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▶ オーエムエス・インヴェストメンツ・インコーポレイティッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】デュアルロータ散布機システム
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20220510BHJP
   A01M 9/00 20060101ALI20220510BHJP
   A01C 7/08 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A01C15/00 G
A01M9/00 Z
A01C7/08 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019545999
(86)(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018019528
(87)【国際公開番号】W WO2018156958
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】62/462,794
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503403135
【氏名又は名称】オーエムエス・インヴェストメンツ・インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ポール・イー
(72)【発明者】
【氏名】バージャー,ライアン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ウィスニュースキー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハートリッチ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ニットル・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】グラスナー,エリック
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05203510(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0244605(US,A1)
【文献】特表2016-508832(JP,A)
【文献】特開2014-187957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0129883(US,A1)
【文献】実開平01-155317(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 3/00 - 3/08
A01C 7/00 - 9/08
A01C 15/00 - 23/04
A01M 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに接続され、土地または他の面にわたって散布される粒状物質を収容するように構成されたホッパと、
前記フレームに回転可能に接続された2つの車輪と、
前記ホッパの下方で前記フレームに回転可能に接続され、前記粒状物質を散布するように構成された第1のロータおよび第2のロータであって、互いに反対方向に独立して回転する第1のロータおよび第2のロータと、
前記第1および第2のロータを駆動するように構築された駆動列であって、少なくとも1つの車輪から入力を受け取る駆動列と、
それぞれが、前記第1および第2のロータの異なる1つのロータの上方に配置されるように前記ホッパの下部に配置された2つの方形の排出ポートであって、それぞれが、重力によって、前記ホッパから、前記第1および第2のロータの前記異なる1つのロータの上に粒状物質が流れることができるように構成された2つの排出ポートと、
使用者に散布機の前記車輪の直線速度に関するフィードバックを与えるように構成された速度測定システムと、
前記第1および第2のロータのうちの少なくとも1つによって放出される前記粒状物質の少なくとも一部分を妨害するための物質偏向システムであって、第1の可動偏向器および第2の可動偏向器を備え、前記第1の可動偏向器が第1の方向に回転し、前記第2の可動偏向器が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転する、物質偏向システムと
を備え、
前記第1の可動偏向器が、作動されると前記第1のロータの少なくとも一部分を塞ぎ、前記第2の可動偏向器が、作動されると前記第2のロータの少なくとも一部分を塞ぐ、
散布機。
【請求項2】
前記使用者が見えるように配置された、前記フィードバックを与える指示器をさらに備えた、請求項1に記載の散布機。
【請求項3】
前記指示器が3つの表示灯を備え、前記3つの表示灯それぞれが、所定の直線速度に対する前記散布機の前記車輪の前記直線速度を示す、請求項2に記載の散布機。
【請求項4】
前記3つの表示灯が、赤色、緑色、および赤色の表示灯を含む、請求項3に記載の散布機。
【請求項5】
前記フィードバックが、前記散布機の前記車輪の前記直線速度が速すぎる、遅すぎる、または基準許容範囲内である表示を含む、請求項2に記載の散布機。
【請求項6】
携帯電子装置を保持するためのホルダであって、前記散布機の使用中に前記使用者にアクセス可能であるように配置されたホルダをさらに備えた、請求項1に記載の散布機。
【請求項7】
前記車輪が気泡ゴム材製である、請求項1に記載の散布機。
【請求項8】
前記粒状物質が、解氷粒、肥料、殺虫剤、除草剤、粒状土壌改良材、粒状油吸着材、粉状製品、粒状床清掃製品、および草の種のうちのいずれかを含む、請求項1に記載の散布機。
【請求項9】
それぞれが、前記第1および第2のロータの異なる1つのロータの上方に配置されるように前記ホッパの下部に配置された2つの追加の方形の排出ポートであって、それぞれが、重力によって、前記ホッパから、前記第1および第2のロータの前記異なる1つのロータの上に粒状物質が流れることができるように構成された2つの追加の方形の排出ポートをさらに備えた、請求項1に記載の散布機。
【請求項10】
前記ホッパから、前記第1のロータの上に粒状物質が流れることができるように構成された第1のロータに接続された第1の攪拌機と、
前記ホッパから、前記第2のロータの上に粒状物質が流れることができるように構成された第2のロータに接続された第2の攪拌機と
を更に備える、請求項1に記載の散布機。
【請求項11】
前記速度測定システムは、
前記第1の攪拌機に接続された歯車組立体と、
前記歯車組立体に接続され、前記歯車組立体から受け取った回転運動に応答して、前記回転運動の速度に応じて生成された量の電流を発生させるように構成されているステッパモータと、
を備え、
前記速度測定システムは、
前記ステッパモータにより発生された前記電流を測定し、
測定された前記電流を、基準電流量と比較し、
比較の結果に基づいて、前記使用者に与える前記散布機の前記車輪の前記直線速度に関する前記フィードバックを決定する、
請求項10に記載の散布機。
【請求項12】
前記速度測定システムは、
前記ステッパモータによって発生された前記電流を測定し、
測定された前記電流を、前記基準電流量と比較し、
比較の結果に基づいて、前記使用者に与える前記散布機の前記車輪の前記直線速度に関する前記フィードバックを決定する、
ように構成される、論理集積回路を更に備える、
請求項11に記載の散布機。
【請求項13】
前記第1の可動偏向器および前記第2の可動偏向器が、少なくとも第1の位置と第2の位置との間を移動可能である、請求項1に記載の散布機。
【請求項14】
フレームと、
前記フレームに接続され、土地または他の面にわたって散布される粒状物質を収容するように構成されたホッパと、
前記フレームに回転可能に接続された2つの車輪と、
前記ホッパの下方で前記フレームに回転可能に接続され、前記粒状物質を散布するように構成された第1のロータおよび第2のロータであって、互いに反対方向に独立して回転する第1のロータおよび第2のロータと、
前記第1および第2のロータを駆動するように構築された駆動列であって、前記2つの車輪のうちの少なくとも1つの車輪から入力を受け取る駆動列と、
前記ホッパの下部に配置された第1の排出ポートであって、前記第1のロータの上方に配置され、重力によって、前記ホッパから、前記第1のロータの上に粒状物質が流れることができるように構成された第1の排出ポートと、
前記ホッパの下部に配置された第2の排出ポートであって、前記第2のロータの上方に配置され、重力によって、前記ホッパから、前記第2のロータの上に粒状物質が流れることができるように構成された第2の排出ポートと
前記第1および第2のロータのうちの少なくとも1つによって放出される前記粒状物質の少なくとも一部分を妨害するための物質偏向システムであって、第1の可動偏向器および第2の可動偏向器を備え、前記第1の可動偏向器が第1の方向に回転し、前記第2の可動偏向器が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転する、物質偏向システムと
を備え、
前記第1の可動偏向器が、作動されると前記第1のロータの少なくとも一部分を塞ぎ、前記第2の可動偏向器が、作動されると前記第2のロータの少なくとも一部分を塞ぐ、
散布機。
【請求項15】
前記第1の排出ポートおよび前記第2の排出ポートの形状が実質的に方形である、請求項14に記載の散布機。
【請求項16】
前記ホッパの下部に配置され、前記第1の排出ポートに隣接した第3の排出ポートであって、前記第1のロータの上方に配置され、重力によって、前記ホッパから、前記第1のロータの上に粒状物質が流れることができるように構成された第3の排出ポートと、
前記ホッパの下部に配置され、前記第2の排出ポートに隣接した第4の排出ポートであって、前記第2のロータの上方に配置され、重力によって、前記ホッパから、前記第2のロータの上に粒状物質が流れることができるように構成された第4の排出ポートと
をさらに備えた、請求項14に記載の散布機。
【請求項17】
携帯電子装置を保持するためのホルダであって、前記散布機の使用中に使用者にアクセス可能であるように配置されたホルダをさらに備えた、請求項14に記載の散布機。
【請求項18】
前記車輪が気泡ゴム材製である、請求項14に記載の散布機。
【請求項19】
前記粒状物質が、解氷粒、肥料、殺虫剤、除草剤、粒状土壌改良材、粒状油吸着材、粉状製品、粒状床清掃製品、および草の種のうちのいずれかを含む、請求項14に記載の散布機。
【請求項20】
前記第1の可動偏向器および前記第2の可動偏向器が、少なくとも第1の位置と第2の位置との間を移動可能である、請求項14に記載の散布機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、2017年2月23日に出願した米国仮特許出願第62/462,794号の優先権を主張し、その開示は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれている。
【0002】
[0002]本明細書に説明されるシステムおよび方法は、粒状製品を土地または他の面にわたって散布するために、例えば、消費者、専門職、または産業市場で使用される散布機装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]従来、消費者は、従来の散布機を使用して、彼らの土地に粒状の芝生の手入れ製品および他の粒状物品を散布する。これらの従来の製品散布機は、製品を散布するための単一のロータを有するが、これは、散布機が散布することができる物質の散布パターン、速度、および量を制限する。さらに、このような単一ロータの散布機は、単一ロータが一方向に回転するだけという事実を考えれば、散布パターンに関して欠陥を有する。
【0004】
[0004]典型的には、従来の散布機は、処理される面(例えば、芝生、車道、歩道、駐車場など)に粒状製品を散布する前に、消費者が正しく設定しなければならない散布速度調節機構を有する。この調節の設定は、典型的には、その物質のパッケージに見いだされる。しかしながら、これが製品の適正な散布に対する唯一の設定であり、この設定が、散布機のホッパを出る製品の流量を調整する。したがって、散布機の散布速度を制御するために改善された機構に対する必要性は今でも継続して存在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0005]1つまたは複数の例示的な実施形態による散布機の斜視図である。
図2】[0006]図1の散布機の後面斜視図である。
図3】[0007]図1の散布機の正面立面図である。
図4】[0008]図1の散布機の後面立面図である。
図5】[0009]図1の散布機の右面立面図である。
図6】[0010]図1の散布機の左面立面図である。
図7】[0011]図1の散布機の上面図である。
図8】[0012]図1の散布機の底面図である。
図9】[0013]図1の散布機のホッパの単独斜視図である。
図10】[0014]図9の例示的なホッパの、A-Aに沿って切った単独断面図である。
図11】[0015]図9の例示的なホッパの、B-Bに沿って切った別の単独断面図である。
図12】[0016]図9の例示的なホッパの単独上面図である。
図13】[0017]図1の散布機の制御組立体の詳細斜視図である。
図14】[0018]図1の散布機の代替の制御組立体の詳細斜視図である。
図15】[0019]ホッパのない図1の散布機の様々な構成部品の詳細斜視図である。
図16】[0020]噛合解除状態の図1の散布機の様々な物質偏向構成部品の底面図である。
図17】[0021]噛合解除状態の図1の散布機の様々な物質偏向構成部品の上面図である。
図18】[0022]図1の散布機の様々な物質偏向構成部品の詳細斜視図である。
図19】[0023]図1の散布機の様々な代替の物質偏向構成部品の詳細斜視図である。
図20】[0024]図1の散布機のシャッターの詳細斜視図である。
図21】[0025]図1の散布機の代替のシャッターの詳細斜視図である。
図22】[0026]噛合状態の図1の散布機の様々な物質偏向構成部品の斜視図である。
図23】[0027]噛合状態の、図22に例示的に示した散布機の様々な物質偏向構成部品の後面斜視図である。
図24】[0028]噛合状態の、図22に例示的に示した散布機の様々な物質偏向構成部品の正面立面図である。
図25】[0029]噛合状態の、図22に例示的に示した散布機の様々な物質偏向構成部品の後面立面図である。
図26】[0030]噛合状態の、図22に例示的に示した散布機の様々な物質偏向構成部品の右面立面図である。
図27】[0031]噛合状態の、図22に例示的に示した散布機の様々な物質偏向構成部品の左面立面図である。
図28】[0032]噛合状態の、図22に例示的に示した散布機の様々な物質偏向構成部品の上面図である。
図29】[0033]噛合状態の、図22に例示的に示した散布機の様々な物質偏向構成部品の底面図である。
図30】[0034]噛合状態の、図22に例示的に示した散布機の様々な物質偏向構成部品の別の底面図である。
図31】[0035]噛合状態の図22の散布機の様々な物質偏向構成部品の別の上面図である。
図32】[0036]歩行速度指示器のない図1の散布機の実施形態の斜視図である。
図33】[0037]図32の散布機の実施形態の後面斜視図である。
図34】[0038]図32の散布機の実施形態の後面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0039]例示的な実施形態のこれらの態様は、添付の図面と併せて、様々な例示的な実施形態の原理を例として示す次の詳細な説明から明らかになろう。
[0040]次の文は、散布機システムを含む多くの異なる実施形態を広範に説明する。本記述は、単なる例示として解釈すべきであり、あらゆる可能な実施形態を記述することは可能でないとしても実際的でないので、あらゆる可能な実施形態を記述したものではなく、本明細書に記述されるいかなる特徴、特性、構成部品、構造、構成要素、製品、ステップ、または方法も削除することができる、本明細書に記述された任意の他の特徴、特性、構成部品、構造、構成要素、製品、ステップ、または方法と組み合わせることができる、あるいは、全体的に、または部分的に、それらの代わりにすることができることを理解されよう。現在の技術またはこの特許の出願日後に開発される技術のいずれかを使用して、多くの代替の実施形態を実施することができるが、それらはなお特許請求の範囲内に入ることになる。
【0007】
[0041]本明細書において、「本明細書において使用されるとき、「 」という用語は、本明細書において~を意味するものと定義される」という文章または類似の文章を使用して、ある用語が明示的に定義されない限り、その用語の意味を、明示的または暗示的のいずれかであろうと、明白なまたは通常の意味を越えて限定する意図はないこと、および、このような用語は、本特許のいかなる部分(請求項の文言以外)において行なわれたいかなる記述にも基づいた範囲に限定されると解釈するべきでないこともまた理解すべきである。いかなる用語も、本質的であると明言していない限り、本質的であることが意図されていない。本特許の末尾の特許請求の範囲に列挙される任意の用語が単一の意味で一貫して本特許において参照される範囲において、それは読み手を混乱させないように明瞭にするためになされるのであって、このような請求項の用語は、暗示または他の方法によってその単一の意味に限定されることは意図されていない。最後に、請求項の要素が、「手段」という単語、および任意の構造の詳述のない機能によって定義されない限り、いかなる請求項の要素の範囲も米国特許法第112条(f)の適用に基づいて解釈されることは意図されない。
【0008】
[0042]本明細書のいくつかの例示的な実施形態によれば、散布機は、デュアルロータ構成、物質偏向システム、および/または携帯電子装置ホルダ(例えば、スマートフォンホルダ、個人用音楽プレーヤホルダ、タブレットホルダなど)を有することができる。物質偏向システムは、ロータの1つまたはそれぞれによってばらまかれる物質を偏向させるための構成部品を含むことができる。散布機は、粒状物質または製品を散布するように構成される。粒状物質は、ホッパ内に入れることができ、重力によって、1つまたは複数のポートまたは開口を通ってロータへ流れることができる。いくつかの実施形態では、散布機は歩行速度指示器を含んで、使用者の現在の速度が速すぎる、遅すぎる、または正しい(例えば、許容基準範囲内)かどうかを使用者に知らせる。本明細書の散布機の実施形態の1つまたは複数に、改善された、かつ/またはより制御された製品の散布速度を与えるために正しい速度を構成することができる。本明細書の1つまたは複数の実施形態では、散布機の構成は、単一のロータの散布機に関連した「左から右の散布パターンの問題」に関連した1つまたは複数の様々な問題を解決することができるとともに、散布機を使用する(例えば、押す)とき、使用者の歩行が速くすぎるか、または遅すぎるかのどちらかのときの、散布範囲の問題(例えば、lbs/ft2)および/または散布速度の問題に対処することができる。
【0009】
[0043]本明細書において説明するように、様々な実施形態が、粒状物質または製品を散布するために構成される。本明細書全体を通じて使用されるとき、「粒状製品」または「粒状物質」という用語は、流動性の乾燥した(液体ではない)製品である、本質的に微粒子状(または粒状)の製品を指す。例えば、粒状製品としては、限定するものではないが、解氷粒、肥料、殺虫剤、除草剤、粒状土壌改良材、粒状油吸着材、粉状製品、粒状床清掃製品、草の種、または乾燥して流動性のある他の任意の製品が含まれる。
【0010】
[0044]図1~21を参照すると、散布機10の実施形態が示されている。例示的な散布機10は容器またはホッパ12を含み、その中に、肥料、殺虫剤、除草剤、種子などの微粒子状または粒状の物質が使用者によって配置される。いくつかの実施形態では、ホッパ12は、その中に配置された格子13または網を含むことができる。いくつかの実施形態では、格子13は金属から製作されるが、本明細書では他の材料も考えられる。ホッパ12は基部組立体20に取り付けられ、基部組立体20は支持フレーム22に取り付けられる。管状の取っ手24は、支持フレーム22に着脱可能に接続される。支持フレーム22は、車軸取付ブラケット24、26を含むことができ、それぞれ、車軸18によって交差される、または車軸18によって収容されるように構成された1つまたは複数の車軸隙間開口を含む。一対の車輪またはタイヤ14、16が車軸18によって接続される。例示的な実施形態では、タイヤ14、16は、プラスチックのみ、または空気でふくらませたゴムよりなるのではなく、ポリプロピレンを被せた気泡ゴムで構築される。したがって、タイヤ14、16は、「ネバーフラット」タイヤと呼ばれることがある。任意の他のタイプのタイヤもまた使用することができることを認識すべきである。支持フレーム22、基部組立体20、取付ブラケット24、26、車軸18、および/またはホッパ12は、様々な形状、構成、および材料を含むことができる。例示的な材料としては、限定するものではないが、金属、プラスチック、複合材、これらの組合せなどが含まれる。
【0011】
[0045]ホッパ12の下には2つのロータ34、36が配置され、これらは、車軸18を介して散布機10の車輪14、16に接続された歯車システム40によって駆動される。歯車システム40は、各ロータ34、36に対してそれぞれ別個の歯車箱44、46を含む。散布機10が動いているとき(したがって、ロータが回転しているとき)、ロータ34、36は、ホッパ12からその上に堆積された粒状物質を散布する。ロータ34、36が回転すると、対応する撹拌機28、29も同様に回転するように、ロータ34、36のそれぞれは、軸、棒、またはケーブルによって、それぞれ異なる撹拌機28、29に接続することができる。撹拌機28、29は、ホッパ12の底部に配置することができ、ホッパ12内の粒状物質を、開口50を通ってそれぞれのロータ34、36上に送ることを促すように構成することができる。
【0012】
[0046]本明細書において説明するデュアルロータ構成は、単一ロータ構成を上回る、粒状物質の改善された散布を提供する。いくつかの例示的な実施形態では、粒状物質が流れるための2つの開口50を各ロータ34、36の上方に配置することができる。例えば、図12に例示するように、開口50a、50b、50c、50dは、開口50a、50bがロータ34の上方に配置され、開口50c、50dがロータ36の上方に配置されるように、ホッパ12内に配置される。いくつかの例示的な実施形態によれば、開口50(例えば、50a、50b、50c、50d)の形状は実質的に方形にすることができる。様々な実施形態では、開口50の形状は矩形にすることができる。この形状によって、ロータ34、36への物質の散布の正確さが改善され、本明細書で説明する物質偏向システムが働きやすくなる。開口50はまた、ロータ34、36に粒状物質を散布するために適した任意の他の形状または構成に形成することができることを理解すべきである。本明細書において説明する様々な実施形態は、米国特許第5,203,510号に記載されたようなデュアルロータシステムを含むことができる。この出願の内容は、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。米国特許第5,203,510号のデュアルロータシステムは、2つの独立したインペラのそれぞれからの排出が、目標領域、あるいは処理経路または刈り幅にわたって物質散布または散布範囲の所望のパターンになる、独立したインペラのそれぞれからの付加的な散布効果を達成するように制御され、一方では、望ましくない曲がったパターンを避け、中央の覆われない空所を本質的に除去し、したがって、従来技術のデュアルロータ散布機の欠陥に対処するように構築される。
【0013】
[0047]様々な実施形態によれば、各ロータ34、36は物質偏向システム60を有することができる。様々な実施形態の物質偏向システム60はEdgeGuard技術を含むことができる。このような技術は、その全体を参照によって本明細書に組み込まれている米国特許第6,616,074号に記載されているように、粒状物質または製品が歩道、車道、または他の場所に放出されることを防ぐことができる。物質偏向システム60は一対の可動偏向器64、66を含み、各ロータ34、36に対してそれぞれ1つが対応する。例示のように、可動偏向器64、66は、対応する歯車部分67を含む。可動偏向器64、66の歯車部分67は、可動偏向器64が1つの方向(例えば、散布機10の底面から見て時計回り方向、図16)に回転すると、可動偏向器66は反対方向(例えば、散布機10の底面から見て反時計回り方向、図16)に回転するように構成される。図16および18に例示するように、可動偏向器64は可動偏向器66よりも大きい。すなわち、可動偏向器64は、可動偏向器66によって塞がれる、または覆われるロータ36の量よりも多くロータ34を覆う、または塞ぐように構成される。しかしながら、この代わりに、可動偏向器64、66は、ロータ34、36の同じ量を塞ぐ、または覆うように構成されてもよく、あるいは、可動偏向器66は、可動偏向器64よりも多くを塞ぐ、または覆うように構成されてもよいことを認識すべきである。さらに、いくつかの実施形態では、可動偏向器64、66のどちらかは、対応するロータ34、36を塞がないように構成されてもよい(図19参照)。いくつかの実施形態では、可動偏向器64、66はそれぞれ、物質偏向システム60を噛み合わせたとき、または作動させたとき、ホッパ12の開口50の一部分を塞ぐような大きさおよび/または形状の穴63を含む。例えば、図30に示されるように、物質偏向システム60が噛み合うと、可動偏向器64、66の穴63は、それぞれ、ホッパ12の開口50a、50b、および開口50c、50dのそれぞれの一部分を塞ぐ。可動偏向器64、66の穴63は、ホッパ12の開口50の1つまたは複数(例えば、50a、50b、50c、および/または50d)を、任意の様々な量だけ部分的にまたは完全に塞ぐような大きさまたは形状にすることができることを認識すべきである。例えば、可動偏向器64、66の穴60は、最も内側の開口50b、50cのおおよそ半分、最も外側の開口50a、50dのおおよそ4分の3を塞ぐような大きさにすることができる。もちろん、他の実施形態では、可動偏向器64、66の穴60は、開口50の任意の量および任意の組合せを塞ぐような大きさにすることができる。
【0014】
[0048]使用者または消費者は、散布機10の制御組立体70の一部分を形成する偏向作動レバー62によって、物質偏向システム60を噛み合わせる、または作動させることができる。偏向作動レバー62は、偏向作動ケーブルまたはワイヤ68の端部(図示せず)に接続することができる。いくつかの実施形態では、偏向作動ワイヤ68は、シースに覆われてもよく、または導管内を通されてもよい。偏向作動レバー62の位置が、噛合解除状態(図1~8、16および17参照)から噛合状態(図22~31参照)に動かされると、偏向作動ワイヤ68が、制御組立体70の方へ引っ張られて、可動偏向器64が噛合位置に回転させられるように、可動偏向器64の穴65または開口に偏向作動ワイヤ68の他の端部69を接続することができる。
【0015】
[0049]図1~8に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、散布機10は、歩行速度指示器組立体80を含む。この指示器組立体80は、撹拌機28に接続された歯車組立体82からの入力を受けることができる(図7および15参照)。他の実施形態では、その代わりに、歯車組立体82は撹拌機29に接続されてもよい。歯車組立体82は、撹拌機28の回転運動を、ステッパモータ(図示せず)に接続されたワイヤまたは軸によってステッパモータ伝える。ステッパモータは、使用者または消費者による散布機10の動き(例えば、速度)に基づいて電流量を発生するように構成することができる。すなわち、消費者が散布機10を押す、または引くと、車輪が回転し、それが車輪14、16に接続された歯車システム40を駆動する。散布機10の歯車システム40は、順番に、ロータ34、36および撹拌機28、29を駆動し、それによって、散布機10の直線運動から回転運動を発生する。これによって発生した回転運動は、歯車組立体82、およびそれに接続しているワイヤまたは軸によってステッパモータに伝えられる。発生する回転運動の量は、使用者が散布機10を押す、または引く速度の関数とすることができる。したがって、使用者が散布機10を押す、または引くのが速ければ速いほど、ステッパモータが発生することができる電流は多くなる。いくつかの実施形態では、散布機10は歩行速度指示器組立体80を含まないことがあることを認識すべきである。例えば、図32~34は、歩行速度指示器組立体80のない散布機10の例示的な実施形態を示す。
【0016】
[0050]ステッパモータは、論理集積回路(図示せず)に通信可能に接続することができる。論理集積回路は、ステッパモータによって発生した電流量を決定または測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、その後、論理集積回路は、決定された電流量を、散布機10の理想的な、または好ましい直線速度(例えば、毎時4.43km(2.75マイル)または1.2m/sec(4ft/sec))に対応する所定の、または基準の電流量と比較するように構成される。この比較に基づいて、論理集積回路は、歩行速度指示器組立体80の1つまたは複数の表示灯を作動させて、現在の速度が速すぎるか、遅すぎるか、または許容基準範囲内かを使用者に示すように構成される。特定の実施形態では、速度の設定は、物質の散布に対する散布機の設定に基づいて変わり得る。論理集積回路は、連続的に、および/または頻繁に、ステッパモータによって発生した電流量を決定し、現在の速度が速すぎるか、遅すぎるか、または許容基準範囲内かを使用者に知らせるように構成することができる。
【0017】
[0051]いくつかの実施形態では、歩行速度指示器組立体80は、3つの発光ダイオード(LED:light emitting diode)84、86、88を含む。このような実施形態では、LED84は、現在の速度が遅すぎることを表す赤色LEDとすることができ、LED86は、現在の速度が理想的であることを表す緑色LEDとすることができ、LED88は、現在の速度が速すぎることを表す別の赤色LEDとすることができる。論理集積回路および表示灯84、86、88は、ステッパモータによって発生した電流によって電力を供給されるので、別個の電源は必要でないことを認識すべきである。他の実施形態では、歩行速度指示器組立体80としては、さらなる、または他のタイプの指示器(例えば、表示画面、スピーカ、触覚生成デバイスなど)が含まれることをさらに認識すべきである。例えば、速度指示器組立体80はまた、散布機の実際の速度(例えば、フィート/秒)を決定および/または指示することができ、かつ/または、実際の速度が、所望の速度範囲内か、または所望の速度範囲外かどちらかを使用者に示すための表示を含むことができる。例示的な実施形態では、ステッパモータが電流を発生するとして説明されているが、電流を発生するための、および/または、散布機10の速度を測定するための任意の他のタイプの装置または機構を使用することができることもまた認識すべきである。
【0018】
[0052]制御組立体70は、携帯電子装置(例えば、スマートフォン、個人用音楽プレーヤ、タブレット、PDAなど)を保持するためのホルダ72を含むことができる。ホルダ72は、携帯電子装置の少なくとも一部分を保持するように構成されたリップ73および/または基面74を含むことができる。いくつかの実施形態では、ホルダ70はまた、携帯電子装置の少なくとも一部分をホルダ70に固定するための固定機構75(例えば、弾性バンド、フックおよびループストラップ、テザー、クリップなど)を含むことができる。
【0019】
[0053]制御組立体70はまた、散布機10からの粒状物質の散布を制御するための散布レバー76(または、同様の機構)を含むことができる。例えば、例示的な実施形態に示すように、散布レバー76は、ばね、ワイヤ、ケーブル、またはこれらの任意の組合せによって、基部組立体20のプレートまたはシャッター21に接続することができる。使用者または消費者は、散布レバー76を引く、または作動させて、シャッター21を基部組立体20の後部の方に滑らせ、それによって、ホッパ12の開口50を露出させることができる。すなわち、シャッター21が後部の方へ移動すると、ホッパ12の開口50が開き(例えば、開口50の1つまたは複数を部分的に、または完全に開き)、それによって、ホッパ12内の粒状物質が通り抜けてロータ34、36に行って散布することができる。使用者は、散布レバー76を完全に、または部分的に引くことができることを認識すべきである。それを行う際、使用者は、開口50をどの程度露出させるかを制御することができ、それによって、ホッパ12からロータ34、36への粒状物質の流量を制御する(例えば、調整する)ことができる。いくつかの実施形態では、制御組立体70は係止機構78を含む。係止機構78は、散布レバー78を噛合状態に係止または固定するように構成される。シャッター21は、ホッパ12の開口50を露出させる、また、覆うのに適した任意の形状または構成にすることができることを認識すべきである(図20~21参照)。いくつかの実施形態では、図14に例示的に示したものなど、散布機10の制御組立体20は、取っ手24を畳んだ状態のときに係止部78が損傷しないように保護するための係止部ガード79、または任意の他の適した構造を含むことができる。
【0020】
[0054]本明細書において、上記で示され、説明された実施形態および/または例のうちのいずれか1つの任意の特徴および/または要素は、これらの実施形態および/または例から取り除かれてもよく、本明細書の別の実施例または例からの特徴または例に取り換えられてもよく、あるいは、同等の特徴または要素に取り換えられもよいことを理解すべきである。
【0021】
[0055]本明細書に開示した寸法および値は、記載された正確な数値に厳密に限定されると理解されるべきではない。その代わりに、特記なければ、それぞれのこのような寸法は、記載された値、およびその値の周りの機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図されている。
【0022】
[0056]すべての相互参照、あるいは関連特許または出願を含む、本明細書に引用されたあらゆる文書は、明示的に除外または限定されていなければ、その全体を参照によって本明細書に組み込まれている。いかなる文書の引用も、本明細書で開示または特許請求される任意の実施形態に対する先行技術であるとはみなされず、あるいは、それは、単独で、または他の任意の参考文献と組み合わせて、任意のそのような発明を教示、示唆、または開示するとはみなされない。さらに、本文書における用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語のいかなる意味または定義とも矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味または定義が適用されるものとする。
【0023】
[0057]本開示の特定の実施形態を例示および説明してきたが、様々な他の変更および修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、そのようなすべての変更および修正は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
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