(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】吸入装置のための吸口と加熱器の組立体
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20220511BHJP
【FI】
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2019571781
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2018056429
(87)【国際公開番号】W WO2018167166
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519333653
【氏名又は名称】ベンタス メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケーン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハート、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ディグナム、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ローソン、デビッド
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/005530(WO,A1)
【文献】特表2017-520263(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0309787(US,A1)
【文献】特表2015-512262(JP,A)
【文献】特表2015-532828(JP,A)
【文献】特表2017-522872(JP,A)
【文献】国際公開第2016/162446(WO,A1)
【文献】特表2016-528912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸口と加熱器とを備える吸入装置用の組立体であって、前記加熱器は基板を備え、前記基板は、
-前記基板の表面の少なくとも1つの第1の領域上に当てられた少なくとも1つの抵抗素子部分と、
-少なくとも一対の接点であって、それぞれが前記接点の一端で前記少なくとも1つの抵抗素子部分に接続され、前記基板の前記少なくとも1つの表面の第2の領域上に当てられた、少なくとも一対の接点と、
-前記基板の前方縁又は前縁により接近する前記基板の第1の領域と、前記基板の後方縁又は後縁により接近する前記基板の前記第2の領域と、
-前記基板の前記少なくとも1つの表面又はその反対側の表面の前記第1の領域上で前記基板上に置かれたある量のエアロゾル化組成物であって、その結果、前記少なくとも1つの抵抗素子部分によって発生された熱が前記エアロゾル化組成物に直接又は間接的に伝導され、その少なくともいくらかのエアロゾル化を引き起こす、ある量のエアロゾル化組成物とを支持し、
前記吸口には、その上流の後端に流体入口が、その下流の前端に流体出口が設けられ、流体連通手段が、前記入口と前記出口との間に前記吸口の内部に設けられ、
前記加熱器は前記流体連通手段内に又はそれに隣接して実質的に吸口内に配設され、及び、前記加熱器は、前記基板の前縁が前記吸口の流体出口により接近し、その後縁が前記吸口の前記後端に実質的に隣接するように配置され、その結果、前記接点の少なくとも一部が両方とも前記吸口の前記後端に向かって露出され、アクセス可能であり、及びその結果、流体が前記流体連通手段を通って流れ、エアロゾル化が同時に起こると、発生したエアロゾルが、前記流体連通手段を通って前記吸口内を流れる流体に混入される、組立体において、
前記吸口は第1の吸口部及び第2の吸口部を備え、前記第1の吸口部は、前記第2の吸口部が前記第1の吸口部に取り付けられると前記吸口内で適所に保持される前記加熱器を受け入れる溝を有し、前記組立体全体は前記吸口の前記後端で前記吸入装置の本体部に分離可能に取り付け可能であり、前記吸口の後端が前記本体部に取り付けられると、前記露出されたアクセス可能な接点との電気的接続が達成される
ことを特徴とする組立体。
【請求項2】
前記基板は、複数の抵抗素子部分と、それに接続された対応する数の接点の対とを支持する、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記加熱器は前記吸口の縦軸と平行に延びるレールによって前記吸口内に支持され、前記レールは、空気が前記加熱器の上下両方に流れることができるように前記加熱器を前記流体連通手段内の中央領域に保持する、請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記吸口内に設けられた前記流体連通手段を2つの別個の空気流路に垂直に隔てる中央垂直隔壁が前記吸口に設けられる、請求項2又は3に記載の組立体。
【請求項5】
前記エアロゾル化組成物は、前記加熱器の前記少なくとも1つの抵抗素子部分が当てられた表面と同じ前記基板の表面上に置かれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項6】
前記エアロゾル化組成物は、前記加熱器の前記少なくとも1つの抵抗素子部分が当てられた表面と反対側の前記基板の表面上に置かれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項7】
前記加熱器の前記少なくとも1つの抵抗素子部分は、障壁層によって覆われる、請求項5に記載の組立体。
【請求項8】
前記障壁層は、セラミック、プラスチック及びガラスの1つ以上から選択された材質から形成される、請求項7に記載の組立体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの抵抗素子部分及びそれに接続された各接点は、同じ材質で形成されるが、前記少なくとも1つの抵抗素子部分は前記接点よりも小さい断面積を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項10】
前記少なくとも1つの抵抗素子部分及び各接点が構成される材質は異なる、請求項1~8のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項11】
前記少なくとも1つの抵抗素子部分は、それぞれが各接点に接続された点と点の間で蛇行通路をたどる、請求項1~10のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項12】
前記少なくとも1つの抵抗素子部分は、炭素、銀、ルテニウム、パラジウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項13】
前記少なくとも1つの抵抗素子部分は、130℃の温度で5オーム~15オームの間の抵抗を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項14】
前記加熱器は、前記複数の抵抗素子部分のそれぞれに対する第1の接点と、前記複数の抵抗素子部分のそれぞれに対する共通接地を形成し、前記接点の対の代替共通接点として機能し、したがってそれらの間に各抵抗素子部分が接続される1つのさらなる接点とを備える、請求項2~6、9~13のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項15】
基板は、実質的に強固である、実質的に平面状である、及びガラス、セラミック、プラスチックのうちの1つである材質から形成される、のうちの1つ以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項16】
前記基板は、抵抗素子部分を少なくとも部分的に囲む1つ以上の刻み目を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項17】
吸入装置であって、請求項1~16のいずれか一項に記載の組立体を含み、前記装置用の電源と制御ユニットとを含む本体部をさらに備える吸入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入装置のための吸口及び加熱器の組立体に関する。加熱器は、組成物を加熱して、ユーザーが吸入するエアロゾルを発生するように構成されている。特に、排他的ではないが、本発明は、ニコチン置換療法又は喫煙代替装置用の加熱器に関する。さらに、本発明は、加熱器を含む吸口、加熱器を含む吸入装置、及び加熱器の製造方法に関する。
本出願はユーザーによる吸入のためのニコチン含有組成物の加熱に焦点を当てているが、加熱器は他の組成物、例えば薬物又は香料を含有する組成物を加熱するために使用することができることは理解されるだろう。
【背景技術】
【0002】
ニコチン置換療法は、喫煙をやめ、ニコチンへの依存を克服したい人を対象としている。ニコチン置換療法の1つの形態は吸込装置又は吸入器であり、その一例は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社(Johnson&Johnson Limited)によってニコレット(Nicorette)(登録商標)というブランド名で販売されている。これらは一般にプラスチック製のシガレットの外観を有し、喫煙用タバコの可燃性タバコの消費に関連する挙動、いわゆる手から口への態様を切望する人々によって使用されている。吸入器は、交換可能なニコチンカートリッジを備えている。ユーザーが装置を介して吸い込むと、ニコチンはカートリッジから霧状になり、肺に移動するのではなく、口と喉の粘膜を介して吸収される。ニコチン置換療法は一般に医薬品として分類されており、イギリスにおいてヒト用医薬品規制(Human Medicines Regulations)の下で規制されている。
【0003】
吸入器などの受動ニコチン送達装置に加えて、一般に熱及び/又は超音波攪拌を使用してニコチン及び/又は他の香味料、プロピレングリコール及び/又はグリセロールを含む製剤を吸入用のエアロゾル、ミスト、又は蒸気に気化/エアロゾル化する電子シガレットの形態の能動ニコチン送達装置が存在する。吸い込まれたエアロゾルミスト又は蒸気は通常、可燃性タバコ製品に関連する臭気や健康上のリスクなしにニコチン及び/又は香味料を含み、使用中、ユーザーは、特に呼気に関して可燃性タバコ製品で経験するものと同様の満足感と身体的感覚を経験する。なぜなら、エアロゾルミスト又は蒸気は、従来の可燃性タバコ製品を喫煙するときに吐き出される煙と同様の外観だからである。
【0004】
熟練の読者は、本明細書で使用される「喫煙代替装置」という用語が、電子ニコチン送達システム(ENDS)、電子シガレット、e-シガレット、e-cig、蒸気吸込み式シガレット、パイプ、葉巻、シガリロ、蒸発器、及びユーザーによって吸い込まれるエアロゾルミスト又は蒸気を生成する機能を持つ同様の性質の装置を含むが、これらに限定されないことを理解するはずである。一部の代替装置は使い捨てであり、他の装置は再利用可能で、交換可能及び詰め替え可能な部品を備える。本発明は主に後者に関し、特に、エアロゾル化を実行するために動力源を必要とする又は保有する「能動」装置に関する。
【0005】
喫煙代替装置は、典型的には伝統的なシガレットに似ており、一端に吸口を備えた円筒形の形状をしており、吸口を介してユーザーは吸入のためにエアロゾル、ミスト、又は蒸気を引き込むことができる。これらの装置は通常、いくつかの共通の構成要素;バッテリーなどの電源、気化する液体(e液体と呼ばれることが多い)を保持するためのリザーバー、液体を霧化及び/又は気化させてそれによってエアロゾル、ミスト又は蒸気を発生させる加熱器などの気化構成要素、及びユーザーによって作動するスイッチからの作動信号に応答して気化構成要素を作動するように動作可能な、又はユーザーが吸い込むことによって吸口を介して空気を引き込むときを検出するように構成された制御回路を共有する。
【0006】
能動喫煙代替装置の最も一般的な形態は、芯と巻線の装置として知られており、その例が
図1に概略的に示されている。気化構成要素は芯(3)を備え、芯(3)は硬質又は可撓性であり得、e-液体に浸され、加熱コイル(5)が巻き付けられている。芯と巻線の構成物は、通常、液体を含有するリザーバー内に配設され、その中の液体を芯が吸収できるようにする。完全な組立体は、多くの場合「カートマイザー(cartomizer)」と呼ばれる(カートリッジとアトマイザーという言葉を組み合わせたもの)。使用中、巻線(5)に電流を流して抵抗により加熱させ、このような熱は芯(3)内のe-液体に伝達され、それを蒸発させる。通常、浸された芯(3)は一般に、1回の吸入の間に気化され得るよりも多くのe-液体を含有している。これは、芯(3)の熱質量を増加し、巻線(5)によって発生された熱は、実際に気化される必要がある量ではなく、e-液体全体の加熱に不必要に費やされることを意味する。余分な液体を加熱すると、装置のエネルギー効率が低下する。さらに、巻線(5)は、芯(3)から離れ、巻線(5)が芯(3)を燃やさないようになっている。これは、芯への熱伝達を減少し、巻線(5)に過剰な電力を供給して、巻線からの熱の放射散逸と大きな基板と大量の液体を加熱する非効率性とを補償する必要があることを意味する。これも、装置のエネルギー効率を低下させる。さらに、余剰のe-液体とより高い温度への繰り返される加熱により、ユーザーが意図したよりも大量のニコチンを受け取るリスクが高まり、ニコチンと賦形剤の両方が劣化する可能性が高まる。
【0007】
既知のe-シガレット用加熱器のもう1つの問題は、その設計が自動化に向かないことである。
【0008】
既知のe-シガレットに関するさらなる問題は、ユーザーがその装置向けではないe-液体で装置を再充填することができ、その結果、ニコチン又は添加物のレベルが高くなり、これにより加熱すると有害反応が引き起こされる可能性があることである。その結果、ユーザーは過剰なレベルのニコチン又は潜在的に有害な副生成物にさらされる可能性がある。
【0009】
国際公開第2016/005533号パンフレットは、電気作動式エアロゾル発生システムで使用するための実質的に平坦なエアロゾル形成カートリッジを開示している。カートリッジは、複数のキャビティを含むベース層と、ベース層上に配置された複数のエアロゾル形成基板とを含み、エアロゾル形成基板はエアロゾル形成基板から放出可能な揮発性タバコ風味化合物を含むタバコ含有材料を含む。ベース層及び複数のエアロゾル形成基板は、実質的に平面状である接点表面で接触しており、カートリッジは、エアロゾル形成基板を加熱するための少なくとも1つの電気加熱要素をさらに含む。理想的には、カートリッジは最初は密封されたアイテムであり、吸入装置の本体に挿入する前にシールが破られるか外され、挿入後、吸口構成要素が同じく吸入装置の本体に取り付けられる。吸口とカートリッジは別々の構成要素である。
【0010】
米国特許出願公開第2014/0060554号明細書は、エアロゾルの送達を改善する、1つ以上のマイクロ加熱器を備える電子喫煙物品について記載している。特に、マイクロ加熱器は、エアロゾル前駆体組成物の気化の改善された制御を提供し、一定のエアロゾル化を達成するために低減された電力要件を提供する。この文書はさらに、喫煙物品内でエアロゾルを形成する方法に関する。電子喫煙物品は、その中にマイクロ加熱器を配設及び/又は収容することができる吸口構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、マイクロ加熱器は基板上又は基板内に提供され、基板は吸口内に含まれてもよい。他の実施形態では、マイクロ加熱器は喫煙物品の本体内に設けられ、エアロゾル前駆体組成物を含む交換可能な基板が電子喫煙物品に挿入される。
【0011】
米国特許出願公開第2013/0255702号明細書は、導電性基板、具体的には電子喫煙物品などのジュール加熱に有用な導電性基板を組み込んだ喫煙物品について記載している。特に、この文書は、導電性基板で形成された抵抗発熱素子について記載している。導電性基板は、導電性材質と、バインダー材料などの炭素質添加剤とを含む。導電性基板は、炭素質添加剤をその炭素骨格に効果的に還元するために焼成条件にさらされるという点で炭化される。そのような炭化基板は、炭化されていない同じ配合物の基板と比較して驚くほど改善された抵抗特性を有することが判明している。炭化基板は、エアロゾル前駆材料を含むことができる。形成された抵抗発熱素子は、単一の一体構成要素で抵抗加熱とエアロゾル形成を同時に提供するために、電子喫煙物品に含めることができる。その一体部分を形成する導電性基板を含む吸口構成要素についても記載している。
【0012】
上記の国際公開第2016/005533号パンフレットと開示内容が非常に類似している国際公開第2016/005530号パンフレットも、電気作動式エアロゾル発生システムで使用するための実質的に平坦なエアロゾル形成カートリッジを開示している。
図3A、3Bは、特に、共に内部に凹部を画定し、その間に実質的に平面状である接点表面で接触する加熱器とエアロゾル形成基板の両方を収容する上部及び下部を有するカートリッジを開示する。
【0013】
喫煙代替装置の人気と使用は、この数年で急速に成長した。もともとは可燃性たばこをやめたい習慣的な喫煙者を支援するための補助として販売されていたが、消費者は喫煙代替装置を望ましいライフスタイルアクセサリーとしてますます考えている。さらに、たばこの害を減らすものへの規制上のパラダイムの変化が、消費者がこれらの製品を取り込むことをさらに後押ししている。これにより、喫煙代替装置が、子供、若い成人、及び現在可燃性タバコ製品の消費にかかわっていない人々にとって魅力的になる可能性があるという懸念が生じている。さらに、喫煙代替装置の長期使用による健康への長期的影響と、喫煙代替装置及び関連する液体の使用に関して消費者が入手できる情報の不足に関する懸念、特に医療従事者からの懸念について、継続的な科学的議論がある。そのような情報不足に関する懸念は消費者らがそれらの使用に関して情報に基づいた決定を下すのを妨げている。特に懸念される1つの分野は、現在市場で入手可能な多くのe-液体の品質と供給源である。
【0014】
安全性と品質の懸念に応えて、欧州連合は改訂されたタバコ製品指令(タバコ及び関連製品規制(Tobacco and Related Products Regulations 2016)に同意した。TPDは、喫煙代替装置に適用可能な以下の規制を導入した:
-リザーバー、容器、タンク、及びカートリッジを補充するための最大サイズを設定することによってニコチンへの不注意な暴露のリスクを制限する(第20.3条(a))
-液体中のニコチン濃度を20mg/mlに制限する(第20.3条(b))。
-液体中の特定の添加物の使用を禁止する(第20.3条(c))
-液体の製造には高純度の成分のみを使用することを要求する(第20.3条(d))。
-すべての成分(ニコチンを除く)が加熱又は非加熱の形態で人間の健康にリスクをもたらさないことを要求する(第20.3条(e))
-すべての喫煙代替装置が、通常の使用条件下で一定レベルのニコチン量を送達することを要求する(第20.3条(f))
-すべての製品が子供及び不正開封防止ラベル、ファスナー、開封機構を含むことを要求する(第20.3条(g))。
-すべての製品が特定の安全性と品質基準を満たし、製品が使用中又は補充中に破損したり漏れたりしないことを保証することを要求する(最後から2番目及び最後の文、詳説の段落41)。
【0015】
しかしながら、電子シガレットでの使用を意図したニコチン含有製剤の製造業者及び供給業者へのこのようなニコチン投与制御対策の導入にもかかわらず、芯と巻線の装置は本質的に原始的であり、その結果、吸入間の投与量に常に大きなばらつきが生じる。さらに、そのような装置はエンドユーザーによる補充を必要とするが、これには上記のTPDなどの法的枠組みは必然的にほとんど又はまったく支配力を持たないため、そのようなエンドユーザーは、ことによると自分自身と他人の健康に有害である、独自の、場合によっては不純物を混ぜて質を落とした液体製剤を常に使用することができる。
【0016】
本発明の態様及び実施形態は、上記を念頭において考案された。
【発明の概要】
【0017】
第1の態様において、本出願の請求項1に規定された吸入装置用の組立体が提供される。
【0018】
上記の先行技術の医療用吸込装置又は吸入器と比較して、加熱器を使用して組成物を加熱する利点は、対象の化合物を肺又は口腔のいずれかに送達するように製剤を特別に設計できることである。ニコチンを含有する組成物の場合、これは、ユーザーが強化された「ヒット」、すなわちニコチンの吸収速度の増加を経験することを意味する。その結果、これは、より少ない吸入で、より迅速にニコチンへの渇望を和らげる一助となり、それにより、ユーザーがニコチンの摂取を徐々に減らすのに一役買うことができる。
【0019】
例えば、従来のe-シガレットの加熱器と比較した場合の本発明の加熱器のさらなる利点は、組成物を基板と直接接触させて配置し、したがって伝導的に加熱できることである。熱は、抵抗素子部分から直接組成物に伝導的に伝達される。加熱器が基板の一方の表面に当てられ、組成物が基板の反対側の別の表面に当てられる1つの特定の実施形態において、しかし、加熱器が当てられる他方の表面の全体領域と同じ全体領域において、加熱器からの熱は、最初に基板の材質を通して伝導された後、組成物に伝導的に直接伝達される。どちらの場合も、組成物と加熱器の間に空隙のスペースはない。
【0020】
これは、先行技術の芯-巻線加熱器と比較して、加熱器がはるかに低い温度で必要な量の液体を蒸発させることができることを意味する。これにより、エネルギー効率が向上し、加熱器の劣化が減少される。
【0021】
加熱器上に組成物が提供される場合、加熱器は、組成物の少なくとも一部が蒸発又はエアロゾル化するように組成物を加熱するように構成される。当業者は、本明細書に現れる「エアロゾル化組成物」及びその同族表現はエアロゾル自体に限定されず、気相中の組成物の一部も含み得ることを理解するはずである。
【0022】
さらに、加熱器上に置かれた組成物の量は、加熱器が必要な量の組成物のみを加熱するように注意深く制御することができる。したがって、例えばe-シガレット内で過剰なe-液体を加熱することによって失われるエネルギーは排除される。結果として、本発明の加熱器は、先行技術の加熱器よりもはるかに低い熱質量を有し、加熱するのに必要なエネルギーが少ない。より低い加熱温度と組み合わせたこの利点は、装置の効率の向上に役立つ。さらに、これにより、e-シガレットで観察される、使用中の製剤の不安定性及び毒性物質の形成につながる可能性のある、繰り返される加熱冷却サイクルが回避される。
【0023】
組成物が、加熱器が当てられた基板の表面と同じ基板の表面に置かれる実施形態では、加熱器、又はその少なくとも1つの抵抗素子部分は、抵抗素子部分の加熱中に発生される望ましくない副生成物が組成物と混合することを防止するための障壁層をさらに備えてもよい。
【0024】
それらがどのように形成されるかに依存して、いくつかの抵抗加熱器は、電流の印加によって加熱されると望ましくない副生成物を放出する。例えば、製造中に抵抗加熱器に追加される材質又は化学物質は、加熱中に他の化学物質と反応して潜在的に有害な副生成物を形成する可能性のある揮発物として放出されることがある。ユーザーがこれらの副生成物を吸い込まないことが望ましい。障壁層は、抵抗加熱器と組成物の間に物理的障壁又は障害物を提供することにより、少なくとも1つの抵抗加熱器の加熱中に発生された望ましくない副生成物が組成物又はエアロゾル化組成物と混合するのを防ぐ一助となる。
【0025】
任意選択的に、障壁層は、セラミック、プラスチック、及びガラスのうちの1つ以上から選択された材質で形成されてもよい。これらの材質は、効果的な障壁層を提供するのに適していることがわかっている。
【0026】
組成物が、加熱器が当てられた基板の表面と反対の基板の表面に置かれた代替実施形態では、基板自体が、加熱の望ましくない副生成物が組成物と混合するのを防ぐ障壁を提供する。
【0027】
加熱器は、基板によって支持される少なくとも2つの接点を備えてもよく、少なくとも2つの接点のそれぞれの第1の端部は抵抗素子部分に接続され、少なくとも2つの接点のそれぞれの第2の端部は電源に接続可能であるように配置される。これにより、2つの接点のそれぞれの第2の端部を、基板とは別の又は離れた電源に接続することが可能になる。例えば、第2の端部は、電源に接続される相補的なコネクターに接続するように構成されたコネクターの一部を形成することができる。
【0028】
基板の一方又は他方の表面への抵抗素子部分及び接点の適用は、スクリーン印刷、薄膜及び/又は厚膜印刷、レーザーアブレーション、又はこれらの技術の何らかの組み合わせなど、様々な異なる技術によって達成され得る。抵抗素子部分及び/又は接点を印刷する利点は、コスト効率が高く、自動化できることであり、これは、芯に巻線を巻く遅々とした手動プロセスとは対照的である。
【0029】
任意選択的に、少なくとも1つの抵抗素子部分及び接点は同じ材質で形成されてもよいが、少なくとも1つの抵抗素子部分は、より高い抵抗を有するように接点よりも小さい断面積を有する。これにより、抵抗素子部分と接点を単一の印刷工程で置くことが可能になる。
【0030】
任意選択的に、単一の印刷工程中に置かれた材質の一部を、例えば、レーザーエッチングによってアブレーションして、断面積が減少した領域が材質の残りの部分よりも比較的高い抵抗を有するように、断面積が減少した領域を有する少なくとも1つの抵抗素子部分を形成することができる。このステップにより、印刷ステップが、抵抗素子部分によって占有される領域全体にわたる単一の印刷工程に短縮され、その結果、必要な細部又は仕上げを後でアブレーションステップによって提供できるようになる。
【0031】
或いは、少なくとも1つの抵抗素子部分及び接点は異なる材質を含んでもよく、別個の印刷工程を用いて基板上に置かれてもよい。これにより、プロセスに柔軟性がもたらされ、抵抗素子部分と導体に含まれる様々な材質成分の割合を変更することで、抵抗素子部分と導体の特性を変更することが可能になる。
【0032】
少なくとも1つの抵抗素子部分は、少なくとも1つの抵抗素子部分が接点に接続された点と点の間の直線距離より長い長さを有し得る。これにより、抵抗素子部分の抵抗が増加する。抵抗加熱器の抵抗は、抵抗素子部分の長さを変えることで制御可能である。
【0033】
任意選択的に、少なくとも1つの抵抗素子部分は、導体間の蛇行通路をたどることができる。これは、少なくとも1つの抵抗素子部分のスペース効率の良い構成を提供することがわかっている。
【0034】
任意選択的に、少なくとも1つの抵抗素子部分は、炭素、又は銀、ルテニウム、パラジウムなどの他の元素の1つを含む。炭素は、本発明の加熱器に適した抵抗特性を有することが判明している。一方、銀は炭素と比較して抵抗の温度係数が比較的高く、銀を含む抵抗素子部分を使用すると、炭素のみの使用と比較して抵抗が大きく増加する。これにより、抵抗の変化、したがって抵抗素子部分の温度の監視が容易になる。
【0035】
任意選択的に、加熱器抵抗素子部分は、130℃の温度で5オーム~15オームの間の抵抗を有し得る。これは、抵抗素子部分に特に適した抵抗であることがわかっており、温度は、例えば従来のe-シガレットと比較して、比較的低い動作温度を表す。また、この抵抗範囲により、標準のリチウムポリマーバッテリーを使用して加熱器にエネルギーを入力しながら、温度間の抵抗を区別することが可能になる。
【0036】
加熱器は、複数の抵抗素子部分と、対応する数の接点とを備えてもよい。これにより、どの加熱器を同時に作動するかについての柔軟性が得られる。
【0037】
任意選択的に、導体は、複数の抵抗素子部分のそれぞれに対する接点と、複数の抵抗素子部分のそれぞれに対する共通接地を形成するさらなる接点とを備えてもよい。これにより、基板上にスペース効率の良い配置が提供される。
【0038】
基板は、実質的に強固であり得、実質的に平面状であり得る。これは、抵抗素子部分の加熱中の基板の変形を減らすのに一役買い、吸入装置への基板の挿入を助けるために基板に力を加えることを可能にする。
【0039】
任意選択的に、基板は、セラミック、プラスチック又はガラスのうちの1つ以上から選択される材質を含むことができる。これらの材質は、少なくともそれらの熱的及び機械的特性の点で、本発明の基板に特に適していることが判明している。
【0040】
基板は、少なくとも1つの抵抗素子部分又は複数の抵抗素子部分を囲む領域に、例えばレーザー切断によって形成された刻み目を備えてもよい。刻み目は、抵抗素子部分を囲む領域の基板の断面積を減少させ、それにより、抵抗素子部分から基板を通って離れる熱伝達を減少させる。これにより、抵抗加熱器の下にある基板部分の熱質量(つまり、加熱サイクル中に加熱する必要がある基板の量)が減少する。これは、基板のこの部分を加熱するために必要なエネルギーがより少ないことを意味する。したがって、加熱器のエネルギー効率が向上する。刻み目は、抵抗加熱領域からの製剤の移行を防ぐようにも機能し得る。
【0041】
少なくとも1つの抵抗素子部分又は少なくとも1つの接点は、断面積が減少した領域を有し、その結果、断面積が減少した領域を流れる電流が特定の閾値を超えると故障するヒューズとして断面積が減少した領域が機能するようにすることができる。ヒューズは、加熱器の過熱を防ぐ安全装置として機能する。また、ヒューズは、他の安全対策が失敗した場合、例えばエアロゾル発生装置の電子制御又はソフトウェア制御が失敗した場合、フェイルセーフとして機能する。これは、加熱器が医療装置向けに準備万端に厳しい安全規制に準拠するのに一役買う。
【0042】
基板上へエアロゾル化組成物を置くことは、例えば、スクリーン印刷技術を使用して製造時に起こってもよく、その結果、基板に加熱器が提供され、エアロゾル化される組成物が予め付加される。組成物は、所定の投与数を含むことができる。任意選択的に、組成物はニコチンを含んでもよい。
【0043】
第1及び第2の吸口部の取り付けは、第1の吸口部及び第2の吸口部の一方又は両方に設けられたスナップ嵌めコネクターによって達成することができる。
【0044】
最も好ましい実施形態では、加熱器の少なくとも1つの抵抗素子部分は、吸口の内部に設けられた流体連通手段、例えば空気流路の出口の近くに配置される。これにより、実際にエアロゾル化組成物が吸口出口から出る前に空気流路の内部表面に到達する時間がある場合にエアロゾル化組成物がそこに凝結し得る空気流路の長さ及び/又は表面積が低減される。
【0045】
空気流路は、空気流路の内部に加熱器を保持するためのレールを備えてもよい。空気流路は、加熱器をそれらの間に配設できる第1及び第2の部分を備えてもよく、その結果、第1の部分内を流れる空気が組成物が置かれた加熱器の表面上を横切って流れ、第2の部分内を流れる空気が加熱器の下を流れ、組成物が置かれた基板の表面の反対側の基板の表面の下を横切って流れるようにする。
【0046】
第1及び/又は第2の空気流路部分は、少なくとも1つの平坦表面によって画定されてもよく、平坦表面は加熱器を通過する層化空気流を生成するのを助け、したがってエアロゾル化組成物が空気流路の内面に接触するのを防ぐ。
【0047】
空気流路は、その内部の空気の流れを制限するための絞りオリフィスを含んでもよい。空気流路内に絞りオリフィスを採用する結果、空気流路内の圧力降下が生じ、絞りオリフィスの領域で空気流の速度をより正確に(例えばベンチュリ効果によって)制御することが可能になり得、加熱器を横切る空気流が吸口に入る空気流と比較してより速く移動することが可能になる。絞りオリフィスはまた、空気流路を通る空気の流れを制限し、これは従来のシガレットを介した吸入と同様のユーザー体験を提供する。
【0048】
任意選択的に、絞りオリフィスは加熱器の上流に位置付けられてもよい。
これにより、絞りオリフィスを出る乱流が加熱器を通過する時までに層流に戻るのを助ける時間と空間が提供される。
【0049】
任意選択的に、第1及び第2の空気流路部分の両方は絞りオリフィスを備えてもよく、理想的には、第1及び第2の空気流路部分の空気流が類似するように、すなわち流路部分内を流れる空気が概ね同じ速度及び質量流量で移動するように、寸法及び流体流特性は選択される。
【0050】
吸口と加熱器の組立体は、交換可能な消耗品を一緒に形成することができ、この消耗品は新品の場合、組成物がすでに付加されており、最初に存在する全ての組成物がエアロゾル化され、したがって消耗品が使い果たされると、簡単に廃棄することができる。
【0051】
本発明のさらなる態様では、上述の吸口と加熱器の組立体と、本体部とを備える吸入装置が提供され、本体部は、装置用の電源と、制御ユニットとを備える。
【0052】
そのような吸入装置は、制御された正確な投与を提供し得、最小限のメンテナンスを必要とし得(例えば、吸口の洗浄は不要である)、より衛生的であり得る(例えば、吸入装置内の以前の使用による残留物の蓄積を減らす)。このような吸入装置は、吸口を交換できるため、より一貫したレベルの性能を維持し得る(例えば、吸口内の閉塞を回避する)。
【0053】
そのような吸入装置の本体部は、互いに連通する流体入口及び流体出口をさらに含むことができ、その流体出口は、吸口が本体部に接続されると吸口の流体入口と協働し、かくして空気流路が完成される。
【0054】
任意選択的に、本体部の流体入口は、吸口が取り付けられる前記本体部の端部に接近して自由に位置付けることができる。
【0055】
本発明の態様による1つ以上の特定の実施形態を、単なる例として、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】先行技術のe-シガレットの芯と巻線の加熱器の概略図である。
【
図2】本発明の異なる実施形態による加熱器の断面図を提供し、ある量の組成物が、最初に、加熱器が当てられる表面と同じ基板の表面に置かれ、次に、加熱器が当てられる表面と反対の表面に置かれる。
【
図2A】本発明の異なる実施形態による加熱器の断面図を提供し、ある量の組成物が、最初に、加熱器が当てられる表面と同じ基板の表面に置かれ、次に、加熱器が当てられる表面と反対の表面に置かれる。
【
図3】本発明の実施形態による加熱器の概略平面図である。
【
図4】本発明の実施形態による加熱器の概略平面図である。
【
図5a】製造の様々な段階中の本発明の実施形態による加熱器の平面図である。
【
図5b】製造の様々な段階中の本発明の実施形態による加熱器の平面図である。
【
図5c】製造の様々な段階中の本発明の実施形態による加熱器の平面図である。
【
図5d】製造の様々な段階中の本発明の実施形態による加熱器の平面図である。
【
図6】本発明の実施形態による吸入装置の側面図である。
【
図7a】
図6の装置の吸口の側面図であり、それぞれ分解された形態及び組み立てられた形態で示されている。
【
図7b】
図6の装置の吸口の側面図であり、それぞれ分解された形態及び組み立てられた形態で示されている。
【
図9b】
図9aの線B-Bに沿った吸入装置の断面側面図である。
【
図10a】本発明の1つ以上の実施形態による吸口の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図2は基板12と基板12の一部によって支持される抵抗発熱素子14と含む本発明による吸入装置のための加熱器10を示す。抵抗素子部分は接点(図示せず)によって電源(図示せず)に接続可能である。障壁層16が抵抗素子部分14と基板12の一部との上に横たわる。加熱器10は、障壁層16上に置かれたある量の組成物18と共に示されている。
【0058】
抵抗素子部分14に電流が流れると、抵抗素子部分14の温度が上昇し、熱が障壁層16を介して組成物18に伝達される。組成物18の少なくとも一部が蒸発し、加熱器10の上の空気中に分散される。組成物18は蒸発して加熱器から離れるにつれて冷却され、気化した組成物の一部が凝縮されて、空気中に懸濁した組成物の液滴、すなわちエアロゾル化した組成物を形成する。このエアロゾル化した組成物をユーザーが吸い込むことができる。
【0059】
障壁層16は、抵抗素子部分及び基板の一部を覆うシールを提供し、抵抗加熱器素子が加熱されたときに生成され得る望ましくない副生成物が組成物18と混合すること、又は蒸発して、ユーザーに吸い込まれるエアロゾル化組成物と混合することを防ぐ。
【0060】
刻み目20が抵抗加熱器素子14の両側の近くで基板12に形成されている。
図2の断面には示されていないが、刻み目20は抵抗素子部分14の両側に溝を形成するために、断面の平面に出入りする方向に延在することが理解されるであろう。さらなる刻み目(図示せず)が、抵抗素子部分14の他の2つの側の近くで断面の平面に平行に同じく形成されてもよい。したがって、少なくとも1つの抵抗素子部分14を囲む領域に刻み目又はトレンチが形成される。刻み目20は、基板12の断面積を減少させ、したがって、刻み目20の領域で基板を通る熱伝達を減少させる。これは、抵抗素子部分14の下にある基板12の領域のある程度の断熱を提供し、及び基板全体を通して熱が放散されるのを抑制する。これにより、任意の特定の加熱サイクル中に抵抗素子部分14によって加熱される基板12の体積、すなわち加熱器10の熱質量が減少する。基板12中で放散される熱が少ないほど、より多くの熱が組成物18に伝達され、これにより、加熱器10の熱効率が改善される。
【0061】
加熱器10は、基板12を提供し、抵抗素子部分14が支持される領域に、例えばレーザー切断プロセスを使用することによって、刻み目20を形成することにより製造することができる。次いで、スクリーン印刷プロセスを使用して、刻み目20によって囲まれた領域に抵抗素子部分14を置くことができる。これにより、基板上に適切な抵抗を有する導電性インクの厚膜が置かれる。基板上に接点(図示せず)を設ける場合、これらはスクリーン印刷プロセスを使用して基板12上に置くこともできる。スクリーン印刷は、抵抗素子部分と接点を置く費用効果が高く自動化可能な方法を提供する。接点は、抵抗素子部分14よりも高い導電性を有する。エッチングプロセスを使用して、スクリーン印刷された特徴の輪郭を仕上げることができる。
【0062】
基板12は、セラミックから作られる。しかしながら、当業者は、プラスチック又はガラス、或いは前述の材質の組み合わせなどの材質を使用できることを理解するであろう。基板の寸法は、長さ15mm×幅10mm、及び厚さ0.5mmで、従来のプレシガレットの芯及び巻線加熱器に比べて相対的に小さい。これは加熱器10の熱質量を減少し、熱効率の改善に一役買う。当業者は、基板が他の適切な寸法を有することができることを理解するであろう。
【0063】
抵抗素子部分14を形成するために使用される導電性インクは、炭素粒子と銀粒子を含む。他の成分は、樹脂又はバインダー及び溶媒を含み得る。しかしながら、当業者は、他の混合物を使用できることを理解するであろう。
【0064】
接点を形成するために使用される導電性インクは、導電性粒子、例えば金属粒子を含む。しかしながら、当業者は、他の種類の粒子、例えばグラファイト粒子を使用できることを理解するであろう。
【0065】
導電性インクの上記組成物は、特定のスクリーン印刷プロセスに適合させることができる、又は抵抗器の形状又はサイズの特定の方向/レイアウトに対して所望の抵抗を達成するように適合させることができる。
【0066】
抵抗加熱素子14及び接点が基板12上にスクリーン印刷されると、加熱器は、揮発性溶媒が追い出される加熱プロセスを一般に受ける。次いで、加熱器は、導電性インクの導電性又は抵抗性成分を焼結するために、より高い温度で焼結プロセスを受けることができる。
【0067】
障壁層16は、基板12及び抵抗素子部分14に熱溶接されたガラスの層から作られる。しかしながら、当業者は、障壁層16が、セラミック又はプラスチック、或いは前述の材質の任意の組み合わせなど、望ましくない揮発性副生成物の排出に対抗する効果的なシールを形成する任意の適切な材質から作られ得ることを理解するだろう。
【0068】
加えて、エアロゾル化される組成物は、加熱器が組成物を事前に予備付加されて提供されるように、製造中に加熱器10に置くこともできる。そのような組成物は、加熱器10上にスクリーン印刷することもできる。
【0069】
対照的に、
図2A(
図2と同様の参照番号が同様の部品を示すために使用されている)では、加熱器10は逆向きに示されており、ここで、加熱器の抵抗素子部分は基板12の底面、下向き表面12a、すなわち基板の第1の表面に提供され、ある量の組成物18が、基板12の上面、すなわち上向き表面12b、すなわち反対側の第2の表面に置かれている。この配置では、基板自体が組成物18と加熱器の抵抗素子部分14との間に障壁を提供するが、そこからの熱は依然として基板12を介して組成物に直接伝導され、そのエアロゾル化を引き起こし、そうして生成されるエアロゾルは上の空気中に分散される。再び、刻み目20は、抵抗素子14の両側の近くで基板12に形成されてもよい。
【0070】
前述のように、様々なタイプの導電性インクを使用して、抵抗素子部分及び接点を形成することができる。例えば、炭素ベースのインクを使用して抵抗素子部分を形成することができ、金属又はグラファイトなどの導電性要素を含むインクを使用して接点を形成することができる。他の成分は、そのようなインクを印刷できるようにするための溶媒を含んでもよい。さらに、1種類のインクを使用して、抵抗素子部分及び接点の両方を印刷することができる。セラミックインクとガラスインクの両方には、抵抗率を提供するガラス相と、導電性を提供する金属相と、抵抗の高い温度係数とが含まれている。金属相は、例えば、銀、ルテニウム、パラジウム又は他の適切な金属などの元素を含んでもよい。導電性インクの上記組成物は、特定のスクリーン印刷プロセスに適合させることができる、又は抵抗器の形状又はサイズの特定の向き/レイアウトに対して所望の抵抗を達成するように適合させることができる。抵抗加熱素子部分14及び接点が基板12上に印刷されると、基板及び印刷された加熱器はその後溶媒を蒸発させるために一般に加熱プロセスを経て、その後、さらなる加熱プロセスを使用して金属を焼結し、ガラスを溶融することができる。
【0071】
図3及び4は、異なる製造プロセスを使用して作ることができる本発明による加熱器のさらなる実施形態を示す。これらの図は、簡略化された概略図を示していることに注意されたい。刻み目や障壁層などの特定の機能は、明確にするために省略されている。しかしながら、当業者は、そのような省略された特徴及び他の特徴がこれらの記載された実施形態でも使用され得ることを理解するであろう。
【0072】
最初に
図3を参照すると、加熱器100は、基板112、抵抗素子部分114、及び2つの接点113を含む。抵抗素子部分114及び接点113は、異なる材質で形成される、すなわち、異なる組成、例えば上記の組成を有する。したがって、接点113は、抵抗素子部分114よりも導電性が高い。その結果、抵抗素子部分114及び接点は、別個の印刷工程で置かれる。ある印刷工程では、より抵抗性の高い導電性インクを置いて抵抗素子部分114を形成し、別の印刷工程では、より導電性の高いインクを置いて接点113を形成する。最初に抵抗素子部分114を、次に接点113を置くことができるが、その逆もまた同様である。
【0073】
加熱器100の接点113の1つは、断面積が減少した領域122を有し、この領域はヒューズとして機能し、この領域を流れる電流が特定の閾値を超えると機能しない。断面積の減少した領域の形成は、このパターンを基板に単に印刷することにより、印刷プロセスの一部として行うことができ、それにより、加熱器100にさらなる構成要素を追加する必要がなくなる。或いは、ヒューズはレーザー切断などのアブレーションプロセスを用いて形成することができる。ヒューズは安全装置として機能し、加熱器100の過熱を防止する。
【0074】
図4を参照すると、加熱器200は、基板212、抵抗素子部分214及び接点213を含む。抵抗素子部分214及び接点213は、同じ材質、すなわち同じ導電性インクで形成される。この導電性インクは、一般に、スタンドアロン型抵抗加熱素子を印刷するために使用される導電性インクよりも導電性が高いか、又は上記の2つの組成物の間に導電性を有する組成物を含み得る。抵抗素子部分214は、より高い抵抗を有するように、印刷されたトラックの残りの部分よりも小さい断面積又はより薄い幅又は厚さを有する導電性インクの印刷されたトラックを提供することにより形成される。印刷されたトラックの残りの部分、すなわち、より大きな断面積又はより広い幅又は厚さを有する部分は、接点213を形成する。
【0075】
抵抗素子部分214の抵抗は、抵抗素子部分214が接点213に接続される点XとYとの間の直線距離よりも抵抗加熱素子を長くすることにより、接点213の抵抗に対して増加させることもできる。これは、抵抗素子部分214に蛇行又は波状パターンを与えることにより達成される。
【0076】
抵抗素子部分214及び接点213が同じ材質で形成される結果として、これらの特徴は、単一の印刷工程で基板212上に置くことができる。抵抗素子部分214のパターンを基板上に印刷することができる、又は抵抗加熱器素子214をより大きなブロックとして印刷し、例えばレーザーエッチング又は切断プロセスを使用して抵抗加熱ブロックの一部をアブレーションすることによってパターンを得ることができる。
【0077】
図3及び4では、接点113及び213は、それぞれ基板112及び212の縁部まで延在し、そこで終わる。この配置は、加熱器100及び200が、加熱器とは別個又は離れた電源(図示せず)に接続可能であることを意味する。例えば、基板112及び212の縁部は、接点113及び213が電源への接続部と電気的に接触するように、コネクターに挿入され得る。
【0078】
図5a~5dは、製造の様々な段階中の本発明の加熱器を示す。最初に
図5aを参照すると、加熱器500は、一連の刻み目520がその表面に形成された基板512を備える。加熱器500は、基板512の一端に2×2の構成で配置される4つの抵抗加熱素子(
図5aには図示せず)を支持するように構成される。刻み目520は、抵抗素子部分のそれぞれを囲む領域に配置される。すべての刻み目520が一緒に結合されるわけではなく、その結果、いくつかの刻み目の間に隙間があり、その隙間に基板512はその全厚を有する。これは、4つの抵抗素子部分の領域で基板512が過度に脆弱化することを避けるためである。刻み目520は、適切なアブレーションプロセス、例えばレーザーエッチング又は切断によって形成され得る。
【0079】
図5bは、接点513i~513vの配列が基板512上に支持されている
図5aの基板を示す。接点513i~513vは、スクリーン印刷プロセスを使用して置かれている。接点513i~513vのそれぞれの第1の端部は、基板512の一端で抵抗素子部分(
図5bに図示せず)に接続されるように配置される。導体513iiiは、共通接地接続として構成され、その第1の端部で抵抗素子部分のそれぞれに接続されるように配置される。導体513iiiは、接点513i~513v及び抵抗加熱器素子の中間に配置される。これは、それを抵抗素子部分のそれぞれに接続できる最も便利な配置であるためである。接点513i、513ii、513iv及び513vは、それらの第1の端部で4つの抵抗素子部分のそれぞれのそれぞれに接続されるように配置される。
【0080】
接点513i~513vの第2の端部は、抵抗加熱器素子が位置付けられている端部とは反対側の基板512の端部のそれぞれの一連の接点パッド513a~513eで終端する。接点パッド513cは、抵抗加熱素子のそれぞれを導体513iiiを介して接地電位に接続できるように、電源の共通接地又は負電位に接続可能であるように構成される。接点パッド513a、513b、513d及び513eは、接点513i、513ii、513iv及び513vの1つ及び共通接地導体513iiiを介して抵抗素子部分のそれぞれを横切って電位差を生成できるように、電源に接続可能であるように構成される。
【0081】
図5cは、4つの抵抗加熱素子514i~514iv支持する基板512を示している。明確にするために、接点513i~513vは省略されている。抵抗加熱素子514i~514ivは、基板512の一端に2×2パターンで配置される。抵抗素子部分514i~514ivのそれぞれは、刻み目520の編成によって囲まれる。抵抗素子部分514i~514ivは、スクリーン印刷プロセスを用いて置かれている。
【0082】
図5dは、基板512と、接点513i~513vと、抵抗素子部分514i~514ivと、障壁層516と、抵抗素子部分514i~514ivのそれぞれに置かれたニコチンを含有する組成物(図示せず)とを含む完全に組み立てられた加熱器500を示す。抵抗素子部分514i~514ivのそれぞれは、接点513i、513ii、513iv、及び513vのそれぞれ1つと、共通接地導体513iiiとを横切って接続されている。抵抗加熱器素子514i~514ivのうちの1つを横切って電位差が生成されると、電流が抵抗素子部分を通って流れ、それにより抵抗素子部分を作動し、その温度を上昇させる。例えば、接点パッド513aに正電位を印加し、接点パッド513cに接地電位又は負電位を印加すると、抵抗加熱素子514iは作動し、熱を生成する。したがって、抵抗素子部分514i~514ivのそれぞれは、接点パッド513a、513b、513d、及び513eのいずれか1つに正電位を印加し、接点パッド513cに接地電位を印加することにより、独立して作動可能である。
【0083】
障壁層516は、抵抗素子部分514i~514iv及び接点513i~513vの一部の上にシールを提供する。障壁層516は、
図5dの点RSTUで示される加熱器500の領域の上に延在する。点TUVWで示された加熱器の領域は障壁層によって覆われていないため、接点パッド513a~513eを絶縁せず、これらが電源に電気的に接続することを可能にしている。
【0084】
ニコチン含有組成物(図示せず)は、抵抗素子部分514i~514ivのそれぞれの上の障壁層516の上面に置かれる。組成物は0.5mgのニコチンを合計で(濃度40%で)含有する。組成物を置くためにスクリーン印刷プロセスが使用されたが、当業者は他の置く方法を使用できることを理解するであろう。抵抗素子部分514i~514ivのそれぞれの上に置かれたニコチン含有組成物の量は、吸入あたりのニコチンの単回投与量又は複数回投与量を含み得る。
【0085】
図6は、本体部630及び吸口632を備える本発明による吸入装置600を示す。吸口632は、本体部630に分離可能に取り付け可能である。さらに、吸口632は、製造中に組み立てられる別個の第1の部分632a及び第2の部分632bから形成される。しかしながら、当業者は、吸入装置600が単一の部品、例えば単一のチューブから形成されてもよいことを理解するであろう。
【0086】
図7aは、分解された形態の吸口632を示している。第1の吸口部632aは、
図5dの加熱器500を受け入れるための溝(図示せず)を有する。製造中、加熱器500は、第1の吸口部632aの溝又は凹部に挿入され、第2の吸口部632bを第1の吸口部632aに取り付けることにより所定の位置に保持される。第2の吸口部632bは、第2の吸口部632bの両側のスナップ嵌めコネクター634によって第1の吸口部632aに取り付けられている。
【0087】
図7bは、組み立てられた形態の吸口632を示している。加熱器500は、吸口632内にしっかりと保持される。上述のように、加熱器500は、抵抗素子部分上に置かれたニコチン含有組成物を含み、したがって、吸口62は、吸入装置600の本体部630に分離可能に接続することができる交換可能な消耗品を含む。
【0088】
図8は、
図6の線A-Aに沿った吸入装置600の断面を示す。加熱器500を含む吸口632は、本体部630に接続される。吸口632が接続される本体部630の端部は、加熱器500の接点パッド513a~513eのそれぞれと電気的に接触するように配置された複数の接点ピン636を含む。
【0089】
本体部は、電源(図示せず)を収容するための第1の内部空間638と、抵抗素子部分514の電気的作動を制御するための制御ユニット(図示せず)を収容するための第2の内部空間とを有する。接点ピン636は制御ユニットを介して電源に接続される。ユーザーが加熱器500を作動できるように本体部630にボタン648が設けられている。或いは、当業者は、ユーザーの吸入に応答するセンサーを使用して加熱器を作動できることを理解するであろう。
【0090】
吸口632は、加熱器500が吸口632に設置されたときに抵抗素子部分514の上に横たわるチャネル642を有する。チャネル642は、本体部630に配置された空気入口(図示せず)及び吸口632の空気出口644と流体連通している。狭窄部646が、抵抗素子部分514の直前にチャネル642に配置され、空気流を加速し、チャネルのこの領域に圧力降下をもたらす。これは、エアロゾル化された組成物の空気流への同伴を補助する。
【0091】
図6~8の装置600は、非常に正確であり、ヒト用医薬品規制の要件に適合するように構成されている。したがって、このような装置は、ニコチン置換療法として適している。
【0092】
使用中、ユーザーは、吸入装置600の吸口632の周りに唇を密閉し、吸入する。空気は空気入口に引き込まれ、チャネル642を通り、抵抗素子部分514の領域において加熱器500を横切り、その後空気出口644を介して吸入装置を出る。吸入と同時に、ユーザーがボタン648を押して加熱器500を作動させる。送達される用量に応じて、制御ユニットは、抵抗素子部分514の1つ以上に電流を流してそれらを発熱させることにより、それら抵抗素子部分514を作動する。それぞれの1つ以上の抵抗素子部分の上に置かれた組成物の少なくとも一部は気化され、移動する空気流に混入されるエアロゾル化組成物を加熱器500の上で形成する。組成物は加熱器と直接導電接触しているため、通常約300℃まで熱くなる従来の芯-巻線加熱器と比較してはるかに低い温度、すなわち140℃で、必要な量の組成物のエアロゾル化を達成することができる。次いで、エアロゾル化組成物は、出口644を介して使用者によって吸い込まれる。次いで、装置は、次の吸入に備えてリセットされる。
【0093】
ここで
図9a及び9bを参照すると、本体部630の上部表面に配置された空気入口650を備えた吸入装置600が示されている。空気入口650は、吸入装置600の中心縦軸から横方向に間隔をあけ、吸口632が本体部630に取り付けられる領域に位置する。
図9bは、
図9aの線B-Bに沿った吸入装置900の断面図を示す。空気入口650は吸口632と流体連通しており、空気は出口702(その一部が
図9bに示されている)を介して吸入装置600から出る。空気流路は、本体部630の空気入口650から吸口632の出口702へと通過する。吸口632を通過する空気流路の主要部分は、装置の中央縦軸の近くを通過するため、すなわち
図10aの線G-Gの領域を通過するため、
図9bでは見えない。
【0094】
図10aを参照すると、これは、吸口632のみの、すなわち本体部630から取り外された吸口632の平面図を示している。
図9bは、
図10aの線G-Gに沿った吸口の断面図を示している。空気は、吸口632の後部にある開口部720を介して吸口632に入り、この開口部720は空気入口650と流体連通している(
図9a及び9bを参照)。空気は、密閉された空気流路又は流体通路を介して、吸口632を通って出口702に流れる。空気流路を通る空気流は、
図10bにおいて点線722a及び722bで示されている。
【0095】
加熱器703は、吸口632の内側に空気流路内に配置される。加熱器703の近傍で、空気流路は、第1の空気流路部分724a及び第2の空気流路部分724bを含む。第1の空気流路部分724aは、空気流の一部(点線722aで示される)を、加熱器703の第1の上向き表面703a及びその抵抗素子部分705を越えて及びそれらの上方に向けるように配置される。抵抗素子部分705は吸口632の出口702の近傍で又は近くで加熱器703の下流端部に位置する。第2の空気流路部分724bは、空気流の一部(点線722bで示される)を加熱器703の第2の下向き表面703bを越えて及びその近くに向けるように配置される。第1の空気流路部分724a及び第2の空気流路部分724bの上部表面及び下部表面はそれぞれ、抵抗素子部分705を通過する層化空気流を促進するために平坦である。
【0096】
加熱器703は、吸口の縦軸に平行に走るレール726に支持され、空気が加熱器703の上下両方に流れることができるように空気流路内の中央領域で加熱器を保持する。突起728a及び728bが、それぞれ第1の空気流路部分724a及び第2の空気流路部分724bの上部表面及び下部表面から延在し、その上流端近くで加熱器703に接触し、吸口632内の適所に加熱器703を保持するのを補助する。突起728a及び728bのそれぞれは、それを通過する絞りオリフィス又は流路制限部(
図10bには図示せず。
図10cを参照のこと)を有する。絞りオリフィスの目的は、突起728a及び728bの領域の空気流を制限することによって吸入に対する抵抗を高め、吸入装置600に対するよりリアルな感触を従来のタバコ製品の喫煙者に与えることである。突起728a及び728bは、抵抗加熱器素子705の十分上流に位置付けられ、その結果、絞りオリフィスを出る乱気流が、抵抗加熱器素子705を通過するまでに層流に戻るための空間を有するようにする。層流はエアロゾル化組成物が空気流路の表面に到達することを防止するのに一役買う。それというのも、エアロゾル化組成物は、流線形にされた流れに引っ張られて装置を通って流れる傾向があるからである。
【0097】
図10cは、吸口632の背面図、すなわち
図10aの矢印Hの方向の図を示す。吸口632は、空気流路を2つに分割する中央垂直隔壁730を有する。隔壁730の左側の吸口632の部分は、本質的に隔壁730の右側の吸口632の部分の鏡像である。吸口632の左側部分は、隔壁730の右側の吸口632の特徴を繰り返す。
【0098】
図10cから分かるように、突起728a及び728bは、吸口632内の適所に加熱器703を保持するのを補助するために加熱器703と接触する。突起728a及び728bのそれぞれは、絞りオリフィス732が通過している。絞りオリフィスの形状は半円形であるが、任意の適切な形状を使用することができる。絞りオリフィス732のサイズ又は直径は、それらが位置する空気流路のサイズよりも小さく、それにより上述のように突起728a及び728bの領域内で空気流を制限する。
【0099】
使用中、ユーザーは吸口632を自分の口に入れて、吸入装置600から吸入する。空気は、空気入口650から流入し、空気流路を通って吸口632の出口650まで流れる。センサー(図示せず)が空気流路内の圧力低下を検出するために設けられてもよく、抵抗加熱素子705を加熱又は作動させるために制御回路に信号を送信する。しかしながら、当業者は、抵抗加熱器素子705を作動させるためにセンサーの代わりにユーザーによって押されるボタン(例えば、
図8の648)が使用されてもよいことを理解するだろう。作動されると、抵抗加熱器素子705からの熱が抵抗加熱器素子705の上にある組成物に伝達される。組成物の少なくとも一部は、エアロゾル化組成物を形成するために蒸発し、エアロゾル化組成物は加熱器703の上部第1表面703a上を通過する空気流に混入され、ユーザーによって吸い込まれる。
【0100】
抵抗加熱器素子705は、出口702の近傍又は近くにおいて加熱器703の下流端に位置するので、凝結が形成されるのに十分な時間及び/又は十分な空気流路の長さ又は表面積は存在しない。その結果、ニコチン含有組成物のより多くの割合がユーザーに届く。さらに、この配置は、吸口632内での凝結液滴の形成を抑制する。凝結液滴はユーザーが吸い込むと不快になる可能性がある。
【0101】
記載される実施形態では、空気流は加熱器703の上側表面を通過するだけでなく、空気流路の一部、すなわち第2の空気流路部分724bが、加熱器703の下に位置する。より低い第2の空気流路部分724bは、基板及び吸口の下側表面上のエアロゾル化組成物の凝結を防止する一助となり得ることが本発明者らによって見出されている。
【0102】
ユーザーが吸い込むと、空気は絞りオリフィス732に引き込まれるよりほかない。上記のように、これは、空気流を制限することにより吸入に対する抵抗を増加させ、吸入装置100に対するよりリアルな感触を従来のタバコ製品の喫煙者に提供する。絞りオリフィス732は上部第1空気流路部分724aと下部第2空気流路部分724bの両方に位置付けられ、それにより上部及び下部の空気流が等しく制限されるように、つまり、両方の空気流がほぼ同じ速度と質量流量で移動するようにする。これは、装置を通る空気のスムーズな流れを助け、これにより凝結の形成がさらに抑制される。
【0103】
当業者には様々な修正が明らかであろう。例えば、抵抗素子部分、接点、及び組成物は、スクリーン印刷以外のプロセスによって、例えばインクジェット印刷又は3D印刷によって置くことができる。さらに、組成物を含むペレットが、加熱器によって支持されるか、加熱器に取り付けられてもよい。熱を加えると、ペレットが溶けて、エアロゾル化された組成物を放出する。