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特許7069236イメージングシステムの動作を制御する方法及びイメージを取得するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】イメージングシステムの動作を制御する方法及びイメージを取得するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20220510BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220510BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220510BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 526
A61B1/045 618
A61B1/313 510
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2020037727
(22)【出願日】2020-03-05
(62)【分割の表示】P 2018131974の分割
【原出願日】2011-11-08
(65)【公開番号】P2020103935
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】61/411,225
(32)【優先日】2010-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513112061
【氏名又は名称】コナヴィ メディカル インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コートニー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】シンド,アマンディープ
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-510586(JP,A)
【文献】特表2010-508973(JP,A)
【文献】特開2010-011964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0299195(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0249588(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像システムの作動方法であって、
前記撮像システムは、撮像プローブ、外部撮像装置、およびフラッシュ液によって管腔内の置換可能媒体を置換する媒体置換装置を備え、
前記撮像プローブは、撮像機器によって画像を取得するように構成された撮像部品を備え、
前記撮像プローブは、前記外部撮像装置を用いて前記撮像プローブの位置を識別することを促進するマーカを備え、
前記方法は、
プロセッサが、1つ以上の第1画像を取得するように前記外部撮像装置を制御するステップ、
前記プロセッサが、前記1つ以上の第1画像を処理して関心領域を識別するステップ、 その後に続く前記撮像プローブの移動において、
前記プロセッサが、前記外部撮像装置を制御して、1つ以上の追加の前記第1画像を取得するステップ、
前記プロセッサが、前記1つ以上の追加の第1画像を処理して、前記関心領域に対する前記撮像プローブの位置を特定するステップ、
前記撮像プローブが前記関心領域にあると判定するとき、前記プロセッサが、前記媒体置換装置に対して制御信号を送信して前記フラッシュ液を配送するステップ、
前記プロセッサが、前記撮像部品の前記撮像機器から前記関心領域の1つ以上の第2画像を取得するステップ、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記1つ以上の第2画像は、媒体置換によって改善される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記撮像システムはさらに、前記撮像部品を長手方向移動させる移動機構とのインターフェースを有するモータドライバを備え、
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、制御信号を前記モータドライバに対して送信して、前記撮像部品を移動させるために前記移動機構を制御するステップ、
を有する、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、ユーザインターフェースを制御して、前記撮像部品の移動中に媒体置換を実行すべきであることをオペレータに示すステップを有する、
請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記媒体置換装置は流体供給装置を含む、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記流体供給装置はさらに、
自動注射器、圧力注入バッグ、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、ピストンポンプ、バルブシステム、重力加圧システム、外部から圧力を加えるための手段、を含む群から選択される構成要素を含む、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、媒体置換に関連するパラメータを監視するステップを有する、
請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、前記パラメータが所定値の範囲内にない場合、オペレータに警告するか、または、前記媒体置換装置に対して制御信号を送信するステップを有する、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の第1の画像を処理するステップは、前記プロセッサが、3次元画像データを処理するステップを有する、
請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記関心領域を識別するステップは、前記1つ以上の第1画像を既知のまたは予想される特性と比較するステップを有する、
請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記既知のまたは予想される特性は、正常な解剖学的特徴、病理学的解剖学的特徴、および医療用インプラントのうちの1つ以上の空間プロファイルおよび/または組織タイプである、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記関心領域は、
プラーク、血栓、分岐点、病変、石灰化、ステント、近接照射療法インプラント、狭窄、血管壁肥厚領域、脂質コア、壊死領域、線維性キャップ、切開、微小気泡、標的微小気泡、血管病変、およびそれらの組み合わせ、
を含む群から選択された物質または特徴を含む、
請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、前記1つ以上の第1画像および前記1つ以上の第2画像を処理して、前記1つ以上の第1画像を前記1つ以上の第2画像と空間的に相関させるステップを有する、
請求項1から12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、前記1つ以上の第2画像内の前記関心領域の開始位置および終了位置のうちの少なくとも一方を識別するステップをさらに含む、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の第1画像および前記1つ以上の第2画像を処理するステップは、プロセッサが、前記1つ以上の第1画像および前記1つ以上の第2画像において、
病理学的目印、解剖学的目印、解剖学的特徴のサイズ、管腔の直径、血管解剖学的構造の分岐、血管境界の形状、およびそれらの組み合わせ、
を含む群から選択された特徴を識別するステップを有する、
請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の第1画像および前記1つ以上の第2画像を処理するステップは、前記プロセッサによる3次元画像データの処理を含む、
請求項13から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記撮像機器は、
OCT、血管造影、血管内視鏡検査、NIR分光法、ラマン分光法、IVUS、高周波IVUS、エラストグラフィ、ソノルミネセンスイメージング、マイクロバブル増強IVUS、標的化マイクロバブル増強IVUS、蛍光分光法、および光音響イメージング、
を含む群から選択されている、
請求項1から16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、前記1つ以上の第2画像をリアルタイムで処理して、前記1つ以上の第2画像の品質の尺度を決定するステップ、
前記プロセッサが、前記品質の尺度に基づいて前記媒体置換装置に対して制御信号を送信するステップ、
を有する、
請求項1から17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記撮像システムはさらに、前記撮像部品を長手方向移動させる移動機構とのインターフェースを有するモータドライバを備え、
前記方法はさらに、
前記プロセッサが、前記撮像機器を使用して最適ではない撮像データが取得されたときを識別するとともに、障害が発生したと判定するステップ、
前記プロセッサが、前記移動機構を制御するための制御信号を前記モータドライバに対して送信して、前記障害に対応する領域を横断するまで、前記撮像プローブの前記撮像部品の移動方向を逆転させるように前記移動機構を制御するステップ、
前記プロセッサが、前記障害に対応する領域にわたって追加移動が実行される間に、前記媒体置換装置に対して制御信号を送信するステップ、
前記プロセッサが、前記撮像部品を制御して、前記障害に対応する領域にわたって前記追加移動を実施している間に、前記撮像機器から1つ以上の追加の前記第2画像を取得するステップ、
前記プロセッサが、前記1つ以上の追加の第2画像を、前記撮像プローブの前記撮像部品の関連する位置と空間的に相関させるステップ、
を有する、
請求項1または2記載の方法。
【請求項20】
前記撮像部品の移動は、プルバック移動またはプッシュフォワード移動を含む、
請求項1から19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
画像を取得するためのシステムであって、
撮像機器にしたがって画像を取得するように構成された撮像部品を有する撮像プローブ、
画像を提供するように構成された外部撮像装置、
を備え、
前記撮像プローブは、前記外部撮像装置を用いて前記撮像プローブの位置を識別することを促進するマーカを備え、
前記システムはさらに、
フラッシュ液を用いて管腔内の置換可能な媒体を置換する媒体置換装置、
前記外部撮像装置、前記撮像部品、および前記媒体置換装置と通信する少なくとも1つのプロセッサ、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記外部撮像装置から1つ以上の第1画像を取得するステップ、
前記1つ以上の第1画像を処理して関心領域を識別するステップ、
その後に続く前記撮像プローブの移動において、
前記外部撮像装置から、1つ以上の追加の前記第1画像を取得するステップ、
前記1つ以上の追加の第1画像を処理して、前記関心領域に対する前記撮像プローブの位置を特定するステップ、
前記撮像プローブが前記関心領域にあると判定するとき、前記媒体置換装置を制御して、前記フラッシュ液を配送するステップ、
前記撮像部品の前記撮像機器から、前記関心領域の1つ以上の第2画像を取得するステップ、
を実施するように構成されている、
システム。
【請求項22】
前記システムはさらに、前記撮像部品を長手方向移動させる移動機構とのインターフェースを有するモータドライバを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記モータドライバに対して制御信号を送信して、前記撮像部品の移動を実施するために前記移動機構を制御するステップを実施するように構成されている、
請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記システムはさらに、前記撮像部品の移動中に媒体置換が実行されるべきであることをオペレータに示すように構成されたユーザインターフェースを備える、
請求項21または22記載のシステム。
【請求項24】
前記媒体置換装置は流体供給装置を含む、請求項21から23いずれか1項記載のシステム。
【請求項25】
前記流体供給装置は、
自動注射器、圧力注入バッグ、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、ピストンポンプ、バルブシステム、重力加圧システム、圧力を外部から加えるための手段、
を含む群から選択された構成要素を含む、
請求項24記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記1つ以上の第2画像をリアルタイムで処理して、前記1つ以上の第2画像の品質の尺度を決定するステップ、
前記品質の尺度に基づいて前記媒体置換装置に対して制御信号を送信するステップ、
を実施するように構成されている、
請求項21から25のいずれか1項記載のシステム。
【請求項27】
前記システムはさらに、前記撮像部品を長手方向移動させる移動機構とのインターフェースを有するモータドライバを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記撮像機器を使用して最適ではない撮像データが取得されたときを識別するとともに、障害が発生したと判定するステップ、
前記移動機構を制御するための制御信号を前記モータドライバに対して送信して、前記障害に対応する領域を横断するまで、前記撮像プローブの前記撮像部品の移動方向を逆転させるように前記移動機構を制御するステップ、
前記障害に対応する領域にわたって追加移動が実行される間に、前記媒体置換装置に対して制御信号を送信するステップ、
前記撮像部品を制御して、前記障害に対応する領域にわたって前記追加移動を実施している間に、前記撮像機器から1つ以上の追加の前記第2画像を取得するステップ、
前記1つ以上の追加の第2画像を、前記撮像プローブの前記撮像部品の関連する位置と空間的に相関させるステップ、
を実施するように構成されている、
請求項21記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2010年、11月8日に出願された、米国仮出願番号61/411,225、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR IMPROVED VISUALIZATION DURING MINIMALLY INVASIVE PROCEDURES」の優先権を主張し、この文献の全体は、引用によって本願に援用される。
【0002】
本発明は、包括的に言えば、高解像度医療用イメージングの分野に関する。具体的には、本発明は、2つ以上のイメージング方式を含む低侵襲の方法(minimally invasive methods)に関する。
【背景技術】
【0003】
高解像度医療用イメージングには、組織構造、解剖学的組織及び/又は組成の評価、体の局部的領域への介入(interventions)の計画及び/又誘導、局部的領域の構造、組成又は他の特性を変更する介入の結果の評価を含む広範囲に亘る診断用途がある。多くの異なる高解像度イメージング方式のうち、臨床用及び研究用の非常に有用なツールとして、高周波超音波法及び光干渉断層法の2つがある。
【0004】
高周波超音波法は、脈管内及び心臓内の処置に特に有用な技術である。これらの用途のために、1つ以上の超音波トランスデューサが、体内に挿入可能なカテーテル又は他のデバイスに組み込まれる。高周波超音波法の特に重要な2つの具体例として、血管のイメージングのための血管内超音波法(intravascular ultrasound:IVUS)及び心室腔のイメージングのための心腔内心エコー法(intracardiac echocardiography :ICE)がある。ICE及びIVUSは、何れも低侵襲であり、血管又は心室腔内に1つ以上の超音波トランスデューサを配置し、これらの構造の高品質画像を撮像することを含む。
【0005】
IVUSの中心周波数は、通常、3~200MHzの範囲内にあり、より典型的には、8~80MHzの範囲内にある。周波数を高くすると、解像度が高くなるが、信号侵入が悪化し、この結果、視野が狭くなる。侵入深度は、1ミリメートル未満から数センチメートルまでの範囲を取ることができ、これは、例えば、トランスデューサの中心周波数及び形状、イメージングが行われる媒体による減衰、システムの信号対雑音比に影響する具体例固有の仕様等の幾つかのパラメータによって決まる。
【0006】
高解像度イメージング方法は、多くの場合、プローブの先端部近傍のイメージングデバイスにトルクを伝達する回転軸を使用する。これらの回転軸は、多くの場合、長く、薄く、柔軟であり、このため、例えば、脈管構造、泌尿生殖路、気道及びこれに類する他の体内の管腔等の解剖学的な導管を介してこれらを送達することができる。ケーブルに特定の方向のトルクが加えられると、トルクケーブルは、基端及び先端における回転の程度が緊密な関係を有するような特性を備えていることが理想的である。このようにトルクケーブルの先端(体内)における回転角によって、トルクケーブルの基端(体外)における回転角が適切に概算できるようにすることで、超音波カテーテルの設計が容易になる。
【0007】
(光ファイババンドルを採用する)血管内視鏡カテーテル、フェイズドアレイイメージングシステム(phased array imaging systems)等のようにトルクケーブルなしで動作する他のイメージングシステムもある。更に、トルクケーブルを使用することに代えて、カテーテルの先端にマイクロモータを組み込んだイメージングシステムも提案及び実証されている。
【0008】
後方散乱信号の取得及び/又は解析を修正して、イメージングされた組織に関する更なる情報を入手又は推定できるようにした高周波超音波法のバリエーションも存在している。これらには、組織が異なる血圧で圧縮される際の組織内の歪み(strain)を評価するエラストグラフィ(de Korte et al Circulation.2002 Apr 9;105(14):1627-30)、解剖構造内の血流等の動きを評価するドップラーイメージング、後方散乱信号の無線周波数特性をパターン認識アルゴリズムに組み合わせて用いて組織の組成の推定を試みるバーチャルヒストロジ(virtual histology)(Nair, U.S. Patent No.6,200,268)、第2高調波イメージング(Goertz et al, Invest Radiol.2006 Aug;41(8):631-8)等が含まれる。単結晶超音波トランスデューサ及び合成超音波トランスデューサの使用を含む超音波トランスデューサは、大幅に向上している。
【0009】
血管内の構造の高解像度イメージングを提供するための血管内超音波法のためのカテーテルベースのシステムは、Yock(米国特許番号第4,794,931号)に開示されている。このシステムは、外側シースを備え、長いトルクケーブルの先端近傍において、外側シース内に超音波トランスデューサが設けられている。トルクケーブル及び超音波トランスデューサアセンブリをモータが回転させると、解剖学的構造、例えば、血管の2D断面画像を生成することができる。カテーテル又はトルクケーブル及び超音波トランスデューサの直線的な平行移動を超音波トランスデューサの回転動作と組み合わせることによって、カテーテルの長手方向に沿った一連の2D画像を取得することができる。
【0010】
Hossack他(WO/2006/121851)は、CMUTトランスデューサ及び反射面を用いる前方視超音波トランスデューサ(forward looking ultrasound transducer)を開示している。
【0011】
医療分野で使用されている光ファイバテクノロジに基づく光学イメージ法は、光干渉断層法(optical coherence tomography:OCT)、血管内視鏡、近赤外線分光法、Raman分光法及び蛍光分光法を含む。これらの方式は、通常、イメージング側と画像検出器との間でシャフトに沿って光エネルギを伝達する1つ以上の光ファイバの使用を必要とする。
【0012】
光干渉断層法は、超音波法に類似する光学的手法であり、1~30ミクロン程度のイメージング解像度を提供するが、多くの場合、組織への侵入深度は、超音波より浅い。また、光ファイバを用いて、組織のレーザアブレーション及び光力学治療等の治療処置のためにエネルギを伝達することもできる。他の有用な光学イメージング方式には、プローブを使用して、光の後方反射に基づいて画像を取得する内視鏡検査又は他の同様の又は関連するイメージングメカニズムが含まれる。検出器及び光源の小型化によって、カテーテル自体に光源及び/又は検出器を含ませることができるようになり、光の伝送及び/又は検出における中継部品として機能する光ファイバを不要にできる可能性がある。
【0013】
光干渉断層法は、殆どの生物学的媒体(biologic media)において、侵入深度が浅い(500~3000ミクロン程度)という制約がある。血液を含むこのような媒体の多くは、光学的に不透明である。これまでのOCTでは、光学的にクリアな環境を得るために、血液の置換(displacement)が必要であった。1つの手法では、血液に適合性がないイメージング方式で測定を行う前に、血液を他の流体に置換する。Atlasに付与されている米国特許番号第7,625,366号は、フラッシュ液を血管に注入し、最小量の血液置換でOCT測定を実行するフラッシュカテーテルの一例を開示している。この目的で使用され又は想定されている流体は、X線不透過造影剤又は様々な系統の食塩水、乳酸リンゲル液等が含まれる。米国特許番号第7,794,446号(Bosse他)及び米国特許番号第7,747,315号(Villard他)には、OCTイメージングに使用するための改良されたフラッシュ液の組成が開示されている。
【0014】
より高い透明度を有する他の流体の導入による血液の置換によって、光干渉断層法イメージングを行うことができる期間が提供される。この時間窓は、例えば閉塞バルーン(occlusion balloon)を組み込んだガイドカテーテルを使用して血管内のフローを減少させることによって拡大できる。例えば、McGee他に付与されている米国特許番号第5,722,403号、第5,740,808号、第5,752,158号、第5,848,969号、第5,904,651号及び第6,047,218号には、イメージング装置を組み込んだ、膨張可能なバルーンを含むイメージングカテーテルシステムが開示されている。Webler他に付与されている米国特許番号第7,674,240号には、血管を閉塞するためにバルーンを膨張及び収縮させる改良されたデバイスが開示されている。
【0015】
OCTイメージングを向上させるための他の流体の導入による血液の置換は、従来、手動の作業で行われており、この場合、イメージング処置の間、施術者が透明な流体を1回以上注入する。このような注入は、手動の注射器の使用、加圧流体送達システムの使用、動力付きのポンプの使用を含む様々な手法で行うことができる。加圧流体送達システムは、単純に重力を利用して圧力を生じさせるものであってもよく、検査用の流体(fluid of interest)で満たされた圧縮可能又は変形可能なコンパートメントに圧力を印加するデバイスであってもよい。例えば、圧力注入バッグ(pressure infuser bags)は、従来の血圧測定用カフと同様の膨張式ブラダ(inflatable bladder)を用いて閉じたコンパートメント内の流体のバッグに圧力を印加する。膨張式ブラダ及び流体のバッグは、閉じた空間を共有する。したがって、手動のハンドポンプ等によってブラダが膨張すると、流体を患者に加圧注入することができる。
【0016】
これに代えて、例えば、X線不透過造影剤、食塩水又は空気等の光学的に透明な媒体で満たされたバルーンを使用して、血液を置換することもできる。バルーンは、OCTイメージング又は近赤外線(near infra-red:NIR)分光法等のために使用される光がイメージングプローブから出射されるカテーテルの領域を取り囲むようにしてもよい。
【0017】
ここで、血管から血液を置換する際に障害が生じることがある。例えば、置換された流体の導入によって、血管壁から粒子が剥がれ落ち、塞栓症が生じる僅かな可能性がある。誤って強すぎる力で流体を注入した場合、血管壁の層間で解離(dissection)が生じるおそれがあり、又は解離が既に存在している部位の近傍に流体を注入した場合、解離が悪化するおそれがある。心臓等の重要な器官において血液を他の流体に置換することによって生じる可能性がある合併症には、標的器官の虚血及び不整脈等が含まれる。置換流体が心筋に適量の酸素を搬送しなければ、低酸素症の結果、心不整脈が生じることもある。また、これらは、心筋内の電解質の濃度の変化に起因して生じる場合もある。
【0018】
心臓、脳、腎臓等の低酸素症の影響を受けやすい重要な器官に血液を供給する血管では、長期間に亘る血液置換及び/又は血管閉塞によって臨床的な問題が生じる可能性があり、施術者は、血液を置換する期間を最短にする必要がある。
【0019】
血液を置換する期間を最短化する必要性は、適切な量のイメージングデータを取得する要求とのバランスを図る必要がある。例えば、イメージングプローブを血管の長軸に沿って平行移動する場合、光学イメージング技術によって適切にイメージングされる血管の部分は、血液を適切に置換している時間の長さによって制限される。光学的に透明な流体を注入する場合、血液を置換する期間が重要であるだけではなく、注入される流体の量も重要な意味を有することがある。
【0020】
例えば、施術者が光学的に透明な媒体としてX線不透過造影剤を使用する場合がある。ここで、造影剤は、腎臓機能に有害な作用を有することが多く、急性腎不全の要因となることが医療分野で知られている。一方、血液の置換が不十分であれば、最適なイメージングは得られない。
【0021】
光干渉断層法(optical coherence tomography:OCT)のバリエーションには、組織成分の複屈折の特性を利用して構造及び組成に関する追加的情報を取得する偏光感受型OCT(polarization sensitive OCT:PS-OCT)、イメージングされた構造の組成に関する情報を同様に向上させる分光OCT(spectroscopic OCT)、フロー及び動きに関する情報を提供するドップラーOCT、OCTによるエラストグラフィ、イメージングデータをより速やかに取得でき、したがって、より短時間に多くの関心領域をイメージングできる光周波数領域イメージング(optical frequency domain imaging:OFDI)等が含まれる。
【0022】
OCTの他にも、光ファイバに基づくイメージングの幾つかの他の形式が存在する。Amundson他は、赤外光を用いた血液を介するイメージングのためのシステムを開示している(米国特許番号第6,178,346号)。このイメージングシステムに使用される電磁波スペクトルの範囲は、血液を介する侵入を最適化するものが選択され、これによって、イメージングされる領域から血液を退避させる必要なく、可視スペクトルの血管内視鏡によって得られるものと同様の血液を介する光学イメージングが実現する。
【0023】
Tearney他(米国特許番号第6,134,003号)は、光干渉断層法によって、高周波超音波又はIVUSで容易に得られる解像度より高い解像度のイメージングを提供する幾つかの実施形態を開示している。
【0024】
Dewhurst(米国特許番号第5,718,231号)は、脈管内イメージングのための前方視プローブ(forward looking probe)を開示しており、ここでは、光ファイバは、超音波トランスデューサを通過して延び、プローブの端部の正面の標的組織を照射する。そして、光は、標的組織とインタラクトして超音波を発生させ、この超音波を超音波センサが受信する。このシステムは、光学的画像を受信及び処理するように構成されていないため、イメージは、光音響イメージのみである。Dewhurstのデバイスで使用される超音波センサは、薄膜PVDF等の薄膜高分子圧電材料に制限され、超音波エネルギを受信するのみであり、電気エネルギを超音波に変換することはない。
【0025】
剛性を有する又は柔軟なシャフトの先端の近傍で、生体内の領域を照射する原理に基づいて、哺乳類の体内の内部導管及び構造(例えば、血管、胃腸管及び肺系統)を視覚化する血管内視鏡、内視鏡、気管支鏡及び他の多くのイメージングデバイスが開示されている。そして、シャフトの端部近傍の光検出器アレイ(例えば、CCDアレイ)によって、又は光ファイバのバンドルによって、受光した光をシャフトの先端から基端に伝送し、光検出器のアレイ又は照射された領域を表す画像を施術者が生成又は視認できるようにする他のシステムによって、画像が生成される。ファイバのバンドルは、嵩張り、シャフトの柔軟性を低下させる等の短所がある。
【0026】
低侵襲の解剖構造の評価のための他の光ファイバに基づく方式としては、Motz他が開示するRaman分光法(J Biomed Opt.2006 Mar-Apr; 11(2))、Caplan他が開示する近赤外線分光法(J Am Coll Cardiol.2006 Apr 18;47(8 Suppl):C92-6)及び、例えば、腫瘍内の蛋白質分解酵素の標識蛍光イメージング(tagged fluorescent imaging)等の蛍光イメージング(Radiology.2004 Jun;231(3):659-66)等が含まれる。
【0027】
近年、単一のデバイス内で複数のイメージング方式を結合したプローブ設計が出現している。Maschke(米国特許出願番号第11/291,593号に対応する米国特許出願公開番号第2006/0116571号)には、OCTイメージングトランスデューサ及びIVUSイメージングトランスデューサの両方が装着されたガイドワイヤの実施形態が開示されている。ここに記述されている発明には、幾つかの短所がある。典型的なガイドワイヤの直径は、通常、0.014~0.035インチ(約350~875ミクロン)であるが、典型的な超音波トランスデューサのサイズは、少なくとも400ミクロン×400ミクロンであり、20~100MHzの範囲の周波数では、通常、より大きなサイズを有する。トランスデューサが小さすぎると、ビームの集光が不十分になり、信号特性が悪くなる。Maschkeでは、IVUSイメージングメカニズム及びOCTイメージングメカニズムは、ガイドワイヤの長手方向に沿った異なる位置に設けられ、この種の構成(IVUSイメージング手段及びOCTイメージング手段がイメージングシャフトの長手方向に沿った異なる位置に設けられている構成)に関連する実質的な短所は、イメージの最適な重ね合わせが不可能であるという点である。
【0028】
同様に、Maschkeに付与されている米国特許番号第7,289,842号は、カテーテル上でIVUSとOCTとを結合したイメージングシステムを開示しており、ここでは、IVUSイメージング要素及びOCTイメージング要素は、長軸を中心に回転するカテーテルの長手方向に沿って、互いに位置がずれている。また、Maschkeに開示されている画像の生成では、画像の中心部分を、実質的にシステムの解像度がより高いOCTイメージング部の出力から取得し、画像の外側部分を、実質的にシステムの超音波イメージング部の出力から取得し、超音波の侵入深度の深さと、カテーテル近傍の組織について、OCTの解像度の高さとを組合せて利用する。
【0029】
Irionに付与されている米国特許第6,390,978号では、高周波超音波を光干渉断層法と組み合わせて使用する手法が開示されており、ここでは、超音波ビーム及びOCTビームは、互いに重ねられる。
【0030】
Courtney他による米国特許出願公開公報第2008/0177138号には、側方視及び/又は前方視イメージングが可能な小型のイメージングアセンブリ内にIVUSトランスデューサ及びOCTトランスデューサの両方を組み込んだ改良された多方式(multimodal)イメージングシステムが開示されている。このような多方式イメージングシステムによれば、単方式イメージングデバイスを用いるより、多くの診断情報を得ることができる。実際、光干渉断層法は、通常、超音波より解像度が優れており、脈管及び他の組織内の幾つかの構造又は部分を特定できる可能性が超音波より高い。例えば、動脈の表面近傍の線維性被膜の厚さ又は炎症又は壊死領域の存在は、光干渉断層法で分析することが好ましい。
【0031】
しかしながら、多くの多方式イメージングデバイスでは、1つ以上のイメージング方式が血液に対して適合性を有していないという問題がある。例えば、IVUS及びOCTの両方を組み合わせた多方式イメージングデバイスの場合、IVUSトランスデューサは、検査中の血管内に血液がある状態で機能できるが、OCT方式は、血液置換を必要とする。このような要求のために処置が複雑になり、2つのイメージング方式からの結果を調整及び参照することが困難になる。
【0032】
多方式イメージングデバイスを使用する際に生じる他の問題は、1つのイメージング方式を使用し、続いて、血液置換の後に他のイメージング方式をした結果、重ね合わせが不正確になる可能性がある点である。例えば、IVUS及びOCT等の脈管内イメージングは、イメージングプロトコルが必要である臨床試験目的のために用いられることが多い。1つ以上の方式を手動で用いて、他の1つ以上の方式で更に詳細に評価する必要がある領域を特定することは、施術者間での差が大きい。更に、異なる患者間又は異なる時点で血管の構造及び/又は組成を比較する能力に依存する臨床試験では、検査のための方法の再現性が重要となる。
【0033】
米国特許番号第7,758,499号において、Adlerは、血液の存在による妥協が最小の1000nm未満の波長でのIRイメージングを、可視光によるイメージング等の他のイメージング方式と組み合わせて使用することを提案している。ここでは、多方式光学イメージングを達成するために、血液置換法を採用して、IR及び/又は可視光でのイメージングを実現している。
【0034】
また、近年、Muller他は、単一のイメージングデバイスにおいて複数のイメージング方式を使用することを提案している(米国特許出願公開第2009/0299195号)。Mullerは、単一の脈管内処置の間に、血管内超音波法、光干渉断層法、近赤外線分光法を組み合わせて、動脈の形態における複数の異なる異常を検出する方法及びシステムを開示している。
【0035】
しかしながら、既存の方法は、多方式の画像を連続的に取得するための手動の操作を採用し、かなりの熟練を必要とし、更に、画像を空間的に整列させるための複雑な操作も含んでいる。したがって、上述した問題を解決し、標準化された画像データ取得を可能にし、向上した性能及び臨床的有用性を提供する多方式イメージング方法が未だ望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の実施形態は、2つ以上イメージング方式を用いてデータを収集できる管腔内プローブによって、血管及び他の組織からデータを特定及び/又は収集する能力を改善するシステム及び方法を提供し、1つ以上のイメージング方式は、管腔内媒体(例えば、血液)を介してデータを収集でき、他の1つ以上の方式は、管腔内媒体が視野から少なくとも部分的に置換された場合に性能が向上する。
【0037】
一側面においては、低侵襲処置を実行するために管腔又は空洞内で媒体置換動作を行う方法が提供され、この方法は、イメージングプローブの機能的部品の第1の平行移動動作を行う際に第1のイメージング方式によって取得される第1の画像の組を記録するステップと、第1のイメージング方式は、置換可能な媒体の存在に適合性があり、第1の画像の組をイメージングプローブの機能的部品の関連する位置と空間的に相関させるステップと、第1の画像の組を処理して、関心領域を特定するステップと、媒体置換動作を行い、関心領域に亘ってイメージングプローブの機能的部品の第2の平行移動動作を実行するステップとを有し、低侵襲処置は、媒体置換動作の間に関心領域内で実行される。
【0038】
他の側面として、管腔又は空洞内で低侵襲イメージング処置を実行するために媒体置換動作を行う方法が提供され、この方法は、(a)置換可能な媒体の存在に適合性がある、イメージングプローブの第1のイメージング方式によって1つ以上の画像を取得するステップと、(b)1つ以上の画像を処理して関心領域を特定するステップと、(c)関心領域が特定された場合、媒体置換動作を行い、媒体置換動作を実行しながら、低侵襲処置を実行するステップとを有する。
【0039】
他の側面においては、プローブによって、管腔又は空洞内で低侵襲イメージング処置を実行するために媒体置換動作を行う方法が提供され、この方法は、外部イメージング装置によって、低侵襲処置を実行する領域の1つ以上の画像を取得するステップと、1つ以上の画像内で関心領域を特定するステップと、プローブの機能的部品を関心領域に平行移動しながら、外部イメージング装置によって1つ以上の更なる画像を取得し、機能的部品の位置が1つ以上の更なる画像によって特定可能であるステップと、媒体置換動作を行い、関心領域内でプローブの機能的部品に関連する平行移動動作を実行するステップとを有する。
【0040】
他の側面においては、管腔又は空洞内で低侵襲イメージング処置を実行するために媒体置換動作を行う方法が提供され、この方法は、プローブの機能的部品の第1の平行移動動作を実行した際、非イメージング方式から取得された測定値の組を記録するステップと、非イメージング方式は、置換可能な媒体の存在に適合性があり、測定値の組をプローブの機能的部品の関連する位置と空間的に相関させるステップと、測定値の組を処理して、関心領域を特定するステップと、媒体置換動作を行い、関心領域に亘ってプローブの機能的部品の第2の平行移動動作を実行するステップとを有し、低侵襲処置は、媒体置換動作の間に関心領域内で実行される。
【0041】
他の側面においては、管腔又は空洞内で低侵襲イメージング処置を実行するために媒体置換動作を行う方法が提供され、この方法は、(a)置換可能な媒体の存在に適合性がある、プローブの非イメージング方式によって1つ以上の測定値を取得するステップと、(b)1つ以上の測定値を処理して関心領域を特定するステップと、(c)関心領域が特定された場合、媒体置換動作を行い、媒体置換動作を実行しながら、低侵襲処置を実行するステップとを有する。
【0042】
本発明の機能的及び有益な側面は、以下の詳細情報及び図面を参照することによって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】多方式イメージングを実行するためのシステムを示すブロック図である。
図2】統合型媒体置換システムを組み込んだ、多方式イメージングを実行するための第2のシステムを示すブロック図である。
図3-1】血管内超音波法(intravascular ultrasound:IVUS)及び光干渉断層法(optical coherence tomography:OCT)の両方を組み込んだ多方式イメージングシステムの具体例として、コネクタ、導管及びイメージングアセンブリを含む柔軟なイメージングプローブを示す斜視図である。(a)は図1のイメージングプローブの破線に沿った中央部分の断面図である。(b)は図1のイメージングプローブの先端領域の拡大斜視図である。
図3-2】(c)はアダプタによって、イメージングプローブの回転部品及び非回転部品をイメージングシステムの他の部分にどのように接続するかを概略的に示す図である。(d)はプローブの回転部品及び非回転部品のアダプタへの接続の具体例の斜視図である。
図4】(a)、(b)、(c)、(d)はイメージングアセンブリの回転速度の関数として、傾斜可能な偏向面がイメージング角度を変更できる音響イメージング及び光学イメージングの両方が可能なイメージングプローブの先端を示す図である。
図5】(a)、(b)は超音波トランスデューサ及び結合された同一平面上のIVUS及びOCTイメージングのための光ファイバを備える側方視多方式イメージングアセンブリの具体例を示す図である。
図6】第1のイメージング方式によって取得された結果を用いて、管腔内媒体の置換が有利な第2のイメージング方式を用いる画像の収集を行って、低侵襲処置を実行する方法のフローチャートである。
図7】第1のイメージング方式によって取得された結果を実時間で用いて、管腔内媒体の置換が有利な第2のイメージング方式を用いる画像の収集を行って、低侵襲処置を実行する方法のフローチャートである。
図8】統合型媒体置換システム及び外部イメージング装置を組み込んだ多方式イメージングを実行するためのシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、後述する詳細を参照して、本発明の様々な実施形態及び側面を説明する。以下の説明及び図面は、本発明を例示的に示すものであり、本発明を制限するものとは解釈されない。本発明の様々な実施形態の完全な理解のために、多くの具体的詳細について説明する。なお、本発明の実施形態を簡潔に示すために、幾つかの実例では、周知又は従来の技術詳細については、説明しない。なお、ここに開示する方法のステップの順序は、方法が実効性を有する限り、限定的なものではない。更に、特段の指定がない限り、2つ以上のステップを同時に行ってもよく、ここに示す順序とは異なる順序で行ってもよい。
【0045】
ここで使用する「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」等の表現は、排他的ではなく、包括的で非限定的な表現として解釈される。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる「備える」及びその活用形は、特定の特徴、ステップ、又は要素が含まれることを意味する。これらの表現は、他の特徴、ステップ又は要素の存在を除外するようには解釈されない。
【0046】
ここで使用する「例示的(exemplary)」とは、「具体例、実例又は例証として役立つ」という意味であり、ここに開示する他の構成に比べて好ましい又は有利であると解釈されるものではない。
【0047】
ここで使用する「約(about)」及び「概ね(approximately)」は、粒子、混合物の組成又は他の物理的特性又は特徴の寸法の範囲に関連して用いられる場合、寸法の範囲の上限及び下限における僅かな差異が許容され、寸法の大部分が平均的にこの範囲を満たすが、一部の寸法が統計的にこの範囲から外れる実施形態が排除されないことを意図する。すなわち、これらの実施形態は、本発明の範囲から除外されない。
【0048】
ここで使用する「高解像度イメージング(high resolution imaging)」という用語は、以下に限定されるものではないが、超音波及び光学イメージングを含む高解像度イメージングを示す。ここで使用する「高周波超音波(high frequency ultrasound)」という用語は、周波数が約3MHzより高く、より典型的には、8~200MHzの範囲の超音波イメージングを指す。
【0049】
ここで使用する「イメージングエネルギ(imaging energy)」という用語は、光エネルギ、音響エネルギ又はこれらの両方を指す。特に、「光(light)」及び/又は「光学(optical)」は、紫外、可視、近赤外線及び/又は赤外線スペクトルに含まれる1つ以上の波長を有する電磁波を指す。
【0050】
ここで使用する「画像解析(image analysis)」という用語は、関心領域を特定する画像データの処理を一般化して指示するものであり、関心領域は、関連性がある1つ以上の画像又はその一部に関係する。
【0051】
ここで使用する「平行移動(translation)」及び「平行移動動作(translation operation)」という用語は、管腔内プローブ、例えば、イメージングプローブに関連して用いられる場合、プローブの少なくとも一部の平行移動を指し、プローブが配置されている管腔に対して、プローブの機能的部分が平行移動することを意味する。プローブの機能的部分の具体例は、イメージングアセンブリである。平行移動動作は、プローブの他の部分、例えば外側シースに対してプローブの機能的部分を平行移動させることを含む。
【0052】
本発明の実施形態は、少なくとも1つのイメージング方式(imaging modality)においてイメージングの間に管腔内流体を置換することが有利である多方式(multimodal)イメージングカテーテルベースのデバイスを用いて、低侵襲処置の間に改善されたイメージングを実行するシステム及び方法を提供する。特定の実施形態は、管腔内媒体(intraluminal medium)の置換を含む後続のイメージングステップのために管腔内の領域を選択する標準化された及び/又は自動化されたシステム及び方法を提供する。
【0053】
一実施形態においては、管腔内媒体内でのイメージングに適合性がある少なくとも1つのイメージング方式と、管腔内媒体の置換によってイメージング性能が向上する少なくとも1つのイメージング方式とを含む多方式イメージングシステムを提供する。図1は、多方式イメージングシステム100の例示的な実施形態を示すブロック図である。管腔内に挿入され、解剖構造102(例えば、管腔又は血管)に送達可能なイメージングプローブ105は、その先端115の近傍に設けられたイメージングアセンブリ110と、長手方向の実質的な一部に沿う任意のイメージング導管120と、基端部130に設けられたコネクタ125とを備える。
【0054】
イメージングアセンブリ110は、イメージングアセンブリ110の近くの領域をイメージングする際に、多方式信号(例えば、音響信号、光信号)を送信及び/又は受信するイメージングプローブ105の部品を包括的に指す。多方式イメージングアセンブリ110は、2つ以上のイメージング方式を用いるイメージングのための部品及びデバイスを含む。イメージングアセンブリ110は、イメージングトランスデューサ、検出器及び/又はイメージングエネルギ結合デバイス(imaging energy coupling devices)を備えていてもよい。所与のイメージング方式に基づいてプローブの付近で組織を照射するためのイメージングエネルギは、イメージングアセンブリ110内に収容されている1つ以上のトランスデューサが生成してもよく、及び/又はイメージングプローブの外部で1つ以上の外部のトランスデューサが生成し、エネルギ誘導デバイス(光ファイバ又は光導波路等)によって、イメージング導管120を介してイメージングアセンブリ110に送達してもよい。同様に、イメージングする組織内で生成又は散乱した所与のイメージング方式に関連する入射イメージングエネルギは、イメージングアセンブリ110内に収容されている検出器が受信してもよく、イメージングアセンブリ内で受信し、イメージング導管120内のイメージングエネルギ誘導デバイスを介して、外部検出器に供給してもよい。イメージングカプラ及び関連するエネルギ誘導デバイスが1つ以上のイメージング方式をサポートしてもよい。例えば、光ファイバ及びレンズ又はミラーアセンブリを使用して、OCTイメージング方式及びIRイメージング方式の両方に関連するイメージングエネルギを送達してもよい。2つ以上のイメージング方式に関連するイメージングエネルギは、共通のエネルギ生成及び/又は受信装置によって生成及び/又は受信してもよく、互いに周波数多重化及び/又は時間的にインタリーブしてもよい。イメージングプローブ105は、管腔内の径方向の視野を獲得するために、回転可能であってもよく、回転式イメージング要素を含んでいてもよい。
【0055】
少なくとも1つのイメージング方式が光学イメージングである実施形態では、イメージングアセンブリ110は、通常、光ファイバの先端、及びレンズ(例えば、ボールレンズ又はGRINレンズとして知られる屈折率分布型レンズ)等の任意の光学部品の組合せを含み、これらは連携して、光受信機(イメージングされる組織から光エネルギを回収する回収要素)として機能し、光学エミッタ(出射された光ビームをイメージングされる組織に集光及び/又は方向付けする集光及び/又はビーム方向付け要素)としても機能できる。光学エミッタ及び/又は受信機の一部として、ミラー及び/又はプリズムが組み込まれることが多い。イメージングアセンブリ110、コネクタ125及び/又はイメージング導管120は、食塩水等の流体に浸すことができる。多方式の光学及び音響イメージングでは、イメージングプローブ105は、光学イメージングのために気体で満たされた少なくとも1つの区画又は管腔と、音響イメージングのために流体で満たされた少なくとも1つの区画又はチャンバとに区画分けされる。
【0056】
イメージング導管120は、通常、コネクタ125を介してエミッタ及び/又はレシーバをアダプタユニット140に接続する少なくとも1つの光導波路又は少なくとも1つ(オプションとして、2つ以上)の導線を含む。また、イメージング導管120は、イメージングアセンブリを回転又は平行移動するための機械的駆動力伝達メカニズムとして機能できる。例えば、イメージング導管120は、互いに絶縁された2層の電線によって包み込まれた光ファイバを含んでいてもよい。更に、イメージング導管120は、例えば、螺旋状に巻回されたワイヤ等の他の構造的特徴によって補強してもよく、又はスキャンメカニズムを回転させるイメージングトルクケーブルを構成するために用いられる当業者に周知の他の設計によって補強してもよい。また、イメージング導管は、イメージングプローブ105の先端に設けられ、イメージングアセンブリ110の1つ以上の部品を局所的に回転させるマイクロモータに電力を供給してもよい。
【0057】
図3は、本発明の実施形態に基づく多方式イメージングシステムの部品として使うことができる多方式イメージングプローブの例示的な実施形態の斜視図である。図3に示すプローブは、2008年1月22日に出願された、米国特許出願番号第10/010,206号、発明の名称「Scanning Mechanisms for Imaging Probe」及び2009年3月27日に出願された、米国特許出願番号第12/385,014号、発明の名称「Scanning Mechanisms for Imaging Probe」に開示されているものであり、これらの内容の全体は、引用によって本願に援用される。簡潔に言えば、イメージングプローブは、イメージングアセンブリを含むことができ、イメージングアセンブリは、前方視方向に1つ以上の角度でイメージングエネルギビームを方向付ける可動部材を含む。2つの非制限的な具体例においては、可動部材の向きは、可動部材が旋回可能なイメージングアセンブリの回転速度を変更することによって、又は磁力若しくは駆動手段を用いて変更してもよい。
【0058】
例示的なイメージングプローブは、多方式イメージングのために、超音波方式(例えば、IVUS)及び光学方式(例えば、OCT)の両方を単一のカテーテルアセンブリに組み込んでいる。このシステムは、光ファイバ40と同軸電線50とを含むフレキシブルカテーテルを備える。基端部コネクタは、光ファイバ40を含み、光ファイバ40は、イメージング用の光ファイバ40を光イメージングシステム「バックエンド」に接続するアダプタに接続してもよい。更に、例えば、超音波処理システムのための電子回路又は電源回路及び/又はコントローラ及び処理ユニットに1つ以上の電気導管を接続するための電気的コネクタ56も設けられている。
【0059】
この具体例におけるイメージング導管は、長軸を中心に回転し、回転する光ファイバプローブの接続は、イメージングプローブ10の基端部コネクタの一部として、又はアダプタ14の一部として組み込まれた光ファイバ回転継手を用いて実現されている。同様に、イメージング導管と共に回転する導線は、例えば、スリップリング又は回転トランスフォーマによって、相対的に固定されている超音波回路の導体及び/又はコントローラ及び処理ユニットに接続されている。これらのスリップリングは、イメージングプローブ10の基端部コネクタの一部として又はアダプタ14の一部として組み込むことができる。
【0060】
図3(a)は、図3のイメージングプローブの中央部の破線に沿った断面図であり、光ファイバ40、ガイドワイヤポート44及びガイドワイヤ42、イメージング導管34、イメージング導管管腔46、外側シース48、同軸電線50を示しており、外側シース48は、中空の柔軟な細長いシャフトであり、生体適合性を有する材料から形成され、この中空の細長いシャフトを体内の管腔及び空洞に挿入するために適する直径を有している。
【0061】
イメージングプローブは、フラッシングを容易にするために、長手方向沿って1つ以上の箇所にポートを備えていてもよい。図3(b)に示すイメージングプローブ10の端部の拡大図は、外側シース48の端部において、外側シース48及びフラッシュポート54の端部を超えて延びるガイドワイヤ42の先端を示している。
【0062】
図3に示すように、イメージングプローブ10の基端部は、ガイドワイヤ42が挿入されるガイドワイヤポート55と、コネクタアセンブリ36とを備え、コネクタアセンブリ36は、コネクタ本体に沿って、フラッシュポート58と電気コンタクト56とを備える。
【0063】
図3(c)は、アダプタによって、イメージングプローブの回転部品及び非回転部品をイメージングシステムの他の部分にどのように接続することができるかを概略的に示している。図3(d)は、イメージングプローブの回転する部品をアダプタの回転部品にどのように接続することができるかを図式的に示している。それぞれの回転部品は、当分野で周知のコネクタ及び他の構成を用いて、電気的、光学的及び/又は機械的に接続することができる。同様にイメージングプローブの非回転部品は、アダプタ14の非回転部品に接続することができる。アダプタ14は、スリップリング、回転トランスフォーマ、光学回転継手(optical rotary joints)、及び回転部品を非回転部品に電気的又は光学的に接続してシステムの他の部分との必要な電気信号及び光信号の通信を可能にするこれらに類する他の部材を含むことができる。
【0064】
二重光ファイバ回転継手(dual-fiber optical rotary joints)も使用できるが、構造がかなり複雑になる。イメージングプローブ12内の回転部品に装着されている如何なる導体間の電気的接続も、金属スリップリング及びスプリング、金属スリップリング及びブラシ又は静止した導体と回転する導体との間で導電コンタクトを形成するための他の周知の手法によって、非回転導電要素に接続することができる。
【0065】
図3(d)では、電気的、光学的及び機械的な接続を個別に示しているが、特定の実施形態の必要に応じて、幾つかのコネクタを結合コネクタに結合することによって、プローブとアダプタとの間を個別に接続する必要があるコネクタの数を減らして、幾つかのコネクタを削減し、より少ないコネクタで接続を行ってもよい。
【0066】
図4は、多方式イメージングアセンブリを組み込んだイメージングプローブの先端の内部構造の具体例を示している。アセンブリは、傾斜可能部品70を備え、傾斜可能部品70は、傾斜可能部品70に直接的に取り付けられていない1つ以上の部品によって出射及び/又は受信されるイメージングエネルギを偏向する。超音波トランスデューサ88及び光学エミッタ92は、イメージングエネルギを傾斜可能部品70に方向付ける。そして、イメージングエネルギは、傾斜可能部品70に取り付けられているエネルギ偏向部品によって偏向される。超音波イメージングのために、エネルギ偏向部品(傾斜可能部品70)は、例えば、固体金属表面(例えば、ステンレススチール)又は水晶等の結晶表面、ガラス又は硬質ポリマ等の音響反射面を備えていてもよい。
【0067】
光学イメージングのために、エネルギ偏向部品(傾斜可能部品70)は、例えば、研磨された金属から形成される鏡面、金属化二軸配向ポリエチレンテレフタレート(Mylar)等の金属化ポリマ、スパッタリング又は電気化学蒸着された金属、金属箔又は薄膜反射鏡等の他の反射性を有する部品等の光反射面を備えていてもよい。鏡面を形成するために一般的に使用される金属としては、アルミニウム、銀、鉄鋼、金又はクロム等が含まれる。
【0068】
図4(a)は、イメージングプローブ31の先端29の例示的な実施形態を示しており、ここでは、先端にイメージングアセンブリ30が設けられ、イメージングアセンブリ30は、傾斜可能部品70を含み、傾斜可能部品は、ピン72に取り付けられた円盤であり、円盤70は、ピンを中心に旋回可能である。
【0069】
ピン72は、傾斜可能な円盤70の傾斜軸を画定する。イメージングアセンブリ30が静止しているとき、円盤70は、任意の開始位置に留まる。ここに示す具体例では、この開始位置は、最大のイメージング角度に対応する停止片80によって画定され、捻りバネ76によって付勢される回復力が円盤70を停止片80に押し付けている。図4(b)は、図4(a)の縦の破線2(c)-2(c)に沿った断面図である。
【0070】
外部の力、例えば、重力、磁力、静電力、他の可動部品又は流体との摩擦力、圧縮力、てこの力、垂直抗力、又は傾斜軸を巡って傾斜可能部品70に加わる不完全な反対トルク(incompletely opposed torque)の他のソース等によって傾斜可能部品70が望ましい配向から傾くと、傾斜角が大きくなる。
【0071】
1つ以上の停止片80、82によって、傾斜可能部品70の傾斜角の範囲を規制してもよい。例えば、停止片80は、傾斜可能部品70が停止片80に接触している状態で傾斜角のそれ以上の変更を妨げる停止片として、イメージングアセンブリ30のシェル84から延出するポスト(post)又はリップ(lip)であってもよい。したがって、停止片を用いて、停止片の位置によって画定される最大値を超えないように傾斜角を規制することができる。一旦、傾斜角がこの最大値に至ると、停止片80が傾斜可能部品70に加える垂直抗力が回復メカニズムに抗う。多くの実施形態において、この最大傾斜角は、イメージングアセンブリ30が静止し、低い回転速度である際に至る傾斜角である。
【0072】
更なる又は代わりの停止片82を設け、傾斜可能部品70が動作範囲の上限の回転速度である際に至る最小傾斜角を画定してもよい。特定の実施形態についての以下の説明からも明らかであるが、実際には、傾斜角をゼロにすることによって特別な利益が得られないことも多い。
【0073】
イメージングアセンブリ30は、傾斜可能部品70の傾斜角を大きくすることに寄与する1つ以上のメカニズムを含むことできる。ここでは、説明のために、このようなメカニズムを回復メカニズム(restoring mechanism)と呼ぶ。回復メカニズムとしては、捻りバネ76(図4(a)及び図4(c))又は圧縮ばねを用いることができ、ここで、バネ76の一端は、傾斜可能部品70に機械的に接触又は接続されている。他端は、機械的にイメージングプローブ31の他の部分、例えば、イメージングアセンブリの本体に接続されている。
【0074】
イメージングアセンブリ30が回転すると、円盤70は、円盤70の表面によって画定される面の法線が長軸に対して実質的に平行となるように、自らを整列させようとする。図4(c)に示すように、図示されている(最小のイメージング角度に対応する)他の停止片82は、イメージングアセンブリの高い回転速度において円盤70が望ましい配向に至ることを防ぐ。適切に構成されたイメージングアセンブリでは、最小のイメージング角度に対応する停止片82は、ゼロの角度に対応し、イメージングプローブの長軸に対して平行なイメージングを提供する。
【0075】
図5は、Courtney他によって2008年1月22日に出願された米国特許出願番号第12/010,208号、発明の名称「Imaging Probe with Combined Ultrasound and Optical Means of Imaging」に開示されている多方式イメージングシステムで使用される多方式イメージングアセンブリの他の具体例を示しており、この文献の全体は、引用によって本願に援用される。図5(a)に示すように、イメージングアセンブリ550は、音響及び光学手段による同じ方向におけるイメージングを実現するように構成され、音響トランスデューサ内のチャネルを介して光エネルギを伝達できるようにした音響トランスデューサを使用している。本質的には、アセンブリ550は、その基板を介して形成される光透過性チャネルを有するように変更された音響トランスデューサ502を使用する。音響トランスデューサ502は、当分野で周知の如何なる種類の超音波トランスデューサであってもよく、例えば、圧電体(例えば、PZT又はPVDF、圧電単結晶等)、複合トランスデューサ、又は容量型微細加工超音波トランスデューサ(capacitive micromachined ultrasonic transducer:cMUT)等であってもよい。
【0076】
導電体500は、トランスデューサの音響基板502の両側の導電層501に接続される。光ファイバ503は、光学イメージングを可能にするための光学導管を提供する。トランスデューサの出射面には、エポキシ層(例えば、銀又は銅導電性エポキシ層、これらは、トランスデューサを駆動する電極の一方又は両方として機能してもよい。)又はポリマ(例えば、パリレン又はPVDF)等の1つ以上の整合層を追加してもよい。
【0077】
圧電材料502の両側の導電層501は、圧電体に電圧を印加する必要性から組み込まれる。開口507は、直接的に、又は1つ以上のミラー又はプリズム及び1つ以上のレンズ(図示せず)を介して、光導波路503に接続される。開口内に何らかの光学部品が含まれる場合、適応性がある材料、例えば、シリコン又はポリマ等の緩衝/絶縁層506によって、光学部品を音響基板502から分離することができ、これは、電気的絶縁体として機能し、又は音響基板502によって生じる圧力の光学部品への伝達を最小化する。
【0078】
図5(b)に示すように、ファイバからの光は、ファイバからの光を光透過性チャネル507に偏向するミラー404(又はプリズム)に方向付けることができる。
【0079】
更に、多方式イメージングシステムの他の非制限的な具体例は、Muller他によって出願された米国特許出願公開第2009/0299195号、発明の名称「Multimodal Catheter System and Method for Intravascular Analysis」のFigure1に示されており、この文献については、Figure1のみが引用によって本願に援用される。このシステムは、単一の脈管内処置によって、動脈形態における複数の異なる異常を検出するために、血管内超音波法、光干渉断層法、近赤外線分光法を組み合わせている。
【0080】
上述の具体例は、後述する本発明の実施形態に適用することができる多方式イメージングシステムを例示している。なお、上述の具体例は、非制限的な具体例として提示したものであり、本発明の実施形態では、他の多方式イメージングプローブを用いることもできる。
【0081】
再び図1を参照して説明すると、多方式イメージングシステム100は、非侵襲的処置の間に管腔内媒体を置換し、イメージングの間に管腔内媒体を移動させることが有利なイメージング方式をサポートするように構成されている。このような置換は、以下に限定されるものではないが、米国特許出願公開番号第2009/0299195号、及び全体が引用により本願に援用される米国特許番号第7,758,499号、発明の名称「Method and Apparatus for Viewing Through Blood」に開示されているような、管腔内フラッシングによる管腔内媒体の置換のためのサブシステム及び管腔の制御された遮断による管腔内媒体の置換のためのサブシステムを含む多くのデバイス及びサブシステムの1つによって提供及び制御してもよい。
【0082】
一実施形態においては、管腔内フラッシングは、入力ポートを介してイメージングプローブ105にフラッシュ液を供給し、イメージングプローブの長手方向の1つ以上の箇所に設けられている出力ポートからフラッシュ液を管腔に流し込むことによって達成される。これに代えて、フラッシュ液は、イメージングされる管腔に流体を導入できる従来のガイドカテーテルを介して供給してもよい。これに代えて、フラッシュ液は、例えば、全体が引用により本願に援用される米国特許番号第7,625,366号、発明の名称「Flush Catheter with Flow Directing Sheath」に開示されているような専用のフラッシュカテーテルを介して供給してもよい。フラッシュ液、例えば食塩水、乳酸リンゲル液又は造影剤は、手動で、例えば、外部の注射器を用いて供給してもよい。幾つかの例示的な実施形態では、フラッシュは、自動注入器、圧力注入バッグ、蠕動ポンプ、シリンジポンプ又はピストンポンプ、バルブシステム、重力加圧システム、自動又は手動の圧力印加を用いた外部からの媒体への加圧によって行ってもよい。
【0083】
一実施形態においては、符号135で包括的に示す媒体置換装置は、1つ以上の媒体置換動作を提供及び/又は調整又は制御する。上述のように、媒体置換装置135は、インタフェースを介してイメージングプローブ105に接続してもよく、媒体置換を行うための又は独立した装置(例えば、ガイドカテーテル又は専用のフラッシュカテーテル)として設けてもよい。非制限的な具体例では、媒体置換装置135は、(タンクから)関心領域へのフラッシュ液の量を制御する外部ポンプ(図示せず)を含んでいてもよい。他の具体例では、媒体置換装置135は、イメージングプローブ110上又はイメージングプローブ110内に収容され、制御された膨張によって管腔を完全に又は部分的に閉塞し、媒体置換を達成する膨張可能なバルーンを備えていてもよい。
【0084】
他の実施形態においては、媒体置換装置135は、更に、ユーザ又は医師がスイッチを操作したときのみ自動化された置換動作を実行又は許可する外部の手動スイッチを含んでいてもよい。このようなスイッチは、何らかの自動化された置換動作を監視する際に、人間の施術者が能動的に関与することを要求する半自動化された媒体置換の管理モードを実現する。適切なスイッチの非制限的な具体例は、自動化された置換(例えば、注入又は膨張)を実行するために、継続的に押下する必要があるボタン又はフットペダルを含む。
【0085】
再び図1を参照して説明すると、ドライバ及びアダプタユニット140は、イメージングプローブ105と、適切な制御及び/又は処理サブシステムとの間で、何らかのファイバ及び/又はワイヤによる動力及び/又は信号の伝達を可能にするインタフェースを備える。これはイメージングプローブの回転部品に回転動作を伝えるモータドライバサブシステム145を含むことができる。また、モータドライバは、後退メカニズム、前進メカニズム又は前後往復メカニズムを作動して、イメージングアセンブリ110の長手方向の平行移動を行ってもよい。このようなイメージングアセンブリ110のこのような長手方向の平行移動は、イメージアセンブリ110及びイメージング導管120を包囲する外部シャフト(図示せず)の長手方向の平行移動を伴って実行してもよく、相対的に静止している外部シャフト内で実行してもよい。
【0086】
ドライバ及びアダプタユニット140の部品として、更なるセンササブシステム、例えば、イメージングプローブ110内の回転部品の回転角及び/又はイメージングアセンブリ110の長手方向の位置を感知する位置感知サブシステム150を組み込んでもよい。また、イメージングプローブ110は、イメージングプローブ110に関連する情報、例えば、イメージングプローブ110の仕様を特定する情報及び/又は較正情報を格納するメモリ部品、例えば、EEPROM又は他のプログラマブルメモリデバイスを備えていてもよい。更に、ドライバ及びアダプタユニット140は、イメージングプローブ110とシステムの他の部分との間の電気信号又はパワーの伝達を向上させる増幅器160を備えていてもよい。
【0087】
ドライバ及びアダプタユニット140は、インタフェースを介して制御ユニット165に接続されている。制御ユニット165は、多方式イメージングデバイスをサポートする第1のイメージング方式コントローラサブシステム170及び第2のイメージング方式コントローラサブシステム175(システムは、ここに示す2つに加えて、更なるイメージング方式及びコントローラを含むことができる。)を備え、多方式イメージングには、以下に限定されるものではないが、(1)超音波、(2)光干渉断層法、(3)血管内視鏡、(4)赤外線イメージング(5)近赤外線イメージング、(6)Raman分光法ベースのイメージング及び(7)蛍光イメージング等のイメージング方式の何れが含まれていてもよい。
【0088】
ここでは、第1及び第2のイメージング方式コントローラを個別のサブシステムとして示しているが、これらは、1つであってもよく、同じであってもよい。例えば、OCTデータ及び近赤外線(NIR)分光データは、共通の光源及び信号取得システムを介して取得することができる。また、第1及び第2の方式が共にIVUSであり、一方の方式が他方の方式より低い周波数のIVUSである場合、IVUSデータの2つのセットを生成及び取得するために要求されるハードウェアは、動作パラメータが異なるだけで、同じであってもよい。
【0089】
光学方式コントローラは、干渉計部品、1つ以上の光学基準アーム、光学マルチプレクサ、光学デマルチプレクサ、光源、光検出器、分光器、偏光フィルタ、偏光コントローラ、タイミング回路、アナログ/デジタル変換器及びここに開示し又は引用によって援用される何らかの光学イメージング技術を補助する周知の他の部品等の部品の何れか又は全てを含むことができる。
【0090】
超音波方式コントローラは、パルス発生器、電子フィルタ、アナログ/デジタル変換器、並列処理アレイ、エンベロープ検出器、時間利得補償増幅器を含む増幅器及びここに開示し又は引用によって援用される何らかの音響イメージング技術を補助する周知の他の部品等の部品の何れか又は全てを含むことができる。制御ユニット165は、以下に限定されるものではないが、モータ駆動コントローラ180、位置感知制御回路190、タイミング回路、立体イメージング(volumetric imaging)プロセッサ、走査変換器及びこの他のサブシステムの1つ以上を含むことができる。
【0091】
図1に示すように、媒体置換装置135は、制御ユニット165から独立して操作及び/又は制御できる。例えば、媒体置換装置135は、注射器又は手動ポンプを含んでいてもよい。図2に示す他の実施形態においては、制御ユニット165は、媒体置換動作を監視し、媒体置換動作を自動化又は半自動化することもできる媒体置換コントローラ185を更に備える。他の実施形態では、媒体置換コントローラ185は、インタフェースを介して媒体置換装置135に直接的に接続してもよい。媒体置換コントローラ185は、以下に限定されるものではないが、所与の媒体置換動作に供給されるフラッシュ液の体積、所与の患者及び/又は低侵襲処置のための複数の媒体置換動作に供給されるフラッシュ液の総量、所与の媒体置換動作が行われる継続時間、所与の患者及び/又は低侵襲処置のための複数の媒体置換動作が行われる継続時間の合計、媒体置換を行うためにデバイス又はサブシステムに伝達される制御信号及び/又はコマンド等を含む情報を監視できる。
【0092】
媒体置換コントローラ185は、後に更に説明するように、処理ユニット205によって調整される一連のイメージング及び置換動作の制御の間に使用されるフィードバックループへの入力を提供してもよい。
【0093】
制御ユニット165は、更に、オプションの心臓センサ200、例えば、イメージングされる患者の体から心電図信号を取得する電極センサを制御するオプションの心臓センサコントローラ195を含むことできる。心電図信号は、心運動が画質に影響を与える状況下で、イメージングデータの取得のタイミングを計るために使用することができる。また、心電図は、取得シーケンスを開始する際の、例えば、所望のスキャンパターンを実現するために、モータの回転速度を変更する際のトリガとしても機能できる。例えば、イメージングシーケンスを心電図(electrocardiogram:ECG)によってトリガすることによって、収縮期又は拡張期等の心周期の特定のフェーズの間に画像を取得することができる。心電図信号は、オプションとして、観測された生理的な状態下で、システムが拍動性又は血流を考慮して媒体置換システムの注入レート又は膨張レートを変更するトリガと機能してもよい。
【0094】
制御ユニット165は、インタフェースを介して処理ユニット205に接続され、処理ユニット205は、バスによって接続されたプロセッサ210とメモリ及び/又はストレージサブシステム215を備え、システム動作の様々な側面を調整するための複数の処理機能を実行する。なお、制御ユニット165及び処理ユニット205は、個別のサブシステムとして示しているが、これらは、統合されたコンピュータシステム220内に設けてもよい。更に、制御ユニット165の要素の幾つか又は全てを処理ユニット205が実行してもよい。更に、プロセッサ210は、1個以上のCPU、フィールドプログラマブルゲートアレイ、GPU、ASIC、DSPチップ及び当分野で周知の他の処理要素等の複数の処理要素を含んでいてもよい。また、処理ユニット205は、実時間表示又はイメージングデータの取得時より後のデータの表示のためにディスプレイ及びユーザインタフェース225に接続してもよい。
【0095】
更に、イメージングシステム100は、データストレージコンポーネント(例えば、メモリ、ハードディスクドライブ、リムーバブルストレージデバイス、CDやDVD等の携帯ストレージ媒体のためのリーダ及びレコーダ)を備えていてもよく、これらは、インタフェースを介して、処理ユニット及び/又は制御ユニットの部品に接続してもよい。
【0096】
一実施形態においては、処理ユニット205は、第1のイメージング方式を用いて取得された画像を解析し、イメージング結果を利用して、画像取得の間に管腔内媒体置換動作を要求し又はこれが有利である第2のイメージング方式に基づく画像の記録を自動化するようにプログラムされる。第1のイメージング方式は、管腔内媒体に適合性を有していてもよく、すなわち、十分な診断感度又は臨床的有用性を有する画像を取得するために管腔内置換動作を必要としなくてもよい。
【0097】
管腔内液体が血液である一実施形態では、第1のイメージング/検出方式は、以下に限定されるものではないが、グレースケールIVUS、無線周波数IVUS(例えば、Virtual Histology(商標)、統合後方散乱(integrated backscatter)又はiMap(商標))、エラストグラフィ、NIR分光法、ソノルミネッセントイメージング(sono-luminescent imaging)、マイクロバブル増強IVUS(microbubble enhanced IVUS)、標的マイクロバブル増強IVUS(targeted microbubble enhanced IVUS)、光音響イメージング、蛍光分光法、イオン選択電界効果トランジスタ等のバイオセンサの何れかであってもよく、第2のイメージング方式は、以下に限定されるものではないが、OCT、血管内視鏡、NIR分光法、Raman分光法、IVUS、無線周波数IVUS、エラストグラフィ、ソノルミネッセントイメージング、マイクロバブル増強IVUS、標的マイクロバブル増強IVUS、蛍光分光法、光音響イメージングの何れかであってもよい。生来的に光学的な方式である第2のイメージング方式は、電磁波スペクトルにおける紫外線、可視光線、NIR及び/又は赤外線の部分の波長を使用してもよい。
【0098】
他の実施形態においては、第1及び第2のイメージング方式は、単一のイメージング方式であってもよく、この場合、まず、管腔内媒体がある状態で画像を取得し、次に、置換処理によって向上された画像を取得してもよい。
【0099】
超音波は、血液に対する妥当な侵入性を有しているが、超音波イメージングプローブの視野から血液を置換することによって、血管壁を特定する能力を更に向上させることができ又は画像コントラストを向上させることができる。一方、超音波は、例えば、血液及び軟組織等の生物学的媒体に良好に侵入する能力を有し、光干渉断層法の侵入深度を超える数ミリメートル又は数センチメートルの幅の侵入深度を有する。
【0100】
一実施形態においては、第1及び第2のイメージング方式は、何れもIVUSであり、第1の方式は、第2のIVUS方式より低い周波数範囲を有するIVUSである。一般化して言えば、超音波の周波数がより高いと、低い周波数より解像度が高くなるが、周波数を高くすると、血液への侵入が浅くなる。したがって、より高い周波数のIVUSでイメージングを行う場合、血液を置換することが望ましい。2つのIVUSイメージング周波数について、個別の超音波トランスデューサを設けてもよく、1つの超音波トランスデューサが2つ以上のイメージング周波数をサポートできる十分広い帯域幅を有していてもよく、ここでイメージング周波数は、超音波トランスデューサを励起するパルス発生器(pulser)によって使用されるパルスの周波数によって部分的に決定される。
【0101】
単一のイメージングプローブを用いて、超音波と、例えば、OCT又は近赤外線分光法等の光学イメージング法とを組み合わせる能力は、必要な解像度及び侵入深度の選択に関して有利である。更に、光干渉断層法によって取得される情報の多くは、超音波によって取得される情報を補足し、両方のイメージング法によって取得された情報を解析又は表示することによって、検査される組織への理解、例えば、その組成に関する理解を深める能力が向上する。
【0102】
なお、脈管内OCTは、血液の存在によって深刻に妨害されるが、NIR分光法は、それほど影響を受けず、血液を介して数ミリメートルの深さまでプラーク組成を評価できる。しかしながら、これは、より大きな血管、及び動脈瘤がなければ内径が通常である筈の血管における動脈瘤の部分に対しては効果的ではない。
【0103】
図6は、置換可能な管腔内媒体の存在によって妨害される第2のイメージング方式によって次に画像を取得する際に、第1のイメージング方式を用いて記録された画像を用いて置換動作を行う実施形態を示すフローチャートである。
【0104】
ステップ300において、置換可能な管腔内媒体の存在に適合性がある第1のイメージング方式によって画像を取得するために、多方式イメージングプローブ、例えば、図1のイメージングプローブ105を管腔に挿入する。第1のイメージング動作は、例えば、後退等の平行移動動作であってもよく、これは、第1のイメージング方式を用いてイメージングデータを記録しながら実行される。平行移動動作は、自動化してもよく、第1のイメージング方式のために選択及び/又は最適化された一定の平行移動速度で実行してもよい。第1の平行移動動作の間に第1のイメージング方式デバイス(イメージングプローブ105のイメージングアセンブリ110内に設けられている。)から得られた信号は、第1のイメージング方式コントローラ170に供給される。
【0105】
この実施形態では、平行移動動作の間に位置感知を採用し、基準位置に対する及びオプションとして基準方向に対する記録された画像の位置を特定する。したがって、記録された画像は、イメージングプローブの位置及びオプションとして向きと関連付けられる。位置感知は、周知の手法の1つを用いて行ってもよく、図1では、包括的に、位置センサ150及び位置感知コントローラ190(これらは、共に複合サブシステムを形成してもよい)として示している。
【0106】
一実施形態においては、位置感知は、例えば、イメージングプローブ、後退モータ又は駆動素子に接続されたエンコーダ又は他の位置センサを用いた管腔内の長手方向の位置感知によって行われる。位置感知は、空間領域測定によって行ってもよく、平行移動又は回転運動が既知の速度で行われている場合、時間領域測定に基づいて推定してもよい。例えば、イメージングプローブの長手方向の位置に関する位置情報は、平行移動が行われた期間に基づいて推定でき、これは、この期間におけるイメージングプローブの位置の変化率が既知であることを前提としている。プローブの平行移動の間、位置の変化率は、一定であってもよい。回転角感知は、引用により全体が本願に援用される、2008年1月22日に出願された同時に係属中の米国特許出願番号第12/010,207号、発明の名称「Medical Imaging Probe with Rotary Encoder」に開示されているように、イメージングプローブに接続された回転エンコーダ又は他の位置センサを用いて行うことができる。
【0107】
他の実施形態においては、位置感知は、イメージングプローブ内に設けられ、外部的に生成されたフィールド、例えば、磁界内でイメージングプローブの位置を判定する検出要素を用いて行ってもよく、これは、向き検出と組み合わせて実行してもよい。Muller他による米国特許出願公開番号第2009/0299195号に開示されているように、メディガイドリミテッド社(Mediguide Ltd.)が提供している適切なセンサを採用してもよい。
【0108】
第1の平行移動動作を実行した後に、ステップ305において、画像解析のために、第1のイメージング方式コントローラ170からの画像データをプロセッサ210に供給する。プロセッサ210は、画像処理アルゴリズムに基づいて画像データを解析して、関心領域、例えば、診断、研究及び/又は臨床的な関心の対象となる領域を特定する。特定される領域は、様々な解剖学的構造及び/又は特徴を表すことができ、これらは、以下に限定されるものではないが、後の解析のための所望の組織タイプ、特定の解剖学的特徴、既知の又は疑いのある病理上の構造又は特徴、及び医療用又は他の人工的構造を含む。適切な関心領域は、以下に限定されるものではないが、プラーク、可能性がある血栓、分岐点(branch points)、病巣、石灰化領域、ステント又は近接照射療法インプラント等の移植領域、狭窄部、血管壁の肥厚領域、脂質コア、壊死領域、線維性被膜、解離部(dissections)、腫瘤(masses)等がある。関心領域は、更に、検出されたマイクロバブル、例えば、標的マイクロバブル(targeted microbubbles)を含む領域であってもよい。また、関心領域は、更なるイメージングデータがなければ自動化又は半自動化された処理アルゴリズムが関心領域を確定的に評価できない不確定(indeterminate)又は不確実(uncertain)な構造又は組成を含んでいてもよい。
【0109】
関心領域は、更に、臨床症状に至っていないが、破裂又は浸食のリスクが高く、急性心筋梗塞を引き起こす可能性がある血管病巣を含んでいてもよい。これらの所謂「不安定プラーク(vulnerable plaques)」は、これらのプラークを治療して不利な臨床的事象を予防することが概念的に望ましいために関心領域となる。
【0110】
他の実施形態においては、第1のイメージング方式に基づいて得られた何らかの画像から、不確定な結果が疑われる如何なる領域も関心領域として特定できる。例えば、第1のイメージング方式としてNIR分光法を使用する場合、イメージングプローブのイメージングアセンブリから血管壁までの距離が、血液の存在下でのNIR分光法プローブの範囲によって許容されている距離より更に遠い領域を関心領域として定義してもよい。これに代えて、IVUSイメージングの場合、このような領域は、血管壁がイメージングプローブに接触している領域として定義してもよい。IVUSでは、カテーテルに最も近い視野の一部で幾らかのアーチファクトが生じることがある。これらは、トランスデューサリングダウン(transducer ring-down)と呼ばれる現象及びカテーテルのシースから生じる超音波反射に起因するアーチファクトを含む。OCTは、このようなアーチファクトによる影響を実質的に受けず、カテーテルに最も近い視野の部分でも良好な画像が得られる。
【0111】
一実施形態においては、関心領域は、既知の幾何学的形状、構造的形態及び/又はイメージング信号の特性を有するステントを含むことができる。これは、金属ステント、ポリマステント、生分解性ステント、ペースメーカワイヤ、ガイドワイヤ等を含んでいてもよい。
【0112】
関心領域は、多くの既知の画像解析法の1つを用いて特定できる。関心領域は、処理画像によって、予想される値又は範囲と比較することができるメトリック(metrics)を算出することによって特定してもよい。他の具体例では、画像解析は、関心領域を特定するためのパターン認識法と組み合わせて実行される。一具体例においては、イメージング解析は、境界検出を含む。例えば、境界検出を用いて、プラーク肥厚が生じている領域を検出してもよく、この領域は、第2のイメージング方式による後のイメージングに適合する。境界検出は、多くの異なる手法で実施できる。1つの非制限的な具体例として、Papadogiorgaki他は、輪郭最適化技術を用いた境界検出を開示している(Ultrasound in Medicine and Biology 2008, Sept 34(9) 1482-98)。また、境界検出の方法は、例えば、米国特許番号第7,359,554号、発明の名称「System and Method for Identifying a Vascular Border」及び米国特許出願公開番号第2005/0249391号、発明の名称「Method for Segmentation of IVUS Image Sequences」にも開示されており、これらは何れも引用によって全体が本願に援用される。
【0113】
一実施形態においては、関心領域は、組織特性評価技術を含む画像処理法によって特定される。例えば、引用により全体が本願に援用されるNairによる米国特許番号第6,200,268号に開示されているように、第1のイメージング方式がIVUS又はそのバリエーションである実施形態では、関心領域は、パターン認識アルゴリズムと組み合わせて、後方散乱超音波信号の無線周波数特性によって判定してもよい。これに代えて組織特性評価技術は、グレースケール画素の輝度解析を採用してもよい。例えば、生成された画像において、ある輝度範囲の画素は、軟性プラーク(soft plaque)を表している可能性が高く、これは、更に、脂質過多領域(lipid-rich regions)を含んでいる可能性がある。これに代えて、組織解析アルゴリズム例えば、ウェーブレット分解アルゴリズム又はイメージングデータの統計的特性を評価するアルゴリズムを用いてもよい。これに代えて、ある組織成分の既知の特性を検出する発見的アルゴリズムを用いてもよい。例えば、アルゴリズムは、IVUSイメージングにおいて石灰化の存在との相関性が高いことが知られている音響陰影を検出してもよい。
【0114】
特定の領域について最も可能性が高い組織組成を特定することができるパターン認識アルゴリズムに幾つかのイメージングデータパラメータを入力することが望ましい場合がある。このようなパターン認識アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、ファジィ論理アルゴリズム、データ分類木、最近近接法、他の幾つかのパターン認識法であってもよい。このようなパターン認識アルゴリズムは、組織学、X線撮影、分光法、超音波、光学イメージング及びこの他の何らかの組合せによって、組織の実際の基本的な組成が既知であるイメージングデータを用いてトレーニングしてもよい。このようなパターン認識アルゴリズムは、所与の関心領域について、可能性が高い組織の基本的な組成を特定するだけではなく、正しさの尤度の推定をも提供する。これに代えて、パターン認識アルゴリズムは、単に、第1のイメージング方式によっては、基本的な組成が不確実である領域を特定し、第2のイメージング方式による更なる解析の必要性を促すものであってもよい。
【0115】
これに加えて、又はこれに代えて、関心領域は、非イメージング方式に基づいて、例えば、温度不均一性に基づいて判定してもよい。温度不均一性を検出する方法の具体例は、例えば、「Stefanidis C, et al., "Thermal heterogeneity within human atherosclerotic coronary arteries detected in vivo: a new method of detection by application of a special thermography catheter", Circulation 1999;99;1965-71」に開示されている。プローブ115の先端部分に温度センサを組み込んで、動脈壁の温度の変化を検出してもよく、温度がより高い領域は、炎症領域に対応している可能性が高いと考えられる。更に他の実施形態では、関心領域は、選択的な検出分子種、例えば、抗体又はアプタマが結合されたイオン選択性電界効果トランジスタ(ion-selective field effect transistor:ISFET)等の局所的バイオセンサによって局所的に検出された生物学的検体、例えば、C反応性蛋白(C-reactive protein:CRP)を検出する炎症のマーカの濃度が最小の領域に基づいて判定してもよい。
【0116】
上述したような第2のイメージング方式による更なる解析のために関心領域を特定するために自動化されたシステム及び方法は、関心領域の識別に影響を与えるパラメータをユーザが調整又は変更できる設定を含むことができる。例えば、このような設定によって、ユーザは、特定の病理上の特徴又は構造を選択することができ、例えば、少なくとも選択された量のプラーク、選択された最小の血管壁厚、又は選択された壁厚の異常性(eccentricity)の度合いを有する領域の識別を行うことができる。血管壁の肥厚が最小量である領域にプラークが存在することは希であり、血管壁の肥厚が異常である領域にプラークが存在する可能性が高いことが知られている。
【0117】
他の実施形態として、関心領域の識別をトリガする1つ以上の閾値パラメータを構成できるようにしてもよい。このような実施形態は、媒体置換動作の間に造影剤、食塩水、又は他のフラッシュ液を流し込む場合に特に重要である。関心領域を特定するための1つ以上の閾値パラメータを制御することによって、臨床医師又は施術者は、低侵襲処置の間に送達されるフラッシュ液の量を制御又は制限でき、使用されるフラッシュ液の量による患者への影響を確実に制御又は最小化することができる。
【0118】
上述した実施形態は、関心領域を特定する自動化された手法を含むが、ユーザ又は施術者は、第1の平行移動(例えば、後退)動作によって取得された画像の結果をレビューすることによって、手動で関心領域を画定し、自動化又は半自動化された第2の平行移動動作のための関心領域を選択してもよく、この第2の平行移動動作においては、以下で更に説明するように、媒体置換動作を実行している間に、関心領域が第2のイメージング方式によってイメージングされる。
【0119】
また、関心領域は、2つ以上のイメージング方式に基づいて画定又は特定してもよい。例えば、イメージングプローブは、管腔内媒体の存在に適合性がある複数のイメージング方式を含んでいてもよく、上述した方法に基づいて、複数のイメージング方式を処理することによって関心領域を特定してもよい。
【0120】
再び、図6を参照して説明すると、ステップ305において1つ以上の関心領域を取得した後に、ステップ310において、第2の後退動作の間に第2のイメージング方式によってイメージングされる関心領域を選択する。このステップは、ステップ305において特定された全ての関心領域を自動的に選択することを含んでいてもよく又はこれに代えて、このステップは、ステップ310において特定された関心領域のサブセットを選択することを含んでいてもよい。後者の場合、関心領域のサブセットの選択は、システムを操作するユーザがユーザインタフェース225を介して行ってもよく、後の解析のために望まれる特定される領域のタイプを予め選択することによって行ってもよい。
【0121】
例えば、ステップ305においては、正常な解剖学的構造、インプラント、組織タイプ、病理上の構造又は徴候等の広範囲に関連する関心領域が特定されるが、システムは、第2のイメージング方式を用いて、検出されたインプラントのみをイメージングするように構成してもよい。これに代えて、システムは、例えば、以下に限定されるものではないが、プラークサイズ、薄い線維性被膜(thin-capped fibroatheroma)であると推定される可能性、脈管構造内の位置及びこの他の幾つかの評価基準の何れかに基づいてステップ305において特定された関心領域を格付けしてもよい。一旦、関心領域が格付けされると、サブセット例えば、使用される基準に基づいて最高に格付けされた関心領域のグループを選択してもよい。
【0122】
(自動的に又はユーザによる介入によって)第2のイメージング方式によるイメージングのための関心領域を選択した後、第2の後退動作を実行して、選択された関心領域をイメージングする。この動作は、後述するように、多くの実施形態に基づいて実行することができる。
【0123】
まず、ステップ315で選択された関心領域にイメージングプローブ(及び/又はその機能的部品)を平行移動する。この平行移動は、位置感知システムからのフィードバックにより、プローブが適切な位置に移動したことを判断することによって、手動で実行してもよく、これに加えて又はこれに代えて、イメージングプローブを自動的に平行移動させて、必要な位置にイメージングアセンブリを配置してもよい。
【0124】
所望の位置へのイメージングプローブの自動的な平行移動は、画像比較技術によって補助又は誘導できる。相互相関技術を用いて、イメージングデータセット内で互いに類似する画像又は領域を特定することができる。2D画像のための最も簡単な形式では、1つの画像の各画素の輝度を他の画像の対応する画素の輝度と乗算し、これらの積の総和を算出する。画像が類似している程、積の総和が大きくなる。一方の画像を他方の画像に対して繰り返しシフト、回転及び/又はモーフィングして、相互相関演算を繰り返すことによって、これらの変化を考慮に入れた2つの画像の類似度の評価を作成することができる。
【0125】
相互相関技術は、3Dイメージングデータセットに拡張することができ又は2Dイメージングデータセット内で局部的領域に焦点を合わせることができる。相互相関技術は、3Dイメージングデータに由来する2Dイメージングデータセットにも適用できる。例えば、相互相関を断面画像に適用するのではなく、共に積層されて3Dデータセットを形成する一連の2D断面画像から任意の平面を抽出して生成された長手方向の2D画像を使用することもできる。この実施形態では、予備的に選択された画像又は第1の後退の際に特定される開始点及び停止点に対応するイメージングデータセットの相互相関を第2の後退の間に取得されるイメージングデータに適用して、媒体置換動作のための開始点又は停止点をより高精度に特定する。
【0126】
第2のイメージング方式による画像取得の前に、ステップ325において、置換動作を開始し、第2のイメージング方式によるイメージングをサポートするために、管腔内の置換可能な媒体を置換する。上述したように、以下に限定されるものではないが、フラッシング又は膨張を含む適切な如何なる置換動作を行ってもよい。置換動作は、平行移動ステップ320の完了の前に開始してもよく、この場合、システムは、選択された関心領域を第2のイメージング方式によって評価できる時刻を予測し、及び平行移動ステップ320において第2のイメージング方式のためにイメージングプローブが適切に配設される時刻までに、置換動作によって管腔内媒体を適切に置換し、時間遅延が最短又は皆無で選択された関心領域を評価することができる。媒体を置換している間、ステップ330において後退動作を実行し、第2のイメージング方式を用いて関心領域をイメージングする。
【0127】
一実施形態においては、平行移動動作を行って第2のイメージング方式によって画像を取得するステップ330を実行する際、第1の方式によって更なる画像を取得して、組織の動き及び/又は位置検出システムにおける誤差等の位置の誤差又は逸脱を調整又は修正してもよい。イメージング方式の位置合わせが正確に行われれば、第1及び第2の方式で画像を同時に取得することによって、組織の動き(すなわち、心運動及び呼吸等)に起因する誤差が生じることなく同じ位置の画像が提供される。一実施形態においては、置換動作、後退動作及びイメージング動作は、イメージングシステムによって自動化され、選択された関心領域がイメージングされる。この置換動作は、第2の後退動作の間に継続的に行ってもよく、断続的に又は間隔を空けて行ってもよい。自動化された注入動作は、ステップ325、330の間に、ユーザが、例えば、ボタン又はフットペダル等のスイッチを継続的に操作することによって、作動化又は実行することができる。このようなイメージングの自動化の管理モードによって、全ての媒体置換動作が施術者の存在の下で実行されることを確実にすることができる。施術者は、例えば、使用されたフラッシュ液の量が、予め選択された量を超えたと考えられる場合に処置を中断できる。
【0128】
変形例として、ステップ330及びステップ335の1つ以上を手動で実行してもよい。一実施形態においては、ステップ330、335の両方が手動で実行され、置換動作及びイメージング動作を実行する位置は、ステップ315において特定された選択された領域に基づいて、ユーザに示される。例えば、施術者は、イメージングプローブを平行移動してもよく、システムは、(例えば、ユーザインタフェース225を介して)置換及びイメージングを実行する位置をユーザに示すことができる。そして、ユーザは、手動で作動される図1に示す媒体置換装置135を用いて、手動で置換動作を実行できる。
【0129】
他の実施形態においては、施術者は、イメージングプローブを手動で平行移動でき、イメージングシステムは、ステップ315において選択された関心領域をイメージングプローブが通過する際に、例えば、図2の統合型媒体置換装置135、並びにシステムの関連するモニタ/ドライバ及びコントローラを用いて、自動化された注入及びイメージングを実行できる。
【0130】
更に他の具体例では、イメージングプローブは、自動的に平行移動でき、イメージングシステムは、第2のイメージング方式によって画像を取得するために置換動作が必要な位置を施術者に示してもよい。このような実施形態では、システムは、施術者によって置換動作が行われれば、第2のイメージング方式を用いて画像を自動的に取得する。
【0131】
一実施形態においては、置換動作は、例えば、図2に示す媒体置換モニタ155によって監視される。上述したように、監視されるパラメータは、所与の媒体置換動作に供給されるフラッシュ液の体積、所与の患者及び/又は低侵襲処置のための複数の媒体置換動作に供給されるフラッシュ液の総量、所与の媒体置換動作が行われる継続時間、所与の患者及び/又は低侵襲処置のための複数の媒体置換動作が行われる継続時間の合計、媒体置換を行うためにデバイス又はサブシステムに伝達される制御信号及び/又はコマンド等を含むことができる。
【0132】
一実施形態においては、監視された置換パラメータを用いて、イメージングシステムにフィードバックを行う。監視された置換パラメータの閾値範囲又は最大値をシステムに設定してもよい。このような閾値を超えると、視覚的又は可聴の警告がトリガされるようにしてもよい。これに代えて、閾値を超えると、所与の置換動作を自動的に停止又は中止してもよい(オプションとして、このイベントを施術者に通知してもよい)。監視された置換パラメータを保存して、低侵襲処置の後に施術者又は医師が利用できるようにしてもよく、例えば、処置に関連する文書記録に含まれるようにしてもよい。これに代えて、置換動作の監視を用いて、ステップ325、330を実行する期間又は間隔を決定してもよい。例えば、ステップ320においてイメージングプローブを関心領域に平行移動し、ステップ325において置換動作を開始し、監視された置換閾値に達するまで、管腔内媒体を置換し、イメージングを行いながらイメージングプローブを更に平行移動してもよい。
【0133】
上述した実施形態においては、処理済みの画像からのフィードバックを利用して、イメージングプローブの平行移動及び/又は回転の速度を制御及び/又は最適化することが望ましいことがある。後退速度又は前進速度及び/又はトルクケーブルの回転速度は、処理ユニット205及び/又はコントローラユニット165によって制御してもよい。これらの速度は、各イメージング方式毎に個別に変更、決定及び/又は最適化してもよい。更に、処理ユニット205によって処理された画像に基づいてこの速度を変更してもよい。例えば、第1のイメージング方式によって得られた画像を評価する際、第2のイメージング方式が適用される領域を第1のイメージング方式が検出する場合、第2のイメージング方式(例えば、OCT)を用いている間、後退の速度及び/又はトルクケーブルの回転速度を高めることが望ましいことがある。管腔内媒体の置換を必要とするイメージング方式の動作の間に画像取得を加速することによって、画像を取得する際の置換の継続時間を短縮し又は導入する必要がある造影剤等の置換媒体の量を低減することができる。
【0134】
一実施形態においては、回転速度又は平行移動速度を調整しながら、イメージング方式の1つ以上を選択的に停止することが望ましい場合がある。例えば、第1の方式は、媒体置換動作を開始し、第2のイメージング方式を作動し、回転速度を変更し、及び/又は後退速度を変更する関心領域を特定してもよい。異なる回転速度及び/又は後退速度の動作によって第1の方式の有用性が低下する場合、第2の方式を終了することをコントローラが判定するまで、第1の方式を一時的に停止することが望ましいことがある。
【0135】
例えば、第1のイメージング方式がIVUSである場合、システムは、IVUSが関心領域を特定するIVUS解析の間、5~100フレーム毎秒の範囲の回転速度で動作できる。ここで、OCT等の第2のイメージング方式でイメージングを行う間、回転速度を1秒あたり50フレーム毎秒より高めてもよく、後退速度を2mm/sより高めてもよい。有用なIVUS画像取得のための回転速度の制限は、実例又は応用例に応じて異なるが、高い回転速度を採用するOCT取得の間、IVUS画像を停止又は削除することは合理的である場合がある。このような場合、関心領域の終端は、第2のイメージング方式によって特定してもよく、第1のイメージング方式に依存することなく関心領域の終端を特定するための幾つかの上述したパラメータ、例えば経過時間、使用された置換媒体の量、又は後退メカニズムからの位置センサデータに基づく既知の位置への到達の何れかによって特定してもよい。
【0136】
更に他の実施形態では、ステップ325及びステップ330の間、第2のイメージング方式を用いて取得された画像の画像処理を実時間で実行して、画像の品質を評価してもよい。例えば、セクタ等の画像の一部の強度、信号減衰又はテクスチャを予め設定された所望の範囲又は閾値と比較することによって、画像の品質を評価してもよい。例えば、処理ユニット205によって画像を解析し、解剖構造の境界が、適切なフラッシングによって期待される血管壁と管腔との間の明瞭に示されるボーダと比較的又は十分に類似している(例えば、予め選択された基準(metric)によって定義される。)ことを確認してもよい。
【0137】
これに代えて、画像のセクションを解析して、血液等の管腔内媒体の存在を検出又は推定してもよい。血液は、通常、各方式毎に、信号強度、信号減衰、又はNIRイメージングの場合、スペクトル成分に基づくシグネチャ又はある範囲の外観を有する。画像の品質は、血液の置換が望まれる画像の各セクション内に血液のシグネチャが存在していないことを確実にすることによって、少なくとも部分的に確かなものとすることができる。
【0138】
そして、読み取られた画質を用いて、ステップ325にフィードバックを提供して、媒体置換動作を規制してもよい。例えば、画像の信号対雑音比が劣っているとみなされる場合、フラッシュ液の送達の速度、フラッシュ液の量、フラッシュ量の時間プロファイル、又は置換バルーンの膨張量を変更してもよい。
【0139】
これに代えて、非侵襲イメージング方式からのデータを用いて、管腔内媒体の置換の妥当性を評価してもよい。例えば、血管造影図を実時間で処理し、又は置換手段が作動された直後に処理し、これにより得られる画像を処理して、血管が造影剤によって完全に不透明化されたかを判定してもよい。この判定は、血管造影図の画素強度の変化を評価することによって、又は血管造影図の血管境界の鮮鋭度を評価することによって行うことができる。
【0140】
一実施形態においては、第2のイメージング方式で得られる画質をリアルタイムで評価し、フィードバックを行って置換動作に関連するパラメータを調整することによって、置換動作の側面(aspects)を最小化する。例えば、画質を評価して、置換動作の時間、フラッシュ液の送達の速度及び/又はフラッシュ液の量を最小化してもよい。
【0141】
他の実施形態においては、リアルタイムの画像解析に基づいて、フラッシングによって視野が適切に改善された後、ステップ330の第2の後退動作を開始してもよく、この後、イメージングプローブは、画像取得のために、関心領域の終端まで平行移動を続ける。この期間に、視野における画質が不適切になった場合、後退コントローラは、停止又はステップバックを行い、画質の評価に基づいて視野が適切であると判定された後に、平行移動を再開する。
【0142】
ステップ330を実行し、第2のイメージング方式を用いて所与の関心領域の画像を取得した後に、符号335で示すように、ステップ320~330を繰り返して、ステップ315において選択された更なる関心領域の画像を取得してもよい。したがって、この方法は、ステップ300において完全な後退動作を実行することによって関心領域を特定及び選択し、これに続いてステップ320~330の連続的な後退及び置換動作を行い、第2のイメージング方式を用いて選択された関心領域の画像を取得することによって実行してもよい。
【0143】
変形例では、最初の後退動作300は、イメージングされる解剖学的な領域全体の一部だけに亘って行われる部分的な後退動作として実行してもよい。画像解析ステップ305を実時間で実行し、関心領域を「オンザフライ(on the fly)」で特定してもよい。そして、例えば、前後往復を繰り返すような手法で、実時間での選択及びその後のステップ320~300における第2の後退の自動化、置換及びイメージング動作のために、このような関心領域をユーザに表示してもよい。これに代えて、上述のように、関心領域は、後の解析のために自動的に選択してもよく、ステップ320~330を自動的に実行してもよい。部分的な後退動作に基づいてステップ300~330を実行した後に、符号340で示されているように、低侵襲処置が完了したとみなされるまで、更なる部分的な後退動作を繰り返す。
【0144】
一実施形態においては、第2の後退動作の間に、関心領域の開始点及び停止点を特定することを補助するために画像処理を用いる。一般化して言えば、多くの位置センサを用いて、第2の後退動作のためのイメージングプローブの相対的位置を正確に判定することは、イメージング導管の弛緩、心運動、フロー、及びユーザの不注意によるカテーテルの誤った動きの可能性等に起因して、幾らか不正確になることがある。
【0145】
一実施形態においては、第2の後退動作をいつ開始及び/又は停止するかの第1の推定のためにポジショニングシステムを使用し、第1の後退動作から開始/停止点の近くで取得された1つ以上のオリジナル画像を第2の後退動作の間に取得された現在の画像と比較して、適切な一致が発見されるまで比較を続け、関心領域の開始点を正確に特定する。このような相対的位置決め方式は、病理上の関心領域に加えて、正常な解剖学的目印、例えば、脈管解剖学上の分岐部(bifurcations of the vascular anatomy)を使用することによって、改善できる。
【0146】
第2のイメージング動作の間に関心領域の正確な開始位置を判定する画像比較は、既知の幾つかの画像比較法の1つによって行ってもよい。一実施形態においては、画像相互相関を採用する。他の実施形態においては、脈管管腔のサイズを採用する。更に他の実施形態では、(媒体と外膜層との間の)脈管境界の形状を採用する。更に他の実施形態では、内腔の形状境界を採用する。更に他の実施形態では、第1のイメージング方式によって検出された1つ以上の特徴、例えば、石灰化、分岐、インプラント、プラーク、血栓等の存在、形状又はサイズを採用する。一実施形態においては、位置センサ情報、画像比較技術、及び/又は領域の幾何学的特徴の組合せを用いて、開始点及び/又は停止点の特定を補助する。
【0147】
一実施形態においては、第2の後退動作を必要とすることなく、第2のイメージング方式による実時間の置換及びイメージングをサポートする画像の実時間処理を実行する。この実時間の実施形態を図7のフローチャートに示す。ステップ400において、初期の位置にイメージングプローブを配置した後に、第1のイメージング方式を用いて1つ以上の画像を取得する。ステップ410では、上述した実施形態に開示した方法に基づいて、画像を処理する。実時間の画像処理は、個々の画像を個別に処理して、イメージングプローブの現在位置に対応する画像が第2のイメージングの関心領域となるかを判定すること、又は現在位置に先行する空間的領域内で収集された画像の解析に基づいて、現在位置が関心領域に対応しているかを判定することを含む。これに代えて、実時間の画像処理は、3Dデータセットに対応する一連の画像の処理を含み、第2の方式によるイメージングのための潜在的関心領域の存在に関してより高い確実性を提供するようにしてもよい。
【0148】
ステップ420では、現在位置が関心領域に対応しているかについての判定を行う。現在位置が関心領域に対応していることを画像処理ステップからの結果が示唆している場合、ステップ430を実行し、媒体置換動作を行う。他の具体例では、この判定は、基準マーカ(例えば、次に限定されるものではないが、血管造影によって検出可能なマーカバンド)からの情報に基づいて行うことができる。上述したように、これは、自動的手法又はシステムが施術者に対して媒体置換を実行又は作動することを促す半自動的手法によって実行してもよい。媒体置換動作が開始された後、ステップ440において、第2のイメージング方式を用いて、現在位置の画像を取得する。そして、ステップ450において、イメージングプローブを新たな位置に平行移動し、ステップ460に従って、プロセスを繰り返す。
【0149】
ここで、ステップ420において、現在位置が関心領域に対応していないとみなされた場合、ステップ430、440は、バイパスされ、ステップ450を実行して、イメージングプローブを新たな位置に平行移動する。そして、プロセスは、ステップ460に従って繰り返される。上述した実時間の処理は、上述したように、媒体置換及び第2のイメージングステップが実行される場合にイメージングプローブを静止させる、停止-開始を繰り返す手法で行ってもよく、継続的な後退動作の下で行ってもよい。
【0150】
これまで、実施形態を一連の離散的なステップとして説明したが、実施形態の他の変形例を想到できることは明らかである。例えば、上述した実施形態の変形例として、画像処理ステップが実行されている間、直ちには停止されないモータ又は他の駆動システムを用いてイメージングプローブを平行移動してもよく、この場合、関心領域を特定する判定が行われた時点で、プローブ(又はプローブの機能的部品)は、画像が取得された位置から僅かに平行移動している可能性がある。一具体例においては、置換動作を開始する前に、画像プローブの機能的部品を適切な距離だけ戻り方向に平行移動することによってこれを修正してもよい。これに代えて、通り過ぎの距離が十分に短ければ、修正的な戻り動作を行うことなく、置換動作を直接開始してもよい。他の実施形態では、図7のステップ400~430の1つ以上を実行しながら、イメージングプローブを継続的に平行移動してもよい。
【0151】
継続的な後退を採用する一実施形態においては、第2のイメージング方式のためのコントローラは、最適ではないイメージングデータが取得されたことを特定でき、及び(例えば、通知を介して)誤りが発生したことを宣言することができる。この誤りに対しては、誤りに対応する領域を横断するまで、イメージングプローブの平行移動の方向を反転し、正常な方向の平行移動を再開して、ステップ430~450を再び行うことによって対応してもよい。
【0152】
これに代えて、ステップ430において、関心領域として特定された特定の位置に基づいて媒体置換動作を開始し、プロセスを繰り返しながら、関心領域として特定されない新たな位置に到達するまで媒体置換動作の作動を継続してもよい。このような新たな位置に到達した場合、媒体置換動作は、ステップ420を実行した後に、ステップ450を実行する前に終了する。このような実施形態によって、媒体置換動作の終了及び再開の必要なく、複数の連続した位置において第2のイメージングが実行される一連の測定サイクルの自動化が実現する。
【0153】
上述の手法の変形例として、媒体置換動作を実行する前に、イメージングプローブを短い距離だけ逆方向に平行移動することが望ましい場合がある。これに代えて、関心領域の開始を自動的に特定した後に、僅かな逆戻しステップ(例えば、20mm未満、より好ましくは、5mm未満)を実行してもよく、これによって、血液を置換した後に収集されるイメージングデータに関心領域の開始端が含まれる。例えば、関心領域が特定されるまで後退動作を実行し、関心領域が特定されると、媒体置換動作の開始に続いて、約2mmの逆方向(例えば、前進)のステップを実行してもよい。そして、第2の(及びオプションとして第1の)イメージング方式によるイメージングのために後退動作を再開し、置換動作を終了する関心領域の終端が特定されるまでこれを続ける。この方法を繰り返して、次の関心領域を特定及びイメージングしてもよい。
【0154】
上述した実時間の実施形態で使用するイメージングプローブは、(管腔内媒体に適合性がある)第1のイメージング方式に基づく関心領域の検出のための基端部側センサと、基端部側センサによる関心領域の検出及び管腔内媒体の置換によって性能が向上される第2のイメージング方式に基づく先端部側センサとを備えていてもよい。
【0155】
より一般化して言えば、上述した実時間の実施形態で使用するイメージングプローブは、(管腔内媒体に適合性がある)第1のイメージング方式に基づく関心領域の検出のための、プローブ上に配置され又は方向付けられたセンサを備えていてもよく、このセンサによって、潜在的関心領域を評価し、この後に、第2のイメージング方式に基づく第2のセンサを配置又は方向付けして、対応する関心領域を評価し、この性能は、第1のセンサによる関心領域の検出及び管腔内媒体の置換によって向上する。
【0156】
幾つかの上述した実施形態では、置換動作と組み合わせて、第2の後退動作によって、第2のイメージング方式を用いて画像を取得するが、第2のイメージングステップは、後退方向とは逆方向にプローブを前進させることによって行ってもよい。具体的には、イメージングアセンブリが置換流体の塊と同じ方向に動くため、所与の量の置換流体で脈管をイメージングできるので、このような前進動作が好ましいことがある(これは、イメージングコアが、置換流体と反対方向に進むのではなく、置換流体に追従するためである)。また、後退動作は、イメージングプローブの全体を後退させても又はイメージングプローブのコア部品を後退させても達成できることは明らかである。
【0157】
他の実施形態においては、第1及び第2のイメージング方式によって取得された画像を処理して、組み合わされたイメージング方式を含む低侵襲処置がどの程度実行されたかを示すスコア又はインデクスを提供してもよい。例えば、スコア又はインデクスは、管腔内媒体の適切な置換が行われた後退距離のパーセンテージ又は絶対値を算出することによって判定してもよい。このようなスコア又はインデクスを用いて、特定の研究又はトライアルの目的のために、どのデータセットが適切な品質を提供するかを判定してもよい。これに代えて、スコア又はインデクスは、場合によっては、感度及び/又は速度等のパラメータを変更して、低侵襲処置を繰り返す必要があるかを示す指標として用いてもよい。
【0158】
なお、上述した実施形態は、2つのイメージング方式を含む多方式イメージングプローブに関する方法及びシステムに関するものであるが、イメージングプローブは、更に多くのイメージング方式を含んでいてもよい。一実施形態においては、管腔内媒体の存在に適合性がある複数のイメージング方式を使用して、関心領域を特定してもよい。更に、置換可能な管腔内媒体の置換が有利な複数のイメージング方式を使用して、関心領域をイメージングしてもよい。
【0159】
上述した実施形態では、1つ以上のセンサによって評価される領域又は視野が実質的に平行移動動作、例えば、後退動作又は前進動作によって判定される処置を強調して説明した。ここに説明した方法及びデバイスは、第1及び第2の方式によってイメージングされ、評価され又は治療される領域を平行移動以外の動作で判定する他のイメージングシステムにも同様に適用される。例えば、図4a~図4dに示すイメージングプローブ31は、光学イメージング及び超音波イメージングの両方によって広い領域をイメージングでき、イメージング角度は、偏向可能な部品70の傾斜角によって部分的に決定される。このようなプローブの場合、図6及び図7を用いて上述したような媒体置換の制御のための実施形態の平行移動動作を偏向動作に置き換えることがでる。例えば、イメージング角度が大きい場合、超音波イメージングは、第2のイメージング方式による更なる解析を必要とする関心領域が現在の視野内にないと判定してもよい。媒体置換動作が有利な関心領域は、より前方視方向のイメージング角度において特定してもよい。
【0160】
同様に、例えば、2Dの又は3Dの超音波プローブで使用される線形アレイ超音波トランスデューサ又はフェイズドアレイトランスデューサ等の電子的操縦法は、平行移動又は偏向のみに依存してイメージングされる領域を判定するわけではない。このようなアレイを低侵襲イメージングプローブに組み込んでもよく、これを本発明の第1又は第2のイメージング方式又はこれらの両方として使用してもよく、媒体置換動作による利益を得てもよい。
【0161】
更に他の実施形態では、外部イメージング装置をシステムの一部とすることができる。外部イメージング方式の具体例には、血管造影、CT血管造影、磁気共鳴イメージング、外部から印加される超音波等が含まれる。図8に示す実施形態においては、システム500は、蛍光透視イメージング装置510を含むことができ、これは、オプションとして、コンピュータシステム220に接続される(例えば、処理ユニット205に接続される)。平行移動動作を実行して、第1又は第2のイメージング方式によって画像を収集しながら、外部システムをトリガして、イメージングプローブの1つ以上の平行移動動作の間に1つ以上の画像フレームを収集させる画像取得トリガ信号を外部イメージング装置に供給してもよい。一具体例においては、関心がある間隔で信号を供給してもよく、このような間隔は、時間的に一定の間隔であってもよく、平行移動動作の範囲に沿った間隔であってもよい。これに代えて、この間隔は、媒体置換動作の開始又は終了に関連する時間的間隔であってもよく、判定された関心領域をイメージングプローブがイメージングする時点の間隔であってもよい。
【0162】
他の実施形態においては、外部イメージング装置を用いて、1つ以上の関心領域を特定してもよい。そして、この関心領域を用いて、イメージングプローブによるイメージング方式を用いる後のイメージングを行ってもよく、このイメージングプローブによるイメージング方式は、管腔内媒体の置換が有利な方式である。一具体例においては、第1のイメージング方式は、蛍光透視イメージングデバイスであり、このシステムは、(例えば、心臓の血管造影処置の間に)造影剤を送達するように構成される。初期動作の間、蛍光透視イメージングデバイスを用いて、イメージングプローブを移動させることができる管腔を含む領域をイメージングする。
【0163】
蛍光透視イメージングの場合、まず、イメージングプローブ又は更なるフラッシュカテーテルを用いて、管腔内に造影剤を供給しながら、1つ以上の初期の蛍光透視画像を取得してもよい。取得された1又は複数の初期の蛍光透視画像を用いて、イメージングプローブによるイメージング方式によってイメージングされる1つ以上の関心領域を特定してもよい。1つ以上の初期画像を観察することによって、1つ以上の関心領域を手動で特定してもよい。例えば、1つ以上の関心領域は、管腔が狭小化している位置に対応していてもよい。
【0164】
一具体例においては、外部診断装置を用いて、イメージングカテーテルを、1つ以上の初期画像において特定された関心領域に誘導してもよい。例えば、イメージングプローブは、X線不透過マーカ(例えば、X線不透過マーカバンド)等の基準マーカを含んでいてもよく、これによって、外部イメージング装置を用いて、イメージングアセンブリの位置を特定することができる。したがって、外部イメージング装置を用いて、1つ以上の関心領域を含むことが既知である経路を介して平行移動できるようにイメージングプローブを配置することができ、外部診断装置を用いて、平行移動動作の間のイメージングプローブの位置を追跡し、初期画像と比較して、現在位置において媒体置換が必要であるか否かを特定してもよい。
【0165】
外部の画像診断デバイスを含む更に他の具体例では、イメージングプローブは、第1及び第2のイメージング方式を含むことができ、ここで、第1のイメージング方式は、管腔内媒体の存在に適合性があり、第2のイメージング方式は、管腔内媒体の置換が有利である。(媒体置換動作を実行している間に)第2のイメージング方式によって画像を取得するための関心領域は、(上述のような)外部の診断デバイスと、(初期の平行移動及び第1のイメージング方式によるイメージング動作の間に)第1のイメージング方式の両方によって特定してもよい。
【0166】
管腔内媒体とは、包括的に言えば、イメージング方式の性能を損なう可能性がある如何なる媒体であってもよい。更に、上述した実施形態は、管腔内流体の置換を含む管腔内のプローブベースのイメージング方法に関するものであるが、上述の方法は、第1のイメージング方式を用いて、第2のイメージング方式に基づくイメージングを改善又はサポートするために、置換可能な媒体の置換を指示する如何なる医療用イメージング用途にも適用できることは明らかである。
【0167】
本発明の上述した実施形態に適する用途には、胃腸系、心臓系(冠状動脈、末梢血管及び神経系血管を含む)、呼吸器系、眼(網膜を含む)、聴覚系、泌尿生殖器系及び他の多くのイメージングが含まれる。
【0168】
また、上述した実施形態は、第2のイメージング方式によって画像を取得するプロセスが媒体置換動作によって補助される方法を開示しているが、第2のイメージング方式の使用は、媒体置換動作によって補助又は改善される第2の低侵襲処置の一具体例にすぎないことは明らかである。したがって、他の実施形態では、上述した方法を適応化して、例えば、媒体置換動作が必要又は有利な治療を関心領域に対して自動的又は半自動的に行う低侵襲処置を実現してもよい。例えば、上述した方法における第2のイメージングステップは、媒体置換動作を実行しながら関心領域に対して実行される治療動作と組み合わせてもよく、このような治療動作と置き換えてもよい。治療における低侵襲処置は、以下に限定されるものではないが、光力学治療、レーザアブレーション、無線周波エネルギ等の電気エネルギの印加等を含み、治療の送達は、管腔内媒体の存在に適合性がある第1のイメージング方式に関わる後退動作の間に特定される関心領域によって誘導される。
【0169】
上述した特定の実施形態は、例示的なものであり、これらの実施形態の様々な変更及び代替を想到することができる。更に、特許請求の範囲は、ここに開示した特定の形式に制限されず、本発明の思想及び範囲内に含まれる全ての修正、均等物及び変形例を包含する。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8