IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 昭和電線ケーブルシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ブッシング 図1
  • 特許-ブッシング 図2
  • 特許-ブッシング 図3
  • 特許-ブッシング 図4
  • 特許-ブッシング 図5
  • 特許-ブッシング 図6
  • 特許-ブッシング 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】ブッシング
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/34 20060101AFI20220510BHJP
   H01F 27/04 20060101ALI20220510BHJP
   H02B 13/035 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H01B17/34 A
H01F27/04 B
H02B13/035 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020216706
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2021128934
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2020024272
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306013120
【氏名又は名称】昭和電線ケーブルシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福濱 大河
(72)【発明者】
【氏名】今西 晋
(72)【発明者】
【氏名】瀬間 信幸
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-124825(JP,U)
【文献】実開昭60-073119(JP,U)
【文献】実開昭61-001824(JP,U)
【文献】特開2011-087447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/34
H01F 27/04
H02B 13/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器用変圧変流器用のブッシングであって、
ケーブル導体及びケーブル絶縁層を有する絶縁ケーブルと、
前記絶縁ケーブルの外側を覆う導体パイプと、
前記導体パイプの外側を覆う補強絶縁部と、を備え、
前記絶縁ケーブル及び前記導体パイプにより、高圧電路から電流を引き込む第1通電経路、及び前記高圧電路に電流を帰還させる第2通電経路が形成されており、
前記ケーブル導体に接続される接続端子と、
前記接続端子及び前記導体パイプを密閉して固定する固定部材と、をさらに備え、
前記接続端子と前記導体パイプは、前記固定部材により絶縁されている、
ブッシング。
【請求項2】
計器用変圧変流器用のブッシングであって、
ケーブル導体及びケーブル絶縁層を有する絶縁ケーブルと、
前記絶縁ケーブルの外側を覆う導体パイプと、
前記導体パイプの外側を覆う補強絶縁部と、を備え、
前記絶縁ケーブル及び前記導体パイプにより、高圧電路から電流を引き込む第1通電経路、及び前記高圧電路に電流を帰還させる第2通電経路が形成されており、
前記ケーブル導体に電気的に接続される第1接続端子と、
前記導体パイプに電気的に接続される第2接続端子と、
前記第1接続端子及び前記第2接続端子を固定する固定部材と、を備え、
前記第1接続端子と前記導体パイプは、前記固定部材により絶縁されており、
前記第1接続端子は、前記固定部材における前記ブッシングの軸方向端部側に固定される固定部と、当該固定部に連設する端子取付部と、を備え、
前記第2接続端子は、前記固定部材における前記ブッシングの軸方向中央側に固定される固定部と、当該固定部に連設する端子取付部と、を備える、
ブッシング。
【請求項3】
前記第1接続端子の前記端子取付部及び前記第2接続端子の前記端子取付部は、それぞれ、前記ブッシングの中心軸に平行で前記中心軸とは異なる2つの延在軸に沿って延在する、請求項2に記載のブッシング。
【請求項4】
前記計器用変圧変流器に取り付けるためのフランジ部を備え、
前記補強絶縁部は、前記フランジ部を介して前記計器用変圧変流器側とは反対側に配置される第1の補強絶縁部と、前記計器用変圧変流器側に配置される第2の補強絶縁部と、を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のブッシング。
【請求項5】
前記導体パイプ及び前記補強絶縁部は、モールド成型により一体的に形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のブッシング。
【請求項6】
前記絶縁ケーブルの外周面と前記導体パイプの内周面との離間距離は、2mm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載のブッシング。
【請求項7】
前記第1接続端子の前記端子取付部及び前記第2接続端子の前記端子取付部は、前記中心軸に関して対称的に配置されている、請求項に記載のブッシング。
【請求項8】
前記第1接続端子は、前記ブッシングの軸方向端部側から軸方向中央側に向かって延在し、
前記第2接続端子は、前記軸方向中央側から前記軸方向端部側に向かって延在する、
請求項3又は7に記載のブッシング。
【請求項9】
前記補強絶縁部は、前記導体パイプの外側に配置される絶縁筒と、前記絶縁筒の外側に配置されるポリマー被覆体と、を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のブッシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器用変圧変流器用のブッシングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧電路の高電圧・大電流を電気計器で計測できるように、低電圧・小電流に変成する機器として、計器用変圧変流器(VCT:Voltage and Current Transformer)が知られている。VCTでは、高圧電路から電流を引き込む第1通電経路と、高圧電路に電流を帰還させる第2通電経路とを、1つのブッシング内に設けることにより、構造の簡素化及び小型化が図られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、第1及び第2通電経路として、中心銅管6と中心銅管6の内側に配置されたロッド5とからなる二重構造を利用したVCT用のブッシングが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭60-73119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のブッシングでは、中心銅管6とロッド5との間は空気絶縁であり、中心銅管6とロッド5を十分に離間させて絶縁耐力を確保する必要があるため、小型化(細径化)が困難である。また、中心銅管6とロッド5を同心状に位置調整することが困難であることも、小型化を阻害する要因となっている。
一方で、VCT用ブッシングとして、導体パイプ内に2本の紙巻きより線を配置して第1及び第2通電経路を形成する構造も知られているが、この場合も、2本の紙巻きより線を配置するため、導体パイプが大径となり、さらなる小型化、軽量化は困難である。
【0005】
本発明の目的は、小型化(細径化)及び軽量化を図ることができる計器用変圧変流器用のブッシングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブッシングは、
計器用変圧変流器用のブッシングであって、
ケーブル導体及びケーブル絶縁層を有する絶縁ケーブルと、
前記絶縁ケーブルの外側を覆う導体パイプと、
前記導体パイプの外側を覆う補強絶縁部と、を備え、
前記絶縁ケーブル及び前記導体パイプにより、高圧電路から電流を引き込む第1通電経路、及び前記高圧電路に電流を帰還させる第2通電経路が形成されており、
前記ケーブル導体に接続される接続端子と、
前記接続端子及び前記導体パイプを密閉して固定する固定部材と、をさらに備え、
前記接続端子と前記導体パイプは、前記固定部材により絶縁されている。
本発明に係るブッシングは、
計器用変圧変流器用のブッシングであって、
ケーブル導体及びケーブル絶縁層を有する絶縁ケーブルと、
前記絶縁ケーブルの外側を覆う導体パイプと、
前記導体パイプの外側を覆う補強絶縁部と、を備え、
前記絶縁ケーブル及び前記導体パイプにより、高圧電路から電流を引き込む第1通電経路、及び前記高圧電路に電流を帰還させる第2通電経路が形成されており、
前記ケーブル導体に電気的に接続される第1接続端子と、
前記導体パイプに電気的に接続される第2接続端子と、
前記第1接続端子及び前記第2接続端子を固定する固定部材と、を備え、
前記第1接続端子と前記導体パイプは、前記固定部材により絶縁されており、
前記第1接続端子は、前記固定部材における前記ブッシングの軸方向端部側に固定される固定部と、当該固定部に連設する端子取付部と、を備え、
前記第2接続端子は、前記固定部材における前記ブッシングの軸方向中央側に固定される固定部と、当該固定部に連設する端子取付部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、絶縁ケーブルの絶縁層により第1通電経路と第2通電経路とが絶縁されるので、容易にブッシングの小型化(細径化)及び軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るブッシングを備える計器用変圧変流器の概要を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態に係るブッシングの全体構成を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態に係るブッシングのケーブル側端部の拡大図である。
図4図4は、第2の実施の形態に係るブッシングの全体構成を示す図である。
図5図5は、第2の実施の形態に係るブッシングのケーブル側端部の拡大図である。
図6図6は、ケーブル側固定部材における埋込金具の位置関係を示す図である。
図7図7A図7Bは、ケーブル側固定部材における半径方向の応力分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係るブッシングを、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施の形態に係るブッシング1A、1B(図2図4参照)を適用しうる計器用変圧変流器A(VCT)の概要を示す図である。
【0011】
図1に示すように、計器用変圧変流器Aは、三相交流の架空リード線Cの高電圧・大電流を電気計器で計測できるように低電圧・小電流に変成する機器であり、3つのブッシングBU、BV、BW及びVCT回路2を備える。架空リード線Cの公称電圧は、例えば、66kVである。
【0012】
3つのブッシングのうち、U相とW相の2つのブッシングBU、BWは、それぞれ、架空リード線Cの電流を相ごとに引き込む第1通電経路10、10B及び架空リード線Cに電流を帰還させる第2通電経路20、20Bを有する(図2図4等参照)。これらのブッシングBU、BWに、実施の形態に係るブッシング1A、1B(図2図4参照)が適用される。また、V相の1つのブッシングBVは、(電流を帰還させる第2通電経路を有しない)通常の中心導体を有するブッシングである。
【0013】
VCT回路2は、ブッシングBU、BV、BWを介して引き込まれた高電圧・高電流を低電圧・小電流に変成する回路であり、公知の技術を適用できる。
なお、図1は、ブッシングBU、BWに、第1の実施の形態に係るブッシング1A(図2参照)を適用した図となっているが、第2の実施の形態に係るブッシング1B(図4参照)を適用した場合の図は、後述する第1のケーブル接続端子、第2のケーブル接続端子の延在する向きが異なるだけで同様の構成となるため図示を省略する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図2は、第1の実施の形態に係るブッシング1Aの全体構成を示す図である。図3は、ブッシング1Aのケーブル側端部の拡大図である。
ブッシング1Aは、例えば、ケーブル側が気中、計器側が絶縁ガス中に配置される、気中―ガス中ブッシングである。ブッシング1Aは、ケーブル導体111及びケーブル絶縁層112を有する絶縁ケーブル11と、絶縁ケーブル11の外側を覆う導体パイプ21と、導体パイプ21の外側を覆う第1の補強絶縁部30と、を備える。更に、ブッシング1Aは、計器用変圧変流器Aに取り付けるためのフランジ部50を有する。ブッシング1Aは、フランジ部50より基端部側(図2では計器側)に第2の補強絶縁部33を有する。第2の補強絶縁部33は、第1の補強絶縁部30における絶縁筒31と同一材料で絶縁筒31と一体的に形成される。第2の補強絶縁部33は、ブッシング1Aを計器用変圧変流器Aのケースに設置した際に、計器用変圧変流器Aの内側に配置される。絶縁ケーブル11により第1通電経路10が形成され、導体パイプ21により第2通電経路20が形成される。
【0015】
絶縁ケーブル11において、ケーブル導体111は、例えば、銅、アルミニウム、銅合金又はアルミニウム合金等の通電に適した導電性材料からなる線材のより線で構成される。ケーブル導体111は、許容電流に応じて、導体断面積が設定される。ケーブル導体111は、ケーブル絶縁層112の先細にペンシリングされた両端部から露出する。
ケーブル絶縁層112は、例えば、架橋ポリエチレン等の絶縁材料で形成される。ケーブル絶縁層112は、絶縁耐圧に応じて材質及び厚さが設定される。
絶縁ケーブル11には、架空リード線Cの公称電圧(例えば、66kV)よりも低電圧のケーブル(例えば、6kV級のケーブル)が適用される。
【0016】
導体パイプ21は、例えば、銅やアルミニウムなどの導電性材料で形成される。導体パイプ21は、ケーブル導体111と同様に、許容電流に応じて断面積(パイプ厚さ)が設定される。
【0017】
絶縁ケーブル11及び導体パイプ21は、同心状に配置されており、ケーブル導体111と導体パイプ21は、ケーブル絶縁層112によって絶縁される。ケーブル絶縁層112は、絶縁材料で形成され、空気絶縁より絶縁耐力が高いので、特許文献1の場合に比較して、ブッシングの小型化(細径化)を図ることができる。
【0018】
ここで、絶縁ケーブル11の外周面と導体パイプ21の内周面との離間距離は、2mm以下(接触する場合を含む)であることが好ましい。これにより、絶縁ケーブル11と導体パイプ21とが確実に同心状となるように配置されるので、容易に所望の絶縁耐力を実現することができる。
【0019】
第1通電経路10において、絶縁ケーブル11のケーブル導体111のケーブル側の端部は、第1のケーブル接続端子12を介して、引き込み側の架空リード線Cのケーブル導体と電気的に接続される。また、ケーブル導体111の計器側の端部は、第1のVCT接続端子13を介して、VCT回路2と接続される。
【0020】
第2通電経路20において、導体パイプ21のケーブル側の端部は、第2のケーブル接続端子22を介して、帰還側の架空リード線Cのケーブル導体と接続される。また、導体パイプ21の計器側の端部は、第2のVCT接続端子23を介して、VCT回路2と接続される。
【0021】
ブッシング1Aのケーブル側において、第1のケーブル接続端子12及び導体パイプ21は、絶縁性のケーブル側固定部材41に密閉して固定される。具体的には、第1のケーブル接続端子12は、ケーブル側固定部材41に設けられた挿入孔に挿通され、導体パイプ21は、ケーブル側固定部材41に設けられた切欠溝に嵌入されている。これにより、第1のケーブル接続端子12とケーブル側固定部材41の間、及び、導体パイプ21とケーブル側固定部材41の間からの水の浸入を防ぐことができる。
【0022】
同様に、ブッシング1Aの計器側において、第1のVCT接続端子13及び導体パイプ21は、絶縁性のVCT側固定部材42に密閉して固定される。具体的には、第1のVCT接続端子13は、VCT側固定部材42に設けられた挿入孔に挿通され、導体パイプ21は、VCT側固定部材42に設けられた切欠溝に嵌入されている。このように、ブッシング1Aの両端部において固定部材41、42により密閉して固定することで、導体パイプ21内は密閉状態となる。これにより、水等の導体パイプ21内への浸入を防ぐことができ、導体パイプ21内の絶縁ケーブル11により電気的に安定した第1通電経路10を形成することができる。また、ブッシング1Aの計器側には、第1のVCT接続端子13及び第2のVCT接続端子23を覆うように、コロナ放電を抑制するためのシールド電極43が配置されている。
【0023】
第1の補強絶縁部30は、例えば、導体パイプ21の外側に配置される絶縁筒31、及び絶縁筒31の外側に一体的に設けられるポリマー被覆体32を有する二重絶縁構造のポリマー套管で構成される。絶縁筒31、第2の補強絶縁部33及びポリマー被覆体32は、導体パイプ21とともに、例えば、モールド成型により一体的に形成される。導体パイプ21の両端部は、第1の補強絶縁部30、第2の補強絶縁部33からそれぞれ露出する。なお、図示を省略するが、絶縁筒31及びポリマー被覆体32とともに、遮へい金具や電界緩和層が、モールド成型により一体的に形成されてもよい。本実施の形態では、絶縁筒31内に埋設された遮へい金具によってフランジ部50が形成されている。
【0024】
絶縁筒31は、機械的強度の高い硬質プラスチック樹脂材料(例えば、エポキシ樹脂やFRP(Fiber Reinforced Plastics)など)で形成される。
ポリマー被覆体32は、電気絶縁性能に優れる材料(例えば、シリコーンポリマーなどの高分子材料)で形成される。ポリマー被覆体32は、絶縁筒31の外周を覆う胴部(符号略)と、胴部の外周に長手方向に離間して形成される複数の傘状の襞部(符号略)とを有する。襞部は、図2、3に示すように、突出長の異なる複数の襞が長手方向に離間して交互に形成されてもよいし、突出力の同じ複数の襞が長手方向に離間して形成されてもよい。
【0025】
このように、第1の実施の形態に係るブッシング1Aは、計器用変圧変流器A用のブッシングであって、ケーブル導体111及びケーブル絶縁層112を有する絶縁ケーブル11と、絶縁ケーブル11の外側を覆う導体パイプ21と、導体パイプ21の外側を覆う第1の補強絶縁部30及び第2の補強絶縁部33(補強絶縁部)と、を備え、絶縁ケーブル11及び導体パイプ21により、架空リード線C(高圧電路)から電流を引き込む第1通電経路10、及び架空リード線Cに電流を帰還させる第2通電経路20が形成されている。
【0026】
ブッシング1Aによれば、第1通電経路10となるケーブル導体111と第2通電経路20となる導体パイプ21が、絶縁ケーブル11のケーブル絶縁層112により絶縁されるので、空気絶縁の場合に比較して小型化(細径化)、軽量化を図ることができる。
【0027】
また、ブッシング1Aは、計器用変圧変流器Aに取り付けるためのフランジ部50を備え、補強絶縁部は、フランジ部50を介して計器用変圧変流器側とは反対側に配置される第1の補強絶縁部30と、計器用変圧変流器側に配置される第2の補強絶縁部33と、を有する。これにより、ブッシング1Aが配置される環境(気中、ガス中又は油中)に応じて、適した絶縁構造を採用することができる。
【0028】
また、ブッシング1Aにおいて、導体パイプ21、絶縁筒31、第2の補強絶縁部33及びポリマー被覆体32は、モールド成型により一体的に形成される。これにより、第2通電経路20となる導体パイプ21と第1の補強絶縁部30を容易に作製することができる。
【0029】
また、ブッシング1Aにおいて、絶縁ケーブル11の外周面と導体パイプ21の内周面との離間距離は、2mm以下(接触する場合を含む)である。これにより、絶縁ケーブル11と導体パイプ21とが確実に同心状となるように配置されるので、容易に所望の絶縁耐力を実現することができる。
【0030】
また、ブッシング1Aは、ケーブル導体111に接続される第1のケーブル接続端子12及び第1のVCT接続端子13(接続端子)と、第1のケーブル接続端子12又は第1のVCT接続端子13と導体パイプ21を固定するケーブル側固定部材41及びVCT側固定部材42(固定部材)と、を備え、第1のケーブル接続端子12及び第1のVCT接続端子13と導体パイプ21は、ケーブル側固定部材41及びVCT側固定部材42により絶縁されている。これにより、ブッシング1Aの端部における絶縁性が確保されるので、ブッシングの信頼性が向上する。
【0031】
また、ブッシング1Aにおいて、第1の補強絶縁部30は、気中絶縁構造のため、導体パイプ21の外側に配置される絶縁筒31と、絶縁筒31の外側に配置されるポリマー被覆体32と、を有する、いわゆるポリマー套管で構成されている。固体絶縁構造の気中絶縁において実績のあるポリマー套管を適用することで、VCT用ブッシングとしても好適な特性を得ることができる。また、ブッシング1Aは完全乾式の固体絶縁構造であることにより、従来の磁器製ブッシングのように内部に絶縁油あるいはSFガスなどを使用しない環境に配慮した技術であり、磁器製ブッシングに比較して耐震性に優れ災害に強い。よって、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」及び目標11「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」に貢献することが可能となる。
【0032】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態に係るブッシング1Bの全体構成を示す図である。図5は、ブッシング1Bのケーブル側端部の拡大図である。図6は、ケーブル側固定部材51における埋込金具512、513の位置関係を示す図である。
【0033】
第2の実施の形態に係るブッシング1Bは、内部構造は第1の実施の形態に係るブッシング1Aと同様であり、主に、ケーブル側端部及び計器側端部における接続端子の固定構造が異なる。ここでは、第1の実施の形態に係るブッシング1Aと異なる構成について重点的に説明し、ブッシング1Aと同じ又は対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0034】
ブッシング1Bでは、第1の実施の形態と同様に、絶縁ケーブル11により第1通電経路10Bが形成され、導体パイプ21Bにより第2通電経路20Bが形成される。
【0035】
第1通電経路10Bにおいて、絶縁ケーブル11のケーブル導体111のケーブル側の端部は、第1のケーブル接続端子12Bを介して、引き込み側の架空リード線Cのケーブル導体と電気的に接続される。また、ケーブル導体111の計器側の端部は、第1のVCT接続端子13Bを介して、VCT回路2と接続される。
ここでは、ケーブル導体111の先端に金属製の圧縮プラグ113が取り付けられており、圧縮プラグ113とケーブル側固定部材51の内側埋込金具512とが、例えば、マルチラムバンド等の導体接触子(図示略)を介して接触するように配置され、電気的に接続されている。また、内側埋込金具512に第1のケーブル接続端子12Bが、例えば、ボルト締結により固定され、電気的に接続されている。計器側の端部においても同様である。
【0036】
第2通電経路20Bにおいて、導体パイプ21Bのケーブル側の端部は、第2のケーブル接続端子22Bを介して、帰還側の架空リード線Cのケーブル導体と接続される。また、導体パイプ21Bの計器側の端部は、第2のVCT接続端子23Bを介して、VCT回路2と接続される。
ここでは、導体パイプ21Bの両端部はフランジ状に形成されており、導体パイプ21Bのフランジ部と第2のケーブル接続端子22Bとが面接触するように固定され、電気的に接続されている。なお、溶接又は半田付けにより、導体パイプ21Bに他の接続部材を機械的かつ電気的に接続し、この接続部材によって第2のケーブル接続端子22Bと接続されるフランジ部が形成されてもよい。また、第2のケーブル接続端子22Bは、ケーブル側固定部材51の外側埋込金具513に、例えば、ボルト締結により固定されている。計器側の端部においても同様である。
【0037】
第2の実施の形態では、第1のケーブル接続端子12B及び第2のケーブル接続端子22Bの端子取付部12Ba、22Baは、それぞれ、フランジ状の固定部12Bb、22Bbの一部から径方向外側に延出し、ブッシング1Bの中心軸AXと平行に延在するように形成されている。具体的には、ケーブル側の端部では、第1のケーブル接続端子12B及び第2のケーブル接続端子22Bの端子取付部12Ba、22Baは、いずれもブッシング1Bの軸方向端部側に向かって延在している。
【0038】
第1のケーブル接続端子12をブッシングの中心軸AX上に配置する場合(第1の実施の形態を参照)、第1のケーブル接続端子12及び第2のケーブル接続端子22の端子取付部12a、22a間の端子間距離を十分に確保するためには、第2のケーブル接続端子22の径方向外側への延出長を大きくする必要がある。そのため、第2のケーブル接続端子22が補強絶縁部30の外径よりも径方向外側に延出し、ブッシングを狭い機器取付穴に挿入しにくくなる虞がある。
【0039】
これに対して、第2の実施の形態のように、第1のケーブル接続端子12B及び第2のケーブル接続端子22Bの端子取付部12Ba、22Baを、それぞれ、ブッシング1Bの中心軸AXに対して径方向外側に割り振って(図4図5においては中心軸AXに対して左右に割り振って)形成する場合、端子取付部12Ba、22Baの両方の径方向外側への延出長によって、端子間距離を制御することができる。したがって、軸方向から見たブッシング1Bの外径を大きくすることなく、第1のケーブル接続端子12と第2のケーブル接続端子22との端子間距離を十分に確保することができる。
【0040】
ケーブル側の端部と同様に、計器側の端部において、第1のVCT接続端子13B及び第2のVCT接続端子23Bの端子取付部13Ba、23Baは、それぞれ、フランジ状の固定部13Bb、23Bbの一部から径方向外側に延出し、ブッシング1Bの中心軸AXと平行に延在するように形成されている。これにより、計器側においても上記と同様の効果が得られる。
【0041】
また、計器側の端部では、第1のVCT接続端子13Bの端子取付部13Baは、ブッシング1Bの軸方向中央側に向かって延在し、第2のVCT接続端子23Bの端子取付部23Baは、ブッシング1Bの軸方向端部側に向かって延在し、いずれもブッシング1Bの端部が計器側に突出しないように形成している。
【0042】
計器側の端部に、上述したケーブル側の端部構造を適用した場合、第1のVCT接続端子13B及び第2のVCT接続端子23Bの端子取付部13Ba、23Baがいずれも計器側に向かって延在し、ブッシング1Bの端部が計器側に突出するように形成される。第2の実施の形態では、第1のVCT接続端子13B及び第2のVCT接続端子23Bの端子取付部13Ba、23Baがブッシング1Bの端部として計器側に突出しないように形成されているので、上述したケーブル側の端部構造を適用した場合に比較して、端子取付部13Ba、23Baの長さ、特に第2のVCT接続端子23Bの端子取付部23Baの長さが抑制される。したがって、端子取付部13Ba、23Baの長さとして、機器との取り合いに必要な長さが確保されていればよく、ブッシング1B及びブッシング1Bが取り付けられる機器の小型化を図ることができる。
【0043】
また、第2の実施の形態において、第1のケーブル接続端子12B及び第2のケーブル接続端子22Bは、ケーブル側固定部材51を用いて固定されており、第1のVCT接続端子13B及び第2のVCT接続端子23Bは、VCT側固定部材52を用いて固定されている。ケーブル側固定部材51とVCT側固定部材52は、ほぼ同様の構造を有するため、ここでは、ケーブル側固定部材51について説明する。
【0044】
ケーブル側固定部材51は、図5に示すように、絶縁部511、内側埋込金具512及び外側埋込金具513等を有する。ケーブル側固定部材51は、絶縁ケーブル11の先端を挿入可能な中空部を有し、全体として有底円筒形状に形成されている。また、ケーブル側固定部材51の外周面は、シリコーンゴム等のゴム材料からなる保護層514で覆われている。なお、ブッシング1Bの計器側は油中に設置されるため、VCT側固定部材52には、保護層514はなくてもよい。
【0045】
絶縁部511は、エポキシ樹脂等の絶縁材料で形成される。内側埋込金具512及び外側埋込金具513は、絶縁部511よりも曲げ強度の高い材料(例えば、銅)で形成され、第1のケーブル接続端子12B及び第2のケーブル接続端子22Bを固定するための固定部として機能するとともに、ケーブル側固定部材51の曲げ強度を向上するための剛性部として機能する。絶縁部511、内側埋込金具512及び外側埋込金具513は、例えば、モールド成型により一体的に形成される。
【0046】
なお、内側埋込金具512は、ケーブル側固定部材51の中空部に挿入される絶縁ケーブル11のケーブル導体111及び第1のケーブル接続端子12Bと電気的に接続するために導電性が要求されるが、外側埋込金具513は、第2のケーブル接続端子22Bと電気的に接続する必要はないため、導電性を有していなくてもよい。すなわち、外側埋込金具513は、剛性部として機能すれば金具でなくてもよい。
【0047】
内側埋込金具512は、有底円筒形状を有する。内側埋込金具512は、底部がケーブル側固定部材51におけるブッシング1Bの軸方向端部側に露出し、内周面が絶縁部511の内周面と連設され、ケーブル側固定部材51の内周面の一部を形成している。内側埋込金具512には、第1のケーブル接続端子12を固定するためのボルト穴512bが設けられている。また、内側埋込金具512の円筒部分の外周面には、座ぐり512aが設けられている。これにより、内側埋込金具512と絶縁部511とのせん断強度が向上するとともに、界面距離が長くなり内部への水や空気の侵入を抑制することができる。
【0048】
外側埋込金具513は、円筒形状を有する。外側埋込金具513は、端面がケーブル側固定部材51の計器側(ブッシング1Bの軸方向中央側)に露出するように配置される。外側埋込金具513には、第2のケーブル接続端子22Bを固定するためのボルト穴513bが設けられている。また、外側埋込金具513の円筒部分の外周面には、座ぐり513aが設けられている。これにより、外側埋込金具513と絶縁部511とのせん断強度が向上するとともに、界面距離が長くなり内部への水や空気の侵入を抑制することができる。
【0049】
なお、第2の実施の形態では、内側埋込金具512は第1のケーブル接続端子12Bと電気的に接続され、外側埋込金具513は第2のケーブル接続端子22Bと電気的に接続されているため、内側埋込金具512及び外側埋込金具513は、適切な端子間絶縁が確保されるように離間して配置される。
また、内側埋込金具512及び外側埋込金具513の座ぐり512a、513aの位置及び数は特に限定されない。せん断強度や成型の容易さを考慮して適宜に設定されればよく、いずれか一方だけに設けられてもよい。
【0050】
内側埋込金具512に第1のケーブル接続端子12Bが、ボルト締結により固定され、機械的かつ電気的に接続される。また、外側埋込金具513に第2のケーブル接続端子22Bが、ボルト締結により固定され、機械的かつ電気的に接続される。このとき、ケーブル固定部材51の内部への水又は空気の侵入を防止するために、第2のケーブル接続端子22Bと絶縁部511との接触面には、シール部材(図示略)が配置される。
【0051】
第2の実施の形態では、内側埋込金具512及び外側埋込金具513は、それぞれの円筒部分が、径方向に離間し、軸方向に重なるように配置されている。例えば、それぞれの円筒部分の先端部分(具体的には、内側埋込金具512はブッシング1Bの軸方向中央側の先端部分、外側埋込金具513はブッシング1Bの軸方向端部側の先端部分を指す。)が底部側の基端部分よりも薄く形成され、所定の離間距離を確保しつつ、軸方向に重なっている。内側埋込金具512と外側埋込金具513とが重なり合うラップ長さL(図6参照)は、例えば、5mm以上(例えば、10mm)であることが好ましい。
【0052】
図7A図7Bは、ケーブル側固定部材51における径方向の応力分布を示す図である。図7Aは、内側埋込金具512と外側埋込金具513が軸方向に重なっている断面(例えば、図6の軸方向位置P1における断面)における応力分布であり、図7Bは、内側埋込金具512と外側埋込金具513が軸方向に重なっていない断面(例えば、図6の軸方向位置P2における断面)における応力分布である。
【0053】
図7A図7Bに示すように、内側埋込金具512と外側埋込金具513が軸方向に重なるように配置し、両者の間に絶縁部511が介在するように構成することにより、外力が負荷されたときにケーブル側固定部材51の内部に生じる応力は分散される。したがって、ケーブル側固定部材51の径を大きくすることなく、径方向における曲げ応力を低減することができる。また、曲げ応力と同様に、せん断応力についても同様の効果を期待できる。
【0054】
このように、第1の実施の形態に係るブッシング1Aと同様に、第2の実施の形態に係るブッシング1Bは、計器用変圧変流器A用のブッシングであって、ケーブル導体111及びケーブル絶縁層112を有する絶縁ケーブル11と、絶縁ケーブル11の外側を覆う導体パイプ21Bと、導体パイプ21Bの外側を覆う第1の補強絶縁部30及び第2の補強絶縁部33(補強絶縁部)と、を備え、絶縁ケーブル11及び導体パイプ21Bにより、架空リード線C(高圧電路)から電流を引き込む第1通電経路10B、及び架空リード線Cに電流を帰還させる第2通電経路20Bが形成されている。
また、ブッシング1Bは、計器用変圧変流器Aに取り付けるためのフランジ部50を備え、補強絶縁部は、フランジ部50を介して計器用変圧変流器側とは反対側に配置される第1の補強絶縁部30と、計器用変圧変流器側に配置される第2の補強絶縁部33と、を有する。
また、ブッシング1Bにおいて、導体パイプ21B、絶縁筒31、第2の補強絶縁部33及びポリマー被覆体32は、モールド成型により一体的に形成されている。
また、ブッシング1Bにおいて、絶縁ケーブル11の外周面と導体パイプ21Bの内周面との離間距離は、2mm以下(接触する場合を含む)である。
また、ブッシング1Bにおいて、第1の補強絶縁部30は、気中絶縁構造のため、導体パイプ21の外側に配置される絶縁筒31と、絶縁筒31の外側に配置されるポリマー被覆体32と、を有する、いわゆるポリマー套管で構成されている。固体絶縁構造の気中絶縁において実績のあるポリマー套管を適用することで、VCT用ブッシングとしても好適な特性を得ることができる。また、ブッシング1Bは完全乾式の固体絶縁構造であることにより、従来の磁器製ブッシングのように内部に絶縁油あるいはSFガスなどを使用しない環境に配慮した技術であり、磁器製ブッシングに比較して耐震性に優れ災害に強い。よって、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」及び目標11「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」に貢献することが可能となる。
よって、ブッシング1Bにおいても、第1の実施の形態に係るブッシング1Aと同様の効果が得られる。
【0055】
さらに、ブッシング1Bは、第1の実施の形態に係るブッシング1Aとは異なる技術的特徴として、以下の構成を有している。
すなわち、ブッシング1Bは、ケーブル導体111に電気的に接続される第1のケーブル接続端子12B及び第1のVCT接続端子13B(第1接続端子)と、導体パイプ21Bに電気的に接続される第2のケーブル接続端子22B及び第2のVCT接続端子23B(第2接続端子)と、第1のケーブル接続端子12B(第1接続端子)及び第2のケーブル接続端子22B(第2接続端子)を固定するケーブル側固定部材51並びに第1のVCT接続端子13B(第1接続端子)及び第2のVCT接続端子23B(第2接続端子)を固定するVCT側固定部材52(固定部材)と、を備え、第1のケーブル接続端子12B及び第1のVCT接続端子13B(第1接続端子)と導体パイプ21Bは、ケーブル側固定部材51及びVCT側固定部材52(固定部材)により絶縁されており、第1のケーブル接続端子12B及び第1のVCT接続端子13B(第1接続端子)は、それぞれ、ケーブル側固定部材51及びVCT側固定部材52(固定部材)におけるブッシング1Bの軸方向端部側に固定される固定部12Bb、13Bbと、当該固定部12Bb、13Bbに連設する端子取付部12Ba、13Baと、を備え、第2のケーブル接続端子22B及び第2のVCT接続端子23B(第2接続端子)は、それぞれ、ケーブル側固定部材51及びVCT側固定部材52(固定部材)におけるブッシング1Bの軸方向中央側に固定される固定部22Bb、23Bbと、当該固定部22Bb、23Bbに連設する端子取付部22Ba、23Bbと、を備え、第1のケーブル接続端子12Bの端子取付部12Baと第2のケーブル接続端子22Bの端子取付部22Ba、及び第1のVCT接続端子13Bの端子取付部13Baと第2のVCT接続端子23Bの端子取付部23Baは、それぞれ、ブッシング1Bの中心軸AXに平行で中心軸AXとは異なる2つの延在軸に沿って延在している。これにより、軸方向から見たブッシング1Bの外径を大きくすることなく、端子間距離を十分に確保することができる。したがって、ブッシング1Bを狭い機器取付穴にスムーズに挿入することができ、作業性が向上する。また、必要な端子間距離を確保しやすいため、設計の自由度が高まり、様々な取り合いに対応できる。さらには、機器取付穴に対して斜めに挿入しやすくなり、設置姿勢の自由度が高い固体絶縁の利点を活かすことができる。
【0056】
また、ブッシング1Bにおいて、第1のケーブル接続端子12B及び第1のVCT接続端子13B(第1接続端子)の端子取付部、並びに、第2のケーブル接続端子22B及びVCT接続端子23B(第2接続端子)端子取付部は、中心軸AXに関して対称的に配置されている。具体的には、ブッシング1Bにおいて、第1のケーブル接続端子12Bの端子取付部12Ba及び第2のケーブル接続端子22Bの端子取付部22Baは、中心軸AXに関して対称的に配置されており、第1のVCT接続端子13Bの端子取付部13Ba及び第2のVCT接続端子23Bの端子取付部23Baは、中心軸AXに関して対称的に配置されている。これにより、各端子が最も離れた位置に配置されるので、必要な端子間距離を容易に確保することができる。
【0057】
また、ブッシング1Bにおいて、第1のVCT接続端子13B(第1接続端子)は、ブッシング1Bの軸方向端部側から軸方向中央側に向かって延在し、第2のVCT接続端子23(第2接続端子)は、ブッシング1Bの軸方向中央側から軸方向端部側に向かって延在している。これにより、端子取付部の長さが抑制され、ブッシング1B及びブッシング1Bが取り付けられる機器の小型化を図ることができる。
【0058】
さらにブッシング1Bは、接続端子に関する技術的特徴として、以下の構成を有している。
すなわち、ブッシング1Bは、計器用変圧変流器用のブッシングであって、ケーブル導体111及びケーブル絶縁層112を有する絶縁ケーブル11と、絶縁ケーブル11の外側を覆う導体パイプ21Bと、導体パイプ21Bの外側を覆う第1の補強絶縁部30及び第2の補強絶縁部33(補強絶縁部)と、ケーブル導体111に電気的に接続される第1のケーブル接続端子12B及び第1のVCT接続端子13B(第1接続端子)と、導体パイプ21Bに電気的に接続される第2のケーブル接続端子22B及び第2のVCT接続端子23B(第2接続端子)と、第1のケーブル接続端子12B及び第1のVCT接続端子13B並びに第2のケーブル接続端子22B及び第2のVCT接続端子23Bを固定するケーブル側固定部材51及びVCT側固定部材52(固定部材)と、を備え、絶縁ケーブル11及び導体パイプ21Bにより、高圧電路から電流を引き込む第1通電経路10B、及び高圧電路に電流を帰還させる第2通電経路20Bが形成されている。ケーブル側固定部材51は、絶縁材料からなる絶縁部511と、絶縁部511と一体的に形成され第1のケーブル接続端子12B(第1接続端子)と機械的に接続される内側埋込金具512(第1剛性部)と、絶縁部511と一体的に形成され第2のケーブル接続端子22B(第2接続端子)と機械的に接続される外側埋込金具513(第2剛性部)と、を有する。VCT側固定部材52も同様に、絶縁材料からなる絶縁部511と、絶縁部511と一体的に形成され第1のVCT接続端子13B(第1接続端子)と機械的に接続される内側埋込金具512(第1剛性部)と、絶縁部511と一体的に形成され第2のVCT接続端子23B(第2接続端子)と機械的に接続される外側埋込金具513(第2剛性部)と、を有する。そして、内側埋込金具512及び外側埋込金具513は、絶縁材料よりも曲げ強度の高い材料で形成され、径方向に離間し、軸方向に重なるように配置されている。
具体的には、ブッシング1Bにおいて、内側埋込金具512(第1剛性部)及び外側埋込金具513(第2剛性部)は、円筒形状を有し、ブッシング1Bの中心軸AXに関して同心状に配置されている。
ブッシング1Bによれば、第1通電経路10Bとなるケーブル導体111と第2通電経路20Bとなる導体パイプ21Bが、絶縁ケーブル11のケーブル絶縁層112により絶縁されるので、空気絶縁の場合に比較して小型化(細径化)、軽量化を図ることができる。さらに、ブッシング1Bの端部に外力が付加されたときにケーブル側固定部材51及びVCT側固定部材52の内部に生じる応力が径方向において分散され、曲げ応力及びせん断応力が低減されるので、ブッシング1Bの信頼性が向上する。
【0059】
また、ブッシング1Bにおいて、内側埋込金具512(第1剛性部)及び外側埋込金具513(第2剛性部)は、それぞれの円筒部分の周面に、座ぐりを有している。これにより、内側埋込金具512及び外側埋込金具513と絶縁部511とのせん断強度が向上するとともに、界面距離が長くなり内部への水や空気の侵入を抑制することができる。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0061】
例えば、実施の形態では、絶縁ケーブル11及び導体パイプ21、21Bを、それぞれ第1通電経路10、10B、第2通電経路20、20Bとして利用しているが、絶縁ケーブル11を第2通電経路20、20B、導体パイプ21、21Bを第1通電経路として利用してもよい。
【0062】
また例えば、実施の形態では、気中―ガス中ブッシングについて説明したが、本発明は、気中―油中ブッシング、ガス中-ガス中ブッシング、油中-油中ブッシングに適用することもできる。ケーブル側がガス中又は油中に配置されるブッシングの場合、第1の補強絶縁部30は絶縁筒31とポリマー被覆体32の二重絶縁構造とする必要はなく、例えば第1の補強絶縁部30を絶縁筒31のみで形成(ポリマー被覆体32を備えない)し、第1の補強絶縁部30及び第2の補強絶縁部33をエポキシ樹脂でモールド成型したいわゆるエポキシブッシングであってもよいし、コンデンサー型であってもよい。
【0063】
また、第1の補強絶縁部30および/又は第2の補強絶縁部33をポリマー被覆体32の材料(例えばシリコーンポリマー)のみで形成してもよいし、第2の補強絶縁部33を、円筒状のエポキシ樹脂で形成した外周にゴム製のストレスコーンを装着することで形成してもよい。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B U相及びW相のブッシング
10,10B 第1通電経路
11 絶縁ケーブル
12,12B 第1のケーブル接続端子
13,13B 第1のVCT接続端子
20,20B 第2通電経路
21,21B 導体パイプ
22,22B 第2のケーブル接続端子
23,23B 第2のVCT接続端子
30 第1の補強絶縁部(補強絶縁部)
31 絶縁筒
32 ポリマー被覆体
33 第2の補強絶縁部(補強絶縁部)
12Ba、13Ba、22Ba、23Ba 端子取付部
12Bb、13Bb、22Bb、23Bb 固定部
A 計器用変圧変流器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7