(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】粉末脱凝集アクチュエータを備えるエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20220510BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
A24F47/00
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2019546811
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2018054724
(87)【国際公開番号】W WO2018158207
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】クロス ディヴィッド
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3948264(US,A)
【文献】米国特許第6328033(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成粉末を気流内に分散させることによってエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置であって、前記装置が、
それを通る気流通路を備え、前記気流通路内に放出されるエアロゾル形成粉末を含有するカプセルを受けるように構成された、装置ハウジングと、
前記カプセル内の前記エアロゾル形成粉末を脱凝集するために、前記装置ハウジング内に受けられるときに前記カプセルの運動を生成するように構成された磁気アクチュエータであって、前記磁気アクチュエータが、磁場を生成するために、前記装置ハウジング内に少なくとも一つの固定磁気コイルを備え、前記磁気アクチュエータが、前記固定磁気コイルの磁場に応答して運動するように構成された可動電機子をさらに備え、前記電機子が、前記電機子の運動を前記カプセル上に移動させるために前記カプセルに接続可能であり、前記可動電機子が前記装置ハウジング内に前記カプセルを受けかつ保持するためのホルダーを備えるか、または形成する、磁気アクチュエータと、を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記固定磁気コイルがフラットスパイラル磁気コイルまたはらせん磁気コイルである、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記電機子が、前記電機子に接続されるときに前記カプセルの回転運動を生じるよう、前記固定磁気コイルの磁場に応答して回転するように構成された、少なくとも一つの回転可能に取り付けられた永久磁石を備える、請求項1または2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記電機子が、前記電機子に接続されるときに前記カプセルの直線運動を生じるよう、前記固定磁気コイルの磁場に応答して直線運動するように構成された、少なくとも一つの摺動可能に取り付けられた永久磁石を備える、請求項1または2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記電機子が、その少なくとも一部が磁性材料を含む少なくとも一つの弾性カンチレバーアームを備え、前記カンチレバーアームが、前記電機子に接続されるときに前記カプセルの振動運動を生じるよう、前記固定磁気コイルの磁場に応答して振動するように構成される、請求項1または2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記電機子が、前記カプセルを受けるための密封ドッキングポートを形成するように配置される複数の前記カンチレバーアームを備える、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
それにリセット力を加えるために、前記電機子に結合される少なくとも一つのばね要素をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記カプセルを貫通し、前記カプセルの内部と前記気流通路を流体接続するように構成された少なくとも一つの貫通管をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記貫通管が、少なくとも一つの粉末透過性シャフト部分を備える、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記貫通管が、前記カプセルを前記磁気アクチュエータに結合するために前記磁気アクチュエータに取り付けられる、請求項8または9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記装置ハウジング内に受けられるときに前記カプセル内の前記エアロゾル形成粉末を加熱するための電気ヒーターをさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置で使用されるように構成されたカプセルとを備え、前記カプセルがエアロゾル形成粉末を含有する、エアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記カプセルが、前記カプセルの運動を生じるよう、前記カプセルが前記エアロゾル発生装置の前記装置ハウジング内に受けられるときに、前記エアロゾル発生装置の固定磁気コイルの磁場に応答して運動するようにそれぞれ構成された、磁気コイル、磁性材料、または永久磁石のうちの少なくとも一つを備える、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成粉末からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置に関連する。本発明はさらに、こうしたエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル形成粉末含有カプセルと、を備えるエアロゾル発生システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成粉末を気流内に分散させることに基づくエアロゾル発生装置は、従来技術から一般的に公知である。例えば、こうした装置は、エアロゾルの形態の医薬品を含む乾燥粉末を患者の呼吸器官に送達することにより、呼吸器疾患を治療するために使用されうる。同様に、こうした装置は、ユーザー体験を提供するために、ニコチンおよび/または風味付き粉末をユーザーに送達するのに使用されうる。特に、こうした装置は、粉末吸入装置または粉末吸入器として公知である。装置は、分散されるエアロゾル形成粉末を含有するカプセルを受けるように構成されうる。しかし、カプセル内の粉末は、エアロゾル形成に関して不都合となりうる、凝集する傾向がある。
【0003】
従って、従来技術のソリューションの利点を提供しながらも、それらだけにとどまらない、エアロゾル形成粉末からエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置およびシステムを有することが望ましい。特に、カプセル内のエアロゾル形成粉末を脱凝集するための手段を有するエアロゾル発生装置およびシステムを有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、エアロゾル形成粉末を気流内に分散させることによってエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置も提供されている。装置は、それを通る気流通路を有する装置ハウジングを備える。装置ハウジングは、気流通路内に放出されるエアロゾル形成粉末を含有するカプセルを受けるように構成される。エアロゾル発生装置は、カプセル内のエアロゾル形成粉末を脱凝集するための、装置ハウジング内に受けられるときにカプセルの運動を生成するように構成された磁気アクチュエータをさらに備える。
【0005】
本発明によると、粉末脱凝集は、カプセル内の粉末をほぐすよう運動をカプセルに加えることによって容易に達成されうると認識されてきた。有利なことに、この種類の粉末脱凝集は、粉末内にいかなる脱凝集添加剤も必要とせず、エアロゾル形成粉末の機械的な脱凝集にのみ依存する。さらに、脱凝集運動は有利なことに、粉末を巻き上げ、これが気流通路内への粉末の放出を容易にし、従ってエアロゾル形成を強化する。
【0006】
カプセル上に生成および誘起される運動は、振盪運動または振動運動またはパルス運動であることが好ましい。運動は、往復運動または揺動運動であってもよい。振盪運動、振動運動、またはパルス運動は、20Hz~20Khz、特に20Hz~1Khz、好ましくは50Hz~500Hz、最も好ましくは100Hz~500Hzの範囲の周波数を含みうることが好ましい。特に、振盪運動、振動運動、またはパルス動作は、粉末含有カプセルの共振周波数を含んでもよい。有利なことに、これにより、できる限り効率的にカプセル内の粉末を撹拌することができる。
【0007】
運動は、直線運動または回転運動またはそれらの組み合わせであってもよい。従って、磁気アクチュエータは、直線磁気アクチュエータまたは回転磁気アクチュエータであってもよい。
【0008】
本明細書で使用される場合、「磁気アクチュエータ」という用語は、磁気効果、特に磁場を使用して、アクチュエータの一部の動作またはアクチュエータに連結された物体に影響を与える力を生成する任意のアクチュエータを意味する。特に、磁気アクチュエータは、リラクタンス力およびローレンツ力など、距離に作用する磁力に基づきうる。
【0009】
磁気アクチュエータは、固定部分および可動部分を備えうる。本明細書で使用される場合、可動部分は固定部分に対して移動可能であり、固定部分はエアロゾル発生装置に対して固定されている。可動部分は、固定部分と可動部分との間に磁力を生じる、アクチュエータ内で発生した磁場または複数の磁場に応答して運動するように構成されうる。本明細書で使用される場合、磁気アクチュエータの可動部分は、以下でより詳細に説明されるように「電機子」とも呼ばれる。
【0010】
本発明によるカプセルの運動を生成するために、可動部分は、固定部分に対してその磁気的に誘起された運動をカプセル上に移動させるために、カプセルに接続可能でありうる。
【0011】
また、以下にさらに詳しく説明するように、カプセル自体が、アクチュエータの固定部分によって直接作動されるアクチュエータの可動部分を構成してもよい。カプセルは、アクチュエータの一部であってもよく、またはアクチュエータの一部ではないアクチュエータとは別個のスタンドアロンの物体であってもよい。特に、アクチュエータは、カプセルに、すなわちカプセルの動作に直接影響を与える磁力を生成する固定部分のみを備えてもよい。この場合、カプセルは、カプセルを振動させる力を生成するよう磁場と直接結合するための手段、例えば磁性材料または導電性材料を含みうる。
【0012】
磁気アクチュエータの作動力が依存する磁場または複数の磁場は、固定部分、可動部分のいずれか一方、または、固定部分と可動部分の両方により生成されうる。
【0013】
磁場または複数の磁場は、磁気コイルの一つ以上の巻線を通してなど、ワイヤーを通して流れる電流によって生成されうる。したがって、本発明による磁気アクチュエータは、電気的に駆動される磁気アクチュエータでありうる。
【0014】
特に、本発明による磁気アクチュエータは、磁場を生成するための少なくとも一つの磁気コイルを備えうる。磁気コイルは有利なことに、高度な磁場制御性を提供する。特に、磁気コイルは、それを通って流れる電流を変化させるだけで、磁場の強度を変化させることを可能にする。さらに、磁気コイルは、磁気アクチュエータの特定の要件に従って、望ましい任意の磁場形状を提供するように簡単に設計されうる。本明細書で使用される場合、「磁気コイル」および「磁場」という用語は一般的に、「電磁コイル」および「電磁場」という用語も含む。したがって、「磁力」および「磁気効果」という用語は、「電磁力」および「電磁効果」という用語を含む。
【0015】
本発明による磁気アクチュエータはまた、磁気アクチュエータの固定部分と可動部分との間に推進力を誘起する磁場を生成するための、少なくとも一つの永久磁石を備えうる。少なくとも一つの永久磁石は、サモリウムコバルト磁石またはネオジミウム磁石などの希土類元素の合金から作製される希土類磁石を含むことが好ましい。希土類磁石は有利なことに、作製される最も強いタイプの磁石であり、フェライト磁石またはアルニコ磁石などの他のタイプよりも有意に強い磁場を生成する。当然ながら、少なくとも一つの永久磁石はまた、フェライト磁石またはアルニコ磁石を含んでもよい。
【0016】
少なくとも一つの磁気コイルは、エアロゾル発生装置に対して、特にエアロゾル発生装置の本体に対して、固定であるか、移動可能であるかのいずれかでありうる。従って、磁気コイルは、アクチュエータの可動部分または固定部分のいずれかの部分でありうる。その逆もまた可であり、アクチュエータの固定部品または可動部分のいずれかは、少なくとも一つの磁気コイルを含みうる。当然ながら、アクチュエータの固定部分および可動部分の両方は、それぞれ少なくとも一つの磁気コイル、すなわち、少なくとも一つの固定磁気コイルおよび少なくとも一つの可動磁気コイルを備えうる。
【0017】
同様に、少なくとも一つの永久磁石は、エアロゾル発生装置に対して固定であるか、移動可能であるかのいずれかでありうる。従って、永久磁石は、アクチュエータの可動部分または固定部分のいずれかの部分でありうる。その逆もまた可であり、アクチュエータの固定部品または可動部分のいずれかは、少なくとも一つの永久磁石を含みうる。
【0018】
一般に、磁気アクチュエータは、可動コイルアクチュエータまたは可動磁石アクチュエータでありうる。可動コイルアクチュエータでは、可動磁気コイルが、固定永久磁石または可動磁気コイルに対して固定の別の磁気コイルの静磁場内など、静磁場内に配置される。電流によって駆動されると、可動磁気コイルがローレンツ力に屈服してコイルの運動を生じさせる。この力は印加された電流に比例する。有利なことに、これにより、力、従って可動磁気コイルの運動を正確に制御することができる。可動コイルアクチュエータは一般に、ボイスコイルアクチュエータとしても公知である。その逆もまた可であり、可動磁石アクチュエータでは、可動永久磁石が、固定磁気コイルまたはコイル配置によって生成される静磁場内などの静磁場内に配置される。静磁場の極性を逆転させることによって、可動永久磁石は、例えば、回転または線形運動で作動されうる。有利なことに、可動磁気アクチュエータは、高い作動力を提供しうる。
【0019】
本発明による磁気アクチュエータは、磁場を生成するために、装置ハウジング内に少なくとも一つの固定磁気コイルを備える。装置ハウジング内に固定磁気コイルを有することで、有利なことに、エアロゾル発生装置の複雑さが低減され、従って、頑丈で製造が安価な単純な設計が可能になる。特に、固定磁気コイルは、電力をアクチュエータの運動システムに伝達するための任意の手段を必要としない。
【0020】
磁気コイルは、フラットスパイラル磁気コイルまたはらせん磁気コイルであってもよい。らせんコイルは有利なことに、均質な磁場を生成することを可能にする。フラットスパイラルコイルは有利なことに、コンパクトな装置の設計を可能にする。本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」という用語は、平面であるコイルのほか、曲面と一致する形状のフラットスパイラルコイルも網羅する。フラットスパイラルコイルは円形形状を有することも、概して長楕円形または長方形の形状を有することもできる。磁気コイルは装置ハウジング内に保持されうる。特に、磁気コイルは、装置ハウジングの材料の壁内にある装置ハウジングの内部表面上またはこれに隣接して位置付けられうる。磁気コイルは、装置の本体内またはマウスピース内に配置されてもよい。
【0021】
磁気アクチュエータの固定部品、特に上述する少なくとも一つの固定磁気コイルの対応部分として、本発明による磁気アクチュエータは、可動電機子をさらに含みうる。本明細書で使用される場合、「可動電機子」という用語は、磁気アクチュエータの固定部分によって、特に固定磁気コイルによって生成可能な磁場に応答して移動するように構成された磁気アクチュエータの任意の可動要素、構成要素、または部品を意味する。従って、アクチュエータの動作において、電機子と固定部分の磁場との間に起電力が作り出され、これが電機子を運動させる。稀に電気工学で使用される用語「電機子」の一部の定義に反して、本明細書で言及される電機子は、電流を流す必要がなく、さらには電流を流さない。代わりに、本明細書で言及される電機子は、アクチュエータの固定部分の磁場と相互作用するための少なくとも一つの磁性材料を含むことが好ましい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「磁性材料」という用語は、磁化可能または永久磁化された材料を意味する。磁性材料は、軟鉄材料などの磁気的に軟質、または永久磁石などの磁気的に硬質のいずれかでありうる。磁性材料は、強磁性材料またはフェリ磁性材料でありうる。例えば、磁性材料は、鉄、強磁性鋼または永久磁石(サモリウムコバルト磁石またはネオジミウム磁石など)を含みうる。
【0023】
本発明によるカプセルの粉末脱凝集運動を生成するために、可動電機子は、その運動をカプセル上に移動させるよう、カプセルに接続可能であり、特に固定的および/または永久的にカプセルに接続可能である。一般に、電機子は、任意の適切な手段によってカプセルに接続可能でありうる。特に、電機子は、形状嵌め手段、摩擦嵌め手段、クランプ手段、貫通手段または磁気的手段によってカプセルに接続可能でありうる。電機子は、装置ハウジング内でカプセルを受けて保持するように構成されたホルダーを介してカプセルに接続可能であってもよい。ホルダーは、形状嵌めホルダー、摩擦嵌めホルダー、クランプホルダー、貫通ホルダーまたは磁気ホルダーとしうる。特に、ホルダーは電機子の一部であってもよい。同様に、電機子は、装置ハウジング内でカプセルを受けて保持するためのホルダーを備えてもよく、またはホルダーを形成してもよい。電機子は、磁気アクチュエータの直線シャフトまたは回転シャフトを介してカプセルに接続可能であってもよい。
【0024】
一つの構成によれば、本発明の磁気アクチュエータは、回転磁気アクチュエータであってもよい。特に、磁気アクチュエータは、エレクトロモーター、好ましくは永久磁石モーターであってもよい。永久磁石モーターは、移動部品の巻線ではなく永久磁石を使用するブラシレス電気モーターのタイプである。
【0025】
従って、磁気アクチュエータは、少なくとも一つの固定磁気コイルおよび回転可能な電機子を含みうる。回転可能な電機子は、電機子に接続されるときにカプセルの回転運動を生じるよう、磁気コイルの磁場に応答して回転するように構成された、少なくとも一つの回転可能に取り付けられた永久磁石を備える。この構成では、磁気アクチュエータは回転磁石アクチュエータである。特に、固定磁気コイルは、固定子の一部である、または固定子を構成してもよく、回転可能に取り付けられた永久磁石は、回転子の一部である、または固定子を構成してもよい。
【0026】
アクチュエータの可動部品に巻線ではなく永久磁石を有することによって、アクチュエータは任意の整流子またはスリップリングまたはブラシを必要としない。従って、回転磁石アクチュエータは、頑丈でかつ製造が安価な単純なデザインに関して有利である。
【0027】
当然ながら、前述の回転磁気アクチュエータはまた、複数の固定磁気コイル、特に固定磁気コイル配置を備えうる。同様に、可動電機子または回転子である回転磁気アクチュエータは、複数の回転可能に取り付けられた永久磁石、特に複数の永久磁石を含む回転可能に取り付けられた永久磁石配置を含みうる。
【0028】
固定磁気コイルまたはコイル配置は、交番磁界を生成して、少なくとも一つの永久磁石または永久磁石配置を回転させるように構成されうる。特に、交番磁界は回転磁界でありうる。カプセル内の粉末の脱凝集を強化するために、固定磁気コイルまたはコイル配置は、交互にスイッチオンおよびスイッチオフされて、従って電機子およびこれに接続されたカプセルのパルス回転運動を生じる磁場を生成するよう、パルスモードで動作されてもよい。別の方法として、アクチュエータコイルは、電機子およびこれに接続されたカプセルの低速で連続的な回転運動を生成するよう動作されてもよい。低速の連続的な回転運動は、200回転/分以下、特に100回転/分以下、好ましくは60回転/分以下の回転速度を含みうる。
【0029】
固定コイルの巻線である、固定磁気コイルは、磁極片上に巻き取られて、電流が通電されたときに磁極を形成しうる。例えば、磁極片は、積層された軟鉄磁気コアとしうる。磁極は、永久磁石または永久磁石配置がその間で回転しうるように配置される。
【0030】
少なくとも一つの永久磁石の磁化方向は、回転軸に対して直角をなすことが好ましい。電機子または回転子は容易に磁化されうる、つまり、回転子の周囲に沿って交互に北磁極および南磁極を有する。
【0031】
少なくとも一つの永久磁石は、サモリウムコバルト磁石またはネオジミウム磁石などの希土類元素の合金から作製される希土類磁石を含むことが好ましい。
【0032】
少なくとも一つの永久磁石が、その回転運動を支持するために回転シャフト上に取り付けられてもよい。回転シャフト自体は、装置ハウジング内に回転可能に取り付けられてもよい。このため、エアロゾル発生装置、特に磁気アクチュエータは、回転シャフトを支持するための、ジャーナル軸受などの少なくとも一つ、好ましくは二つの軸受を備えうる。回転シャフトはまた、カプセルをアクチュエータに接続するために使用されてもよい。特に、回転シャフトは、カプセルを貫通するように、特に、カプセルと貫通結合するように構成された、貫通管に取り付けられてもよく、または貫通管の一部であってもよい。貫通管はまた、カプセルの内部を装置ハウジングを通る気流通路と流体接続するように構成されてもよい。したがって、回転シャフトは中空であってもよい。例えば、回転シャフトは、装置ハウジングを通る気流通路に流体連結される管であってもよく、または気流通路の一部であってもよい。
【0033】
別の構成によると、本発明の磁気アクチュエータは、カプセルの直線運動を生成するように構成されてもよい。特に、磁気アクチュエータは、リニア電気モーターなどの直線磁気アクチュエータであってもよい。
【0034】
従って、磁気アクチュエータは、少なくとも一つの固定磁気コイルおよび直線可動電機子を備えうる。直線可動電機子は、電機子に接続されるときにカプセルの直線運動を生じるよう、磁気コイルの磁場に応答して直線運動するように構成された摺動可能に取り付けられた永久磁石を備えうる。この構成では、直線磁気アクチュエータは直線可動磁石アクチュエータである。
【0035】
少なくとも一つの永久磁石の磁化方向は、その直線運動の軸と平行であることが好ましい。
【0036】
少なくとも一つの固定磁気コイルは、摺動可能に取り付けられた永久の運動の直線軸に沿って軸方向磁場を生成するように構成されうる。固定磁気コイルに電力供給する電流の向きに応じて、摺動可能に取り付けられた永久磁石は、固定磁気コイルの磁場によって反発する、または引き付けられる。こうして、交流電流を固定磁気コイルに印加することで、交番磁界が生成されて、永久磁石およびこれに取り付けられたカプセルの往復直線運動が生じる。
【0037】
別の方法として、直線磁気アクチュエータは、摺動可能に取り付けられた永久磁石の運動の直線軸に沿った距離に配置された二つの固定磁気コイルを備えてもよい。二つの固定磁気コイルのそれぞれは、永久磁石の運動の直線軸に沿って軸方向磁場を生成するように構成されうる。永久磁石自体は、軸方向に隙間を介した二つの固定磁気コイルの間に配置されることが好ましい。したがって、一度に二つの磁気コイルのうちの一方を交互に作動させることで、摺動可能に取り付けられた永久磁石は、二つの固定磁気コイルの間で往復直線運動で運動するように作動しうる。同様に、二つの固定磁気コイルは、それぞれ例えば180°位相変化された交流電流によって電力供給されうる。従って、摺動可能に取り付けられた永久磁石は常に、二つのコイルのうちのいずれか一方によって引き付けられ、それぞれの他方によって反発し、これにより、永久磁石およびこれに取り付けられたカプセルの往復直線運動が生じる。
【0038】
結果として、上記構成および動作モードのいずれの場合でも、カプセルは効果的に振動され、これが有利なことにカプセル内のエアロゾル形成粉末の効率的な脱凝集を生じる。
【0039】
その直線運動を支持するために、少なくとも一つの永久磁石が直線シャフト上に取り付けられてもよい。直線シャフト自体は、装置ハウジング内に摺動可能に取り付けられてもよい。従って、エアロゾル発生装置、特に磁気アクチュエータは、直線シャフトを支持するための、スライド軸受などの少なくとも一つ、好ましくは二つの軸受を備えうる。直線シャフトはまた、カプセルをアクチュエータに接続するために使用されてもよい。特に、直線シャフトは、カプセルを貫通するように、特に、カプセルと貫通結合するように構成された、貫通管に取り付けられてもよく、または貫通管の一部であってもよい。貫通管はまた、カプセルの内部を装置ハウジングを通る気流通路と流体接続するように構成されてもよい。従って、直線シャフトは中空でもよい。例えば、回転シャフトは、装置ハウジングを通る気流通路に流体連結される管であってもよく、または気流通路の一部であってもよい。
【0040】
さらに別の構成によれば、本発明の磁気アクチュエータは、リラクタンスアクチュエータであってもよい。リラクタンスアクチュエータは一般に、固定磁気コイル、および磁気材料、すなわち鋼または鉄などの磁化材料を含む可動電機子を備える。動作において、磁気コイルは、コイルのインダクタンスを増大させる方向に電機子を運動させる。こうして、磁気コイルは、コイルを通して電流を流す際に電機子を引き付ける電磁石の役割を果たす。次に電機子は、いくつかの機構に機械力を提供するために使用されうる。有利なことに、リラクタンスアクチュエータは、例えば、電気回路によって直接制御され、従って非常に迅速な反応時間を有しうる。電機子に印加される力は、電機子の位置の変化に対するコイルのインダクタンスの変化、およびコイルを流れる電流に比例する。磁気アクチュエータは、リラクタンスモーターなどの回転リラクタンスアクチュエータであってもよい。同様に、磁気アクチュエータは、ソレノイドアクチュエータなどのアクチュエータであってもよい。いずれの場合においても、リラクタンスアクチュエータは、カプセルに接続可能でありうる、それぞれ、回転または直線可動電機子を含む。
【0041】
特定の構成によると、磁気アクチュエータは、少なくとも一つの固定磁気コイル、および少なくとも一つの弾性カンチレバーアームを含む可動電機子を備えうる。カンチレバーは、装置ハウジング内で受けられる粉末含有カプセルに接続可能である。さらに、カンチレバーは、電機子に接続されるときにカプセルの振動運動を生じるよう、固定磁気コイルの磁場に応答して振動するように構成される。
【0042】
カンチレバーアームは、装置ハウジングに取り付けられた固定端と、固定端に対向する自由可動端と、を有しうる。有利なことに、この片側取り付けは、カンチレバーアームの振動運動を容易にしうる。
【0043】
自由可動端などのカンチレバーアームの少なくとも一部分は、磁性材料、特に、鋼または鉄などの強磁性材料またはフェリ磁性材料を含みうる。磁性材料は、コイルのインダクタンスを増大させる方向に運動するよう、固定磁気コイルの磁場と相互作用するように構成される。従って、固定磁気コイルを、パルスモードまたは連続モードのいずれかにおいて所定の周波数で電力供給することによって、弾性カンチレバーは、コイルがスイッチがオンされたときに撓み、スイッチオフされたときにはね上がる。結果として、カンチレバーアームは、固定磁気コイルの磁場に応答して振動する。こうして、カプセルに接続されると、カンチレバーアームはその振動運動をカプセル上に移動させ、これは有利なことに、カプセル内に含有されるエアロゾル形成粉末の効率的な脱凝集につながる。
【0044】
カンチレバーアームそれぞれは、カンチレバーアームの慣性を増大させるために、その自由可動端に追加的な質量を含むことが好ましい。有利なことに、これにより、振動するカンチレバーアームが、カプセル上により大きな影響を有することが可能になる。
【0045】
磁気アクチュエータまたは電機子はそれぞれ、カプセルを受けるための密封ドッキングポートを形成するよう配置される、複数の該カンチレバーアームを備えることが好ましい。例えば、磁気アクチュエータまたは電機子はそれぞれ、その中にカプセルを受けるためのバスケット様の密封ドッキングポートを形成するよう、装置ハウジングの内部壁に円筒形に配置された少なくとも三つのカンチレバーアームを備えてもよい。特に、弾性カンチレバーアームは、締め付けドッキングポートを形成してもよく、カンチレバーアームそれぞれは、ドッキングポート内に受けられたときにカプセルにばね荷重を加える。従って、電機子は有利なことに、装置ハウジング内にカプセルをしっかりと保持するためのホルダーを提供する。
【0046】
エアロゾル発生装置は、電機子にリセット力を加えるために電機子に結合された少なくとも一つのばね要素を含みうる。同様に、エアロゾル発生装置は、装置ハウジング内に受けられたときにカプセルにリセット力を加えるためにカプセルに接続可能な少なくとも一つのばね要素を備えうる。有利なことに、ばね要素は、電機子およびカプセルそれぞれの往復運動を容易にし、これが次に、カプセル内のエアロゾル形成粉末の脱凝集を強化する。ばね要素は、渦巻きばねまたはねじりばねであってもよい。
【0047】
上述の通り、本発明によるエアロゾル発生装置は、それを通してエアロゾル形成粉末が放出されてエアロゾルを形成する気流通路を有する装置ハウジングを備える。したがって、装置ハウジングは、少なくとも一つの気流入口と少なくとも一つの気流出口とを備えてもよく、気流通路は気流入口と気流出口との間に延びうる。本明細書で使用される場合、「気流入口」という用語は、それを通してエアロゾル発生装置の中へと空気を引き込むことができる一つ以上の開口部を記述するために使用される。同様に「気流出口」という用語は、それを通して空気がエアロゾル発生物品から引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。気流出口は、エアロゾル発生装置のマウスピース内に提供されうる。
【0048】
装置ハウジング内に受けられると、カプセル内のエアロゾル形成粉末が気流通路内に放出されるよう、カプセルの内部が気流通路と流体接続される。このために、カプセルは、装置ハウジング内に受けられたときにそれを通してエアロゾル形成粉末がカプセルの内部から抜け出しうる少なくとも一つの予め形成された放出口を備えうる。例えば、カプセルは、メッシュ様ケーシングなどの粉末透過性ケーシングを備えてもよい。カプセルが装置ハウジング内に受けられると、エアロゾル形成粉末が気流通路内に直接放出されるように、気流通路は、カプセルの外部に沿って、特に、カプセルの外表面に沿って通ることが好ましい。カプセルをエアロゾル発生装置に挿入する前にエアロゾル形成粉末が予め形成された放出口を通って不意に抜け出ることを防ぐために、カプセルは保護カバーを備えてもよい。保護カバーは、少なくとも放出口またはさらにはカプセル全体を覆ってもよい。カプセルをエアロゾル発生装置に挿入する前に、少なくとも一つの放出口を解放するよう、保護カバーが取り外される。
【0049】
同様に、エアロゾル発生装置は、カプセルを貫通するように、特に、カプセル、すなわちカプセルのケーシングを貫通結合するように、そして、カプセルの内部を気流通路と流体接続するように構成される少なくとも一つの貫通要素を備えてもよい。このために、貫通要素は、気流通路と流体連通する中空シャフト部分、および貫通されるときにカプセル内に配置される中空シャフト部分の少なくとも一つの開口部を備えうる。従って、少なくとも一つの開口部は、カプセルの内部と流体連通して、それによってエアロゾル形成粉末が気流通路内に放出されることを可能にする。中空シャフト部分は、カプセルの内部と流体連通する複数の開口部を提供するよう、粉末透過性シャフト部分、例えば、メッシュ様または穿孔されたシャフト部分を備えることが好ましい。貫通要素は貫通管であることが好ましい。従って、貫通管は、メッシュ様または穿孔されたシャフト部分など、少なくとも一つの粉末透過性シャフト部分を備えてもよい。
【0050】
貫通要素または貫通管は、カプセルの内部で終わる、またはカプセル全体を通過しうる。気流通路は、カプセルの内部を通過することが好ましい。このために、エアロゾル発生装置は、上述の通り、カプセル全体を通過する貫通管を備えうる。別の方法として、エアロゾル発生装置は、少なくとも二つの貫通管、特に、カプセルの内部で終わる一対の対向する貫通管を備えてもよく、貫通管の一方は気流通路の送入、他方は送出を提供する。貫通管の一方、特に送出を提供する貫通管は、エアロゾル発生装置のマウスピースに取り付けられてもよい。いずれの場合でも、気流通路は貫通管を貫通する。またはその逆であってもよく、貫通要素は気流通路の一部である、または気流通路の少なくとも一部分を提供する。
【0051】
貫通要素、または貫通管は、磁気アクチュエータによって生成される貫通結合されたカプセルの運動を可能にするよう、装置ハウジングに移動可能に取り付けられることが好ましい。
【0052】
貫通要素または管は、磁気アクチュエータに取り付けられて、カプセルを磁気アクチュエータに結合しうる。貫通管は、磁気アクチュエータの回転シャフトまたは直線シャフトの一部であってもよく、または磁気アクチュエータの回転シャフトまたは直線シャフトであることが好ましい。有利なことに、これにより非常にコンパクトな装置を設計することが可能になる。
【0053】
エアロゾル発生装置は、装置ハウジング内に受けられたときに、カプセル内のエアロゾル形成粉末を加温、さらには加熱するための電気ヒーターをさらに備えうる。熱エネルギーを粉末に提供することは、有利なことに、粉末粒子の分散を支持し、従ってエアロゾル形成を強化する。加えて、加温または加熱は有利なことに、粉末の乾燥を維持する。電気ヒーターは、抵抗ヒーターまたは誘導ヒーターでもよい。誘導加熱がカプセル内の粉末の非接触加熱を可能にし、これは、カプセル上に誘起される運動に関して有利であるために、電気ヒーターは誘導ヒーターであることが好ましい。誘導ヒーターは、交番磁場を生成するための誘導源と、サセプタ材料内の交番磁界によって誘起される渦電流またはヒステリシス損失の少なくとも一つに起因して加熱するサセプタとを備えうる。交番電磁場を発生させるために、誘導源は少なくとも一つのインダクタコイルを備えることが好ましい。有利なことに、磁気アクチュエータの磁気コイルはまた、エアロゾル形成粉末を誘導加熱するためのインダクタコイルとしても使用されうる。同様に、磁気アクチュエータの別の部分をサセプタとして使用しうる。磁気アクチュエータの可動電機子の少なくとも一部分が、サセプタとして使用されうることが好ましい。上述のように、可動電機子は、カプセルに接続されるように構成され、従って有利なことに、カプセルへの直接的な熱接触を提供しうる。同様に、適切な材料を選択することによって、貫通管またはカプセル自体をサセプタとして使用しうる。別の方法では、エアロゾル形成粉末はサセプタ材料を含んでもよい。
【0054】
エアロゾル発生装置は、装置を動作および制御するための、特に、磁気アクチュエータ、および存在する場合、電気ヒーターを動作および制御するための電気回路をさらに備えうる。電気回路はマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または制御を提供できる他の電子回路を備えうる。特に、電気回路は、磁気アクチュエータ、および存在する場合、電気ヒーターへの電流の供給を制御するように構成されうる。電気回路は、磁気アクチュエータ、および存在する場合、電気ヒーターを、ユーザーによる装置の起動後に連続的に、または毎回の吸煙ごとなど断続的のいずれかで動作させるように構成されうる。電気回路は、DCまたはAC発電機、特に磁気アクチュエータに、特に磁気アクチュエータの磁気コイルまたは磁気コイル組立品に電流を供給するように構成されたDC/ACインバータうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。電気回路は、存在する場合、電気ヒーターに電流を供給するように構成されたDCまたはAC発電機のうちの少なくとも一つをさらに備えうる。特に、電気回路は、存在する場合、誘導ヒーターのインダクタコイルに高周波振動電流を供給するように構成されたAC発電機をさらに備えうる。本明細書で使用される高周波振動電流という用語は、500kHz~30MHz、好ましくは1MHz~10MHz、より好ましくは5MHz~7MHzの周波数を有する振動電流を意味する。
【0055】
エアロゾル発生装置は、電気回路、磁気アクチュエータ、および存在する場合、電気ヒーターに電力供給するための電源を備えうる。電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、一回以上のユーザー体験のため、または所定の回数の吸煙、または装置の個別の作動のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有しうる。
【0056】
エアロゾル発生装置は、本体と、本体に取り外し可能なように取り付けられたマウスピースとを備えうる。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、エアロゾル発生システムによって発生したエアロゾルを直接吸い込むために、ユーザーの口に入れられる装置の一部分を意味する。したがって、マウスピースは、装置ハウジング内で生成されたエアロゾルをユーザーの口に運ぶように構成された、気流出口、特に、上述の気流通路の気流出口を備えうる。
【0057】
エアロゾル発生装置、特にエアロゾル発生装置の本体は、粉末含有カプセルを受けるための、装置ハウジング内のくぼみを備えうる。
【0058】
本明細書で説明したエアロゾル発生装置は、ユーザーによって生成された吸入気流のみを利用して、エアロゾル発生装置の装置ハウジングを通る気流を作り出す「受動的」装置でありうる。
【0059】
エアロゾル発生装置は、ユーザーが装置、特にマウスピースを吸煙する時を検出するためのマイクロフォンなどの吸煙センサーを含みうる。吸煙センサーは、吸煙が検出されるときに、磁気アクチュエータ、および存在する場合、電気ヒーターを作動させるように構成されうる、電気回路の一部であってもよい。
【0060】
本発明によれば、本発明による本明細書に記載のエアロゾル発生装置、およびエアロゾル形成粉末含有カプセルを備えるエアロゾル発生システムも提供されており、カプセルは、エアロゾル発生装置で使用されるように構成されている。
【0061】
上述のように、カプセル自体は、アクチュエータの固定部分によって直接作動されてもよく、従ってアクチュエータの可動部分を構成してもよい。ただし、カプセルは、アクチュエータまたはエアロゾル発生装置の一部である必要はなく、または一部でもない。カプセルはスタンドアロンの物品であることが好ましい。この構成では、アクチュエータの固定部分は、装置ハウジング内に磁場を生成するための固定磁気コイルのみを備えうる。従って、カプセルは、装置ハウジング内に受けられるときに固定磁気コイルの磁場に応答して運動するように構成されうる。このために、カプセルは、カプセルの運動を生じるよう、エアロゾル発生装置の固定磁気コイルの磁場に応答して運動するようにそれぞれ構成された、磁気コイル、磁気材料、または永久磁石のうちの少なくとも一つを含みうる。
【0062】
当然ながら、磁気アクチュエータは、固定部品に加えて、カプセルに接続可能であり、固定部分の磁場に応答して運動するよう構成された可動電機子などの可動部分を備えうる。この構成では、アクチュエータの固定部分は、カプセル、およびアクチュエータの可動部分の両方に直接影響を与える磁力を生成しうる。
【0063】
カプセルは、消耗品、特に単回使用後に廃棄される消耗品であることが好ましい。
【0064】
カプセルは、カプセル本体の長軸方向軸の周りを回転または長軸方向軸に沿って直線運動しうるよう、装置ハウジング内に受けられうる。
【0065】
カプセルは適切な任意のサイズまたは形状を持ちうる。例えば、カプセルは円筒形でもよい。カプセルは、両端に丸みのある端キャップを有するスリーブでありうることが好ましい。
【0066】
カプセルは、例えば、射出成形ポリマーで作製される二等分のカプセルを含みうる。各等分は、少なくとも一つの貫通可能な部分を含みうる。少なくとも一つの等分は、両等分を一緒に組み立てる前に、エアロゾル形成粉末で充填されてもよい。等分は、組立時に一方の等分が伸縮式に他方の等分の一部分を包含するように、異なる直径を有してもよい。従って、カプセルは、二部分からなる伸縮式のカプセルでありうる。
【0067】
カプセルは、例えば、約4mm~約20mmの長さを有してもよく、約16mmの長さが好ましい。カプセルは、例えば、約4mm~約10mmの直径または幅を有してもよく、約6mmの直径または幅が好ましい。カプセルは、例えば、約0.1mm~約1.0mmの厚さを有してもよく、約0.2mm~約0.4mmが好ましい。
【0068】
カプセル壁の材料および厚さは、貫通管がカプセル壁を容易に貫通できるようにするものであることが好ましい。カプセルの適切な材料は、例えば、金属、ゼラチン、またはプラスチックでありうる。特に、カプセルの適切な材料は、補強された紙巻たばこ、またはフィルター紙、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、プルランを含みうる。同様に、カプセルの材料は澱粉ベースであってもよい。
【0069】
エアロゾル形成粉末はニコチン粉末を含んでもよい。「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン塩などのニコチン誘導体を意味する。従って、ニコチン粉末は、ニコチン塩またはニコチン塩水和物としうる。適切なニコチン塩またはニコチン塩水和物には、例えば、酒石酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、ニコチン塩酸塩、およびその組み合わせが含まれる。
【0070】
ニコチン粉末は、ユーザーの肺へのニコチンの送達のために、適切な任意の粒子サイズ分布を持ちうる。特に、少なくとも約90重量パーセント(wt%)のニコチン粉末は、約10マイクロメートル以下、好ましくは約7マイクロメートル以下の粒子サイズを有しうる。ニコチン粉末は、約0.1~約10マイクロメートルの平均直径の範囲を持つことが好ましく、約1~約7マイクロメートルがより好ましく、約2~約6マイクロメートルが特に好ましい。
【0071】
ニコチン粉末粒子は表面を変性させうるが、例えば、ニコチン塩粒子が被覆されうる。好ましい被覆材料はL-ロイシンである。特に適切なニコチン粉末粒子には、L-ロイシン被覆された重酒石酸ニコチン、L-ロイシン被覆されたグルタミン酸ニコチンおよびL-ロイシン被覆されたアスパラギン酸塩が含まれる。
【0072】
カプセルは、約5~約20ミリグラム、特に約10ミリグラムのニコチン粉末を含むことが好ましい。カプセルは、約10~約30吸煙をユーザーに送達するのに十分なニコチン粉末を含有することが好ましい。
【0073】
本明細書で説明したニコチン粉末は担体を含まないことが好ましい。担体を含まないことにより、ニコチン粉末が吸入され、典型的な喫煙法での吸入または気流レートと同様な吸入レートまたは気流レートで、ユーザーの肺に送達される。さらに、ニコチン粉末は担体を含まないため、吸入器の気流経路は、単純な幾何学的形状または単純な構成を持ちうる。
【0074】
それにもかかわらず、エアロゾル形成粉末は、活性粒子の流動化を増大させ、製剤中の希釈剤または膨化剤として作用することによって用量の均一性を改善する役割を果たす担体粒子をさらに含有しうる。
【0075】
別の方法としてまたはニコチン粉末に加えて、エアロゾル形成粉末はまた、有効な医療材料などの別の有効な薬剤または成分を含んでもよい。この有効な薬剤または成分は、同一のカプセル内で混合されうる。第二の有効な薬剤または成分は、上述したニコチン粉末と同様な平均直径サイズ範囲を持ちうる。
【0076】
本発明によるエアロゾル発生システムおよびカプセルのさらなる特徴および利点については、本発明によるエアロゾル発生物品に関連してすでに説明してきたため、繰り返さない。
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムの断面図である。
【
図2】
図2は、
図1によるエアロゾル発生システムで使用されるエアロゾル形成粉末を含有するカプセルの斜視図を示す。
【
図3】
図3は、
図1によるエアロゾル発生システムで使用される磁気コイル配置の斜視図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システムの断面図を示す。
【
図5】
図5は、
図4によるエアロゾル発生システムで使用される磁気コイル配置の斜視図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システムの断面図を示す。
【
図7】
図7は、
図6によるエアロゾル発生システムで使用される磁気コイル配置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1は、エアロゾル形成粉末を気流内に分散させることに基づく、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムを概略的に図示す。本発明によると、エアロゾル発生システムは、二つの構成要素、エアロゾル発生装置1および装置で使用するためのカプセル30を含み、カプセル30は、装置を通る気流内に分散されるエアロゾル形成粉末31を含む。
【0079】
図1を参照すると、エアロゾル発生装置1は、本体2と、本体2に取り外し可能なように取り付けられたマウスピース5とを備える。マウスピース5は、ヒンジ式接続、スナップ式装着またはねじ式取り付けなど、任意の種類の接続によって本体2に接続されうる。本体2のハウジングおよびマウスピース5はまとめて、装置のハウジング3を形成する。本発明によると、装置ハウジング3は、その中に粉末含有カプセル30を受けるように構成される。本実施形態では、カプセル30は主に、本体2内に形成されたくぼみ内に受けられる。カプセル30をその中に受けるために、マウスピース5が、本体2から取り外されて、カプセルを挿入することが可能になりうる。カプセル30を挿入すると、マウスピース5は、カプセルが装置ハウジング3によって完全に囲まれるように再び本体2に取り付けられる。
【0080】
エアロゾル発生装置1は、その中にエアロゾル形成粉末31が放出される装置ハウジング3を通した気流通路をさらに備える(
図1に破線矢印で示す)。本実施形態では、気流通路は、本体2の横方向の気流入口7からカプセル受け入れくぼみを通ってマウスピース5の先端の気流出口8に向かって延びる。使用時に、ユーザーはマウスピース5で吸煙して、空気を気流入口7を通して装置ハウジング3へと引き出し、さらに気流出口8を通してユーザーの口へと引き出しうる。その意味で、
図1によるエアロゾル発生装置1は、ユーザーによって生成された吸入気流のみを利用して、装置ハウジング3を通した気流を生成する「受動的」装置である。
【0081】
カプセル30内のエアロゾル形成粉末31が装置ハウジング3を通して気流内に分散することを可能にするために、エアロゾル発生装置1はさらに、それを通して気流通路が延びる、気流通路の一部である貫通管6(またはその逆でもよい)を備える。貫通管6は、カプセル30を貫通する、特に、カプセル30と貫通結合する、およびカプセル30の内部を気流通路に流体接続するように構成される。本実施形態では、貫通管6は、カプセル30全体を貫通するのに十分な剛性のカニューレ様の金属管である。貫通管6はマウスピースに取り付けられてもよい。こうして、カプセル30を装置ハウジング3内に挿入すると、カプセル30はマウスピース5および本体2を再組立することによって自動的に貫通される。別の方法として、貫通管6は本体2およびマウスピース5とは別個であって、貫通時にカプセル30と接触するのみであってもよい。貫通管6は両端で開放しており、空気がそれを通って流れる、すなわち、気流入口7から管6を通ってマウスピース5の気流出口8に向かって流れることを可能にする。貫通管6はさらに、メッシュ様の壁セクションなどの穿孔された粉末透過性管セクションを備える。カプセル30の貫通時に、管6を通過する気流とカプセル30内のエアロゾル形成粉末31との間の流体連通を提供するよう、穿孔された粉末透過性管セクションは、カプセル30の内側に位置する。こうして、ユーザーがマウスピース5を吸煙して気流通路に沿って空気を引き出すとき、エアロゾル形成粉末31は、貫通管6を通して気流によって混入されて、その中へと分散される。
【0082】
図2は、
図1によるエアロゾル発生装置1と組み合わせて使用される粉末含有カプセルの例示的な実施形態を示す。カプセル30は基本的に円筒形状である。特に、カプセル30は、二等分のカプセル32、33を備えてもよく、各等分それぞれは半球端部キャップまたは底部を有する円筒形のスリーブである。少なくとも一つの等分が、両等分を一緒に組み立てる前に、エアロゾル形成粉末31で充填されうる。等分32、33は、組立時に、一方の等分が他方の等分の一部分を包含するように、異なる直径を有してもよい。こうして、カプセル30は、二部品からなる伸縮カプセルとしうる。カプセル30は、金属、ゼラチン、またはプラスチック製から作製されうる。例えば、カプセル30は、射出成形ポリマーで作製された二等分のカプセルを含みうる。各等分は、少なくとも一つの貫通可能な部分を含みうる。カプセル壁の厚さは、貫通管6が容易にカプセル壁を貫通できるよう、0.2mm~0.4mmであることが好ましい。本実施形態では、カプセル30は、約15回の吸煙をユーザーに送達するのに十分な約10ミリグラムのニコチン粉末を含有する。カプセル30は、単回使用後に廃棄される消耗品を含む粉末であることが好ましい。当然ながら、カプセルが再充填されるように構成されて、カプセルの複数回の使用が許容されるようにすることも可能である。
【0083】
本発明によると、エアロゾル発生装置1は、カプセル30内のエアロゾル形成粉末31を脱凝集するために、装置ハウジング3内に受けられるときにカプセル30の運動を生成するように構成された磁気アクチュエータ10をさらに備える。磁気アクチュエータ10は、磁場を生成するための固定磁気コイル20、およびカプセル30に接続可能であって、カプセル30上に粉末脱凝集運動を誘起するよう、コイル20の磁場に応答して運動するように構成される可動電機子40を備えることが好ましい。
【0084】
図1による実施形態に関して、固定磁気コイル20は、本体2内に配置されたらせんコイルである。
図3は、装置ハウジング3内の受け入れくぼみの一部分を形成しうるスリーブ上に巻かれたアクチュエータコイル20のさらなる詳細を示す。
図1から分かるように、らせんアクチュエータコイル20は、カプセル30を受けるためのくぼみを形成する装置ハウジング3の内部表面の近くに配置される。
【0085】
電機子40はまた、本体2のくぼみ内であるが、らせんコイル20の軸方向にオフセットされて配置される。
図1による実施形態では、電機子は、その中にカプセル30を受けるためのバスケット様の密封ドッキングポートを形成するように配置される、四つの弾性カンチレバーアーム71(
図1ではそのうちの二つのみを示す)を備える。こうして、装置ハウジング3内に挿入されたとき、カプセル30はカンチレバーアーム71と接触するだけでなく、弾性カンチレバーアーム71がカプセル30上にばね負荷をかけることに起因してしっかりと保持される。カンチレバーアームは、装置ハウジング3に取り付けられた固定端と固定端に対向する自由可動端とを有して、アームそれぞれが撓んで振動することを可能にする。カンチレバーアーム71それぞれの少なくとも一部分、好ましくは少なくとも自由可動端は、磁性材料、特に強磁性またはフェリ磁性材料(鋼または鉄など)を含む。これにより、カンチレバーアーム71それぞれは、コイル20の磁場と相互作用して、コイル20のインダクタンスを増大させる方向に移動しうる。コイル20に電流をパルスモードまたは連続モードのいずれかで、所定の周波数において電流で電力供給することにより、カンチレバー71それぞれは、コイル20がスイッチンオンされるとはね上がり、コイル20がスイッチオフされると撓む。結果として、カンチレバーアームはコイル20の磁場に応答して振動するが、これは有利なことに、カプセル30内のエアロゾル形成粉末31の効率的な脱凝集につながる。さらに、カンチレバーアーム71の振動運動は、粉末31を巻きあげ、これが粉末31の気流通路内への放出を促進し、従って、ユーザーの吸煙中のエアロゾル形成を強化する。カンチレバー71アームそれぞれは、カンチレバーアームの慣性を増やすために、その自由可動端に追加的な質量を含むことが好ましい。有利なことに、これにより、振動するカンチレバーアームが、カプセル上により大きな影響を有することが可能になる。
【0086】
磁気コイル20に加えて、
図1によるエアロゾル発生装置1は、カプセル30内のエアロゾル形成粉末31を誘導的に加温または加熱するために使用される交番電磁場を生成するためのさらなる磁気コイル50を備える。
図1および
図2から分かるように、インダクタコイル50は、装置ハウジング3内に配置されてカンチレバーアーム71、貫通管6およびカプセル30を囲むアクチュエータコイル20に類似したらせんコイルである。電機子の磁性に起因して、カンチレバーアーム71それぞれは、インダクタコイル50との相互作用のためのサセプタを構成する。交流電流をインダクタコイル50に印加することによって、カンチレバーアーム71それぞれは、インダクタコイル50の交番電磁場によってその中に誘起される渦電流および/またはヒステリシス損失に起因して加熱する。カンチレバーアーム71がカプセル30に近接しているか、またはそれと接触しているとき、カプセル30内のエアロゾル形成粉末31は、容易に温めれる、または加熱されうる。同様に、適切な材料を選択することによって、貫通管6は、カプセル30内の粉末31を誘導加温または加熱するためのサセプタとしても使用されうる。有利なことに、粉末31に熱エネルギーで供給することにより、気流内の粉末粒子の分散が促進され、従ってエアロゾル形成を強化する。加えて、加温または加熱は有利なことに、粉末31の乾燥を維持する。
【0087】
アクチュエータコイル20およびインダクタコイル50の両方は、エアロゾル発生装置1(図示せず)の電気回路によって動作および制御されてもよい。エアロゾル発生装置1はまた、センサーによって検出される、ユーザーの吸煙に応答してアクチュエータコイル20およびインダクタコイル50を作動させるよう、気流センサー(図示せず)を備えてもよい。
【0088】
図4は、同じくエアロゾル発生装置1’および装置1’で使用するための粉末含有カプセル30を備えるエアロゾル発生システムの第二の実施形態の概略図である。カプセル30は、
図2に示すカプセル30と同一であり、
図1による装置1と組み合わせて使用される。概して、
図4によるエアロゾル発生装置1’はまた、
図1によるエアロゾル発生装置1と非常に類似している。したがって、対応する特徴は、同一の参照番号で示される。第一の実施形態に従う限りにおいて、
図1~3の説明を参照されたい。第一および第二の実施形態によるエアロゾル発生装置1、1’は本質的に、カプセル30の粉末脱凝集の運動を生成するために使用される磁気アクチュエータ10、10’のみが異なる。第一の実施形態とは対照的に、第二の実施形態の磁気アクチュエータ10’は、カプセル30の往復直線運動を生成するように構成された可動磁石アクチュエータ10’を備える。
図4から分かるように、アクチュエータ10’は、らせん固定磁気コイル20’および直線状の可動電機子40’を備える。直線可動電機子40’は、磁石81’を囲むアクチュエータコイル20’の磁場に応答して直線的に移動するように構成された、摺動可能に取り付けられた永久磁石81’を備える。
【0089】
永久磁石81’は直線シャフト上に取り付けられ、これが次に装置ハウジング3内に摺動可能に取り付けられる。本実施形態では、直線シャフトは、カプセル30を貫通する、特に、カプセル30と貫通結合する、およびカプセル30の内部をそれを通して延びる気流通路に流体接続するように構成された貫通管6の一部である。
【0090】
永久磁石81’は、サモリウムコバルト磁石またはネオジミウム磁石などの希土類磁石であることが好ましい。
【0091】
図5に示されるように、らせんアクチュエータコイル20’は、
図3に示す第一の実施形態のアクチュエータコイル20’と本質的に同一である。動作において、アクチュエータコイル20’は、摺動可能に取り付けられた永久磁石81’の運動(
図4に両方矢印で示す)の直線軸に沿って軸方向磁場を生成する。磁石81’の磁化方向は、らせんアクチュエータコイル20’の軸方向磁場と平行であり、運動の直線軸に平行である。アクチュエータコイル20’の電力供給に使用される電流の方向に応じて、永久磁石81’は、コイル20’の磁場によって反発または引き付けられる。こうして、アクチュエータコイル20’に交流電流を印加することで、永久磁石81’およびそれに接続されたカプセル30の往復直線運動を生じうる。
【0092】
別の方法として、アクチュエータ10’は、アクチュエータコイル20’に加えてさらなるらせん固定アクチュエータコイル50’を備えてもよい。このさらなるらせんコイル50’はまた、装置ハウジング3内の永久磁石81’の運動の直線軸に沿って配置される。永久磁石81’は、軸方向に隙間を介した二つのアクチュエータコイル20’、50’の間に配置されることが好ましい。こうして、一度に二つの磁性コイル20’、50’のうちの一方を交互に作動させることによって、摺動可能に取り付けられた永久磁石81’は、貫通管6の軸方向に沿って往復直線運動で運動するように作動される。同様に、アクチュエータコイル20’;50’はそれぞれ、例えば180°位相変化された交流電流によって電力供給されうる。こうして、摺動可能に取り付けられた永久磁石81’は常に、二つのコイルのいずれか一方によって引き付けられ、それぞれの他方によって反発し、これにより、永久磁石81’およびこれに接続されたカプセル30の往復直線運動が生じる。
【0093】
エアロゾル発生装置1’はさらに、リセット力をそれに加えて往復運動を促進するための電機子40’およびカプセル30のうちの少なくとも一つに結合された渦巻きばね90を備える。ばね90のリセット力は、パルスオンオフモードにおいてDC電流によって電力供給される一つのコイルのみを使用して、アクチュエータ10’を動作させることも可能にしうる。スイッチオンされると、コイルの磁場は、渦巻きばね90のリセット力と反対の方向に永久磁石81を駆動しうる。その逆も可能であり、スイッチオフされると、荷重ばね90のリセット力は、永久磁石81’を他方の方向に戻すよう駆動しうる。こうして、パルスオンオフモードでコイルを動作させることで、永久磁石81が直線的に振動する。
【0094】
上述の構成および動作モードのいずれかにおいて、永久磁石81’の往復直線運動が、カプセル30内のエアロゾル形成粉末31の効率的な脱凝集および巻き上げを生じる。
【0095】
別の方法としてまたは追加的に、さらなる固定コイル50’は、
図1に示す第一の実施形態に関して上述したカプセル30内のエアロゾル形成粉末31を誘導的に温めるまたは加熱するために使用されうる。
図4に示す第二の実施形態に関して、これはサセプタとして使用されることが好ましい貫通管6である。
【0096】
図6は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図である。本システムはまた、エアロゾル発生装置1”ならびに装置1”で使用される粉末含有カプセル30を含み、これは
図2に示すカプセル30と同一であり、
図1および4に示す装置1、1’と組み合わせて使用される。概して、第三の実施形態のエアロゾル発生装置1’は、第一および第二の実施形態による装置1、1’と非常に類似している。したがって、対応する特徴は、同一の参照番号で示される。第一および第二の実施形態に従う限りにおいて、
図1~5の説明を参照されたい。
【0097】
図1および4に示す装置1、1’とは対照的に、
図6によるエアロゾル発生装置1”は、カプセル30の回転運動を生成するように構成された回転磁石アクチュエータ10”を備える。これについては、磁気アクチュエータ10”は、固定磁気コイル20”および回転可能な電機子40”を備える。回転可能な電機子40”は、これに接続されたカプセル30の回転運動を生じさせるよう、コイルの磁場に応答して回転するように構成されたコイル20“によって囲まれる、回転可能に取り付けられた永久磁石81”を備える。永久磁石81”は、回転シャフト上に取り付けられ、これが次に、装置ハウジング3内の二つの軸受82によって回転自在に支持される。特に、回転シャフトは、カプセルを貫通する、特に、カプセル30と貫通結合する、およびカプセル30の内部をそれを通して延びる気流通路に流体接続するように構成された貫通管6の一部である。
【0098】
本実施形態では、永久磁石81’は、サモリウムコバルト磁石またはネオジミウム磁石などの希土類磁石であり、これはラジアル永久磁場を生成する。
【0099】
図7示すように、アクチュエータコイル20”は、装置ハウジング3の表面に対して垂直をなすように方向付けられた交番磁場を生成するように構成された半径方向に分割されたコイルである。特に、分割されたコイル構成は、回転磁場を生成することを可能にする。
【0100】
アクチュエータコイル20”によって生成される交番電磁場は、永久磁石81のラジアル磁場と相互作用して、後者を回転させる。軸受82によって可能となるこうした回転は、貫通管6に移動され、最後に、カプセル30およびその中に含有される粉末31の回転を生じる。カプセル30内の粉末31の脱凝集を強化するために、アクチュエータコイル20”は、交互にスイッチオンおよびスイッチオフされて、従って電機子およびこれに接続されたカプセルの回転運動を生成するよう、パルスモードで動作されてもよい。別の方法として、アクチュエータコイル20”は、電機子およびこれに接続されたカプセルの低速の連続回転運動を生成するよう動作してもよい。低速の連続的な回転運動は、200回転/分以下、特に100回転/分以下、好ましくは60回転/分以下の回転速度を含みうる。
【0101】
図7からさらに分かるように、第三の実施形態によるエアロゾル発生装置1”は、第一および第二の実施形態と同様に、粉末を誘導的に温める、または加熱するために使用されうるさらなるコイル50”も備えうる。インダクタコイル50”は、アクチュエータコイル20”と類似していてもよい。