(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/00 20060101AFI20220510BHJP
H01H 50/54 20060101ALI20220510BHJP
H01H 50/20 20060101ALI20220510BHJP
H01H 9/32 20060101ALI20220510BHJP
H01H 9/44 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H01H50/00 D
H01H50/54 E
H01H50/20 A
H01H9/32
H01H9/44 A
(21)【出願番号】P 2020555394
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2019059241
(87)【国際公開番号】W WO2019201735
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】201820535621.3
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516247340
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス(シェンツェン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオニン
(72)【発明者】
【氏名】ヅォウ,テン
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03194918(US,A)
【文献】中国実用新案第207074608(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0246403(US,A1)
【文献】中国実用新案第207124166(CN,U)
【文献】特開平11-022602(JP,A)
【文献】特開平07-320606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00
H01H 50/16-50/42
H01H 50/54
H01H 9/32
H01H 9/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)と、
前記ハウジング(1)内に設けられ、静止コンタクト部分(311、321)を有する静止コンタクト(310、320)および可動コンタクト部分(411、421)を有する可動コンタクト(400)を備える電気コンタクトシステム(10)と、
前記ハウジング(1)内に設けられ、前記可動コンタクト(400)を駆動して、前記可動コンタクト(400)が前記静止コンタクト(310、320)に電気的に接触する閉位置と、前記可動コンタクト(400)が前記静止コンタクト(310、320)から分離される開位置との間で
動くように構成された電磁システム(20)とを備え、
前記電気コンタクトシステム(10)が、永久磁石(610、620)を備える磁気吹消し消弧デバイス(610、620、710、720)をさらに備え、前記永久磁石(610、620)が、前記静止コンタクト(310、320)付近に静止して設けられ、電磁力によって前記静止コンタクト部分(311、321)と前記可動コンタクト部分(411、421)との間で電気アークを長くして前記電気アークを消滅させるように構成され
ており、
前記電気コンタクトシステム(10)は、別個の消弧デバイス(210、220)をさらに備え、
前記別個の消弧デバイス(210、220)は、消弧シート(201、202)を有し、
前記消弧シート(201,202)は、前記可動コンタクト(400)が前記閉位置から前記開位置の方へ動かされるにつれて、前記電気アークを前記永久磁石(610、620)の方へ押して、前記電気アークを前記永久磁石(610、620)の近傍へ動かすように適合されている、リレー。
【請求項2】
前記電気コンタクトシステム(10)は、前記可動コンタクト(400)が取り付けられた回転部材(100)をさらに備え、
前記電磁システム(20)は、前記回転部材(100)を駆動して回転させるように適合され、その結果、前記可動コンタクト(400)は、前記閉位置と前記開位置との間を回転するように駆動される、
請求
項1に記載のリレー。
【請求項3】
前記磁気吹消し消弧デバイス(610、710、620、720)は、磁気ヨーク(710、720)をさらに備え、前記永久磁石(610、620)および前記静止コンタクト(310、320)は、前記磁気ヨーク(710、720)によって取り囲まれた収容空間内に配置されている、
請求項
2に記載のリレー。
【請求項4】
前記別個の消弧デバイス(210、220)は、
前記消弧シート(201、202)を有し、前記回転部材(100)に嵌合され、前記別個の消弧デバイス(210、220)は、前記回転部材(100)によって回転され、
前記可動コンタクト(400)が前記閉位置へ回転されたとき、前記消弧シート(201、202)は、前記可動コンタクト部分(411、421)および前記静止コンタクト部分(311、321)の接触領域外へ回転されて、前記可動コンタクト部分(411、421)が前記静止コンタクト部分(311、321)に電気的に接触することを可能にし、
前記可動コンタクト(400)が前記開位置へ回転されたとき、前記消弧シート(201、202)は、前記可動コンタクト部分(411、421)および前記静止コンタクト部分(311、321)の前記接触領域内へ回転されて、前記可動コンタクト部分(411、421)を前記静止コンタクト部分(311、321)から電気的に分離し、前記電気アークを切断する、
請求項
3に記載のリレー。
【請求項5】
前記可動コンタクト(400)が前記
閉位置から前記開位置の方へ回転されるにつれて、前記消弧シート(201、202)は、前記電気アークを前記永久磁石(610、620)の方へ押して、前記電気アークを前記永久磁石(610、620)の近傍へ動かす、
請求項
4に記載のリレー。
【請求項6】
前記電気コンタクトシステム(10)は、静止絶縁分離壁(501、502)をさらに備え、
前記可動コンタクト(400)が前記開位置へ回転されたとき、前記静止絶縁分離壁(501、502)および前記消弧シート(201、202)は互いに接触し、または前記静止絶縁分離壁(501、502)と前記消弧シート(201、202)との間にスリットのみが形成されている、
請求項
5に記載のリレー。
【請求項7】
前記電気コンタクトシステム(10)が、絶縁ベース(500)をさらに備え、前記絶縁分離壁(501、502)は、前記絶縁ベース(500)に形成され、前記回転部材(100)および前記別個の消弧デバイス(210、220)は、前記絶縁ベース(500)に回転可能に取り付けられている、
請求項
6に記載のリレー。
【請求項8】
前記絶縁ベース(500)に絶縁固定壁(510、520)が形成され、前記磁気ヨーク(710、720)および前記永久磁石(610、620)は、前記絶縁固定壁(510、520)と前記絶縁分離壁(501、502)との間に締め付けられて固定されている、
請求項
7に記載のリレー。
【請求項9】
前記磁気ヨーク(710、720)の一方の端部(711、721)は、前記絶縁固定壁(510、520)のスロットに挿入され、前記磁気ヨーク(710、720)の他方の端部(712、722)は、前記静止コンタクト(310、320)のうち前記静止コンタクト部分(311、321)とは反対側に位置し、
前記永久磁石(610、620)は、前記磁気ヨーク(710、720)、前記絶縁固定壁(510、520)、および前記絶縁分離壁(501、502)によって画定された取付けチャンバに埋め込まれている、
請求項
8に記載のリレー。
【請求項10】
前記静止コンタクト(310、320)は、第1の静止コンタクト(310)および第2の静止コンタクト(320)を備え、前記可動コンタクト(400)は、前記第1の静止コンタクト(310)と前記第2の静止コンタクト(320)との間に設けられ、
前記第1の静止コンタクト(310)は、第1の静止コンタクト部分(311)を有し、前記第2の静止コンタクト(320)は、第2の静止コンタクト部分(321)を有し、
前記可動コンタクト(400)の第1の端部(410)は、前記第1の静止コンタクト部分(311)に電気的に接触する第1の可動コンタクト部分(411)を備え、前記可動コンタクト(400)の第2の端部(420)は、前記第2の静止コンタクト部分(321)に電気的に接触する第2の可動コンタクト部分(421)を備える、
請求項
9に記載のリレー。
【請求項11】
前記磁気吹消し消弧デバイス(610、710、620、720)は、第1の磁気吹消し消弧デバイス(610、710)および第2の磁気吹消し消弧デバイス(620、720)を備え、
前記第1の磁気吹消し消弧デバイス(610、710)は、前記第1の静止コンタクト部分(311)と前記第1の可動コンタクト部分(411)との間の第1の電気アークを消滅させるように前記第1の静止コンタクト(310)の近傍に静止して配置された第1の永久磁石(610)を備え、
前記第2の磁気吹消し消弧デバイス(620、720)は、前記第2の静止コンタクト部分(321)と前記第2の可動コンタクト部分(421)との間の第2の電気アークを消滅させるように前記第2の静止コンタクト(320)の近傍に静止して配置された第2の永久磁石(620)を備える、
請求項
10に記載のリレー。
【請求項12】
前記第1の磁気吹消し消弧デバイス(610、710)は、第1の磁気ヨーク(710)をさらに備え、前記第1の永久磁石(610)および前記第1の静止コンタクト(310)は、前記第1の磁気ヨーク(710)によって取り囲まれた第1の収容空間内に配置され、
前記第2の磁気吹消し消弧デバイス(620、720)は、第2の磁気ヨーク(720)をさらに備え、前記第2の永久磁石(620)および前記第2の静止コンタクト(320)は、前記第2の磁気ヨーク(720)によって取り囲まれた第2の収容空間内に配置されている、
請求項
11に記載のリレー。
【請求項13】
前記別個の消弧デバイス(210、220)は、第1の消弧シート(201)を有する第1の別個の消弧デバイス(210)と、第2の消弧シート(202)を有する第2の別個の消弧デバイス(220)とを備える、
請求項
12に記載のリレー。
【請求項14】
前記可動コンタクト(400)が前記開位置へ回転されたとき、前記第1の消弧シート(201)は、前記第1の可動コンタクト部分(411)および前記第1の静止コンタクト部分(311)の接触領域内へ回転されて、前記第1の可動コンタクト部分(411)を前記第1の静止コンタクト部分(311)から電気的に分離し、前記第1の電気アークを切断し、
前記可動コンタクト(400)が前記開位置へ回転されたとき、前記第2の消弧シート(202)は、前記第2の可動コンタクト部分(421)および前記第2の静止コンタクト部分(321)の接触領域内へ回転されて、前記第2の可動コンタクト部分(421)を前記第2の静止コンタクト部分(321)から電気的に分離し、前記第2の電気アークを切断する、
請求項
13に記載のリレー。
【請求項15】
前記可動コンタクト(400)が前記閉位置から前記開位置の方へ回転されるにつれて、前記第1の消弧シート(201)は、前記第1の電気アークを前記第1の永久磁石(610)の方へ押して、前記第1の電気アークを前記第1の永久磁石(610)の近傍へ動かし、
前記可動コンタクト(400)が前記閉位置から前記開位置の方へ回転されるにつれて、前記第2の消弧シート(202)は、前記第2の電気アークを前記第2の永久磁石(620)の方へ押して、前記第2の電気アークを前記第2の永久磁石(620)の近傍へ動かす、
請求項
14に記載のリレー。
【請求項16】
前記可動コンタクト(400)が前記閉位置へ回転されたとき、前記第1の消弧シート(201)は、前記第1の可動コンタクト部分(411)および前記第1の静止コンタクト部分(311)の前記接触領域外へ回転されて、前記第1の可動コンタクト部分(411)が前記第1の静止コンタクト部分(311)に電気的に接触することを可能にし、
前記可動コンタクト(400)が前記閉位置へ回転されたとき、前記第2の消弧シート(202)は、前記第2の可動コンタクト部分(421)および前記第2の静止コンタクト部分(321)の前記接触領域外へ回転されて、前記第2の可動コンタクト部分(421)が前記第2の静止コンタクト部分(321)に電気的に接触することを可能にする、
請求項
15に記載のリレー。
【請求項17】
前記絶縁分離壁(501、502)が、第1の絶縁分離壁(501)および第2の絶縁分離壁(502)を備え、
前記可動コンタクト(400)が前記開位置へ回転されたとき、前記第1の消弧シート(201)および前記第1の絶縁分離壁(501)は互いに接触し、または前記第1の消弧シート(201)と前記第1の絶縁分離壁(501)との間にスリットのみが形成され、
前記可動コンタクト(400)が前記開位置へ回転されたとき、前記第2の消弧シート(202)および前記第2の絶縁分離壁(502)は互いに接触し、または前記第2の消弧シート(202)と前記第2の絶縁分離壁(502)との間にスリットのみが形成されている、
請求項
16に記載のリレー。
【請求項18】
前記絶縁固定壁(510、520)は、第1の絶縁固定壁(510)および第2の絶縁固定壁(520)を備え、前記第1の磁気ヨーク(710)および前記第1の永久磁石(610)は、前記第1の絶縁固定壁(510)と前記第1の絶縁分離壁(501)との間に締め付けられて固定され、前記第2の磁気ヨーク(720)および前記第2の永久磁石(620)は、前記第2の絶縁固定壁(520)と前記第2の絶縁分離壁(502)との間に締め付けられて固定されている、
請求項
17に記載のリレー。
【請求項19】
前記第1の磁気ヨーク(710)の一方の端部(711)は、前記第1の絶縁固定壁(510)のスロットに挿入され、前記第1の磁気ヨーク(710)の他方の端部(712)は、前記第1の静止コンタクト(310)のうち前記第1の静止コンタクト部分(311)とは反対側に位置し、
前記第2の磁気ヨーク(720)の一方の端部(721)は、前記第2の絶縁固定壁(520)のスロットに挿入され、前記第2の磁気ヨーク(720)の他方の端部(722)は、前記第2の静止コンタクト(320)のうち前記第2の静止コンタクト部分(321)とは反対側に位置し、
前記第1の永久磁石(610)は、前記第1の磁気ヨーク(710)、前記第1の絶縁固定壁(510)、および前記第1の絶縁分離壁(501)によって画定された第1の取付けチャンバに埋め込まれ、
前記第2の永久磁石(620)は、前記第2の磁気ヨーク(720)、前記第2の絶縁固定壁(520)、および前記第2の絶縁分離壁(502)によって画定された第2の取付けチャンバに埋め込まれている、
請求項
18に記載のリレー。
【請求項20】
前記ハウジング(1)の内部空間を上部空間および下部空間に分割するように、前記ハウジング(1)内に分離壁(1a)が形成され、前記電気コンタクトシステム(10)は、前記ハウジング(1)の前記上部空間内に設けられ、前記電磁システム(20)は、前記ハウジング(1)の前記下部空間内に設けられている、
請求項
2から
19のいずれか一項に記載のリレー。
【請求項21】
前記電気コンタクトシステム(10)は、回転台座(110)およびねじりばね(101)をさらに備え、前記回転台座(110)は、前記分離壁(1a)に回転可能に取り付けられ、前記ねじりばね(101)の2つの端部は、それぞれ前記回転台座(110)および前記回転部材(100)に接続され、その結果、前記回転台座(110)および前記回転部材(100)はともに弾性的に接続され、
前記電磁システム(20)は、前記回転台座(110)を駆動して回転させるように適合され、前記回転台座(110)は、前記ねじりばね(101)によって前記回転部材(100)を駆動して回転させるように適合され、前記ねじりばね(101)は、前記可動コンタクト部分(411、412)と前記静止コンタクト部分(311、321)との間に接触圧力を印加するように適合されている、
請求項
20に記載のリレー。
【請求項22】
前記電気コンタクトシステム(10)は、復帰ばね(102)をさらに備え、前記復帰ばね(102)の2つの端部は、それぞれ前記分離壁(1a)および前記回転台座(110)に接続され、その結果、前記分離壁(1a)および前記回転台座(110)はともに弾性的に接続され、
前記電磁システム(20)によって前記回転台座(110)に印加されたトルクが消されたとき、前記復帰ばね(102)は、前記回転台座(110)をその初期位置へ駆動し、その結果、前記可動コンタクト(400)は、前記閉位置から前記開位置へ急速に回転される、
請求項
21に記載のリレー。
【請求項23】
前記電磁システム(20)は、
磁気ヨーク(2100)と、
前記磁気ヨーク(2100)内に取り付けられたコイル(2200)と、
前記コイル(2200)の下部部分内に収容され、前記磁気ヨーク(2100)に固定された下部鉄心(2310)と、
前記コイル(2200)より上に位置し、前記磁気ヨーク(2100)に固定された上板(2400)と、
前記コイル(2200)内に収容された下部部分および前記上板(2400)を通過する上部部分を有する上部鉄心(2320)と、
前記上板(2400)より上に位置し、前記上部鉄心(2320)に固定接続されたアーマチャ(2500)と、
前記上部鉄心(2320)と前記上板(2400)との間に配置された磁気分離リング(2600)とを備え、
前記上部鉄心(2320)は、その中心軸(R)周りで回転可能であり、前記回転台座(110)に接続され、前記回転台座(110)を駆動して回転させる、
請求項
22に記載のリレー。
【請求項24】
前記上部鉄心(2320)は、前記磁気分離リング(2600)に対して垂直方向(Z)に可動になるように構成され、前記上部鉄心(320)の前記中心軸(R)は、前記垂直方向(Z)に平行である、
請求項
23に記載のリレー。
【請求項25】
前記アーマチャ(2500)の底面に複数の第1の湾曲溝(2510)が形成され、それぞれ前記複数の第1の湾曲溝(2510)に嵌合される複数の第2の湾曲溝(2410)が、前記上板(2400)の上面に形成され、
前記複数の第1の湾曲溝(2510)は、前記上部鉄心(2320)の中心軸(R)周りに均一に隔置され、
複数のボール(2700)が各々、前記第1の湾曲溝(2510)および相手側の前記第2の湾曲溝(2410)内を転がるように構成され、
各々の第1の湾曲溝(2510)の深さは、その第1の端部(2510a)から第2の端部(2510b)へ徐々に深くなり、したがって前記ボール(2700)によって前記アーマチャ(2500)に印加される力(F)は、前記上部鉄心(2320)の前記中心軸(R)に対して傾斜され、前記アーマチャ(2500)を駆動して前記中心軸(R)周りで回転させる、
請求項
24に記載のリレー。
【請求項26】
前記アーマチャ(2500)は、初期位置と最終位置との間で可動であり、前記アーマチャ(2500)が前記初期位置から前記最終位置へ動かされるにつれて、前記アーマチャ(2500)は、前記垂直方向(Z)に所定の距離だけ下方へ動かされ、前記中心軸(R)周りで所定の角度だけ回転する、
請求項
25に記載のリレー。
【請求項27】
前記所定の角度は、前記第1の湾曲溝(2510)の中心角と前記第2の湾曲溝(2410)の中心角との和に等しい、
請求項
26に記載のリレー。
【請求項28】
前記アーマチャ(2500)が前記初期位置へ動かされたとき、前記ボール(2700)は、前記第1の湾曲溝(2510)の前記第1の端部(2510a)に位置し、前記アーマチャ(2500)が前記最終位置へ動かされたとき、前記ボール(2700)は、前記第1の湾曲溝(2510)の前記第2の端部(2510b)に位置する、
請求項
26に記載のリレー。
【請求項29】
各々の第2の湾曲溝(2410)の深さは、その第1の端部(2410a)から第2の端部(2410b)へ徐々に深くなり、
前記アーマチャ(2500)が前記初期位置へ動かされたとき、前記ボール(2700)は、前記第2の湾曲溝(2410)の前記第1の端部(2410a)に位置し、前記アーマチャ(2500)が前記最終位置へ動かされたとき、前記ボール(2700)は、前記第2の湾曲溝(2410)の前記第2の端部(2410b)に位置する、
請求項
28に記載のリレー。
【請求項30】
前記アーマチャ(2500)が前記初期位置へ動かされたとき、前記第1の湾曲溝(2510)の前記第1の端部(2510a)および前記第2の湾曲溝(2410)の前記第1の端部(2410a)は互いに隣接し、前記第1の湾曲溝(2510)の前記第2の端部(2510b)および前記第2の湾曲溝(2410)の前記第2の端部(2410b)は互いから離れ、
前記アーマチャ(2500)が前記最終位置へ動かされたとき、前記第1の湾曲溝(2510)の前記第2の端部(2510b)および前記第2の湾曲溝(2410)の前記第2の端部(2410b)は互いに隣接し、前記第1の湾曲溝(2510)の前記第1の端部(2510a)および前記第2の湾曲溝(2410)の前記第1の端部(2410b)は互いから離れている、
請求項
29に記載のリレー。
【請求項31】
前記アーマチャ(2500)と前記上板(2400)との間に第1の空隙(g1)が設けられ、前記上部鉄心(2320)と前記下部鉄心(2310)との間に第2の空隙(g2)が設けられている、
請求項
30に記載のリレー。
【請求項32】
前記アーマチャ(2500)が前記初期位置から前記最終位置へ動かされるにつれて、前記第1の空隙(g1)および前記第2の空隙(g2)は徐々に減少し、
前記アーマチャ(2500)が前記最終位置から前記初期位置へ動かされるにつれて、前記第1の空隙(g1)および前記第2の空隙(g2)は徐々に増大する、
請求項
31に記載のリレー。
【請求項33】
前記上部鉄心(2320)、前記第2の空隙(g2)、前記下部鉄心(2310)、前記磁気ヨーク(2100)、前記上板(2400)、前記第1の空隙(g1)、および前記アーマチャ(2500)は、前記電磁システム(20)の主磁気回路を形成するように配置されている、
請求項
31または
32に記載のリレー。
【請求項34】
前記コイル(2200)が励磁されたとき、前記コイル(2200)によって生成された磁束は、前記主磁気回路を通過し、したがって前記下部鉄心(2310)および前記上板(2400)が前記上部鉄心(2320)および前記アーマチャ(2500)を前記垂直方向(Z)に下方へ引き付け、前記上部鉄心(2320)および前記アーマチャ(2500)を駆動して、前記垂直方向(Z)に下方へ動かし、前記ボール(2700)に押されて前記中心軸(R)周りで回転させる、
請求項
33に記載のリレー。
【請求項35】
前記コイル(2200)が励磁されたとき、前記アーマチャ(2500)は、前記初期位置から前記最終位置へ動かされ、
前記アーマチャ(2500)が前記最終位置へ動かされたとき、前記コイル(2200)は遮断され、その結果、前記アーマチャ(2500)は、戻しばねによって前記最終位置から前記初期位置へ動かされる、
請求項
33または
34に記載のリレー。
【請求項36】
前記ボール(2700)は、球形ボールまたは円筒形ボールを含む、請求項
30から
35のいずれか一項に記載のリレー。
【請求項37】
前記コイル(2200)は、支持フレーム(2220)と、前記支持フレーム(2220)に巻き付けられたワイヤ(2210)とを含む、
請求項
30から
36のいずれか一項に記載のリレー。
【請求項38】
前記上部鉄心(2320)および前記下部鉄心(2310)は、前記支持フレーム(2220)の中空収容空間内に配置され、前記磁気分離リング(2600)は、前記支持フレーム(2220)の上端面に支持されている、
請求項
37に記載のリレー。
【請求項39】
前記リレーは、前記可動コンタクト(400)の位置を検出するように適合された検出モジュールをさらに備え、前記検出モジュールは、前記ハウジング(1)に取り付けられた検出回路、可動端子、および静止端子を備え、
前記回転部材(100)に押圧部分が形成され、前記押圧部分は、前記可動端子を駆動して、前記静止端子に電気的に接触する第1の位置と、前記静止端子から分離される第2の位置との間で動かすように適合され、
前記可動コンタクト(400)が前記閉位置へ回転されたとき、前記押圧部分は、前記可動端子を前記静止端子に電気的に接触する前記第1の位置へ駆動し、その結果、前記検出回路は接続され、
前記可動コンタクト(400)が前記開位置へ回転されたとき、前記押圧部分は、前記可動端子を前記静止端子から分離される前記第2の位置へ駆動し、その結果、前記検出回路は切断される、
請求項
2から
38のいずれか一項に記載のリレー。
【請求項40】
前記静止コンタクト(310、320)は、前記ハウジング(1)の上部カバーに固定された板状ベース(310a、320a)を有し、
前記電磁システム(20)は、前記静止コンタクト(310、320)の前記ベース(310a、320a)に電気的に接続されたボルト(310b、320b)をさらに備え、前記ボルト(310b、320b)は、前記静止コンタクト(310、320)を電気機器の電源ワイヤに電気的に接続するように適合されている、
請求項1から
39のいずれか一項に記載のリレー。
【請求項41】
前記ハウジング(1)の底部部分または側面部分に、前記リレーを取り付けるための設置孔(1b)が形成されている、
請求項1から
40のいずれか一項に記載のリレー。
【請求項42】
前記リレーは高電圧直流リレーである、請求項1から
41のいずれか一項に記載のリレー。
【請求項43】
前記ハウジング(1)の外壁に空冷フィン(1c)が形成されている、
請求項1から42のいずれか一項に記載のリレー。
【請求項44】
前記電気コンタクトシステム(10)は、静止絶縁分離壁(501、502)をさらに備え、
前記可動コンタクト(400)が前記開位置へ動かされたとき、前記静止絶縁分離壁(501、502)および前記消弧シート(201、202)は互いに接触し、または前記静止絶縁分離壁(501、502)と前記消弧シート(201、202)との間にスリットのみが形成されている
請求項1に記載のリレー。
【請求項45】
前記電気コンタクトシステム(10)が、絶縁ベース(500)をさらに備え、
前記静止絶縁分離壁(501、502)は、前記絶縁ベース(500)に形成され、
前記別個の消弧デバイス(210、220)は、前記絶縁ベース(500)に取り付けられており、
前記絶縁ベース(500)に絶縁固定壁(510、520)が形成され、
前記磁気吹消し消弧デバイス(610、620、710、720)は、前記絶縁固定壁(510、520)と前記絶縁分離壁(501、502)との間に締め付けられて固定されている、
請求項44に記載のリレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2018年4月16日に中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第201820535621.3号の利益を主張する。
【0002】
本開示の少なくとも1つの実施形態は、リレーに関する。
【背景技術】
【0003】
スイッチまたはコントローラ電気機器内の電気コンタクトには、放電という現象があり、したがって電気コンタクトがオンからオフへ切り替えられる際に、電気アークが生成される。生成された電気アークは、回路の切断を遅らせ、さらには電気コンタクトを燃焼させ、それによって電気コンタクトを熔解させる。より深刻な場合、スイッチが燃焼して爆発する。したがって、効率的で確実な消弧を実現するように消弧デバイスを設計する必要がある。
【0004】
関連技術において、高電圧直流リレーなどの一般的なスイッチデバイスでは通常、封止された膨張空気および追加の磁界を使用して、金属相の電気アークを横方向に細長くし、したがって電気アークは、消弧媒体内で急速に冷却、再結合、および脱イオン化される。この消弧媒体は、消弧に良好であるが、製造が非常に複雑であり、それによってコストが増大する。アークを消滅させる別の方法もあり、空気媒体内で強い磁界が使用される。電気アークは空気媒体内で強くイオン化されることがあるため、この方法は、アークを消滅させるのに理想的ではなく、コンタクトを容易に熔解させ、十分な内部空間を必要とし、その結果、スイッチングデバイスを小型化することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上述した欠点の少なくとも1つの態様を克服または軽減するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、ハウジングと、ハウジング内に設けられ、静止コンタクト部分を有する静止コンタクトおよび可動コンタクト部分を有する可動コンタクトを備える電気コンタクトシステムと、ハウジング内に設けられ、可動コンタクトを駆動して、可動コンタクトが静止コンタクトに電気的に接触する閉位置と、可動コンタクトが静止コンタクトから分離される開位置との間で動かすように構成された電磁システムとを備えるリレーが提供される。電気コンタクトシステムは、永久磁石を備える磁気吹消し消弧デバイスをさらに備え、永久磁石は、静止コンタクト付近に静止して設けられ、電磁力によって静止コンタクト部分と可動コンタクト部分との間で電気アークを長くして電気アークを消滅させるように構成されている。
【0007】
本開示の例示的な実施形態によれば、電気コンタクトシステムは、電気アークを永久磁石の方へ押して、電気アークを永久磁石の近傍へ動かし、磁気吹消し消弧の作用を改善するように適合された別個の消弧デバイスをさらに備える。
【0008】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、電気コンタクトシステムは、可動コンタクトが取り付けられた回転部材をさらに備え、電磁システムは、回転部材を駆動して回転させ、可動コンタクトを駆動して閉位置と開位置との間を回転させるように適合されている。
【0009】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、磁気吹消し消弧デバイスは、磁気ヨークをさらに備え、永久磁石および静止コンタクトは、磁気ヨークによって取り囲まれた収容空間内に配置されて、収容空間内の磁気漏洩を低減させ、電磁誘導強度を増大させる。
【0010】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、別個の消弧デバイスは、消弧シートを有し、回転部材に嵌合され、別個の消弧デバイスは、回転部材によって回転され、可動コンタクトが閉位置へ回転されたとき、消弧シートは、可動コンタクト部分および静止コンタクト部分の接触領域外へ回転されて、可動コンタクト部分が静止コンタクト部分に電気的に接触することを可能にし、可動コンタクトが開位置へ回転されたとき、消弧シートは、可動コンタクト部分および静止コンタクト部分の接触領域内へ回転されて、可動コンタクト部分を静止コンタクト部分から電気的に分離し、電気アークを切断する。
【0011】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、可動コンタクトが接続位置から開位置の方へ回転されるにつれて、消弧シートは、電気アークを永久磁石の方へ押して、電気アークを永久磁石の近傍へ動かし、磁気吹消し消弧の作用を改善する。
【0012】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、電気コンタクトシステムは、静止絶縁分離壁をさらに備え、可動コンタクトが開位置へ回転されたとき、静止絶縁分離壁および消弧シートは互いに接触し、または静止絶縁分離壁と消弧シートとの間にスリットのみが形成されて、電気アークの切断を加速させる。
【0013】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、電気コンタクトシステムは、絶縁ベースをさらに備える。絶縁分離壁は、絶縁ベースに形成され、回転部材および別個の消弧デバイスは、絶縁ベースに回転可能に取り付けられている。
【0014】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、絶縁ベースに絶縁固定壁が形成され、磁気ヨークおよび永久磁石は、絶縁固定壁と絶縁分離壁との間に締め付けられて固定されている。
【0015】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、磁気ヨークの一方の端部は、絶縁固定壁のスロットに挿入され、磁気ヨークの他方の端部は、静止コンタクトのうち静止コンタクト部分とは反対側に位置する。永久磁石は、磁気ヨーク、絶縁固定壁、および絶縁分離壁によって画定された取付けチャンバに埋め込まれている。
【0016】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、静止コンタクトは、第1の静止コンタクトおよび第2の静止コンタクトを備え、可動コンタクトは、第1の静止コンタクトと第2の静止コンタクトとの間に設けられ、第1の静止コンタクトは、第1の静止コンタクト部分を有し、第2の静止コンタクトは、第2の静止コンタクト部分を有する。可動コンタクトの第1の端部は、第1の静止コンタクト部分に電気的に接触する第1の可動コンタクト部分を備え、可動コンタクトの第2の端部は、第2の静止コンタクト部分に電気的に接触する第2の可動コンタクト部分を備える。
【0017】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、磁気吹消し消弧デバイスは、第1の磁気吹消し消弧デバイスおよび第2の磁気吹消し消弧デバイスを備え、第1の磁気吹消し消弧デバイスは、第1の静止コンタクト部分と第1の可動コンタクト部分との間の第1の電気アークを消滅させるように第1の静止コンタクトの近傍に静止して配置された第1の永久磁石を備え、第2の磁気吹消し消弧デバイスは、第2の静止コンタクト部分と第2の可動コンタクト部分との間の第2の電気アークを消滅させるように第2の静止コンタクトの近傍に静止して配置された第2の永久磁石を備える。
【0018】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、第1の磁気吹消し消弧デバイスは、第1の磁気ヨークをさらに備える。第1の永久磁石および第1の静止コンタクトは、第1の磁気ヨークによって取り囲まれた第1の収容空間内に配置されて、第1の収容空間内の磁気漏洩を低減させ、電磁誘導強度を増大させる。第2の磁気吹消し消弧デバイスは、第2の磁気ヨークをさらに備え、第2の永久磁石および第2の静止コンタクトは、第2の磁気ヨークによって取り囲まれた第2の収容空間内に配置されて、第2の収容空間内の磁気漏洩を低減させ、電磁誘導強度を増大させる。
【0019】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、別個の消弧デバイスは、第1の別個の消弧デバイスおよび第2の別個の消弧デバイスを備え、第1の別個の消弧デバイスは、第1の消弧シートを有し、第2の別個の消弧デバイスは、第2の消弧シートを有する。
【0020】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、可動コンタクトが開位置へ回転されたとき、第1の消弧シートは、第1の可動コンタクト部分および第1の静止コンタクト部分の接触領域内へ回転されて、第1の可動コンタクト部分を第1の静止コンタクト部分から電気的に分離し、第1の電気アークを切断する。可動コンタクトが開位置へ回転されたとき、第2の消弧シートは、第2の可動コンタクト部分および第2の静止コンタクト部分の接触領域内へ回転されて、第2の可動コンタクト部分を第2の静止コンタクト部分から電気的に分離し、第2の電気アークを切断する。
【0021】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、可動コンタクトが閉位置から開位置の方へ回転されるにつれて、第1の消弧シートは、第1の電気アークを第1の永久磁石の方へ押して、第1の電気アークを第1の永久磁石の近傍へ動かす。可動コンタクトが閉位置から開位置の方へ回転されるにつれて、第2の消弧シートは、第2の電気アークを第2の永久磁石の方へ押して、第2の電気アークを第2の永久磁石の近傍へ動かす。
【0022】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、可動コンタクトが閉位置へ回転されたとき、第1の消弧シートは、第1の可動コンタクト部分および第1の静止コンタクト部分の接触領域外へ回転されて、第1の可動コンタクト部分が第1の静止コンタクト部分に電気的に接触することを可能にする。可動コンタクトが閉位置へ回転されたとき、第2の消弧シートは、第2の可動コンタクト部分および第2の静止コンタクト部分の接触領域外へ回転されて、第2の可動コンタクト部分が第2の静止コンタクト部分に電気的に接触することを可能にする。
【0023】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、絶縁分離壁は、第1の絶縁分離壁および第2の絶縁分離壁を備える。可動コンタクトが開位置へ回転されたとき、第1の消弧シートおよび第1の絶縁分離壁は互いに接触し、または第1の消弧シートと第1の絶縁分離壁との間にスリットのみが形成されて、第1の電気アークの切断を加速させ、可動コンタクトが開位置へ回転されたとき、第2の消弧シートおよび第2の絶縁分離壁は互いに接触し、または第2の消弧シートと第2の絶縁分離壁との間にスリットのみが形成されて、第2の電気アークの切断を加速させる。
【0024】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、絶縁固定壁は、第1の絶縁固定壁および第2の絶縁固定壁を備える。第1の磁気ヨークおよび第1の永久磁石は、第1の絶縁固定壁と第1の絶縁分離壁との間に締め付けられて固定され、第2の磁気ヨークおよび第2の永久磁石は、第2の絶縁固定壁と第2の絶縁分離壁との間に締め付けられて固定されている。
【0025】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、第1の磁気ヨークの一方の端部は、第1の絶縁固定壁のスロットに挿入され、第1の磁気ヨークの他方の端部は、第1の静止コンタクトのうち第1の静止コンタクト部分とは反対側に位置する。第2の磁気ヨークの一方の端部は、第2の絶縁固定壁のスロットに挿入され、第2の磁気ヨークの他方の端部は、第2の静止コンタクトのうち第2の静止コンタクト部分とは反対側に位置する。第1の永久磁石は、第1の磁気ヨーク、第1の絶縁固定壁、および第1の絶縁分離壁によって画定された第1の取付けチャンバに埋め込まれ、第2の永久磁石は、第2の磁気ヨーク、第2の絶縁固定壁、および第2の絶縁分離壁によって画定された第2の取付けチャンバに埋め込まれている。
【0026】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、ハウジングの内部空間を上部空間および下部空間に分割するように、ハウジング内に分離壁が形成されている。電気コンタクトシステムは、ハウジングの上部空間内に設けられ、電磁システムは、ハウジングの下部空間内に設けられている。
【0027】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、電気コンタクトシステムは、回転台座およびねじりばねをさらに備え、回転台座は、分離壁に回転可能に取り付けられ、ねじりばねの2つの端部は、それぞれ回転台座および回転部材に接続され、その結果、回転台座および回転部材はともに弾性的に接続されている。電磁システムは、回転台座を駆動して回転させるように適合され、回転台座は、ねじりばねによって回転部材を駆動して回転させるように適合され、ねじりばねは、可動コンタクト部分と静止コンタクト部分との間に接触圧力を印加するように適合されている。
【0028】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、電気コンタクトシステムは、復帰ばねをさらに備え、復帰ばねの2つの端部は、それぞれ分離壁および回転台座に接続され、その結果、分離壁および回転台座はともに弾性的に接続されている。電磁システムによって回転台座に印加されたトルクが消されたとき、復帰ばねは、回転台座をその初期位置へ駆動し、その結果、可動コンタクトは、閉位置から開位置へ急速に回転される。
【0029】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、電磁システムは、磁気ヨークと、磁気ヨーク内に取り付けられたコイルと、コイルの下部部分内に収容され、磁気ヨークに固定された下部鉄心と、コイルより上に位置し、磁気ヨークに固定された上板と、コイル内に収容された下部部分および上板を通過する上部部分を有する上部鉄心と、上板より上に位置し、上部鉄心に固定接続されたアーマチャと、上部鉄心と上板との間に配置された磁気分離リングとを備える。上部鉄心は、その中心軸周りで回転可能であり、回転台座に接続され、回転台座を駆動して回転させる。
【0030】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、上部鉄心は、磁気分離リングに対して垂直方向に可動になるように構成され、上部鉄心の中心軸は、垂直方向に平行である。
【0031】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、アーマチャの底面に複数の第1の湾曲溝が形成され、それぞれ複数の第1の湾曲溝に対応する複数の第2の湾曲溝が、上板の上面に形成され、複数の第1の湾曲溝は、上部鉄心の中心軸周りに均一に隔置され、複数のボールが各々、第1の湾曲溝および対応する第2の湾曲溝内を転がるように構成されている。各々の第1の湾曲溝の深さは、その第1の端部から第2の端部へ徐々に深くなり、したがってボールによってアーマチャに印加される力は、上部鉄心の中心軸に対して傾斜され、アーマチャを駆動して中心軸周りで回転させる。
【0032】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、アーマチャは、初期位置と最終位置との間で可動であり、アーマチャが初期位置から最終位置へ動かされるにつれて、アーマチャは、垂直方向に所定の距離だけ下方へ動かされ、中心軸周りで所定の角度だけ回転する。
【0033】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、所定の角度は、第1の湾曲溝の中心角と第2の湾曲溝の中心角との和に等しい。
【0034】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、アーマチャが初期位置へ動かされたとき、ボールは第1の湾曲溝の第1の端部に位置し、アーマチャが最終位置へ動かされたとき、ボールは第1の湾曲溝の第2の端部に位置する。
【0035】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、各々の第2の湾曲溝の深さは、その第1の端部から第2の端部へ徐々に深くなり、アーマチャが初期位置へ動かされたとき、ボールは第2の湾曲溝の第1の端部に位置し、アーマチャが最終位置へ動かされたとき、ボールは第2の湾曲溝の第2の端部に位置する。
【0036】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、アーマチャが初期位置へ動かされたとき、第1の湾曲溝の第1の端部および第2の湾曲溝の第1の端部は互いに隣接し、第1の湾曲溝の第2の端部および第2の湾曲溝の第2の端部は互いから離れ、アーマチャが最終位置へ動かされたとき、第1の湾曲溝の第2の端部および第2の湾曲溝の第2の端部は互いに隣接し、第1の湾曲溝の第1の端部および第2の湾曲溝の第1の端部は互いから離れている。
【0037】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、アーマチャと上板との間に第1の空隙が設けられ、上部鉄心と下部鉄心との間に第2の空隙が設けられている。
【0038】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、アーマチャが初期位置から最終位置へ動かされるにつれて、第1の空隙および第2の空隙は徐々に減少し、アーマチャが最終位置から初期位置へ動かされるにつれて、第1の空隙および第2の空隙は徐々に増大する。
【0039】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、上部鉄心、第2の空隙、下部鉄心、磁気ヨーク、上板、第1の空隙、およびアーマチャは、電磁システムの主磁気回路を形成するように配置されている。
【0040】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、コイルが励磁されたとき、コイルによって生成された磁束は、主磁気回路を通過し、したがって下部鉄心および上板が上部鉄心およびアーマチャを垂直方向に下方へ引き付け、上部鉄心およびアーマチャを駆動して垂直方向に下方へ動かし、ボールに押されて中心軸周りで回転させる。
【0041】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、コイルが励磁されたとき、アーマチャは初期位置から最終位置へ動かされ、アーマチャが最終位置へ動かされたとき、コイルは遮断され、その結果、アーマチャは戻しばねによって最終位置から初期位置へ動かされる。
【0042】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、ボールは、球形ボールまたは円筒形ボールを含む。
【0043】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、コイルは、支持フレームと、支持フレームに巻き付けられたワイヤとを含む。
【0044】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、上部鉄心および下部鉄心は、支持フレームの中空収容空間内に配置され、磁気分離リングは、支持フレームの上端面に支持されている。
【0045】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、リレーの熱放散性能を改善し、電磁システムの過熱を防止するために、ハウジングの外壁に空冷フィンが形成されている。
【0046】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、リレーは、可動コンタクトの位置を検出するように適合された検出モジュールをさらに備え、検出モジュールは、ハウジングに取り付けられた検出回路、可動端子、および静止端子を備える。回転部材に押圧部分が形成され、押圧部分は、可動端子を駆動して、静止端子に電気的に接触する第1の位置と、静止端子から分離される第2の位置との間で動かすように適合されている。可動コンタクトが閉位置へ回転されたとき、押圧部分は、可動端子を静止端子に電気的に接触する第1の位置へ駆動し、その結果、検出回路は接続され、可動コンタクトが開位置へ回転されたとき、押圧部分は、可動端子を静止端子から分離される第2の位置へ駆動し、その結果、検出回路は切断される。
【0047】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、静止コンタクトは、ハウジングの上部カバーに固定された板状ベースを有し、電磁システムは、静止コンタクトのベースに電気的に接続されたボルトをさらに備え、ボルトは、静止コンタクトを電気機器の電源ワイヤに電気的に接続するように適合されている。
【0048】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、ハウジングの底部部分または側面部分に、リレーを取り付けるための設置孔が形成されている。
【0049】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、リレーは高電圧直流リレーである。
【0050】
本開示の上記の様々な例示的な実施形態では、永久磁石によって生成された電磁力によって、静止コンタクト部分と可動コンタクト部分との間で電気アークを長くして消滅させることができる。したがって、静止コンタクトおよび可動コンタクトを電気アークによる燃焼から保護することができる。
【0051】
本開示のいくつかの例示的な実施形態では、別個の消弧デバイスが、電気アークを永久磁石の方へ押して、電気アークを永久磁石の近傍へ動かし、それによって磁気吹消し消弧の作用を改善する。
【0052】
本開示のいくつかの例示的な実施形態では、アーマチャは第1の湾曲溝を備えており、各々の第1の湾曲溝はボールを備える。第1の湾曲溝の深さは、その第1の端部から第2の端部へ徐々に増大している。したがって、アーマチャが電磁引力によって垂直方向に下方へ動かされたとき、ボールによってアーマチャに力が印加される方向は、垂直方向に対して傾斜され、その結果、アーマチャを駆動して回転させる。本開示の電磁システムは、同じ体積でより大きいトルクおよびより高い効率を有することができる。
【0053】
本開示の上記その他の特徴は、本開示の例示的な実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明することによってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本開示の例示的な実施形態によるリレーの断面図である。
【
図2】可動コンタクトが1対の静止コンタクトに接触している、
図1のリレーの電気コンタクトシステムの例示的な斜視図である。
【
図3】可動コンタクトが1対の静止コンタクトから分離されている、
図1のリレーの電気コンタクトシステムの例示的な斜視図である。
【
図4】
図1のリレーの電磁システムの例示的な斜視図である。
【
図5】湾曲溝および湾曲溝内に収容されたボールを露出させるために、上板の一部分およびアーマチャの一部分が切り取られて磁気ヨークが取り除かれた、
図1に示す電磁システムを示す図である。
【
図6】
図5に示す電磁システムのボールによってアーマチャに印加される力の概略図である。
【
図7】アーマチャがその初期位置にある、
図4に示す電磁システムの垂直断面図である。
【
図8】アーマチャがその最終位置にある、
図4に示す電磁システムの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本開示の例示的な実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。添付の図面では、同じ参照番号が同様の要素を指す。しかし本開示は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろこれらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものになるように提供されており、本開示の概念を当業者に十分に伝えるものである。
【0056】
以下の詳細な説明では、説明の目的で、開示する実施形態の徹底的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細について述べる。しかし、これらの具体的な詳細がなくても、1つまたは複数の実施形態を実施することができることは明らかである。他の場合、よく知られている構造およびデバイスは、図面を簡略化するために概略的に示されている。
【0057】
本開示の一般概念によれば、ハウジングと、ハウジング内に設けられ、静止コンタクト部分を有する静止コンタクトおよび可動コンタクト部分を有する可動コンタクトを備える電気コンタクトシステムと、ハウジング内に設けられ、可動コンタクトを駆動して、可動コンタクトが静止コンタクトに電気的に接触する閉位置と、可動コンタクトが静止コンタクトから分離される開位置との間で動かすように構成された電磁システムとを備えるリレーが提供される。電気コンタクトシステムは、永久磁石を備える磁気吹消し消弧デバイスをさらに備え、永久磁石は、静止コンタクト付近に静止して設けられ、電磁力によって静止コンタクト部分と可動コンタクト部分との間で電気アークを長くして電気アークを消滅させるように構成されている。
【0058】
図1は、本開示の例示的な実施形態によるリレーの断面図である。
【0059】
図1に示すように、一実施形態では、リレーは主に、ハウジング1、電気コンタクトシステム10、および電磁システム20を備える。電気コンタクトシステム10は、ハウジング1内に設けられ、静止コンタクト部分311、321を有する静止コンタクト310、320および可動コンタクト部分411、421を有する可動コンタクト400を備える。電磁システム20は、ハウジング1内に設けられ、可動コンタクト400を駆動して、可動コンタクト400が静止コンタクト310、320に電気的に接触する閉位置と、可動コンタクト400が静止コンタクト310、320から分離される開位置との間で動かすように構成されている。
【0060】
図2は、可動コンタクトが1対の静止コンタクトに接触している、
図1のリレーの電気コンタクトシステムの例示的な斜視図であり、
図3は、可動コンタクトが1対の静止コンタクトから分離されている、
図1のリレーの電気コンタクトシステムの例示的な斜視図である。
【0061】
図2~
図3に示すように、一実施形態では、電気コンタクトシステム10は、回転部材100をさらに備える。可動コンタクト400は、回転部材100に取り付けられ、閉位置(
図2に示す)と開位置(
図3に示す)との間を回転部材100とともに回転することができる。
【0062】
図2に示すように、可動コンタクト400が閉位置へ回転されたとき、可動コンタクト400は、静止コンタクト310、320に電気的に接触する。
図3に示すように、可動コンタクト400が開位置へ回転されたとき、可動コンタクト400は、静止コンタクト310、320から分離される。
【0063】
図2~
図3に示すように、一実施形態では、電気コンタクトシステム10は、永久磁石610、620を備える磁気吹消し消弧デバイス610、620、710、720をさらに備える。永久磁石610、620は、静止コンタクト310、320付近に静止して設けられ、電磁力によって静止コンタクト部分311、321と可動コンタクト部分411、421との間で電気アークを長くして電気アークを消滅させるように構成されている。
【0064】
図2~
図3に示すように、一実施形態では、電気コンタクトシステム10は、電気アークを永久磁石610、620の方へ押して、電気アークを永久磁石610、620の近傍へ動かし、磁気吹消し消弧の作用を改善するように適合された別個の消弧デバイス210、220をさらに備える。
【0065】
図2~
図3に示すように、一実施形態では、磁気吹消し消弧デバイス610、710、620、720は、磁気ヨーク710、720をさらに備える。永久磁石610、620および静止コンタクト310、320は、磁気ヨーク710、720によって取り囲まれた収容空間内に配置されて、収容空間内の磁気漏洩を低減させ、電磁誘導強度を増大させる。
【0066】
図2~
図3に示すように、一実施形態では、別個の消弧デバイス210、220は、消弧シート201、202を有し、回転部材100に嵌合される。別個の消弧デバイス210、220は、回転部材100によって回転される。
【0067】
図2に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が閉位置へ回転されたとき、消弧シート201、202は、可動コンタクト部分411、421および静止コンタクト部分311、321の接触領域外へ回転されて、可動コンタクト部分411、421が静止コンタクト部分311、321に電気的に接触することを可能にする。
【0068】
図3に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が開位置へ回転されたとき、消弧シート201、202は、可動コンタクト部分411、421および静止コンタクト部分311、321の接触領域内へ回転されて、可動コンタクト部分411、421を静止コンタクト部分311、321から電気的に分離し、電気アークを切断する。
【0069】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が接続位置から開位置の方へ回転されるにつれて、消弧シート201、202は、電気アークを永久磁石610、620の方へ押して、電気アークを永久磁石610、620の近傍へ動かし、磁気吹消し消弧の作用を改善する。
【0070】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、電気コンタクトシステム10は、静止絶縁分離壁501、502をさらに備える。可動コンタクト400が開位置へ回転されたとき、静止絶縁分離壁501、502および消弧シート201、202は互いに接触し、または静止絶縁分離壁501、502と消弧シート201、202との間にスリットのみが形成されて、電気アークの切断を加速させる。
【0071】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、電気コンタクトシステム10は、絶縁ベース500をさらに備える。絶縁分離壁501、502は、絶縁ベース500に形成されている。回転部材100および別個の消弧デバイス210、220は、絶縁ベース500に回転可能に取り付けられている。
【0072】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、絶縁ベース500に絶縁固定壁510、520が形成されている。磁気ヨーク710、720および永久磁石610、620は、絶縁固定壁510、520と絶縁分離壁501、502との間に締め付けられて固定されている。
【0073】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、磁気ヨーク710、720の一方の端部711、721は、絶縁固定壁510、520のスロットに挿入され、磁気ヨーク710、720の他方の端部712、722は、静止コンタクト310、320のうち静止コンタクト部分311、321とは反対側に位置する。永久磁石610、620は、磁気ヨーク710、720、絶縁固定壁510、520、および絶縁分離壁501、502によって画定された取付けチャンバに埋め込まれている。
【0074】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、静止コンタクト310、320は、第1の静止コンタクト310および第2の静止コンタクト320を備え、可動コンタクト400は、第1の静止コンタクト310と第2の静止コンタクト320との間に設けられている。第1の静止コンタクト310は、第1の静止コンタクト部分311を有し、第2の静止コンタクト320は、第2の静止コンタクト部分321を有する。可動コンタクト400の第1の端部410は、第1の静止コンタクト部分311に電気的に接触する第1の可動コンタクト部分411を有し、可動コンタクト400の第2の端部420は、第2の静止コンタクト部分321に電気的に接触する第2の可動コンタクト部分421を有する。
【0075】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、磁気吹消し消弧デバイス610、710、620、720は、第1の磁気吹消し消弧デバイス610、710および第2の磁気吹消し消弧デバイス620、720を備える。第1の磁気吹消し消弧デバイス610、710は、第1の静止コンタクト部分311と第1の可動コンタクト部分411との間の第1の電気アークを消滅させるように第1の静止コンタクト310の近傍に静止して配置された第1の永久磁石610を備える。第2の磁気吹消し消弧デバイス620、720は、第2の静止コンタクト部分321と第2の可動コンタクト部分421との間の第2の電気アークを消滅させるように第2の静止コンタクト320の近傍に静止して配置された第2の永久磁石620を備える。
【0076】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、第1の磁気吹消し消弧デバイス610、710は、第1の磁気ヨーク710をさらに備える。第1の永久磁石610および第1の静止コンタクト310は、第1の磁気ヨーク710によって取り囲まれた第1の収容空間内に配置されて、第1の収容空間内の磁気漏洩を低減させ、電磁誘導強度を増大させる。第2の磁気吹消し消弧デバイス620、720は、第2の磁気ヨーク720をさらに備える。第2の永久磁石620および第2の静止コンタクト320は、第2の磁気ヨーク720によって取り囲まれた第2の収容空間内に配置されて、第2の収容空間内の磁気漏洩を低減させ、電磁誘導強度を増大させる。
【0077】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、別個の消弧デバイス210、220は、第1の別個の消弧デバイス210および第2の別個の消弧デバイス220を備える。第1の別個の消弧デバイス210は、第1の消弧シート201を有し、第2の別個の消弧デバイス220は、第2の消弧シート202を有する。
【0078】
図3に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が開位置へ回転されたとき、第1の消弧シート201は、第1の可動コンタクト部分411および第1の静止コンタクト部分311の接触領域内へ回転されて、第1の可動コンタクト部分411を第1の静止コンタクト部分311から電気的に分離し、第1の電気アークを切断する。
【0079】
図3に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が開位置へ回転されたとき、第2の消弧シート202は、第2の可動コンタクト部分421および第2の静止コンタクト部分321の接触領域内へ回転されて、第2の可動コンタクト部分421を第2の静止コンタクト部分321から電気的に分離し、第2の電気アークを切断する。
【0080】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が閉位置から開位置の方へ回転されるにつれて、第1の消弧シート201は、第1の電気アークを第1の永久磁石610の方へ押して、第1の電気アークを第1の永久磁石610の近傍へ動かす。
【0081】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が閉位置から開位置の方へ回転されるにつれて、第2の消弧シート202は、第2の電気アークを第2の永久磁石620の方へ押して、第2の電気アークを第2の永久磁石620の近傍へ動かす。
【0082】
図2に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が閉位置へ回転されたとき、第1の消弧シート201は、第1の可動コンタクト部分411および第1の静止コンタクト部分311の接触領域外へ回転されて、第1の可動コンタクト部分411が第1の静止コンタクト部分311に電気的に接触することを可能にする。
【0083】
図2に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が閉位置へ回転されたとき、第2の消弧シート202は、第2の可動コンタクト部分421および第2の静止コンタクト部分321の接触領域外へ回転されて、第2の可動コンタクト部分421が第2の静止コンタクト部分321に電気的に接触することを可能にする。
【0084】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、絶縁分離壁501、502は、第1の絶縁分離壁501および第2の絶縁分離壁502を備える。
【0085】
図3に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が開位置へ回転されたとき、第1の消弧シート201および第1の絶縁分離壁501は互いに接触し、または第1の消弧シート201と第1の絶縁分離壁501との間にスリットのみが形成されて、第1の電気アークの切断を加速させる。
【0086】
図3に示すように、一実施形態では、可動コンタクト400が開位置へ回転されたとき、第2の消弧シート202および第2の絶縁分離壁502は互いに接触し、または第2の消弧シート202と第2の絶縁分離壁502との間にスリットのみが形成されて、第2の電気アークの切断を加速させる。
【0087】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、絶縁固定壁510、520は、第1の絶縁固定壁510および第2の絶縁固定壁520を備える。第1の磁気ヨーク710および第1の永久磁石610は、第1の絶縁固定壁510と第1の絶縁分離壁501との間に締め付けられて固定されている。第2の磁気ヨーク720および第2の永久磁石620は、第2の絶縁固定壁520と第2の絶縁分離壁502との間に締め付けられて固定されている。
【0088】
図2および
図3に示すように、一実施形態では、第1の磁気ヨーク710の一方の端部711は、第1の絶縁固定壁510のスロットに挿入され、第1の磁気ヨーク710の他方の端部712は、第1の静止コンタクト310のうち第1の静止コンタクト部分311とは反対側に位置する。第2の磁気ヨーク720の一方の端部721は、第2の絶縁固定壁520のスロットに挿入され、第2の磁気ヨーク720の他方の端部722は、第2の静止コンタクト320のうち第2の静止コンタクト部分321とは反対側に位置する。第1の永久磁石610は、第1の磁気ヨーク710、第1の絶縁固定壁510、および第1の絶縁分離壁501によって画定された第1の取付けチャンバに埋め込まれている。第2の永久磁石620は、第2の磁気ヨーク720、第2の絶縁固定壁520、および第2の絶縁分離壁502によって画定された第2の取付けチャンバに埋め込まれている。
【0089】
本開示の上述した実施形態では、消弧シートは、電気アークを急速に長くして電気アークを永久磁石の近傍へ動かすことを可能にし、磁気吹消し経路を増大させながら、消弧シートおよび絶縁分離壁によって電気アーク生成経路を分離し、消弧の作用を実質的に改善し、消弧速度を大きく加速させることができる。
【0090】
図1に示すように、一実施形態では、ハウジング1の内部空間を上部空間および下部空間に分割するように、ハウジング1内に分離壁1aが形成されている。電気コンタクトシステム10は、ハウジング1の上部空間内に設けられ、電磁システム20は、ハウジング1の下部空間内に設けられている。
【0091】
図1~
図3に示すように、一実施形態では、電気コンタクトシステム10は、回転台座110およびねじりばね101をさらに備える。回転台座110は、分離壁1aに回転可能に取り付けられている。ねじりばね101の2つの端部は、それぞれ回転台座110および回転部材100に接続され、その結果、回転台座110および回転部材100はともに弾性的に接続されている。電磁システム20は、回転台座110を駆動して回転させるように適合されている。回転台座110は、ねじりばね101によって回転部材100を駆動して回転させるように適合されている。ねじりばね101は、可動コンタクト部分411、421と静止コンタクト部分311、321との間に接触圧力を印加するように適合されている。
【0092】
図1~
図3に示すように、一実施形態では、電気コンタクトシステム10は、復帰ばね102をさらに備える。復帰ばね102の2つの端部は、それぞれ分離壁1aおよび回転台座110に接続され、その結果、分離壁1aおよび回転台座110はともに弾性的に接続されている。電磁システム20によって回転台座110に印加されたトルクが消されたとき、復帰ばね102は、回転台座110をその初期位置へ駆動し、その結果、可動コンタクト400は、閉位置から開位置へ急速に回転される。
【0093】
図4は、
図1のリレーの電磁システムの例示的な斜視図であり、
図5は、湾曲溝および湾曲溝内に収容されたボールを露出させるために、上板の一部分およびアーマチャの一部分が切り取られて磁気ヨークが取り除かれた、
図1に示す電磁システムを示し、
図7は、アーマチャがその初期位置にある、
図4に示す電磁システムの垂直断面図である。
【0094】
図4~
図5および
図7に示すように、一実施形態では、電磁システム20は主に、磁気ヨーク2100、コイル2200、下部鉄心2310、上板2400、上部鉄心2320、アーマチャ2500、および磁気分離リング2600を備える。コイル2200は、磁気ヨーク2100内に取り付けられている。下部鉄心2310は、コイル2200の下部部分内に収容され、磁気ヨーク2100に固定されている。上板2400は、コイル2200より上に位置し、磁気ヨーク2100に固定されている。上部鉄心2320の下部部分がコイル2200内に収容され、上部鉄心2320の上部部分が上板2400を通過する。アーマチャ2500は、上板2400より上に位置し、上部鉄心2320に固定接続されている。磁気分離リング2600は、上部鉄心2320を上板2400から電磁的に分離するように、上部鉄心2320と上板2400との間に配置されている。
【0095】
図4~
図5および
図7に示すように、一実施形態では、上部鉄心2320は、磁気分離リング2600に対して垂直方向Zに可動になるように構成される。上部鉄心320の中心軸Rは、垂直方向Zに平行である。
【0096】
図4~
図5および
図7に示すように、一実施形態では、上部鉄心2320は、その中心軸R周りで回転可能である。上部鉄心2320は、回転台座110に接続され、回転台座110を駆動して回転させる。
【0097】
図5および
図7に示すように、一実施形態では、アーマチャ2500の底面に複数の第1の湾曲溝2510が形成されている。それぞれ複数の第1の湾曲溝2510に嵌合された複数の第2の湾曲溝2410が、上板2400の上面に形成されている。複数の第1の湾曲溝2510は、上部鉄心2320の中心軸R周りに均一に隔置されている。各々の第1の湾曲溝2510内に、ボール2700が設けられる。ボール2700は、第1の湾曲溝2510および相手側の第2の湾曲溝2410内を転がるように構成されている。
【0098】
図6は、
図5に示す電磁システムのボールによってアーマチャに印加される力の概略図を示す。
図8は、アーマチャがその最終位置にある、
図4に示す電磁システムの垂直断面図である。
【0099】
図4~
図8に示すように、一実施形態では、各々の第1の湾曲溝2510の深さは、その第1の端部2510aから第2の端部2510bへ徐々に深くなり、したがってボール2700によってアーマチャ2500に印加される力Fは、上部鉄心2320の中心軸Rに対して傾斜され、アーマチャ2500を駆動して中心軸R周りで回転させる。それによって、
図6にはっきりと示すように、ボール2700によってアーマチャ2500に印加される力Fは、上部鉄心2320の中心軸Rに平行する第1の成分の力F1と、上部鉄心2320の中心軸Rに直交する第2の成分の力F2とに分解することができる。その結果、第2の成分の力F2は、アーマチャ2500を駆動して中心軸R周りで回転させることができる。
【0100】
本開示の例示的な実施形態では、アーマチャ2500は、初期位置(
図7に示す位置)と最終位置(
図8に示す位置)との間で可動である。アーマチャ2500が、
図7に示す初期位置から
図8に示す最終位置へ動かされたとき、アーマチャ2500は、垂直方向Zに所定の距離だけ下方へ動かされ、中心軸R周りで所定の角度だけ回転する。
【0101】
図4~
図8に示すように、一実施形態では、アーマチャ2500が、
図7に示す初期位置から
図8に示す最終位置へ動かされたとき、アーマチャ2500は、第1の湾曲溝2510の中心角と第2の湾曲溝2410の中心角との和に等しい所定の角度だけ、中心軸R周りで回転する。すなわち、アーマチャ2500が、
図7に示す初期位置から
図8に示す最終位置へ動かされたとき、アーマチャ2500は、上部鉄心2320の円周方向において第1の湾曲溝2510の弧の長さと第2の湾曲溝2410の弧の長さとの和に等しい弧の長さだけ、中心軸R周りで回転する。
【0102】
本開示の一実施形態では、アーマチャ2500が、
図5~
図7に示す初期位置へ動かされたとき、ボール2700は、第1の湾曲溝2510の第1の端部2510aに位置する。アーマチャ2500が、
図8に示す最終位置へ動かされたとき、ボール2700は、第1の湾曲溝2510の第2の端部2510bに位置する。
【0103】
図5~
図6に示すように、一実施形態では、各々の第2の湾曲溝2410の深さは、その第1の端部2410aから第2の端部2410bへ徐々に増大する。
図7に示すように、アーマチャ2500が初期位置へ動かされたとき、ボール2700は、第2の湾曲溝2410の第1の端部2410aに位置する。
図8に示すように、アーマチャ2500が最終位置へ動かされたとき、ボール2700は、第2の湾曲溝2410の第2の端部2410bに位置する。
【0104】
図5~
図6に示すように、一実施形態では、アーマチャ2500が初期位置へ動かされたとき、第1の湾曲溝2510の第1の端部2510aおよび第2の湾曲溝2410の第1の端部2410aは互いに隣接し、第1の湾曲溝2510の第2の端部2510bおよび第2の湾曲溝2410の第2の端部2410bは互いから離れている。
【0105】
図5~
図6に示すように、一実施形態では、アーマチャ2500が最終位置へ動かされたとき、第1の湾曲溝2510の第2の端部2510bおよび第2の湾曲溝2410の第2の端部2410bは互いに隣接し、第1の湾曲溝2510の第1の端部2510aおよび第2の湾曲溝2410の第1の端部2410aは互いから離れている。
【0106】
図7に示すように、一実施形態では、アーマチャ2500と上板2400との間に第1の空隙g1が設けられ、上部鉄心2320と下部鉄心2310との間に第2の空隙g2が設けられている。
【0107】
図5および
図7~
図8に示すように、一実施形態では、アーマチャ2500が初期位置から最終位置へ動かされるにつれて、第1の空隙g1および第2の空隙g2は徐々に減少する。アーマチャ2500が最終位置から初期位置へ動かされるにつれて、第1の空隙g1および第2の空隙g2は徐々に増大する。
【0108】
図7~
図8に示すように、一実施形態では、上部鉄心2320、第2の空隙g2、下部鉄心2310、磁気ヨーク2100、上板2400、第1の空隙g1、およびアーマチャ2500は、電磁システム20の主磁気回路を形成するように配置されている。
【0109】
図4に示すように、コイル2200は、それぞれ電源の正極および負極に電気的に接続するように適合された端子2201、2202を有する。コイル2200が励磁されたとき、コイル2200によって生成された磁束は、上述した主磁気回路を通過する。第1の空隙g1および第2の空隙g2の存在により、下部鉄心2310および上板2400がそれぞれ、上部鉄心2320およびアーマチャ2500を垂直方向Zに下方へ引き付け、その結果、上部鉄心2320およびアーマチャ2500は駆動されて垂直方向Zに下方へ動き、上部鉄心2320およびアーマチャ2500は、ボール2700に押されて中心軸R周りで回転する。
【0110】
本開示の一実施形態では、コイル2200が励磁されたとき、アーマチャ2500が初期位置から最終位置へ動かされるにつれて、アーマチャ2500は、ボール2700を駆動して、摩擦により第1の湾曲溝2510の第2の端部2510bおよび第2の湾曲溝2410の第2の端部2410bへ転がす。アーマチャ2500が最終位置へ動かされたとき、コイル2200は遮断され、その結果、アーマチャ2500を戻しばね(図示せず)によって最終位置から初期位置へ動かすことができる。
【0111】
図示の実施形態では、
図7~
図8に示すように、コイル2200が遮断されたとき、第2の空隙g2の存在により、残留磁束は急速に減少し、アーマチャ2500は、戻しばねによって初期位置へ迅速に戻される。同時に、摩擦により、アーマチャ2500はボール2700を駆動して、第1の湾曲溝2510の第1の端部2510aおよび第2の湾曲溝2410の第1の端部2410aへ転がす。
【0112】
本開示の例示的な実施形態では、上述したボール2700は、球形ボールまたは円筒形ボールを含むことができる。
【0113】
図7に示すように、一実施形態では、コイル2200は、支持フレーム2220と、支持フレーム2220に巻き付けられたワイヤ2210とを含む。上部鉄心2320および下部鉄心2310は、コイル2200の支持フレーム2220の中空収容空間内に配置され、磁気分離リング2600は、コイル2200の支持フレーム2220の上端面に支持されている。
【0114】
本開示の上述した例示的な実施形態では、アーマチャ2500は第1の湾曲溝2510を備えており、第1の湾曲溝2510はボール2700を備える。第1の湾曲溝2510の深さは、その第1の端部2510aから第2の端部2510bへ徐々に深くなっている。したがって、アーマチャ2500が電磁引力によって垂直方向Zに下方へ動かされたとき、ボール2700によってアーマチャ2500に力が印加される方向は、垂直方向Zに対して傾斜され、その結果、アーマチャ2500を駆動して回転させる。本開示の電磁システムは、同じサイズでより大きいトルクおよびより高い効率を有することができる。加えて、本開示の電磁システムは、簡単な構造および非常に低い製造コストを有する。
【0115】
図1に示すように、一実施形態では、リレーの熱放散性能を改善し、電磁システム20の過熱を防止するために、ハウジング1の外壁に空冷フィン1cが形成されている。
【0116】
図示しないが、一実施形態では、リレーは、可動コンタクト400の位置を検出するように適合された検出モジュールをさらに備えることができる。検出モジュールは、ハウジング1に取り付けられた検出回路、可動端子、および静止端子を備えることができる。回転部材100に押圧部分を形成することができ、押圧部分は、可動端子を駆動して、静止端子に電気的に接触する第1の位置と、静止端子から分離される第2の位置との間で動かすように適合される。可動コンタクト400が閉位置へ回転されたとき、押圧部分は、可動端子を静止端子に電気的に接触する第1の位置へ駆動し、その結果、検出回路は接続される。このようにして、検出回路が接続されている場合、可動コンタクト400は閉位置にあると判断することができる。
可動コンタクト400が開位置へ回転されたとき、押圧部分は、可動端子を静止端子から分離される第2の位置へ駆動し、その結果、検出回路は切断される。このようにして、検出回路が切断されている場合、可動コンタクト400は開位置にあると判断することができる。
【0117】
図1に示すように、一実施形態では、静止コンタクト310、320は、ハウジング1の上部カバーに固定された板状ベース310a、320aを有する。電磁システム20は、静止コンタクト310、320のベース310a、320aに電気的に接続されたボルト310b、320bをさらに備える。ボルト310b、320bは、静止コンタクト310、320を電気機器の電源ワイヤに電気的に接続するように適合される。板状ベース310a、320aおよびボルト310b、320bによって、静止コンタクト310、320とハウジング1との間の接触面積を増大させることができ、したがって静止コンタクト310、320の熱放散面積を増大させることができる。
【0118】
図1に示すように、一実施形態では、ハウジング1の底部部分または側面部分に、リレーを電気機器に取り付けるための設置孔1bが形成される。
【0119】
本開示の例示的な実施形態では、リレーは高電圧直流リレーとすることができる。
【0120】
上述した実施形態は、制限ではなく例示を意図したものであることが、当業者には理解されよう。たとえば、当業者であれば多くの修正を上述した実施形態に加えることができ、異なる実施形態に記載した様々な特徴は、構造上または原理上矛盾することなく、互いに自由に組み合わせることができる。
【0121】
いくつかの例示的な実施形態について図示および説明したが、本開示の原理および精神から逸脱することなく、様々な変更または修正をこれらの実施形態に加えることができ、本開示の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物に定義されることが、当業者には理解されよう。
【0122】
本明細書では、「a」または「an」という単語に続いて単数形で記載されている要素は、そのような除外が明示的に示されていない限り、前記要素またはステップの複数を除外するものではないと理解されたい。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、記載の機構を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図したものではない。さらに、逆の内容が明示的に示されていない限り、特定の特性を有する1つの要素または複数の要素を「備える」または「有する」実施形態は、その特性を有していない追加のそのような要素を含むこともできる。