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▶ イーエルシー マネージメント エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】触媒染色システムを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20220510BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 8/28 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220510BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220510BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/26
A61K8/28
A61K8/41
A61K8/44
A61K8/73
A61Q5/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020552279
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019024240
(87)【国際公開番号】W WO2019191201
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】62/648,609
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン ザ サード,ダニエル トーマス
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522237(JP,A)
【文献】特表2012-531512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒染色システムを形成する方法であって、連続する
(a)少なくとも1つの染料前駆体と、触媒と、を含む混合物を形成する工程、及び
(b)前記混合物にアルカリ化剤を添加して、前記触媒染色システムを形成する工程、を含み、前記触媒がアルミニウムジルコニウムグリシネートである、方法。
【請求項2】
前記触媒染色システムが、少なくとも1つの増粘剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒染色システムが水を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ化剤が、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミン、及び水酸化アンモニウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記染料前駆体がパラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、及びこれらの組み合わせを含まない、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化染色処理への毛髪の曝露時間を低減することによって、染色プロセスからの全体的な毛髪損傷を低減し得る、触媒毛髪染色システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の着色は、ますます人気のある慣行になってきた。人は、より若々しい外観を達成するためにスタイルの選択肢が広がる理由から、染毛を望んでいる。人は歳をとるにつれてメラニンの生成が遅くなり、白髪になる。メラニンを化学的処理によって意図的に変更して、より明るい陰影を与えることができる。明るくすることは、通常、ブリーチ(bleaches)とも呼ばれるアルカリ性溶液中の酸化剤でメラニン色素を酸化することによって達成される。使用することができる酸化剤の例は、過酸化水素、過ホウ酸塩又は過炭酸塩のカリウム塩、ナトリウム塩又はアンモニウム塩、過硫酸塩及び過カルバミドである。
【0003】
ブリーチも酸化染色処理中に使用される。酸化(又は「パーマネント」)染料組成物は、毛髪に拡散することができる小分子である「前駆体染料」を含む。これらの分子は、主に、ジアミン、アミノフェノール及びフェノールの3つの分類の芳香族化合物に属する。それらの分子は毛幹で拡散するのに十分に小さく、過酸化水素などの酸化剤によって活性化されると、他の前駆体と更に反応して、より大きな着色錯体を形成する。酸化毛髪染料組成物は、一般に、染料前駆体及び過酸化物源に加えて、様々な追加の化粧剤及び過酸化物安定化剤を含有する。
【0004】
酸化剤は、pHの範囲にわたって酸化染料前駆体を活性化することができる。しかしながら、酸化溶液のpHを調整することができる毛髪膨潤剤(HSA)を使用することにより、改善された染料の酸化が達成され得ることが知られている。かかるHSAは、毛髪繊維を膨潤させて毛髪への過酸化物及び染色剤の両方の拡散を補助し、より速く、より徹底的な染料酸化及び染毛を可能にすることによって、酸化及び染色プロセスを更に向上させる。過酸化物毛髪酸化組成物のpHを調整するための好ましい毛髪膨潤剤は、アンモニア(水酸化アンモニウム)又はモノエタノールアミン(MEA)を含有するアルカリ性水溶液である。
【0005】
低濃度のキレート剤は、様々な酸化組成物中の安定化剤又は防腐剤として日常的に使用されている。例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)は、過酸化水素溶液中の安定化剤として一般に使用され、EDTAがなければ過度に急速に分解し、長期間保管できない可能性がある。エチレンジアミンジスクシニン酸(EDDS)はまた、洗濯漂白製品の安定性を高めるための良好な安定化剤成分としても知られている。0.1重量%程度の少ない酸化組成物の量は、通常、酸化組成物中に含有される酸化剤を安定化させるために使用される。
【0006】
ブリーチ(退色)及び酸化染色などの毛髪の酸化処理は、良好な結果をもたらし、非常に一般的に使用される。しかしながら、それらが欠点を伴わないわけではない。ブリーチ及び酸化染色のために使用される酸化剤は、ある程度、毛髪を損傷する。毛髪繊維に損傷が生じる機構は、完全には理解されていない。しかしながら、ケラチン鎖を連結するジスルフィド結合の一部は、酸化組成物の存在下で破断することが知られている。酸化処理を繰り返すことで弱く脆い毛髪が残り、輝き及び光沢がほとんどなくなる。この問題に対処するために多大な努力がなされており、様々な解決策が提案されてきた。
【0007】
今日、ほとんどの染色又は漂白組成物は、コンディショナーと共に販売されており、コンディショナーは、漂白組成物又は染色組成物が洗い流された後に毛髪に塗布される。コンディショニング剤の例は、シリコーン、カチオン性界面活性剤、及びカチオン性ポリマーである。しかしながら、効率的なコンディショナーは、連続的な化学処理を防止することができず、早期の切れ毛(hair breakage)を引き起こす。実際に、コンディショナーは、毛髪をその初期状態に戻すのではなく、コンディショニング剤の保護層の下での損傷を隠しているに留まり、毛髪の感触が改善されるにすぎない。
【0008】
Forbes et.al.に対する米国特許第7,686,849号は、酸化染毛のための触媒としてのオルガノチタネート(organotitanate)の使用に対処する。この特許は、これらの有機チタン酸触媒が加水分解しやすく、結合剤として作用するオルガノチタネートの理論及び機構として加水分解を提供することを認識している。オルガノチタネートの高pH不安定性は、文献、学術、またベンダーで知られており、これらの触媒は、二酸化チタンを作製するために高pH配合条件下で加水分解することが完全に予想されている。
【0009】
酸化毛髪染色システムにおいて毛髪の損傷を最小限に抑える又は低減するための安定化されたアプローチによる染毛を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、触媒染色システムを形成する方法に関する。この方法は連続する、(1)少なくとも1つの染料前駆体と、触媒と、を含む混合物を形成する工程、及び(2)混合物にアルカリ化剤を添加して、触媒染色システムを形成する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】様々なpHレベルにおける本明細書の染色システムの反応速度を示す。
図2】本明細書の例示的な組成物の粘度vs.剪断速度の変化を示す比較グラフである。
図3A】本明細書の方法Iに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例1の製剤を示す。
図3B】本明細書の方法Iに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例1の製剤を示す。
図3C】本明細書の方法Iに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例1の製剤を示す。
図4A】本明細書の方法Iに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例2の製剤を示す。
図4B】本明細書の方法Iに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例2の製剤を示す。
図4C】本明細書の方法Iに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例2の製剤を示す。
図5A】本明細書の方法IIに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例3の製剤を示す。
図5B】本明細書の方法IIに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例3の製剤を示す。
図5C】本明細書の方法IIに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例3の製剤を示す。
図6A】本明細書の方法IIIに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例4の製剤を示す。
図6B】本明細書の方法IIIに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例4の製剤を示す。
図6C】本明細書の方法IIIに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例4の製剤を示す。
図7A】本明細書の方法IIに従って配合された、実施例3によるサンプル組成物の写真である。
図7B】本明細書の方法Iに従って配合された、実施例2によるサンプル組成物の写真である。
図8A】本明細書の方法IIIに従って配合された、実施例4によるサンプル組成物の写真である。
図8B】実施例1によるサンプル組成物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
染料前駆体化合物
酸化染料前駆体化合物としては、以下の従来の一次中間体及びカップラー物質を使用することができる。
【0013】
一次中間体として、オルト位又はパラ位に追加の遊離又は置換ヒドロキシ基又はアミノ基の置換基を持つ標準的な第一級芳香族アミン、特にピリミジン及びピラゾールの分類からのインドール誘導体化合物又は置換複素環式化合物、例えば、1,4-ジアミノベンゼン(p-フェニレンジアミン)、1,4-ジアミノ-2-メチルベンゼン(p-トルエン-ジアミン)、1,4-ジアミノ-2,6-ジメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ジメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2-クロロベンゼン、4-ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノアニリン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-(2-メトキシエチル)アミノアニリン、1,4-ジアミノ-2-(2-ヒドロキシ-エチル)-ベンゼン、1,3-ビス-N-(2-ヒドロキシ-エチル)-N-(4-アミノ-フェニル)-アミノ-2-プロパノール、2’,2-1,2-エタンジイル-ビス(オキシ-2,1-エタンジイルオキシ)-ビス-1,4-ジアミノベンゼン、4-アミノ-フェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-メチルアミノフェノール、4-アミノ-2-(アミノメチル)フェノール、4-アミノ-2-(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(メトキシメチル)-フェノール、5-アミノ-サリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリ-アミノ-4-ヒドロキシ-ピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(1-メチルエチル)-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4-メチルフェニル)メチル-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4-クロロ-フェニル)メチル-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、2,5-ジメチルピリジン、2-アミノ-6-メチルフェノール又は2-アミノ-5-メチルフェノールを単独で又は相互の組み合わせを使用することができる。
【0014】
好適なカップラー物質としては、例えば、置換されたm-ジアミノベンゼン、m-アミノフェノール、レゾルシノール誘導体化合物、インドール誘導体化合物、ナフトール、又は特にピリミジン及びピリジンの分類からの置換された複素環式化合物を使用することができ、例えば、単独で又は相互を組み合わせて、N,N-ジメチル-3-ウレイドアニリン、2,6-ジアミノ-ピリジン、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)アミノアニソール、2,4-ジアミノ-1-フルオロ-5-メチル-ベンゼン、2,4-ジアミノ-1-メトキシ-5-メチルベンゼン、2,4-ジアミノ-1-エトキシ-5-メチルベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メチルベンゼン、2,4-ジ-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-1,5-ジメトキシ-ベンゼン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、3-アミノ-6-メトキシ-2-(メチルアミノ)ピリジン、2,6-ジアミノ-3,5-ジメトキシ-ピリジン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン、3-ジ-(2-ヒドロキシエチル)-アミノアニリン、4-アミノ-1-エトキシ-2-ジ-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-ベンゼン、5-メチル-2-(1-メチルエチル)フェノール、3-(2-ヒドロキシ-エチル)アミノアニリン、3-(2-アミノエチル)アミノアニリン、1,3-ジ-(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノ-ベンゼン、2,6-ビス-(2-ヒドロキシエチル)アミノトルエン、3-ジメチル-アミノフェノール、5-アミノ-2-メチル-フェノール、5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルフェノール、5-アミノ-4-メトキシ-2-メチル-フェノール、5-アミノ-4-エトキシ-2-メチル-フェノール、3-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、3-ジエチルアミノフェノール、3-アミノ-2-クロロ-6-メチル-フェノール、3-アミノフェノール、3-(アミドメチル)アミノフェノール、5-(2-ヒドロキシ-エチル)アミノ-2-メチル-フェノール、3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-フェノール、5-アミノ-2-エチルフェノール、5-(3-ヒドロキシプロピル)アミノ-2-メチルフェノール、3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アミノ-2-メチルフェノール、3-(2-ヒドロキシ-エチル)アミノ-2-メチルフェノール、5-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-1,3-ベンゾジオキソール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチル-ベンゼン、3,4-メチレンジオキシベンゼン、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-ヒドロキシ-6-ブロモ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、5-アミノ-4-クロロ-2-メチルフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、6-ヒドロキシ-2H-1,4-ベンゾオキサジン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1-ナフトール、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、2,6-ジヒドロキシピリジン、2-メチル-1-ナフトールアセテート、フェニルメチルピラゾロン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、4-ヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、2,3-インドリジオン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリミジン、又は4,5,6-ジヒドロキシ-インドリンが挙げられる。
【0015】
組成物は、先に挙げた一次中間体及びカップラー物質のうちの1つ以上を含有してもよい。これらの染料化合物は、それらが塩基である限り、生理学的に適合性のある酸付加塩の形態、例えば塩酸塩及び/若しくは硫酸塩として、又は芳香族OH基を有する限り、塩基を有する塩の形態、例えばアルカリフェノレートとして使用することもできる。
【0016】
酸化染料前駆体化合物は、本発明による酸化染料組成物中に含有される使用準備ができている(ready-to-use)染料混合物に基づいて、0.001重量%~20重量%の総量、好ましくは染色システムの0.01重量%~5重量%の総量で含まれる。一次中間体及びカップラー物質は、好ましくは等モル量で使用される。しかしながら、これらの分類の物質のうちの1つが他方に対して過剰に存在する場合、又はその逆の場合も不都合ではない。一次中間体及びカップラー物質は、例えば、約1:0.5~約1:2の比でそれぞれ存在し得る。
【0017】
酸化剤
本発明は酸化剤を含む。例示的な酸化剤としては、例えば、過炭酸塩、過硫酸塩、有機過酸、及び有機ヒドロペルオキシドが挙げられる。特定の状況では、分子酸素(空気を含む)も使用され得る。本発明によれば、好ましい酸化剤は過酸化水素である。一実施形態では、酸化剤は、染色システムの約0.75重量%~約6重量%の濃度で存在してもよい。
【0018】
染色触媒
本発明は、触媒として使用するための少なくとも1つの金属含有化合物を含む。金属含有化合物は、好ましくは、少なくとも1つの無機金属化合物を含む。好ましい無機金属化合物は、スカンジウム、バナジウム、クロム、モリブデン、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム及び亜鉛などのdブロック遷移金属の化合物を含み、これらに限定されるものではないが、これらの金属の酢酸塩、アセチルアセトネート、アルミン酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、炭酸塩、亜塩素酸塩、シアン化物、ジエチルシトレート、ハロゲン化物、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロシリケート、リン酸二水素、炭酸水素塩、硫酸水素塩、硫化水素、亜硫酸水素塩、水酸化物、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、パーフルオロフタロシアニン、過酸化物、リン酸塩、フタロシアニン、ピロリン酸塩、ケイ酸塩、スルファミン酸塩、サルフェート、硫化物、亜硫酸塩、酒石酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、チオシアン塩酸、チオレート、チオ硫酸塩、トシレート、及びトリフレートが挙げられる。
【0019】
この状況で特に好ましい化合物としては、VBr、VCl、VCl、VCl、V2O、V2O、V、VO(SO)、VOCl、VOF、V(C、VO(C、VO(OR)、Mo(OCOCH、Mo(CO)、MoCl、MoCl、MoOCl、MoF、MoO、MoO、MoS、MoOCl、MoSO、Mn(OCOCH、Mn(OCOCH.xHO、Mn(C、MnBr、MnBr.xHO、MnCo、MnCoxHO、Mn(Co)10、MnCl、MnCl.xHO、MnF、MnF、Mn(HCO.xHO、MnI、Mn(NO、Mn(NO.xHO、Mn、Mn、MnO、Mn(C2H16)、MnSO、MnSO.xHO、MnS、Fe(OCOCH、Fe(OCOCH、FeBr、FeBr、FeCl、FeCl.xHO、FeCl、FeCl.xHO、Fe(OEt)、FeSO.NHCHCHNHSO.4HO、Fe4[Fe(CN)、FeF、FeF、FeF.xH2O、Fel、Fe(CHCHOHCOO).xH2O、Fe(NO.xHO、Fe(C).xHO、FeO、Fe、Fe、FePO.xHO、Fe(C3216)、FeSO.xHO、FeS、Fe(BF).xHO、Fe(SCN)、Co(OCOCH、Co(OCOCH.xHO、Co(C、Co(C.xHO、AlCoO、CoBr、CoBr.xHO、CoCO、CoCO.xHO、Co(Co)、CoCl、CoCl.xHO、CoF、Co[CH(CHCH(C)Co、Co(OH)、CoCl、Co(NO、Co(NO.xHO、Co(O)、Co(C).xHO、CoSO、CoSO.xHO、Co(BF、Co(BF.xHO、Co(SCN)、Ni(OCOCH、Ni(OCOCH).xHO、Ni(C、NiBr、NiBr.xHO、NiCo、Ni(Co).xNi(OH)、NiCl、NiCl.xHO、NiOCoO、Ni[CH(CHCH(C)Co、NiF、Ni(OH)、Nil、Ni(NO3)、Ni(NO.xHO、Ni(C)、Ni(C).xHO、NiO、NiO.xHO、Ni(C3216)、Ni(SONH、Ni(SONH.xHO、NiSO、NiSO.xHO、Ni、NiZnFe、CuOCOCH、Cu(OCOCH、Cu(OCOCH.xHO、Cu(C、CuBr、CuBr、CuCo、CuCo.Cu(OH)、CuCl、CuCl、CuCl.xHO、Cu[CH(CHCH(C)Co、CuF、CuF.xHO、Cu(HCo、Cu(HCo.xHO、Cu(OH)、Cu(OH)PO、CuI、CuFe、Cu(NO、Cu(NO.xHO、CuO、CuO、Cu(C3216)、Cu.xHO、CuSO、CuSO.xHO、CuS、Cu[OCCH(OH)CH(OH)Co].xHO、Cu(BF、Cu(BF).xHO、Cu(SCN)、Zn(OCOCH、Zn(OCOCHxHO、Zn(C、Zn(C.xHO、ZnBr、ZnBr.xHO、ZnCl、ZnF、Zn(C3216)、Zn(CHF、Zn(CHF.xHO、ZnSiF.xHO、Znl、ZnFe、Zn(NO、Zn(NO.xHO、Zn(C)、Zn(C).xHO、ZnO、ZnO.xHO、ZnO、Zn(PO、Zn(C3216)、ZnSO、ZnSO.xHO、ZnS、Zn(BF、Zn(BF.xHO、Zr(OCOCH、Zr(OCOCH(OH)4-x、Zr(C5H7O2)、Zr(C264416)、ZrCO(OH.ZrO、ZrCl4、ZrF、ZrF.xHO、Zr(HPO、Zr(OH)、Zrl、ZrO(NO、ZrO(NO.xHO、Zr(SO、Zr(SO.xHO、ZrOCl、及びZrOCl.xHOが挙げられる。これらの化合物は、例えば、p-アミノフェノール又はm-アミノフェノールなどの容易に入手可能なアミノフェノール化合物、及び過酸化水素などの酸化剤と組み合わせて適用されてもよい。
【0020】
触媒として使用するための代替的な金属化合物は、カリウムなどの第1族のアルカリ金属の塩、又は第2族のアルカリ土類金属、例えばマグネシウムを含む。好適な塩の具体例としては、酢酸塩、アセチルアセトネート、アルミン酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、炭酸塩、亜塩素酸塩、シアン化物、ジエチルシトレート、ハロゲン化物、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロシリケート、リン酸二水素、炭酸水素塩、硫酸水素塩、硫化水素、亜硫酸水素塩、水酸化物、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、パーフルオロフタロシアニン、過酸化物、リン酸塩、フタロシアニン、ピロリン酸塩、ケイ酸塩、スルファミン酸塩、スルフェート、硫化物、亜硫酸塩、酒石酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、チオシアン酸塩、チオレート、チオ硫酸塩、トシレート、及びトリフレート、例えば、KAI(SOCO、KPO、KNO、KCl、MgSO、Mg(PO、MgCO、Mg(NO及びMgClが挙げられる。
【0021】
少なくとも1つの金属含有化合物が少なくとも1つの無機金属化合物を含む本発明の特定の実施形態では、触媒は、少なくとも1つの鉱物又は粘土を含んでもよい。鉱物又は粘土の好ましい例としては、アナターゼ、ブロッサイト、ユージリライト、イメンライト、ペロブスカイト、ルチル、サバナイト、ジルコン、ジルライトライト、ジルコイライト、又はジルコンライトが挙げられる。
【0022】
染色システムを毛髪繊維に塗布する場合、触媒として使用するための少なくとも1つの金属含有化合物は、少なくとも1つの有機配位子を含む少なくとも1つの金属錯体を含むことが好ましい。少なくとも1つの染料前駆体は、芳香族アミノ化合物、フェノール化合物、又はp-又はm-アミノフェノールなどのアミノフェノール化合物を含み、酸化剤が過酸化水素であることも好ましい。
【0023】
本発明の状況では、少なくとも1つの有機配位子を含む少なくとも1つの金属錯体を含む特に好適な触媒は、金属キレートであり、最も具体的には、少なくとも1つの有機配位子を含むジルコニウム錯体である。典型的な配位子としては、任意に置換されたアルキル配位子が挙げられる。かかる触媒の特に好ましい例は、アルミニウムジルコニウムグリシネート(AZG)キレート錯体である。
【0024】
AZGは、チタン系金属化合物に対して特に好ましい。ジルコニウム及びチタンの両方は、加水分解重合(オレーションとして知られる)を受けて、高分子量オリゴマーを形成することが知られている。アルミニウムジルコニウムクロロハイドレート及びグリシネートの場合、この反応は、触媒反応性に実質的に影響を及ぼさず、材料の構造を根本的に変化させることもない。対照的に、オルガノチタネートは、この環境において構造的に修飾されて、これらの条件下で触媒的に不活性である酸化チタンを形成する。したがって、一実施形態では、染色触媒はチタンを含まない。更に別の実施形態では、本発明の組成物はチタンを含まない。
【0025】
染色触媒は、染色システムの約0.0001~20重量%の濃度で存在してもよい。
【0026】
アルカリ化剤
本発明は、アルカリ化剤を含んでもよい。好適なアルカリ化剤としては、例えば、アミノメチルプロパノール(AMP)及びモノエタノールアミン(MEA)などのアルカノールアミンが挙げられる。特に好ましいアルカリ化剤はアンモニアである。
【0027】
アルカリ化剤は、毛髪のキューティクルを持ち上げて、キューティクルの下に染料化合物の送達を促進する目的で、毛髪を染色する当該技術分野で知られている。主に、その匂い及び毛髪損傷の知覚のため、アンモニアを回避する努力がなされてきたが、本明細書では、アルカリ化剤と触媒との組み合わせが反応速度を増加させることから、毛髪損傷を低減し得ることが見出された。
【0028】
本発明は、有利には約9以上のpHで機能することも見出された。したがって、本明細書のアルカリ化剤は、pH調整剤として使用することができ、pHを約9以上に促進することができる。好ましくは、本発明のpHは、約9~約10である。
【0029】
好ましくは、アルカリ化剤は、染色システムの約0.1重量%~25重量%の濃度で存在し得る。
【0030】
図1は、様々なpHレベルにおける本明細書の染色システムの反応速度を示す。5mol%のアルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレックス(Rezal 67、SummitReheis)の存在下で、水(20mL)中の過酸化水素(5当量)によって媒介されるm-アミノフェノール(3.0mmol)の自己カップリング反応を、様々なpH値(HCl又はNHOHで調整)でUV-vis分光法によってモニターした。吸収速度は、本明細書の触媒を含む染色システムのpHに正比例する。例えば、pH8.97(約pH9)では、吸収速度は、6.61未満のpHレベルでの吸収速度の2倍を超える。したがって、本明細書の触媒は、pHレベルと相乗的に作用して、吸収速度を決定する。したがって、約9以上のpHレベルでは、染色プロセスは、例えば6.61未満のpHレベルよりも速い。
【0031】
増粘剤
増粘剤としては、増粘剤又はゲル化剤を含み、組成物の粘度を高める又は制御することができる物質が挙げられる。増粘剤としては、組成物内の有効成分の有効性を実質的に変更することなく、組成物の粘度を高めることができるものが挙げられる。増粘剤はまた、組成物の安定性を高めることができる。
【0032】
本発明の状況で使用することができる増粘剤の非限定的な例としては、カルボン酸ポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、多糖、及びガムが挙げられる。カルボン酸ポリマーの例としては、アクリル酸、置換アクリル酸、並びにこれらのアクリル酸及び置換アクリル酸の塩及びエステルから誘導される1つ以上のモノマーを含有する架橋化合物が挙げられ、架橋剤は2つ以上の炭素-炭素二重結合を含有し、多価アルコールに由来する(米国特許第5,087,445、同第4,509,949号同第2,798,053号、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fourth edition,1991、12頁及び80頁を参照されたい)。市販のカルボン酸ポリマーの例としては、スクロース又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー(例えば、B.F.Goodrich製のCarbopol(商標) 900シリーズ)が挙げられる。
【0033】
架橋ポリアクリレートポリマーの非限定的な例としては、カチオン性及び非イオン性のポリマーが挙げられる。米国特許第5,100,660号、同第4,849,484号、同第4,835,206号、同第4,628,078号、同第4,599,379号に例が記載されている。
【0034】
ポリアクリルアミドポリマー(置換された分枝又は非分岐のポリマーを含む非イオン性ポリアクリルアミドポリマーを含む)の非限定的な例としては、ポリアクリルアミド、イソパラフィン及びラウレス-7、アクリルアミド及び置換アクリルアミドとアクリル酸及び置換アクリル酸とのマルチブロックコポリマーが挙げられる。
【0035】
多糖の非限定的な例としては、セルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、セルロース硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。別の例は、セルロースポリマーのヒドロキシ基がヒドロキシアルキル化(好ましくはヒドロキシエチル化又はヒドロキシプロピル化)されてヒドロキシアルキル化セルロースを形成し、次いで、エーテル結合によりC10~C30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基で更に修飾される、アルキル置換セルロースである。他の有用な多糖としては、3単位毎に(1個~6個の)連結グルコースを有する(1個~3個の)連結グルコース単位の直鎖を含むスクレログルカンが挙げられる。
【0036】
本発明と共に使用することができるガムの非限定的な例としては、アカシア、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カルシウムカラギーナン、カルニチン、カラギーナン、キトサン、デキストリン、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸、水和シリカ、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアー、カラヤガム、ケルプ、ローカストビーンガム、ナットー(natto)ガム、アルギン酸カリウム、カリウムカラギーナン、アルギン酸プロピレングリコール、スクレリンガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ナトリウムカラギーナン、トラガカントガム、キサンタンガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
増粘剤の更なる非限定的な例としては、カルボマー、セチルアルコール、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマー、アルミニウムデンプンアクテニルサクシネート、コカミドプロピルベタイン、PPG-2ヒドロキシエチルココ/イソステアラミド、酸化スズ、ヘキサデカンコポリマー、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、アルミナ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ケイ酸ナトリウムカルシウムアルミニウム、合成フルオロフロゴパイト、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クオタニウム-90ベントナイト、カオリン、及びEDTA二ナトリウムが挙げられる。
【0038】
非限定的な例
以下の実施例は、本発明の組成物の特定の実施形態を示すが、これらを限定することを意図するものではない。他の修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって行うことができる。
【0039】
以下の実施例に示す組成物は、以下に記載の方法に従って調製する。別段の明示がない限り、例示される全ての量は重量パーセントとして列挙され、希釈剤、防腐剤、着色溶液、イメージ成分(imagery ingredients)、植物などの微量物質を除外する。
【0040】
以下は、本発明の染色システムを表す。
【0041】
【表1】
SummitReheisから入手可能なアルミニウムジルコニウムグリシネート
Crodaから入手可能なSP ARLACEL 165-MBAL-PW-(AP)
【0042】
染色システムを形成する方法
染色システムの成分は、様々な条件に従って組み合わせることができる。染色システムを形成するための例示的な方法を以下に説明する。
【0043】
比較の目的で、上に提示される実施例1は、本発明の触媒が存在しない染料組成物を示す。この製剤を以下の方法に従って調製することができる。
【0044】
触媒を含まない染色システムを製剤化する方法
実施例1は、以下の方法に従って形成される。水、デシルグルコシド、及びグリセリンをプロペラを使用して適度に撹拌しながらビーカーに添加することによって相Aを調製する。均質になると、エリソルビン酸、EDTA四ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムを添加する。次いで、混合物を80℃に加熱する。およそ70℃で、p-アミノフェノール及び4-アミノ-2-ヒドロキシトルエンを、溶解を補助するために撹拌速度を上げて添加する。
【0045】
成分を単一のビーカーに秤量し、ホットプレート上で80℃に加熱することによって相Bを調製する。
【0046】
両方の相が80℃に達したら、それらを合わせ、熱を除去し、このシステムを冷却させる。
【0047】
混合物が35℃に冷却されると、相Cの水酸化アンモニウムを、濃厚で均質なエマルジョンが得られるまで、激しく混合しながら、相A及び相Bの混合物と混合する。次いで、最終エマルジョンを、後で使用するために好適な容器に移す。
【0048】
触媒を含む染色システムを形成する方法
上記の実施例2~実施例8は、本発明による触媒を含む染色システムの例示である。かかる染色システムを配合するための様々な方法が以下に提供される。
【0049】
方法I
実施例2は、以下の方法に従って調製される。水、デシルグルコシド、及びグリセリンをプロペラを使用して適度に撹拌しながらビーカーに添加することによって相Aを調製する。均質になると、エリソルビン酸、EDTA四ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムを添加する。次いで、混合物を80℃に加熱する。およそ70℃で、p-アミノフェノール及び4-アミノ-2-ヒドロキシトルエンを、溶解を補助するために撹拌速度を上げて添加する。
【0050】
成分を単一のビーカーに秤量し、ホットプレート上で80℃に加熱することによって相Bを調製する。
【0051】
両方の相が80℃に達したら、それらを合わせ、熱を除去し、このシステムを冷却させる。
【0052】
この実施例では、混合物が40℃まで冷却されると、AZG触媒を混合物に添加する。混合物が35℃に更に冷却された後、相Cの水酸化アンモニウムを、濃厚で均質なエマルジョンが得られるまで、激しく混合しながら、相A及び相Bの混合物と混合する。次いで、最終エマルジョンを、後で使用するために好適な容器に移す。
【0053】
方法II
実施例3は、以下の方法に従って調製される。水、デシルグルコシド、及びグリセリンをプロペラを使用して適度に撹拌しながらビーカーに添加することによって相Aを調製する。均質になると、エリソルビン酸、EDTA四ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムを添加する。次いで、混合物を80℃に加熱する。この実施例では、およそ70℃で、AZG触媒を水相に添加する。これは、液体の濁りの変化を伴う。均質になると、p-アミノフェノール及び4-アミノ-2-ヒドロキシトルエンを、溶解を補助するために撹拌速度を上げて添加する。
【0054】
成分を単一のビーカーに秤量し、ホットプレート上で80℃に加熱することによって相Bを調製する。
【0055】
両方の相が80℃に達したら、それらを合わせ、熱を除去し、このシステムを冷却させる。
【0056】
混合物が35℃に冷却されると、相Cの水酸化アンモニウムを、濃厚で均質なエマルジョンが得られるまで、激しく混合しながら、相A及び相Bの混合物と混合する。次いで、最終エマルジョンを、後で使用するために好適な容器に移す。
【0057】
方法III
実施例4は、以下の方法に従って調製される。水、デシルグルコシド、及びグリセリンをプロペラを使用して適度に撹拌しながらビーカーに添加することによって相Aを調製する。均質になると、エリソルビン酸、EDTA四ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムを添加する。次いで、混合物を80℃に加熱する。およそ70℃で、p-アミノフェノール及び4-アミノ-2-ヒドロキシトルエンを、溶解を補助するために撹拌速度を上げて添加する。
【0058】
成分を単一のビーカーに秤量し、ホットプレート上で80℃に加熱することによって相Bを調製する。
【0059】
両方の相が80℃に達したら、それらを合わせ、熱を除去し、このシステムを冷却させる。
【0060】
混合物が35℃に冷却されると、相Cの水酸化アンモニウムを、濃厚で均質なエマルジョンが得られるまで、激しく混合しながら、相A及び相Bの混合物と混合する。最後に、AZG触媒を、増粘したエマルジョンにゆっくりと添加する。添加が完了し、均質になれば、次いで、最終エマルジョンは、後で使用するために好適な容器に移される。
【0061】
実施例2~実施例4は、それらの全体的な成分一覧に関して互いに同一であるが、上記で検討した個別の方法に従って配合される。実施例5~実施例8は、更なる例示目的のために提供され、本明細書に記載される方法のいずれかに従って調製され得る。実施例2~実施例4のそれぞれは、実施例1が触媒を含まないという点で実施例1とは異なり、したがって、異なる方法に従って配合される。図2は、その粘度に対する触媒の基本製剤への添加の影響を示す。配合方法I及び配合方法IIによれば、触媒の添加は、染色システムの全体的な粘度を増加させる。これらの方法は、本明細書の触媒システムの展延性及び均一な分布を向上させる。しかしながら、方法IIIに記載される技術は、方法I及び方法IIの粘度効果を達成することができない。したがって、触媒が導入される前にNHなどのアルカリ化剤を添加すると、触媒の不均一な分布がもたらされることがわかっている。
【0062】
図3A図3Cは、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での、実施例1の製剤を示す。染料構造の配向は、図3に示す実施例1の粘度プロファイルと相関すると考えられる。染色システムが増粘するにつれて、構造はますます高密度になる。
【0063】
図4A図4Cは、本明細書の方法Iに従って配合され、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での実施例2の製剤を示す。これらの描写に示されるように、染色システムは、触媒の分布が均一であり、より高密度である。
【0064】
図5A図5Cは、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での、本明細書の実施例3の製剤を示す。これらの描写に示されるように、方法IIに従って配合された染色システムは、濃密な稠度をもたらす。
【0065】
図6A図6Cは、配合後24時間の拡大倍率(それぞれ4倍、20倍、及び10倍)の下での、実施例4の製剤を示す。これらの描写に示されるように、方法IIIに従って配合された染色システムは、図3A図3Cに示される染色システムに概ね適合する構造をもたらす。したがって、方法IIIの適用からは増粘効果はもたらされない。
【0066】
図7A図7B及び図8Bは、均質な稠度を有する染色システムを示す。図7A及び図7Bは、特に、本明細書の触媒の均質な分布を含む増粘システムを示す。
【0067】
対照的に、図8Aは、本明細書の触媒の散在クラスターを有する不均質システムを示す。このシステムは、触媒の不均一な分布をもたらし、システムに触媒「ホットゾーン」を生じ、これは毛髪に対する触媒システムの塗布の制御に適していない。これは、本明細書の方法IIIに記載されるように、触媒を添加する前にシステムをアルカリ化する欠点を更に実証する。
実施例実施例 更に、本明細書の製剤により達成される反応速度の向上を考慮すると、パラフェニレンジアミン(PPD)及びパラトルエンジアミン(PTD)などの既知の増感剤は、本明細書の染色システムに必須ではない。ない。したがって、一実施形態では、本明細書の染色システムはPPD又はPTDを含まない。
【0068】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、別段の指定がない限り、かかる各寸法は、列挙された値及びその値を取り囲む機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0069】
任意の相互参照又は関連特許若しくは出願を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明示的に除外されるか、ないしは別の方法で限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、それが本明細書に開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であることを認めるものではなく、又は単独で若しくは任意の他の参照(複数の場合もある)の任意の組み合わせにおいて、任意のかかる発明を教示、示唆若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する限りでは、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0070】
本発明の特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な他の変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、添付の特許請求の範囲において、かかる変更及び修正は全て本発明の範囲内に包含されることが意図される。
本発明の態様として、例えば以下を挙げることができる。
[項1]
触媒染色システムを形成する方法であって、連続する
(a)少なくとも1つの染料前駆体と、触媒と、を含む混合物を形成する工程、及び
(b)前記混合物にアルカリ化剤を添加して、前記触媒染色システムを形成する工程、を含む、方法。
[項2]
前記混合物が、少なくとも1つの増粘剤を更に含む、項1に記載の方法。
[項3]
前記触媒が、少なくとも1つの無機金属化合物を含む、項1に記載の方法。
[項4]
前記無機金属化合物が、dブロック遷移金属の少なくとも1つの化合物、第1族のアルカリ金属の塩、及び第2族のアルカリ土類金属からなる群から選択される、項3に記載の方法。
[項5]
前記dブロック遷移金属が、スカンジウム、バナジウム、クロム、モリブデン、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム及び亜鉛からなる群から選択されるか、又は前記第1族のアルカリ金属がカリウムを含み、又は前記第2族のアルカリ土類金属がマグネシウムを含む、項4に記載の方法。
[項6]
前記少なくとも1つの無機金属化合物が、酢酸塩、アセチルアセトネート、アルミン酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、炭酸塩、亜塩素酸塩、シアン化物、ジエチルシトレート、ハロゲン化物、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロシリケート、リン酸二水素、炭酸水素塩、硫酸水素、硫化水素、亜硫酸水素塩、水酸化物、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、パーフルオロフタロシアニン、過酸化物、リン酸塩、フタロシアニン、ピロリン酸塩、ケイ酸塩、スルファミン酸塩、サルフェート、硫化物、亜硫酸塩、酒石酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、チオシアン酸塩、チオレート、チオ硫酸塩、トシレート、及びトリフレートからなる群から選択される、項3に記載の方法。
[項7]
前記第1のプレミックスが水を更に含む、項1に記載の方法。
[項8]
前記触媒が、アルミニウムジルコニウムグリシネートである、項1に記載の方法。
[項9]
前記アルカリ化剤が、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミン、及び水酸化アンモニウムからなる群から選択される、項1に記載の方法。
[項10]
前記染料前駆体がパラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、及びこれらの組み合わせを実質的に含まない、項1に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B