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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】注射デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20220510BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20220510BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/31 520
A61M5/315 550P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019530746
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017081775
(87)【国際公開番号】W WO2018104422
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】16202980.5
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・クレム
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ミュラー-パトレ
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0213853(US,A1)
【文献】特表2016-512966(JP,A)
【文献】特表2013-507159(JP,A)
【文献】国際公開第2016/020276(WO,A1)
【文献】特開2009-050709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31ー 5/32
A61M 5/20- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体薬剤の用量を投与するための注射デバイスであって:
投薬端(20)を有し、液体薬剤が充填されたカートリッジ(1)を収容するように構成された、細長いハウジング(12)と、
投薬端(20)を介してカートリッジ(1)から薬剤の用量を排出するためにカートリッジ(1)に動作可能に係合するように構成された、駆動機構(5)と、
投薬端(20)を覆うようにハウジング(12)に解放可能に取り付け可能な保護キャップ(30)と、
該保護キャップ(30)に取り付けられ、保護キャップ(30)上に配置された少なくとも第1のキャップ電極(32、33、34)に電気的に接続された、第1の電子回路(40)と、
ハウジング(12)内に配置され、駆動機構(5)に連結され、ハウジング(12)上に配置された少なくとも第1のハウジング電極(62、63、64)に電気的に接続された、第2の電子回路(60)と
を含み、
第1および第2の電子回路(40、60)は、保護キャップ(30)がハウジング(12)に取り付けられると互いに接触する少なくとも第1のキャップ電極(32、33、34)および少なくとも第1のハウジング電極(62、63、64)を介して、互いに電気的に接続され
第1の電子回路(40)は、第1の電池(41)と、第2の電子回路(60)から受けた電気信号を処理する第1の論理回路(44)とを含み、そして、
ここで、第2の電子回路(60)は、駆動機構(5)からの用量投薬関連データを取り込み、取り込んだデータを少なくとも第1のキャップ電極(32、33、34)および少なくとも第1のハウジング電極(62、63、64)を介して第1の論理回路(44)に伝送する、第2の論理回路(70)を含む
前記注射デバイス。
【請求項2】
第1の論理回路(44)は、第2の電子回路(60)から送信される電気信号を取り込み、収集および処理することができる、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
第1の電子回路(40)が、さらなる分析ツールとの無線または有線通信をもたらすように構成された送受信器(42)をさらに備える、請求項1または2に記載の注射デバイス。
【請求項4】
第2の論理回路(70)は、保護キャップ(30)がハウジング(12)に取り付けられると第1の電池(41)によって電力供給される、請求項1~3に記載の注射デバイス。
【請求項5】
第2の電子回路(60)は、保護キャップ(30)がハウジング(12)に取り付けられると第1の電池(41)によって充電可能な、再充電可能な第2の電池(68)を含む、請求項4に記載の注射デバイス。
【請求項6】
駆動機構は:
a)可変サイズの薬剤の用量を設定するための用量セレクタ(13)であって、所定のステップごとに音を立ててハウジング(12)に対して可動である、用量セレクタ(13)、および、
b)薬剤投薬手順をトリガするまたは制御するために音を立ててハウジングに対して可動である用量ボタン(14)
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項7】
第1の電子回路(40)は、用量セレクタの動きの連続する用量増分ステップもしくは用量減分ステップを検出するための、および/または用量ボタン(14)の動きを検出するための、マイクロホン(36)を含む、請求項6に記載の注射デバイス。
【請求項8】
第2の電子回路(60)は、少なくとも1つのハウジング電極(62、63、64)に接続され駆動機構(5)に接続された少なくとも1つの接点スイッチ(76)を含む、請求項6または7に記載の注射デバイス。
【請求項9】
駆動機構(5)は、ハウジング(12)内に回転可能に支持された数字スリーブ(90)を含み、該数字スリーブ(90)は:
外面(95)上の用量サイズ標示数字(96)のパターン(97)と、
該パターン(97)に従って外面(95)上に延びる電気抵抗体ストリップ(112)と
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項10】
第2の電子回路(60)は、電気抵抗体ストリップ(112)に接触している少なくとも第1の接点電極(101)を含む、請求項9に記載の注射デバイス。
【請求項11】
電気抵抗体ストリップ(112)は、数字スリーブ(90)の外面(95)に螺旋状に巻き付き、電気抵抗体ストリップ(112)の一方の長手方向端は、第1の環状タブ(111)に接続されており、抵抗体ストリップ(112)の他方の長手方向端は、数字スリーブ(90)の外面(95)の第2の環状タブ(113)に接続されている、請求項9または10に記載の注射デバイス。
【請求項12】
第2の電子回路(60)は、第1の環状タブ(111)に接触している第2の接点電極(102)をさらに含み、第2の環状タブ(113)に接触している第3の接点電極(103)をさらに含む、請求項11に記載の注射デバイス。
【請求項13】
第1の接点電極(101)は、ゲージ窓(17)を有し数字スリーブ(90)の少なく
とも一部分を覆うゲージ要素(16)に取り付けられ、ゲージ要素(16)は、数字スリーブ(90)にねじ係合され、ゲージ要素(16)は、ハウジング(12)に対して回転不能にロックされ、ゲージ要素(16)は、ハウジングの長手方向伸長部に沿って摺動可能である、請求項10~12のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項14】
第1の論理回路(44)および第2の論理回路(70)のうちの少なくとも一方は、第1の電気抵抗率(R1)と総電気抵抗率(R2)の比を計算するように構成され、第1の電気抵抗率(R1)は、第1の接点電極(101)と第2または第3の接点電極(102、103)のうちの一方との間で測定可能であり、総電気抵抗率(R2)は、第2の接点電極(102)と第3の接点電極(103)との間で測定可能である、請求項10~13のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【請求項15】
ハウジング(12)内に配置され液体薬剤が充填されたカートリッジをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の注射デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射デバイスの分野に関し、詳細には、手持ち式ペン型注射器のような手動操作の注射デバイスに関する。一態様において、本発明は、注射デバイスによって実際に設定または投薬される薬剤の用量の電子測定を提供する。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の単回または複数回用量を設定し投薬する薬物送達デバイスは、当業界において良く知られている。一般に、そのようなデバイスは、通常のシリンジのものとほぼ同様の目的を有する。
【0003】
ペン型注射器のような薬物送達デバイスは、いくつかの使用者特有の要件を満たさなければならない。たとえば、患者が糖尿病などの慢性疾患を患っている場合、患者は身体的に虚弱なことがあり、さらに視覚に障害があることもある。したがって、在宅薬物治療を特に意図した適切な薬物送達デバイスは、構造が堅牢である必要があり、使いやすいものであるべきである。さらに、デバイスおよびその構成要素の操作および一般的な取り扱いは、分かりやすく簡単に理解できるものであるべきである。そのような注射デバイスは、可変サイズの薬剤の用量の設定およびその後の投薬をもたらすべきである。さらに、用量設定ならびに用量投薬手順は、操作が簡単でなければならず、明白なものである必要がある。
【0004】
一般に、そのようなデバイスは、投薬される薬剤が少なくとも部分的に充填されたカートリッジを受けるように適用されたハウジングまたは特定のカートリッジホルダを含む。そのようなデバイスは、通常、カートリッジのピストンに動作可能に係合するように適用された変位可能なピストンロッドを有する駆動機構をさらに含む。駆動機構およびそのピストンロッドによって、カートリッジのピストンは、遠位方向すなわち投薬方向に変位可能であり、したがって、薬物送達デバイスのハウジングの遠位端部に解放可能に連結される穿孔アセンブリを介して、所定量の薬剤を排出することができる。
【0005】
薬物送達デバイスによって投薬される薬剤は、一般に、複数回用量カートリッジ内に提供され収容される。そのようなカートリッジは、一般に、穿孔可能な封止部によって遠位方向に封止されさらにピストンによって近位方向に封止される、ガラスバレルを含む。再使用可能薬物送達デバイスでは、空のカートリッジを新しいものと取り替えることができる。それとは対照的に、使い捨てタイプの薬物送達デバイスは、カートリッジ内の薬剤を投薬したら、または使い切ったら全体が廃棄されることになる。
【0006】
そのようなペン型注射デバイスをごく頻繁に使用する場合、投薬関連データの自動的なログ記録または取り込みを提供することが望ましい。一般に、薬剤投薬または薬剤注射の時間および日付、ならびに投薬または注射された薬剤量を記録し監視することが望ましい。電子制御ロジックに接続された電気機械駆動装置によって駆動される注射デバイスが存在する。そのようなデバイスは、かなり高価であり壊れやすい。特許文献1に記載されるような他の解決策もある。そこでは、手動操作可能なペン型注射デバイスについての電子クリップオンモジュールについて述べられている。電子クリップオンモジュールは、本体と、注射デバイスにその外面に対して特定の位置にモジュールを解放可能に取り付けるように構成された嵌合ユニットとを有する。
【0007】
そのような電子クリップオンモジュールは、用量サイズならびに投薬手順の日付および時間を監視しログ記録することができる。そのようなクリップオンモジュールの現在の使用には、注射デバイスに対する明確な取り付けが必要であり、それは、最終使用者の取り扱いスキルを考えると、彼らに対してある程度の要求を課すものである。この問題は、さらに、視覚に障害のあるまたは手の震えに悩む使用者または患者を苛立たせる。その他、クリップオンモジュールは、手持ち式の携帯可能な注射デバイスの外観を変えることになる。したがって、最終使用者は、特に注射デバイスを携帯するとき、付加モジュールを注射デバイスに恒久的に取り付けたままにすることをあまり好まなかったり躊躇することがある。
【0008】
ペン型注射デバイスのなかには、駆動機構のリセット機能を提供し、さらに、空のカートリッジが取り替えられるように構成された、いわゆる再使用可能デバイスもある。それに対して、いわゆる使い捨てまたは充填済み注射デバイスは、それらの駆動機構のリセット機能がなく、カートリッジの内容物、たとえば薬剤を使い切ったら全体を廃棄することが意図されそのように構成される。そのような使い捨て注射デバイスは、かなり取り扱いやすく、最小限の取り扱いスキルまたは訓練をすでに受けた最終使用者および患者が操作することができる。カートリッジを取り替える必要がなく、デバイスは限定された時間期間のみの使用が意図されるので、それらは、適度なコストで大量生産することができる。一般に、使い捨て注射デバイスは、全機械式の注射デバイスとして実施される。一般に、コスト削減の理由だけにより、それらのハウジング内には電子構成部品または電気機械駆動装置がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2013/120775A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術を考慮して、本発明の目的は、投薬関連データのログ記録および監視を提供する、液体薬剤の用量を投与するための改善された手動または機械操作の手持ち式注射デバイスを提供することである。注射デバイスおよびデータのログ記録または投薬監視は、最終顧客または患者に非常に魅力的であるべきである。データのログ記録または投薬監視機能は、最終使用者または患者によるさらなる介入なしに、注射デバイス内に実装されるべきである。それは、信頼性が高くなければならず、最終使用者または患者によって大いに許容可能でなければならない。注射デバイスの製造は、費用効果がかなり高くなければならない。加えて、注射デバイスの幾何学的サイズおよび/または外観は、データのログ記録または投薬監視機能の実装によって影響を受けてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、液体薬剤の用量を投与するための注射デバイスが提供される。注射デバイスは、投薬端を有し、液体薬剤が充填されたカートリッジを収容するように構成された、細長いハウジングを含む。細長いハウジングは、実質的に円筒形または楕円形の形状をしている。注射デバイスは、ペン型注射器として構成される。注射デバイスは、ハウジング内に配置され投薬端を介してカートリッジから薬剤の用量を排出するためにカートリッジに動作可能に係合するように構成された、駆動機構を含む。投薬端は、典型的には、両頭注射針を有するニードルアセンブリに解放可能に連結可能である。注射針は、投薬端に取り付けられると、カートリッジの内部と流体連通する。典型的には、駆動機構は、少なくとも、軸方向すなわちハウジングの伸長部に対して実質的に平行または管状形状カートリッジの長軸に対して平行に駆動され変位させられるように構成されたピストンロッドを含む。
【0012】
注射デバイスは、投薬端を覆うおよび/または囲むようにハウジングに解放可能に取り付け可能な保護キャップをさらに含む。保護キャップは、ハウジングに対して、ハウジングの投薬端か、たとえば実質的に駆動機構を収納し収容するハウジングのボディ部分であるハウジングの近位部分かのどちらかに取り外し可能に連結可能である。保護キャップは、閉じた遠位端と、その近位端の方に向いた開口部とを含む、実質的に円筒形の形状であってよい。ハウジングに取り付けられると、注射デバイスの投薬端は、保護キャップに受け入れられ収容される。
【0013】
注射デバイスは、保護キャップに取り付けられた第1の電子回路をさらに含む。保護キャップ上には、さらに、第1のキャップ電極が設けられる。第1のキャップ電極は、第1の電子回路に電気的に接続されている。注射デバイスのハウジング内には、第2の電子回路が配置されている。第2の電子回路は、駆動機構に結合(couple)または接続されている。第2の電子回路は、やはりまた、注射デバイスのハウジング上に配置された少なくとも第1のハウジング電極に電気的に接続されている。第1および第2の電子回路は、少なくとも第1のキャップ電極および少なくとも第1のハウジング電極を介して互いに電気的に接続される。保護キャップ、第1のキャップ電極の位置、ハウジングの、具体的にはその投薬端の幾何学的形状、ならびに少なくとも第1のハウジング電極の位置および場所は、少なくとも第1のハウジング電極および少なくとも第1のキャップ電極が、保護キャップがハウジングの投薬端に取り付けられたときに電気的に接触するように選択され構成される。
【0014】
典型的には、ハウジングおよび保護キャップは、ポジティブ係合する(positively engaging)突起または凹部など、相互に係合する締結要素を含み、それによって保護キャップはハウジングに明確に取り付けられ固定される。
【0015】
第1の電子回路を保護キャップにまたはその内部に設け第2の電子回路を注射デバイスのハウジング内に設けることによって、一種のハイブリッドの注射デバイスが提供される。具体的には、第1の電子回路は一種の主電子回路のように機能および挙動し、一方、第2の電子回路は補助電子回路として構成される。第2の電子回路はかなり制限された機能性を含むのに対し、第1の電子回路は、主な機能性およびハードウェア、ならびにデータのログ記録および/または投薬監視を実施するのに必要なソフトウェア構成要素(software component)を提供することができる。
【0016】
このように、第2の電子回路は、送受信器がなくそれ自体にエネルギー供給源のない、一種の縮小された電子回路である。第2の電子回路は、具体的には、カートリッジの内容物を使い切った後に注射デバイスのハウジングとともに廃棄することができる使い捨て電子回路として構成され設計される。その反対に、第1の電子回路は、かなり高性能な多機能電子回路である。したがって、第1の電子回路が設けられたキャップは、カートリッジと駆動機構を装備した一連のハウジングとともに再使用することができる再使用可能キャップとして構成され設計される。このように、第1の電子回路を含む保護キャップは、データのログ記録または投薬監視の実施に必要とされる、最も高額かつ高性能な電子構成部品を含む。
【0017】
保護キャップおよびその第1の電子回路は、再使用すなわちいくつものハウジングおよび第2の電子回路とともに使用されることが意図されるので、保護キャップは、たとえばハウジングと保護キャップとを含むスターターキットで一度だけ購入すればよい。カートリッジの内容物を使い切った後、保護キャップを保有しつつハウジングを新しいものに取り替える。このように、使い捨てデバイスのデータのログ記録および投薬監視についてのさらに優れた費用効果の高い省スペースの解決策が提供される。さらに、異なるハウジングとともにキャップを使用するとき、同時に、データのログ記録および投薬監視も多数の注射デバイスで実施することができる。
【0018】
第1の電子回路は典型的にはキャップ内に配置され第2の電子回路はハウジング内に配置されるので、これらの電子回路は外部から見えない。既存の注射デバイスの幾何形状でのデータのログ記録および投薬監視機能の実施は、かなり円滑になり得る。この実施態様は、外部からほとんど見ることができない。データのログ記録および/または投薬監視の実施は、注射デバイスの外観、または使用者によるそのような注射デバイスの受け入れに悪影響を及ぼさない。
【0019】
別の実施形態によれば、第1の電子回路は、第1の電池と、電力供給源と、第2の電子回路から受けた電気信号を処理するための第1の論理回路とを含む。いくつかの実施形態では、第2の論理回路、したがってハウジング全体には、それ自体の電池またはそれ自体のエネルギー供給源がなくてよい。第2の電子回路のためのエネルギー供給は、第1の電子回路の第1の電池によって独占的にもたらされる。しかし、第2の電子回路が少なくとも再充電可能であってよい小電池を含む、他の実施形態もある。
【0020】
第1の電池と第1の論理回路とを含む第1の電子回路の場合、一般に、第2の電子回路に論理回路ならびにそれ自体の電池がないことが可能である。このように、第2の電子回路の製造コストを最低限に抑えることができ、それによって、注射デバイスの使い捨てハウジングのコストを適度なレベルまたは最低レベルに抑えることが可能になる。
【0021】
別の実施形態によれば、第2の電子回路はまた、駆動機構からの用量投薬関連データを取り込み、取り込んだデータを少なくとも第1のキャップ電極および少なくとも第1のハウジング電極を介して第1の論理回路に伝送するための第2の論理回路を含む。第2の論理回路は、第1の電子回路の縮小バージョンであってよい。第2の論理回路の機能性は、第1の電子回路の機能性に比べてかなり制限される。
【0022】
具体的には、第1の電子回路だけが、取り込んだデータまたは監視した投薬情報を、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または網羅的なデータ分析を提供する同様のものなどの分析ツールに伝送する無線または有線の送受信器である、送受信器を備えることが意図される。
【0023】
別の実施形態では、一般に、保護キャップにいくつかのキャップ電極を設け、ハウジングにもいくつかのハウジング電極を設けることが考えられる。たとえば、2つまたは3つのキャップ電極を設けることができ、各キャップ電極は、保護キャップがハウジングに正しく組み付けられると、ハウジング電極の1つに電気的に接触するように構成される。キャップ電極およびハウジング電極のいくつかは、第2の電子回路および/または第2の論理回路のためのエネルギー供給をもたらすことができ、一方、他のキャップ電極またはハウジング電極は、第1の電子回路と第2の電子回路との間、したがってその第1の論理回路と第2の論理回路との間のデータ伝送をもたらすことができる。2つのハウジング電極と接触する2つのキャップ電極が設けられることも考えられ、そこにおいて、キャップ電極およびハウジング電極は、第2の電子回路、および場合により第2の論理回路のための電力供給、ならびに第1の電子回路と第2の電子回路との間のデータ伝送または信号伝送の両方をもたらす。
【0024】
別の実施形態では、第2の論理回路は、保護キャップがハウジングに取り付けられると、第1の電池によって電力供給される。この実施形態の場合、典型的には、第1のハウジング電極および第2のハウジング電極と接触する第1のキャップ電極および第2のキャップ電極が設けられる。キャップ電極は、第1の電池、したがって第1の電子回路と電気的に接触しており、一方、第1および第2のハウジング電極は、第2の電子回路、したがって第2の論理回路と電気的に接触している。いくつかの実施形態では、第2の論理回路は、第1の電子回路の第1の電池によって、すなわち保護キャップがハウジングに正しく組み付けられると、独占的に電力供給されることが考えられる。ハウジングへの保護キャップの取り付けは、第2の論理回路をウェイクアップさせることができる、またはさらに、フラッシュ型メモリのような不揮発性メモリに記憶することができる先に取り込まれた信号またはデータの伝送など、論理回路の所定の機能を生じさせることができる。
【0025】
さらなる一実施形態では、第2の電子回路は、再充電可能な第2の電池を含む。第2の電池は、保護キャップがハウジングに取り付けられると、第1の電池によって充電可能または再充電可能である。第2の電池は、かなり制限された容量の電池として構成され設計される。第2の電池の容量は、単回または数回用量の投薬手順の監視または取り込みを行えるほどの大きさであればよい。第2の電池は、コンデンサ(condensator)、または一式の電荷蓄積コンデンサを含むことができる。さらに、再充電可能な第2の電池は、10分、20分、30分、1時間以上などの比較的限られた時間間隔にわたって第2の論理回路に電力供給するのに十分な容量を含むことが考えられる。典型的には、第2の電池の容量は、第2の電子回路が、90分未満、60分未満または30分未満の限られた時間にわたって動作可能なほどの大きさにされる。
【0026】
保護キャップがハウジングから取り外されると、第2の再充電可能な電池は、用量投薬関連の信号、データおよび情報を監視し取り込むために、第2の電子回路の単独動作をもたらすことができる。キャップがハウジングに再び取り付けられたとき、第2の電子回路と第1の電池との間の電気的な接触が再確立され、第2の電子回路によって先にログ記録され取り込まれたデータ、情報または信号が第1の電子回路に有線伝送される。
【0027】
第2の電池が再充電式であることは、一連の利点を伴う。第一に、第2の電池の幾何学的寸法をかなり小さく抑えることができ、そのような極小の第2の電池の製造および実装の総コストを低くまたは適度に抑えることができる。さらに、内部に配置された第2の電子回路とともにハウジングを廃棄したときの不可避の環境負荷を、最低レベルに抑えることができる。それと同時に、再充電可能な第2の電池は、保護キャップがハウジングから取り外され分離されても、少なくとも、第2の論理回路および第2の電子回路の限られた単独動作時間をもたらす。
【0028】
別の実施形態では、注射デバイスの駆動機構は:
a)可変サイズの薬剤の用量を設定するための用量セレクタであって、所定のステップごとに音を立ててハウジングに対して可動である、用量セレクタ、および、
b)薬剤投薬手順をトリガするまたは制御するために音を立ててハウジングに対して可動である用量ボタン
のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
用量の選択は、たとえば注射デバイスのハウジングの近位端またはその近くに回転可能に支持された用量セレクタによって行われる。用量設定または用量ダイヤル設定は、実際の設定用量が個々のステップだけ増分または減分されたことを使用者に可聴的かつ/または触覚的に示すクリック音を伴うことができる。典型的にはハウジングの遠位端、したがって投薬端の反対に配置された用量ボタンは、投薬手順をトリガするおよび/または制御するために、典型的には、たとえば使用者の親指によって、遠位方向に押し下げ可能である。典型的には、用量ボタンの時期尚早の解放は、進行中の投薬手順を直ちに中断させることができる。
【0030】
投薬を目的とした、または用量設定手順の中断を目的としたハウジングに対する用量ボタンの変位は、やはりまた特徴的なノイズまたは音を伴うことができる。用量ボタンの動きとともに発生可能なノイズまたは音は、たとえば用量セレクタのダイヤル設定操作である、ある動きによって生成されるノイズまたはクリック音とは明確に区別することができる。このように、用量設定手順と用量投薬手順を聴覚的に区別することができる。
【0031】
最も入手しやすい手持ち式の手動操作の注射デバイスは、用量設定の間ならびに用量投薬の間にそれぞれのかなり特徴的なクリックノイズをもたらす。聴覚または触覚のパルスは、第1および第2の電子回路のうちの少なくとも一方によって、またはその第1および第2の論理回路のうちの少なくとも一方によって簡単に記録され取り込まれる。
【0032】
別の実施形態では、第1の電子回路は、用量セレクタの動きの連続する用量増分ステップもしくは用量減分ステップを検出するための、および/または用量ボタンの可聴運動(audible movement)を検出するための、マイクロホンまたはノイズ検出器を含む。第1の電子回路へのマイクロホンの実装は、保護キャップへのマイクロホンの組み込みを伴う。保護キャップは再使用が意図されているので、注射デバイスの残りの部分、したがってハウジング、駆動機構および駆動機構内に配置されているすべての構成要素には、マイクロホンがないままでよい。したがって、第1の電子回路にマイクロホンを含めることは、用量ダイヤル設定および/または用量投薬手順を聴覚的に取り込み監視するための小コストの代替解決策である。
【0033】
第1の電子回路は、典型的には、マイクロホンによって記録され取り込まれる連続するクリックノイズを計数するカウンタを備える。このように、用量のサイズを聴覚的に決定することができる。
【0034】
具体的には、聴覚的サーベイランスは、第1の電子回路と第2の電子回路との間の有線接続を介してトリガされることが考えられる。別の実施形態では、第2の電子回路は、少なくとも1つのハウジング電極に接続され駆動機構に接続された少なくとも1つの接点スイッチを含む。第2の電子回路の少なくとも1つの接点スイッチは、さらに、第2の論理回路に接触していてよい。特定の実施態様に応じて、用量ダイヤル設定または用量投薬は、接点スイッチによって直接検出される。したがって、接点スイッチは、用量セレクタおよび用量ボタンのうちの少なくとも1つに機械的に連結される。用量セレクタのダイヤル設定および/または用量ボタンの押し下げによって、接点スイッチが閉じ、それによってデータのログ記録、または投薬監視のために第1および第2の論理回路のうちの少なくとも一方が起動される。
【0035】
典型的な実施形態では、少なくとも2つの接点スイッチが設けられ、それによって第2の電子回路および/または第2の論理回路が、用量セレクタの用量増分もしくは用量減分作動、またはそれぞれの動きを区別することができる。
【0036】
第2の電子回路に少なくとも1つまたは第1および第2の接点スイッチがある場合、第2の電子回路は、第2の論理回路を含まずに構成することができる。より単純で費用効果の高い実施形態では、一般に、第2の電子回路は、本質的に、2つの接点スイッチならびに第1および第2のハウジング電極からなることが考えられる。この場合、用量選択の間に接点スイッチによって生成される電気信号は、ハウジング電極およびキャップ電極を介して有線ベースで第1の電子回路および第1の論理回路に転送される。次いで、データのログ記録または投薬監視機能のための全体の信号およびデータ処理が第1の電子回路およびその第1の論理回路によって独占的に行われ実行される。そのような実施形態では、第2の電子回路には、第2の論理回路がなく、それ自体の第2の電池もなくてよい。
【0037】
別の実施形態では、注射デバイスの駆動機構は、ハウジング内に回転可能に支持された数字スリーブまたは用量サイズ標示スリーブを含む。数字スリーブは、用量サイズ標示数字のパターンをその外面上に含む。数字スリーブは、そのパターンに従って数字スリーブの外面上に延びる電気抵抗体ストリップをさらに含む。電気抵抗体ストリップは、用量サイズ標示数字に対して軸方向にずれていてよい。あるいは、電気抵抗体ストリップは、用量サイズ標示数字に重なっていてもよい。電気抵抗体ストリップは、用量サイズ標示数字を不明瞭にすることを避けるために、透明な電気抵抗材料を含むことができる。用量サイズ標示数字のパターンは、その全体が、電気抵抗体ストリップから軸方向にずれていてもよい。しかし、パターンおよび電気抵抗体ストリップの全体の形状および幾何形状は、かなり類似または同一とすることができる。
【0038】
電気抵抗体ストリップによって、たとえば用量設定手順の間および/または用量投薬もしくは用量注射手順の間、数字スリーブの回転度が精確に監視され測定される。電気抵抗体ストリップは、数字スリーブへの実装がかなり簡単であり費用効果が高い。たとえば、電気抵抗体ストリップを単にハウジングの外面上に印刷してもよい。
【0039】
電気抵抗体ストリップによって、数字スリーブのどちらの方向の回転も検出され、定量的に測定することができる。回転度の定量的または絶対的な測定に加えて、両方向の連続的な回転を簡単に相互比較することもできる。これによって、一方向における回転度が反対方向における回転度と等しいかどうかを測定することができる。これは、一方向に回転し始めたときの電気抵抗率を決定し、その決定した電気抵抗率を、反対方向の回転が終わったときの対応する電気抵抗率と比較することによって行われる。あるいは、一方向における回転の開始と終了における電気抵抗率の差を、反対方向における回転の開始と終了における電気抵抗率の差と比較してもよい。
【0040】
用量設定の間の回転度の測定は、そのときに設定された用量のサイズを決定することに使用することができる。こうして、用量投薬の間の回転度の測定は、実際に排出または放出された用量を決定することに使用することができる。こうして、両方向における、すなわち用量設定の間および用量投薬の間における回転度の測定は、設定用量が実際に完全にそのときに投薬または放出されているかどうかをチェックすることに使用することができる。
【0041】
別の実施形態では、第2の電子回路は、電気抵抗体ストリップに接触している少なくとも第1の接点電極を含む。第1の接点電極は、数字スリーブに対して可動である。数字スリーブがハウジング内に軸方向に固定されハウジングに関して回転可能な場合、第1の接点電極がハウジング内においてハウジングの長手方向に沿って摺動可能に支持されれば十分である。このように、第1の接点電極は、用量設定または用量ダイヤル設定の間に電気抵抗体ストリップに追従することができる。第1の接点電極は、実際に設定された用量のサイズを示す抵抗体ストリップの恒久的な電気抵抗率測定を可能にするように、電気抵抗体ストリップに恒久的に電気的に接触していることが意図される。
【0042】
別の実施形態では、電気抵抗体ストリップは、数字スリーブの外面に螺旋状に巻き付けられる。加えて、抵抗体ストリップの一方の長手方向端は、第1の環状タブに電気的に接続されている。抵抗体ストリップの他方の長手方向端は、第2の環状タブに接続されている。第1および第2の環状タブは、数字スリーブの外面上に配置される。数字スリーブの軸方向または長手方向に見られるように、電気抵抗体ストリップは、第1の環状タブと第2の環状タブとの間に軸方向に挟まれている。
【0043】
第1および第2の環状タブによって、電気抵抗体ストリップの総電気抵抗率を測定することができる。抵抗体ストリップの電気抵抗率は、周囲温度などの環境の影響を受けることがある。生産および製造コストを適度なレベルに維持するためには、電気抵抗体ストリップに対する技術的要求が低く抑えられれば特に有利となる。
【0044】
電気抵抗体ストリップの両端部に電気的に接続されている第1および第2の環状タブは、抵抗体ストリップの総電気抵抗率の測定を可能にし、提供する。第1の接点電極によって、電気抵抗体ストリップの一部分または一セクションの電気抵抗率が測定される。
【0045】
第1の接点電極と組み合わせて第1および第2の環状タブを使用することによって、電気抵抗体ストリップのかなり精確な温度無依存の抵抗率測定が可能になり、それに基づいて、数字スリーブの回転度、したがって実際に設定された用量のサイズを決定することができる。
【0046】
別の実施形態では、第2の電子回路は、第1の環状タブに接触している第2の接点電極をさらに含む。第2の電子回路は、第2の環状タブに接触している第3の接点電極をさらに含む。第1、第2および第3の接点電極を一緒に有することによって、電気抵抗体ストリップの少なくとも2つの異なる抵抗率測定を行うことが可能になり、それによって、変化する温度のような変化する環境影響に起因することがある任意の測定欠陥を相殺することができるようになる。
【0047】
さらなる一実施形態では、第1の接点電極は、ゲージ窓を有し数字スリーブの少なくとも一部分を覆うゲージ要素に取り付けられる。ゲージ要素は、数字スリーブにねじ係合され、さらに、ハウジングに対して回転不能にロックされる。典型的には、ゲージ要素は、たとえばハウジングの長手方向伸長部に沿ったゲージ要素の摺動動作を支持し可能にする径方向凹部内に係合される少なくとも1つの径方向突起によって、ハウジングにスプライン連結される。数字スリーブがハウジング内に軸方向に拘束または軸方向に固定されゲージ要素とのねじ係合にある場合、実際、数字スリーブが回転を受けると、ゲージ要素が長手方向または軸方向の摺動動作を受けることになる。
【0048】
ゲージ要素にある典型的にはアパーチャの形のゲージ窓は、数字スリーブの外面および用量サイズ標示数字のパターンの上を軸方向に摺動する。ゲージ要素のねじ係合のリードに対応するリードを有する用量サイズ標示数字の螺旋状パターンの場合、用量設定手順の間または数字スリーブがそれぞれの回転をその間に受ける後続の用量投薬手順の間に用量が増分または減分されると、連続して増加または減少する螺旋状パターンの数字がゲージ窓に現れる。第1の接点電極がゲージ要素に取り付けられている場合、第1の接点電極は、電気抵抗体ストリップと恒久的に電気的に接触したままとなり得る。したがって、第1の接点電極と、第2または第3の接点電極のうちの一方との間で測定される電気抵抗率は、実際に設定された用量のサイズを直接示している。
【0049】
別の実施形態によれば、第1の論理回路および第2の論理回路のうちの少なくとも一方は、第1の電気抵抗率と総電気抵抗率の比を計算するように構成される。第1の電気抵抗率は、第1の接点電極と、第2または第3の接点電極のうちの一方との間で測定可能である。総電気抵抗率は、第2の接点電極と第3の接点電極との間、したがって、螺旋状形状の電気抵抗体ストリップの両長手方向端にある第1および第2の環状タブとの接点により測定可能である。変化する周囲温度により起こり得るあらゆるずれの影響を相殺するために、第1の電気抵抗率を総電気抵抗率で除算することが有利である。第1の電気抵抗率を総電気抵抗率で除算した比は、実際に設定された用量サイズを注射デバイスによって注射可能な最大用量サイズで除算した比と同一である。
【0050】
別の実施形態では、注射デバイスは、ハウジング内に配置され液体薬剤が充填されたカートリッジをさらに備える。注射デバイスは、具体的には、充填済みタイプのものである。したがって、薬剤が充填されたカートリッジは、注射デバイスのハウジング内に容易に組み付けられる。
【0051】
典型的には、電気抵抗体ストリップは、その伸長部に沿って、ほぼ一様な線形の抵抗率を含む。したがって、電気抵抗体ストリップの一セクションの抵抗率は、常に、前記部分の伸長部または幾何学的延長部に比例する。典型的には、電気抵抗体ストリップの総抵抗率は、電気抵抗体ストリップの長さに直接比例する。
【0052】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4もしくはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0053】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0054】
インスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0055】
エキセンジン-4は、たとえば、H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2配列のペプチドであるエキセンジン-4(1-39)を意味する。
【0056】
エキセンジン-4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H-(Lys)4-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)5-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
(ここで、基-Lys6-NH2が、エキセンジン-4誘導体のC-末端に結合していてもよい);
【0057】
または、以下の配列のエキセンジン-4誘導体:
desPro36エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2(AVE0010)、
H-(Lys)6-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Lys6-desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(S1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン-4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0058】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0059】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0060】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0061】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70~110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0062】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0063】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0064】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0065】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0066】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH-H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0067】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1~R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1~C6アルキル基、場合により置換されたC2~C6アルケニル基、場合により置換されたC6~C10アリール基、または場合により置換されたC6~C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0068】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0069】
さらに、添付の特許請求の範囲において定義されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な修正および変更を加えることができることが当業者には明らかであろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用されるあらゆる参照数字は、本発明の範囲を限定するものとみなしてはならないことに留意すべきである。
【0070】
以下において、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】保護キャップが取り外されている注射デバイスの一実施形態の概略側面図である。
図2図1によるデバイスの別の構成の図である。
図3】注射デバイスの構成要素およびそれらの相互作用の概略図である。
図4】第1および第2の電子回路を含む保護キャップおよびハウジングのブロック図である。
図5】数字スリーブの一実施形態の斜視図である。
図6】ハウジング内に組み付けられ多数の接点電極に電気的に接触している数字スリーブの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1図3に例示的に示される注射デバイス10は、細長い形状のハウジング12を含む。ハウジング12の伸長部は、軸方向を画成する。ハウジング12は、実質的に円筒形または楕円形の形状であってよい。ハウジング12は、一方の長手方向端に、遠位または投薬端20を含む。注射デバイス10は、反対の長手方向端、すなわち近位端24に、用量セレクタ13ならびに用量ボタン14を含む。用量セレクタ13は、環状形状をしており、可変サイズの薬剤の用量を設定するために時計回りか反時計回りのどちらかにダイヤル設定されるように構成される。実際に設定された用量のサイズは、ゲージ窓17内に表示される。本明細書に例示される用量標示機構26は、図5により詳細に示されるように、数字スリーブ90を含む。
【0073】
数字スリーブ90は、管状形状であるように、第1の軸部分91と第2の軸部分92とを含む。第1の軸部分91には、連続した用量サイズ標示数字96のパターン97が設けられる。パターン97は、螺旋形状をしている。螺旋状パターン97は、5つの回旋になった0から120の数字を含む。数字スリーブ90の第1の部分91の外面95は、平坦な円筒形形状をしている。これは、数字96の螺旋状パターン97の印刷に適している。遠位端付近には、環状のリムまたは溝94が設けられ、それによって数字スリーブ90はハウジング12に軸方向に固定される。したがって、数字スリーブ90は、その円筒中心長軸に沿って自由に回転できるだけで、ハウジング12内を軸方向に動くことはできない。
【0074】
図1および図2に示されゲージ窓17を含むゲージ要素16は、そうでなければハウジング12の第1の窓15を通して見えることになる数字スリーブ90の第1の部分91の少なくとも一部分を覆う。ゲージ窓17のサイズは、数字96のサイズと適合する。ゲージ要素16は、数字スリーブ90のねじ山93にねじ係合される。さらに、ゲージ要素16は、ハウジング12にスプライン係合にある。対応する形状の溝に嵌合する少なくとも1対の径方向に延びる凹部によって、ゲージ要素16は、ハウジング12に対して回転不能に阻止または回転不能に固定される。ゲージ要素16は、数字スリーブ90が回転を受けるとき、ハウジング12の長手方向延長部に沿った摺動しかすることができない。
【0075】
典型的には、ねじ山93のリードは、螺旋状パターン97のリードと同一である。このように、数字スリーブ90が用量減分または用量増分回転を受けると、ゲージ要素16は、純粋な軸方向摺動動作を受ける。数字スリーブ90の回転とゲージ要素16の摺動動作の組合せにより、螺旋状パターン97の連続して増加または減少する数字96がゲージ窓17に現れる。ゲージ窓17はハウジング12の第1の窓15の内周内に配置され、ゲージ要素16はハウジング12に対する回転ができないようになっているので、ゲージ窓17は、常に、第1の窓15の内周内に留まる。
【0076】
ハウジング12は、第1の窓15に対して軸方向にずれている第2の窓25をさらに含む。実際に用量が設定されていない図1に示されるようなゼロ用量構成では、ゲージ要素16の第2の部分19は、第2の窓25の下に位置する。ゲージ要素16の第1の部分18は、ハウジング12の第1の窓15の下に位置する。図1から見られるように、ゲージ要素16のゲージ窓17は、注射デバイス10またはその駆動機構5がゼロ用量構成にあるとき、第1の窓15の遠位端または遠位縁近くに配置される。用量セレクタ13を回転させることによる用量のダイヤル設定または設定は、数字スリーブ90の回転を伴い、近位端24の方に向けたゲージ要素16の軸方向摺動変位を含む。
【0077】
用量増加ダイヤル設定の間、ゲージ要素16全体が、図1に示されるような遠位ゼロ用量構成から図2に示されるような最大用量構成の方に向けて動く。その結果、ゲージ要素16の第2の部分19は、第1の窓15内へと動き、それによってゲージ要素16は、図2に示されるような最大容量構成に達すると第2の窓25からはもはや見えなくなる。典型的には、ゲージ要素16の遠位端が第2の窓25から近位方向に動くと、背景28が第2の窓25内に見えるようになる。背景28とゲージ要素16の外観、たとえば色またはテクスチャは、互いに大きくまたは明らかに異なる。実際には、窓25の軸方向伸長部全体に比べて、第2の窓25に現れるゲージ要素16の部分は、実際に設定された用量のサイズを直接示している。
【0078】
ここでは、本用量標示機構26は単なる一例であり、添付の特許請求の範囲において定義されるような本発明の概念は、一般に、手持ち式ペン型注射デバイスについて現在知られているあらゆる種類の用量標示機構を用いて実現可能であることに留意すべきである。一般に、数字スリーブ90は、用量設定の間ならびに用量投薬の間、螺旋状ねじ動作を受けることが考えられる。
【0079】
ハウジング12は、単一片とすることができ、または複数構成要素を含んでもよい。ハウジング12は、遠位端または投薬端20近くにカートリッジホルダ部分22を含む。ハウジング12のこのセクションは、図3に概略的に示されるように、カートリッジ1を収容し保持するように構成される。遠位端または投薬端20は、カップ形状のニードルハブ8と両頭注射針9とを有するニードルアセンブリ7を受けそれに係合するねじ付ソケット21をさらに備える。注射針9は、投薬端に螺着されるまたは別のやり方で取り付けられるとき、ハウジング12内に配置されたカートリッジ1の遠位封止部2を貫通する。カートリッジ1の管状バレルの近位端は、典型的には、ゴムピストン3によって封止される。
【0080】
図3に示されるように、ハウジング12のボディ部分23は、図3に概略的にしか示されない駆動機構5を収容する。駆動機構5は、多数の機械係合構成要素、とりわけ少なくとも、加圧片6をその遠位端に含むピストンロッド4を含む。駆動機構5は、明確な量の薬剤を注射針9を通して排出するようにカートリッジのピストン3を遠位方向に変位させるために、ピストンロッド4を遠位方向、したがってカートリッジ1の方に向けて変位させるように動作可能である。駆動機構5および用量標示機構26のさらなる詳細は、当業界で一般に知られており、具体的には、参照によって本明細書にその全体を組み入れるWO2014/166926A1から既知である。
【0081】
ニードルアセンブリ7は、使用していないときは注射デバイス10から取り外されなければならない。投薬端20を保護するために、注射デバイス10は、さらに、図1に概略的に示される保護キャップ30を装備する。保護キャップ30は、管状形状のキャップ本体31を含む。管状形状のキャップ本体31は、その遠位端の閉端37と、少なくとも注射デバイス10のハウジング12のカートリッジホルダ部分22を受ける挿入開口部39を有する反対に位置する近位端38とを含む。キャップ本体31は、実質的に円筒形の形状であってよい。キャップ本体31およびハウジング12は、互いに対応する相互係合可能な締結要素(図示せず)を含み、それによって保護キャップ30は、ハウジング12に、明確な向きおよび位置に締結され保持される。キャップ30およびハウジング12は、キャップ30が、ハウジングに1つだけの所定の向きに取り付けられ締結されるように、少なくとも1つの対称破断機能(symmetry breaking feature)(図示せず)を含むことができる。
【0082】
キャップ30は、少なくとも1つのキャップ電極32、33、34を備え、ハウジング12は、少なくとも1つのハウジング電極62、63、64を備える。キャップ電極32、33、34は、キャップ本体31の側壁部分の内側に設けることができ、一方、ハウジング電極62、63、64は、ハウジング12の外面上に設けられる。キャップ30が所定のアセンブリ構成でハウジング12に組み付けられるとき、キャップ電極32、33、34の各々がハウジング電極62、63、64の1つに接触している。キャップ電極32、33、34およびハウジング電極62、63、64により、キャップ30とハウジング12との間の電気的な接触が確立される。
【0083】
キャップ30は、図4に示されるような第1の電子回路40をさらに備える。本実施形態では、第1の電子回路40は、第1の論理回路44と、典型的には電池の形態のエネルギー供給源41と、送受信器42とを備える。さらに、第1の電子回路40は、論理回路44に電気的に接続されたインターフェース46を含む。インターフェース46は、少なくとも1つのキャップ電極32、33、34を備える。
【0084】
典型的な実施形態では、第1の論理回路44は、リアルタイムクロック50と、メモリ52と、マイクロコントローラなどのようなプロセッサ54とを備える。電子回路40全体は、プリント回路基板上に実装される。少なくとも論理回路44は、プリント回路基板上に設けられる。送受信器42は、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータまたはスマートフォンなどのさらなる分析ツールとの無線または有線通信をもたらすことができる。送受信器42は、たとえば、Bluetooth Low Energy(BLE)送受信器のような、Bluetooth送受信器として構成することができる。あるいは、またはそれに加えて、送受信器は、無線LANまたはWi-Fiなどと称される、IEEE802.11のような、他の近距離無線通信規格に従って動作してもよい。加えて、または別法として、送受信器42は、情報およびデータの聴覚伝達のためのラウドスピーカを含むこともできる。送受信器42が、いわゆるIrDA規格に従って動作する赤外線送受信器であることも考えられる。送受信器は、有線送受信器42として実施される場合、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースのようなソケットまたはプラグを含むことができる。
【0085】
第1の電子回路40は、注射デバイス10のハウジング12内に実装され配置されている第2の電子回路60によって伝送されそこから受信された電気信号を取り込み、収集および処理することができる注射デバイス10の主電子回路として構成される。第2の電子回路60は、第1の電子回路40に比べて縮小された補助電子回路として構成され実装される。第2の電子回路60には、それ自体のエネルギー供給源がなくてよい。それには、電池がなくてよい。第2の電子回路60には、送受信器もない。第2の電子回路60には、論理回路がなくてもよい。第2の電子回路60は、たとえば図6に示されるように、電線と接点電極101、102、103の結合(couple)をもたらす程度に単純であってよい。接点電極101、102、103の各々は、ハウジング電極62、63、64の1つに別々に接続されている。
【0086】
図4に示される本実施形態では、第2の電子回路60は、3つのハウジング電極62、63、64を含むインターフェース66を含む。第2の電子回路60は、電池68をさらに含む。電池68は、典型的には、再充電可能なタイプである。この第2の電池68の容量が第1の電池41の容量よりもはるかに小さい場合、特に有利である。第1の電池41は、インターフェース46、したがってキャップ電極32、33、34に電気的に接触しており、第2の電池68は、インターフェース66、したがってハウジング電極62、63、64に電気的に接触しているので、縮小されたまたは補助電池として実装される第2の電池68は、第1の電池41によって再充電することができる。
【0087】
第2の電子回路60は、第2の論理回路70をさらに含む。第2の論理回路70の機能性、サイズならびに製造コストは、第1の論理回路44のものよりも低い。場合により、第2の電子回路60は、センサアセンブリ72を含む。センサアセンブリ72は、抵抗体アセンブリ74および接点スイッチ76のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0088】
第2の論理回路70は、第2のプロセッサ80、ならびにメモリ81、線インターフェース82およびカウンタ83を含むことができる。さらに、第2の論理回路70は、アナログデジタル変換器(ADC)84、ならびにADCの動作のための基準電圧供給源85を含むことができる。
【0089】
キャップ30がハウジング12に正しく組み付けられると、キャップ電極32、33、34とハウジング電極62、63、64は、相互に電気的に接触する。このように、第1の電子回路40と第2の電子回路60も電気的に接触する。3つのキャップ電極32、33、34と、対応するように構成された3つのハウジング電極62、63、64がある本実施形態では、2対の電極、たとえば電極34、64および電極32、62が、第2の電池68および/または第2の論理回路70のための一種の電力供給をもたらすことができる。第3の対の電極、すなわちキャップ電極33と接触しているハウジング電極63は、第1の電子回路40と第2の電子回路60との間、および/または第1の論理回路44と第2の論理回路70との間におけるデータまたは信号の伝送をもたらすことができる。
【0090】
たとえば、第2の論理回路70によって測定または事前処理された電気信号は、インターフェース66、46を介して第1の論理回路44に伝送される。そこで、取得された信号または事前処理されたデータは、さらに処理され、他の外部電子装置に対するさらなる伝送のために送受信器42へと提供される。
【0091】
リアルタイムクロック50により提供されるクロック信号が、インターフェース46、66を介して第2の論理回路70に伝送されることも考えられる。第2の論理回路70はまた、たとえばフラッシュメモリのような不揮発性メモリとして実装される自己メモリ81を含むので、第2のプロセッサ80によって事前処理または処理された信号は、メモリ81に少なくとも一時的に記憶される。第1の電子回路40から取得したクロック信号を用いて、第2の論理回路70は、タイムスタンプを、メモリ81内にローカルに記憶されているデータに割り当てることができる。
【0092】
第2の論理回路70は、センサアセンブリ72に直接接続することができる。さらに単純な実施形態では、センサアセンブリ72は、駆動機構5の少なくとも1つまたはいくつかの構成要素に係合される、いくつかの、すなわち少なくとも2つの接点スイッチを含む。駆動機構5の特定の実施態様に応じて、接点スイッチ76は、駆動機構5の実際の状態および構成に応じて開閉する。
【0093】
実際に設定されたまたは実際に投薬されたおよび注射された用量のサイズを計算するために、接点スイッチを用いて、用量設定中または用量投薬中に生成されるパルスの計数が電気的に追跡され計数される。
【0094】
センサアセンブリ72は、概略的に図6により詳細に示される抵抗体アセンブリ74として構成される。抵抗体アセンブリ74は、数字スリーブ90の外面95上に延びる少なくとも1つの電気抵抗体ストリップ112を含む。本実施形態では、本明細書に記載の用量標示機構26の場合、電気抵抗体ストリップ112は、用量サイズ標示数字96の螺旋状パターン97に従って数字スリーブ90の外面上に延びる。電気抵抗体ストリップ112は、数字パターン97と重なってよい。一般に、電気抵抗体ストリップ112は、用量サイズ標示数字96の螺旋状パターン97の連続する回旋部同士の間に軸方向に延びることが考えられる。
【0095】
電気抵抗体ストリップ112は、数字スリーブ90の外面95上にかなり費用効果の高いように印刷することができる。電気抵抗体ストリップ112は、必ずしも用量サイズ標示数字96の螺旋状パターン97に重ならなくてもよい。電気抵抗体ストリップ112は、そこから軸方向に離れていてもよい。
【0096】
電気抵抗体ストリップ112の電気抵抗率は、全長にわたって直線的または比例的な挙動を示す。電気抵抗体ストリップの電気抵抗率の増加は、電気抵抗体ストリップ112の全長の増加に直接比例する。図6に示されるように、数字スリーブ90の少なくとも一部分を囲繞するゲージ要素16は、電気抵抗体ストリップ112に接触するように径方向内側に向いた第1の接点電極101を含む。数字スリーブ90が用量増加回転または用量減少回転を受けると、ゲージ要素16は、実際に、数字スリーブ90に沿って動く。螺旋形状の抵抗体ストリップ112のリードが数字スリーブ90とゲージ要素16との間のねじ係合のリードと同一または実質的に同一であるので、第1の接点電極101は、電気抵抗体ストリップ112と恒久的に電気的に接触したままになる。
【0097】
軸方向において、螺旋状抵抗体ストリップ112は、第1の環状タブ111と第2の環状タブ113との間に挟まれている。環状タブ111、113は、数字スリーブ90の外周全体を取り囲む。環状タブ111、113は、さらに、螺旋形状の電気抵抗体ストリップ112の両端に電気的に接触している。
【0098】
2つのさらなる接点電極である、すなわち、第1の環状タブ111に接触している第2の接点電極102、および第2の環状タブ113に恒久的に電気的に接触している第3の接点電極103が設けられる。第2および第3の接点電極102、103は、ハウジング12に恒久的に固定されている。接点電極102、103は、それぞれ第1および第2の環状タブ111、113に接触し続けるように、径方向内側に向いている。
【0099】
接点電極101、102、103は、第2の論理回路70に電気的に接触している。第2の論理回路70、あるいは第1の論理回路44は、螺旋状抵抗体ストリップ112の第1の電気抵抗率R1と総電気抵抗率R2の比を計算するように構成され動作することができる。第1および第2の論理回路44、70のうちの少なくとも一方は、この特定の比を計算することができる。ここで、第1の電気抵抗率R1は、たとえば第1の接点電極101と第2の接点電極102との間で測定可能である。総電気抵抗率は、第2の接点電極102と第3の接点電極103との間、したがって、第1の環状タブ111と第2の環状タブ113との間で測定可能である。
【0100】
第1の電気抵抗率R1を総電気抵抗率R2で除算することで、抵抗率測定は、かなり温度偏差(deviation)に影響されなくなる。温度により引き起こされる電気抵抗率の変化は、第1の電気抵抗率および総電気抵抗率の両方に等しく適用される。したがって、第1の電気抵抗率を総電気抵抗率で除算することで、温度により引き起こされる抵抗率測定の変動またはずれが平準化される。
【0101】
上述の注射デバイス10は、主に、使い捨てデバイスとして、すなわちハウジング12および内部に配置されたすべての構成要素が使用後またはカートリッジ1の内容物の消費後に廃棄されることが意図されるように構成される。保護キャップ30は、一連の使い捨てハウジングに連結され係合される再使用可能デバイスとして構成され設計される。
【0102】
使用者のシナリオは、いくつか存在する。たとえば、かなり縮小された電子回路60を含む使い捨てハウジング12は、保護キャップ30がハウジング12に取り付けられている限り保護キャップ30の第1の電池41によって充電される補助電池を第2の電池68として含んでもよい。保護キャップ30がハウジング12から取り外されると、第2の電子回路60、具体的には第2の論理回路70が30分間または1時間など、限定された時間期間にわたって動作可能となる。この時間間隔の間、縮小された第2の論理回路70は、自律的に、用量設定または用量投薬関連の電気信号またはそれぞれのデータを記録または取り込むことができる。ハウジング12からの保護キャップ30の連結解除前に、リアルタイムクロック50によってタイムスタンプが第2の論理回路70に提供される。このように、論理回路70は、第2の論理回路70または第2の電子回路60内にそれ自体のリアルタイムクロックを実装する必要なくして、ローカルメモリ81内に用量情報とあわせて時間情報も記憶するように動作可能である。
【0103】
保護キャップ30がハウジング12に予め組み付けられているとき、ローカルメモリ81に事前に記憶されているデータは、インターフェース66、46を介して第1の論理回路44に伝送される。そこで、データは、さらに処理され、より大きなメモリ52に記憶される。要求に応じてまたは決まった時間間隔で、メモリ52に記憶されているデータが送受信器42を介して外部電子装置に伝送される。
【0104】
抵抗率測定に基づいた数字スリーブ90の回転の測定は、単なる例示であることに留意されたい。さらに、数字スリーブ90の回転または回転度は、同様に、静電容量センサまたは磁気センサの助けにより検出することもできる。さらに、図4に示されるように、第1の電子回路40にマイクロホン36を設けることができる。マイクロホン36によって、用量設定および/または用量投薬の間に駆動機構5によって生成される可聴クリックノイズが記録され計数される。
【0105】
後続のクリック音または同様のノイズの数を計数することによって、具体的には各クリック音が薬剤の標準単位の明確な間隔を示している場合、それぞれの用量サイズを計算することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 カートリッジ
2 封止部
3 ピストン
4 ピストンロッド
5 駆動機構
6 加圧片
7 ニードルアセンブリ
8 ニードルハブ
9 注射針
10 注射デバイス
12 ハウジング
13 用量セレクタ
14 用量ボタン
15 第1の窓
16 ゲージ要素
17 ゲージ窓
18 第1の部分
19 第2の部分
20 投薬端
21 ねじ付ソケット
22 カートリッジホルダ部分
23 ボディ部分
24 近位端
25 第2の窓
26 用量標示機構
28 背景
30 保護キャップ
31 キャップ本体
32 キャップ電極
33 キャップ電極
34 キャップ電極
36 マイクロホン
37 閉端
38 開端
39 開口部
40 電子回路
41 電池
42 送受信器
44 論理回路
46 インターフェース
50 リアルタイムクロック
52 メモリ
54 プロセッサ
60 電子回路
62 接点電極
63 接点電極
64 接点電極
66 インターフェース
68 電池
70 論理回路
72 センサアセンブリ
74 抵抗体アセンブリ
76 接点スイッチ
80 プロセッサ
81 メモリ
82 インターフェース
83 カウンタ
84 アナログデジタル変換器
85 基準電圧供給源
90 数字スリーブ
91 第1の部分
92 第2の部分
93 ねじ山
94 溝
95 外面
96 数字
97 パターン
101 接点電極
102 接点電極
103 接点電極
111 環状タブ
112 抵抗体ストリップ
113 環状タブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6