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特許7069403再帰反射性表面を有する分光計及び関連する器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】再帰反射性表面を有する分光計及び関連する器具
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/18 20060101AFI20220510BHJP
   G01J 3/14 20060101ALI20220510BHJP
   G01N 21/73 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G01J3/18
G01J3/14
G01N21/73
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021506948
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019046185
(87)【国際公開番号】W WO2020033956
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】62/717,153
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/536,695
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512285166
【氏名又は名称】ペルキネルマー ヘルス サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ファルサド, マーサ
(72)【発明者】
【氏名】エイキンズ, デイビッド
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-116618(JP,A)
【文献】特開平03-026926(JP,A)
【文献】特開昭63-228036(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106443(WO,A1)
【文献】特表2018-500544(JP,A)
【文献】特表2003-523510(JP,A)
【文献】特表2003-523509(JP,A)
【文献】特開2002-310914(JP,A)
【文献】特開2001-242010(JP,A)
【文献】特開2000-097773(JP,A)
【文献】特開平05-256701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00- G01J 3/51
G01J 1/02- G01J 1/04
G01N 21/00- G01N 21/01
G01N 21/17- G01N 21/74
G02B 5/18
G02B 23/00- G02B 23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光計であって、前記分光計は、
光の通過を可能にするように構成されている開口部と、
分散素子と、
エシェル回折格子と、
反射トリプレット望遠鏡を含むスリーミラーシステムと、
検出器
を備え、
前記スリーミラーシステムの少なくとも1つの反射表面は、前記開口部に光学的に結合されており、かつ前記分散素子を通じて前記エシェル回折格子に光学的に結合されており、
前記開口部によって受信された光は、前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられ、
前記開口部から前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられた前記光は、前記少なくとも1つの反射表面によって前記エシェル回折格子に反射され、
前記エシェル回折格子によって提供された光は、前記エシェル回折格子から前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられ、
前記エシェル回折格子から前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられた前記光は、前記少なくとも1つの反射表面によって前記検出器に反射される分光計。
【請求項2】
前記開口部から前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられた前記光は、前記少なくとも1つの反射表面によって前記分散素子を通じて前記エシェル回折格子に反射され、
前記エシェル回折格子によって提供された前記光は、前記分散素子を通じて前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられる請求項1に記載の分光計。
【請求項3】
前記分散素子は、プリズムを含む、請求項1に記載の分光計。
【請求項4】
前記分散素子は、複光路プリズムを含む、請求項1に記載の分光計。
【請求項5】
前記分散素子は、回折格子を含む、請求項1に記載の分光計。
【請求項6】
前記分散素子は、グリズムを含む、請求項1に記載の分光計。
【請求項7】
前記反射トリプレット望遠鏡は
前記開口部に光学的に結合されている一次ミラーと、
前記一次ミラーに光学的に結合されている二次ミラーと、
前記二次ミラーに光学的に結合されている三次ミラー
を更に含み
前記三次ミラーは、前記分散素子を通じて前記エシェル回折格子に光学的に結合されてい請求項6に記載の分光計。
【請求項8】
前記分光計は、誘導結合プラズマシステムから光を受信する、請求項1に記載の分光計。
【請求項9】
前記エシェル回折格子の回折平面は、前記分散素子の分散平面に垂直である、請求項1に記載の分光計。
【請求項10】
前記開口部は、前記ミラーシステムに光学的に結合されている、請求項1に記載の分光計。
【請求項11】
前記エシェル回折格子から前記少なくとも1つの1つの反射表面に方向付けられた前記光は、交差分散した光を含む、請求項1に記載の分光計。
【請求項12】
分光計であって、前記分光計は、
光の通過を可能にするように構成された開口部と、
分散素子と、
エシェル回折格子と、
ミラーシステムを含む反射トリプレット望遠鏡と、
望遠鏡システムと、
ミラーであって、前記ミラーは、前記分散素子を通じて前記望遠鏡システムに光学的に結合されている、ミラーと、
検出器であって、前記分散素子は、前記検出器に光学的に結合されている、検出器
を備え、
前記開口部は、前記ミラーシステムに光学的に結合されており、前記ミラーシステムは、前記エシェル回折格子に光学的に結合されており、かつ前記ミラーに光学的に結合されており、
前記開口部によって受信された光は、前記ミラーシステムに方向付けられ、
前記開口部から前記ミラーシステムに方向付けられた前記光は、前記ミラーシステムによって前記エシェル回折格子に反射され、
前記エシェル回折格子によって提供された光は、前記エシェル回折格子から前記ミラーシステムに方向付けられ、
前記エシェル回折格子から前記ミラーシステムに方向付けられた前記光は、前記ミラーシステムによって前記検出器に反射される分光計。
【請求項13】
前記分散素子は、プリズムを含む、請求項12に記載の分光計。
【請求項14】
前記分散素子は、複光路プリズムである、請求項12に記載の分光計。
【請求項15】
前記分散素子は、回折格子を含む、請求項12に記載の分光計。
【請求項16】
前記分散素子は、グリズムを含む、請求項12に記載の分光計。
【請求項17】
前記ミラーは、第2の側面とは反対の第1の側面を含み、
前記ミラーの前記第1の側面は、非反射表面を含み、
前記ミラーの前記第2の側面は、反射表面を含み、
前記開口部は、前記ミラーの前記第1の側面を通じて前記ミラーシステムに光学的に結合されており、
前記開口部によって受信された前記光は、前記ミラーを通じて前記ミラーシステムに方向付けられ、
前記ミラーシステムは、前記ミラーの前記第2の側面に光学的に結合されており、
前記エシェル回折格子から前記ミラーシステムに方向付けられた前記光は、前記ミラーシステムによって前記ミラーの前記第2の側面に反射される請求項12に記載の分光計。
【請求項18】
前記分光計は、誘導結合プラズマシステムから光を受信する、請求項12に記載の分光計。
【請求項19】
前記エシェル回折格子から前記ミラーシステムに方向付けられた前記光は、交差分散した光を含む、請求項12に記載の分光計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体的に参照することによって本明細書に組み込まれる、「SPECTROMETERS WITH RETROREFLECTIVE SURFACES AND RELATED INSTRUMENTS」と題する、2018年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/717,153号及び2019年8月9日に出願された米国特許出願第16/536,695号に対する優先権を主張する。
【0002】
1つ以上の光の波長を検出するために使用することができる分光計の特定の構成が本明細書で説明される。
【背景技術】
【0003】
光源から放射された光のスペクトルまたは光源によって探査されるサンプルによって放射された光のスペクトルを検出することが望ましい多くの用途が存在する。光のスペクトルを検出するために分光計が使用されることがある。分光計は従来から、光を空間的に分解する検出器のアレイが、検出器のアレイの各検出器によって検出された光の量に基づいて光の波長を判定することができるように、異なる波長の光を空間的に分離するために、光学素子の組み合わせを使用することがある。異なる波長を空間的に分離するために、回折素子、屈折素子、及び/または反射素子を含む分光計がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
分光計内で使用される光学素子の数は、分光計の全体的なサイズに影響を与える。空間が制約された環境では、大きな占有スペースを有する分光計は、他の有用な器具にとって代わることがあり、よって、実用的でないことがある。本開示による分光計は、光学部品の数を低減させることによって、より小型の設計をもたらす。いくつかの実施態様では、典型的には別個の光学部品によって実行される複数の光学機能は、単一の光学部品によって実行されてもよい。いくつかの実施態様では、少なくとも1つの光学部品を少なくとも2回使用することによって、分光計の物理占有スペースを低減させることができる。例えば、分光計の内部の光がそれに従う経路に沿って、ミラー、ミラーシステム、プリズム、またはグリズムが2回以上使用されてもよい。開示の1つ以上の態様は、光の波長を分離するために光学表面を再使用することに基づいた分光計を含む。いくつかの実施態様では、反射トリプレット望遠鏡は、コリメータ及びイメージャの両方の役割を果たしてもよい。1つ以上の光学部品を再使用することによって、分光計の相対サイズを低減させることができる。更に、1つ以上の光学部品を再使用することは、独立した光学部品が同一の程度の波長分離を実行することを必要としないことによって、分光計のコストをも低減させることができる。
【0005】
1つの態様に従って、開示は、分光計に関する。分光計は、光の通過を可能にするように構成された開口部と、分散素子と、エシェル回折格子と、少なくとも1つの反射表面と、検出器と、を含む。少なくとも1つの反射表面は、開口部に光学的に結合され、分散素子を通じてエシェル回折格子にも光学的に結合される。開口部によって受信された光は、少なくとも1つの反射表面に方向付けられる。開口部から少なくとも1つの反射表面に方向付けられた光は、少なくとも1つの反射表面によってエシェル回折格子に反射される。エシェル回折格子によって提供された光は、エシェル回折格子から少なくとも1つの反射表面に方向付けられる。エシェル回折格子から少なくとも1つの反射表面に方向付けられた光は、少なくとも1つの反射表面によって検出器に反射される。
【0006】
いくつかの実施態様では、開口部から少なくとも1つの反射表面に方向付けられた光は、少なくとも1つの反射表面によって分散素子を通じてエシェル回折格子に反射されてもよく、エシェル回折格子によって提供された光は、分散素子を通じて少なくとも1つの反射表面に方向付けられてもよい。いくつかの実施態様では、少なくとも1つの反射表面は、スリーミラーシステムを含んでもよい。いくつかの実施態様では、分散素子は、プリズムを含んでもよい。いくつかの実施態様では、分散素子は、複光路プリズムであってもよい。いくつかの実施態様では、分散素子は、回折格子を含んでもよい。いくつかの実施態様では、分散素子は、グリズムを含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施態様では、スリーミラーシステムは、反射トリプレット望遠鏡を含んでもよい。反射トリプレット望遠鏡は、開口部に光学的に結合された一次ミラーと、一次ミラーに光学的に結合された二次ミラーと、二次ミラーに光学的に結合された三次ミラーと、含んでもよい。三次ミラーは、分散素子を通じてエシェル回折格子に光学的に結合されてもよい。いくつかの実施態様では、分光計は、誘導結合プラズマ(ICP)システムから光を受信してもよい。
【0008】
本開示の別の態様により、別の分光計が提供される。分光計は、光の通過を可能にするように構成された開口部と、分散素子と、エシェル回折格子と、ミラーシステムと、ミラーと、望遠鏡システムと、検出器と、を含む。開口部は、ミラーシステムに光学的に結合される。ミラーシステムは、エシェル回折格子に光学的に結合され、及びミラーに光学的に結合される。開口部によって受信された光は、ミラーシステムに方向付けられる。開口部からミラーシステムに方向付けられた光は、ミラーシステムによってエシェル回折格子に反射される。エシェル回折格子によって提供された光は、エシェル回折格子からミラーシステムに方向付けられる。エシェル回折格子からミラーシステムに方向付けられた光は、ミラーシステムによって検出器に反射される。
【0009】
いくつかの実施態様では、ミラーは、分散素子を通じて望遠鏡システムに光学的に結合されてもよく、分散素子は、検出器に光学的に結合される。いくつかの実施態様では、ミラーシステムは、スリーミラーを含んでもよい。いくつかの実施態様では、分散素子は、プリズムを含んでもよい。いくつかの実施態様では、分散素子は、複光路プリズムであってもよい。いくつかの実施態様では、分散素子は、回折格子を含んでもよい。いくつかの実施態様では、分散素子は、グリズムを含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施態様では、ミラーは、第2の側面とは反対の第1の側面を含んでもよい。ミラーの第1の側面は、非反射的であってもよく、ミラーの第2の側面は、反射的であってもよい。開口部は、ミラーの第1の側面を通じてミラーシステムに光学的に結合されてもよい。開口部によって受信された光は、ミラーを通じてミラーシステムに方向付けられてもよい。ミラーシステムは、ミラーの第2の側面に光学的に結合される。エシェル回折格子からミラーシステムに方向付けられた光は、ミラーシステムによってミラーの第2の側面に反射される。いくつかの実施態様では、分光計は、誘導結合プラズマ(ICP)システムから光を受信してもよい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
光の通過を可能にするように構成された開口部と、
分散素子と、
エシェル回折格子と、
少なくとも1つの反射表面と、
検出器と、を備え、
前記少なくとも1つの反射表面は、開口部に光学的に結合され、かつ前記分散素子を通じて前記エシェル回折格子に光学的に結合され、
前記開口部によって受信された光は、前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられ、
前記開口部から前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられた前記光は、前記少なくとも1つの反射表面によって前記エシェル回折格子に反射され、
前記エシェル回折格子によって提供された光は、前記エシェル回折格子から前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられ、
前記エシェル回折格子から前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられた前記光は、前記少なくとも1つの反射表面によって前記検出器に反射される、
分光計。
(項目2)
前記開口部から前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられた前記光は、前記少なくとも1つの反射表面によって前記分散素子を通じて前記エシェル回折格子に反射され、
前記エシェル回折格子によって提供された前記光は、前記分散素子を通じて前記少なくとも1つの反射表面に方向付けられる、
項目1に記載の分光計。
(項目3)
前記少なくとも1つの反射表面は、スリーミラーシステムを含む、項目1に記載の分光計。
(項目4)
前記分散素子は、プリズムを含む、項目1に記載の分光計。
(項目5)
前記分散素子は、複光路プリズムを含む、項目3に記載の分光計。
(項目6)
前記分散素子は、回折格子を含む、項目1に記載の分光計。
(項目7)
前記分散素子は、グリズムを含む、項目1に記載の分光計。
(項目8)
前記スリーミラーシステムは、反射トリプレット望遠鏡を含む、項目3に記載の分光計。
(項目9)
前記反射トリプレット望遠鏡は更に、
前記開口部に光学的に結合された一次ミラーと、
前記一次ミラーに光学的に結合された二次ミラーと、
前記二次ミラーに光学的に結合された三次ミラーと、含み、前記三次ミラーは、前記分散素子を通じて前記エシェル回折格子に光学的に結合される、
項目7に記載の分光計。
(項目10)
前記分光計は、誘導結合プラズマシステムから光を受信する、項目1に記載の分光計。
(項目11)
光の通過を可能にするように構成された開口部と、
分散素子と、
エシェル回折格子と、
ミラーシステムと、
ミラーと、
望遠鏡システムと、
検出器と、を備え、
前記開口部は、前記ミラーシステムに光学的に結合され、前記ミラーシステムは、前記エシェル回折格子に光学的に結合され、かつ前記ミラーに光学的に結合され、
前記開口部によって受信された光は、前記ミラーシステムに方向付けられ、
前記開口部から前記ミラーシステムに方向付けられた前記光は、前記ミラーシステムによって前記エシェル回折格子に反射され、
前記エシェル回折格子によって提供された光は、前記エシェル回折格子から前記ミラーシステムに方向付けられ、
前記エシェル回折格子から前記ミラーシステムに方向付けられた前記光は、前記ミラーシステムによって前記検出器に反射される、
分光計。
(項目12)
前記ミラーは、前記分散素子を通じて前記望遠鏡システムに光学的に結合され、
前記分散素子は、前記検出器に光学的に結合される、
項目11に記載の分光計。
(項目13)
前記ミラーシステムは、反射トリプレット望遠鏡を含む、項目11に記載の分光計。
(項目14)
前記分散素子は、プリズムを含む、項目11に記載の分光計。
(項目15)
前記分散素子は、複光路プリズムである、項目11に記載の分光計。
(項目16)
前記分散素子は、回折格子を含む、項目11に記載の分光計。
(項目17)
前記分散素子は、グリズムを含む、項目11に記載の分光計。
(項目18)
前記ミラーは、第2の側面とは反対の第1の側面を含み、
前記ミラーの前記第1の側面は、非反射表面を含み、
前記ミラーの前記第2の側面は、反射表面を含み、
前記開口部は、前記ミラーの前記第1の側面を通じて前記ミラーシステムに光学的に結合され、
前記開口部によって受信された前記光は、前記ミラーを通じて前記ミラーシステムに方向付けられ、
前記ミラーシステムは、前記ミラーの前記第2の側面に光学的に結合され、
前記エシェル回折格子から前記ミラーシステムに方向付けられた前記光は、前記ミラーシステムによって前記ミラーの前記第2の側面に反射される、
項目11に記載の分光計。
(項目19)
前記分光計は、誘導結合プラズマシステムから光を受信する、項目11に記載の分光計。
【0011】
追加の態様、構成、実施形態、及び実施例が以下で更に詳細に説明される。
【0012】
分光計のある特定の構成、及びその構成要素が添付図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】分光計の第1の実施例である。
図2】開示の態様による1つ以上の分光計から結果として生じる実施例のエシェル分光写真を示す。
図3】分光計の別の実施例である。
図4】分光計の更なる別の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者は、本開示の利点を考えると、図中の構成要素の正確な配列、サイズ及び位置決めが、必ずしも一定の比率、または必要とされる比率ではないことを認識するであろう。1つの構成要素に対する別の構成要素の特定のサイズ及び角度は、構成要素、またはこの構成要素を含む光学分光計から所望の応答または出力を提供するために変化することができる。
【0015】
分光計は、異なる波長の光を空間的に分離するために、複数の回折光学素子、屈折光学素子、及び/または反射光学素子の組み合わせを使用する。分光計内で使用される光学素子の数は、分光計の全体的なサイズに影響を与える。空間が制約された環境では、例えば、大型の分光計は、他の有用な器具にとって代わることがある。その上、物理空間が限られている環境では(例えば、衛星設計及び地球圏外の用途では)、より大型の分光計を使用することが実現可能でないことがある。
【0016】
いくつかの実施形態によるシステム及び方法は、小型に設計された分光計を提供することができる。いくつかの実施態様では、分光計の小型設計は、典型的には別個の光学部品によって実行される複数の光学機能を実行するための少なくとも1つの光学部品を再使用した結果である。いくつかの実施態様では、反射トリプレット望遠鏡は、コリメータ及びイメージャの両方の役割を果たしてもよい。本明細書で説明される分光計アーキテクチャ及びイメージャのいくつかの実施形態は、次のプラットフォームOESシステムの仕様に対処する単一の検出器、小型で高スループットの分光計を可能にする。いくつかの実施形態による小型に設計された分光計は、プラズマにサンプルを注入する誘導結合プラズマシステムから光を受信してもよい。同様に、本明細書で説明されるOESシステムのいくつかの実施形態は、光吸収分光法またはいずれかの他のタイプの分光法により使用されてもよい。
【0017】
1つ以上の実施例では、少なくとも1つの光学部品を少なくとも2回使用することによって、分光計の物理占有スペースを低減させることができる。例えば、分光計の内部で光がそれに従う経路に沿って、ミラー、ミラーシステム、プリズム、またはグリズムが2回以上使用されてもよい。1つ以上の態様は、光の波長を分離するために、光学表面を再使用することに基づいた分光計を含む。例えば、1つ以上の態様では、反射トリプレット望遠鏡は、コリメータ及びイメージャの両方の役割を果たしてもよい。1つ以上の光学部品を再使用することによって、分光計の相対サイズを低減させることができる。更に、1つ以上の光学部品を再使用することは、独立した光学部品が同一の程度の波長分離を実行することを必要としないことによって、分光計の費用を低減させることができる。
【0018】
本明細書で説明される分光計アーキテクチャ及びイメージャは、単一の検出器、小型で高スループットの分光計である。本明細書で説明されるような小型サイズの分光計は、様々な用途において使用されることを可能にする。いくつかの実施態様では、本開示による分光計は、発光分光法(OES)の用途に対して使用されてもよい。小型分光計は、誘導結合プラズマ(ICP)光源から光を受信してもよい。例えば、分光計の小型設計は、プラズマにサンプルを注入する誘導結合プラズマ(ICP)システムから光を受信してもよい。OESにより使用可能であることに加えて、本明細書で説明される光学撮像システムは、光吸収分光法またはいずれかの他のタイプの分光法により使用されてもよい。追加的または代替的に、その小型サイズを理由に、分光計は、宇宙用途に対する特定の関連性を有することができる(軌道衛星内、及び地球圏外の探索車両内を含む)。
【0019】
様々な分光計及びそれらの内部部品が本明細書で説明され、それらのいくつかは、実施例の分光計によって占有される物理空間を制限する小型設計をもたらす。いくつかの実施例では、分光計を通る光の経路は、1つ以上の光学部品を1回よりも多く使用してもよく、それは、光学部品を1回よりも多く使用しない分光計と比較して、分光計の物理占有スペースを低減させることができる。
【0020】
上記導入され、以下で更に詳細に議論される様々な概念は、説明される概念が実施態様のいずれの特定の様式にも限定されないように、多数の方式のいずれかにおいて実装されてもよい。特定の実施態様及び用途の実施例は、例示を目的として主に提供される。
【0021】
図1は、いくつかの実施態様による実施例の分光計100を提供する。分光計100は、破線によって示されるハウジング108、ハウジング108内の開口部101、ミラーシステム102、分散素子103、エシェル回折格子104、及び検出器105を含む。複数の異なる波長を含む光などの光学入力は、開口部101を通じて分光計100に入る。いくつかの実施態様では、開口部101は、スリットであってもよい。いくつかの実施態様では、分光計100は、誘導結合プラズマ(ICP)分光計の一部であってもよく、開口部101は、サンプルがサンプル導入デバイスを介してプラズマに注入される誘導結合プラズマ(ICP)システムから光を受信してもよい。サンプル導入デバイスは、トーチに流体的に結合されてもよい。誘導デバイスは、トーチ内の誘導結合プラズマを持続するために、トーチに無線周波数エネルギーを提供することができる。開口部101は、トーチ内の誘導結合プラズマに光学的に結合されてもよく、トーチ内の誘導結合プラズマにおける分析種から光放射を受信してもよい。
【0022】
開口部101は、ミラーシステム102に光学的に結合される。光源からの初期光は、「0」とラベル付けされた矢印によって識別される。開口部101からミラーシステム102までを指し示す「1」とラベル付けされた矢印によって図1に示されるように、開口部101に入る光は、ミラーシステム102に方向付けられる。いくつかの実施態様では、ミラーシステム102は、単一のミラーを含むシステムまたは複数のミラーを含むシステムであってもよい。例えば、ミラーシステム102は、反射トリプレット望遠鏡またはイメージャなどのスリーミラーシステムを含んでもよい。いくつかの実施例では、ミラーシステム102は、異なる数のミラーを含んでもよい。いくつかの実施態様では、反射トリプレット望遠鏡は、開口部101に光学的に結合された一次ミラー、一次ミラーに光学的に結合された二次ミラー、及び二次ミラーに光学的に結合された三次ミラーを含んでもよい。ミラーシステム102は、入射光を受信し、入射光の1つ以上の波長を反射する。
【0023】
ミラーシステム102は、分散素子103に光学的に結合される。ミラーシステム102は、開口部101から方向付けられた光を受信する。ミラーシステム102から分散素子103まで、及び分散素子103を通過すると指し示す「2」とラベル付けされた矢印によって図1に示されるように、ミラーシステム102は、入射光を分散素子103に反射する。分散素子103は、ミラーシステム102から反射された光を受信し、更に、入射光の波長を分散し、または空間的に分離する。いくつかの実施態様では、分散素子103は、複光路反射プリズムであってもよく、グリズム、屈折プリズム、反射回折格子、または屈折回折格子を含んでもよい。いくつかの実施態様では、光を2回修正する(エシェル回折格子104による修正の前及び後)分散素子103の組み合わせは、エシェル回折格子104からミラーシステム102に移動する交差分散する光の効果を有することができる。用語「交差分散する」及び「交差分散」は、分光計の部品の一次分散に垂直な方向に分散する光を意味することが意図される。事実上、光は、波長の1つの連続遷移からマルチオーダーの光に分離され、各オーダー及びオーダー(複数可)における波長にわたる各オーダーの遷移は、相互に空間的に分離され、よって、単一の分散素子を使用することによってよりも、高い程度の波長分離及び分解を可能にする。
【0024】
分散素子103は、エシェル回折格子104に光学的に結合される。ミラーシステム102から分散素子103を通じてエシェル回折格子104までを指し示す「2」とラベル付けされた矢印によって図1に示されるように、ミラーシステム102によって反射された光は、分散素子103を通じて移動し、結果として生じる交差分散した光は、分散素子103によってエシェル回折格子104に提供される。
【0025】
エシェル回折格子104は、入射光の回折をもたらす、光の波長とほぼ同一の幅を有する複数の回折格子を含む典型的なエシェル回折格子であってもよい。例えば、エシェル回折格子104は、反射回折格子であってもよい。反射回折格子により、光の大部分を対象の所望の方向に(及び、特定の回折オーダーに)散乱させるよう、反射部分が傾けられてもよい(ブレーズ加工)。複数の光の波長について、同一の一般的な結果が起こるが、より高いオーダーのより長い波長が、より短い波長の次のオーダー(複数可)と重なる可能性がある。エシェル回折格子では、この振る舞いは、意図的に選択され、複数の重なるより高いオーダーに対してブレーズが最適化される。使用される厳密なブレーズ角度は、分光計のシステムレベルの仕様に依存してもよい。エシェル回折格子からの結果として生じる光学出力は、異なるが、重なる波長範囲を有するストライプを含む。分光計によって受信された入射光学入力に存在する光の各波長の検出を可能にするよう、エシェル回折格子の回折平面に垂直な方向における空間的分離をもたらすために、下流光学素子が使用されてもよい。
【0026】
エシェル回折格子104は、分散素子103から分散した光を受信し、更に、エシェル回折格子104に入射した光をスペクトル的に分散する。エシェル回折格子104の回折平面は、分散素子103の分散平面と垂直である。エシェル回折格子104によって分散した光は、分散素子103に再度提供される。エシェル回折格子104から分散素子103を通じてミラーシステム102までを指し示す「3」とラベル付けされた矢印によって図1に示されるように、分散素子103は、エシェル回折格子104の回折格子の角度に対して直角においてエシェル回折格子104から入射光を分散し、ミラーシステム102に分散した光を再度提供する。
【0027】
ミラーシステム102は、検出器105に光学的に結合される。ミラーシステム102から検出器105までを指し示す「4」とラベル付けされた矢印によって図1に示されるように、ミラーシステム102は、分散素子103から分散した光を受信し、入射光を検出器105に反射する。よって、分散素子103を2回通過し、エシェル回折格子104によって分散し、ミラーシステム102によって方向付けられた後、検出器105における光の波長は、空間的に分離されてもよく、それによって、高分解能において個々の波長の検出を可能にする。検出器105は、検出器105に入射した光を空間的に分解することができるいずれかの検出器であってもよい。いくつかの実施態様では、検出器105は、電荷結合デバイス(CCD)カメラまたは相補型金属酸化膜半導体検出器であってもよい。
【0028】
図2は、開示の態様による小型設計による分光計に対応する実施例のエシェル分光写真201を示す。図1を再度参照して、光などの光学入力は、開口部101を通じて分光計100に入る。いくつかの実施態様では、分光計100は、誘導結合プラズマ(ICP)分光計の一部であってもよく、開口部101は、サンプルがサンプル導入デバイスを介してプラズマに注入される誘導結合プラズマ(ICP)システムから光を受信してもよい。サンプル導入デバイスは、トーチに流体的に結合されてもよい。誘導デバイスは、トーチ内の誘導結合プラズマを持続するために、トーチに無線周波数エネルギーを提供することができる。開口部101は、トーチ内の誘導結合プラズマに光学的に結合されてもよく、トーチ内の誘導結合プラズマにおける分析種から光放射を受信してもよい。光が開口部101を通じて分光計100に入った後、異なる波長の光は、分光計100の様々な光学部品によって空間的に分離され、検出器105に方向付けられる。特に、分散素子103を2回通過し、エシェル回折格子104によって分散し、ミラーシステム102によって方向付けられた後、検出器105に入射した異なる波長の光は、空間的に分離されてもよく、よって、分析種によって放射された個々の光の波長を検出することができる。エシェル分光写真201は、様々な分析種に対応する、空間的に分離され、検出器105において検出された光の波長を示す。
【0029】
図3は、いくつかの実施態様による実施例の分光計300を示す。分光計300は、ハウジング308内に開口部301を有するハウジング308、ミラー302、ミラーシステム303、エシェル回折格子304、分散素子305、望遠鏡システム306、及び検出器307を含む。複数の異なる波長を含む光などの光学入力は、開口部301を通じて分光計300に入る。いくつかの実施態様では、開口部は、スリットであってもよい。いくつかの実施態様では、分光計300は、誘導結合プラズマ(ICP)分光計の一部であってもよく、開口部301は、サンプルがサンプル導入デバイスを介してプラズマに注入される誘導結合プラズマ(ICP)システムから光を受信してもよい。サンプル導入デバイスは、トーチに流体的に結合されてもよい。誘導デバイスは、トーチ内の誘導結合プラズマを持続するために、トーチに無線周波数エネルギーを提供することができる。開口部301は、トーチ内の誘導結合プラズマに光学的に結合されてもよく、トーチ内の誘導結合プラズマにおける分析種から光放射を受信してもよい。
【0030】
開口部301は、ミラーシステム303に光学的に結合される。光源からの初期光は、「0」とラベル付けされた矢印によって識別される。開口部301からミラーシステム303までを指し示す「1」とラベル付けされた矢印によって図3に示されるように、開口部301に入射する光は、ミラーシステム303に方向付けられる。いくつかの実施態様では、ミラーシステム303は、単一のミラーを含むシステムまたは複数のミラーを含むシステムであってもよい。例えば、ミラーシステム303は、反射トリプレット望遠鏡またはイメージャなどのスリーミラーシステムを含んでもよい。いくつかの実施例では、ミラーシステム303は、異なる数のミラーを含んでもよい。いくつかの実施態様では、ミラーシステム303は、開口部301に光学的に結合された一次ミラー、一次ミラーに光学的に結合された二次ミラー、及び二次ミラーに光学的に結合された三次ミラーを含んでもよい。ミラーシステム303は、受信された光において1つ以上の光の波長を提供することができる。
【0031】
ミラーシステム303は、エシェル回折格子304に光学的に結合される。ミラーシステム303からエシェル回折格子304までを指し示す「2」とラベル付けされた矢印によって図3に示されるように、ミラーシステム303によって反射された光は、エシェル回折格子304に方向付けられる。
【0032】
エシェル回折格子304は、入射光の回折をもたらす、回折した光の波長とほぼ同一の幅を有する複数の回折格子を含む典型的なエシェル回折格子であってもよい。例えば、エシェル回折格子304は、反射回折格子であってもよい。エシェル回折格子304などの反射回折格子により、光の大部分を対象の所望の方向に(及び、特定の回折オーダーに)散乱させるよう、反射部分が傾けられてもよい(ブレーズ加工)。複数の光の波長について、同一の一般的な結果が起こるが、より高いオーダーのより長い波長が、より短い波長の次のオーダー(複数可)と重なる可能性がある。エシェル回折格子では、この振る舞いは、意図的に選択され、複数の重なるより高いオーダーに対してブレーズが最適化される。使用される厳密なブレーズ角度は、分光計のシステムレベルの仕様に依存してもよい。エシェル回折格子からの結果として生じる光学出力は、異なるが、重なる波長範囲を有するストライプを含む。分光計によって受信された入射光学入力に存在する光の各波長の検出を可能にするよう、エシェル回折格子の回折平面に垂直な方向における空間的分離をもたらすために、下流光学素子が使用されてもよい。
【0033】
エシェル回折格子304は、ミラーシステム303によって反射された光を受信し、更に、エシェル回折格子304に入射した光をスペクトル的に分散する。エシェル回折格子304の回折平面は、第1の分散配向において、ミラーシステム303に再度方向付けられる光をもたらす。エシェル回折格子304からミラーシステム303までを指し示す「3」とラベル付けされた矢印によって図3に示されるように、エシェル回折格子304によって分散した光は、ミラーシステム303に再度提供される。
【0034】
ミラーシステム303は、ミラー302に光学的に結合される。ミラーシステム303は、エシェル回折格子304から光を受信する。ミラーシステム303からミラー302までを指し示す「4」とラベル付けされた矢印によって図3に示されるように、ミラーシステム303は、エシェル回折格子304から受信された光をミラー302に反射する。
【0035】
ミラー302は、分散素子305に光学的に結合される。いくつかの実施態様では、分散素子305は、プリズムまたは光を分散する他の光学素子であってもよい。分散素子305の分散平面の配向は、エシェル回折格子304からの光の分散平面と垂直であってもよい。分散平面のこの垂直方位は、前に分散した光が異なる分散平面により再度分散される交差分散効果を生じさせる。
【0036】
ミラー302から分散素子305までを指し示す「5」とラベル付けされた矢印によって図3に示されるように、ミラー302は、ミラーシステム302から反射された光を受信し、反射された光を分散素子305に反射する。分散素子305は、ミラー302からそれに向かって反射された光を受信し、更に、光の波長を分散し、または空間的に分離する。いくつかの実施態様では、分散素子305は、複光路反射プリズムであってもよく、グリズム、屈折プリズム、反射回折格子、または屈折回折格子を含んでもよい。
【0037】
分散素子305は、望遠鏡システム306に光学的に結合される。分散素子305から望遠鏡システム306までを指し示す「6」とラベル付けされた矢印によって図3に示されるように、分散素子305は、望遠鏡システム306に分散した光を提供する。望遠鏡システム306は、検出器307に光学的に結合される。望遠鏡システム306は、検出器307上で結果として生じる波長を撮像する、スリーミラー撮像システム、ツーミラー撮像システム、または他の(反射及び/または屈折)望遠鏡を含んでもよい。望遠鏡システム306によって提供された光は、検出器307に方向付けられ、望遠鏡システム306から検出器307までを指し示す「7」とラベル付けされた矢印として図3に示される。検出器105は、検出器105に入射する光を空間的に分解することができるいずれかの検出器であってもよい。いくつかの実施態様では、検出器307は、電荷結合デバイス(CCD)カメラまたは相補型金属酸化膜半導体検出器であってもよい。
【0038】
図4は、いくつかの実施態様による実施例の分光計400を示す。分光計400は、ハウジング408内に開口部401を有するハウジング408、ミラー402、ミラーシステム403、エシェル回折格子404、分散素子405、望遠鏡システム406、及び検出器407を含む。複数の異なる波長を含む光などの光学入力は、開口部401を通じて分光計400に入る。いくつかの実施態様では、開口部は、スリットであってもよい。いくつかの実施態様では、分光計400は、誘導結合プラズマ(ICP)分光計の一部であってもよく、開口部401は、サンプルがサンプル導入デバイスを介してプラズマに注入される誘導結合プラズマ(ICP)システムから光を受信してもよい。サンプル導入デバイスは、トーチに流体的に結合されてもよい。誘導デバイスは、トーチ内の誘導結合プラズマを持続するために、トーチに無線周波数エネルギーを提供することができる。開口部401は、トーチ内の誘導結合プラズマに光学的に結合されてもよく、トーチ内の誘導結合プラズマにおける分析種から光放射を受信してもよい。
【0039】
開口部401は、ミラー402を通じてミラー402に光学的に結合される。ミラー402は、ミラー402の第1の側面に向かって方向付けられた光がミラー402を通過し、ミラーの第2の側面に向かって方向付けられた光が反射されるように、双方向ミラーであってもよい。光源からの初期光は、「0」とラベル付けされた矢印によって図1に示される。開口部401からミラー402を通じてミラーシステム403までを指し示す「1」とラベル付けされた矢印によって図4に示されるように、開口部401に入る光は、ミラー402を通じてミラーシステム403に方向付けられる。いくつかの実施態様では、ミラーシステム403は、単一のミラーを含むシステムまたは複数のミラーを含むシステムであってもよい。例えば、ミラーシステム102は、反射トリプレット望遠鏡またはイメージャなどのスリーミラーシステムを含んでもよい。いくつかの実施例では、ミラーシステム102は、異なる数のミラーを含んでもよい。いくつかの実施態様では、ミラーシステム403は、開口部401に光学的に結合された一次ミラー、一次ミラーに光学的に結合された二次ミラー、及び二次ミラーに光学的に結合された三次ミラーを含んでもよい。ミラーシステム403は、受信された光において1つ以上の光の波長を提供することができる。ミラーシステム403によって提供された反射された光の各波長は、提供された光の各波長の検出を可能にするよう、他の提供された波長から空間的に分離されてもよい。
【0040】
ミラーシステム403は、エシェル回折格子404に光学的に結合される。ミラーシステム403からエシェル回折格子404までを指し示す「2」とラベル付けされた矢印によって図4に示されるように、ミラーシステム403によって反射された光は、エシェル回折格子404に方向付けられる。エシェル回折格子404は、入射光の回折をもたらす、光の波長とほぼ同一の幅を有する複数の回折格子を含む典型的なエシェル回折格子であってもよい。例えば、エシェル回折格子404は、反射回折格子であってもよい。エシェル回折格子404などの反射回折格子により、光の大部分を対象の所望の方向に(及び、特定の回折オーダーに)散乱させるよう、反射部分が傾けられてもよい(ブレーズ加工)。複数の光の波長について、同一の一般的な結果が起こるが、より高いオーダーのより長い波長が、より短い波長の次のオーダー(複数可)と重なる可能性がある。エシェル回折格子では、この振る舞いは、意図的に選択され、複数の重なるより高いオーダーに対してブレーズが最適化される。使用される厳密なブレーズ角度は、分光計のシステムレベルの仕様に依存してもよい。エシェル回折格子からの結果として生じる光学出力は、異なるが、重なる波長範囲を有するストライプを含む。分光計によって受信された入射光学入力に存在する光の各波長の検出を可能にするよう、エシェル回折格子の回折平面に垂直な方向における空間的分離をもたらすために、下流光学素子が使用されてもよい。
【0041】
エシェル回折格子404は、ミラーシステム403によって反射された光を受信し、更に、エシェル回折格子404に入射した光をスペクトル的に分散する。エシェル回折格子404の回折平面は、第1の分散配向において、ミラーシステム403に再度方向付けられる光をもたらす。エシェル回折格子404からミラーシステム403までを指し示す「3」とラベル付けされた矢印によって図4に示されるように、エシェル回折格子404によって分散した光は、ミラーシステム403に再度提供される。
【0042】
ミラーシステム404は、ミラー402に光学的に結合される。ミラー402は、ミラー402の第1の側面に向かって方向付けられた光がミラー402を通過し、ミラーの第2の側面に向かって方向付けられた光が反射されるように、双方向ミラーであってもよい。
【0043】
ミラーシステム403からミラー402までを指し示す「4」とラベル付けされた矢印によって図4に示されるように、ミラーシステム403は、エシェル回折格子404から受信された光をミラー402の反射側面に反射する。
【0044】
ミラー402は、分散素子405に光学的に結合される。いくつかの実施態様では、分散素子405は、交差分散器であってもよい。ミラー402から分散素子405までを指し示す「5」とラベル付けされた矢印によって図4に示されるように、ミラー402は、ミラーシステム402から反射された光を受信し、受信された光を分散素子405に反射する。分散素子405は、ミラー402からそれに向かって反射された光を受信し、更に、光の波長を分散し、または空間的に分離する。いくつかの実施態様では、分散素子405は、複光路反射プリズムであってもよく、グリズム、屈折プリズム、反射回折格子、または屈折回折格子を含んでもよい。
【0045】
分散素子405は、望遠鏡システム406に光学的に結合される。分散素子405から望遠鏡システム406までを指し示す「6」とラベル付けされた矢印によって図4に示されるように、分散素子405は、望遠鏡システム406に分散した光を提供する。望遠鏡システム406は、検出器407に光学的に結合される。望遠鏡システム406は、検出器407上で結果として生じる波長を撮像する、スリーミラー撮像システム、ツーミラー撮像システム、または他の(反射及び/または屈折)望遠鏡を含んでもよい。望遠鏡システム406によって提供された光は、検出器407に方向付けられ、望遠鏡システム406から検出器407までを指し示す「7」とラベル付けされた矢印として図4に示される。検出器407は、検出器407に入射する光を空間的に分解することができるいずれかの検出器であってもよい。いくつかの実施態様では、検出器407は、電荷結合デバイス(CCD)カメラまたは相補型金属酸化膜半導体検出器であってもよい。
【0046】
本明細書で説明される分光計アーキテクチャ及びイメージャは、次のプラットフォームOESシステムの要件に対処することができる単一の検出器、小型で高スループットの分光計を提供する。1つ以上の態様に従った分光計の高性能設計は、コリメータに対する追加の光学素子についての必要性を除去し、よって、高性能小型エシェル分光計の用途に適切である。いくつかの実施態様では、分光計は、高光学スループット及び解像度を有する単一の検出器上でUV及び可視スペクトルを同時に捕捉する。コリメータに対する余分の光学素子を除去することは、システムのコストをも低減させる。1つ以上の態様による分光計は、撮像平面においてカメラと統合することができ、開口部において輸送光学系のセットを通じて光源と統合することができる。
図1
図2
図3
図4