(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】制御された空隙率分布を有するエアロゾル形成基体として使用するためのロッドを作製する方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20220510BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20220510BHJP
A24D 1/22 20200101ALI20220510BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20220510BHJP
A24F 42/00 20200101ALI20220510BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220510BHJP
【FI】
A24B15/167
A24B3/14
A24D1/22
A24F40/20
A24F42/00
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020154295
(22)【出願日】2020-09-15
(62)【分割の表示】P 2018043891の分割
【原出願日】2015-08-12
【審査請求日】2020-10-08
(32)【優先日】2014-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ペイネンブルグ ヨハンネス ペートルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ジャリオー マリン
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/178766(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/164009(WO,A2)
【文献】米国特許第06531693(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第00518141(EP,A2)
【文献】特開昭62-220182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/167
A24B 3/14
A24D 1/22
A24F 40/20
A24F 42/00
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱式エアロゾル発生物品(2000、2001、2002)内でエアロゾル形成基体として使用するための所定の断面空隙率および断面空隙率分布の値を持つエアロゾル形成ロッド(2020)を作製する方法であって、前記方法が、
指定の幅および指定の厚さを持つエアロゾル形成材料(2)の連続シートを提供する工程と、
前記エアロゾル形成材料(2)のシートの集合を促進するために前記エアロゾル形成材料(2)の連続シートを処理する工程と、
前記処理されたエアロゾル形成材料(2)の連続シートをその長軸方向軸に対して横断する方向に集合する工程と、
前記集合した処理されたエアロゾル形成材料(2)の連続シートをラッパー(12)で囲んで連続したロッドを形成する工程と、
前記連続したロッドを複数の個別のロッドに切断する工程と、
少なくとも一つの前記個別のロッドについて断面空隙率および断面空隙率分布を表す値を決定する工程と、
後続するロッドの前記断面空隙率および断面空隙率分布の値が前記エアロゾル形成ロッドを製造するためにそれぞれ0.15~0.45および0.04~0.22であることを確実にする1つ以上の製造パラメータを制御する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記エアロゾル形成材料(2)のシートの集合を促進するために前記エアロゾル形成材料(2)の連続シートを処理する前記工程が、前記エアロゾル形成材料(2)のシートに溝付けし、前記エアロゾル形成材料(2)の連続シートに折り目付けし、前記エアロゾル形成材料(2)の連続シートを折り畳み、前記エアロゾル形成材料(2)の連続シートにきめを与え、前記エアロゾル形成材料(2)の連続シートにエンボス加工を施し、または前記エアロゾル形成材料(2)の連続シートをその他の方法で処理して虚弱線を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エアロゾル形成材料の連続シートの幅、前記エアロゾル形成材料の連続シートの厚さ、ロッドの直径、前記エアロゾル形成材料の連続シートに適用される捲縮の幅、および前記エアロゾル形成材料の連続シートの捲縮の深さから構成されるリストから選択される1つ以上のパラメータが制御されて、前記所定の断面空隙率および断面空隙率分布の値を持つ前記エアロゾル形成ロッドを提供する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一つの前記個別のロッドについて断面空隙率および断面空隙率分布の値を決定し、また前記値が望ましい所定値内にない場合に、前記1つ以上のパラメータを変動させて、後続するロッドで断面空隙率および断面空隙率分布の前記値を変更して、前記所定の断面空隙率および断面空隙率分布の値を持つ前記エアロゾル形成ロッドを提供する工程を含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記エアロゾル形成材料のシートがたばこおよびエアロゾル形成体を含むたばこ材料シートである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記エアロゾル形成材料のシートがニコチン塩を含む非たばこ材料である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
形成される前記ロッドの直径が、5mm~10mm、好ましくは6mm~9mm、または約7mm~約8mmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記エアロゾル形成材料のシートの前記指定の幅が70mm~250mm、例えば120mm~160mmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記エアロゾル形成材料のシートの前記指定の厚さが、50マイクロメートル~300マイクロメートル、好ましくは150マイクロメートル~250マイクロメートルである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記エアロゾル形成材料の連続シートが捲縮したエアロゾル形成材料のシートであり、捲縮の深さが50マイクロメートル~300マイクロメートル、好ましくは100~250マイクロメートルである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ロッドの横断断面積のデジタル画像を取得する工程と、横断エリアの複数の同一寸法のサブエリアのそれぞれの内に存在する空隙の面積率を決定して、それによって前記複数の同一寸法のサブエリアのそれぞれについて空隙率の値を取得する工程と、前記複数の同一寸法のサブエリアのそれぞれについて前記空隙率の値の標準偏差を計算する工程であって、各サブエリアが少なくとも一つの隣接したサブエリアと10%~95%重なる工程とを含む方法によって、断面空隙率分布の値が決定される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ロッドが直径を持ち、またそれぞれのサブエリアが長方形または正方形であり、長さが前記ロッドの前記直径の四分の一~八分の一、好ましくは前記ロッドの前記直径の約六分の一または七分の一である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各サブエリアが少なくとも一つの隣接したサブエリアと75%~85%、好ましくは約80%重なる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
任意の個別のサブエリアの前記空隙率の値は、そのサブエリアの90%以上が前記ロッドの前記横断断面積内にある場合に、空隙率分布を評価するための計算にのみ含まれる、請求項11、12、または13に記載の方法。
【請求項15】
前記横断断面積の前記デジタル画像が複数のピクセルで構成され、また前記横断断面積を構成している各ピクセルが前記複数のサブエリアのうち少なくとも一つ内に含まれる、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
エアロゾル形成ロッドをラッパー内で複数の他の構成要素と組み立てて加熱式エアロゾル発生物品を形成するさらなる工程を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記エアロゾル形成ロッドの断面空隙率および断面空隙率分布の前記値が、前記組み立てられた加熱式エアロゾル発生物品を通した所定の引き出し抵抗を提供するように選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エアロゾル形成材料がニコチンを含み、また前記エアロゾル形成ロッドの断面空隙率および断面空隙率分布の前記値が、消費時に前記組み立てられた加熱式エアロゾル発生物品から所定のレベルのニコチン送達を提供するように選択される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
約0.20~約0.45の断面空隙率を持つ、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法を使用して形成されたエアロゾル形成ロッド(2020)。
【請求項20】
請求項19で定義されたエアロゾル形成ロッド(2020)の形態のエアロゾル形成基体、または請求項1~15のいずれか1項で開示された方法によって製造されるロッドを含めた、複数の要素を備える加熱式エアロゾル発生物品(2000、2001、2002)。
【請求項21】
前記複数の要素がラッパー内で組み立てられる、請求項20に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項22】
前記エアロゾル形成基体がニコチンを含み、また前記エアロゾル形成基体の断面空隙率および断面空隙率分布の前記値が、前記加熱式エアロゾル発生物品の消費時に所定のレベルのニコチン送達を提供するように選択される、請求項20または21に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項23】
エアロゾル発生装置の挿入可能なヒーターによって加熱されるように構成され、前記エアロゾル形成基体が約0.24~約0.34の断面空隙率、および約0.10~約0.12の断面空隙率分布の値を持つロッドである、請求項20、21、または22に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項24】
前記エアロゾル形成基体を加熱するための可燃性熱源(2080)を備え、前記エアロゾル形成基体が約0.34~約0.44の断面空隙率、および約0.11~約0.15の断面空隙率分布の値を持つロッドである、請求項20、21、または22に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項25】
ラッパー内で組み立てられるエアロゾル形成基体を含む複数の要素を備え、前記エアロゾル形成基体が6.5mm~8.5mmの直径を持つロッドの形態であり、前記ロッドが、溝付け、折り目付け、折り畳み、きめ、エンボス加工、または捲縮され、且つ集合し
たエアロゾル形成材料のシートから形成され、前記エアロゾル形成材料のシートが110mm~160mmの幅、200マイクロメートル~230マイクロメートルの厚さを持ち、前記ロッドの断面空隙率が0.15~0.45であり、前記ロッドの断面空隙率分布が0.04~0.22である、加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項26】
前記エアロゾル形成基体を加熱するための可燃性熱源を備え、前記ロッドの直径が7.3mm~8.3mm、前記シートの幅が130mm~160mm、前記シートの厚さが200マイクロメートル~230マイクロメートルである、請求項25に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【請求項27】
エアロゾル発生装置の挿入可能なヒーターによって加熱されるように構成され、前記ロッドの直径が6.5mm~7.5mm、前記シートの幅が110mm~140mm、前記シートの厚さが200マイクロメートル~230マイクロメートルである、請求項25に記載の加熱式エアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、加熱式エアロゾル発生物品内でエアロゾル形成基体として使用するためのロッドを作製する方法、およびその方法によって作製されたロッドに関連する。その結果得られるロッドは、所定の空隙率および空隙率分布値を持つ。本出願はまた、こうしたロッドを備えた加熱式エアロゾル発生物品にも関連するが、ここで空隙率および空隙率分布は、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル属性を制御するために最適化される。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品が当業界で周知である。このような加熱式喫煙物品の1つの目的は、従来的な紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解性分解によって生成されるタイプの公知の有害な煙成分を減少させることである。
【0003】
こうした加熱式エアロゾル発生物品では通常、エアロゾルは、熱源、電気ヒーターまたは可燃性熱源から、熱源と接触するか、その内部、周囲、または下流に位置しうる物理的に分離されたエアロゾル形成基体に熱伝達することにより生成される。エアロゾル発生物品の消費中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を介して引き出された空気中に一緒に運ばれる。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは凝縮してユーザーによって吸入されうるエアロゾルを形成する。
【0004】
本明細書で使用される場合、「加熱式エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を意味する。こうした物品は、加熱可能なエアロゾル発生物品と呼ばれることもある。
【0005】
多数の従来の技術の文書で、加熱式エアロゾル発生物品を消費または喫煙するためのエアロゾル発生装置が開示されている。例えば、こうした装置には、エアロゾル発生装置の1つ以上の電気発熱体から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式エアロゾル発生装置が含まれる。こうした電気加熱式エアロゾル発生装置の1つの利点は、副流煙を著しく減少させつつ、ユーザーが喫煙を選択的に一時停止したり再開したりできることである。
【0006】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は、これまでは一般に無作為な向きのたばこ材料の断片、より糸、または細片を使用して製造されてきた。たばこ材料の断片から加熱式の喫煙物品またはエアロゾル発生物品用のロッドの形成には、多くの不利益がある。例えば、たばこ材料の破砕のプロセスは望ましくないことに、たばこの微粉およびその他の廃棄物を生成する。たばこ材料の断片を含むロッドでは、「端部の緩み」、すなわち、ロッドの端部からのたばこ材料断片の喪失が見られうる。たばこ材料の断片を含むロッドでは、部分的にロッドが端部の緩みを見せる傾向にあることから、重量に高い標準偏差が見られうる。また、たばこ材料の痕跡を含むロッドは均一でない密度を示す傾向にある、すなわち、ロッドに沿った異なる位置でのたばこ材料の分量の変動のため、ロッドの長さに沿った密度は一貫性に欠ける傾向にある。
【0007】
第WO 2012/164009号は、たばこ材料シートの集合体から形成された加熱式エアロゾル発生物品用のロッドを開示している。第WO 2012/164009号で開示されたロッドは、空気がロッドを通して引き込まれるようにする長軸方向の空隙率を有する。事実上、たばこ材料シートの集合体内の折り目は、ロッドを通した長軸方向のチャネルを画定する。均質化したたばこ材料シートの集合体から形成されたロッドの使用は、細かく切られたたばこからエアロゾル形成基体を形成することに関連した問題のいくつかに対処する。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に説明かつ定義されている通り、所定の断面空隙率および断面空隙率分布の値を持つ、加熱式エアロゾル発生物品内でエアロゾル形成基体として使用するためのエアロゾル形成ロッドを作製する方法は、指定の幅および指定の厚さを持つエアロゾル形成材料の連続シートを提供する工程と、エアロゾル形成材料の連続シートをその長軸方向軸に対して横方向に集合する工程と、集合したエアロゾル形成材料の連続シートをラッパーで囲んで連続したロッドを形成する工程と、連続したロッドを複数の個別のロッドに切断する工程と、少なくとも一つの個別のロッド用に断面空隙率および断面空隙率分布を表す値を決定する工程と、後続するロッドの断面空隙率および断面空隙率分布値がエアロゾル形成ロッドを製造するために所定値内であることを確実にする1つ以上の製造パラメータを制御する工程とを含む。
【0009】
エアロゾル形成材料の連続シートは、滑らかなシートとしうる。別の方法として、連続シートはシートの終結を促進するために処理を施してもよい。例えば、連続シートは、溝付け、折り目付け、折り畳み、きめ、エンボス加工、またはその他の方法で処理を施して、集合を促進するために虚弱線を提供してもよい。連続シート用に好ましい処理は捲縮である。
【0010】
従って、望ましい実施形態で、加熱式エアロゾル発生物品内でエアロゾル形成基体として使用するための、断面空隙率および断面空隙率分布を表す所定値を持つエアロゾル形成ロッドを作製する方法は、指定の幅および指定の厚さを持つエアロゾル形成材料の連続シートを提供する工程と、エアロゾル形成材料の連続シートを捲縮する工程と、捲縮したエアロゾル形成材料の連続シートをその長軸方向軸に対して横方向に集合する工程と、捲縮して集合したエアロゾル形成材料の連続シートをラッパーで囲んで連続したロッドを形成する工程と、連続したロッドを複数の個別のロッドに切断する工程と、少なくとも一つの個別のロッド用に断面空隙率および断面空隙率分布を表す値を決定する工程と、後続するロッドの断面空隙率および断面空隙率分布値がエアロゾル形成ロッドを製造するために所定値内であることを確実にする1つ以上の製造パラメータを制御する工程とを含む。
【0011】
エアロゾル形成ロッドの空隙率および空隙率分布の値の両方を所定の限度内に制御することにより、喫煙の体験の質および再現性が最適化されうる。エアロゾル形成ロッドの空隙率および空隙率分布の値の両方を制御することにより、特定のタイプのエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生システムのためのニコチン送達など、エアロゾルの属性を調製することが可能でありうる。
【0012】
個別のロッドは、エアロゾル発生物品内でエアロゾル発生基体として使用するのに適切な長さでありうることが知られている。1つ以上のロッドが分析されうる。例えば、100本毎に1つのロッドが分析されてもよい。個別のロッドは、さらなる処理が意図されたロッドとしうる。例えば、個別のロッドは、その後に複数の小さめのロッドに切断されてもよい。
【0013】
制御されうる1つ以上の製造パラメータは、エアロゾル形成材料の連続シートの幅、エアロゾル形成材料の連続シートの厚さ、ロッドの直径、およびシートが捲縮された場合には、エアロゾル形成材料の連続シートの捲縮の深さ、およびシートに施される捲縮の幅から成るリストから選択される1つ以上のパラメータとしうる。
【0014】
方法は、少なくとも一つの個別のロッドについて断面空隙率および断面空隙率分布の値を決定する工程と、値が望ましい所定値内でない場合に、1つ以上のパラメータを変化させて、その後のロッドの断面空隙率および断面空隙率分布の値を変化させる工程とを含みうる。1つ以上の個別のロッドについて断面空隙率および断面空隙率分布の値を決定して、より大きな統計的精度を提供することが望ましい場合がある。
【0015】
エアロゾル形成材料シートは、加熱時にエアロゾルを発生することができる適切な任意のシート材料としうる。一部の実施形態では、エアロゾル形成材料はニコチン塩を含みうる。例えば、エアロゾル形成材料は、ピルビン酸ニコチンなどのニコチン塩を含浸させるか、またはそれにより被覆した紙または高分子から形成された非たばこシートとしうる。その他の実施形態で、エアロゾル形成材料シートは、たばこおよびエアロゾル形成体を含むたばこ材料シートとしうる。
【0016】
「エアロゾル形成材料シート」という用語は、2つ以上のエアロゾル形成材料シートを意味しうる。例えば、2つのたばこ材料シートを1つに集めてロッドを形成したり、またはたばこ材料シートと非たばこ材料シートを1つに集めてロッドを形成したりしてもよい。2つ以上のシートが存在する場合、それらのシートのうち1つ以上は、シートを集合してロッドを形成するのを促進するために処理が施されてもよい。
【0017】
エアロゾル形成材料シートの指定の幅は、70mm~250mm、例えば120mm~160mmであることが好ましい。エアロゾル形成材料シートの指定の厚さは、50マイクロメートル~300マイクロメートル、好ましくは150マイクロメートル~250マイクロメートルであることが好ましい。
【0018】
形成されるロッドの直径は、5mm~10mm、好ましくは6mm~9mm、または7mm~8mmであることが好ましい。
【0019】
シートは捲縮するか、または類似した処理を施すことが有利な場合がある。捲縮は、波型形状がエアロゾル形成材料シートに導入されるプロセスである。波型形状の捲縮の深さは変化させることができ、また波型形状の振幅として数量化しうる。これは事実上、一対の波型形状ローラーが重なる距離の測定値である。振幅はまた、測定値からシート自体の厚さが除外されるように、捲縮したシートの谷から谷まで測定されてもよい。捲縮したエアロゾル形成材料の連続シートは、50マイクロメートル~300マイクロメートル、より好ましくは約100~約250マイクロメートルの波型形状の振幅、または捲縮の深さを持つことが好ましい。
【0020】
「空隙率」という用語は本明細書で使用されるとき、多孔性物品内の空隙空間の割合を意味する。「全空隙率」または「断面空隙率」という用語は、例えば、捲縮して集合したエアロゾル形成材料シートから形成したロッドの断面など、多孔性物品の断面積のうち空隙の割合を意味する。断面空隙率は、ロッドの横断断面の空隙の面積率である。ロッドの横断断面積は、ロッドの長軸方向軸と直角をなす平面内のロッドの面積である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「空隙率分布の値」または「断面空隙率分布の値」という用語は、ロッドの横断断面積について複数の同一寸法の各サブエリア内で局所的に決定される空隙率の値の標準偏差を意味する。サブエリア内の空隙率は、「局所的空隙率」とも呼ばれ、また断面空隙率分布の値は、ロッドの横断断面積に対する局所的空隙率の値の標準偏差である。
【0022】
サブエリアは、ロッドの横断断面積よりも小さい領域を意味する。複数の同一寸法のサブエリアは、ロッドの横断断面積全体を覆う。各サブエリアは、少なくとも一つの隣接したサブエリアと、好ましくは2つ以上の隣接したサブエリアと重なることが好ましい。各サブエリアは、少なくとも一つの隣接したサブエリアと10%~95%重なることが好ましい。各サブエリアは、横断断面積全体の20%未満、例えば横断断面積全体の15%未満、好ましくは横断断面積全体の10%未満であることが好ましい。
【0023】
ロッドは、一般に実質的に円形である。したがって、横断断面積は実質的に円形となる。各サブエリアは、長方形のまたは正方形が好ましい。サブエリアは、空隙率分布の計算に含められる前に横断断面積の少なくとも50%と重なることが好ましく、空隙率分布の計算に含められる前に、横断断面積の少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%と重なることが特に好ましい。
【0024】
ロッドの横断断面空隙率は、ロッドの直径、エアロゾル形成材料シートの幅、およびエアロゾル形成材料シートの厚さの関数として変化する。従って、断面空隙率は、次の公式を使用して計算されうる。
【数1】
式中、
P
cross = 断面の空隙率
D
rod = ロッドの直径
W
sheet = 集合してロッドを形成したシートの幅
T
sheet = 集合してロッドを形成したシートの厚さ
【0025】
断面空隙率分布の値は、ロッドの横断断面積の異なるサブエリアに対する局所的空隙率の変動の測定値を意味する。
【0026】
従って、断面空隙率分布の値は、物品の横断エリアに対する空隙率の分布の数量的測定値である。各サブエリアの局所的空隙率は、次の公式を使用して計算されうる。
【数2】
式中、
P
local = サブエリアの断面空隙率
A
local = サブエリアの面積
A
sheet = サブエリア内のたばこ材料の面積
【0027】
断面空隙率分布の値は、ロッドの空隙率の均一性の尺度とみなされうる。例えば、局所的空隙率の標準偏差が低い場合には、ロッド内の空隙は、ロッドの横断エリア全体に均一に分布され、また類似したサイズである可能性が高い。ところが、標準偏差が高い場合には、空隙は物品の横断エリアで均一に分布されておらず、ロッドの一部の部分では空隙率が高く、また一部の部分では空隙率が低い。所定の断面空隙率について、高い断面空隙率分布の値は、ロッドが少数の比較的大きな貫通チャネルを持つことを示す場合があり、また低い断面空隙率分布の値は、ロッドが多数の比較的小さな貫通チャネルを持つことを示す場合がある。
【0028】
断面空隙率分布の値は、単一ロッドの横断断面を覆う複数のサブエリアについて計算された局所的空隙率の値から決定されうる。任意の個別のロッドに関連する断面空隙率分布の値を、別の個別のロッドの値と比較しうる。別の方法として、断面空隙率分布の値は、ほぼ同一の断面積およびほぼ同一の断面空隙率を持つ多数の異なるロッド、例えばロッドの組またはバッチから導き出された局所的空隙率の値から計算されてもよい。ロッドのバッチからの断面空隙率分布の値は、あるバッチのロッドと別のバッチのロッドの間の空隙率の質を評価するために使用されうる。
【0029】
有利なことに、横断断面空隙率および断面空隙率分布の値は、デジタル画像処理プロセスを使用して決定されうる。ロッドの横断断面の画像を取得することができ、閾値を適用して、エアロゾル形成基体を表すピクセルを、空隙を表すピクセルと区別することができる。その後で、断面全体の空隙率は簡単に取得されうる。
【0030】
断面空隙率分布の値は、ロッドの横断断面積のデジタル画像を取得する工程と、横断エリアの複数の同一寸法の各サブエリア内に存在する空隙の面積率を決定して、それによって複数の同一寸法の各サブエリアについて空隙率の値を取得する工程と、複数の同一寸法の各サブエリアについて空隙率の値の標準偏差を計算する工程とを含む方法によって決定されることが好ましい。各サブエリアは、10%~95%、好ましくは75%~85%、好ましくは約80%少なくとも一つの隣接したサブエリアと重なる。
【0031】
一般に、ロッドはほぼ円筒形となり、平均直径、例えば約7mmの平均直径を持つことになる。各サブエリアは、ロッドの直径の四分の一~八分の一、好ましくは、ロッドの直径の約六分の一または七分の一の長さを持つ長方形または正方形であることが好ましい。従って、ロッドの直径が約7mmの場合、サブエリアは長さ約1mmの辺を持つ正方形としうる。
【0032】
任意の個別のサブエリアの空隙率の値は、そのサブエリアの90%以上の領域がロッドの横断断面積内にある場合には、空隙率分布を評価するための計算にのみ含まれることが好ましい。
【0033】
横断断面領域のデジタル画像が複数のピクセルで構成され、横断断面領域を構成する各ピクセルが複数のサブエリアのうち少なくとも一つの中に含まれていることが好ましい。
【0034】
1つ以上の製造パラメータを制御して、約0.15~0.45、好ましくは約0.20~0.40、好ましくは約0.25~約0.35の断面空隙率を持つよう形成されるエアロゾル形成ロッドを製造しうる。
【0035】
1つ以上の製造パラメータを制御して、上述の方法を使用して計算して約0.04~約0.22の断面空隙率分布の値を持ち、各サブエリアがロッドの直径の七分の一の辺の長さを持つ正方形であり、また各サブエリアが少なくとも一つの他のサブエリアと約80%重なるよう形成されたエアロゾル形成ロッドを製造しうる。
【0036】
エアロゾル形成物品内でエアロゾル形成基体として使用するためのロッドも提供されうる。例えば、本明細書で説明した方法を使用して形成されたエアロゾル形成ロッドは、約0.15~0.45、好ましくは約0.20~0.40、好ましくは約0.25~約0.35の断面空隙率を持ちうる。
【0037】
本明細書で説明した方法を使用して形成されたエアロゾル形成ロッドは、上述の方法を使用して計算して約0.04~約0.22の断面空隙率分布の値を持ち、各サブエリアがロッドの直径の七分の一の辺の長さを持つ正方形であり、また各サブエリアが少なくとも一つの他のサブエリアと約80%重なるよう形成されたエアロゾル形成ロッドを製造しうる。
【0038】
エアロゾル形成ロッドは、加熱式エアロゾル発生物品を作製するために使用されうる。この方法は、本明細書で説明したロッドを形成する工程と、ロッドをラッパー内で複数の他の構成要素と組み合わせて加熱式エアロゾル発生物品を形成する工程とを含みうる。
【0039】
ロッドの断面空隙率および断面空隙率分布の値は、組み立てられた加熱式エアロゾル発生物品を通した所定の引き出し抵抗を提供するよう選択されることが好ましい。
【0040】
エアロゾル形成基体はニコチンを含むことが好ましい。断面空隙率および断面空隙率分布の値は、物品が消費された時に、組み立てられた加熱式エアロゾル発生物品からの所定のレベルのニコチン送達の提供を促進するよう選択されうる。
【0041】
加熱式エアロゾル発生物品は、本明細書で定義されたエアロゾル形成ロッドの形態のエアロゾル形成基体を含む複数の要素を備えうるが、複数の要素はラッパー内で組み立てられる。エアロゾル形成基体はニコチンを含み、エアロゾル形成基体の断面空隙率および断面空隙率分布の値は、加熱式エアロゾル発生物品が消費される時に所定のレベルのニコチン送達の提供を促進するように選択されることが好ましい。
【0042】
好ましい例において、加熱式エアロゾル発生物品は、ラッパー内で組み立てられたエアロゾル形成基体を含めた複数の要素を備えうるが、エアロゾル形成基体は6.5mm~8mmの直径を持つエアロゾル形成ロッドの形態であり、ロッドは均質化したたばこ材料を捲縮して集合したシートから形成され、シートは120mm~160mmの幅、150マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを持ち、またシートは100~250マイクロメートルの捲縮の深さで捲縮される。
【0043】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、加熱されると揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を持つエアロゾル形成材料から構成されるか、またはそれを含む基体を示す。たばこ材料シートは、本明細書の目的でのエアロゾル形成基体の一例である。ニコチン塩を含む紙または高分子のシートは、本明細書の目的でのエアロゾル形成基体の別の例である。
【0044】
一つの実施形態で、本明細書で描写したエアロゾル形成ロッドは、エアロゾル形成基体ロッドに隣接する熱源(例えば、可燃性熱源)および可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体を含む加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル形成基体として使用されうる。この場合には、エアロゾル形成基体は、本明細書で説明した方法を使用して計算した時に約0.20~約0.44、好ましくは約0.34~約0.44の断面空隙率、および約0.11~約0.15の断面空隙率分布の値を持つロッドが好ましい。
【0045】
例えば、本明細書で描写したロッドは、WO-A-2009/022232号で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル発生基体として使用されうるが、これは可燃性炭素系熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体と、可燃性炭素系熱源の後方部分およびエアロゾル発生基体の隣接した前方部分の周りにありそれらと接触した熱伝導性要素とを備える。ただし、当然のことながら、本明細書で描写したロッドはまた、その他の構造を持つ可燃性熱源を含む加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル発生基体として使用されうる。
【0046】
別の実施形態で、本明細書で描写したエアロゾル形成ロッドは、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体が電気的な熱源により加熱される、電気的に動作するエアロゾル発生システムで使用するための加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル発生基体として使用されうる。
【0047】
例えば、本明細書で描写したロッドは、第WO2013/098405号で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル発生基体として使用されうる。従って、加熱式エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の挿入可能なヒーターによって加熱されるように構成されうる。この場合には、エアロゾル形成基体は、本明細書で説明した方法を使用して計算して約0.20~約0.40、好ましくは約0.24~約0.34の断面空隙率、および約0.10~約0.12の断面空隙率分布の値を持つロッドが好ましい。
【0048】
電気的に動作するエアロゾル発生器具、およびその器具で使用するためのエアロゾル発生物品を含むシステムが提供されうる。エアロゾル発生物品は、本明細書で描写したロッドまたはエアロゾル形成基体を含む。
【0049】
本明細書によるロッドは、実質的に均一な断面であることが好ましい。本明細書によるロッドは、それらの意図される用途に応じて異なる寸法を持つものとして製造されうる。例えば、本明細書によるロッドは、それらの意図される用途に応じて約5mm~約30mmの長さを持ちうる。好ましい実施形態で、加熱式エアロゾル発生物品でエアロゾル形成基体として使用するための本明細書によるロッドは、約5mm~約20mmまたは約10mm~約15mmのロッド長さを持ちうる。
【0050】
エアロゾル形成材料シートは、たばこおよびエアロゾル形成体を含むたばこ材料シートであることが好ましい。シートを形成するたばこ材料は、再構成たばこまたは均質化したたばこが好ましい。均質化したたばこ材料は、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、結合剤および溶剤などの様々な他の添加物を含みうる。均質化したたばこ材料シートに含めるための適切なエアロゾル形成剤および湿潤剤は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。
【0051】
例えば、本明細書で説明したロッドの形成に使用するための均質化したたばこ材料シートは、乾燥質量で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を持ちうる。加熱式喫煙物品で使用することが意図されたロッドは、エアロゾル形成体を含むロッドが燃焼されるのではなく加熱されるが、5%~約30%よりも多くのエアロゾル形成体を含むことが好ましい場合がある。こうした加熱式喫煙物品で使用することが意図されたロッドでは、エアロゾル形成体はグリセリンであることが好ましい。
【0052】
別の方法として、エアロゾル形成材料シートは、高分子シートまたは紙シートまたは金属シートなどの非たばこシートでもよい。一部の実施形態において、エアロゾル形成材料は、金属箔、高分子シート、紙、厚紙から成る群より選択される少なくとも一つの材料を含んでもよい。 一部の実施形態において、シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)、デンプンベースのコポリエステルおよびアルミ箔から成る群より選択される少なくとも一つの材料を含んでもよい。 非たばこ材料シートは、クエン酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、ペクチン酸ニコチン、アギン酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、イソ吉草酸ニコチン、乳酸ニコチン、フェニル酢酸ニコチン, およびミリスチン酸ニコチンで構成されるリストから選択した1つ以上のニコチン塩を含むことが好ましい。これらの塩の形態でのニコチンは、電子たばこで一般に使用される液体フリーベースニコチンよりも安定している場合がある。こうして、エアロゾル発生ロッドを備えたエアロゾル発生物品は、典型的な電子たばこよりも長い有効期間を持ちうる。
【0053】
エアロゾル形成材料シートは、たばこシートまたは非たばこシートのいずれにせよ、非たばこ風味剤で被覆されうる。シートは非たばこ風味剤で含浸されうる。
【0054】
エアロゾル形成材料シートは、風味剤を組み込んだゲルまたはヒドロゲルなどの材料から形成されうる。シートは、加熱に伴い揮発して風味剤を放出しうる。シートは生分解性高分子を備えうるが、例えば、シートは風味剤で被覆されるか、またはそれを含浸したポリ乳酸(PLA)のシートでもよい。
【0055】
風味剤は揮発性風味成分を備えうる。風味剤はメントールを備えうる。本明細書に使用される「メントール」という用語は、その異性体のいずれかにおける化合物2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノールを意味する。風味剤はメントール、レモン、バニラ、オレンジ、ウインターグリーン、チェリー、およびシナモンから構成される群から選択される風味を提供しうる。
【0056】
非たばこ風味剤を含むエアロゾル形成材料シートは、追加的にグリセリンなどのエアロゾル形成体を含みうる。エアロゾル形成体は、風味成分をエアロゾルにもたらしうる。
【0057】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形または楕円形の断面の一般的に円筒形の要素を示すために使用される。ロッドの直径は、5mm~10mm、好ましくは6mm~9mm、または7mm~8mmであることが好ましい。
【0058】
本明細書で使用される「シート」という用語は、実質的にその厚さより大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。エアロゾル形成材料シートは、集合される前に120mm~300mm、例えば130mm~170mmの幅を持つことが好ましい。エアロゾル形成材料シートは、50マイクロメートル~300マイクロメートル、好ましくは150マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを持つことが好ましい。
【0059】
本明細書で使用される「ロッド長さ」という用語は、本明細書で描写したロッドの円筒軸方向の寸法を示す。ロッド長さは、5mm~20mm、好ましくは8mm~15mmとしうる。
【0060】
本明細書で使用される「集合」という用語は、エアロゾル形成材料シートが、巻き込まれ、折り畳まれ、または他の方法でロッドの円筒軸方向に対して実質的に横方向に圧縮または収縮されていることを示す。
【0061】
本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、「しわ付けしたシート」という用語と同義語であることが意図され、複数の実質的に平行した隆起または波型形状のあるシートを意味する。捲縮したエアロゾル形成材料シートは、本発明によるロッドの円筒軸と実質的に平行な複数の隆起または波型形状を持つことが好ましい。これは、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を都合良く容易にしてロッドを形成する。シートは、それを一組の捲縮ローラーを通過させることで捲縮される。シートが捲縮される度合いは、捲縮の深さによって示される。捲縮の深さの変化はシートが集合される方法に影響を及ぼすことがあり、したがってロッドおよび断面空隙率分布によりチャネルのサイズに影響しうる。従って、捲縮の深さまたは振幅は、変化させてロッド内で望ましい断面空隙率分布の値を生成しうるパラメータである。
【0062】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、本明細書で描写されているロッドを含むエアロゾル発生物品の構成要素もしくは構成要素の部分の、その使用時にエアロゾル発生物品を通して引き出された空気の方向に対する相対的な位置を表すために使用される。
【0063】
本発明の具体的な実施形態について、ここで図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、本発明によるロッドを形成するための器具の概略断面を示す。
【
図2】
図2は、捲縮ローラー上での歯の噛み合いを示す概略図である。
【
図3】
図3は、捲縮したシートの一部分を示す概略図である。
【
図4】
図4は、多孔性のたばこロッドの横断エリアの画像であり、画像はサブエリアを重ね合わせた状態で示されている。
【
図5】
図5は、
図4で図示したたばこロッドの横断エリアであり、異なる部分の横断エリア内のサブエリアを示す。
【
図6】
図6は、
図4の横断エリアを示す画像であり、第三の異なる部分の横断エリア内のサブエリアを示す。
【
図7】
図7は、
図6のサブエリアがさらなるサブエリアによって重なる範囲を図示する。
【
図8】
図8は、さらなるサブエリアが
図7のサブエリアと重なる範囲を図示する。
【
図9】
図9は、
図4の横断エリアを図示し、ほとんどのサブエリアが横断エリア内に入らないように位置するサブエリアを示す。
【
図10】
図10は、オンライン空隙率分布評価での画像捕捉手段の概略図である。
【
図11】
図11は、オンライン空隙率分布評価を実行するための装置の構成要素を図示した概略図である。
【
図12】
図12は、低い断面空隙率(0.3より低い)および高い断面空隙率分布の値(0.15より高い)を持つたばこロッドの写真である。
【
図13】
図13は、高い全空隙率(0.3より大きい)および高い断面空隙率分布の値(0.15より高い)を持つロッドの断面積を図示したものである。
【
図14】
図14は、低い断面空隙率(0.3より小さい)および低い空隙率分布(0.15より小さい)を持つロッドの断面積を図示したものである。
【
図15】
図15は、高い全空隙率(0.3より大きい)および低い断面空隙率分布の値(0.15より小さい)を持つロッドの断面積を図示したものである。
【
図16】
図16は、異なるレベルの断面空隙率および断面空隙率分布を持つロッドを備えたエアロゾル発生物品用に発生した煙中のグリセリンを図示したものである。
【
図17】
図17は、
図16のエアロゾル発生物品用のものと同じ煙中のニコチンを図示したものである。
【
図18】
図18は、異なるレベルの断面空隙率および断面空隙率分布を持つロッドを備えたエアロゾル発生物品用に発生した煙中のグリセリンを図示したものである。
【
図19】
図19は、
図18のエアロゾル発生物品用のものと同じ煙中のニコチンを図示したものである。
【
図20】
図20は、本明細書で説明した方法によるロッドとして形成されたエアロゾル形成基体を持つエアロゾル発生物品の実施形態を図示したものである。
【
図21】
図21は、本明細書で説明した方法によるロッドとして形成されたエアロゾル形成基体を持つエアロゾル発生物品の実施形態を図示したものである。
【
図22】
図22は、本明細書で説明した方法によるロッドとして形成されたエアロゾル形成基体を持つエアロゾル発生物品の実施形態を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
ここで、本発明の具体的な実施形態について、たばこプラグの形態のエアロゾル形成ロッド内の空隙率分布を評価するための方法に言及しながら説明する。
【0066】
図1は、本発明の具体的な実施形態によるロッドを形成するために使用される装置を図示したものである。
図1は一般的に、均質化したたばこ材料の連続的なシートを供給する供給手段と、均質化したたばこ材料の連続的なシートを捲縮する捲縮手段と、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートを集合させて、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートの集合体をラッパーで囲んで連続的なロッドを形成するロッド形成手段と、連続的なロッドを複数の個々のロッドに切断する切断手段とを含む。装置はまた、均質化したたばこ材料の連続的なシートを、装置を通して下流に、供給手段からロッド形成手段へ捲縮手段を経由して搬送する搬送手段を含む。
【0067】
供給手段はボビン4上に取り付けられた均質化したたばこ材料2の連続的なシートを備え、捲縮手段は1対の回転可能な捲縮ローラー6を備える。均質化したたばこ材料の連続シートは幅および厚さを持つ。使用中、均質化したたばこ材料2の連続的なシートはボビン4から引き出され、1対の捲縮ローラー6まで、一連のガイドおよびテンションローラーを経由して搬送機構によって下流に搬送される。均質化したたばこ材料2の連続的なシートが1対の捲縮ローラー6間に供給されると、捲縮ローラーが噛み合い、均質化したたばこ材料2の連続的なシートを捲縮して、装置を通して、均質化したたばこ材料シートの長軸方向軸に対して実質的に平行な複数の間隙を介した隆起または波型形状を持つ、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8を形成する。
【0068】
図2は、一対の捲縮ローラーの歯の噛み合いを示す概略図である。一対の捲縮ローラーは、上側ローラー31および下側ローラー32で構成される。各ローラーは、ローラーが合わさった時に噛み合うようにオフセットされた一組の規則的な間隔のある捲縮歯33を持つ。上側ローラー31は固定されているが、捲縮の深さまたは捲縮の振幅を変化させるために、下側ローラー32は上側ローラー31に対して移動しうる。歯は捲縮周期34に合わせた間隔であり、具体的な例では1mmである。捲縮の深さ35は、ローラーが噛み合った時に、捲縮歯の先端が重なる距離である。捲縮の深さは、所定の深さ、例えば150マイクロメートルに設定されうる。
【0069】
図3は、捲縮したシート36の一部分を図示したものである。捲縮周期34および捲縮の深さ35は捲縮したシート36上に示されている。捲縮の深さ35は、1つの波型形状の内側から次の波型形状39の内側まで測定される。
【0070】
均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8は、搬送機構によって1対の捲縮ローラー6からロッド形成手段へと下流に搬送され、そこで先細の漏斗またはホーン10を通して供給される。先細の漏斗10は、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8を、均質化したたばこ材料シートの長軸方向軸に対して横断する方向に集合させる。均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8は、先細の漏斗10を通過する際は実質的に円筒形の構造であると想定される。
【0071】
先細の漏斗10を出ると、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートの集合体は、包装材料12の連続的なシートで包まれる。包装材料の連続的なシートはボビン14から供給され、エンドレスベルトコンベアまたは装具によって、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートの集合体の周りで包まれる。
図1に示す通り、ロッド形成手段は、包装材料の連続的なシートの対向にある長軸方向の端が接触し互いに接着して連続的なロッドを形成するように、包装材料の連続的なシートの長軸方向の端のうち片方に接着剤を塗布する接着剤塗布手段16を含む。
【0072】
ロッド形成手段は、接着剤塗布手段16の下流にある乾燥手段18をさらに含むが、これは使用中に、連続的なロッドがロッド形成手段から切断手段へと下流に搬送される際に、連続的なロッドの継ぎ目に塗布された接着剤を乾燥させる。
【0073】
切断手段は、連続的なロッドを単位長さまたは複数単位長さの複数の個々のロッドに切断するロータリーカッター20を含む。
【0074】
一つの好ましい実施形態で、個別のロッドの直径は約7mmである。シートの幅、シートの厚さ、および捲縮の深さは、0.15~0.45の範囲内に入る所定の断面空隙率、および0.05~0.22の断面空隙率分布の値となるように選択される。断面空隙率分布の値は、ロッド内の空隙率の均一性の尺度である。
【0075】
図4は、上述の均質化したたばこ材料シートを捲縮して集合させるプロセスによって形成されたたばこプラグ110の端面を図示したものである。
図4の画像は、すべての白いピクセルがたばこ120に対応し、ロッド130の外周の外側の黒いピクセルが背景に関連し、プラグ140の周内の黒いピクセルが空孔または空隙に対応するように処理された、デジタル画像である。画像は、たばこプラグの端面の画像を撮影し、ロッドの横断エリア内にあるピクセルを識別するためにプラグの横断エリアの画像をデジタル処理することにより得られる。次に、横断エリア内のピクセルが、たばこ材料を表す白かまたは空孔を表す黒のどちらかとなるように、閾値が画像に適用される。
図4で、たばこプラグは実質的に円形であり、直径は約7mmである。たばこプラグの外周内の領域全体が、横断断面積である。
図4は、横断エリア内に位置する第一のサブエリア100を図示する。第一のサブエリアは、寸法が1mm×1mmの長方形の領域である。従って、サブエリアの辺は、ロッドの直径の約七分の一である。
【0076】
ロッドの領域内の空隙率は、横断断面空隙率である。横断断面空隙率は、次の式に従い計算される。Po = Nvoid/ Ntot。式中、Poは、横断断面の全体的な空隙率であり、Nvoidは、横断断面内の空隙を表すピクセル数であり、Ntotは、横断断面内の合計ピクセル数である。
【0077】
サブエリア内の空隙率は、局所的空隙率という用語で呼ばれる。
図4で、第一のサブエリア100は、局所的空隙率が低い位置で図示されている。言い換えれば、空孔面積(
図4の第一のサブエリア100内の黒いピクセル)は、第一のサブエリアの全体面積(1mm
2)と比較して小さい。
【0078】
図5は、
図4に図示したものと同じ横断断面積を図示したものである。
図5は、対応するサブエリア内のより高い空孔面積によって反映される、より高い局所的空隙率を持つ領域内に位置する第二のサブエリア200を示す。横断エリアの異なる領域内に位置する異なるサブエリアは、異なる局所的空隙率の値を持つ。横断エリア内の複数のサブエリアについて局所的空隙率を評価することにより、断面の空隙率分布を示す値を得ることができる。
【0079】
断面空隙率分布は複数のサブエリアのそれぞれでの局所的空隙率を計算することにより得られる。各個別のたばこサブエリアについて、画像のサブエリアの局所的空隙率が計算される。局所的空隙率は、公式P
l = N
voidlocal/ N
localによって計算されうるが、式中、P
lは、サブエリア内の局所的空隙率であり、N
voidlocalは、サブエリア内の空隙を表すピクセルの数であり、N
localは、サブエリア内の合計ピクセル数である。ソフトウェアに埋め込まれた反復アルゴリズムによって、サブエリアはロッドのデジタル画像に適用され変換される。複数の局所的空隙率の読取値を取得するために、サブエリアが画像全体にわたり順番に効果的に変換され、サブエリアが占めるそれぞれの位置で局所的空隙率が計算される。サブエリアが占めるそれぞれの位置は、サブエリアによって占められている少なくとも一つのその他の位置と重なる。このプロセスを
図6~9に図示する。
【0080】
図6は、第三のサブエリア300がプラグの左側に重ね合わされている、たばこプラグの横断エリアを図示する。局所的空隙率が、このサブエリア内で計算される。次に、サブエリアは横断エリア全体で右側の方に変換される。
図7は、たばこプラグのデジタル画像上に重ねられている第四のサブエリア400を図示する。
図7はまた、第三のサブエリア300の位置を(点線で)示す。第四のサブエリア400が、第三のサブエリア300の位置と重なっていることが分かる。重なりは80%である。局所的空隙率が第四のサブエリア内で計算され、サブエリアが横断エリア全体で再び変換される。
図8は、第五のサブエリア500を示す横断エリアを図示する。
図8はまた、第三のサブエリア300および第四のサブエリア400の位置を(点線で)示す。第五のサブエリア500について局所的空隙率の値が取得され、サブエリアは構造全体で再び変換される。これは、構造内のすべてのピクセルが一つ以上のサブエリアに含まれるまで進行する。
【0081】
ここで説明した具体的な例で、サブエリア内の局所的空隙率は、サブエリア内のピクセルの少なくとも90%もまた横断エリアの内側にある場合にのみ計算される。
図9は、たばこプラグの横断エリアを図示したもので、デジタル画像に重ねられている第六のサブエリア600を図示する。第六のサブエリア600のピクセルの90%未満が、横断エリアの内側、すなわち、たばこプラグの内側の領域にある。こうして、局所的空隙率は、第六のサブエリアに対して計算されない。これは、局所的たばこ構造を表すものとするのに十分な面積がないサブエリアについて局所的空隙率が計算されることを避けるためである。
【0082】
各サブエリアについて計算された局所的空隙率の値は、配列内に保存される。局所的空隙率の平均値および標準偏差が次に、たばこプラグについて計算できる。局所的空隙率の標準偏差は、空隙率分布の幅の測定手段として使用でき、また断面空隙率分布の値を画定する。これによって、プラグ内でたばこがどの程度均一に分布されているかの定量的値が与えられる。低い標準偏差は均一なたばこの分布を示し、高い標準偏差は均一でないプラグを示す。
【0083】
デジタル画像の取得は、適切な任意の方法により、例えば、デジタルカメラまたはコンピュータ断層撮影を使用することにより実施しうることが注記される。画像は、適切な任意の画像形式で、完全RGB(赤・緑・青)色、グレースケール、またはバイナリー(白黒)で表現しうる。画像処理中の背景の検出および除去を促進するために、任意の画像で背景は均一であることが好ましい。任意の画像の解像度は、たばこプラグの形態を正確に解像するのに十分に高いべきである。
【0084】
上述した空隙率の評価からの結果は、その後、所定の断面空隙率および断面空隙率分布の値が達成されていることを確保するために、ロッドの製造プロセスに制御に使用されうる。こうして、空隙率を評価するための方法は、仕様から外れた多孔性ロッドを製造できるようにプロセスパラメータがどの時点で設定されるかについてのフィードバックを提供し、許容可能な仕様内の多孔性ロッドを製造するようプロセスパラメータを修正されるようにしうる。
【0085】
たばこ材料シートの集合体から形成されるたばこプラグの空隙率および空隙率分布を評価するための装置は、製造ラインの一部として統合されうる。空隙率分布を評価するための装置は、デジタルカメラなどの画像捕捉手段と、ロッドについて取得されたデジタル画像を分析するために要求される処理工程を実行するプロセッサとを必要とする。装置は、さらにロッドを照らすための光源を含むことが好ましい。
【0086】
図10は、カメラ910がたばこロッド920の端面921のデジタル画像を捕捉するように配列されている、画像捕捉手段の構成を図示したものである。たばこロッド920は、均質化したたばこ材料シートを捲縮および集合させて、シートの集合体をラッパーで囲みロッドを製造することにより形成される。カメラ910のレンズ911は、たばこロッド920の端面921から所定の距離になるよう設定される。
【0087】
たばこロッド920の端面921が均一に照らされるようにするために、リングライト930(例えば、SchottリングライトA08660)が、カメラレンズ911とたばこロッド920との間に配置される。リングライト930は、カメラレンズ911よりもたばこロッド920に近い位置であることが好ましい。
【0088】
図11は、たばこロッドなどの多孔性ロッドの空隙率分布を評価するための装置またはシステム1000を図示したものである。装置またはシステム1000は、レンズ1011付きのデジタルカメラ1010と、リングライト1021に連結された光源1020とを備える。カメラのシャッターは、多孔性ロッドの位置を検出できるセンサー1030の手段で制御される。カメラ1010により取得されたデジタル画像の処理は、PC 1040内でプロセッサにより実行される。センサー、光源、カメラ、およびPCは、コントローラ1050によってリンク接続されている。PCはさらに、キーボード1050およびモニター1060を備える。
図10に図示した構成要素を持つシステムまたは装置は、ロッド内の空隙率分布を形成時にリアルタイムで評価するよう、ロッド製造装置に組み込みうる。
【0089】
所定のロッドの直径について、断面空隙率および断面空隙率分布の値の変動は、ロッドが加熱された時の様々なエアロゾル構成要素の送達に影響を及ぼす。ロッドは、(1)低い断面空隙率および不均一な断面空隙率分布、(2)低い断面空隙率および均一な断面空隙率分布、(3)高い断面空隙率および不均一な断面空隙率分布、および(4)高い断面空隙率および均一な断面空隙率分布を持つものが製造された。これら4つの異なるロッドの断面画像は
図12~15に図示されている。
【0090】
図12に図示されたロッド(ロッドA)の直径は7mmである。ロッドは均質化したたばこ材料の捲縮して集合したシートから形成される。捲縮の前、シートの幅は150mmで、厚さは200ミクロンであった。シートは、捲縮の深さまたは捲縮振幅が100マイクロメートルになるまで捲縮が施された。上記の方法を使用した画像分析からは、横断断面空隙率は低く(0.30より小さい)、また断面空隙率分布の値は高い(約0.18)(すなわち、ロッドの断面空隙率は低く、断面空隙率分布は不均一であった)ことが示された。ロッドは、たばこシート材料の層が互いに直接重なり合っている領域と、大きな空隙である他の領域とを持つことがわかる。
【0091】
図13に図示されたロッド(ロッドB)の直径は7mmである。ロッドは均質化したたばこ材料の捲縮して集合したシートから形成される。捲縮の前、シートの幅は132mmで、厚さは200ミクロンであった。シートは、捲縮の深さまたは捲縮振幅が100マイクロメートルになるまで捲縮が施された。上記の方法を使用した画像分析からは、横断断面空隙率は高く(0.30より大きい)、また断面空隙率分布の値は高い(約0.19)(すなわち、ロッドの断面空隙率は高く、断面空隙率分布は不均一であった)ことが示された。ロッドの構造は、
図12に図示されたものと類似しているが、わずかに開放的である。
【0092】
図14に図示されたロッド(ロッドC)の直径は7mmである。ロッドは均質化したたばこ材料の捲縮して集合したシートから形成される。捲縮の前、シートの幅は150mmで、厚さは200ミクロンであった。シートは、捲縮の深さまたは捲縮振幅が170マイクロメートルになるまで捲縮が施された。上記の方法を使用した画像分析からは、横断断面空隙率は低く(0.30より小さい)、また断面空隙率分布の値は低い(約0.08)(すなわち、ロッドの断面空隙率は低く、断面空隙率分布は均一であった)ことが示された。ロッドは高密度でたばこが詰められ、また孔は小さく均等に分布されている。
【0093】
図15に図示されたロッド(ロッドD)の直径は7mmである。ロッドは均質化したたばこ材料の捲縮して集合したシートから形成される。捲縮の前、シートの幅は1132mmで、厚さは200ミクロンであった。シートは、捲縮の深さまたは捲縮振幅が190マイクロメートルになるまで捲縮が施された。上記の方法を使用した画像分析からは、横断断面空隙率は高く(0.30より大きい)、また断面空隙率分布の値は低い(約0.10)(すなわち、ロッドの断面空隙率は高く、断面空隙率分布は均一であった)ことが示された。均等に分布されていながらも、孔は
図14のロッドのそれよりもわずかに大きい。
【0094】
それぞれのタイプのロッド(
図12~15に図示されたロッドA~ロッドD)が、
図21に図示されたタイプと類似したエアロゾル発生物品に形成され、物品内に組み込まれた可燃性発熱体の燃焼によって加熱された。発生したエアロゾル中のグリセリンレベルおよびニコチンレベルが測定された。グリセリンレベルは、Coresta Recommended Method No. 60に従い決定された。ニコチンレベルは、ISO10315に従い決定された。これらの実験の結果を表16および
図17に示す。
【0095】
グリセリンおよびニコチンの両方の送達に影響する主な要因は、ロッドの空隙率の高さであることがわかる。送達値は、またロッドの空隙率が均一な場合にもわずかに改善される。
【0096】
それぞれのタイプのロッド(
図12~15に図示されたロッドA~ロッドD)はまた、
図20に図示されたタイプと類似したエアロゾル発生物品に形成され、ロッドに挿入されてエアロゾルを発生する発熱体を使用して加熱された。発生したエアロゾル中のグリセリンレベルおよびニコチンレベルが測定された。グリセリンレベルは、Coresta Recommended Method No. 60に従い決定された。ニコチンレベルは、ISO10315に従い決定された。これらの実験の結果を表18および
図19に示す。
【0097】
このタイプの加熱式エアロゾル発生物品についてのグリセリンおよびニコチンの両方の送達に影響する主な要因は、ロッドの均一性の高さであることがわかる。さらに、結果は低い空隙率および高い均一性の条件下で改善される。
【0098】
図20は、本明細書で描写したロッドを備えたエアロゾル発生物品2000の実施形態を図示したものである。
図20に図示したエアロゾル発生物品2000は、消費されるためにエアロゾル発生装置と勘合するように設計されている。こうしたエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体2020を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成する手段を含む。一般に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体2020に隣接したエアロゾル発生物品2000を囲む発熱体、またはエアロゾル形成基体2020に挿入される発熱体を備えうる。
【0099】
エアロゾル発生装置と勘合されると、ユーザーは喫煙物品2000の口側端2012を吸い、エアロゾル形成基体2020が約375℃の温度に加熱される。この温度にて、揮発性化合物は、エアロゾル形成基体2020を形成する均質化したたばこから放出される。これらの化合物は凝縮されてエアロゾルを形成する。エアロゾルはフィルター2050を通して引き出され、ユーザーの口に入る。
【0100】
物品2000は、エアロゾル形成基体2020と、中空のセルロースアセテートチューブ2030と、スペーサー要素2040と、マウスピースフィルター2050という4つの要素を含む。これら4つの要素は順に同軸に整列して配置され、紙巻たばこ用紙2060によって組み立てられ、エアロゾル発生物品2000を形成する。物品2000は口側の端2012を有し、ユーザーは使用中にその端を口の中に挿入し、遠位端2013は口側の端2012に対して物品の反対側の端に位置する。
【0101】
組み立てられた時、物品2000は長さ約45ミリメートルであり、約7.2ミリメートルの外径と約6.9ミリメートルの内径を持つ。
【0102】
エアロゾル形成基体2020は、このタイプの加熱式エアロゾル発生物品のニコチンおよびグリセリンの送達を最適化するために、断面空隙率が約0.22で、断面空隙率分布の値(本明細書で説明した方法を使用して測定)が0.08のロッドを備える。
【0103】
図21は、エアロゾル発生物品2001のさらなる実施形態を図示する。
図20の物品はエアロゾル発生装置と併せて消費されることを意図するが、
図21の物品は、点火して熱をエアロゾル形成基体2020に伝達させて吸入可能なエアロゾルを形成しうる可燃性熱源2080を含む。可燃性熱源2080は、物品2001の遠位端2013でエアロゾル形成基体に近接して組み立てられる木炭要素である。
図20の各要素と本質的に同じ要素には、同じ番号が付けられている。エアロゾル形成基体は、このタイプの加熱式エアロゾル発生物品のニコチンおよびグリセリンの送達を最適化するために、断面空隙率が約0.30で、断面空隙率分布の値(本明細書で説明した方法を使用して測定)が0.12の均質化したたばこのロッドを備える。
【0104】
図22は、エアロゾル発生物品2002のなおさらなる実施形態を図示する。喫煙物品2002は
図21に示したものと類似しており、点火して熱をエアロゾル形成基体2020伝達し、吸入可能なエアロゾルを形成する可燃性熱源2080を含む。エアロゾル形成基体は、本明細書で説明したロッドである。可燃性熱源2080は、隣接する同軸配列で、前面2200および対向した後面2202、エアロゾル形成基体2020、伝達要素2204、エアロゾル冷却要素2206、スペーサー要素2040およびマウスピース2050を有するブラインド可燃性熱源である。本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前面から後面まで延びる任意の気流チャネルを含まない可燃性熱源を記述するために使用される。
図20および21の各要素と本質的に同じ要素には、同じ番号が付けられている。
【0105】
図22に示したように、エアロゾル形成基体2020、伝達要素2204、エアロゾル冷却要素2206、スペーサー要素2040およびマウスピース2050、ならびにブラインド可燃性熱源2080の後方部分は、低空気浸透性のシート材料、例えば、シガレットペーパーの外側ラッパー2208に包まれる。
【0106】
ブラインド可燃性熱源2080は、ブラインド炭素質可燃性熱源であり、喫煙物品の遠位端に位置する。アルミ箔のディスクの形態で不燃性の実質的に不通気性の第一のバリア2210は、ブラインド可燃性熱源2080の後面2202とエアロゾル形成基体2020との間に提供される。 第一のバリア2210は、ブラインド可燃性熱源2080の後面2202上へアルミ箔のディスクをプレスすることによってブラインド可燃性熱源2080の後面2202に適用され、可燃性炭素質熱源2080の後面2202およびエアロゾル形成基体2080に隣接する。
【0107】
図22に示したように、喫煙物品2002は、ブラインド可燃性熱源2080の後方部分2080bおよびエアロゾル形成基体2020の前方部分2020aの周りにあり、それと直に接触する、たとえば、アルミ箔などの適切な材料の第一の熱伝導性要素2212をさらに含む。 喫煙物品2002において、エアロゾル形成基体2020は、第一の熱伝導性要素2212を越えて下流に延びる。すなわち、第一の熱伝導性要素2212は、エアロゾル形成基体2020の後方部分の周りになく、それと直に接触しない。
【0108】
見て分かるとおり、1つ以上の空気吸込み口が、エアロゾル形成基体の周辺に提供されており、
図22でのAに対応する。
【0109】
本明細書で説明した特定の実施形態は、たばこ材料シートから形成されたロッドに関連することが知られているが、当然ながら当業者には類似した方法を使用して非たばこエアロゾル形成材料からロッドを形成しうることが明白である。さらに、本明細書で説明した特定の実施形態は、捲縮した材料シートから形成されたロッドに関連することが知られているが、当然ながら当業者には類似した方法を使用して、未処理の材料シートから、または捲縮以外の方法で処理が施されたシートからロッドを形成しうることが明白である。