(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】時分割二重化方式を用いる分散アンテナシステムのTDDサブ-システムおよびTDDサポート方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/022 20170101AFI20220510BHJP
H04L 5/14 20060101ALI20220510BHJP
H04L 7/06 20060101ALI20220510BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20220510BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20220510BHJP
【FI】
H04B7/022
H04L5/14
H04L7/06
H04W16/26
H04W56/00 110
(21)【出願番号】P 2020515021
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 KR2018010115
(87)【国際公開番号】W WO2019066276
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127964
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0040264
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516083818
【氏名又は名称】ケイエムダブリュ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】KMW INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ミン アン
(72)【発明者】
【氏名】ミン ソン ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソク ジン リ
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-001636(JP,A)
【文献】特表2016-507987(JP,A)
【文献】国際公開第2016/161438(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/101642(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207871(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/022
H04L 5/14
H04L 7/06
H04W 16/26
H04W 56/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散アンテナシステムのTDDサブ-システムであって、
複数の基地局の中から選択された一つの基地局から受信されるTDDダウンリンク信号からTsync基準信号を検出する基準信号検出モジュールを備え、
前記Tsync基準信号は、ダウンリンク時間区間に対応するハイ状態を有し、アップリンク時間区間に対応するロー状態を有し、
前記分散アンテナシステムのTDDサブ-システムは、さらに
前記TDDダウンリンク信号と関連付けられたアップリンク/ダウンリンク構成情報に基づいて前記Tsync基準信号に対する有効性検証を行い、前記有効性を検証した場合には、前記Tsync基準信号を、前記有効性を検証できなかった場合には、既に保存されたTsync基準信号をTDDスイッチング制御のためのTDD同期信号として出力する複製モジュールと、
前記Tsync基準信号が前記ロー状態から前記ハイ状態に遷移する立ち上がりエッジ間の間隔の変動値である自己遅延を検出し、検出された自己遅延が既設定の第1の臨界範囲を超えた場合に、アラームを提供する信号遅延自己検出モジュールと、
前記TDD同期信号の立ち上がりエッジと他の基地局のTDDダウンリンク信号の立ち上がりエッジとの間の差である遅延偏差を検出し、検出された遅延偏差が既設定の第2の臨界範囲を超えた場合に、アラームを提供する基地局信号遅延検出モジュールと、
を備えることを特徴とする分散アンテナシステムのTDDサブ-システム。
【請求項2】
前記複製モジュールは、
前記Tsync基準信号のロー状態及びハイ状態を既設定の解像度単位でカウントして、前記立ち上がりエッジ間の間隔を検出し、検出された間隔が前記アップリンク/ダウンリンク構成情報に符合しない場合、前記有効性が検証できなかったものと判断することを特徴とする請求項1に記載の分散アンテナシステムのTDDサブ-システム。
【請求項3】
前記複製モジュールは、
前記有効性検証結果をもとに、前記アップリンク/ダウンリンクの構成情報との符合如何についてのアラーム情報を提供することを特徴とする請求項2に記載の分散アンテナシステムのTDDサブ-システム。
【請求項4】
前記複製モジュールは、
前記Tsync基準信号に対する有効性を検証した場合、前記Tsync基準信号のレプリカを格納することを特徴とする請求項1に記載の分散アンテナシステムのTDDサブ-システム。
【請求項5】
前記既に保存されたTsync基準信号は、
前記複製モジュールに受信された以前のTsync基準信号のうちの有効性が検証されたTsync基準信号に対するレプリカであることを特徴とする請求項1に記載の分散アンテナシステムのTDDサブ-システム。
【請求項6】
前記信号遅延自己検出モジュールは、
前記Tsync基準信号
が前記ロー状態から前記ハイ状態に遷移する立ち上がりエッジ間の間隔を既設定の解像度単位で決定し、決定された立ち上がりエッジ間の間隔をTDDフレームの周期と比較した比較結果を基に検出される遅延差が前記第1の臨界範囲から外れる場合、前記アラームを提供することを特徴とする請求項1に記載の分散アンテナシステムのTDDサブ-システム。
【請求項7】
前記基地局信号遅延検出モジュールは、
前記TDD同期信号の立ち上がりエッジポイントを基準に所定区間を検出範囲として選定し、前記検出範囲の間のキャプチャされる前記他の基地局の信号のIQデータから検出される電力を基に、前記他の基地局の信号に相応するTDD同期信号を検出し、前記TDD同期信号及び前記他の基地局のTDD同期信号との間の遅延偏差が前記第2の臨界範囲から外れる場合、前記アラームを提供することを特徴とする請求項1に記載の分散アンテナシステムのTDDサブ-システム。
【請求項8】
分散アンテナシステムのTDDサポート方法において、
複数の基地局の中から選択された一つの基地局から受信されるTDDダウンリンク信号からTsync基準信号を検出する過程を備え、
前記Tsync基準信号は、ダウンリンク時間区間に対応するハイ状態を有し、アップリンク時間区間に対応するロー状態を有し、
前記TDDサポート方法は、さらに
前記TDDダウンリンク信号と関連付けられたアップリンク/ダウンリンク構成情報に基づいて前記Tsync基準信号に対する有効性検証を行い、前記有効性を検証した場合には、前記Tsync基準信号を、前記有効性を検証できなかった場合には、既に保存されたTsync基準信号をTDDスイッチング制御のためのTDD同期信号として出力する過程と、
前記Tsync基準信号が前記ロー状態から前記ハイ状態に遷移する立ち上がりエッジ間の間隔の変動値である自己遅延を検出し、検出された自己遅延が既設定の第1の臨界範囲を超えた場合に、アラームを提供する過程と、
前記TDD同期信号の立ち上がりエッジと他の基地局のTDDダウンリンク信号の立ち上がりエッジとの間の差である遅延偏差を検出し、検出された遅延偏差が既設定の第2の臨界範囲を超えた場合に、アラームを提供する過程と、
を備えることを特徴とするTDDサポート方法。
【請求項9】
前記有効性検証結果をもとに、前記アップリンク/ダウンリンク構成情報との符合如何についてのアラーム情報を提供する過程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のTDDサポート方法。
【請求項10】
分散アンテナシステムであって、
複数の基地局の中から選択された一つの基地局から受信されるTDDダウンリンク信号からTsync基準信号を検出する基準信号検出モジュールを備え、
前記Tsync基準信号は、ダウンリンク時間区間に対応するハイ状態を有し、アップリンク時間区間に対応するロー状態を有し、
前記分散アンテナシステムは、さらに
前記TDDダウンリンク信号と関連付けられたアップリンク/ダウンリンク構成情報に基づいて前記Tsync基準信号に対する有効性検証を行い、前記有効性を検証した場合には、前記Tsync基準信号を、前記有効性を検証できなかった場合には、既に保存されたTsync基準信号をTDDスイッチング制御のためのTDD同期信号として出力する複製モジュールと、
前記Tsync基準信号が前記ロー状態から前記ハイ状態に遷移する立ち上がりエッジ間の間隔の変動値である自己遅延を検出し、検出された自己遅延が既設定の第1の臨界範囲を超えた場合に、アラームを提供する信号遅延自己検出モジュールと、
前記TDD同期信号の立ち上がりエッジと他の基地局のTDDダウンリンク信号の立ち上がりエッジとの間の差である遅延偏差を検出し、検出された遅延偏差が既設定の第2の臨界範囲を超えた場合に、アラームを提供する基地局信号遅延検出モジュールと、
を備えることを特徴とする分散アンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時分割二重化方式を用いる分散アンテナシステムのTDDサブ-システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述された内容は、単に本実施例の背景情報を提供するに留まり、従来の技術を構成するものではない。
【0003】
通信事業者は、無線通信システムを使用して、ワイヤレスデバイスが位置するカバレッジ領域にサービスを提供する。分散アンテナシステム(Distributed Antenna Systemsと、DAS)は、そのような無線通信システムのカバレッジを拡張するために用いることができる。
【0004】
DASは、信号経路の少なくとも一部の共通の周波数または共通部分を使用し、ダウンリンク及びアップリンク信号が、それぞれ送信および受信される時分割二重化(Time Division Duplexingと、TDD)動作をサポートするように構成する。 TDD動作のために構成したDASはアップリンク信号経路からダウンリンク信号経路を分離するための1つ以上のスイッチを含む。
【0005】
また、1つ以上の通信事業者が、それぞれの無線通信システムのカバレッジ領域を拡張するために、同じDASを用いることができる。DASを構成したり、運営する主体は、DASを用いる通信事業者から独立している場合がある。通信事業者と独立的な主体は、通信事業者によって使用されるTDD構成によってDASのスイッチング動作が適切に実行するように構成しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、時分割二重化方式を用いる分散アンテナシステムでTDDサブ-システムを備えることにより、その動作の過程で発生し得るエラーの検出が迅速に行われるようにしながらも、これと関連しサービスの対応がより効率的に行われるようにするところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施例は、基地局から受信される信号からTsync基準信号を検出する検出モジュールと、前記信号と関連付けられたアップリンク/ダウンリンク構成情報に基づいて前記Tsync基準信号に対する有効性検証を行い、前記有効性を検証した場合には、前記Tsync基準信号を、前記有効性を検証できなかった場合には、既に保存されたTsync基準信号をTDDスイッチング制御のためのTDD同期信号として出力する複製モジュールと、前記Tsync基準信号に対する遅延差情報を検出し、検出結果を基に、前記Tsync基準信号の遅延かどうかについてのアラーム情報を提供する信号遅延自己検出モジュール、及び、前記TDD同期信号を基準にして他の基地局の信号に対する遅延差情報を検出し、検出結果を基に、前記他の基地局の信号の遅延かどうかについてのアラーム情報を提供する基地局信号遅延検出モジュールと、を含むことを特徴とする分散アンテナシステムのTDDサブ-システムを提供する。
【0008】
また、本実施例の他側面によると、分散アンテナシステムのTDDサポート方法であって、基地局から受信される信号からTsync基準信号を検出する過程と、前記信号と関連付けられたアップリンク/ダウンリンク構成情報に基づいて前記Tsync基準信号に対する有効性検証を行い、前記有効性を検証した場合には、前記Tsync基準信号を、前記有効性を検証できなかった場合には、既に保存されたTsync基準信号をTDDスイッチング制御のためのTDD同期信号として出力する過程と、前記Tsync基準信号に対する遅延差情報を検出し、検出結果を基に、前記Tsync基準信号の遅延かどうかについてのアラーム情報を提供する過程、及び、前記TDD同期信号を基準にして他の基地局の信号に対する遅延差情報を検出し、検出結果を基に、前記他の基地局の信号の遅延かどうかについてのアラーム情報を提供する過程と、を含むことを特徴とするTDDサポート方法を提供する。
【0009】
また、本実施例の他側面によると、基地局から受信される信号からTsync基準信号を検出する基準信号検出モジュールと、前記信号と関連付けられたアップリンク/ダウンリンク構成情報に基づいて前記Tsync基準信号に対する検証を行い、前記有効性を検証した場合には、前記Tsync基準信号を、前記有効性を検証できなかった場合には、既に保存されたTsync基準信号をTDDスイッチング制御のためのTDD同期信号として出力する複製モジュールと、前記Tsync基準信号に対する遅延差情報を検出し、検出結果を基に、前記Tsync基準信号の遅延かどうかについてのアラーム情報を提供する信号遅延自己検出モジュール、及び、前記TDD同期信号を基準にして他の基地局の信号に対する遅延差情報を検出し、検出結果を基に、前記他の基地局の信号の遅延かどうかについてのアラーム情報を提供する基地局信号遅延検出モジュールを含むことを特徴とする分散アンテナシステムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、時分割二重化方式を用いる分散アンテナシステムでTDDサブ-システムを備えることにより、その動作の過程で発生し得るエラーの検出が迅速に行われながらも、これと関連したサービス対応がより効率的に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】時分割二重化方式を用いる分散アンテナシステムの一例を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る、ヘッド-エンドユニットに含むことができるTDDサブ-システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】信号遅延自己検出モジュールの動作を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る、複製モジュールの概略的な構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る、基地局信号遅延検出モジュールの概略的な構成を示すブロック図である。
【
図6】基地局信号遅延検出モジュールの動作を説明するための図である。
【
図7】複製モジュールと2つの遅延検出モジュールのタイミングチャートを示す図である。
【
図8】TDDサブ-システムを具現した分散アンテナシステムによって実行される時分割二重化方式のサポート動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通じて詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を加えるにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されても、可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、関連した公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断した場合には、その詳細な説明は省く。
【0013】
また、本発明の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることがある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためだけであり、その用語によって、該当構成要素の本質や順番や順序などが限定されない。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「備える」とするとき、これは特に正反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載した「...部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで具現できる。
【0014】
図1は、時分割二重化方式を用いる分散アンテナシステムの一例を概略的に示す図である。
【0015】
DASはリモートユニット120及び基地局100と通信するヘッド-エンドユニット110を含む。いくつかの態様において、異なる基地局は、異なる無線通信事業者と関連する信号を通信することができる。 DASは、基地局100の無線通信カバレッジを拡張するために、地理的領域(例えば、競技場、オフィスビルなど)に配置することができる。
【0016】
DASは、ダウンリンク信号を基地局100から1つ以上のリモートユニット120に伝送するためのダウンリンクパスを含む。 DASは、有線または無線通信媒体を介して基地局100からのダウンリンク信号を受信することができる。ダウンリンク信号は、リモートユニット120によってカバレッジ領域に伝播される。また、DASは1つ以上のリモートユニット120から1つ以上の基地局100または中継器にアップリンク信号を伝送するためのアップリンクパスを含む。アップリンク信号は、カバレッジ領域内の通信デバイスからリモートユニット120のうちの1つ以上によって受信されるアップリンク周波数帯域の周波数の信号である。
【0017】
ヘッド-エンドユニット110は、基地局100とリモートユニット120との間で信号を通信することができる。ヘッド-エンドユニット110及びリモートユニット120は、任意の適切な通信リンク(例えば、光ファイバ、同軸ケーブルなど)を介して通信することができる。ヘッド-エンドユニット110及びリモートユニット120は、通信リンクを介してデジタル通信のためにアナログ-デジタル変換器及びデジタル-アナログ変換器を含む。
【0018】
説明の目的で、
図1は、3つの基地局100及び2つのリモートユニット120と通信する単一のヘッド-エンドユニット110を示す。しかし、分散アンテナシステムは、任意の数のヘッド-エンドユニット及び、任意の数の基地局(または他の信号源)と、任意の数のリモートユニットを含む。
【0019】
DASは、DASを介して信号を通信する多数の通信事業者に対し、TDD(Time Division Duplexing)動作をサポートするように構成する。たとえば、DASはTDD信号をアップリンク方向に通信するためのアップリンクモードとTDD信号をダウンリンク方向に通信するためのダウンリンクモードを切り替えることができる。つまり、TDD動作のために構成されたDASはアップリンク信号経路からダウンリンク信号経路を分離するための1つ以上のスイッチを含む。TDDをサポートするDASはダウンリンク及びアップリンク信号に対するスイッチング制御が必要である。基地局100からTDDスイッチング信号を提供されないDASは、ダウンリンク及びアップリンク信号に対するスイッチング制御のために、基地局100から受信されるダウンリンク信号からTDD同期信号(以下、「TDD sync signal」)を生成しなければならない。このため、ヘッド-エンドユニット110は、ダウンリンク信号からTDD同期信号を生成するTDDサブ-システム112を含み、生成されたTDD同期信号を、通信リンクを介して、リモートユニットに伝送する。
【0020】
本発明によると、ヘッド-エンドユニット110は、サポートされる1つ以上の基地局100の中から選択された一つのダウンリンク信号からTDDスイッチング制御のためのTDD同期信号を検出(推定)し、検出されたTDD同期信号のレプリカ(Replica)を保存しておく。
【0021】
以降、ヘッド-エンドユニット110は、現在使用中のTDD同期信号が切れたり、問題発生時に他の基地局の信号に切り替わるように動作し、切り替わって通常のTDD同期信号が抽出されるまでシステムの動作を維持するために、TDD同期信号のレプリカを用いる。
【0022】
これに加えて、本発明によると、ヘッド-エンドユニット110は、現在TDD同期信号を生成するために用いる基地局のダウンリンク信号のリアルタイム遅延偏差と他の基地局のダウンリンク信号間のリアルタイム遅延偏差を算出し、許容される限界の範囲から外れた場合に、外部のネットワーク管理システム(network maintenance system、NMS)にアラームを伝送する。
【0023】
図2は、本発明の一実施例に係る、ヘッド-エンドユニットに含まれるTDDサブ-システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、TDDサブ-システム112は、基準信号検出モジュール(TDD Sync detect Module、200)、複製モジュール(TDD Sync Replica Module、210)、信号遅延自己検出モジュール(TDD Sync Self Delay Detection Module、220)及び基地局信号遅延検出モジュール(TDD Sync Operator Delay Detection Module、230)を含む。このような、TDDサブ-システム112の各構成要素は、それぞれソフトウェアまたはハードウェア的な要素で具現する。例えば、TDDサブ-システム112の各構成要素は、FPGAで構成する。
【0025】
基準信号検出モジュール200は、複数の基地局のうちの1つから受信されるRFあるいはIF帯域のダウンリンク信号から推定されたTDD同期信号(TDD sync signal)を生成する。例えば、基準信号検出モジュール200は、ダウンリンク信号の短期(Short term)平均電力を計算し、計算された短期平均電力をTDDしきい値と比較することにより、TDD同期信号を推定することができる。以下では、基準信号検出モジュール200が推定したTDD同期信号を「Tsync基準信号(Tsync Ref Signal)」と称する。
【0026】
複製モジュール210は、基準信号検出モジュール200が生成したTsync基準信号のDL/UL構成(DL-UL configuration)の有効性を検証し、有効であると判断したTsync基準信号をTDD同期信号として出力し、Tsync基準信号のレプリカを保存する。Tsync基準信号のレプリカ(Replica)は、現在使用中のTDD同期信号が切れたり、問題発生時に他の通信事業者に切り替え、正常なTDD同期信号が抽出されるまで、システムを維持するために用いられる。一方、本実施例において、有効性検査基準となるDL/UL構成は、基準信号検出モジュール200を介して検出され、複製モジュール210上に伝達され、他の実施例では、管理者によって直接複製モジュール210上に入力することができる。一方、基準信号検出モジュール200は、DL/UL構成を検出する過程で、従来のDL/UL構成検出アルゴリズムを活用することができる。例えば、本実施例において、TDDサブ-システム112は、ハードウェアまたはソフトウェアの形態、例えば、FPGAで構成する。この場合、基準信号検出モジュール200は、FPGAを生成する会社(例えば、INNOS)でサポートするDL/UL構成検出アルゴリズムを介して前記のDL/UL構成を検出することができる。
【0027】
複製モジュール210は、Tsync基準信号のパルス幅がDL/UL構成の有効範囲から外れると、TDD同期構成アラーム(TDD Sync Configuration Alarm)を発生し、保存されたTsync基準信号のレプリカをTDD同期信号として出力する。この時、保存されたTsync基準信号のレプリカは、複製モジュール210に受信された以前のTsync基準信号のうちの有効性が検証されたTsync基準信号に対するレプリカである。複製モジュール210の具体的な構成及び動作は、
図4を参照して後述する。
【0028】
信号遅延自己検出モジュール220は、基準信号検出モジュール200から受信されるTsync基準信号の遅延差を検出し、検出された遅延差が既に設定されたしきい値範囲から外れた場合にアラームを発生する。
【0029】
図3に例示したように、信号遅延自己検出モジュール220は、Tsync基準信号で立ち上がりエッジ(Rising edge、つまり、UL→DLに遷移(transition)する地点)間の間隔を、例えば、100nsの解像度で、カウントする。信号遅延自己検出モジュール220は、検出されたカウント値をTDDフレームの周期(DL/UL構成によって5msまたは10msの場合がある)と比較し、遅延差(
図3で「Self Delay」と表示)を検出し、検出された差が既設定のしきい値範囲(例えば、-3μs~+3μs)から外れた場合に、外部のネットワーク管理システム(Network Maintenance System、NMS)にアラームを伝送する。
【0030】
このために、信号遅延自己検出モジュール220は、カウンタ300及び遅延検出部310を含む。また、信号遅延自己検出モジュール220は、例えば、2secの間の遅延差(Self Delay)の変動値の最大値をヘッド-エンドユニット110に備えられたディスプレイに表示したり、ネットワーク管理システムに報告する。
【0031】
基地局信号遅延検出モジュール230は、Tsync基準信号対比の、他の通信事業者信号の遅延差を検出し、検出された差が既に設定したしきい値範囲から外れた場合にアラームを発生する。基地局信号遅延検出モジュール230の具体的な構成及び動作は、
図5を参照して後述する。
【0032】
TDDサブ-システム112のプロセッサは、複製モジュール210から提供されるTDD同期信号の遅延をIQデータと同一にした後、(リモートユニットに伝送するために、デジタルダウンリンク信号をフレーミングする)フレーマー(Framer、図示せず)に提供する。そのために、TDDサブ-システム112は、遅延モジュール240を備える。
【0033】
図4は、本発明の一実施例に係る、複製モジュール210の概略的な構成を示すブロック図である。
図4に示すように、複製モジュール210は、キャプチャメモリ(Capture Memory、400)、複製メモリ(Replica Memory、410)は、カウンタ(Tsync Counter、420)、アラーム検出部(Alarm Detection、430)及び、プロセッサ440を含む。
【0034】
プロセッサ440は、(5ms又は10msの)Tsync基準信号を100nsの解像度でキャプチャしてキャプチャメモリ400に格納する。プロセッサ440は、キャプチャされた信号が正常であれば、キャプチャメモリ400からデータをコピーし、レプリカ(TDD Sync Replica Signal)を複製メモリ410に格納する。
【0035】
カウンタ420は、Tsync基準信号のハイ(High)状態、ロー(Low)状態を100ns解像度でカウントする。
【0036】
アラーム検出部430は、カウンタ420からカウントしたハイ状態/ロー状態カウント値から立ち上がりエッジ間の間隔をチェックし、チェックされた間隔がUL/DL構成に符合するか否かを判断する。
【0037】
プロセッサ440は、Tsync基準信号が正常範囲であれば(≦±3μs)、キャプチャメモリ400からTDD同期オリジナル信号(TDD Sync Original Signal)を出力する。一方、Tsync基準信号が異常であれば、プロセッサ440は、複製メモリ410からTDD同期レプリカ信号(TDD Sync Replica Signal)を出力し、TDD同期構成(TDD Sync Configuration)アラームを発生する。
【0038】
図5は、本発明の一実施例に係る、基地局信号遅延検出モジュール230の概略的な構成を示すブロック図である。
【0039】
図5に示すように、基地局信号遅延検出モジュール230は、検出範囲選定器(Capture Enable Generator、500)、電力検出部(Power Detector、510)、コンパレータ(TDD Sync Generator、520)及びキャプチャメモリ(Capture Memory、530)を含む。
【0040】
検出範囲選定器500は、TDD同期信号のUL→DL遷移(Transition)ポイント(つまり、立ち上がりエッジ)から±4μsの間(=検出範囲)にキャプチャイネーブル(Capture Enable)信号を生成する。
【0041】
電力検出部510は、キャプチャイネーブル区間の間に、キャプチャされた各通信事業者(例えば、他の基地局)のIQデータから電力(power)を検出する。
【0042】
コンパレータ520は、キャプチャイネーブル区間で検出された電力から通信事業者別TDD同期信号を検出し、検出されたTDD同期信号をキャプチャメモリ530に格納する。例えば、コンパレータ520は、一定の大きさ以上の電力の範囲を1の値に指定し、一定の大きさ以下の電力の範囲を0の値に指定することにより、前記のTDD同期信号を検出することができる。
【0043】
プロセッサは、キャプチャメモリ530からの通信事業者別TDD同期信号を読み取って遅延偏差(=対象通信事業者遅延-リファレンス通信事業者遅延)を計算する。プロセッサは、遅延偏差が既設定のしきい値範囲(例えば、-3μs~+3μs)から外れるとアラームを発生する。
【0044】
図6は、基地局信号遅延検出モジュール230がDCM同期信号(DCM sync signal)を基準に、DCM信号(DCM signal)とKDDI信号(KDDI signal)とSBM信号(SBM signal)に対してそれぞれ、検出範囲(±ΔT)内でxx.xx ns区間別電力検出を通じ、各信号の立ち上がりエッジを検出する例示を示す。
【0045】
図6を参照すると、基準対象となる基地局の信号のライジングポイントを基準に他の基地局の信号のライジングポイントを比較することで、他の基地局のダウンリンク信号との間のリアルタイム遅延偏差を算出する方法を確認することができる。
【0046】
図7は、複製モジュール210と2つの信号遅延検出モジュール220、230のタイミングチャートを示す図である。
【0047】
複製モジュール210は、Tsync基準信号の1-フレーム(Frame)を検査して異常がない場合、Tsync基準信号の1-フレームを出力するから、TDD同期信号(Original)は、Tsync基準信号よりも1-フレームだけ遅延して出力される。
【0048】
複製モジュール210は、TDD同期信号(Original)が確定した後、TDD同期信号(Replica)として保存し、その後保存したTDD同期信号(Replica)を出力することができるから、TDD同期信号(Replica)はTsync基準信号より少なくとも2-フレームだけ遅延して出力される。
【0049】
これにより、信号遅延自己検出モジュール220は、Tsync基準信号の各フレームごとに動作し、基地局信号遅延検出モジュール230は、TDD同期信号によってキャプチャイネーブルが動作することから、
図7に例示したように動作する。
【0050】
表1は、TDDサブ-システムの例示的な各モジュール別の動作性能または規格を示すテーブルである。表1には、複製モジュール210(表1で「Replica」と表す)、信号遅延自己検出モジュール220(表1で「Self」と表す)、および基地局信号遅延検出モジュール230(表1で、「Operator」と表す)のキャプチャ解像度(Capture Resolution)、キャプチャ範囲(Capture Range)、精度(Accuracy)、生成するアラームの種類(Alarm)、および遅延に対するアラーム発生条件(Alarm Range)が表示される。
【0051】
【0052】
図8は、TDDサブ-システムを具現した分散アンテナシステムによって実行される時分割二重化方式のサポート動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
TDDサブ-システム112は、複数の基地局のうちの1つから受信されるRFあるいはIF帯域のダウンリンク信号からTsync基準信号を検出する(S802)。
【0054】
TDDサブ-システム112は、ステップS802で検出したTsync基準信号に対する有効性検証を行う(S804)。ステップS804でTDDサブ-システム112は、Tsync基準信号のロー状態とハイ状態を基に設定され、解像度の単位でカウントし、カウント結果がDL/UL構成に適合するかどうかに応じて、Tsync基準信号の検証を実行することができる。
【0055】
TDDサブ-システム112は、ステップS804の検証結果でTsync基準信号に対する有効性を検証できなかった場合(S806)、TDD同期構成アラーム(TDD Sync Configuration Alarm)を発生し、既に保存されたTsync基準信号のレプリカをTDD同期信号として出力する(S808)。ステップS808で既保存されたTsync基準信号のレプリカは、以前Tsync基準信号のうちの有効性が検証されたTsync基準信号に対するレプリカである。
【0056】
TDDサブ-システム112は、ステップS804の検証結果でTsync基準信号に対する有効性を検証した場合(S806)、Tsync基準信号をTDD同期信号として出力し、Tsync基準信号のレプリカを保存する(S810)。
【0057】
TDDサブ-システム112は、ステップS802で検出されるTsync基準信号の遅延差を検出し、検出された遅延差が既設定のしきい値範囲から外れる場合にアラームを発生する(S812)。
【0058】
TDDサブ-システム112は、ステップS808またはステップS810で出力されるTDD同期信号対比の他の通信事業者信号の遅延差を検出し、検出された差が既設定のしきい値範囲から外れる場合にアラームを発生する(S814)。
【0059】
ここで、ステップS802ないしS814は、先に説明したTDDサブ-システム112の各構成要素の動作に対応することから、これ以上の詳しい説明は省く。
【0060】
図8は、それぞれのプロセスを順次実行することで記載しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。つまり、
図8に記載されたプロセスを変更して実行したり、1つ以上のプロセスを並列的に実行することで適当可能であることから、
図8は、時系列的な順序に限定されるものではない。
【0061】
前述したように、
図8に記載した時分割二重化方式のサポート方法は、プログラムで具現でき、コンピュータのソフトウェアを用いて読み取ることができる記録媒体(CD-ROM、RAM、ROM、メモリカード、ハードディスク、光磁気ディスク、ストレージデバイスなど)に記録できる。
【0062】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したに過ぎず、本実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例により、本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
100:基地局 110:ヘッド-エンドユニット
112:TDDサブ-システム 120:リモートユニット
200:基準信号検出モジュール 210:複製モジュール
220:信号遅延自己検出モジュール
230:基地局信号遅延検出モジュール
【0064】
CROSS-REFERENCE TO RELATED APPLICATION
本特許出願は、本明細書にその全体が参考として含まれる、2017年09月29日に韓国で出願した特許出願番号第10-2017-0127964号および2018年04月06日に韓国で出願した特許出願番号第10-2018-0040264号に対する優先権を主張する。