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特許7069293エネルギー貯蔵システム(ESS)のバッテリーとパワー管理装置との間のCAN通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システム(ESS)のバッテリーとパワー管理装置との間のCAN通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 13/00 20060101AFI20220510BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20220510BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220510BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H04L13/00
H04L12/28 100A
H01M10/48 301
H01M10/48 P
H01M10/42 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020503719
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 KR2018009074
(87)【国際公開番号】W WO2019088413
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-01-23
(31)【優先権主張番号】10-2017-0144789
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ソ・パク
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-539714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 13/00
H04L 12/28
H01M 10/48
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
11ビットで表わされるCAN IDを用いて、バッテリーとパワー管理装置との間でCAN通信を行う方法において、
前記CAN IDは、
前記CAN IDの8番目~10番目のビットを用途区切り用に割り当てる第1のビット割当て過程と、
前記CAN IDの4番目~7番目のビットを対象区切り用に割り当てる第2のビット割当て過程と、
前記CAN IDの0番目~3番目のビットをデータ数区切り用に割り当てる第3のビット割当て過程と、
を含んで生成され、
前記第1のビット割当て過程は、
前記用途区切り用に割り当てられた8番目~10番目のビットを所定の範囲を有する二つ以上の領域に分割する用途区切り用ビット領域分割ステップと、
前記用途区切り用ビット領域分割ステップにおいて分割された所定の範囲を有する二つ以上の領域のそれぞれに対応する用途を付与する用途付与ステップと、
を含んでなり、
前記用途付与ステップにおいて付与される用途は、
伝送頻度に基づいて付与されるか、あるいは、データが送受信される領域に基づいて付与され、
前記第2のビット割当て過程は、
前記対象区切り用に割り当てられた4番目~7番目のビットを所定の範囲を有する二つ以上の領域に分割する対象区切り用ビット領域分割ステップと、
前記対象区切り用ビット領域分割ステップにおいて分割された所定の範囲を有する二つ以上の領域のそれぞれに対応するデータ伝送対象を付与する対象付与ステップと、
を含んでなり、
前記伝送頻度に基づいて付与される用途は、
周期的なデータ伝送用途と、
使い捨て性のデータ伝送用途と、
のうちのどちらか一方以上に設定され、
データが送受信される領域の範囲に基づいて付与される用途は、
バッテリーシステムと電源管理装置との間において送受信される外部データ通信用途と、
バッテリーシステムの内部において送受信される内部データ通信用途と、
のうちのどちらか一方に設定されており、
前記周期的なデータ伝送用途に伝送されるデータは、
パワー管理装置の一般データと、
バッテリーシステムの一般データと、
個別バッテリーの一般データと、
のうちのいずれか一つ以上を含み、
前記使い捨て性のデータ伝送用途に伝送されるデータは、
バッテリーの動作を中断する中断データと、
バッテリーのモードを変更するモード変更データと、
バッテリーセルの温度、電圧、電流のうちのいずれか一つ以上の情報を含むバッテリー情報データと、
バッテリーセル間のバランシングデータと、
個別のバッテリーのバージョンまたはタイプデータと、
バッテリーシステムのバージョンまたはタイプデータと、
のうちのいずれか一つ以上を含むことを特徴とするCAN通信方法。
【請求項2】
前記対象付与ステップにおいて付与される対象は、
伝送されるデータが含んでいる情報に対応する対象を表わすことを特徴とする請求項1に記載のCAN通信方法。
【請求項3】
前記第1のビット割当て過程及び第2のビット割当て過程により生成されるCAN IDのそれぞれは、最大で16個のデータを伝送することを特徴とする請求項1又は2に記載のCAN通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵システム(ESS)のバッテリーとパワー管理装置との間のCAN通信方法に関する。
【0002】
本発明は、エネルギー貯蔵システム(ESS)のバッテリーとパワー管理装置との間のCAN通信方法において、CAN IDを使い分ける方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN:Controller Area Network)は、図1に示すように、CANバス1に複数の電子制御ユニット(ECU)10を並列に接続して電子制御ユニット(ECU)10の間においてCANメッセージを送受できるようにした通信方法である。
【0004】
すなわち、それぞれの電子制御ユニット(ECU)10は、自分が有しているCANメッセージを他の電子制御ユニット(ECU)10に送り続け、且つ、相手方の電子制御ユニット(ECU)10から送られてくるCANメッセージをプライオリティに基づいて受け取って処理する方式で多量の情報を共有する。
【0005】
ここで、それぞれの電子制御ユニット(ECU)10がCANバス1に接続されてCANメッセージが送受信可能なCANノードに設定されるためには、CANコントローラー12を介してCANバス1に接続されなければならない。
【0006】
このとき、CANコントローラー12は、多数のID値及びIDマスク値を有し、これらの組み合わせに基づいて決定されるCANメッセージのみがCANバス1にそれぞれのCANコントローラー12を介して接続されている他の電子制御ユニット(ECU)10に転送可能である。
【0007】
言い替えれば、CAN通信は、リアルタイムにてメッセージ通信を行うことが可能であり、プライオリティに基づいて情報を処理することができ、設定されたID値に相当するメッセージのみをフィルターリングして受信することができるというメリットがある。
【0008】
しかしながら、かようなCAN通信には、パワー管理装置ごとにバッテリーとパワー装置との間の通信プロトコールが異なるが故に、パワー管理装置ごとに通信プロトコールを開発せねばならないという不具合があった。
【0009】
したがって、本発明においては、バッテリーとパワー管理装置との間においてCAN通信を行うに当たって、規格化した通信プロトコールを提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、CAN通信を行うに当たって、規格化した通信プロトコール方法を提供する。
【0011】
より具体的に、CAN通信IDごとに領域を割り当ててCAN通信のIDを規格化させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態に係るCAN通信方法は、前記CAN IDのビット(ID 8~ID 10)を用途区切り用に割り当てる第1のビット割当て過程、前記CAN IDのビット(ID 4~ID 7)を対象区切り用に割り当てる第2のビット割当て過程、及び、前記CAN IDのビット(ID 0~ID 3)をデータ数区切り用に割り当てる第3のビット割当て過程により生成されてもよい。
【0013】
一方、前記用途区切り用に割り当てる第1のビット割当て過程は、前記用途区切り用に割り当てられた3ビット(ID 8~ID 10)を所定の範囲を有する二つ以上の領域に分割する用途区切り用ビット領域分割ステップ、及び、前記用途区切り用ビット領域分割ステップにおいて分割された所定の範囲を有する二つ以上の領域のそれぞれに対応する用途を付与する用途付与ステップを含んでなってもよい。
【0014】
一方、前記用途付与ステップにおいて付与される用途は、データを伝送する頻度に基づいて付与されてもよく、あるいは、データが送受信される領域に基づいて付与されてもよい。
【0015】
例えば、前記伝送頻度に基づいて付与される用途は、周期的なデータ伝送用途と、使い捨て性のデータ伝送用途と、のうちのどちらか一方以上に設定され、前記データが送受信される領域の範囲に基づいて付与される用途は、バッテリーシステムと電源管理装置との間において送受信される外部データ通信用途と、バッテリーシステムの内部において送受信される内部データ通信用途と、のうちのどちらか一方に設定されてもよい。
【0016】
一方、前記周期的なデータ伝送用途に伝送されるデータは、パワー管理装置の一般データと、バッテリーシステムの一般データと、個別バッテリーの一般データと、のうちのいずれか一つ以上を含み、前記使い捨て性のデータ伝送用途に伝送されるデータは、バッテリーの動作を中断する中断データと、バッテリーのモードを変更するモード変更データと、バッテリーセルの温度、電圧、電流のうちのいずれか一つ以上の情報を含むバッテリー情報データと、バッテリーセル間のバランシングデータと、個別のバッテリーのバージョンまたはタイプデータと、バッテリーシステムのバージョンまたはタイプデータと、のうちのいずれか一つ以上を含んでなってもよい。
【0017】
一方、前記用途付与ステップにおいて付与される用途は、バッテリーシステムと電源管理装置との間において送受信されるデータ通信用途またはバッテリーシステムの内部において送受信されるデータ通信用途のうちのどちらか一方に設定されてもよい。
【0018】
一方、前記対象区切り用に割り当てる第2のビット割当て過程は、前記対象区切り用に割り当てられた4ビット(ID 4~ID 7)を所定の範囲を有する二つ以上の領域に分割する対象区切り用ビット領域分割ステップ、及び、前記対象区切り用ビット領域分割ステップにおいて分割された所定の範囲を有する二つ以上の領域のそれぞれに対応する対象を付与する対象付与ステップを含んでなってもよい。
【0019】
より具体的に、前記対象付与ステップにおいて付与される対象は、伝送されるデータが含んでいる情報に対応する対象を表わしてもよい。
【0020】
一方、前記データ数区切り用に割り当てる第3のビット割当て過程は、前記用途区切り用に割り当てられたビット及び前記対象区切り用に割り当てられたビットにより生成されるCAN IDのそれぞれは、最大で16個のデータを伝送してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、CAN通信において規格化した通信プロトコールを用いることにより、バッテリー及びパワー管理システムごとにCAN通信プロトコールを設定する煩雑さを低減させることができる。
【0022】
また、本発明は、CAN通信プロトコールを規格化させることにより、たとえバッテリーの数を拡張させたとしても、既存のCAN通信プロトコールを用いてCAN通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】通常のCAN通信を説明するための図である。
図2】本発明の実施形態に係るCAN IDの構造を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るCAN通信方法の流れを示す手順図である。
図4】本発明の実施形態に係るCAN通信方法をより具体的に示す手順図である。
図5】本発明の実施形態に係るCAN通信方法をより具体的に示す手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施の形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施の形態に限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0025】
「第1の」、「第2の」などのように序数を含む言い回しは、様々な構成要素を説明するうえで使用可能であるが、前記構成要素は、前記言い回しによって何等限定されない。前記言い回しは、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でしか使えない。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内において第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてもよく、同様に、第2の構成要素もまた第1の構成要素と命名されてもよい。本出願において用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。
【0026】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「連結」されているとか、「接続」されているとか、と言及された場合に、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結されたり接続されたりすると理解されるべきであるか、または、新たな他の構成要素を介して連結されたり接続されたりすると理解されるべきである。なお、ある部分がある構成要素を「備える(含む)」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいことを意味する。本願の明細書の全般に亘って用いられる度合いの言い回しである「~(する)ステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0027】
本発明において用いられる用語としては、本発明における機能を考慮しつつ、できる限り現在汎広く用いられている一般的な用語を選択したが、これは、当分野に携わっている技術者の意図又は判例、新たな技術の出現などによって異なる。なお、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合に、当該する発明の説明の部分の欄において詳しくその意味を記載する。よって、本発明において用いられる用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般に亘っての内容を踏まえて定義されるべきである。
【0028】
1.本発明の実施形態に係るCAN通信方法。
本発明の実施形態に係るCAN通信方法は、所定のビットで表わされるCAN IDを用いてCAN通信を行うに当たって、前記所定のビットで表わされるCAN IDは、前記CAN IDのN番目~M番目のビットを用途区切り用に割り当てる第1のビット割当て過程(S100)、前記CAN IDのO番目~P番目のビットを対象区切り用に割り当てる第2のビット割当て過程(S200)、及び、前記CAN IDのQ番目~R番目のビットをデータ数区切り用に割り当てる第3のビット割当て過程(S300)を含んで生成されてもよい。
【0029】
このとき、前記N、M、O、P、Q、Rは、R>Q、P>O、M>N、N>P、O>Rの関係を満たしていてもよい。
【0030】
図3は、本発明の実施形態に係るCAN通信方法の全体的な流れを示すフローチャートである。
【0031】
以下では、図2に基づいて、標準のCAN通信において用いられる、11ビットで表わされるCAN IDを例にとって説明する。
【0032】
言い替えれば、標準のCAN通信において用いられる、11ビット(ID 0~ID 10)で表わされるCAN IDは、前記CAN IDのID 8~ID 10ビットを用途区切り用に割り当てる第1のビット割当て過程(S100)、前記CAN IDのID 4~ID 7ビットを対象区切り用に割り当てる第2のビット割当て過程(S200)、及び、前記CAN IDのID 0~ID 3ビットをデータ数区切り用に割り当てる第3のビット割当て過程(S300)により生成されてもよい。
【0033】
一方、本発明の実施形態においては、11ビットで表わされるCAN通信(標準のCAN通信)についてのみ説明しているが、本発明は、標準のCAN通信だけではなく、11ビットに加えて他のビットで表わされる拡張CAN通信(29ビットで表わされる)などにおいても使用可能である。
【0034】
一方、前記第1のビット割当て過程(S100)は、前記用途区切り用に割り当てられた3ビット(CAN IDのID 8~ID 10ビット)を所定の範囲を有する二つ以上の領域に分割する用途区切り用ビット領域分割ステップ(S110)、及び、前記用途区切り用ビット領域分割ステップにおいて分割された所定の範囲を有する二つ以上の領域のそれぞれに対応する用途を付与する用途付与ステップ(S120)を含んでなってもよい。
【0035】
一方、前記用途付与ステップ(S120)において付与される用途は、データの伝送頻度に基づいて付与されてもよく、あるいは、データが送受信される領域に基づいて付与されてもよい。
【0036】
例えば、前記伝送頻度に基づいて付与される用途は、周期的なデータを伝送する用途である周期的な用途と、使い捨て性のデータを伝送する用途である使い捨て性用途とのうちのどちらか一方以上に設定されてもよい。
【0037】
そして、前記データが送受信される領域に基づいて付与される用途は、バッテリーシステムと電源管理装置との間において送受信される外部データ通信用途またはバッテリーシステムの内部において送受信される内部データ通信用途に設定されてもよい。
【0038】
一方、前記周期的なデータ伝送用途に伝送されるデータは、パワー管理装置の一般データ、バッテリーシステムの一般データ、及び、個別のバッテリーの一般データのうちのどちらか一つ以上を含み、前記使い捨て性のデータ伝送用途に伝送されるデータは、バッテリーの動作を中断する中断データ、バッテリーのモードを変更するモード変更データ、バッテリーセルの温度、電圧、電流のうちのいずれか一つ以上の情報を含むバッテリー情報データ、バッテリーセル間のバランシングデータ、個別のバッテリーのバージョンまたはタイプデータ、バッテリーシステムのバージョンまたはタイプデータのうちのいずれか一つ以上を含んでなってもよい。
【0039】
一方、前記用途付与ステップ(S120)においてデータが送受信される領域に基づいて付与される用途は、バッテリーシステムと電源管理装置との間において送受信されるデータ通信用途またはバッテリーシステムの内部において送受信されるデータ通信用途のうちのどちらか一方に設定されてもよい。
【0040】
一方、前記第2のビット割当て過程(S200)は、前記対象区切り用に割り当てられた4ビット(CAN IDのID 4~ID 7ビット)を所定の範囲を有する二つ以上の領域に分割する対象区切り用ビット領域分割ステップ(S210)、及び前記対象区切り用ビット領域分割ステップにおいて分割された所定の範囲を有する二つ以上の領域のそれぞれに対応する対象を付与する対象付与ステップ(S220)を含んでいてもよい。
【0041】
より具体的に、前記対象付与ステップ(S220)において付与される対象は、伝送されるデータが含んでいる情報に対応する対象を表わしてもよい。
【0042】
例えば、マスターバッテリーからパワー管理システムへと個別のユニットバッテリーの情報を一括して伝送する場合に、パワー管理システムにおいては、前記対象付与ステップにおいて付与される対象を区切ってどのようなユニットバッテリーに関するデータであるかを確認することができる。
【0043】
一方、前記データ数区切り用に割り当てる第3のビット割当て過程(S300)においては、前記用途区切り用に割り当てられたビット及び前記対象区切り用に割り当てられたビットにより生成されるCAN IDのそれぞれは、最大で16個のデータを伝送してもよい。
【0044】
一方、以下では、上述した各ステップ及び各過程について実際のデータを例にとって説明する。
【0045】
図2は、CAN通信において用いられる11ビットのCAN通信IDを示す図である。
【0046】
図2を参照すると、CAN通信において用いられる標準のCAN IDは、(0b 000 0000 0000)の形で表わすことができる。(0bは、2進法(バイナリー)の数であることを表わすものであり、このとき、2進法のCAN通信IDは、11ビット(ID 0~ID 10)で表わされ得る。)
【0047】
一方、前記11ビットのCAN IDを16進数で表わすと、(0x0 0 0)の形で表わすことができる。このとき、0xは、16進法の数であることを表わすものである。
【0048】
したがって、11ビットのCAN IDは、(0x0 0 0)の形の16進法で表わすことができる。
【0049】
このように、11ビットのCAN通信IDを16進法で表わすことは、内容の可読性を高めるためである。
【0050】
表1は、11ビットの大きさを有するCAN IDのID 8~ID 10ビット(16進数の最初のビット)を用途用に割り当てた表である。
【0051】
表2は、11ビットの大きさを有するCAN IDのID 4~ID 7ビット(16進数の2番目のビット)を対象用に割り当てた表である。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
前記表1を参照すると、0x001から0x7EFまでを合計で8個の範囲に分けている。先ず、0x200~0x2FF範囲内のCAN IDは、パワー管理装置とマスターバッテリーシステムとの間において周期的にまたは使い捨て性でデータを伝送する通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0055】
一方、0x300~0x3FFの範囲内のCAN IDは、パワー管理装置と個別のバッテリーシステムとの間において使い捨て性でデータを伝送する通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0056】
一方、0x400~0x4FF範囲内のCAN IDは、パワー管理装置と個別のバッテリーシステムとの間において周期的にデータを伝送する通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0057】
一方、0x500~0x5FF範囲内のCAN IDは、マスターバッテリーシステムと個別のバッテリーシステムとの間において周期的にまたは使い捨て性でデータを伝送する通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0058】
一方、0x700~0x7EF範囲内のCAN IDは、バッテリー開発者向けの範囲であり、バッテリーの生産ラインまたは更新用に用いられてもよく、顧客社に対応してバッテリーの内部において使い捨て性でデータを伝送する通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0059】
一方、0x001~0x1FF範囲内のCAN IDと0x600~0x6FF範囲内のCAN IDは、余裕の割当て空間として残しておいてもよい。
【0060】
一方、前記表2を参照すると、表2は、前記表1において8個に分けられたそれぞれの範囲内において再びデータが伝送される対象者に応じて所定の領域に分割されてもよい。
【0061】
言い替えれば、前記0x200~0x2FF範囲内のCAN IDは、パワー管理装置とマスターバッテリーシステムとの間において周期的にまたは使い捨て性でデータを伝送する通信プロトコールに用いられるように割り当てられているが、この範囲をさらに細かく分けて、0x200~0x20F範囲は、パワー管理装置からマスターバッテリーシステムへと使い捨て性のリクエスト信号を送る通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0062】
一方、0x210~0x29F範囲は、パワー管理装置からマスターバッテリーシステムへと周期的にパワー管理装置のデータ信号を送る通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0063】
一方、0x2A0~0x2FF範囲は、マスターバッテリーシステムからパワー管理装置へと周期的にマスターバッテリーシステムのデータ信号を送る通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0064】
一方、0x300~0x3FF範囲は、互いに同一の範囲を有する16個の領域に分割され、前記それぞれの領域は、前記それぞれの領域に割り当てられている個別のバッテリーシステムからパワー管理装置へと使い捨て性で個別のバッテリーシステムのそれぞれのデータ信号を送る通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0065】
一方、0x400~0x4FF範囲は、互いに同一の範囲を有する16個の領域に分割され、前記それぞれの領域は、前記それぞれの領域に割り当てられている個別のバッテリーシステムまたはマスターバッテリーからパワー管理装置へと周期的に個別のバッテリーシステムのそれぞれのデータ信号を送る通信プロトコールに用いられるように割り当てられてもよい。
【0066】
上述した内容をまとめると、11ビットの大きさを有するCAN通信IDは、合計で8種類の用途区切り子を設定してもよく、前記用途区切り子のそれぞれごとに16種類の対象区切り子を含めて構成し、前記対象区切り子のそれぞれごとに16個のデータを伝送してもよい。
【0067】
したがって、CAN通信において用いられるCAN IDが範囲別に割り当てられていることから、CAN通信に際してランダムにてCAN IDが発給されて体系的な管理を行い難かったという従来の問題を解決することができる。
【0068】
言い替えれば、従来より用いられてきたバッテリーシステム及びパワー管理システムにおいてバッテリーシステムに新たなバッテリーが追加される場合に、新たに追加されるバッテリーにランダムにてCAN IDが割り当てられ、これをパワー管理システムにおいて認識するためには、パワー管理装置において自ら通信プロトコールを設定しなければならないという煩雑さがあったが、上述した規格化したCAN通信プロトコールを用いる場合には、既に割り当てられているCAN IDを用いることから、別途にパワー管理装置を設定する必要がない。
【0069】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0070】
1 CANバス
10 電子制御ユニット
12 CANコントローラー
S100 第1のビット割当て過程
S110 用途区切り用ビット領域分割ステップ
S120 用途付与ステップ
S200 第2のビット割当て過程
S210 対象区切り用ビット領域分割ステップ
S220 対象付与ステップ
S300 第3のビット割当て過程
図1
図2
図3
図4
図5