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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20220510BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20220510BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220510BHJP
   B41J 17/24 20060101ALI20220510BHJP
   B41J 35/28 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B41J29/13
B41J2/325 A
B41J3/36 T
B41J17/24
B41J35/28
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019558808
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2018035519
(87)【国際公開番号】W WO2019230011
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2018106519
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲梶▼川 雅明
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-230157(JP,A)
【文献】特開2009-286000(JP,A)
【文献】特開2004-142113(JP,A)
【文献】特開2014-046606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0145941(US,A1)
【文献】特開2009-286002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/13
B41J 3/36
B41J 2/325
B41J 35/28
B41J 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンを用いて印字媒体に印字するプリンタであって、
前記印字媒体に印字を行うための印字ユニットと、
前記インクリボンを保持するリボン軸と、
前記リボン軸に駆動力を伝達するギアどうしが噛み合う閉止位置と、前記ギアどうしの噛み合いが解除される開放位置との間で揺動自在に設けられる仕切部材と、
前記仕切部材が前記閉止位置にあるときに、前記仕切部材を前記印字ユニットに対して保持するロック機構と、
を備えたプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記印字ユニットが収まる筐体をさらに備え、
前記筐体には、前記ギアに駆動力を伝達するモータが設けられる、プリンタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリンタであって、
発光部と受光部とを有し、搬送方向における前記印字媒体の位置を検出するセンサを備え、
前記発光部と前記受光部との少なくとも一方が前記仕切部材に設けられる、プリンタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記仕切部材は、前記印字媒体を摺接させる案内面を有する、プリンタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記プリンタの筐体を開閉するカバーをさらに備え、
前記仕切部材が前記閉止位置にあるときに、前記印字ユニットは前記カバー内に収まり、
前記仕切部材が前記開放位置に切り替えられると、前記印字ユニットは前記カバーから露出する、プリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタであって、
前記仕切部材が前記閉止位置にあるときに、前記印字ユニットを前記カバーに対して保持するユニットロック機構をさらに備える、プリンタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記ロック機構は、
前記印字ユニットと前記仕切部材とのうち一方に設けられる被係合部と、
前記印字ユニットと前記仕切部材とのうち他方に設けられ、前記仕切部材が前記開放位置から前記閉止位置へと揺動するのに伴ってスプリングの付勢力によって前記被係合部に係合する係合部と、を備え、
前記仕切部材を前記閉止位置から前記開放位置へと揺動させる操作力によって前記係合部が前記スプリングの付勢力に抗して前記被係合部との係合を解除する、プリンタ。
【請求項8】
請求項7に記載のプリンタであって、
前記ロック機構は、
前記印字ユニットまたは前記仕切部材に対して揺動自在に支持されるフックを備え、
前記フックは、前記係合部を有し、前記スプリングの付勢力によって前記係合部を前記被係合部に係合させる方向に揺動する、プリンタ。
【請求項9】
請求項8に記載のプリンタであって、
前記フックは、前記プリンタの筐体に対して当該フックが揺動することを規制する規制部を有する、プリンタ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記仕切部材は、一端側を支点として前記印字ユニットに支持され、
前記ロック機構は、前記仕切部材の他端側を前記印字ユニットに対して位置決めする、プリンタ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一つに記載のプリンタであって、
前記仕切部材は、一端側を支点として前記印字ユニットに支持され、
前記ロック機構は、前記支点の軸方向について前記仕切部材の両端部に配置される、プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
JP2009-179010Aには、インクリボンを熱してインクリボンのインクを印字媒体に転写して印字する熱転写方式のプリンタが開示されている。
【0003】
上記プリンタでは、インクリボンを交換する際に、新たなインクリボンが巻回されたスプール軸を取り替えるように構成されている。
【発明の概要】
【0004】
JP2009-179010Aに開示のプリンタでは、インクリボンの搬送が安定して行われるようにすることが難しい。
【0005】
本発明は、インクリボンの搬送が安定して行われるプリンタの提供を目的とする。
【0006】
本発明のある態様によれば、インクリボンを用いて印字媒体に印字するプリンタであって、前記印字媒体に印字を行うための印字ユニットと、前記インクリボンを保持するリボン軸と、前記リボン軸に駆動力を伝達するギアどうしが噛み合う閉止位置と、前記ギアどうしの噛み合いが解除される開放位置との間で揺動自在に設けられる仕切部材と、前記仕切部材が前記閉止位置にあるときに、前記仕切部材を前記印字ユニットに対して保持するロック機構と、を備えたプリンタが提供される。
【0007】
本発明によれば、プリンタの作動時には、仕切部材がロック機構によって閉止位置に保持される。これにより、リボン軸を駆動するギアの噛み合い状態が保たれ、インクリボンの搬送が安定して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。
図3図3は、カバー11を開放した状態を示す図である。
図4図4は、仕切部材25を開放した状態を示す図である。
図5図5は、仕切部材25及びロック機構40を示す斜視図である。
図6A図6Aは、ロック機構40の動作を示す斜視図である。
図6B図6Bは、ロック機構40の動作を示す斜視図である。
図6C図6Cは、ロック機構40の動作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係るプリンタ100について説明する。
【0010】
プリンタ100は、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体Mに転写することで印字を行う熱転写方式のプリンタである。印字媒体Mは、例えば、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体である。
【0011】
プリンタ100は、図1図2に示すように、筐体10と、筐体10の開口部を覆うカバー11と、を備える。
【0012】
印字媒体Mは、図2に示すように、ロール状に巻き回された状態で媒体供給軸12に保持される。なお、印字媒体Mとして、台紙なしラベルやファンフォールド型媒体を使用することもできる。
【0013】
カバー11は、筐体10に設けられた支持軸13により一端側の端部が揺動自在に支持される。カバー11は、支持軸13を支点として揺動することで、筐体10の開口部を閉止する閉止位置(図2参照)と、筐体10の開口部を開放する開放位置(図3図4参照)と、に切り替えられる。
【0014】
筐体10には、カバー11を閉止状態に維持するカバーロック機構(図示せず)が設けられる。カバーロック機構は、図1に示すレバー14を操作することで解除される。
【0015】
カバー11の他端側の端部と筐体10との間には、図2に示す印字部15で印字された印字媒体Mがプリンタ100から排出される排出口16が形成される。
【0016】
カバー11には、排出口16に臨むカッタ17が取り付けられる。カッタ17は、排出口16から排出された印字済の印字媒体Mを切断する。なお、カバー11には、カッタ17に代えて他の様々なユニットを取り付けることができる。
【0017】
また、カバー11には、プリンタ100を操作するための操作ユニット19が設けられる。操作ユニット19は、各種操作ボタン、ディスプレイ、近距離無線通信モジュール、LED等を有する。ディスプレイは、タッチパネルであってもよい。
【0018】
プリンタ100の内部には、図2に示すように、印字媒体Mに印字を行うための印字ユニット30が収容される。
【0019】
印字ユニット30は、一端側が支持軸13に揺動自在に支持される本体部31と、本体部31に取り付けられるサーマルヘッド32と、を備える。
【0020】
サーマルヘッド32は、筐体10側に設けられたプラテンローラ20と共に、印字媒体Mに印字を行う印字部15を構成する。
【0021】
また、印字ユニット30は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持するリボン供給軸33と、使用済のインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材25と、リボン供給軸33から印字部15へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸36(図4参照)と、印字部15からリボン巻取軸34へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸37と、を備える。リボン供給軸33は、仕切部材25に着脱可能に取り付けられる。
【0022】
印字媒体Mは、媒体供給軸12から印字部15に供給され、サーマルヘッド32とプラテンローラ20との間にインクリボンRと共に挟持される。
【0023】
印字媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に挟持された状態、すなわち、印字ユニット30が印字位置にある状態でサーマルヘッド32の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。
【0024】
筐体10には、動力源としてのモータ61と、モータ61の駆動力をプラテンローラ20などに伝達するギア列62が設けられる。モータ61の駆動力によってプラテンローラ20を正回転させると、印字媒体M及びインクリボンRが搬送方向下流側へと搬送されて印字媒体Mが排出口16からプリンタ100の外部に排出される。
【0025】
印字ユニット30には、リボン供給軸33及びリボン巻取軸34にモータ61の駆動力を伝達するギア列60が設けられる。印字ユニット30の作動時には、ギア列62のギア(図示せず)とギア列60のギア(図示せず)とが噛み合い、モータ61の動力がリボン供給軸33及びリボン巻取軸34に伝達される。
【0026】
印字ユニット30は、筐体10に対して支持軸13を支点としてカバー11と共に揺動することで、筐体10に収まってサーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に印字媒体Mが挟持される印字位置(図2参照)と、サーマルヘッド32がプラテンローラ20から離間する非印字位置(図3図4参照)と、に切り替えられる。
【0027】
仕切部材25は、揺動軸26によって本体部31に対して揺動自在に支持される。仕切部材25は、本体部31に対して揺動軸26を支点として揺動することで、リボン供給軸33が印字ユニット30内に収容される閉止位置(図3参照)と、リボン供給軸33を着脱可能な開放位置(図4参照)と、に切り替えられる。閉止位置では、ギア列60のギア64とギア65が噛み合い、モータ61の駆動力がリボン供給軸33に伝達される。一方、開放位置では、ギア列60のギア64とギア65との噛み合いが解除される。
【0028】
プリンタ100を印字可能な状態、つまり、図2に示す状態にすると、自動的に仕切部材25が印字媒体Mを案内する状態となる。仕切部材25は、印字媒体Mを摺接させる案内面29を有する。案内面29は、ガイド軸36から印字部15へと搬送されるインクリボンRに摺接することで、インクリボンRの搬送路を規定する。
【0029】
また、プリンタ100は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出する透過センサ22を備える。
【0030】
透過センサ22は、所定の光を出射する発光部としての発光ユニット22aと、発光ユニット22aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部としての受光ユニット22bと、を有するセンサである。
【0031】
例えば、印字媒体Mが、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体である場合は、隣り合う2つのラベルの間には、台紙のみの部分が存在する。ラベルが存在する部分と台紙のみの部分とでは、発光ユニット22aから出射された光の透過量が異なるので、受光ユニット22bが受光する光の強度が変化する。これにより、透過センサ22は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
【0032】
本実施形態では、図2に示すように、発光ユニット22aは、仕切部材25における印字媒体Mの搬送路とは反対側、つまり、仕切部材25の上面側に設けられる。また、仕切部材25には、発光ユニット22aから出射された光を通す貫通孔35が形成されている。一方、受光ユニット22bは、搬送路を挟んで筐体10側に設けられる。なお、これに限らず、発光ユニット22aが筐体10側に設けられ、受光ユニット22bが仕切部材25に設けられる構成としてもよい。また、仕切部材25には、反射センサ(図示せず)が設けられる構成としてもよい。この反射センサは、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光の印字媒体Mからの反射光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部と、を有するセンサである。反射センサは、印字媒体Mに予め印刷されているアイマークを検出することで、印字媒体Mの搬送方向における位置を検出するようになっている。
【0033】
リボン供給軸33の両端部は、仕切部材25に対して2つの支持部28によって回動自在、且つ着脱可能に支持される。
【0034】
揺動軸26には、その中央部から突出する係止部27が設けられる。カバー11には、係止部27が係合する被係止部18が設けられる。係止部27が被係止部18に係合した状態では、印字ユニット30がカバー11に収まる収容位置に保持される。係止部27及び被係止部18によってカバー11に対して印字ユニット30を保持するユニットロック機構38が構成される。
【0035】
プリンタ100による印字が行われる際には、図2に示すように、カバー11は筐体10の開口部を閉止する閉止状態にされる。
【0036】
プリンタ100のメンテナンスなどを行う際には、カバー11を図2に示す閉止位置から図3に示す開放位置へと揺動させる。これにより、筐体10の開口部が開放され、プリンタ100への印字媒体Mのセットや筐体10内の各部のメンテナンスを行うことができる。
【0037】
そして、仕切部材25を図3に示す閉止位置から図4に示す開放位置に揺動させると、リボン供給軸33及びリボン供給軸33に保持されたロール状のインクリボンRがリボン巻取軸34に対して相対的に移動し、印字媒体Mの排出口16側に露出する。
【0038】
上記仕切部材25を閉止位置から開放位置に揺動させる操作力によって、係止部27及び被係止部18が弾性変形して両者の係合が解除される。
【0039】
係止部27と被係止部18との係合が解除されることで、印字ユニット30自体も、筐体10側に向けて所定の露出位置まで揺動する。所定の露出位置は、筐体10における支持軸13の近傍に設けられた揺動規制部(図示せず)と本体部31とが当接する位置である。
【0040】
なお、上記揺動規制部による印字ユニット30の位置決めは、印字ユニット30を所定トルク以上の操作力で筐体10側に揺動させると、揺動規制部が弾性変形して本体部31が揺動規制部を乗り越えて解除される。
【0041】
こうして、仕切部材25及び印字ユニット30が図3に示す状態から図4に示す状態に切り替わる。これにより、リボン供給軸33及びリボン巻取軸34がプリンタ100から着脱可能なリボン交換位置に配置され、インクリボンRの交換作業を行うことができる。
【0042】
また、仕切部材25を図4に示す開放位置からカバー11側に向けて揺動させると、仕切部材25が図3に示す閉止位置に切り替わり、係止部27と被係止部18とが弾性変形して互いに係合する。係止部27と被係止部18とが係合することによって、印字ユニット30がカバー11内に収まる収容位置に保持される。
【0043】
プリンタ100には、仕切部材25を閉止位置にしたときに、仕切部材25を印字ユニット30に対して位置決めするロック機構40が設けられる。ロック機構40は、仕切部材25が開放位置から閉止位置へと切り替わる動作によって、印字ユニット30に対する仕切部材25の揺動を止める。
【0044】
以下、図5を参照してロック機構40の構成について説明する。
【0045】
図5は、仕切部材25及びロック機構40を示す斜視図である。仕切部材25には、2つのロック機構40が揺動軸26の径方向について揺動軸26から離れた位置に設けられる。2つのロック機構40は、揺動軸26の軸方向について仕切部材25の両端部に配置される。
【0046】
ロック機構40は、仕切部材25に対して軸まわりに揺動自在に支持されるフック50と、フック50の係合部53を本体部31の被係合部45に係合させる方向に付勢するスプリング49と、を備える。
【0047】
仕切部材25には、フック50を揺動自在に支持する支持軸48が形成される。支持軸48は、揺動軸26と平行に配置される。
【0048】
フック50は、支持軸48の外周に回動自在に嵌合する筒状の嵌合部51と、嵌合部51から支持軸48の径方向に突出する係合部53及び規制部52と、を有する。
【0049】
仕切部材25には、規制部52を当接させてフック50の揺動を規制する当接部56と、スプリング49の一端を受けるスプリング受部57と、が形成される。
【0050】
コイル状のスプリング49は、その一端がスプリング受部57に支持され、その他端がフック50のスプリング受部54に支持される。
【0051】
フック50の係合部53は、被係合部45に向けて山状に突出する。仕切部材25の被係合部45は、フック50に向けて山状に突出する山部45aを有する。
【0052】
以下、図6A図6B図6Cを参照してロック機構40の動作について説明する。図6A図6B図6Cの順に示す動作によって、ロック機構40が仕切部材25の保持を解除すると共に、仕切部材25が図3に示す閉止位置から図4に示す開放位置へと切り替わる。なお、図6A図6B図6Cは、説明の簡略化のため、プリンタ100の一部を省略して図示している。
【0053】
図6Aに示すように、仕切部材25が閉止位置にある状態では、フック50の係合部53が、スプリング49の付勢力によって被係合部45の山部45aに係合する。これにより、仕切部材25が閉止位置に保持される。
【0054】
図6Bに矢印Aで示すように、作業者が仕切部材25に所定トルク以上の操作力を与えると、フック50がスプリング49の付勢力に抗して矢印Bで示す方向に揺動し、係合部53が被係合部45の山部45aに乗り上げ、仕切部材25が閉止位置から開放位置へと揺動する。
【0055】
図6Cに示すように、続いて仕切部材25が揺動すると、係合部53が被係合部45の山部45aに乗り越える。このとき、フック50がスプリング49の付勢力によって図6Cに矢印Cで示す方向に揺動し、やがて規制部52が当接部56に当接することで、フック50の揺動が止められる。
【0056】
こうして作業者が仕切部材25を開放位置方向(下方)に揺動させる操作により、ロック機構40によって仕切部材25が閉止位置に保持される状態が解除され、仕切部材25が閉止位置から開放位置へと円滑に切り替えられる。
【0057】
一方、仕切部材25が図4に示す開放位置から図3に示す閉止位置へと切り替えられる際には、ロック機構40は、上記図6A図6B図6Cの順に示す動作と逆に動作して、フック50の係合部53が被係合部45の山部45aに乗り越えた後にスプリング49の付勢力によって被係合部45の山部45aに係合する。これにより仕切部材25は閉止位置に位置決めされる。
【0058】
印字ユニット30が筐体10内に収まる印字位置(図2参照)にある状態においても、仕切部材25と共にリボン供給軸33がロック機構40によって保持される。これにより、プリンタ100の作動時に、リボン供給軸33のギア65とギア64との噛み合い状態が保たれ、インクリボンRが円滑に送られる。
【0059】
また、筐体10には、仕切部材25の下面側に対峙する対峙部(図示せず)が設けられる。さらに、筐体10には、フック50の規制部52に対峙する対峙部58が設けられる。印字ユニット30が筐体10内に収まる印字位置(図2参照)に切り替えられた状態では、仕切部材25の下面側が筐体10の対峙部(図示せず)に対峙するとともに、フック50の規制部52が筐体10の対峙部58に対峙する。これにより、印字ユニット30が印字位置(図2参照)にある状態では、フック50が揺動することが止められ、係合部53と被係合部45との係合状態が確実に維持される。
【0060】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0061】
本実施形態によれば、印字媒体Mに印字を行うための印字ユニット30と、インクリボンRを保持するリボン供給軸33(リボン軸)と、リボン供給軸33に駆動力を伝達するギア64、65が噛み合う閉止位置と、ギア列60のギア64、65の噛み合いが解除される開放位置との間で揺動自在に設けられる仕切部材25と、仕切部材25が閉止位置にあるときに、仕切部材25を印字ユニット30に対して保持するロック機構40と、を備えるプリンタ100が提供される。
【0062】
このように構成することで、プリンタ100の作動時には、仕切部材25がロック機構40によって閉止位置に保持される。これにより、リボン供給軸33を駆動するギア64、65の噛み合い状態が保たれ、インクリボンRの搬送が安定して行われる。一方、インクリボンRの交換時には、仕切部材25が開放位置に揺動してリボン供給軸33を印字ユニット30から取り外し可能に配置する。これにより、プリンタ100の限られたスペースのなかでのインクリボンRの着脱操作が行い易くなり、インクリボンRの交換作業性を向上できる。
【0063】
また、筐体10には、ギア64に駆動力を伝達するモータ61が設けられる。プリンタ100の作動時には、仕切部材25がロック機構40によって閉止位置に保持されることにより、モータ61の駆動力がギア64を介してリボン供給軸33に的確に伝達され、インクリボンRの搬送が安定して行われる。
【0064】
また、プリンタ100は、発光ユニット22a(発光部)と受光ユニット22b(受光部)とを有し、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出する透過センサ22(センサ)を備える。発光ユニット22aと受光ユニット22bとの少なくとも一方が仕切部材25に設けられる。プリンタ100の作動時には、仕切部材25がロック機構40によって閉止位置に保持されることにより、透過センサ22は、搬送方向における印字媒体Mの位置を精度良く検出することができる。
【0065】
また、仕切部材25は、印字媒体Mを摺接させる案内面29を有する。プリンタ100の作動時には、仕切部材25がロック機構40によって閉止位置に保持されることにより、仕切部材25の案内面29によって印字媒体Mが所定経路で搬送される。これにより、プリンタ100では印字が精度よく行われる。
【0066】
また、プリンタ100は、筐体10を開閉するカバー11を備える。仕切部材25が閉止位置にあるときに、印字ユニット30はカバー11内に収まり、仕切部材25が開放位置に切り替えられると、印字ユニット30はカバー11から露出する。これにより、仕切部材25の操作によって印字ユニット30がカバー11から露出するので、インクリボンRの着脱操作が行い易くなり、インクリボンRの交換作業性を向上できる。
【0067】
また、プリンタ100は、仕切部材25が閉止位置にあるときに、印字ユニット30をカバー11に対して保持するユニットロック機構38をさらに備える。プリンタ100の作動時には、仕切部材25がロック機構40によって閉止位置に保持されることにより、ユニットロック機構38によって印字ユニット30がカバー11に対して所定の印字位置に保持される。
【0068】
また、ロック機構40は、印字ユニット30に設けられる被係合部45と、仕切部材25が揺動して閉止位置に来るのに伴ってスプリング49の付勢力によって被係合部45に係合する係合部53と、を備える。ロック機構40は、仕切部材25を開放位置へと揺動させる操作力によって係合部53がスプリング49の付勢力に抗して被係合部45との係合を解除する。こうして、仕切部材25を揺動させる操作によってロック機構40が自動的に作動することで、インクリボンRの交換作業性を向上できる。
【0069】
また、ロック機構40は、仕切部材25に揺動自在に支持されるフック50を備える。フック50は、係合部53を有し、スプリング49の付勢力によって係合部53を被係合部45に係合させる方向に揺動する。
【0070】
このように構成することで、ロック機構40は、仕切部材25を閉止位置に切り替えると、フック50は、スプリング49の付勢力によって揺動し、係合部53を被係合部45に係合させる。これにより、ロック機構40の操作が容易に行え、インクリボンRの交換作業性を向上できる。
【0071】
また、プリンタ100は、印字ユニット30が収まる筐体10を備える。印字ユニット30は、筐体10に収まる印字位置と、筐体10を開放する非印字位置と、に切り替えられる。フック50は、筐体10に対してフック50が揺動することを規制する規制部52を有する。
【0072】
このように構成することで、仕切部材25が印字ユニット30に収まる印字位置にある状態では、筐体10に対峙するフック50の規制部52によってフック50の揺動が止められて、係合部53と被係合部45との係合が解除されることが禁止される。これにより、プリンタ100が外部から衝撃を受けても、係合部53と被係合部45との係合状態が維持される。よって、プリンタ100の作動時には、リボン供給軸33を駆動するギアの噛み合い状態が保たれ、インクリボンRを送る作動が円滑に行われる。
【0073】
また、仕切部材25の一端側に揺動軸26が設けられ、仕切部材25の他端側にロック機構40が設けられる。
【0074】
このようにして揺動軸26とロック機構40との間の距離が十分に設けられることで、閉止位置にある仕切部材25の位置決めが確実に行われる。また、ロック機構40の切替えに必要な操作力が小さくて済む。
【0075】
また、ロック機構40は、揺動軸26の軸方向について仕切部材25の両端部に配置される。
【0076】
このようにしてロック機構40どうしの間隔が十分に設けられることで、閉止位置にある仕切部材25は安定した姿勢が維持される。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0078】
例えば、上記実施形態では、仕切部材25に被係合部45が設けられ、印字ユニット30に係合部53が設けられている。これに限らず、印字ユニット30に被係合部45が設けられ、仕切部材25に係合部53が設けられる構成としてもよい。
【0079】
仕切部材25にリボン供給軸33が着脱可能に設けられているが、これに限らずリボン巻取軸34が着脱可能に設けられる構成としても良い。
【0080】
本願は、2018年6月1日に日本国特許庁に出願された特願2018-106519に基づく優先権を主張する。この出願のすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C