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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】圧電素子を内蔵する円筒型二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220511BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20220511BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/107
H01M10/44 102Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019566875
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 KR2018015434
(87)【国際公開番号】W WO2019112343
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2019-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2017-0166659
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0155850
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ミン ギ
(72)【発明者】
【氏名】スン、ジュー ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ハン ソル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ミン ス
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008006920(DE,A1)
【文献】特開2013-251267(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0286719(US,A1)
【文献】特開2017-098149(JP,A)
【文献】特表2017-535061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0342192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39
H01M 50/10-198
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長いシート状の陽極及び陰極の間に分離膜が介在された状態で巻き付けられた構造のゼリーロール型電極組立体と、
前記ゼリーロール型電極組立体を収容するための円筒型電池ケースと、
前記ゼリーロール型電極組立体の充放電による体積膨張によって電気エネルギーを生成する圧電素子とを含み、
前記ゼリーロール型電極組立体と前記円筒型電池ケースとの間に圧電素子が位置し、
前記圧電素子は前記円筒型電池ケースの内側面に付着され
前記圧電素子によって生成された電気エネルギーは前記ゼリーロール型電極組立体に貯蔵される、円筒型二次電池。
【請求項2】
長いシート状の陽極及び陰極の間に分離膜が介在された状態で巻き付けられた構造のゼリーロール型電極組立体と、
前記ゼリーロール型電極組立体を収容するための円筒型電池ケースと、
前記ゼリーロール型電極組立体の充放電による体積膨張によって電気エネルギーを生成する圧電素子とを含み、
前記円筒型電池ケースは、間に中空が形成される外部ケース及び内部ケースからなり、
前記中空には圧電素子が位置し、
前記圧電素子によって生成された電気エネルギーは前記ゼリーロール型電極組立体に貯蔵される、円筒型二次電池。
【請求項3】
前記円筒型電池ケースは、円筒型の側面が外部ケース及び内部ケースの二重構造を有し、下面が単一構造を有する、請求項2に記載の円筒型二次電池。
【請求項4】
前記圧電素子は、天然圧電物質、人工圧電結晶、無鉛圧電セラミック及び人工圧電セラミックからなる群から選択される1種以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の円筒型二次電池。
【請求項5】
天然圧電物質は、ベルリナイト(AlPO)、蔗糖、石英、ロッシェル塩、黄玉、電気石、絹、エナメル又は象牙質である、請求項4に記載の円筒型二次電池。
【請求項6】
前記人工圧電結晶は、リン酸ガリウム(GaPO)又はランガサイト(LaGaSiO14)である、請求項4に記載の円筒型二次電池。
【請求項7】
前記無鉛圧電セラミックは、NaKNb、ビスマスフェライト(BiFeO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)、チタン酸ビスマス(BiTi12)又は高酸素イオン伝導体(Na0.5Bi0.5TiO)である、請求項4に記載の円筒型二次電池。
【請求項8】
前記人工圧電セラミックは、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO )、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO )、酸化タングステン化ナトリウム(NaWO)、酸化亜鉛(ZnO)、BaNaNb又はPbKNb15である、請求項4に記載の円筒型二次電池。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の円筒型二次電池を含む、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年12月6日付の韓国特許出願第2017-0166659号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は圧電素子を内蔵する円筒型二次電池に関するものであり、具体的に、ゼリーロール型電極組立体を内蔵した円筒型電池ケースにおいて前記ゼリーロール型電極組立体の充放電による体積膨張によって電気エネルギーを生成する圧電素子を含む円筒型二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて充放電の可能な二次電池が多様なモバイル機器のエネルギー源として広範囲に使われている。また、二次電池は、化石燃料を使う既存のガソリン車両、ディーゼル車両などによる大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても注目されている。
【0004】
一般に、二次電池は電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒型又は角型の金属缶に内蔵されている円筒型電池及び角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類される。
【0005】
前記電池ケースに内蔵される電極組立体は、陽極、陰極、及び前記陽極と前記陰極の間に介装された分離膜の構造を有する充放電の可能な発電素子であり、活物質が塗布された長いシート状の陽極と陰極の間に分離膜を挟んで巻き付けたゼリーロール型及び所定大きさの多数の陽極と陰極の間に分離膜を挟んでいる状態で順次積層したスタック型に分類される。その中で、ゼリーロール型電極組立体は製造が容易であり、重量当たりのエネルギー密度が高い利点を持っているので、高容量の二次電池の適用が必要な分野に広く使われている。
【0006】
すなわち、高エネルギー密度及び高容量の電池に対する要求に応えて前記ゼリーロール型電極組立体を円筒型電池ケースに収納した円筒型電池が使われている。前記円筒型電池はパウチ型電池に比べて相対的に剛性の高い金属素材の缶を電池ケースとして使うから、電池内部の空間を拡大しにくい。このように、空間活用性が高くない状況で、エネルギー効率の高い素材を開発しない限り、円筒型電池のエネルギー密度を高めてエネルギー効率を向上させにくいという問題がある。
【0007】
韓国登録特許第10-1261705号公報は、パウチ型電池であり、圧電素子層を備えた電池ケース及び電圧貯蔵部を備えた保護回路モジュールを含み、前記圧電素子層は吸収された振動を電圧に変換させて電圧貯蔵部に貯蔵し、必要時に自己充電が可能な二次電池を開示している。
【0008】
しかし、前記二次電池はパウチ型電池である点で電池の種類に違いがあり、圧電素子層で発生した電気を貯蔵するために電圧貯蔵部という別途の部材をさらに含むという点で、空間活用性が低いという問題がある。
【0009】
韓国登録特許第10-1708456号公報はバッテリーセルのスウェリング現象によって発生する圧力を用いて電力を生産する圧電素子及び前記圧電素子と連結されて充電電力を受けるキャパシタを含むキャパシタ充電システムを開示しているが、前記圧電素子はバッテリーセル間又はバッテリーセルとモジュールケースとの間に位置するという点で、円筒型電池の内部に適用しにくい。
【0010】
このように、重量当たりエネルギー密度が高い円筒型電池を用いる場合、電池の大きさを増加させることなく、別途の貯蔵空間を必要としなく、電池の自己充電が可能な技術に対する必要性が高いというのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決するためのものであり、円筒型二次電池が自家発電することができるように、ゼリーロール型電極組立体の充放電による体積膨張によって電気エネルギーを生成する圧電素子を含むことにより、円筒型二次電池に収納されたゼリーロール型電極組立体の充電によって発生する電気以外の電気エネルギーの追加生産が可能な高エネルギー密度を有する円筒型二次電池を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明による円筒型二次電池は、長いシート状の陽極及び陰極の間に分離膜が介在された状態で巻き付けられた構造のゼリーロール型電極組立体と、前記ゼリーロール型電極組立体を収容するための円筒型電池ケースと、前記ゼリーロール型電極組立体の充放電による体積膨張によって電気エネルギーを生成する圧電素子とを含む構造を有することができる。
【0013】
すなわち、本発明による円筒型二次電池は、反復的な充電及び放電が可能なゼリーロール型電極組立体を使うので、前記電極組立体の充電によって電気エネルギーを得ることができる。しかし、高容量及び高エネルギー密度の電池が必要な需要に応じて、円筒型二次電池のエネルギー密度を向上させるための多様な努力が注がれているが、エネルギー効率の高い素材を開発するためには長い時間が必要であるという問題がある。
【0014】
よって、本発明は、円筒型二次電池の内部に圧電素子を含み、前記圧電素子は充電及び放電過程で膨張及び収縮が繰り返し行われるゼリーロール型電極組立体の体積変化によってエネルギーを生成するので、二次電池の使用過程で自家発電が可能な利点がある。
【0015】
前記圧電素子は、物理的な力又は振動が印加されれば陽電荷と陰電荷の均衡が崩れて電位差が発生する結果として電気が生産される物質であり、前記ゼリーロール型電極組立体が膨張して前記圧電素子に圧力が印加されれば電気エネルギーが発生する。
【0016】
このように、本発明はゼリーロール型電極組立体の充電によって発生する電気の他に圧電素子を用いる追加的な電気エネルギーが発生できるので、円筒型二次電池の全体の大きさを増加させずに高エネルギー密度を有する二次電池を提供することができる。
【0017】
一具体例で、前記圧電素子は円筒型二次電池の全体積の増加を引き起こさないように付加され、ゼリーロール型電極組立体の体積膨張によって電気エネルギーの生成が可能な位置を考慮するとき、電池ケースの内側に付加されることが好ましい。例えば、前記ゼリーロール型電極組立体と前記円筒型電池ケースとの間に圧電素子が位置することができる。
【0018】
このように、充電及び放電過程で繰り返して膨張及び収縮が行われるゼリーロール型電極組立体と接するか、隣接した位置に圧電素子が位置する場合には、圧電素子に対する圧力印加の正確性が高くなり、相対的に広い面積に圧電素子が付加されることができるので、圧電素子によって生成される電気エネルギーの量を増加させることができる。
【0019】
前記圧電素子の付加面積及び位置は選択的に適用可能である。例えば、前記圧電素子は前記ゼリーロール型電極組立体の解けを防止するためのテープに付加できる。前記位置に圧電素子が付加される場合には、ゼリーロール型電極組立体が膨張及び収縮を繰り返すことによって巻き付けられた状態が緩むことを防止することができるのみならず、圧電素子による追加的な電気エネルギーの生産も可能な利点がある。
【0020】
また、前記圧電素子は前記円筒型電池ケースの内側面に付着されることができ、電池ケースの内側面全体に付着されることができ、又は電池ケースの円筒型側面部分にのみ付着できる。
【0021】
前記圧電素子は、電池ケースの対向面には接着層が形成されたテープ形態で付加されることができ、又はスプレイ噴射法によって付加されることができる。
【0022】
一具体例で、前記円筒型電池ケースは、間に中空が形成される外部ケース及び内部ケースからなり、前記中空には圧電素子が位置する構造を有することができる。すなわち、円筒型電池ケースの円筒型側面部及び下面を含む電池ケースの全体部分が外部ケース及び内部ケースからなる構造を有することができる。
【0023】
一方、ゼリーロール型電極組立体の膨張方向が巻取中心軸を基準とする遠心力方向である点を考慮するとき、前記円筒型電池ケースは、円筒型の側面が外部ケース及び内部ケースの二重構造を有し、下面は単一構造を有することにより、圧電素子が円筒型の側面にのみ付加される構造を有することができる。
【0024】
前記圧電素子は、天然圧電物質、人工圧電結晶、無鉛圧電セラミック及び人工圧電セラミックからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0025】
具体的に、天然圧電物質は、ベルリナイト(AlPO)、蔗糖、石英、ロッシェル塩、黄玉、電気石、絹、エナメル又は象牙質であってもよく、前記人工圧電結晶は、リン酸ガリウム(GaPO)又はランガサイト(LaGaSiO14)であってもよく、前記無鉛圧電セラミックは、NaKNb、ビスマスフェライト(BiFeO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)、チタン酸ビスマス(BiTi12)又は高酸素イオン伝導体(Na0.5Bi0.5TiO)であってもよい。
【0026】
前記人工圧電セラミックは、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(NbTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タリウム酸リチウム(LiTaO)、酸化タングステン化ナトリウム(NaWO)、酸化亜鉛(ZnO)、BaNaNb又はPbKNb15であってもよい。
【0027】
一具体例で、前記圧電素子によって生成された電気エネルギーは前記ゼリーロール型電極組立体に貯蔵されることができ、前記圧電素子によって生成された電気エネルギーを貯蔵するための別途の部材を含まないから、単位体積当たりエネルギー密度が高い円筒型二次電池を提供することができる。
【0028】
また、本発明は、前記円筒型電池を含む電池パックを提供することができる。
【0029】
具体的に、前記電池パックは、高温安全性及び長いサイクル特性と高いレート特性などが要求されるデバイスの電源として使われることができる。このようなデバイスの詳細な例としては、モバイル電子機器(mobile device)、ウェアラブル電子機器(wearable device)、電池的モーターによって動力を受けて動作するパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵装置(Energy Storage System)などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
これらのデバイスの構造及びその製作方法は当該分野に公知となっているので、本明細書ではそれについての詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施例による円筒型二次電池の垂直断面図である。
図2】一実施例による円筒型電池ケースの垂直断面図である。
図3】他の一実施例による円筒型電池ケースの垂直断面図である。
図4】一実施例によるゼリーロール型電極組立体の斜視図である。
図5】他の一実施例によるゼリーロール型電極組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に基づいて本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例についての動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0033】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を付ける。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言う場合、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0034】
本発明を図面を参照して詳細な実施例に基づいて説明する。
【0035】
図1は一実施例による円筒型二次電池の垂直断面図を模式的に示している。
【0036】
図1を参照すると、円筒型二次電池100は、底があり、上部は開放した円筒型構造を有する単一層構造の電池ケース101と電池ケース101の内部に収納された電極組立体120との間に圧電素子110を含む構造を持っている。圧電素子110は電池ケース101の下面と電極組立体120との間にも介在されているが、電池ケース101の側面部と電極組立体120の側面部との間にだけ介在される構造を有することもできる。
【0037】
説明の便宜のために、円筒型二次電池を構成するその他の内部素子の図示は省略した。
【0038】
図2及び図3は互いに異なる実施例による円筒型電池ケースの垂直断面図を模式的に示している。
【0039】
図2及び図3を参照すると、電池ケース200、300は、底があり、上部は開放した円筒型構造を有する二重構造を持っている。
【0040】
電池ケース200は外部ケース201及び内部ケース202からなり、外部ケース201及び内部ケース202の間には中空が形成され、前記中空には圧電素子210が介在されている。電池ケース200は、側面及び下面205の全体が外部ケース201及び内部ケース202から構成される。
【0041】
電池ケース300は外部ケース301及び内部ケース302からなり、外部ケース301及び内部ケース302の間には中空が形成され、前記中空には圧電素子310が介在されている。電池ケース300の側面は外部ケース301及び内部ケース302からなるが、下面305は単一層からなっている。
【0042】
図4は一実施例によるゼリーロール型電極組立体の斜視図を示し、図5は他の一実施例によるゼリーロール型電極組立体の斜視図を示している。
【0043】
図4を参照すると、ゼリーロール型電極組立体420はシート状の電極が巻き付けられた外面全体に圧電素子410が付加されている状態が示されている。このように、圧電素子410はゼリーロール型電極組立体の外面を360度取り囲む構造として付加されることができ、あるいはゼリーロール型電極組立体の外面を360度取り囲むが、巻取軸方向の長さがゼリーロール型電極組立体の長さより短く形成されることもできる。
【0044】
図5を参照すると、ゼリーロール型電極組立体520は巻取末端で電極組立体の解けを防止するために付着されたテープに圧電素子510が付加された状態を示している。このような場合には、圧電素子の量を増やすために、図1の円筒型二次電池100のように、内側面に圧電素子が付着された電池ケースにゼリーロール型電極組立体を収納することが好ましい。
【0045】
図1図2及び図3のような形態の圧電素子の場合、電池ケース101、200、300は、いずれも通常は陰極に相当するので、圧電素子の(-)極は電池ケース101、200、300に直接連結されることができる。圧電素子の(+)極は缶型電池のトップキャップの(+)極に連結されるか、電極組立体の(+)電極タブに並列で連結されることができる。
【0046】
図4又は図5のような形態の圧電素子の場合、圧電素子の(+)極と(-)極はそれぞれゼリーロール型電極組立体420、520の陽極及び陰極の電極タブに並列で直接連結されることができる。
【0047】
前記のように、本発明はゼリーロール型電極組立体及び/又は電池ケースの内部に圧電素子が含まれた構造の円筒型二次電池であり、前記二次電池の充放電過程で前記ゼリーロール型電極組立体が膨張するとき、前記圧電素子に圧力を印加することで、電位差が発生することにより電気エネルギーを生産することができる。
【0048】
また、前記ゼリーロール型電極組立体の膨張及び収縮が繰り返されるから、前記圧電素子に圧力が繰り返し印加できるので、圧電素子による電気エネルギーの生産も二次電池の充放電サイクルとともに繰り返し行われることができる。
【0049】
以下では、本発明の実施例に基づいて説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0050】
<実施例>
図2のように、電池ケースの下面は単一層からなり、側面は内部に中空が形成された外部ケース及び内部ケースの構造を有し、前記中空には圧電素子が介在された形態の円筒型二次電池を製造した。
【0051】
前記円筒型二次電池は18650タイプであり、外径が18mm、高さが65mm、上部のキャップアセンブリーの高さを除き、圧電素子が介在された電池ケースの側面の高さは60mmである。
【0052】
電池ケースの厚さは0.15mmであり、外部ケース、内部ケース及び中空の厚さがそれぞれ0.05mm、0.05mm、0.05mmであるとき、圧電素子が介在された部分の体積は次のように計算することができる。
【0053】
V=3.14×18mm×0.05mm×60mm×1cm/1000mm=0.16956cm
【0054】
圧電素子の場合、圧力によるエネルギー密度は通常に250μW/cmであるので、前記電池ケースの場合、250μW/cm×0.16956cm=42.39μW=0.4239mWのエネルギーを得ることができる。
【0055】
このように、本発明による円筒型二次電池を使う場合、二次電池の電気的な充電によって発生するエネルギー以外に、電極組立体の物理的な体積膨張による電気エネルギーの生産が可能であり、電池セルの大きさを増加させずにエネルギー密度が向上した円筒型二次電池を提供することができる。
【0056】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上で説明したように、本発明による円筒型二次電池は、ゼリーロール型電極組立体の充放電による体積膨張によって電気エネルギーを生成する圧電素子が前記ゼリーロール型電極組立体又は電池ケースに付加された構造であるので、円筒型二次電池の充電による電池エネルギーの他に、追加的に自家発電が可能であり、エネルギー密度が著しく向上した二次電池を提供する。
【0058】
本発明による圧電素子は電極組立体の充放電を抑制する効果があり、充放電による電極組立体の変形を防止する効果がある。
【0059】
また、前記圧電素子を用いる自家発電によって発生した電気エネルギーを前記ゼリーロール型電極組立体に貯蔵するから、別途の貯蔵空間を必要としなく、貯蔵空間を別に必要とする場合、円筒型二次電池の体積が増加することによって単位体積当たりエネルギー密度が低くなる問題を解決することができる。
【符号の説明】
【0060】
100 円筒型二次電池
101、200、300 電池ケース
110、210、310、410、510 圧電素子
120、420、520 電極組立体
201、301 外部ケース
202、302 内部ケース
205、305 電池ケースの下面
図1
図2
図3
図4
図5