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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】気液分離器
(51)【国際特許分類】
   F25B 43/00 20060101AFI20220510BHJP
   B01D 1/00 20060101ALI20220510BHJP
   F28F 27/02 20060101ALI20220510BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
F25B43/00 A
B01D1/00 Z
F28F27/02 Z
F28D1/06 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021532524
(86)(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019072190
(87)【国際公開番号】W WO2020035624
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】1813420.5
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】306032578
【氏名又は名称】レオナルド・ユーケー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Leonardo UK Ltd
【住所又は居所原語表記】1 Eagle Place,St.James’s,London,SW1Y 6AF,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】キングホーン、アンソニー
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-100560(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159056(WO,A1)
【文献】特開2000-065456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 43/00
B01D 1/00
F28F 27/02
F28D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象物から熱を吸収することを通じて、気液分離器チャンバ内で気相と液相とに分離する冷却材を保持する気液分離器チャンバであって、離間した複数の出口を備えた気液分離器チャンバと、
前記気液分離器チャンバの向き及び/又は加速度を示す出力を提供する感知手段と、
前記複数の出口に対する前記気液分離器チャンバ内における気液混合物の分離された液相と気相の空間的配置のインジケーションを決定することと、前記気相が前記液相に優先して前記気液分離器チャンバから抜け出ることを可能にするべく、前記複数の出口のうちの1つ以上を選択的に開くこととを行うために、前記感知手段の前記出力を使用する制御手段と、
を備える冷却デバイス。
【請求項2】
前記感知手段は、加速度計を備える、請求項1に記載の冷却デバイス。
【請求項3】
前記気液分離器チャンバは、流体用の入口を備える、請求項1又は2に記載の冷却デバイス。
【請求項4】
前記入口と流体連通状態にある液体貯槽を備える、請求項3に記載の冷却デバイス。
【請求項5】
前記液体貯槽から前記入口を介して前記気液分離器チャンバ内に加圧流体を供給する手段を備える、請求項4に記載の冷却デバイス。
【請求項6】
前記気液分離器チャンバの内側に面する表面が、流体を出口に向かわせるように輪郭形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却デバイス。
【請求項7】
前記気液分離器チャンバの前記内側に面する表面は、前記複数の出口の各々に対して、流体を前記出口に向かって誘導するための流路を設けるように輪郭形成されている、請求項6に記載の冷却デバイス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の冷却デバイスを担持している、空中プラットフォーム又は水中プラットフォーム
【請求項9】
冷却材の液相から冷却材の気相を、冷却デバイスの気液分離器チャンバであって、離間した複数の出口を備えた気液分離器チャンバ内で分離する方法において、前記方法は、
前記複数の出口に対する前記気液分離器チャンバ内における液体と気体の空間的配置を決定するために、前記気液分離器チャンバの向き及び/又は加速度を決定する感知手段を使用することと、
前記複数の出口に対する前記気液分離器チャンバ内における前記液体と気体の決定された前記空間的配置に基づいて、前記気体が前記液体に優先して前記気液分離器チャンバから抜け出ることを可能にするために、開く出口を選択することと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
気液分離器は、相変化冷却デバイスを含む多種多様な用途に使用されている。気液分離器の既知の例は、液体がチャンバに入る入口を有するチャンバと、重力下においてチャンバ内で液体から分離した気体及び/又は蒸気を放出するための少なくとも1つの出口と、を備える。いくつかの用途では、チャンバは、液体用の出口も有することになる。これらのシステムは、典型的に、気体出口が最上部に配置された状態で、チャンバが静的な向きにあり続けることに依拠する。これは、気液分離器を、空中プラットフォーム又は水中プラットフォーム上などの、チャンバが頻繁な向きの変化及び大きな加速力を経験する用途に不適切にする。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、請求項1に係る冷却デバイスが提供される。
【0004】
本発明の使用は、チャンバ内の気体と液体との相対的な空間的関係に影響を及ぼすチャンバの向き及び加速度の方向における変化を補償することを可能にし、従って、空中プラットフォーム又は水中プラットフォーム上で気液分離器を使用することを可能にする。
【0005】
制御手段は、気体が液体に優先して抜け出ることを可能にするために、気相に直接隣接していると決定された1つ以上の出口を選択的に開き得る。制御手段は、液体が気体に優先して抜け出ることを可能にするために、液相に直接隣接していると決定された1つ以上の出口を選択的に開き得る。
【0006】
別個の弁が、各出口に関連付けられ得る。制御手段の制御下で、各弁は、そのそれぞれの出口を通る流体の流れの独立した制御を提供するために、閉位置と開位置との間で他の弁から独立して切り替え可能であり得る。
【0007】
感知手段(例えば、1つ以上のセンサ)は、加速度計、好ましくは、例えば、微小電気機械システムを使用して実装される、3軸加速度計を備え得る。微小電気機械システムは、それらが広く利用可能であり、安価で小型であるので、加速度計にとって好ましい実装形態である。とはいえ、例えば、液体容量性傾斜計などの、他のタイプのセンサが、向き及び/又は加速度を決定するために使用され得る可能性もある。
【0008】
出口のうちの少なくとも2つは、気体又は液体がチャンバの異なる側のいずれかから選択的に排出され得るように、チャンバの異なる側、例えば、両側に配置され得る。これら出口は、チャンバの周りに円周方向に間隔を置かれ得る。
【0009】
チャンバは、気液混合物の液相がチャンバに入るための入口を備え得る。入口は、複数の出口と比較して、チャンバの中心に近接し得る。換言すれば、出口は、入口に対してチャンバの中心から半径方向外側に配置され得る。これにより、チャンバの相対的な向き及びチャンバ内の液体と気体との間の空間的関係に関係なく、流体をチャンバ内に導入することが可能になる。
【0010】
本装置は、例えば、入口を介して、チャンバと流体連通状態にある貯槽を備え得、貯槽は、複数の出口を通じて失われた流体を補充するためにチャンバ内に導入される液体を保持する。
【0011】
本装置は、チャンバ内の流体を加圧する加圧手段を備え得る。一例では、装置は、貯槽内の液体に対して圧力を加えるように構成された、ばねによって付勢されたピストンを備え得、これは、チャンバとの貯槽の開放連通の結果として、チャンバ内の流体も加圧する。これは、気体形成より前に、チャンバが液体で満たされることを確実にするために使用され得、気体/蒸気のパージに応答して自動的に液体をチャンバに補充する。装置が冷却デバイスとして使用されるとき、それは、チャンバ内の流体の沸騰温度が、(例えば、アクチュエータによって加えられる圧力を変化させることによって)変更される又は維持されることを可能にする。
【0012】
ばね付勢されたピストンは、チャンバの大部分が液体で満たされたままであることを確実にするために使用され得る。これは、気体形成より前に、チャンバが液体で完全に満たされていることを確実にするために使用され得るが、これは、液体の極端に制限された圧縮性により、沸騰が生じるにはチャンバ内の非常に高い圧力が必要となるので、好ましくない。
【0013】
入口は、液体がチャンバから貯槽にも流れ得るように、チャンバと貯槽との間の双方向の流体の流れを可能にし得る。これにより、例えば、チャンバ内の温度上昇に応じて、チャンバから流体を流出させることが可能になり、その結果、チャンバ内の指定圧力が維持され得る。
【0014】
チャンバの内側に面する表面が、流体を出口に向かわせるように輪郭形成され(profiled)得る。これは、例えば、液気分離の結果としてチャンバ内に形成される気体ポケット又は蒸気空洞が、それらがチャンバから排出され得るように出口に誘導されることを確実にするのに役立つ。チャンバの内側に面する表面は、各出口に対して、気体/蒸気を出口に向かって誘導するための流路を設けるように輪郭形成され得る。
【0015】
チャンバの内部表面には、作動流体への伝熱を向上させるために、ナノスケールの粗さのコーティングが設けられ得る。ナノ構造表面は、改善された伝熱を提供するために、より大きい表面積を提供する。このような構造はまた、チャンバ内の作動液体内の気体/蒸気空洞の形成を促進して、液相の過熱の発生を低減させるように、チャンバ内の不均質核生成を促進し得る。
【0016】
一構成では、チャンバから気体と液体の両方を抜き取る(draw)ことが望ましい用途の場合、装置は、複数の出口のうちの1つに関連付けられた液体出口経路及び気体出口経路と、液体出口経路と流体連通状態にあることと、気体出口経路と流体連通状態にあることとの間で出口を切り替えるように動作するスイッチと、を備え得る。これにより、チャンバから液体と気体の両方をパージするために、単一の出口を使用することが可能になる。一構成では、複数の出口のうちの任意の1つが液体又は気体を排出するために使用され得るように、複数の出口の各々に対して、別個の独立に制御可能なスイッチが存在し得る。この特徴は、液相及び気相の両方を保持することが望ましい、例えば、化学分離プロセスなどの用途のために、非地上環境において装置が使用される場合に、有益であり得る。
【0017】
本装置は、チャンバ内の気体の存在のインジケーションを提供する更なる感知手段を備え得る。更なる感知手段は、チャンバ内の圧力を感知するための圧力センサを備え得、閾値圧力を上回る圧力が、チャンバ内の気体の存在を示している。更なる感知手段はまた、あるいは代わりに、チャンバ内の流体の温度のインジケーションを提供する温度センサを含み得る。更なる感知手段からの出力信号は、チャンバ内の気体の存在及びオプションでその体積を決定することと、それに応じて、弁を開くこととを行うために、制御手段によって使用され得る。
【0018】
同様に、更なる感知手段の出力は、チャンバ内の気体の体積が好ましい体積以下である、例えば、チャンバ内に実質的に気体が存在しないと決定することと、それに応じて、弁を閉じることとを行うために、制御手段によって使用され得る。
【0019】
上述のように様々な装置は、空中プラットフォーム又は水中プラットフォーム上に担持され得る。
【0020】
一適用例では、装置は、相変化冷却デバイスの一部を形成し得、チャンバは、冷却されるべきデバイス又はシステムによってチャンバ内で加熱される冷却液を保持し、制御手段は、加熱された冷却流体の相変化から生じる冷却気体をチャンバから優先的に排気するために、複数の出口を制御するように構成されている。
【0021】
相変化冷却デバイスとして使用するために、装置が空中プラットフォーム又は水中プラットフォーム上で使用される場合、チャンバの前端部、即ち、プラットフォームの前方に最も近い端部は、表面上に形成された気体/蒸気のポケット及び空洞が出口に向かって半径方向外側に移動することを促進するために、両凸状に湾曲した、内側に面する表面を有し得る。チャンバの後端部もまた、両凸状に湾曲した、内側に面する表面を有し得る。冷却されるべきデバイスは、チャンバの前側と直接接触して配置され得る。
【0022】
本装置は、チャンバから排気された気体が凝縮器によって再液化され、チャンバへの再導入のために、例えば、貯槽内に、貯液され得る、閉ループ冷却システムの一部として使用され得る。
【0023】
次に、以下の図面を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、側面断面図において概略的に示される気液分離器チャンバを備える、相変化冷却装置の概略図である。
図2図2は、正面から見た気液分離器チャンバの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照すると、デバイス又はシステム(以下、デバイス3と呼ぶ)を冷却するための、空中プラットフォーム又は水中プラットフォーム2上に担持された相変化冷却装置1が示されており、デバイス3もまた、プラットフォーム2によって担持されている。プラットフォーム2は、前端部2Aと後端部2Bとを有する。
【0026】
冷却装置1は、気液分離器チャンバ4と、制御装置5と、加速度計6とを備える。デバイス3は、チャンバ4の壁と直接接触して配置されている。
【0027】
使用に際して、チャンバ4は、作動液体(冷却液)で満たされる(オプションで完全に満たされるが、より好ましくは、大部分が満たされる)。熱は、デバイス3とチャンバ4との間の接触領域7を通って、デバイス3から逃れて作動流体へと伝わり、作動流体の一部を気相に変化させる。このようにして、デバイス3は、チャンバ4内の作動流体の沸点に等しい温度に維持され得る。
【0028】
チャンバ4は、気相がチャンバ4からパージされる複数の出口8(そのうちの2つのみが図1に示されている)と、出口8を通じてシステムから失われた分を補充するために、更なる作動流体がチャンバ4に入り得る入口9とを有する。入口9は、液体がその向きに関係なくチャンバ4内に流入し得るように、出口8と比べ半径方向内側に配置されている。
【0029】
図1に見られるように、チャンバの内部容積の一部は、接触領域7の半径方向外側にある。これは、チャンバ4内で形成される気体/蒸気が、デバイス3から作動液体への伝熱を妨げないように、接触領域7の近傍から離れて収容され得ることを確実にする。
【0030】
図2に見られるように、複数の出口8は、少なくとも1つが軸X-X周りの空中プラットフォームの向き、従って、チャンバ4の向きにかかわらず、チャンバ4の最上部でないにしてもその近くに位置するように、チャンバ4の周りで円周方向に離間されている。
【0031】
チャンバ4の内側に面する表面が、流体を出口に向かわせるように輪郭形成されている。これは、液気分離の結果としてチャンバ内に形成される気体ポケット及び蒸気空洞が、それらがチャンバ4から排出され得るように出口8に誘導されることを確実にするのに役立つ。
【0032】
チャンバ4の前方内面4A及び後方内面4Bの両方が、それらに接して形成された気体の空洞/ポケットが出口8に向かって半径方向外側に移動することを促進するために、チャンバ4の内側から見て、両凸状に湾曲している(球体の内側のように、2つの直交する軸を中心に湾曲している)。これはまた、気体ポケットが、接触面7に隣接する前方内面4Aの周りに集まることを抑制する効果を有する。
【0033】
図2に示されるように、チャンバ4の外周部分の内表面は、各出口8に関連付けられた別個の流路を設けて、キャビティ/ポケットを出口8に向かわせるように輪郭形成されている。
【0034】
チャンバ4の内部表面には、作動流体への伝熱を向上させ、核生成を促進するために、ナノメートルスケールの粗さのコーティングが設けられ得る。その全体が参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2014064450号パンフレットには、このようなコーティング及びその適用方法が記載されている。
【0035】
各出口8には、弁11が関連付けられている(図1参照)。各弁11は、そのそれぞれの出口8を開閉するために、制御装置5によって(例えば、ソレノイドアクチュエータを介して)、他のものとは独立に動作され得る。
【0036】
制御装置5は、当業者に知られている技法を使用して、1つ以上の好適にプログラムされたプロセッサを使用して実装され得る。
【0037】
好ましくは3軸加速度計であり、好ましくは微小電気機械システムによって実装される加速度計6は、チャンバ4の加速度の大きさ及び方向を示す出力信号を制御装置5に供給する。
【0038】
加速度計6からの出力信号は、チャンバ4の相対的な向きを決定するために、制御装置5によって使用される。チャンバ4の加速度及びその向きから、制御装置5は、チャンバ4内の液体及び気体の、可能性のある空間的な向きを、それらの異なる物理的特性の結果として決定し、従って、複数の出口8のうちのどれが気相に直接隣接して位置するかを決定する。使用に際して、制御装置5は、気体が液体に優先してチャンバ4から抜け出ることを可能にするために、気相に直接隣接していると決定された出口8の弁11を開く。
【0039】
チャンバ4の向き及び加速度が変化するにつれて、制御装置5は、出口8に対する気体の空間的な向きの任意の変化を決定し、気相に直接隣接するもののみが開くことを確実にするために、出口を開く及び/又は閉じるように動作する。
【0040】
本装置は、チャンバ4内の流体の温度を感知するように構成された温度センサ12A、及び/又は、チャンバ4内の流体圧力を感知する圧力センサ12Bを備え得る。温度センサ12A及び/又は圧力センサ12Bからの出力は、(例えば、閾値を超えるチャンバ内の圧力/温度の増加を通じて)チャンバ内の気相の存在、又は、より好ましくは、気相の体積を推測するために、制御装置5によって使用され、従って、チャンバ4内の気体の体積が、好ましい体積を上回る(又は、液体で完全に満たされたチャンバを動作させる場合は、如何なる体積であっても存在すると推測されたときのみ、弁11が開くことを可能にする。同様に、この構成は、気体が1つ以上の出口8を通ってチャンバ4から排出された結果として、気体の体積が好ましい範囲内に低下した(又は完全に排出された)ときを決定することと、それに応じて、弁11を閉じることと、を行うために使用され得る。
【0041】
入口9は、液相にある作動流体を保持する貯槽13と流体連通状態にある。ばね15で付勢されたピストン14が、貯槽13内の流体に対して作用し、チャンバ4内の流体を加圧する。これは、チャンバ4内の流体の沸点を維持するために、出口8を介してチャンバ4内から失われた流体が、貯槽13から補充されることを確実にする。
【0042】
流体は、チャンバ4と貯槽13との間をいずれの方向にも流れ得る。これにより、チャンバ4の温度上昇にもかかわらず、流体が相対定圧でチャンバ4内に収容されることを可能にする。
【0043】
変形実施形態では、チャンバ4からパージされた気体/蒸気は、凝縮器(図示せず)を通って、冷却されて液体に戻ることによって再循環され得、この液体は、次いで、例えば、凝縮器から得られた液体を流路で運んで貯槽13に戻すことによって、冷却チャンバを補充するために使用され得る。
【0044】
ばね15で付勢されたピストン14以外の手段が、流体を加圧するために使用され得る。例えば、ピストン14は、アクチュエータによって動作され得、代替として、貯槽13は、ダイヤフラム式圧力タンク又はブラダー式加圧タンクの実装を通じて加圧され得る。これらの構成では、チャンバ4内の圧力は、チャンバ4内の作動流体の沸点を制御/変更するために、貯槽13内の液体に対する力の大きさを変化させることによって、実行中(on the fly)に制御され得る。これは、圧力センサ12Bから決定されるチャンバ4内の圧力値に基づいて行われ得る。
【0045】
変形実施形態では、チャンバ4は、任意の軸周りの空中プラットフォームの向きに関係なく、少なくとも1つの通気孔がチャンバ4の最上部付近に位置するように配置された通気孔を備え得る。このような実施形態では、チャンバ4の内側は、概して球形又は回転楕円体の形状であり得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 気液混合物を保持するための気液分離器チャンバであって、複数の離間した出口を備えた気液分離器チャンバと、
前記気液分離器チャンバの向き及び/又は加速度を示す出力を提供する感知手段と、
前記出口に対する前記チャンバ内の前記気液混合物の分離された液相と気相の空間的配置のインジケーションを決定することと、前記液相又は気相の一方が他方に優先して前記チャンバから抜け出ることを可能にするために、前記複数の出口のうちの1つ以上を選択的に開くこととを行うために、前記感知手段の前記出力を使用する制御手段と、
を備える装置。
[2] 前記感知手段は、加速度計を備える、[1]に記載の装置。
[3] 前記気液分離器チャンバは、流体用の入口を備える、[1]又は[2]に記載の装置。
[4] 前記入口と流体連通状態にある液体貯槽を備える、[3]に記載の装置。
[5] 前記液体貯槽から前記入口を介して前記気液分離器チャンバ内に加圧流体を供給する手段を備える、[4]に記載の装置。
[6] 前記気液分離器チャンバの内側に面する表面が、流体を出口に向かわせるように輪郭形成されている、[1]~[5]のいずれか一項に記載の装置。
[7] 前記気液分離器チャンバの前記内側に面する表面は、前記複数の出口の各々に対して、流体を前記出口に向かって誘導するための流路を設けるように輪郭形成されている、[6]に記載の装置。
[8] 空中プラットフォーム又は水中プラットフォーム上に担持される、[1]~[7]のいずれか一項に記載の装置。
[9] 前記気液分離器チャンバは、冷却対象物から熱を吸収することを通じて、前記気液分離器チャンバ内で気相と液相とに分離する冷却材を保持する、[1]~[8]のいずれか一項に記載の装置を備える冷却デバイス。
[10] 液体から気体を分離する方法であって、前記方法は、
気液混合物を保持するための気液分離器チャンバであって、複数の離間した出口を備えた気液分離器チャンバを設けることと、
前記出口に対する前記気液分離器チャンバ内の前記液体と気体の空間的配置を決定するために、前記気液分離器チャンバの向き及び/又は加速度を決定する感知手段を使用することと、
前記出口に対する前記気液分離器チャンバ内の前記液体と気体の前記決定された空間的配置に基づいて、前記液体及び気体の一方が他方に優先して前記気液分離器チャンバから抜け出ることを可能にするために、開く出口を選択することと、
を備える、方法。
図1
図2