糖類似体が挙げられる。修飾塩基部分としては、アルキル化プリン、アルキル化ピリミジン、アシル化プリン、アシル化ピリミジン、およびその他の公知の複素環置換基が挙げられる。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合またはこれと似た結合により連結することができる。ホスホジエステル結合と似た結合としては、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホロセレノエート結合、ホスホロジセレノエート結合、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)結合、ホスホロアニリデート(phosphoranilidate)結合またはホスホロアミデート結合が挙げられる。「核酸分子」は、いわゆる「ペプチド核酸」も包含し、これは、ポリアミド主鎖に付加された天然の核酸塩基または修飾核酸塩基を含む。核酸は、一本鎖であってもよく、二本鎖であってもよい。
【0053】
本明細書において「コード鎖」は、産生されるRNA転写物と同じ塩基配列を有するDNA鎖である(ただし、チミンはウラシルで置換される)。コード鎖はコドンを含み、非コード鎖はアンチコドンを含む。
【0054】
本明細書において「制御因子」は、生物体内において特定の遺伝子の発現を増加または減少させることが可能な核酸分子のセグメントを指す。遺伝子発現の制御は、あらゆる生物およびウイルスの基本的な機能である。制御因子としては、CAATボックス、CCAATボックス、プリブノーボックス、TATAボックス、SECISエレメント、mRNAポリアデニル化シグナル、Aボックス、Zボックス、Cボックス、Eボックス、Gボックス、インスリン遺伝子制御配列などのホルモン応答エレメント、DNA結合領域、活性化領域および/またはエンハンサー領域が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書において「FOXP3」は、免疫系の応答に関与するタンパク質である。FOXP3遺伝子は11個のコーディングエクソンを含んでいる。Foxp3は、内在性制御性T細胞(nTreg(T細胞系))および養子移入/誘導性制御性T細胞(a/iTreg)の特異的マーカーである。動物研究では、Foxp3陽性T細胞を誘導または投与すると、糖尿病モデル、多発性硬化症モデル、喘息モデル、炎症性腸疾患モデル、甲状腺炎モデルまたは腎臓病モデルにおいて疾患(自己免疫疾患)の重症度が顕著に低下することが示されている。しかし、過去の研究ではT細胞は可塑性を示すことが報告されている。したがって、患者に移入された制御性T細胞は、制御性細胞ではなく炎症促進性のヘルパーT17(Th17)細胞に変化する可能性があるため、制御性T細胞の治療への使用にはリスクがある。これを踏まえ、制御性細胞から炎症促進性細胞への変化に起因するリスクを回避するための方法を本明細書において提供する。図1に示すように、iTregから発現されたFOXP3は、免疫系のマスター制御因子として利用されるとともに、免疫寛容および免疫抑制にも利用される。また、Tregは、様々な自己免疫疾患(IPEX、T1D、SLE、RA、EAEなど)において重要な役割を果たしている。ヒトTreg細胞の数またはその機能を増強するための様々なアプローチは、現在臨床試験段階にあり、たとえば、低用量のIL-2と増殖培養した自己由来Tregの養子移入とを組み合わせた治療法が臨床試験中である。IL-2療法は、その多面的活性と、炎症を増強しうる潜在的な「オフターゲット」効果を有することから、その有効性は限定的である。また、養子移入Treg療法も、増殖培養したTregはインビボでの安定性と生存能力に問題があり、治療に有用な抗原特異性が欠如していることから、恐らく限定的にしか利用できない。
【0056】
本明細書において「ヌクレアーゼ」は、核酸のヌクレオチドサブユニット間のリン酸ジエステル結合を切断することができるタンパク質または酵素である。本明細書に記載のヌクレアーゼは「遺伝子編集」に使用される。遺伝子編集とは、1種類のヌクレアーゼもしくは遺伝子組換えヌクレアーゼまたは複数の種類のヌクレアーゼを使用して、生物のゲノムにおいてDNAの挿入、欠失または置換を行う遺伝子工学技術の1種である。ヌクレアーゼとしては、CRISPR/CAS9システムで使用されるヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼおよびTALENヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。ヌクレアーゼは、遺伝子座または核酸配列中の標的遺伝子座を標的化するために使用することができる。
【0057】
本明細書において「コーディングエクソン」は、RNAスプライシングによってイントロンが除去された後の遺伝子により産生される最終的な成熟RNAの一部をコードする遺伝子の一部を指す。「エクソン」は、遺伝子内のDNA配列と、これに対応するRNA転写物配列の両方を指す。RNAスプライシングによってイントロンが除去され、残されたエクソン同士が互いに共有結合で連結し、成熟メッセンジャーRNAの一部を構成する。
【0058】
本明細書において「Cas9」は、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)獲得免疫系と関連したRNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ酵素である。
【0059】
本明細書において「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインとDNA分解ドメインを融合させることにより作製された人工制限酵素である。ジンクフィンガードメインは、所望とする特定のDNA配列を標的とするように改変することができ、これによって、ジンクフィンガーヌクレアーゼが、複雑なゲノム内のユニークな配列を標的とすることが可能となる。
【0060】
本明細書において「TALEN」すなわち「transcription activator-like effector nuclease」は、特定のDNA配列を切断するように改変することができる制限酵素である。TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインを、DNA分解ドメイン(DNA鎖を切断するヌクレアーゼ)に融合することによって作製される。transcription activator-like effector(TALE)は、事実上、所望とするあらゆるDNA配列に結合するように改変することができることから、ヌクレアーゼと組み合わせることによって、特定の位置でDNAを切断することができる。制限酵素は、インサイチューで遺伝子編集またはゲノム編集を行うことを目的として細胞に導入することができ、この技術は、遺伝子組換えヌクレアーゼを使用したゲノム編集技術として知られている。TALENは、ジンクフィンガーヌクレアーゼやCRISPR/Cas9と並んで、ゲノム編集分野における卓越したツールの1つである。
【0061】
本明細書において「ノックイン」は、遺伝子座内の野生型コピーを持つDNA配列情報を1対1で置換したり、遺伝子座内に存在しない配列情報を挿入したりするための遺伝子工学的方法を指す。
【0062】
「プロモーター」は、構造遺伝子の転写を誘導するヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、プロモーターは遺伝子の5’末端の非コード領域に存在し、構造遺伝子の転写開始点の近傍に位置する。転写を開始させるプロモーター配列のエレメントは、コンセンサスヌクレオチド配列によって特徴付けられることが多い。プロモーターは、特定の遺伝子の転写を開始させるDNA領域である。プロモーターは、同じDNA鎖内の上流(センス鎖の5’領域方向)の遺伝子転写開始部位の近傍に位置する。プロモーターの長さは、約100塩基対、約200塩基対、約300塩基対、約400塩基対、約500塩基対、約600塩基対、約700塩基対、約800塩基対もしくは約1000塩基対、またはこれらの長さのいずれか2つによって定義される範囲内の長さである。本明細書において、プロモーターは、構成的に活性なプロモーター、抑制可能なプロモーター、誘導可能なプロモーターのいずれであってもよい。プロモーターが誘導可能なプロモーターである場合、転写率は誘導剤に応答して上昇する。これに対して、プロモーターが構成的プロモーターである場合、転写率は誘導剤による制御を受けない。抑制可能なプロモーターも公知である。プロモーターの例としては、構成的プロモーター、弱い異種プロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)、または誘導型プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、プロモーターの例として、EF1αプロモーター、PGKプロモーター、MNDプロモーター、KIプロモーター、Ki-67遺伝子プロモーター、ならびに/またはタモキシフェンおよび/もしくはその代謝産物などの薬物によって誘導可能なプロモーターが挙げられる。一般的に使用される構成的プロモーターとしては、哺乳動物系において使用されるSV40、CMV、UBC、EF1A、PGKおよび/またはCAGGが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
弱いプロモーターと強いプロモーターによって同じコード配列を発現させた場合、弱いプロモーターは、強いプロモーターよりもmRNAの発現が低くなる。これは、たとえば、アガロースゲルで分析することによって比較することができる。近接するクロマチンによる制御を受けるプロモーターの一例としては、短いEF1αプロモーターが挙げられ、このプロモーターは、いくつかの遺伝子座において非常に活性であるが、その他の遺伝子座においてはほぼ不活性である(Eyquem, Biotechnol Bioeng. 2013 Aug;110(8):2225-35. doi: 10.1002/bit.24892.)。
【0064】
本明細書において「転写エンハンサー領域」は、タンパク質(アクチベーター)が結合することができる短いDNA領域(50~1500bp)であり、アクチベーターが転写エンハンサー領域に結合することによって特定の遺伝子の転写が起こる可能性やその転写量を高めたり、促進したり、増強させたりすることができる。このようなアクチベータータンパク質は、通常、転写因子と呼ばれる。エンハンサーは、通常、シス作用性であり、標的遺伝子から最大で1Mbp(1,000,000bp)離れて位置し、転写開始部位の上流または下流に存在し、順方向または逆方向である。エンハンサーは、制御対象の遺伝子の上流または下流に位置していてもよい。いくつかの実施形態において、転写量を増加させるために複数のエンハンサー領域を使用してもよく、たとえば、多量体化した活性化結合ドメインを使用して、転写量をさらに増強または増加させることができる。さらに、エンハンサーは、転写開始部位から数十万塩基対離れた上流または下流に位置することが何人かの研究者によって見出されたことから、転写に影響を与えるためにエンハンサーを転写開始部位の近傍に置く必要はない。エンハンサーは、プロモーター領域自体には作用しないが、アクチベータータンパク質と結合する。アクチベータータンパク質は、メディエーター複合体と相互作用し、ポリメラーゼIIおよび基本転写因子を動員し、遺伝子の転写を開始する。エンハンサーもイントロン内に存在しうる。エンハンサーの方向は、逆方向であってもよく、逆方向であることによってその機能は影響を受けない。さらに、エンハンサーは、切断されてもよく、染色体の任意の位置に挿入されてもよく、このような処理を行っても遺伝子の転写に効果を発揮することができる。いくつかの実施形態において、FOXP3遺伝子の転写を阻止する抑制機構をサイレンシングするためにエンハンサーを使用する。エンハンサー結合領域の一例として、TCRαエンハンサーが挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のエンハンサー領域は、TCRαエンハンサーである。いくつかの実施形態において、エンハンサー結合領域をプロモーターの上流に配置し、これによってプロモーターを活性化して、タンパク質の転写を増加させる。いくつかの実施形態において、エンハンサー結合領域をプロモーターの上流に配置し、これによってプロモーターを活性化して、FOXP3遺伝子の転写を増加させる。
【0065】
本明細書において「転写活性化因子領域」または「転写活性化領域」は、転写因子が結合することができる特定のDNA配列を指し、転写因子が転写活性化領域に結合することによって、DNAからメッセンジャーRNAへの遺伝子情報の転写の速度を制御することができる。転写因子の具体例としては、SP1、AP1、C/EBP、熱ショック因子、ATF/CREB、c-Myc、Oct-1およびNF-1が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、アクチベーター領域を利用して、FOXP3遺伝子の転写を阻止する抑制機構をサイレンシングする。
【0066】
本明細書において「遍在性クロマチンオープニングエレメント」(UCOE)は、ハウスキーピング遺伝子由来の非メチル化CpGアイランドに存在し双方向に転写されるデュアルプロモーターを特徴とするエレメントを指す。UCOEは、細胞株、多能性造血幹細胞、PSC、これらから分化した子孫細胞などの様々な細胞モデルにおいて、導入外来遺伝子のサイレンシングを阻止し、かつ発現を維持するための有望なツールである。また、本明細書に記載の「作動可能に連結される」は、制御配列と異種核酸配列との間の機能的な連結を指し、これは該異種核酸配列の発現を可能とする。
【0067】
本明細書において「自己免疫疾患」は、免疫系の活性が異常に低くなっているか、あるいは免疫系が過剰に活性化されている状態を指す。免疫系が過剰に活性化されている場合、自己組織が攻撃され、損傷を受ける(自己免疫疾患)。免疫不全疾患では、侵入物に対する生体の攻撃力が弱まるため、感染に対して抵抗性が低くなる。自己免疫障害または自己免疫疾患としては、たとえば、全身性エリテマトーデス、強皮症、溶血性貧血、血管炎、1型糖尿病、グレーヴス病、関節リウマチ、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、筋疾患、重症複合免疫不全、ディ・ジョージ症候群、高IgE症候群、分類不能型免疫不全、慢性肉芽腫症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、高IgM症候群、白血球接着不全症、NF-κB必須モジュレーター(NEMO)変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無γグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖症、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群および/または毛細血管拡張性運動失調症が挙げられるが、これらに限定されない。免疫疾患は、たとえば、患者の血清または脳脊髄液において神経特異的自己抗体またはその他のバイオマーカーが検出された場合、これらの神経特異的自己抗体またはその他のバイオマーカーのプロファイルを調べることによって分析することができる。本発明の様々な実施形態により提供される方法のいくつかにおいて、該方法は、自己免疫障害を治療、緩和または抑制するための方法である。いくつかの実施形態において、前記自己免疫障害は、全身性エリテマトーデス、強皮症、溶血性貧血、血管炎、1型糖尿病、グレーヴス病、関節リウマチ、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、筋疾患、重症複合免疫不全、ディ・ジョージ症候群、高IgE症候群、分類不能型免疫不全、慢性肉芽腫症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、高IgM症候群、白血球接着不全症、NF-κB必須モジュレーター(NEMO)変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無γグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖症、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群および/または毛細血管拡張性運動失調症である。
【0068】
本明細書において「臓器移植」は、1つの体から別の体へと臓器を移動させたり、患者自身の体内のドナー部位から別の部位に臓器を移動させることによって、レシピエントの損傷臓器を置き換えたり、レシピエントの体内に存在しない臓器を移すことを指す。同一人物の体内における臓器および/または組織の移植は自家移植と呼ばれる。近年実施されているような、同じ生物種に属する2つの対象間での移植は同種移植と呼ばれる。同種移植では、生体または死体から得た臓器または組織が移植される。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法を提供する。
【0069】
移植可能な臓器としては、たとえば、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、腸管および胸腺が挙げられる。移植可能な組織としては、たとえば、骨および腱(これらを筋骨格移植片と呼ぶ)、角膜、皮膚、心臓弁、神経ならびに静脈が挙げられる。腎臓、肝臓および心臓は、最も一般的に移植が行われている臓器である。角膜および筋骨格移植片は、最も一般的に移植が行われている組織である。
【0070】
本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、前記対象は、本発明の実施形態に記載の遺伝子組換え細胞を使用した抑制、緩和または治療を実施すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗炎症薬または抗拒絶反応薬に対して副作用を起こしている。したがって、本発明の様々な実施形態により提供される細胞または組成物を、前記選択された対象に提供する。抗拒絶反応薬の副作用としては、他の薬物との相互作用による血中タクロリムス量の上昇または低下、腎毒性、高血圧、神経毒性(振戦、頭痛、刺痛および不眠)、糖尿病(高血糖)、下痢、悪心、脱毛および/または高カリウム血症が挙げられる。したがって、本明細書に記載の治療方法、抑制方法または緩和方法を実施するために前記患者を選択する。
【0072】
本明細書において「臓器拒絶」または「移植拒絶反応」は、レシピエントの免疫系によって移植組織が拒絶されて、該移植組織が破壊されることを指す。
【0073】
本明細書において「移植片対宿主病」(GVHD)は、遺伝学的に異なるヒトからの組織移植を受けた後に起こる医学的合併症を指す。GvHDは、幹細胞移植または骨髄移植に付随して起こることが多いが、GvHDという用語は、その他の形態の移植組織片による合併症を指す場合にも使用される。ドナーから提供された組織中の免疫細胞は、レシピエントを「自己」ではなく異物として認識する。本発明の実施形態のいくつかにおいて、本発明の方法は、GVHDに起因する合併症を予防または緩和するために使用することができる。
【0074】
本明細書において「医薬賦形剤」は、細胞を添加して組成物を得るための不活性物質である。
【0075】
本明細書において「キメラ抗原受容体」(CAR)は、キメラT細胞受容体としても知られており、人工T細胞受容体または遺伝子組換え受容体を指し、エフェクター免疫細胞に所望の特異性を移植することができる。キメラ抗原受容体を使用して、たとえば、モノクローナル抗体またはその結合部分の特異性をT細胞に移植することができる。本発明の実施形態のいくつかにおいて、本発明の遺伝子組換え細胞は、キメラ抗原受容体をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、腫瘍細胞上の分子に特異的である。T細胞受容体を発現する遺伝子組換え細胞またはキメラ抗原受容体を使用して、FOXP3の発現を必要とする特定の組織を標的化することができる。本発明の実施形態のいくつかにおいて、特定の組織を標的化することによってFOXP3を提供および送達する方法を含む。いくつかの実施形態において、前記組織は移植組織である。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、移植組織上の標的分子に特異的である。
【0076】
本明細書で述べるように、本発明の遺伝子組換え細胞は、FOXP3を発現するように遺伝子組換えされた細胞であり、したがって、本発明の実施形態において、これらの細胞を「Treg表現型」細胞とも呼ぶ。
【0077】
発明の詳細な説明
制御性T細胞は、抗原特異的免疫寛容を誘導できる可能性があることから、制御性T細胞による自己免疫疾患の治療に興味を持っている研究グループは多い。制御性T細胞(「Treg」)には様々な形態があり、現在の命名法によれば、T細胞の発生過程において胸腺で生じる制御性T細胞(胸腺由来制御性T細胞または「tTreg」と呼ばれる)と、末梢で誘導される制御性T細胞(末梢由来制御性T細胞または「pTreg」と呼ばれる)とに分類される。
【0078】
制御性T細胞の生態において重要な一面として、転写因子であるFOXP3の発現がある。FOXP3は、制御性T細胞系の分化の誘導に必要であると考えられている。この概念は、FOXP3を欠損したヒトでは新生児期に重症自己免疫疾患が発症するという観察に基づくものである。自己免疫疾患の治療法においてtTregまたはpTregを使用する際の最も重要な障壁の1つは、FOXP3発現がエピジェネティックな制御を受けることである。tTregでは、FOXP3遺伝子の「胸腺特異的脱メチル化領域」として知られている上流領域が、完全に脱メチル化されており、これによって、FOXP3が安定に発現すると考えられている。通常、完全な脱メチル化はpTregでは観察されない。炎症状態では、FOXP3は、pTregにおいてエピジェネティックにサイレンシングされていると考えられ、恐らくはtTregにおいてもエピジェネティックにサイレンシングされていると見られ(しかし、tTregは完全に安定であると考えている研究者もいる)、この結果、pTregが炎症促進性CD4+T細胞に変化する場合があると考えられる。炎症性の表現型に戻ってしまうpTregを点滴に使用すると、自己免疫疾患の症状を悪化させる可能性があるため、pTregの安定性の欠如は重大な問題である。
【0079】
遺伝子組換え技術によりCD4 T細胞におけるFOXP3の発現を安定化させることによって、抑制機能に関与するエピジェネティックな修飾に感受性を示さなくなった抑制性T細胞の増殖集団を作製することが可能であることを本明細書において実証する。このようにして得られた細胞は、治療に適用可能な特性が改善していると考えられる。
【0080】
本明細書に記載の実施形態において、遺伝子編集ヌクレアーゼを使用してFOXP3遺伝子座の制御因子を改変することによりFOXP3を安定に発現させて、FOXP3を安定に発現する治療用細胞を作製する。本明細書において提供した代表的なデータでは、FOXP3のコーディングエクソンの上流に構成的プロモーター(構成的プロモーターの例としては、EF1αプロモーター、PGKプロモーターおよび/またはMNDプロモーターなどが挙げられる)を配置してFOXP3の発現を誘導したが、その他の様々なアプローチを使用して制御因子を改変することにより、FOXP3を安定に発現させることも可能であると想定される。いくつかのアプローチを使用して内在性制御因子を改変することによって、本発明の治療用細胞において内在性FOXP3遺伝子を構成的に発現させることができ、この結果、FOXP3遺伝子のサイレンシングや非抑制性細胞表現型への転換を引き起こす制御に対して感受性を示さなくなる。したがって、本発明の様々な実施形態による方法では、内在性制御配列および内在性プロモーターに対するエピジェネティックな作用によってFOXP3の発現が欠失するという問題が解決されている。
【0081】
バルクCD4 T細胞集団においてFOXP3の発現を増強するための、本明細書において提案された方法は、炎症性T細胞集団が持つTCRレパトアを制限する手段を提供することができることから、内在性制御性T細胞集団を単離する他の方法よりも優れている。自己免疫疾患の患者または臓器移植片の拒絶反応を起こした患者の炎症性T細胞集団の内在性TCRレパトアには、臓器中の炎症を起こした組織または外来組織を認識し、正確に結合する特異性を備えたTCRが見られる。このようなT細胞は、自己炎症反応または臓器拒絶を媒介すると考えられている。バルクCD4 T細胞集団の一部を制御性の表現型に変換することによって、炎症促進性集団中のTCR特異性を、治療効果のある細胞集団において利用することができる。この点において、本発明の方法は、胸腺由来制御性T細胞(炎症性T細胞とは重複することのない異なるTCRレパトアを有すると考えられている)を利用した他の治療法よりも優れている。さらに、自己免疫疾患の患者または臓器拒絶を起こした患者では、恐らく、生体内のtTreg集団は、炎症の回避に必要な免疫寛容の誘導に失敗していると考えられる。本明細書に記載の方法は、自己免疫疾患の治療、および移植臓器に対する免疫寛容の誘導に使用することができる。
【0082】
顕著な欠点としては、FOXP3遺伝子座において効率的に組換えを行うことができる遺伝子編集ツールを使用する必要があることが挙げられる。本明細書で提供する方法では、TALENヌクレアーゼを使用してこの反応を効率的に行うことができることを示したが、原則として、どのようなヌクレアーゼプラットフォームであっても同様かつ良好に組換えを行うことができると考えられる。
【0083】
制御性T細胞療法は、移植および自己免疫疾患において免疫寛容を誘導するために使用することができる。現在、Treg輸液はエクスビボで増殖培養されている。第1相試験では、1型糖尿病(T1D)に対して限定的な有効性しか認められていないが、移植後のGvHDに対してベネフィットが認められたケースもいくつかあった。いくつかの実施形態において、次世代の遺伝子組換え制御性T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)によって指向性を付与した内在性Tregであってもよい。FOXP3を発現させることによって、エフェクターT細胞をTregに変換することもできる。
【0084】
しかし、治療方法で使用する場合、遺伝子組換えTregと内在性Tregでは、なんらかの差異があると考えられる。内在性Treg療法は安全であると考えられてきたが、内在性Tregの数が少なすぎるため、自己免疫を引き起こしてしまう。また、Tregは、様々な自己免疫疾患(IPEX、T1D、SLE、RA、EAEなど)において重要な役割を果たしている。ヒトTreg細胞の数またはその機能を増強するための様々なアプローチは、現在臨床試験段階にあり、たとえば、低用量のIL-2と増殖培養した自己由来Tregの養子移入とを組み合わせた治療法が臨床試験中である。IL-2療法は、その多面的活性と、炎症を増強しうる潜在的な「オフターゲット」効果を有することから、その有効性は限定的である。また、養子移入Treg療法も、増殖培養したTregはインビボでの安定性と生存能力に問題があり、治療に有用な抗原特異性が欠如していることから、恐らく限定的にしか利用できない。
【0085】
内在性Treg(nTreg)の使用には潜在的な欠点もある。たとえば、自己免疫疾患患者は、Tregが不安定であるという遺伝的素因を有する。たとえば、CAR発現nTregからCAR発現エフェクターT細胞への変換が起こりうる。さらに、nTregでは、FOXP3がエピジェネティックな制御を受けることから、FOXP3の誘導がダウンレギュレートされることがあり、これは、nTregの機能または細胞数を完全に予測することはできないことを意味する。さらに、内在性Tregは、TCR(T細胞受容体)に対する正確な特異性を有していない場合がある。Tregの機能は選択マーカーとも関連しており、増殖した内在性Treg細胞集団には、炎症性細胞が常に混在していると考えられる。したがって、本明細書において提供する方法は、CARの発現と制御性T細胞の機能と組み合わせることによって、炎症促進性CAR T細胞に変換する能力を備えたCAR Tregが移入されてしまうことを回避できることから、遺伝子組換え細胞を使用しているという点において、内在性Tregの移入よりも優れている。
【0086】
T細胞の遺伝子編集により、特定のタンパク質を発現するT細胞を作製するツールはよく知られている(たとえば図2を参照されたい)。たとえば、T細胞を活性化して増殖させ、mRNAエレクトロポレーションによりTALENを送達し、アデノ随伴ウイルスを送達してテンプレートを編集することができる(高いMOIでの一過性発現、すなわち組換えAAVは組み込まれない)。
【0087】
次に、遺伝子編集プロセスにより、第1のコーディングエクソンの上流かつエピジェネティックな制御機構によって制御される内在性制御因子の下流にプロモーターを挿入することによって、FOXP3を発現させることができる。第1のプロモーターの上流に別のプロモーターを挿入することによる発現制御は、過去に報告されておらず、FOXP3を構成的にアップレギュレートすることができ、このアップレギュレーションは、エピジェネティックな制御によってダウンレギュレートされないという驚くべき結果が得られた。図3に、FOXP3遺伝子へのプロモーター(MNDプロモーターなど)の挿入を示す。図に示すように、Foxp3の発現は、通常、第1のコーディングエクソンの上流のイントロン領域(イントロン1)によるエピジェネティックな制御によって制御される。
【0088】
図4に示すように、相同組換え修復ターゲティングを利用して安定なFOXP3+T細胞を作製することができ、強い構成的発現が得られる。図5は、本明細書に記載の実施形態において使用した遺伝子構築物のテンプレートを示す。
【0089】
さらに、FOXP3の発現を制御する方法も提供する。いくつかの実施形態において、FOXP3のコーディングエクソンの上流に挿入されるプロモーターは、誘導型受容体である。いくつかの実施形態において、本発明のシステムは合成転写制御因子を使用し、該合成転写制御因子が、タモキシフェンの存在下において導入外来遺伝子の上流の合成プロモーターに結合し、FOXP3の発現を誘導する。タモキシフェンの存在下では、TamR-tfが7xHBD/EF1αpプロモーターに結合することによって導入外来遺伝子の発現が「オン」の状態になる。いくつかの実施形態において、この転写制御因子は、導入外来遺伝子の発現を様々なレベルで制御できるように改変される。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明の細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)もしくはTCR(T細胞受容体)またはその他の標的指向性部分を発現するようにさらに遺伝子組換えすることができる。また、本発明の細胞は、特定の組織または細胞を標的化するCARを発現するように遺伝子組換えすることもできる。いくつかの実施形態において、前記CARはリガンド結合領域を含み、該リガンドは、腫瘍特異的分子、ウイルス分子、または標的細胞集団上で発現される別の分子である。いくつかの実施形態において、標的組織は、FOXP3を低発現している組織である。T細胞上にCARまたはTCRを発現させることによって、FOXP3発現細胞の送達を必要とする特定の組織部位に該T細胞を標的化することができると考えられる。
【0091】
実施形態1:遺伝子編集によるFOXP3遺伝子の効率的な標的化および導入外来遺伝子の高発現誘導
図6に示すように、MNDプロモーターの制御下で、内在性FOXP3遺伝子のN末端に融合したGFPを発現するように遺伝子組換えした細胞は、TALENヌクレアーゼを導入しなかったT細胞よりも、GFP-FOXP3融合タンパク質の発現量が多かった。図7に示すように、遺伝子編集細胞では、シームレスな相同組換えにより標的部位への組み込みが行われたことが示されている。図7に示した実験では、図に示したプライマーセット(すなわち、図の赤色の矢印で示す位置に対応するプライマー)を使用してPCRを実施し、得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動で分析した。標的化された組み込みが正確に起こった場合、標的テンプレートの外側の1種のプライマー(プライマー1またはプライマー2)と内側の1種のプライマー(プライマー3またはプライマー4)とを使用したPCRを実施することによって、正確な大きさのバンドが示される。左側のゲル片は、mock遺伝子編集細胞において標的が組み込まれていないことを示し、右側のゲル片は、遺伝子編集細胞において正確な大きさのバンドが見られることを示す。
【0092】
GFP/FOXP3融合遺伝子からは、Foxp3が一貫して高レベルに発現される。図に示すように、MNDプロモーターの制御下のGFP/FOXP3融合遺伝子は、mock遺伝子編集細胞と比べてFOXP3の発現を誘導した。FOXP3の発現についてmock遺伝子編集細胞と遺伝子編集細胞を比較したフローサイトメトリー解析を示す。FOXP3の発現をY軸に示し、前方散乱光をX軸に示す(図8)。
【0093】
GFP/FOXP3融合遺伝子からは、Foxp3が一貫して高レベルに発現される。図9に示すように、MNDプロモーターの制御下のGFP/FOXP3融合遺伝子は、mock遺伝子編集細胞と比べてFOXP3の発現を誘導した。FOXP3の発現およびGFPの発現についてmock遺伝子編集細胞と遺伝子編集細胞を比較したフローサイトメトリー解析を示す。各プロットにおいてFOXP3の発現をY軸に示し、GFPをX軸に示す(図9を参照されたい)。
【0094】
これらの代表的な実施形態の実験で示したように、遺伝子編集によりFOXP3遺伝子を効率的に標的化することができ、導入外来遺伝子の高発現を誘導することができる。
【0095】
本実施形態に示した実験はインビトロで行われるため、インビボ試験、細胞または対象においても、FOXP3の発現を同程度に高レベルで維持することができると予測するのは難しい。したがって、治療に使用する細胞が対象において維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、対象において該細胞をモニタリングする必要がある。遺伝子組換え細胞を対象に投与した後に、該対象において該遺伝子組換え細胞を試験する方法は、当業者によく知られている。たとえば、Adaptive Biotech Technology社に委託可能な商用技術では、免疫細胞であるB細胞およびT細胞の配列を解析可能なシステムを利用して、遺伝子組換え細胞などの特定の細胞を検出し、この特定の細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認することができる。また、コーディングエクソンの上流の様々な位置において前記細胞の遺伝子を編集してもよく、この遺伝子編集位置によって、インビボでのFOXP3の発現が影響を受けることから、インビボのデータからインビボ実験におけるアウトカムを予測することはできない。さらに、別のプロモーター、エフェクター領域および活性化領域を使用した場合、アウトカムが異なることがある。
【0096】
実施形態2:FOXP3の発現を増強することによって、T reg の表面表現型とサイトカイン表現型を有するT細胞が得られる
図10は、Treg細胞の表面マーカーの表現型とサイトカインの表現型を示す模式図を示す。遺伝子編集細胞が特定の表面マーカーの表現型を有しているかどうかを確認することが望ましい。図11に示すように、フローサイトメトリーを使用して、FOXP3を安定に発現した遺伝子組換えT細胞におけるCD25、CD127、CTLA4およびLAG3の発現を分析した。内在性制御性T細胞と同様に、遺伝子組換え細胞は、CD25を高発現し、CD127を低発現し、CTLA4およびLag3を高発現することが示された。
【0097】
遺伝子編集細胞のサイトカイン発現プロファイルを図12に示す。図12に示すように、mock遺伝子編集したT細胞と比較して、遺伝子組換え細胞は、Tregと同様に、IL-2、IL-4およびIFN-γの低発現を示す細胞内サイトカイン発現プロファイルを示す。また、図13の棒グラフに示すように、FOXP3を安定に発現する遺伝子組換えT細胞は、mock遺伝子編集細胞と比べて、IL-10の発現量が高かった。
【0098】
さらに、遺伝子編集細胞は、IL-2/STAT5シグナル伝達に感受性を有することが示された(図14)。内在性Tregは、CD25を高発現していることから、IL-2に対して非常に高い感受性を有する。mock遺伝子編集細胞および遺伝子編集細胞を、インビトロにおいて様々な濃度のIL-2に暴露することによって、IL-2のシグナル伝達に対する感受性を比較した。IL-2に対する応答は、STAT5のリン酸化の程度によって測定した。図に示すように、遺伝子編集細胞は、mock遺伝子編集細胞よりも大幅に低いIL-2濃度でstat5がリン酸化され、IL-2のシグナル伝達が起こったことが示された。
【0099】
図15に示すように、内在性Tregは、CD25を高発現していることから、IL-2に対して非常に高い感受性を有する。mock遺伝子編集細胞および遺伝子編集細胞を、インビトロにおいて様々な濃度のIL-2に暴露することによって、IL-2のシグナル伝達に対する感受性を比較した。IL-2に対する応答は、STAT5のリン酸化の程度によって測定した。図に示すように、遺伝子編集細胞は、mock遺伝子編集細胞よりも大幅に低いIL-2濃度でstat5がリン酸化され、IL-2のシグナル伝達が起こったことが示された。
【0100】
この代表的な実施形態で示したように、FOXP3の発現を増強することによって、Tregの表面表現型とサイトカイン表現型を有するT細胞が得られる。
【0101】
本実施形態に示した実験のいくつかはインビトロで行われるため、インビボ試験、細胞または対象においても、FOXP3の発現を細胞において同程度に高レベルで維持することができると予測するのは難しく、また、細胞でのこのような高レベルのFOXP3の発現が、たとえば自己免疫疾患やGVHDなどにおいて、病原性T細胞および/または病原性B細胞の応答の緩和に十分であるかどうかを予測することも難しい。さらに、このような細胞が、インビボにおいて制御性T細胞の特性を維持できると予測することも難しい。したがって、治療、抑制または緩和に使用する細胞が維持されるのか、増加するのか、または減少するのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に対象において該細胞をモニタリングすると有利な場合がある。遺伝子組換え細胞を対象に投与した後に、該対象において該遺伝子組換え細胞を試験する方法は、当業者によく知られている。たとえば、Adaptive Biotechnologies社などに委託可能な商用技術では、B細胞およびT細胞の配列を解析可能なシステムを利用して、遺伝子組換え細胞または病原性B細胞や病原性T細胞などの特定の種類の免疫細胞を検出し、この特定の細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認することができる。また、コーディングエクソンの上流の様々な位置において前記細胞の遺伝子を編集してもよく、この遺伝子編集位置によって、インビボでのFOXP3の発現が影響を受けることから、インビボのデータからインビボ実験におけるアウトカムを予測することはできない。さらに、別のプロモーター、エフェクター領域および活性化領域を使用した場合、アウトカムが異なることがある。
【0102】
本明細書に記載の治療方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。
【0103】
前記細胞が、インビボにおいても、制御性T細胞と類似のマーカーを発現するかどうかを確認するために試験を行う必要があると考えられる。
【0104】
実施形態3:遺伝子編集細胞の機能活性:遺伝子編集細胞はT eff の増殖を抑制することができる
制御性T細胞の抑制活性を測定するためのアッセイの概要を図16に示す。CFSEで標識した応答細胞を、遺伝子編集Tregまたはmock遺伝子編集細胞と混合し、ビーズで刺激する。96時間後のCFSEの希釈度からアッセイの結果を読み取る。
【0105】
図17は、遺伝子編集T細胞がTeffの増殖を抑制することができることを示す。mock遺伝子編集細胞と共にインキュベートした応答細胞は、細胞増殖によりCFSE標識を実質的に希釈することができたが、遺伝子組換えGFP+細胞と共にインキュベートした応答細胞は、その大部分が細胞分裂しなかった(標識色素は高濃度のまま変化しなかった)。
【0106】
図18は、遺伝子編集細胞の機能活性を示し、IPEX症候群を有する対象から得たT細胞を遺伝子編集して使用すると、Teffの増殖が抑制されないことを示す。図17と同じアッセイを使用し、正常患者コントロール細胞またはIPEX症候群患者由来細胞を、mock遺伝子編集するか、または遺伝子編集して内在性FOXP3遺伝子の発現を増強した。遺伝子編集した健常者コントロール細胞を応答細胞と共にインキュベートしたところ、mock遺伝子編集細胞と比べて応答細胞によるCFSEの希釈が抑制されたが、遺伝子編集したIPEX症候群患者由来細胞を応答細胞と共にインキュベートすると、mock遺伝子編集細胞と比べて細胞増殖の抑制は認められなかった。
【0107】
FOXP3遺伝子編集により抗原特異的Treg細胞も作製した。図19に示すように、本発明の編集技術は、様々な自己免疫疾患において発生する病原性T細胞クローンにも適用することができる。インフルエンザ抗原に特異的なテトラマーを使用して単離したT細胞クローンを遺伝子編集したところ、FOXP3を安定に発現するT細胞を得ることに成功した。
【0108】
この代表的な実施形態で示したように、遺伝子編集細胞は、Teffの増殖を抑制することができる。
【0109】
本実施形態に示した実験のいくつかはインビトロで行われるため、インビボ試験、細胞または対象においても、FOXP3の発現を細胞において同程度に高レベルで維持することができると予測するのは難しく、また、細胞でのこのような高レベルのFOXP3の発現が、たとえば自己免疫疾患やGVHDなどにおいて、病原性T細胞および/または病原性B細胞の応答の緩和に十分であるかどうかを予測することも難しい。さらに、このような細胞が、インビボにおいて制御性T細胞の特性を維持できると予測することも難しい。したがって、治療、緩和または抑制に使用する細胞が維持されるのか、増加するのか、または減少するのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に対象において該細胞をモニタリングすると有利な場合がある。遺伝子組換え細胞を対象に投与した後に、対象において該遺伝子組換え細胞を試験する方法は、当業者によく知られている。たとえば、Adaptive Biotechnologies社などに委託可能な商用技術では、B細胞およびT細胞の配列を解析可能なシステムを利用して、遺伝子組換え細胞または病原性B細胞や病原性T細胞などの特定の種類の免疫細胞を検出し、この特定の細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認することができる。また、コーディングエクソンの上流の様々な位置において前記細胞の遺伝子を編集してもよく、この遺伝子編集位置によって、インビボでのFOXP3の発現が影響を受けることから、インビボのデータからインビボ実験におけるアウトカムを予測することはできない。さらに、別のプロモーター、エフェクター領域および活性化領域を使用した場合、アウトカムが異なることがある。
【0110】
本明細書に記載の治療方法、緩和方法または抑制方法の実施形態のいくつかにおいて、これらの方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、該細胞の投与前、投与中および/または投与後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、緩和または抑制を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。
【0111】
前記遺伝子組換え細胞が、インビボにおいて、エフェクターT細胞に対して効果を発揮するのかどうか、あるいはエフェクターT細胞を抑制するのかどうかは、インビトロ実験を使用して予測することはできないため、前記遺伝子組換え細胞がインビボにおいてエフェクターT細胞に対して効果を発揮するのかどうかを確認するために試験を行う必要があると考えられる。
【0112】
結論
遺伝子編集により強いプロモーターを初代ヒトT細胞に導入することによって、Foxp3の発現を増強することができ、安定なTreg表現型を得ることができる。CD4+T細胞における遺伝子編集は効率的に行うことができ、Foxp3を安定に高発現させることができる。遺伝子発現は、内在性遺伝子座に制限されることも示された。遺伝子編集細胞は、Tregの機能特性(pSTAT5および細胞内サイトカイン産生)、Tregの表面表現型およびインビトロにおけるTregの機能性(エフェクターT細胞の抑制)を示した。抗原特異的T細胞を使用して、FOXP3発現を誘導するための遺伝子編集を行うこともできる。GvHDマウスモデルを確立することができれば、FOXP3発現遺伝子編集T細胞のインビボにおける機能性試験を行うことが可能であろう。
【0113】
実施形態4:GFP FOXP3発現遺伝子編集細胞の表現型および機能
図21に示すように、FOXP3を安定に発現するT細胞は、表現型の変化(CD25+、CD45RO+、CCR7、CD38/CTLA-4/LAP)を示した。また、このFOXP3安定発現T細胞は、Tregと同様の細胞内サイトカイン発現プロファイル(IL-2、IFN-γおよびIL-4)を示す。さらに、10ng~100ngのIL-2を投与したところ、pSTAT5シグナル伝達はIL-2に感受性を示した。したがって、FOXP3安定発現T細胞は、Tregと同様の細胞内サイトカイン発現プロファイルを示す。
【0114】
本実施形態に示した実験のいくつかはインビトロで行われるため、インビボ試験、細胞または対象においても、FOXP3の発現を細胞において同程度に高レベルで維持することができると予測するのは難しく、また、細胞でのこのような高レベルのFOXP3の発現が、たとえば自己免疫疾患やGVHDなどにおいて、病原性T細胞および/または病原性B細胞の応答の緩和に十分であるかどうかを予測することも難しい。さらに、このような細胞が、インビボにおいて制御性T細胞の特性を維持できると予測することも難しい。したがって、治療、抑制または緩和に使用する細胞が維持されるのか、増加するのか、または減少するのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に対象において該細胞をモニタリングすると有利な場合がある。遺伝子組換え細胞を対象に投与した後に、該対象において該遺伝子組換え細胞を試験する方法は、当業者によく知られている。たとえば、Adaptive Biotechnologies社などに委託可能な商用技術では、B細胞およびT細胞の配列を解析可能なシステムを利用して、遺伝子組換え細胞または病原性B細胞や病原性T細胞などの特定の種類の免疫細胞を検出し、この特定の細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認することができる。また、コーディングエクソンの上流の様々な位置において前記細胞の遺伝子を編集してもよく、この遺伝子編集位置によって、インビボでのFOXP3の発現が影響を受けることから、インビボのデータからインビボ実験におけるアウトカムを予測することはできない。さらに、別のプロモーター、エフェクター領域および活性化領域を使用した場合、アウトカムが異なることがある。
【0115】
本明細書に記載の治療方法、抑制方法または緩和方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、抑制または緩和を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。
【0116】
実施形態5:インビボGVHD実験
インビボGvHD実験を実施するためのスケジュールを図22に示す。まず、マウスに放射線を照射し、骨髄細胞を破壊する。次に、FOXP3を安定に発現するTreg表現型遺伝子組換え細胞をマウスに輸注し、次いでTeff細胞を輸注する。輸注の1~50日後に、マウスの体重をモニタリングし、末梢血および様々な臓器におけるT細胞の割合(%)を調べる。
【0117】
図23のグラフは、エフェクター細胞(丸印)、エフェクター細胞とmock遺伝子編集T細胞(正方形)、またはエフェクター細胞とTregの表現型を有するFOXP3安定発現遺伝子編集細胞(三角形)を投与したマウスの生存率(%)を示す。Tregの表現型を有するfoxp3安定発現遺伝子編集細胞は、顕著な生存率の延長を示し、エフェクター細胞によって引き起こされた異種GvHDを緩和する能力を有することが示された。
【0118】
実施形態6:遺伝子組換え免疫寛容誘導性T細胞と内在性胸腺T reg の分子的類似性/差異
遺伝子編集T細胞の胸腺特異的脱メチル化領域(TSDR)におけるCpGメチル化の概要を図24に示す。FOXP3遺伝子は、第1のコーディングエクソン(エクソン2)の上流の制御領域のメチル化によって制御される。
【0119】
次に、メチル化についてクローンを分析した(図25)。黒色の各ドットは、T細胞クローンのTSDR全体にわたってメチル化CpGジヌクレオチドが見られたPCR断片を示す。図から分かるように、CD25陰性細胞は、TSDRが高度にメチル化しており、FOXP3遺伝子座が閉じられており、不活性であり、発現されていないことが示されているが、CD25高発現細胞(内在性Treg)では、TSDRがほぼ完全に均一に脱メチル化されていることが示されている。
【0120】
TSDRが完全にメチル化されると、FOXP3が高発現されることが知られているが、遺伝子編集T細胞では、TSDRが完全にメチル化されたことが示され、このことから、TSDRの下流にプロモーターを組み込むことによって、FOXP3遺伝子座における通常のエピジェネティックな制御を効果的にバイパスできることが示された(図26)。
【0121】
本実施形態に示した実験のいくつかはインビトロで行われるため、インビボ試験、細胞または対象においても、FOXP3の発現を細胞において同程度に高レベルで維持することができると予測するのは難しく、また、細胞でのこのような高レベルのFOXP3の発現が、たとえば自己免疫疾患やGVHDなどにおいて、病原性T細胞および/または病原性B細胞の応答の緩和に十分であるかどうかを予測することも難しい。さらに、このような細胞が、インビボにおいて制御性T細胞の特性を維持できると予測することも難しい。したがって、治療、抑制または緩和に使用する細胞が維持されるのか、増加するのか、または減少するのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に対象において該細胞をモニタリングすると有利な場合がある。遺伝子組換え細胞を対象に投与した後に、該対象において該遺伝子組換え細胞を試験する方法は、当業者によく知られている。たとえば、Adaptive Biotechnologies社などに委託可能な商用技術では、B細胞およびT細胞の配列を解析可能なシステムを利用して、遺伝子組換え細胞または病原性B細胞や病原性T細胞などの特定の種類の免疫細胞を検出し、この特定の細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認することができる。また、コーディングエクソンの上流の様々な位置において前記細胞の遺伝子を編集してもよく、この遺伝子編集位置によって、インビボでのFOXP3の発現が影響を受けることから、インビボのデータからインビボ実験におけるアウトカムを予測することはできない。さらに、別のプロモーター、エフェクター領域および活性化領域を使用した場合、アウトカムが異なることがある。
【0122】
核酸の作製方法
いくつかの実施形態において、タンパク質の発現に対するエピジェネティックな制御をバイパスすることができる核酸を作製する方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記タンパク質はFOXP3である。いくつかの実施形態において、FOXP3を発現させるための核酸を作製する方法を提供する。該方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を提供すること;ヌクレアーゼを提供すること;および前記1つ以上の制御因子を編集し、かつ任意でFOXP3遺伝子またはその一部を編集することにより、前記第1のヌクレオチド配列の遺伝子編集を行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、第1の標的遺伝子座は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行った後の前記標的遺伝子座は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記1つ以上の制御因子に存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記FOXP3遺伝子またはその一部に存在し、前記FOXP3遺伝子またはその一部は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、異種プロモーター、異種転写エンハンサー領域、またはこれらの両方を挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、弱い異種プロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、1つ以上の異種転写エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、1つ以上の異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、誘導型エフェクターを挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記誘導型エフェクターは、ステロイドまたは薬物によって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に前記異種プロモーターを挿入し、該遺伝子編集によって該第1のコーディングエクソンがエクソンを生じ、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。
【0123】
FOXP3を安定に発現させるための核酸
いくつかの実施形態において、タンパク質の発現に対するエピジェネティックな制御をバイパスするための核酸を提供する。いくつかの実施形態において、前記タンパク質はFOXP3である。いくつかの実施形態において、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部に作動可能に連結された異種制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を提供する。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。
【0124】
タンパク質を安定に発現させるための遺伝子組換え細胞を作製する方法
いくつかの実施形態において、エピジェネティックな制御をバイパスすることができる遺伝子組換え細胞を作製する方法を提供する。いくつかの実施形態において、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子組換えを行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換えは、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、第1のコーディングエクソンに存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の第1のコーディングエクソンの上流、または前記遺伝子編集によって作製された合成の第1のコーディングエクソンの上流に、前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0125】
細胞
いくつかの実施形態において、タンパク質の発現に対するエピジェネティックな制御をバイパスするための遺伝子組換え細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記タンパク質はFOXP3である。いくつかの実施形態において、本発明に記載の方法のいずれか1つによって作製された、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞を提供する。前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子組換えを行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換えは、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、第1のコーディングエクソンに存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の第1のコーディングエクソンの上流、または前記遺伝子編集によって作製された合成の第1のコーディングエクソンの上流に、前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0126】
いくつかの実施形態において、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターが挿入されている。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、キメラ抗原受容体を発現するように遺伝子組換えすることができる。
【0127】
組成物
本発明の開示は、疾患または障害を有する対象において細胞免疫療法を行うための組成物を利用または使用する方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む。前記細胞は、本発明に記載の方法のいずれか1つによって作製された、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞である。前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子組換えを行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換えは、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、第1のコーディングエクソンに存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の第1のコーディングエクソンの上流、または前記遺伝子編集によって作製された合成の第1のコーディングエクソンの上流に、前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0128】
いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、キメラ抗原受容体を発現するように遺伝子組換えすることができる。
【0129】
治療方法または緩和方法
いくつかの実施形態において、対象における自己免疫疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、本明細書において提供する実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本明細書において提供する実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む。前記細胞は、本発明に記載の方法のいずれか1つによって作製された、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞である。前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子組換えを行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換えは、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、第1のコーディングエクソンに存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の第1のコーディングエクソンの上流、または前記遺伝子編集によって作製された合成の第1のコーディングエクソンの上流に、前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0130】
いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、キメラ抗原受容体を発現するように遺伝子組換えすることができる。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、糖尿病、炎症性腸疾患、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群、クローン病、多発性硬化症、特発性エリテマトーデスまたは全身性エリテマトーデスである。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス、強皮症、溶血性貧血、血管炎、1型糖尿病、グレーヴス病、関節リウマチ、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、筋疾患、重症複合免疫不全、ディ・ジョージ症候群、高IgE症候群、分類不能型免疫不全、慢性肉芽腫症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、高IgM症候群、白血球接着不全症、NF-κB必須モジュレーター(NEMO)変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無γグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖症および/または毛細血管拡張性運動失調症である。いくつかの実施形態において、前記自己免疫障害は、全身性エリテマトーデス、強皮症、溶血性貧血、血管炎、1型糖尿病、グレーヴス病、関節リウマチ、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、筋疾患、重症複合免疫不全、ディ・ジョージ症候群、高IgE症候群、分類不能型免疫不全、慢性肉芽腫症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、高IgM症候群、白血球接着不全症、NF-κB必須モジュレーター(NEMO)変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無γグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖症、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群および/または毛細血管拡張性運動失調症である。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の治療を受けるべき対象として特定または選択された対象である。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。前記特定または選択は、臨床的評価または診断的評価に基づいて行うことができる。
【0131】
いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬または抗炎症薬と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、前記抗炎症薬は、タイサブリ(登録商標)、ステロイド、免疫抑制薬、NSAID、免疫グロブリン、パラセタモール、セレコキシブ、インドメタシンまたはジクロフェナクを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞の投与前、投与中および/または投与後に、インビボにおけるFOXp3+発現遺伝子組換えT細胞の変化、ならびにインビボにおけるTreg表現型を発現する遺伝子組換え細胞の数または病原性T細胞数または病原性B細胞数について前記対象をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、初回にボーラス投与された遺伝子組換え細胞に対する1回目の応答に応じて、該遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、初回投与から1週間以内、2週間以内または1ヶ月以内に前記細胞の追加の用量を前記対象に投与する。
【0132】
本明細書に記載の治療方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。
【0133】
いくつかの実施形態において、対象における臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本発明の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む。前記細胞は、本発明に記載の方法のいずれか1つによって作製された、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞である。前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子組換えを行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換えは、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、第1のコーディングエクソンに存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の第1のコーディングエクソンの上流、または前記遺伝子編集によって作製された合成の第1のコーディングエクソンの上流に、前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0134】
いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターが挿入されている。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0135】
いくつかの実施形態において、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本発明の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む。前記細胞は、本発明に記載の方法のいずれか1つによって作製された、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞である。前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子組換えを行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換えは、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、第1のコーディングエクソンに存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に1つ以上の異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の第1のコーディングエクソンの上流、または前記遺伝子編集によって作製された合成の第1のコーディングエクソンの上流に、前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0136】
いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも活性または転写効率が低いプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、1つ以上の異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターが挿入されている。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。本明細書に記載の治療方法、抑制方法または緩和方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、前記細胞の投与前、投与中および/または投与後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、抑制または緩和を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。
【0137】
いくつかの実施形態において、対象における自己免疫疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、自己免疫疾患の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して、治療、抑制または緩和を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、糖尿病、炎症性腸疾患、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群、クローン病、多発性硬化症、特発性エリテマトーデスまたは全身性エリテマトーデスである。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス、強皮症、溶血性貧血、血管炎、1型糖尿病、グレーヴス病、関節リウマチ、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、筋疾患、重症複合免疫不全、ディ・ジョージ症候群、高IgE症候群、分類不能型免疫不全、慢性肉芽腫症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、高IgM症候群、白血球接着不全症、NF-κB必須モジュレーター(NEMO)変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無γグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖症および/または毛細血管拡張性運動失調症である。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の治療を受けるべき対象として特定または選択された対象である。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、糖尿病、炎症性腸疾患、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群、クローン病、多発性硬化症、特発性エリテマトーデスまたは全身性エリテマトーデスである。前記特定または選択は、診断的評価および/または臨床的評価に基づいて行うことができる。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0138】
いくつかの実施形態において、対象における臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、臓器移植の副作用の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して、治療、抑制または緩和を行うことを含む方法を提供する。本明細書に記載の治療方法、抑制方法または緩和方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、前記細胞の投与前、投与中および/または投与後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、抑制または緩和を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0139】
いくつかの実施形態において、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、臓器移植の副作用の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して治療を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0140】
さらなる実施形態
いくつかの実施形態において、FOXP3を発現させるための核酸を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を提供すること;ヌクレアーゼを提供すること;および前記1つ以上の制御因子を編集し、かつ任意でFOXP3遺伝子またはその一部を編集することにより、前記第1のヌクレオチド配列の遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性の第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記1つ以上の制御因子に存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記FOXP3遺伝子またはその一部に存在する。いくつかの実施形態において、前記FOXP3遺伝子またはその一部は、内在性の第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、異種プロモーター、異種転写エンハンサー領域、またはこれらの両方を挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、弱い異種プロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種転写エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、誘導型エフェクターを挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記誘導型エフェクターは、ステロイドまたは薬物によって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターを挿入することにより、第1のコーディングエクソンが生じ、該異種プロモーターは、前記コード鎖上の該第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に存在し、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の内在性の第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に前記異種プロモーターを挿入し、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。
【0141】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法で作製された、FOXP3を発現させるための核酸を提供する。前記方法は、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を提供すること;ヌクレアーゼを提供すること;および前記1つ以上の制御因子を編集し、かつ任意でFOXP3遺伝子またはその一部を編集することにより、前記第1のヌクレオチド配列の遺伝子編集を行うことを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性の第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記1つ以上の制御因子に存在する。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記FOXP3遺伝子またはその一部に存在する。いくつかの実施形態において、前記FOXP3遺伝子またはその一部は、内在性の第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、異種プロモーター、異種転写エンハンサー領域、またはこれらの両方を挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、弱い異種プロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種転写エンハンサー領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、誘導型エフェクターを挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記誘導型エフェクターは、ステロイドまたは薬物によって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターを挿入することにより、第1のコーディングエクソンが生じ、該異種プロモーターは、前記コード鎖上の該第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に存在し、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の内在性の第1のコーディングエクソンの上流の任意の位置に前記異種プロモーターを挿入し、該コード鎖は、FOXP3遺伝子の開始コドンをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部に作動可能に連結された異種制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を提供する。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に存在する。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。
【0143】
いくつかの実施形態において、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0144】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製された、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞を提供する。また、遺伝子組換え細胞を作製する前記方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0145】
いくつかの実施形態において、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む、FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0146】
いくつかの実施形態において、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む組成物を提供する。前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製することができる。また、遺伝子組換え細胞を作製する前記方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。
【0147】
いくつかの実施形態において、対象における自己免疫疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本発明の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。また、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む組成物を提供する。前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製することができる。さらに、遺伝子組換え細胞を作製する前記方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、糖尿病、炎症性腸疾患、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群、クローン病、多発性硬化症、特発性エリテマトーデスまたは全身性エリテマトーデスである。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の治療を受けるべき対象として特定または選択された対象である。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患を抑制する薬物と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、治療中の前記対象において、インビボでのFOXp3+Treg表現型細胞集団の変化をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬または抗炎症薬と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、前記抗炎症薬は、タイサブリ(登録商標)、ステロイド、免疫抑制薬、NSAID、免疫グロブリン、パラセタモール、セレコキシブ、インドメタシンまたはジクロフェナクを含む。いくつかの実施形態において、治療、抑制または緩和を行う前、その最中および/またはその後に、インビボにおけるFOXp3+発現遺伝子組換えT細胞の変化、ならびにインビボにおけるTreg表現型を発現する遺伝子組換え細胞の数または病原性T細胞数または病原性B細胞数について前記対象をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、治療、抑制または緩和に対する1回目の応答に応じて、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、初回投与から1週間以内、2週間以内または1ヶ月以内に前記細胞の追加の用量を前記対象に投与する。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0148】
いくつかの実施形態において、対象における臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本発明の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。また、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む組成物を提供する。前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製することができる。さらに、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、治療中の前記対象において、インビボでのFOXp3+Treg表現型細胞集団の変化をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応療法または抗炎症療法を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記治療、抑制または緩和を必要とする対象における前記遺伝子組換え細胞のシーケンシングを行うことによって、該遺伝子組換え細胞が、該対象において維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬または抗炎症薬と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、前記抗炎症薬は、タイサブリ(登録商標)、ステロイド、免疫抑制薬、NSAID、免疫グロブリン、パラセタモール、セレコキシブ、インドメタシンまたはジクロフェナクを含む。いくつかの実施形態において、治療、抑制または緩和を行う前、その最中および/またはその後に、インビボにおけるFOXp3+発現遺伝子組換えT細胞の変化、ならびにインビボにおけるTreg表現型を発現する遺伝子組換え細胞の数または病原性T細胞数または病原性B細胞数について前記対象をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、治療、抑制または緩和に対する1回目の応答に応じて、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、初回投与から1週間以内、2週間以内または1ヶ月以内に前記細胞の追加の用量を前記対象に投与する。本明細書に記載の治療方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、抑制または緩和を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0149】
いくつかの実施形態において、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞、または本発明の実施形態のいずれか1つに記載の組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。また、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の遺伝子組換え細胞と、医薬賦形剤とを含む組成物を提供する。前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、本発明の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって作製することができる。さらに、遺伝子組換え細胞を作製する前記方法であって、1つ以上の制御因子とFOXP3遺伝子またはその一部とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を提供すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;および前記第2のオリゴヌクレオチドまたは前記ヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することにより遺伝子編集を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、前記第1のヌクレオチド配列に異種プロモーターを挿入するための遺伝子ノックインである。いくつかの実施形態において、前記コード鎖は、第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記第1のヌクレオチド配列は標的遺伝子座を含む。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、内在性コーディングエクソンまたは前記第1のコーディングエクソンを含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集を行うことにより、前記標的遺伝子座において第1のコーディングエクソンが生じる。いくつかの実施形態において、前記標的遺伝子座は、前記第1のコーディングエクソンの上流の10塩基対以内に存在するか、20塩基対以内に存在するか、30塩基対以内に存在するか、40塩基対以内に存在するか、50塩基対以内に存在するか、60塩基対以内に存在するか、70塩基対以内に存在するか、80塩基対以内に存在するか、90塩基対以内に存在するか、100塩基対以内に存在するか、もしくは110塩基対以内に存在するか、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の数の塩基対以内に存在する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子編集は、合成された第1のコーディングエクソンを生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ヌクレアーゼは、Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはTALENである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列中の前記1つ以上の制御配列の上流または下流に異種エンハンサー領域(たとえばTCRαエンハンサー)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に異種転写活性化領域を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記第1のヌクレオチド配列に遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)を挿入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、遺伝子組換えによって、前記コード鎖上の前記第1のコーディングエクソンの上流に前記異種プロモーターを挿入するか、または遺伝子組換えにおいて遺伝子編集を行うことによって、合成された第1のコーディングエクソンを生成させ、前記異種プロモーターが、該合成された第1のコーディングエクソンの上流に位置する。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記1つ以上の制御因子を遺伝子組換えすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記FOXP3を発現させるための遺伝子組換え細胞は、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子に作動可能に連結された1つ以上の制御因子および異種プロモーターを含むコード鎖を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは構成的プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記構成的プロモーターは、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、弱いプロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、誘導型プロモーターである。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、薬物またはステロイドによって誘導可能である。いくつかの実施形態において、前記異種プロモーターは、前記第1のコーディングエクソンの上流に挿入されている。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写エンハンサー領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、異種転写活性化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記コード鎖上の前記1つ以上の制御因子の下流に前記異種プロモーターを挿入する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の制御因子は、遺伝子組換えされている。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、治療中の前記対象において、インビボでのFOXp3+Treg表現型細胞集団の変化をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応療法または抗炎症療法を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記治療、抑制または緩和を必要とする対象における前記遺伝子組換え細胞のシーケンシングを行うことによって、該遺伝子組換え細胞が、該対象において維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、前記抗炎症薬は、タイサブリ(登録商標)、ステロイド、免疫抑制薬、NSAID、免疫グロブリン、パラセタモール、セレコキシブ、インドメタシンまたはジクロフェナクを含む。いくつかの実施形態において、治療、抑制または緩和を行う前、その最中および/またはその後に、インビボにおけるFOXp3+発現遺伝子組換えT細胞の変化、ならびにインビボにおけるTreg表現型を発現する遺伝子組換え細胞の数または病原性T細胞数または病原性B細胞数について前記対象をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、治療、抑制または緩和に対する1回目の応答に応じて、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、初回投与から1週間以内、2週間以内または1ヶ月以内に前記細胞の追加の用量を前記対象に投与する。本明細書に記載の治療方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、1回目の前記細胞の投与前、投与中および/または投与後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、抑制または緩和を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0150】
いくつかの実施形態において、対象における自己免疫疾患を治療、抑制または緩和する方法であって、自己免疫疾患の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して、治療、抑制または緩和を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、糖尿病、炎症性腸疾患、IPEX、免疫制御異常、多内分泌腺症、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群、クローン病、多発性硬化症、特発性エリテマトーデスまたは全身性エリテマトーデスである。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の治療を受けるべき対象として特定または選択された対象である。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、前記自己免疫疾患の症状を緩和する薬物と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、治療中の前記対象において、インビボでのFOXp3+Treg表現型細胞集団の変化をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応療法または抗炎症療法を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記治療、抑制または緩和を必要とする対象における前記遺伝子組換え細胞のシーケンシングを行うことによって、該遺伝子組換え細胞が、該対象において維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、前記抗炎症薬は、タイサブリ(登録商標)、ステロイド、免疫抑制薬、NSAID、免疫グロブリン、パラセタモール、セレコキシブ、インドメタシンまたはジクロフェナクを含む。いくつかの実施形態において、治療前、治療中および/または治療後に、インビボにおけるFOXp3+発現遺伝子組換えT細胞の変化、ならびにインビボにおけるTreg表現型を発現する遺伝子組換え細胞の数または病原性T細胞数または病原性B細胞数について前記対象をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、治療に対する1回目の応答に応じて、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、初回投与から1週間以内、2週間以内または1ヶ月以内に前記細胞の追加の用量を前記対象に投与する。本明細書に記載の治療方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、抑制または緩和を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0151】
いくつかの実施形態において、対象における臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、臓器移植の副作用の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して治療を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、治療、抑制または緩和を行っている最中の前記対象において、インビボでのFOXp3+Treg表現型細胞集団の変化をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応療法または抗炎症療法を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記治療、抑制または緩和を必要とする対象における前記遺伝子組換え細胞のシーケンシングを行うことによって、該遺伝子組換え細胞が、該対象において維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、前記抗炎症薬は、タイサブリ(登録商標)、ステロイド、免疫抑制薬、NSAID、免疫グロブリン、パラセタモール、セレコキシブ、インドメタシンまたはジクロフェナクを含む。いくつかの実施形態において、治療、抑制または緩和を行う前、その最中および/またはその後に、インビボにおけるFOXp3+発現遺伝子組換えT細胞の変化、ならびにインビボにおけるTreg表現型を発現する遺伝子組換え細胞の数または病原性T細胞数または病原性B細胞数について前記対象をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、治療に対する1回目の応答に応じて、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、初回投与から1週間以内、2週間以内または1ヶ月以内に前記細胞の追加の用量を前記対象に投与する。本明細書に記載の治療方法、抑制方法または緩和方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、治療前、治療中および/または治療後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、抑制または緩和を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
【0152】
いくつかの実施形態において、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法であって、臓器移植の副作用の治療、抑制または緩和を必要とする対象から、第1のコーディングエクソンを含むFOXP3遺伝子またはその一部と1つ以上の制御因子とを含むコード鎖を含む第1のヌクレオチド配列を含む細胞を採取すること;ヌクレアーゼをコードする第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を提供すること;前記第2のヌクレオチド配列またはヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することによって、前記第1のヌクレオチド配列にプロモーターを挿入する遺伝子ノックインによる遺伝子組換えを行うこと;および前記対象に前記細胞を導入して治療を行うことを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記細胞は前駆・幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD4+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD8+発現細胞である。いくつかの実施形態において、前記細胞は制御性T細胞である。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬と前記遺伝子組換え細胞とを組み合わせて前記対象に投与する併用療法を実施する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、治療中の前記対象において、インビボでのFOXp3+Treg表現型細胞集団の変化をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応療法または抗炎症療法を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記治療、抑制または緩和を必要とする対象における前記遺伝子組換え細胞のシーケンシングを行うことによって、該遺伝子組換え細胞が、該対象において維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬を投与すべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。いくつかの実施形態において、前記抗炎症薬は、タイサブリ(登録商標)、ステロイド、免疫抑制薬、NSAID、免疫グロブリン、パラセタモール、セレコキシブ、インドメタシンまたはジクロフェナクを含む。いくつかの実施形態において、治療、抑制または緩和を行う前、その最中および/またはその後に、インビボにおけるFOXp3+発現遺伝子組換えT細胞の変化、ならびにインビボにおけるTreg表現型を発現する遺伝子組換え細胞の数または病原性T細胞数または病原性B細胞数について前記対象をモニタリングする。いくつかの実施形態において、前記対象は、前記遺伝子組換え細胞の初回投与に対する1回目の応答に応じて、該遺伝子組換え細胞の追加の投与を受けるべき対象として選択される。いくつかの実施形態において、初回投与から1週間以内、2週間以内または1ヶ月以内に前記細胞の追加の用量を前記対象に投与する。本明細書に記載の治療方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、前記遺伝子組換え細胞が維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認するために、前記細胞の投与前、投与中および/または投与後に前記対象をモニタリングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象から細胞試料を採取して、前記遺伝子組換え細胞を検出し、該遺伝子組換え細胞が、維持されているのか、増加しているのか、または減少しているのかを確認する。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞が前記対象において減少している場合、治療、抑制または緩和を必要とする該対象への該遺伝子組換え細胞の投与を追加する。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患の標準的な治療法または炎症の標準的な治療法に対して抵抗性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象は、標準的な抗拒絶反応薬または標準的な抗拒絶療法に対して抵抗性を示す。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は、FOXP3を発現する遺伝子組換え細胞を投与すべき対象として選択される。
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