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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20220510BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20220510BHJP
   G16H 20/30 20180101ALI20220510BHJP
   G16H 20/70 20180101ALI20220510BHJP
【FI】
A61M21/02 J
A61B5/16 120
A61B5/16 200
G16H20/30
G16H20/70
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021145940
(22)【出願日】2021-09-08
(62)【分割の表示】P 2021124429の分割
【原出願日】2020-12-03
【審査請求日】2021-09-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本川 智紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 朋美
(72)【発明者】
【氏名】寺田 知彦
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-58470(JP,A)
【文献】特開2020-126645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
A61B 5/16
G16H 20/30
G16H 20/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが携帯可能な携帯端末と、サーバーとから構成されるコンピューターシステムに用いられる携帯端末であって、
前記サーバーは、ソリューション記憶部と、ユーザー状態情報生成部と、ソリューション決定部とを備え、
前記ソリューション記憶部は、前記ユーザーの感情及び疲労状態の一方又は両方であるユーザー状態を改善するための、該ユーザーに提供可能な複数のソリューションの情報を記憶し、
前記ユーザー状態情報生成部は、前記携帯端末からの前記ユーザーの顔の状態についての質問に対する該ユーザーによる回答の情報に基づいて前記ユーザーの前記ユーザー状態を示すユーザー状態情報を生成し、
前記ソリューション決定部は、前記複数のソリューション情報から前記ユーザー状態情報に応じたソリューション情報を決定して前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末に備えられたソリューション提供部から前記ソリューション情報を前記ユーザーに提供するシステムに用いられ、
前記携帯端末は、撮像部と、表示制御部と、表示部と、入力部と、回答受付部と、ソリューション提供部とを備え、
前記表示制御部は、前記撮像部により撮像された前記ユーザーの顔の画像を前記表示部に表示すると共に、該表示部に表示された該ユーザーの顔に現れている感情又は疲労状態と相関関係を有する、顔の状態についての質問を該表示部に表示し、
前記入力部は、前記ユーザーが、前記表示部に表示される該ユーザーの顔の画像及び、前記質問を見ながら操作を行える位置に配置されており、
前記回答受付部は、前記顔の画像を前記表示部に表示させた状態で、前記入力部を介して前記ユーザーの顔の状態についての質問に対する該ユーザーによる回答の入力を受け付け、該回答を前記サーバーに送信し、
前記ソリューション提供部は、前記ユーザーの顔の状態についての質問に対する該ユーザーによる回答の情報に基づいて決定された前記ソリューション情報を前記ユーザーに提供する
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記撮像部及び前記表示部は、前記携帯端末の同一の面に備えられている
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯端末において、
前記携帯端末は、振動を発生させる振動発生部を備え、
前記ソリューション記憶部は、前記ユーザー状態を改善するための振動のソリューションの情報を記憶し、
前記ソリューション決定部は、前記複数のソリューション情報から前記ユーザー状態情報に応じた前記振動のソリューション情報を決定して前記携帯端末に送信し、
前記ソリューション提供部は、前記振動発生部を介して、前記ソリューション決定部により決定された前記振動のソリューション情報を前記ユーザーに提供する
ことを特徴とする携帯端末
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーが携帯可能な携帯端末と、サーバーとから構成されるコンピューターシステムに用いられる携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心身状態誘導装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-62282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明によれば、ユーザーの生体情報からユーザーの体調等を特定して、体調に応じた呼吸リズムに誘導するための刺激を発することができる。
【0005】
特許文献1に記載の発明を、ユーザーの感情又は疲労状態を分析して、ユーザーの感情又は疲労状態に応じたソリューションを提供するシステムに応用することが考えられる。
【0006】
しかしながら特許文献1の装置は、生体センサ、呼吸誘導装置、HCU、操作デバイスといった複数の機器により構成されているため利用のための準備や操作が複雑であり、例えば機器の操作が不得手なユーザーにとっては適切に準備、操作等をして利用してもらうことが難しい。
【0007】
ユーザーが適切に利用できない場合、ユーザーの状態を適切に取得できないので、提供されるソリューションはユーザーの状態に応じた適切なソリューションとはならない。あるいは操作が複雑であれば、そもそもユーザーに利用してもらえない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯端末は、
ユーザーが携帯可能な携帯端末と、サーバーとから構成されるコンピューターシステムに用いられる携帯端末であって、
前記サーバーは、ソリューション記憶部と、ユーザー状態情報生成部と、ソリューション決定部とを備え、
前記ソリューション記憶部は、前記ユーザーの感情及び疲労状態の一方又は両方であるユーザー状態を改善するための、該ユーザーに提供可能な複数のソリューションの情報を記憶し、
前記ユーザー状態情報生成部は、前記携帯端末からの前記ユーザーの顔の状態についての質問に対する該ユーザーによる回答の情報に基づいて前記ユーザーの前記ユーザー状態を示すユーザー状態情報を生成し、
前記ソリューション決定部は、前記複数のソリューション情報から前記ユーザー状態情報に応じたソリューション情報を決定して前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末に備えられたソリューション提供部から前記ソリューション情報を前記ユーザーに提供するシステムに用いられ、
前記携帯端末は、撮像部と、表示制御部と、表示部と、入力部と、回答受付部と、ソリューション提供部とを備え、
前記表示制御部は、前記撮像部により撮像された前記ユーザーの顔の画像を前記表示部に表示すると共に、該表示部に表示された該ユーザーの顔に現れている感情又は疲労状態と相関関係を有する、顔の状態についての質問を該表示部に表示し、
前記入力部は、前記ユーザーが、前記表示部に表示される該ユーザーの顔の画像及び、前記質問を見ながら操作を行える位置に配置されており、
前記回答受付部は、前記顔の画像を前記表示部に表示させた状態で、前記入力部を介して前記ユーザーの顔の状態についての質問に対する該ユーザーによる回答の入力を受け付け、該回答を前記サーバーに送信し、
前記ソリューション提供部は、前記ユーザーの顔の状態についての質問に対する該ユーザーによる回答の情報に基づいて決定された前記ソリューション情報を前記ユーザーに提供する
ことを特徴とする。
【0010】
ユーザーが自身の状態等を改善するためのソリューションの提供を受けたいタイミングは様々である。そのため、携帯可能な端末を用いてユーザーの状態を取得して、当該端末を介して手軽にソリューションの提供を受けられることが望ましい。
【0011】
また、ユーザーの顔には、ユーザーの感情及び疲労状態が如実に表れるので、ユーザーの顔の状態に関する情報に応じたソリューションを提供できれば、ユーザーの感情及び疲労状態の効果的な改善が可能である。
【0012】
本発明によれば、ユーザーは自身の顔を見ながら顔の状態に関する質問に回答するため、回答は容易である。また、自身の顔の状態を冷静に顧みる機会を得られるので、感情又は疲労状態と密接な関係を有する顔の状態についての自覚が促され、自身の顔の状態を正確に回答できる可能性が高まる。
【0013】
また本発明によれば、ユーザーは顔の画像と顔の状態に関する回答を取得させることで、自身の感情又は疲労状態に応じた個対応のソリューションの提供を簡便に受けることができる。
【0014】
このように本発明によれば、ユーザーの感情又は疲労状態に応じた適切なソリューションを簡便に提供できる。
【0015】
本発明の携帯端末システムにおいて、
前記撮像部及び前記表示部は、前記携帯端末の同一の面に備えられている
ことが好ましい。
【0016】
本発明によれば、ユーザーの顔の画像を撮像する撮像部と、撮像したユーザーの顔を表示する表示部とが、携帯端末の同一の面に備えられているので、ユーザーは、確実に自身の顔を見ながら自身の顔の状態に関する質問への回答を入力することができる。
【0017】
本発明の携帯端末システムにおいて、
前記携帯端末は、振動を発生させる振動発生部を備え、
前記ソリューション記憶部は、前記ユーザー状態を改善するための振動のソリューションの情報を記憶し、
前記ソリューション決定部は、前記複数のソリューション情報から前記ユーザー状態情報に応じた前記振動のソリューション情報を決定して前記携帯端末に送信し、
前記ソリューション提供部は、前記振動発生部を介して、前記ソリューション決定部により決定された前記振動のソリューション情報を前記ユーザーに提供する
ことが好ましい。
【0018】
所定の振動には、人の緊張感を緩和し、疲労を解消させるなどの効果がある。
【0019】
本発明によれば、ユーザー情報に応じた振動のソリューションを提供することができる。また、振動を発生させる振動発生部が携帯端末に備えられているので、ユーザーは簡便に振動のソリューションの提供を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明のソリューション提供システムの全体像を示すブロック図。
図2】本発明のソリューション提供システムの処理内容を示すフローチャート。
図3】本発明のソリューション提供システムの処理内容を示すフローチャート。
図4】本発明のソリューション提供システムの処理内容を示すフローチャート。
図5】本発明のソリューション提供システムの変更実施形態の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
<ソリューション提供システムの構成>
まず図1を用いて、本実施形態のソリューション提供システムの構成について説明する。なお同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0049】
本実施形態のソリューション提供システムは、携帯端末10と、サーバー30と、を含んで構成されるコンピューターシステムである。携帯端末10とサーバー30との間は、携帯電話網などの通信ネットワーク90により相互に通信可能に接続される。なお携帯端末10とサーバー30は、いずれも複数であってよい。
【0050】
携帯端末10は、携帯端末制御部110と、出力部130とを備え、あるいはさらに撮像部150と、入力部170と、履歴記憶部190と、を含んで構成される、例えばスマートフォン、タブレット端末などの汎用的な端末である。あるいは携帯端末10は、ユーザーが携帯可能な専用端末であってもよい。
【0051】
携帯端末制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、メモリ、及びI/O(Input/Output)デバイスなどにより構成されている。携帯端末制御部110は、所定のプログラムを読み込んで実行することにより例えばユーザー情報取得部111、ソリューション提供部113として、あるいはさらに、表示制御部115、回答受付部117として機能する。
【0052】
ユーザー情報取得部111は、例えば撮像部150、入力部170を介して、ユーザーの身体または動作から得られる情報を含むユーザー情報を取得する。
【0053】
ソリューション提供部113は、ソリューション決定部313により決定されたソリューションを、出力部130を介してユーザーに提供する。
【0054】
表示制御部115は、撮像部150により撮像されたユーザーの顔の画像を表示部133に表示すると共に、表示部133に表示されたユーザーの顔の状態についての質問を表示部133に表示するように制御する。なお、当該質問は、ユーザーの顔に現れている感情又は疲労状態と相関関係を有する質問である。
【0055】
回答受付部117は、入力部170を介してユーザーの顔の状態についての質問に対するユーザーによる回答の入力を、顔の画像を前記表示部に表示させた状態で受け付ける。
【0056】
出力部130は、例えば振動発生部131と、表示部133と、音声再生部135と、香り発生部137と、を含んで構成され、ソリューション提供部113等の制御により、ユーザーにソリューションを提供する。
【0057】
振動発生部131は、ソリューション決定部313が決定したソリューションに、ユーザー状態情報に応じた所定の周期的な振動が含まれる場合に、所定の周期的な振動をユーザーに提供する、例えばバイブレーターである。
【0058】
表示部133は、ユーザー状態情報に応じた、所定の動作を促す情報又はユーザー状態を改善するための画像を含む表示情報を含む場合に、表示情報を表示してユーザーに提供する、ディスプレイである。
【0059】
音声再生部135は、ユーザー状態情報に応じた人の声、自然音又は音楽を含む音声がソリューションに含まれる場合に、音声を再生してユーザーに提供する、スピーカーである。
【0060】
香り発生部137は、ユーザー状態情報に応じた所定の香りがソリューションに含まれる場合に、香りを発生させてユーザーに提供する。
【0061】
撮像部150は、例えばカメラであり、ユーザーの顔の画像を取得する。
【0062】
入力部170は、例えばタッチパネル、キーボードなどの文字や選択結果等の入力機構であり、回答受付部117がユーザーの顔の状態についての質問に対するユーザーによる回答の入力を受け付ける際などに用いられる。なお入力部170は、表示部133に表示されたユーザーの顔の画像及び顔の状態についての質問を見ながら操作を行える位置に配置される。
【0063】
履歴記憶部190は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されている。履歴記憶部190は、ユーザーに提供されたソリューションの情報を、所定の期間分、又は所定の回数分記憶するほか、携帯端末の処理に必要な情報、携帯端末の処理結果などを記憶している。
【0064】
なお、履歴記憶部190は例えば、ユーザー情報に含まれる顔の画像及びユーザー状態情報を記憶しないように構成される。
【0065】
サーバー30は、サーバー制御部310と、ソリューション記憶部330と、を含んで構成される、例えばコンピューターである。
【0066】
サーバー制御部310は、CPU等の演算処理装置、メモリ、及びI/Oデバイスなどにより構成されている。サーバー制御部310は、所定のプログラムを読み込んで実行することにより例えばユーザー状態情報生成部311、ソリューション決定部313として機能する。
【0067】
ユーザー状態情報生成部311は、ユーザー情報取得部111により取得された身体または動作から取得されたに情報に基づいてユーザーのユーザー状態を示すユーザー状態情報を生成する。
【0068】
ソリューション決定部313は、ソリューション記憶部330に記憶されている複数のソリューションからユーザー状態情報に応じたソリューションを決定する。
【0069】
ソリューション記憶部330は、例えばROM、RAM、HDD等の記憶装置により構成されている。ソリューション記憶部330は、ユーザーの感情及び疲労状態の一方又は両方であるユーザー状態を改善するための、ユーザーに提供可能な複数のソリューションの情報のほか、ソリューション提供システムの処理に必要な情報、ソリューション提供システムの処理結果などを記憶している。
【0070】
ソリューション記憶部330に記憶されているソリューションの情報は、音楽、音声、映像、所定の周期的な振動のパターンなどのデジタルデータそのものでもよく、あるいは例えば所定の香りを特定するIDなどの符号情報であってよい。これらのソリューションが単独で、又は組み合わせてユーザーに向けて提供されることにより、ユーザーの感情及び疲労状態の一方又は両方であるユーザー状態を改善するためのソリューションとして機能する。
【0071】
なおユーザーの感情とは、喜怒哀楽、又はネガティブな状態などのいわゆる心理状態のほか、興奮状態にあるかリラックス状態にあるかの指標の一つとしての自律神経バランスの状態及び、覚醒、休息、冷静、解放などのユーザー自身による自己認識の状態を含む概念である。
【0072】
<処理の概要>
次に、本実施形態のソリューション提供システムの処理内容について説明する。まず図2を参照して、ソリューション提供システムによる一連の処理について説明する。
【0073】
<ユーザー情報取得処理>
一連の処理を開始すると、まず携帯端末10のユーザー情報取得部111は、ユーザー情報を取得してサーバー30に送信する(図2/S110)。
【0074】
より具体的には、例えば図3に示すようにユーザー情報取得部111は、撮像部150を介してユーザーの顔の画像を撮像する(図3/S111)。
【0075】
そして表示制御部115は、撮像部150により撮像されたユーザーの顔の画像を表示部133に表示すると共に、表示部133に表示されたユーザーの顔の状態についての質問を表示部133に表示する(図3/S113)。
【0076】
入力受付部155は、ユーザーの顔の状態についての質問に対するユーザーによる回答の入力を顔の画像を表示部133に表示させた状態で、入力部170を介して受け付ける。(図3/S115)。
【0077】
入力受付部155は例えば、ユーザーの顔の状態についての複数の質問と回答の選択肢とを質問ごとに順番に表示して、ユーザーにより選択された選択肢を当該質問に対する回答として受け付ける。
【0078】
ユーザー情報取得部111は、このようにして受け付けられた顔の状態についての質問に対する回答をユーザー状態情報として取得する。
【0079】
なお顔の状態についての質問に対する回答は、例えば5段階評価のどれに該当するかをユーザーに選択させることにより入力されてもよく、音声や文字で入力されてもよい。また、当該質問は、1つであっても複数であってもよい。
【0080】
そしてユーザー情報取得部111は、顔の画像を分析する(図3/S117)。すなわち例えばユーザー情報取得部111は、顔の画像から心拍に関する情報の取得に必要な情報を顔の画像の分析結果として取得する。
【0081】
ユーザー情報取得部111が顔の画像から心拍に関する情報の取得に必要な情報を取得する手法としては既知の種々の手法が用いられてよいが、ユーザー情報取得部111は例えば、顔の画像である動画像又は連続的に撮像した静止画像から、RGBの各色成分の輝度の変化の情報を取得する。
【0082】
そしてユーザー情報取得部111は、このようにして入力を受け付けたユーザーの顔の状態についての質問に対するユーザーによる回答と、顔の画像の分析結果(例えば心拍に関する情報の取得に必要な情報であるRGBの各色成分の輝度の変化の情報。)と、をユーザー情報としてサーバー30に送信する(図3/S119)。
【0083】
<ユーザー情報分析処理>
そして、サーバー30のユーザー状態情報生成部311は、ユーザー情報を受信して(図2/S210)、ユーザーの顔の状態についての質問に対するユーザーによる回答、顔の画像の分析結果などの、ユーザー情報に含まれる情報を分析する(図2/S230)。
【0084】
より具体的には例えばユーザー状態情報生成部311は、心拍に関する情報の取得に必要な情報であるRGBの各色成分の輝度の変化の情報から、ユーザーの心拍に関する情報を取得する(図4/S231)。
【0085】
ユーザー状態情報生成部311が心拍に関する情報の取得に必要な情報からユーザーの心拍に関する情報を取得する手法としては既知の種々の手法が用いられてよいが、ユーザー状態情報生成部311は例えば、RGBの各色成分の輝度の変化の情報に含まれる特定の色成分(例えばG(緑))の輝度の変化を所定のアルゴリズムを用いて分析することにより、ユーザーの心拍を取得する。
【0086】
またユーザー状態情報生成部311はユーザーの心拍から例えば、心拍数、心拍間隔、あるいはこれらの情報からCVR-R、CCVTPなどの指標値を計算して取得する。
【0087】
そしてユーザー状態情報生成部311は、例えばCVR-R、CCVTPなどの指標値から、所定のアルゴリズムを用いて0~10の間で0.1刻みでユーザーの心拍に基づく疲労状態を示す疲労度スコアを算出する。
【0088】
その後にユーザー状態情報生成部311は、心拍に関する情報に基づいて自律神経バランス情報を取得する(図4/S233)。
【0089】
ユーザー状態情報生成部311が自律神経バランス情報を取得する手法としては種々の手法が用いられてよい。すなわち例えばユーザー状態情報生成部311は、心拍の変動を周波数解析して、心拍の変動の低周波成分であるLF(Low Frequency)と高周波成分であるHF(High Frequency)との比(LF/HF)を、自律神経バランス情報として取得する。
【0090】
そしてユーザー状態情報生成部311は、自律神経バランス情報から、所定のアルゴリズムを用いて0~10の間で0.1刻みでユーザーの自律神経のバランスを示す自律神経バランススコアを算出する。
【0091】
そして、ユーザー状態情報生成部311は、ユーザー状態情報に含まれるユーザーの顔の状態についての質問に対するユーザーによる回答を分析する(図4/S235)。
【0092】
より具体的にはユーザー状態情報生成部311は例えば、ユーザーの顔の状態についての各質問に対してユーザーが選択した各選択肢に対応付けられた値を足し合わせた値を、ユーザーの顔に出ている疲れの兆候を数値化した疲れの兆候スコアとして数値化して、当該疲れの兆候スコアを分析結果として決定する。
【0093】
<ユーザー状態情報生成処理>
そして、ユーザー状態情報生成部311は、ユーザー情報分析処理における分析結果に基づいて、ユーザーのユーザー状態を示すユーザー状態情報を生成する(図2/S250)。
【0094】
例えばユーザー状態情報生成部311は、上記で得られた、心拍に基づく疲労度スコア、自律神経バランススコア、疲れの兆候スコアの組み合わせをユーザー状態情報とする。
【0095】
<ソリューション決定処理>
そして、ソリューション決定部313は、ユーザー状態情報に応じたソリューションを決定して携帯端末10に送信する(図3/S270)。
【0096】
より具体的には、例えば心拍に基づく疲労度スコア、自律神経バランススコア、疲れの兆候スコアとの組み合わせと、ソリューションとの対応テーブルを予めソリューション記憶部330に記憶しておき、ソリューション決定部313は、当該対応テーブルを参照して、上記のようにして得られた心拍に基づく疲労度スコア、自律神経バランススコア、疲れの兆候スコアの組み合わせに対応したソリューションを認識することにより、ユーザーに提供するソリューションを決定する。
【0097】
すなわち例えば、心拍に基づく疲労度スコア又は疲れの兆候スコアが高ければ、疲労度を下げる効果を有する所定の周期的な振動、人の声、自然音又は音楽を含む音声、所定の香り、所定の動作を促す情報又は前記ユーザー状態を改善するための画像を単独で、又はユーザー状態に応じたこれらの組み合わせを、ユーザーに提供するソリューションとして決定する。
【0098】
あるいは例えば自律神経バランススコアが、交感神経又は副交感神経が過度に優位であるなど、自律神経バランスが整っていない状態を示している場合には、自律神経バランスを整える効果を有する所定の周期的な振動等を単独で、又はユーザー状態に応じたこれらの組み合わせを、ユーザーに提供するソリューションとして決定する。
【0099】
<ソリューション提供処理>
そしてソリューション提供部113は、サーバー30からソリューションを受信して(図3/S310)、当該受信したソリューションをユーザーに向けて提供する(図3/S330)。
【0100】
より具体的にはソリューション提供部113は、サーバー30から受信したソリューションの内容に応じて、振動発生部131、表示部133、音声再生部135、香り発生部137を介して、所定の周期的な振動などの触覚に対する刺激、人の声、自然音(鳥の声、小川のせせらぎ等)又は音楽を含む音声などの聴覚に対する刺激、所定の香りなどの嗅覚に対する刺激、ユーザー状態を改善するための画像などの視覚に対する刺激、などの受動的な刺激や、ユーザーに所定の動作を促す情報を含む能動的な刺激、をユーザーに向けて提供する。
【0101】
すなわち例えば受信したソリューションが音楽のデジタルデータであれば、ソリューション提供部113は、当該音楽を音声再生部135に再生させる。あるいは例えば受信したソリューションが所定の香りを特定するIDであれば、ソリューション提供部113は、当該IDに対応する香りを香り発生部137に発生させる。あるいは例えば受信したソリューションがユーザーに所定の動作を促す情報であれば、一定間隔で変化する「振動を感じながら簡単なマインドフルネス瞑想をやってみましょう」、「背筋を伸ばし姿勢を正しましょう」、「肩の力を抜きゆっくりと鼻呼吸をしましょう」などの、所定の動作又は所定の方法での呼吸又は瞑想を促す文章の組み合わせが表示部133により表示され、又は音声再生部135により再生される。
【0102】
以上説明したように本発明によれば、ユーザーの感情又は疲労状態を分析して、ユーザーの感情又は疲労状態に応じた適切なソリューションを簡便に提供できる。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0104】
すなわち例えば、ユーザー状態は、急激に改善されるのではなく緩やかに改善していくと考えられる。そのため直近の数回あるいは直近の期間のソリューションは、同じソリューションとなることが想定される。
【0105】
このため例えば、携帯端末10は、ユーザーに提供されたソリューションを、所定の期間分、又は所定の回数分、履歴記憶部190に記憶するように構成されていてもよい。
【0106】
この場合、ソリューション決定部313は、決定したソリューションが履歴記憶部190に記憶されている場合には、該決定されたソリューションを携帯端末10に送信しないように構成される。
【0107】
そしてソリューション提供部113は、ソリューション決定部313により決定されたソリューションが履歴記憶部190に記憶されている場合には、該決定されたソリューションを履歴記憶部190から取得してユーザーに提供するように構成される。
【0108】
なおソリューション決定部313が、決定したソリューションが携帯端末10の履歴記憶部190に記憶されているか否かを判定する手法としては、種々の手法が採用されてよい。
【0109】
すなわち例えば、ソリューション決定部313は、過去に決定したソリューションを特定する情報を、所定の期間分、又は所定の回数分、ソリューション記憶部330に記憶しておく。なお当該所定の期間又は所定の回数は、携帯端末10の履歴記憶部190に記憶されている期間又は回数と同一である。
【0110】
そしてソリューション決定部313は、今回決定したソリューションが、ソリューション記憶部330に記憶されているいずれかのソリューションと一致するか否かを判定し、一致するソリューションがソリューション記憶部330に記憶されている場合に、決定したソリューションが携帯端末10の履歴記憶部190に記憶されていると判定する。
【0111】
この場合、ソリューション決定部313は、決定したソリューションを携帯端末10に送信せず、その代わりに、今回決定したソリューションが、履歴記憶部190に記憶されているいずれのソリューションであるかを特定する情報を、携帯端末10に送信する。
【0112】
そして、ソリューション提供部113は、サーバー30から今回決定したソリューションが、履歴記憶部190に記憶されているいずれのソリューションであるかを特定する情報を受信して、該当するソリューションを履歴記憶部190から取得してユーザーに提供する。
【0113】
あるいは例えば図5に示すように、サーバー30が省略されて、上記においてサーバー30が備えると説明した機能のすべてが、携帯端末10に備えられていてもよい。
【0114】
あるいは例えばユーザー情報取得部111は、顔の画像を表示部133に表示させる代わりに、ユーザーの顔を映す鏡部に写るユーザーの顔の映像を見せた状態で、質問に対するユーザーによる回答の入力を受け付けるように構成されていてもよい。
【0115】
この場合、表示部133はユーザーが鏡部に写るユーザーの顔と同時に見ることができる位置に配置され、入力部170は鏡部に写るユーザーの顔及び表示部133に表示された質問を見ながら操作を行える位置に配置される。
【0116】
あるいは例えば、ユーザー情報取得部111は、ユーザーが、手指の肌の画像を取得すべき第1状況にあるか、顔の肌の画像を取得すべき第2状況にあるか、を認識して、ユーザーが第1状況にある場合には該ユーザーの手指の肌の画像を含むユーザー情報を取得し、ユーザーが第2状況にある場合にはユーザーの顔の肌の画像を含むユーザー情報を取得するように構成されてもよい。
【0117】
この場合、ユーザー状態情報生成部311は、ユーザーが第1状況にある場合にはユーザー情報取得部111により取得されたユーザーの顔の画像に基づいてユーザー状態情報を生成し、ユーザーが第2状況にある場合にはユーザー情報取得部111により取得されたユーザーの顔の画像に基づいてユーザー状態情報を生成するように構成される。
【0118】
ユーザー情報取得部111は例えば、ユーザーが第1状況にあるか、第2状況にあるかを選択させるための選択ボタンを携帯端末10のディスプレイに表示し、ユーザーに選択させることで、ユーザーが第1状況及び第2状況のいずれの状況にあるかを認識する。あるいは例えばユーザー情報取得部111は、現在の時間帯に基づいて、ユーザーが第1状況及び第2状況のいずれの状況にあるかを認識してもよい。すなわち例えばユーザー情報取得部111は、昼間の時間帯であれば第1状況、就寝前の夜の時間帯であれば第2状況であると認識する。
【符号の説明】
【0119】
10…携帯端末、30…サーバー、111…ユーザー情報取得部、113…ソリューション提供部、115…表示制御部、117…回答受付部、131…振動発生部、133…表示部、135…音声再生部、137…香り発生部、150…撮像部、170…入力部、190…履歴記憶部、311…ユーザー状態情報生成部、313…ソリューション決定部、330…ソリューション記憶部。
【要約】
【課題】 ユーザーの感情又は疲労状態に応じた適切なソリューションを簡便に提供できる携帯端末を提供する。
【解決手段】 携帯端末とサーバーとから構成されるコンピューターシステムに用いられる携帯端末であって、表示制御部は撮像部により撮像されたユーザーの顔の画像を表示部に表示すると共に表示されたユーザーの顔に現れている感情又は疲労状態と相関関係を有する顔の状態についての質問を表示部に表示し、入力部はユーザーが表示部に表示される顔の画像及び質問を見ながら操作を行える位置に配置されており、回答受付部は顔の画像を表示部に表示させた状態でユーザーの顔の状態についての質問に対する回答の入力を受け付けて回答をサーバーに送信し、ソリューション提供部はユーザーの顔の状態についての質問に対する回答の情報に基づいて決定されたソリューション情報をユーザーに提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5