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特許7069153複数のオプトエレクトロニクスチップの共同製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】複数のオプトエレクトロニクスチップの共同製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/13 20060101AFI20220510BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20220510BHJP
   G02F 1/025 20060101ALI20220510BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20220510BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20220510BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220510BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20220510BHJP
【FI】
G02B6/13
G02B6/12 301
G02F1/025
H01S5/022
H01L31/02 C
H01L25/04 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019525005
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 FR2017053067
(87)【国際公開番号】W WO2018087485
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】1660967
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】メネゾ シルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】フーネル フランク
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0291771(US,A1)
【文献】国際公開第2016/011002(WO,A1)
【文献】特開2017-168537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
H01S 5/00-5/00
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハスケールで、複数のオプトエレクトロニクスチップ(P1,P2)を製造するプロセスであって、
i)各々が一つのオプトエレクトロニクスチップ(P1,P2)を含むための複数の基本領域(z1,z2)を備えた支持基板(1)を供給するステップ、ここで、各前記基本領域(z1,z2)は、複数の第1オプトエレクトロニクス部品(2,2)に光学的に結合されるための、前記支持基板(1)内に集積化された複数の結合導波管(3,3)を備え、
ii)パッド(6)が少なくとも2つの隣接する基本領域(z1,z2)のセット(E)にわたって広がることにより、各前記パッド(6)が前記隣接する基本領域(z1,z2)の各々における前記複数の結合導波管(3,3)を部分的に覆うように、複数の前記パッド(6)を前記複数の基本領域(z1,z2)に転写するステップ、及び、
iii)各前記基本領域(z1,z2)において、前記複数の第1オプトエレクトロニクス部品(2,2の各々前記複数の結合導波管(3 ,3 の少なくとも一つに対向するように、前記パッド(6)から前記基本領域毎に前記複数の第1オプトエレクトロニクス部品(2,2)を製造するステップ、
を備え製造プロセス。
【請求項2】
各前記パッドから前記基本領域毎に前記複数の第1オプトエレクトロニクス部品を製造するステップでは、所与のパッド(6)から製造される前記複数の第1オプトエレクトロニクス部品(2,2)の各々が、所与の前記セットの前記隣接する基本領域(z1,z2)の各々における前記複数の結合導波管(3,3)の一つに対向配置される、
請求項1に記載の製造プロセス。
【請求項3】
所与の前記セット(E)に属する前記隣接する基本領域(z1,z2)のうちの一つである第1基本領域(z1)の前記複数の第1オプトエレクトロニクス部品(2)、及び、前記隣接する基本領域(z1,z2)のうち、前記第1基本領域(z1)に隣接する基本領域である第2基本領域(z2)の前記複数のオプトエレクトロニクス部品(2)は、同じ前記パッド(6)から製造され、それぞれ、隣接する前記第1及び前記第2基本領域(z1,z2)に共通の境界を形成する分離ライン(L12)から同じ距離だけ離間している、
請求項1又は2に記載の製造プロセス。
【請求項4】
前記距離は、600um未満である、
請求項3に記載の製造プロセス。
【請求項5】
前記第1基本領域の前記複数の第1オプトエレクトロニクス部品(2前記第2基本領域の前記複数のオプトエレクトロニクス部品(2は、1.2um未満の距離だけ互いに離間している、
請求項3又は4に記載の製造プロセス。
【請求項6】
所与の前記セット(E)に属する前記隣接する基本領域(z1,z2)のうちの一つである第1基本領域(z1)の前記複数の第1オプトエレクトロニクス部品(2)は、前記第1基本領域(z1)における前記複数の結合導波管(3 )である複数の第1結合導波管(3)の結合部(3e)に対向配置され、
前記隣接する基本領域(z1,z2)のうち、前記第1基本領域(z1)に隣接する基本領域である第2基本領域(z2)の前記複数のオプトエレクトロニクス部品(2)は、前記第2基本領域(z2)における前記複数の結合導波管(3 )である複数の第2結合導波管(3)の結合部(3e)に対向配置され、
前記複数の第1結合導波管(3 )と前記複数の第2結合導波管(3 )とは、それぞれの前記結合部(3e,3e)から平行に延在している、
請求項1~5の何れか一項に記載の製造プロセス。
【請求項7】
前記複数の第1結合導波管(3 )と前記複数の第2結合導波管(3 )とは、それぞれの前記結合部(3e,3e)から互いに逆方向に延在している、
請求項6に記載の製造プロセス。
【請求項8】
前記複数の第1結合導波管(3 )と前記複数の第2結合導波管(3 )とは、それぞれの前記結合部(3e,3e)から互いに平行な方向に延在している、
請求項6に記載の製造プロセス。
【請求項9】
前記複数の第1結合導波管(3前記複数の第2結合導波管(3は、互いが分離ライン(L12)を中心として軸対称となるように、それぞれの前記結合部(3e,3e)から延在している、
請求項6~8の何れか一項に記載の製造プロセス。
【請求項10】
各パッド(6)は、4組の隣接する基本領域(z1,z2,z3,z4)のセット(E)にわたって広がっている、
請求項1~9の何れか一項に記載の製造プロセス。
【請求項11】
各パッド(6)は、
半導体化合物をベースにした半導体セグメント(7)と、
エピタキシーによって前記半導体セグメント(7)が製造される成長基板(8)と、
を備えた、請求項1~10の何れか一項に記載の製造プロセス。
【請求項12】
前記半導体化合物をベースとする合金から作られた前記成長基板(8)を除去するステップを備える、
請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項13】
各パッド(6)は、III-V族の半導体化合物をベースとする半導体セグメント(7)を備える、
請求項1~12の何れか一項に記載の製造プロセス。
【請求項14】
前記第1オプトエレクトロニクス部品は、レーザ光源、フォトダイオード、又は、電気光学モジュレータである、
請求項1~13の何れか一項に記載の製造プロセス。
【請求項15】
複数のレーザダイオード(2)が製造される複数の第1パッドを転写するステップと、
複数のフォトダイオード(10)又は複数の電気光学モジュレータが製造される複数の第2パッドを転写するステップと、を備えた、
請求項1~14の何れか一項に記載の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、機能化された支持基板にダイを転写する技術を用いて、ウエハスケールで、複数のオプトエレクトロニクスチップを製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射線を放出又は検出することが可能なダイオードを備えたオプトエレクトロニクスチップは、半導体化合物をベースにしたパッド(ダイとも称す)を支持基板に転写する技術を用いて、ウエハスケールで製造される。
【0003】
図1Aは、上面視して、SOI支持基板1上に形成されたオプトエレクトロニクスチップPの例を示す図である。破線は、支持基板1のダイシングによってオプトエレクトロニクスチップPを分離させるダイシングラインL1を表している。したがって、ダイシングラインLは、支持基板1のオプトエレクトロニクスチップPが形成される基本領域の境界を示している。ここで、各基本領域zは、フォトニック回路を形成するために互いに光学的に結合された、能動のフォトニック部品(ダイオード、モジュレータなど)及び受動のフォトニック部品(導波管、マルチプレクサなど)をそれぞれ備えている。
【0004】
図1Bは、図1Aに示される4つの隣接するオプトエレクトロニクスチップP1,P2,P3,P4の詳細を示している。ここで、各オプトエレクトロニクスチップP1,P2,P3,P4は、送信機であって、例えばInP等の半導体化合物をベースにした複数のレーザダイオード2の列を備え、主にInPからなる半導体層の積層体の形態を取っており、かつ、各レーザダイオードは、支持基板1内に集積化されたいわゆる導波管(レーザダイオード2から開始される矢印によって表される)に光学的に結合されており、かつ、レーザダイオード2によって放出された光学モードは、モジュレータ4を伝搬し、その後、マルチプレクサ5を伝搬する。もちろん、集積化されたフォトニック回路は、この図に示されるものと異なっていても良く、特に、例えば光ファイバの連結器等の他のフォトニック部品を備えても良い。また、オプトエレクトロニクスチップは、フォトダイオードがベースの受信機、又は、レーザダイオード及びフォトダイオードの両方を備えた送受信機であってもよい。
【0005】
ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するプロセスは、複数のパッドを様々な基本領域の支持基板に転写するステップを備える。各パッドは、例えばIII-V族のダイ等の半導体化合物をベースにした半導体セグメント(以下、III-V族のダイと称す)を備える。そのため、半導体セグメントは、複数の半導体層の積層体によって形成される。転写は、III-V族のダイが、それぞれの基本領域に配置されるように実行され、かつ、各III-V族のダイが、対応する領域の少なくとも一つの結合導波管のいわゆる結合部を覆うように、実行される。III-V族のダイは、直接のボンディングによって支持基板に接合されている。その後、III-V族のダイを構築するステップでは、レーザダイオード、フォトダイオード、さらには電界吸収型モジュレータのような複数のオプトエレクトロニクス部品が、その後の光学的な結合のため、それぞれ導波管の結合部に対向配置されるように、リソグラフィ及びエッチングが実行される。その後、オプトエレクトロニクスチップは、支持基板をダイシングすることによって分離される。
【0006】
特許文献1は、機能化されたシリコンベースの基板に半導体のダイをフリップチップを介して転写することによる、集積化されたフォトニック回路の製造について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2016/011002号
【文献】欧州特許第2811593号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、製造プロセスを複雑化させずに、オプトエレクトロニクスチップの製造コストを低減させる必要がある。
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に改善することであり、より詳細には、製造コストを低減することを可能にする、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明の主題は、ウエハスケールで複数のオプトエレクトロニクスチップを製造するためのプロセスであって、
-各々が一つのオプトエレクトロニクスチップを含むための複数のいわゆる基本領域を備えた支持基板を供給するステップ、ここで、各前記基本領域は、第1オプトエレクトロニクス部品に光学的に結合されるための、前記支持基板内に集積化された少なくとも一つのいわゆる結合導波管を備え、
-複数のパッドが前記結合導波管を部分的に覆うように、前記複数のパッドを前記基本領域に転写するステップ、及び、
-各前記第1オプトエレクトロニクス部品が対応する基本領域の少なくとも一つの結合導波管に対向するように、前記パッドから前記第1オプトエレクトロニクス部品を製造するステップ、を備える。
【0011】
本発明によれば、次の前記転写するステップでは、各前記パッドが少なくとも2つの隣接する基本領域のセットにわたって広がることにより、前記隣接する基本領域の各々における少なくとも一つの結合導波管を部分的に覆う。
【0012】
以下は、このプロセスの、ある好適且つ非限定的な形態である。
【0013】
そのため、前記第1オプトエレクトロニクス部品を製造するステップでは、所与のパッドから製造される前記第1オプトエレクトロニクス部品の各々が、所与の前記セットの前記隣接する基本領域の前記結合導波管の一つに対向配置されても良い。
【0014】
所与の前記セットに属する、第1基本領域の少なくとも一つの第1オプトエレクトロニクス部品、及び、前記第1基本領域に隣接する第2基本領域の少なくとも一つの第2オプトエレクトロニクス部品は、同じ前記パッドから製造され、それぞれ、隣接する前記第1及び前記第2基本領域に共通の境界を形成する分離ラインから同じ距離だけ離間していても良い。その距離は、600um未満であっても良い。
【0015】
前記第1オプトエレクトロニクス部品及び前記第2オプトエレクトロニクス部品は、1.2um未満の距離だけ互いに離間していても良い。
【0016】
第1オプトエレクトロニクス部品は、セットの第1基本領域の第1結合導波管の結合部に対向配置され、第2オプトエレクトロニクス部品は、所与の前記セットに属し、前記第1基本領域に隣接する第2基本領域の第2結合導波管の結合部に対向配置され、前記第1及び前記第2結合導波管は、それぞれの前記結合部から平行に延在していても良い。
【0017】
前記第1及び前記第2結合導波管は、それぞれの前記結合部から互いに逆方向に延在していても良い。
【0018】
前記第1及び前記第2結合導波管は、それぞれの前記結合部から互いに平行な方向に延在していても良い。
【0019】
前記第1結合導波管及び前記第2結合導波管は、それぞれの前記結合部から、互いが分離ラインを中心として軸対称となるように延在していても良い。
【0020】
各パッドは、4組の隣接する基本領域にわたって広がっていてもよい。
【0021】
各パッドは、半導体化合物をベースにした半導体セグメントと、エピタキシーによって前記半導体セグメントが製造される成長基板と、を備えていても良い。
【0022】
前記プロセスは、前記半導体化合物をベースとした合金から作られた前記成長基板を除去するステップを備えていても良い。
【0023】
各パッドは、III-V族の半導体化合物をベースにした半導体セグメントを備えていても良い。
【0024】
前記第1オプトエレクトロニクス部品は、レーザ光源、フォトダイオード、又は、電気光学モジュレータであっても良い。
【0025】
前記セットの各基本領域は、複数の結合導波管の列を備え、複数の第1オプトエレクトロニクス部品の列は、所与の列の前記第1オプトエレクトロニクス部品がそれぞれ対応する結合導波管に対向するように、前記セットの各前記基本領域に製造されても良い。
【0026】
前記プロセスは、複数のレーザダイオードが製造される複数の第1パッドを転写するステップと、複数のフォトダイオード又は複数の電気光学モジュレータが製造される複数の第2パッドを転写するステップと、を備えていても良い。
【0027】
前記プロセスは、複数の分離したオプトエレクトロニクスチップを取得するために、基本領域間を通るダイシングラインに沿って支持基板をダイシングする後続のステップを備える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の他の態様、目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照しながら非限定的な例として与えられる、その好適な実施形態の以下の詳細な説明、を読むことによってより明らかになるであろう。
【0029】
図1A図1Aは、先行技術を参照して既に説明されたものであって、上面視して、支持基板上に形成されたオプトエレクトロニクスチップの一例を概略的に示す図である。
図1B図1Bは、既に説明されたものであって、図1Aに示す4つの隣接するオプトエレクトロニクスチップの詳細な図である。
図2A図2Aは、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するための従来のプロセスの様々なステップを、図1BのA-Aのラインに沿った断面において部分的かつ概略的に示す図である。
図2B図2Bは、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するための従来のプロセスの様々なステップを、図1BのA-Aのラインに沿った断面において部分的かつ概略的に示す図である。
図2C図2Cは、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するための従来のプロセスの様々なステップを、図1BのA-Aのラインに沿った断面において部分的かつ概略的に示す図である。
図2D図2Dは、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するための従来のプロセスの様々なステップを、図1BのA-Aのラインに沿った断面において部分的かつ概略的に示す図である。
図3図3は、上面視して、結合導波管に結合された4つのレーザダイオードの列が製造される一つの基本領域において、上述の従来のプロセスの様々なステップを経過したダイ領域を、部分的かつ概略的に示す図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施の形態にかかる、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するためのプロセスの様々なステップを、図5AのB-Bのラインに沿った断面において部分的かつ概略的に示す図である。
図4B図4Bは、本発明の一実施の形態にかかる、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するためのプロセスの様々なステップを、図5AのB-Bのラインに沿った断面において部分的かつ概略的に示す図である。
図4C図4Cは、本発明の一実施の形態にかかる、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するためのプロセスの様々なステップを、図5AのB-Bのラインに沿った断面において部分的かつ概略的に示す図である。
図4D図4Dは、本発明の一実施の形態にかかる、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するためのプロセスの様々なステップを、図5AのB-Bのラインに沿った断面において部分的かつ概略的に示す図である。
図5A図5Aは、上面視して、図4A図4Dに記載されたプロセスを用いて支持基板上に形成された4つのオプトエレクトロニクスチップの例を、部分的かつ概略的に示す図である。
図5B図5Bは、上面視して、同じダイから4つの隣接する基本領域のセットに複数のレーザダイオードの列が形成されるような、図4A図4Dに記載されたプロセスの様々なステップを経過したダイの表面を部分的かつ概略的に示す図である。
図6A図6Aは、上面視して、支持基板上に製造されたオプトエレクトロニクスチップの様々な変形例を部分的かつ概略的に示す図である。ここで、この変形例では、隣接する基本領域のセットのレーザダイオードの列が同じIII-V族のダイから得られる。
図6B図6Bは、上面視して、支持基板上に製造されたオプトエレクトロニクスチップの様々な変形例を部分的かつ概略的に示す図である。ここで、この変形例では、隣接する基本領域のセットのレーザダイオードの列が同じIII-V族のダイから得られる。
図6C図6Cは、上面視して、支持基板上に製造されたオプトエレクトロニクスチップの様々な変形例を部分的かつ概略的に示す図である。ここで、この変形例では、隣接する基本領域のセットのレーザダイオードの列が同じIII-V族のダイから得られる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面および以下の説明では、同一または類似の要素を指すのに同じ参照番号が使用されている。さらに、様々な要素は、図面を明確にするために一定の縮尺では示されていない。さらに、様々な実施形態および変形形態は互いに排他的ではなく、互いに組み合わせることができる。他に指示がない限り、用語「実質的に」、「約」および「程度」は、10%以内を意味する。
【0031】
本発明は、機能化された支持基板にダイとも呼ばれるパッドを転写するための技術を用いて、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造する。
【0032】
オプトエレクトロニクスチップは、電磁放射を放出、検出、又は、変調することが可能な少なくとも1つの第1オプトエレクトロニクス部品を備えたデバイスを意味しており、その部品は、所与の半導体化合物をベースにしたものであり、支持基板上に設けられている。ここで、第1オプトエレクトロニクス部品は、主に半導体化合物を備えているという意味で、所与の半導体化合物をベースにしている、と称される。それは、半導体化合物からなる又は半導体化合物を含む様々な合金から形成された薄層の積層体を備えていてもよい。さらに、各チップは、受動及び/又は能動のフォトニック部品を備える。各第1オプトエレクトロニクス部品は、いわゆる結合導波管に光学的に結合されている。ここで、結合導波管は、支持基板内に集積化され、かつ、少なくとも一つのフォトニック回路の一部を形成している。オプトエレクトロニクスチップは、支持基板のいわゆる基本領域内に製造されている。ここで、基本領域は、基板の分離された領域を形成している。オプトエレクトロニクスチップのフォトニック回路は、各オプトエレクトロニクスチップと同一又は類似する基本パターンから製造されてもよい。そのため、基本パターンは、フォトリソグラフィ工程で用いられるマスクにおいて定義されても良い。
【0033】
各パッド(又はダイ)は、成長基板からのエピタキシャル成長によって製造された半導体セグメントを備える。半導体セグメントは、前述の半導体化合物をベースにしており、一つ以上の第1オプトエレクトロニクス部品を製造することを目的としている。パッドは、支持基板の面に平行な面において、数平方ミリメートル程度の領域と、数十ミクロンから数百ミクロン程度の厚みと、を有することができる。半導体化合物は、好ましくは、III-V族の化合物、即ち、周期律表のIII族からの少なくとも一つの元素、及び、V族からの少なくとも一つの元素を含む合金である。半導体化合物は、例えば、InP又はGaAsである。以降、ダイはIII-V族ダイと称す。
【0034】
半導体セグメントは、p-n接合またはp-i-n接合を形成するように互いに配置されたnドープの第1層及びpドープの第2層の積層体、及び、場合によっては障壁層の間、できればそれらの層の間に配置された、量子井戸を形成する少なくとも一つの中間層、を含むヘテロ構造であってもよい。一つ以上の量子井戸及び障壁層は、本来備わっており、即ち、意図せずにドープされており、半導体化合物をベースにしている。例として、ヘテロ構造は、とりわけ、InGaAsP/InP、InAlGaAs/InP又はAlInGaAs/GaAsヘテロ構造であってもよい。したがって、半導体化合物がInPである場合、ドープ層はInPからなり、量子井戸はInAsPからなり、障壁層はInGaAsPからなることができる。
【0035】
支持基板は、その基板内に集積化された(即ち、支持基板の前面又はその下に生成される)少なくとも一つの受動伝送光学部品、即ち、結合導波管を備えるという意味では、機能化されていると言うことができる。それは、また、いわゆるフォトニック集積回路を形成するために、互いに光学的に結合された、他の受動伝送光学部品(マルチプレクサ又はデマルチプレクサ、光ファイバへの連結器等)、及び/又は、能動伝送光学部品(モジュレータ等)を備えてもよい。支持基板は、シリコンの薄い表面層と、バルクシリコン層と、それらの間に挿入されたいわゆる埋め込み酸化物(BOX)、即ち、酸化シリコン層と、を備えたSOI基板とすることができる。薄い表面層は、ダイが支持基板の前面に接合されることを可能にする層、例えば、例えば直接接合の場合には酸化物層によって覆われてもよい。
【0036】
一般的に、オプトエレクトロニクスチップは、結合導波管に結合されたレーザダイオードの列、及び、例えば、モジュレータ、少なくとも一つのマルチプレクサ、及び、光ファイバへの連結器を有する送信機Txであり得る。それらは、フォトダイオード、デマルチプレクサ、及び、連結器を備えた受信機Rx、又は、レーザダイオード及びフォトダイオードの両方を備えた送受信機であってもよい。本発明の観点から、単なる例示として、オプトエレクトロニクスチップは、シリコンベースの支持基板(例えばSOI基板)内に集積化されたフォトニック回路の結合導波管、に光学的に結合されたIII-V族の半導体化合物をベースにしたレーザダイオード、を備えた送信機Txである。
【0037】
図2A図2Dは、支持基板にダイを転写することによってオプトエレクトロニクスチップを製造するための、より具体的には第1オプトエレクトロニクス部品(ここではフォトニック集積回路に光学的に結合されたレーザダイオード)を製造するための、従来のプロセスの例の様々なステップに関する、図1Bに記載されたA-Aのラインに沿った部分的かつ概略的な断面図である。ここでは、製造プロセスの特定のステップのみが図示及び説明されている。
【0038】
ここで、残りの説明のために、X軸及びY軸が支持基板の前面の平面に平行な面を形成し、Z軸が支持基板の平面に対して実質的に直角に向いている、三次元直接直交座標系(X,Y,Z)が定義されている。
【0039】
この例では、III-V族のダイは、III-V族の半導体化合物、例えばInP又はGaAsをベースにした半導体セグメントを備えた互いに分離したパッドであって、ここではIII-V族の半導体化合物が支配的な薄い層の積層体から形成されている。さらに、それらは、成長基板を備え、そこからそれぞれの半導体セグメントが製造される。成長基板は、III-V族の半導体化合物の格子定数と良好な格子定数の一致を示す材料から作られる。それは、例えばInPと同じIII-V族の半導体化合物から作られてもよいし、又は、III-V族の半導体化合物と同じIII元素及びV元素を含む合金から作られてもよい。例として、ダイがInGaAsP/InPである場合、成長基板はInPによって作られていてもよい。支持基板は、シリコンベースであって、SOI基板とすることができる。それは、同じ支持基板の内部に配置されているという意味で集積化されていると称されるフォトニック部品、ここでは、結合導波管、シリコン製のモジュレータ、及び、シリコン製の波長マルチプレクサを備える。結合導波管は、ダイオードとモジュレータとの間の光学経路を形成している。
【0040】
図2Aは、支持基板1に複数のダイ6を転写するステップを示す図である。各ダイ6は、半導体セグメント7及び成長基板8を備える。さらに、各半導体セグメント7の自由面、即ち、成長基板8と反対側の面が、支持基板1の前面1aと接触するように処理される。ここで、ダイ6は、ダイ6と支持基板1との間の界面に位置する酸化物層(不図示)、例えば数ナノメートルから数十ナノメートルの厚さのシリコン酸化物の層、によって直接接着することによって支持基板1に固定されている。
【0041】
各ダイ6は、支持基板1の一つの基本領域zに配置されている。ここでは、基本領域z当たり一つのダイ6の量で配置されているが、変形例として、同じ基本領域内に複数の別々の転写が配置されてもよい。ここで、ダイ6及び6は、それぞれ基本領域z3及びz4に配置されている。基本領域zは、破線間に位置しており、支持基板1をダイシングする次のステップで個片化される、オプトエレクトロニクスチップPの領域、ここでは特にP3及びP4(図2D)を含むように意図されている。
【0042】
各基本領域zには、フォトニック部品を備えた少なくとも一つのフォトニック回路が配置されており、ここではその中の結合導波管3及びモジュレータ4のみが示されている。ここで、フォトニック回路は、同じ支持基板1内において組み立てられ、かつ、その内部に配置された、複数のフォトニック部品(ガイド3、モジュレータ4等)を含む限りにおいて集積化されていると称される。ここで、基本領域z4において、フォトニック回路は、結合導波管3の列を備え、各結合導波管3は、レーザダイオード2と導波管3との間の光学的な結合を可能にするいわゆる第1結合部3eを含む。
【0043】
各ダイ6,6は、それぞれの結合部3e,3eと同じ高さの、対応するフォトニック回路の結合導波管3,3、を部分的に覆うように異なる基本領域z3,z4に配置されている。
【0044】
転写されたダイ6は、XY平面において、例えば正方形状の場合にはLielem×Lielemと等しい初期領域Selem i,nを有する。初期領域Selem i,nは、結合導波管3に対向するように製造されるダイオード2の数に依存し、数平方ミリメートル程度である。もちろん、ダイ6は、XY平面内において例えば、長方形、多角形、円形などの別の種類の外形を有してもよい。
【0045】
図2Bは、成長基板8を除去する好ましいステップを示している。除去は、化学エッチング、場合によっては先行して機械的薄化することによって、実行されることができる。そのため、ダイ6の厚みは、実質的に半導体セグメント7の厚みに対応する。
【0046】
XY平面内における半導体セグメント7の横方向のオーバーエッチングは、成長基板の除去中、特に成長基板8の材料が、半導体セグメント7のベースとなっているIII-V族の半導体化合物と同じIII元素及びV元素を少なくとも備えた合金である場合に、起こりやすい。これは、例えば、InPからなる成長基板8が、InPをベースとする半導体セグメント7(例えばInGaAsP/InPセグメント)の成長のために使用される場合において、成長基板8が塩酸における化学エッチングにより除去される場合である。
【0047】
それから、ダイ6の半導体セグメント7は、XY平面において、例えば正方形状の場合に初期領域Sよりも小さいL1elem×L1elemの領域Selem を有する。例として、半導体セグメント7は、その横方向の端部7lから約300umの距離にわたってエッチングされてもよく、これは、L1elem=Lielem-2×300umを意味する。
【0048】
図2Cは、各半導体セグメント7から4つのレーザダイオード2の列を製造する次のステップを示す。ここで、レーザダイオード2は、リッジダイオードであって、長手方向のX軸に沿った長さLfが横方向のY軸に沿った幅Ifよりも大きいが、例えば垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)のような他のダイオードであってもよい。このようなリッジレーザダイオード2は、半導体セグメント7に配置された導波管を備え、半導体光増幅器(SOA)を形成しており、かつ、2つのガイド間の光学的な結合を可能にするためにZ軸に沿って結合導波管3に対向配置されている。このようなリッジレーザダイオードは、特に、特許文献2に開示されている。レーザダイオード2は、各レーザダイオード2,2が結合導波管3,3の結合部3e,3eにz軸に沿って対向配置されることによって、ダイオード2が対応する結合導波管3に光学的に結合されるように、リソグラフィ及びエッチングの従来のステップを用いて製造される。また、メタルコンタクト(不図示)は、様々なダイオード2にポンピング電流を注入することができるように製造される。
【0049】
図2Dは、複数の分離したオプトエレクトロニクスチップPを取得するために、ダイシングラインLに沿って支持基板1をダイシングするステップを示す。この例では、チップP3,P4は、特にラインL34に沿ってダイシングすることによって得られる。オプトエレクトロニクスチップPは、とりわけ、機械的ダイシング、レーザ、化学エッチング、及び/又は、物理エッチングによって分離されることができる。
【0050】
図3は、上面視して、同じダイ6から製造され、かつ、同じフォトニック回路の複数の結合導波管3にZ軸に沿って対向配置された、4つのリッジレーザダイオード2の列を概略的に示す図である。特に、従来の製造プロセスの様々なステップにおけるダイ6のXY平面内の領域を示している。
【0051】
この例では、リッジレーザダイオード2は、それぞれ、X軸の長手方向に沿って約800umの長さLfを有し、Y軸の横方向に沿って約50umの幅Ifを有し、かつ、Y軸に沿って約200umのエッジ間距離だけ互いに離間している。これらの寸法を得るために、リソグラフィ及びエッチングス工程は、一般的に、約1×1mmの初期のいわゆる有効領域Selem i,uを持つ半導体セグメント7、ひいてはダイ6を提供することを含む。
【0052】
しかしながら、実際には、ダイ6が、有効初期領域Selem i,uよりもはるかに大きないわゆる必要初期領域Selem i,nを有するように準備する必要がある。具体的には、対応する基本領域の結合導波管3に対するダイ6の位置について、およそ+200um~-200um程度の不確実性を考慮する必要があることが推奨される。さらに、成長基板8を除去するステップで起こり得る半導体セグメント7の横方向の(半導体セグメント7の横方向の端部7lから300um程度の)オーバーエッチングを考慮に入れることも必要である。
【0053】
したがって、一例として、所望の寸法を有するレーザダイオード2をZ軸に沿ってそれぞれの結合導波管3に正確に対向配置させることを可能にする、約1×1mmの有効初期領域Selem i,uの半導体セグメント7を得るために、2×2mm(即ち約4mm)の必要初期領域Selem i,nのダイ6を転写することが必要である。具体的には、4mmの領域Selem i,nのダイ6は、成長基板8の除去後、及び、半導体セグメント7の材料の横方向のオーバーエッチング後に、結果的に約1.4×1.4=2.0mmの領域Selem の半導体セグメント7になる。そして、1×1mmの有効初期領域Selem i,uに対応するこの領域は、位置の不確実性を考慮に入れるため、XY平面の横方向の端部7lについて200umだけ増大している。
【0054】
したがって、一般的に、結果として、半導体セグメント7の材料の必要初期領域Selem i,nは、有効初期領域Selem i,uよりもはるかに大きくする(本例では4倍程度にする)必要がある。これは、高い製造コストをもたらす。加えて、必要初期領域Selem i,nと有効初期領域Selem i,uとの間に、この例では75%程度の半導体セグメント7の材料の損失がある。
【0055】
製造コストを低減させるため、本発明にかかるプロセスは、複数の隣接するオプトエレクトロニクスチップPのセットEの第1オプトエレクトロニクス部品を同じダイを用いて製造することを提案する。これは、各オプトエレクトロニクスチップの基本領域に追加されるべき必要初期領域内の有効初期領域を減少させることができ、かつ、ダイの半導体セグメントの材料の損失量を減少させることができる。
【0056】
この目的のため、各ダイは、少なくとも2つの隣接する基本領域のセットE、好ましくは4組の隣接する基本領域のセットE、にわたって延在するように支持基板に転写され、それにより、隣接する基本領域の各々における少なくとも一つの結合導波管を部分的に覆う。したがって、第1オプトエレクトロニクス部品を製造するステップにおいて、所与のダイから製造された第1部品は、各第1オプトエレクトロニクス部品が対応する結合導波管に光学的に結合されるように、隣接する基本領域のそれぞれの結合導波管にZ軸に沿って対向配置される。
【0057】
以下に詳述するように、2つの隣接する基本領域のセットEからなる第1オプトエレクトロニクス部品の列は、分離ライン(即ちダイシングライン)の近傍に位置するように配置される。結合導波管の列の結合部についても同様のことが言える。一般的に、分離ラインは、2つの隣接する基本領域間を通過し、これら2つの隣接する基本領域に共通する境界を形成する。さらに、第1オプトエレクトロニクス部品の列は、この分離ラインに関し、有利には600um未満、例えば300um以下の同一の距離だけ離間しても良い。それらは、例えば10umより大きく、例えば50um以上の距離だけ互いに離間している。さらに、それらは、互いに関して、分離ライン(ここではX軸又はY軸に平行)と厚さ方向のz軸とによって形成される平面について鏡面対称を有しても良い。
【0058】
図4A図4Dは、各オプトエレクトロニクスチップPのダイオード2を製造するのに必要とされる半導体材料の初期領域を制限することにより、製造コストを制限することが可能となった、オプトエレクトロニクスチップPを製造プロセスの例を示す図である。これらの図は、図5Aの断面B-Bに沿った、プロセスの様々なステップについての、隣接するオプトエレクトロニクスチップP1,P2を概略的かつ部分的に示す図である。この例では、ダイ6及び支持基板1が、材料に関して、図2A図2Dの例のものと同様である。ここで、第1オプトエレクトロニクス部品は、レーザダイオードである。
【0059】
図4Aは、ダイ6を支持基板1に転写するステップを示す図である。各ダイ6は、III-V族の半導体化合物をベースにした半導体セグメント7、例えばp-n又はp-i-n接合を形成するInPをベースにしたヘテロ構造、を備え、その自由表面は、支持基板1の前面1aに接触するように配置される。それは、また、エピタキシャル成長によって半導体セグメント7が生成される成長基板8を備える。
【0060】
ここで、各ダイ6は、少なくとも2つの隣接する基本領域のセットE、この例では4組の隣接する基本領域のセットE、図5Aの例ではz1、z2、z3、z4、にわたって延在するように支持基板1に転写される。したがって、それは、フォトニック回路の少なくとも一つの結合導波管3、ここではセットEの隣接する基本領域z1、z2、z3、z4の各々における4つの結合導波管3の列、を覆う。そのため、各ダイ6は、様々な隣接する領域の間において転写の材料の中断なしに、4つの隣接する基本領域のそれぞれの一部にわたって連続的に広がる。
【0061】
各ダイ6は、例えばXY平面の正方形断面の場合においてLiens×Liensサイズの必要初期領域Sens i,nを有する。ここで、Liensは、XY平面のダイ6の寸法である。この初期領域Sens i,nは、所与のセットEの隣接する各基本領域z1、z2、z3、z4の結合導波管3のそれぞれの結合部3eが覆われるように、選択される。
【0062】
図4Bは、成長基板8を除去する好ましいステップを示す図である。上記したように、除去は、化学エッチングによって、場合によっては機械的薄化が先行することによって、実行されることができる。そのため、ダイ6の厚みは、半導体セグメント7の厚みと実質的に同じ程度にまで減少する。
【0063】
ダイ6の半導体セグメント7の横方向のオーバーエッチングの場合、半導体セグメント7は、XY平面において、例えば正方形状の場合に領域Sens i,nよりも小さいL1ens×L1ensの領域Sens を有する。例として、半導体セグメント7の横方向の境界7lは、約300umの幅(換言するとL1ens=Liens-2×300um)にわたってエッチングされてもよい。
【0064】
図4Cは、所与のセットEの隣接する基本領域z1,z2,z3,z4の各々に対して少なくとも一つのダイオード2,2,2,2を生成するように半導体セグメント7を構築するステップを示す図である。この例では、同じ半導体セグメント7から、所与のセットEの隣接する基本領域z1,z2,z3,z4の各フォトニック回路のために複数のレーザダイオード2の列が製造される。
【0065】
ここで、レーザダイオード2は、またX軸の長手方向に沿って長さLfを有し、Y軸の横方向に沿って幅Ifを有するリッジレーザダイオード2である。レーザダイオード2は、各レーザダイオード2が、対応する基本領域のフォトニック回路の結合導波管3の結合部3eにZ軸に沿って対向配置されるように、従来のリソグラフィ及びエッチング工程を用いて製造される。
【0066】
図4Dは、複数の分離したオプトエレクトロニクスチップPを取得するために、ダイシングラインLに沿って支持基板1をダイシングするステップを示す図である。
【0067】
図5A及び図5Bの例を参照して示されるように、隣接する基本領域のセットのダイオード2を製造するために同じダイ6を使用することにより、基本領域当たりの半導体材料の必要初期領域を減少させることができるため、製造コストを低減させることができる。
【0068】
図5Aは、図4A図4Dを参照して説明した製造プロセスを用いて製造された隣接するオプトエレクトロニクスチップP1,P2,P3,P4のセットEを示す図である。図5Bは、複数組の隣接するオプトエレクトロニクスチップP1,P2,P3,P4のセットEの第1オプトエレクトロニクス部品2、ここではレーザダイオード、及び、製造プロセスの間にダイ6が持った様々な領域、を詳細に示す概略図である。
【0069】
ここで、4組の隣接するオプトエレクトロニクスチップP1,P2,P3,P4のセットEは、支持基板上に形成される。それらは、破線によって表された、ダイシングライン又は分離ラインL12,L23,L34,L14によって、互いに分離している。この例では、各オプトエレクトロニクスチップP1,P2,P3,P4は、支持基板内に集積化された(導波管、モジュレータ及び波長マルチプレクサのような)フォトニック部品を備えたフォトニック回路、に結合された複数のレーザダイオード2,2,2,2の列、を備える。
【0070】
そのため、フォトニック回路は、複数の結合導波管(ここでは、ダイオードから開始される矢印によって表される)の列を備え、その結合部は、各レーザダイオード2が、対応する結合導波管3に光学的に結合されるように、Z軸に沿ってレーザダイオード2(図4A)に対向配置される。ここで、各フォトニック回路は、レーザダイオード2に光学的に結合された結合導波管を形成し、各レーザダイオード2をモジュレータに結合し、各モジュレータの出力を波長マルチプレクサの入力に結合する光学経路を備える。
【0071】
隣接する基本領域z1,z2,z3,z4のダイオード2の列が同じダイ6から製造される限りにおいて、それらは、所与のセットEの基本領域z1,z2,z3,z4の互いに隣接する角部に配置される。より正確には、セットEの基本領域、例えば領域z1、のダイオード2の列は、セットEの他の3つの基本領域z2,z3,z4に隣接する角部に配置される。
【0072】
さらに、セットEの、何れも同じ転写から生成された、第1基本領域の少なくとも一つの第1ダイオードと、隣接する第2基本領域の少なくとも一つの第2ダイオードとは、隣接する第1及び第2基本領域に共通の境界を形成する分離ラインの近傍に配置される。第1及び第2ダイオードは、分離ラインから等しい距離(できれば600um未満、例えば300um以下、及び、例えば約100um)だけ離間されてもよい。この距離は、約10um以上、例えば10umであってもよく、又は、ダイシングブレード幅が50umの場合には、さらには数十ミクロン、例えば50umであり得る。
【0073】
図5Aの例では、基本領域z1の結合導波管3の結合部と、基本領域z2の結合導波管3の結合部とは、好ましくは、基本領域z1,z2に対して共通の境界を形成する分離ラインL12の近傍に配置されている。より正確には、基本領域z1の結合導波管3の結合部は、分離ラインL12と反対かつ平行な分離ラインからの距離よりも分離ラインL12からの距離が短くなるように配置されても良い。同様に、基本領域z2の結合導波管3の結合部は、分離ラインL12と反対かつ平行な分離ラインからの距離よりも分離ラインL12からの距離が短くなるように配置されても良い。
【0074】
好ましくは、基本領域z1のレーザダイオード2は、基本領域z2のレーザダイオード2と分離ラインL12からの距離が同じになるように配置される。この距離は、問題となっているダイオードの境界と、分離ラインと、の間の最小距離に対応する。したがって、基本領域z1のダイオード2は、1.2um未満(例えば600um以下、例えば約200um程度)のエッジ間距離だけ基本領域z2のダイオード2から離間している。一方で、この距離は、約10um以上であって、例えば10um、さらには数十ミクロン、例えば50umである。したがって、所与のセットEの隣接する基本領域のダイオードを製造するのに必要な半導体セグメントの領域は、制限される。
【0075】
さらに、基本領域z1の結合導波管3及び基本領域z2の結合導波管3は、基本領域z1の結合導波管3の結合部がそれぞれXY平面において基本領域z2の結合導波管3の結合部と対向配置されるように、即ち、それらが結合導波管のそれぞれの結合部の長手方向の軸に沿って(ここでは、X軸に沿って)並ぶように、互いに配置されている。加えて、基本領域z1の結合導波管3及び基本領域z2の結合導波管3は、それぞれの結合部から互いに逆方向に延在している。この例では、基本領域z1の結合導波管3はX軸マイナス方向に延在しているのに対し、基本領域z2の結合導波管3はX軸プラス方向に延在している。基本領域z1の各結合導波管3は、基本領域z2の結合導波管3と同軸に配置されている。
【0076】
好ましくは、基本領域z1の結合導波管3及び基本領域z2の結合導波管3は、互いが、分離ラインL12を中心にして軸対称又は鏡面対称となるようにそれぞれの結合部から延在する。それにより、従来例のように基本領域毎に1つのマスクではなく、隣接する基本領域z1~z4のセットEを光学的に覆うステッパを用いることができる限りにおいて、フォトニック回路の事前製造を単純化することができる。隣接する領域のセットEの各々に対して、このマスクの適用は繰り返され又は段階的に行われる。
【0077】
隣接する基本領域z1~z4に関して、基本領域z1の結合導波管3及び基本領域z4の結合導波管3は、分離ラインL14の近傍に配置されている。より正確には、基本領域z1の結合導波管3は、分離ラインL14と反対かつ平行な分離ラインからの距離よりも分離ラインL14からの距離が短くなるように配置される。同様に、基本領域z4の結合導波管3は、分離ラインL14と反対かつ平行な分離ラインからの距離よりも分離ラインL14からの距離が短くなるように配置される。
【0078】
好ましくは、分離ラインL14に最も近い基本領域z1のダイオード3は、分離ラインL14に最も近い基本領域z4のダイオード3と、分離ラインL14からの距離が同じになるように配置されている。同様に、これら隣接するダイオード3,3は、1.2um未満(例えば600um以下、例えば約200um程度)の距離だけ互いに離間していてもよい。この距離は、約10um以上であって、例えば10um、さらには50umであっても良い。したがって、所与のセットEの隣接領域のダイオードを製造するのに必要な半導体セグメントの領域は、制限される。
【0079】
さらに、基本領域z1の結合導波管及び基本領域z4の結合導波管は、それぞれの結合部から互いに平行な方向(ここでは、X軸マイナス方向)に延在している。この例では、結合導波管3のそれぞれの結合部、及び、結合導波管3のそれぞれの結合部は、分離ラインL12,L34に平行な軸に沿って並んでいる。
【0080】
好ましくは、基本領域z1の結合導波管3及び基本領域z4の結合導波管3は、互いが、分離ラインL14を中心にして軸対称となるようにそれぞれの結合部から延在する。そのため、上記したように、隣接する基本領域の各セットEに共通のステッパの光学的な適用によって、フォトニック回路の事前製造を単純化することができる。
【0081】
図5Bを参照すると、この例によれば、所与のセットEの4つの隣接する基本領域z1,z2,z3,z4のレーザダイオード2,2,2,2(ここで、各レーザダイオード2は、約800umの長さLf及び約50umの幅Ifを持ち、かつ、隣接するダイオード2から約200umのエッジ間距離だけ離間している)の列を製造するために、ダイ6は、総有効初期領域Sens i,u図3の例では、1×1mm程度のいわゆる基本の有効初期領域Selem i,nの合計に実質的に等しい)よりも大きな必要初期領域Sens i,nを持つ必要がある。
【0082】
したがって、実質的に4×Selem i,uに等しい連続的な中断の無い総有効初期領域Sens i,uを有する半導体セグメント7を得るために、所与のセットEの隣接する基本領域z1,z2,z3,z4の結合導波管3,3,3,3に対するダイ6の位置について、約+200um~-200um程度の不確実性が考慮される。加えて、成長基板8を除去するステップでの半導体セグメント7の横方向の(例えば半導体セグメント7の横方向の端部から300um程度の)オーバーエッチングの可能性を考慮することもできる。
【0083】
したがって、この例では、約4×(1×1)mmの総有効初期領域Sens i,uを得るために、ダイ6は約3×3=9mmの総必要初期領域Sens i,nを有する。具体的には、9mmの領域Sens i,nのダイ6から、成長基板8の除去後、かつ、半導体セグメント7の横方向の端部7lから半導体の300umの横方向のオーバーエッチングの後に、約2.4×2.4=5.8mmの領域Sens の半導体セグメント7を得ることができる。この領域Sens は、位置の不確実性を考慮に入れるため、XY平面において、半導体セグメント7の横方向の端部7lについて200umだけ増加させた総有効初期領域Sens i,uに対応している。
【0084】
したがって、従来技術とは対照的に、各基本領域に対して1×1mmの基本有効初期領域Selem i,uを得るために、隣接する基本領域のダイオードの生成に3×3=9mmの総必要初期領域Sens i,nを有する同じダイを使用することにより、基本領域当たりの必要初期領域Selem i,nを、図3の例に示すような4mmの代わりに、9/4=2.5mmに減少させることができる。したがって、図3の例に関し、結果として、半導体セグメントの材料の必要初期領域Selem i,nは、基本領域当たり有効初期領域Sens i,uの2.5倍程度に過ぎず、これは、実質的に基本領域当たりに必要とされる半導体の体積を減少させ、その結果、製造コストを減少させることを表している。結果として、必要初期領域Selem i,n及び有効初期領域Selem i,uの間の差分に対応する、基本領域当たりの半導体セグメントの材料の損失(この例では、約60%であって、図3の例のような75%では無い)も減少する。
【0085】
この製造プロセスは、また、所与の数のオプトエレクトロニクスチップのために、より少数のパッド(従来例のパッドの数を2又は4で割った数のパッドの数)を用いて操作することを可能にする。それはまた、大きなサイズのパッドの使用を可能にする。そのため、プロセスの複雑さ及び長さは減少する。
【0086】
従来技術の例とは対照的に、各チップのフォトニック回路の製造中に、単一の基本領域に対してではなく、隣接する基本領域のセットEに光学的に適用されるパターンのステッパを使用することが可能である。したがって、マスクパターンは、従来技術のような各基本領域に対してではなく、隣接する領域のセットEの各々に光学的に適用される。それにより、製造プロセスを簡素化し、その長さを短くすることができる。
【0087】
従来技術の例では、リソグラフィのマスクのパターンは、基本領域間で同一であったが、ここでは隣接する領域のセットE間で同一となっている。所与のセットEにおいて、第1基本領域に対応する第1サブパターンは、第1基本領域に隣接する第2基本領域に対応する第2サブパターンと鏡面対称を有する。
【0088】
図6Aは、図5Aに示す形態の変形例、即ち、隣接する基本領域z1,z2のダイオード2,2が同じダイから製造され、隣接する基本領域z3,z4のダイオード2,2が別の同じダイから前述のダイと分離して製造される例、を概略的かつ部分的に示す図である。領域z1の結合導波管のそれぞれの結合部は、領域z2の結合導波管とラインL12を中心とした軸対称を有する。ラインL34を中心とした領域z3の結合管に対する領域z4の結合管についても同様である。
【0089】
図6Bは、図6Aに示す変形例の変形例、即ち、隣接する基本領域z1,z4のダイオード2,2が同じダイから製造され、隣接する基本領域z2,z3のダイオード2,2が別の同じダイから前述のダイと分離して製造される例、を概略的かつ部分的に示す図である。領域z1の結合導波管のそれぞれの結合部は、領域z4の結合導波管とラインL14を中心とした軸対称を有する。ラインL23を中心とした領域z3の結合管に対する領域z2の結合管についても同様である。
【0090】
図6Cは、所与の領域がレーザダイオードベースの送信機Txとフォトダイオードベースの受信機Rxと、を備えた、別の変形例を概略的かつ部分的に示す図である。この例では、送信機Txは上述したものと同一であって、受信機Rxは、導波管に光学的に結合されたフォトダイオードの列を備える。ここで、導波管は、デマルチプレクサに結合され、導波管及びデマルチプレクサは支持基板の内部において集積化されている。送信機Tx及び受信機Rxは、光ファイバへの連結器のような、他のフォトニック部品を備えてもよい。
【0091】
したがって、ウエハスケールでオプトエレクトロニクスチップを製造するプロセスは、第1半導体化合物をベースとする各第1ダイが複数の隣接する基本領域のセットEにわたって広がるように、第1パッド(又はダイ)を転写するステップを備える。この例では、同じ第1ダイから、隣接する基本領域z12,z13,z22,z23のセットEのレーザダイオードが製造される。
【0092】
当該プロセスは、また、異なる性質の第2パッド(又はダイ)を転写するステップを備え、このステップは、好ましくは第1パッドを転写するステップと同時に実行される。第2パッドは、第1半導体化合物と同一又は異なる第2半導体化合物をベースにしており、複数の隣接する基本領域のセットE’に転写される。ここで、セットE’はセットEとは異なるが、当該セットEと共通の基本領域を備える。この例では、同じ第2ダイから、隣接する基本領域z21,z22,z31,z32のセットE’のフォトダイオードが製造される。そのため、セットE’は、セットEとは異なるが、当該セットEと共通の基本領域z22を備える。
【0093】
ここまで、特定の実施形態が説明された。当業者には様々な変形形態及び修正形態が明らかとなるであろう。
【0094】
したがって、各オプトエレクトロニクスチップは、レーザダイオード及び/又はフォトダイオードの半導体化合物と異なる又は類似の第3半導体化合物をベースとし、かつ、第3パッド(又はダイ)から得られる、電界吸収型モジュレータを備えても良い。上述のように、第3ダイは、複数の隣接する基本領域の別のセットE”に転写されても良い。このセットE”は、セットE,E’とは異なるが、セットE,E’と共通の基本領域を備える可能性がある。
【0095】
さらに、レーザダイオード、フォトダイオード又は電界吸収型モジュレータのような各第1オプトエレクトロニクス部品は、対応する基本領域内に存在する集積回路に電気的に接続されることができる。したがって、集積回路は、支持基板の内部に配置された導電性トラックと、支持基板の表面に配置された薄い導電層と、を備え、その上に第1オプトエレクトロニクス部品が配置される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C