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特許7069468通信機能を持った情報端末を使用した情報共有システム
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  • 特許-通信機能を持った情報端末を使用した情報共有システム 図1
  • 特許-通信機能を持った情報端末を使用した情報共有システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】通信機能を持った情報端末を使用した情報共有システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20220511BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20220511BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H04L67/00
H04L12/28 200Z
H04M11/00 302
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019217471
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021077308
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-11-28
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】519428188
【氏名又は名称】江隈 一郎
(72)【発明者】
【氏名】江隈 一郎
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-023509(JP,A)
【文献】釘本健司・鈴木康夫・小田部悟士・東條弘,移動式ICTユニットとレガシーな無線通信手段の連携,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.118 No.27,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2018年05月07日,P.17-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04L 12/28
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話用の電波に依存せず、インターネットからも遮断された環境下において、情報を共有する情報共有システムであって、
Wi-Fi(登録商標)無線LANルーターを介して、コンピュータをサーバーとして接続し、
このコンピュータに接続された複数の情報端末間での同時通話あるいは2者間通話が可能なIP電話交換サーバー機能と、
これらの情報端末から閲覧可能な、文字列、静止画、動画を含む画像情報を有するホームページを提供するWebサーバー機能とを備え、
上記コンピュータは、その本体がクレジットカードサイズ大で携帯可能であり、メモリーカードによりオペレーティングシステム、IP電話交換機能およびホームページ閲覧機能を内装し、着脱自在なメモリースティックによりホームページ閲覧画像が供給される情報共有システム。
【請求項2】
上記コンピュータでは、
上記Wi-Fi(登録商標)無線LANルーターを介して、上記情報端末に固有のMACアドレスを用いて接続制限を行うMACアドレス接続制限手段と、
この接続制限を行うための、MACアドレスの情報の参照先として、予め登録したデータを参照する手段とを上記メモリースティックに備える請求項1に記載の情報共有システム。
【請求項3】
上記Webサーバー機能は、
接続中の上記情報端末が一定数を超えると、所定のMACアドレスを有する情報端末以外の、ランダムに選んだ情報端末が、上記ホームページへアクセスすることを、一時的に制限する、ホームページ一時アクセス制限手段と、
情報端末の接続数が上記一定数を下回った場合はその接続制限を解除する、ホームページ一時アクセス制限解除手段とを備える請求項1または請求項2に記載の情報共有システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話用の電波に依存せず、インターネットからも遮断された環境下で、IP電話交換サーバー機能と、ホームページの画像情報を提供するWebサーバー機能とを持った、小型でハンディーなコンピュータをサーバーとした、私的な通信に有利な情報共有システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からの情報通信の役務は、一般に大型で多くの通信装置で構成された複雑で且つ専門的な装置で提供され、通信機能を持った情報端末を用いて行う情報のやり取りは、音声のみ或いはインターネットを利用したホームページのみの利用であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現状、例えば、山間部或いは災害時など携帯電話用の電波の届かいところでは、普及している前記情報端末を持っているにも関わらず、相互の通話ができず、各種の災害状況把握作業、復旧作業、遭難救助作業、捜索作業、登山行程確認操作、更に非常事態における各種会議や業務連絡作業などでは専用のトランシーバーなどを別途準備しなければならない。
また、上記作業の他、特に建設現場作業等では共通の地図や図面を多く持ち合って作業の進捗状況を確認しなければならない等、煩雑で多くの労力と時間そして経費を必要とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明に於いては、携帯電話用の電波に依存せず、インターネットからも遮断された環境下において、情報を共有する情報共有システムであって、Wi-Fi(登録商標)無線LANルーターを介して、コンピュータをサーバーとして接続し、このコンピュータに接続された複数の情報端末間での同時通話あるいは2者間通話が可能なIP電話交換サーバー機能と、これらの情報端末から閲覧可能な、文字列、静止画、動画を含む画像情報を有するホームページを提供するWebサーバー機能とを備え、上記コンピュータは、その本体がクレジットカードサイズ大で携帯可能であり、メモリーカードによりオペレーティングシステム、IP電話交換機能およびホームページ閲覧機能を内装し、着脱自在なメモリースティックによりホームページ閲覧画像が供給される情報共有システムである。
【0005】
請求項2に記載の発明に於いては、上記コンピュータでは、上記Wi-Fi(登録商標)無線LANルーターを介して、上記情報端末に固有のMACアドレスを用いて接続制限を行うMACアドレス接続制限手段と、この接続制限を行うための、MACアドレスの情報の参照先として、予め登録したデータを参照する手段とを上記メモリースティックに備える請求項1に記載の情報共有システムである。
【0006】
請求項3に記載の発明に於いては、上記Webサーバー機能は、接続中の上記情報端末が一定数を超えると、所定のMACアドレスを有する情報端末以外の、ランダムに選んだ情報端末が、上記ホームページへアクセスすることを、一時的に制限する、ホームページ一時アクセス制限手段と、情報端末の接続数が上記一定数を下回った場合はその接続制限を解除する、ホームページ一時アクセス制限解除手段とを備える請求項1または請求項2に記載の情報共有システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の情報共有システムは、インターネットからも遮断された環境下、或いは、携帯電話用の電波を利用したインターネット接続環境に依存しない環境下で、前記無線LANルーターと前記コンピュータで構成されたネットワーク環境の下で、Wi-Fi、VoIP、Web技術を融合的に結合して複数の前記情報端末間での多点間同時通話、或いは、2者間音声通話と同時並行して、各種業務資料等の画像情報を共有することのできる、私的な通信に有利な小型でハンディーな情報共有システムである。
【0008】
本発明の特徴については前述の通りだが、その技術構成は、個々の機能として存在している既存の技術を総合的な機能として組み込んだ前記コンピュータに、前記無線LANルーターを介して接続された複数の前記情報端末は、多点間同時通話、或いは、2者間通話が可能である。
前記情報端末のホームページの閲覧方法は、前記コンピュータのURLにアクセスすることで可能になり、従来からの前記情報端末単体ではできなかった音声通話と同時並行して各種業務資料などの画像情報の共有を実現した。
【0009】
これらにより災害現場、避難場所、山間部の遭難救助作業、遭難・避難者間、捜索作業、登山行程確認作業、各種会議室や集会場での業務連絡会議、講演会場、建設現場、対策本部等における情報通知、諸連絡確認、及び、地図や図面、動画等の必要な業務資料の内容の閲覧と確認を迅速かつ適確に行うことが出来、音声のみによる連絡ミス或いは確認の遅れ等が発生する頻度の低減をはかり、情報伝達の高信頼化、各種業務の高効率化及び省力化、コストの大幅な低減を実現するものである。
【0010】
このように本発明の情報共有システムは、前記情報端末を用い、携帯電話用の電波に依存せず、場所を選ばず、音声情報と同時並行して画像情報(ホームページ)の周知機能も備えた、前記構成手段の小型でハンディーなシステムで容易に解決し、優れた作用効果を呈するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例に係る実施形態での構成例である。
図2】本発明の一実施例に係るシステム構成例(概念図)である。
図3】本発明の一実施例に係る一連の機能を使用するための、処理概念のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る実施形態を、図1図3の実施例で説明する。
【実施例
【0013】
図1において、本例の情報共有システムは、Wi-Fi無線LANルーター100に、可搬型小型コンピュータ200をサーバーとして接続し、前記コンピュータ200に電話番号付与された複数の前記情報端末300間で同時に通話可能な番号、或いは個別に通話可能な番号を用いることで前記情報端末2者間での通話を可能とする交換機能と通話機能を備えた、IP電話交換機能回路201及び前記情報端末300から閲覧可能な画像情報を提供するホームページ提供機能回路202を設置している。
IP電話交換機能回路201及びホームページ提供機能回路202は、前記コンピュータ200に挿入して使用するMicroSDメモリーカード401に、OSと共に内装されている、
【0014】
前記IP電話交換機能回路201は、VoIP技術を利用するIP電話回路であり、IP電話ソフトウエアー(IP電話交換機能、IP電話通話機能)と個々の前記情報端末に必要な通話ソフトウエアーを有する。
個々の前記情報端末に必要な通話ソフトウエアーは、前記ホームページ提供機能回路202のURLへ接続することで、自動的にコンピュータからダウンロードの後、自動設定、自動接続が可能であり、事前の準備は不要であるが、手動での設定も可能である。前記通話ソフトウエアーは、事前に別途インターネットからもダウンロード可能である。
前記情報端末300の接続は、セキュリティー対策の面から、前記コンピュータ200への接続制限情報を持ったUSBメモリースティック414の差し替えで、接続制限の設定及び変更を行うことが可能である。
【0015】
更に多点間同時通話機能の活用で、広範囲の音声情報多点間伝達機能(ページング機能)としての活用も可能であり、同機能の活用で、講演者の話を前記情報端末で聴講しながら、画像などの情報(ホームページコンテンツ)の閲覧も可能にした。この同時通話機能は、前記情報端末側で拒否の設定をすることも可能である。
【0016】
前記ホームページ提供機能回路202は、オペレーティングシステムOS(Linux(登録商標)ディストリビューション)、IP電話交換機能回路201と共にMicroSD(登録商標)メモリーカード401に内装されている。ホームページで表示される閲覧可能な内容の更新及び切り替えは、外部からのデータ提供でも可能で、ホームページに表示するデータを設定した、USBメモリースティック414の差し替えで随時対応できる。
ホームページを、前記情報端末300から閲覧するためのURLは、当システムすなわち小型コンピュータのIPアドレスを前記情報端末のWebブラウザに直接入力することでも可能だが、利用者の使い勝手を考慮し、ドメイン名の入力でも閲覧可能である。
【0017】
前記可搬型小型コンピュータ(サーバー)200の主な基本構成は、以下の通りで、大きさは、クレジットカード大である。
(1)MicroSDメモリーカード401.
OS(Linuxディストリビューション)及びIP電話交換機機能回路201、ホームページ提供機能回路202を内装する。
(2)CPU(中央演算処理装置、ブロードコム)402.
(3)DC5Vコンピュータ駆動電源のモバイルバッテリー412を挿入するMicroUSBジャック413.
(4)前記コンピュータ200は、前記無線LANルーター100にWi-Fi接続でも可能だが、システム安定のためにLANケーブルで接続するための、有線LAN接続ジャック(イーサネットポート)403.
(5)前記コンピュータへの接続制限情報或いは、ホームページ提供機能回路202に提供する資料画像(文字列、静止画、動画)の提供をするUSBメモリースティック414用のUSBジャック404.
(6)Wi-Fiアンテナ405.
(7)パワー・オーバー・イーサネット(PoE)406.
(8)HDMIポート407.
(9)CSIカメラコネクタ408.
(10)4極3.5mmオーディオ&コンポジットビデオ出力ジャック409.
(11)DSIディスプレイコネクタ410.
(12)40ピン拡張GPIOヘッダー411.
【0018】
また、MicroSDメモリーカード401には次のようにセキュリティー強化への対応及びコンピュータへのアクセス制御を担当する、機能ソフトウエアーを付加している。
(1)セキュリティーの強化
前記コンピュータは、前記無線LANルーター100を介して、関係者以外の、前記情報端末300からの接続を拒否するために、前記情報端末固有のMACアドレスを用いて接続制限を行う、MACアドレス接続制限機能と、前記MACアドレスの情報として、前記コンピュータ200のMicroSDメモリーカード401或いは、USBメモリースティック414に予め登録したデータを参照する機能を備えている。
(2)アクセス制御
前記コンピュータ200へ接続された前記情報端末300の通話品質の確保およびホームページ閲覧速度の遅延対策として、前記コンピュータ200へのアクセスを自動監視し、アクセスの集中で前記コンピュータへの負荷増大、或いは無線LAN回線の輻輳が予想される場合、所定の前記情報端末以外から、ランダムに選ばれた前記情報端末が、ホームページへアクセスすることを一時的に制限する、ホームページアクセス一時制限機能と、アクセスの集中が解消された場合、速やかに自動的に元に戻す、ホームページアクセス一時制限解除機能を備えている。
【0019】
上記、機能ソフトウエアーの構成。
(1)MACアドレス接続制限機能
前記コンピュータ200は、前記無線LANルーター100を介して、所定以外の前記情報端末300からの接続を拒否するために、前記コンピュータ200のOSが取り込んだ、前記情報端末のMACアドレスの情報と内部或いは外部メモリーとして、MicroSDメモリーカード401或いはUSBメモリースティック414に設定された情報との接続制限情報の参照、比較を行い、前記情報端末の接続の許可、拒否の判断を行う。
全ての前記情報端末の接続を許可する場合は、上記メモリーへの情報設定で対応可能になる。
(2)ホームページアクセス一時制限機能、解除機能
ホームページ一時アクセス制限機能は、前記Webサーバー機能へ接続中の前記情報端末数を自動的に計数し、接続数が一定数(本実施例では、20)を超えると、通話品質の確保及びホームページ閲覧速度の遅延対策として所定のMACアドレスを有する前記情報端末以外で、ランダムに選んだ前記情報端末300が、ホームページへアクセスすることを一時的に制限する。ホームページ一時アクセス制限解除機能は、前記情報端末300の接続数が、上記一定数を下回った場合に、前記制限を解除する機能を有する。
【0020】
(本発明の活用事例とその効果)
本発明に係る情報共有システムの活用事例と効果について、以下まとめる。
(1)山間部など、携帯電話用の電波が届かない場所での作業における情報伝達手段として極めて利便性に優れている。通信距離が長い場合は、中継器を設置し通信距離を延ばすことができる。
(2)多点間同時通話機能を活用して作業の進行、情報伝達が可能である。
(3)前記情報端末を介して個別呼び出し、多点間同時通話機能を活用したページング機能、或いは、前記情報端末に拡声器などを接続することで広範囲へのアナウンスも可能になる。
(4)さらに、音声のみでなく、ホームページ閲覧で得られる画像情報を用いて情報共有、作業スケジュールなどの把握を行うことができる。
(5)本体も小型で、付随するWi-Fi無線LAN機器なども含め持ち歩きが容易なハンディータイプである。
(6)物理的な可動部分がないので堅牢で取り扱いが容易である。
(7)駆動する電源もコンピュータ、Wi-Fi無線LAN機器も含め、低電圧のDC5Vで動作可能な為、停電時、非常時などでもモバイルバッテリーでの運用が可能である。
(8)接続方法も携帯電話用のサービスを使用せず、通信、通話料金は不要である。しかも免許も不要である。
(9)このことにより、作業現場においては、当日の作業内容、スケジュールなどの情報共有で、より精度の高い業務の遂行に寄与する。
(10)屋外での集会、講演会等においては、ホームページ機能として提供される画面を見ながら主催者の話・音声は電話機能の多点間同時通話機能により各自の前記情報端末から聞くことができる。
ホームページの掲載内容は、前記コンピュータ200に挿入されているMicroSDメモリーカード401に予め設定して置くことも可能だが、USBメモリースティック414の差し替えを行うことでも掲載内容の更新、変更、切り替えが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、前記の優れた作用効果を呈し、携帯電話用の電波に全く依存しない、Wi-Fi無線LAN環境下に於いて、前記情報端末を利用した多点間同時通話或いは個別通話の機能、そしてUSBメモリースティックによる適宜変更可能なホームページの画像情報との並行活用で応用可能な分野は広く、前記情報端末を使用した情報共有システムは、産業界へ貢献できる有用な技術である。
【符号の説明】
【0022】
100:Wi-Fi無線LANルーター
200:コンピュータ(サーバー)
300:通信機能を持った情報端末
201:IP電話交換機能回路
202:ホームページ提供機能回路
401:MicroSDメモリーカード(OS、201、202回路を内装する)
402:CPU(中央演算処理装置)
403:有線LAN接続ジャック(イーサネットポート)
404:USBジャック
405:Wi-Fiアンテナ
406:パワー・オーバー・イーサネット(PoE)
407:HDMIポート
408:CSIカメラコネクタ
409:4極3.5mmオーディオ&コンポジットビデオ
410:DSIディスプレイコネクタ
411:40ピン拡張GPIOヘッダー
412:モバイルバッテリー
413:5VMicroUSBジャック
414:USBメモリースティック
図1
図2
図3