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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】モーター及び調理器具
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20220510BHJP
   F16H 1/14 20060101ALI20220510BHJP
   A47J 43/04 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H1/14
A47J43/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020542806
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2018099243
(87)【国際公開番号】W WO2019153672
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】201820250006.8
(32)【優先日】2018-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810140188.8
(32)【優先日】2018-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517420072
【氏名又は名称】広東美的生活電器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG MIDEA CONSUMER ELECTRICS MANUFACTURING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.19,Sanle Road,Beijiao Town,Shunde District,Foshan City,Guangdong 528311 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】梁 ▲顯▼堂
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲連▼城
(72)【発明者】
【氏名】▲パン▼ 从善
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 振峰
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 光仁
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106367312(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105065637(CN,A)
【文献】中国実用新案第204429390(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106732065(CN,A)
【文献】特開平07-000789(JP,A)
【文献】特開平06-070518(JP,A)
【文献】特開平10-257730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
F16H 1/14
A47J 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントエンドカバー(11)、及びモーターキャビティーから前記フロントエンドカバー(11)を挿通する出力回転軸を備え、前記出力回転軸は、同心に配置された内回転軸(2)と外回転軸(3)を備え、前記モーターキャビティーには、歯車伝動機構がさらに設けられ、前記歯車伝動機構は、前記内回転軸(2)と前記外回転軸(3)に伝動可能に接続さ
前記歯車伝動機構は、歯車ブラケット(4)と歯車伝動部材とを備え、前記歯車ブラケット(4)は、前記モーターキャビティーに位置して且つ前記フロントエンドカバー(11)に固定して取り付けられる、ことを特徴とするモーター。
【請求項2】
記歯車伝動部材は、歯車ブラケット(4)のブラケットキャビティーに収容されとを特徴とする請求項1に記載のモーター。
【請求項3】
前記歯車ブラケット(4)は、1つの側壁が開放されている立方体形状のブラケットである、ことを特徴とする請求項2に記載のモーター。
【請求項4】
前記内回転軸(2)は、前記歯車ブラケット(4)の底壁と頂壁を順に貫通して前記フロントエンドカバー(11)の頂壁から挿通し、前記外回転軸(3)は、前記内回転軸(2)の外部に同心に外嵌され且つ前記歯車ブラケット(4)の頂壁と前記フロントエンドカバー(11)の頂壁から延びており、前記歯車伝動部材は、それぞれ前記内回転軸(2)と前記外回転軸(3)の外周壁に固定して外嵌される内軸歯車(51)と外軸歯車(52)を備え、前記内軸歯車(51)と前記外軸歯車(52)が伝動可能に接続される、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモーター。
【請求項5】
前記歯車伝動機構は、中間歯車(53)を備え、該中間歯車(53)は、前記歯車ブラケット(4)の側壁に枢動可能に取り付けられ、それぞれ前記内軸歯車(51)及び前記外軸歯車(52)と噛み合う、ことを特徴とする請求項4に記載のモーター。
【請求項6】
前記歯車ブラケット(4)は、半断面に沿って分割された第1ブラケット半断面部分と第2ブラケット半断面部分を備え、前記半断面は、垂直に交差する前記中間歯車(53)の中心軸線と前記内回転軸(2)及び前記外回転軸(3)の同心軸線によってともに画定される、ことを特徴とする請求項5に記載のモーター。
【請求項7】
前記内回転軸(2)と前記外回転軸(3)のそれぞれの外周壁には、内軸受け群(61)と外軸受け群(62)がそれぞれ設けられ、前記内軸受け群(61)と前記外軸受け群(62)が、それぞれ前記歯車ブラケット(4)の底壁と頂壁に設けられ、前記中間歯車(53)の回転軸には、中間軸受け群(63)が設けられ、該中間軸受け群(63)が前記歯車ブラケット(4)の側壁に取り付けられる、ことを特徴とする請求項5に記載のモーター。
【請求項8】
前記内軸歯車(51)の底端は、前記内軸受け群(61)の頂端に当接し、前記外軸歯車(52)の頂端は、前記外軸受け群(62)の底端に当接し、前記中間歯車(53)は、それぞれ前記内軸歯車(51)及び前記外軸歯車(52)と噛み合う、ことを特徴とする請求項7に記載のモーター。
【請求項9】
前記中間歯車(53)、前記内軸歯車(51)及び前記外軸歯車(52)は、いずれもかさ歯車であり、且つ前記内軸歯車(51)と前記外軸歯車(52)のそれぞれの円錐母線の水平傾斜角が、いずれも45°以上60°以下である、ことを特徴とする請求項5に記載のモーター。
【請求項10】
前記外回転軸(3)と前記内回転軸(2)との間の回転数比は、1/5以上1以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のモーター。
【請求項11】
内軸撹拌ブレードユニット、外軸撹拌ブレードユニット、及び請求項1~10のいずれか1項に記載のモーターを備え、前記内回転軸(2)は、前記内軸撹拌ブレードユニットが回転するように駆動し、前記外軸撹拌ブレードユニットは、前記外回転軸(3)に伝動可能に接続される、ことを特徴とする調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電製品の分野に属し、具体的には、モーター及び調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の継続的な進歩及び人々の生活水準の継続的な改善に伴い、二軸ホイッピング機能を持つ細胞壁破砕装置、豆乳機などの調理器具の応用がますます普及している。調理器具の内部のモーターは、同心円状に配置された二軸を回転駆動し、撹拌カップ本体におけるダブルカッターヘッドは、それぞれ二軸に伝動可能に接続され、それにより、ダブルカッターヘッドが同時にホイッピング作業を行うことが実現される。
【0003】
現在、モーターは、一般的には、外付けの伝動機構を介して同心円状の二軸を回転駆動するため、組立作業者が調理器具を組み立てるときに、該伝動機構を傷つけたり、毀損したりすることが発生しやすく、勿論、調理器具の組み立てを完了した後にも、調理器具の内部の他の部材(たとえば、ワイヤー)が緩むことにより伝動モジュールに干渉する状況が発生しやすく、そのいずれの場合にも、伝動モジュールの正常な動作に影響を与え、さらに機器全体の耐用年数を低減させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術における上記不備又は欠陥に対して、本発明は、歯車伝動機構を効果的に保護することができ、歯車伝動機構の信頼性を向上させて耐用年数を延ばすことに有利であり、さらに、調理器具の信頼性を向上させて耐用年数を延ばすモーター及び調理器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は、モーターを提供し、該モーターは、フロントエンドカバー及びモーターキャビティーから前記フロントエンドカバーを挿通する出力回転軸を備え、前記出力回転軸は、同心に配置された内回転軸と外回転軸を備え、前記モーターキャビティーには、歯車伝動機構がさらに設けられ、前記歯車伝動機構は、前記内回転軸と前記外回転軸に伝動可能に接続される。
【0006】
好ましくは、前記歯車伝動機構は、歯車ブラケットと歯車伝動部材とを備え、前記歯車伝動部材は、前記歯車ブラケットのブラケットキャビティーに収容され、前記歯車ブラケットは、前記モーターキャビティーに位置して且つ前記フロントエンドカバーに固定して取り付けられる。
【0007】
好ましくは、前記歯車ブラケットは、閉じた立方体形状のブラケットである。
【0008】
好ましくは、前記内回転軸は、前記歯車ブラケットの底壁と頂壁を順に貫通して前記フロントエンドカバーの頂壁から挿通し、前記外回転軸は、前記内回転軸の外部に同心に外嵌され且つ前記歯車ブラケットの頂壁と前記フロントエンドカバーの頂壁から延びており、前記歯車伝動部材は、それぞれ前記内回転軸と外回転軸の外周壁に固定して外嵌される内軸歯車と外軸歯車を備え、前記内軸歯車と前記外軸歯車が伝動可能に接続される。
【0009】
好ましくは、前記歯車伝動機構は、中間歯車を備え、該中間歯車は、前記歯車ブラケットの側壁に回動可能に取り付けられ、それぞれ前記内軸歯車及び前記外軸歯車と噛み合う。
【0010】
好ましくは、前記歯車ブラケットは、半断面に沿って分割された第1ブラケット半断面部分と第2ブラケット半断面部分を備え、前記半断面は、垂直に交差する前記中間歯車の中心軸線と前記内回転軸及び外回転軸の同心軸線とによってともに画定される。
【0011】
好ましくは、前記内回転軸と前記外回転軸のそれぞれの外周壁には、内軸受け群と外軸受け群がそれぞれ設けられ、前記内軸受け群と前記外軸受け群が、それぞれ前記歯車ブラケットの底壁と頂壁に設けられ、前記中間歯車の回転軸には、中間軸受け群が設けられ、該中間軸受け群が前記歯車ブラケットの側壁に取り付けられる。
【0012】
好ましくは、前記内軸歯車の底端は、前記内軸受け群の頂端に当接し、前記外軸歯車の頂端は、前記外軸受け群の底端に当接し、前記中間歯車は、それぞれ前記内軸歯車及び前記外軸歯車と噛み合う。
【0013】
好ましくは、前記中間歯車、前記内軸歯車及び前記外軸歯車は、いずれもかさ歯車であり、且つ前記内軸歯車と前記外軸歯車のそれぞれの円錐母線の水平傾斜角が、いずれも45°以上60°以下である。
【0014】
好ましくは、前記外回転軸と前記内回転軸との間の回転数比は、1/5以上1以下である。
【0015】
本発明は、調理器具をさらに提供し、該調理器具は、内軸撹拌ブレードユニット、外軸撹拌ブレードユニット、及びモーターを備え、前記内回転軸は、前記内軸撹拌ブレードユニットが回転するように駆動し、前記外軸撹拌ブレードユニットは、前記外回転軸に伝動可能に接続される。
【発明の効果】
【0016】
上記技術案によれば、本発明のモーターでは、同心に配置された内回転軸と外回転軸は、モーターのフロントエンドカバーから挿通し、内回転軸と外回転軸は、歯車伝動機構を介して伝動可能に接続され、且つ該歯車伝動機構は、モーターキャビティーに収容され、このようにして、歯車伝動機構がモーターに統合され、歯車伝動機構を効果的に保護することができ、組立作業者の不注意により歯車伝動機構を傷つけたり、毀損したりするという状況を回避することができるだけでなく、調理器具の内部の他の部材(たとえば、ワイヤー)が緩む場合に二軸伝動ユニットに干渉することを効果的に防止することができ、これにより、大幅に歯車伝動機構の信頼性を向上させて耐用年数を延ばすことに有利であり、それにより、調理器具の信頼性を向上させて耐用年数を延ばす。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、後の発明を実施するための形態の部分において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面は、本発明をさらに理解するために提供されるものであり、且つ明細書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態とともに本発明を解釈するために用いられるが、本発明に対する制限を構成するものではない。図面において、
図1】本発明の好ましい実施形態のモーターの全体断面図である。
図2】歯車伝動部材を歯車ブラケットに組み立てる過程の模式図である。内回転軸の外周壁に内軸歯車と内軸受け群が設けられたときの断面図を示す。
図3】歯車伝動部材を歯車ブラケットに組み立てる過程の模式図である。外軸歯車と外軸受け群が設けられた外回転軸が内回転軸の外に外嵌されたときの断面図を示す。
図4】歯車伝動部材を歯車ブラケットに組み立てる過程の模式図である。内回転軸と外回転軸を第1ブラケット半断面部分に組み込んだときの断面図を示す。
図5】歯車伝動部材を歯車ブラケットに組み立てる過程の模式図である。中間軸受け群が取り付けられる中間歯車をそれぞれ内軸歯車と外軸歯車と噛み合った後に第1ブラケット半断面部分に組み立てたときの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施形態は、本発明を説明して解釈するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではないことを理解すべきである。
【0020】
ただし、矛盾しない場合、本発明における実施例及び実施例における特徴を互いに任意に組み合わせることができる。
【0021】
本発明において、特に明記しない限り、使用される「上、下、頂、底」などの方位詞は、通常、図面に示される方向、若しくは、垂直、直交又は重力方向における各部材の相互な位置関係について説明する用語である。
【0022】
以下、図面を参照しながら実施例にて本発明を詳細に説明する。
【0023】
本発明の一態様によれば、モーターを提供し、図1に示されるように、該モーターは、フロントエンドカバー11、及びモーターキャビティーからフロントエンドカバー11を挿通する出力回転軸を備え、出力回転軸は、同心に配置された内回転軸2と外回転軸3を備え、モーターキャビティーには、歯車伝動機構がさらに設けられ、歯車伝動機構は、内回転軸2と外回転軸3に伝動可能に接続される。好ましくは、外回転軸3と内回転軸2との間の回転数比は、1/5以上1以下である。
【0024】
本発明の別の態様によれば、調理器具を提供し、該調理器具は、内軸撹拌ブレードユニット、外軸撹拌ブレードユニット、及びモーターを備え、内回転軸2は、内軸撹拌ブレードユニットが回転するように駆動し、外軸撹拌ブレードユニットは、外回転軸3に伝動可能に接続される。調理器具は、細胞壁破砕装置、ジュースマシン、ジューサー、豆乳機、ミキサー又は他のタイプの家電製品であってもよく、該調理器具にモーターが設けられ、且つ食品をホイッピングする機能を有するものであればよい。
【0025】
本発明の技術案では、同心に配置された内回転軸2と外回転軸3は、それぞれ回転して内軸撹拌ブレードユニットと外軸撹拌ブレードユニットを駆動し、且つ内軸撹拌ブレードユニットと外軸撹拌ブレードユニットは、いずれも調理器具の撹拌カップ本体に位置し、モーターの回転子を介して出力回転軸を回転駆動し、それにより、二重撹拌ブレードユニット(すなわち、内軸撹拌ブレードユニットと外軸撹拌ブレードユニット)が同時に動作して撹拌カップ本体に収容される食品を切断してホイッピングするように駆動する。中でも、内回転軸2と外回転軸3に伝動可能に接続される二軸伝動機構がモーターキャビティーに設けられ、すなわち、二軸伝動機構がモーターに統合されることにより、組立作業者が調理器具を組み立てるときに、二軸伝動機構を効果的に保護することができ、それにより、組立作業者の不注意により二軸伝動機構を傷つけたり、毀損したりするという状況の発生を回避し、且つ、調理器具の組み立てを完了した後、調理器具の内部の他の部材(たとえば、ワイヤー)が緩む場合に二軸伝動ユニットに干渉することを効果的に防止することができ、このようにして、二軸伝動機構の信頼性を向上させて耐用年数を延ばすことで、機器全体の信頼性を向上させて耐用年数を延ばすことに有利であるだけでなく、調理器具の製造効率を効果的に向上させることができる。なお、二軸伝動機構をモーターに統合することで、組立作業者の組み立て速度をさらに効果的に向上させることができ、すなわち、組立作業者は、二軸伝動機構が統合されたモーターを調理器具に組み立てればよく、二軸伝動機構をさらに組み立てるのが不要であり、このようにして、調理器具の生産効率を大幅に向上させることに有利である。勿論、モーターの内部に二軸伝動機構が統合されるため、二軸伝動機構を収容するためのさらなる内部空間を調理器具から省くことができ、すなわち、占有する調理器具の内部空間を効果的に減少することができ、機器全体をより小さくしてコンパクトにし、且つ機器全体の収納空間が小さくなるため、調理器具の輸送や保管のコストを低減させることに有利である。
【0026】
具体的には、二軸伝動機構は、歯車伝動機構であり、このような構成により、二軸伝動機構をプーリ伝動機構などの他の伝動構造とする場合に比べて、歯車伝動機構は、顕著な技術的効果がある。以下、プーリ伝動機構を比較例として、二軸伝動機構が歯車伝動機構である場合の技術的効果を説明する。具体的には、歯車伝動機構は、歯車と歯車が互いに噛み合うことによって伝動し、一方、プーリ伝動機構は、伝動するにはプーリとプーリの間に伝動ベルトを設ける必要があり、従って、プーリ伝動機構に比べて、歯車伝動機構は、伝動ベルトを追加する必要がないため、構造をより小さくてコンパクトにし、さらに、モーター、ひいては機器全体をより小さくする。なお、プーリ伝動機構における伝動ベルトが、動作時間の増加に伴い徐々に緩み、伝動能力が低減したり失われたりし、歯車伝動機構の場合は、上記状況が発生することがなく、従って、プーリ伝動機構に比べて、歯車伝動機構は、動作信頼性がより高く、耐用年数がより長い。勿論、歯車伝動機構は、伝動ベルトを介して連動する必要がないため、その伝動効率もより高くなる。
【0027】
好ましくは、モーターは、内回転子13と外固定子12を備え、内回転子13の回転軸が内回転軸2であり、図1に示されるように、モーターの回転子が外回転子である場合に比べて、モーターの回転子が内回転子13であると、モーターをより小さくしてコンパクトにすることができ、占有する空間もより小さくなる。さらに、モーターは、外固定子12のリアエンド部に固定されるリアエンドカバー14を備える。
【0028】
具体的には、歯車伝動機構は、歯車ブラケット4と歯車ブラケット4のブラケットキャビティーに収容される歯車伝動部材とを備え、歯車ブラケット4は、モーターキャビティーに位置して且つフロントエンドカバー11に固定して取り付けられ、図1に示されるように、歯車ブラケット4とフロントエンドカバー11を固定して接続することにより、歯車ブラケット4とフロントエンドカバー11を一体的に形成することができ、ブラケットキャビティーの内部に位置する歯車伝動部材のスムーズな伝動に有利であり、さらに、内回転軸2が歯車伝動部材を介して回転運動エネルギーを外回転軸3にスムーズに伝達するように促進し、すなわち、内回転軸2と外回転軸3との間の伝動をよりスムーズにし、このようにして、ユーザーの使用体験を向上させることに有利である。勿論、歯車伝動部材のスムーズな伝動は、歯車が噛み合って伝動するときの動作ノイズを効果的に低減させることができ、ユーザーの使用体験を向上させることにも有利である。この他、歯車伝動機構がフロントエンドカバー11のキャビティーに収容されるため、モーターの内部の回転子と固定子の伝動効率に影響を与えることがない。
【0029】
さらに、図1に示されるように、歯車ブラケット4は、閉じた立方体形状のブラケットである。具体的には、歯車伝動部材の信頼性を向上させて耐用年数を延ばすために、通常、歯車伝動部材に潤滑油が塗布され、従って、歯車ブラケット4を閉じたブラケットとして設置すると、歯車伝動部材における潤滑油の滴下又は飛散によるモーターの内部の他の部材への干渉を効果的に回避することができ、モーターの信頼性を向上させて耐用年数を延ばすことに有利である。また、歯車ブラケット4の形状は、立方体形状であってもよく、球形などの他の形状としてもよい。
【0030】
好ましくは、内回転軸2は、歯車ブラケット4の底壁と頂壁を順に貫通してフロントエンドカバー11の頂壁から挿通し、外回転軸3は、内回転軸2の外部に同心に外嵌され且つ歯車ブラケット4の頂壁とフロントエンドカバー11の頂壁から延びており、図1図4に示されるように、歯車伝動部材は、それぞれ内回転軸2と外回転軸3の外周壁に固定して外嵌される内軸歯車51と外軸歯車52を備え、内軸歯車51と外軸歯車52が伝動可能に接続される。
【0031】
さらに、歯車伝動機構は、中間歯車53をさらに備え、図1図5に示されるように、該中間歯車53は、歯車ブラケット4の側壁に枢動可能に取り付けられ、それぞれ内軸歯車51及び外軸歯車52と噛み合う。このような構成により、外回転軸3を内回転軸2に対して逆方向に回転させることができ、それにより、内軸撹拌ブレードユニットと外軸撹拌ブレードユニットの回転方向を逆にし、このようにして、二重撹拌ブレードユニットの正逆方向での二重速度を重ねて、食品粒子に対する二重撹拌ブレードユニットの切り速度を大幅に向上させることができ、食品をより細かく切ることに有利であり、さらに、食品の搾汁率及び飲用時の口当たりを向上させる。言い換えれば、上記内回転軸2と外回転軸3が逆方向に回転するモーターに比べて、モーターにおける回転子13の回転数を大幅に低減させる(たとえば、元の回転数の1/2に低減させる)場合にも、内回転軸2と外回転軸3が同方向に回転するときの食品に対するホイッピング及び粉砕の効果を達成でき、この場合、回転子の回転数を低下させていても、調理器具の元の食品粉砕効果を保持でき、且つ、回転子の回転数を低減させることにより、モーター本体が動作するときのノイズを低減させることができる。また、回転子の回転数を低下させることで、二重撹拌ブレードユニットの回転数の低下をその分促進することができ、二重撹拌ブレードユニットが食品を切るときの振動ノイズを低減させることに有利である。
【0032】
具体的には、中間歯車53、内軸歯車51、及び外軸歯車52は、いずれもかさ歯車である。中間歯車53、内軸歯車51、及び外軸歯車52は、すぐばかさ歯車であってもよく、またははすばかさ歯車であってもよく、まがりばかさ歯車などの他の適切なタイプのかさ歯車であってもよい。
【0033】
また、図1に示されるように、内軸歯車51と外軸歯車52のそれぞれの円錐母線の水平傾斜角は、いずれも45°以上60°以下とすべきである。中でも、内軸歯車51と外軸歯車52の同心軸線と中間歯車53の中心軸線とは直交し、且つ内軸歯車51、外軸歯車52、又は中間歯車53の円錐母線の水平傾斜角とは、歯車が水平に配置されるとき(すなわち、歯車の中心軸線が水平面と垂直に交差するとき)、歯車の円錐母線と水平面との間の鋭角夾角であり、このように、内軸歯車51又は外軸歯車52の円錐母線の水平傾斜角と中間歯車53の円錐母線の水平傾斜角との合計がいずれも90°であり、内軸歯車51と外軸歯車52のそれぞれの円錐母線の水平傾斜角がいずれも60°である場合、中間歯車53の円錐母線の水平傾斜角が30°である。好ましくは、内軸歯車51と外軸歯車52のそれぞれの円錐母線の水平傾斜角が45°であり、このようにして、内軸歯車51、外軸歯車52、及び中間歯車53を、互いに交換して利用可能に設計することができ、すなわち、組み立てるとき、組立作業者は、歯車を取り付ける必要がある箇所に歯車を組み込めばよく、歯車のタイプ及び対応する組み立て位置を人為的に判定するために余分な時間及び労力がかかることは不要になる。なお、内軸歯車51と外軸歯車52のそれぞれの円錐母線の水平傾斜角は、いずれも45°より大きく且つ60°以下であり、すなわち、中間歯車53の円錐母線の水平傾斜角が45°未満であり、このようにして、中間歯車53のサイズを小さく設定することができ、それにより、歯車ブラケット4の高さをより低く設定することに有利であり、さらに、モーターの構造をより小さくしてコンパクトにし、勿論、モーターの占有する空間が小さくなり、これは、調理器具の収納空間を減少させて、さらに、機器全体の輸送や保管のコストを低減させることに有利である。
【0034】
当然のことながら、歯車伝動部材は、さまざまな適切な設置形態を有してもよく、たとえば、上記内軸歯車51と外軸歯車52は、中間歯車53を介して噛み合って伝動し、又は内回転軸2に外部歯車が設けられ、外回転軸3の底端に内部歯車が形成され、接続歯車は、歯車ブラケット4の底壁に枢動可能に設けられ、接続歯車は、それぞれ内部歯車及び外部歯車と噛み合うなどであり、ここで1つずつ説明しない。
【0035】
好ましくは、外回転軸3と内回転軸2との間の回転数比は、1/5以上1以下であり、このようにして、二重撹拌ブレードユニットが撹拌カップ本体に収容される食品をより細く切ることに有利であり、食品からより多くのジュースを絞り出すと同時に、ホイッピングして得られる飲料の口当たりをより繊細にすることができ、ユーザーの使用体験を大幅に向上させることができる。さらに、外回転軸3と内回転軸2との間の回転数比は、1/3以上3/4以下とすべきである。当然のことながら、外回転軸3と内回転軸2との間の回転数比が大きいほど、食品に対する二重撹拌ブレードユニットのホイッピング及び粉砕効果がより良好になる反面、高速な二重撹拌ブレードユニットの駆動により食品が撹拌カップ本体に衝突する速度も増加し、さらに、機器全体の動作ノイズが大きくなり、従って、好ましくは外回転軸3と内回転軸2との間の回転数比のパラメータをこの範囲に設定すると、良好なホイッピング及び粉砕効果を有するだけでなく、ホイッピングして動作するときのノイズも小さい。
【0036】
組立作業者が歯車伝動部材を歯車ブラケット4に組み立てることを容易にするために、好ましくは、図1図5に示されるように、歯車ブラケット4は、半断面に沿って分割された第1ブラケット半断面部分と第2ブラケット半断面部分を備え、半断面は、垂直に交差する中間歯車53の中心軸線と内回転軸2及び外回転軸3の同心軸線とによってともに画定される。具体的には、図2及び図3に示されるように、外軸歯車52が設けられる外回転軸3を、内軸歯車51が設けられる内回転軸2に外嵌し、その後、図4に示されるように、内回転軸2と外回転軸3を第1ブラケット半断面部分の対応する位置に組み込み、図5に示されるように、外部空間を利用して中間歯車53を、それぞれ外軸歯車52及び内軸歯車51に噛み合い、次に、外回転軸3と内回転軸2の同心軸線を中心軸線として中間歯車53を回転させることにより、中間歯車53を第1ブラケット半断面部分の対応する位置に組み込み、最終的に、第2ブラケット半断面部分と第1ブラケット半断面部分を組み立て一体的な歯車ブラケット4を形成し、このような革新な組み立て方式は、組立作業者が歯車伝動部材を歯車ブラケット4に組み込むことを便利にし、操作性が高く、且つ組み立て効率も高い。
【0037】
好ましくは、内回転軸2と外回転軸3のそれぞれの外周壁には、内軸受け群61と外軸受け群62がそれぞれ設けられ、内軸受け群61と外軸受け群62が、それぞれ歯車ブラケット4の底壁と頂壁に設けられ、中間歯車53の回転軸には中間軸受け群63が設けられ、該中間軸受け群63が歯車ブラケット4の側壁に取り付けられ、図1及び図5に示されるように、内回転軸2の外周壁と歯車ブラケット4との間に内軸受け群61を設けることにより、内回転軸2を径方向に支持することができ、内回転軸2の回転精度を向上させることに有利であり、それにより、内回転軸2の不安的な伝動を回避することに有利であり、且つこのような構成により、回転中の内回転軸2と歯車ブラケット4との間の摩擦係数を効果的に低減させることができ、内回転軸2が歯車ブラケット4においてスムーズに回転するように促進し、ユーザーの使用体験を向上させることに有利である。同様に、外回転軸3の外周壁と歯車ブラケット4との間には外軸受け群62が設けられること、中間歯車53の回転軸の外周壁と歯車ブラケット4との間には中間軸受け群63が設けられることは、いずれも、外回転軸3と中間歯車53の回転軸の回転精度を向上させることに有利であり、且つ、外回転軸3と中間歯車53の回転軸が歯車ブラケット4にスムーズに回転できるようにし、さらにユーザーの使用体験を向上させる。
【0038】
また、図1に示されるように、内軸歯車51の底端は、内軸受け群61の頂端に当接し、外軸歯車52の頂端は、外軸受け群62の底端に当接し、中間歯車53は、それぞれ内軸歯車51及び外軸歯車52と噛み合い、このようにして、モーターが動作するときの外軸歯車52と内軸歯車51の軸方向の変位(すなわち、上下移動)を効果的に防止することができ、歯車伝動機構の伝動安定性及び信頼性を向上させることに有利であり、さらに機器全体の信頼性を向上させる。
【0039】
特に、本発明の実施例に係るモーター及び調理器具の他の構成及び機能は、当業者に公知のことであり、余計な説明をしないように、ここで詳しく説明しない。
【0040】
以上の内容は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則から逸脱せずに行われるいかなる修正、均等な置換、改良などは、いずれも本発明の特許範囲に属すべきである。
【0041】
なお、矛盾しない限り、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴を、任意の適切な方式で組み合せることができ、必要でない繰り返しを回避するために、本発明は、様々な可能性のある組み合せの実施形態を説明しない。
【0042】
また、本発明の様々な異なる実施形態を任意に組み合わせることもでき、本発明の構想を逸脱しない限り、これらは、本発明に開示される内容と見なすべきである。
【符号の説明】
【0043】
2 内回転軸
3 外回転軸
4 歯車ブラケット
11 フロントエンドカバー
12 外固定子
13 内回転子
14 リアエンドカバー
51 内軸歯車
52 外軸歯車
53 中間歯車
61 内軸受け群
62 外軸受け群
63 中間軸受け群
図1
図2
図3
図4
図5