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特許7069232給電システム、給電装置、及び、給電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】給電システム、給電装置、及び、給電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20220510BHJP
   H01Q 3/36 20060101ALI20220510BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220510BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20220510BHJP
【FI】
H02J50/90
H01Q3/36
H01Q1/22 A
H02J50/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020031361
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021136778
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 正明
(72)【発明者】
【氏名】辻 直樹
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-79029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0311755(US,A1)
【文献】国際公開第2017/134951(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0318897(US,A1)
【文献】特開2019-126198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/90
H01Q 3/36
H01Q 1/22
H02J 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物体に設けられ、前記第1物体と相対的に移動する第2物体が出現する第1方向に第1赤外線を出力する第1指向性を有し、前記第1赤外線を出力する第1赤外線出力部と、
前記第2物体に設けられ、再帰反射で第1赤外線を反射する反射体と、
前記第2物体に設けられ、相対的に移動する前記第1物体が存在する第2方向に第2赤外線を出力する第2指向性を有し、無線給電によって受電した電力で前記第2赤外線を出力する第2赤外線出力部と、
前記第1物体に設けられ、前記第1赤外線の前記反射体による反射赤外線、又は、前記第2赤外線を受光すると、前記反射赤外線、又は、前記第2赤外線の到来方向にビームを出力する、給電部と
を含む、給電システム。
【請求項2】
前記第2物体に設けられ、前記無線給電による受電量が所定の受電量以上になると、前記第2赤外線出力部に前記第2赤外線の出力を停止させる、出力制御部をさらに含む、請求項1記載の給電システム。
【請求項3】
前記第2赤外線出力部は、相対的に移動する前記第1物体の時系列的に変化する複数の位置に向けて互いに異なる前記第2指向性を有する複数の赤外線出力部を有する、請求項1又は2記載の給電システム。
【請求項4】
前記第1物体と前記第2物体は、相対的に移動して追い越す、又は、相対的に移動してすれ違う、請求項1乃至3のいずれか一項記載の給電システム。
【請求項5】
前記給電部は、
第1軸及び第2軸に沿って二次元的に配置される複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナと、
電波発生源と、
前記アレイアンテナと前記電波発生源との間に設けられ、前記電波発生源から前記複数のアンテナ素子に供給される電力の位相を前記第1軸方向において調節する位相調節部と、
魚眼レンズを通じて画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得される画像に含まれるマーカの前記画像取得部に対する第1位置を、前記第1軸及び前記第2軸を含む第1平面上の極座標における第2位置に変換する位置変換部と、
前記第2位置に基づいて、前記第1位置を前記第1軸と第3軸とを含む第2平面に投影した投影位置の前記第2平面内での前記第3軸に対する仰角を求める仰角取得部と、
前記アレイアンテナが放射するビームの方向が前記第2平面内で前記仰角になるように前記位相調節部を制御する制御部と
を有する、請求項1乃至4のいずれか一項記載の給電システム。
【請求項6】
第1物体に設けられ、前記第1物体と相対的に移動する第2物体が出現する第1方向に第1赤外線を出力する第1指向性を有し、前記第1赤外線を出力する第1赤外線出力部と、
前記第1物体に設けられる給電部であって、前記第2物体に設けられ再帰反射で第1赤外線を反射する反射体による反射赤外線、又は、前記第2物体に設けられ相対的に移動する前記第1物体が存在する第2方向に第2赤外線を出力する第2指向性を有する第2赤外線出力部が無線給電によって受電した電力で出力した前記第2赤外線を受光すると、前記反射赤外線、又は、前記第2赤外線の到来方向にビームを出力する、給電部と
を含む、給電装置。
【請求項7】
第1物体に設けられ、前記第1物体と相対的に移動する第2物体が出現する第1方向に第1赤外線を出力する第1指向性を有し、前記第1赤外線を出力する第1赤外線出力部と、
前記第2物体に設けられ、再帰反射で第1赤外線を反射する反射体と、
前記第2物体に設けられ、相対的に移動する前記第1物体が存在する第2方向に第2赤外線を出力する第2指向性を有し、無線給電によって受電した電力で前記第2赤外線を出力する第2赤外線出力部と
を含む給電システムにおける給電方法であって、
前記第1赤外線の前記反射体による反射赤外線、又は、前記第2赤外線を前記第1物体側で受光すると、前記反射赤外線、又は、前記第2赤外線の到来方向にビームを出力する、給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システム、給電装置、及び、給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非接触電力伝送システムでは、車両は、送電装置に対する位置合わせ時に、発光装置を点滅させるとともに、点滅周期情報を送電装置に送信する。そして、送電装置において、制御装置は、たとえば、撮像装置によって撮影された撮影画像に従って発光装置の点滅周期を認識し、通信装置によって受信された点滅周期情報が示す点滅周期と、撮影画像に従って認識された点滅周期とが同一である場合には、撮像装置によって撮影された車両を、撮影画像から認識された点滅周期を示す点滅周期情報を送信した車両と対応付ける(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-121489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の非接触電力伝送システムは、通信装置によって受信された点滅周期情報が示す点滅周期と、撮影画像に従って認識された点滅周期とが同一であるかどうかの判定を行うため、構成が複雑であった。
【0005】
そこで、簡易な構成で無線給電を可能とする給電システム、給電装置、及び、給電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態の給電システムは、第1物体に設けられ、前記第1物体と相対的に移動する第2物体が出現する第1方向に第1赤外線を出力する第1指向性を有し、前記第1赤外線を出力する第1赤外線出力部と、前記第2物体に設けられ、再帰反射で第1赤外線を反射する反射体と、前記第2物体に設けられ、相対的に移動する前記第1物体が存在する第2方向に第2赤外線を出力する第2指向性を有し、無線給電によって受電した電力で前記第2赤外線を出力する第2赤外線出力部と、前記第1物体に設けられ、前記第1赤外線の前記反射体による反射赤外線、又は、前記第2赤外線を受光すると、前記反射赤外線、又は、前記第2赤外線の到来方向にビームを出力する、給電部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
簡易な構成で無線給電を可能とする給電システム、給電装置、及び、給電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態の給電装置100を示す図である。
図2】アレイアンテナ110の極座標系を示す図である。
図3】給電装置100の適用例を示す図である。
図4】マーカ50を示す図である。
図5】給電システム200における動作例を示す図である。
図6】電装置100の制御部153が実行する処理を示す図である。
図7】マーカ50以外の物体60で反射された赤外線を給電装置100が受光する場合の動作を示す図である。
図8】給電システム200における他の動作例を示す図である。
図9】マーカ50の制御部54が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の給電システム、給電装置、及び、給電方法を適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態>
実施の形態の給電システム及び給電方法について説明する前に、図1及び図2を用いて、実施の形態の給電装置100について説明する。
【0011】
図1は、実施の形態の給電装置100を示す図である。給電装置100は、アレイアンテナ110、フェーズシフタ120、マイクロ波発生源130、カメラ140、及び制御装置150を含む。
【0012】
以下では、XYZ座標系を用いて説明する。平面視とはXY平面視のことである。また、X軸は第1軸の一例であり、Y軸は第2軸の一例であり、Z軸は第3軸の一例である。また、XY平面は第1平面の一例であり、XZ平面は第2平面の一例である。
【0013】
アレイアンテナ110は、一例として4つのサブアレイ110A、110B、110C、110Dにグループ分けされている。サブアレイ110A~110Dは、X軸方向に配列されており、各サブアレイ110A~110Dは、一例として4つのアンテナ素子111を含む。このため、アレイアンテナ110は、一例として16個のアンテナ素子111を含む。アンテナ素子111は、平面視で矩形状のパッチアンテナである。アレイアンテナ110は、アンテナ素子111の-Z方向側にグランド電位に保持されるグランド板を有していてもよい。なお、一例として、16個のアンテナ素子111の位置の中心は、XYZ座標系の原点と一致している。
【0014】
フェーズシフタ120は、4つのサブアレイ110A~110Dに対応して4つ設けられており、4つのフェーズシフタ120は、それぞれサブアレイ110A~110Dのアンテナ素子111に接続されている。各サブアレイ110A~110Dの中では、4つのアンテナ素子111は、1つのフェーズシフタ120に並列に接続されている。フェーズシフタ120は、位相調節部の一例である。
【0015】
各サブアレイ110A~110Dの中では、4つのアンテナ素子111には同一の位相の電力が供給される。また、4つのフェーズシフタ120がサブアレイ110A~110Dに出力する電力の位相は互いに異なる。このため、16個のアンテナ素子111から放射される電波が形成するビームの角度(仰角)をXZ平面内で制御することができる。また、ビームは、挟角の指向性を有し、指向性は、一例として、約5度から約15度である。
【0016】
16個のアンテナ素子111から放射される電波が形成するビームは、アレイアンテナ110が出力するビームと同義である。また、アレイアンテナ110が出力するビームは、給電装置100が出力するビームと同義である。
【0017】
マイクロ波発生源130は、4つのフェーズシフタ120に接続されており、所定の電力のマイクロ波を供給する。マイクロ波発生源130は、電波発生源の一例である。マイクロ波の周波数は、一例として915MHzである。なお、ここでは給電装置100がマイクロ波発生源130を含む形態について説明するが、マイクロ波に限られるものではなく、所定の周波数の電波であればよい。
【0018】
カメラ140は、サブアレイ110Bと110Cの間に配置される。カメラ140は、魚眼レンズ141及びカメラ本体142を有する。カメラ140は、画像取得部の一例である。
【0019】
魚眼レンズ141は、等距離射影方式を採用したレンズである。魚眼レンズ141の中心の位置は、一例として、16個のアンテナ素子111の中心及びXYZ座標系の原点と一致している。カメラ本体142は、カメラ140のうち魚眼レンズ141以外の部分であり、所定の波長の赤外線を受光できるカメラであればよい。所定の波長は、一例として、850nmであるが、850nm以外の波長であってもよい。
【0020】
850nmの赤外線を受光可能なカメラ140は、例えば、850nmの波長を透過するフィルタを備えた赤外線カメラ、又は、赤外線を受光可能で850nmの波長を透過するフィルタを備えたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等である。
【0021】
カメラ140は、魚眼レンズ141を通じてマーカを含む画像を取得し、画像データを制御装置150に出力する。マーカは、給電装置100が出力するビームを照射したいターゲットに取り付けられている。給電装置100は、カメラ140で取得した画像に含まれるマーカの位置を求め、ターゲットに向けてビームを照射する。
【0022】
制御装置150は、位置変換部151、仰角取得部152、制御部153、及びメモリ154を有する。制御装置150は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを含むコンピュータによって実現される。位置変換部151、仰角取得部152、制御部153は、制御装置150が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ154は、制御装置150のメモリを機能的に表したものである。
【0023】
ここで、位置変換部151、仰角取得部152、制御部153、メモリ154については、図1に加えて図2を用いて説明する。図2は、アレイアンテナ110の極座標系を示す図である。図2には、給電装置100のうちのアレイアンテナ110とカメラ140のみを示す。また、図2には、XY平面に平行な平面上における極座標系を示す。
【0024】
また、XYZ座標系におけるマーカの位置をP1とし、原点Oと位置P1を結ぶ線分の仰角をθ、方位角をφとする。仰角は+Z方向に対する角度であり、方位角は+X方向に対する角度であり、平面視で反時計回りを正の値とする。また、位置P1をXZ平面に投影した位置P1aと原点Oとを結ぶ線分の仰角をθaとする。
【0025】
位置P1は、第1位置の一例であり、位置P1aは、投影位置の一例である。また、原点OはXYZ座標系の基準点の一例である。
【0026】
給電装置100は、アレイアンテナ110が出力するビームの仰角をXZ平面内でのみ制御する。これは、ターゲットの位置がXZ平面からあまりずれていない(例えば、YZ平面内でのZ軸に対する仰角で±30度以内程度)ことを想定している。このような位置にあるターゲットであれば、ビームの仰角をXZ平面内で制御するだけで、ターゲットにビームを照射できるからである。
【0027】
位置変換部151は、カメラ140が取得した画像に対して画像処理を行い、魚眼レンズ141を通じて得た等距離射影の画像をXY平面に平行な平面上における極座標に変換する。この画像処理により、カメラ140によって取得される画像に含まれるマーカのアレイアンテナ110に対する位置P1は、XY平面上の極座標における位置P2に変換される。位置P2は、第2位置の一例である。
【0028】
位置P2は、原点Oからの動径rと偏角φによって表される。動径rは、魚眼レンズ141の焦点距離をfとすると、r=fθで表される。偏角φは方位角φと同一である。位置変換部151は、上述の画像処理によって、動径rをX軸に写像したr・cosφを求める。
【0029】
仰角取得部152は、位置P2をX軸に写像した写像位置P2aのX座標(r・cosφ)を魚眼レンズ141の焦点距離fで除算した値(r・cosφ/f)を、仰角θaとして取得(計算)する。このようにして仰角θaを取得できる理由については後述する。
【0030】
制御部153は、アレイアンテナ110が放射するビームの方向がXZ平面内で仰角θaになるようにフェーズシフタ120を制御する。仰角θaは、仰角取得部152によって取得される。また、制御部153は、マイクロ波発生源130の出力制御、及び、カメラ140の撮影制御等を行う。
【0031】
メモリ154は、位置変換部151、仰角取得部152、制御部153が処理を行う際に実行するプログラム、プログラムの実行に伴い利用するデータ、プログラムの実行によって生じるデータ、及び、カメラ140が取得する画像データ等を格納する。
【0032】
次に、仰角θaを求める方法について説明する。
【0033】
仰角θaは、方位角φと仰角θを用いると、位置P1と位置P1aの幾何学的関係から次式(1)で求めることができる。
【0034】
【数1】
式(1)を展開すると、式(2)が得られる。
【0035】
【数2】
ここで、仰角θが十分に小さい場合にはtanθ≒θであり、方位角φが十分に小さい場合にはcosφ≒1であり、方位角φが90度に近い場合にはcosφ≒0であるので、式(2)は次式(3)に変形できる。
【0036】
【数3】
すなわち、ターゲットの位置がXZ平面からあまりずれていない場合には、仰角θaは式(3)のように近似することができる。
【0037】
また、上述したように、魚眼レンズ141の焦点距離をfとすると、動径rは次式(4)で表される。
r=fθ (4)
式(3)、(4)より、仰角θaは次式(5)で表すことができる。
θa=r・cosφ/f (5)
このように、式(5)を用いて、仰角θaを近似的に求めることができる。
【0038】
以上のように、アレイアンテナ110のビームの仰角をXZ平面内でのみ制御する場合には、等距離射影によって得られた位置P1をXY平面に平行な平面上における極座標に変換して位置P2を求め、さらに位置P2をX軸に写像した写像位置P2aのX座標(r・cosφ)を魚眼レンズ141の焦点距離fで除算することで、仰角θa(=r・cosφ/f)を求めることができる。
【0039】
図3は、給電装置100の適用例を示す図である。給電装置100は、一例として車両30に搭載されており、トンネルの内壁10にはターゲットとしてのアンテナ20が設けられている。アンテナ20にはマーカ50が接続されている。マーカ50は、再帰反射(再帰性反射)で赤外線を反射する反射体を含む。ここで、車両30は、第1物体の一例であり、トンネルの内壁10は、第2物体の一例である。車両30が+X方向に進行すると、車両30とトンネルの内壁10とは相対的に移動するため、車両30とマーカ50も相対的に移動することになる。車両30に搭載された給電装置100に対するマーカ50の相対移動方向は、-X方向である。ここでは、車両30がマーカ50を相対的に追い越すように移動する形態について説明する。ここでは、マーカ50が停止している場合について説明するが、追い越すとは、相手が停止している場合、又は、同一方向に進行している場合に、相手を後ろから抜いて先に行くことである。
【0040】
車両30が+X方向に走行する際に、カメラ140でマーカ50の位置をXY平面に平行な平面上における極座標に変換し、さらにX軸に写像した写像位置(P2aに相当する写像位置)のX座標(r・cosφ)を魚眼レンズ141の焦点距離fで除算して求まる仰角θa(=r・cosφ/f)を用いて、アンテナ20にビームを照射することができる。
【0041】
例えば、トンネルの内壁10に取り付けてあるジェットファンや標識等のインフラ構造物を内壁10に固定する固定部に、アンテナ20と、固定部のボルト等の緩みを監視するセンサと、レクテナと、キャパシタと、無線通信モジュールとを設けておき、車両30で走行しながら給電装置100からアンテナ20にビームを放射すると、アンテナ20に接続されたレクテナがマイクロ波を電力に変換する。レクテナによって変換された電力は、キャパシタに蓄積され、マーカとセンサおよび無線通信モジュールを起動する。そして、マーカが所定の動作を行い、無線通信モジュールがセンサの出力を表す信号を送信し、車両30側で受信することにより、走行しながらインフラ構造物の固定状態を検査することができる。なお、固定部のボルト等の緩みを監視するセンサは、一例として、ワッシャに組み込まれてボルトとともに締結され、ボルトの緩みを検出する。なお、マーカの所定の動作については後述する。
【0042】
また、XZ平面からずれたアンテナ20の位置からX軸に写像した写像位置(P2aに相当する写像位置)のX座標(r・cosφ)を求め、X座標(r・cosφ)を魚眼レンズ141の焦点距離fで除算した値(r・cosφ/f)を仰角θaとして使用してビームを制御するので、X軸方向に走行する車両30がY軸のプラスマイナスのどちらかにシフトとしている場合でも、その位置ずれを吸収して仰角θaを求めることができる。
【0043】
ここで、図4を用いてマーカ50の詳細について説明する。図4は、マーカ50を示す図である。マーカ50は、筐体51、反射体52、LED53(53A~53G)、及び制御部54を含む。筐体51は、円筒状のケースである。筐体51の外周面には、2つの反射体52と、複数のLED53(53A~53G)が露出している。また、筐体51の内部には、制御部54が設けられている。
【0044】
このようなマーカ50は、一例として、トンネルの内壁10(図3参照)の予め決められた位置に取り付けられる。予め決められた位置とは、一例として、トンネルを進行方向に垂直な平面で切断して得る断面における所定の位置であり、進行方向を向いて内壁10の左側の所定の高さの位置である。トンネルに沿ってこのような位置に一定間隔でマーカ50を取り付ければ、車両30でトンネルを走行する場合に、車両30の進行方向における左斜め上前方に繰り返しマーカ50が出現することになる。
【0045】
反射体52は、再帰反射(再帰性反射)で赤外線を反射する反射体であり、筐体51の外周面の上側と下側に設けられている。反射体52は、入射する赤外線を入射方向に沿って反射する再帰反射体(再帰性反射体)であり、例えば、フィルム状、又は、反射板型のものを用いることができる。反射体52が反射する方向は、赤外線の入射方向に略等しい。
【0046】
LED53(53A~53G)は、筐体51の外周面で、上側の反射体52と下側の反射体52との間で周方向に沿って複数設けられており、波長が850nmの赤外線を出力する赤外線LEDである。LED53は、第2赤外線出力部の一例であり、LED53(53A~53G)が出力する赤外線は、第2赤外線の一例である。
【0047】
マーカ50は、一例として、トンネルの内壁10(図3参照)に取り付けるので、複数のLED53(53A~53G)は、一例として、トンネルの内壁10側に位置しない半周の部分(図4で見える部分)にわたって設けられていればよい。すなわち、複数のLED53は、図4に示すように、手前側の半周分の外周面に設けられており、一例として、7つのLED53A~53Gを示す。以下では、LED53A~53Gを特に区別しない場合には、単にLED53と称す。
【0048】
LED53は、赤外線を挟角で出力する指向性を有する。LED53の指向性は、一例として、約10度から約20度である。各LED53の点灯は、制御部54によって制御される。LED53A~53Gは、向かって一番左側に位置するLED53Aから、向かって一番右側に位置するLED53Gの順に配列されている。
【0049】
制御部54は、アンテナ20で受電され、キャパシタに蓄積される電力で起動し、キャパシタに蓄積された電力を利用してLED53A~53Gを1つずつ順番に点灯させる。点灯させる順番は、LED53A~53Gの順である。これは、車両30がマーカ50に近づいてくるときに、LED53Aから順番に点灯させることによって、各LED53が出力する赤外線が車両30に搭載された給電装置100のカメラ140に照射されるようにするためである。
【0050】
なお、LED53毎にその指向性の方向にレクテナを具備することによって、マイクロ波が照射されているレクテナに接続されているLED53が点灯するようにしてもよい。車両30の移動に伴い、車両30とマーカ50の相対的な角度変位に応じて最適な位置にあるLED56が順次点灯していくため、LED53の指向性の方向の設定について特段の制御を行う必要はないことから設計の簡易化が図れる。
【0051】
次に、給電装置100を含む給電システム200について説明する。図5は、給電システム200における動作例を示す図である。図5では、給電システム200とマーカ50との位置関係を車両30の移動方向における右側から見た状態を示す。このため、図5では、右方向が+X方向である。また、マーカ50(A)、50(B)は、それぞれ、車両30に対する相対的な位置(A)、(B)におけるマーカ50を示す。マーカ50の相対移動方向は、-X方向である。
【0052】
給電システム200は、給電装置100と、マーカ50とを含む。マーカ50は、トンネルの内壁10に固定されており、給電装置100は、車両30に搭載されている。給電装置100は、図1及び図2に示す構成要素に加えて、さらに赤外線出力部160を含む。
【0053】
赤外線出力部160は、一例として、波長が850nmの赤外線を出力する赤外線投光器である。赤外線出力部160は、アレイアンテナ110の近傍に設けられており、一例として、約10度から約20度の指向性を有する。赤外線出力部160の指向性は、第1指向性の一例であり、赤外線出力部160は、照射範囲160Aに赤外線を照射する。照射範囲160Aは、赤外線出力部160の指向性によって得られるものであり、車両30の進行に伴って、トンネル内でマーカ50が出現する左斜め上前方を向いている。照射範囲160Aが向く方向は、車両30がトンネル内を進行した場合に、マーカ50が出現する方向である。
【0054】
また、図5には、アレイアンテナ110から出力されるビーム115A(115A1、115A2)を示す。ビーム115A(115A1、115A2)の指向性は、約5度から約15度である。アレイアンテナ110のビーム115Aは、ビーム115A1として示す位置や、ビーム115A2として示す方向に向けることができる。
【0055】
図5に示すように、赤外線出力部160が照射範囲160Aに赤外線を照射しながら車両30が進行し、照射範囲160Aに位置(A)のマーカ50が入ると、マーカ50の反射体52が再帰反射によって赤外線を入射方向に反射する。
【0056】
給電装置100は、カメラ140で反射光を受光し、位置変換部151が画像処理や極座標への変換を行い、仰角取得部152が位置(A)に相当する仰角θaを取得し、制御部153がフェーズシフタ120を制御して、アレイアンテナ110が仰角θaの方向にビームを出力する。これにより、位置(A)のマーカ50にビーム115A1が出力され、マーカ50の近傍のアンテナ20が電力を受電する。
【0057】
車両30は進行しており、車両30に対するマーカ50の位置は、位置(A)から位置(B)に相対的に移動している。マーカ50は、車両30との相対的な位置(B)において、LED53Aから赤外線を出力する。LED53Aは、車両30が予め決められた速度でトンネル内を走行する場合に、位置(A)でアンテナ20が受電してから、位置(B)でLED53Aが赤外線を出力した場合に、車両30がLED53Aから赤外線を受光できる方向に赤外線を出力する指向性を有する。
【0058】
給電装置100のカメラ140が位置(B)においてLED53Aから出力された赤外線を受光すると、位置変換部151が画像処理や極座標への変換を行い、仰角取得部152が位置(B)に相当する仰角θaを取得し、制御部153がフェーズシフタ120を制御して、アレイアンテナ110が仰角θaの方向にビームを出力する。これにより、位置(B)のマーカ50にビーム115A2が出力され、マーカ50の近傍のアンテナ20が電力を受電する。
【0059】
その後は、車両30がさらに進行し、アンテナ20が受電する度に、キャパシタに蓄積された電力を利用して、マーカ50はLED53B~53Gに赤外線を順次出力させる。給電装置100がLED53B~53Gからの赤外線を受光すると、給電装置100は、マーカ50の位置を特定し、マーカ50に向けてビーム115Aを出力する。
【0060】
LED53Bの指向性の向きは、LED53Aの指向性の向きに対して、給電装置100から見た位置(A)と位置(B)との間の角度の分だけずらされており、同様に、LED53C~53Gの指向性の向きは、LED53Bの指向性の向きに対して、位置(A)と位置(B)との間の角度の分だけ順次ずらされている。
【0061】
また、LED53A~53Gの挟角の指向性は、マーカ50に対して車両30が位置する距離の範囲内で、LED53A~53Gの各々の赤外線の照射範囲が重ならない程度に狭くなるように設定されている。
【0062】
このような給電装置100によるビーム115Aの出力と、マーカ50によるLED53からの赤外線の出力とは、給電装置100がLED53Gからの赤外線を受光したことに対してビーム115Aを出力し、給電装置100がLED53からの赤外線を受光しなくなるまで行われる。
【0063】
図6は、給電装置100の制御部153が実行する処理を示す図である。図6に示す処理は、実施の形態の給電方法の処理を示す。
【0064】
制御部153は、処理がスタートすると、赤外線出力部160から赤外線を出力する(ステップS1)。
【0065】
制御部153は、マーカ50から赤外線を受光したかどうかを判定する(ステップS2)。給電装置100がマーカ50から受光する赤外線は、最初(1回目)は赤外線出力部160から出力された赤外線の反射光であり、2回目以降は、マーカ50のLED53が出力した赤外線である。
【0066】
制御部153は、赤外線を受光した(S2:YES)と判定すると、アレイアンテナ110にビーム115Aを出力させる(ステップS3)。より具体的には、位置変換部151が画像処理や極座標への変換を行い、仰角取得部152が位置(B)に相当する仰角θaを取得し、制御部153がフェーズシフタ120を制御して、アレイアンテナ110が仰角θaの方向にビームを出力する。
【0067】
ステップS3の処理が終了すると、制御部153はフローをステップS2にリターンさせる。
【0068】
制御部153は、ステップS2において、赤外線を受光していない(S2:NO)と判定すると、一連の処理を終了する(エンド)。処理が終了するのは、例えば、給電装置100がLED53Gからの赤外線を受光したことに対してビーム115Aを出力し、給電装置100がLED53からの赤外線を受光しなかった場合と、マーカ50以外の物体で反射された赤外線を受光した場合である。
【0069】
図7は、マーカ50以外の物体60で反射された赤外線を給電装置100が受光する場合の動作を示す図である。図6において、物体60(A)、60(B)は、それぞれ、車両30に対する相対的な位置(A)、(B)における物体60を示す。
【0070】
図7に示すように、赤外線出力部160が照射範囲160Aに赤外線を照射しながら車両30が進行し、照射範囲160Aに位置(A)の物体60が入り、物体60で反射された赤外線がカメラ140によって受光されたとする。物体60は、マーカ50以外の物体であり、位置(A)において車両30の方を向いていた物体や、トンネルの内壁10に設けられた再帰反射体である。
【0071】
給電装置100は、カメラ140で反射光を受光し、位置変換部151が画像処理や極座標への変換を行い、仰角取得部152が位置(A)に相当する仰角θaを取得し、制御部153がフェーズシフタ120を制御して、アレイアンテナ110が仰角θaの方向にビームを出力する。これにより、位置(A)の物体60に向けてビーム115A1が出力される。
【0072】
車両30は進行しており、車両30に対するマーカ50の位置は、位置(A)から位置(B)に相対的に移動している。
【0073】
しかしながら、物体60は、アンテナ20のように受電可能な構成要素には接続されておらず、アンテナ20のように受電可能な構成要素を含まず、LED53を有していないため、給電装置100が位置(B)の物体60から赤外線を受信することはない。
【0074】
この結果、給電装置100は処理を終了する。これは、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS1で赤外線を照射、ステップS2でYES、ステップS3でビーム115Aを出力、リターンしたステップS2でNOと判定して処理が終了するパターンである。
【0075】
このため、給電装置100がマーカ50以外の物体60から偶然的に赤外線の反射光を受光した場合には、ビーム115Aを一度出力するだけで処理が終了することになる。この結果、無駄にビーム115Aを出力することが抑制される。
【0076】
図8は、給電システム200における他の動作例を示す図である。マーカ50(A)、50(B)、50(C)は、それぞれ、車両30に対する相対的な位置(A)、(B)、(C)におけるマーカ50を示す。
【0077】
図8において、位置(A)から位置(B)までは、図5に示す動作と同一である。図8では、位置(B)よりも後の位置(C)における動作が図5とは異なる。
【0078】
給電装置100が位置(B)のマーカ50にビーム115A2を出力し、マーカ50の近傍のアンテナ20が電力を受電する。
【0079】
このときに、マーカ50の制御部54が、アンテナ20で受電され、キャパシタに蓄積された電力が所定量以上になったと判定すると、制御部54は、LED53Bの点灯を行わずに、LED53の点灯処理を終了する。
【0080】
例えば、固定部のボルト等の緩みを監視するセンサが検出を行い、検出データを無線通信モジュールが送信するのに十分な電力があると制御部54が判定した場合には、それ以上電力を受電しなくてもよいため、LED53の点灯制御を終了する。LED53の点灯制御を終了すれば、給電装置100は、ビーム115Aを出力しなくなる。
【0081】
この結果、位置(C)では、マーカ50は、LED53の点灯を行わない。このため、マーカ50が位置(C)にあるときには、給電装置100は、ビーム115Aを出力しない。
【0082】
このように、マーカ50の制御部54が、アンテナ20によって受電され、キャパシタに蓄積された電力が所定量以上になった場合にLED53の点灯処理を終了するようにすれば、必要以上にビーム115Aや赤外線の出力を行わずに済む。
【0083】
図9は、マーカ50の制御部54が実行する処理を示すフローチャートである。
【0084】
制御部54は、処理がスタートすると、キャパシタからの電力供給があるかどうかを判定する(ステップS11)。
【0085】
制御部54は、電力供給がある(S11:YES)と判定すると、LED53を点灯する(ステップS12)。図9に示すフローが繰り返し実行される度に、ステップS12では、LED53A~53Gが、1つずつ順番に点灯される。
【0086】
制御部54は、キャパシタに蓄積されている電力が所定量以上であるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0087】
制御部54は、電力が所定量以上である(S13:YES)と判定すると、LED53の点灯を終了する(ステップS14)。
【0088】
制御部54は、ステップS14の処理を終えると、一連の処理を終了する(エンド)。
【0089】
また、制御部54は、ステップS13において、電力が所定量以上ではない(S13:NO)と判定すると、フローをステップS11にリターンする。
【0090】
また、制御部54は、ステップS11において、電力供給がない(S11:YES)と判定した場合にも、一連の処理を終了する(エンド)。
【0091】
制御部54が図9に示すような処理を行うことにより、図8に示すように、位置(C)では、マーカ50はLED53を点灯しなくなる制御が行われ、給電装置100はビーム115Aを出力しなくなる。これは、図9において、マーカ50が位置(A)及び(B)にいるときに、ステップS11でYES、ステップS12、ステップS13でNOでステップS11にリターンする処理が行われた後に、マーカ50が位置(C)に相対的に移動すると、ステップS13でYESと判定し、ステップS14でLED53を点灯しなくなることに相当する。
【0092】
以上のように、給電装置100は、赤外線(反射光又はLED53の赤外線)を受光すると、赤外線の到来方向に向けてビーム115Aを出力する。赤外線がマーカ50から到来した場合には、給電装置100は、再び赤外線を受信することになり、赤外線を受信する度にビーム115Aを出力することになる。この結果、無線通信モジュールがセンサの出力を表す信号を放射し、車両30側で受信することにより、走行しながらインフラ構造物の固定状態を検査することができる。また、赤外線がマーカ50以外の物体60から到来した場合には、物体60はビーム115Aを受電しないので、そこで処理を終える。
【0093】
このように、給電装置100が二回目以降にビーム115Aを出力するかどうかは、最初に赤外線出力部160が出力した赤外線を反射する物体が、マーカ50であるかマーカ50以外の物体60であるかによって決まり、マーカ50であるかどうかを特に識別しているわけではない。
【0094】
このため、非常に簡単な構成でマーカ50に対してビーム115Aを出力して給電を行うことができる。
【0095】
したがって、簡易な構成で無線給電を可能とする給電システム200、給電装置100、及び、給電方法を提供することができる。
【0096】
また、挟角の指向性を有するLED53(53A~53G)を含むマーカ50を用いることにより、反射源がマーカ50であるかどうかを識別することなく、マーカ50にのみ継続的に給電を行うことが可能になっている。
【0097】
また、マーカ50は、電源を持たずに、アンテナ20がビームを受信することによってキャパシタに蓄えられた電力で駆動するパッシブタイプであるため、電力を供給するためのケーブルやバッテリ等が不要であり、ランニングコストが低く、メインテナンス性に優れている。
【0098】
また、マーカ50は、再帰反射(再帰性反射)で赤外線を反射する反射体52を有するので、給電装置100の赤外線出力部160に向けて赤外線を反射できる。そして、給電装置100は、赤外線の反射源であるマーカ50が存在する方向を表す仰角θaの方向にビーム115Aを出力し、マーカ50の近傍に配置されたアンテナ2がビーム115Aを受電する。このため、相対的に移動するマーカ50に確実に電力を供給することができ、信頼性の高い給電システム200を提供できる。
【0099】
また、給電装置100は、アレイアンテナ110が出力するビームの仰角をXZ平面内でのみ制御するため、仰角をXZ平面内とYZ平面内の両方で制御する場合に比べてフェーズシフタ120の数が4分の1で済む。このため、給電装置100を安価に実現することができる。
【0100】
なお、以上では、給電装置100からアンテナ20を介してマーカ50に電力が供給される度に、マーカ50がLED53A~53Gを点灯させる形態について説明した。1つのアンテナ20から複数のセンサに電力が供給されて、各センサが検出した検出データを順番に無線通信モジュールが送信する場合に、1回の出力によるビーム115Aがどの程度の電力量を有するかは、センサの数、1回の出力によるビーム115Aで動作するセンサの数、キャパシタの容量等に応じて決定すればよい。
【0101】
また、以上では、車両30がマーカ50を相対的に追い越すように移動する形態について説明したが、車両30とマーカ50がすれ違うように移動する形態であってもよい。すれ違うとは、車両30とマーカ50が互いに反対方向に移動しているときに、入れ違いになることである。
【0102】
また、以上では、魚眼レンズ141の中心が16個のアンテナ素子111の中心と一致している形態について説明した。しかしながら、魚眼レンズ141の中心は、16個のアンテナ素子111の中心からずれていてもよい。この場合には、位置ずれの分だけアレイアンテナ制御位相計算の座標原点をずらせばよい。
【0103】
また、ここでは図3を用いて給電装置100がトンネルの内壁10に設けられた無線通信モジュールと通信する形態について説明したが、無線通信モジュールはトンネルの内壁10に設けられているものに限らず、様々な場所等に設置されていてよい。このようにすれば、給電装置100を通信装置として利用することができる。
【0104】
以上、本発明の例示的な実施の形態の給電システム、給電装置、及び、給電方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
50 マーカ
52 反射体
53、53A~53 GLED
100 給電装置
110 アレイアンテナ
110A~110D サブアレイ
111 アンテナ素子
120 フェーズシフタ
130 マイクロ波発生源
140 カメラ
141 魚眼レンズ
150 制御装置
151 位置変換部
152 仰角取得部
153 制御部
160 赤外線出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9