(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20220510BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20220510BHJP
【FI】
G06Q50/30
G07B15/00 G
(21)【出願番号】P 2020010371
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2020-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】591085673
【氏名又は名称】近鉄グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓史
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一人
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117395(JP,A)
【文献】特開2019-164459(JP,A)
【文献】特開2015-176313(JP,A)
【文献】特開2019-159915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末によって表示される取引情報を読み取る
複数の読取装置と、
前記読取装置で読み取られた取引情報
を判定用情報と照合することで、当該取引情報による交通機関の利用又は施設の利用の可否を判別する判別部と、
前記判別部で利用可能と判断された場合に、前記取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報が関連付けて記憶される記憶部と、
前記記憶部で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する算出部と、
を備え、
複数の読取装置は複数の事業者によって管理されており、
前記読取装置と事業者とが関連付けられ、前記算出部は、事業者ごとの利益配分情報を算出する情報処理システム。
【請求項2】
前記読取装置はタクシー又はバスに設けられ、
前記算出部は、タクシー又はバスで読み取られた取引情報に関しては乗車距離又は乗車区間に関係なく前記利益配分情報を算出する請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記読取装置は鉄道の改札に設けられ、
前記判別部は各駅に設けられ、
各読取装置は各駅に設けられた判別部と通信可能になり、
前記取引情報が前記読取装置で読み取られると、前記判別部が前記取引情報による交通機関の利用の可否を判別する請求項1
又は2のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記読取装置で前記取引情報が最初に読み取られた時点を用いて、前記取引情報による交通機関又は施設の利用期間が決定される請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記携帯端末に記憶されている取引情報及び読取装置で読み取った取引情報を受信する複数のノード装置が設けられ、
各ノード装置は同一のブロックチェーン基盤に設けられる請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
カラードコインを用いて、取引情報によって利用可能なサービス情報の判別が行われる請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
携帯端末によって表示される取引情報
を判定用情報と照合することで、当該取引情報が判別部によって利用可能と判断された場合に、当該取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する算出部と、
を備え、
複数の読取装置が複数の事業者によって管理されており、記憶部で読取装置と事業者とが関連付けられて記憶され、前記算出部は事業者ごとの利益配分情報を算出する情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記プログラムがインストールされた情報処理装置は、
携帯端末によって表示される取引情報を判定用情報と照合することで、当該取引情報が判別部によって利用可能と判断された場合に、当該取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を関連付けて記憶する機能と、
前記
記憶する機能で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する機能と、
を備え、
複数の読取装置が複数の事業者によって管理されており、前記記憶する機能で読取装置と事業者とが関連付けられて記憶され、前記算出する機能は事業者ごとの利益配分情報を算出する機能を果たすようになるプログラム。
【請求項9】
読取装置によって、携帯端末で表示された取引情報を読み取る工程と、
前記読取装置で前記取引情報が読み取られると、判別部によって、当該取引情報
を判定用情報と照合することで、当該取引情報による交通機関の利用又は施設の利用の可否を判別する工程と、
前記判別部で利用可能と判断された場合に、記憶部によって、前記取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報が関連付けて記憶する工程と、
算出部によって、記憶部で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する工程と、
を備え、
複数の読取装置が複数の事業者によって管理されており、
読取装置と事業者とが関連付けられ、前記算出部は、事業者ごとの利益配分情報を算出する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末によって表示される取引情報を読み取る読取装置を用いた情報処理システムと、これに関連する情報処理装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不正使用を防止するための電子チケットシステムが提案されている。特許文献1では、メンバーデータベースが、複数のメンバーのアカウント情報及び各アカウントに対応する特性コードを記憶し、チケットプラットホームが各タイプのチケットの販売と認証の機能を提供し、チケットデータベースが複数のチケットのチケット情報及び各チケットに対応する特性コードを記憶する態様が開示されている。そして、各サービスユニットは、チケット確認装置を用いて、メンバーによって提供された特性コードキャリアの特性コード読み取り、それをサーバに送信して、チケットデータベースに記憶されたチケット情報及び特性コードと照合し、認証結果を警告装置に表示させることで、チケットに対応するサービスを提供するべきかどうかを判断することとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、不正使用を防止するという観点だけではなく、ユーザとしては携帯端末によって交通機関又は施設を利用でき、また管理者としては交通機関の利用又は施設の利用を管理できる情報処理システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による情報処理システムは、
携帯端末によって表示される取引情報を読み取る読取装置と、
前記読取装置で読み取られた取引情報による交通機関の利用又は施設の利用の可否を判別する判別部と、
前記判別部で利用可能と判断された場合に、前記取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報が関連付けて記憶される記憶部と、
を備えてもよい。
【0006】
本発明による情報処理システムは、
前記記憶部で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する算出部を備えてもよい。
【0007】
本発明による情報処理システムにおいて、
複数の読取装置が設けられ、
複数の読取装置は複数の事業者によって管理されており、
前記読取装置と事業者とが関連付けられ、前記算出部は、事業者ごとの利益配分情報を算出してもよい。
【0008】
本発明による情報処理システムにおいて、
前記読取装置はタクシー又はバスに設けられ、
前記算出部は、タクシー又はバスで読み取られた取引情報に関しては乗車距離又は乗車区間に関係なく前記利益配分情報を算出してもよい。
【0009】
本発明による情報処理システムにおいて、
前記読取装置は鉄道の改札に設けられ、
前記判別部は各駅に設けられ、
各読取装置は各駅に設けられた判別部と通信可能になり、
前記取引情報が前記読取装置で読み取られると、前記判別部が前記取引情報による交通機関の利用の可否を判別してもよい。
【0010】
本発明による情報処理システムにおいて、
前記読取装置で前記取引情報が最初に読み取られた時点を用いて、前記取引情報による交通機関又は施設の利用期間が決定されてもよい。
【0011】
本発明による情報処理システムにおいて、
前記携帯端末に記憶されている取引情報及び読取装置で読み取った取引情報を受信する複数のノード装置が設けられ、
各ノード装置は同一のブロックチェーン基盤に設けられてもよい。
【0012】
本発明による情報処理システムにおいて、
カラードコインを用いて、取引情報によって利用可能なサービス情報の判別が行われてもよい。
【0013】
本発明による情報処理装置は、
携帯端末によって表示される取引情報が判別部によって利用可能と判断された場合に、当該取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する算出部と、
を備えてもよい。
【0014】
本発明によるプログラムは、
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記プログラムがインストールされた情報処理装置は、
携帯端末によって表示される取引情報が判別部によって利用可能と判断された場合に、当該取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を関連付けて記憶する機能と、
前記記憶部で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する機能と、
を果たすようになってもよい。
【0015】
本発明による情報処理方法は、
読取装置によって、携帯端末で表示された取引情報を読み取る工程と、
前記読取装置で前記取引情報が読み取られると、判別部によって、当該取引情報による交通機関の利用又は施設の利用の可否を判別する工程と、
前記判別部で利用可能と判断された場合に、記憶部によって、前記取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報が関連付けて記憶する工程と、
を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明において、携帯端末によって表示される取引情報が読取装置で読み取られた場合に、当該取引情報による交通機関の利用又は施設の利用の可否を判別し、判別部で利用可能と判断された場合に当該取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報が関連付けて記憶する態様を採用した場合には、ユーザとしては携帯端末によって交通機関又は施設を利用でき、管理者としては交通機関の利用又は施設の利用を管理できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態による情報処理の流れを説明するための図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態による情報処理システムの概略ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態の別の態様による情報処理システムの概略ブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態において仮想通貨を利用する態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る情報処理システム及び情報処理装置の実施の形態について説明する。本実施の形態では、情報処理装置を利用した情報処理方法、情報処理装置を生成するためにインストールされるプログラムや、当該プログラムを記憶したUSB、DVD等からなる記憶媒体も本実施の形態により提供される。また、パソコン、スマートフォン、タブレット等の各種端末にインストールされるプログラムも提供される。本実施の形態の「又は」は「及び」を含む概念であり、A又はBは、A、B並びにA及びBの両方のいずれかを意味している。
【0019】
情報処理システムは、
図1及び
図2に示すように、取引情報を表示する携帯端末100と、取引情報を読み取る複数の読取装置10と、読取装置10で取引情報が読み取られると、当該取引情報による交通機関の利用又は施設の利用の可否を判別する判別部20と、判別部20で利用可能と判断された場合に、取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報が関連付けて記憶される記憶部60と、を有してもよい。本実施の形態による取引情報を用いることで例えば企画乗車券としての機能を果たすことができる。この場合には、取引情報が券IDとなってもよい。読取装置10は複数設けられてもよい。読取装置10は鉄道の駅、バスやタクシー内、フェリー等の船舶内に設置されてもよい(
図3参照)。また、読取装置10は、対象となっている施設に設置されてもよい。施設は遊園地、動物園、植物園、博物館等の各種施設であってもよい。フェリー等の船舶については、窓口に読取装置10が設置されてもよい。
【0020】
携帯端末100はユーザが保有する携帯電話やタブレット端末であってもよい。携帯電話やタブレット端末に専用のアプリケーションがインストールされることで、携帯端末100が取引情報を表示できるようになってもよい。
【0021】
携帯端末100は端末表示部110と端末操作部120とを有しており、スマートフォンやタブレット端末の場合には、携帯端末100の表示画面が端末表示部110と端末操作部120の両方の機能を兼ねている。取引情報はQRコード(登録商標)等のコード情報として端末表示部110で表示されてもよい。このような表示は端末操作部120における操作によって実現されるようになってもよい。
【0022】
記憶部60で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する算出部30が設けられてもよい。
【0023】
複数の読取装置10が複数の事業者によって管理されてもよい。読取装置10と事業者とが関連付けられ、算出部30は、事業者ごとの利益配分情報を算出してもよい。α社が管理しているA駅でユーザが乗車し、β社が管理しているB駅でユーザが降車した場合には、A駅からB駅の間で、α社が管理している駅での利用料金と、β社が管理している利用料金に応じて、利益配分情報を算出部30が算出してもよい(
図1参照)。
【0024】
算出部30は、タクシー、バス又は船舶で読み取られた取引情報に関しては乗車距離又は乗車区間に関係なく利益配分情報を算出してもよい。この態様を採用する場合には、利用可能なタクシーの区間や時間が予め設定されていてもよい。利用可能な時間が設定されている場合には、タクシーに設置された読取装置10で取引情報が読み取られた時点から一定の期間の間だけ、当該タクシーを利用できるようになってもよい。このような態様に限られることはなく、利用した距離や区間に応じて算出部30が益配分情報を算出してもよい。なお、読取装置10の各々には識別情報が割り振られており、取引情報が読み取られると、読取装置10の識別情報と取引情報とが関連付けられて、判別部20に送信されてもよい。関連付けられた読取装置10の識別情報と取引情報は、日時とともに記憶部60で記憶されてもよい。読取装置10の識別情報によって、ユーザが利用した駅、バス又はタクシーの利用等についての情報を判断部25で判断し、記憶部60で記憶するようにしてもよい。このような判断は判別部20で行われてもよい。
【0025】
記憶部60で記憶された鉄道の利用区間(利用料金)、タクシーの利用回数、バスの利用回数、施設の利用回数等の各々に対して所定の係数をかけ、これらを事業者別に集計して算出部30が利益配分情報を算出するようにしてもよい。例えば、L1×鉄道の利用料金+L2×タクシーの利用回数+L3×バスの利用回数+L41×m1施設の利用回数+・・・+L4n×mn施設の利用回数を合計した計算結果を取引情報毎に算出部30が算出し、算出結果を事業者別に合計することで事業者別の利益配分情報を算出するようにしてもよい。
【0026】
読取装置10が鉄道の改札に設けられる場合には、読取装置10は改札を制御する機能を有する自動改札装置29と一体になってもよい。そして、自動改札装置29と一体になった各読取装置10は各駅に設けられた判別部20と通信可能になってもよい(
図1参照)。そして、取引情報が読取装置10で読み取られると、判別部20が取引情報による交通機関の利用の可否を判別してもよい。改札で当該取引情報が当該駅を利用できる場合には、判別部20が利用可能であると判別し、ユーザは当該駅の改札を通過できるようになる。判別部20はエッジサーバ95によって実現されてもよい。エッジサーバ95とノード装置90とが一体となって判別部20としての機能を果たしてもよい。エッジサーバ95とノード装置90は駅単位で設けられてもよい。この場合には通信時間を削減することができ、大量に利用される可能性のある駅での処理を迅速に行うことができる点で有益である。なお、前述したように各駅に判別部20が設けられる態様に代えて又は当該態様と併用して、判別部20がサーバに設けられてもよい(
図3参照)。判別部20は自動改札装置29と通信可能となり、判別部20で取引情報による交通機関の利用が可能であると判断された場合には、判別部20からの情報に基づいて自動改札装置29が駅の改札を開くように制御してもよい。
【0027】
読取装置10で取引情報が最初に読み取られた時点を用いて、取引情報による交通機関又は施設の利用期間が決定されてもよい。利用期間の管理は管理部80で行われてもよい。この場合には、取引情報と利用開始時間とが関連付けられて記憶部60で記憶されてもよい。一例としては、読取装置10で取引情報が最初に読み取られた時点から24時間、72時間、1日、3日、一週間というような一定の期間の間、対象となっている交通機関及び施設を自由に利用できるようになってもよい。また例えば企画乗車券として用いる場合には、当該企画が有効な期間が定まっているので、当該有効な期間のうち、読取装置10で取引情報が最初に読み取られた時点から24時間、72時間、1日、3日、一週間というような一定の期間の間、対象となっている交通機関及び施設を自由に利用できるようになってもよい。利用期間の制限は、スクリプト(locktime)で行われてもよい。
【0028】
情報処理システムは仮想通貨を取り扱ってもよい(
図4参照)。仮想通貨を用いて取引情報を購入できるようにしてもよい。仮想通貨の利用に際してもQRコード等のコード情報が表示されてもよい。取引情報を表示するコード情報(第一コード情報)と仮想通貨を利用する際に表示されるコード情報(第二コード情報)とは別のコード情報であってもよい。なお、このような態様に限られることはなく、取引情報を現金、クレジットカード、デビットカード等を用いて購入するようにしてもよい。また、取引情報を表示するコード情報(第一コード情報)と仮想通貨を利用する際に表示されるコード情報(第二コード情報)とで同じコード情報を用いるようにしてもよい。
【0029】
仮想通貨の価値は時間とともに減価するように管理部80が管理してもよい。仮想通貨の価値は暫時減価するように行われてもよいし、ある一定期間が経過した場合には0になるように減価してもよいし、段階的に減価するようにしてもよい。現金から仮想通貨を購入する場合には、一定のプレミアムが付加されてもよい。仮想通貨は特定の地域でのみ利用できる地域仮想通貨であってもよい。地域ごとに、減価の程度、プレミアムの値が異なるように設定されてもよい。一例としては、変換する現金の価値を「1」とした場合に、変換された仮想通貨の価値は「1+p」(0%<p≦50%)となってもよく、さらに具体的な例として「p」は10%~30%であってもよい。
【0030】
所定の発行主体による仮想通貨を用いた場合には、取引情報を割安で購入できるようにしてもよい。この場合には、管理部80によって利用される仮想通貨の種類が判別され、管理部80によって所定の発行主体による仮想通貨であると判断された場合には、取引情報を値引きした値段で購入できるようにしてもよい。また、取引情報を所定の発行主体による仮想通貨で購入する場合には、当該仮想通貨に対してプレミアムを付与するようにしてもよい。この場合にも、管理部80によって利用される仮想通貨の種類が判別され、管理部80によって所定の発行主体による仮想通貨であると判断された場合には、携帯端末100で管理されている仮想通貨に対してプレミアムが付与されてもよい。このような態様を採用することで、ユーザが移動した先等で当該仮想通貨を利用する可能性を高めることができ、ユーザによる仮想通貨の利用を促すことを期待できる。また、取引情報を購入する際に当該地域で利用可能な仮想通貨を同時に購入できるようにしてもよく、同時購入を行う場合には、管理部80によって購入される仮想通貨にプレミアムが付与されてもよい。この場合には、購入された仮想通貨の利用可能な期間と取引情報が有効な期間とが合致するように管理部80によって管理されてもよい。例えば取引情報が最初の利用から1週間有効である場合には、最初の利用から1週間において仮想通貨が利用可能となり、1週間を経過した時点で仮想通貨の価値が0になるように管理部80が仮想通貨の価値を減価してもよい。
【0031】
本実施の形態ではブロックチェーンを用いてもよい(
図1参照)。携帯端末100に記憶されている取引情報及び読取装置10で読み取った取引情報を受信する複数のノード装置90が設けられ、各ノード装置90は同一のブロックチェーン基盤(プラットフォーム)に設けられてもよい。ブロックチェーンは、取引情報の利用(状態の変化)を記録するためと仮想通貨の取引を記録するための両方で用いられてもよい。取引情報の利用(状態の変化)を記録するためのブロックチェーン(第一ブロックチェーン)と、仮想通貨の取引を記録するためのブロックチェーン(第二ブロックチェーン)とは別のブロックチェーン基盤で実現されており、互いにサイドチェーンとして連結されてもよい。またこのような態様に限られることはなく、取引情報の利用(状態の変化)を記録するためのブロックチェーン(第一ブロックチェーン)と、仮想通貨の取引を記録するためのブロックチェーン(第二ブロックチェーン)とは、同じブロックチェーン基盤によって実現されてもよい。
【0032】
仮想通貨は、仮装コイン、ポイント、電子マネー等であってもよく、これらのうちの2つ以上であってもよい。仮想通貨として、これらの2つ以上を用いる場合には、仮想コインを電子マネーに変換できるがポイントに変換できないように管理部80が管理してもよい。電子マネーを仮想コイン及びポイントに変換できないように管理部80が管理してもよい。ポイントを仮想コイン及びポイントに変換できるように管理部80が管理してもよい。異なる種類のアセット間の交換比率は任意に設定されてもよいし、需給予測モデル(ダイナミック・プライシング)により設定されてもよい。需給予測モデルを採用する場合には、管理部80が人工知能機能を有し、採用変数と採用変数に対する採用係数を用いて需給予測モデルを生成してもよい。この場合には、アセット間の需給バランスに応じて異なるアセットへの変更を行うことができる。
【0033】
管理部80は、企画乗車券の権利情報等からなる取引情報をトークン(鍵トークン)として発行し、ブロックチェーンに情報を書き込んでもよい。券IDが権利情報そのものを示してもよいし、券IDが権利情報と紐づけられてもよい。典型的には、この取引情報は携帯端末100で表示可能となる。判別部20は、取引情報として表示されるブロックチェーンの権利情報と判別部20に含まれるエッジサーバ95内の判定テーブルと照合し、取引情報の有効性を判別してもよい。管理部80によるブロックチェーンへの書き込みは権利情報のみとしてもよい。利用履歴は記憶部60の一部を構成するRDB(リレーショナルデータベース)等に保存されてもよい。発行されるトークンにおいては10000といった十分な量のトランザクションが、予め定められた期間で利用可能となってもよい。このトランザクションは改札を通過したり、施設を利用したりするといった状態の変化が発生する度に消費されることになる。利用期間が到来した際に余ったトランザクションは管理部80が消滅させてもよいし、管理部80によって回収されてもよい。券IDは鉄道会社等の会社コードと券ナンバーとを有し、券の発行主体とその番号を把握できるようになってもよい(
図1参照)。判別部20は券IDを用いて駅ごとに改札を許可するか否か集札を許可するか否かを判断するようにしてもよい。
【0034】
なお、ブロックチェーンとは、インターネット上の複数のコンピュータで取引の記録を互いに共有し、検証し合いながら正しい記録を鎖(チェーン)のようにつないで蓄積するものである。また、携帯端末100や固定端末等の各種端末において、疑似的なマイニングを行い、一番になった利用者に予め定まった額(価値)の仮装コイン又はポイントを与えるようにしてもよい。
【0035】
ブロックチェーンを用いる場合には、カラードコインを用いて、取引情報によって利用可能なサービス情報の判別が判別部20で行われてもよい。利用可能なサービス情報は、利用できる交通機関の種類、施設の種類、利用可能な期間等によって異なってもよい。交通機関の種類としては、利用できる鉄道会社、利用できる区間、利用できるタクシーの区間、利用できるバスの区間等が異なるようになってもよい。
【0036】
本実施の形態の判別部20、判断部25、算出部30、管理部80等は一つのユニット(制御ユニット)によって実現されてもよいし、異なるユニットによって実現されてもよい。複数の「部」による機能が一つのユニット(制御ユニット)で統合されて実現されてもよい。また、算出部30、管理部80等は回路構成によって実現されてもよい。
【0037】
≪方法≫
次に、情報処理装置を用いた情報処理方法の一例を用いて説明する。
【0038】
ユーザが、インターネットを介して又は駅の券売機等のターミナル端末を用いて、ユーザが対象となる取引情報を購入する(
図1参照)。インターネットを介して取引情報を購入できる態様を採用することで、海外から国内に来る旅行客の利用を促進することができ、また駅等の施設での取引情報の購入に関する事務手続きを省くことができる。
【0039】
取引情報が購入されると、ユーザの保有する携帯端末100で、取引情報が例えばQRコード等のコード情報として表示可能となる。携帯端末100がターミナル装置で表示される情報を読み取ったり、ターミナル装置から指定した電子メールアドレスに電子メールが送信されたり、ターミナル装置からBluetooth(登録商標)等の近距離通信で通信されることによって、携帯端末100がコード情報を取得し、当該コード情報が携帯端末100で表示可能となってもよい。
【0040】
ユーザは、コード情報を携帯端末100で表示させ、駅の改札に設置されたQRコード読取装置等の読取装置10で当該コード情報を読み取らせる。このようにコード情報が読取装置10で読み取られると、コード情報として表示された取引情報による交通機関の利用の可否が判別部20で判別される。施設の入り口に設置されたQRコード読取装置等の読取装置10で当該コード情報を読み取らせる場合には、コード情報として表示された取引情報による施設の利用の可否が判別部20で判別される。
【0041】
鉄道等の交通機関において、判別部20で利用可能と判断された場合には、取引情報と鉄道の利用に関する情報が関連付けられて記憶される。この際には、駅の乗車駅情報(乗車駅に設置された読取装置10の識別情報)と取引情報とが紐づけられることになる。そして、移動先の駅を出る場合には、駅の改札に設置されたQRコード読取装置等の読取装置10で当該コード情報を読み取らせる。この結果、降車駅情報(降車駅に設置された読取装置10の識別情報)と取引情報とが紐づけられて記憶部60で記憶される。
【0042】
施設において、判別部20で利用可能と判断された場合には、取引情報と施設の利用に関する情報(施設に設置された読取装置10の識別情報)が関連付けられて記憶部60で記憶される。この際には、施設の利用を開始した時間が記憶されてもよい。施設を出る際にも、施設の例えば出口に設置されたQRコード読取装置等の読取装置10で当該コード情報を読み取らせるようにしてもよい。この場合には、ユーザが施設を出た時間を管理することができ、施設での滞在時間に関する情報を記憶部60で記憶することができるようになる。算出部30は、施設での滞在時間に応じて利益配分情報を算出するようにしてもよい。この場合には、滞在時間が長い施設では高い利益配分を行い、滞在時間が短い施設では低い利益配分を行うようにしてもよい。一例としては、施設ごとの単位時間あたりの利益係数Kに滞在時間Tを掛けた計算結果(K×T)を用いて、算出部30が利益配分情報を算出するようにしてもよい。このような態様を採用することで、より公平に利益の配分を行うことができる。
【0043】
タクシーやバスを利用する場合には、タクシーやバスに設置された読取装置10で取引情報が読み取られるようにしてもよい。この場合には、対象となっている区間内では、乗車距離に関係なく、算出部30が利益配分情報を算出するようにしてもよい。
【0044】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。「構成」で説明していない構成であっても「効果」で用いたいずれの構成も本件発明では採用することができる。
【0045】
読取装置10で携帯端末100に表示される取引情報が読み取られると、当該取引情報による交通機関の利用又は施設の利用の可否を判別部20が判別し、判別部20で利用可能と判断された場合に、取引情報と交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報が関連付けて記憶される態様を採用した場合には、交通機関又は施設を携帯端末100で利用できるようになる。交通機関と施設の両方を携帯端末100に表示される取引情報によって利用できる態様によれば、交通機関による移動と移動先の施設の利用の両方を携帯端末100によって実現できる。このため、複数のチケットを持つ必要がなく、携帯端末100だけで簡便に利用できる点で非常に有益である。一例として、企画乗車券のデジタル化を行うことで、企画乗車券の購買から乗り物および施設の利用、そして決済まで、駅の窓口や旅行会社での乗車券の受渡・引換を介することなく、シームレスにスマホ等の携帯端末100のみで完結可能となる点で非常に有益である。
【0046】
記憶部60で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する算出部30が設けられている場合には、利用状況に応じて利益配分を行うことができる。現在用いられている使い放題のチケット等では、利益配分が利用状況に応じてなされていなかったことから、本態様を採用した場合には、利益配分を実態に沿って行うことができるようになる。
【0047】
読取装置10と事業者とが関連付けられ、算出部30が事業者ごとの利益配分情報を自動で算出する態様を採用した場合には、各事業者に割り振られる利益を自動で算出することができる点で有益である。
【0048】
タクシー又はバスで読み取られた取引情報に関しては乗車距離又は乗車区間に関係なく利益配分情報を算出部30が算出する態様を採用した場合には、タクシーやバスについては簡便に利益配分を行うことができる。なお、鉄道に関しては乗車区間に基づいて算出部30が利益配分情報を算出してもよい。この場合には、利用区間に応じて利益配分を行うことができる。
【0049】
読取装置10が鉄道の改札に設けられ、各読取装置10が各駅に設けられた判別部20と通信可能になり、鉄道の改札で取引情報が読取装置10で読み取られると、判別部20が取引情報による交通機関の利用の可否を判別する態様を採用した場合には、各駅に設置された読取装置10で鉄道の利用の可否を判別することができ、迅速に情報の処理を行うことができる。
【0050】
読取装置10で取引情報が最初に読み取られた時点を用いて、取引情報による交通機関又は施設の利用期間が決定される態様を採用した場合には、利用開始時点を用いて利用終了時点を決定することができ、一定期間においては鉄道や施設を自由に利用できるサービスを提供できる。
【0051】
携帯端末100に記憶されている取引情報及び読取装置10で読み取った取引情報を受信する複数のノード装置90が設けられ、各ノード装置90は同一のブロックチェーンのプラットフォームに設けられる態様を採用した場合には、同一のブロックチェーンによって、各取引を記録することができる。
【0052】
判別部20によって、カラードコインを用いて取引情報によって利用可能なサービス情報の判別が行われる態様を採用した場合には、利用可能な交通機関及び/又は施設の種類、利用可能なサービス提供機関等を区別して、サービスを提供できる。
【0053】
本実施の形態の態様を企画乗車券として用いた場合には、発行・管理面での運用コストやオペレーションにかかる事務コスト(人件費、印刷費、運搬費、管理費)を低減できる。より具体的には、ブロックチェーン基盤とQRコード等のコード情報とを用いて企画乗車券のデジタル化を行った場合には、窓口販売や観光施設での検札等を省くことができ、事務コストを大きく低減させることができる。また、本態様によれば、旅行代理店等に支払っていた販売委託手数料等を無くす又は低く抑えることができる。
【0054】
また、磁気式タイプの乗車券とは異なり、高いセキュリティを高めることができ(偽造、不正利用、不正転売等を防止でき)、真正性チェックを低コストで実現できる。また、乗車、利用、購買等の行動履歴の一元的な蓄積が可能となり、データの利活用を促進することができ、例えばマーケティング活動に利用することもできるようになる。
【0055】
本実施の形態では、スマートコントラクトを使ったサービスと支払いの一体化を採用してもよい。より具体的には証券の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)を相互に条件を付け、一方が行われない限り他方も行われないようにする態様を採用する場合には、決済にかかるコストも低減させることができる。
【0056】
磁気乗車券はICカードに比較してセキュリティ面に課題があるが、本実施の形態のようにブロックチェーン基盤を使うことにより耐タンパ性に優れた強固なセキュリティを持つ仕組みが可能となる。
【0057】
磁気乗車券の正当性判定処理は複雑なため、自動改札機の導入やメンテナンスに高いコストがかかるが、ブロックチェーン基盤とQRコードを用いたチケッティングの仕組みを採用することで、シンプルな判定処理が実現可能なため、磁気式に比べ安価に仕組みを導入できる。
【0058】
磁気乗車券による企画乗車券では「磁気乗車券+紙媒体施設利用券」という性質上、一元的なデータの蓄積が不可能で紐づけも困難であり、個単位の行動分析にも限界がある。これに対して、本態様のような企画乗車券のデジタル化を採用することで、購入から乗車、施設利用、消費活動にかかる個単位の全ての行動・購買データを一元的に収集・蓄積可能となり、マーケティング活動に有益な情報を得ることができる。
【0059】
また、個のミクロパネルデータ収集と蓄積によって行動予測モデル構築が可能となり、新しい付加価値を産むサービスを提供できる可能性もある。また、データ利活用による個のマーケティングを実施することで、よりきめの細かいサービスと価格の提供を期待できる。
【0060】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0061】
10 読取装置
20 判別部
30 算出部
60 記憶部
90 ノード装置
100 携帯端末