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  • 特許-トーンアームのリフター装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】トーンアームのリフター装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 3/08 20060101AFI20220510BHJP
   G11B 33/08 20060101ALI20220510BHJP
   G11B 33/12 20060101ALI20220510BHJP
   G11B 25/04 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G11B3/08 Z
G11B33/08 A
G11B33/12 313G
G11B25/04 101Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020191804
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2021111430
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】108148705
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502388943
【氏名又は名称】亞弘電科技股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520453283
【氏名又は名称】トーレンス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】THORENS GMBH
【住所又は居所原語表記】Lustheide 85,D 51427 Bergisch-Gladbach,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100217434
【弁理士】
【氏名又は名称】万野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 晉益
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・キュルテン
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-345467(JP,A)
【文献】特開昭56-047952(JP,A)
【文献】特開平01-027004(JP,A)
【文献】実開昭61-034601(JP,U)
【文献】中国実用新案第201655295(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 3/00 - 3/08
G11B 33/08
G11B 33/12
G11B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤー本体と該プレーヤー本体に相対回動可能に取り付けられるトーンアームとを有するレコードプレイヤーに適用されるトーンアームのリフター装置であって、
前記プレーヤー本体に配置されるケースと、
前記トーンアームを支持可能であり、前記ケースに対して所定の垂直軸線に沿って上下移動可能且つ相対回転が不可能に取り付けられるリフターと、
前記リフターを前記垂直軸線に沿って上下移動するように駆動する駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、前記リフターに螺合され、回転駆動されると、前記ケースに対して相対回転が不可能である前記リフターとの相対回転により、前記リフターを前記垂直軸線に沿って上方または下方へ移動するように駆動する回転ユニットと、外部からの制御信号に従って前記回転ユニットを回転駆動する駆動ユニットと、を有し、
前記駆動手段の前記駆動ユニットに対して前記制御信号を出力する制御手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記リフターが前記ケースに対する相対上下移動の上死点及び下死点に到達したことを感知すると、対応のリフター位置信号を出力するリフター位置センサーと、
前記リフター位置センサーからの前記リフター位置信号を受信し、且つ、受信した前記リフター位置信号に応じて前記駆動手段の前記駆動ユニットに対して回転駆動を停止させる制御信号を出力する信号出力部と、を有するように構成されており、
前記リフター位置センサーは、前記垂直軸線に沿って、前記リフターの前記ケースに対する相対上下移動の上死点と下死点にそれぞれ対応する位置に配置されていると共に、前記ケースに対して相対移動ができないように固定されている2つの第1のセンサーユニットと、前記リフターと共に前記垂直軸線に沿って前記ケースに対して上下に移動可能な第2のセンサーユニットと、を有し、前記第2のセンサーユニットがいずれか1つの前記第1のセンサーユニットに隣接したことを感知すると、前記リフターが前記ケースに対する相対上下移動の上死点もしくは下死点に到達したと判断するように構成されており、
前記第1のセンサーユニットはホール素子と該ホール素子により感知される磁気素子とのいずれか1者であり、前記第2のセンサーユニットは前記1者ではない他の1者であり、
上記構成により、前記回転ユニットが回転駆動されると、前記ケースに対して相対回転が不可能である前記リフターとの相対回転により、前記リフターを前記垂直軸線に沿って上方または下方へ移動するので、前記リフターを前記垂直軸線に沿って上方に移動することにより、自動的に前記トーンアームを持ち上げることができることを特徴とする
トーンアームのリフター装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記トーンアームの前記プレーヤー本体に対する相対位置が、該レコードプレイヤーが再生中のレコードのラストトラックに入ったことを感知すると対応のリフト信号を出力するトーンアームセンサーを更に有しており、
前記信号出力部は、前記トーンアームセンサーから前記リフト信号を受信すると、前記駆動ユニットに対して前記リフターを上方へ移動させる回転駆動を開始させる制御信号を出力するように構成されていることを特徴とする
請求項に記載のトーンアームのリフター装置。
【請求項3】
前記制御手段は、作動されると前記駆動手段の前記駆動ユニットに対し、前記リフターを下方へ移動させる制御信号を出力する制御スイッチを更に有するように構成されていることを特徴とする
請求項に記載のトーンアームのリフター装置。
【請求項4】
前記制御手段は、作動されると前記駆動手段の前記駆動ユニットに対し、前記リフターを前記ケースに対する相対上下移動の上死点または下死点から離れるように移動させる制御信号を出力する制御スイッチを更に有するように構成されていることを特徴とする
請求項または請求項に記載のトーンアームのリフター装置。
【請求項5】
前記リフターは、前記駆動手段の前記回転ユニットに螺合されて前記回転ユニットの回転により駆動される従動ブロックと、前記従動ブロックの上端部から前記垂直軸線に直交する水平方向へ延伸し、前記トーンアームを支持可能なサポータと、を有するように構成されることを特徴とする
請求項1に記載のトーンアームのリフター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トーンアームのリフター装置に関し、特にプレーヤー本体と該プレーヤー本体に相対回動可能に取り付けられるトーンアームとを有するレコードプレイヤーに適用されるトーンアームのリフター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トーンアームを用いるレコードプレイヤーは、例えば特許文献1や特許文献2に記載されるものが挙げられる。これら従来のレコードプレイヤーは、レコードの再生終了時にトーンアームを持ち上げてレコードと接触しない位置に移動しなければ、針先やレコード盤の損傷を引き起こす恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-111845号公報
【文献】特開2019-16419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は自動的にトーンアームを持ち上げることにより、針先やレコード盤の損傷を防止できるトーンアームのリフター装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は、プレーヤー本体と該プレーヤー本体に相対回動可能に取り付けられるトーンアームとを有するレコードプレイヤーに適用されるトーンアームのリフター装置であって、前記プレーヤー本体に配置されるケースと、前記ケースに対して所定の垂直軸線に沿って上下移動可能且つ相対回転が不可能に取り付けられるリフターと、前記リフターを前記垂直軸線に沿って上下移動するように駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、前記リフターに螺合され、回転駆動されると、前記ケースに対して相対回転が不可能である前記リフターとの相対回転により、前記リフターを前記垂直軸線に沿って上方または下方へ移動するように駆動する回転ユニットと、外部からの制御信号に従って前記回転ユニットを回転駆動する駆動ユニットと、を有していることを特徴とするトーンアームのリフター装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
上記構成により、本発明のトーンアームのリフター装置は、回転駆動されると、前記ケースに対して相対回転が不可能である前記リフターとの相対回転により、前記リフターを前記垂直軸線に沿って上方または下方へ移動するように駆動する回転ユニットを有するので、回転ユニットを作動し、前記リフターを前記垂直軸線に沿って上方に移動することにより、自動的にトーンアームを持ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のトーンアームのリフター装置を備えたレコードプレイヤーが示される斜視図である。
図2】本発明のトーンアームのリフター装置の構成が示される模式図である。
図3】本発明のトーンアームのリフター装置が有するケースとリフターと駆動手段が示される斜視図である。
図4】本発明のトーンアームのリフター装置が有するケースとリフターと駆動手段の構成が示される分解斜視図である。
図5】本発明のトーンアームのリフター装置が有するケースとリフターと駆動手段の構成及び作動方法が示される縦断面図である。
図6】本発明のトーンアームのリフター装置が有するケースとリフターと駆動手段の構成及び作動方法が示される縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面及び実施例を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明のトーンアームのリフター装置を備えたレコードプレイヤーが示される斜視図である。図1に示されているように、本発明のトーンアームのリフター装置は、プレーヤー本体11と該プレーヤー本体11に相対回動可能に取り付けられるトーンアーム12とを有するレコードプレイヤー1に適用されるものであり、プレーヤー本体11に配置されるケース2と、ケース2に対して所定の垂直軸線(図3参照)に沿って上下移動可能且つ相対回転が不可能に取り付けられるリフター3と、リフター3を前記垂直軸線に沿って上下移動するように駆動する駆動手段4(図4参照)と、を備えている。
【0010】
図2は本発明のトーンアームのリフター装置の構成が示される模式図である。図2に示されているように、本発明のトーンアームのリフター装置は、ケース2内に配置される駆動手段4(図4参照)に対して制御信号を出力する制御手段5を更に備えている。制御手段5は、信号出力部51と、トーンアームセンサー52と、リフター位置センサー53と、制御スイッチ54と、を有している。
【0011】
図3は本発明のトーンアームのリフター装置が有するケース2とリフター3と駆動手段4が示される斜視図であり、図4はその構成が示される分解斜視図である。
【0012】
図示のように、本発明のトーンアームのリフター装置が有するケース2は、垂直軸線Lに沿って延伸する中空の円管状に形成されている外周壁21と、外周壁21の管内空間を横断するように配置されている円環状の仕切り板22と、外周壁21の管内に挿入可能になっている支持台23と、を有していると共に、仕切り板22には垂直軸線Lに対応する第1の通孔24と、第1の通孔24の隣に形成されている第2の通孔25と、が開けられている。
【0013】
リフター3は、ケース2の外周壁21の管内において、仕切り板22の上方に垂直軸線Lに沿って上下移動可能に配置されている従動ブロック31と、従動ブロック31の上端部から垂直軸線Lに直交する水平方向へ延伸し、トーンアーム12を下から支持可能なサポータ32と、サポータ32を従動ブロック31に固定するボルト33と、従動ブロック31に固定されていると共に、従動ブロック31から仕切り板22に形成される第2の通孔25を経由して仕切り板22の下側まで延伸する延伸係合棒34と、延伸係合棒34の下端に取り付けられているセンサー取付け部35と、を有している。従動ブロック31に延伸係合棒34が固定されていることにより、従動ブロック31はケース2に対して相対回転が不可能になる。
【0014】
駆動手段4は、外周壁21の管内において仕切り板22の下方に配置されていると共に仕切り板22に形成される第1の通孔24を挿通してリフター3の従動ブロック31に螺合され、回転駆動されると、ケース2に対して相対回転が不可能であるリフター3の従動ブロック31との相対回転により、相対回転の回転方向次第でリフター3を垂直軸線Lに沿って上方または下方へ移動するように駆動する回転ユニット41と、支持台23により支持されるように外周壁21の管内において仕切り板22の下方に配置され、外部(例えば制御手段5の信号出力部51)からの制御信号に従って回転ユニット41を回転駆動する駆動ユニット42と、を有している。
【0015】
また、制御手段5のリフター位置センサー53は、ケース2の支持台23の下端に配置されている基板531と、垂直軸線Lに沿って並ぶように基板531に配置されている2つの第1のセンサーユニット532と、リフター3のセンサー取付け部35に取り付けられることにより、リフター3と共に垂直軸線Lに沿ってケース2に対して上下に移動可能な第2のセンサーユニット533と、を有している。この実施形態において、2つの第1のセンサーユニット532は、リフター3のケース2に対する相対上下移動の上死点と下死点にそれぞれ対応する位置に配置されている。即ち、2つの第1のセンサーユニット532が取り付けられている基板531はケース2の支持台23の下端に配置されているので、2つの第1のセンサーユニット532はケース2に対して相対移動ができないように固定されることになり、そして2つの第1のセンサーユニット532は、それぞれリフター3がケース2に対する相対上下移動の上死点に到達した際において第2のセンサーユニット533に向き合うことができる位置に配置される。
【0016】
更に、第1のセンサーユニット532はホール素子と該ホール素子により感知される磁気素子とのいずれか一者であり、第2のセンサーユニット533は前記一者ではない他の一者である。
【0017】
即ち、第1のセンサーユニット532としてホール素子が採用される場合では第2のセンサーユニット533として該ホール素子により感知される磁気素子を使用し、もしくは第1のセンサーユニット532として磁気素子を使用する場合、第2のセンサーユニット533として該磁気素子を感知できるホール素子を使用する。
【0018】
この構成により、例えば、図5図6に示されているように、磁気素子である第2のセンサーユニット533が隣にあることをホール素子である第1のセンサーユニット532が感知すると、リフター3がケース2に対する相対上下移動の上死点及び下死点に到達することとして感知し、基板531は対応のリフター位置信号を出力する。また、第1のセンサーユニット532として磁気素子を使用する場合、第1のセンサーユニット532である磁気素子が隣にあることを、ホール素子を使用する第2のセンサーユニット533が感知すると、リフター3がケース2に対する相対上下移動の上死点及び下死点に到達することとして感知し、基板531は対応のリフター位置信号を出力する。
【0019】
トーンアームセンサー52は、トーンアーム12の位置を感知し、トーンアーム12のプレーヤー本体11に対する相対位置が、該レコードプレイヤー1が再生中のレコード111のラストトラックに入るか否かであることを感知して対応のリフト信号を出力する重要な役割を発揮するパーツであるが、トーンアーム12の回転角度を感知する光センサーや角度センサーなど従来の技術で簡単に達成することができるので、ここでは詳しく説明することを省略する。例えば角度センサーが対応のリフト信号を信号出力部51に出力し、信号出力部51がリフト信号を感知すると、駆動手段4の駆動ユニット42に対してリフター3を上方へ移動させる回転駆動を開始させる制御信号を出力する。
【0020】
制御スイッチ54が作動されると、信号出力部51が駆動手段4の駆動ユニット42に対し、リフター3を下方へ移動させる制御信号を出力できるように構成されている。
【0021】
この実施形態において、制御スイッチ54はボタンとして構成されているが、ボタン以外のレバーやつまみなどに構成されることも可能である。
【0022】
また、制御スイッチ54が作動されると、信号出力部51が駆動手段4の駆動ユニット42に対し、リフター3をケース2に対する相対上下移動の上死点または下死点から離れるように移動させる制御信号を出力するように構成することができる。
【0023】
上記構成により、本発明のトーンアームのリフター装置は、まず手動でレコードプレイヤー1のトーンアーム12をサポータ32に乗せて所定の位置に移動してから、制御スイッチ54を押すと、信号出力部51が駆動手段4の駆動ユニット42に対し、リフター3を下方へ移動させる制御信号を出力し、トーンアームの先端にある針をレコード111に接触させて再生を始める。そしてトーンアームセンサー52は、トーンアーム12の位置を感知し、トーンアーム12のプレーヤー本体11に対する相対位置が、該レコードプレイヤー1が再生中のレコード111のラストトラックに入ったことを感知すると、対応のリフト信号を信号出力部51に出力し、信号出力部51がリフト信号を感知すると、駆動手段4は駆動ユニット42を回転駆動させ、回転ユニット41と螺合する従動ブロック31はケース2に対して相対回転が不可能であるため回転ユニット41と共に回転することができず、ケース2に対して上方へ移動し、サポータ32と共に上昇しトーンアーム12を持ち上げる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
上記構成によれば、本発明は駆動ユニット42により回転駆動される回転ユニット41と従動ブロック31との相対回転でレコードプレイヤーのトーンアーム12を持ち上げることができるので、再生を終了したレコードを放置しても針先やレコード盤の損傷を防止することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 レコードプレイヤー
11 プレーヤー本体
12 トーンアーム
111 レコード
2 ケース
21 外周壁
22 仕切り板
23 支持台
24 第1の通孔
25 第2の通孔
3 リフター
31 従動ブロック
32 サポータ
33 ボルト
34 延伸係合棒
35 センサー取付け部
4 駆動手段
41 回転ユニット
42 駆動ユニット
5 制御手段
51 信号出力部
52 トーンアームセンサー
53 リフター位置センサー
531 基板
532 第1のセンサーユニット
533 第2のセンサーユニット
54 制御スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6