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特許7069200鋳造産業用の成形品の製造のためのアミノ酸含有成形材料混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】鋳造産業用の成形品の製造のためのアミノ酸含有成形材料混合物
(51)【国際特許分類】
   B22C 1/02 20060101AFI20220510BHJP
   B22C 1/00 20060101ALI20220510BHJP
   B22C 1/22 20060101ALI20220510BHJP
   B22C 1/20 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B22C1/02 B
B22C1/00 G
B22C1/22 D
B22C1/20 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019548765
(86)(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017080602
(87)【国際公開番号】W WO2018099887
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】102016123051.0
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591194322
【氏名又は名称】ヒュッテネス-アルベルトゥス ヒェーミッシェ ヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【住所又は居所原語表記】Wiesenstrasse 23,D-40549 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ディアス フェルナンデス ハイメ
(72)【発明者】
【氏名】ゼールバッハ ヴォルフガング
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-014288(JP,B1)
【文献】西独国特許出願公開第02353642(DE,A)
【文献】特開2001-347339(JP,A)
【文献】特開平10-193033(JP,A)
【文献】特開平06-292938(JP,A)
【文献】特表2014-501175(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01075619(EP,A1)
【文献】国際公開第2004/031254(WO,A1)
【文献】国際公開第97/019141(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1366472(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造産業用の成形品を製造するための成形材料混合物であって、
A)1種以上の注入可能な耐火性充填剤と、
B)
i)ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドドナーおよび/もしくはホルムアルデヒドの初期縮合物、ならびに
ii)グリシン、グルタミン、アラニン、バリンおよびセリンからなる群から選択されるアミノ酸
を含むバインダー系と
を含み、
前記バインダー系が、加えてフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物を含む、成形材料混合物。
【請求項2】
前記アミノ酸がグリシンである、請求項1に記載の成形材料混合物。
【請求項3】
注入可能な耐火性充填剤の1種、数種のうちの少なくとも1種またはすべてが、珪砂、溶融珪砂、オリビン砂、クロム-マグネサイト細粒、ケイ酸アルミニウム、重鉱物、産業用セラミックス、長石-含有砂、アンダルサイト砂、中空α-アルミナスフィア、フライアッシュから構成されるスフィア、籾殻アッシュ、膨張ガラス、発泡ガラス、膨張パーライト、コア-シェル粒子およびフライアッシュからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の成形材料混合物。
【請求項4】
前記注入可能な耐火性充填剤の1種、数種のうちの少なくとも1種または全てが、0.001~5mmの範囲の平均粒径d50を有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の成形材料混合物。
【請求項5】
注入可能な耐火性充填剤の合計質量と前記成形材料混合物の他の構成要素の合計質量比が、100:5~100:0.1の範囲にある、請求項1から4までのいずれか1項に記載の成形材料混合物。
【請求項6】
前記バインダー系が硬化性であって、
i)フェノール/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、
ii)フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、
iv)尿素/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、または
v)尿素/フルフリルアルコール/フェノール/ホルムアルデヒド樹脂
を生じる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の成形材料混合物。
【請求項7】
前記成形材料混合物における全てのアミノ酸の割合が、合計成形材料混合物の固形物含有量に基づいて、0.005~2質量%である、請求項1からまでのいずれか1項に記載の成形材料混合物。
【請求項8】
全てのアミノ酸と利用可能なホルムアルデヒドモル比が、4:1~1:0.5である、請求項1からまでのいずれか1項に記載の成形材料混合物。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の成形材料混合物を用いて製造される、鋳造産業用の成形品。
【請求項10】
鋳造産業用の成形材料混合物におけるグリシン、グルタミン、アラニン、バリンおよびセリンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸の使用であって、前記成形材料混合物が、前記アミノ酸に加えて、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド源及びフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物を含有する、使用。
【請求項11】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の成形材料混合物を製造する方法であって、
以下の工程:
a)1種以上の注入可能な耐火性充填剤を製造または準備する工程と、
b)
i)ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドドナーおよび/またはホルムアルデヒドの初期縮合物、ならびに
ii)グリシン、グルタミン、アラニン、バリンおよびセリンからなる群から選択されるアミノ酸
を含むバインダー系を製造または準備する工程であって、
前記バインダー系が、加えてフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物を含む工程と、
c)全ての成分を混合する工程と
を含む、方法。
【請求項12】
鋳造産業用の成形品を製造する方法であって、
以下の工程:
i)請求項1からまでのいずれか1項に記載の成形材料混合物を製造または準備する工程と、
ii)前記成形材料混合物を造形して、未硬化の成形品を生じる工程と、
iii)鋳造産業用の成形品が得られるように、前記未硬化の成形品を硬化させ、または後者の硬化を可能とする工程と
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の成形材料混合物を製造するための、および/または請求項に記載の成形品を製造するためのキットであって、
i)請求項1からまでのいずれか1項に記載のバインダー系を含み、ならびに
ii)硬化剤を含みここで硬化剤は有機または無機酸であり、ならびに
iii)請求項1からまでのいずれか1項に記載の1種以上の注入可能な耐火性充填剤を任意に含んでもよい、
キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造産業用の成形品を製造するための成形材料混合物、鋳造産業用の成形品、鋳造産業用の成形品を製造するための成形材料混合物における、あるいは鋳造産業用の成形品を製造するためのアミノ酸の使用、成形材料混合物を製造する方法、および鋳造産業用の成形品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造産業において、溶融材料、鉄金属または非鉄金属は、特定のワークピース特性を有する造形物に変換される。鋳物を造形するには、金属溶融体を収容するための非常に複雑な鋳型がまず製造されなければならない場合がある。鋳型は、各鋳込み作業の後に破壊される非永久型、およびそれにより各場合に非常に多数の鋳物を製造することができる永久型に分けられる。非永久型は、通常、硬化性粘結剤によって固化される耐火性で注入可能な成形材料からなる。
型は、鋳込み作業において、製造しようとする鋳物を生じるように、満たされるべき中空空間を含有するネガティブ型である。型の製造において、中空空間は、製造しようとする鋳物のモデルによって成形材料中に形成される。内部輪郭は、別の中子ボックス中に作成される中子によって表される。
その硬化を冷間もしくは熱間プロセスによって行うことができる有機および無機の両粘結剤を、鋳型を製造するために用いることができる。冷間プロセスは、ここでは、成形材料混合物の加熱無しで、硬化を実質的に室温にて行うプロセスである。硬化は、ここでは、通常、例えば、硬化しようとする成形材料混合物を通過させるガス状触媒によって、または成形材料混合物に添加される液状触媒によって引き起こされ得る化学反応によって起こる。熱間プロセスの場合には、成形材料混合物は、造形の後、例えば、粘結剤中に存在する溶媒を除去するために、またはそれにより粘結剤が架橋によって硬化される化学反応を開始させるために、十分に高い温度まで加熱される。
【0003】
鋳型の製造は、ここでは、耐火性充填剤の粒子が粘結剤系の薄膜で被覆されるように、まず粘結剤系と混合される充填剤によって行うことができる。次いで、充填剤および粘結剤系から得られた成形材料混合物を適切な型に導入することができ、任意選択的に、鋳型の十分な強度を達成するために、密に詰めることができる。鋳型は引き続いて硬化される。鋳型が少なくともある初期強度にて達成されると、それを該型から取り出すことができる。
現在、ポリウレタン樹脂、フラン樹脂、フェノール樹脂または尿素-ホルムアルデヒド樹脂などの有機粘結剤は、粘結剤の硬化が触媒の添加によって行われる場合、鋳型を製造するために頻繁に使用される。
成形材料混合物の硬化が熱によって、または触媒の引き続いての添加によって行われるプロセスは、成形材料混合物の加工が時間に関していずれかの特定の制限の対象とならないという利点を有する。成形材料混合物は、まず、比較的大量に製造することができ、次いで、これは、比較的長い時間内に、通常、何時間かの間に加工される。成形材料混合物の硬化は、求められる迅速な反応にて、造形後にのみ起こる。鋳型は、短いサイクル時間が実現できるように、硬化直後に成形用具から取り出すことができる。
【0004】
大きな鋳物、例えば、船のディーゼルのエンジンブロック、または風力発電所用のローターのハブなどの大きな機械部品のための鋳型の製造においては、「ノーベーク粘結剤(no-bake binder)」が主に用いられる。「ノーベークプロセス(no-bake process)」においては、耐火性ベース成形材料(例えば、砂)が、まず、触媒(硬化剤)で被覆されることが多く、粘結剤が引き続いて加えられ、耐火性ベース成形材料の従前に触媒で被覆された粒子上での混合によって均一に分布される。このプロセスにおいては、連続的な通過流ミキサーが頻繁に使用される。次いで、得られた成形材料混合物を造形して、成形品を得ることができる。粘結剤および触媒は成形材料混合物中に均一に分布されるので、硬化は、大きな成形品の場合においてさえかなり均一に起こる。
代替法として、耐火性ベース成形材料(例えば、砂)を、まず、粘結剤と混合することができ、硬化剤を引き続いて「ノーベークプロセス」において加えることができる。このプロセスの変法において、硬化剤の部分的な局所的に過剰な濃度のため、不均質な成形材料をもたらすだろう粘結剤の部分的硬化または架橋が、特に、大きな鋳物のための鋳型の製造において起こり得る。
【0005】
「古典的な」ノーベーク粘結剤は、フラン樹脂もしくはフェノール樹脂またはフラン/フェノール樹脂にしばしば基づく。それらは、多くの場合、システム(キット)として市販されており、そこでは、1つの成分が、反応性フラン樹脂もしくはフェノール樹脂またはフラン/フェノール樹脂を含み、他の成分が、酸を含み、該酸は、反応性樹脂成分の硬化のための触媒として作用する。
フラン樹脂およびフェノール樹脂は、鋳物に対して非常に良好な崩壊特性を呈する。フラン樹脂またはフェノール樹脂は、液状金属の熱の作用下で分解し、鋳型の強度は失われる。鋳込みの後、従って、中子は、任意選択的に、鋳物の先立っての振盪後に中空空間から除去することができる。
【0006】
「フランノーベーク粘結剤」は、通常は、フルフリルアルコールを主成分として含む反応性フラン樹脂を含有する。フルフリルアルコールは、酸触媒の存在下でそれ自身と反応し、ホモポリマーを形成することができる。フランノーベーク粘結剤の製造では、フルフリルアルコールは、一般には単独では用いられず、その代わり、重合して樹脂となるホルムアルデヒドなどのさらなる化合物がフルフリルアルコールに加えられる。樹脂の特性、例えば、その弾性に影響するさらなる成分を樹脂に加えることもできる。例えば、メラミンおよび尿素を加えて、いかなる遊離ホルムアルデヒドにも結合させることができる。
フランノーベーク粘結剤は、通常、まず、例えば、尿素、ホルムアルデヒドおよびフルフリルアルコールの初期縮合物を酸性条件下で製造することによって調製される、次いで、これらの初期縮合物をフルフリルアルコールで希釈する。
【0007】
同様に、尿素およびホルムアルデヒドを単独で反応させることが考えられる。これは、UF樹脂(「尿素ホルムアルデヒド」樹脂、「アミノプラスチック」)を形成する。これらは、通常、引き続いて、フルフリルアルコールで希釈する。この製造方法の利点は、製品範囲における高い可撓性/多様性および低コストであり、これは、該プロセスは冷間混合プロセスだからである。
レゾールをフラン/フェノールノーベーク粘結剤を製造するのに用いることもできる。レゾールは、フェノールおよびホルムアルデヒドの混合物の重合によって製造される。次いで、これらのレゾールは、多量のフルフリルアルコールでしばしば希釈される。
フランノーベーク粘結剤は、酸によって硬化される。この酸は、反応性フラン樹脂の架橋を触媒する。硬化は酸の量によって制御することができ、特定の硬化時間を設定するのに必要な酸の量は粘結剤に依存し、粘結剤のpHおよび酸の種類などの因子によって影響されることに注意すべきである。
芳香族スルホン酸、リン酸、メタンスルホン酸および硫酸が、酸としてしばしば用いられる。いくつかの具体的な場合には、これらの酸の組合せが、場合によって、さらなるカルボン酸とも組み合わせて用いられる。さらに、特定の「硬化減速材」を、フランノーベーク粘結剤に加えることができる。
【0008】
酸触媒硬化性ノーベーク粘結剤の第二の大きな群としてのフェノール樹脂は、反応性の樹脂成分として、レゾール、すなわち、モル過剰のホルムアルデヒドを用いて調製されたフェノール樹脂を含有する。フラン樹脂と比較して、フェノール樹脂は、より低い反応性を呈し、触媒として強いスルホン酸を必要とする。
ある期間、ノーベーク粘結剤は、大規模な単回鋳込みのための型および中子の製造に用いられてきた。これらの冷間硬化システムは、通常、ホルムアルデヒドとフルフリルアルコール、フェノールおよび/または尿素との反応生成物である。
ホルムアルデヒドに基づく成形材料混合物は、通常、非常に良好な特性を有する。特に、フェノール/フラン/ホルムアルデヒド混合樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂およびフラン/ホルムアルデヒド樹脂は、鋳造産業で頻繁に用いられる。
米国特許第3,644,274号は、主として、フルフリルアルコール-ホルムアルデヒド-尿素樹脂を硬化させるための酸触媒の特定の混合物を用いるノーベークプロセスに関する。
米国特許第3,806,491号は、「ノーベーク」プロセスで用いることができる粘結剤に関する。そこで用いられる粘結剤は、塩基性媒体中でのパラホルムアルデヒドと特定のケトンとの反応の生成物や、フルフリルアルコールおよび/またはフラン樹脂を含む。
【0009】
米国特許第5,491,180号は、ノーベークプロセスで用いるのに適した樹脂粘結剤を記載する。そこで用いられる粘結剤は、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フランまたは2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フランのメチルもしくはエチルエーテルに基づき、該粘結剤は、0.5~30質量%の水および、通常、高い割合のフルフリルアルコールを含有する。
欧州特許第0 540 837号は、フラン樹脂およびオルガノソルブプロセスからのリグニンに基づく低排出冷間-硬化粘結剤を提案する。そこに記載されたフラン樹脂は、高い割合の単量体フルフリルアルコールを含有する。
ドイツ国特許第198 56 778号は、アルデヒド成分、ケトン成分、およびフルフリルアルコールから実質的になる成分の反応によって製造された冷間樹脂粘結剤を記載する。
欧州特許第1 531 018号は、フラン樹脂および特定の酸硬化剤から構成されるノーベーク鋳造粘結剤系に関する。そこに記載された粘結剤系は、好ましくは、60~80質量%のフルフリルアルコールを含む。
【0010】
米国特許出願公開第2016/0 158 828号は、ラピッドプロトタイピングプロセスによる鋳型の製造を記載する。該文献に記載された成形材料混合物は、A)少なくとも1種の耐火性充填剤およびB)粘結剤系を含有することができ、そこでは、該粘結剤系は、i)ホルムアルデヒドおよびii)熱硬化性樹脂、糖、合成ポリマー、塩、タンパク質または無機ポリマーを含有することができる。
【0011】
欧州特許第 1 595 618号は、セラミックマスク型を製造する方法を記載する。セラミック粒子、粘結剤および流動化剤を含有する鋳込みスリップを、該型を製造するのに用いる。該流動化剤は、アミノ酸、ポリアクリル酸アンモニウムまたはアルコール基を有する3-酸カルボキシルを含むことができる。
DE 600 05 574 T2は、断熱体を製造する方法に関する。該文献に記載された断熱体は、鉱物綿、およびホルムアルデヒド-フェノール樹脂に基づく粘結剤を含む。
US3 296 666 Aは、鋳型を製造する方法を記載する。該文献において、合成樹脂材料、天然樹脂、ゴム、タンパク質、炭水化物または卵白が、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂に対する代替粘結剤として用いられる。
US 5 320 157 Aは、中子を製造する方法を記載し、そこでは、該中子を製造するのに用いられる成形材料混合物はゼラチンを粘結剤として含有する。
鋳造産業用の成形品(例えば、フィーダー、鋳造用型または中子)の製造においては、粘結剤系が硬化後に高い強度を有するのが有利である。良好な強度は、複雑で壁が薄い成形品の製造で、およびそれらを安全に扱うのに特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、鋳造産業用の成形品を製造するのに用いることができ、改良された強度を有する成形材料混合物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、鋳造産業用の成形品を製造するための成形材料混合物であって、
A)1種以上の注入可能な耐火性充填剤と、
B)
i)ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドドナーおよび/またはホルムアルデヒドの初期縮合物、および
ii)アミノ酸
を含む粘結剤系と
を含む、成形材料混合物によって、本発明に従って達成される。
【発明の効果】
【0014】
驚くべきことに、鋳造産業用の成形品は、それらが本発明による成形材料混合物から製造されると、改良された強度を有することが判明した。この場合、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドドナーおよび/またはホルムアルデヒドの初期縮合物を含む粘結剤系へのアミノ酸の添加は、驚くべきことに、同一の組成を有するが、アミノ酸の添加無しの成形材料混合物から同一条件下で製造された成形品と比較して、それから製造された成形品の強度を改良した。
また、驚くべきことに、本発明による成形材料混合物から製造された成形品は、加えて、遊離ホルムアルデヒドのより低い含有量を有することも判明した。ホルムアルデヒドは刺激性の強い臭いを有し、高濃度においては毒性である。従って、成形品は、より少ない遊離ホルムアルデヒドを有し、ホルムアルデヒドは周囲に放出されないのが有利である。特に、多くの成形品が閉鎖空間に保存される場合、そうでなければ、ホルムアルデヒドについての最大現場濃度(MWC)を超える危険性がある。硬化の前および硬化の間における、本発明による成形材料混合物からのホルムアルデヒドの排出は、驚くべきことに、アミノ酸の添加によっても低下され得る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
成形材料混合物における、または成形材料混合物から製造された成形品における遊離ホルムアルデヒドの含有量を低下させるためには、自然には、より少ないホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドドナーおよび/またはホルムアルデヒドの初期縮合物を粘結剤系に加える可能性もあった。しかしながら、これは、成形材料混合物から製造された成形品の特性(特に、強度)の有意な劣化に導くであろう。
成形材料混合物における、または成形材料混合物から製造された成形品における遊離ホルムアルデヒドの濃度を低下させるためには、従来、尿素がホルムアルデヒドスカベンジャーとして慣用的に用いられてきた。しかしながら、尿素と比較して、アミノ酸は、加えて、成形材料混合物における、またはそれから製造された成形品における窒素含有量を低下させることができるという利点を有し、というのは、本発明によるアミノ酸は、より効果的なホルムアルデヒドスカベンジャーであるからである。加えて、強度の有意な改良ではなく、むしろ強度の低下が、尿素を用いる場合に観察されることが予想される。加えて、混合物中において安定ではなく、濁りおよび沈殿物に導く反応生成物が、ホルムアルデヒドスカベンジャーとして尿素を用いた場合には往々にして形成される。
【0016】
特に、鉄鋳物および鋼鋳物においては、特にステンレス鋼鋳物においては、非常に低い合計窒素含有量が望ましく、というのは、窒素は鋳込み欠陥に導き得るからである。鋼鋳物、また、ねずみ鋳鉄鋳物の分野で用いるには、粘結剤は、非常に低い合計窒素含有量を有するべきであり、というのは、表面欠陥、例えば、「ピンホール」が、高い窒素含有量により鋳込み欠陥として起こるからである。
本発明によると、鋳造産業用の成形品は、好ましくは、鋳造産業用のフィーダー、鋳造用型または中子である。
注入可能な耐火性充填剤としては、鋳造産業用の成形品(特に、フィーダー、鋳造用型および中子)を製造するのに慣用的に用いられる全ての粒状充填剤、例えば、珪砂および特殊砂(specialty sand)を用いることが可能である。表現特殊砂は、天然の鉱物砂、また、破砕、粉砕および分級操作によって粒状形態に製造されるか、または粒状形態に変換される焼結され融着された生成物、またはフィーダー、中子および型の製造用の慣用的な鋳造粘結剤と共にベース成形材料として使用される他の物理化学的プロセスによって形成された無機鉱物砂を含む。
【0017】
本発明の好ましい実施態様において、本発明による成形材料混合物は特に好ましく、そこでは、数種または全ての注入可能な耐火性充填剤の1種、少なくとも1種は、珪砂、溶融珪砂、オリビン砂、クロム-マグネサイト細粒、ケイ酸アルミニウム、特に、J-砂およびケルファライト(kerphalite)、重鉱物、特に、クロマイト、ジルコン砂およびR-砂、産業用セラミックス、特に、セラビーズ、シャモット、M-砂、アロドゥール(Alodur)、ボーキサイト砂および炭化ケイ素、長石-含有砂、アンダルサイト砂、中空α-アルミナスフィア、フライアッシュから構成されるスフィア、籾殻アッシュ、膨張ガラス、発泡ガラス、膨張パーライト、コア-シェル粒子、中空マイクロスフィア、フライアッシュおよびさらなる特殊砂からなる群から選択される。
【0018】
本発明によると、数種または全ての注入可能な耐火性充填剤の1種、少なくとも1種が、0.001~5mmの範囲、好ましくは0.01~3mmの範囲、特に好ましくは0.02~2.0mmの範囲の平均粒径d50を有する成形材料混合物が好ましい。平均粒径d50は、DIN 66165-2、FおよびDIN ISO 3310-1に従って決定される。
同様に、本発明によると、成形材料混合物の他の構成要素の合計質量に対する注入可能な耐火性充填剤の合計質量の比が100:5~100:0.1、好ましくは100:3~100:0.4、特に好ましくは100:2~100:0.6の範囲である成形材料混合物が好ましい。
同様に、成形材料混合物の全ての固形物の混合物の嵩密度が100g/l以上、好ましくは200g/l以上、特に好ましくは1000g/l以上である本発明による成形材料混合物が好ましい。
【0019】
本発明によると、該粘結剤系が、加えて:
(a)フェノール、特にフェノール、o-クレゾール、p-クレゾール、3,5-キシレノールもしくはレゾルシノール、またはフェノールの初期縮合物、特にレゾール、
(b)フラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物、ならびに/あるいは
(c)尿素もしくは尿素誘導体、または尿素もしくは尿素誘導体の初期縮合物
を含む、成形材料混合物が好ましい。
本発明の本成形材料混合物の好ましい実施態様において、粘結剤系は、成形品の製造の間に、粘結剤の硬化を開始させる硬化剤と混合される。硬化剤は、通常、酸、好ましくは少なくとも1種の有機または無機酸、特に好ましくは芳香族スルホン酸(特に、パラ-トルエンスルホン酸および/またはキシレンスルホン酸)、リン酸、メタンスルホン酸、硫酸、1種以上のカルボン酸またはそれらの混合物である。
代わりの好ましい実施態様において、粘結剤系が熱硬化性である本発明による成形材料混合物が特に好ましい。
【0020】
該粘結剤が、加えて、(a)フェノール、特にフェノール、o-クレゾール、p-クレゾール、3,5-キシレノールもしくはレゾルシノール、またはフェノールの初期縮合物、特にレゾール、ならびに(b)フラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物を含む本発明による成形材料混合物が特に好ましい。その結果、フェノール/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂-結合成形材料は硬化中に形成される。かくして、本発明によると、硬化性であって、フェノール/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂を生じる、特に好ましくは硬化性であって、高-ポリマーおよび固体フェノール/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂を生じる粘結剤系が好ましい。これらの系の硬化は、本発明によると、硬化剤の添加によって好ましく行われ、そこでは、硬化剤は有機または無機酸、特に好ましくは芳香族スルホン酸(特に、パラ-トルエンスルホン酸もしくはキシレンスルホン酸、またはパラ-トルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸の混合物)、リン酸、メタンスルホン酸、硫酸、1種以上のカルボン酸または前述の酸の混合物である。
【0021】
該粘結剤が、加えて、フラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物を含む本発明による成形材料混合物が特に好ましい。その結果、フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂-結合成形材料が硬化中に形成される。かくして、本発明によると、硬化性であって、フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂を生じる、好ましくは硬化性であって、高-ポリマーおよび固体フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂を生じる粘結剤系が好ましい。
【0022】
該粘結剤が、加えて、尿素もしくは尿素誘導体、または尿素もしくは尿素誘導体の初期縮合物を含む本発明による成形材料混合物が特に好ましい。この結果、硬化中に、尿素/ホルムアルデヒド樹脂-結合成形材料の形成がもたらされる。かくして、本発明によると、硬化性であって、尿素/ホルムアルデヒド樹脂を生じる、好ましくは硬化性であって、高―ポリマーおよび固体尿素/ホルムアルデヒド樹脂を生じる粘結剤系が好ましい。本発明によると、これらの系の硬化は、好ましくは、潜在性硬化剤の存在下における加熱によって(ウォームボックス)、または硬化剤の添加によって好ましくは行われ、そこでは、硬化剤は有機または無機酸、特に好ましくは芳香族スルホン酸(特に、パラ-トルエンスルホン酸もしくはキシレンスルホン酸、またはパラ-トルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸の混合物)、リン酸、メタンスルホン酸、硫酸、1種以上のカルボン酸または前述の酸の混合物である。
【0023】
該粘結剤が、加えて、i)尿素もしくは尿素誘導体、または尿素もしくは尿素誘導体の初期縮合物、ならびにii)フラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物を含む本発明による成形材料混合物が特に好ましい。この結果、硬化の間に、尿素/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂-結合成形材料の形成がもたらされる。かくして、本発明によると、硬化性であって、尿素/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂を生じる、好ましくは硬化性であって、高-ポリマーおよび固体尿素/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂を生じる粘結剤系が好ましい。本発明によると、これらの系の硬化は、好ましくは、潜在性硬化剤の存在下における加熱によって(ウォームボックス)、または硬化剤の添加によって行われ、そこでは、該硬化剤は有機または無機酸、特に好ましくは芳香族スルホン酸(特に、パラ-トルエンスルホン酸もしくはキシレンスルホン酸、またはパラ-トルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸の混合物)、リン酸、メタンスルホン酸、硫酸、1種以上のカルボン酸または前述の酸の混合物である。
【0024】
該粘結剤が、加えて、i)尿素もしくは尿素誘導体、または尿素もしくは尿素誘導体の初期縮合物、ii)フラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物、ならびにiii)フェノール、特にフェノール、o-クレゾール、p-クレゾール、3,5-キシレノールもしくはレゾルシノール、またはフェノールの初期縮合物、特にレゾールを含む本発明による成形材料混合物が特に好ましい。この結果、硬化の間に、尿素/フルフリルアルコール/フェノール/ホルムアルデヒド樹脂-結合成形材料の形成がもたらされる。かくして、本発明によると、硬化性であって、尿素/フルフリルアルコール/フェノール/ホルムアルデヒド樹脂を生じる、好ましくは硬化性であって、高-ポリマーおよび固体尿素/フルフリルアルコール/フェノール/ホルムアルデヒド樹脂を生じる粘結剤系が好ましい。本発明によると、これらの系の硬化は、好ましくは、潜在性硬化剤の存在下における加熱によって(ウォームボックス)、または硬化剤の添加によって行われ、そこでは、該硬化剤は有機または無機酸、特に好ましくは芳香族スルホン酸(特に、パラ-トルエンスルホン酸またはキシレンスルホン酸、またはパラ-トルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸の混合物)、リン酸、メタンスルホン酸、硫酸、1種以上のカルボン酸または前述の酸の混合物である。
本発明によると、該粘結剤系が硬化性であって、
i)フェノール/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、
ii)フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、
iii)尿素/ホルムアルデヒド樹脂、
iv)尿素/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、または
v)尿素/フルフリルアルコール/フェノール/ホルムアルデヒド樹脂
を生じる成形材料混合物が好ましい。
【0025】
該アミノ酸が、アラニン、グリシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、セリン、スレオニン、チロシン、リシン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択され、好ましくはグリシン、グルタミン、アラニン、バリンおよびセリンからなる群から選択される本発明による成形材料混合物が好ましい。
【0026】
我々自身の研究は、特に、アミノ酸グリシン、グルタミン、アラニン、バリンおよびセリンが、本発明の成形材料混合物で用いられる場合、良好な特性を呈することを示した。成形材料混合物から製造された成形品の強度は、製造された成形品の、または成形材料混合物の他の特性が損なわれることなくして、これらのアミノ酸の添加によって特によく改良できる。加えて、成形材料混合物における、および成形材料混合物から製造された成形品における遊離ホルムアルデヒドの含有量を低下させることができる。アミノ酸の中では、グリシンが特に好ましい。
該アミノ酸がα-アミノ酸である本発明による成形材料混合物が好ましい。
同様に、成形材料混合物における全てのアミノ酸の割合が、合計成形材料混合物の固形物含有量に基づいて、0.005~5.0質量%、好ましくは0.01~2.0質量%、特に好ましくは0.03~1.0質量%である本発明による成形材料混合物が好ましい。
【0027】
我々自身の研究においては、本発明による成形材料混合物が、成形材料混合物における全てのアミノ酸の割合が前述した範囲にある場合に、特に良好な特性を有することが判明した。成形材料混合物におけるアミノ酸の割合が余りにも低いと、成形材料混合物から製造した成形品の強度が、十分に改良されない、および/または遊離ホルムアルデヒドの量が低下されない可能性がある。アミノ酸の割合が過剰な場合において、特性のさらなる改良は観察されない。
同様に、利用可能なホルムアルデヒドに対する全てのアミノ酸のモル比が、4:1~1:0.5、好ましくは3:1~1:0.9、特に好ましくは2.5:1~1:1である本発明による成形材料混合物が好ましい。
【0028】
我々自身の研究においては、本発明による成形材料混合物は、利用可能なホルムアルデヒドに対する全てのアミノ酸のモル比が先に示した範囲にある場合に、特に良好な特性を有することが判明した。特に、成形材料混合物から製造された成形品の強度および成形材料混合物またはそれから製造された成形品における遊離ホルムアルデヒドの割合は、示された範囲が守られる場合に、特に良好な特性を呈する。
同様に、該ホルムアルデヒドドナーおよび/またはホルムアルデヒドの初期縮合物が、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン、メチロールアミン、およびトリメチロールメラミンまたはヘキサメチロールメラミンなどのメチロールアミン誘導体からなる群から選択される本発明による成形材料混合物が好ましい。
【0029】
本発明の好ましい実施態様において、成形材料混合物はいかなるタンパク質またはトリペプチドも、例えば、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチドまたはより高次のペプチドも含有しない。同様に、本発明のいくつかの実施態様が、アスパラギン酸ではなく、代わりに別のアミノ酸、好ましくはグリシン、グルタミン、アラニン、バリンおよび/またはセリンをアミノ酸として用いる場合に、利点を有することが判明した。
本発明のさらなる態様は、本発明による成形材料混合物を用いて製造される、鋳造産業用の成形品を提供する。
同様に、1種または数種の注入可能な耐火性充填剤が硬化された粘結剤によって結合され、該硬化された粘結剤が、
i)フェノール/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、
ii)フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、
iii)尿素/ホルムアルデヒド樹脂、
iv)尿素/フルフリルアルコール/ホルムアルデヒド樹脂、または
v)尿素/フルフリルアルコール/フェノール/ホルムアルデヒド樹脂
である本発明による成形品が好ましい。
【0030】
成形品が粘結剤系の硬化によって形成され、化学反応が、ホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒドの初期縮合物と、
(a)フェノール、特にフェノール、o-クレゾール、p-クレゾール、3,5-キシレノールもしくはレゾルシノール、またはフェノールの初期縮合物、特にレゾール、
(b)フラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコール、またはフラン誘導体および/もしくはフルフリルアルコールの初期縮合物、ならびに/あるいは
(c)尿素もしくは尿素誘導体、または尿素もしくは尿素誘導体の初期縮合物
との間で起こる本発明による成形品が好ましい。
本発明のさらなる態様は、(a)鋳造産業用の成形品を製造するための成形材料混合物における、または(b)鋳造産業用の成形品を製造するための、アミノ酸の使用を提供する。
【0031】
本発明のさらなる態様は、鋳造産業用の成形材料混合物における少なくとも1種のアミノ酸の使用を提供し、ここで、該成形材料混合物は、該アミノ酸に加えて、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド源を含有する。ここで、アラニン、グリシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、セリン、スレオニン、チロシン、リシン、アルギニンおよびヒスチジンからなる群から選択される、特に好ましくはグリシン、グルタミン、アラニン、バリンおよびセリンからなる群から選択されるアミノ酸が好ましい。
本発明のさらなる態様は、強度が改良されかつ/または鋳込み欠陥を生じる傾向が低下した成形品を製造するための、少なくとも1種のアミノ酸の使用を提供する。
本発明のさらなる態様は、鋳造産業用の成形品を製造するための、本発明による成形材料混合物の使用を提供する。
【0032】
本発明との関係におけるさらなる態様は、本発明による成形材料混合物を製造する方法であって、以下の工程:
a)1種以上の注入可能な耐火性充填剤を製造または準備する工程と、
b)
i)ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドドナーおよび/またはホルムアルデヒドの初期縮合物、ならびに
ii)アミノ酸
を含む粘結剤系を製造または準備する工程と、
c)全ての成分を混合する工程と
を含む、方法に関する。
【0033】
本発明との関連におけるさらなる態様は、鋳造産業用の成形品を製造する方法であって、以下の工程:
i)好ましくは、本発明による成形材料混合物を製造または準備するための本発明による方法によって、本発明による成形材料混合物を製造または準備する工程と、
ii)成形材料混合物を造形して、未硬化成形品を得る工程と、
iii)鋳造産業用の成形品が得られるように、該未硬化成形品を硬化させ、または後者の硬化を可能とする工程と
を含む、方法に関する。
鋳造産業用の成形品を製造するための本発明の方法の好ましい実施態様において、未硬化成形品の硬化させる工程または硬化を可能とする工程は、加熱によって行われる。
鋳造産業用の成形品を製造するための本発明の方法の代わりの好ましい実施態様において、硬化させる工程または硬化を可能とする工程は、本発明による成形材料混合物の製造または準備の間における硬化剤の添加によって行われる。硬化剤は、好ましくは、有機または無機酸、特に好ましくはスルホン酸(特に、パラ-トルエンスルホン酸)、リン酸、メタンスルホン酸、カルボン酸および/もしくは硫酸またはそれらの混合物である。
【0034】
本発明との関連におけるさらなる態様は、本発明による成形材料混合物を製造するための、および/または鋳造産業用の本発明による成形品を製造するための、好ましくは鋳造産業用のフィーダー、鋳造用型または中子を製造するためのキットであって、
i)本発明による成形材料混合物のための上記で定義した粘結剤系を含み、
ii)1種以上の注入可能な耐火性充填剤を含んでもよく、ならびに
iii)硬化剤、好ましくは有機または無機酸、特に好ましくは芳香族スルホン酸(特に、パラ-トルエンスルホン酸)、リン酸、カルボン酸、メタンスルホン酸および/もしくは硫酸、またはそれらの混合物
を含んでもよい、キットに関する。
本発明との関係において、好ましい先に示した複数の態様は、好ましくは、同時に実現され;そのような態様、および添付の特許請求の範囲に由来し得る対応する特徴の組合せが特に好ましい。
【実施例
【0035】
選択された実施例の助けをかりて、本発明を以下に説明する。
【0036】
(実施例1)
(本発明による)
粘結剤系の製造:
40℃の温度にて、表示XA20を持つHuttenes-Albertusからの100gの市販のフェノール-フラン冷間-硬化樹脂(フルフリルアルコール:78%、遊離フェノール:4.5%、含水量:2%、遊離ホルムアルデヒド含有量:0.171%(5.7ミリモルに対応);Huttenes-Albertus Chemische Werke GmbHから入手可能)に、0.43gのグリシン(5.7ミリモル)を加え、混合物を60分間撹拌した。粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.09%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0037】
成形材料混合物の製造:
室温(18~22℃)および40~55%の相対雰囲気湿度(RAH)において、100質量部の珪砂H32(Quarzwerke Frechen)を実験室ミキサー(BOSCH)に入れ、0.5質量部の硬化剤(Aktivator 100 SR;パラ-トルエンスルホン酸65%、<0.5%のH2SO4)と混合し、30秒間混合した。1.0質量部の製造された粘結剤系を引き続いて加え、混合物をさらに45秒間混合した。製造された成形材料混合物の温度は18~22℃であった。
(試験)成形品の製造:
成形材料混合物を、引き続いて、手動により試験棒型に導入し、押板によって密に詰めた。Georg-Fischer試験棒として知られた、寸法220mm×22.36mm×22.36mmを有する立方状試験棒を、試験検体として製造した。
加工時間(PT)および硬化時間(CT)の決定:
成形材料混合物の加工時間(PT)および硬化時間(CT)を決定するために、VDGリーフレット72頁に従って、試験ピンを用い、硬化挙動をGeorg-Fischer試験棒について観察した。
【0038】
曲げ強度値の決定:
各曲げ強度値を、VDGリーフレット72頁に従って決定した。曲げ強度を決定するために、試験棒を、3点曲げデバイスを備えたGeorg-Fischer強度試験装置(DISA-Industrie AG,Schaffhausen,CH)中に入れ、試験棒の破壊に導いた力を測定した。
曲げ強度を、試験しようとする(試験)成形品の製造から1時間後、2時間後、4時間後、および24時間後に測定した(室温18~22℃、相対雰囲気湿度(20~55%)において、各場合、成形品の取り出し後の中子の保存)。
決定した値は表1にまとめる。
本発明による成形材料混合物から製造した本発明による(試験)成形品は、硬化挙動に悪影響を及ぼされることなく、24時間後に、比較例1および2で製造された(試験)成形品と比較して、改良された曲げ強度を呈する。加えて、本発明による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量は、比較例1および2による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量よりも低い。
【0039】
(実施例2)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、5.7ミリモルのアラニンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.08%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(実施例3)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、5.7ミリモルのセリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.09%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0040】
(実施例4)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、5.7ミリモルのバリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.09%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例1)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、5.7ミリモルの尿素をグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.13%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例2)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、グリシンは加えなかった。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.15%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0041】
(実施例5)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、表示Kaltharz7864を有するHuttenes-Albertusからの100gの市販のフェノール-フラン冷間-硬化樹脂(フルフリルアルコール:40%、遊離フェノール:4%、含水量:2%、遊離ホルムアルデヒド含有量:0.125%(4.2ミリモルに対応);Huttenes-Albertus Chemische Werke GmbHから入手可能)を、実施例1で用いた表示XA20を有するフェノール-フラン冷間-硬化樹脂の代わりに用いた。しかしながら、4.2ミリモルのグリシンを用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.04%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
決定された値は表1にまとめる。
【0042】
本発明による成形材料混合物から製造された本発明による(試験)成形品は、硬化挙動に悪影響を及ぼされることなく、4時間後に、比較例3および4で製造された(試験)成形品と比較して、改良された曲げ強度を呈する。加えて、本発明による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量は、比較例3および4による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量よりも低い。
【0043】
(実施例6)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例5と同様な方法で行った。しかしながら、4.2ミリモルのアラニンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.05%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0044】
(実施例7)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例5と同様な方法で行った。しかしながら、4.2ミリモルのセリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.06%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(実施例8)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例5と同様な方法で行った。しかしながら、4.2ミリモルのバリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.05%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0045】
(実施例9)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例5と同様な方法で行った。しかしながら、4.2ミリモルのグルタミンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.03%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例3)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例5と同様な方法で行った。しかしながら、4.2ミリモルの尿素をグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.12%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例4)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例5と同様な方法で行った。しかしながら、グリシンは加えなかった。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.17%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0046】
(実施例10)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、表示Kaltharz8117を有するHuttenes-Albertusからの100gの市販のフェノール-フラン冷間-硬化樹脂(フルフリルアルコール:50%、遊離フェノール:3~4%、含水量:2%、遊離ホルムアルデヒド含有量:0.120%(4ミリモルに対応);Huttenes-Albertus Chemische Werke GmbHから入手可能)を、実施例1で用いた表示XA20を有するフェノール-フラン冷間-硬化樹脂の代わりに用いた。しかしながら、4.0ミリモルのグリシンを用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.05%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
決定した値は表1にまとめる。
【0047】
本発明による成形材料混合物から製造された本発明による(試験)成形品は、硬化挙動に悪影響を及ぼされることなく、24時間後に、比較例5および6で製造された(試験)成形品と比較して、改良された曲げ強度を呈する。加えて、本発明による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量は、比較例6および5による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量よりも低い。
【0048】
(実施例11)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例10と同様な方法で行った。しかしながら、4.0ミリモルのアラニンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.05%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(実施例12)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例10と同様な方法で行った。しかしながら、4.0ミリモルのセリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.08%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0049】
(実施例13)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例10と同様な方法で行った。しかしながら、4.0ミリモルのバリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は0.07%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0050】
(実施例14)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例10と同様な方法で行った。しかしながら、4.0ミリモルのグルタミンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.03%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例5)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例10と同様な方法で行った。しかしながら、4.0ミリモルの尿素をグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.05%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例6)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例10と同様な方法で行った。しかしながら、グリシンは加えなかった。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.15%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0051】
(実施例15)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、表示Kaltharz8500を有するHuttenes-Albertusからの100gの市販のフェノール-フラン冷間-硬化樹脂(フルフリルアルコール:57%、遊離フェノール:1.1~1.8%、含水量:8~10%、遊離ホルムアルデヒド含有量:0.25%(8.3ミリモルに対応);Huttenes-Albertus Chemische Werke GmbHから入手可能)を、実施例1で用いた表示XA20を有するフェノール-フラン冷間-硬化樹脂の代わりに用いた。しかしながら、8.3ミリモルのグリシンを用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.04%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
決定した値は表1にまとめる。
【0052】
本発明による成形材料混合物から製造された本発明による(試験)成形品は、24時間後に、比較例7および8で製造された(試験)成形品と比較して、改良された曲げ強度を呈し、硬化挙動に悪影響が及ぼされることはない。加えて、本発明による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量は、比較例7および8による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量よりも低い。
【0053】
(実施例16)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例15と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルのアラニンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.04%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(実施例17)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例15と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルのセリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.05%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0054】
(実施例18)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例15と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルのバリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.07%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0055】
(実施例19)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例15と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルのグルタミンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.06%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例7)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例15と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルの尿素をグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.19%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例8)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例15と同様な方法で行った。しかしながら、グリシンは加えなかった。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.27%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0056】
(実施例20)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例1と同様な方法で行った。しかしながら、表示Kaltharz TDE20を有するHuttenes-Albertusからの100gの市販のフラン冷間-硬化樹脂(フルフリルアルコール:70%、含水量:5~7%、遊離ホルムアルデヒド含有量:0.23%(7.7ミリモルに対応);Huttenes-Albertus Chemische Werke GmbHから入手可能)を、実施例1で用いた表示XA20を有するフェノール-フラン冷間-硬化樹脂の代わりに用いた。しかしながら、7.7ミリモルのグリシンを用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.09%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
決定した値は表1にまとめる。
【0057】
本発明による成形材料混合物から製造された本発明による(試験)成形品は、24時間後に、比較例9で製造された(試験)成形品と比較して、改良された曲げ強度を呈し、硬化挙動に悪影響が及ぼされることはない。加えて、本発明による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量は、比較例9による粘結剤系における遊離ホルムアルデヒドの含有量よりも低い。
(実施例21)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例20と同様な方法で行った。しかしながら、7.7ミリモルのアラニンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.08%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(実施例22)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例20と同様な方法で行った。しかしながら、7.7ミリモルのセリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.09%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0058】
(実施例23)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例20と同様な方法で行った。しかしながら、7.7ミリモルのバリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.07%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例9)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例20と同様な方法で行った。しかしながら、グリシンは加えなかった。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.23%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0059】
(実施例24)
(本発明による)
粘結剤系の製造:
40℃の温度にて、表示「Furesan7682」を有するHuttenes-Albertusからの100gの市販のフェノール-フランウォームボックス樹脂(フルフリルアルコール:57%、遊離フェノール:1.0~1.6%、含水量:8~10%、遊離ホルムアルデヒド含有量:0.25%(8.3ミリモルに対応);Huttenes-Albertus Chemische Werke GmbHから入手可能)に、0.62gのグリシン(8.3ミリモル)を加え、60分間撹拌した。粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.07%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0060】
成形材料混合物の製造:
室温(18~22℃)および相対雰囲気湿度(40~55%)において、100質量部の珪砂H32を実験室ミキサー(BOSCH)に入れ、0.3%の硬化剤(Furedur2)と混合し、混合物を15秒間混合する。砂/硬化剤混合物に、引き続いて、1.5質量部の樹脂を供し、さらに150秒間混合する。製造された成形材料混合物の温度は18~22℃である。
【0061】
(試験)成形品の製造:
成形材料混合物を、引き続いて、試験棒型に手動によって導入し、押板を用いて密に詰め、220℃にて硬化させた。Georg-Fischer試験棒として知られた、寸法220mm×22.36mm×22.36mmを有する立方状試験棒を、試験検体として製造した。
種々の試験成形品を製造し、220℃にて、これらを15、30、60または120秒間硬化させた。
熱間曲げ強度(熱間(試験)成形品の取り出し直後の曲げ強度)および冷間曲げ強度(24時間後の冷却された(試験)成形品の曲げ強度)を、実施例1に記載された決定の方法に従って、製造された(試験)成形品について決定した。
結果は表2にまとめる。
製造された(試験)成形品の冷間曲げ強度は、アミノ酸を加えなかった比較例11の場合におけるよりも高い。短い焼成時間(15および30秒)を有する検体の場合においては、冷間曲げ強度は特に高い。熱間曲げ強度は悪影響を及ぼされていない。
【0062】
これらの結果は特に驚くべきことであり、というのは、従来、フェノール-フランウォームボックス樹脂の場合においては、遊離ホルムアルデヒドの含有量が高い場合のみ、(特に、短い焼成時間における)高い曲げ強度を達成することができる、と推定されてきたからである。
(実施例25)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例24と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルのアラニンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.08%を下回る遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
結果は表2にまとめる。
製造された(試験)成形品の冷間曲げ強度は、アミノ酸を加えなかった比較例11の場合におけるよりも高い。短い焼成時間(15および30秒)を有する検体の場合において、冷間曲げ強度は特に高い。熱間曲げ強度は悪影響を及ぼされていない。
【0063】
これらの結果は特に驚くべきことであり、というのは、従来、フェノール-フランウォームボックス樹脂の場合においては、遊離ホルムアルデヒドの含有量が高い場合のみ、(特に、短い焼成時間における)高い曲げ強度を達成することができる、と推定されてきたからである。
【0064】
(実施例26)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例24と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルのグルタミンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.08%を下回る遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
結果は表2にまとめる。
製造された(試験)成形品の冷間曲げ強度は、アミノ酸を加えなかった比較例11の場合におけるよりも高い。短い焼成時間(15および30秒)を有する検体の場合においては、冷間曲げ強度は特に高い。熱間曲げ強度は悪影響を及ぼされていない。
【0065】
これらの結果は特に驚くべきことであり、というのは、従来、フェノール-フランウォームボックス樹脂の場合においては、遊離ホルムアルデヒドの含有量が高い場合のみ、(特に短い焼成時間における)高い曲げ強度を達成することができる、と推定されてきたからである。
【0066】
(実施例27)
(本発明による)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例24と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルのセリンをグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.08%を下回る遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
(比較例10)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例24と同様な方法で行った。しかしながら、8.3ミリモルの尿素をグリシンの代わりに用いた。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は、0.07%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
【0067】
(比較例11)
(本発明によらない)
粘結剤系、成形材料混合物および(試験)成形品の製造は、実施例24と同様な方法で行った。しかしながら、グリシンは加えなかった。
粘結剤系を室温(18~22℃)まで冷却した後、該粘結剤系は0.18%の遊離ホルムアルデヒドの含有量を有していた。
結果:
【表1】

表1:実施例1~23および比較例1~9で製造された(試験)成形品の加工時間(PT)および硬化時間(CT)、およびまた曲げ強度の比較
【0068】
【表2】

表2:実施例24~26で、および比較例11で製造された(試験)成形品の熱間曲げ強度および冷間曲げ強度の比較