(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】コンベヤシステム用のパレット、コンベヤシステム、及び該コンベヤシステムを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B65G 35/06 20060101AFI20220511BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B65G35/06 B
B65G47/68 B
(21)【出願番号】P 2019566162
(86)(22)【出願日】2018-06-20
(86)【国際出願番号】 SE2018050672
(87)【国際公開番号】W WO2018236283
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】102017113953.2
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501002323
【氏名又は名称】フレックスリンク アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】デウザー, ステファン
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00527689(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第19532281(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第19540922(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/68-47/78
B65G 47/64
B65G 35/00-37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤトラック(2、3)を備えるコンベヤシステム(1)用のパレット(5)において、
各コンベヤトラック(2、3)が、連続的に駆動されるコンベヤチェーン(10)を備え、前記コンベヤチェーン(10)は、ジョイント部を介して互いにカルダン的に接続される複数のチェーンリンク(11)で構成され、当該パレット(5)が、対象物を支持するように構成された上面(51)と、前記上面(51)の反対側の下面(52)とを有するハウジング(50)を備え、前記下面が、コンベヤトラック(2、3)で支承されるように構成され、前記ハウジング(50)が、前面(67)、後面(68)、右面(69)及び左面(70)を備え、前記パレット(5)が、充電式電源(54)と、制御ユニット(56)と、ワイヤレス通信手段(57)と、前記制御ユニット(56)によって制御されるように構成された複数の作動手段(60;65)とを備え、前記作動手段(60;65)が、前記制御ユニット(56)からの制御信号によって前記ハウジング(50)から伸長するか、又は前記ハウジング(50)内に後退するように構成されて
おり、前記作動手段(60;65)が、昇降装置(65)を備え、2つの昇降装置(65)が、前記ハウジング(50)の前記前面(67)の側に配置され、2つの昇降装置(65)が、前記ハウジング(50)の前記後面(68)の側に配置されていることを特徴とする、パレット。
【請求項2】
前記作動手段(60;65)が、案内手段(60)を備え、2つの前記案内手段(60)が、前記ハウジング(50)の前記前面(67)の側に配置され、2つの前記案内手段(60)が、前記ハウジング(50)の前記後面(68)の側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記ハウジング(50)の前記右面(69)の側に配置された前記案内手段(60)が、前記制御ユニット(56)によって同時に制御されるように構成され、前記ハウジング(50)の前記左面(70)の側に配置された前記案内手段(60)が、前記制御ユニット(56)によって同時に制御されるように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記昇降装置(65)が、案内手段(60)と前記右面(69)及び前記左面(70)との間に配置され、前記昇降装置(65)が、前記制御ユニット(56)によって同時に制御されるように構成されていることを特徴とする、請求項
2又は3に記載のパレット。
【請求項5】
案内手段(60)が、前記昇降装置(65)よりも前記ハウジング(50)からさらに伸長するように構成されていることを特徴とする、請求項
2~4
のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項6】
前記パレット(5)が、前記パレット(5)の前の対象物までの距離を検出するように構成された距離センサ(58)をさらに備えることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項7】
前記パレット(5)が、前記コンベヤシステム(1)の位置指示マーク(7)を検出するように構成された検出手段(55)をさらに備えることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項8】
複数のコンベヤトラック(2、3)を備えるパレット(5)を搬送するように構成されたコンベヤシステム(1)において、
各コンベヤトラック(2、3)が、連続的に駆動されるコンベヤチェーン(10)を備え、前記コンベヤチェーン(10)は、ジョイント部を介して互いにカルダン的に接続される複数のチェーンリンク(11)で構成され、前記コンベヤシステム(1)が、請求項1~
7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのパレット(5)を備えることを特徴とする、コンベヤシステム(1)。
【請求項9】
前記コンベヤシステム(1)が、コンベヤトラック(2、3)の前記
コンベヤチェーン(10)に平行に配置された横方向ガイド(15)を備えることを特徴とする、請求項
8に記載のコンベヤシステム。
【請求項10】
前記コンベヤシステム(1)が、前記
コンベヤチェーン(10)に平行に、かつ横方向ガイド(15)の外側に配置された支持バー(20)を備えることを特徴とする、請求項
8又は
9に記載のコンベヤシステム。
【請求項11】
パレットを搬送するための複数のコンベヤトラックを有するコンベヤシステムにおいて、前記パレットによって出発点から目的点に搬送される材料を移送するための方法であって、
各コンベヤトラックが、連続的に駆動されるコンベヤチェーンを備え、前記コンベヤチェーンは、ジョイント部を介して互いにカルダン的に接続される複数のチェーンリンクで構成され、前記コンベヤシステムが、コンベヤトラックの両側に沿って配置された横方向ガイドを備え、前記パレットが、請求項
7に従って設計されたものであり、
当該方法は、
前記コンベヤシステムのトポグラフィに関する情報をパレットの制御ユニットに提供するステップと、
前記パレットの
ための前記コンベヤシステムの前記位置指示マーク
(7)を提供するステップであって、
前記それぞれの出発点から前記それぞれの目的点に搬送される材料を移送するためのそれぞれの移送経路が、前記コンベヤシステムの前記トポグラフィ及び/又は前記コンベヤシステムの動作負荷に応じて前記パレットに対して計算され、
前記それぞれの移送経路の前記計算が、前記パレットによって直接実行されるか、又は前記それぞれの移送経路の前記計算が、前記コンベヤシステムの中央制御ユニットによって実行され、前記計算された移送経路が、前記それぞれのパレットに送信され、
前記パレットの案内手段及び/又は昇降装置が、前記計算されたそれぞれの移送経路に従って時間依存的に調整される、ステップと
を含
み、
前記パレットには、前記パレットの前の前記コンベヤシステムの障害物を検出するための距離センサが設けられ、検出された障害物までの距離が、前記距離センサの出力信号に基づいて判定され、パレットの複数の前記昇降装置が、このように判定された前記距離が事前に指定された閾値を下回った場合に協働して作動される、方法。
【請求項12】
前記パレットの位置指示マークが、前記コンベヤシステムで検出され、前記コンベヤシステムの前記パレットの位置が、前記検出された位置指示マークに基づいて判定され、それぞれのパレットの右側に配置された前記案内手段又は前記それぞれのパレットの反対側の左側に配置された前記案内手段が、前記コンベヤトラックの前記右側又は前記左側の前記横方向ガイドと前記案内手段を選択的に係合又は係合解除して前記それぞれのパレットの移動の方向を変更するために、前記判定された位置に応じて、かつ、計算されたそれぞれの移送経路に従って、選択的に協働して調整される、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
データが、前記コンベヤシステムの中央制御ユニット又は前記コンベヤシステムで搬送される他のパレットの制御ユニットと交換され、前記パレットの前記案内手段及び/又は前記昇降装置が、交換される前記データに応じて時間依存的に調整され続ける、請求項
11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンベヤシステムにおいて混雑が生じている場合、出発点から目的点に搬送される材料を移送するための代替の移送経路が、前記混雑によって影響を受けるパレットに対して計算される、請求項
11~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータ上で稼働されるときに
、請求項8~10のいずれか一項に記載のコンベヤシステムに、請求項
11~
14のいずれか一項に記載のステップをすべて実行
させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【請求項16】
コンピュータプログラム製品であって、当該コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で稼働されるときに
、請求項8~10のいずれか一項に記載のコンベヤシステムに、請求項
11~
14のいずれか一項に記載のステップをすべて実行
させるためのコンピュータ可読媒体に記憶されたプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤシステムで出発点から目的点に独立して又は自律的にナビゲートするように設計されたパレットに関する。加えて、本発明は、該パレットを備えるコンベヤシステム、及び該パレットを制御するための制御方法であって、該制御方法を実施するためのコンピュータプログラム製品を含む制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内の異なるステーション間で対象物を移動させるために使用されるもののような搬送装置は、通常、ベルト又はチェーンの形の搬送トラックを備える。搬送トラックは、垂直方向の側面を備えたトレンチ(溝)内に収められ得る。あるいは、トラックはトレンチの水平な上面に配置されるか、何らかの他の方法で配列され得る。搬送される対象物は、直接又はパレットとしても知られる運搬手段を介して、搬送トラックに対してスライド可能に配置される。
【0003】
パレットは、異なる複数のワークステーションを備える搬送装置に沿って搬送される。ワークステーションでは、パレットがストッパ部材によって停止されることで、移送される対象物に対して所定の操作が実行され得る。場合によっては、対象物に対する操作が行われずに、対象物が特定のワークステーションを通過することがある。このために、ストッパ部材は、パレットを停止するか、又はパレットがワークステーションを通過するように配置され得る。
【0004】
搬送装置が従来型のものであり、すべてのワークステーションが連続して配置され、対象物に対する操作が同期して実行される場合、すべてのパレットは各ワークステーションで停止する。対象物に対する操作が特定のワークステーションで実行されない場合、対象物は、そのワークステーションで前の対象物に対する操作が準備できるまで、対象物が続行することができるまで待機する必要がある。この場合、すべてのパレットは同時に停止解除され、同時に移動する。そのようなシステムの1つの利点は、システムの性能を予測するのが簡単であることである。そのようなシステムの1つの欠点は、柔軟性に欠けることである。ワークステーションでの操作時間が長い場合、すべての対象物に対して操作が実行されていなくても、すべての対象物はその時間待機しなければならない。したがって、そのようなシステムは、主に単一の製品に使用されるか、又は製品の違いが小さいときに使用される。
【0005】
他のシステムでは、対象物に対する操作は非同期で実行され、すなわち、パレットは、操作が実行されるワークステーションで停止し、操作の準備ができたら停止解除される。そのようなシステムでは、製品の異なる通過時間及びワークステーションでの異なる操作時間を補償するために、少なくともいくつかのワークステーションで多数のパレットを備えるキューが必要になる場合がある。
【0006】
通常のパレット又はパックのキューでは、パレット又はパックは、キューの最後に達したときに互いにぶつかるおそれがある。パレット又はパックには、停止時にパレット又はパックに作用する力を最小限に抑えるためにダンパ又は弾力性のある部材を設けるとよい。この技術は、多少重い対象物を搬送するパレット又はパックで使用される。軽い対象物の場合、追加の減衰は必要とされない。
【0007】
高い搬送速度を達成するには、パレットの確実で機械的に安定した案内が必要であり、これは、パレットと適切に相互作用する、対応して設計されたキャリアレール及びガイドレールを介して確保することができる。出発点から異なる目的地にこのようなコンベヤシステムで材料を柔軟に搬送するために、異なる搬送方向にパレットを方向転換するようにパレットの走行方向の逸脱がデフレクタ及びバッフルによって必要とされる。
【0008】
柔軟に対象物を搬送することを可能にするために、無限に循環するコンベヤチェーン又はベルトによって搬送されるパレットが使用され、パレットは、独自の駆動機構を有さない。パレットは積載され、積み降しされるそれぞれの目的地に向けられる。
【0009】
パレットをコンベヤシステムの所望の場所に導くために、アクティブダイバータ及びストッパと呼ばれるものがコンベヤトラックに設置される。これらの要素は、個々に設置して配線されなければならない。さらに、それらは高価な上位制御技法を介して制御する必要がある。そのため、レイアウトの変更には、機械的、電気的、及び技術的なプログラミングにかなりの費用を必要とする。したがって、この技術に基づいたコンベヤシステムは、簡単に拡張可能ではない。
【0010】
パレットがストッパ又はデフレクタの前で停滞すると、停滞(ジャミング)の長さに応じて、パレット及びストッパに作用する背圧が発生する。さらに、停滞すると、パレットは停滞による推進力を引き起こし、パレット及びその上に位置する製品に不利な影響を与える。
【0011】
したがって、前述のコンベヤシステムには、さらなる改良が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、コンベヤシステム用の改良されたパレットを提供することである。本発明の別の目的は、そのようなパレットを備えるコンベヤシステムを提供することである。本発明のさらなる目的は、コンベヤシステムで対象物を搬送するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による問題の解決策は、パレットに関する請求項1の特徴部分、コンベヤシステムに関する請求項9、及び方法に関する請求項12に記載されている。他の請求項は、パレット、コンベヤシステム及び方法の有利な実施形態及びさらなる発展形を含む。
【0014】
コンベヤトラックを備えるコンベヤシステム用のパレットにおいて、パレットが、対象物を支持するように構成された上面と、上面の反対側の下面とを有するハウジングを備え、下面が、コンベヤトラックで支承されるように構成され、ハウジングが、前面、後面、右面及び左面を備え、本発明の目的は、パレットが、充電式電源、制御ユニット、ワイヤレス通信手段、及び制御ユニットによって制御されるように構成された複数の作動手段を備え、機械的作動手段が、制御ユニットからの制御信号によってハウジングから伸長するか、又はハウジング内に後退するように構成されることで達成される。
【0015】
本発明によるパレットのこの第1の実施形態によって、コンベヤシステムで自己完結的にナビゲートすることができるパレットが提供される。そのようなパレットにより、パレットは、外部のダイバータ手段を必要とせずに異なるコンベヤトラックに方向転換することができる。パレットは、外部の停止手段を必要とせずに、コンベヤシステムの事前に定められた位置でさらに停止することができる。このようにして柔軟なコンベヤシステムが提供され、コンベヤシステムの制御システムを再構築する必要なく拡張又は再配置することができる。コンベヤシステムが新しい用途又は新しい製品に適合されているとき、新しいケーブルを接続したり交換したりする必要はなく、また、ダイバータ手段又は停止手段を設置したり移動したりする必要はない。
【0016】
コンベヤトラックという用語は、コンベヤシステムのそれぞれの移送経路として理解されるべきである。各コンベヤトラックには、コンベヤチェーンの片側又は両側に横方向ガイドが設けられる。それにより、それぞれの横方向ガイドは、少なくともコンベヤトラックのセグメント(区域)に沿って、被駆動コンベヤ要素が必ずしも設けられる必要のないダイバータでのパレットの方向変更が提供される。これにより、方向変更を有するコンベヤトラックのセグメントの片側にのみ横方向ガイドを設ければ十分であり得る。移送システムにおけるダイバータセクションの横方向ガイドの少なくとも1つにある案内手段の係合を介して、パレットの移動の方向がそれぞれの横方向ガイドの案内手段の係合を介して事前に指定されるため、パレットの移動の方向は、簡単な方法で変更することができる。
【0017】
移動の方向を変更するための情報処理部(インテリジェンス)及びハードウェアを完全に、又は少なくとも重要な部分でパレット自体に再位置決めすることができるため、複雑な設置又は制御技術は必要とされない。このために、好ましくは、制御ユニットがパレットに設けられ、この制御ユニットは、外部の制御装置、例えば、コンベヤシステムの中央有線制御ユニット、及びこれに必要な機械的ダイバータなどの外部の機械的要素なしで方向変更を提供するために案内手段を適切に制御する。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、パレットは、出発点から目的点にコンベヤシステムを通って自律的にナビゲートすることができる。
【0018】
パレットには、搬送される対象物を支持するための上面と、上面の反対側に位置する下面とが設けられる。パレットには、パレットの移動の方向から見て前面、後面、右面及び左面がさらに設けられる。パレットには、案内手段及び/又は昇降手段であり得る作動手段が設けられる。昇降装置は、パレットを自律的に上昇させ、前記パレットの下面が被駆動コンベヤチェーンから解放され、パレットが被駆動コンベヤチャンによって搬送されなくなるように調整可能である。
【0019】
コンベヤトラックは、少なくともいくつかのセグメントに、パレットを上昇させるために昇降装置を一時的に支持することができる支持面をさらに備えることができる。パレットは、コンベヤシステムのそれぞれの横方向ガイドと相互作用する案内手段をさらに有してもよい。昇降装置は、好ましくは、これらの案内手段のガイド領域の外側に配置される。「ガイド領域」という用語は、案内手段とこれらの横方向ガイドとの実際の相互作用の領域である。
【0020】
支持面上のパレットの一時的な上昇及び支持を介して、例えば、コンベヤシステムのダイバータ又は分岐部又は停滞が発生しやすいセグメントの特定領域では、例えば、停滞が発生した場合のパレットと別のパレットとの衝突を回避するため、又はコンベヤシステムの混乱を回避するために、パレットの移動は簡単な方法で一時的に中断され得る。しかしながら、上昇状態では、パレットに搬送される対象物を単に積載することもできる。
【0021】
パレットの昇降を制御するために必要な情報処理部を完全に、又は少なくとも重要な部分でパレット自体に再位置決めすることができるため、これを制御するための複雑な設置又は制御技術は必要とされない。このために、好ましくは、制御ユニットがパレットに設けられ、この制御ユニットは、コンベヤシステムの中央制御ユニット、及びこれに必要なダイバータなどの外部の機械的要素などの外部の制御装置なしで方向変更を提供するために案内手段を適切に制御する。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、パレットは、出発点から目的点にコンベヤシステムを通って自律的にナビゲートすることができる。
【0022】
パレットは、その下面を被駆動搬送要素の上面に単に載置することによりコンベヤシステムで搬送され、このためには、パレットの下面と被駆動搬送要素の上面との間の単純な摩擦接続が好ましい。このために、好ましくは、搬送要素は、適切な摩擦係数の平坦な上面を有する。このために、搬送要素は、単純な移送ベルト、ベルトコンベヤ、又はチェーンコンベヤとして設計されてもよい。それにより、搬送要素は、連続的に循環する搬送要素として、例えば、循環する移送ベルトとして、又は循環するコンベヤチェーンとして設計される。同様に、ダイバータ、分岐部などの特定領域では、パレットが十分な推進力でこれらの領域を横断する場合、又はこれらの領域の幾何学的設計によって、方向変更の領域の前又は上流でパレットの後端がコンベヤシステムの搬送要素によって駆動されており、方向変更の領域の後又は下流でパレットの先端がコンベヤシステムの搬送要素によって駆動されていることが保証されている場合、これらの領域では方向変更のために十分であるため、搬送要素は提供されなくてもよい。当然のことながら、パレットはまた、例えば、搬送要素の上面に突起があるなど、確実な接続を介してプッシャのように駆動されてもよい。
【0023】
さらなる実施形態によれば、案内手段は、少なくとも2対の案内手段を備え、第1の案内手段の対は、パレットの前面の近くに配置され、第2の案内手段の対は、パレットの後面の近くに配置される。これにより、パレットの片側に配置された案内手段を一緒に調整することができ、それによってパレットの反対側の第2の側に配置された案内手段を一緒に調整し、コンベヤシステムの第1又は第2の側のそれぞれの横方向ガイドと選択的に係合又は係合解除することができる。このようにして、方向変更を伴うセグメントの特定領域で左又は右への方向変更を誘導するために、コンベヤトラックの左側又は右側の横方向ガイドへの係合を簡単に実現することができる。
【0024】
したがって、通常の移送モードでは、コンベヤトラックの両側に設けられる横方向ガイドに恒久的に係合するために、案内手段がパレットの両側に伸長し、それによりさらに信頼性の高い横方向の案内を実現することができることも提供され得る。それにより、横方向ガイドは、原則として、少なくとも直線状に延びるコンベヤシステムのコンベヤセグメントの特定領域で、コンベヤトラックの横方向縁部によって直接、例えば、被駆動搬送要素がガイドされる連続プロファイルの横方向縁部によって直接形成されてもよい。しかしながら、原則として、横方向ガイドはまた、例えば、コンベヤトラックの支持プロファイルの垂直方向縁面及び横方向支持面の垂直方向縁面、又は正若しくは負の金型閉鎖構成、特にそれぞれのコンベヤトラックに沿って横方向に延びる垂直方向突起又は窪みによって、垂直方向縁面によって境界付けられるギャップとして設計されてもよい。
【0025】
さらなる実施形態によれば、案内手段は、パレットの下面から突設し、パレットの前記下面に垂直に調整可能なガイドローラの対としてそれぞれ設計され、これにより方向変更によるセグメントの横方向ガイドの摩擦損失を有利に最小化することができる。当然のことながら、パレットの横方向の案内のために、これらのために設計された対応する横方向ガイドに係合し得る他の突設構成(オス型の確実な接続(嵌合)要素)も提供されてもよい。又は、横方向ガイドは逆に、パレットの下面に対応するように設計された凹部及び調整可能な構成又は窪み(メス型の確実な接続(嵌合)要素)と相互作用し得る突設構成(オス型の確実な接続(嵌合)要素)として設計される。
【0026】
さらなる実施形態によれば、それぞれの横方向ガイドは、少なくとも方向変更を伴うコンベヤシステムのセグメントに間隙をそれぞれ有してもよく、この間隙は、コンベヤトラックに平行に延び、案内手段のプロファイルに対応するように設計される、好ましくはU字形のプロファイルとして設計されるプロファイルを有し、それによりパレットをガイドするための確実な接続は、横方向ガイドにおける案内手段の係合を介して確実に実現され得る。
【0027】
さらなる実施形態によれば、昇降装置がさらに提供され、これは案内手段のガイド領域の外側に配置され、パレットを自律的に上昇させ、前記パレットの下面が被駆動搬送要素から解放され、パレットが被駆動搬送要素によってそれ以上搬送されなくなるように調整可能である。このようにして、パレットが停滞又は混乱が発生しやすい領域にぶつかることを確実に防止することができ、それによりパレット、及び搬送される対象物への損傷を確実に回避することができる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、昇降装置は、パレットの下面に対して垂直方向に調整することができる昇降装置として設計され、したがって昇降装置は、伸長状態で、パレットの下面から突設することでコンベヤトラックによって提供される支持面で支持され、パレットの下面は、被駆動搬送要素から解放され、後退状態で、パレットの下面を被駆動搬送要素に直接載置することが可能である。昇降装置は、パレットの下面と搬送要素との摩擦接続を解除し、支持面での支持を提供するように適切な変位により垂直方向にパレットを十分に上昇させるために、軸方向に調整可能な、又は旋回可能になるように支承される円筒形、棒状、又は直方体の構造として設計することができる。この目的のために、支持面は、コンベヤトラック又は搬送要素に対して横方向にそれぞれ配置される。しかしながら、原則として、他の配置構成も考えられ、例えば、2つのケーブルで形成された搬送要素を備え、2つのコンベヤケーブルは平行に進行し、2つのコンベヤケーブルの間の中央で互いに分離されている。
【0029】
さらなる実施形態によれば、昇降装置の後退状態と伸長状態との間の昇降装置の最大変位距離は、パレットの下面に垂直な案内手段の高さよりも小さく、それぞれの横方向ガイドのガイドプロファイルへの案内手段の伸長量よりも小さいため、それぞれの横方向ガイドにおける案内手段の係合、ひいてはパレットの信頼できる案内は、昇降装置のすべての位置で確保され得る。したがって、特に、搬送要素からのパレットの横方向の滑りを確実に防止することができる。
【0030】
さらなる実施形態によれば、パレットは、案内手段及び/又は昇降装置の変位を制御するために設計される制御ユニットをさらに備える。この制御ユニットは、可能な限り、コンベヤシステムのパレットの自律的なナビゲーションを可能にし、以下に列挙するような追加の機能に有利に使用することができる。このために、パレットは、好ましくは充電式バッテリーの形の電源を備える。
【0031】
さらなる実施形態によれば、パレットは、パレットの前のコンベヤシステムの障害物を検出するための距離センサをさらに備え、制御ユニットは、距離センサの出力信号に基づいて検出された障害物までの距離を判定し、判定された距離が事前に指定された閾値を下回った場合に複数の昇降装置を協働して作動するように設計される。原則として、特に光学センサ、超音波センサ、又はRFセンサなどの非接触で動作する距離センサは、距離センサとして適している。それに加えて、又は代替的に、距離センサはまた、パレットの後面に設け、前記パレットの後ろのコンベヤシステムの障害物を検出することができ、距離センサの情報又は距離センサから得られる信号は、データ交換を介してコンベヤシステムの他のパレットに提供され、停滞又は他の危険な状況、例えば、それぞれのコンベヤトラック上の障害物を警告することができる。
【0032】
さらなる実施形態によれば、パレットは、コンベヤシステムの位置指示マーク又は位置データを検出するための検出装置をさらに備え、制御ユニットは、検出された位置指示マーク又は位置データに基づいてコンベヤシステムのパレットの位置を判定するように設計される。例えば、この位置情報は、前述の制御ユニットによって評価されてもよく、データ交換を介してコンベヤシステムの中央制御装置及び/又は他のパレットに送信されてもよい。特に、この位置情報は、例えばパレットの方向変更又は停止を行うために、パレットの案内手段及び/又は昇降装置を迅速に移動させるために使用され得る。
【0033】
さらなる実施形態によれば、判定された位置情報に応じて、前述の制御ユニットは、判定された位置に応じてパレットの第1の側に配置された案内手段とパレットの反対側の第2の側に配置された案内手段を協働して移動するように設計され、これらをコンベヤシステムの第1又は第2の側の横方向ガイドと選択的に係合又は係合解除して所望の方向変更を行う。
【0034】
さらなる実施形態によれば、パレットは、制御ユニットに接続され、コンベヤシステムの中央制御ユニット、又はコンベヤシステムで搬送される追加のパレットの制御ユニットとデータを交換するように設計されるワイヤレス通信装置をさらに備える。このようにして、任意の時点で、コンベヤシステムのすべてのパレットの位置及び追加の重要なパラメータに関する正確かつ完全な情報を提供することができ、これはパレットのより自動制御可能な制御又は追加の要素にも使用されてもよい。
【0035】
さらなる実施形態によれば、パレットは、コンベヤシステムのトポグラフィに関する情報を記憶するための記憶装置をさらに備え、制御ユニットは、コンベヤシステムのトポグラフィ及び/又はコンベヤシステムの動作利用率及び/又は追加のパラメータに応じて、出発点から目的点に搬送される対象物を移送するための移送経路を計算するようにさらに設計される。好ましくは、記憶装置は、制御ユニットに統合されている。それにより、コンベヤシステムのトポグラフィに関する情報は、分岐部、ダイバータ、停止セグメント、分岐セグメント、異なるコンベヤトラックを再び併合するためのセグメント、スロープセグメントなどを含むコンベヤシステム全体のより正確なルート案内に関する完全な情報、したがってコンベヤシステムの出発点から所望の目的点までの移送経路をそれぞれ計算することができる情報を含む。この移送経路は、最適化され、例えば、必要な移送時間又はルート長に関して最小化されてもよい。
【0036】
さらなる実施形態によれば、前述の距離センサによって検出されるか、又はそれぞれの制御ユニットによって通信されるコンベヤシステムの停滞の場合、前記制御ユニットは、出発点から目的点に搬送される対象物を移送するための代替の移送経路を計算するようにさらに設計され、どの代替の移送経路がコンベヤシステムの停滞又は他の危険なセグメントを避けるかによって、パレット、及び搬送される対象物への損傷を確実に回避することができる。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、パレットによって搬送される対象物を移送するためのコンベヤシステムが提供され、パレットを搬送するための連続的に駆動される搬送要素を有する複数のコンベヤトラックを有し、これは少なくともセグメントで、それぞれのコンベヤトラックに沿って前記コンベヤトラックの2つの対向する面に、横方向に配置される2つの横方向ガイドレールと関連付けられる。本発明によれば、パレットは、上述のように設計される。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、パレットによって搬送される対象物を移送するためのコンベヤシステムが提供され、複数のコンベヤトラックは、パレットを搬送するための連続的に駆動される搬送要素を有し、パレットは、搬送される対象物を支持するための上面と、上面の反対側に位置する下面とを有する。本発明によれば、パレットは、パレットを自律的に上昇させ、前記パレットの下面が被駆動搬送要素から解放され、パレットが被駆動搬送要素によってそれ以上搬送されなくなるように調整可能である昇降装置を有する。
【0039】
さらなる実施形態によれば、コンベヤトラックによって提供されるそれぞれの横方向ガイド及び横方向支持面は、被駆動搬送要素の上面を超えて突設しない。それにより、小さな設置高さだけでなく、案内手段及び昇降装置の比較的小さな調整距離も達成することができ、このために必要とされるアクチュエータのコストを削減するのに役立つ。
【0040】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に開示されるコンベヤシステムにおいて、本明細書に開示されるパレットによって出発点から目的点に搬送される材料を移送するための方法が提供される。方法では、コンベヤシステムのトポグラフィに関する情報が提供され、パレットの制御ユニット、又はコンベヤシステムの中央制御ユニットもまた、コンベヤシステムのパレットのそれぞれの移送経路を計算するために使用することができる。さらに、方法は、コンベヤシステムのパレットの位置指示マーク又は位置データの提供を含み、そこからそれぞれの現在の位置、並びにパレットの案内手段及び/又は昇降装置を移動させるための制御コマンドを簡単な方法で計算することができる。方法では、それぞれの出発点からそれぞれの目的点に搬送される材料を移送するためのそれぞれの移送経路が、コンベヤシステムのトポグラフィ及び/又はコンベヤシステムの動作利用率に応じてパレットに対して計算され、それぞれの移送経路の計算が、それぞれの制御ユニットによってパレットによって直接実行されるか、又はそれぞれの移送経路の計算が、コンベヤシステムの中央制御ユニットによって実行され、計算された移送経路が、それぞれのパレットに送信される。最終的に、方法では、パレットの案内手段及び/又は昇降装置は、それぞれの計算された移送経路に対応して時間依存的に移動され、パレットがそれぞれの計算された移送経路に沿ってコンベヤシステムを通って自律的にナビゲートすることができるようにする。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、コンベヤシステムで出発点から目的地に搬送される材料を移送するためのパレットを制御するための対応する方法が提供され、パレットの制御は、出発点から所望の目的点に搬送される材料を移送するための前述の方法がパレットによって実行され得るように行われる。
【0042】
本発明のさらなる態様によれば、コンベヤシステムで出発点から目的点に搬送される材料を移送するためのパレットを制御するためのコンピュータプログラム製品であって、このコンピュータプログラム製品により、コンベヤシステムで出発点から目的点に搬送される材料を移送するためのパレットを制御するための前述の方法が実装され得る。
【0043】
本発明は、添付の図面に示される実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明によるコンベヤシステムの概略斜視図である。
【
図2】コンベヤシステムで使用するための本発明によるパレットの概略平面図である。
【
図3a】様々な動作状態の一つにある本発明によるパレットの概略断面図である。
【
図3b】様々な動作状態の一つにある本発明によるパレットの概略断面図である。
【
図3c】様々な動作状態の一つにある本発明によるパレットの概略断面図である。
【
図3d】様々な動作状態の一つにある本発明によるパレットの概略断面図である。
【
図3e】本発明によるパレットの移動可能性を示す図である。
【
図4】本発明によるコンベヤシステム及びパレットを制御するための方法の概略フロー図である。
【
図5】本発明によるコンベヤシステムのダイバータ領域における、本発明によるパレットを制御するための方法の概略フロー図である。
【
図6】本発明による移送システムにおいて停滞又は障害物が検出された場合における、本発明によるパレットを制御するための方法の概略フロー図である。
【
図7】本発明による移送システムのパレットを制御するための追加の方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に記載されるさらなる発展形を有する本発明の実施形態は、例としてのみ見なされるべきであり、特許請求の範囲によって提供される保護の範囲を決して限定するものではない。長手、水平、垂直、右、左などの参照は、通常の使用時のコンベヤ及びパレットの方向を指す。
【0046】
図1は、本発明によるコンベヤシステム1の詳細な断面を示す。コンベヤシステム1は、ダイバータセクション4を介して互いに接続されるコンベヤトラック2、3を有する複数のセグメントで構成される。特に、コンベヤシステム1は、直線状に延びるセグメント、円弧状に湾曲するセグメント、又は垂直方向に傾斜するセグメント等の複数のセグメントで構成される。パレットは、ここではそれぞれのコンベヤトラック2、3のコースによって専ら確立される移送経路に沿った直線セグメントとして示されるコンベヤトラック2、3で搬送され、パレットは、ダイバータセクション4によって異なる方向に方向転換され、別のコンベヤトラックで搬送され、次に他のコンベヤトラックのコースによって専ら確立される移送経路に沿ってコンベヤトラックによって搬送される。したがって、個々のセグメントは、ダイバータセクション4を介して、ダイバータセクション4の下流で異なる方向に延びる2つのセグメントに分割される。そのようなダイバータセクション4はまた、2つのセグメントを再び1つのセグメントに併合するために使用され得る。
【0047】
したがって、コンベヤシステム1は、通常、個々のセグメントを分割及び再併合するための複数のダイバータセクション4を備え、これにより、パレットの搬送における適切な柔軟性が可能になる。特に、ダイバータセクション4は、それぞれのパレットを所定の出発点又は出発源から所定の目的点又はターゲットに搬送することができる複数の異なる移送経路が存在するように、コンベヤシステム1に分散されるように配置されてもよい。したがって、コンベヤシステムのセグメントに停滞又は一時的な過負荷が発生した場合、以下に詳細に示されるように、パレットを代替の移送経路に沿って柔軟に搬送することができるため、コンベヤシステムの停滞を回避することができる。
【0048】
コンベヤトラック2、3の各々は、ここではコンベヤチェーンとして示される連続的に駆動される搬送要素10を有し、駆動機構(図示せず)によって連続的に駆動される。特に、搬送要素は、連続な循環で導かれてもよく、好ましくは、摩擦接続によりそれぞれの搬送要素10によって受動的に運搬されるようにするために、移送のためにパレットが緩く横たわる平らな面を有する。適切なコンベヤベルト又はコンベヤチェーンを、搬送要素10として使用してもよい。搬送要素10の上面には、搬送要素10上のパレットの滑りを防止するために、例えば、搬送方向に対して横方向に伸長する突起の形のプッシャ構造も形成されてもよい。これにより、追加の対策なしで、かなりの傾斜の上向き又は下向きの角度で進行する搬送セグメントをコンベヤシステムで実現することさえ可能である。
【0049】
図1による例示的な実施形態は、搬送要素10が、好ましくはプラスチック材料で作製された連続的に循環するコンベヤチェーンを備えたコンベヤトラックとして設計されるコンベヤシステム1の基礎を形成する。コンベヤチェーン10は、ジョイント部を介して互いにカルダン的に(cardanically)接続される複数のチェーンリンク11で構成され、それにより曲線を横断する能力が確保されている。チェーンリンク11の各々は、搬送されるパレットの載置のために、その上面に平坦な支持面を有する。支持面のそれぞれの下面で、コンベヤチェーンは、支持プロファイルに適切に形成されたガイド内をスライドする。キャリアレールは、通常、支持プロファイル24によって支持され、それにより複数の搬送セグメントを複数の部位に適切に適合させることができ、例えば、工場のワークショップ又は倉庫の天井に吊り下げてガイドすることができる。支持面の下には、搬送の方向に見てその前端と後端でジョイント部を収容するように本質的に機能するウェブ状のベース本体が隣接している。さらに、搬送方向に対して横方向に伸長する突出部をベース本体の両側に成形することができ、この突出部を介して、コンベヤチェーン10をキャリアレールでガイドすることができる。そのようなコンベヤチェーンは当業者に周知であり、その一例が出願人による国際公開第2013/141807号明細書に開示されており、その内容は参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0050】
それぞれの横方向ガイド15は、少なくともセグメントにおいて、コンベヤトラック2、3に沿って設けられてもよく、横方向ガイド15は、搬送要素10から一定の所定の距離で平行に延びている。これらは、
図2及び
図3を使用して以下で詳細に説明するように、搬送要素10を横に滑らせることができないように、パレットのガイドとして機能する。案内のために、パレット5の案内手段60と横方向ガイド15との適切かつ確実な接続を形成することができ、横方向ガイド15と案内手段60は、互いに対応するように設計され、摩擦力を減らすために、両方の確実な接続要素間に十分なギャップが存在することが好ましい。
【0051】
図1による例示的な実施形態では、横方向ガイド15は、直線状に延びるコンベヤトラックのセグメントのギャップとして単純に設計され、このギャップは、コンベヤチェーン10のトラックレールの垂直方向の側壁セグメントと支持バー20の垂直方向の側壁との間に一定の幅を有して形成される。パレットの下面に設けられるボール、ローラ、又は突起は、このような態様で設計されたギャップと積極的に嵌合してガイドされ、その場合、パレットのガイド要素として機能するボール、ローラ、又は突起の幅は横方向ガイド15のギャップの幅よりも小さくされている。当然のことながら、横方向ガイド15はまた、代替的に、凹状ガイド溝として設計されてもよい。代替的に、横方向ガイド15はまた、当然のことながら、バーのように垂直方向に突出し、搬送要素10に平行に延びるガイド突起としてなど、凸状構成として設計されてもよく、ガイド要素は、パレットの下面に、対応するように形成された凸状構成として実現される。
【0052】
しかしながら、好ましい実施形態によれば、そのような横方向ガイドは、直線状に延びるコンベヤトラックのセグメント、又は円弧状に湾曲するコンベヤトラックのセグメントには設けられない。むしろ、以下に詳細に示されるように、パレットの下面の案内手段とコンベヤトラック2自体の横方向縁部との直接の積極的な相互作用が、コンベヤトラックからのパレットの横方向の滑りを防止する。パレットの下面の案内手段は、パレットの移送時に、直線状に延びるコンベヤトラックのセグメント、又は円弧状に湾曲するコンベヤトラックのセグメントでコンベヤトラック2の横方向縁部を積極的に包囲又は留めることができる。好ましくは、これらの横方向縁部は、被駆動搬送要素がガイドされる連続プロファイルの垂直方向縁面に対応し、連続プロファイルは、被駆動搬送要素の支持体として同時に機能する。そのような連続プロファイルの一例は、出願人による独国特許発明第10236559号明細書の図に参照文字3で開示されているチェーンコンベヤのキャリアレールであり、その内容は参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0053】
図2に見られるように、パレット5は、それぞれのコンベヤトラック2、3よりも広くなるように設計され、好ましくは、コンベヤシステム1の横方向に配置された支持面20を少なくともセグメントにおいて覆うことができる。好ましくは、支持面20は、搬送要素10の上面と同一平面又はわずかに下に延び、それによりパレット5が搬送要素10によって受動的に搬送されるとき、パレット5の下面と支持面20の上面との間に狭いギャップ30が形成される。パレット5の下面の適切な形状により、当然のことながら、支持面20はまた、横方向ガイド15及び/又は搬送要素10よりも高くなるように配置されてもよい。
【0054】
支持面20は、クロスメンバ23によってコンベヤトラック2、3に接続される。本発明によれば、
図3e及び
図6を使用して以下で詳細に示されるように、下面52が搬送要素10の上面に載らない場合、支持面20はパレット5を上昇状態で支持するように機能する。しかしながら、好ましくは、支持面20は、パレット5の横方向の案内として機能すべきではない。
【0055】
図2は、概略平面図で、本発明によるパレット5を示す。パレット5は、典型的には箱形であるハウジング50を有し、電子及び機械部品を受け入れるための空洞53を形成している。好ましくは、ハウジング50の上面51は、平坦に形成され、その結果、搬送される材料を単にその上に載置することができる。さらに、能動的又は受動的機能モジュールを各パレット5、例えば、搬送されるべき材料をパレットで積載及び積降するため、又はその上で搬送されるべき材料を適切に受容するために、動作方向に対して横方向のベルトコンベヤ、傾斜トレイ、移送タブなどに設置することも可能である。
【0056】
パレット5の下面52も同様に平坦に形成されているので、搬送要素10によるパレット5の移送のために、パレットは、前記搬送要素10の平坦な上面に載ることができ、それにより摩擦接続が形成される。言い換えれば、コンベヤシステムでは、パレット5は、搬送要素10とともに摩擦接続によって受動的に運搬される。本発明によれば、パレット5には、十分な情報処理部、及び以下で説明するように、ダイバータセクション4の特定領域におけるパレット5の独立した方向変更、並びにコンベヤシステムにおけるパレット5の独立した停止を可能にする制御要素が設けられる。
【0057】
このために、パレット5は、適切な充電式電源、例えば、制御ユニット、例えば、CPU及びメモリを備える電子制御ユニット、並びに電子センサ及び機械制御要素の追加の電子部品の電力供給のための充電式バッテリー54を最初に所有する。
【0058】
複数の案内手段60がパレット5の下面に設けられており、この案内手段60は、コンベヤシステムの横方向ガイド及び/又はコンベヤトラック2の横方向縁部、例えば、被駆動搬送要素がガイドされる支持プロファイルの垂直方向縁面と積極的に相互作用する。好ましくは、案内手段60は、ボール又はローラとして形成され、したがって、そのプロファイルが横方向ガイド15の凹状プロファイルに対応する凸状構成として形成される。搬送方向を横切るパレットの傾きを防止するために、
図2の矢印を参照して、一対の案内手段60がパレット5に、少なくとも前面67及び後面68にそれぞれ配置される。
【0059】
本発明によれば、案内手段60は、パレット5の下面に垂直に、実際には、案内手段60がコンベヤシステムの横方向ガイド15に十分に係合するか、又はパレット5の横方向の案内のためにコンベヤトラックの横方向縁部と積極的に相互作用する伸長状態と、案内手段が十分に後退しているため、コンベヤシステムの横方向ガイド15に係合しなくなり、又はコンベヤトラックの横方向縁部と積極的に相互作用しなくなる後退状態との間で移動することができる。本発明によれば、案内手段60のこの垂直方向変位能力により、以下で詳細に説明するように、ダイバータセクション4の搬送要素10を横切るパレットの方向変更が可能になる。後退状態では、案内手段60はパレット5のハウジング50内に完全に後退され、したがってハウジング50の下面52を越えて突出しなくなる。
【0060】
より正確に言えば、方向変更のために、パレット5の左側70又は右側69のすべての案内手段60は、同じ程度まで、実際にはパレット5の右側及び左側で互いに独立して一緒に垂直方向に変位させることができる。搬送方向に見て、パレット5の左側又は右側のすべての案内手段60は、好ましくは、互いに同期して協働して垂直方向に変位することができる。
【0061】
ダイバータセクション4の追加の詳細については、
図1を使用して以下で説明する。
図1によれば、パレットを左に方向転換するための分岐片40がコンベヤトラック2の左面に設けられ、約45°の分岐角が示されているが、本発明はこれに限定されない。分岐片40は、隣接する支持面20と同一平面で終端する平坦な上面41を有し、その結果、
図3e及び
図6を使用して以下で詳細に述べるように、分岐片40の特定領域においても、パレットの支持及び停止を実現することができる。搬送方向に観察されるように、横方向ガイド15には、好ましくは横方向ガイド15と同じプロファイルを有するガイド溝42(横方向ガイド)が隣接しており、この例示的な実施形態では、U字形のプロファイルを有し、2つの垂直方向の側壁43によって横方向に境界付けられている。分岐片40の始動時に、このガイド溝42は最初に、分岐片40へのパレットの案内手段の滑らかで低振動のスライドを可能にするために、到着する横方向ガイド15の方向にさらに延びる。ガイド溝42の隣接するこの第1のセグメントは、直線状に延び、横方向ガイドとして作用し、パレットの実際の方向変更の原因となる湾曲セグメント44であり、この目的のために、好ましくは円弧状に湾曲するように形成される。湾曲セグメント44の特定領域では、好ましくは、ガイド溝43もまた、横方向ガイド15と同じプロファイルを有する。湾曲セグメント44には、下流のコンベヤトラック3の横方向ガイド15と同じ方向に延びるガイド溝43の追加の直線セグメントが隣接しており、これにより下流のコンベヤトラック3の横方向ガイド15へのパレットの案内手段の滑らかで低振動のスライドを可能にする。
【0062】
図1に示すように、分岐片40の特定領域において、横方向ガイドとして作用するガイド溝42は片側、ここでは左側にのみ形成され、左への方向転換を可能とする。コンベヤトラック3の搬送要素10は、コンベヤトラック2の搬送要素10から一定の距離で始まる。この距離はパレットの基部に合わせられ、それにより分岐片40の特定領域で他の方向へのパレットの方向転換の間、コンベヤトラック2、3の搬送要素上のパレットの十分な支持面が確保され、パレットの下面とそれぞれの搬送要素10との十分な摩擦接続を確保するために、パレットがさらに搬送される。この載置面のサイズは、搬送要素10の材料とパレットの下面の材料との間のそれぞれの摩擦の組み合わせにも依存する。
【0063】
以下において、本発明によるパレットの方向変更の原理を、
図3a~
図3cを使用して説明する。このために、
図3aを使用して、パレット5がコンベヤトラック2に沿って、直線状に延びる移送経路のセグメント、又は円弧状に湾曲する移送経路のセグメントで受動的に搬送される方法を最初に説明する。
図3aによれば、パレット5の下面52は、コンベヤトラック2の搬送要素の上面の広い面積の上にある。載置面の特定領域に存在する摩擦により、確実にパレットが受動的に引き込まれる。この移送状態において、案内手段60は、横方向ガイド15の対応するように設計されたプロファイルに積極的に係合するか、又は案内手段60は、コンベヤトラック2の横方向縁部、例えば、コンベヤチェーンなどがガイドされるキャリアレールと直接相互作用し、パレット5が横方向の滑りなしに搬送要素上で搬送されるようにする。より正確に言えば、この例示的な実施形態では、横方向ガイド15のプロファイルは、案内手段60をガイドする垂直方向ガイド脚部17、18によって境界付けられている。摩擦力を減らすために、横方向ガイド15の床と案内手段60との間にギャップを形成することができる。いずれにしても、案内手段60は、パレットの横方向の案内を確実に確保するために、横方向ガイド15のプロファイル内に十分に伸長する。この状態では、不必要な摩擦力を回避するために、ギャップ30がパレット5の横方向セグメントと支持面20の上面、並びに横方向ガイド15の上面との間に存在する。
図3aに示される追加の横方向ガイド29は、本発明によれば必要ではなく、したがって破線で示されるが、原則として、パレットがコンベヤトラックから落下するのを防止するために、追加の安全対策としてセグメントに、例えば、特に停滞の危険があるコンベヤシステムの分岐片又はセグメントの特定領域に設けられ得る。
【0064】
ダイバータセクション4の左へのパレット5の方向変更を可能にするために、パレット5の右側69にあるすべての案内手段60は、搬送方向に見て十分に上昇されており、その結果、横方向ガイド15又はパレット5の右側のコンベヤトラック2の横方向縁部への係合が存在しなくなる。搬送方向に見てパレット5の左側にある案内手段60は、横方向ガイド15のガイドプロファイル又はパレット5の左側にあるコンベヤトラック2の横方向縁部に係合し続けるため、パレット5は、パレットの下面が最終的に左コンベヤトラック3の搬送要素に載るまで、搬送要素によるさらなる搬送中にパレット5の左側の横方向ガイド15のガイドプロファイルの曲線をたどる。
【0065】
続いて、パレット5は、左コンベヤトラック3によって新しい方向にさらに搬送される。ダイバータセクション4を離れた後、案内手段60は、搬送方向に見てパレット5の右側にて再び伸長され、したがって
図3aによる初期状態が再び想定され、案内手段60は、横方向ガイド15の対応するように設計されたプロファイルに積極的に係合するか、又は案内手段60は、コンベヤトラック自体の横方向縁部、例えば、被駆動コンベヤチェーンがガイドされる支持レールの横方向縁部と直接相互作用し、それによりパレット5は、側方に滑ることなく搬送要素10上で搬送される。
【0066】
したがって、ダイバータセクション4では、パレット5の下面がコンベヤトラック2の搬送要素10を横断して横方向にスライドし、これは案内手段60が、好ましくは搬送方向に見てパレット5の右側においてパレット5の下面から突出しないことを必要とする場合がある。
【0067】
図3cは、ダイバータセクション4でパレット5を右に向け直すときのパレット5の状態を鏡面対称に示す。この目的のために、すべての案内手段60は、搬送方向に見てパレット5の左側で十分に上昇されており、その結果、横方向ガイド15又はパレット5の左側のコンベヤトラック2の横方向縁部への係合が存在しなくなる。搬送方向に見てパレット5の右側にある案内手段60は、横方向ガイド15のガイドプロファイル又はパレット5の右側にあるコンベヤトラック2の横方向縁部に係合し続けるため、パレット5は、パレットの下面が最終的にコンベヤトラック2の右側に配置されたコンベヤトラックの搬送要素に載るまで、搬送要素によるさらなる搬送中にパレット5の右側の横方向ガイド15のガイドプロファイルのコースをたどり、パレット5は、この下流のコンベヤトラックの横方向ガイド15によって、又はそこでのコンベヤトラックの横方向縁部との係合によって、新しい方向にさらにガイドされる。
【0068】
分岐片40を離れるとき、搬送方向に見てパレット5の左側の案内手段60が再び伸長され、そのため前記案内手段は、パレット5を横方向にガイドするために、下流のコンベヤトラックの搬送要素の左側にある横方向ガイド15のガイドプロファイルと再び係合するか、又はコンベヤトラックの両方の横方向縁部と直接相互作用する。
【0069】
パレット5の左側又は右側の案内手段60を選択的に調整することによって、したがって前記パレットは、振動が少なく、穏やかに異なる方向に向け直すことができる。分岐片を適切に配置し、好ましくは曲線を通り抜けることができるように設計されるパレットのコースを適切に選択することによって、ユーザの利用可能なスペースに個々に適合することができるコンベヤシステムは、本発明に従って組み立てることができる。そのようなコンベヤシステムにおけるパレットの移送経路を制御するための情報処理部は、以下に説明するように、パレットの制御ユニットに本発明に従って完全に組み込むことができる。コンベヤシステムの中央制御ユニット又は混合制御によって、部分的にパレットの制御ユニットによって、かつ部分的にコンベヤシステムの中央制御ユニットによってパレットを制御することも可能である。
【0070】
本発明の別の態様によれば、パレットはまた、コンベヤシステム内の任意の点でコンベヤシステムのパレットを停止することによって、混雑の状況及び他の危険な状況に対応することができる。
図3aによれば、案内手段60の横方向に、かつ割り当てられた横方向の支持バー20の上方には、例えば、垂直方向に伸長可能な昇降シリンダ、又は旋回する摩擦要素の形で調整可能な昇降装置65が配置され、これはパレット5の下面52がコンベヤトラック2の上面に載らないように支持バー20の上面で支持することによって垂直方向にパレットを上昇させることができ、パレット5は、前記コンベヤトラックによってもはや搬送されないようになっている。
図2に見られるように、昇降装置65は、傾くことなく均一な昇降を可能にするために、少なくともパレット5の前面67及び後面68の近くに配置されている。
図3eの2つの外側の二重矢印によって示されるように、パレット5のすべての昇降装置65は、互いに協働して、同期して伸長することができる。
図3dによる昇降装置65の伸長状態では、昇降装置65の自由前端は、横方向の支持バー20の上面に載っており、これによりギャップ32がコンベヤトラック2の上面とパレット5の下面52との間に形成され、パレット5がそれ以上搬送されなくなるようにする。支持バー20の上面の昇降装置65の前側の自由端の領域に作用する摩擦力は、パレット5の即時停止を可能にするのに十分である。
【0071】
コンベヤシステムの事前に定められた位置でパレット5のさらに制御された停止を可能にするために、さらに、
図3eに示すように、窪み22を横方向の支持バー20の事前に定められた位置に形成することができ、この窪みでは、昇降装置65の前端が伸長状態で係合することができる。
図3eの2つの二重矢印は、本発明によるパレット5の調整の可能性を簡単に示している。
【0072】
塵埃などがパレット5のハウジングに入るのを防止するために、昇降装置65を受容するための窪み66、及び案内手段60を受容するための窪み61を前記パレットの下面に設けることができる。パレット5が上昇位置で横方向ガイド15と整列し続け、案内手段60が昇降装置65の後退後に横方向ガイドで再び確実にガイドされるようにするために、昇降装置の調整可能なストローク、すなわち、好ましくは、後退位置と完全に伸長した位置との間の最大調整距離は、横方向ガイド15のガイドプロファイルにおける案内手段60の伸長量よりも小さい。
【0073】
図2及び
図3eにさらに見られるように、パレット5の前の領域の障害物を検出するための少なくとも1つの距離センサ58が、パレット5の前面67に設けられている。この距離センサ58は、超音波センサ、光学センサ、又はHFセンサなどの非接触で機能する別のセンサとして設計することができる。距離センサ58の信号は、パレット5の制御ユニット56によって直接評価される。パレット5の前で障害物が検出された場合、制御ユニット56は警告信号を発し、
図6を参照して以下により詳細に説明されるように、昇降装置65の伸長を開始させる。適切な距離センサはまた、パレット5の後ろのスペースをチェックし、障害物又は混雑の状況を調べることができる。
【0074】
コンベヤシステムのパレット5の位置を検出するために、パレット5は、位置指示マーク又は位置データを検出するための検出装置をさらに有する。さらに、位置指示マーク7は、コンベヤシステムの事前に定められた位置に配置することができ、この位置表示マークに基づいて、パレットはコンベヤシステムでのその現在の位置を自律的に判定することができる。これらの位置指示マーク7は、例えば、横方向ガイド15の適切な位置に配置することができるが、他の任意の点に設けることもできる。
【0075】
位置指示マーク7は、特に、例えば、パレット5のセンサによって光学的に読み取られる単純なバーコードマークとすることができる。示された例では、好ましくは、位置指示マークは、パレットに配置されたRFID読み取り装置55によって読み取られるRFIDラベルである。パレットの位置は、基本的に無線信号の手段、例えば、WIFIインターフェースによっても検出され得る。いずれにせよ、パレットは、コンベヤシステムでのその位置を自律的に判定することができ、パレット5の制御ユニット56はまた、この位置及びマーク情報を、例えば、WLANインターフェースによってコンベヤシステムの中央制御ユニットに送信することができる。このようにして検出された位置及び位置指示マーク情報に基づいて、パレットの制御ユニット56及び/又はコンベヤシステムの中央制御ユニットは次に、コンベヤシステムでのパレットの移送状態の別の制御を実施することができ、これは、パレット5の搬送方向を変更するため、及び/又はパレットを停止するため、若しくはそれらを再び搬送させるために、案内手段60及び昇降装置65の制御要素の調整を含み得る。
【0076】
図4は、一般に、コンベヤシステムを制御するためのステップを簡単に示している。まず、最初のステップS1において、コンベヤシステムのトポグラフィに関するデータが提供される。これらのデータは、コンベヤシステムのすべてのコンベヤトラック、コンベヤシステムのコンベヤトラックのそれぞれの搬送速度、コンベヤシステムのすべてのダイバータセクションの位置、長さ、及び搬送方向、横方向支持バー20の係合窪み22の正確な位置、並びに該当する場合、コンベヤシステムの混雑の危険がある可能性のある領域又は危険な領域に関する情報を含む。この情報は、コンベヤシステムの中央制御ユニットのメモリに記憶することができるが、好ましくは各パレット5の各制御ユニット56のメモリに記憶される。コンベヤシステムのトポグラフィに関するこれらのデータは、定期的に更新され、例えば、WLANインターフェースによってすべてのパレット5に送信されて記憶され得る。コンベヤシステムのトポグラフィに関するデータは、コンベヤシステムでのパレットの移送経路を計算するために使用される。
【0077】
さらに、コンベヤシステムでのパレットの位置指示マーク又は位置データがステップS2で提供されるため、これらのデータに基づいて、コンベヤシステムのすべてのパレットの現在の位置は、パレットの制御ユニット56及び/又はコンベヤシステムの中央制御ユニットによって判定することができる。
【0078】
ステップS3において、パレットのそれぞれの目的点に関するデータが各パレットに提供される。現在の位置、パレットの出発点、該当する場合、及びコンベヤシステムのトポグラフィのデータに基づいて、次にコンベヤシステムの各パレットの移送経路をステップS4で計算することができる。好ましくは、計算は、コンベヤシステムの最適なスループットを可能にするために、それぞれの移送経路の長さが最小化されるように行われる。好ましくは、移送経路は、パレットの制御ユニット56でそれぞれ計算されるが、基本的には、コンベヤシステムの中央制御ユニットで、又は両方を組み合わせて互いに計算及び適合させることもできる。
【0079】
このようにして計算された移送経路及びコンベヤシステムのトポグラフィに関するデータに従って、次いでコンベヤシステム内のパレットの案内手段、すなわち、案内手段及び昇降装置を調整するための制御要素の調整移動の適切なシーケンスがステップS5で計算され、それによりコンベヤシステムのパレットは、それぞれ計算された移送経路に従ってコンベヤシステムを通って搬送されるように、方向変更及び停止の適切なシーケンスを実施する。
【0080】
このようにすることで、コンベヤシステムの各パレットは、例えば、WIFIインターフェースによって、コンベヤシステムのパレットの現在の位置、現在の混雑、又はコンベヤシステムの他の危険な状況について、コンベヤシステムの中央制御ユニット及び/又はコンベヤシステムのすべての他のパレットにフィードバックを送信することが基本的に可能となる。
図7を参照して以下でより詳細に説明するように、コンベヤシステムの現在の混雑又は他の危険な状況を避ける代替の移送経路は、このフィードバックに基づいてパレットの制御ユニット及び/又はコンベヤシステムの中央制御ユニットによって計算することができ、それによりコンベヤシステムのスループットをさらに高めることが可能である。本発明によれば、この目的に必要な情報処理部は、コンベヤシステムのパレットに専ら統合することもできる。したがって、パレットは、出発点から事前に指定された目的点に搬送される材料を迅速かつ慎重に目標を定めて移送するための、事実上自律的に動作する自動制御可能な移送車両と見なすことができる。コンベヤシステムの中央制御システムは、基本的にこの目的には必要とされない。
【0081】
図5は、分岐点の特定領域でパレットによって実施される方法ステップを簡単に示している。この場合、案内手段は、分岐点の前又は上流の領域のパレットの下面で
図3aの状態を取り、上述のように分岐点の領域で
図3b又は
図3cの状態を取ると想定される。
【0082】
この目的のために、最初にパレットの現在の位置に関する情報が必要であり、これは、単純な時間制御によって、搬送速度を知ることで行うこともできるが、好ましくは、例えば、ステップS10で位置指示マークを読み取ることによって、パレットによって自律的に検出されたマーク又は位置情報に基づいて行われ、この位置指示マークは、分岐片の上流の事前に定められた位置に配置され、この位置指示マークパレットに基づいて、コンベヤシステムの搬送速度及びトポグラフィを知ることにより、計算された移送経路に従ってパレットの方向を変更するために、どの時点でパレットの案内手段を調整する必要があるかを自律的に計算することができる。
【0083】
この目的のために、最初にステップS11において、読み取られた位置指示マーク及び位置情報に分岐点の情報が割り当てられているかどうか、すなわち、パレットに対してそれぞれ計算された移送経路が現在読み取られた位置指示マーク又は位置の下流で方向変更を必要とするかどうかが判定される。これが該当しない場合(N)、手順はステップS10に戻り、そうでなければ(Y)、ステップS12において、移送経路が左への方向変更を必要とするかどうかについて問い合わせが行われ、現在読み取られた位置指示マーク又は位置でのコンベヤシステムのトポグラフィが、左への方向変更を伴う分岐片について提供される。これが該当する場合(Y)、パレットの右面にある案内手段が続いて後退され、これは
図3bの状態に対応し、左への方向変更を可能にする。問い合わせステップS12の後、そうでなければ(N)、手順はステップS14に進み、移送経路が右への方向変更を必要とするかどうかについて問い合わせが行われ、現在読み取られた位置指示マーク又は位置でのコンベヤシステムのトポグラフィが、右への方向変更を伴う分岐片について提供される。これが該当する場合(Y)、パレットの左面にある案内手段が続いて後退され、これは
図3cの状態に対応し、右への方向変更を可能にする。これが該当しない場合(N)、ステップS16の安全手順をさらに実施することができ、これはパレットの制御されていない又は定義されていない移動状態を防止するためである。その後、手順はステップS10に戻る。
【0084】
ステップS13又はS15で右又は左の案内手段が後退された後、ステップS17において、分岐片の特定領域が残っているかどうかについて問い合わせが行われる。分岐片の特定領域における現在の搬送速度を知ることにより、これはタイマに専ら基づいて判定することができるが、好ましくはステップS10と同様に別の位置指示マーク又は位置情報を読み取ることによって実施される。この目的のために、位置指示マーク7に相当し、光学的に又はパレットのRFID読み取り装置55によって読み取られるマークもまた、分岐片の端に設けることができる。ステップS17において、分岐片の特定領域が残っていたと判定された場合、手順は続いてステップS18で以前に後退された案内手段を再び伸長させ、
図3aに示すように、パレットの通常の移送状態が続いて想定されるようになる。その後、手順はステップS10に戻る。一方、ステップS17において、分岐片の特定領域が残っていないと判定された場合、手順はステップS17に戻る。
【0085】
このようにして、コンベヤシステムのパレットの方向変更の適切なシーケンスをもたらすために、パレットの案内手段の調整移動のシーケンスがパレットのそれぞれの移送経路の各分岐片で実施され、それによりパレットは、その個々に計算された移送経路に従ってコンベヤシステムを通ってナビゲートすることができる。案内手段の調整移動のシーケンスは、本発明によれば、その制御ユニット56によってパレット自体により計算及び制御することができるが、基本的には、コンベヤシステムの中央制御ユニットによって、又は制御ユニット56とコンベヤシステムの中央制御ユニットの両方によって計算及び制御することもできる。
【0086】
図6は、コンベヤシステムの混雑の状況を回避するためにパレットによって実施される方法ステップを簡単に示している。この目的のために、コンベヤシステムの混雑に関する情報の検出が最初に必要である。この混雑情報は、基本的には、コンベヤシステムの中央制御ユニットがコンベヤシステムのすべてのセクションをチェックすることによって検出することができるが、これは比較的複雑である。したがって、本発明によれば、パレットには、コンベヤシステムの混雑情報を検出及び分析するのに十分な情報処理部が設けられている。この目的を果たすのは、
図2及び
図3eを参照して上述した距離センサ58であり、これはコンベヤシステムのそれぞれのパレットの前の領域を連続的にチェックし、ステップS20において、パレットの前に位置する対象物又は障害物までの距離を判定する。距離センサ58の信号は、パレットの制御ユニット56によって連続的に評価され、ステップS21で事前に指定された閾値を下回るかどうかチェックされる。
【0087】
ステップS21において、事前に指定された閾値が(Y)を下回ったと判定された場合、手順はステップS22に進み、続いてステップS22において、
図3eによる状態に対応し、パレットを停止させる規定のルーチンに従ってパレットの昇降装置を伸長させる。コンベヤシステムの混雑情報に応じたパレットのこの変更された移送状態に関する情報は、ステップS23において、パレットの現在の位置データとともに、例えば、混雑の状況を前もって知らせるために、コンベヤシステムの中央制御ユニット及び/又はコンベヤシステムの他のパレットの制御ユニットに続いて送信することができる。
【0088】
その後、手順はステップS24に進み、パレットの制御ユニットは、距離センサの現在の信号に基づいて、事前に指定された閾値を再び超えたかどうかを判定する。これが該当しない場合(N)、手順はステップS24に戻り、すなわち、パレットは停止し続ける。そうでなければ(Y)、手順はステップS25に進み、パレットの昇降装置を再び後退させ、これは、
図3aによるパレットの通常の移送状態に対応する。パレット5の下面52がこの状態でコンベヤトラック2の上面に再び載っているので、パレットはその後、コンベヤトラック2によってさらに搬送される。その後、手順はステップS20に戻る。
【0089】
このようにして、パレットのそれぞれの移送経路の各セクションが障害物についてチェックされ、障害物が検出された場合、コンベヤシステムのパレットの高さ変更の適切なシーケンスをもたらすために、パレットの昇降装置の調整移動のシーケンスが実施され、それによりパレットは、その個々に計算された移送経路に従ってコンベヤシステムを通ってナビゲートすることができる。昇降装置の調整移動のシーケンスは、本発明によれば、その制御ユニット56によってパレット自体により計算及び制御することができるが、基本的には、コンベヤシステムの中央制御ユニットによって、又は制御ユニット56とコンベヤシステムの中央制御ユニットの両方によって計算及び制御することもできる。
【0090】
図7は、出発点から目的点に材料を移送するための代替の移送経路を計算するためにパレットによって実施される方法ステップを簡単に示しており、代替の移送経路は、コンベヤシステムの停滞又は他の危険なセグメントを避け、それによりパレット、及び搬送される材料への損傷を確実に回避することができる。
【0091】
ステップS30において、例えば、現在の位置、パレットの出発点、及びコンベヤシステムのトポグラフィに関するデータに基づいて、コンベヤシステム内のパレットの移送経路は、パレットの制御ユニットによって計算される。このステップは、単一のパレットのステップS4に類似している。ステップS31において、コンベヤシステムにおける停滞又は混雑に関する情報が評価される。この情報は、コンベヤシステムの中央制御ユニット又はコンベヤシステムの他のパレットから送出され得る。ステップS32において、パレットの制御ユニットは、目的点に達するために代替の移送経路が必要かどうかを判定する。代替の移送経路が必要でない場合(N)、手順はステップS31に戻る。ステップS32において、代替の移送経路が必要であると判定された場合(Y)、ステップS33で代替の移送経路が計算される。
【0092】
ステップS34において、パレットの案内手段の調整移動の適切なシーケンスが計算される。このようにして、パレットは、方向変更及び停止の適切なシーケンスを実施し、コンベヤシステムを通って事前定義された目的点に搬送され得る。このステップは、単一のパレットのステップS5に類似している。
【0093】
本発明は、上述の実施形態に限定されると見なされるべきではなく、後続の特許請求の範囲内で多数の追加の変形及び修正が可能である。パレットは、例えば、任意のサイズを有してもよく、任意の適切な材料で作製されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1:コンベヤシステム
2:コンベヤトラック
3:コンベヤトラック
4:ダイバータセクション
5:パレット
7:位置指示マーク
10:搬送要素
11:チェーンリンク
12:フィンガ
13:ギャップ
15:横方向ガイド
16:ガイド溝
17:垂直方向ガイド脚部
18:垂直方向ガイド脚部
19:ガイドレールの側壁
20:支持バー
21:支持バーの側壁
22:支持バーの窪み
23:クロスメンバ
24:支持プロファイル
29:横方向ガイド
30:支持バー上方のギャップ
31:支持バー上方のギャップ
32:コンベヤチェーン上方のギャップ
40:分岐片
41:分岐片の上面
42:ガイド溝
43:ガイド溝の側壁
44:湾曲セクション
50:ハウジング
51:上面
52:下面
53:空洞
54:バッテリー
55:RFID読み取り装置
56:制御ユニット
57:ワイヤレス通信装置
58:距離センサ
60:案内手段
61:案内手段用の受け部
65:昇降装置
66:昇降装置用の受け部
67:前側(前面)
68:後側(後面)
69:右側(右面)
70:左側(左面)