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特許7069204経腸栄養補給中の逆流の自動管理のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】経腸栄養補給中の逆流の自動管理のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20220510BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61J15/00 A
A61M5/142 500
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019551773
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 IL2017050634
(87)【国際公開番号】W WO2018109757
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/432,770
(32)【優先日】2016-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519211214
【氏名又は名称】アート・ヘルスケア・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ART Healthcare Ltd.,
【住所又は居所原語表記】4A Sderot Giborei Israel Street,Poleg Park for industries & Commerce,4250405,Natania, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】エリア、ライロン
(72)【発明者】
【氏名】イダン、ガブリエル・ジェイ.
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/187456(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0190938(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0113843(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0028088(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経腸栄養補給中の逆流を管理するためのシステム(300)であって、
(i)コンピューティングデバイス(304)の少なくとも1つのハードウェアプロセッサ(302)による実行のためのコードを記憶している非一時的なメモリ(306)と、
前記コードが、
患者の消化システム内に配置された少なくとも1つの逆流事象センサ(308)によって出力された電気信号を受信するためのコードと、
前記電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象を検出するためのコードと、
前記患者の前記消化システム内に位置付けられた胃内チューブと流体連通する経腸栄養補給チューブ(310)を使用して前記患者の経腸栄養補給を調整する栄養補給コントローラ(322)による前記患者の経腸栄養補給を一時停止するための命令を出力するためのコードと
を備え、
(ii)検出された胃内逆流事象に応答して、前記患者の前記消化システムから、モニタされる外部コンテナまたはバッグへと排出チューブと流体連通する胃内チューブを通じた消化内容物の受動的に排出するバックフローのための流体連通チャネルを確立するために前記排出チューブ(312)の内腔を開くように、解放クランプ(460,658)を作動する排出コントローラ(326)と
を備え
前記排出コントローラ(326)が、前記排出チューブ(312)に結合された前記解放クランプ(460,658)を含み、前記解放クランプが、前記栄養補給コントローラ(322)が経腸栄養補給を送達しているときに前記排出チューブの内腔を閉じ、前記胃内逆流事象が決定されたときに前記コードによって出力された命令に応答して、前記消化内容物のバックフローのために前記排出チューブの前記内腔を開き、
前記栄養補給コントローラと電気通信するバルブをさらに備え、前記バルブが、前記栄養補給コントローラが前記患者に経腸栄養補給を送達しているときに前記経腸栄養補給チューブの内腔を開き、前記バルブが、前記経腸栄養補給を一時停止するための前記命令に応答して、前記経腸栄養補給チューブの前記内腔を閉じる、
システム。
【請求項2】
前記排出コントローラ(326)が、前記胃内逆流事象が検出されたときに前記コードによって出力された命令に応答して、外部コンテナまたはバッグへと前記排出チューブ(312)を通じて消化内容物の前記バックフローを導くようにトリガされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの逆流事象センサ(308)が、感知された圧力を示す電気信号を出力する圧力センサを備え、前記電気信号の解析に基づいて、消化システムにおける過剰な圧力を決定するためのコードをさらに備え、そして、前記排出コントローラ(326)は過剰な圧力の決定に応答して前記排出チューブ(312)の内腔を開くように、解放クランプ(460,658)を作動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの逆流事象センサ(308)が、感知されたインピーダンスを示す電気信号を出力するインピーダンスセンサを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの逆流事象センサ(308)が、感知されたpHを示す電気信号を出力するpHセンサを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記排出チューブ(312)が前記経腸栄養補給チューブ(310)と流体連通しており、前記排出コントローラ(326)が、バックフローする消化内容物が前記経腸栄養補給チューブの中に導かれるように、患者の食道内に位置する前記経腸栄養補給チューブのまわりに実質的な封止を形成するために膨張されるバルーン(350)を作動し、前記バルーンが、前記胃内逆流事象が決定されたときに前記コードによって出力された命令に応答して膨張される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記栄養補給コントローラによって制御される前記経腸栄養補給チューブに結合する経腸栄養補給ポート(854)と、
前記外部コンテナまたはバッグに結合する前記排出チューブに結合する排出ポート(858)と、
前記患者の前記消化システム内に位置付けられた胃内チューブに結合する胃ポート(856)と
を含む複数のポートの間で流体連通を確立するマルチチャネルコネクタ(330,830)
をさらに備え、
前記マルチチャネルコネクタが、経腸栄養補給中の前記経腸栄養補給ポートから前記胃ポートへの流体連通のための前進流体チャネルと、検出された逆流事象中の前記胃ポートから前記排出ポートへの流体連通のための逆進流体チャネルとを確立する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの逆流事象センサ(308)が、前記患者の前記消化システム内に位置付けられた前記胃内チューブの遠位端部に配置され、前記マルチチャネルコネクタ(330,930)が、前記少なくとも1つの逆流事象センサによって出力された前記電気信号を受信し、前記コンピューティングデバイスへと前記電気信号を送信する電気ポートをさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記外部コンテナまたはバッグが、量較正コンテナを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電気信号の前記解析に基づいて、前記胃内逆流事象の終結を決定するためのコードと、
前記栄養補給コントローラによる前記患者の経腸栄養補給を再スタートするための命令を出力するためのコードと
をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記排出チューブに結合された前記解放クランプを閉じるための命令を生成するためのコード
をさらに備える請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
経腸栄養補給をモニタするコンピュータ実装方法であって、
少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、患者の消化システム内に配置された少なくとも1つの逆流事象センサによって出力された電気信号を受信すること(202)と、
前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、前記電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象を検出すること(204)と、
前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、前記患者の前記消化システム内に位置付けられた経腸栄養補給チューブによる前記患者の経腸栄養補給を一時停止すること(206)と、
決定された胃内逆流事象に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、前記患者の前記消化システムから、モニタされる外部コンテナまたはバッグへと排出チューブと流体連通する胃内チューブを通じて消化内容物の受動的に排出するバックフローのための流体連通チャネルを確立するために前記排出チューブの内腔を開くように、解放クランプを作動すること(208)と
を備え
前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、前記解放クランプが経腸栄養補給を送達しているときに前記排出チューブの内腔を閉じ、前記胃内逆流事象が検出されたとき、前記消化内容物のバックフローのために前記排出チューブの前記内腔を開き、
前記一時停止することが、前記経腸栄養補給チューブの内腔を閉じるようにバルブに命令する前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって実施される(556)、
コンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記胃内逆流事象が決定されたときに生成される命令に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、患者の食道内に位置するバルーンを膨張させること(558)をさらに備え、消化内容物のバックフローが、膨張されたバルーンによって前記経腸栄養補給チューブの中へと実施されるように、前記膨張されたバルーンが前記経腸栄養補給チューブのまわりに実質的な封止を形成する、請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記解放クランプおよび前記バルブが、前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、実質的に同時に作動される(556,560)、請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、前記電気信号の前記解析に基づいて、前記胃内逆流事象の終結を決定すること(210)と、
前記少なくとも1つのプロセッサ(302)によって、栄養補給コントローラによる前記患者の経腸栄養補給を再スタートし、一方、排出チューブをブロックすること(212)と
をさらに備える請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
経腸栄養補給中の逆流事象を管理するための経腸栄養補給システム(300)であって、
(i)マルチチャネルコネクタ(330,830)と、
前記マルチチャネルコネクタは、
患者の消化システム内への挿入用に設計された胃チューブ(314)と、
前記胃チューブの遠位端部の外部面に配置され、前記患者の食道内での膨張用に設計された膨張可能なバルーン(350)と、
前記胃チューブに結合する胃ポート(856)と、
前記患者に経腸栄養素を送達する経腸栄養補給チューブ(310)に結合する経腸栄養補給ポート(854)と、
モニタされる外部コンテナまたはバッグ(328)に結合する排出チューブ(312)に結合する排出ポート(858)と、
ここにおいて、前記マルチチャネルコネクタが、経腸栄養補給中の前記経腸栄養補給ポートから前記胃ポートへの流体連通のための前進流体チャネルと、逆流事象センサ(308)によって出力された信号の解析に基づいてコンピューティングデバイス(304)によって検出された、検出された逆流事象中の前記胃ポートから前記排出ポートへの流体連通のための逆進流体チャネルとを確立し、前記バルーンが、前記経腸栄養補給中に収縮状態にあり、前記検出された逆流事象中に膨張状態にある、
を備え、
(ii)胃内逆流事象の検出に応答して、前記患者の前記消化システムから、モニタされる外部コンテナまたはバッグへと前記排出チューブと流体連通する胃内チューブを通じた消化内容物の受動的に排出するバックフローのための流体連通チャネルを確立するために前記排出チューブの内腔を開くように、解放クランプ(460,658)を作動する、排出コントローラ(326)と、
を備え
前記排出コントローラ(326)が、前記排出チューブ(312)に結合された前記解放クランプ(460,658)を含み、前記解放クランプが、経腸栄養補給を送達しているときに前記排出チューブの内腔を閉じ、前記胃内逆流事象の検出に応答して、前記消化内容物のバックフローのために前記排出チューブの前記内腔を開く、
経腸栄養補給システム。
【請求項17】
前記マルチチャネルコネクタがY字の形状にされ、前記Y字の第1のアーム部が前記経腸栄養補給ポートを含み、前記Y字の第2のアーム部が前記排出ポートを含み、前記Y字の脚部が前記胃ポートを含み、前記マルチチャネルコネクタの内部空洞が、前記前進流体チャネルと前記逆進流体チャネルとを確立するために、前記経腸栄養補給ポートと、前記排出ポートと、前記胃ポートとの間に流体連通を提供する、請求項16に記載の経腸栄養補給システム。
【請求項18】
前記第1のアーム部と前記第2のアーム部との間の角度が、前記第1のアーム部と前記脚部との間の角度よりも小さく、前記第2のアーム部と前記脚部との間の角度よりも小さい、請求項17に記載の経腸栄養補給システム。
【請求項19】
前記第1のアーム部と前記第2のアーム部との間の角度が、15~45度である、請求項17に記載の経腸栄養補給システム。
【請求項20】
解放クランプ(460,658)が決定された胃内逆流事象に応答して前記排出チューブ(312)の内腔を開くために作動させられるとき、前記消化システム内の圧力増大は食道内よりも前記胃内チューブを介して前記モニタされる外部コンテナまたはバッグ(328)内に導かれる前記消化内容物のバックフローによって解放される、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記胃内逆流事象は食道内に入る消化内容物を表し、消化内容物は流体、胃酸、および投与された経腸栄養物を含むグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
患者から出て、そしてモニタされる外部コンテナまたはバッグ(328)に入った消化内容物の量を解析するためのコードを備え、前記モニタされる外部コンテナまたはバッグ(328)内の解析された消化内容物の量に従って栄養補給コントローラ(322)により、後続の経腸栄養補給で減じる量を計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
経腸栄養補給中の食道内の消化内容物を管理するためのシステム(300)であって、 (i)コンピューティングデバイス(304)の少なくとも1つのハードウェアプロセッサ(302)による実行のためのコードを記憶している非一時的なメモリ(306)と、
前記コードが、
患者の食道内に配置された少なくとも1つの逆流事象センサ(308)によって出力された電気信号を受信するためのコードと、
前記電気信号の解析に基づいて、食道内の消化内容物を検出するためのコードと、ここにおいて、前記消化内容物は流体、胃酸、および投与された経腸栄養物を含むグループから選択される
前記食道内の前記検出された消化内容物に応答して、前記患者の消化システム内に位置付けられた胃内チューブと流体連通する経腸栄養補給チューブ(310)を使用して前記患者の経腸栄養補給を調整する栄養補給コントローラ(322)による前記患者の経腸栄養補給を一時停止するための命令を出力するためのコードと
を備え、
(ii)前記食道内の決定された消化内容物に応答して、前記患者の前記消化システムから、モニタされる外部コンテナまたはバッグ(328)へと排出チューブと流体連通する胃内チューブを通じた消化内容物の受動的に排出するバックフローのための流体連通チャネルを確立するために前記排出チューブ(312)の内腔を開くように、解放クランプ(460,658)を作動する、排出コントローラ(326)と、
を備え、
前記排出コントローラ(326)が、前記排出チューブ(312)に結合された前記解放クランプ(460,658)を含み、前記解放クランプが、前記栄養補給コントローラ(322)が経腸栄養補給を送達しているときに前記排出チューブの内腔を閉じ、前記食道内の前記検出された消化内容物に応答して、前記消化内容物のバックフローのために前記排出チューブの前記内腔を開き、
前記栄養補給コントローラと電気通信するバルブをさらに備え、前記バルブが、前記栄養補給コントローラが前記患者に経腸栄養補給を送達しているときに前記経腸栄養補給チューブの内腔を開き、前記バルブが、前記経腸栄養補給を一時停止するための前記命令に応答して、前記経腸栄養補給チューブの前記内腔を閉じる、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年12月12日に出願された米国仮特許出願第62/432,770号の米国特許法第119条(e)の下で優先権の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、患者モニタリングシステムに関し、排他的ではなくより詳細には、患者の逆流の自動管理のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
経腸栄養補給(すなわち、胃部の中に挿入されたチューブを介した栄養補給)を必要とする患者は、たとえば、鎮静および/または挿管されていることがある集中治療室(ICU)における乳児、患者、ならびにそうでなければ通常のやり方で食物を飲み込む、または摂取することができない患者を含む。チューブは、鼻、口、または外科的に作成された開口を介して、胃部(または十二指腸、または空腸、または消化管における他の場所)の中に挿入される。
【0004】
経腸的に栄養補給されている患者は、逆流による誤嚥性肺炎のリスクがある。逆流は、不適切な経腸栄養補給から生じることがある。
【0005】
経腸栄養補給に関する決定を行う1つの方法は、胃部内容物を吸い込むためのシリンジを使用することによって、経腸栄養補給セッションの後に患者の胃部における消化内容物の量を手動で測定することを伴う。測定された量は、胃内残量(GRV)と称される。GRVの値は、保健医療の専門家によって、たとえば、十分な食物を受けた患者が送達された食物を摂取する問題を有しているかどうか、および/または患者が誤嚥性肺炎の増加したリスクがあるかどうかを決定するために使用される。たとえば、測定されたGRVが閾値を上回るとき、次回の経腸栄養補給は遅延される。GRVを使用した完全な評価は、4時間間隔のGRV測定で、72時間までかかることがある。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、経腸栄養補給中の逆流を管理するためのシステムが、(i)コンピューティングデバイスの少なくとも1つのハードウェアプロセッサによる実行のためのコードを記憶している非一時的なメモリと、コードは、患者の消化システム内に配置された少なくとも1つの逆流事象センサによって出力された電気信号を受信するためのコードと、電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象を決定するためのコードと、患者の消化システム内に位置付けられた経腸栄養補給チューブを使用して患者の経腸栄養補給を調整する栄養補給コントローラによる患者の経腸栄養補給を一時停止するための命令を出力するためのコードとを備え、(ii)患者の消化システムから外部排出リザーバへと排出チューブを通じて消化内容物のバックフローを導く排出コントローラとを備える。
【0007】
第2の態様によれば、経腸栄養補給をモニタするコンピュータ実装方法が、患者の消化システム内に配置された少なくとも1つの逆流事象センサによって出力された電気信号を受信することと、電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象を決定することと、患者の消化システム内に位置付けられた経腸栄養補給チューブによる患者の経腸栄養補給を一時停止することと、患者の消化システムから外部排出リザーバへと排出チューブを通じて消化内容物のバックフローを導くこととを備える。
【0008】
第3の態様によれば、逆流事象を管理するための経腸栄養補給システムに接続するためのマルチチャネルコネクタが、患者の消化システム内への挿入用に設計された胃チューブと、胃チューブの遠位端部の外部面に配置され、患者の食道内での膨張用に設計された膨張可能なバルーンと、胃チューブに結合する胃ポートと、患者に経腸栄養素を送達する経腸栄養補給チューブに結合する経腸栄養補給ポートと、排出リザーバに結合する排出チューブに結合する排出ポートとを備え、マルチチャネルコネクタは、経腸栄養補給中の経腸栄養補給ポートから胃ポートへの流体連通のための前進流体チャネルと、検出された逆流事象中の胃ポートから排出ポートへの流体連通のための逆進流体チャネルとを確立し、バルーンは、経腸栄養補給中に収縮状態にあり、検出された逆流事象中に膨張状態にある。
【0009】
本明細書で説明されるシステム、および/または方法、および/またはコード命令は、患者の経腸栄養補給の不適切な制御から生じる誤嚥性肺炎を、自動的に防止する、または低減する技術的問題に対処する。(たとえば、集中治療室における)治療の日常的実践は、安全な経腸栄養補給を評価するためのGRVの手動のモニタリングに基づく。GRVと、遅延された胃内が空になることとの重大な関連付け、ならびに対応する結果として生じる、胃内内容物の誤嚥および誤嚥性肺炎をもたらす胃内圧力増大のために、GRVモニタリングプロトコルが治療の標準の中に組み込まれる。
【0010】
しかしながら、経腸栄養補給を制御するための最善の努力にもかかわらず、逆流および/または超過圧力シナリオは、患者の消化システム(たとえば、胃部)において依然として発生することがある。逆流が発生しているとき、経腸栄養補給は依然として経腸栄養補給チューブを使用して患者の胃部に入っているので、胃部内容物は、経腸栄養補給チューブの内腔における経腸食によってブロックされる。したがって、胃部内容物は、経腸栄養補給チューブの外部面と食道の内壁との間の隙間の中に追いやられ、胃部内容物が肺に入り、肺炎を引き起こすリスクを伴う。
【0011】
第1の態様および第2の態様のさらなる実装形態において、方法は、排出コントローラが、胃内逆流事象が決定されたときにコードによって出力された命令に応答して、外部排出リザーバへと排出チューブを通じて消化内容物のバックフローを導くようにトリガされることをさらに備える。
【0012】
第1の態様および第2の態様のさらなる実装形態において、方法は、排出コントローラが、排出チューブに結合された解放クランプを含むことをさらに備え、解放クランプは、栄養補給コントローラが経腸栄養補給を送達しているときに排出チューブの内腔を閉じ、胃内逆流事象が決定されたときにコードによって出力された命令に応答して、消化内容物のバックフローのために排出チューブの内腔を開く。
【0013】
第1の態様のさらなる実装形態において、少なくとも1つの逆流事象センサは、感知された圧力を示す電気信号を出力する圧力センサを備える。
【0014】
第1の態様のさらなる実装形態において、少なくとも1つの逆流事象センサは、感知されたインピーダンスを示す電気信号を出力するインピーダンスセンサを備える。
【0015】
第1の態様のさらなる実装形態において、少なくとも1つの逆流事象センサは、感知されたpHを示す電気信号を出力するpHセンサを備える。
【0016】
第1の態様のさらなる実装形態において、排出チューブは、経腸栄養補給チューブと流体連通しており、排出コントローラは、バックフローする消化内容物が経腸栄養補給チューブの中に導かれるように、経腸栄養補給チューブのまわりに実質的な封止を形成するために膨張されるバルーンを備え、バルーンは、胃内逆流事象が決定されたときにコードによって出力された命令に応答して膨張される。
【0017】
第1の態様のさらなる実装形態において、システムは、栄養補給コントローラによって制御される経腸栄養補給チューブに結合する経腸栄養補給ポートと、排出リザーバに結合する排出チューブに結合する排出ポートと、患者の消化システム内に位置付けられた胃チューブに結合する胃ポートとを含む複数のポートの間で流体連通を確立するマルチチャネルコネクタをさらに備え、マルチチャネルコネクタは、経腸栄養補給中の経腸栄養補給ポートから胃ポートへの流体連通のための前進流体チャネルと、検出された逆流事象中の胃ポートから排出ポートへの流体連通のための逆進流体チャネルとを確立する。
【0018】
第1の態様のさらなる実装形態において、少なくとも1つの逆流事象センサは、患者の消化システム内に位置付けられたチューブの遠位端部に配置され、マルチチャネルコネクタは、少なくとも1つの逆流事象センサによって出力された信号を受信し、コンピューティングデバイスへと信号を送信する電気ポートをさらに備える。
【0019】
第1の態様のさらなる実装形態において、システムは、栄養補給コントローラと電気通信するバルブをさらに備え、バルブは、栄養補給コントローラが患者に経腸栄養補給を送達しているときに経腸栄養補給チューブの内腔を開き、バルブは、経腸栄養補給を一時停止するための命令に応答して、経腸栄養補給チューブの内腔を閉じる。
【0020】
第1の態様のさらなる実装形態において、外部排出リザーバは、量較正コンテナを備える。
【0021】
第1の態様および第2の態様のさらなる実装形態において、方法は、電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象の終結を決定することと、栄養補給コントローラによる患者の経腸栄養補給を再スタートするための命令を出力することとをさらに備え、および/または、システムは、電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象の終結を決定するためのコードと、栄養補給コントローラによる患者の経腸栄養補給を再スタートするための命令を出力するためのコードとをさらに備える。
【0022】
第1の態様および第2の態様のさらなる実装形態において、方法は、排出チューブに結合された解放クランプを閉じるための命令を生成することをさらに備え、および/または、システムは、排出チューブに結合された解放クランプを閉じるための命令を生成するためのコードをさらに備える。
【0023】
第1の態様および第2の態様のさらなる実装形態において、方法は、胃内逆流事象が決定されたときに生成される命令に応答して、バルーンを膨張させることをさらに備え、および/または、システムは、胃内逆流事象が決定されたときに生成される命令に応答して、バルーンを膨張させることをさらに備え、消化内容物のバックフローを導くことが、膨張されたバルーンによって経腸栄養補給チューブの中へと実施されるように、膨張されたバルーンは経腸栄養補給チューブのまわりに実質的な封止を形成する。
【0024】
第1の態様および第2の態様のさらなる実装形態において、一時停止することは、経腸栄養補給チューブの内腔を閉じる第1のバルブによって実施され、導くことは、排出チューブの内腔を開く第2のバルブによって実施される。
【0025】
第1の態様および第2の態様のさらなる実装形態において、第1のバルブおよび第2のバルブは、実質的に同時に作動される。
【0026】
第1の態様および第2の態様のさらなる実装形態において、システムは、電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象の終結を決定するためのコードと、栄養補給コントローラによる患者の経腸栄養補給を再スタートするためのコードとをさらに備え、および/または、方法は、電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象の終結を決定することと、栄養補給コントローラによる患者の経腸栄養補給を再スタートすることとをさらに備える。
【0027】
第1の態様、第2の態様、および第3の態様のさらなる実装形態において、マルチチャネルコネクタはY字の形状にされ、Y字の第1のアーム部は経腸栄養補給ポートを含み、Y字の第2のアーム部は排出ポートを含み、Y字の脚部は胃ポートを含み、マルチチャネルコネクタの内部空洞は、前進流体チャネルと逆進流体チャネルとを確立するために、経腸栄養補給ポートと、排出ポートと、胃ポートとの間に流体連通を提供する。
【0028】
第1の態様、第2の態様、および第3の態様のさらなる実装形態において、第1のアーム部と第2のアーム部との間の角度は、第1のアーム部と脚部との間の角度よりも小さく、第2のアーム部と脚部との間の角度よりも小さい。
【0029】
第1の態様、第2の態様、および第3の態様のさらなる実装形態において、第1のアーム部と第2のアーム部との間の角度は、15~45度である。
【0030】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および/または科学的な用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味合いを有する。本明細書で説明されるものと同様または等価の方法および材料は、本発明の実施形態の実践または試験において使用され得るものの、例示的な方法および/または材料が、以下で説明される。矛盾がある場合、定義を含む本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、および例は、例証のみであり、必ずしも限定するように意図されない。
【0031】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実装は、選択されたタスクを、手動で、自動で、またはそれらの組合せで実施する、または完了することを伴うことができる。その上、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の機器および装置に従って、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、もしくはファームウェアによって、またはオペレーティングシステムを使用するそれらの組合せによって実装されてよい。
【0032】
たとえば、本発明の実施形態に従って選択されたタスクを実施するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装されてもよい。ソフトウェアとして、本発明の実施形態に従って選択されたタスクが、任意の好適なオペレーティングシステムを使用するコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装されてもよい。本発明の例示的な実施形態において、本明細書で説明される方法および/またはシステムの例示的な実施形態に従った1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実施される。オプションで、データプロセッサは、命令および/もしくはデータを記憶するための揮発性メモリ、ならびに/または、命令および/もしくはデータを記憶するための不揮発性ストレージ、たとえば、磁気ハードディスクおよび/もしくはリムーバブルメディアを含む。オプションで、ネットワーク接続もまた提供される。ディスプレイ、および/またはキーボードもしくはマウスなどのユーザ入力デバイスもまた、オプションで提供される。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態が、例のみとして、付属する図面を参照して、本明細書で説明される。次に図面の詳細を具体的に参照すると、示される事項は例によるものであり、本発明の実施形態の例証的な議論の目的のためであることが強調される。この点について、図面と共に行われる説明は、本発明の実施形態がどのように実践され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明のいくつかの実施形態によって対処される技術的問題をより良く理解する目的のために、異なるGRVプロトコルを要約する図。
図2】本発明のいくつかの実施形態に従って、逆流事象を検出し、バックフローする消化内容物を排出リザーバの中へと自動的に方向転換するコンピュータ実装方法の流れ図。
図3】本発明のいくつかの実施形態に従って、逆流事象を検出し、バックフローする消化内容物を排出チューブの中へと自動的に方向転換するためのシステムのコンポーネントの概略図。
図4】本発明のいくつかの実施形態に従って、逆流事象を検出し、バックフローする消化内容物を排出リザーバへと方向転換するためのシステムの例示的な実装の概略図。
図5】本発明のいくつかの実施形態に従った、図2を参照して説明される方法、および/または図3を参照して説明されるシステムに基づいた特徴の作動を表すタイミング図。
図6】本発明のいくつかの実施形態に従って、患者の胃部における逆流事象を検出するための、およびバックフローする胃部内容物を排出リザーバの中へと導くためのシステムのコンポーネントの実装の環境コンテキストを表す概略図。
図7】本発明のいくつかの実施形態に従って、検出された逆流事象に応答して実施される措置を表す管理図。
図8】本発明のいくつかの実施形態に従った、マルチチャネルコネクタの例示的な実装の正面概略図および背面概略図。
図9】本発明のいくつかの実施形態に従って、経腸食を送達するための前進流体チャネルと、逆流事象中にバックフローする胃内内容物を排出するための逆進流体チャネルとを確立するマルチチャネルコネクタの例示的な実装を表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、患者モニタリングシステムに関し、排他的ではなくより詳細には、患者の逆流の自動管理のためのシステムおよび方法に関する。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、経腸栄養補給チューブを使用して経腸的に栄養補給されている患者の消化システム内に置かれた1つまたは複数のセンサによって出力された電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象を検出することによって経腸栄養補給をモニタするための、システム、および/または方法、および/またはデータストレージデバイスに記憶されてプロセッサによって実行可能なコードに関する。胃内逆流事象とは、食道の中へと胃部を退出するプロセスにある、たとえば、流体、胃酸、および投与された経腸栄養補給である消化内容物を意味する。胃内逆流事象は、消化内容物が胃部を出て食道に入る前に、および/または、消化内容物が胃部を出ていて食道に入っているプロセスの間に検出される。経腸栄養補給チューブを使用する患者の経腸栄養補給は、自動的に一時停止される。消化システム(たとえば、胃部)から食道の中へとバックフローしている消化内容物は、バックフローする消化システム内容物を回収する排出リザーバにつながる排出チューブの中へと導かれる。導くことは、検出された逆流事象に応答して患者の食道内で膨張されるバルーンによって実施されてよく、消化内容物が食道に入るのを阻止する。患者の消化システムの中へのさらなる経腸栄養補給を一時停止すること、およびバックフローする消化システム内容物を食道の中ではなく排出チューブの中へと導くことが、誤嚥性肺炎を防止する、または低減する。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、経腸栄養補給チューブと、排出チューブと、患者の胃内システム(たとえば、胃部)内に位置付けられた胃チューブとに接続するように設計された(および/または、たとえば、射出成形によって形成され、既に接続された)ポートを含むマルチチャネルコネクタに関する。マルチチャネルコネクタは、経腸栄養補給中に経腸栄養補給ポートから胃内ポートへの方向における経腸食の流体フローのための前進チャネルを確立する内部空洞を含む。逆進流体チャネルは、検出された逆流事象に応答して、胃内ポートから排出ポートへの方向においてバックフローする胃内内容物の流体フローのために確立される。
【0038】
マルチチャネルコネクタは、胃チューブに(たとえば、一時的および可逆的に、または一体化製造プロセスとして永久的に形成されて)接続される。胃チューブは、その遠位端部の外面に位置付けられた膨張可能なバルーンを含む。バルーンは、バックフローする胃内内容物が食道に入るのを阻止する、または低減するために、検出された逆流事象に応答して、食道の内壁に対して膨張される。バルーンは、経腸栄養補給中、収縮されている。通常の経腸栄養補給中に形成されるガスは、バルーンが膨張されたときには閉じられている隙間を通じて、食道から逃れる。
【0039】
本明細書で説明されるシステム、および/または方法、および/またはコード命令は、患者の経腸栄養補給の不適切な制御から生じる誤嚥性肺炎を、自動的に防止する、または低減する技術的問題に対処する。(たとえば、集中治療室における)治療の日常的実践は、安全な経腸栄養補給を評価するためのGRVの手動のモニタリングに基づく。GRVと、遅延された胃内が空になることとの重大な関連付け、ならびに対応する結果として生じる、胃内内容物の誤嚥および誤嚥性肺炎をもたらす胃内圧力増大のために、GRVモニタリングプロトコルが治療の標準の中に組み込まれる。
【0040】
しかしながら、経腸栄養補給を制御するための最善の努力にもかかわらず、逆流および/または超過圧力シナリオは、患者の消化システム(たとえば、胃部)において依然として発生することがある。逆流が発生しているとき、経腸栄養補給は依然として経腸栄養補給チューブを使用して患者の胃部に入っているので、胃部内容物は、経腸栄養補給チューブの内腔における経腸食によってブロックされる。したがって、胃部内容物は、経腸栄養補給チューブの外部面と食道の内壁との間の隙間の中に追いやられ、胃部内容物が肺に入り、肺炎を引き起こすリスクを伴う。
【0041】
次に、本発明のいくつかの実施形態によって対処される技術的問題をより良く理解する目的のために、異なるGRVプロトコルを要約する図である図1への参照が行われる。単一の標準プロトコルは存在しないので、それぞれの治療奉仕者が異なって措置をしてもよい。たとえば、おおよそ4時間ごとに、治療奉仕者は、経腸栄養補給を止め、経腸栄養補給チューブから栄養補給バッグを外し、吸引ポートを栄養補給チューブに接続し、胃部内容物の吸引を実施する。経腸的に栄養補給される患者におけるGRVを検査する実践は、GRVが検査される現在の時間に患者が実際にGRVの検査を必要とするかどうかの知識なしに手動で実施され、それが、栄養補給材料および/または治療奉仕者の時間の無駄につながる。
【0042】
その上、過度の栄養補給および/または胃内が空になることの問題および/または過剰な胃部圧力による逆流事象は、自然発生的であるために、(たとえば、GRVを使用する)残りの消化内容物の手動診察は、非効果的であり、特に手動方法を使用して必ずしも予測され得ない。たとえば、逆流事象が発生した1分後にGRVテストを実施することは、GRVテストを非効果的にする。治療奉仕者は、逆流事象が発生したことに気付かないことがあり、したがって、逆流は、治療奉仕者の知識なしに吸い込まれることがある。
【0043】
本明細書で説明されるシステムおよび/または方法は、経腸栄養補給を自動的に一時停止し、排出チューブを通じて外部排出リザーバの中へと胃内内容物を方向転換することによって、説明された技術的問題に対処する。
【0044】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に解説する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載される、および/または図面および/もしくは例に例証される、コンポーネントの構造および構成、ならびに/または方法の詳細に、必ずしも限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能である、またはさまざまなやり方で実践される、もしくは遂行されることが可能である。
【0045】
本明細書で使用されるとき、用語、消化内容物の逆流と、消化内容物のバックフローとは交換可能であり、その両方が、たとえば、胃不全麻痺、過度の栄養補給、および胃部における空間占有物体(たとえば、経腸栄養補給チューブそれ自体)、または他の原因によることがある、胃内が空になることの問題を指す。
【0046】
次に、本発明のいくつかの実施形態に従って、逆流事象を検出するために経腸栄養補給をモニタし、バックフローする消化内容物を排出リザーバの中へと排出チューブを使用して自動的に方向転換する、コンピュータ実装方法の流れ図である図2への参照が行われる。また、本発明のいくつかの実施形態に従って、経腸栄養補給をモニタすることによって逆流事象を検出し、バックフローする消化内容物を排出リザーバの中へと排出チューブを使用して自動的に方向転換するためのシステム300のコンポーネントの概略図である図3への参照も行われる。図2を参照して説明される方法および図3を参照して説明されるシステム300は、経腸的に栄養補給される患者の誤嚥性肺炎のリスクを自動的に防止する、または低減するために設計される。図2を参照して説明される方法の1つまたは複数の措置は、本明細書で説明されるように、システム300のコンポーネントによって、たとえば、プログラムストア(たとえば、メモリ)306に記憶されたコード命令を実行するコンピューティングデバイス304のプロセッサ302によって実装されてよい。
【0047】
コンピューティングデバイス304は、患者の消化システム内、たとえば、十二指腸、胃部、食道、および/または消化システムの他の部位内に置かれた1つまたは複数の逆流事象センサ308によって出力された電気信号を受信する。逆流事象センサ308は、たとえば、患者の消化システムに経腸栄養を送達している経腸栄養補給チューブ310上に、および/もしくは経腸栄養補給チューブ310内に置かれても、逆流する胃内内容物を(本明細書で説明されるように)除去する排出チューブ312上に、および/もしくは排出チューブ内312内に置かれても、経腸栄養補給を送達し、逆流する胃内内容物を除去するオプションの胃内チューブ314上に、および/もしくは胃内チューブ314内に置かれても、ならびに/または、別個のプローブ上に、および/もしくは別個のプローブ内に置かれてもよい。
【0048】
例示的な逆流センサ308は、胃部および/または食道内で感知された圧力を示す電気信号を出力する圧力センサ、胃部および/または食道内で感知されたインピーダンスを示す電気信号を出力するインピーダンスセンサ、ならびに、胃部および/または食道で感知されたpHを示す電気信号を出力するpHセンサのうちの1つまたは複数を含む。
【0049】
コンピューティングデバイス304は、1つまたは複数のセンサデータインターフェース316、たとえば、ネットワークインターフェース、ワイヤ接続、ワイヤレス接続、他の周辺インターフェース実装、および/または仮想インターフェース(たとえば、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、ソフトウェア開発キット(SDK))を介して、逆流事象センサ308の出力を受信する。
【0050】
コンピューティングデバイス304は、たとえば、スタンドアロンユニット、クライアント端末、サーバ、コンピューティングクラウド、モバイルデバイス、デスクトップコンピュータ、シンクライアント、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、メガネコンピュータ、およびウォッチコンピュータとして実装されてよい。コンピューティングデバイス304は、図2を参照して説明される措置のうちの1つまたは複数を実施する、ローカルに記憶されたソフトウェアおよび/またはハードウェアを含むことができる。
【0051】
コンピューティングデバイス304のプロセッサ302は、たとえば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および特定用途向け集積回路(ASIC)として実装されてよい。プロセッサ302は、クラスタとして、および/または1つもしくは複数のマルチコア処理ユニットとして、並列処理のために構成され得る(同種のまたは異種の)1つもしくは複数のプロセッサを含むことができる。
【0052】
たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、および/または、ストレージデバイス、たとえば、不揮発性メモリ、磁気媒体、半導体メモリデバイス、ハードドライブ、リムーバブルストレージ、ならびに光学媒体(たとえば、DVD、CD-ROM)であるストレージデバイス(本明細書では、プログラムストア、たとえば、メモリとしても知られる)306は、プロセッサ302によって実装可能なコード命令を記憶する。ストレージデバイス306は、図2を参照して説明される方法の1つまたは複数の措置を実行するコード命令を記憶する。代替として、または加えて、図2を参照して説明される方法の1つまたは複数の措置は、ハードウェアで実装される。
【0053】
コンピューティングデバイス304は、データを記憶するためのデータリポジトリ318、たとえば、検出された逆流事象のデータ、たとえば、検出された事象の時間のログ、および検出されたエラーが存在するかどうかを記憶する逆流事象データベースを含むことができる。データリポジトリ318は、たとえば、メモリ、ローカルハードドライブ、リムーバブルストレージユニット、光学ディスク、ストレージデバイスとして、ならびに/または、(たとえば、ネットワーク接続を介してアクセスされる)リモートサーバおよび/もしくはコンピューティングクラウドとして実装されてよい。
【0054】
コンピューティングデバイス304は、ユーザインターフェース320を含む、および/またはユーザインターフェース320と通信しており、ユーザインターフェース320は、ユーザが、データ(たとえば、患者情報、経腸栄養補給率)を投入するための、および/または提示されたデータ(たとえば、逆流事象がトリガされたかどうか、逆流事象のログ、エラー)を見るための機構を含む。例示的なユーザインターフェース320は、たとえば、タッチスクリーン、ディスプレイ、キーボード、マウス、ならびにスピーカおよびマイクロフォンを使用する音声起動ソフトウェアのうちの1つまたは複数を含む。コンピューティングデバイス304と通信する外部デバイスがユーザインターフェース320として使用されてもよく、たとえば、アプリケーションを動作させるスマートフォンが、通信インターフェース(たとえば、ネットワークインターフェース、セルラーインターフェース、近距離ワイヤレスネットワークインターフェース)を使用して、コンピューティングデバイス304との通信(たとえば、セルラー、ネットワーク、近距離ワイヤレス)を確立することができる。
【0055】
コンピューティングデバイス304は、デバイスインターフェース324を含み、デバイスインターフェース324は、経腸栄養補給チューブ310を介して患者の経腸栄養補給を制御する栄養補給コントローラ322との電気通信を提供する。デバイスインターフェース324は、たとえば、ネットワークインターフェースカード、ハードウェアインターフェースカード、ワイヤレスインターフェース、ケーブルに接続するための物理インターフェース、ソフトウェアにおいて実装される仮想インターフェース、接続性の上位レイヤを提供する通信ソフトウェア、および/または他の実装として実装されてよい。栄養補給コントローラ322は、機械式ベースの機構を使用して、および/またはコンピュータコンポーネント(たとえば、プロセッサ、プロセッサによって実行可能なメモリ記憶コード命令、および/もしくはハードウェアコンポーネント)を使用して実装されてよい。栄養補給コントローラ322は、プログラムされた栄養補給率で経腸栄養補給チューブ310を介して患者に経腸栄養補給を送達するように、または経腸栄養補給を一時停止するように制御された、ポンプ(たとえば、容積式栄養補給ポンプ)として実装されてもよい。栄養補給コントローラ322は、経腸栄養補給が患者に送達され得るように経腸栄養補給チューブ310の内腔を開く、またはさらなる経腸栄養補給が患者の胃部に入るのを阻止するように検出された逆流事象中に経腸栄養補給チューブ310の内腔を閉じる、バルブを含むことができる。
【0056】
コンピューティングデバイス304は、排出コントローラ326と電気通信しており、排出コントローラ326は、バックフローする胃内内容物を排出リザーバ328の中へと排出チューブ312を介して排出することを制御する。排出コントローラ326は、機械式ベースの機構を使用して、および/またはコンピュータコンポーネント(たとえば、プロセッサ、プロセッサによって実行可能なメモリ記憶コード命令、および/もしくはハードウェアコンポーネント)を使用して実装されてよい。排出コントローラ326は、バックフローする消化内容物が排出チューブ312を介して排出リザーバ328に入るように排出チューブ312の内腔を開くように、または経腸栄養補給中に排出チューブ312の内腔を閉じるように制御された、制御可能なバルブとして実装されてよい。
【0057】
マルチチャネルコネクタ330は、胃チューブ314と、経腸栄養補給チューブ310と、排出チューブ312との間に流体連通を提供する。経腸栄養補給中、経腸食は、マルチチャネルコネクタ330によって提供された接続を通じて、経腸栄養補給チューブ310を通って胃チューブ314の中へと、前進フローによって患者に送達される。逆流事象中、胃チューブ314に関連付けられた方向転換要素350が、マルチチャネルコネクタ330によって提供された接続を通じて、胃チューブ314から出て排出チューブ312の中へと、逆進フローにおいてバックフローする消化内容物を方向転換する。
【0058】
方向転換要素350は、たとえば、接着剤、クランピングを使用して、または一体化製造(たとえば、射出成形)によって、胃チューブ314の外部面に位置付けられる。方向転換要素350は、胃チューブ314の外部面と食道の内部面との間の胃内内容物のバックフローを阻止する、または低減するように設計される。方向転換要素350は、バルーン、スポンジ、および/または胃チューブ314の外部面と食道の内部面との間の胃内内容物のバックフローを阻止する、または低減する他の要素として実装されてよい。方向転換要素350によって食道を上にフローするのをブロックされたバックフローする胃内内容物は、胃チューブ314に入り、マルチチャネルコネクタ330を通じて(経腸栄養補給チューブ310を通る経路がブロックされるために)排出チューブ312の中へと導かれる。方向転換要素350は、たとえば、自動膨張要素を使用する、たとえば、自動注入器機構に結合された食塩水で満たされたシリンジを使用する、膨張可能および収縮可能なバルーンとして実装されてよい。膨張は、逆流事象の検出に応答してトリガされる。収縮は、逆流事象の終結の検出に応答してトリガされてよい。たとえば、コンピューティングデバイス304は、自動注入器機構による自動膨張および/または収縮をトリガするためのコード命令および/または信号を生成する。収縮されたバルーンおよび/またはスポンジにおける穴は、消化システム内の過剰なガスが食道を通って上に逃れるための経路を提供する。過剰なガスが胃チューブ314を通って導き戻されるのではなく、食道を通じて逃れることができるように、逆流事象が検出されないとき、バルーンは経腸栄養補給中に膨張されるべきではないことに留意されたい。
【0059】
事実上、胃チューブ314は、双方向フローを提供するように設計される。経腸栄養補給は、胃チューブ314を通って患者の中へフローする。消化内容物は、逆流事象中、患者から胃チューブ314を通って戻ってフローする。経腸栄養補給チューブ310および排出チューブ312は、たとえば、一方向バルブを含むことによって、一方向フロー用に設計されてよい。逆流事象中、経腸栄養補給チューブ310を通るバックフローの阻止が、バックフローする胃内内容物を排出チューブ312の中へと導く。経腸栄養補給中、排出チューブ312を通るバックフローの阻止が、経腸食を胃チューブ314の中へ、および患者の中へと導く。
【0060】
マルチチャネルコネクタ330は、栄養補給コントローラ322によって制御される経腸栄養補給チューブ310に結合する経腸栄養補給ポートと、排出リザーバ328に結合し、排出コントローラ326によって制御される排出チューブ312に結合する排出ポートと、経腸栄養補給が送達される患者の消化システム内に位置付けられた胃チューブ314に結合する胃ポートとを含む。
【0061】
ポートは、たとえば、スクリューおよびねじ機構を使用して、標準のチューブコンポーネントへの接続用に設計されてよい。
【0062】
マルチチャネルコネクタ330は、電気ポートを含むことができ、電気ポートは、逆流事象センサ308によって出力された信号を受信し、センサデータインターフェース316を介して信号をコンピューティングデバイス304に送信する。逆流事象センサ308は、たとえば、逆流事象センサ308が患者の消化システム内に位置付けられた胃チューブ314の遠位端部に置かれるときに、マルチチャネルコネクタ330の電気ポートに接続することができる。
【0063】
マルチチャネルコネクタ330は、使い捨て可能であるように設計され得る別個のコンポーネントとして製造されてもよい。マルチチャネルコネクタ330は、胃チューブ314と一体化されても(たとえば、射出成形によって単一のコンポーネントとして製造される)、および/または方向転換要素350(たとえば、バルーン)と一体化されてもよい。標準の経腸栄養補給チューブおよび/または排出チューブ312として使用される他の標準のチューブは、マルチチャネルコネクタ330のポートに接続可能である。代替として、マルチチャネルコネクタ330は、排出チューブ312と一体化され(たとえば、射出成形によって単一のコンポーネントとして製造される)、オプションで、使い捨て可能なバッグとして実装される排出リザーバ328と一体化される。
【0064】
次に、本発明のいくつかの実施形態に従って、経腸食を送達するための前進流体チャネルと、逆流事象中にバックフローする胃内内容物を排出するための逆進流体チャネルとを確立するマルチチャネルコネクタ930(図3のマルチチャネルコネクタ330に対応する)の例示的な実装を表す概略図である図9への参照が行われる。マルチチャネルコネクタ930は、たとえば、図3を参照して説明されるように、逆流事象を管理するための経腸栄養補給システムへの接続用に設計される。
【0065】
マルチチャネルコネクタ930は、胃区間930Cを含み、胃区間930Cは、患者の胃内システム952(たとえば、胃部)の中への挿入用に設計された胃チューブ914に結合する、および/または胃チューブ914を含む。
【0066】
膨張可能なバルーン954は、胃チューブ914の遠位端部の外部面に(たとえば、接着され、圧着され、胃チューブ914と一体化して製造されて)位置付けられる。バルーン954は、患者の食道956内に位置付けるために設計される。
【0067】
マルチチャネルコネクタ930の経腸栄養補給区間930Aは、たとえば、標準のスクリューおよびねじ機構を使用して、本明細書で説明されるように患者に経腸栄養素を送達する経腸栄養補給チューブに結合する、および/または経腸栄養補給チューブを含む。
【0068】
排出区間930Bは、本明細書で説明されるように排出リザーバに結合する排出チューブに結合する、および/または排出チューブを含む。
【0069】
マルチチャネルコネクタ930の内部空洞962は、経腸栄養補給中、経腸栄養補給区間930Aと胃区間930Cとの間に前進流体チャネル964を確立するために、経腸栄養補給区間930Aと、排出区間930Bと、胃区間930Cとの間に流体連通を提供する。逆進流体チャネル966は、検出された逆流事象中、胃区間930Cと、排出区間930Bとの間の内部空洞962内に確立される。検出された逆流事象中、食道956の内壁に対して膨張されたバルーン954が、バックフローする胃内内容物が食道956を上に移動し、潜在的に肺に届く(これが誤嚥性肺炎を引き起こすことがある)のを阻止する、または低減することに留意されたい。
【0070】
オプションで、マルチチャネルコネクタは、T字の形状にされる。代替として、マルチチャネルコネクタは、Y字の形状にされる。T字および/またはY字の第1のアーム部は、経腸栄養補給区間930Aを含む。T字および/またはY字の第2のアーム部は、排出区間Bを含む。T字および/またはY字の脚部は、胃区間930Cを含む。第1のアーム部930Aと第2のアーム部930Bとの間の角度は、第1のアーム部930Aと脚部930Cとの間の角度にほぼ等しい、またはそれよりも小さくてよく、第2のアーム部930Bと脚部930Cとの間の角度にほぼ等しい、またはそれよりも小さくてよい。第1のアーム部930Aと第2のアーム部930Bとの間の角度についての例示的な値は、ほぼ15度、ほぼ30度、ほぼ45度、ほぼ60度、ほぼ90度、15~45度の間、45~60度の間、60~90度の間、または他の値を含む。第1のアーム部930Aと第2のアーム部930Bとの間の角度の相対的に小さな値は、前進流体チャネルに沿って、および逆進流体チャネルに沿ってフローする流体のための転向角度を低減するために選択されてよい。
【0071】
次に図2に戻って参照すると、202で、コンピューティングデバイス304が、患者の消化システム内、たとえば、胃部(たとえば、十二指腸、幽門洞)および/または食道内に置かれた逆流事象センサ308によって出力された電気信号を受信する。電気信号は、継続的に(たとえば、デジタル信号に変換されるアナログ測定値として)、周期的に(たとえば、あらかじめ定義された時間間隔で実施される測定)、および/または、定義された事象にて(たとえば、センサの測定値がトリガ閾値を上回るとき)受信されてよい。
【0072】
204で、電気信号の解析に基づいて、コンピューティングデバイス304によって胃内逆流事象が検出される。胃内逆流事象とは、食道の中へと胃部を退出するプロセスにある、たとえば、流体、胃酸、および投与された経腸栄養補給である消化内容物を意味する。胃内逆流事象は、消化内容物が胃部を出て食道に入る前に、および/または、消化内容物が胃部を出ていて食道に入っているプロセスの間に検出される。
【0073】
解析は、たとえば、一組の規則に基づいて、マシン学習方法(たとえば、統計分類子)または他の決定ベースの解析方法に基づいて、ターゲットの閾値または範囲に対する、胃内逆流センサによって感知された測定の値の評定によって実施され得る。たとえば、逆流事象を示す消化システムにおける過剰な圧力を検出するために、圧力センサによって測定された圧力値が圧力閾値に対して解析される。別の例において、消化内容物が通常は存在しない場所である消化システムの領域(たとえば、食道)に入る消化内容物を示すインピーダンス値を検出するために、インピーダンスセンサによって測定されたインピーダンス値が解析される。さらに別の例において、消化内容物が通常は存在しない場所である消化システムの領域に入る消化内容物を示すpH値を検出するために、pHセンサによって測定されたpH値が解析される。
【0074】
206で、コンピューティングデバイス304は、経腸栄養補給チューブ310による患者の経腸栄養補給を一時停止するために、栄養補給コントローラ322に命令(たとえば、コード命令)を出力する。栄養補給コントローラ322は、バルブを含む、および/またはバルブとして実装される。バルブは、栄養補給コントローラ322が患者に経腸栄養補給を送達しているときに経腸栄養補給チューブ310の内腔を開き、バルブは、経腸栄養補給を一時停止するための命令に応答して、経腸栄養補給チューブ310の内腔を閉じる。
【0075】
208で、排出コントローラ326が、患者の消化システムから外部排出リザーバ328へと排出チューブ312を通じて消化内容物のバックフローを導く。排出コントローラ326は、検出された逆流事象に応答して、たとえば、排出チューブ312の内腔を開くために、コンピューティングデバイス304によって出力された命令によって制御されてよい。代替として、または加えて、排出コントローラ326は、栄養補給コントローラ322が経腸栄養補給チューブ310の内腔を閉じるときにバックフローする消化内容物が排出チューブ312の中へと自動的に導かれる場合に、栄養補給コントローラ322によって間接的に制御される。
【0076】
排出コントローラ326は、栄養補給コントローラ322が経腸栄養補給を送達しているときに排出チューブ312の内腔を閉じる、解放クランプおよび/もしくはピンチング機構として実装されてもよいし、ならびに/または、解放クランプおよび/もしくはピンチング機構を含む。閉じられた内腔は、所望の経腸食が、患者の胃部の中へとフローする代わりに排出リザーバ328の中へとフローするのを阻止する。
【0077】
解放クランプおよび/またはピンチング機構は、胃内逆流事象がコンピューティングデバイス304によって決定されたとき、コンピューティングデバイス304によって出力された命令に応答して、消化内容物のバックフローが(患者の食道を上にフローする代わりに)排出リザーバ328へとフローすることができるように、排出チューブ312の内腔を開くように作動される。
【0078】
経腸栄養補給チューブ310の内腔を(措置206を参照して説明されたように)閉じるためのバルブ、および排出チューブ312の内腔を開くためのバルブは、実質的に同時に作動されてよく、オプションでコンピューティングデバイス304によって出力された命令に従って作動されてもよい。
【0079】
オプションで、排出コントローラ326は、本明細書で胃チューブ314とも呼ばれる経腸栄養補給チューブ310の遠位端部の外部面に置かれたバルーンとして実装される、および/またはバルーンを制御する。バルーンが食道内で膨張されたとき、膨張されたバルーンは、食道の内壁に対して加圧することによって、胃チューブ314のまわりに実質的な封止を形成する。消化内容物が胃チューブ314の外部面と食道との間の隙間(すなわち、隙間はバルーンが収縮状態にあるときに形成される)を介して食道に入るのではなく、バックフローする消化内容物は、マルチチャネルコネクタ330を介して、胃チューブ314の中へ、および排出チューブ312を通じて排出リザーバ328の中へと導かれる。バルーンは、胃内逆流事象が決定されたとき、コンピューティングデバイス304によって出力された命令に応答して膨張される。
【0080】
バックフローする消化内容物は、患者の身体の外部に置かれた排出リザーバ328、たとえば、コンテナ、バッグ、および吸引管の中へと導かれる。外部排出リザーバは、量較正コンテナとして実装されてよい。患者の身体を退出した消化内容物の量は、たとえば、後続の経腸栄養補給をどのくらい減じるかを決定するために解析され得る。
【0081】
患者の胃部内の圧力増大は、排出チューブ312を介して排出リザーバ328の中へと導かれるバックフローする消化内容物によって解放される。
【0082】
210で、コンピューティングデバイス304は、胃内逆流事象の終結を検出する。胃内逆流事象の終結は、たとえば、圧力、インピーダンス、および/またはpHの値が逆流のない通常の経腸栄養補給を示す値に戻るときに、逆流事象センサによって出力された電気信号の解析に基づいて自動的に検出され得る。代替として、または加えて、胃内逆流事象の終結は、たとえば、ユーザインターフェース320のボタンを押すことによって、ユーザによって手動で示されてもよい。
【0083】
患者の経腸栄養補給は、オプションで、逆流事象の終結の検出に基づいてコンピューティングデバイス304によって出力された命令に応答して、栄養補給コントローラ322によって再スタートされてもよい。栄養補給コントローラは、経腸栄養補給チューブ310の内腔を再び開くようにバルブを作動させることができる。排出コントローラは、コンピューティングデバイス304からの命令の受信に応答して、排出チューブ312の内腔を閉じるように解放クランプを作動させることができる。
【0084】
胃チューブ314の外部面に置かれた膨張されたバルーン350は、オプションで収縮されて、胃チューブ314の遠位部の外側面と食道の内壁との間に隙間を再び作成する。隙間は、経腸栄養補給の通常過程の間、胃内システム(たとえば、胃部)内の過剰なガスが逃れるためのチャネルを提供する。
【0085】
212で、逆流事象について患者を自動的にモニタし、バックフローする胃内内容物を排出リザーバ328の中へと排出チューブ312を介して方向転換するプロセスの一部として、ブロック202~210が繰り返される。経腸栄養補給は、たとえば、排出された胃部内容物の量に応じて、治療奉仕者によって調節されてよい。排出された胃部内容物の量は、量較正排出リザーバを読み取ることによって決定され得る。さらなる逆流事象を回避する、または削減するために、プロキネティック薬剤が患者に投与されることがある。
【0086】
次に、本発明のいくつかの実施形態に従って、逆流事象を検出し、バックフローする消化内容物を排出リザーバ428へと方向転換するためのシステム400の例示的な実装の概略図である図4への参照が行われる。システム400は、図3を参照して説明されたシステム300に基づく、および/または図2を参照して説明された方法の措置を実装することができる。
【0087】
経腸栄養補給コンテナ450(たとえば、バッグ)は、栄養補給コントローラ422の制御下で、経腸栄養補給チューブ410を通じて患者に送達される経腸栄養補給を収容する。栄養補給コントローラ422は、逆流事象センサ(たとえば、圧力センサ、逆流センサ)の出力の解析に基づいて逆流事象を検出するコンピューティングデバイスから命令が受信されたとき、経腸栄養補給のフローをブロックする、ピンチバルブおよび/または栄養補給ポンプを含む。コンピューティングデバイスは、たとえば、包括的な物理ユニットとして、栄養補給コントローラ422と一体化されても、および/または栄養補給コントローラ422に関連付けられて設置されてもよい。
【0088】
経腸栄養補給チューブ410は、経腸栄養補給ポート454を介して、マルチチャネルコネクタ430に接続される。マルチチャネルコネクタ430は、経腸栄養補給チューブ410と、胃ポート456を介して接続される(および本明細書で説明されるように膨張するオプションの膨張可能なバルーン452を含む)胃チューブ414と、排出ポート458を介して接続される排出チューブ412との間に流体連通を提供する。胃チューブ414は、患者の中に(たとえば、胃部の中に)挿入される。排出チューブ412は、排出リザーバ428に接続する。
【0089】
マルチチャネルコネクタ430は、逆流事象センサとユニット422内に置かれたコンピューティングユニットとの間に電気通信を提供する、センサインターフェース416を含む。
【0090】
排出コントローラ426は、本明細書で説明されたように、経腸栄養補給中に排出チューブ412の内腔を閉鎖状態に維持し、逆流事象が検出されたときに排出チューブ412の内腔を開く、ピンチバルブ(解放クランプ)460を制御する。
【0091】
次に、本発明のいくつかの実施形態に従った、図2を参照して説明された方法、および/または図3を参照して説明されたシステム300に基づいた特徴の作動を表すタイミング図である図5への参照が行われる。
【0092】
(たとえば、図2のブロック204を参照して説明されたように)逆流事象の検出を意味する時間550で、以下が発生する。
【0093】
*逆流センサの出力の解析に基づいて計算された、逆流事象の状態554を意味するパラメータが、値を0(逆流事象なしを意味する)から1(検出された逆流事象を意味する)に変化させる。
【0094】
*経腸栄養補給チューブを通る経腸栄養補給のフローをブロックするようにピンチバルブを作動させることによって、患者の経腸栄養補給の状況556が非作動にされる。代替として、または加えて、栄養補給を提供する栄養補給ポンプが一時停止される。
【0095】
*胃チューブに置かれたバルーンの膨張状況558が、収縮から膨張に変化し、胃内内容物の逆流を阻止するために、胃チューブの外部面と食道の内壁との間の隙間を封止するようにバルーンが膨張されたことを意味する。
【0096】
*排出の状況(すなわち、胃内残量(GRV))560が、胃内内容物が排出チューブを介して排出リザーバの中へと排出されていることを意味するように変更される。胃内内容物が排出リザーバの中へとフロースルーすることができるように、排出チューブの内腔を開くためにピンチバルブが非作動にされる。代替として、または加えて、栄養補給を提供する栄養補給ポンプが再開される。
【0097】
(たとえば、図2のブロック210を参照して説明されたように)逆流事象の終結を意味する時間552で、以下が発生する。
【0098】
*逆流事象の状態554を意味するパラメータが、値を1(逆流事象を意味する)から0(逆流事象の終結を意味する)に変化させる。
【0099】
*経腸栄養補給チューブの内腔を開くようにピンチバルブを非作動にすることによって、患者の経腸栄養補給の状況556が再び作動され、経腸栄養補給チューブを通る経腸栄養補給のフローを再開する。
【0100】
*胃チューブに置かれたバルーンの膨張状況558が、膨張から収縮に変化する。
【0101】
*排出の状況(すなわち、胃内残量(GRV))560が、経腸栄養補給が排出チューブを介して排出リザーバの中に排出されているのをブロックされることを意味するように変更される。患者に提供されている経腸栄養補給が排出リザーバの中へとフローすることが阻止されるように、排出チューブの内腔を閉じるためにピンチバルブが作動される。
【0102】
次に、本発明のいくつかの実施形態に従って、患者652の胃部650における逆流事象を検出するための、およびバックフローする胃部内容物を患者652の外部に置かれた排出リザーバ628の中へと導くためのシステム600のコンポーネントの実装の環境コンテキストを表す概略図である図6への参照が行われる。システム600のコンポーネントは、図3のシステム300を参照して説明されたコンポーネントに基づく、および/または、図2を参照して説明された方法の措置を実装することができる。
【0103】
経腸栄養補給チューブ610は、経腸栄養補給チューブ610と、患者652の胃部650に入る胃チューブ614と、患者652の外部に置かれた排出リザーバ628に接続する排出チューブ612との間に流体連通を提供する、マルチチャネルコネクタ630に接続される。
【0104】
マルチチャネルコネクタ630は、患者652の身体の外部に置かれ、患者652に経腸食を送達している経腸栄養補給チューブ610の端に設置される。マルチチャネルコネクタ630の別のポートが、胃チューブ614の一端に接続される。胃チューブ614のもう一方の端は、患者652の消化システム650内に位置付けられる。マルチチャネルコネクタ630の第3のポートは、排出チューブ612の一端に接続される。排出チューブ612のもう一方の端は、たとえば、点滴用スタンドに吊るされた、および/または床に位置された、排出リザーバ628、たとえば、患者の身体の外部に置かれた使い捨て可能なバッグに接続される。
【0105】
経腸栄養補給654は、栄養補給コントローラ622の制御下で、経腸栄養補給チューブ610を通じて患者に送達される。栄養補給コントローラ622は、逆流事象センサ(たとえば、圧力センサ、逆流センサ)の出力の解析に基づいて逆流事象を検出するコンピューティングデバイスから命令が受信されたとき、経腸栄養補給のフローをブロックする、ピンチバルブ656および/または栄養補給ポンプを含む。
【0106】
排出コントローラ626は、本明細書で説明されたように、経腸栄養補給中に排出チューブ612の内腔を閉鎖状態に維持し、逆流事象が検出されたときに排出チューブ612の内腔を開く、ピンチバルブ(解放クランプ)658を制御する。
【0107】
胃チューブ614は、膨張可能および収縮可能なバルーン660を含む。バルーン660は、胃チューブ614の外部面と食道662の内壁との間の隙間を封止するように、検出された逆流事象に応答して膨張され、それにより、バックフローする胃部内容物が隙間を介して肺に入ること、および/または食道662の内層を損傷することを防止する。
【0108】
次に、本発明のいくつかの実施形態に従って、検出された逆流事象に応答して実施される措置を表す管理図である図7への参照が行われる。図7を参照して説明される方法の措置は、図3を参照して説明されたシステム300のコンポーネントによって実施されてよく、および/または図2を参照して説明された方法の措置に基づいていてよい。
【0109】
702で、本明細書で説明されたように、逆流事象が検出される。
【0110】
オプションで、704で、患者の食道内に置かれた胃チューブの遠位端部に置かれたバルーンが膨張される。バルーンは、胃チューブの外部面と食道の内壁との間の隙間を封止し、それにより、胃内内容物が食道の上部へと吐き戻され、肺に入るのを阻止する。
【0111】
706で、2つのピンチバルブが同時に機能される。1つのピンチバルブは、経腸栄養補給チューブの内腔を閉じるように作動される。もう一方のピンチバルブは、排出リザーバに接続された排出チューブの内腔を開くために非作動にされる。
【0112】
708で、栄養補給コントローラが栄養補給ポンプを一時停止するによって、および/または経腸栄養補給チューブの内腔を閉じるようにピンチバルブを作動させることによって、経腸栄養補給が一時停止される。
【0113】
710で、もう一方のピンチバルブが排出チューブの内腔を開くために非作動にされ、バックフローする胃部内容物による排出リザーバへのアクセスを提供する。
【0114】
712で、バックフローする胃部内容物が、排出チューブの開いた内腔を通って排出リザーバ(たとえば、排液バッグ)の中に排出される。バックフローする胃部内容物は、排出リザーバに溜まる。排出された胃部内容物の量が測定されてよい。
【0115】
次に、本発明のいくつかの実施形態に従った、マルチチャネルコネクタ830の例示的な実装の正面概略図850および背面概略図852を含む図8への参照が行われる。
【0116】
マルチチャネルコネクタ830は、経腸栄養補給チューブに接続するように設計された経腸栄養補給ポート854と、患者の消化システムの内側(たとえば、胃部の中)に位置された胃チューブに接続するように設計された胃ポート856と、排出チューブに接続するように設計された排出ポート858とを含む。
【0117】
マルチチャネルコネクタ830の本体860は、経腸栄養補給チューブと、胃チューブと、排出チューブとの間に流体連通を提供する。
【0118】
フック862は、ポール、たとえば、経腸栄養補給バッグおよび/または排出リザーババッグが吊るされるポールに、スクリューを使用して、マルチチャネルコネクタ830を固定するように設計される。
【0119】
本出願から成熟する特許の存続期間中に、多くの関連するセンサおよび経腸栄養補給チューブが開発されることになることが予想され、センサおよび経腸栄養補給チューブという用語の範囲は、そのようなすべての新しい技術を先験的に含むように意図される。
【0120】
本明細書で使用されるとき、用語「ほぼ(about)」は、±10%を指す。
【0121】
用語「備える(comprises、comprising)」、「含む(includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むがそれらに限定はされない」を意味する。
【0122】
用語「~からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される」を意味する。
【0123】
用語「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、追加の成分、ステップ、および/または部品が、特許請求された組成物、方法、または構造が基本的および新規な特性を著しく変えない場合に限り、組成物、方法、または構造が、追加の成分、ステップ、および/または部品を含むことがあることを意味する。
【0124】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段コンテキストが明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。たとえば、用語「ある化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含む複数の化合物を含んでもよい。
【0125】
本出願全体を通して、本発明のさまざまな実施形態は、範囲の形式で提示されることがある。範囲の形式での記述は、単に都合良く簡潔であるためであると理解されるべきであり、本発明の範囲に対する不動の限定と解釈されるべきではない。それに応じて、範囲の記述は、すべての考え得る部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えられるべきである。たとえば、1から6までなどの範囲の記述は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6まで、その他などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、たとえば、1、2、3、4、5および6を具体的に開示していると考えられるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
【0126】
本明細書で数値範囲が示された場合はいつでも、示された範囲内の任意の列挙された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の指示数と第2の指示数との「間の範囲」、および第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲」という語句は、本明細書で交換可能に使用され、第1の指示数および第2の指示数、ならびにその間にあるすべての分数および整数を含むことが意味される。
【0127】
明確さのために別個の実施形態のコンテキストにおいて説明される本発明の一定の特徴はまた、単一の実施形態の組合せで提供されてもよいことが認識される。逆に、簡潔のために単一の実施形態のコンテキストにおいて説明される本発明のさまざまな特徴はまた、別個に、または任意の好適な部分組合せで、または本発明の任意の他の説明される実施形態において好適であるように提供されてもよい。さまざまな実施形態のコンテキストにおいて説明される一定の特徴は、それらの要素がなければその実施形態が機能しないのではない限り、それらの実施形態に不可欠な特徴と考えられるべきではない。
【0128】
本発明がその具体的な実施形態と併せて説明されてきたが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態が当業者に明らかであることは明白である。それに応じて、添付の特許請求の範囲の趣旨および広範な範囲内に入るすべてのそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含することが意図される。
【0129】
本明細書で言及されたすべての刊行物、特許および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が具体的および個別に参照により本明細書に組み込まれるように示されるのと同程度に、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。加えて、本出願におけるいずれの参考文献の引用または識別も、そのような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であると認めるものとは解釈されないこととする。セクション見出しが使用される限りにおいて、それらは、必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 経腸栄養補給中の逆流を管理するためのシステムであって、
(i)コンピューティングデバイスの少なくとも1つのハードウェアプロセッサによる実行のためのコードを記憶している非一時的なメモリと、
前記コードが、
患者の消化システム内に配置された少なくとも1つの逆流事象センサによって出力された電気信号を受信するためのコードと、
前記電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象を決定するためのコードと、
前記患者の前記消化システム内に位置付けられた経腸栄養補給チューブを使用して前記患者の経腸栄養補給を調整する栄養補給コントローラによる前記患者の経腸栄養補給を一時停止するための命令を出力するためのコードと、
を備え、
(ii)前記患者の前記消化システムから外部排出リザーバへと排出チューブを通じて消化内容物のバックフローを導く排出コントローラと、
を備えるシステム。
[2] 前記排出コントローラが、前記胃内逆流事象が決定されたときに前記コードによって出力された命令に応答して、前記外部排出リザーバへと前記排出チューブを通じて消化内容物の前記バックフローを導くようにトリガされる、[1]に記載のシステム。
[3] 前記排出コントローラが、前記排出チューブに結合された解放クランプを含み、前記解放クランプが、前記栄養補給コントローラが経腸栄養補給を送達しているときに前記排出チューブの内腔を閉じ、前記胃内逆流事象が決定されたときに前記コードによって出力された命令に応答して、前記消化内容物のバックフローのために前記排出チューブの前記内腔を開く、[1]または[2]に記載のシステム。
[4] 前記少なくとも1つの逆流事象センサが、感知された圧力を示す電気信号を出力する圧力センサを備える、[1]から[3]のいずれかに記載のシステム。
[5] 前記少なくとも1つの逆流事象センサが、感知されたインピーダンスを示す電気信号を出力するインピーダンスセンサを備える、[1]から[4]のいずれかに記載のシステム。
[6] 前記少なくとも1つの逆流事象センサが、感知されたpHを示す電気信号を出力するpHセンサを備える、[1]から[5]のいずれかに記載のシステム。
[7] 前記排出チューブが前記経腸栄養補給チューブと流体連通しており、前記排出コントローラが、バックフローする消化内容物が前記経腸栄養補給チューブの中に導かれるように、前記経腸栄養補給チューブのまわりに実質的な封止を形成するために膨張されるバルーンを備え、前記バルーンが、前記胃内逆流事象が決定されたときに前記コードによって出力された命令に応答して膨張される、[1]から[6]のいずれかに記載のシステム。
[8] 前記栄養補給コントローラによって制御される前記経腸栄養補給チューブに結合する経腸栄養補給ポートと、
前記排出リザーバに結合する前記排出チューブに結合する排出ポートと、
前記患者の前記消化システム内に位置付けられた胃チューブに結合する胃ポートと
を含む複数のポートの間で流体連通を確立するマルチチャネルコネクタ
をさらに備え、
前記マルチチャネルコネクタが、経腸栄養補給中の前記経腸栄養補給ポートから前記胃ポートへの流体連通のための前進流体チャネルと、検出された逆流事象中の前記胃ポートから前記排出ポートへの流体連通のための逆進流体チャネルとを確立する、
[1]から[7]のいずれかに記載のシステム。
[9] 前記少なくとも1つの逆流事象センサが、前記患者の前記消化システム内に位置付けられた前記チューブの遠位端部に配置され、前記マルチチャネルコネクタが、前記少なくとも1つの逆流事象センサによって出力された前記信号を受信し、前記コンピューティングデバイスへと前記信号を送信する電気ポートをさらに備える、[8]に記載のシステム。
[10] 前記栄養補給コントローラと電気通信するバルブをさらに備え、前記バルブが、前記栄養補給コントローラが前記患者に経腸栄養補給を送達しているときに前記経腸栄養補給チューブの内腔を開き、前記バルブが、前記経腸栄養補給を一時停止するための前記命令に応答して、前記経腸栄養補給チューブの前記内腔を閉じる、[1]から[9]のいずれかに記載のシステム。
[11] 前記外部排出リザーバが、量較正コンテナを備える、[1]から[10]のいずれかに記載のシステム。
[12] 前記電気信号の前記解析に基づいて、前記胃内逆流事象の終結を決定するためのコードと、
前記栄養補給コントローラによる前記患者の経腸栄養補給を再スタートするための命令を出力するためのコードと
をさらに備える[1]から[11]のいずれかに記載のシステム。
[13] 前記排出チューブに結合された解放クランプを閉じるための命令を生成するためのコード
をさらに備える[12]に記載のシステム。
[14] 経腸栄養補給をモニタするコンピュータ実装方法であって、
患者の消化システム内に配置された少なくとも1つの逆流事象センサによって出力された電気信号を受信することと、
前記電気信号の解析に基づいて、胃内逆流事象を決定することと、
前記患者の前記消化システム内に位置付けられた経腸栄養補給チューブによる前記患者の経腸栄養補給を一時停止することと、
前記患者の前記消化システムから外部排出リザーバへと排出チューブを通じて消化内容物のバックフローを導くことと
を備えるコンピュータ実装方法。
[15] 前記胃内逆流事象が決定されたときに生成される命令に応答して、バルーンを膨張させることをさらに備え、消化内容物のバックフローを前記導くことが、膨張されたバルーンによって前記経腸栄養補給チューブの中へと実施されるように、前記膨張されたバルーンが前記経腸栄養補給チューブのまわりに実質的な封止を形成する、[14]に記載のコンピュータ実装方法。
[16] 前記一時停止することが、前記経腸栄養補給チューブの内腔を閉じる第1のバルブによって実施され、前記導くことが、前記排出チューブの内腔を開く第2のバルブによって実施される、[14]または[15]に記載のコンピュータ実装方法。
[17] 前記第1のバルブおよび前記第2のバルブが、実質的に同時に作動される、[16]に記載のコンピュータ実装方法。
[18] 前記電気信号の前記解析に基づいて、前記胃内逆流事象の終結を決定することと、
栄養補給コントローラによる前記患者の経腸栄養補給を再スタートすることと
をさらに備える[14]から[17]のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
[19] 逆流事象を管理するための経腸栄養補給システムに接続するためのマルチチャネルコネクタであって、
患者の消化システム内への挿入用に設計された胃チューブと、
前記胃チューブの遠位端部の外部面に配置され、前記患者の食道内での膨張用に設計された膨張可能なバルーンと、
前記胃チューブに結合する胃ポートと、
前記患者に経腸栄養素を送達する経腸栄養補給チューブに結合する経腸栄養補給ポートと、
排出リザーバに結合する排出チューブに結合する排出ポートと
を備え、
前記マルチチャネルコネクタが、経腸栄養補給中の前記経腸栄養補給ポートから前記胃ポートへの流体連通のための前進流体チャネルと、検出された逆流事象中の前記胃ポートから前記排出ポートへの流体連通のための逆進流体チャネルとを確立し、前記バルーンが、前記経腸栄養補給中に収縮状態にあり、前記検出された逆流事象中に膨張状態にある、
マルチチャネルコネクタ。
[20] 前記マルチチャネルコネクタがY字の形状にされ、前記Y字の第1のアーム部が前記経腸栄養補給ポートを含み、前記Y字の第2のアーム部が前記排出ポートを含み、前記Y字の脚部が前記胃ポートを含み、前記マルチチャネルコネクタの内部空洞が、前記前進流体チャネルと前記逆進流体チャネルとを確立するために、前記経腸栄養補給ポートと、前記排出ポートと、前記胃ポートとの間に流体連通を提供する、[19]に記載のマルチチャネルコネクタ。
[21] 前記第1のアーム部と前記第2のアーム部との間の角度が、前記第1のアーム部と前記脚部との間の角度よりも小さく、前記第2のアーム部と前記脚部との間の角度よりも小さい、[20]に記載のマルチチャネルコネクタ。
[22] 前記第1のアーム部と前記第2のアーム部との間の角度が、15~45度である、[20]に記載のマルチチャネルコネクタ。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9