(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】加熱装置、加熱システムおよび加熱方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20220510BHJP
A24F 1/30 20060101ALI20220510BHJP
H05B 3/16 20060101ALN20220510BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F1/30
H05B3/16
(21)【出願番号】P 2021182786
(22)【出願日】2021-11-09
【審査請求日】2021-11-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521491990
【氏名又は名称】杉山 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】杉山 祐
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-524850(JP,A)
【文献】特表2021-526006(JP,A)
【文献】実開昭54-065789(JP,U)
【文献】特開昭54-058571(JP,A)
【文献】特表2021-525540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24F 1/30
H05B 3/02-3/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーシャ装置に提供されるエアロゾル形成体を加熱するための加熱装置であって、
カバー部材と、
前記カバー部材に設けられ、前記エアロゾル形成体を加熱する発熱体と、
前記発熱体の一方の面側に設けられる絶縁体と、
前記カバー部材を支持するように構成された支持部とを含み、
前記絶縁体は、前記発熱体の少なくとも一部を露出するように構成され
、
前記支持部は、高さ調整可能に構成されていることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記絶縁体は、前記発熱体と重なるように前記カバー部材の下面に設けられている請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記カバー部材に設けられ、前記絶縁体を前記カバー部材に固定する固定部をさらに含み、
前記絶縁体は、取り外し可能に構成されている請求項1または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記絶縁体は、網状をなしている請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項5】
前記発熱体は、面状に形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記カバー部材に設けられた第1の支持部材と、第2の支持部材と、前記第1の支持部材および前記第2の支持部材を連結する連結部と、を含む請求項
1に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記第1の支持部材は、前記連結部において、前記第2の支持部材と重なって設けられる請求項
6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記発熱体を収容する収容部と、前記収容部の外縁に設けられたつば部と、を含み、
前記固定部は、前記つば部に設けられる請求項3に記載の加熱装置。
【請求項9】
シーシャ装置に提供されるエアロゾル形成体を加熱するための複数の加熱装置と、
前記複数の加熱装置を載置する載置部と、を含む加熱システムであって、
前記複数の加熱装置のそれぞれは、
カバー部材と、
前記カバー部材に設けられ、前記エアロゾル形成体を加熱する発熱体と、
前記発熱体の一方の面側に設けられる絶縁体と、
前記カバー部材と連結し、前記カバー部材を支持するように構成され、前記載置部に載置するための支持部と、を含み、
前記絶縁体は、前記発熱体の少なくとも一部を露出するように構成されていることを特徴とする加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成体を加熱するための加熱装置、加熱システムおよび加熱方法に関する。特に、本発明は、シーシャ装置に提供される前のエアロゾル形成体を加熱するための加熱装置、加熱システムおよび加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシーシャ(水タバコ)装置は、木炭や電気加熱器によってタバコの葉を発煙させ、その煙を水を介して供給する(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の水タバコ装置は、水および空気を収容した密閉容器と、タバコの葉を入れる受皿と、密閉容器内の水および受皿の間に設けられた煙道パイプと、密閉容器内の空気を吸い出す吸口と、受皿内のタバコの葉を加熱する電気加熱器と、を備えている。水タバコ装置において、煙道パイプおよび受皿は、互いに通気可能に接続されている。そのため、タバコの葉が発煙した状態で、ユーザーが、吸口を介して吸引すると、タバコの葉の煙が、煙道パイプを通過しさらに水を通過した後に、吸口を介して吸い込まれる。このような水タバコ装置は、タバコの葉を発煙させるため、電気加熱器の温度を1100℃前後にする必要がある。このような水タバコ装置は、タバコの葉を直接燃焼させるように発煙させるため、取り扱いが難しく、ランニングコストが高い。
【0003】
なお、現在のシーシャ装置では、タバコの葉、グリセリン、プロピレングリコール等を含むエアロゾル形成体が主に用いられている。エアロゾル形成体を加熱する場合、木炭を用いてエアロゾル形成体を加熱することにより、エアロゾル形成体のより良い風味を提供することができる。このため、木炭を用いるシーシャ装置中のエアロゾル形成体の熱プロファイルをより忠実に模倣するシーシャ装置用の電気ヒーターの提供が試みられている(例えば、特許文献2)。しかしながら、木炭を用いるシーシャ装置の需要は依然として高い。
【0004】
木炭によりエアロゾル形成体(加熱されていない状態のもの)を加熱する場合、まずは木炭を着火する必要がある。木炭を完全に着火するまでに要する時間は少なくとも5分である(エアロゾル形成体を加熱する前に要する時間を「加熱準備時間」という)。また、完全に着火した木炭を用いてエアロゾル形成体を加熱する場合、エアロゾル形成体がエアロゾル化し始めるまでに要する時間(エアロゾル化開始時間)は、少なくとも5分である。このため、シーシャ装置をユーザーが使用する前に、エアロゾル形成体を予め加熱(プレヒート)しておくことが好ましい。そのため、通常、木炭を用いるシーシャ装置をユーザーが使用する前に、エアロゾル形成体が予め木炭で加熱される。しかしながら、木炭の燃焼は不安定である。また、木炭の大きさによって、エアロゾル化開始時間も異なってくる。そのため、エアロゾル形成体を安定してエアロゾル化することが困難であった。また、木炭を用いる場合のエアロゾル化開始時間は、シーシャ装置を利用したいユーザーにとって比較的長いものである。したがって、シーシャ装置に提供される前のエアロゾル形成体をスムーズにかつ安定してプレヒートすることに関して課題があった。
【0005】
このような問題は、電気加熱器を用いるシーシャ装置においても同様に存在する。例えば、特許文献1に記載の電気加熱器は、絶縁シートによってその全体が被覆されている。このように既存の電気加熱器において、通常、ニクロム線等の抵抗体は、電気的なショートを防止する観点から絶縁材料でその全体が被覆されている。このように絶縁材料で被覆されたニクロム線としては、シーズヒーターが公知である。シーズヒーターでは、起動して所定の加熱温度に達するまでの時間(加熱準備時間)が、比較的長い(例えば、10分程度を要する)。したがって、シーズヒーターを用いる場合、加熱準備時間(10分)を経た後、所定のエアロゾル化開始時間をさらに要する。このように、電気加熱器を起動して所定の加熱温度にするまでに比較的長い時間を要するので、シーシャ装置に提供される前のエアロゾル形成体をスムーズにかつ安定して加熱することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】昭54-58571号公報
【文献】特表2021-525540
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、シーシャ装置に提供される前に、エアロゾル形成体をスムーズにかつ安定して加熱することが可能な加熱装置、加熱システムおよび加熱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、以下の(1)~(12)の本発明により達成される。
(1) エアロゾル形成体を加熱するための加熱装置であって、
カバー部材と、
前記カバー部材に設けられ、前記エアロゾル形成体を加熱する発熱体と、
前記発熱体の一方の面側に設けられる絶縁体と、を含み、
前記絶縁体は、前記発熱体の少なくとも一部を露出するように構成されていることを特徴とする加熱装置。
【0009】
(2) 前記絶縁体は、前記発熱体と重なるように前記カバー部材の下面に設けられている上記(1)に記載の加熱装置。
【0010】
(3) 前記カバー部材に設けられ、前記絶縁体を前記カバー部材に固定する固定部をさらに含み、
前記絶縁体は、取り外し可能に構成されている上記(1)または(2)に記載の加熱装置。
【0011】
(4) 前記絶縁体は、網状をなしている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の加熱装置。
【0012】
(5) 前記発熱体は、面状に形成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の加熱装置。
【0013】
(6) 前記カバー部材を支持するように構成された支持部をさらに含み、
前記支持部は、高さ調整可能に構成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の加熱装置。
【0014】
(7) 前記支持部は、前記カバー部材に設けられた第1の支持部材と、第2の支持部材と、前記第1の支持部材および前記第2の支持部材を連結する連結部と、を含む上記(6)に記載の加熱装置。
【0015】
(8) 前記第1の支持部材は、前記連結部において、前記第2の支持部材と重なって設けられる上記(7)に記載の加熱装置。
【0016】
(9) 前記カバー部材は、前記発熱体を収容する収容部と、前記収容部の外縁に設けられたつば部と、を含み、
前記固定部は、前記つば部に設けられる上記(3)に記載の加熱装置。
【0017】
(10) エアロゾル形成体を加熱するための複数の加熱装置と、
前記複数の加熱装置を載置する載置部と、を含む加熱システムであって、
前記複数の加熱装置のそれぞれは、
カバー部材と、
前記カバー部材に設けられ、前記エアロゾル形成体を加熱する発熱体と、
前記発熱体の一方の面側に設けられる絶縁体と、
前記カバー部材と連結し、前記カバー部材を支持するように構成され、前記載置部に載置するための支持部と、を含み、
前記絶縁体は、前記発熱体の少なくとも一部を露出するように構成されていることを特徴とする加熱システム。
【0018】
(11) エアロゾル形成体を加熱する加熱方法であって、
発熱体を所定の加熱温度で起動するステップと、
前記発熱体と、前記エアロゾル形成体とを位置合わせするステップと、
前記発熱体を用いて、前記エアロゾル形成体をエアロゾル化させないように加熱するステップと、を含むことを特徴とする加熱方法。
【0019】
(12) 前記所定の加熱温度は、200℃~400℃である上記(11)に記載の加熱方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シーシャ装置に提供される前に、エアロゾル形成体をスムーズにかつ安定して加熱することが可能な加熱装置、加熱システムおよび加熱方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の加熱システムの実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の加熱装置を示す下面図である。
【
図3】
図3は、本発明の加熱装置を示す上面図である。
【
図4】
図4は、本発明の加熱装置を示す左側側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の加熱装置を示す背面図である。
【
図6】
図6は、木炭を用いるシーシャ装置の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の加熱装置の使用例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の加熱装置の絶縁体の変形例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の加熱装置を使用してエアロゾル形成体を加熱する方法の一例を示すフロー図である。
【
図10】
図10は、実施例および比較例によるプレヒート時の表面温度を測定している状態を示す写真である。
【
図11】
図11は、実施例および比較例によるプレヒート後のエアロゾル形成体の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の加熱装置、加熱システムおよび加熱方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。まず、本発明の加熱システムの実施形態について説明する。
図1は、本発明の加熱システムの実施形態を示す斜視図である。
【0023】
なお、以下の説明では、
図1中の上側を「上」または「上方」と言い、下側を「下」または「下方」と言う。また、
図1中の紙面左手前側を「左」または「左方」と言い、紙面右奥側を「右」または「右方」と言う。
【0024】
(システム)
図1に示す加熱システム10は、エアロゾル形成体を加熱するための複数(本実施形態では4つ)の加熱装置1と、複数の加熱装置1を載置する載置部8とを備えている。加熱システム10は、シーシャ装置に提供される前のエアロゾル形成体を、複数の加熱装置1のそれぞれが加熱するように構成されている。
【0025】
複数の加熱装置1のそれぞれは、エアロゾル形成体を加熱するための発熱体2と、発熱体2をカバーするカバー部材3と、発熱体2の一方の面側に設けられた絶縁体4と、絶縁体4をカバー部材3に固定するための固定部5と、カバー部材3を支持するための支持部6と、発熱体2を起動させるための電源部7と、を有している。
【0026】
このような複数の加熱装置1が、平面視で長方形状をなす載置部8の一方の長辺(後方側部)に沿って、整列して設けられている。各加熱装置1に対応するように、エアロゾル形成体(エアロゾル形成体が収容された容器)が載置部8に載置される。そして、加熱装置1は、エアロゾル形成体を所定の温度(例えば、200℃~400℃)で加熱する。エアロゾル形成体を加熱するための方法については後述する。
【0027】
なお、載置部8の形状や、加熱装置1の配置は特に限定されない。例えば、載置部8は円環状であってもよい。この場合、載置部8の円周に沿って、複数の加熱装置1を配列させることが好ましい。これにより、各加熱装置1にエアロゾル形成体をスムーズに提供することができる。また、複数の加熱装置1が、1つの加熱装置として構成されてもよい。すなわち、載置部8の形状に沿うように、1つの加熱装置1が設けられてもよい。これにより、エアロゾル形成体が収容された複数の容器が載置部8に載置された状態で、1つの加熱装置1が、複数の容器に収容されたエアロゾル形成体を一斉に加熱することができる。
【0028】
また、加熱システム10は、各加熱装置1の発熱体2の表面加熱温度を管理するように検知部を備えていてもよい。さらに、加熱システム10は、記憶部、制御部等を備えていてもよい。これにより、各加熱装置1の発熱体2の表面加熱温度を自動的に管理することができる。加熱システム10は、必要に応じて、4つの加熱装置1を同時に起動させてもよく、4つの加熱装置1のうちの一部のみを起動させてもよい。本実施形態において、各加熱装置1の機能は互いに同一であるが、異なっていてもよい。
【0029】
以下、加熱装置1の各部について具体的に説明する。なお、加熱装置1は、本発明の加熱装置の一例である。
図2は、本発明の加熱装置の発熱体を下側からみたときの図である。
図3は、本発明の加熱装置を示す上面図である。
図4は、本発明の加熱装置を、左方下側からみたときの図である。
図5は、本発明の加熱装置の背面図である。
【0030】
まず、発熱体2について説明する。
図2に示すように、発熱体2は、抵抗体21と、抵抗体21を配置するための基部22とを備えている。抵抗体21は、アルミニウム等の金属や、ニッケル系合金等の合金等から構成される。本実施形態では、抵抗体21は、ニッケルとクロムの合金からなるニクロム線のコイルで構成されている。このため、抵抗体21に電流が流れると、抵抗体21は発熱するように構成されている。また、抵抗体21は、
図2に示されるように面状をなしていることが好ましい。これにより、エアロゾル形成体を広範囲にかつ均等に加熱することができる。発熱体2の加熱温度(表面加熱温度)は、150℃~450℃であることが好ましく、200℃~400℃であることがより好ましい。当該加熱温度の好ましい範囲を超えた温度(例えば、500℃)でエアロゾル形成体を加熱すると、エアロゾル形成体を炭化させてしまう可能性がある。その結果、エアロゾル形成体を安定して加熱することが困難となる。
【0031】
基部22は、円盤状をなし、その一方の面に平面視で渦巻き状の溝部を有する。この溝部に沿って抵抗体21が凹設されている。基部22は、マイカ等の耐火性の絶縁材料で構成されることが好ましい。また、基部22は、抵抗体21を面状に配置できるように形成されることが好ましい。これにより、発熱体2の表面積を増加させることができ、効率よくエアロゾル形成体を加熱することができる。この発熱体2の上側(基部22の溝部が設けられた面と反対側の面側)に、カバー部材3が設けられている。
【0032】
図3に示されるように、カバー部材3は、収容部31と、つば部32とを備えている。収容部31は、筒状をなし、その内部に、発熱体2を収容可能に構成されている。収容部31の上部は閉塞している。すなわち、収容部31は上面を有する。収容部31の外縁につば部32が設けられている。このように、カバー部材3は、ハット状をなしている。なお、カバー部材3の形状は、発熱体2を収容可能なように、発熱体2の形状に応じて変更され得る。
【0033】
また、本実施形態では、収容部31の上面の中心付近にネジ用の孔が形成されている。これにより、カバー部材3を介して、発熱体2および後述する支持部6の第1の支持部材61をネジ部材等によって固定することができる。また、収容部31の上面の外周付近には、発熱体2と電源部7とを繋ぐための孔が設けられている。この孔を介して、発熱体2の抵抗体(ニクロム線)21と、電源部7の電線とが接続されている。
【0034】
このようなカバー部材3は、エアロゾル排出機構を有していてもよい。エアロゾル排出機構は、収容部31の上面のいずれかの位置に収容部31の内部と外部とを連通する貫通孔で構成される。これにより、加熱装置1がエアロゾル形成体を加熱し過ぎてしまい、エアロゾル形成体から大量のエアロゾルが発生したような場合であっても、エアロゾルが貫通孔から排出されるので、発熱体2の損傷を防止または抑制することができる。その結果、加熱装置1のランニングコストを抑制することができる。また、収容部31は、上下開放の筒状をなしていてもよい。換言すれば、収容部31は、上面に開口部を有していてもよい。これにより、発熱体2の基部22の両面に抵抗体21を設けることができる。その結果、発熱体2の上面側でも、エアロゾル形成体を加熱することができる。
【0035】
図2に戻り、発熱体2の他方の面側(発熱体2においてカバー部材3が位置する側とは反対側)で発熱体2を部分的に被覆するように、絶縁体4が設けられている。絶縁体4は、ガラス繊維等の絶縁材料で構成されている。また、絶縁体4は、発熱体2と重なるようにカバー部材3の下面(つば部32の下面)に設けられている。これにより、絶縁体4は、発熱体2と通電体(例えば、エアロゾル形成体)との接触に起因する電気的なショートを防止または抑制することができる。
【0036】
絶縁体4は、網状をなしている。すなわち、絶縁体4は、発熱体2の一部を露出するように構成されている。このような絶縁体4を有する加熱装置1は、発熱体2とエアロゾル形成体との接触を防止するとともに、発熱体2からの熱をエアロゾル形成体に効率的に伝達することができる。
【0037】
絶縁体4は、発熱体2に重なった状態で、カバー部材3に固定されている。このため、発熱体2(特に抵抗体21)の落下を防止することができる。なお、発熱体2において、抵抗体21が基部22に固定されている場合、絶縁体4および固定部5を省略することも可能である。
【0038】
絶縁体4をカバー部材3に固定するように、固定部5が設けられている。本実施形態では、固定部5は、複数(4つ)の把持部で構成されている。すなわち、固定部5は、カバー部材3のつば部32と、絶縁体4とを把持する機能を有し、着脱自在に構成されている。これにより、絶縁体4は取り外し可能に構成され得る。このため、絶縁体4が損傷したときでも、絶縁体4のみを交換することにより、加熱装置1を可動させることができる。その結果、加熱装置1のランニングコストを抑制することができる。また、固定部5がつば部32に設けられることにより、固定部5の脱着が容易となるので、絶縁体4の取り外し可能も容易となる。その結果、上述の効果をより容易に発揮することができる。このような固定部5は、複数の固定部5を備えていることが好ましい。これにより、絶縁体4をカバー部材3に安定して固定することができる。なお、固定部5の構成は、絶縁体4をカバー部材3や発熱体2に固定する機能を有するものであれば特に限定されない。例えば、固定部5は、接着剤で構成されていてもよい。以上で説明した発熱体2、カバー部材3、絶縁体4および固定部5は、支持部6を介して、載置部8に固定されている。
【0039】
図4に示されるように、支持部6は、第1の支持部材(上側支持部材)61と、第2の支持部材(下側支持部材)62と、連結部63と、補助部材64と、を有している。第1の支持部材61は、L字状をなしている。第1の支持部材61の一端がカバー部材3の収容部31の上面で固定されている(
図3)。第2の支持部材62は、L字状をなしている。第2の支持部材62の一端は、載置部8に固定されている。そして、第1の支持部材61の他端と、第2の支持部材62の他端とが重なるように、第1の支持部材61および第2の支持部材62が連結部63によって連結されている。このような構成により、第2の支持部材62に対する第1の支持部材61の位置決め(位置調整)を段階的に行うことができる。
【0040】
連結部63は、チューブ状をなしている。本実施形態では、連結部63は、半透明のシリコンチューブで構成されている。この連結部63において、第1の支持部材61は、第2の支持部材62と重なって設けられている。これにより、第1の支持部材61は、連結部63の中で、第2の支持部材62に沿って摺動可能である。このとき、第1の支持部材61が発熱体2に対して近位側(
図4中右側)に位置し、第2の支持部材62が発熱体2に対して遠位側(
図4中左側)に位置している。この状態で、第1の支持部材61は、連結部63の中で、第2の支持部材62に対して変位可能に構成されている。このように、支持部6は、高さ調整可能に構成されている。その結果、第1の支持部材61の一端で固定された発熱体2、カバー部材3、絶縁体4および固定部5は、載置部8の表面(載置面)に対して、変位可能となっている。このような支持部6を備える加熱装置1は、様々な形状、大きさの受皿部(エアロゾル形成体が収容される容器)に対応して、エアロゾル形成体を加熱することができる。また、第1の支持部材61は、カバー部材3と第2の支持部材62との間で、第2の支持部材62と重なるように配置されていることが好ましい。すなわち、第2の支持部材62が、発熱体2に対して遠位側に位置していることにより、発熱体2が第2の支持部材62から遠ざかる。これにより、載置部8の載置面に載置可能な受皿部の種類を増大させることができる。
【0041】
また、第1の支持部材61のL字直角の内側部分に沿って、補助部材64が設けられている。これにより、第1の支持部材61の強度を向上させ、支持部6の発熱体2等を支持する機能を向上させることができる。
【0042】
次に、電源部7について説明する。電源部7は、
図1に示されるように、接続部71と、電線部72と、電力調整部73と、電源コード(図示せず)と、を備えている。接続部71は、電線部72と発熱体2の抵抗体(ニクロム線)21とを接続する機能を有している。電線部72は、絶縁材料で被覆された電線で構成されている。電力調整部73は、操作部731を有し、発熱体2に供給される電力を調整する機能を有する。電源部7の電源コードが電源に接続された状態で、電力調整部73の操作部731を回転すると、所定の電力が発熱体2に供給される。本実施形態では、電源部7の最大電力は200Wである。
【0043】
なお、加熱システム10が、制御部を有する場合、制御部が、電源部7を制御して、発熱体2を所定の温度で起動してもよい。また、電源部7は、所定の時間(例えば3分)経過後に出力が自動で停止または抑制されるように構成されてもよい。これにより、所定の時間経過後に、発熱体2の表面加熱温度が低下し、エアロゾル形成体を加熱し過ぎないようにすることができる。
【0044】
また、加熱装置1は、発熱体2と、カバー部材3と、絶縁体4と、固定部5とで構成されていてもよい。この場合、加熱システム10は、複数の加熱装置1と、複数の加熱装置1を支持するための複数の支持部6と、複数の加熱装置1に電力を供給する電源部7と、複数の支持部6と連結し、複数の支持部6を介して複数の加熱装置1を載置する載置部8とを備える。
【0045】
上述した加熱装置1、加熱システム10は、シーシャ装置とは独立して、シーシャ装置に提供されるエアロゾル形成体を加熱(プレヒート)するように構成されている。このような構成は、電気ヒーターを備えるシーシャ装置に関する発明からは到底着想し得ないものである。なぜなら、電気ヒーターを備えるシーシャ装置では、シーシャ装置にエアロゾル形成体を設置した状態で、電気ヒーターが使用されるのみであるからである。ここで、プレヒートされたエアロゾル形成体が提供されるシーシャ装置について説明する。
図6は、木炭を用いるシーシャ装置の一例を示す概略図である。
【0046】
図6に示されるシーシャ装置100は、水Wおよび空気を収容する容器101と、一端が水Wの中に位置付けられた導管部102と、導管部102の他端に接続された台部103と、台部103に設けられ、エアロゾル形成体Lを収容する受皿部104と、受皿部104の上側開口を塞ぐように設けられた金属シート105と、金属シート105上に設けられ、受皿部104内のエアロゾル形成体Lを加熱する木炭Cと、容器101内の空気を吸い出すための吸口パイプ106と、吸口パイプ106の端部107と、を備えている。なお、本実施形態のエアロゾル形成体Lは、例えば、タバコの葉と、グリセリンと、プロピレングリコールとの混合物、またはタバコの葉などが挙げられる。エアロゾル形成体Lは、当該混合物に、香料、糖蜜等のその他の成分を含んでいてもよい。
【0047】
本実施形態では、絶縁体4は、網状をなし、発熱体2の一部を露出するように構成されている。このような発熱体2および絶縁体4を有する加熱装置1は、起動してから所定の加熱温度に達するまでほとんど時間を要しない(例えば加熱準備時間は30秒である)。したがって、本実施形態の加熱装置1は、シーズヒーターに比較して、所定の加熱温度に達するまでの時間を大幅に短縮することができる。すなわち、加熱装置1は、シーズヒーターに比較して、迅速にエアロゾル形成体をプレヒートすることができる。その結果、プレヒートされたエアロゾル形成体Lをシーシャ装置100に迅速に提供することができる。さらに、シーシャ装置100の利用を促進することも期待される。
【0048】
次に、
図7を参照して、加熱装置1の使用例を説明する。
図7(a)は、シーシャ装置100の受皿部104を加熱装置1に配置したとき(エアロゾル形成体を加熱する前)の状態を示す図である。
図7(b)は、加熱装置1に配置された受皿部104のエアロゾル形成体を加熱するときの状態を示す図である。なお、
図7(a)および
図7(b)では、説明の都合上、受皿部104に設けられる金属シート105およびエアロゾル形成体は省略している。
【0049】
図7(a)に示されるように、受皿部104を載置部8に配置したとき、カバー部材3の下面と、受皿部104の上端縁部との間の距離(
図7(a)中の距離H)は、5cm程度である。このときの第1の支持部材61の位置を第1の位置という。第1の支持部材61が第1の位置にあることにより、安全かつ迅速に、受皿部104を加熱装置1に配置することができる。
【0050】
一方、
図7(b)に示されるように受皿部104のエアロゾル形成体を加熱するとき、距離Hは、1cm程度である。このときの第1の支持部材61の位置を第2の位置という。第1の支持部材61が第2の位置にあることにより、迅速かつ効率的に受皿部104のエアロゾル形成体を加熱することができる。具体的には、電源部7の電力調整部73が、発熱体2に供給される電力を200Wに設定し、12gのタバコの葉を含むエアロゾル形成体を加熱する場合、エアロゾル化開始時間(プレヒート時間)は2分である。プレヒート時間は、タバコの葉の量や状態、発熱体2に供給される電力等に応じて変更され得るが、1分~5分とすることが好ましく、1分30秒~3分であることがより好ましい。なお、エアロゾル化とは、エアロゾル形成体からエアロゾルが発生する状態を指す。電力調整部73が供給電力を調整することにより、エアロゾル化開始時間を変更することも可能である。また、供給電力は一定とし、距離Hを長くすることによって(例えば、第1の位置と第2の位置の中間とすることによって)、エアロゾル化開始時間を変更する(例えば、長くする)ことも可能である。
【0051】
なお、支持部6は、第1の位置や第2の位置を決めるためのストッパー部を有していてもよい。例えば、第1の支持部材61の背面側(第1の支持部材61における補助部材64が設けられた面とは反対側)に、ストッパー部が設けられてもよい。この場合、ストッパー部は、第1の支持部材61のL字直角の外側部分に沿ったL字状とすることができる。これにより、第1の支持部材61が下方に移動して、ストッパー部の下側端と、第2の支持部材62の上側端とが当接したとき、第1の支持部材61が第2の位置に位置決めされる。これにより、第1の支持部材61の第2の位置への位置決めが容易になる。また、第2の支持部材62の一端側部(上側部分の側部)と、第1の支持部材61の他端側部(下側部分の側部)とに、互いに当接する当接部材が設けられてもよい。これにより、第1の支持部材61が、第2の位置から上方に移動していくと、第1の支持部材61の当接部材と、第2の支持部材62の当接部材とが当接し合う。その結果、第1の支持部材61が第1の位置に位置決めされる。これにより、第1の支持部材61の第1の位置への位置決めが容易になる。なお、第1の位置と第2の位置との間において、第1の支持部材61の段階的な位置決めが行われてもよい。例えば、距離Hが1cm刻みとなるように、第1の支持部材61は位置決めされてもよい。これにより、様々な形状、大きさの受皿部に対応して、エアロゾル形成体を加熱することが容易になる。
【0052】
エアロゾル化開始時間に到達した後、第1の支持部材61は、第1の位置まで移動する。これにより、加熱装置1は、
図7(a)に示す状態に戻る。第1の支持部材61の移動は、手動であっても自動であってもよい。例えば、加熱装置1は、エアロゾル化開始時間に到達したときに、第1の支持部材61を第1の位置に自動で移動させるように構成されていてもよい。
【0053】
このように、本実施形態の加熱装置1を用いることにより、シーシャ装置100に提供される前のエアロゾル形成体をスムーズにかつ安定してプレヒートすることができる。プレヒートされた受皿部104は、シーシャ装置100の台部103に配置される。これにより、シーシャ装置100のユーザーは、受皿部104がシーシャ装置100に提供された直後から、シーシャ装置100を使用することができる。
【0054】
(変形例)
図8は、本発明の加熱装置の絶縁体の変形例を示す概略図である。説明の都合上、
図8中の発熱体2および絶縁体4はより簡略化して記載されている。
図8(a)では、絶縁体4の形状が、縞状をなしている。
図8(b)では、絶縁体4の形状が、十字状をなしている。
図8(c)では、絶縁体4は、複数の細孔41を有する膜で構成されている。これらの形状、構成を有する絶縁体4は、網状の絶縁体4と同様の作用・効果を奏することができる。また、
図8(d)では、発熱体2の両面に絶縁体4がそれぞれ設けられている。これにより、発熱体2の両面側(上面側および下面側)において、エアロゾル形成体を加熱することができる。このような構成は、カバー部材3を省略して実施されてもよく、収容部31に上側開口部を形成することにより実施されてもよい。
【0055】
さらに、
図8(d)に示される構成では、検知部(温度センサー)9が設けられている。温度センサー9は、表面加熱温度(
図8(d)の構成においては発熱体2の両面のそれぞれの加熱温度)を測定可能に構成されている。このような温度センサー9としては、例えば、熱電対温度計や、非接触型の赤外線測定器が挙げられる。これにより、各加熱装置1の発熱体2の表面加熱温度を測定することができる。その結果、加熱システム10は、各加熱装置1の表面加熱温度を測定、管理することができる。なお、熱電対温度計を用いて発熱体2の表面加熱温度を測定する場合、熱電対温度計のセンサー部を発熱体2の抵抗体21に接触させて測定したときの温度を、発熱体2の表面加熱温度とする。また、非接触型の赤外線測定器を用いて発熱体2の表面加熱温度を測定する場合、赤外線測定器のセンサー部と発熱体2の抵抗体21との距離を1cmとして測定したときの温度を、発熱体2の表面加熱温度とする。
【0056】
(加熱方法)
図9は、本発明の加熱装置を使用してエアロゾル形成体を加熱し、加熱されたエアロゾル形成体をシーシャ装置へ提供する方法の一例を示すフロー図である。前述した加熱装置1を準備して、当該方法をスタートする(S1)。このとき、加熱装置1の第1の支持部材61は、第1の位置にある。そして、エアロゾル形成体が収容された受皿部104が発熱体2の下側に配置される。その後、加熱装置1の発熱体2を所定の温度(例えば、350℃)で起動する(S2)。このとき、電源部7の操作部731を操作することにより、所定の温度が調整され得る。
【0057】
次に、第1の支持部材61を第1の位置から第2の位置へ移動させ、発熱体2と、エアロゾル形成体とを位置合わせする(S3)。この位置合わせは、発熱体2と、エアロゾル形成体が設けられた受皿部104の上端縁部との距離Hが、1cmとなるように行われる。そして、発熱体2を用いて、エアロゾル形成体をエアロゾル化させないように加熱する(S4)。ステップ4において、加熱時間は、例えば、2分~5分とすることができる。この加熱時間は、エアロゾル化開始時間と一致する。すなわち、ステップ4において、エアロゾル形成体はエアロゾル化しないことが好ましいが、周囲環境(周囲温度等)によっては、加熱時間の途中でエアロゾル化する場合はある。ステップ1~ステップ4が、本発明によるエアロゾル形成体を加熱(プレヒート)する加熱方法の一例を構成する。このような加熱方法によれば、エアロゾル形成体をスムーズにかつ安定して加熱することができる。
【0058】
その後、プレヒートされたエアロゾル形成体をシーシャ装置100へ提供する(S5)。ステップ1~ステップ5が、プレヒートされたエアロゾル形成体の提供方法の一例を構成する。これにより、加熱方法およびプレヒートされたエアロゾル形成体の提供方法が終了となる(S6)。
【0059】
なお、本発明の加熱システム10を用いて上述の加熱方法を実施することもできる。これにより、複数の加熱装置1を一斉に可動させることができるので、複数のユーザーのそれぞれが、シーシャ装置100を同時に使用することができるように、プレヒートされた複数のエアロゾル形成体を供給することができる。この場合、各加熱装置1に対して、ステップ1~ステップ6を同時に実施すればよい。
【0060】
また、本発明の加熱システム10では、複数の加熱装置1のそれぞれが、検知部9を備えることができる。これにより、複数の加熱装置1のそれぞれの発熱体2の温度を管理することができる。このため、複数の加熱装置1におけるエアロゾル化開始時間をそれぞれ独立して調整することもできる。その結果、本発明の加熱システム10を用いた加熱方法によれば、複数のユーザーに対して順次に、プレヒートされたエアロゾル形成体を提供することもできる。この場合、複数の加熱装置1のそれぞれに対して、ステップ1~ステップ6を別個独立して実施すればよい。
【0061】
以上、本発明の加熱システム、加熱装置および加熱方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されず、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することができる。例えば、加熱装置は、その大きさ、形状に応じた載置部を有していてもよい。
【0062】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0063】
(実施例)
加熱システムに設けられた複数の加熱装置のうちの1つを使用して、エアロゾル形成体をプレヒートするための準備を行った。まず、タバコの葉と、グリセリンと、プロピレングリコールとを混合して、エアロゾル形成体を作製した。エアロゾル形成体を受皿部に入れ、受皿部の上部開口を金属シート(アルミホイル)で被覆した。被覆後の金属シートに複数の細孔を形成して、金属シート付き受皿部を準備した。なお、金属シート付き受皿部は、プレヒート後に、シーシャ装置に使用されるものである。
【0064】
そして、加熱装置の第1の支持部材を第1の位置に移動させた。この状態で、金属シート付き受皿部を、発熱体の下側に配置されるように、加熱システムの載置部に載置した。次に、発熱体の加熱温度が約350℃となるように、電源部の操作部を操作した。その後、第1の支持部材を第2の位置に移動させた。このとき、発熱体と、金属シート付受皿部の上端縁部との距離Hは、1cmであった。そして、発熱体を用いて、エアロゾル形成体を3分間加熱した。
【0065】
加熱している間、熱電対温度計(AD-5605H エー・アンド・デイ社製)を使用して、発熱体の直下に位置する金属シートの表面温度を測定した(
図10(a)参照)。測定箇所は、受皿部の中心付近、外側付近の2ヶ所とした。この測定を、5回行った。各測定箇所での測定値(金属シートの表面温度)は、340℃±20℃であった。
【0066】
(比較例)
まず、実施例と同様にして、金属シート付き受皿部を準備した。そして、3つのシーシャ用の木炭(KINCGOココナッツ炭)を完全に着火した。完全に着火した木炭を金属シート付き受皿部上に置き、エアロゾル形成体を3分間加熱した。
【0067】
加熱している間、熱電対温度計(AD-5605H エー・アンド・デイ社製)を使用して、木炭の直下に位置する金属シートの表面温度を測定した(
図10(b)参照)。また、木炭同士の間に位置する金属シートの表面温度を測定した(
図10(c)参照)。この測定を、5回行った。各測定箇所での測定値(金属シートの表面温度)は、木炭の直下では490℃~530℃であり、木炭同士の間では200℃~270℃であった。
【0068】
<プレヒート後の外観評価>
実施例によるプレヒート後のエアロゾル形成体は、
図11(a)に示す状態であった。
図11(a)に示されるように、実施例によるプレヒート後のエアロゾル形成体には、発熱体の熱が均等に伝わったため、焼けムラは見られなかった。
【0069】
一方、比較例によるプレヒート後のエアロゾル形成体は、
図11(b)に示す状態であった。木炭を用いてエアロゾル形成体をプレヒートした場合、測定箇所によって200℃以上の温度差が発生した。その結果、木炭の直下に位置するエアロゾル形成体の部分は、木炭の高熱により、焼け焦げた。
【0070】
<プレヒート後のエアロゾル形成体の使用評価>
実施例によるプレヒート後のエアロゾル形成体を設けたシーシャ装置を使用した場合、エアロゾルを安定的に発生させることができた。
【0071】
一方、比較例によるプレヒート後のエアロゾル形成体を設けたシーシャ装置を使用した場合、エアロゾルを安定的に発生させることができなかった。これは、焼け焦げた部分からはエアロゾルが発生しないことに起因すると考えられる。また、焼け焦げた部分を含むエアロゾル形成体を設けたシーシャ装置を使用した場合、焦げ臭い風味が発生した。
【符号の説明】
【0072】
1 :加熱装置
2 :発熱体
3 :カバー部材
4 :絶縁体
5 :固定部
6 :支持部
7 :電源部
8 :載置部
9 :温度センサー
10 :加熱システム
21 :抵抗体
22 :基部
31 :収容部
32 :つば部
41 :細孔
61 :第1の支持部材
62 :第2の支持部材
63 :連結部
64 :補助部材
71 :接続部
72 :電線部
73 :電力調整部
100 :シーシャ装置
101 :容器
102 :導管部
103 :台部
104 :受皿部
105 :金属シート
106 :吸口パイプ
107 :端部
731 :操作部
C :木炭
H :距離
W :水
L :エアロゾル形成体
【要約】 (修正有)
【課題】シーシャ(水タバコ)装置に提供される前に、エアロゾル形成体をスムーズにかつ安定して加熱することが可能な加熱装置、加熱システムおよび加熱方法を提供する。
【解決手段】エアロゾル形成体を加熱するための加熱装置1であって、カバー部材3と、前記カバー部材に設けられ、前記エアロゾル形成体を加熱する発熱体2と、前記発熱体の一方の面側に設けられる絶縁体4と、を含み、前記絶縁体は、前記発熱体の少なくとも一部を露出するように構成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1