(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】センサにより測定信号を測定しフィルタを用いて当該測定信号の分散を特定するための方法、データフュージョン方法、コンピュータプログラム、機械読み取り可能記憶媒体及び装置
(51)【国際特許分類】
G06F 17/10 20060101AFI20220510BHJP
H03H 21/00 20060101ALI20220510BHJP
H03H 17/06 20060101ALI20220510BHJP
H03H 17/02 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G06F17/10 D
H03H21/00
H03H17/06 635Z
H03H17/02 635Z
H03H17/02 601C
H03H17/02 615E
H03H17/06 615E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020018999
(22)【出願日】2020-02-06
(62)【分割の表示】P 2018532393の分割
【原出願日】2016-12-12
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】102015226365.7
(32)【優先日】2015-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーロン トロースト
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-287634(JP,A)
【文献】特開平9-181612(JP,A)
【文献】特開平8-243103(JP,A)
【文献】特表2014-504192(JP,A)
【文献】特開2015-114221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/10
H03H 21/00
H03H 17/06
H03H 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサにより測定信号
を測定
しフィルタを用いて当該測定信号の分散を特定するための方法(500)であって、
フィルタリングされた測定信号、即ち
、直流成分が抑制された測定信号を取得するために、ハイパスフィルタ(HP)によって測定信号をフィルタリングするステップ(501)と、
前記ハイパスフィルタ(HP)によって測定信号をフィルタリング
して得られた入力量に基づいて、前記
分散を特定するステップ(502)と、
を含み、
前記ハイパスフィルタ(HP)の群遅延時間は、前記分散において測定タスクに関連する遅延に整合されており、
前記
分散を特定するステップにおいて、ローパスフィルタ(TP)による二乗和平均値の連続的な形成によって、前記
分散を特定する
、方法(500)。
【請求項2】
前記ハイパスフィルタ(HP)は、線形位相フィルタである、
請求項1に記載の方法(500)。
【請求項3】
前記ハイパスフィルタ(HP)は、有限インパルス応答(FIR)フィルタである、
請求項1又は2に記載の方法(500)。
【請求項4】
前記ハイパスフィルタ(HP)の係数は、前記測定信号を検出するために用いられるサンプリングレートに依存する、
請求項2又は3に記載の方法(500)。
【請求項5】
前記ハイパスフィルタ(HP)の前記群遅延時間は、50ms乃至100msにある、
請求項
1に記載の方法(500)。
【請求項6】
前記ハイパスフィルタ(HP)の前記群遅延時間は、80msにある、
請求項
1に記載の方法(500)。
【請求項7】
前記ハイパスフィルタ(HP)及び/又は前記ローパスフィルタ(TP)のカットオフ周波数を、
測定タスクに関連する情報を探索可能な周波数に応じて設定する、
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項8】
前記ハイパスフィルタ(HP)及び/又は前記ローパスフィルタ(TP)の前記カットオフ周波数は、2Hz乃至20Hzにある、
請求項
7に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記ハイパスフィルタ(HP)及び/又は前記ローパスフィルタ(TP)の前記カットオフ周波数は、5Hz乃至10Hzにある、
請求項
7に記載の方法(500)。
【請求項10】
カルマンフィルタ(K)を用いたデータフュージョン方法(600)であって、
第1の入力信号は、測定信号であり、第2の入力信号は、
ハイパスフィルタ(HP)によって前記測定信号
をフィルタリングして得られた入力量であり、
前記測定信号の
分散を、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の方法(500)によって
特定し、
前記測定信号を前記カルマンフィルタ(K)によって、少なくとも1つのさらに別の第3の入力信号と融合する(601)、
カルマンフィルタ(K)を用いたデータフュージョン方法(600)。
【請求項11】
前記
分散を前記カルマンフィルタ(K)の外部において
特定する、
請求項
10に記載の方法(600)。
【請求項12】
請求項1乃至
11のいずれか一項に記載の方法(500,600)のすべてのステップを実施するために構成されたコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項
12に記載のコンピュータプログラムが記憶されている、機械読み取り可能記憶媒体。
【請求項14】
請求項
12に記載のコンピュータプログラムを実行するように構成された装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定信号中の分散を測定するための方法及びデータフュージョン方法に関する。さらに、本発明は、特に衛星支援型ナビゲーションにおいて使用するための、コンピュータプログラム、機械読み取り可能記憶媒体、及び、対応する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
米国特許第7,209,938号明細書(US7,209,938B2)から、カルマンフィルタを用いたフィルタ技術が公知であり、これによれば、測定値分散のために適応型推定器が使用される。この場合、カルマンフィルタの技術には、信号フィルタリングのメカニズムが含まれる。さらに、信号フィルタリングのメカニズムには、カルマンフィルタと分散推定器とが含まれる。
【0003】
データフュージョンにおいては、特に、慣性センサとGNSSとを用いたナビゲーションにおいて、しばしばカルマンフィルタが用いられる。これらの統計的なフィルタは、モデル及び測定量のほか、測定データの分散の形態において、測定データの品質に関する情報も付加的に必要とする。
【0004】
分散が未知又は可変の測定信号に対しては、分散に適応する適応型カルマンフィルタを用いることができる。この目的において、多くの場合には、カルマンフィルタの状態も用いられ、複素行列演算によって分散が推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
このことを背景として、本発明によれば、独立請求項に記載のノイズパラメータ、特に分散の推定方法が提案される。
【0007】
本発明に係る方法は、システム全体の改善された適応型のフィルタパフォーマンスを達成する目的において、遅延時間の間にデータフュージョンを行うカルマンフィルタの測定信号のために、格別に適している。
【0008】
これによれば、カルマンフィルタに格納されたモデルに左右されることなく、リソースを節約する実装が実現される。
【0009】
よって、本発明は、推定するという特質よりも、むしろ測定するという特質を有している。
【0010】
本発明の核となる着想は、もっぱら測定信号自体に基づいて、カルマンフィルタの測定信号中のノイズ、特に分散を特定する、ということである。即ち、ノイズの特定を、むしろノイズの測定とみなすことができる。このことは、ノイズが推定され、格納されているモデルに左右される慣用のシステムとは異なり、有利である。
【0011】
本発明において強調すべき点は、分散の測定が、カルマンフィルタの外部において行われ、従って、カルマンフィルタに内在する固有の慣性に左右されない、ということである。これによって、測定信号における変動に対する迅速な整合が可能である。同様に、有利であるのは、一定の入力信号によって、より迅速に一定の出力信号が生じることである。ここで提案されるのは、直流成分、即ち、実際の信号を、ハイパスフィルタ、特にディジタルハイパスフィルタによって抑制するようにして、測定信号の分散を特定することである。
【0012】
本発明に係る方法を、車両に適用する場合には、例えば、衛星支援型ナビゲーション装置に基づく位置特定に適用する場合には、まさに本発明は、その利点を十分に奏することになる。
【0013】
しかも、本発明に付随して、ハードウェアリソースコストがさらにわずかになる。
【0014】
この目的において、本発明に係る方法は、
フィルタリングされた測定信号を取得するために、ハイパスフィルタによって測定信号をフィルタリングするステップと、
フィルタリングされた測定信号に基づいて、分散を特定するステップと、
を含む。
【0015】
ここでは、測定信号は、どのような測定信号であってもよいが、本発明が基礎とする認識は、衛星支援型ナビゲーション装置の信号(GNSS信号)を、慣性センサ機構、例えば加速度センサ機構の信号とデータフュージョンする際に、格別に良好な結果を達成することができる、という点にある。
【0016】
1つの有利な実施形態によれば、ハイパスフィルタは、線形位相フィルタである。
【0017】
線形位相フィルタの使用によって、すべてのノイズ成分は、等しい群遅延時間を有する。
【0018】
有限インパルス応答(FIR)フィルタの適用によって、これを、格別簡単に実現することができる。
【0019】
FIRフィルタを使用する場合には、ハイパスフィルタの係数を、測定信号を検出するために用いられるサンプリングレートに依存させると、分散測定の結果が著しく改善されることが判明した。
【0020】
測定信号のノイズは、走行状態に応じてそれぞれ異なる可能性があることから、この方法において重要であるのは、フィルタ経路中の群遅延時間を可能な限り短くすることである。
【0021】
このために、本発明に係る方法の1つの好ましい実施形態によれば、ハイパスフィルタの群遅延時間が、測定タスクに関連する分散における遅延に整合されている。
【0022】
短い群遅延時間によって、ノイズの変化を直ちに新たな分散にも置き換えることができ、従って、走行状態が急激に変化しても、分散の特定がそれにも拘わらず適正となる、ということが阻止される。
【0023】
特別な適用事例においては、即ち、GNSS信号と、慣性センサ機構、例えば加速度センサ機構の信号とのデータフュージョンにおいては、50ms乃至100msの群遅延時間が有利であることが判明した。この場合には、80msの群遅延時間が推奨される。
【0024】
本発明に係る方法の効率的な実施形態によれば、フィルタリングのステップの後、第2のフィルタリングのステップが実施され、この第2のフィルタリングのステップにおいて、先行してフィルタリングされた測定信号から特定された分散が、ローパスフィルタによってフィルタリングされる。
【0025】
1つの簡単な実施形態によれば、ローパスフィルタ、特にPT1ローパスフィルタによって、二乗和平均値を連続的に形成することができる。このように簡単にされた態様が基礎とする認識は、二乗和平均値は、先行のハイパスフィルタにより平均値が0とされるときに、分散にそのまま対応する、という認識に基づいている。
【0026】
この場合、フィルタのカットオフ周波数は、測定タスクに関連する情報が信号にまだ含まれる周波数に従って設定される。
【0027】
従って、本発明に係る方法の1つの実施形態によれば、ハイパスフィルタ又はローパスフィルタのカットオフ周波数は、測定タスクに関連する情報が測定信号にまだ含まれる周波数に従って設定される。
【0028】
道路車両の走行動特性の領域であれば、これは、車両の車線数に応じて約3Hz乃至20Hz、特に5Hz乃至20Hzである。
【0029】
本発明に係る方法の1つの有利な実施形態によれば、分散を特定するステップにおいて、連続する計算を用いて、又は、連続する平均値を用いて、又は、連続する二乗和平均値を用いて、分散が計算される。
【0030】
これは、ハイパスフィルタリングされた入力信号から分散を計算又は測定するための簡単な実現手法を成すものである。
【0031】
連続する平均値及び連続する二乗和平均値による連続する計算において、測定信号の履歴全体を取得するのではなく、直前の期間を考察する目的において、さらに別の拡張された変形態様によれば、分散を特定するステップにおいて、第3のフィルタリングのステップが実施され、このステップにおいて、連続する平均値がフィルタリングされる。
【0032】
このようにすることによって、分散の計算又は測定が、探索される又は関連する測定期間に簡単に制限される。
【0033】
本発明のさらに別の態様は、カルマンフィルタを用いたデータフュージョン方法であって、この場合、第1の入力信号は、測定信号であり、第2の入力信号は、測定信号の分散であり、ここで、分散は、本発明に係る方法の1つの実施形態により測定される。
【0034】
その際に格別に有利であるのは、カルマンフィルタの外部において分散が測定されるようにした、データフュージョン方法の1つの実施形態である。
【0035】
本発明のさらに別の態様は、分散測定方法又はデータフュージョン方法のすべてのステップを実施するために構成されたコンピュータプログラム、及び、このコンピュータプログラムの1つの実施形態が記憶された機械読み取り可能記憶媒体である。
【0036】
さらに本発明の1つの態様は、分散測定方法又はデータフュージョン方法のすべてのステップを実施するように構成された装置である。
【0037】
特に推奨されるのは、かかる装置を、例えば、車両センサ及び車両制御装置などのための組み込みシステムとして実装する場合には、除算演算を算術シフトに置き換える目的で、除数を2のべき乗の形態にすることである。
【0038】
以下においては、図面を参照しながら、本発明の実施形態を開示し、それらについて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の1つの実施形態を示すブロック回路図である。
【
図3a】種々の方法による入力信号1に基づいた分散特定について示すグラフである。
【
図3b】種々の方法による入力信号2に基づいた分散特定について示すグラフである。
【
図3c】種々の方法による入力信号3に基づいた分散特定について示すグラフである。
【
図3d】種々の方法による入力信号4に基づいた分散特定について示すグラフである。
【
図5】本発明に係る測定信号中の分散を測定するための方法の1つの実施形態を示すフローチャートである。
【
図6】本発明に係るデータフュージョン方法の1つの実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1には、本発明の1つの実施形態のブロック回路図が示されている。このブロック回路図から、本発明の核となる着想を明確に読み取ることができる。センサSは、センサ信号又は測定信号を後処理ユニットへ供給する。センサ信号のデータフュージョンのためにさらに有利には、カルマンフィルタKが用いられ、このフィルタが測定信号に適用される。このため、測定信号は、一方ではカルマンフィルタKへ供給され、他方では測定信号は、直流成分、即ち、実際の信号を抑制するために、フィルタ、ここではハイパスフィルタHPへ供給される。このようにしてフィルタリングされた測定信号は、次いで、本発明に係る方法500に従って行われる分散特定又は分散測定へ送られる。測定された分散も、次いで、カルマンフィルタKへ供給され、別の入力量としてデータフュージョンのために評価される。
【0041】
図2には、4つの測定信号(信号1乃至4)を含むグラフが示されている。このグラフから読み取ることができるように、これらの測定信号は、それぞれ異なる強さの分散を有している。以下に続く図面においてさらに別のグラフに、種々の分散特定方法の結果を本発明に係る方法の1つの実施形態と対比して示す。
【0042】
図3a乃至
図3dには、窓方法と単純なローパスフィルタリングとによる分散特定結果が、本発明に係る方法500の1つの実施形態と対比して示されている。
【0043】
この結果から、本発明の性能を明確に認めることができる。その理由は、本発明に係る方法の実施形態の結果の方が、入力分散として示した基準分散を中心にはるかに狭い範囲で揺動しているからである。
【0044】
即ち、ここには、本発明は著しく多様な入力信号に適用可能であり、良好な結果をもたらすことが示されている。
【0045】
図4には、本発明に係る装置を含む構成の1つの実施形態のブロック回路図が示されている。
【0046】
図4には、2つのセンサS1及びS2が示されており、これらのセンサのセンサ信号、即ち、それらの測定信号は、カルマンフィルタKによって融合される。
【0047】
この目的において、センサS1,S2は、それらの測定信号を、一方では直接、入力信号としてカルマンフィルタKに入力する。他方では、測定信号は、本発明に係る方法500に従って、ハイパスフィルタHPによってフィルタリングされる。このようにしてフィルタリングされた測定信号は、次いで、ローパスフィルタTPによってフィルタリングされる。このフィルタステップの結果は、個々の測定信号の(測定された)分散として、カルマンフィルタKに別の入力量として入力される。
【0048】
ハイパスフィルタとローパスフィルタとの組み合わせを、バンドパスフィルタBPとも称する。従って、2つの個々のフィルタの代わりに、バンドパスフィルタBPを用いることもできる。
【0049】
自明のとおり、フィルタHP,TP,BPを様々に構成することができる。また、これらのフィルタを、ハードウェア若しくはソフトウェアとして、又は、それらの組み合わせとして、設けることができる。
【0050】
カルマンフィルタKは、両方の測定値又はセンサ信号の融合結果を、結果として送出する。
【0051】
道路車両の走行動特性の領域であれば、3Hz乃至20Hz付近、特に5Hz乃至20Hz付近の信号において、関連する情報を探索することができる。
【0052】
これらの境界条件に基づいて、ローパスフィルタTPから(例えば、反転により)形成可能なハイパスフィルタHPに関して、ローパスフィルタTPのカットオフ周波数が約5Hz乃至10Hz付近にあるのが望ましい、ということを導出することができる。なぜならば、可能な限り短い群遅延時間によって、減衰自体は、20Hzまではおそらくまだ著しくは大きくないからである。ローパスフィルタTPは、同様に、群遅延時間に過度に多くの影響を及ぼすことがないように、少なくとも2Hzのカットオフ周波数を有するのが望ましい。
【0053】
自動車に適用するために、サンプリングレートが200Hzの場合、係数bhp=[1,16,36,55,73,84,93,102,-920,102,93,84,73,55,36,16,1]及びahp=1024を有する16次のFIRハイパスフィルタ、並びに、係数btp=[1]及びatp=[16,-15]を有する無限インパルス応答(IIR)ローパスフィルタが提案される。これによれば、約8乃至15個のサンプルの通過域における群遅延時間が達成される。このことは、200Hzのサンプリングレートであれば、40ms乃至75msの群遅延時間に対応する。
【0054】
図5には、本発明に係る測定信号中の分散を測定するための方法の1つの実施形態に関するフローチャートが示されている。
【0055】
ステップ501において、ハイパスフィルタによって測定信号をフィルタリングして、フィルタリングされた測定信号を取得する。
【0056】
ステップ502において、フィルタリングされた測定信号に基づいて、測定信号中の分散を特定する。
【0057】
図6には、本発明に係るデータフュージョン方法の1つの実施形態に関するフローチャートが示されている。
【0058】
ステップ601において、カルマンフィルタにより入力信号を融合する。その際、入力信号の分散を特定するために、本発明に係る測定信号中の分散を測定するための方法を適用する。
【0059】
本発明の実施の態様は、以下の態様を含む。
1. 測定信号中の分散を測定するための方法(500)であって、
フィルタリングされた測定信号を取得するために、ハイパスフィルタ(HP)によって測定信号をフィルタリングするステップ(501)と、
フィルタリングされた前記測定信号に基づいて、分散を特定するステップ(502)と、
を含む、
測定信号中の分散を測定するための方法(500)。
2. 前記ハイパスフィルタ(HP)は、線形位相フィルタであり、特に有限インパルス応答(FIR)フィルタである、
項目1に記載の方法(500)。
3. 前記ハイパスフィルタ(HP)の係数は、前記測定信号を検出するために用いられるサンプリングレートに依存する、
項目2に記載の方法(500)。
4. 前記ハイパスフィルタ(HP)の群遅延時間は、前記分散において測定タスクに関連する遅延に整合されており、特に前記群遅延時間は、50ms乃至100msにあり、特に実質的に80msにある、
項目2に記載の方法(500)。
5. 前記フィルタリングのステップの後、第2のフィルタリングのステップを実施し、前記第2のフィルタリングのステップにおいて、先行してフィルタリングされた前記測定信号から特定された分散を、ローパスフィルタ(TP)によってフィルタリングする、
項目1又は2に記載の方法(500)。
6. 前記ハイパスフィルタ(HP)及び/又は前記ローパスフィルタ(TP)のカットオフ周波数を、測定タスクに関連する情報が前記測定信号にまだ含まれる周波数に応じて設定し、特に前記カットオフ周波数は、2Hz乃至20Hzにあり、特に5Hz乃至10Hz付近にある、
項目1乃至5のいずれか一項に記載の方法(500)。
7. 前記分散を特定するステップにおいて、連続する計算及び/又は連続する平均値及び/又は連続する二乗和平均値によって、前記分散を計算する、
項目1乃至6のいずれか一項に記載の方法(500)。
8. 前記分散を特定するステップにおいて、第3のフィルタリングのステップを実施し、当該ステップにおいて、前記連続する平均値をフィルタリングする、
項目5に記載の方法(500)。
9. カルマンフィルタ(K)を用いたデータフュージョン方法(600)であって、
第1の入力信号は、測定信号であり、第2の入力信号は、前記測定信号の分散であり、
前記測定信号の分散を、項目1乃至8のいずれか一項に記載の方法(500)によって測定し、
前記測定信号を前記カルマンフィルタ(K)によって、少なくとも1つのさらに別の第3の入力信号と融合する(601)、
カルマンフィルタ(K)を用いたデータフュージョン方法(600)。
10. 前記分散を前記カルマンフィルタ(K)の外部において測定する、
項目9に記載の方法(600)。
11. 項目1乃至10のいずれか一項に記載の方法(500,600)のすべてのステップを実施するために構成されたコンピュータプログラム。
12. 項目11に記載のコンピュータプログラムが記憶されている、機械読み取り可能記憶媒体。
13. 項目1乃至10のいずれか一項に記載の方法のすべてのステップを実施するように構成された装置。