(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】収納ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B65D5/54 F
B65D5/54 301R
(21)【出願番号】P 2018018401
(22)【出願日】2018-02-05
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】矢島 正裕
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-071438(JP,A)
【文献】実開平04-027715(JP,U)
【文献】特開2003-341664(JP,A)
【文献】特開2008-247476(JP,A)
【文献】特開2004-168378(JP,A)
【文献】米国特許第03542192(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚紙又は段ボールで形成された収納ケースであって、
前記収納ケースを第1分離体と第2分離体に分離するときに操作される操作部と、
前記操作部の操作によって前記収納ケースを前記第1分離体と前記第2分離体に分離可能に破断する破断部と、を備え、
前記破断部は、前記第1分離体と前記第2分離体の境目に沿って形成された複数の切れ目線を有し、
前記切れ目線のうちの一部の前記切れ目線は、第1切れ目線と前記第1切れ目線に隣接する第2切れ目線が組みになった切れ目線対になっており、
前記第2切れ目線が、前記第2切れ目線側の前記第1切れ目線の一方の端部から前記第1切れ目線の形状に従って延長した延長線上に位置しないようにズレて設け
られ、
前記操作部を手で掴んで前記第1分離体と前記第2分離体に分離する操作を行う場合に、その操作力が前記第1切れ目線の前記一方の端部から前記第2切れ目線に向かう方に力が掛かる位置に前記操作部が設けられている、ことを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
前記第1切れ目線は、第1方向に凸となる、くの字形状又は円弧形状を有し、
前記第2切れ目線は、前記第1方向と反対方向に凸となる、くの字形状又は円弧形状を有し、
前記第2切れ目線は、前記第1切れ目線の前記一方の端部側となる他方の端部が前記第1切れ目線の前記一方の端部よりも前記第1方向側に位置することを特徴とする請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記第2切れ目線は、前記第1切れ目線に対して前記第1方向側にズレて設けられていることを特徴とする請求項2に記載の収納ケース。
【請求項4】
前記破断部は、前記操作部から離れるにつれて前記第1分離体の底部から離れる方向に傾斜する傾斜破断部を備え、
前記傾斜破断部は、前記操作部から離れるにつれて前記第1分離体の底部から離れる方向にズレて設けられた複数の前記切れ目線対を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の収納ケース。
【請求項5】
前記第2分離体は、前記操作部よりも外側において前記収納ケースの上壁部に近づくように斜め方向に延在する変形誘導線を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の収納ケース。
【請求項6】
前記第1分離体が前記収納ケースの下側の部分であり、
前記第2分離体が前記収納ケースの上側の部分であることを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品等を収納する段ボール紙製の包装箱(以下、収納ケースともいう。)の側面にミシン目等の切れ目線で形成された破断線に沿って収納ケースを上下に分離できる収納ケースが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、収納ケースを上下に分離できるように、ミシン目等の切れ目線で形成された破断線を設け、その破断線に沿って破断を行うときの破断強度は、一般に、ミシン目等の切れ目線の間の繋がり部分の長さによって決まる。
【0005】
このため、例えば、運搬中の落下等により、予期せずして、収納ケースが上下に分離することを防ぐためには、ミシン目等の切れ目線の間の繋がり部分の長さを長くして破断強度を高めればよいことになる。
【0006】
しかしながら、そのようにして破断強度を高めると、破断させるときに必要な力も大きくなるため、収納ケースから商品等を取り出せる状態にするために、収納ケースを上下に分離させたいときの作業性が悪くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、予期せずして、収納ケースが第1分離体(例えば、収納ケースの下側の部分)と第2分離体(例えば、収納ケースの上側の部分)に分離することを抑制しつつ、収納ケースから商品等を取り出せる状態にするために、収納ケースを第1分離体と第2分離体に分離させるときの作業性が悪くなることを抑制した収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の構成によって把握される。
(1)本発明の収納ケースは、厚紙又は段ボールで形成された収納ケースであって、前記収納ケースを第1分離体と第2分離体に分離するときに操作される操作部と、前記操作部の操作によって前記収納ケースを前記第1分離体と前記第2分離体に分離可能に破断する破断部と、を備え、前記破断部は、前記第1分離体と前記第2分離体の境目に沿って形成された複数の切れ目線を有し、前記切れ目線のうちの一部の前記切れ目線は、第1切れ目線と前記第1切れ目線に隣接する第2切れ目線が組みになった切れ目線対になっており、前記第2切れ目線が、前記第2切れ目線側の前記第1切れ目線の一方の端部から前記第1切れ目線の形状に従って延長した延長線上に位置しないようにズレて設けられている。
【0009】
(2)上記(1)の構成において、前記第1切れ目線は、第1方向に凸となる、くの字形状又は円弧形状を有し、前記第2切れ目線は、前記第1方向と反対方向に凸となる、くの字形状又は円弧形状を有し、前記第2切れ目線は、前記第1切れ目線の前記一方の端部側となる他方の端部が前記第1切れ目線の前記一方の端部よりも前記第1方向側に位置する。
【0010】
(3)上記(2)の構成において、前記第2切れ目線は、前記第1切れ目線に対して前記第1方向側にズレて設けられている。
【0011】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、前記破断部は、前記操作部から離れるにつれて前記第1分離体の底部から離れる方向に傾斜する傾斜破断部を備え、前記傾斜破断部は、前記操作部から離れるにつれて前記第1分離体の底部から離れる方向にズレて設けられた複数の前記切れ目線対を有している。
【0012】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つの構成において、前記第1分離体が前記収納ケースの下側の部分であり、前記第2分離体が前記収納ケースの上側の部分である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、予期せずして、収納ケースが第1分離体(例えば、収納ケースの下側の部分)と第2分離体(例えば、収納ケースの上側の部分)に分離することを抑制しつつ、収納ケースから商品等を取り出せる状態にするために、収納ケースを第1分離体と第2分離体に分離させるときの作業性が悪くなることを抑制した収納ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施形態の収納ケースの斜視図である。
【
図2】
図1に示す状態に組み立てる前の収納ケースの展開図である。
【
図3】
図2に示す第3板部30の周辺を拡大した図である。
【
図4】
図3の二点鎖線で囲まれている領域Aを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)について詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0016】
図1は本発明に係る実施形態の収納ケース1の斜視図であり、後述する継しろ部22の位置がわかるように、継しろ部22の部分だけ透視図で描くようにしている。
また、
図2は
図1に示す状態に組み立てる前の収納ケース1の展開図であり、
図2は収納ケース1の状態に組み立て前の板体2を示す平面図でもある。
なお、
図1では、収納ケース1内に収容されている物品に関する図示は省略している。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の収納ケース1は、外形が直方体のケースであり、例えば、飲料を充填したボトル、パック等を複数収納するのに好適に用いることができるケースである。
【0018】
なお、本実施形態の収納ケース1は、飲料に限らず、食料品等を詰めたパックや缶詰等を複数収納するのにも好適に用いることが可能であり、特段、収納される物品が限定されるものではない。
【0019】
収納ケース1は、
図2に示すように、厚紙又は段ボールで形成された展開状態の1枚の板体2を折り曲げ及び接着等を行うことで組み立てたものになっている。
そして、組み立て前の板体2は、
図2を見るとわかるように、一対の第1外フラップ11を有する第1板部10と、一対の第2内フラップ21及び継しろ部22を有する第2板部20と、一対の第3内フラップ31を有する第3板部30と、一対の第4外フラップ41を有する第4板部40と、が、第2板体20、第1板体10、第3板体30、及び、第4板体40の順に、一方向に並んで折り曲げ可能に繋がったものになっている。
【0020】
具体的には、第1板部10は、収納ケース1の底面となる下壁部12と、下壁部12に対して折り曲げ可能に繋がった一対の第1外フラップ11と、を有している。
下壁部12は、外形が長方形状になっており、長辺である対向する一対の第1辺12Aと、短辺である対向する一対の第2辺12Bと、を有している。
そして、一対の第1外フラップ11は、それぞれ下壁部12に対して折り曲げ可能に、下壁部12の対向する第2辺12Bに繋がるように設けられている。
なお、第1外フラップ11と下壁部12との間の境目(点線参照)には、折り曲げが行いやすいように曲げ強度を弱めた折り曲げ線が形成されている。
【0021】
また、第2板部20は、第1板部10の下壁部12の一方の長辺(
図2の左側の第1辺12A)に沿った収納ケース1の側壁となる第2側壁部23と、第2側壁部23に対して折り曲げ可能に繋がった一対の第2内フラップ21と、第2側壁部23に対して折り曲げ可能に繋がり、後述する第4板部40の上壁部42に接着剤等で上壁部42に対して固定される継しろ部22と、を有している。
【0022】
第2側壁部23は、外形が長方形状になっており、長辺である対向する一対の第1辺23Aと、短辺である対向する一対の第2辺23Bと、を有している。
そして、第2側壁部23は、一対の第1辺23Aのうち第1板部10の下壁部12側の第1辺23A(
図2の右側の第1辺23A)が、第1板部10の下壁部12の一対の第1辺12Aのうちの一方の第1辺12A(
図2の左側の第1辺12A)に対して折り曲げ可能に繋がっている。
【0023】
また、一対の第2内フラップ21は、それぞれ第2側壁部23に対して折り曲げ可能に、第2側壁部23の対向する第2辺23Bに繋がるように設けられている。
さらに、継しろ部22は、第2側壁部23の一対の第1辺23Aのうち第1板部10の下壁部12の反対側に位置する第1辺23A(
図2の左側の第1辺23A)に対して折り曲げ可能に繋がっている。
【0024】
なお、第2側壁部23と第1板部10の下壁部12との間の境目(点線参照)、第2側壁部23と一対の第2内フラップ21のそれぞれとの間の境目(点線参照)、及び、第2側壁部23と継しろ部22との間の境目(点線参照)には、折り曲げが行いやすいように曲げ強度を弱めた折り曲げ線が形成されている。
【0025】
さらに、第3板部30は、第1板部10の下壁部12の他方の長辺(
図2の右側の第1辺12A)に沿った収納ケース1の側壁となる第3側壁部32と、第3側壁部32に対して折り曲げ可能に繋がった一対の第3内フラップ31と、を有している。
【0026】
第3側壁部32は、外形が長方形状になっており、長辺である対向する一対の第1辺32Aと、短辺である対向する一対の第2辺32Bと、を有している。
そして、第3側壁部32は、一対の第1辺32Aのうち第1板部10の下壁部12側の第1辺32A(
図2の左側の第1辺32A)が、第1板部10の下壁部12の一対の第1辺12Aのうちの他方の第1辺12A(
図2の右側の第1辺12A)に対して折り曲げ可能に繋がっている。
【0027】
また、一対の第3内フラップ31は、それぞれ第3側壁部32に対して折り曲げ可能に、第3側壁部32の対向する第2辺32Bに繋がるように設けられている。
なお、第3側壁部32と第1板部10の下壁部12との間の境目(点線参照)、及び、第3側壁部32と一対の第3内フラップ31のそれぞれとの間の境目(点線参照)には、折り曲げが行いやすいように曲げ強度を弱めた折り曲げ線が形成されている。
【0028】
そして、第4板部40は、第1板部10の下壁部12に対向する収納ケース1の上面となる上壁部42と、上壁部42に対して折り曲げ可能に繋がった一対の第4外フラップ41と、を有している。
上壁部42は、外形が長方形状になっており、長辺である対向する一対の第1辺42Aと、短辺である対向する一対の第2辺42と、を有している。
【0029】
そして、上壁部42は、一対の第1辺42Aのうち第3板部30の第3側壁部32側の第1辺42A(
図2の左側の第1辺42A)が、第1板部10の下壁部12の反対側に位置する第3側壁部32の第1辺32A(
図2の右側の第1辺32A)に対して折り曲げ可能に繋がっている。
また、一対の第4外フラップ41は、それぞれ上壁部42に対して折り曲げ可能に、上壁部42の対向する第2辺42Bに繋がるように設けられている。
【0030】
なお、上壁部42と第3板部30の第3側壁部32との間の境目(点線参照)、及び、上壁部42と一対の第4外フラップ41のそれぞれとの間の境目(点線参照)には、折り曲げが行いやすいように曲げ強度を弱めた折り曲げ線が形成されている。
【0031】
そして、組み立て前の板体2は、上記のような基本構成を有しているので、例えば、以下のようにして収納ケース1の状態に組み立てることができる。
まず、第1板部10の下壁部12側に立ち上げるように、第2板部20の第2側壁部23及び第3板部30の第3側壁部32を折り曲げる。
【0032】
そして、第2板部20の第2側壁部23に対して一対の第2内フラップ21を第1板部10の下壁部12の一対の第2辺12Bに沿うように折り曲げるとともに、第3板部30の第3側壁部32に対して一対の第3内フラップ31を第1板部10の下壁部12の一対の第2辺12Bに沿うように折り曲げる。
【0033】
次に、第1板部10の一対の第1外フラップ11を第1板部10の下壁部12側に立ち上げるように折り曲げて、一対の第1外フラップ11を内側に位置する一対の第2内フラップ21及び一対の第3内フラップ31に対して、例えば、接着剤等で固定する。
【0034】
ここまで組み立てると、上壁部42が開いた状態の収納ケース1の状態になるので、例えば、飲料を充填したボトルの底面が下壁部12側に位置するように複数のボトル(例えば、24本のボトル)を収納ケース1に収容する。
【0035】
そして、引き続き、第2板部20の継しろ部22を第2板部20の第2側壁部23に対して収納ケース1の内側に向けて折り曲げるとともに、その折り曲げた継しろ部22上に重なるように、第4板部40の上壁部42を第3板部30の第3側壁部32に対して折り曲げて、継しろ部22を上壁部42に対して、例えば、接着剤等で固定する。
【0036】
最後に、第4板部40の一対の第4外フラップ41を第4板部40の上壁部42に対して、収納ケース1側に折り曲げて、一対の第4外フラップ41を内側に位置する一対の第2内フラップ21及び一対の第3内フラップ31に対して、例えば、接着剤等で固定すると、ボトル等を収容した収納ケース1の状態になる。
【0037】
このようにして組み立てた収納ケース1は、
図1に示すように、下壁部12の一対の第1辺12Aに沿った対向する一対の側壁(第1側壁SW1、及び、第2側壁SW2)が、第2側壁部23及び第3側壁部32で形成されるとともに、下壁部12の一対の第2辺12Bに沿った対向する一対の側壁(第3側壁SW3、及び、第4側壁SW4)が、それぞれ第1外フラップ11、第2内フラップ21、第3内フラップ31、及び、第4外フラップ41で形成されたものになっている。
【0038】
そして、第1外フラップ11と第4外フラップ41の幅(下壁部12を下側に位置させたときの鉛直方向となる上下幅)は、第1外フラップ11と第4外フラップ41が接触しない程度の幅になっており、同様に、第2内フラップ21と第3内フラップ31の幅(下壁部12を下側に位置させたときの水平方向となる左右幅)も、第2内フラップ21と第3内フラップ31が接触しない程度の幅になっている。
【0039】
このため、
図1に示すように、第3側壁SW3、及び、第4側壁SW4については、中央に内部に通じる開口OPを有するとともに、下壁部12を下側に位置させたときの上下中央側に位置する第2内フラップ21と第3内フラップ31の部分が見えるものとなっている。
なお、
図1では、第4側壁SW4側は見えていないが、第4側壁SW4側も第3側壁SW3と同様である。
【0040】
また、
図2に示すように、第4板部40の一対の第4外フラップ41には、それぞれ第4外フラップ41のほぼ中央となる位置に軽く押圧すれば開口し、手で掴むための取っ手となる取っ手部43が形成されており、
図1に示すように、収納ケース1の状態において、その取っ手部43は、第3側壁SW3、及び、第4側壁SW4の上側(上壁部42側)に位置している。
【0041】
このため、収納ケース1を運搬するときには、この取っ手部43を手で把持することができるようになっている。
なお、本実施形態では、取っ手部43は、軽く押圧して開口させるものとしているが、必ずしも、開口しないように塞いでおく必要はなく、初めから第4板部40の一対の第4外フラップ41に開口した状態で形成しておいてもよい。
【0042】
一方、収納ケース1は、
図1に示すように、収納ケース1を収納ケース1の下側の部分である第1分離体1Lと収納ケース1の上側の部分である第2分離体1Uに分離するときに操作される操作部50と、操作部50の操作によって収納ケース1を第1分離体1Lと第2分離体1Uに分離可能に破断する破断部51と、を備えており、以下、具体的に
図3及び
図4等を参照しながら説明する。
【0043】
図3は
図2に示す第3板部30の周辺を拡大した図であり、
図4は
図3の二点鎖線で囲まれている領域Aを拡大した図である。
なお、
図3及び
図4を主に参照して説明する操作部50及び破断部51は、
図2に示す第2板部20においても同様である。
したがって、以下では、第2板部20における説明を省略するが、以下の説明における、第3側壁部32、一対の第3内フラップ31、及び、第2辺32Bを、それぞれ第2側壁部23、一対の第2内フラップ21、及び、第2辺23Bに置き換えるだけである。
【0044】
図3に示すように、第3板部30の第3側壁部32は、第1辺32A方向で見てほぼ中央に位置し、第2辺32B方向で見て、若干、第1板部10の下壁部12寄りの位置に、先ほど説明した取っ手部43と同様の構造である操作部50が形成されている。
【0045】
そして、第3板部30の第3側壁部32には、その操作部50の第1板部10の下壁部12寄りの位置から一対の第3内フラップ31の端の位置まで、第1分離体1L(
図1参照)と第2分離体1U(
図1参照)の境目に沿って形成された複数の切れ目線52を有する一対の破断部51が設けられている。
【0046】
この破断部51は、操作部50から第3内フラップ31に至るまでの間(つまり、第3側壁部32の部分)に形成され、操作部50から離れて第3内フラップ31に近づくにつれて、第1分離体1L(
図1参照)の底部である下壁部12から離れる方向に傾斜する傾斜破断部51Aを備えている。
なお、傾斜破断部51Aは、操作部50側から第3内フラップ31の第2辺32Bのほぼ中央の位置に至るように設けられている。
【0047】
また、破断部51は、一対の第3内フラップ31に形成され、第2辺32Bにほぼ直交する方向に延在する直線破断部51Bも備えており、直線破断部51Bは、
図1に示すように、第3内フラップ31の第1外フラップ11及び第4外フラップ41に重ならない部分に位置している。
なお、この直線破断部51Bは、
図1を見るとわかるように、下壁部12を下側に位置させたときに水平方向に第2辺32B(
図2参照)側から第3内フラップ31の端の位置まで延在しているので水平破断部という場合もある。
【0048】
ここで、傾斜破断部51Aが有している複数の切れ目線52に着目すると、同一形状の切れ目線52が並んで配置されているわけではない。
具体的には、
図4に示すように、傾斜破断部51Aは、収納ケース1(
図1参照)の状態のときに、上壁部42側(
図4の上側)となる第1方向に凸の円弧形状の第1切れ目線52AAと、第1切れ目線52AAに隣接し、収納ケース1の状態のときに、下壁部12(
図4の下側)となる第1方向と反対方向に凸の円弧形状の第2切れ目線52ABと、が組みになった切れ目線対52Aが複数設けられたものになっている。
【0049】
この傾斜破断部51Aが有する切れ目線対52Aは、操作部50(
図1参照)から離れるにつれて、つまり、
図4の左から右側に向かうにつれて、第1分離体1L(
図1参照)の底部である下壁部12から離れる方向(
図4の上側)にズレて設けられたものになっている。
【0050】
そして、切れ目線対52Aは、第2切れ目線52ABが、第2切れ目線52AB側の第1切れ目線52AAの一方の端部P1から第1切れ目線52AAの円弧形状に従って延長した延長線L1上に位置しないようにズレて設けられている。
【0051】
具体的には、第2切れ目線52ABは、全体的に、第1切れ目線52AAに対して収納ケース1(
図1参照)の状態のときに、上壁部42側(
図4の上側)となる第1方向にズレて設けられており、第2切れ目線52ABは、第1切れ目線52AAの一方の端部P1側となる他方の端部P2が第1切れ目線52AAの一方の端部P1よりも第1方向側に位置するように設けられている。
【0052】
そして、例えば、収納ケース1を運搬しているときに、収納ケース1が落下したような場合には、切れ目線52の端部から切れ目線52の形状に沿った方向に切れ目が進展する。
つまり、第1切れ目線52AAは、一方の端部P1から第1切れ目線52AAの円弧形状に従って延長した延長線L1の方向に切れ目が進展し、第2切れ目線52ABは、他方の端部P2から第2切れ目線52ABの円弧形状に従って延長した延長線L2の方向に切れ目が進展しやすい。
【0053】
このため、破断部51の切れ目線52のうちの少なくとも一部の切れ目線52が、第1切れ目線52AA及び第2切れ目線52ABとされ、破断部51が上述のような切れ目線対52Aを有するものになっていると、収納ケース1が落下したような衝撃では、第1切れ目線52AAと第2切れ目線52ABが繋がるような切れ目の進展が起り難く、予期せずして、収納ケース1が第1分離体1Lと第2分離体1Uに分離することを抑制することができる。
【0054】
一方で、操作部50(
図1参照)を手で掴んで収納ケース1(
図1参照)を第1分離体1L(
図1参照)と第2分離体1U(
図1参照)に分離する操作を行う場合には、その操作力が
図4に示す第1切れ目線52AAの一方の端部P1から第2切れ目線52ABに向かう方に力が掛かりやすい。
【0055】
このため、大きな力を加えなくても、第1切れ目線52AAと第2切れ目線52ABが繋がるような切れ目の進展が起り、収納ケース1(
図1参照)を第1分離体1L(
図1参照)と第2分離体1U(
図1参照)に分離させるときの作業性が悪くなることを抑制することができる。
【0056】
さらに、本実施形態では、
図2に示すように、操作部50を操作したときに、第1切れ目線52AAと第2切れ目線52ABが繋がるような切れ目の進展が起りやすいように、第2板部20の第2側壁部23及び第3板部30の第3側壁部32に変形誘導線GLを設けるようにしている。
なお、この変形誘導線GLは、この線上に沿って変形が起りやすいように曲げ強度を弱めた部分であり、先に説明した折り曲げ線と類似である。
【0057】
具体的には、変形誘導線GLは、第1板部10の第1辺12Aに沿った方向で操作部50よりも外側(一対の第2内フラップ21及び一対の第3内フラップ31側)であって、第1板部10の第1辺12Aから離れる方向で見たときに、直線破断部51B(
図1参照)と同程度の位置を起点とし、その起点から第1板部10の第1辺12Aに沿った方向で操作部50から離れるに従って、収納ケース1(
図1参照)の状態のときに、上壁部42に近づくように斜め方向に延在している。
【0058】
このような変形誘導線GLを設けておくと、破断部51を破断させるように操作部50を収納ケース1から離れる外側に引っ張ったときに、
図4に示した第1切れ目線52AAの一方の端部P1から第2切れ目線52ABの方向に切れ目が進展する応力が掛かりやすいように、第2側壁部23(
図2参照)及び第3側壁部32(
図2参照)の第2分離体1U(
図1参照)側の部分が収納ケース1から離れる外側に変形しやすくなる。
このため、より一層、収納ケース1(
図1参照)を第1分離体1L(
図1参照)と第2分離体1U(
図1参照)に分離させるときの作業性がよくなる。
【0059】
そして、本実施形態の収納ケース1によれば、第1分離体1L(
図1参照)と第2分離体1U(
図1参照)に分離させることができるため、第2分離体1U(
図1参照)を取り除き、第1分離体1L(
図1参照)内に、飲料を充填したボトル等を収容した状態で、そのまま店舗に陳列することができ、陳列に必要な手間を省くことができる。
【0060】
以上、具体的な実施形態を基に本発明の説明を行ってきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、第1切れ目線52AA及び第2切れ目線52ABは、円弧形状を有するものになっていたが、例えば、くの字形状等の他の形状であってもよく、第2切れ目線52ABが、第2切れ目線52AB側の第1切れ目線52AAの一方の端部P1から第1切れ目線52AAの形状に従って延長した延長線上に位置しないようにズレて設けられていればよい。
【0061】
また、上記実施形態では、
図4に示すように、切れ目線対52Aにおいて、第1切れ目線52AAの一方の端部P1と、第1切れ目線52AAの一方の端部P1側となる第2切れ目線52ABの他方の端部P2と、は、第1切れ目線52AAと第2切れ目線52ABの並び方向(
図4の左右方向)で見て、重ならないように、若干、離間するようになっているが、逆に、若干、重なるようになっていてもよい。
【0062】
さらに、第1切れ目線52AAの一方の端部P1と、第1切れ目線52AAの一方の端部P1側となる第2切れ目線52ABの他方の端部P2と、の間の距離を調節して、操作部50を操作して、収納ケース1(
図1参照)を第1分離体1L(
図1参照)と第2分離体1U(
図1参照)に分離させるときの破断強度が適切になるように適宜調整してもよい。
【0063】
また、収納ケース1は、先にも触れた通り、特段、収納される物品が限定されるものではない。
しかしながら、収納ケース1(
図1参照)が、予期せずして、第1分離体1L(
図1参照)と第2分離体1U(
図1参照)に分離する事態は、収納されている物品の重量が重い場合に起こりやすいため、飲料を充填したボトル、缶、パック等を収容する飲料用の収納ケースとして、特に、好適である。
【0064】
このように本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、技術的思想を逸脱することのない変更や改良を行ったものも発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0065】
1 収納ケース
1L 第1分離体
1U 第2分離体
2 板体
10 第1板部
11 第1外フラップ
12 下壁部
20 第2板部
21 第2内フラップ
22 継しろ部
23 第2側壁部
30 第3板部
31 第3内フラップ
32 第3側壁部
40 第4板部
41 第4外フラップ
42 上壁部
43 取っ手部
50 操作部
51 破断部
51A 傾斜破断部
51B 直線破断部
52 切れ目線
52A 切れ目線対
52AA 第1切れ目線
52AB 第2切れ目線
GL 変形誘導線
L1、L2 延長線
OP 開口
P1、P2 端部
SW1 第1側壁
SW2 第2側壁
SW3 第3側壁
SW4 第4側壁