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  • 特許-操作ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】操作ユニット
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220510BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/01 560
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020500793
(86)(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2018068640
(87)【国際公開番号】W WO2019011906
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102017115673.9
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】トラップ,ラルフ
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/148587(US,A1)
【文献】特表2018-536224(JP,A)
【文献】特開2016-95847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車載用部品、中でもMMI又はHMIを操作する車載用のデバイスの操作ユニットであって、
筐体(12)と、
タッチセンサー方式の操作面(16)及びタッチセンサーシステム(18)を備える操作素子(14)とを備え、
操作素子(14)が、静止位置から偏った後に上記静止位置に自動的に戻される目的で筐体(12)に弾性的に取り付けられており、
操作素子(14)の動きに応じた触覚的フィードバックの目的で操作素子(14)をその静止位置から機械的に励起させるためのアクチュエーター(24)と、
操作素子(14)の移動、及び/又は加速、及び/又は操作素子(14)に作用する力を検知するセンサー(26)と、
操作素子(14)のタッチセンサーシステム(18)のセンサー(26)からの信号を受け、操作素子(14)の動きに応じた触覚的フィードバックの目的で操作素子(14)を機械的に励起させるためのアクチュエーター(24)を制御する評価及び制御ユニット(22)とを備え、
操作面(16)へのタッチが感知されることなく、操作素子(14)の移動及び/又は加速及び/又は操作素子(14)に作用する力が検知された際に、評価及び制御ユニット(22)が、操作素子(14)の静止位置を維持するために、及び/又は操作素子(14)をその静止位置に戻すように、及び/又は操作素子(14)を固定するように、アクチュエーター(24)を制御することを特徴とする操作ユニット。
【請求項2】
操作素子(14)がタッチスクリーン又はタッチパッドである請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項3】
センサー(26)が、操作素子(14)の外部で、かつ操作素子(14)と結合する可動素子の外部に配置されている請求項1又は請求項2に記載の操作ユニット。
【請求項4】
センサー(26)が操作素子(14)に配置されている、又は操作素子(14)と共に動くように操作素子(14)に結合されている請求項1又は請求項2に記載の操作ユニット。
【請求項5】
アクチュエーター(24)が、ステーターと、操作素子(14)の機械的励起用のステーターに対して相対的に可動するアンカーとを持つ電磁石として構成されており、センサー(26)が、誘導されるコイル電圧の形式でアンカーの移動を感知するコイルとして構成されている請求項1又は請求項2に記載の操作ユニット。
【請求項6】
アクチュエーター(24)が、操作素子(14)の機械的励起用の少なくとも1つの圧電セラミック素子を備え、アクチュエーター(24)の制御から自由な動きをする場合に、圧電セラミック素子がセンサー(26)として働き、圧電セラミック素子の圧電効果の結果、発生する電圧として上記移動を感知する請求項1又は請求項2に記載の操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車載用部品、中でもMMI又はHMIを操作する車載用のデバイスの操作ユニットに関する。本発明は、特に触覚フィードバックを持つ操作ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンやタッチパッドといったタッチセンサー方式の操作面を持つ操作ユニットは、操作面の高い変化性と大きな操作快適性とを特徴とする。そのような操作ユニットは、操作者に操作ユニットの有効な動きをフィードバックするため、光学的、音響的又は触覚的に働くフィードバック機能を備える。特に触覚的フィードバック機能はますます一般的となっており、通常、例えば操作面の有効な動きを検知するために役立つ力センサーやパスセンサーによって操作面の最小の偏りを検知できる力覚的特徴を伴う(例えばWO-A-2016/135425及びWO-A-2016/012277参照)。
【0003】
触覚フィードバックを持つ操作ユニットは、操作面又は操作素子それぞれがタッチセンサー式の操作面に弾性的に取り付けられ、触覚的フィードバックのために機械的に励起される振動システムとしてしばしば構成される。機械的励起は、例えば張力アンカー電磁石の形態で、振動システムの一部ともなるアクチュエーターによって実行される。
【0004】
弾性的に吊るされた振動システムは、特に運転中の車両に作用する振動といった外的励起による振動を取り込む傾向にある。これは、外乱ノイズを引き起こし、欠点となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、弾性的に吊るされた振動システムの意図しない外的励起による振動が大きく抑制される程度まで、触覚フィードバックを持つ操作ユニットを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、本発明の目的は、特に車載用部品、中でもMMI又はHMIを操作する車載用のデバイスの操作ユニットにより達成され、
-筐体と、
-タッチセンサー方式の操作面及びタッチセンサーシステムを備える操作素子とを備え、
-操作素子が、静止位置から偏った後に上記静止位置に自動的に戻される目的で筐体に弾性的に取り付けられており、
-操作素子の動きに応じた触覚的フィードバックの目的で操作素子をその静止位置から機械的に励起させるためのアクチュエーターと、
-操作素子の移動、及び/又は加速、及び/又は操作素子に作用する力を検知するセンサーと、
-操作素子のタッチセンサーシステムのセンサーからの信号を受け、操作素子の動きに応じた触覚的フィードバックの目的で操作素子を機械的に励起させるためのアクチュエーターを制御する評価及び制御ユニットとを備え、
-これらの場合の操作面へのタッチが感知されることなく、操作素子の移動及び/又は加速及び/又は操作素子に作用する力が検知された際に、評価及び制御ユニットが、操作素子の静止位置を維持するために、及び/又は操作素子をその静止位置に戻すように、及び/又は操作素子を固定するように、アクチュエーターを制御する。
【0007】
本発明によれば、操作ユニットは、タッチセンサーシステムを有するタッチセンサー型操作面を備える操作素子がその内部及び/又はそれ自体に配設されている筐体を備える。操作素子は、静止位置から偏った後に上記静止位置に自動的に戻される目的で筐体内部及び/又は筐体自体に弾性的に取り付けられている。操作素子が操作された時、又は操作素子の有効な移動が操作面へのタッチの検知と同時に検知された時に、操作素子は、触覚的フィードバックの目的でアクチュエーターによる機械的励起を用いてその静止位置から移動される。
【0008】
本発明によれば、操作ユニットは、操作面がタッチされていない操作素子の移動及び/又は加速及び/又は操作素子に作用する力を検知する(操作素子の外的励起の検出)センサーを備える。このセンサーは、操作素子のタッチセンサーシステムからの信号をさらに受ける評価及び制御ユニットへ測定信号を提供する。操作素子の有効な働きの検出時には、評価及び制御ユニットは、触覚的フィードバックの目的で操作素子を機械的に励起するようにアクチュエーターを制御する。この制御は、タッチセンサーシステムにより提供される信号(操作面へのタッチの検出時のみの操作素子の有効な働き又は機械的励起)に依存して行うことができる。
【0009】
本発明によれば、上記評価及び制御ユニット又は別に実装されたユニットが、操作素子の静止位置を維持する及び/又は静止位置に操作素子を戻すようにアクチュエーターを制御するために、操作面へのタッチが同時に感知されていない操作素子の移動及び/又は操作素子に作用する加速及び/又は操作素子に作用する力を利用することに適用される。もし例えば操作ユニットの振動システムが、操作ユニットに作用する振動のため意図せず外的に励起されたとすれば、本発明によれば、アクチュエーターはこの外的に励起された振動システムの移動に対して即座に働く、つまりアクチュエーターは、既に最小の偏りが発生した時点で、操作素子をその静止位置に維持又は転送する。従って、振動システムが“増幅する”ことはあり得ず、つまり意図しない振動ノイズの発達を抑止する。
【0010】
本発明によって提供される外的励起による操作素子の移動を検知するセンサーは、力センサーに加えて提供される部品とすることができる。力センサーは、操作面がタッチされた時の操作素子に対する力の作用の検知に役立つ。もし上記力センサー及びタッチセンサーシステムが反応したとすれば、これは操作素子が操作されたことという示唆となる。
【0011】
上述した2つのセンサーは、同じ動作原理に従って、つまり抵抗的に、容量的に、電磁誘導的に、あるいは光学的に働くことも、異なる動作原理に従って働くこともできる。
【0012】
本発明の有利な別の形態として、操作素子がタッチスクリーン又はタッチパッドであることが挙げられる。
【0013】
さらに、有利な点として、センサーが操作素子の外部で、かつ操作素子と結合する可動素子の外部に配置されていること、又はセンサーが操作素子に配置されているか、操作素子と共に動くように操作素子に結合されていることが挙げられる。
【0014】
本発明の好ましい別の形態として、アクチュエーターが、ステーターと、操作素子の機械的励起用のステーターに対して相対的に可動するアンカーとを持つ電磁石として構成されており、センサーが、誘導されるコイル電圧の形式でアンカーの移動を感知するコイルとして構成されていることが挙げられる。センサーとして適用されるコイルは、例えば電磁石の励起コイル、又は例えば電磁石のアンカーやステーターにあって別の測定コイルとすることができる。
【0015】
本発明のさらに有利な形態として、アクチュエーターが、操作素子の機械的励起用の少なくとも1つの圧電セラミック素子を備え、アクチュエーターの制御から自由な動きをする場合に、圧電セラミック素子がセンサーとして働き、圧電セラミック素子の圧電効果の結果、発生する電圧として上記移動を感知することが挙げられる。
【0016】
以下に、本発明について、代表的な形態によって、また図面を参照してさらに詳細に記載する。図は、触覚的フィードバックと力センサーとを持つ操作素子を備える操作ユニットを概略的に示している。
【0017】
ディスプレイやタッチパッドといったタッチ式操作素子は、機能の作動やアクティブなタッチ面の位置の付加的なフィードバックをユーザーに提供するために、今日、しばしば触覚的フィードバックを備える。特にドライバーの注意散漫をできる限り低く維持したい自動車産業で、そのようなシステムは、作動力の検知を組み合わせて部分的に適用されている。触覚的フィードバックは、通常タッチ面の振動により実現されている。この目的のため、タッチ面は、デバイスの残りの部分に対して移動可能に取り付けられていなければならない。対応する電気制御を持つ電磁石やピエゾ部品といったアクティブ素子は、タッチ面を所望の方向へ偏らせる。戻りバネがその表面を初期位置に戻す。この動きは、しばしば受動的なダンピング素子によって弱められる。従って、システム全体が振動することができる。そのジオメトリと接地とに依存して、そのようなシステムは共振周波数を有する。もしシステムが例えば車両の移動や振動によってこの周波数付近で外的に励起されたとすると、その移動が増幅し、タッチ面の意図しない振動が生じる場合がある。これは意図しないノイズ生成を伴う。
【0018】
この発明の主題は、上述の効果を最小化又は抑止する機構である。システム全体の外的励起に対する反応は、外的励起が検知されたときにのみ可能である。これは、加速又は移動センサーの形態の付加的なセンサー、又はフィードバックの場合に意図的な表面の移動に役立つ駆動素子によって実現することができる。後者の場合、もし電磁石が用いられるなら、例えば浸漬コイル原理に従って、コイル電圧が測定されなければならない。
【0019】
磁石とコイルとの相対移動は、誘導されるコイル電圧によって外的励起を検出することを可能とする。タッチ面の偏りを大きさと位相とによって知ることができれば、外的励起は表面の意図的な偏りに役立つアクチュエーターの適当な(例えば逆相での)制御によって弱めるあるいは補償することができる。付加的な加速又は移動センサーは、システム全体の固定された部分にも、可動部分にも組み込むことができる。後者の場合、システムの力学の知識によって可動部分の位相位置を計算し、対応してアクチュエーターをコントロールする制御が必要である。
【0020】
図面による代表的な形態を参照すると、操作ユニット10は、その上、そこ又はその中に操作面16と18で示されるタッチセンサーシステムとを持つ操作素子14が配置されている筐体12を備える。この代表的な形態では、操作素子14は、例えばタッチスクリーンとして設計されている。
【0021】
図に概略的に示されているように、操作素子14は水平方向又は垂直方向に弾性的に取り付けることができる。操作力が操作素子14の操作面に加えられると、操作素子14は、少し偏り、その偏りは操作センサー20によって検知される。タッチは、タッチセンサーシステム18によって感知される。両方の信号は、評価及び制御ユニットの入力となり(また、任意条件として操作センサー20が、操作素子14のかなり大きな機械的衝撃を感知する)、評価及び制御ユニット22は、その一部で操作素子14に機械的に結合しているアクチュエーター24を制御し、操作素子を振動させるか、少なくとも移動の原因を及ぼす。これは、自身が所望の機能を実行するため規定された方法で操作素子14を操作したというユーザーへの触覚的フィードバックに役立つ。
【0022】
しかし、弾性的に吊るされた操作素子14はまた、外部から操作ユニット10に作用する力によって外的に励起されたときに意図せず機械的に振動する。ここで、そのような外的励起の原因は、例えば運転中の車両に作用する振動である。
【0023】
本発明によれば、さらなるセンサー26が今度は操作素子14がそのような外的励起によって動くことを抑止することに役立ち、上記センサーは、外的に励起された時に操作素子14が振動させられ得る方向に敏感である。評価及び制御ユニット22で、今度はセンサー26の信号は、アクチュエーターが操作素子14を外的励起に対して逆相で、操作素子14が理想的にその静止位置に維持されるように励起する目的で、アクチュエーター24の位相精度を制御するために評価される。もしセンサー26も操作素子14の有効な働きを感知したとすれば、あるいはもしセンサー26が操作センサー20と逆に結合していれば、タッチセンサーシステム18の評価が、外的励起の検知に加えて必要となる。外的励起の場合、タッチセンサーシステム18は、操作素子14の操作面16へのタッチを感知する可能性は低い。
【符号の説明】
【0024】
10 操作ユニット
12 筐体
14 操作素子
16 操作面
18 タッチセンサーシステム
20 操作センサー
22 制御ユニット
24 アクチュエーター
26 センサー
図1